(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】表示体及び表示体の製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20220906BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20220906BHJP
G02B 5/22 20060101ALI20220906BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20220906BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B5/28
G02B5/22
B32B7/023
B32B3/30
(21)【出願番号】P 2020156524
(22)【出願日】2020-09-17
(62)【分割の表示】P 2018229225の分割
【原出願日】2018-12-06
【審査請求日】2020-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】吉村 麻衣
(72)【発明者】
【氏名】川下 雅史
【審査官】池田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/068769(WO,A1)
【文献】特開2018-112732(JP,A)
【文献】特開2018-111253(JP,A)
【文献】特開2020-091430(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104532439(CN,A)
【文献】米国特許第04155627(US,A)
【文献】特許第6500943(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/28
G02B 5/22
B32B 7/023
B32B 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の表示要素を有し、且つ構造色を生じる表示体であって、
上記複数の表示要素は、凹凸構造を有する凹凸層を備え、
上記凹凸層は、凸部によって構成されるパターンを有し、
上記凹凸層と対向する方向から見て、上記凸部で構成されるパターンは、複数の仮想的な矩形内にそれぞれ配置された図形要素に分割可能であり、
上記仮想的な各矩形内に配置される各図形要素は、配置された矩形に内接し、
上記仮想的な複数の矩形は、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有し、
上記第1方向に沿った辺の長さはサブ波長以下であり、
上記第1方向に沿った方向と、上記複数の仮想的な矩形の並び方向とのなす角度をθとしたとき、
上記角度θは、各表示要素内で一定であり、
上記複数の表示要素の少なくとも一つの表示要素は、上記角度θが、0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満であり、
凸部を構成する上記図形要素の位置を特定する仮想的な矩形として、上記第1方向に沿った辺で繋がっている複数の矩形を有し、
上記第1方向に沿った辺で繋がっている複数の矩形の、第2方向に沿った辺の和の1/2の平均値は4.15μm以下であり、当該第2方向に沿った辺の和の1/2の平均値の標準偏差は1μm以下であり、
上記矩形の平面形状は、正方形、または長方形であり、
上記矩形の上記第1方向に沿った長さd1は、一定であり、
上記パターンを構成する上記各凸部は、連続して並ぶ複数の上記図形要素から構成され、
上記複数の矩形は、
上記図形要素が上記角度θ方向には連続するが、上記第1方向及び上記第2方向に
は連続しないように配列されて
おり、
上記矩形は、第2方向に沿った辺の長さの和の1/2の標準偏差が、上記第1方向に沿った辺の長さの標準偏差より大きく、
上記凹凸層の表面と対向する方向から上記凹凸構造を見たとき、上記表示要素を構成する領域内において、上記複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部が占める割合が40%以上60%以下であり、
上記各表示要素において、上記複数の図形要素から成るパターンの凸部の構造高さが異なる表示要素を含み、その差が5nm以上であり、
上記表示体は、上記凹凸層が有する上記凹凸構造単独で構造色を生じるものである、
ことを特徴とする表示体。
【請求項2】
上記角度θが0°以上180°以下の表示要素と、0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満の表示要素とを有することを特徴とする請求項1に記載の表示体。
【請求項3】
上記矩形の上記第1方向に沿った辺の長さは830nm以下であり、上記複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部の高さは415nm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の表示体。
【請求項4】
上記凹凸構造は、基材の一方の面側に形成され、
上記基材を、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成したことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の表示体。
【請求項5】
上記凹凸構造は、基材の一方の面側に形成され、
上記基材の一方の面とは反対側の裏面を、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成したことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の表示体。
【請求項6】
上記矩形の平面形状は、正方形であることを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の表示体。
【請求項7】
上記矩形の上記第2方向に沿った長さd2は、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の表示体。
tanθ=d2/L ・・・式(1)
(ここで、長さLは、上記第1方向に沿った辺を介して隣接する2つの上記矩形の、左上の頂点を結んだ直線の長さをαとしたとき、αcosθ=Lを満たす長さのことを指す。)
【請求項8】
複数の表示要素を有し、且つ構造色を生じる表示体の製造方法であって、
凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸層を形成する第1工程、を含み、
上記第1工程では、上記凹凸層は、凸部によって構成されるパターンを有し、
上記凹凸層と対向する方向から見て、凸部の構成するパターンは複数の仮想的な矩形内にそれぞれ配置された図形要素に分割可能であり、
上記仮想的な各矩形内に配置される各図形要素は、配置された矩形に内接し、
上記仮想的な複数の矩形は、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有し、
上記第1方向に沿った辺の長さはサブ波長以下であり、
上記第1方向に沿った方向と、上記複数の仮想的な矩形の並び方向とのなす角度をθとしたとき、
上記角度θは、各表示要素内で一定であり、
上記複数の表示要素の少なくとも一つの表示要素は、上記角度θが、0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満であり、
凸部を構成する上記図形要素の位置を特定する仮想的な矩形として、上記第1方向に沿った辺で繋がっている複数の矩形を有し、
上記第1方向に沿った辺で繋がっている複数の矩形の、第2方向に沿った辺の和の1/2の平均値は4.15μm以下であり、当該第2方向に沿った辺の和の1/2の平均値の標準偏差は1μm以下であり、
上記矩形の平面形状は、正方形、または長方形であり、
上記矩形の上記第1方向に沿った長さd1は、一定であり、
上記パターンを構成する上記各凸部は、連続して並ぶ複数の上記図形要素から構成され、
上記複数の矩形は、
上記図形要素が上記角度θ方向には連続するが、上記第1方向及び上記第2方向に
は連続しないように配列されて
おり、
上記矩形は、第2方向に沿った辺の長さの和の1/2の標準偏差が、上記第1方向に沿った辺の長さの標準偏差より大きく、
上記凹凸層の表面と対向する方向から上記凹凸構造を見たとき、上記表示要素を構成する領域内において、上記複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部が占める割合が40%以上60%以下であり、
上記各表示要素において、上記複数の図形要素から成るパターンの凸部の構造高さが異なる表示要素を含み、その差が5nm以上であり、
上記表示体は、上記凹凸層が有する上記凹凸構造単独で構造色を生じるものである、
ことを特徴とする表示体の製造方法。
【請求項9】
上記矩形の平面形状は、正方形であることを特徴とする請求項
8に記載の表示体の製造方法。
【請求項10】
上記矩形の上記第2方向に沿った長さd2は、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項
8又は請求項
9に記載の表示体の製造方法。
tanθ=d2/L ・・・式(1)
(ここで、長さLは、上記第1方向に沿った辺を介して隣接する2つの上記矩形の、左上の頂点を結んだ直線の長さをαとしたとき、αcosθ=Lを満たす長さのことを指す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示体及び表示体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
モルフォ蝶等の自然界の生物の色として多く観察される構造色は、色素が呈する色のように分子における電子遷移に起因して視認される色とは異なり、光の回折や干渉や散乱といった、物体の微細な構造に起因した光学現象の作用によって視認される色である。
例えば、多層膜干渉による構造色は、相互に隣り合う薄膜の屈折率が互いに異なる多層膜層において、多層膜の各界面で反射した光が干渉することによって生じる構造色である。また、多層膜干渉は、モルフォ蝶の翅の発色原理の1つである。モルフォ蝶の翅では、多層膜干渉に加えて、翅の表面の微細な凹凸構造によって光の散乱や回折が生じる結果、鮮やかな青色が広い観察角度において視認される。
【0003】
モルフォ蝶の翅のような構造色を人工的に再現する構造として、特許文献1に記載のような構造がある。特許文献1では、不均一に配列された微細な凹凸を有する基材の表面に、多層膜層が積層された構造が提案されている。
多層膜層において、干渉によって強められる光の波長は、多層膜層の各層にて生じる光路差によって変わり、光路差は各層の膜厚及び屈折率に応じて決まる。そして、干渉によって強められた光の出射方向は、入射光の入射角度に依存した特定の方向に限定される。したがって、平面に多層膜層が積層された構造では、視認される反射光の波長が観察角度によって大きく変化するため、視認される色が観察角度によって大きく変化する。
【0004】
これに対し、特許文献1の構造では、不規則な凹凸の上に多層膜層が積層されていることにより、干渉によって強められた反射光が多方向に広がるため、観察角度による色の変化が緩やかになる。その結果、モルフォ蝶の翅のように広い観察角度で特定の色を呈する発色体が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した構造体による構造色は、色素色とは異なる視認効果を実現することが可能である。例えば、特許文献1の構造体において、凹凸構造の凸部は、凹凸の形成された面から対向する方向から見て、各凸部にて共通な方向に延びる矩形形状を有しており、その凸部の長辺方向の長さは不規則である。その一方で、凸部の短辺方向の長さはほぼ一定である。すなわち、複数の凸部における長辺方向は異方性を有しており、その結果、反射光の広がる方向も異方性を有する。そこで、例えば凹凸構造の長辺方向を領域ごとに変更した場合、領域ごとに反射光の広がる方向は異なり、観察する位置により構造体が呈する色の明るさ等の見え方が変わり、意匠性の高い表示体を作製することが可能である。
【0007】
また、上述した凹凸構造は、例えば、基材に電子線リソグラフィにより矩形状のパターンを描画し、ドライエッチングなどにより凹凸構造を形成する方法や、電子線リソグラフィとドライエッチングにより形成されたモールドの凹凸を、ナノインプリント法により樹脂層に転写することにより形成される。電子線リソグラフィは、電子線を一点に絞って描画するスポットビーム方式と、電子線を矩形形状に切り取って描画する可変成形方式がある。
可変成形方式は、直交する第1及び第2の方向に沿った矩形形状を一括に描画することが可能であり、不規則な凹凸構造の凸部は、凹凸の形成された面から対向する方向から見て、各凸部にて共通な方向に延びる矩形形状を有しているため、可変成形方式を用いることで高速に描画し、作製することが可能である。
【0008】
しかしながら、凹凸構造の長辺方向を領域ごとに変更する場合、凸部を構成する矩形形状の辺の方向と、電子線の矩形形状の辺の方向が一致しない領域が発生し、上記領域においては、電子線の矩形形状の辺の方向に対して傾いた形状を描画することになる。特に斜め線を含む領域において、描画時のショット分割数が多くなり、凹凸構造の形成に時間がかかる。
【0009】
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、第1の目的は波長より小さな図形要素を組み合わせることにより、凸部の長辺方向を領域ごとに擬似的に変更することで、観察角度により色の見え方の異なる意匠性の高い表示体を提供することにある。
また、第2の目的は、波長より小さな矩形形状を組み合わせることにより、電子線の矩形形状の辺の方向と、凹凸構造の辺の方向を一致させながらも、擬似的に凸部の長辺方向を変えることで、観察角度により色の見え方の異なる意匠性の高い表示体を簡便な工程によって製造することが可能な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
課題を解決するために、本発明の一態様は、複数の表示要素を有する表示体であって、上記複数の表示要素は、凹凸構造を有する凹凸層と、上記凹凸構造上に設けられた2層以上からなる多層膜層と、を備え、上記多層膜層は、隣接する層の屈折率が互いに異なり、上記凹凸層は、凸部によって構成されるパターンを有し、上記凹凸層と対向する方向から見て、上記凸部で構成されるパターンは、複数の仮想的な矩形内にそれぞれ配置された図形要素に分割可能であり、上記仮想的な各矩形内に配置される各図形要素は、配置された矩形に内接し、上記仮想的な複数の矩形は、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有し、上記第1方向に沿った辺の長さはサブ波長以下であり、上記第1方向に沿った方向と、上記複数の仮想的な矩形の並び方向とのなす角度をθとしたとき、上記角度θは、各表示要素内で一定であり、上記複数の表示要素の少なくとも一つの表示要素は、上記角度θが、0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満であることを要旨とする。
【0011】
また、本発明の他の態様は、複数の表示要素を有する表示体の製造方法であって、凹版の有する凹凸をナノインプリント法を用いて樹脂を含む層に転写することにより、表面に凹凸層を形成する第1工程と、上記凹凸層に沿って多層膜層を形成し、その際、当該多層膜層において相互に隣接する層の屈折率が互いに異なり、当該多層膜層への入射光のうちの特定の波長域での光の反射率が他の波長域での光の反射率よりも高くなるように形成する第2工程と、を含み、上記第1工程では、上記凹凸層は、凸部によって構成されるパターンを有し、上記凹凸層と対向する方向から見て、凸部の構成するパターンは複数の仮想的な矩形内にそれぞれ配置された図形要素に分割可能であり、上記仮想的な各矩形内に配置される各図形要素は、配置された矩形に内接し、上記仮想的な複数の矩形は、第1方向に沿った辺と、上記第1方向と直交する第2方向に沿った辺とを有し、上記第1方向に沿った辺の長さはサブ波長以下であり、上記第1方向に沿った方向と、上記複数の仮想的な矩形の並び方向とのなす角度をθとしたとき、上記角度θは、各表示要素内で一定であり、上記複数の表示要素の少なくとも一つの表示要素は、上記角度θが、0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、凹凸構造に対向する方向から凹凸構造を見たときの凸部のパターンを、互いに直交する第1方向及び第2方向に沿った辺を有する仮想的な複数の矩形形状にそれぞれ内接する形状の図形要素で構成し、少なくとも一部の表示要素において、隣接した矩形を上記第1方向及び第2方向とは異なる第3の方向に沿って並べることで、擬似的に長軸方向の異なる凹凸構造を作製することが可能となる。この結果、本発明の一態様によれば、観察角度によって色の見え方が異なる意匠性の高い表示体を得られる。
更に、本発明の一態様によれば、波長より小さな矩形形状を組み合わせることにより、電子線の矩形形状の辺の方向と、凹凸構造の辺の方向を一致させながらも、擬似的に凸部の長辺方向を変えることで、観察角度により色の見え方の異なる意匠性の高い表示体を簡便な工程によって製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態に係る製造方法によって製造される表示体の表面構造を示す平面図である。
【
図2】
図1の表示体に含まれる表示要素の断面構造を示す断面図である。
【
図3】
図1の表示体に含まれる表示要素の表面構造を説明する平面図である。
【
図4】
図1の表示体に含まれる表示要素の表面構造を説明する平面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る製造方法によって製造される表示体に含まれる表示要素の断面構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
次に、
図1~4を参照して、表示体及びその製造方法について説明する。
なお、表示体に対する入射光及び反射光の波長域は特に限定されないが、以下の実施形態においては、一例として、可視領域の光を対象とした表示体について説明する。以下の説明において、可視領域の光とは、360nm以上830nm以下の波長域の光を指す。
図1に示すように、表示体10は基材の表面上に、複数の表示要素が形成される。なお、
図1では、簡略のために、2つの表示要素しか例示されていないが、本実施形態に係る表示体10は、3つ以上の表示要素を含んでいても良い。また、
図1では、2つの表示要素12(#1)、12(#2)は同じサイズとして例示されているが、複数の表示要素はそれぞれ異なるサイズや異なる輪郭形状であっても良い。
【0015】
図2は表示要素の構成例を示す断面図である。すなわち、表示要素は、
図2に示すように、基材の一方の面側に形成された凹凸構造23を有する凹凸層と、凹凸構造23上に積層された複数の層からなる多層膜層24とからなる。また、多層膜層24は、凹凸構造23の凹凸形状に追従して積層され、各表示要素の凸部及び凹部が形成される。
ここで、凹凸構造23は、
図2のように、基材の一方の面側に形成され、凹凸層を構成する基材を、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成しても良い。
その理由は、次の通りである。
すなわち、多層膜層を透過した光の少なくとも一部は吸収層によって吸収され、透過光が第1面側に返ってくることが抑えられる。したがって、凹凸層を有する面から表示体を観察した場合に、多層膜層からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性の低下を抑制することが可能である。
【0016】
また、凹凸構造23は、基材の一方の面側に形成され、基材の一方の面とは反対側の裏面を、可視光波長領域の光を吸収する材料により形成しても良い。
その理由は、次の通りである。
すなわち、多層膜層を透過した光の少なくとも一部は吸収層によって吸収され、透過光が第1面側に返ってくることが抑えられる。したがって、凹凸層を有する面から表示体を観察した場合に、多層膜層からの反射光とは異なる波長域の光が視認されることが抑えられるため、反射光による色の視認性が低下を抑制することが可能である。
【0017】
図2に示した凹凸構造23を基材11に加工するには、例えば電子線や紫外線リソグラフィとドライエッチングなど公知の技術を用いれば良い。
多層膜層24は、隣接する層の屈折率が互いに異なる。本実施形態の多層膜層24は、高屈折率層22と低屈折率層21を交互に積層した構造を有する。高屈折率層22の屈折率は、低屈折率層21の屈折率よりも大きい。凹凸構造23における凸部上と凹部上とで、多層膜層24の構成、すなわち、多層膜層24を構成する各層の材料や膜厚や積層順序は一致している。
【0018】
こうした多層膜層24に光が入射すると、多層膜層24における高屈折率層22と低屈折率層21との各界面で反射した光が干渉を起こすとともに、多層膜層24の最外面における不規則な凹凸に起因して進行方向を変える。この結果、特定の波長域の光が広い角度に出射される。この反射光として強く出射される特定の波長域は、高屈折率層22と低屈折率層21との材料及び膜厚、ならびに、凹凸の幅、高さ及び配置によって決まる。
高屈折率層22と低屈折率層21とは、可視領域の光を透過する材料、すなわち、可視領域の光に対して透明な材料から構成される。高屈折率層22の屈折率が、低屈折率層21の屈折率よりも高い構成であれば、これらの層の材料は限定されないが、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差が大きいほど、少ない積層数で高い強度の反射光が得られる。こうした観点から、例えば、高屈折率層22と低屈折率層21とを無機材料から構成する場合、高屈折率層22を二酸化チタン(TiO2)から構成し、低屈折率層21を二酸化珪素(SiO2)から構成することが好ましい。ただし、高屈折率層22及び低屈折率層21の各々は、有機材料から構成されてもよい。
【0019】
高屈折率層22及び低屈折率層21の各々の膜厚は、表示体10にて発色させる所望の色に応じて、転送行列法等を用いて設計されればよい。例えば、青色を呈する表示体の場合は、TiO2からなる高屈折率層の膜厚は40nm程度であることが好ましく、SiO2からなる低屈折率層21の膜厚は75nm程度であることが好ましい。
【0020】
図3を参照して、基材からなる凹凸層に形成された凹凸構造23の詳細について説明する。
図3(a)は、基材をその表面と対向する方向(厚さ方向)から見た平面図であり、
図3(b)は
図3(a)のIII-III線に沿った基材の断面構造を示す図である。
図3(c)は
図3(a)の凸部31の一つを拡大した図である。
表示パターンとなる各凸部は、連続して並ぶ複数の図形要素Rから構成される。
【0021】
なお、
図3については簡略のため図形要素を矩形形状(仮想的な矩形と同一)としているが、図形要素Rは、仮想的な矩形形状Fに内接する図形であれば良く、例えば
図4のような円形や五角形などの多角形でも良い。
図4(a)は、複数の図形要素が仮想的な矩形形状に内接する場合の、基材をその表面と対向する方向(厚さ方向)から見た平面図であり、
図4(b)は
図4(a)のIII-III線に沿った基材の断面構造を示す図である。
図4(c)は
図4(a)の凸部31の一つを拡大した図である。
【0022】
ここで、隣接した矩形Fの左上の頂点を通る仮想的な直線と、上記複数の矩形の第1方向に沿った辺のなす角度をθとする。すなわち、第1方向に沿った方向Dxと、一の凸部を構成する連続した複数の図形要素Rの並び方向とのなす角度をθとする。
この角度θは、表示要素毎に一定に設定される。
その理由は、凸部を特定の方向に異方性を持たせることにより、散乱光を特定の方向に反射させるためである。
【0023】
図3(d)はθ=0°又は180°の場合の基材をその表面と対向する方向から見た平面図であり、
図3(e)はθ=90°の場合の平面図である。
図3(a)、(d)、(e)においては、凹凸構造を構成する凸部にドットを付している。
図3(a)が示すように、第1方向Dxと第2方向Dyとは、仮想的な矩形Fの辺に沿った平面に含まれる方向であり、第1方向Dxと第2方向Dyとは直交する。
図3(a)が示すように、基材をその表面と対向する方向(厚さ方向)から見て、凸部が構成するパターンは、連続した複数の図形要素Rに分割可能であり、図形要素Rに外接した仮想的な矩形Fは、矩形Fを構成する第1方向Dxに沿った辺を介して連続している。
【0024】
複数の図形要素Rにおいて、第1方向Dxに沿った辺の長さd1は一定である。可視領域の光を反射させる場合、d1は830nm以下であることが好ましく、例えば、青色の表示要素とする場合は300nm程度が好ましい。
矩形Fにおける第1方向に沿った辺d1の長さはサブ波長以下とする。
その理由は、虹色の分光が生じるのを防ぐためである。
一方、複数の矩形Fにおいて、第2方向Dyに沿った長さd2は、角度θが0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満の場合、tanθ=d2/Lを満たす。長さLは、第1方向Dxに沿った辺を介して隣接する2つの矩形の、左上の頂点を結んだ直線の長さをαとしたとき、αcosθ=Lを満たす長さのことを指す。長さLは、製造工程において必要な精度であれば良く、例えば、小数点以下は切り捨てても良い。
【0025】
図3(c)では複数の矩形の第1方向に沿った長さd1とLは一致しているが、上述のαcosθ=Lを満たせば、一致しなくても良い。
角度θ=0°又は180°の場合はL=αとなり、
図3(d)に示す平面図になる。θ=90°の場合はL=0、α=d2となり、
図3(e)に示す平面図となる。
矩形の第2方向に沿った辺の長さの和の1/2の標準偏差は、第1方向に沿った辺の長さの標準偏差より大きいことが好ましい。
その理由は、第一方向に沿った辺の長さまたは中心を通り第一方向に沿った直線の長さのばらつきが大きくなることにより、二次元全方位に反射光が散乱し、反射率の低下を防止するためである。
【0026】
多層膜層24からの反射光を効率よく散乱させるためには、第1方向Dxに沿った辺を介して繋がっている複数の図形要素Rの第2方向Dyに沿った辺の長さd2の和の1/2は、平均値が4.15μm以下、かつ、標準偏差が1μm以下の分布を有することが好ましい。
凸部の高さhは、表示体の表面で反射させる光の波長に応じて適切な高さに設計すれば良い。高さhの値は後述する多層膜層の表面粗さより大きい高さであれば回折効果を得ることができる。但し、高さhを過剰に大きくすると散乱効果が強まり、多層膜表面から反射される光の彩度が損なわれるため、対象となる波長帯が可視領域の表示体の場合は、高さhの値は、凸部の高さは415nm以下が好ましい。高さhの値は、10nm以上200nm以下の範囲にあることがより好ましい。
【0027】
例えば青色の表示体では、効果的な光の広がりを得るためには、高さhの値は、40nm以上150nm以下が好ましい。散乱効果を制御するために、青色の表示体では、hが100nm以下であることがより好ましい。
また、凸部の高さhは各表示要素内で一定であれば良く、表示要素ごとに異なっていても良い。
【0028】
各表示要素において、複数の図形要素から成るパターンの凸部の構造高さが異なる場合、その差が5nm以上であることが好ましい。上限は200nm以下である。
その理由は、構造高さが過剰に大きくなると、反射光の散乱効果が高くなりすぎて反射光の強度が弱くなるからである。
また、複数の図形要素の集合から成るパターンを構成する凸部が占める割合が40%以上60%以下であることが好ましい。
その理由は、多層膜層からの反射光の広がりを大きくするため、すなわち、反射光の散乱効果を高めるためには、凹凸の起伏が多いことが好ましいためである。
【0029】
本実施形態では、複数の表示要素の少なくとも一つは、
図3(a)のように、角度θが0°より大きく90°未満、又は90°より大きく180°未満に設定されている。
そして、本実施形態に係る表示体及びその製造方法によれば、光の広がり効果を誘起するために、凹凸構造に対向する方向から凹凸構造を見たときの凸部のパターンを、互いに直交する第1方向及び第2方向に沿った辺を有する複数の矩形形状にそれぞれ内接した図形要素で構成し、各凸部を構成する複数の図形要素の並びを上記第1方向及び第2方向とは異なる第3の方向に沿って並べることで、擬似的に長軸方向の異なる凹凸構造を作製し、観察角度によって色の見え方が異なる意匠性の高い表示体を得られる。
【0030】
また、凸部で構成される全てのパターンは、第1方向及び第2方向に沿った辺を有する仮想的な矩形だけで特定される場合、すなわち、仮想的な矩形形状と内接する図形要素の形状が一致する場合、可変成形方式の電子線リソグラフィを用いることによりパターンを高速に描画し、凹凸構造を作製することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図4は、本実施形態に係る製造方法によって製造される表示体の画素要素の構成例を示す断面図である。これは、第1の実施形態における
図2に対応している。
図4では、第1の実施形態で説明した部分と同一の部分については同一符号を付して示し、以下の記載では、重複説明を避け、第1の実施形態と異なる点について説明する。
すなわち、本実施形態に係る製造方法によって製造される表示体は、その断面図を
図4に例示するように、多層膜層24と、基材11との間に形成された樹脂層32に凹凸構造が形成されている点が、第1の実施形態に係る表示体と異なっている。
【0032】
すなわち、基材11自体が凹凸層を構成する代わりに、基材11の上に設けた樹脂層32が凹凸層を構成する。
樹脂層32は、例えば、光ナノインプリント法により凹凸構造23を形成する場合に、基材11の表面に塗布される光硬化性樹脂で構成される。
本実施形態に係る表示体の製造方法では、この光硬化性樹脂からなる樹脂層32の上面を加工して、凹凸構造23を形成する。この場合、光インプリント用モールドを用意する必要がある。
【0033】
インプリント用モールドを作製するために、第1の実施形態で説明したように、例えば電子線や紫外線リソグラフィとドライエッチングなど公知の技術を用いれば良い。あるいは、インプリント用モールドをより簡便に作製するために、形成したレジストパターン上に、例えばニッケル(Ni)等の金属を成膜し、電鋳処理を行い、レジストを溶解し、Niからなるインプリント用モールドを作製する方法を適用するようにしても良い。
このような製造方法によっても、第1の実施形態で説明したような表示体10を製造することが可能となる。
【実施例】
【0034】
次に、上記説明したような製造方法と、その製造方法によって製造される表示体の特性について、実施例として以下に説明する。
【0035】
<実施例1>
実施例1における、表示体及びその製造方法について説明する。実施例1の表示体が有する表示要素は、
図2のように、基材に凹凸構造が形成された表示要素から構成される。
はじめに、インプリント用モールドを作製した。光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いるため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。モールドの形成に際しては、まず、合成石英基板の表面に、クロム(Cr)からなる膜をスパッタリングによって成膜し、可変成形方式の電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。形成したパターンは
図3(a)に示した複数の図形要素の集合からなるパターンであり、図形要素に外接する仮想的な矩形形状と図形要素の形状は一致している。パターン領域(各表示要素)は一辺が50mmの正方形であり、
図1に示すように表示要素を2つ作製するため、凹凸構造A(表示要素12(#1)の凹凸構造23)と、凹凸構造B(表示要素12(#1)の凹凸構造23)の2種類を形成した。凹凸構造Aの
図3(a)における上記矩形の第1方向の長さd1は300nmであり、仮想的な矩形の左上の頂点を通る仮想的な直線と、第1方向に沿った辺のなす角度θ=30°とした。凹凸構造Bの
図3(a)における上記矩形の第1方向の長さd1は300nmであり、θ=45°とした。
【0036】
複数の仮想的な矩形の第2方向に沿った辺の長さの和の1/2は、平均値が2000nm、標準偏差が500nmの正規分布から選択される長さである。上記パターンにおいて、各凸部を構成する、複数の矩形は第1方向及び第2方向に重ならないように配列されている。使用したレジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
次に、塩素(Cl2)と酸素(O2)との混合ガスに高周波を印加して発生させたプラズマにより、レジストから露出した領域のCr膜をエッチングした。続いて、六弗化エタンガスに高周波を印加して発生させたプラズマによりレジスト及びCr膜から露出した領域の合成石英基板をエッチングした。これによりエッチングした合成石英基板の深さは80nmであった。残存したレジスト及びCr膜を除去することにより、凹凸構造が形成された石英モールドを得た。モールドの表面には、離型剤としてオプツールHD-1100(ダイキン工業製)を塗布した。
【0037】
続いて、基材として用いる合成石英ウエハの表面に、光硬化性樹脂(PAK-02、東洋合成製)を塗布し、この樹脂にモールドの凹凸が形成されている面を押し当てて、モールドの裏面側から365nmの光を照射した。この光の照射によって光硬化性樹脂を硬化した後、合成石英ウエハ及び樹脂層をモールドから剥離した。これにより、凹凸構造を有する樹脂層が積層された合成石英ウエハが得られた。
続いて、合成石英ウエハに対してO2ガスを用いたプラズマによるエッチングを実施し、凹凸構造の凹部に残存している光硬化性樹脂を除去した。この工程では、O2ガスを40sccm導入し、プラズマ放電させた。次に、オクタフルオロシクロブタン(C4F8)とアルゴン(Ar)との混合ガスを用いたプラズマによるエッチングを実施し、樹脂層の有する凹凸構造を合成石英ウエハに転写した。この工程では、C4F8ガスを40sccm、Arガスを60sccm導入し、プラズマチャンバー内の圧力を5mTorrに設定後、RIEパワー75W、ICPパワー400Wを印加して、プラズマ放電させた。合成石英ウエハに形成された凹凸構造における凸部の高さは80nmとした。
【0038】
次に、ジメチルスルホキシド:モノエタノールアミン=7:3の混合液(ST-105、関東化学製)を用いた有機洗浄、硫酸及び過酸化水素水を基本成分とする混合水溶液(SH-303、関東化学製)を用いた酸洗浄を行い、第1の構造である凹凸構造を有する基材である合成石英ウエハを得た。
次に、上記合成石英ウエハの凹凸を有する表面に、真空蒸着によって、膜厚が60nmである高屈折率層としてのTiO2膜と、膜厚が80nmである低屈折率層としてのSiO2膜とを交互に成膜し、高屈折率層と低屈折率層との組を5組、すなわち、10層の層を有する多層膜層を形成した。これにより、実施例1の表示体が得られた。
実施例1の表示体を多層膜を積層した側から観察したところ、表示要素12(#1)は、表示要素に対して30°の方向から観察したとき、青色が最も明るく視認され、表示要素12(#2)では、表示要素に対して45°の方向から観察したとき、青色が最も明るく視認された。
【0039】
<実施例2>
実施例2における、表示体及びその製造方法を説明する。実施例2の表示体は、
図5のように、基材上の樹脂層に凹凸構造が形成された表示要素から構成した。
はじめに、インプリント用モールドを作製した。光ナノインプリント法において照射する光として、365nmの波長の光を用いるため、この波長の光を透過する合成石英をモールドの材料として用いた。モールドの形成に際しては、まず、合成石英基板の表面に、クロム(Cr)からなる膜をスパッタリングによって成膜し、可変成形式の電子線リソグラフィによって電子線レジストパターンをCr膜上に形成した。形成したパターンは
図3(a)に示した複数の図形要素の集合からなるパターンであり、図形要素に外接する仮想的な矩形形状と図形要素の形状は一致している。パターン領域は一辺が50mmの正方形であり、
図1に示すように表示要素を2つ作製するため、凹凸構造A(表示要素12(#1)の凹凸構造23)と、凹凸構造B(表示要素12(#1)の凹凸構造23)の2種類を形成した。凹凸構造Aの
図3(a)における上記矩形の第1方向の長さd1は300nmであり、仮想的な矩形の左上の頂点を通る仮想的な直線と、第1方向に沿った辺のなす角度θ=30°とした。凹凸構造Bの
図3(a)における上記矩形の第1方向の長さd1は300nmであり、θ=45°とした。
【0040】
仮想的な複数の矩形の第2方向に沿った辺の長さの和の1/2は、平均値が2000nm、標準偏差が500nmの正規分布から選択される長さである。上記パターンにおいて、各凸部を構成する、複数の矩形は第1方向及び第2方向に重ならないように配列されている。使用したレジストはポジ型であり、膜厚は200nmとした。
次に、塩素(Cl2)と酸素(O2)との混合ガスに高周波を印加して発生させたプラズマにより、レジストから露出した領域のCr膜をエッチングした。続いて、六弗化エタンガスに高周波を印加して発生させたプラズマによりレジスト及びCr膜から露出した領域の合成石英基板をエッチングした。これによりエッチングした合成石英基板の深さは80nmであった。残存したレジスト及びCr膜を除去することにより、凹凸構造が形成された石英モールドを得た。モールドの表面には、離型剤としてオプツールHD-1100(ダイキン工業製)を塗布した。
【0041】
次に、片面に易接着処理が施されたポリエステルフィルム(コスモシャインA4100、東洋紡製)の易接着処理が施された面に、光硬化性樹脂(PAK-02、東洋合成製)を塗布し、この樹脂にモールドの凹凸が形成されている面を押し当てて、モールドの裏面側から365nmの光を照射した。この光の照射によって光硬化性樹脂を硬化した後、ポリエステルフィルム及び樹脂層をモールドから剥離した。これにより、凹凸構造を有する樹脂層が積層された基材であるポリエステルフィルムが得られた。
次に、得られた基材と樹脂層との積層体の凹凸を有する面に、真空蒸着によって、膜厚が60nmである高屈折率層としてのTiO2膜と、膜厚が80nmである低屈折率層としてのSiO2膜とを交互に成膜し、高屈折率層と低屈折率層との組を5組、すなわち、10層の層を有する多層膜層を形成した。
【0042】
実施例1の表示体を多層膜を積層した側から観察したところ、表示要素12(#1)は、表示要素に対して30°の方向から観察したとき、青色が最も明るく視認され、表示要素12(#2)では、表示要素に対して45°の方向から観察したとき、青色が最も明るく視認された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の表示体は意匠性の高い表示物に利用可能である。特に、表面加飾やセキュリティ分野に好適に利用が期待される。
【符号の説明】
【0044】
10・・・表示体
11・・・基材
12(#1)、(#2)・・・表示要素
21・・・低屈折率層
22・・・高屈折率層
23・・・凹凸構造(基材)
24・・・多層膜層
32・・・樹脂層(凹凸層)
31・・・凹凸構造の凸部
Dx・・・第1方向
Dy・・・第2方向
R・・・図形要素
F・・・仮想的な矩形