(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】搬送車
(51)【国際特許分類】
B61B 13/00 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B61B13/00 A
(21)【出願番号】P 2019074410
(22)【出願日】2019-04-09
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒田 博允
【審査官】姫島 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-018752(JP,A)
【文献】特開2012-188061(JP,A)
【文献】特開2010-076683(JP,A)
【文献】特開2008-126709(JP,A)
【文献】米国特許第10239544(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪に設けられ、走行経路を検知し、前記車輪とともに左右に旋回可能であるセンサ部材と、前記センサ部材に接続されている線状部材とを有する搬送車において、
前記車輪の上方に設けられ、前記車輪の旋回中心となる仮想的な中心軸に対して位置が変化しない前記搬送車の第1フレームに対して前記線状部材を固定する固定部と、
前記車輪の上方に設けられ、前記中心軸に対して位置が変化せず、且つ前記固定部よりも前記中心軸に近い位置で前記搬送車の第2フレームに固定されているとともに前記線状部材が前記中心軸の延びる方向である延在方向に変位自在となるように挿通されている環状の挿通部を有する保持部と、を備え、
前記線状部材が前記固定部により前記第1フレームに固定され、且つ前記保持部の前記挿通部に挿通されている状態において、前記線状部材は、前記車輪から離間する方向に向けて前記固定部及び前記保持部から延びている余長吸収部を有していることを特徴とする搬送車。
【請求項2】
前記車輪及び前記センサ部材を旋回可能に支持する支持部を備え、
前記センサ部材は、
前記走行経路を検知する検知部と、
前記検知部を路面に近い第1位置と前記第1位置よりも路面から離れている第2位置との間で昇降させるとともに取付部を介して前記支持部に固定されている昇降機構と、を有し、
前記昇降機構は、
前記取付部を中心に回動自在となるように前記取付部に固定されているリンク部材と、
前記リンク部材の前記取付部と反対側に接続されているとともに前記検知部を支持するセンサ支持ブラケットと、を有し、
前記線状部材は、
前記固定部により前記第1フレームに対して移動不能となるように固定されている中空のチューブと、
前記チューブの内部を移動可能に設けられているとともに一端が前記リンク部材に接続され、他端が前記検知部を前記第1位置と前記第2位置との間で昇降させる操作を実施する操作レバーに接続されているワイヤと、を有していることを特徴とする請求項1に記載の搬送車。
【請求項3】
前記操作レバーは、前記車輪の上方であり、且つ前記固定部よりも前記中心軸から離れた位置に設けられ、
前記線状部材は、前記操作レバーから前記固定部に向けて延びている延出部を有し、
前記延出部は、前記操作レバー及び前記固定部から前記車輪に近接する方向に向けて延びており、
前記搬送車の前方から見た車幅方向において前記延出部は、前記余長吸収部が設けられている範囲に重なるように取り回されていることを特徴とする請求項2に記載の搬送車。
【請求項4】
前記挿通部は、円環状をなし、
前記挿通部の内周側の断面形状は、円弧状をなしていることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の搬送車。
【請求項5】
前記保持部の前記挿通部に挿通されている前記線状部材の所定範囲には、前記線状部材と一体化するように前記線状部材を覆うプロテクタが設けられていることを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の搬送車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載される搬送車としての牽引車が知られている。
上記の牽引車は、走行経路を検知するセンサ部材を有している。センサ部材は、車輪としての前輪に設けられている。例えば、センサ部材は、走行経路を検知する検知部としてのガイドセンサを有している。ガイドセンサは、走行経路に設けられたガイド部材としてのガイドテープの位置を検知する。牽引車は、前輪及びセンサ部材を旋回可能に支持する支持部を有している。センサ部材は、例えばガイドセンサを路面に近い位置である第1位置としての使用位置と使用位置よりも路面から離れている位置である第2位置としての退避位置との間で昇降させる昇降機構としてのリンク機構を有している。リンク機構は、支持ブラケットを介して支持部に固定されている。リンク機構は、リンク部材を有している。リンク部材は、支持ブラケットに回動自在に固定されている。リンク部材の支持ブラケットと反対側には、センサ支持ブラケットが設けられている。センサ支持ブラケットには、ガイドセンサが支持されている。リンク機構のリンク部材には、連結具を介して線状部材としての昇降ワイヤ部材の一端が接続されている。当該昇降ワイヤ部材の他端は、操作レバーに接続されており、操作レバーの操作によりリンク機構のリンク部材が回動することでガイドセンサが使用位置と退避位置との間を昇降する。
【0003】
ガイドセンサには、ガイドセンサに電力を供給する配線や検出信号を制御装置に送るための配線である線状部材としてのワイヤハーネスが接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の牽引車では、線状部材としての昇降ワイヤ部材やワイヤハーネスは、前輪の近傍に取り回されている。そのため、昇降ワイヤ部材やワイヤハーネスの取り回し方によっては、前輪の旋回方向に昇降ワイヤ部材やワイヤハーネスを取り回せるようにスペースを確保する等の搬送車の設計レイアウトに制約が生じる虞がある。そこで、昇降ワイヤ部材やワイヤハーネス等の線状部材の取り回し構造を新たに開発する必要があった。
【0006】
本発明の目的は、線状部材の取り回しによる車輪の旋回方向における設計レイアウトの制約を抑制できる搬送車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する搬送車は、車輪に設けられ、走行経路を検知し、前記車輪とともに左右に旋回可能であるセンサ部材と、前記センサ部材に接続されている線状部材とを有する搬送車において、前記車輪の上方に設けられ、前記車輪の旋回中心となる仮想的な中心軸に対して位置が変化しない前記搬送車の第1フレームに対して前記線状部材を固定する固定部と、前記車輪の上方に設けられ、前記中心軸に対して位置が変化せず、且つ前記固定部よりも前記中心軸に近い位置で前記搬送車の第2フレームに固定されているとともに前記線状部材が前記中心軸の延びる方向である延在方向に変位自在となるように挿通されている環状の挿通部を有する保持部と、を備え、前記線状部材が前記固定部により前記第1フレームに固定され、且つ前記保持部の前記挿通部に挿通されている状態において、前記線状部材は、前記車輪から離間する方向に向けて前記固定部及び前記保持部から延びている余長吸収部を有している。
【0008】
これによれば、センサ部材は車輪とともに左右に旋回可能であるため、車輪とともにセンサ部材が左右に旋回したとき、線状部材がセンサ部材によって引っ張られる。このとき、線状部材の余長吸収部が保持部の挿通部を通じて引っ張られることで搬送車が直進しているときの余長吸収部よりも短くなる。また、車輪とともにセンサ部材が左右に旋回した状態から搬送車が直進するように車輪をまっすぐに戻すと、線状部材が保持部の挿通部を通じて押し戻される。ひいては車輪が旋回しているときよりも余長吸収部が長くなる。よって、車輪の旋回に伴って余長吸収部が中心軸の延びる方向である延在方向に変位するように線状部材が取り回されている。したがって、線状部材の取り回しによる車輪の旋回方向における設計レイアウトの制約を抑制できる。
【0009】
上記の搬送車において、前記車輪及び前記センサ部材を旋回可能に支持する支持部を備え、前記センサ部材は、前記走行経路を検知する検知部と、前記検知部を路面に近い第1位置と前記第1位置よりも路面から離れている第2位置との間で昇降させるとともに取付部を介して前記支持部に固定されている昇降機構と、を有し、前記昇降機構は、前記取付部を中心に回動自在となるように前記取付部に固定されているリンク部材と、前記リンク部材の前記取付部と反対側に接続されているとともに前記検知部を支持するセンサ支持ブラケットと、を有し、前記線状部材は、前記固定部により前記第1フレームに対して移動不能となるように固定されている中空のチューブと、前記チューブの内部を移動可能に設けられているとともに一端が前記リンク部材に接続され、他端が前記検知部を前記第1位置と前記第2位置との間で昇降させる操作を実施する操作レバーに接続されているワイヤと、を有しているとよい。
【0010】
これによれば、線状部材のワイヤの他端に接続される操作レバーの操作に応じて線状部材のワイヤの一端に接続される昇降機構のリンク部材が取付部を中心に回動する。これにより、リンク部材に接続されているセンサ支持ブラケットが第1位置と第2位置との間を昇降し、ひいては検知部も同時に昇降する。このとき、例えば、センサ支持ブラケットを第2位置から第1位置にしたとき、線状部材のワイヤは保持部の挿通部を介して引っ張られる。そして、線状部材のチューブはワイヤとともに引っ張られるため、余長吸収部は短くなる。また、例えばセンサ支持ブラケットを第1位置から第2位置にしたとき、線状部材のワイヤは保持部の挿通部を介して押し戻される。そして、線状部材のチューブはワイヤとともに押し戻されるため、余長吸収部が長くなる。よって、車輪の旋回に伴って線状部材の余長吸収部が延在方向に変位するだけでなく、センサ部材の昇降に伴って線状部材の余長吸収部が延在方向に変位する。したがって、センサ部材の昇降時の線状部材の取り回しを実現しつつ、線状部材の取り回しによる車輪の旋回方向における設計レイアウトの制約を抑制できる。
【0011】
上記の搬送車において、前記操作レバーは、前記車輪の上方であり、且つ前記固定部よりも前記中心軸から離れた位置に設けられ、前記線状部材は、前記操作レバーから前記固定部に向けて延びている延出部を有し、前記延出部は、前記操作レバー及び前記固定部から前記車輪に近接する方向に向けて延びており、前記搬送車の前方から見た車幅方向において前記延出部は、前記余長吸収部が設けられている範囲に重なるように取り回されているとよい。
【0012】
操作レバーを車輪の上方であり、且つ固定部よりも中心軸から離れた位置に設けることは一般的に知られている。特に操作レバーは、搬送車の運転席に設けられることが一般的である。このとき、操作レバーから固定部に向けて延びる線状部材の延出部の取り回しによっては、線状部材の延出部を取り回すためのスペースが必要となり、ひいては搬送車の車幅方向の体格を大きくしなければならない。
【0013】
また、搬送車の車幅方向の体格を小さくするために、延出部を可能な限り車幅方向に折り曲げて配置する、又は余長吸収部を可能な限り車幅方向に折り曲げて配置することが考えられる。しかし、線状部材がチューブとワイヤとにより構成されていることから線状部材自体が曲げ難くなっていることに加え、延出部及び余長吸収部を曲げすぎると操作レバーの操作に伴って線状部材のワイヤの動きの妨げになる。また、余長吸収部が中心軸の延びる方向に変位することを妨げる虞がある。
【0014】
その点、これによれば、搬送車の前方から見た車幅方向において延出部は余長吸収部が設けられている範囲に重なるように取り回されている。すなわち、延出部が取り回されている範囲と余長吸収部が取り回されている範囲とは、搬送車の車幅方向においてオーバーラップしている。すなわち、延出部の取り回しにより搬送車の車幅方向への大型化を抑制できる。これに伴い、延出部及び余長吸収部の曲がり具合を緩やかな状態に維持しやすくなる。したがって、搬送車の体格の大型化を抑制しつつ、延出部及び余長吸収部の曲がり具合を緩やかな状態に維持し、操作レバーの操作によるワイヤの動作及び中心軸の延びる方向における余長吸収部の変位を円滑にできる。
【0015】
上記の搬送車において、前記挿通部は、円環状をなし、前記挿通部の内周側の断面形状は、円弧状をなしているとよい。
車輪の旋回により余長吸収部が中心軸の延びる方向へ変位することに伴い、余長吸収部が挿通部に摺動する。そのため、線状部材が摩耗する虞がある。
【0016】
その点、これによれば、挿通部は円環状をなし、挿通部の内周側の断面形状は円弧状をなしているため、余長吸収部が中心軸の延びる方向に変位することに伴う線状部材の摩耗を抑制できる。
【0017】
上記の搬送車において、前記保持部の前記挿通部に挿通されている前記線状部材の所定範囲には、前記線状部材と一体化するように前記線状部材を覆うプロテクタが設けられているとよい。
【0018】
これによれば、余長吸収部が中心軸の延びる方向に変位することに伴う線状部材と挿通部との直接的な摩耗をプロテクタによって抑制することができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、車輪の旋回方向における設計レイアウトの制約を抑制できる線状部材の取り回し構造を有する搬送車を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】牽引車の内部を牽引車の前方から見た部分斜視図。
【
図3】牽引車の内部を牽引車の前方から見た部分斜視図。
【
図4】牽引車の内部を牽引車の前方から見た部分斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、搬送車を牽引車に具体化した一実施形態を
図1~
図4にしたがって説明する。
図1に示すように、搬送車としての牽引車10の車体11は、車体11の前方に設けられているフロントパネル12と、車体11の後方に設けられているリアフレーム13とからなる。フロントパネル12には、車体11に支持されているヘッドライト11aが臨む貫通孔12aが設けられている。リアフレーム13には、図示しない牽引機構が設けられている。車体11の前後方向のほぼ中央には、運転席14が設けられている。また、車体11の前方下部中央には、車輪としての前輪16が設けられている。車体11の後方左右両側には、それぞれ1個の後輪17が設けられている。車体11には、バッテリーを駆動源とする図示しない走行用モータが搭載されており、前輪16は走行用モータから駆動力が付与される。すなわち、本実施形態の牽引車10は、バッテリー式の牽引車となっている。
【0022】
運転席14には、乗車した運転者がハンドル操作を行うための操舵ハンドル18が設けられている。本実施形態における牽引車10は、ステア・バイ・ワイヤで前輪16を操舵するものである。そのため、操舵ハンドル18の操舵によって図示しない制御装置から図示しない操舵用モータに指令が送られる。操舵用モータは、制御部からの指令に基づき前輪16を旋回させるための動力を発生させる。これにより、牽引車10は、運転者が操舵ハンドル18を左右方向へ回転操作することにより前輪16を操舵し、手動走行させることができる。また、牽引車10は、手動で走行する他に、自動で走行可能に構成されている。牽引車10が自動で走行するときには、上記の制御装置によって走行用モータ及び上記の操舵用モータが駆動制御される。
【0023】
牽引車10は、無人運転モードで走行するときは、牽引車10の走行経路に設けられたガイド部材としてのガイドテープGTの位置をガイドセンサ21(
図2参照)で検出し、その検出信号に基づいて制御装置が操舵用モータを制御して前輪16が操舵される。この実施形態では、ガイドテープGTとして磁気テープが使用されている。
【0024】
次に、牽引車10の車体11内部の構造を
図2にしたがって説明する。なお、
図2は、上記したフロントパネル12を車体11から取り外したときの牽引車10を前方から見たときの斜視図である。
【0025】
図2に示すように、牽引車10は、前輪16を旋回可能に支持する支持部60を備えている。支持部60には、前輪16とともに旋回可能であるセンサ部材20が支持されている。センサ部材20は、前輪16の前方に設けられ、走行経路を検知する検知部としてのガイドセンサ21を含んでいる。ガイドセンサ21は、走行経路に設けられたガイドテープGTの位置を検知する。センサ部材20は、ガイドセンサ21をガイドテープGT(路面)に近い位置である第1位置としての使用位置と使用位置よりもガイドテープGT(路面)から離れている位置である第2位置としての退避位置との間で昇降させる昇降機構70を有している。昇降機構70は、取付部としての支持ブラケット65を介して支持部60に固定されている。
【0026】
昇降機構70は、支持ブラケット65を中心に回動自在となるように支持ブラケット65に固定されている複数の長板状のリンク部材71を有している。複数のリンク部材71は、互いに平行をなすように設けられている。複数のリンク部材71は、牽引車10の前方に向けて延びている。昇降機構70は、複数のリンク部材71の支持ブラケット65と反対側に接続されている板状のセンサ支持ブラケット72を有している。センサ支持ブラケット72は、リンク部材71の板厚方向に延びている。センサ支持ブラケット72は、複数のリンク部材71に支持された状態において前輪16の前方に至るまで延びている。センサ支持ブラケット72は、前輪16の前方に対応する位置にガイドセンサ21を支持している。このように構成された昇降機構70は、複数のリンク部材71が支持ブラケット65を中心として回動することでセンサ支持ブラケット72及びガイドセンサ21を使用位置と退避位置との間で昇降させることができる。なお、本実施形態のリンク部材71は4つ設けられており、昇降機構70は平行四節リンク機構をなしている。また、上記の使用位置は、牽引車10が無人運転モードで走行するときのガイドセンサ21の位置であり、上記の退避位置は、牽引車が有人運転モードで走行するときのガイドセンサ21の位置である。
図2中に記載されるガイドセンサ21の位置は、使用位置である。
【0027】
牽引車10は、センサ部材20に接続されている線状部材としての昇降ワイヤ部材31を有している。昇降ワイヤ部材31は、中空のチューブ31aと、チューブ31aの内部を移動可能に設けられているワイヤ31bとを有している。ワイヤ31bの一端は、複数のリンク部材71のうち前輪16寄りに設けられたリンク部材71にU字形状の連結具を介して接続されている。ワイヤ31bの他端は、ガイドセンサ21(センサ支持ブラケット72)を使用位置と退避位置との間で昇降させる操作を実施する操作レバー80に接続されている。チューブ31aは、ワイヤ31bの一端及び他端を除く部分を被覆している。
【0028】
牽引車10は、昇降ワイヤ部材31を固定する固定部40を備えている。固定部40は、前輪16の上方に設けられている。固定部40は、前輪16の旋回中心となる仮想的な中心軸m(
図2中で一点鎖線で示す)に対して位置が変化しない牽引車10の第1フレームとしての車体11に対して昇降ワイヤ部材31を固定している。固定部40は、昇降ワイヤ部材31のチューブ31aを車体11に対して移動不能となるように固定している。固定部40は、第1固定部40aと、第2固定部40bとを有している。第1固定部40aは、第2固定部40bよりも前輪16から上下方向に離間した位置に設けられている。昇降ワイヤ部材31のチューブ31aは、第1固定部40aと第2固定部40bとの2か所で車体11に対して固定されている。なお、「前輪16の旋回中心となる中心軸mに対して位置が変化しない」とは、前輪16が左右に旋回したとしても位置の変化が生じないことを示している。
【0029】
牽引車10は、昇降ワイヤ部材31を保持する保持部50を備えている。保持部50は、前輪16の上方に設けられている。保持部50は、第1保持部50aと、第2保持部50bとを有している。第1保持部50aは、第2保持部50bよりも前輪16から離間した位置に設けられている。第1保持部50aは、中心軸mに対して位置が変化せず、且つ固定部40よりも中心軸mに近い位置で牽引車10の第2フレームとしてのヘッドライト支持ブラケット51に固定されている。ヘッドライト支持ブラケット51は、ヘッドライト11aを保持するために設けられている。図示しないがヘッドライト支持ブラケット51は、車体11に固定されている。第2保持部50bは、操舵用モータ(
図2の二点鎖線で示す)の回転数を検出する図示しない回転角検出センサを保持するための第2フレームとしてのセンサブラケット52に固定されている。センサブラケット52は、車体11に固定されている。
【0030】
保持部50は、昇降ワイヤ部材31が中心軸mの延びる方向である延在方向に変位自在となるように挿通される環状の挿通部53が設けられている。そのため、昇降ワイヤ部材31は、ヘッドライト支持ブラケット51及びセンサブラケット52に対して保持された状態となる。なお、延在方向とは、本実施形態では車体11の上下方向である。
【0031】
保持部50(第1保持部50a及び第2保持部50b)の挿通部53は、円環状をなすとともに断面形状が円形をなすリングである。すなわち、挿通部53の内周側の断面形状は、円弧状をなしている。挿通部53は、例えばアイボルトである。なお、挿通部53はリングであったが、例えばリングの一部が切り欠かれたC字形状をなしたものであってもよい。ただし、挿通部53がC字形状をなしているとして、切り欠かれた部分の隙間は、操舵を繰り返しても昇降ワイヤ部材31が挿通部53から容易に離脱しない程度の大きさを有していることが好ましい。そして、本実施形態における環状の挿通部53とは、第2フレームとしてのヘッドライト支持ブラケット51及びセンサブラケット52に対して線状部材である昇降ワイヤ部材31が保持できるように昇降ワイヤ部材31を取り囲むように構成されていればよい。
【0032】
昇降ワイヤ部材31が固定部40により車体11に固定され、且つ保持部50の挿通部53に挿通されている状態において、昇降ワイヤ部材31は、前輪16から離間する方向に向けて第1固定部40a(固定部40)及び第1保持部50a(保持部50)から延びているU字形状の余長吸収部31cを有している。
【0033】
また、操作レバー80は、前輪16の上方であり、且つ固定部40よりも中心軸mから離れた位置に設けられている。図示しないが操作レバー80は、牽引車10の運転席14に設けられている。ここで、昇降ワイヤ部材31は、操作レバー80から第2固定部40b(固定部40)に向けて延びる延出部31dを有している。牽引車10の前方から見て、中心軸mに直交する方向、いわゆる牽引車10の車幅方向において延出部31dは、余長吸収部31cが設けられている範囲R1に重なるように取り回されている。延出部31dは、操作レバー80及び第2固定部40b(固定部40)から前輪16に近接する方向に向けて延びているU字形状をなしている。すなわち、昇降ワイヤ部材31のワイヤ31bの一端が操作レバー80に、他端が昇降機構70のリンク部材71に接続された状態において、昇降ワイヤ部材31は、中心軸mが延びる方向において往復するように取り回され、その形状はおおよそS字形状となっている。
【0034】
挿通部53に挿通されている昇降ワイヤ部材31の所定範囲には、昇降ワイヤ部材31と一体化するように昇降ワイヤ部材31を覆うプロテクタ31eが設けられている。プロテクタ31eは、第1保持部50aの挿通部53と第2保持部50bの挿通部53とに挿通された状態である。プロテクタ31eは、硬さ及び耐久性を考慮してポリ塩化ビニルで構成されている。
【0035】
また、牽引車10は、センサ部材20に接続されている線状部材としてワイヤハーネス32を有している。ワイヤハーネス32の一端は、センサ部材20のガイドセンサ21に接続されている。ワイヤハーネス32の他端は、図示しない制御装置や図示しない電源に接続されている。すなわち、ワイヤハーネス32は、ガイドセンサ21の検出信号を制御装置に送信するための配線やガイドセンサ21を起動させるための電力を供給する配線として機能する。
【0036】
牽引車10は、ワイヤハーネス32を固定する固定部45を備えている。固定部45は、前輪16の上方に設けられている。固定部45は、前輪16の旋回中心となる仮想的な中心軸mに対して位置が変化しない牽引車10のセンサブラケット52に対してワイヤハーネス32を固定している。牽引車10は、ワイヤハーネス32を保持する保持部55を備えている。保持部55は、前輪16の上方に設けられている。保持部55は、中心軸mに対して位置が変化せず、且つ固定部45よりも中心軸mに近い位置で牽引車10のセンサブラケット52に固定されている。なお、昇降ワイヤ部材31に対してヘッドライト支持ブラケット51は第1フレームの一例であり、センサブラケット52は第2フレームの一例であった。しかし、ワイヤハーネス32に対してセンサブラケット52は第1フレーム及び第2フレームの一例である。より詳細には、センサブラケット52の固定部45が設けられる部分が第1フレームの一例であり、センサブラケット52における固定部45よりも中心軸mの近くに位置する保持部55が設けられている部分が第2フレームの一例である。すなわち、線状部材としての昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32に対して第1フレーム及び第2フレームとは、互いに異なる部材により構成されるものであってもよいし、互いに同一の部材により構成されていてもよい。ただし、第2フレームが第1フレームよりも中心軸mに近い位置であるようにする。
【0037】
保持部55は、ワイヤハーネス32が延在方向に変位自在となるように挿通される環状の挿通部56が設けられている。そのため、ワイヤハーネス32は、センサブラケット52に対して保持された状態となる。
【0038】
挿通部56は、四角環状をなすとともに断面形状が円形をなしている。すなわち、挿通部56の内周側の断面形状は、円弧状をなしている。挿通部56は、例えばアイボルトである。なお、挿通部56は、挿通部53と同様に一部が切り欠かれたC字形状をなしたものであってもよい。ただし、挿通部56がC字形状をなしているとして、切り欠かれた部分の隙間は、ワイヤハーネス32が挿通部56から離脱しない程度の大きさを有していることが好ましい。そして、本実施形態における環状の挿通部56とは、センサブラケット52に対して線状部材であるワイヤハーネス32が保持できるようにワイヤハーネス32を取り囲むように構成されていればよい。また、挿通部56は、円環状をなしていてもよい。
【0039】
ワイヤハーネス32が固定部45によりセンサブラケット52に固定され、且つ保持部55の挿通部56に挿通されている状態において、ワイヤハーネス32は、前輪16から離間する方向に向けて固定部45及び保持部55から延びているU字形状の余長吸収部32aを有している。なお、ワイヤハーネス32の他端寄りの部分には、前輪16が旋回したときに前輪16にワイヤハーネス32が干渉しないようにするための締結部46が設けられている。締結部46は、固定部45から制御装置もしくは電源に向けて延びるワイヤハーネス32を車体11に対して固定している。
【0040】
挿通部56に挿通されているワイヤハーネス32の所定範囲には、ワイヤハーネス32と一体化するようにワイヤハーネス32を覆うプロテクタ32bが設けられている。プロテクタ32bは、挿通部56に挿通された状態である。上記したプロテクタ31eと同様に、プロテクタ32bはポリ塩化ビニルで構成されている。
【0041】
本実施形態の作用について
図2~
図4にしたがって説明する。
図3及び
図4に示すように、センサ部材20が前輪16とともに左右に旋回可能であるため、牽引車10の前輪16が旋回したとき、センサ部材20は常に前輪16の前方に位置する。そのため、前輪16とともにセンサ部材20が左右に旋回したとき、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32がセンサ部材20によって引っ張られる。このとき、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32の余長吸収部31c,32aが保持部50,55の挿通部53,56を通じて引っ張られることで牽引車10が直進しているときの余長吸収部31c,32aよりも短くなる。
【0042】
また、
図2、
図3、及び
図4に示すように、前輪16とともにセンサ部材20が左右に旋回した状態から牽引車10が直進するように前輪16をまっすぐに戻すと、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32が保持部50,55の挿通部53,56を通じて押し戻される。ひいては余長吸収部31c,32aが前輪16が旋回しているときの余長吸収部31c,32aよりも長くなる。すなわち、前輪16の旋回に伴って昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32は、延在方向に変位する。
【0043】
ここで昇降ワイヤ部材31に着目すると、昇降ワイヤ部材31のワイヤ31bの他端に接続される操作レバー80の操作に応じて昇降ワイヤ部材31の一端に接続される昇降機構70のリンク部材71が支持ブラケット65を中心に回動する。これにより、リンク部材71に接続されているセンサ支持ブラケット72が使用位置と退避位置との間を昇降し、ひいてはガイドセンサ21も同時に昇降する。このとき、例えば、センサ支持ブラケット72を退避位置から使用位置にしたとき、昇降ワイヤ部材31のワイヤ31bは保持部50の挿通部53を介して引っ張られる。そして、昇降ワイヤ部材31のチューブ31aはワイヤ31bとともに引っ張られるため、余長吸収部31cが短くなる。また、例えばセンサ支持ブラケット72を使用位置から退避位置にしたとき、昇降ワイヤ部材31のワイヤ31bは保持部50の挿通部53を介して押し戻される。そして、昇降ワイヤ部材31のチューブ31aはワイヤ31bとともに押し戻されるため、余長吸収部31cが長くなる。よって、操作レバー80の操作によりセンサ部材20が使用位置と退避位置との間を昇降するときにも昇降ワイヤ部材31が延在方向に変位する。
【0044】
前輪16の旋回により余長吸収部31c,32aが延在方向へ変位することに伴い、余長吸収部31c,32aが挿通部53,56に摺動する。そのため、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32が摩耗する虞がある。そのため、プロテクタ31e,32bは、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32と挿通部53,56の直接的な接触を抑制する目的で設けられている。このことに鑑みて、プロテクタ31e,32bが設けられる所定範囲とは、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32の余長吸収部31c,32aが延在方向に変位したとしても挿通部53,56に常にプロテクタ31e,32bが挿通された状態が維持されるような範囲である。また、プロテクタ31e,32bは、硬さを考慮してポリ塩化ビニルにより構成されている。昇降ワイヤ部材31とワイヤハーネス32とは、延在方向において取り回されるように構成されている。そのため、プロテクタ31e,32bを構成する材質を選定するにあたり硬さを考慮する目的は、可能な限り昇降ワイヤ部材31とワイヤハーネス32とが延在方向に自立できるようにするためである。ただし、プロテクタ31e,32bの硬さが硬すぎると余長吸収部31c,32aの変位の妨げとなることもある。よって、プロテクタ31e,32bを構成する材質は、余長吸収部31c,32aの変位の妨げとなることなく、昇降ワイヤ部材31とワイヤハーネス32とが延在方向に自立できる硬さを有するか否かを判断して選定される。
【0045】
本実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、前輪16の旋回に伴って余長吸収部31c,32aが延在方向に変位するように昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32が取り回されている。したがって、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32の取り回しによる前輪16の旋回方向における設計レイアウトの制約を抑制できる。
【0046】
(2)本実施形態では、前輪16の旋回に伴って昇降ワイヤ部材31の余長吸収部31cが延在方向に変位するだけでなく、センサ部材20の昇降に伴って昇降ワイヤ部材31の余長吸収部31cが延在方向に変位する。したがって、センサ部材20の昇降時の昇降ワイヤ部材31の取り回しを実現しつつ、昇降ワイヤ部材31の取り回しによる前輪16の旋回方向における設計レイアウトの制約を抑制できる。
【0047】
(3)操作レバー80を前輪16の上方であり、且つ固定部40よりも中心軸mから離れた位置に設けることは一般的に知られている。特に操作レバー80は、牽引車10の運転席14に設けられている。このとき、操作レバー80から固定部40に向けて延びる昇降ワイヤ部材31の延出部31dの取り回しによっては、昇降ワイヤ部材31の延出部31dを取り回すためのスペースが必要となり、ひいては牽引車10の車幅方向の体格を大きくしなければならない。
【0048】
また、牽引車10の車幅方向の体格を小さくするために、延出部31dのU字形状を可能な限りI字形状に近くなるように曲げる、又は余長吸収部31cのU字形状を可能な限りI字形状に近くなるように曲げることが考えられる。しかし、昇降ワイヤ部材31がチューブ31aとワイヤ31bとにより構成されていることから昇降ワイヤ部材31自体が曲げ難くなっていることに加え、延出部31d及び余長吸収部31cを曲げすぎると操作レバー80の操作に伴って昇降ワイヤ部材31のワイヤ31bの動きの妨げになる。また、余長吸収部31cが延在方向に変位することを妨げる虞がある。
【0049】
その点、本実施形態では、牽引車10の前方から見て、中心軸mに直交する方向において延出部31dは余長吸収部31cが設けられている範囲R1に重なるように取り回されている。すなわち、延出部31dが取り回されている範囲と余長吸収部31cが取り回されている範囲R1とは、牽引車10の車幅方向においてオーバーラップしている。すなわち、延出部31dの取り回しにより牽引車10の車幅方向への大型化を抑制できる。これに伴い、延出部31d及び余長吸収部31cのU字形状の曲がり具合を緩やかな状態に維持しやすくなる。したがって、牽引車10の体格の大型化を抑制しつつ、延出部31d及び余長吸収部31cの曲がり具合を緩やかな状態に維持し、操作レバー80の操作によるワイヤ31bの動作及び延在方向における余長吸収部31cの変位を円滑にできる。
【0050】
(4)本実施形態では、挿通部53は円環状をなし、挿通部53の断面形状は円形であるため、余長吸収部31cが延在方向に変位することに伴う昇降ワイヤ部材31の摩耗を抑制できる。
【0051】
(5)本実施形態では、余長吸収部31c,32aが延在方向に変位することに伴う昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32と挿通部53,56との直接的な摩耗をプロテクタ31e,32bによって抑制することができる。
【0052】
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施できる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
〇 昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32には、プロテクタ31e,32bが設けられていたが、割愛してもよい。
【0053】
〇 保持部50の挿通部53は、円環状をなすリングであったが、例えば挿通部56と同様に四角環状をなしていてもよい。昇降ワイヤ部材31をヘッドライト支持ブラケット51及びセンサブラケット52に、ワイヤハーネス32をセンサブラケット52に保持することができるのであればどのような環状をなしていてもよい。
【0054】
〇 挿通部53,56の断面形状は円形であったが、例えば断面形状が楕円形状や四角形状であってもよい。ここで、例えば挿通部53,56の断面形状が四角形状である場合、線状部材である昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32は特に挿通部53,56の角部に食い込むように変位することがある。そのため、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32の摩耗がより顕著となる。そこで、例えば挿通部53,56の断面形状が四角形状である場合、挿通部53,56の角部が円弧状をなすように面取りしてもよい。このようにしても、挿通部53,56の内周側の断面形状が円弧状をなしているため、昇降ワイヤ部材31及びワイヤハーネス32の摩耗を抑制することができる。また、挿通部53,56の断面形状をどのような形状にしてもよい。
【0055】
〇 昇降ワイヤ部材31の延出部31dは、中心軸mに直交する方向において余長吸収部31cが設けられている範囲R1に重なるように取り回さなくてもよい。
〇 昇降ワイヤ部材31に対して車体11が第1フレームの一例、ヘッドライト支持ブラケット51及びセンサブラケット52が第2フレームの一例であったが、これに限らない。例えば、第2フレームが第1フレームよりも中心軸mに近い位置に設けられており、中心軸mに対して位置が変化しないものであれば第1フレーム及び第2フレームを適宜変更してもよい。
【0056】
〇 上記の変更例と同様に、ワイヤハーネス32に対してセンサブラケット52が第1フレーム及び第2フレームの一例であったが、これに限らない。例えば、第2フレームが第1フレームよりも中心軸mに近い位置に設けられており、中心軸mに対して位置が変化しないものであれば第1フレーム及び第2フレームを適宜変更してもよい。
【0057】
〇 固定部40は、第1固定部40aと、第2固定部40bとを有していたが、いずれか一方を割愛してもよい。ただし、余長吸収部31cが前輪16から離間する方向に可能な限り自立できるという観点から第2固定部40bを割愛することが好ましい。
【0058】
〇 保持部50は、第1保持部50aと、第2保持部50bとを有していたが、いずれか一方を割愛してもよい。ただし、余長吸収部31cが前輪16から離間する方向に可能な限り自立できるという観点から第2保持部50bを割愛することが好ましい。
【0059】
〇 保持部50は、中心軸mに対して位置が変化せず、且つ固定部40よりも中心軸mに近い位置で支持されていればよく、例えば固定部40が固定されている車体11から延在したブラケットに保持部50が取り付けられるように変更してもよい。
【0060】
〇 支持ブラケット65は支持部60に対して別部材として取り付けられることに限らず、支持部60と一体的に形成されることで取付部として機能させてもよい。
〇 ガイド部材は、ガイドテープGTであったが、例えば磁気棒等であってもよい。また、ガイドセンサ21がガイドテープGTの磁気を検出するものとしていたが、例えば光を感知するガイドセンサに変更してもよい。この場合、ガイド部材としては光を発する発光部材を使用し、牽引車10が光のライントレーシングで走行するようにしてもよい。
【0061】
〇 また、検知部としてガイドセンサ21を例に挙げたが、例えば検知部としてカメラを採用してもよい。この場合、牽引車10はカメラでガイド部材としてのラインマーカ(テープ)を読み取り、画像処理によって走行経路を検知してもよい。
【0062】
〇 センサ部材20は、ガイドセンサ21と、昇降機構70とを有していたが、これに限らない。例えば、センサ部材20は、昇降機構70を割愛してガイドセンサ21のみを有するものとしてもよい。また、上記変更例に記載したようにガイドセンサ21からカメラに変更することで、センサ部材20がカメラのみを有するものとしてもよい。
【0063】
〇 中心軸mの延びる方向である延在方向は、車体11の上下方向となっていたが、これに限らない。例えば延在方向は、路面に対して若干傾いた状態であってもよい。
〇 本実施形態では、余長吸収部31c,32aはU字形状をなしていたが、これに限らない。例えば、余長吸収部31c,32aをW字形状としてもよいし、形状は適宜変更してもよい。ただし、線状部材として昇降ワイヤ部材31やワイヤハーネス32の曲げ難さ等を考慮するとU字形状が理想的である。なお、同様に延出部31dの形状は適宜変更してもよいが、上記の理由によりU字形状が理想的である。
【0064】
〇 本実施形態は、搬送車を牽引車10に具体化して説明したが、例えば工場の内部で使用されるあらゆる搬送車に具体化してもよい。
〇 本実施形態では、車輪の一例として前輪16を挙げたが、例えば後輪17を車輪の一例としてもよい。
【0065】
〇 本実施形態では、前輪16が走行用モータから駆動力を付与されていたが、後輪17が走行用モータから駆動力を付与されるものであってもよい。
〇 本実施形態では、前輪16は、ステア・バイ・ワイヤで操舵されていたが、操舵方法はステア・バイ・ワイヤに限定しない。
【符号の説明】
【0066】
10…牽引車、11…車体、16…前輪、20…センサ部材、21…ガイドセンサ、31…昇降ワイヤ部材、31a…チューブ、31b…ワイヤ、31c,32a…余長吸収部、31d…延出部、31e,32b…プロテクタ、32…ワイヤハーネス、40,45…固定部、50,55…保持部、51…ヘッドライト支持ブラケット、52…センサブラケット、53,56…挿通部、60…支持部、65…支持ブラケット、70…昇降機構、71…リンク部材、72…センサ支持ブラケット、80…操作レバー、m…中心軸、GT…ガイドテープ、R1…範囲。