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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】積層コイル部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/00 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H01F17/00 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019103856
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020198370
(43)【公開日】2020-12-10
【審査請求日】2021-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(72)【発明者】
【氏名】武田 安史
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-251148(JP,A)
【文献】特開2001-196228(JP,A)
【文献】特開2009-044030(JP,A)
【文献】特開2013-055316(JP,A)
【文献】特開2019-075535(JP,A)
【文献】特開2019-079844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F17/00-H01F38/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体の内部に設けられ、積層方向に積層され互いに電気的に接続された複数のコイル導体を含むコイルと
を備え、
前記コイルは、少なくとも3つの辺部から構成される第1コイル導体と、1つまたは2つの辺部から構成される第2コイル導体と、少なくとも3つの辺部から構成される第3コイル導体と、少なくとも3つの辺部から構成される第4コイル導体とを含み、
前記第1コイル導体と前記第2コイル導体とは接触し、前記第3コイル導体と前記第4コイル導体とは接触し、
前記第1コイル導体と前記第2コイル導体の接触面積は、前記第3コイル導体と前記第4コイル導体の接触面積よりも小さく、
前記第1コイル導体の厚みは、前記第3コイル導体および前記第4コイル導体のそれぞれの厚みよりも厚い、積層コイル部品。
【請求項2】
前記第3コイル導体と前記第4コイル導体とは、互いに少なくとも2つの辺部で接触する、請求項1に記載の積層コイル部品。
【請求項3】
前記第1コイル導体と前記第2コイル導体とは、互いに1つの辺部で接触する、請求項1または2に記載の積層コイル部品。
【請求項4】
前記コイルは、1つまたは2つの辺部から構成される第5コイル導体を含み、
前記第1コイル導体と前記第2コイル導体と前記第3コイル導体と前記第4コイル導体と前記第5コイル導体とは、積層方向に順に積層され直列に電気的に接続されて、2ターンを構成する、請求項1から3の何れか一つに記載の積層コイル部品。
【請求項5】
前記複数のコイル導体は、それぞれ、前記積層方向で隣り合う他のコイル導体と接触する部分である接触部と、前記積層方向で隣り合う他のコイル導体と接触しない部分である非接触部とを有し、
前記複数のコイル導体のうちの少なくとも1つのコイル導体において、前記非接触部の幅は、前記接触部の幅よりも広い、請求項1から4の何れか一つに記載の積層コイル部品。
【請求項6】
前記コイルは、前記積層方向からみて矩形であり、
前記複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部は、前記積層方向から見たコイルの1辺に位置する、請求項5に記載の積層コイル部品。
【請求項7】
前記コイルは、前記積層方向からみて長方形であり、
前記複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部は、前記積層方向から見たコイルの短辺に位置する、請求項6に記載の積層コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層コイル部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層コイル部品として、特開2017-28143号公報(特許文献1)に記載されたものがある。積層コイル部品は、素体と、素体の内部に設けられたコイルとを有する。前記コイルは、複数のコイル部と複数の接続部とを有し、コイル部と接続部は積層方向に積層されて互いに接続されている。つまり、複数のコイル部と複数の接続部は、それぞれ、コイルを構成するコイル構成層である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-28143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の積層コイル部品においては、コイルのターン数が2であるとき、4層のコイル部と2層の接続部の合計6層のコイル構成層が必要となっている。このように、コイル構成層の層数が多いと、積層方向の高さが高くなって、積層コイル部品の低背化が困難となる。一方、低背化を図るためにコイル構成層の層数を少なくすることが考えられるが、例えば、コイル部の層数を少なくすると、積層コイル部品の直流抵抗値(Rdc)が大きくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、直流抵抗値を小さくでき低背化を図ることができる積層コイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本開示の一態様である積層コイル部品は、
素体と、
前記素体の内部に設けられ、積層方向に積層され互いに電気的に接続された複数のコイル導体を含むコイルと
を備え、
前記コイルは、少なくとも3つの辺部から構成される第1コイル導体と、1つまたは2つの辺部から構成される第2コイル導体と、少なくとも3つの辺部から構成される第3コイル導体と、少なくとも3つの辺部から構成される第4コイル導体とを含み、
前記第1コイル導体と前記第2コイル導体とは接触し、前記第3コイル導体と前記第4コイル導体とは接触し、
前記第1コイル導体の厚みは、前記第3コイル導体および前記第4コイル導体のそれぞれの厚みよりも厚い。
【0007】
前記態様によれば、第1コイル導体の厚みは、第3コイル導体および第4コイル導体のそれぞれの厚みよりも厚い。これにより、各コイル導体の延在方向の長さを各コイル導体のコイル長と呼ぶとき、コイル長の長い第1コイル導体は、コイル長の短い第2コイル導体に接触するため、第1コイル導体と第2コイル導体の互いの接触面積は、小さくなるが、第1コイル導体の厚みを厚くすることで、第1コイル導体の断面積を大きくして、直流抵抗値を小さくすることができる。
【0008】
一方、コイル長の長い第3コイル導体は、コイル長の長い第4コイル導体に接触するため、第3コイル導体と第4コイル導体の互いの接触面積は、大きくなり、第3コイル導体および第4コイル導体のそれぞれの厚みを薄くしても、直流抵抗値の増加を低減できる。さらに、第3コイル導体および第4コイル導体のそれぞれの厚みを薄くすることで、積層方向の高さを低くして低背化を図ることができる。
【0009】
したがって、前記積層コイル部品において、直流抵抗値を小さくでき、低背化を図ることができる。
【0010】
また、積層コイル部品の一実施形態では、前記第3コイル導体と前記第4コイル導体とは、互いに少なくとも2つの辺部で接触する。
【0011】
前記実施形態によれば、第3コイル導体と第4コイル導体とは、互いに少なくとも2つの辺部で接触するので、第3コイル導体と第4コイル導体の互いの接触面積は、大きくなるため、第3コイル導体および第4コイル導体のそれぞれの厚みを薄くしても、直流抵抗値の増加を低減できる。
【0012】
また、積層コイル部品の一実施形態では、前記第1コイル導体と前記第2コイル導体とは、互いに1つの辺部で接触する。
【0013】
前記実施形態によれば、第1コイル導体と第2コイル導体とは、互いに1つの辺部で接触するので、第1コイル導体と第2コイル導体の互いの接触面積は、小さくなるが、第1コイル導体の厚みを厚くすることで、直流抵抗値を小さくすることができる。
【0014】
また、積層コイル部品の一実施形態では、
前記コイルは、1つまたは2つの辺部から構成される第5コイル導体を含み、
前記第1コイル導体と前記第2コイル導体と前記第3コイル導体と前記第4コイル導体と前記第5コイル導体とは、積層方向に順に積層され直列に電気的に接続されて、2ターンを構成する。
【0015】
前記実施形態によれば、第1コイル導体と第2コイル導体と第3コイル導体と第4コイル導体と第5コイル導体とは、積層方向に順に配置され直列に電気的に接続されて、2ターンを構成するので、2ターンでコイル導体の積層数を5層とでき、コイル導体の積層数を低減できる。これにより、積層方向の高さを一層低くして低背化を図ることができる。
【0016】
また、積層コイル部品の一実施形態では、
前記複数のコイル導体は、それぞれ、前記積層方向で隣り合う他のコイル導体と接触する部分である接触部と、前記積層方向で隣り合う他のコイル導体と接触しない部分である非接触部とを有し、
前記複数のコイル導体のうちの少なくとも1つのコイル導体において、前記非接触部の幅は、前記接触部の幅よりも広い。
【0017】
前記実施形態によれば、非接触部の幅を広くすることで、非接触部の断面積を大きくでき、直流抵抗値をより小さくできる。
【0018】
また、積層コイル部品の一実施形態では、前記コイルは、前記積層方向からみて矩形であり、前記複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部は、前記積層方向から見たコイルの1辺に位置する。
【0019】
前記実施形態によれば、幅広の非接触部をコイルの一辺に集中して配置でき、コイルの内径部分の面積を低減することなく、インダクタンス(L)を更に向上させることができる。
【0020】
また、積層コイル部品の一実施形態では、前記コイルは、前記積層方向からみて長方形であり、前記複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部は、前記積層方向から見たコイルの短辺に位置する。
【0021】
前記実施形態によれば、コイル内径部分の形状は正方形となり、または、正方形に近い形状となるので、インダクタンスを更に向上させることができる。
【0022】
また、積層コイル部品の一実施形態では、
前記複数のコイル導体は、それぞれ、前記積層方向で隣り合う他のコイル導体と接触する部分である接触部と、前記積層方向で隣り合う他のコイル導体と接触しない部分である非接触部とを有し、
前記積層方向で隣り合うコイル導体は、それぞれの前記接触部同士が接触することにより接続されており、
その接触部同士が接触してなる接触領域の全ては、前記積層方向からみて異なる位置にあり、かつ、前記コイルのターン数は2であり、前記コイル導体の積層数は5である。
【0023】
前記実施形態によれば、接触領域の全ては、積層方向からみて異なる位置にあるので、コイルの厚みが厚い箇所が一箇所に集中することを回避でき、応力を緩和できる。また、コイルのターン数は2であり、コイル導体の積層数は5であるので、積層方向の高さを低くして、低背化を図ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本開示の一態様である積層コイル部品によれば、直流抵抗値を小さくでき、低背化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】第1実施形態の積層コイル部品の外観を示す概略斜視図である。
図1B】積層コイル部品の部分概略斜視図である。
図2】積層コイル部品の分解平面図である。
図3A】コイル導体の積層工程を説明する斜視方向からみた説明図である。
図3B】コイル導体の積層工程を説明する斜視方向からみた説明図である。
図3C】コイル導体の積層工程を説明する斜視方向からみた説明図である。
図3D】コイル導体の積層工程を説明する斜視方向からみた説明図である。
図3E】コイル導体の積層工程を説明する斜視方向からみた説明図である。
図4A】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図4B】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図4C】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図4D】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図4E】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図5】第1コイル導体から第5コイル導体を直線状に展開したコイルの概略図である。
図6A】積層コイル部品の第2実施形態における、コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図6B】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図6C】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図6D】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図6E】コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。
図7A】積層コイル部品の第2実施形態において例示されるコイル導体の形状を示す模式図である。
図7B】コイル導体の形状を示す模式図である。
図7C】コイル導体の形状を示す模式図である。
図7D】コイル導体の形状を示す模式図である。
図7E】コイル導体の形状を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の一態様である積層コイル部品を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0027】
(第1実施形態)
図1Aは、第1実施形態の積層コイル部品の外観を示す概略斜視図である。図1Bは、積層コイル部品の部分概略斜視図である。図2は、積層コイル部品の分解平面図である。図1A図1B図2に示すように、積層コイル部品1は、素体2と、素体2の内部に設けられたコイル3と、素体2の外部に設けられた第1外部電極13aおよび第2外部電極13bとを有する。図1Bでは、分かりやすくするために、素体2において、コイル3の下方に位置する部分のみを図示する。
【0028】
積層コイル部品1は、第1外部電極13a、第2外部電極13bを介して、図示しない回路基板の配線に電気的に接続される。積層コイル部品1は、例えば、ノイズ除去フィルタとして用いられ、パソコン、DVDプレーヤー、デジカメ、TV、携帯電話、カーエレクトロニクスなどの電子機器に用いられる。
【0029】
素体2は、複数の絶縁層2aから構成される。絶縁層2aは、例えば、セラミック層であり、セラミック層は、フェライトなどの磁性体からなる。なお、絶縁層2aは、磁性層の代わりにまたは部分的に、非磁性層から構成されてもよい。非磁性層は、例えば、硼珪酸ガラスおよびセラミックフィラー等の非磁性体からなる。
【0030】
素体2は、略直方体状に形成される。素体2の表面は、図1において、左端面と、左端面に対向する右端面と、上面と、上面に対向する下面と、前面と、前面に対向する後面とから構成される。
【0031】
コイル3は、第1コイル導体10と第2コイル導体20と第3コイル導体30と第4コイル導体40と第5コイル導体50とを含む。第1コイル導体10から第5コイル導体50は、下から上に積層方向に順に積層され、直列に電気的に接続されて、螺旋状に形成される。コイル3は、積層方向からみて矩形である。この実施形態では、コイル3は、長方形であるが、正方形であってもよい。図1Bにおいて、図示省略するが、第1コイル導体10から第5コイル導体50の隙間には絶縁層2aが配置される。
【0032】
コイル3の一端は第1外部電極13aに接続され、コイル3の他端は第2外部電極13bに接続される。具体的に述べると、第1コイル導体10の端部は、図示しない第1引出導体を介して、第1外部電極13aに電気的に接続される。第5コイル導体50の端部は、図示しない第2引出導体を介して、第2外部電極13bに電気的に接続される。
【0033】
第1外部電極13aは、図1に示されるように、素体2の左端面の全面と、上面、下面、前面および後面における一部とを覆う。第2外部電極13bは、図1に示されるように、素体2の右端面の全面と、上面、下面、前面および後面における一部とを覆う。
【0034】
図2に示すように、第1コイル導体10から第5コイル導体50は、それぞれ、素体2の絶縁層2a上に積層される。第1コイル導体10から第5コイル導体50は、例えば、AgまたはCuなどの導電性材料を含む。
【0035】
第1コイル導体10は、1周未満のターンを有し、積層方向からみて3つの角部と、4つの辺部から構成されるパターンを有する。つまり、第1コイル導体10は、第1引出導体から第2コイル導体20に向かって順に、第1辺部101と第2辺部102と第3辺部103と第4辺部104とから構成される。
【0036】
第2コイル導体20は、積層方向からみて直線状のパターンを有する。つまり、第1コイル導体20は、第1辺部201から構成される。
【0037】
第3コイル導体30は、1周未満のターンを有し、積層方向からみて4つの角部と、5つの辺部から構成されるパターンを有する。つまり、第3コイル導体30は、第2コイル導体20から第4コイル導体40に向かって順に、第1辺部301と第2辺部302と第3辺部303と第4辺部304と第5辺部305とから構成される。
【0038】
第4コイル導体40は、1周未満のターンを有し、積層方向からみて3つの角部と、4つの辺部から構成されるパターンを有する。つまり、第4コイル導体40は、第3コイル導体30から第5コイル導体50に向かって順に、第1辺部401と第2辺部402と第3辺部403と第4辺部404とから構成される。
【0039】
第5コイル導体50は、積層方向からみて直線状のパターンを有する。つまり、第5コイル導体50は、第1辺部501から構成される。
【0040】
次に、第1コイル導体10から第5コイル導体50の積層工程を説明する。
【0041】
図3Aから図3Eは、コイル導体の積層工程を説明する斜視方向からみた説明図であり、図4Aから図4Eは、コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。なお、斜視方向からみた図3Aと、平面方向からみた図4Aとは、同一の積層工程を示し、図3Bから図3Eと、図4Bから図4Eについても同様の関係を有する。
【0042】
図3A図4Aに示すように、絶縁層2a上に、第1コイル導体10を積層する。図3B図4Bに示すように、第1コイル導体10の一端(第4辺部104)と、第2コイル導体20の一端(第1辺部201)とを、互いに重なるように接触させ、第1コイル導体10に第2コイル導体20を積層する。つまり、第1コイル導体10と第2コイル導体20とは、互いに1つの辺部で接触する。
【0043】
第1コイル導体10は、積層方向で隣り合う第2コイル導体20と接触する部分である接触部12を有する。また、第1コイル導体10は、積層方向で隣り合う第2コイル導体20と接触しない非接触部100を有する。
【0044】
第2コイル導体20は、積層方向で隣り合う第1コイル導体10と接触する部分である接触部21を有する。
【0045】
また、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部12,21は、接触領域Z12を構成する。第1コイル導体10と第2コイル導体20は、それぞれの接触部12,21を介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0046】
図3C図4Cに示すように、第2コイル導体20の一端(第1辺部201)と、第3コイル導体30の一端(第1辺部301)とを互いに重なるように接触させ、第2コイル導体20に第3コイル導体30を積層する。つまり、第2コイル導体20と第3コイル導体30とは、互いに1つの辺部で接触する。
【0047】
第2コイル導体20は、第1コイル導体10と接触する接触部21とは反対側の端部側に、積層方向で隣り合う第3コイル導体30と接触する部分である接触部23を有する。
【0048】
また、第2コイル導体20は、積層方向で隣り合う第1コイル導体10と接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第3コイル導体30と接触しない部分である非接触部200を有する。
【0049】
第3コイル導体30は、積層方向で隣り合う第2コイル導体20と接触する部分である接触部32を有する。
【0050】
また、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部23,32は、接触領域Z23を構成する。第2コイル導体20と第3コイル導体30は、それぞれの接触部23,32を介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0051】
図3D図4Dに示すように、第3コイル導体30の一端(第2辺部302から第5辺部305)と、第4コイル導体40の一端(第1辺部401から第4辺部404)とを互いに重なるように接触させ、第3コイル導体30に第4コイル導体40を積層する。つまり、第3コイル導体30と第4コイル導体40とは、互いに4つの辺部で接触する。
【0052】
第3コイル導体30は、第2コイル導体20と接触する接触部32とは反対側の端部を含む側に、積層方向で隣り合う第4コイル導体40と接触する部分である接触部34を有する。
【0053】
また、第3コイル導体30は、積層方向で隣り合う第2コイル導体20と接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第4コイル導体40と接触しない部分である非接触部300を有する。
【0054】
第4コイル導体40は、積層方向で隣り合う第3コイル導体30と接触する部分である接触部43を有する。
【0055】
また、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部34,43は、接触領域Z34を構成する。第3コイル導体30と第4コイル導体40とは、それぞれの接触部34,43を介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0056】
図3E図4Eに示すように、第4コイル導体40の一端(第4辺部404)と、第5コイル導体50の一端(第1辺部501)とを互いに重なるように接触させ、第4コイル導体40に第5コイル導体50を積層する。つまり、第3コイル導体30と第4コイル導体40とは、互いに1つの辺部で接触する。
【0057】
第4コイル導体40は、第3コイル導体30と接触する接触部43とは反対側の端部を含む側に、積層方向で隣り合う第5コイル導体50と接触する部分である接触部45を有する。
【0058】
また、第4コイル導体40は、積層方向で隣り合う第3コイル導体30と接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第5コイル導体50と接触しない部分でもある非接触部400を有する。
【0059】
第5コイル導体50は、積層方向で隣り合う第4コイル導体40と接触する部分である接触部54を有する。
【0060】
また、第5コイル導体50は、積層方向で隣り合う第4コイル導体40と接触しない部分である非接触部500を有する。
【0061】
さらに、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部45,54は、接触領域Z45を構成する。第4コイル導体40と第5コイル導体50とは、それぞれの接触部45,54を介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0062】
このようにして、図1Bに示すように、第1コイル導体10から第5コイル導体50を積層してコイル3を形成する。このコイル3では、図1B図4Eに示すように、全ての接触領域Z12,Z23,Z34,Z45は、コイル3を積層方向からみて異なる位置にある。コイル3のターン数は2であり、コイル3に含まれるコイル導体の層数は5である。なお、図1B等においては、接触部、接触領域に該当する箇所にハッチングを付している。
【0063】
図5は、第1コイル導体10から第5コイル導体50の接続関係を説明するため、これらのコイル導体10~50を直線状に展開したコイル3の概略図である。図5に示すように、第1コイル導体10の厚みは、第3コイル導体30および第4コイル導体40のそれぞれの厚みよりも厚い。
【0064】
これによれば、各コイル導体10~50の延在方向の長さを各コイル導体10~50のコイル長と呼ぶとき、コイル長の長い第1コイル導体10は、コイル長の短い第2コイル導体20に接触するため、第1コイル導体10と第2コイル導体20の互いの接触面積は、小さくなるが、第1コイル導体10の厚みを厚くすることで、第1コイル導体10の断面積を大きくして、直流抵抗値を小さくすることができる。
【0065】
一方、コイル長の長い第3コイル導体30は、コイル長の長い第4コイル導体40に接触するため、第3コイル導体30と第4コイル導体40の互いの接触面積は、大きくなり、第3コイル導体30および第4コイル導体40のそれぞれの厚みを薄くしても、直流抵抗値の増加を低減できる。さらに、第3コイル導体30および第4コイル導体40のそれぞれの厚みを薄くすることで、積層方向の高さを低くして低背化を図ることができる。
【0066】
したがって、積層コイル部品1において、直流抵抗値を小さくでき、低背化を図ることができる。
【0067】
例えば、第1コイル導体10の厚みは、第3コイル導体30および第4コイル導体40のそれぞれの厚みの1.2倍以上2.8倍以下であり、好ましくは1.5倍以上2.5倍以下である。なお、コイル導体の厚みとは、コイル導体の全長における厚みのおよその平均値である。
【0068】
図5に示すように、第2コイル導体20および第5コイル導体50のそれぞれの厚みは、第1コイル導体10の厚みよりも薄い。これによれば、第2コイル導体20および第5コイル導体50を薄くしても、そのコイル長は短いので、直流抵抗値の増加を低減できる。さらに、第2コイル導体20および第5コイル導体50を薄くできるため、積層方向の高さを低くして低背化を図ることができる。なお、第2コイル導体20から第5コイル導体50のそれぞれの厚みは、互いに同じであるが、少なくとも一つのコイル導体の厚みが、他のコイル導体の厚みと異なっていてもよい。
【0069】
前記積層コイル部品1では、第3コイル導体30と第4コイル導体40とは、互いに少なくとも2つの辺部(この実施形態では、4つの辺部)で接触している。これによれば、第3コイル導体30と第4コイル導体40の互いの接触面積は、大きくなるため、第3コイル導体30および第4コイル導体40のそれぞれの厚みを薄くしても、直流抵抗値の増加を低減できる。
【0070】
前記積層コイル部品1では、第1コイル導体10と第2コイル導体20とは、互いに1つの辺部で接触している。これによれば、第1コイル導体10と第2コイル導体20の互いの接触面積は、小さくなるが、第1コイル導体10の厚みを厚くすることで、直流抵抗値を小さくすることができる。
【0071】
前記積層コイル部品1では、第1コイル導体10と第2コイル導体20と第3コイル導体30と第4コイル導体40と第5コイル導体50とは、積層方向に順に積層され直列に電気的に接続されて、2ターンを構成する。これによれば、2ターンでコイル導体の積層数を5層とでき、コイル導体の積層数を低減できる。したがって、積層方向の高さを一層低くして低背化を図ることができる。
【0072】
前記積層コイル部品1によれば、全ての接触領域(接触領域Z12,Z23,Z34,Z45)は、積層方向からみて異なる位置にあるので、コイル3の厚みが厚い箇所が一箇所に集中しないため、積層コイル部品、例えば、コイル導体、素体2のひび割れ、ショートなどのリスクを回避できる。
【0073】
これに対して、コイル3の厚みが厚い箇所が一箇所に集中すると、すなわち、複数の接触領域が積層方向に重なって配置されると、例えば、コイル導体に含まれるAgと、素体2に含まれるフェライトとの線膨張係数差により応力が発生しやすくなり、積層コイル部品のひび割れ、ショートなどの生じるリスクが高くなる。しかし、本発明の積層コイル部品1であれば、このようなリスクを回避できる。
【0074】
(第2実施形態)
図6Aから図6Eは、第2実施形態において、コイル導体の積層工程を説明する平面方向からみた説明図である。また、図7Aから図7Eは、第2実施形態において例示されるコイル導体10a,20a,30a,40a,50aの形状を示す模式図である。
【0075】
第2実施形態は、第1実施形態とは、コイル3aを構成する第1コイル導体10aから第5コイル導体50aの形状が相違する。また、複数のコイル導体10aから50aのうちの少なくとも1つのコイル導体において、積層方向からみた非接触部の幅は、接触部の幅よりも広いこと、コイル3aは積層方向からみて矩形であり、複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部は、前記積層方向から見たコイルの1辺に位置すること、コイルは、積層方向からみて長方形であり、複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部は、積層方向から見たコイルの短辺に位置すること等が相違する。
【0076】
これらの相違する構成を以下に説明する。なお、以下においては、第1実施形態との相違を中心に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0077】
図6Aに示すように、絶縁層2a上に、第1コイル導体10aを積層する。図6A図7Aに示すように、第1コイル導体10aは、1周未満のターンを有し、積層方向からみて4つの角部と、5つの辺部から構成されるパターンを有する。また、第1コイル導体10aにおいて、積層方向からみた一端側の幅は、他端側の幅よりも広くなっている。なお、1つのコイル導体において、コイルの長さ方向における一方の端部を一端とし、コイルの長さ方向における前記一端と対向する側の端部を他端とする。
【0078】
また、コイル導体における幅は、積層方向からみて、コイル導体の延在する方向と直交する方向の大きさをいう。
【0079】
図6Bに示すように、第1コイル導体10aの一端(1つの辺部)と、第2コイル導体20aの一端(1つの辺部)とを、互いに重なるように接触させ、第1コイル導体10aに第2コイル導体20aを積層する。
【0080】
第1コイル導体10aは、積層方向で隣り合う第2コイル導体20aと接触する部分である接触部12aを有する。また、第1コイル導体10aは、積層方向で隣り合う第2コイル導体20aと接触しない非接触部100aを有する。
【0081】
図6B図7Bに示すように、第2コイル導体20aは、積層方向からみて、1つの辺部から構成される直線状のパターンを有する。第2コイル導体20aは、積層方向からみて、一端の幅は、他端の幅よりも狭い形状を有する。
【0082】
第2コイル導体20aは、積層方向で隣り合う第1コイル導体10aと接触する部分である接触部21aを有する。
【0083】
また、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部12a,21aは、接触領域Z12aを構成する。すなわち、第1コイル導体10aと第2コイル導体20aは、それぞれの接触部12a,21aを介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0084】
図6Cに示すように、第2コイル導体20aの一端(1つの辺部)と、第3コイル導体30aの一端(1つの辺部)とを互いに重なるように接触させ、第2コイル導体20aに第3コイル導体30aを積層する。
【0085】
第2コイル導体20aは、第1コイル導体10aと接触する接触部21aとは反対側の端部側に、積層方向で隣り合う第3コイル導体30aと接触する部分である接触部23aを有する。
【0086】
また、第2コイル導体20aは、積層方向で隣り合う第1コイル導体10aと接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第3コイル導体30aと接触しない部分である非接触部200aを有する。
【0087】
ここで、第2コイル導体20aにおいて、非接触部の幅200aは、接触部21a(すなわち、接触領域Z12a)における幅よりも広い。これにより、非接触部200aのコイル導体の断面積を大きくできるので、直流抵抗値を小さくできる。
【0088】
図6C図7Cに示すように、第3コイル導体30aは、1周未満のターンを有し、積層方向からみて3つの角部と、4つの辺部から構成されるパターンを有する。また、第3コイル導体30aは、積層方向からみて、一端の幅は、他端の幅よりも広い形状を有する。
【0089】
第3コイル導体30aは、積層方向で隣り合う第2コイル導体20aと接触する部分である接触部32aを有する。
【0090】
また、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部23a,32aは、接触領域Z23aを構成する。すなわち、第2コイル導体20aと第3コイル導体30aは、それぞれの接触部23a,32aを介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0091】
図6Dに示すように、第3コイル導体30aの一端(3つの辺部)と、第4コイル導体40aの一端(3つの辺部)とを互いに重なるように接触させ、第3コイル導体30aに第4コイル導体40aを積層する。
【0092】
第3コイル導体30aは、第2コイル導体20aと接触する接触部32aとは反対側の端部を含む側に、積層方向で隣り合う第4コイル導体40aと接触する部分である接触部34aを有する。
【0093】
また、第3コイル導体30aは、積層方向で隣り合う第2コイル導体20aと接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第4コイル導体40aと接触しない部分である非接触部300aを有する。
【0094】
ここで、第3コイル導体30aにおいて、非接触部の幅300aは、接触部34a(すなわち接触領域Z34a)における幅よりも広い。これにより、非接触部300aのコイル導体の断面積を大きくできるので、直流抵抗値を小さくできる。
【0095】
図6D図7Dに示すように、第4コイル導体40aは、1周未満のターンを有し、積層方向からみて2つの角部と、3つの辺部から構成されるパターンを有する。また、第4コイル導体40aにおいて、積層方向からみて、一端の幅は、他端の幅よりも広い形状を有する。
【0096】
第4コイル導体40aは、積層方向で隣り合う第3コイル導体30aと接触する部分である接触部43aを有する。
【0097】
また、前記積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部34a,43aは、接触領域Z34aを構成する。すなわち、第3コイル導体30aと第4コイル導体40aとは、それぞれの接触部34a,43aを介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0098】
図6Eに示すように、第4コイル導体40aの一端(1つの辺部)と、第5コイル導体50aの一端(1つの辺部)とを互いに重なるように接触させ、第4コイル導体40aに第5コイル導体50aを積層する。
【0099】
第4コイル導体40aは、第3コイル導体30aと接触する接触部43aとは反対側の端部を含む側に、積層方向で隣り合う第5コイル導体50aと接触する部分である接触部45aを有する。
【0100】
また、第4コイル導体40aは、積層方向で隣り合う第3コイル導体30aと接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第5コイル導体50aと接触しない部分でもある非接触部400aを有する。
【0101】
ここで、図6Eで示すように、第4コイル導体40aにおいて、非接触部の幅400aは、接触部43a(すなわち、接触領域Z43a)における幅よりも広い。これにより、非接触部400aのコイル導体の断面積を大きくできるので、直流抵抗値を小さくできる。
【0102】
図6E図7Eに示すように、第5コイル導体50aは、積層方向からみて、1つの辺部から構成される直線状のパターンを有する。第5コイル導体50aは、積層方向からみて、一端の幅は、他端の幅よりも広い形状を有する。
【0103】
第5コイル導体50aは、積層方向で隣り合う第4コイル導体40aと接触する部分である接触部54aを有する。また、第5コイル導体50aは、第4コイル導体40と接触する接触部54aとは反対側の端部側に、積層方向で隣り合う第6コイル導体(図示せず)と接触する部分である接触部56aを有する。
【0104】
第5コイル導体50aは、積層方向で隣り合う第4コイル導体40aと接触しない部分であり、積層方向で隣り合う第5コイル導体50aと接触しない部分である非接触部500aを有する。
【0105】
さらに、積層方向で隣り合って互いに接触する一対の前記接触部45a,54aは、接触領域Z45aを構成する。すなわち、第4コイル導体40aと第5コイル導体50aとは、それぞれの接触部45a,54aを介して積層方向に積層され、互いに電気的に接続される。
【0106】
ここで、第5コイル導体50aにおいて、非接触部の幅500aは、接触部56aにおける幅よりも広い。これにより、非接触部500aのコイル導体の断面積を大きくできるので、直流抵抗値を小さくできる。
【0107】
また、図6Eに示すように、全ての接触領域Z12a,Z23a,Z34a,Z45a、および接触部56a(要するに、接触領域Z56a)は、積層方向からみて異なる位置にある。
【0108】
すなわち、積層方向からみて同じ位置において、複数の接触領域は積層方向に重なって配置されないので、コイル3aの積層方向への高さを低くできる。したがって、積層方向の高さを低くでき、積層コイル部品の低背化を図ることができる。
【0109】
図6A図6Eに示されるように、コイル3aは、積層方向からみて矩形であり、例えば、積層方向からみて長方形である。
【0110】
また、図6Cから図6Eに示されるように、複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部、例えば、幅広の非接触部200a,300a,400a,500aは、積層方向から見たコイルの1辺に位置する。これにより、幅広の非接触部をコイルの一辺に集中して配置でき、コイルの内径部分の面積を低減することなく、インダクタンス(L)を更に向上させることができる。
【0111】
このように、複数のコイル導体10aから50aのうちの少なくとも1つのコイル導体において、積層方向からみた非接触部100aから500aのうちの少なくとも1つの非接触部の幅は、積層方向からみた接触部の幅よりも広い。これにより、非接触部のコイル導体の断面積を大きくできるので、直流抵抗値をより小さくできる。
【0112】
例えば、複数のコイル導体10aから50aのうちの少なくとも1つのコイル導体において、積層方向からみた非接触部100aから500aのうちの少なくとも1つの非接触部の幅は、接触部12aから56aにおける幅の1.2倍以上2.8倍以下であり、好ましくは1.5倍以上2.5倍以下である。なお、非接触部の幅と接触部の幅の比は、複数のコイル導体10aから50aのうちの少なくとも1つのコイル導体において、接触部の最も幅の狭い部位でのコイル導体幅に対する、非接触部の最も幅の広い部位でのコイル導体幅に対する比である。
【0113】
また、少なくとも1つのコイル導体において、接触部の少なくとも一部における幅が狭くてもよく、非接触部の少なくとも一部における幅が広くてもよい。
【0114】
また、前記コイル3aは、積層方向からみて長方形であり、前記複数のコイル導体のそれぞれの前記非接触部200a,300a,400a,500aは、積層方向から見たコイルの短辺に位置してもよい。これにより、コイルの内径部分の形状は、積層方向からみて正方形となり、または、正方形に近い形状となるので、インダクタンスを更に向上させることができる。
【0115】
また、前記コイル3aは、前記第1実施形態と同様に、第1コイル導体10aの厚みは、第3コイル導体30aおよび第4コイル導体40aのそれぞれの厚みよりも厚い。これにより、前記第1実施形態と同様に、積層コイル部品において、直流抵抗値を小さくでき、低背化を図ることができる。
【0116】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1と第2実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。
【0117】
例えば、第1コイル導体は、少なくとも3つの辺部から構成されてもよく、第2コイル導体は、1つまたは2つの辺部から構成されてもよい。このとき、第1コイル導体と第2コイル導体とは、互いに1つの辺部で接触する。また、第3コイル導体は、少なくとも3つの辺部から構成されてもよく、第4コイル導体は、少なくとも3つの辺部から構成されてもよい。このとき、第3コイル導体と第4コイル導体とは、互いに少なくとも2つの辺部で接触する。また、第5コイル導体は、1つまたは2つの辺部から構成されてもよい。
【0118】
前記実施形態では、5層のコイル導体で2ターンを構成しているが、この構成をn個(nは自然数)積層して、(5×n)層のコイル導体で(2×n)ターンを構成してもよい。また、2ターンあたりのコイル導体の層数を増減してもよい。また、偶数のターン数でなく、奇数のターン数であってもよい。また、正数のターン数であってもよい。
【0119】
前記実施形態では、積層方向(下から上)に順に、第1コイル導体、第2コイル導体、第3コイル導体、第4コイル導体、第5コイル導体を積層しているが、これとは逆の順番に、つまり、第5コイル導体、第4コイル導体、第3コイル導体、第2コイル導体、第1コイル導体を積層してもよい。または、他の異なる順番に積層してもよい。
【符号の説明】
【0120】
1 積層コイル部品
2 素体
3,3a コイル
10,10a 第1コイル導体
101~104 第1~第4辺部
12,12a 第1コイル導体と第2コイル導体の接触部
13a 第1外部電極
13b 第2外部電極
20,20a 第2コイル導体
201 第1辺部
21,21a 第2コイル導体と第1コイル導体の接触部
23,23a 第2コイル導体と第3コイル導体の接触部
30,30a 第3コイル導体
301~305 第1~第5辺部
32,32a 第3コイル導体と第2コイル導体の接触部
34,34a 第3コイル導体と第4コイル導体の接触部
40,40a 第4コイル導体
401~404 第1~第4辺部
43,43a 第4コイル導体と第3コイル導体の接触部
45,45a 第4コイル導体と第5コイル導体の接触部
50,50a 第5コイル導体
501 第1辺部
54,54a 第5コイル導体と第4コイル導体の接触部
100,100a 第1コイル導体の非接触部
200,200a 第2コイル導体の非接触部
300,300a 第3コイル導体の非接触部
400,400a 第4コイル導体の非接触部
500,500a 第5コイル導体の非接触部
Z12,Z12a 第1接触領域
Z23,Z23a 第2接触領域
Z34,Z34a 第3接触領域
Z45,Z45a 第4接触領域
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E