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特許7136142真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステム
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  • 特許-真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステム 図1
  • 特許-真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステム 図2
  • 特許-真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステム
(51)【国際特許分類】
   B60T 17/02 20060101AFI20220906BHJP
   B60T 17/00 20060101ALI20220906BHJP
   B60T 13/52 20060101ALI20220906BHJP
   B60T 13/68 20060101ALI20220906BHJP
   F04B 37/16 20060101ALI20220906BHJP
   F04B 35/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B60T17/02
B60T17/00 C
B60T13/52
B60T13/68
F04B37/16 A
F04B35/00 A
【請求項の数】 4
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020021532
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2020152368
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-03-19
(31)【優先権主張番号】19164242.0
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516045001
【氏名又は名称】エフシーエイ イタリア エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルコロンゴ ジャンルカ
(72)【発明者】
【氏名】バディノ レナト
(72)【発明者】
【氏名】イエルッツィ ミケーレ
(72)【発明者】
【氏名】ガビアティ ジョバンニ
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】グラツィアーノ パオロ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-500083(JP,A)
【文献】実開昭50-155610(JP,U)
【文献】特開平05-215089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 15/00-17/22
B60T 13/00-13/74
F04B 37/16
F04B 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステムであって、自動車エンジンで駆動する真空ポンプと、前記真空ポンプと前記真空動作補助装置のチャンバとの間にあり、前記真空ポンプによって生成された真空を前記チャンバに連通させる流体連通ラインとを備え、
前記自動車ブレーキシステムはさらに、
前記流体連通ラインに沿って挿入された制御弁であって、
前記制御弁が前記真空ポンプの入口側を前記真空動作補助装置の前記チャンバと連通する状態に設定する第1動作状態と、
前記制御弁が前記真空ポンプの前記入口側を大気と連通する状態に設定する第2動作状態と、
前記制御弁内に含まれる一方向弁であって、前記制御弁が前記第1動作状態にある場合に、前記チャンバから前記真空ポンプに向かう方向にのみ空気の流れを可能にするように動作する第1一方向弁と、
を有する、制御弁と、
前記制御弁を作動させる装置であって、
前記真空動作補助装置の前記チャンバ内の圧力が所定の閾値を超える場合、前記真空ポンプの前記入口側が前記チャンバと連通する第1動作状態に前記制御弁を設定し、
前記真空動作補助装置の前記チャンバ内の圧力が所定の閾値を下回る場合、前記真空ポンプの前記入口側が大気と連通する第2動作状態に前記制御弁を設定する
ように構成される、装置と、
前記真空ポンプに統合され、且つ、前記真空ポンプから前記チャンバに向かう油蒸気の流れを防ぐように構成された第2一方向弁と、
前記真空動作補助装置に統合され、且つ、前記流体連通ラインから前記チャンバに向かう空気の流れを防ぐように構成された第3一方向弁と、
を備え
前記制御弁は、前記真空ポンプの前記入口側が前記チャンバと連通している前記第1動作状態に対応する第1動作位置に向かってばねによって付勢される弁部材を有し、
前記弁部材は、前記チャンバおよび前記制御弁の間における前記流体連通ラインに沿う点に存在する圧力に直接露出され、これにより、前記弁部材が、前記チャンバ内に存在する真空によって直接、前記ばねの伸展力に抗して前記ばねを圧縮させ、第2動作位置に向かって移動させられ、前記第2動作位置は、前記真空ポンプの前記入口側が大気と連通している前記第2動作状態に対応する、
自動車ブレーキシステム。
【請求項2】
前記自動車ブレーキシステムは、前記真空動作補助装置の前記チャンバ内の圧力を検出するセンサを備え、前記センサは、自動車の停止および始動機能を制御するコントローラと通信するために提供され、前記制御弁は前記センサに関連付けられ、かつ/または前記センサと統合される、
請求項に記載の自動車ブレーキシステム。
【請求項3】
前記制御弁は、前記真空動作補助装置の前記チャンバ内の圧力を検出するセンサから発せられる信号に基づいて電子制御部によって作動するソレノイドを有するソレノイド弁である、
請求項1または2に記載の自動車ブレーキシステム。
【請求項4】
真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステムを制御する方法であって、前記真空動作補助装置は、自動車エンジンで駆動する真空ポンプと、前記真空ポンプと前記真空動作補助装置のチャンバとの間にあり、前記真空ポンプによって生成された真空を前記チャンバに連通させる流体連通ラインとを備え、
前記方法は、前記流体連通ラインに沿って挿入された制御弁であって、前記制御弁が前記真空ポンプの入口側を前記真空動作補助装置の前記チャンバと連通する状態に設定する第1動作状態と、前記制御弁が前記真空ポンプの前記入口側を大気と連通する状態に設定する第2動作状態と、前記制御弁内に含まれる一方向弁であって、前記制御弁が前記第1動作状態にある場合に、前記チャンバから前記真空ポンプに向かう方向にのみ空気の流れを可能にするように動作する第1一方向弁と、前記真空ポンプの前記入口側が前記チャンバと連通している前記第1動作状態に対応する第1動作位置に向かってばねによって付勢される弁部材と、を有する、制御弁を提供する段階を備え、
前記方法はさらに、
前記真空動作補助装置の前記チャンバ内の圧力が所定の閾値を超える場合、前記制御弁を前記第1動作状態に設定する段階と、
前記真空動作補助装置の前記チャンバ内の圧力が所定の閾値を下回る場合、前記制御弁を前記第2動作状態に設定する段階と
前記真空ポンプに統合され、且つ、前記真空ポンプから前記チャンバに向かう油蒸気の流れを防ぐように構成された第2一方向弁を提供する段階と、
前記真空動作補助装置に統合され、且つ、前記流体連通ラインから前記チャンバに向かう空気の流れを防ぐように構成された第3一方向弁を提供する段階と、
を備え
前記弁部材は、前記チャンバおよび前記制御弁の間における前記流体連通ラインに沿う点に存在する圧力に直接露出され、これにより、前記弁部材が、前記チャンバ内に存在する真空によって直接、前記ばねの伸展力に抗して前記ばねを圧縮させ、第2動作位置に向かって移動させられ、前記第2動作位置は、前記真空ポンプの前記入口側が大気と連通している前記第2動作状態に対応する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空動作補助装置、または「ブースター」を備えた自動車ブレーキシステムに関し、自動車エンジンで駆動する真空ポンプと、真空ポンプと上記補助装置のチャンバとの間にあり、上記真空ポンプによって生成された真空を上記チャンバに連通させる流体連通ラインと、上記流体連通ラインに挿入され、補助装置の上記チャンバから真空ポンプに向かう方向にのみ空気の流れを可能にする少なくとも1つの一方向弁とを含む。
【背景技術】
【0002】
上記のタイプのシステムは、例えば、文書US 2014/0171264 A1に記載され示されている。この文書に示されている解決策では、内燃機関は摩擦クラッチを介して真空ポンプを機械的に駆動する。ポンプの動作が不要な場合、真空ポンプと内燃機関との間の機械的接続を中断するために、摩擦クラッチが開かれ、より高い燃料消費と排気でのCOのより高い生産を生成する無駄なエネルギーの浪費を避ける。
【0003】
また、真空ポンプの動作が不要な場合、再度真空ポンプを停止するために、電動ポンプを使用することも提案されている。しかし、この解決策は、補助装置のチャンバ内の圧力を検出するセンサからの信号の関数としてポンプの作動を制御する電動機および電子回路の使用を意味する。
【0004】
上に示した既知の解決策は両方とも、比較的高価なかつ/または比較的大きな装置の使用を意味するという欠点を有する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、非常に単純で安価な手段を用いて、内燃機関によって駆動する真空ポンプによるエネルギーの浪費を削減することである。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、本説明の冒頭で示したすべての特徴を備えた真空動作補助装置を有する自動車ブレーキシステムを提供し、それはさらに、
真空ポンプと補助装置のチャンバとの間の上記流体連通ラインに沿って挿入された制御弁であって、上記制御弁は、
上記制御弁が真空ポンプの入口側を補助装置の上記チャンバと連通する状態に設定する第1動作状態と、
上記制御弁が真空ポンプの入口側を大気と連通する状態に設定する第2動作状態と、
を有する、制御弁と、
制御弁を作動させる作動装置であって、
補助装置のチャンバ内の圧力が所定の閾値を超える場合、真空ポンプの入口側が補助装置のチャンバと連通する第1動作状態に制御弁を設定し、
補助装置のチャンバ内の圧力が所定の閾値を下回る場合、真空ポンプの入口側が大気と連通する第2動作状態に制御弁を設定する
ように構成される、装置
とを備える
ことをさらに特徴とする。
【0007】
上記の特徴により、補助装置のチャンバ内の圧力が上記閾値より低い場合、つまり、上記チャンバ内にブレーキシステムの通常の動作に十分な真空があることを意味し、真空ポンプ入口側は大気と連通している。したがって、この状態では、真空ポンプは大気から空気を取り込み、大気に空気を送り込む(真空ポンプの出口側は常に大気と連通している)。この状態は、真空ポンプを駆動するために内燃機関が消費しなければならない最小エネルギーレベルに対応する。したがって、このように、容積が削減された、比較的低コストの弁を1つ追加するだけで、ポンプの動作が不要な状態で無駄なエネルギーの浪費を避けるために問題が解決される。したがって、この目標は、上記の既知の解決策の場合の代わりに、ポンプと内燃機関またはポンプを作動させる電子制御電動機との間に摩擦クラッチを提供する必要なしに達成される。
【0008】
好ましい実施形態では、制御弁は、真空ポンプの入口側が補助装置のチャンバと連通している、上記第1動作状態に対応する第1位置に向かってばねによって付勢される弁部材を含む。同じ弁部材は、補助装置のチャンバ内に存在する真空によって、上記第2動作状態に対応する第2位置に向かって付勢され、真空ポンプの入口側は大気と連通している。
【0009】
上記のタイプのブレーキシステムでは、補助装置のチャンバ内の圧力を検出するための圧力センサが提供されることがある。このセンサは、自動車の停止および始動機能を制御する電子コントローラと通信ように適合される。この場合、本発明のさらなる実施形態によれば、上記制御弁は上述のセンサに関連付けられ、かつ/またはセンサと統合され得る。
【0010】
また、上述のブレーキシステムの場合、真空ポンプに関連付けられ、補助装置のチャンバに向かう油蒸気の流れを防ぐように適合された一方向弁が提供され得る。この場合、本発明のさらなる実施形態によれば、上述の制御弁は、真空ポンプの上述の一方向弁に関連付けられ、かつ/または一方向弁と統合され得る。
【0011】
また、上記に示されたブレーキシステムの場合、補助装置のチャンバに関連付けられ、かつ上記チャンバに向かう空気の流れを防ぐように適合された一方向弁が提供される。さらなる実施形態によれば、上述の制御弁は、補助装置の上記一方向弁に関連付けられ、かつ/または一方向弁と統合され得る。
【0012】
上記制御弁は、補助装置のチャンバの圧力を検出するためのセンサによって発せられる信号に基づいて電子制御部によって付勢されるソレノイドを有するソレノイド弁である実施形態など、さらなる実施形態は決して除外されない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のさらなる特徴および利点は、単に非限定的な例として与えられた添付の図面を参照した以下の説明から明らかになるであろう、
図1】本発明によるブレーキシステムの例示的な実施形態の図表である。
図2】本発明の一実施形態の2つの異なる動作状態のうちの一方を示す図表である。
図3】本発明の一実施形態の2つの異なる動作状態のうちの他方を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1において、参照番号1は、一般に、2つのライン4、5を介して自動車の車輪に関連付けられたブレーキに加圧作動油を送り込むためにブレーキペダル3によって作動するマスタシリンダ2を含む自動車ブレーキシステムを示す。
【0015】
図2、3の純粋に例示的な表現に示されるように、マスタシリンダ2は、ロッド22によってブレーキペダル3と補助装置または「ブースター」25のケーシング24の内側に配置されたダイヤフラム23との両方に動作可能に接続される作動ステム21を有する。ダイヤフラム23は、流体連通ライン6を介して真空ポンプ7の入口側と連通している補助装置25のチャンバ26に面し、真空ポンプ7は、従来技術によれば、自動車の内燃機関8のクランクシャフトによって常に駆動される(図1を参照)。本明細書に示される特定の例では、ポンプ7(図2)のシャフト70は、内燃機関8(図1)のカムシャフト9によって回転駆動され、次にクランクシャフトによって回転駆動される。
【0016】
また、従来技術によれば、ポンプ7は、補助装置25のチャンバ26から空気を取り入れて、このチャンバ内に真空を生成する。この真空により、ブレーキペダル3が作動すると、ダイヤフラム23がマスタシリンダのステム21に補助力を加えることができ(図2、3)、この補助力は、ブレーキペダル3に加えられる圧力によって生成される力に追加される。
【0017】
当然、すでに前述したように、マスタシリンダ2および補助装置25の部品の構造、構成および配置、ならびにそれらの動作は、任意の既知の方法で作成することができ、本発明の範囲内に単独で含まれることはないことから、本明細書では詳細に開示されていない。
【0018】
また、図1を参照すると、真空ポンプ7の入口側を補助装置25のチャンバに接続する流体連通ライン6に沿って、補助装置25のチャンバからポンプ7の入口側に向かう方向にのみ空気の流れを可能にする少なくとも1つの一方向弁が提供されている。動作時に、ポンプ7は、補助装置25のチャンバから空気を取り入れ、空気を大気中に送り込み、上述のチャンバ内の所望の真空レベルを維持する。
【0019】
また、本明細書に示される特定の場合の図1を参照すると、ブレーキシステムは、第1一方向弁10を含み、第1一方向弁10は通常、真空ポンプ7の本体に統合され、その機能は、ポンプ7から補助装置25のチャンバ26に向かう油蒸気の流れを防ぐことである。第2一方向弁11は、通常、補助装置25に関連付けられ、かつ統合されており、補助装置25のチャンバ26に向かう空気の流れを防ぐ目的を有する。
【0020】
また、図1を参照すると、自動車に停止および始動機能を制御するシステムが備わっている場合、本明細書に示すシステムは、内燃機関は停止しているが、補助装置25内の真空が不十分な段階で内燃機関の始動を提供するため、補助装置25のチャンバ26内に存在する圧力レベルを検出するとともに、電気信号を電線13を介して停止および始動機能を制御するための電子コントローラ(図1には示されていない)に通信するように適合された圧力センサ18を含み得る。
【0021】
すでに前述したように、真空動作補助装置を有するブレーキシステムで遭遇する問題は、また、ポンプによる動作が必要とされない場合も、すなわち、補助装置の通常の動作を保証するのに十分な真空が補助装置25のチャンバ内にすでに存在する場合も、真空ポンプ7が内燃機関8によって連続的に機械的に駆動し、結果としてエネルギーが浪費されることである。
【0022】
上述の問題を解決するために、本発明は、流体連通ライン6に沿った制御弁Vの配置を提供し、ブレーキシステムの通常の動作を保証するのに十分な真空が補助装置25内にすでにある状態で、その弁が、補助装置25のチャンバ26ではなく、大気に放出された通路A(図1に図式的に示されている)と連通するようポンプ7の入口側を設定するように適合される。換言すれば、本発明によるシステムでは、制御弁Vのおかげで、真空ポンプ7の動作が必要とされない場合に、真空ポンプ7の入口側は大気に接続される。したがって、これらの状態では、真空ポンプ7は大気から空気を取り込み、大気に空気を送り込む(真空ポンプの出口側は常に大気と連通している)。この状態は、真空ポンプ7を駆動するための内燃機関によるエネルギー消費が最小という状態に対応する。
【0023】
この点に関して、本発明の目的のために、真空ポンプは任意の既知の方法で作成できることに留意されたい。ポンプの構造の詳細は、本発明の範囲内にないために、図面をより簡単かつ理解しやすくするためにも、本明細書では説明も図示もしない。いずれにしても、内燃機関によって駆動する真空ポンプを参照する本説明では、具体例では、内燃機関のカムシャフトを介して真空ポンプが内燃機関によって回転する回転アセンブリを有することを意味する事実は明らかである。図2、3は、マスタシリンダ2に関連付けられた補助装置25の表現を備えたシステムを示している(すでに前述した)。図2、3の図表には、真空ポンプ7に関連する一方向弁10のみが示されている。図2、3の図表においても、流体連通ライン6は、図1のさらなる一方向弁11も含み得、これは、補助装置25、ならびに停止および始動機能を制御するシステムと通信するセンサ12に関連していることが明確に理解される。また、図2、3を参照すると、70は、内燃機関によって駆動する真空ポンプ7の作動シャフトを図式的に示している。参照番号71は、大気に連通している真空ポンプ7の出口側を示している。
【0024】
また、図2、3を参照すると、制御弁Vは、2つの動作位置を有する弁部材V1を備えるものとして概略的に示されている。ばねMは、弁Vの第1動作状態に対応する第1動作位置に弁部材V1を保持する傾向があり、真空ポンプ7の入口側は、チャンバ26から真空ポンプ7に向かう方向にのみ流れを可能にする一方向弁Rを含むラインを介して、補助装置25のチャンバ26と連通する。
【0025】
弁Vは、弁部材Vの位置が、補助装置25のチャンバ26と常に連通している点Pに存在する圧力に対して(ラインLを介して)感知可能である任意の既知のタイプのものである。したがって、チャンバ26内に存在する真空は、ばねMの作用に抗して、弁部材V1を第2動作位置に移動させる傾向がある。弁部材V1の第2動作位置を図3に示す。概略的に示されているように、この位置では、ポンプ7の入口側は補助装置25のチャンバ26とはもはや連通しておらず、代わりに大気に放出される通路Aと連通している。
【0026】
弁Vが第2動作状態にある場合、真空ポンプ7は大気から空気を取り入れ、大気に空気を送り込み、したがって、最小のエネルギー消費で内燃機関によって駆動することができる。
【0027】
弁Vは、補助装置25のチャンバ26内の圧力が所定の閾値を下回る場合、真空効果により弁部材が第1位置から第2位置への移動が引き起こされるように構成され、かつ寸法決めされている。
【0028】
すでに示したように、弁Vは任意の既知のタイプのものとすることができ、弁部材は、弁の出口を弁部材の位置の関数として弁の第1入口または弁の第2入口のいずれかと連通する状態に設定する2つの位置を有する。弁Vの弁部材V1は、チャンバ26内に存在する真空の単純な効果により機械的に駆動され得る。この目的のために、例えば、補助装置25のチャンバ26と連通するチャンバに面するダイヤフラムを有するダイヤフラム動作アクチュエータが提供されてもよく、そのため、チャンバ26内に存在する真空がダイヤフラムの動きを引き起こし、これは例えば接続ステムを介して弁部材に伝達される。このタイプのダイヤフラム動作アクチュエータ装置は一般的であり、熟練した専門家に知られているように、様々な用途で使用されている。このため、図面をより簡単かつ理解しやすくするために、弁Vの構造の詳細は、本明細書では説明も図示もしない。特に、本発明の基礎となる概念は、その構造および構成とは無関係に、このチャンバ内の真空がブレーキシステムの通常の動作に十分な場合、補助装置25のチャンバとではなく、大気と連通する真空ポンプの入口側を設定する目的で、上に示したタイプの弁を提供するという概念であることを理解されたい。
【0029】
すでに前述したように、弁Vは、流体連通ライン6に沿って提供される独立したコンポーネントであってもよく、または、例えば、真空ポンプ7の一方向弁10、もしくは補助装置25の一方向弁11、あるいは停止および始動機能を制御するシステムと通信するセンサ12に関連付けられ、かつ/または統合され得る。
【0030】
すでに前述したように、本明細書に記載の実施形態の場合、弁部材Vは、チャンバ26内の真空に敏感なアクチュエータによって機械的に作動され、システムは、チャンバ26内の圧力が所定の閾値を下回る場合、すなわち、チャンバ26内に、ブレーキシステムの通常の動作に十分な真空がある場合、真空ポンプ7の入口側が大気に放出された通路Aと連通する状態に設定するように構成および配置される。実際の例示的な実施形態では、この閾値は、0.1バールの絶対圧力、すなわち大気圧に対して0.9バールの真空に対応して選択された。
【0031】
また、補助装置25のチャンバ26内の圧力が低下している場合、真空ポンプの入口側を大気に放出するための第1閾値と、およびこのチャンバ内の圧力が増加している場合、真空ポンプの入口側とチャンバ26との連通を戻して有効にするための第2閾値とを提供することも可能であり、この第2閾値は、安全のために第1閾値に対して低い圧力レベルで選択される。このようにして、システムはヒステリシスを伴って動作し、圧力が閾値に近づくと弁が連続的に移動するのを防ぐ。
【0032】
しかしながら、本発明は、制御弁Vがソレノイドを有するソレノイド弁である場合を排除するものではなく、ソレノイドの起動は、補助装置25のチャンバ26内の圧力を検出するセンサにより発せられる信号に基づいて電子コントローラにより制御される。
【0033】
いずれにしても、本発明は、補助装置25内の真空がすでにブレーキシステムの通常の動作を可能にするのに十分なレベルにある段階中に真空ポンプを駆動するために必要な内燃機関のエネルギー消費を削減するという目的を達成する。この結果は、非常に単純で安価な手段で、容積を削減して得られる。
【0034】
当然、本発明の原理は同じままであるが、構成および実施形態の詳細は、添付の特許請求の範囲に定義されているように、本発明の範囲から逸脱することなく、純粋に例として説明および図示されているものに関して大きく変化し得る。
図1
図2
図3