IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱マテリアル株式会社の特許一覧

特許7135947絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板
<>
  • 特許-絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板 図1
  • 特許-絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板 図2
  • 特許-絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板 図3
  • 特許-絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板 図4
  • 特許-絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板 図5
  • 特許-絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20220906BHJP
   H01L 23/13 20060101ALI20220906BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H05K3/00 J
H01L23/12 C
H05K3/00 X
H05K1/02 G
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019044880
(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公開番号】P2020150074
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和
(72)【発明者】
【氏名】北原 丈嗣
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広昭
【審査官】柴垣 宙央
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-9400(JP,A)
【文献】特開平6-318768(JP,A)
【文献】特開2011-18783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
H01L 23/13
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の矩形板状のセラミックス片を複数形成可能な大きさのセラミックス板の一方の面に、各セラミックス片を分割するための第1スクライブラインと、前記第1スクライブラインに囲まれた第1領域内にセラミックス基板を形成するための第2領域を区画し、前記第1スクライブラインと間隔を開けて配置される第2スクライブラインと、前記各第1領域の各角部と該角部に対応する前記第2領域の角部との間に配置される第3スクライブラインと、を形成するスクライブライン形成工程と、
前記セラミックス板の少なくとも一方の面における前記第2領域に回路層を形成する回路層形成工程と、
前記回路層形成工程後における前記セラミックス板を前記第1スクライブラインに沿って個片化して前記回路層が形成された前記セラミックス片とする個片化工程と、
前記個片化工程後、前記セラミックス片の前記第2領域の角部及び前記第3スクライブラインを分割冶具により挟持して前記第2スクライブラインに沿って分割する分割工程と、を備え、
前記分割冶具は、前記第2スクライブラインが形成された面とは反対側の面に配置される第1押圧部と、前記第2スクライブラインが形成された面に配置される第2押圧部と、を備え、前記第1押圧部は、ロックウェル硬度Mスケールにて70以上の合成樹脂により構成され、前記第2押圧部は、ショアA硬度50以下のゴム材料により構成され、
前記スクライブライン形成工程では、前記第2スクライブラインの各角部を円弧状の角部溝により形成するとともに、隣り合う前記角部溝間を接続して前記第2スクライブラインの各辺を構成する直線状溝を前記第1スクライブラインと平行に形成し、かつ、前記各角部溝と、前記各直線状溝の長さを100%とした場合における前記各直線状溝の両端からそれぞれの当該直線状溝の長さの5%以上15%以下の範囲と、を角部領域とし、それ以外を直線領域としたときに、前記角部領域の深さを前記直線領域の深さよりも大きくすることを特徴とする絶縁回路基板の製造方法。
【請求項2】
前記スクライブライン形成工程では、前記直線領域の深さを前記セラミックス板の板厚の0.2倍以上0.4倍以下とし、前記角部領域の深さを前記直線領域の深さの1.2倍以上の深さとし、前記第3スクライブラインの深さを前記直線領域の深さの0.5倍以上1.0倍以下とし、かつ、前記角部溝の曲率半径を0.2mm以上1.0mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載の絶縁回路基板の製造方法。
【請求項3】
複数の矩形板状のセラミックス片を複数形成可能な大きさのセラミックス板の一方の面に、各セラミックス片を分割するための第1スクライブラインと、前記第1スクライブラインに囲まれた第1領域内にセラミックス基板を形成するための第2領域を区画し、前記第1スクライブラインと間隔を開けて配置される第2スクライブラインと、前記第1領域の各角部と該角部に対応する前記第2領域の角部との間に配置される第3スクライブラインと、を備え、
前記第2スクライブラインは、該第2スクライブラインの各角部を構成する円弧状の角部溝と、隣り合う前記角部溝間を接続して前記第2スクライブラインの各辺を構成する直線状溝と、を有するとともに、前記第2スクライブラインの前記各辺は、前記第1スクライブラインと平行であり、かつ、前記各角部溝と前記各直線状溝の長さを100%とした場合における前記各直線状溝の両端からそれぞれの当該直線状溝の長さの5%以上15%以下の範囲とを角部領域とし、それ以外を直線領域としたときに、前記角部領域の深さは、前記直線領域の深さよりも大きいことを特徴とするセラミックス板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角部が円弧状に面取りされたセラミックス基板を有する絶縁回路基板の製造方法及び当該セラミックス基板を形成可能なセラミックス板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱電素子やLED素子の配線基板としてセラミックス基板の両面に金属層が接合された絶縁回路基板が知られている。このような絶縁回路基板のうち、角部が円弧状に面取りされたセラミックス基板を有するものがある。このような角部が円弧状に形成されたセラミックス基板は、セラミックスの焼成前シートを金型で打ち抜き、1つずつ形成されることが多く、回路層形成時の生産性が悪い。この絶縁回路基板の生産性を向上させる方法として、例えば、特許文献1に記載の複数個取りを前提とする絶縁回路基板の分割方法が知られている。
【0003】
この特許文献1に記載の絶縁回路基板は、縦横に各々複数本の溝が形成され、溝の交差部の四方の角部の側面が、溝の幅より大きい曲率半径を有する丸みを帯びて溝の側面及び表面から滑らかに連続した凸面の曲面状に各々形成されたセラミックス板を溝に沿って分割することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第2612843号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の絶縁回路基板は、複数本の溝をセラミックス板に形成する際に、焼成されてセラミックス板となる前のグリーンシートに溝を直接形成することから、グリーンシートを焼成時する際に収縮するので、十分な寸法精度を得ることができなかった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、角部が円弧状に形成されたセラミックス基板を有する絶縁回路基板を寸法精度よく確実に製造できる絶縁回路基板の製造方法及びセラミックス板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の絶縁回路基板の製造方法は、複数の矩形板状のセラミックス片を複数形成可能な大きさのセラミックス板の一方の面に、各セラミックス片を分割するための第1スクライブラインと、前記第1スクライブラインに囲まれた第1領域内にセラミックス基板を形成するための第2領域を区画し、前記第1スクライブラインと間隔を開けて配置される第2スクライブラインと、前記第1領域の各角部と該角部に対応する前記第2領域の角部との間に配置される第3スクライブラインと、を形成するスクライブライン形成工程と、前記セラミックス板の少なくとも一方の面における前記第2領域に回路層を形成する回路層形成工程と、前記回路層形成工程後における前記セラミックス板を前記第1スクライブラインに沿って個片化して前記回路層が形成された前記セラミックス片とする個片化工程と、前記個片化工程後、前記セラミックス片の前記第2領域の角部及び前記第3スクライブラインを分割冶具により挟持して前記第2スクライブラインに沿って分割する分割工程と、を備え、前記分割冶具は、前記第2スクライブラインが形成された面とは反対側の面に配置される第1押圧部と、前記第2スクライブラインが形成された面に配置される第2押圧部と、を備え、前記第1押圧部は、ロックウェル硬度Mスケールにて70以上の合成樹脂により構成され、前記第2押圧部は、ショアA硬度50以下のゴム材料により構成され、前記スクライブライン形成工程では、前記第2スクライブラインの各角部を円弧状の角部溝により形成するとともに、隣り合う前記角部溝間を接続して前記第2スクライブラインの各辺を構成する直線状溝を前記第1スクライブラインと平行に形成し、かつ、前記各角部溝と、前記各直線状溝の長さを100%とした場合における前記各直線状溝の両端からそれぞれの当該直線状溝の長さの5%以上15%以下の範囲と、を角部領域とし、それ以外を直線領域としたときに、前記角部領域の深さを前記直線領域の深さよりも大きくする。
【0008】
本発明では、セラミックス板の一方の面に第1スクライブライン、第2スクライブライン及び第3スクライブラインを形成した後、回路層を形成し、第1スクライブラインに沿ってセラミックス板を分割してセラミックス片とし、セラミックス片の第2領域の角部及び第3スクライブラインを分割冶具により挟持して分割することにより、絶縁回路基板が製造される。このように本発明では、上記特許文献1に記載の構成とは異なり、焼成後のセラミックス基板に各スクライブラインが形成されるので、各スクライブラインの寸法精度を高めることができる。また、第3スクライブラインを設けたことにより、セラミックス片からセラミックス基板を分割する際に、角部溝に応力が集中して分割の起点となりやすく、しかも角部溝を含む角部領域の深さが直線領域の深さよりも大きく形成されているので、角部溝に沿って円滑に分割できる。この場合、直線状溝の角部領域の範囲が、直線状溝の両端からそれぞれ5%未満であると、角部領域の範囲が小さすぎて、クラックが各辺に沿って進展しないでそれるおそれがあり、15%を超えると、絶縁回路基板の製造途中の取り扱い時に割れが発生する可能性がある。このため、分割工程により角部にかかる荷重を低減でき、かつセラミックス基板を第2スクライブラインに沿って適切に分割でき、絶縁回路基板を構成するセラミックス基板の寸法精度を向上できる。
【0009】
また、第2スクライブラインの角部溝が当接する第2押圧部が第1押圧部よりも硬度が小さいゴム材料により構成されているので、分割冶具により上記位置を挟持すると、セラミックス片に面接触した第2押圧部が面方向に押し広げられ、このとき、第2スクライブラインの溝を広げるように作用するので、第2スクライブラインを確実に分割することができる。特に、角部溝の形成部位を挟持するので、確実に角部溝を起点として分割でき、絶縁回路基板のセラミックス基板の角部を滑らかな円弧状に形成することができる。
【0010】
本発明の絶縁回路基板の製造方法の好ましい態様としては、前記スクライブライン形成工程では、前記直線領域の深さを前記セラミックス板の板厚の0.2倍以上0.4倍以下とし、前記角部領域の深さを前記直線領域の深さの1.2倍以上の深さとし、前記第3スクライブラインの深さを前記直線領域の深さの0.5倍以上1.0倍以下とし、かつ、前記角部溝の曲率半径を0.2mm以上1.0mm以下とするとよい。
【0011】
直線領域の深さがセラミックス板の板厚の0.2倍未満であるとセラミックス基板の分割を適切に実行できず、0.4倍を超えていると、絶縁回路基板の製造中に衝撃でセラミックス基板が割れる可能性がある。また、角部領域の深さが第2領域の深さの1.2倍未満であると、セラミックス基板を分割する際の起点が角部領域以外となり、クラックが発生する可能性がある。さらに、第3スクライブラインの深さが直線領域の深さの0.5倍未満であると分割時のたわみ量が少なく分割できない可能性があり、直線領域の深さの1.0倍を超えていると、セラミックス基板の分割時の起点となる可能性があり、セラミックス基板の角部に突起が形成され、セラミックス基板の角部を円弧状に形成することができない可能性がある。
【0012】
本発明のセラミックス板は、複数の矩形板状のセラミックス片を複数形成可能な大きさのセラミックス板の一方の面に、各セラミックス片を分割するための第1スクライブラインと、前記第1スクライブラインに囲まれた第1領域内にセラミックス基板を形成するための第2領域を区画し、前記第1スクライブラインと間隔を開けて配置される第2スクライブラインと、前記第1領域の各角部と該角部に対応する前記第2領域の角部との間に配置される第3スクライブラインと、を備え、前記第2スクライブラインは、該第2スクライブラインの各角部を構成する円弧状の角部溝と、隣り合う前記角部溝間を接続して前記第2スクライブラインの各辺を構成する直線状溝と、を有するとともに、前記第2スクライブラインの前記各辺は、前記第1スクライブラインと平行であり、かつ、前記各角部溝と、前記各直線状溝の長さを100%とした場合における前記各直線状溝の両端からそれぞれの当該直線状溝の長さの5%以上15%以下の範囲とを角部領域とし、それ以外を直線領域としたときに、前記角部領域の深さは、前記直線領域の深さよりも大きい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、角部が円弧状に形成されたセラミックス基板を有する絶縁回路基板を寸法精度よく確実に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る絶縁回路基板の断面を示す断面図である。
図2】上記実施形態における絶縁回路基板の製造方法を示すフロー図である。
図3】上記実施形態における絶縁回路基板の製造工程のうち、スクライブライン形成工程、回路層形成工程及び個片化工程を示す図である。
図4】上記実施形態における絶縁回路基板の製造工程のうち、分割工程を示す図である。
図5】上記実施形態におけるセラミック辺の角部を拡大して示す平面図である。
図6】上記実施形態における分割工程に用いられる分割冶具の第2押圧部を押圧面側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0016】
[絶縁回路基板の概略構成]
図1は、本実施形態の絶縁回路基板1の断面を示す断面図であり、図4(c)は、絶縁回路基板1の平面図である。
絶縁回路基板1は、図4(c)に示すように、平面視で縦寸法50mm及び横寸法40mmの矩形状に形成されている。このような絶縁回路基板1は、図1に示すように、セラミックス基板2と、セラミックス基板2の両面に形成された回路層3,4とを備えている。これらセラミックス基板2と回路層3,4とは、例えば、ろう材を用いて接合されている。
【0017】
セラミックス基板2は、窒化アルミニウム(AlN)、窒化珪素(Si)、アルミナ(Al)等からなるセラミックス材料により形成され、厚さが0.3mm~1.0mmとされている。このセラミックス基板2は、矩形板状に形成され、各角部が円弧状に形成されている。
【0018】
各回路層3,4は、純アルミニウム又はアルミニウム合金や、純銅又は銅合金により形成され、厚さが0.1mm~1.0mmとされている。これら回路層3,4は、セラミックス基板2よりも若干小さい矩形板状に形成され、各角部が面取りされた円弧状に形成されている。
【0019】
[絶縁回路基板の製造方法]
次に、以上のように構成される絶縁回路基板1の製造方法について説明する。この製造方法では、複数個取り可能な大きさのセラミックス板20の一方の面に第1スクライブライン21、第2スクライブライン22及び第3スクライブライン23を形成した後、回路層3,4を形成し、第1スクライブライン21に沿ってセラミックス板20を分割してセラミックス片20Aとし、セラミックス片20Aの角部を分割冶具5により挟持して分割することにより、絶縁回路基板1が製造される(図3及び図4参照)。すなわち、絶縁回路基板1の製造方法は、図2に示すように、各スクライブライン21,22,23を形成するスクライブライン形成工程と、回路層3,4を形成する回路層形成工程と、第1スクライブライン21に沿ってセラミックス板20を個片化する個片化工程と、個片化工程により分割されたセラミックス片20Aを第2スクライブラインに沿って分割して絶縁回路基板1を製造する分割工程と、を備える。以下、各工程のそれぞれについて、工程順に説明する。
【0020】
[スクライブライン形成工程]
まず、図3(a)に示すように、複数の矩形板状のセラミックス片20Aを複数(例えば、6個)形成可能な大きさのセラミックス板20(縦177mm×横138mm、厚さ1.0mm)の一方の面(回路層4が形成される側の面)に、各セラミックス片20Aを分割するための第1スクライブライン21と、第1スクライブライン21に囲まれた第1領域Ar1内にセラミックス基板2を形成するための第2領域Ar2を区画し、第1スクライブライン21と間隔を開けて配置される第2スクライブライン22と、各第1領域Ar1の各角部と該角部に対応する第2領域Ar2の角部との間に配置される第3スクライブライン23とを形成する。
【0021】
これら各スクライブライン21~23のそれぞれは、例えば、レーザ光Lを照射することにより、セラミックス板20の一方の面を線状に除去して形成される。これら各スクライブライン21~23は、セラミックス板20に形成される溝部であり、個片化工程及び分割工程において、セラミックス板20又はセラミックス片20Aの分割の起点となる部位である。
なお、スクライブライン形成工程では、例えばCOレーザ、YAGレーザ、YVOレーザ、YLFレーザ等を使用して各スクライブライン21~23の加工を行うことができる。また、上記各レーザを用いてスクライブライン21~23を形成する際には、その深さを予め設定することにより、後述する深さのスクライブライン21~23が形成される。
【0022】
[第1スクライブラインの構成]
第1スクライブライン21は、図3に示す例では、縦方向に1本、横方向に2本所定の間隔を開けて形成される。具体的には、縦方向に延びる第1スクライブライン21は、セラミックス板20の横方向の中心に配置される。また、横方向に延びる2本のスクライブライン21は、セラミックス板20を縦方向に三分割する位置に形成される。これにより、セラミックス板20は、第1スクライブライン21により区画された59mm×69mmの第1領域Ar1が6つ形成される。
なお、図3の例では、第1スクライブライン21は縦方向に1本、横方向に2本形成されることとしたが、これに限らず、実際にはこの例より大きなセラミックス板が用いられ、縦方向及び横方向に複数の第1スクライブラインが形成される。
【0023】
[第2スクライブラインの構成]
第2スクライブライン22は、図3に示す例では、6つの第1領域Ar1内にそれぞれに略矩形状に形成され、各角部が円弧状に形成されている。この第2スクライブライン22は、分割された際にセラミックス基板2となる第2領域Ar2を区画する溝部であり、平面視で50mm×60mmの略矩形状とされる。このような第2スクライブライン22は、図5に示すように、第2スクライブライン22の各角部を構成する円弧状の角部溝221と、隣り合う角部溝221間を接続して第2スクライブライン22の各辺を構成する直線状溝222と、により構成されている。この角部溝221の曲率半径R1は、0.2mm以上1.00mm以下に設定され、直線状溝222により構成される各辺は、第1スクライブライン21と平行とされている。
【0024】
また、第2スクライブライン22の深さ寸法は、角部近傍が深く、それ以外の部分が角部近傍よりも浅く設定されている。具体的には、各角部溝221と各直線状溝の長さを100%とした場合における各直線状溝222の両端からそれぞれの当該直線状溝の長さの5%以上15%以下の範囲(図5におけるL1及びL2)とを角部領域22Aとし、それ以外を直線領域22Bとしたときに、角部領域22Aの深さを直線領域22Bの深さよりも大きくする。具体的には、直線領域22Bの深さをセラミックス板20の板厚(例えば、1.0mm)の0.2倍以上0.4倍以下とし、角部領域22Aの深さを直線領域22Bの深さの1.2倍以上の深さとしている。このため、セラミックス板20の板厚が1.0mmの場合、直線領域22Bの深さは、0.2mm以上0.4mm以下とされ、角部領域22Aの深さは、0.24mm以上0.48mm以下とされる。
【0025】
例えば、図5の横方向に延びる直線状溝222の横方向の長さが60mmである場合、直線領域22Bが42mm~54mm、その両端に位置するそれぞれの角部領域22Aの横方向の長さL1が6mm~9mmとされる。また、直線状溝222の縦方向の長さが50mmである場合、直線領域22Bが40mm~45mm、その両端に位置するそれぞれの角部領域22Aの縦方向の長さL2が2.5mm~7.5mmとされる。
【0026】
[第3スクライブラインの構成]
第3スクライブライン23は、図3に示す例では、6つの第1領域Ar1内に4つずつ形成されている。この第3スクライブライン23は、図3及び図5に示すように、第1領域Ar1の各角部と該角部に対応する第2領域Ar2の角部(角部溝221)との間に配置され、その深さ寸法は、直線領域22Bの深さの0.5倍以上1.0倍以下とされ、セラミックス板20の板厚が1.0mmの場合、第3スクライブライン23の深さは、0.5mm以上1.0mm以下とされる。また、この第3スクライブライン23の第1スクライブライン21に対する角度θ1は、42°~48°であることが好ましく、本実施形態では45°に設定されている。
【0027】
また、第3スクライブライン23の内側端部は、第2スクライブライン22の角部溝221の先端との間に隙間w1が形成されている。この隙間w1の寸法は、例えば0.2mm以上0.7mm以下であることが好ましく、本実施形態では、0.5mmに設定されている。また、第3スクライブライン23の外側端部は、内側端部と同様に、第1スクライブライン21の角部に対して隙間を形成した状態で形成されている。
なお、本実施形態では、第3スクライブライン23の外側端部と第1スクライブライン21の角部との間に隙間を形成することとしたが、これに限らず、第3スクライブライン23の外側端部と第1スクライブライン21の角部とは、つながっていてもよい。
【0028】
このようなスクライブライン形成工程では、第2スクライブライン22の各角部を円弧状の角部溝221により形成するとともに、隣り合う角部溝221間を接続して第2スクライブライン22の各辺を構成する直線状溝222を第1スクライブライン21と平行に形成する。また、スクライブライン形成工程では、各角部溝221と、各直線状溝222の長さを100%とした場合における各直線状溝222の両端からそれぞれの当該直線状溝の長さの5%以上15%以下の範囲(図5におけるL1及びL2)とを角部領域22Aとし、それ以外を直線領域22Bとしたときに、角部領域22Aの深さを直線領域22Bの深さよりも大きくする。具体的には、直線領域22Bの深さをセラミックス板20の板厚(例えば1.0mm)の0.2倍以上0.4倍以下とし、角部領域22Aの深さを直線領域22Bの深さの1.2倍以上の深さとし、第3スクライブライン23の深さを直線領域22Bの深さの0.5倍以上1.0倍以下とし、かつ、角部溝221の曲率半径を0.2mm以上1.0mm以下とする。
【0029】
なお、直線領域22Bの深さがセラミックス板20の板厚の0.2倍未満であるとセラミックス基板2の分割を適切に実行できず、0.4倍を超えていると、流動中に衝撃でセラミックス基板2が割れる可能性がある。また、角部領域22Aの深さが直線領域22Bの深さの1.2倍未満であると、セラミックス基板2を分割する際の起点が角部領域22A以外となり、クラックが発生する可能性がある。さらに、第3スクライブライン23の深さが直線領域22Bの深さの0.5倍未満であると分割時のたわみ量が少なく分割できない可能性があり、直線領域22Bの深さの1.0倍を超えていると、セラミックス基板2の分割時の起点となる可能性があり、セラミックス基板2の角部に突起が形成され、セラミックス基板2の角部を円弧状に形成することができない可能性がある。
また、直線状溝222の角部領域22Aの範囲が、直線状溝222の両端からそれぞれ5%未満であると、角部領域22Aの範囲が小さすぎて、クラックが各辺に沿って進展しないでそれるおそれがあり、15%を超えると、取り扱い時に割れが発生する可能性がある。
【0030】
このようなスクライブライン形成工程を実行することにより、セラミックス板20に第1スクライブライン21、第2スクライブライン22及び第3スクライブライン23が形成されたセラミックス板20となる。
【0031】
[回路層形成工程]
次に、各スクライブライン21~23が形成されたセラミックス板20の第2領域Ar2のそれぞれの面に回路層3,4を形成する。この回路層形成工程では、セラミックス板20を洗浄液等により洗浄した後、回路層3,4となる金属板(図示省略)をろう材を介して接合した後、これらの積層体をカーボン板により挟持し、積層方向に荷重をかけながら真空中で加熱することにより、セラミックス板20と金属板を接合する。そして、上記金属板を公知の手法によりエッチングすることにより、平面視で略矩形状の回路層3,4が第2領域Ar2に形成される。これにより、図3(b)に示すように、セラミックス板20には、第2スクライブライン22により区画された各第2領域Ar2に回路層3,4が設けられる。そして、図示は省略するが、必要に応じて、回路層3,4が形成されたセラミックス板20に金メッキ、銀メッキ、ニッケルメッキ等のメッキ処理を施す。
【0032】
なお、本実施形態では、金属板をろう材を介して接合した後、エッチングを実行することにより各第2領域Ar2に金属層3,4を形成することとしたが、各金属層3,4を各第2領域のそれぞれにろう材により接合してもよい。また、第2領域Ar2のそれぞれの面に回路層3,4を形成することとしたが、これに限らず、いずれか一方の面にのみ回路層3,4のいずれかを形成することとしてもよい。
【0033】
[個片化工程]
次に、回路層形成工程後、回路層3,4が形成されたセラミックス板20を第1スクライブライン21に沿って個片化して、図3(c)に示す回路層3,4が形成されたセラミックス片20Aとする。本実施形態では、セラミックス板20を第1スクライブライン21に沿って分割することにより、6つのセラミックス片20Aが形成される。
なお、実際の分割工程においては、セラミックス板20に多数の第1スクライブライン21が形成され、セラミックス片20Aとなる全ての第1領域Ar2は、第1スクライブライン21に囲まれている。このため、セラミックス板20に形成された第1スクライブライン21のうち、最も外縁に形成された第1スクライブライン21より外側に位置する領域については、分割後破棄される。
【0034】
[分割工程]
次に、個片化工程後、セラミックス片20Aの第2領域Ar2の角部及び第3スクライブライン23を分割冶具5により挟持して第2スクライブライン22に沿って分割することにより、絶縁回路基板1を形成する。
【0035】
[分割冶具の構成]
分割冶具5は、図4(a)及び図4(b)に示すように、セラミックス片20Aの第2スクライブライン22が形成された面とは反対側の面に配置される矩形板状の第1押圧部51と、セラミックス片20Aの第2スクライブライン22が形成された面に配置される矩形板状の第2押圧部52と、を備えている。第1押圧部51は、セラミックス片20Aよりも大きい矩形板状に形成され、矩形板状の本体部510と、本体部510のセラミックス片20Aが配置される側の面から突出する4つの突出部511と、を備えている。これら本体部510及び突出部511は、ロックウェル硬度Mスケールにて70以上の合成樹脂により構成され、一体成型されている。また、突出部511は、セラミックス片20Aを押圧する際に、第2スクライブライン22における角部領域22A及び第3スクライブライン23に対向する位置に形成され、これらを押圧する機能を有する。
【0036】
第2押圧部52は、第1押圧部51と略同形状に形成され、矩形板状の本体部520と、本体部520のセラミックス片20Aが配置される側の面から突出する4つの突出部521と、を備えている。これらのうち、本体部520は、上記第1押圧部51と同様にロックウェル硬度Mスケールにて70以上の合成樹脂により構成されている。一方、突出部521は、ショアA硬度50以下のゴム材料により構成されている。すなわち、第2押圧部52の突出部521は、第1押圧部51の突出部511よりも柔らかく変形しやすい素材により構成されている。これら第1押圧部51及び第2押圧部52のそれぞれは、突出部511と突出部521とのそれぞれが対向するように配置され、図6に示すように、各突出部511,512のそれぞれがセラミックス片20Aの角部近傍に当接する。
【0037】
この分割工程では、上述した分割冶具5を用いて、セラミックス片20Aを挟持して押圧することにより、絶縁回路基板1を形成する。具体的には、図4(a)に示すように、セラミックス片20Aの第2スクライブライン22が形成されている面を第2押圧部52に対向して配置し、その上に第1押圧部51を配置する。そして、図4(b)に示すように第1押圧部51の突出部511及び第2押圧部52の突出部521により挟持して押圧する。この際、第2スクライブライン22の角部溝221が当接する第2押圧部52の突出部521が第1押圧部51の突出部511よりも硬度が小さいゴム材料により構成されているので、分割冶具5により上記位置を挟持すると、セラミックス片20Aに面接触した第2押圧部52の突出部521が面方向に押し広げられ、このとき、第2スクライブライン22の溝を広げるように作用するので、第2スクライブライン22が分割される。特に、図6に示すように、角部溝221(角部領域22A)の形成部位を挟持するので、確実に角部溝221を起点として分割でき、絶縁回路基板1のセラミックス基板2の角部を滑らかな円弧状に形成する。
これにより、図1及び図4(c)に示すセラミックス基板2の角部が円弧状に形成された絶縁回路基板1が形成される。
【0038】
本実施形態では、焼成後のセラミックス板20に各スクライブライン21~23が形成されるので、各スクライブライン21~23の寸法精度を高めることができる。また、第3スクライブライン23を設けたことにより、セラミックス片20Aからセラミックス基板2を分割する際に、角部溝221に応力が集中して分割の起点となりやすく、しかも角部溝221を含む角部領域22Aの深さが直線領域22Bの深さよりも大きく形成されているので、角部溝221に沿って円滑に分割できる。このため、分割工程により第2領域Ar2の角部にかかる荷重を低減でき、かつセラミックス基板2を第2スクライブライン22に沿って適切に分割でき、絶縁回路基板1を構成するセラミックス基板2の寸法精度を向上できる。
【0039】
また、第2スクライブライン22の角部溝221が当接する第2押圧部52の突出部521が第1押圧部51の突出部511よりも硬度が小さいゴム材料により構成されているので、分割冶具5により上記位置を挟持すると、セラミックス片20Aに面接触した第2押圧部52の突出部521が面方向に押し広げられ、このとき、第2スクライブライン22の溝を広げるように作用するので、第2スクライブライン22を確実に分割することができる。特に、角部溝221の形成部位を挟持するので、確実に角部溝221を起点として分割でき、絶縁回路基板1のセラミックス基板2の角部を滑らかな円弧状に形成することができる。
【0040】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記実施形態では、メッキ処理後にセラミックス板20を個片化することとしたが、これに限らず、個片化した後、各セラミックス片20Aにメッキ処理を施すこととしてもよい。また、メッキ処理はしなくてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、各スクライブライン21~23は、レーザ加工により形成されることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、ダイヤモンドスクライバー等の他の加工方法により実施することもできる。
【0042】
さらに、上記実施形態では、分割冶具5の第2押圧部52の突出部521のみがゴム材料により構成されることとしたが、これに限らず、本体部520もゴム材料により構成され、これらが一体成型されていてもよい。
【実施例
【0043】
矩形板状のセラミックス片を6個形成可能な大きさのセラミックス板(縦177mm×横138mm、厚さ1.0mm)の一方の面に、図3に示すように、ファイバーレーザ(日本車輛社製NisshaHC)を用いて、第1スクライブライン、第2スクライブライン及び第3スクライブラインを形成した。第1スクライブラインは、縦方向に延びる1本と、横方向に延びる2本とを形成し、縦方向に延びる1本は、セラミックス板の中心を通り、横方向に延びる2本は、セラミックス板を縦方向に三分割する位置に形成し、第1スクライブラインにより区画された59mm×69mmの第1領域を6つ形成した。第2スクライブライン22は、第1領域内に50mm×60mmの略矩形状に形成され、各角部を構成する円弧状の角部溝と、隣り合う角部溝間を接続して第2スクライブラインの各辺を構成する直線状溝と、により構成した。この角部溝の曲率半径R1は、2mmとし、直線状溝は、第1スクライブラインと平行とした。また、縦方向に延びる直線状溝の長さを50mm、横方向に延びる直線状溝の長さを60mmとした。また、第3スクライブラインは、第1領域の各角部と該角部に対応する第2領域の角部との間に形成し、第2スクライブラインの角部溝とその先端との隙間寸法は、0.5mmとし、第3スクライブラインの他端と第1領域の角部との隙間寸法は、0.5mmとした。さらに、第3スクライブラインの第1スクライブラインに対する角度は、45°とした。
【0044】
また、実施例1~11及び比較例1~3における第1スクライブラインの深さ寸法は、0.2mmとし、第2スクライブラインの縦方向の直線領域の長さ、横方向の直線領域の長さ、縦方向の角部領域の長さL2、横方向の角部領域の長さL1、縦方向の角部領域の長さL2/縦方向の直線領域の長さ、横方向の角部領域の長さL1/横方向の直線領域の長さ、直線領域の深さ及び角部領域の深さ、並びに、第3スクライブラインの深さの各種寸法は、表1に示す通りとした。なお、縦角部領域の長さL2及び横角部領域の長さL1については、各直線領域における一端側に位置する角部領域の値を示している。また、直線領域の深さとセラミックス板の板厚との比率(倍率)、直線領域の深さと角部領域の深さとの比率(倍率)及び直線領域の深さと第3スクライブラインの深さとの比率(倍率)は、表1に示すとおりである。
【0045】
そして、これら表1に示す深さの各スクライブラインが形成されたセラミックス板の第2スクライブラインにより区画された第2領域の両面に、Ag-Cu-Ti系ろう材を介して銅合金を積層し、加圧した状態で加熱することにより、銅合金からなる回路層(40mm×50mm)を形成した。そして、第1スクライブラインに沿ってセラミックス板を個片化し、6つのセラミックス片を得た。この6つのセラミックス片のうち、任意に選択した3つのセラミックス片のそれぞれに対し、分割冶具(この実施例においては手動プレス)を用いて、第2スクライブラインに沿ってセラミックス基板を分割して、絶縁回路基板を得た。これら表1に示す条件に基づいて形成された実施例1~11及び比較例1~3のそれぞれに対して、分割性及び寸法精度のそれぞれについて評価した。
【0046】
[スクライブラインの深さ測定]
スクライブラインの深さの測定は、レーザ顕微鏡(キーエンス社製VK-X1000)を用いて実行した。この際、第2スクライブラインにおいては、直線状溝の直線領域、角部領域、及び角部溝のそれぞれ任意の3箇所の溝深さを測定し、その平均値を直線状溝の直線領域の溝深さ、角部領域の溝深さ及び角部溝の溝深さとした。また、第3スクライブラインにおいては、任意の3箇所の溝深さを測定し、その平均値を第3スクライブラインの溝深さとした。
【0047】
[分割性の評価]
分割性の評価は、手動プレス(株式会社MATEX製H-1)を用いて、無理なく作業できる荷重:約20kgfで分割可能か否かを判定した。この際、手動プレスには、第2スクライブラインが形成された面を下側として配置し、スクライブラインが形成されていない面を押圧する部位(第1押圧部)及びスクライブラインが形成された面を押圧する部位(第2押圧部)のそれぞれに表2に示す素材を配置して実行した。この手動プレスによる分割は、6つのセラミックス片のうち、任意に選択した3つのセラミックス片のそれぞれに対して実行し、全てのセラミックス片が分割できた場合を良好「A」と評価し、3つのセラミックス片のうち、1つ又は2つのセラミックス片が分割できた場合を可「B」と評価し、全てのセラミックス片が分割できなかった場合を不可「C」と評価した。結果を表2に示す。
【0048】
[寸法精度の評価]
寸法精度の評価は、手動プレスにより分割された3枚の絶縁回路基板のセラミックス基板を目視にて確認した。この際、3つの絶縁回路基板の縦寸法(50mm)及び横寸法(60mm)の全てが公差±0.2mmである場合を良好「A」と評価し、3つの絶縁回路基板のうち、1つ又は2つが公差±0.2mmである場合を可「B」と評価し、全ての絶縁回路基板の公差が±0.2mmでない場合を不可「C」と評価した。結果を表2に示す。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
表1及び表2から明らかなように、第1押圧部がロックウェル硬度Mスケールにて70以上の合成樹脂(プラスチック)により構成され、第2押圧部がショアA硬度50以下のゴム材料により構成された実施例1~11は、いずれも分割性が可「B」以上となり、セラミックス片を良好に分割できた。これらのうち、直線領域の深さがセラミックス板の板厚の0.2倍以上0.4倍以下であり、かつ、第3スクライブラインの深さが直線領域の深さの0.5倍以上1.0倍以下である実施例1~5は、分割性の評価が良好「A」であるとともに、寸法精度の評価も良好「A」であった。一方、比較例1では、ショアA硬度が50を超えたゴムにより構成されていたため、分割性の評価及び寸法精度の評価のいずれもが不可「C」であった。
【0052】
また、比較例2では、第2スクライブラインの角部領域の深さが直線領域の深さより小さいため、分割性及び寸法精度の評価がいずれも不可「C」であった。
さらに、比較例3では、第1押圧部がロックウェル硬度Mスケールにて70未満の合成樹脂により構成されていたため、分割性の評価及び寸法精度の評価のいずれもが不可「C」であった。
【符号の説明】
【0053】
1 絶縁回路基板
2 セラミックス基板
20 セラミックス板
20A セラミックス片
21 第1スクライブライン
22 第2スクライブライン
22A 角部領域
22B 直線領域
221 角部溝
222 直線状溝
23 第3スクライブライン
3,4 回路層
5 分割冶具
51 第1押圧部
510 本体部
511 突出部
52 第2押圧部
520 本体部
521 突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6