(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20220906BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H05K1/02 A
H02G3/16
(21)【出願番号】P 2019090685
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2021-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中村 有延
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198872(WO,A1)
【文献】特開2018-117473(JP,A)
【文献】特開2017-132355(JP,A)
【文献】国際公開第2016/114098(WO,A1)
【文献】特開2001-197627(JP,A)
【文献】特開2002-353380(JP,A)
【文献】特開2011-223314(JP,A)
【文献】特開2014-45169(JP,A)
【文献】特開2017-60256(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 1/00―3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端と第2端とを有する素子を搭載し、前記第1端と前記第2端との間を流れる電流が前記素子の外部を流れる経路として機能する配線基板であって、
第1導電板、第2導電板、第1絶縁体を備え、
前記第1導電板は、
前記素子を搭載して前記第1端と接続される第1主面と、
前記第1導電板の厚み方向において前記第1導電板の前記第1主面と位置が異なる第2主面と
を有し、
前記第2導電板は、
前記素子を搭載して前記第2端と接続される第1主面と、
前記第2導電板の厚み方向において前記第2導電板の前記第1主面と位置が異なる第2主面と
を有し、
前記第1絶縁体は、
前記第1導電板と前記第2導電板とを隔てる第1部と、
前記第1部と連続し、前記第1導電板の前記第1主面の少なくとも一部を覆う第2部と
を有し、
前記第1部は、前記第1導電板の前記第2主面から前記第1導電板の前記第1主面と反対側あるいは前記第2導電板の前記第2主面から前記第2導電板の前記第1主面と反対側へ突出する端部を含む、配線基板。
【請求項2】
前記第2部は、前記第1導電板の前記第1主面を露出させる孔を有する、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
通電部を更に備え、
前記通電部は、前記第1絶縁体の前記第2部に覆われ、もしくは前記第2部を介して前記第1導電板の前記第1主面と対向し、
前記素子は前記通電部と接続される第3端を更に有する、請求項1または請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1部の前記端部は、前記第1導電板の前記第2主面および前記第2導電板の前記第2主面の少なくともいずれか一つを少なくとも部分的に覆う、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項5】
第2絶縁体を更に備え、
前記第1導電板の前記第2主面および前記第2導電板の前記第2主面の少なくともいずれか一つにおいて、前記第2絶縁体は前記第1部の前記端部を保持する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第1絶縁体はシート状である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配線基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
バスバー(busbar)と呼ばれる導電性を有する板(本開示において「導電板」と称す)を備える回路基板が公知である。
【0003】
特許文献1には、バスバー同士がつながった形状をもつバスバー構成体に対し、バスバー同士の切り離しを行う方法が開示される。
【0004】
特許文献2には、パワー半導体が搭載される一対のバスバーと、当該パワー半導体を制御する制御信号の伝達に介されるフレキシブルプリント基板(FPC:flexible printed circuit)とが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-164039号公報
【文献】特開2016-220277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においてバスバー構成体からバスバー同士を切り離すことは、切り離されたバスバー同士の絶縁を実現する。特許文献2においては一対のバスバーにFPCが貼り付けられる。
【0007】
本開示は、バスバー同士が絶縁される効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の配線基板は、第1端と第2端とを有する素子を搭載し、前記第1端と前記第2端との間を流れる電流が前記素子の外部を流れる経路として機能する。当該配線基板は第1導電板、第2導電板、第1絶縁体を備える。
【0009】
前記第1導電板は、前記素子を搭載して前記第1端と接続される第1主面と、前記第1導電板の厚み方向において前記第1導電板の前記第1主面と位置が異なる第2主面とを有する。
【0010】
前記第2導電板は、前記素子を搭載して前記第2端と接続される第1主面と、前記第2導電板の厚み方向において前記第2導電板の前記第1主面と位置が異なる第2主面とを有する。
【0011】
前記第1絶縁体は、前記第1導電板と前記第2導電板とを隔てる第1部と、前記第1部と連続し、前記第1導電板の前記第1主面の少なくとも一部を覆う第2部とを有する。
【0012】
前記第1部は、前記第1導電板の前記第2主面から前記第1導電板の前記第1主面と反対側あるいは前記第2導電板の前記第2主面から前記第2導電板の前記第1主面と反対側へ突出する端部を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、第1導電板と第2導電板とが絶縁される効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は実施形態1,2にかかる電気接続箱の構成の一例を示す断面図である。
【
図2】
図2は実施形態1,2にかかる配線基板およびその周辺の一例を示す平面図である。
【
図3】
図3は実施形態2にかかる配線基板の一部の一例を示す断面図である。
【
図4】
図4は実施形態3にかかる配線基板の一部の第1例を示す断面図である。
【
図5】
図5は実施形態3にかかる配線基板の一部の第2例を示す断面図である。
【
図6】
図6は実施形態4にかかる配線基板の一部の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様が列記して説明される。
【0016】
(1)本開示の配線基板は、第1端と第2端とを有する素子を搭載し、前記第1端と前記第2端との間を流れる電流が前記素子の外部を流れる経路として機能する。当該配線基板は第1導電板、第2導電板、第1絶縁体を備える。
【0017】
前記第1導電板は、前記素子を搭載して前記第1端と接続される第1主面と、前記第1導電板の厚み方向において前記第1導電板の前記第1主面と位置が異なる第2主面とを有する。
【0018】
前記第2導電板は、前記素子を搭載して前記第2端と接続される第1主面と、前記第2導電板の厚み方向において前記第2導電板の前記第1主面と位置が異なる第2主面とを有する。
【0019】
前記第1絶縁体は、前記第1導電板と前記第2導電板とを隔てる第1部と、前記第1部と連続し、前記第1導電板の前記第1主面の少なくとも一部を覆う第2部とを有する。
【0020】
前記第1部は、前記第1導電板の前記第2主面から前記第1導電板の前記第1主面と反対側あるいは前記第2導電板の前記第2主面から前記第2導電板の前記第1主面と反対側へ突出する端部を含む。
【0021】
本開示によると、第1導電板と第2導電板とが第1部によって隔てられ、互いに絶縁される。第2部は第1導電板から第2導電板に至る絶縁距離を増大し、以て第1導電板を第2導電板から絶縁する効果が高まる。
【0022】
(2)前記第2部は、前記第1導電板の前記第1主面を露出させる孔を有することが好ましい。かかる構成は、素子の第1端が第1導電板の第1主面と電気的に接続されることを容易にする。
【0023】
(3)前記配線基板は通電部を更に備え、前記通電部は、前記第1絶縁体の前記第2部に覆われ、もしくは前記第2部を介して前記第1導電板の前記第1主面と対向し、前記素子は前記通電部と接続される第3端を更に有することが好ましい。かかる構成において、第1導電板の電位および第2導電板の電位に依存しない電位が、第3端に供給される。
【0024】
(4)前記第1部の前記端部は、前記第1導電板の前記第2主面および前記第2導電板の前記第2主面の少なくともいずれか一つを少なくとも部分的に覆うことが好ましい。かかる構成は第1導電板から第2導電板に至る絶縁距離を増大し、以て第1導電板を第2導電板から絶縁する効果が高まる。
【0025】
(5)前記配線基板は第2絶縁体を更に備え、前記第1導電板の前記第2主面および前記第2導電板の前記第2主面の少なくともいずれか一つにおいて、前記第2絶縁体は前記第1部の前記端部を保持することが好ましい。かかる構成により第2部が第1主面から離れにくい。
【0026】
(6)前記第1絶縁体はシート状であることが好ましい。第1導電体および第2導電体に電流が流れることによって第1導電体および第2導電体が発熱しても第1部が薄いことにより、当該発熱に起因する第1部の熱膨張の影響が小さい。これは第1端と第1導電板の第1主面の接続と、第2端と第2導電板の第1主面の接続とに印加される応力を低減する観点において有利である。
【0027】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線基板の具体例が、以下に図面を参照しつつ説明される。なお、本開示はこれらの例示に限定されず、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
【0028】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係る配線基板が説明される。実施形態1においては配線基板10を備える電気接続箱100が例として説明される。
【0029】
図1は、実施形態1にかかる配線基板10およびその周辺の一例を示す断面図である。
図2は実施形態にかかる配線基板10およびその周辺の一例を示す平面図である。
図1は
図2の位置I-Iにおいて矢印方向に沿って見た断面図である。
【0030】
電気接続箱100は、素子4と、配線基板10と、保持部61,62と、筐体90とを備える。
図2において筐体90が省略される。
【0031】
配線基板10は素子4を搭載する。配線基板10は、素子4の内部において第1端41と第2端42との間を流れる電流が、素子4の外部を流れる経路として機能する。
【0032】
素子4は第1端41と第2端42とを備える。素子4は電気接続箱100の用途に応じて、例えば電界効果トランジスタ(以下「FET」とも称す:field effect transistor)によって例示される半導体スイッチング(switching)素子が採用される。あるいは素子4は抵抗であり、あるいはコイルであり、あるいはコンデンサである。
【0033】
以下においては素子4がFETである場合が例として説明される。第1端41および第2端42の一方がソース(source)電極として機能し、他方がドレイン(drain)電極として機能する。以下においては、第1端41がソース電極であり、他方がドレイン電極である場合が例として説明される。実施形態1においてはFET4は、面実装タイプのパワーMOSFETである場合が例示される。ソース電極41およびドレイン電極42はFET4の本体40の外部に位置する。
【0034】
配線基板10は、第1導電板1と、第2導電板2と、第1絶縁体3とを備える。
【0035】
第1導電板1は、第1主面11と、第2主面12とを有する。第1主面11はFET4を搭載してソース電極41と接続される。第2主面12は第1主面11とは反対側の面である。第2主面12は第1導電板1の厚み方向である方向Z1において第1主面11と位置が異なる。第1導電板1は例えば矩形の板状をなす。第1導電板1はソース電極側のバスバー(以下「ソースバスバー」と称す)である。ソースバスバー1の材料には例えば金属が採用される。
【0036】
第2導電板2は、第1主面21と、第2主面22とを有する。第1主面21はFET4を搭載してドレイン電極42と接続される。第2主面22は第1主面21とは反対側の面である。第2主面22は第2導電板2の厚み方向である方向Z2において第1主面21と位置が異なる。第2導電板2は例えば矩形の板状をなす。第2導電板2はドレイン電極側のバスバー(以下「ドレインバスバー」と称す)である。ドレインバスバー2の材料には例えば金属が採用される。
【0037】
第1主面11,21のいずれもがFET4を搭載するので、第1主面11は第2主面12よりもFET4に近く位置し、第1主面21は第2主面22よりもFET4に近く位置する。
【0038】
説明の便宜上、1つのFET4が配線基板10に搭載された構成について説明される。複数のFET4が配線基板10に搭載されてもよい。ソースバスバー1およびドレインバスバー2にはFET4の他に、ツェナーダイオードによって例示される半導体素子が実装されてもよい。
【0039】
実施形態1において方向Z1,Z2は必ずしも平行である場合に限定されない。以下においては方向Z1,Z2が平行である場合が例として説明される。
【0040】
方向X,Yは方向Z1,Z2とは非平行な方向、例えば方向Z1,Z2に垂直な方向である。方向Yは方向Xとは非平行な方向、例えば方向Xに垂直な方向である。実施形態1においてはソースバスバー1とドレインバスバー2とが方向Xに沿って対向する。ソースバスバー1はドレインバスバー2に対して端面13において対向する。ドレインバスバー2はソースバスバー1に対して端面23において対向する。
【0041】
FET4は、より詳しくは本体40は、ソースバスバー1とドレインバスバー2とが対向する位置を跨って配置される。FET4は、より詳しくは本体40は、端面13,23を跨いで配置される。ソース電極41はドレイン電極42からみて方向X側に位置する。
【0042】
ソース電極41はソースバスバー1に対して方向Z1側に位置し、ドレイン電極42はドレインバスバー2に対して方向Z2側に位置する。ソース電極41は第1主面11においてソースバスバー1に半田71を用いて接続される。ドレイン電極42は第1主面21においてドレインバスバー2に半田72を用いて接続される。
【0043】
第1絶縁体3は、第1部31と、第2部32とを有する。第1部31はソースバスバー1とドレインバスバー2とを、より詳しくは端面13と端面23とを隔てる。例えば第1部31は端面13および端面23のいずれか一方、または両方と接触する。
【0044】
第1部31は端部Cを含む。端部Cは第2主面12から第1主面11と反対側へ突出する。あるいは端部Cは第2主面22から第1主面21と反対側へ突出する。実施形態1においては端部Cは第2主面12,22のいずれからも突出する場合が例示される。
【0045】
第2部32は第1部31と連続して第1主面21の一部を覆う。このような第1部31および第2部32を有する第1絶縁体3は、ソースバスバー1に対するドレインバスバー2の絶縁距離を長くする。絶縁距離が長いことは絶縁バスバー同士が絶縁される効果を高める。
【0046】
{素子4が配置される位置}
FET4が第1主面11,21に跨って配置されることにより、ソース電極41は第1主面11に対して方向Z1に沿って並び、ドレイン電極42は第1主面21に対して方向Z2に沿って並ぶ。ソース電極41が第1主面11と半田71を用いて電気的に接続され、ドレイン電極42が第1主面21に電気的に接続されることが容易である。
【0047】
もしドレイン電極42のみならずソース電極41も第1主面21に対して方向Z2に沿って並ぶのであれば、ソース電極41を第1主面11へ接続するために、第1主面21と絶縁される通電部を方向Xに沿って第1部31を跨いで配置する必要がある。もしソース電極41のみならずドレイン電極42も第1主面11に対して方向Z1に沿って並ぶのであれば、ドレイン電極42を第1主面21へ接続するために、第1主面11と絶縁される通電部を方向Xに沿って第1部31を跨いで配置する必要がある。このような通電部はソースバスバー1およびドレインバスバー2と比較してその断面積が狭いので、発熱しやすい。したがって発熱を避ける観点において、かかる通電部を配置することは回避することが有利である。
【0048】
FET4に電流が流れ、ひいてはソースバスバー1およびドレインバスバー2に電流が流れ、ソースバスバー1およびドレインバスバー2が熱膨張する。この電流が流れなくなるとソースバスバー1およびドレインバスバー2が収縮する。
【0049】
かかる膨張、収縮が発生すると、半田71,72には方向Xに沿った応力が引加される。半田71と半田72とが離れているほど、当該応力は大きい。半田71,72による電気的な接続の観点から、この応力は小さい方が有利である。従ってソースバスバー1においてソース電極41が半田71を用いて接続される位置と、ドレインバスバー2においてドレイン電極42が半田72を用いて接続される位置とは近接することが有利である。
【0050】
従ってFET4が第1主面11,21に跨って配置され、ソース電極41は第1主面11に対して方向Z1に沿って並び、ドレイン電極42は第1主面21に対して方向Z2に沿って並ぶことが望ましい。
【0051】
{第1絶縁体3の例示}
ソースバスバー1およびドレインバスバー2に電流が流れることによってソースバスバー1およびドレインバスバー2は発熱する。第1部31が薄いことは、当該発熱に起因する第1部31の熱膨張の影響が小さい観点において有利である。半田71,72に対して方向Xに沿って引加される応力が低減されるからである。かかる理由から、第1絶縁体3には例えばシート状の樹脂フィルムが採用される。
【0052】
樹脂フィルムの材料には例えばポリイミドが採用される。ポリイミドは絶縁性に優れ、かつ金属と熱膨張係数が近い。よってポリイミドが樹脂フィルムの材料に採用されることは、ソースバスバー1およびドレインバスバー2の発熱に起因した上記応力を緩和する観点において有利である。
【0053】
ポリイミドを材料とする樹脂フィルムは可撓性が高い。かかる高い可撓性は、第1絶縁体3を端面13,23に第1部31を介在させる工程を容易にする観点において有利である。
【0054】
{ソースバスバー1とドレインバスバー2と筐体90との関係}
ドレインバスバー2と反対側においてソースバスバー1は保持部61を介して筐体90に固定される。ソースバスバー1と反対側においてドレインバスバー2は保持部62を介して筐体90に固定される。保持部61,62は例えばフェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂によって例示される絶縁性樹脂材料を用いたインサート成形によって製造される。保持部61,62は例えば筐体90と一体形成されてもよい。
【0055】
第2部32は、第1主面11を露出させる孔30を有する。実施形態1においては孔30によって露出する位置における第1主面11の一部と、ソース電極41の一部とが、方向Z1に沿って並ぶ。ソース電極41と第1主面11とは孔30を介して半田7によって電気的に接続される。孔30はソース電極41とソースバスバー1との電気的な接続を容易にする。
【0056】
[実施形態2]
実施形態2に係る配線基板が説明される。実施形態2においても実施形態1と同様に、配線基板10を備える電気接続箱100が例として説明される。
【0057】
図1は、実施形態2にかかる配線基板10およびその周辺の一例を示す断面図である。
図2は実施形態2にかかる配線基板10およびその周辺の一例を示す平面図である。
図1は
図2の位置I-Iにおいて矢印方向に沿って見た断面図である。
図3は
図2の位置III-IIIにおいて矢印方向に沿って見た断面図である。
図2および
図3において筐体90が省略される。
【0058】
なお、実施形態2の説明において、実施形態1において説明したものと同様の構成要素については同一符号がされてその説明は省略される。
【0059】
素子4は第3端43を有する。実施形態2においては第3端43は本体40に対して方向X側に位置し、第1主面11に対して方向Z1側に位置する。第3端43は方向Xに沿って本体40よりも第1主面21から遠く、方向Z1に沿って第1主面11よりも第2主面12から遠い。
【0060】
第3端43は例えば、本体40の内部において第1端41と第2端42との間に流れる電流を制御する信号を、本体40の外部から受ける機能を有する。本実施形態においてはFET4がゲート電極43を有する場合が例示される。
【0061】
ゲート電極43は通電部8と接続される。通電部8は第2部32を介して第1主面11と対向する。通電部8は例えば銅箔からなる。例えばゲート電極43は通電部8と半田接続によって電気的に接続される。
【0062】
通電部8は第2部32によって第1主面11に対して絶縁され、ゲート電極43には、ソースバスバー1の電位およびドレインバスバー2の電位に依存しない電位が供給される。
【0063】
実施形態2においては通電部8が第1主面11と反対側において第2部32に貼り付けられる。第2部32は例えばシート状の樹脂からなる。通電部8は第2部32に覆われてもよい。例えば通電部8は第2部32に埋設され、ゲート電極43の近傍において第2部32から第1主面11と反対側に露出してもよい。
【0064】
このような通電部8と第2部32とは、例えばFPCによって実現される。FPCを用いて通電部8と第2部32とを実現することは、製造工程を簡易にする観点において有利である。
【0065】
第2部32は、部分的に、ソースバスバー1、または保持部61に固定されてもよい。この場合、第2部32は方向Xに沿ってある程度の変形が可能である。
【0066】
FET4に電流が流れ、ひいてはソースバスバー1およびドレインバスバー2に電流が流れ、ソースバスバー1およびドレインバスバー2が熱膨張する。この電流が流れなくなるとソースバスバー1およびドレインバスバー2が収縮する。かかる膨張、収縮に応じて、第2部32が変形可能である。
【0067】
[実施形態3]
実施形態3に係る配線基板が説明される。実施形態3は実施形態1,2において説明された端部Cおよびその近傍の構成が説明される。
【0068】
図4は実施形態3にかかる配線基板の一部の第1例を示す断面図であり、方向Yに沿って見た断面が示される。端部Cは第2主面22を少なくとも部分的に覆う。第1部31は端面13,23の間から第2主面22の少なくとも一部まで連続する。
【0069】
図5は実施形態3にかかる配線基板の一部の第2例を示す断面図であり、方向Yに沿って見た断面が示される。端部Cは第2主面12を少なくとも部分的に覆う。第1部31は端面13,23の間から第2主面12の少なくとも一部まで連続する。
【0070】
上述の第1例および第2例のいずれも絶縁距離を長くし、ソースバスバー1をドレインバスバー2から絶縁する効果を高める。
【0071】
[実施形態4]
実施形態4に係る配線基板が説明される。実施形態4は実施形態1,2において説明された端部Cおよびその近傍の構成が説明される。
【0072】
図6は実施形態4にかかる配線基板の一部の一例を示す断面図であり、方向Yに沿って見た断面が示される。配線基板10は第2絶縁体33を更に備える。
【0073】
第2絶縁体33は、第2主面12,22の少なくともいずれか一つにおいて端部Cを保持する。
図6においては第2主面12,22の両方において第2絶縁体33が端部Cを保持する。例えば端部Cは第2絶縁体33に包まれる。
【0074】
端部Cが第2絶縁体33によって保持されるので、第1部31は端面13,23が成す空隙から抜けにくい。よって第2部32が第1主面11から離れにくい。第2絶縁体33が備えられることは、第1絶縁体3が移動することを阻む観点において有利である。
【0075】
また、端部Cの近傍の絶縁距離を増加させることにより、ソースバスバー1とドレインバスバー2とが絶縁される効果を高める観点においても有利である。
【0076】
第2絶縁体33には例えばフェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂によって例示される絶縁性樹脂材料が用いられる。第2絶縁体33は端面13,23の間に介在しない。よって第2絶縁体33が第2主面12,22の両方に固定され、ソースバスバー1およびドレインバスバー2に電流が流れることに由来する発熱が、第2絶縁体33を膨張させても、半田71,72に対して方向Xに沿って印加される応力は小さい。
【0077】
[付記]
いずれの実施形態においても、素子4の第1端41はFETのドレイン電極に、第2端42はFETのソース電極に、それぞれ採用され得る。この場合、第1導電板1はドレインバスバーとして、第2導電板2はソースバスバーとして、それぞれ機能する。
【0078】
いずれの実施形態においても、第1部31が端面13および端面23のいずれか一方と固定されてもよい。かかる固定には例えば接着が採用できる。
【0079】
なお、上記各実施形態及び各変形例において説明された各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせられることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 第1導電板(ソースバスバー)
2 第2導電板(ドレインバスバー)
3 第1絶縁体
4 素子(FET)
8 通電部
10 配線基板
11,21 第1主面
12,22 第2主面
13,23 端面
30 孔
31 第1部
32 第2部
33 第2絶縁体
40 本体
41 第1端(ソース電極)
42 第2端(ドレイン電極)
43 第3端(ゲート電極)
61,62 保持部
71,72 半田
90 筐体
100 電気接続箱
C 端部
X,Y,Z1,Z2 方向