(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 61/00 20060101AFI20220906BHJP
A01D 61/02 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A01D61/00 301M
A01D61/02
(21)【出願番号】P 2019139632
(22)【出願日】2019-07-30
【審査請求日】2020-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089934
【氏名又は名称】新関 淳一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100092945
【氏名又は名称】新関 千秋
(72)【発明者】
【氏名】石賀 和平
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】飯泉 清
(72)【発明者】
【氏名】南 智弘
【審査官】吉原 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-213435(JP,A)
【文献】特開2016-220673(JP,A)
【文献】特開2015-035984(JP,A)
【文献】特開2001-258364(JP,A)
【文献】特開平10-210844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0282071(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 61/00
A01D 61/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行装置(2)の前方に設けた刈取装置(4)により刈り取った穀稈を、走行装置(2)の上方に設けた脱穀装置(3)に、無端状の搬送チェン(25)に設けた搬送体(26)により供給搬送する搬送エレベーター(15)を設けたコンバインにおいて、前記搬送チェン(25)は、搬送エレベーター(15)の基部側の基部側歯車(19)と、搬送エレベーター(15)の先端側に設けた受動回転ドラム(23)との間に掛け回し、左右一対の基部側歯車(19)の間の基部側回転軸(16)の外周には、基部側回転軸(16)に搬送穀稈が巻き付くのを防止する巻付防止装置(28)を設け、巻付防止装置(28)は、一対の基部側歯車(19)の内側に軸棒体(29)の両端を固定して構成し、前記軸棒体(29)は左右に分割形成し、左右の軸棒体(29)は左右の基部側歯車(19)間に設けた調整筒(32)に伸縮自在に取付けたコンバイン。
【請求項2】
請求項1において、前記軸棒体(29)は、基部側回転軸(16)の外周の基部側回転軸(16)の回転方向に180°の間隔を置いてに2本配置し、各軸棒体(29)の中間部に設けた各調整筒(32)を連結体(33)により連結構成したコンバイン。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の発明において、軸棒体(29)の左右両端に設けた取付部材(30)を、基部側歯車(19)の内面にボルト(31)により着脱自在に取付けたコンバイン。
【請求項4】
請求項1または請求項2または請求項3記載の発明において、前記軸棒体(29)は、左右の基部側歯車(19)間の回転方向に2本~6本選択配置可能となるように、軸棒体(29)を取付部材(30)により基部側歯車(19)に固定するボルト(31)のネジ穴(43)を予め複数設けた構成としたコンバイン。
【請求項5】
請求項1~請求項4記載の発明の何れかにおいて、各軸棒体(29)を基部側歯車(19)に取付ける取付部材(30)は、各軸棒体(29)を挟むようにしてボルト(31)で固定する構成としたコンバイン。
【請求項6】
請求項1~請求項
5記載の発明の何れかにおいて、取付部材(30)をボルト(31)により基部側歯車(19)に取り付ける際のボルト(31)の取付位置は、軸棒体(29)の回転軌跡より内側に配置したコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、圃場の穀稈を刈り取る刈取装置を、刈取穀稈を搬送する搬送エレベーターを介して脱穀装置に接続し、搬送エレベーターの基部側回転軸に搬送穀稈が巻付かないように、基部側回転軸の外周を包囲する位置固定の回転しない筒部材により包囲した構成は、公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記公知例は、筒部材を搬送エレベーターのケース内に取付部材(ステー)を介して取付ける構成のため、筒部材の取付が面倒であり、メンテナンスが容易でなかったという課題がある。
本願は、基部側回転軸への搬送穀稈の巻き付きを防止すると共に、製造取付およびメンテナンスを容易にしたものである。
【0005】
請求項1記載の発明では、走行装置2の前方に設けた刈取装置4により刈り取った穀稈を、走行装置2の上方に設けた脱穀装置3に、無端状の搬送チェン25に設けた搬送体26により供給搬送する搬送エレベーター15を設けたコンバインにおいて、前記搬送チェン25は、搬送エレベーター15の基部側の基部側歯車19と、搬送エレベーター15の先端側に設けた受動回転ドラム23との間に掛け回し、左右一対の基部側歯車19の間の基部側回転軸16の外周には、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻き付くのを防止する巻付防止装置28を設け、巻付防止装置28は、一対の基部側歯車19の内側に軸棒体29の両端を固定して構成し、前記軸棒体29は左右に分割形成し、左右の軸棒体29は左右の基部側歯車19間に設けた調整筒32に伸縮自在に取付けたコンバインとしたものである。
請求項2記載の発明では、前記軸棒体29は、基部側回転軸16の外周の基部側回転軸16の回転方向に180°の間隔を置いてに2本配置し、各軸棒体29の中間部に設けた各調整筒32を連結体33により連結構成したコンバインとしたものである。
請求項3記載の発明では、軸棒体29の左右両端に設けた取付部材30を、基部側歯車19の内面にボルト31により着脱自在に取付けたコンバインとしたものである。
請求項4記載の発明では、前記軸棒体29は、左右の基部側歯車19間の回転方向に2本~6本選択配置可能となるように、軸棒体29を取付部材30により基部側歯車19に固定するボルト31のネジ穴43を予め複数設けた構成としたコンバインとしたものである。
請求項5記載の発明では、各軸棒体29を基部側歯車19に取付ける取付部材30は、各軸棒体29を挟むようにしてボルト31で固定する構成としたコンバインとしたものである。
請求項6記載の発明では、取付部材30をボルト31により基部側歯車19に取り付ける際のボルト31の取付位置は、軸棒体29の回転軌跡より内側に配置したコンバインとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、左右一対の基部側歯車19の間の基部側回転軸16に固定の一対の基部側歯車19の内側に軸棒体29の両端を固定しているので、軸棒体29は基部側回転軸16の外側を回転するので、あたかも、基部側回転軸16の外周を筒部材により包囲したのと同様に回転する軸棒体29が作用し、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのを防止でき、しかも、基部側歯車19と基部側回転軸16の着脱により軸棒体29も着脱できるので、巻付防止装置28の構成を簡素にでき、基部側歯車19を組んだ状態で、軸棒体29の取付・取外しができ、メンテナンス性を向上させることができ、左右に分割形成した軸棒体29は左右の基部側歯車19間に設けた調整筒32に伸縮自在に取付けているので、左右の軸棒体29の長さを左右の基部側歯車19の左右幅に合わせて伸縮させることにより、調整可能な構成とすることができ、各機種のコンバインの部品の共用化できる。
請求項2記載の発明では、軸棒体29は基部側回転軸16の外周の基部側回転軸16の回転方向に180°の間隔を置いてに2本配置し、各軸棒体29の中間部に設けた各調整筒32を連結体33により連結しているので、2本の軸棒体29により基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのを効率的に防止でき、しかも、2本の軸棒体29は調整筒32と連結体33により一体構成となるので、強度を向上させられることができる。
請求項3記載の発明では、軸棒体29の左右両端に設けた取付部材30を、基部側歯車19の内面にボルト31により着脱自在に取付けているので、巻付防止装置28の構成を簡素にでき、基部側歯車19を組んだ状態で、軸棒体29の取付・取外しができ、メンテナンス性を向上させることができる。
請求項4記載の発明では、軸棒体29は、左右の基部側歯車19間の回転方向に2本~6本選択配置可能となるように、軸棒体29を取付部材30により基部側歯車19に固定するボルト31のネジ穴43を予め複数設けた構成としているので、多様なコンバインの基部側回転軸16の穀稈巻付防止できる。
請求項5記載の発明では、各軸棒体29を基部側歯車19に取付ける取付部材30は、各軸棒体29を挟むようにしてボルト31で固定しているので、軸棒体29の取付・取外しが容易にすることができる。
請求項6記載の発明では、取付部材30をボルト31により基部側歯車19に取り付ける際のボルト31の取付位置は、軸棒体29の回転軌跡より内側に配置しているので、ボルト31に稈が引っ掛かるのを防止し、一層、基部側回転軸16への穀稈の巻付を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】刈取装置一部と搬送エレベーター付近の側面図。
【
図6】(A)軸棒体が2本の他の実施形態の側面図。 (B)軸棒体が3本の他の実施形態の側面図。
【
図7】(A)軸棒体が2本の他の実施形態の側面図。 (B)軸棒体が3本の他の実施形態の側面図。 (C)軸棒体が6本の他の実施形態の側面図。
【
図8】巻付防止装置の他の実施形態の平面図および側面図。
【
図9】巻付防止装置の他の実施形態の平面図および側面図。
【
図10】巻付防止装置の他の実施形態の平面図および側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面により説明すると、1は機体フレ-ム、2は機体フレ-ム1の下方位置に設けた走行装置、3は機体フレ-ム1の上方位置に設けた脱穀装置、4は機体フレ-ム1の前方に設けた刈取装置、5は前記脱穀装置3の側部に設けた該脱穀装置3より取出された穀物を一時貯留するグレンタンク、6は操縦部である(
図1)。
刈取装置4は、前方に設けた分草装置10と、穀稈を掻き込む掻込リール11と、掻き込んだ穀稈を刈り取る刈刃12と、刈り取った穀稈を集めるオーガー13とを、テーブル14に取付けて構成する。刈取装置4はテーブル14に搬送エレベーター(搬送装置)15の先端を取付け、搬送エレベーター15の基部は脱穀装置3の脱穀室(図示省略)に接続する(
図1)。
【0009】
搬送エレベーター15の基部の基部側回転軸16を機体側に軸装し、搬送エレベーター15と刈取装置4は基部側回転軸16を回動支点として上下回動する構成としている。
基部側回転軸16は、搬送エレベーター15のエレベーターケース17の左右側板18に回転自在に軸装する。エレベーターケース17より突出する基部側回転軸16の左右両側の何れか一方には正回転入力プーリー20を設け、基部側回転軸16の左右両側の何れか他方には逆回転入力プーリー21を設け、正回転入力プーリー20と逆回転入力プーリー21の夫々にはエンジン(図示省略)からの正駆動回転または逆駆動回転を入力する。
【0010】
エレベーターケース17内の基部側回転軸16には左右一対の基部側歯車19を所定間隔をおいて夫々固定する。基部側歯車19には搬送エレベーター15のエレベーターケース17の先端側に設けた受動回転ドラム23の左右一対の歯部24との間に無端状の搬送チェン25を掛け回す。搬送チェン25には所定間隔をおいて搬送体26を複数設ける。
左右一対の基部側歯車19の間の基部側回転軸16には、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻き付くのを防止する巻付防止装置28を設ける。巻付防止装置28は一対の基部側歯車19の内側に、軸棒体(バー)29を固定して構成する。
そのため、軸棒体29は基部側回転軸16の外側を回転するので、あたかも、基部側回転軸16の外周を筒部材により包囲したのと同様に基部側回転軸16の周長を大きく(長く)するように回転する軸棒体29が作用し、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのを防止する。
【0011】
すなわち、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのは、搬送体26に引っ掛った穀稈の長さが、基部側回転軸16の外周を数周巻けるほど長いため、巻付くことが判明しており、従来では、基部側回転軸16の外周を筒部材により包囲することにより基部側回転軸16の実質的な周長を大きく(長く)し、搬送体26に引っ掛った穀稈の先端が筒部材の外周を1周できずに搬送されて巻付のが防止される。
しかし、基部側回転軸16の外周を包囲する筒部材の取付が面倒であり、メンテナンスが容易でなかった。
【0012】
本願では、一対の基部側歯車19の内側に軸棒体29を固定して巻付防止装置28を構成しているので、基部側歯車19が軸棒体29の支持部材にすることができ、巻付防止装置28の構成を簡素にでき、基部側歯車19を組んだ状態で、軸棒体29の取付・取外しができ、メンテナンス性を向上させられる。
具体的的には、軸棒体29の左右両端に、取付部材30を任意の手段により取り付け、この左右の取付部材30を基部側歯車19の内面にボルト31により着脱自在に取付ける。
【0013】
巻付防止装置28は、左右の基部側歯車19を軸棒体29により連結すればよいが、
図3の軸棒体29は左右に分割形成し、左右の軸棒体29は中央部に調整筒32を設け、左右の軸棒体29の長さを左右の基部側歯車19の左右幅に合わせて伸縮させることにより、調整可能な構成とする。
すなわち、左右の軸棒体29は調整筒32に対して軸心方向に移動自在に挿入し、調整筒32への挿入深さを変更することにより、一本の軸棒体29としての左右全体長さの調節が可能としている。
そのため、左右基部側歯車19の内幅に合せて軸棒体29の長さ調整でき、シム調整等が不要となって、調節作業を容易にできる。
【0014】
言い換えると、軸棒体29の左右中間部は、短いパイプで形成した調整筒32を被せ、2本の調整筒32を連結体33により連結する。
そのため、左右の軸棒体29が共用部品とすることができる。
すなわち、コンバインの機種の能力差により搬送エレベーター15のエレベーターケース17の左右幅が相違するが、左右の基部側歯車19間の間隔に合わせて軸棒体29の長さを調節可能にすることにより、各機種のコンバインの部品の共用化できる。
上記の実施形態では、基部側回転軸16の外周に2本の軸棒体29を設け、2本の軸棒体29は円周方向に180°の間隔を置いて配置し、各軸棒体29の中間部の調整筒32を連結体33により連結構成している。
【0015】
したがって、2本(左右計4本)の軸棒体29と2個の調整筒32は、連結体33により一体構成となって、互いが互いの強度メンバーとなって、基部側回転軸16と共に一体回転し、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのを防止する。
すなわち、軸棒体29の中央部分の強度をアップさせられる。
各軸棒体29の基部側歯車19への取付部材30は、各軸棒体29を挟むようにして軸棒体29の前後側の2カ所をボルト31で固定する(
図4)。
そのため、軸棒体29の取付・取外しが容易になる。
取付部材30をボルト31にて基部側歯車19に取り付ける際のボルト31の取付位置は、軸棒体29の最外位置より内側基部側歯車19の中心寄りに配置する。
そのため、ボルト31に穀稈が引っ掛かるのを防止し、一層、基部側回転軸16への穀稈の巻付を防止できる。
【0016】
軸棒体29は、基部側歯車19への固定用ボルト31Aの頭部が基部側回転軸16中心で回転したときの円周より外側に配置する(
図4)。
すなわち、軸棒体29の基部側回転軸16中心の回転軌跡Lよりも内側に、固定用ボルト31Aの頭部の回転軌跡が位置するようにする(
図4)。
そのため、軸棒体29は、固定用ボルト31Aに穀稈が引っ掛からないように作用させられる。
調整筒32の挿入孔40の中央は、径を小さくして、調整筒32から、軸棒体29が抜けないように構成する。
そのため、軸棒体29の回転の確実性を確保し、基部側回転軸16への穀稈巻付を防止する。
【0017】
また、図示は省略するが、各軸棒体29に、調整筒32からの抜け止めとしての出っ張りを設けると、簡素な構成となる。
図5は、巻付防止装置28の他の実施形態を示し、前記のように構成した軸棒体29を、基部側歯車19の周囲に3本(120°間隔)設けた構成としている。
そのため、軸棒体29の回転が相対的に速くなって、基部側回転軸16への巻付防止効果を向上させられる。
この場合、3本の軸棒体29の3個の取付部材30のうち、2個の取付部材30は、基部側回転軸16の固定用ボルト42を挟んで配置する。
そのため、3本の軸棒体29を等間隔で配置でき、基部側回転軸16への巻付防止効果を向上させられる。
【0018】
また、基部側歯車19には、軸棒体29を、2本タイプあるいは3本タイプの何れのタイプの取付可能なように、取付部材30のボルト31のネジ穴43を予め10カ所設ける構成とする(
図5、6)。
そのため、機種によって、軸棒体29の配置構成を選択可能になって、機種性能に応じた巻付防止装置28を構成することができ、条件適応性を向上させられる。
図7Aは軸棒体29を2本配置構成し、
図7Bは軸棒体29を3本配置構成し、
図7Cでは、軸棒体29を6本配置構成している。
また、図示は省略するが、軸棒体29を4本または5本配置構成することもある。
また、軸棒体29を6本配置構成する場合に、3本の軸棒体29を一体状にコンプして、軸棒体29を基部側歯車19に取付ける構成とする(
図7C)。
そのため、部品点数を削減することができ、製造組立を容易にする。
【0019】
このように、2本、3本、6本の軸棒体29を配置して取付部材30に取付けて所謂コンプ状態とした巻付防止装置28を、予め用意し、作物条件により何れかの本数のタイプの巻付防止装置28の何れでも選択取付可能に、ネジ穴43を基部側歯車19に設ける。
そのため、機種によって、軸棒体29の配置構成を選択可能になって、機種性能に応じた巻付防止装置28を構成することができ、条件適応性を向上させられる。
図8は、巻付防止装置28の他の実施形態を示し、左右の軸棒体29を、径の違うパイプ部材45、46で構成し、軸棒体29の中央部分で互いにスライド自在に挿入して構成する。
本実施形態では、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか一方を小径パイプ部材45とし、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか他方を大径パイプ部材46とし、大径パイプ部材46に小径パイプ部材45をスライド自在に挿入している。
【0020】
そのため、左右基部側歯車19の内幅に合せて軸棒体29の長さ調整でき、シム調整等が不要となって、調節作業を容易にでき、また、調整筒32を不要とするので、構成を簡素にして、製造組立を容易にする。
図9は、巻付防止装置28の他の実施形態を示し、左右の軸棒体29を、径の違うパイプ部材45、46で構成し、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか一方を小径パイプ部材45とし、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか他方を大径パイプ部材46とし、大径パイプ部材46に小径パイプ部材45をスライド自在に挿入する構成とし、かつ、大径パイプ部材46(スライド部)を軸棒体29の端部に設ける。
すなわち、大径パイプ部材46の長さを小径パイプ部材45に比し短く形成し、相対的に大径パイプ部材46を軸棒体29の全体の端部に設ける。
【0021】
そのため、左右基部側歯車19の内幅に合せて軸棒体29の長さ調整でき、シム調整等が不要となって、調節作業を容易にでき、また、調整筒32を不要とするので、構成を簡素にして、製造組立を容易にする。
すなわち、軸棒部材29の端部側には、基部側歯車19があることと、大径パイプ部材46が短いことにより、小径パイプ部材45との継ぎ目部分に穀稈が引っ掛かりずらくなる効果が期待できる。
図10は、巻付防止装置28の他の実施形態を示し、左右の基部側歯車19の内側に軸棒体29の挿入用の取付用挿入パイプ48をそれぞれ設け、左右の取付用挿入パイプ48に一本軸状態でかつ左右の基部側歯車19の間隔より短かい長さに形成して軸棒体29の左右両端を軸方向にガタをもたせて挿入固定する構成とする。
そのため、基部側歯車19の内幅に合せて調整出来る。
【0022】
(実施形態の作用)
本発明は上記構成であり、走行装置2により機体を走行させ、刈取装置4の回転する掻込リール11により圃場の穀稈を掻き込み、掻き込んだ穀稈を刈刃12により刈り取り、刈り取った穀稈を搬送エレベーター15により脱穀装置3に供給搬送して脱穀する。
搬送エレベーター15は基部側回転軸16にエンジン回転が入力され、基部側回転軸16は基部側歯車19と搬送チェン25を介して受動回転ドラム23を回転させ、無端状の搬送チェン25に設けた搬送体26が刈り取った穀稈を脱穀装置3の脱穀室(図示省略)まで供給搬送する。
【0023】
左右一対の基部側歯車19の間の基部側回転軸16には、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻き付くのを防止する巻付防止装置28を設け、巻付防止装置28は一対の基部側歯車19の内側に、軸棒体29を固定して構成しているので、軸棒体29は基部側回転軸16の外側を回転して、あたかも、基部側回転軸16の外周を筒部材により包囲したのと同様に回転する軸棒体29が作用し、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのを防止する。
【0024】
すなわち、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのは、搬送体26に引っ掛った穀稈の長さが、基部側回転軸16の外周を数周巻けるほど長いため、穀稈の先端が基部側回転軸16の円周より長くなって巻付くことになり、従来では、基部側回転軸16の外周を筒部材により包囲して筒部材の外周長により搬送体26に引っ掛った穀稈の先端が巻付のを防止しているが、基部側回転軸16の外周を包囲する筒部材の取付が面倒であり、メンテナンスが容易でなかったが、本発明では、一対の基部側歯車19の内側に軸棒体29を固定して巻付防止装置28を構成しているので、基部側歯車19が軸棒体29の支持部材にすることができ、巻付防止装置28の構成を簡素にでき、基部側歯車19を組んだ状態で、軸棒体29の取付・取外しができ、メンテナンス性を向上させられる。
【0025】
巻付防止装置28は、左右の基部側歯車19を軸棒体29により連結すればよいが、
図3の軸棒体29は左右に分割形成し、左右の軸棒体29は中央部に調整筒32を設け、左右の軸棒体29の長さを左右の基部側歯車19の左右幅に合わせて伸縮させることにより、調整可能な構成としているので、左右基部側歯車19の内幅に合せて軸棒体29の長さ調整でき、シム調整等が不要となって、調節作業を容易にできる。
言い換えると、軸棒体29の左右中間部は、短いパイプで形成した調整筒32を被せ、2本の調整筒32を連結体33により連結しているので、左右の軸棒体29を共用部品とすることができる。
【0026】
すなわち、コンバインの機種の能力差により搬送エレベーター15のエレベーターケース17の左右幅が相違するが、左右の基部側歯車19間の間隔に合わせて軸棒体29の長さを調節可能にすることにより、各機種のコンバインの部品の共用化できる。
巻付防止装置28の軸棒体29は、基部側回転軸16の外周に2本設け、2本の軸棒体29は円周方向に180°の間隔を置いて配置し、各軸棒体29の中間部の調整筒32を連結体33により連結構成しているので、2本(左右計4本)の軸棒体29と2個の調整筒32は、連結体33により一体構成となって、互いが互いの強度メンバーとなって、基部側回転軸16と共に一体回転し、基部側回転軸16に搬送穀稈が巻付くのを防止する。
【0027】
各軸棒体29の基部側歯車19への取付部材30は、各軸棒体29を挟むようにして軸棒体29の前後側の2カ所をボルト31で固定しているので、軸棒体29の取付・取外しが容易になる。
取付部材30をボルト31にて基部側歯車19に取り付ける際のボルト31の取付位置は、軸棒体29の最外位置より内側基部側歯車19の中心寄りに配置しているので、ボルト31に稈が引っ掛かるのを防止し、一層、基部側回転軸16への穀稈の巻付を防止できる。
軸棒体29は、基部側歯車19への固定用のボルト31の頭部が基部側回転軸16中心で回転した時の円周より外側に配置し、軸棒体29の基部側回転軸16中心の回転軌跡よりも内側に、ボルト31の頭部の回転軌跡を位置させているので、軸棒体29は、ボルト31に穀稈が引っ掛からないように作用させられる。
【0028】
調整筒32の挿入孔40の中央は、径を小さくして、調整筒32から、軸棒体29が抜けないように構成しているので、軸棒体29の回転の確実性を確保し、基部側回転軸16への穀稈巻付を防止する。
図5の巻付防止装置28の他の実施形態では、軸棒体29を、基部側歯車19の周囲に3本(120°間隔)設けた構成としているので、軸棒体29の回転が相対的に速くなって、基部側回転軸16への巻付防止効果を向上させられる。
この場合、3本の軸棒体29の3個の取付部材30のうち、2個の取付部材30は、基部側回転軸16の固定用ボルト42を挟んで配置しているので、3本の軸棒体29を等間隔で配置でき、基部側回転軸16への巻付防止効果を向上させられる。
【0029】
また、基部側歯車19には、軸棒体29を、2本~6本タイプの何れのタイプの取付可能なように、取付部材30のボルト31のネジ穴43を予め複数カ所設ける構成としているので、機種によって、軸棒体29の配置構成を選択可能になって、機種性能に応じた巻付防止装置28を構成することができ、条件適応性を向上させられる。
また、軸棒体29を6本配置構成する場合に、3本の軸棒体29を一体状にコンプして、軸棒体29を基部側歯車19に取付ける構成としているので、部品点数を削減することができ、製造組立を容易にする。
【0030】
図8の巻付防止装置28の他の実施形態では、左右の軸棒体29を、径の違うパイプ部材パイプ部材45、46で構成し、軸棒体29の中央部分で互いにスライド自在に挿入して構成し、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか一方を小径パイプ部材45とし、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか他方を大径パイプ部材46とし、パイプ部材46にパイプ部材45をスライド自在に挿入しているので、左右基部側歯車19の内幅に合せて軸棒体29の長さ調整でき、シム調整等が不要となって、調節作業を容易にでき、また、調整筒32を不要とするので、構成を簡素にして、製造組立を容易にする。
【0031】
図9の巻付防止装置28の他の実施形態では、左右の軸棒体29を、径の違うパイプ部材パイプ部材45、46で構成し、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか一方を小径パイプ部材45とし、パイプ部材45とパイプ部材46の何れか他方を大径パイプ部材46とし、パイプ部材46にパイプ部材45をスライド自在に挿入する構成とし、かつ、パイプ部材46(スライド部)を軸棒体29の端部に設けているので、左右基部側歯車19の内幅に合せて軸棒体29の長さ調整でき、シム調整等が不要となって、調節作業を容易にでき、また、調整筒32を不要とするので、構成を簡素にして、製造組立を容易にする。
【0032】
図10の巻付防止装置28の他の実施形態では、左右の基部側歯車19の内側に軸棒体29の挿入用の取付用挿入パイプ取付用挿入パイプ48をそれぞれ設け、左右の取付用挿入パイプ48に一本軸状態でかつ左右の基部側歯車19の間隔より短かい長さに形成して軸棒体29の左右両端を軸方向にガタをもたせて挿入固定する構成としているので、基部側歯車19の内幅に合せて調整出来る。
【符号の説明】
【0033】
1…機体フレ-ム、2…走行装置、3…脱穀装置、4…刈取装置、5…グレンタンク、6…操縦部、10…分草装置、11…掻込リール、12…刈刃、13…オーガー、14…テーブル、15…搬送エレベーター、16…エレベーター駆動軸、17…エレベーターケース、18…側板、19…駆動歯車、23…受動回転ドラム、24…歯部、25…搬送チェン、26…搬送体、28…巻付防止装置、29…軸棒体、30…取付部材、31…ボルト、32…調整筒、33…連結体、40…挿入孔、42…固定用ボルト、43…ネジ穴、45…パイプ部材、46…パイプ部材、48…取付用挿入パイプ。