(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】共用車両管理方法及び共用車両管理装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20220906BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20220906BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2021028644
(22)【出願日】2021-02-25
(62)【分割の表示】P 2019535485の分割
【原出願日】2017-08-08
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】下平 誠司
(72)【発明者】
【氏名】藤本 博也
(72)【発明者】
【氏名】貴志 泰久
【審査官】田中 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-182146(JP,A)
【文献】特開2017-191371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G06Q 10/00 - 10/10
G06Q 30/00 - 30/08
G06Q 50/00 - 50/20
G06Q 50/26 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置を備える共用車両管理装置が、複数のユーザに共用される共用車両を管理する共用車両管理方法であって、
前記制御装置は、
前記複数のユーザから、乗車位置又は降車位置を含む希望条件を取得し、
前記希望条件に基づいて、第1ユーザ及び第2ユーザが相乗りする前記共用車両を選定車両として選定し、
前記第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれの前記希望条件に基づいて、前記選定車両が走行する第1の走行経路と、前記第1の走行経路上の前記第1ユーザの前記降車位置に前記選定車両が到着するまでに要する第1の所要時間とを算出し、
前記選定車両が前記第1の走行経路を走行している間に、前記第1ユーザの前記降車位置への到着が遅れる場合、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザそれぞれの前記希望条件に基づいて、前記第1ユーザの前記降車位置への到着が遅れないように、前記第2ユーザの前記乗車位置に代替する代替乗車位置、又は前記第2ユーザの前記降車位置に代替する代替降車位置を設定し、
少なくとも前記代替乗車位置又は前記代替降車位置を、前記第2ユーザに通知する共用車両管理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の共用車両管理方法であって、
前記制御装置は、前記代替乗車位置又は前記代替降車位置を、前記第1ユーザに通知する共用車両管理方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の共用車両管理方法であって、
前記制御装置は、
前記代替乗車位置又は前記代替降車位置を含み、前記選定車両が走行する第2の走行経路と、前記第2の走行経路上の前記第1ユーザの前記降車位置に前記選定車両が到着するまでに要する第2の所要時間とを算出し、
前記第2の所要時間を、前記第1ユーザに通知する共用車両管理方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の共用車両管理方法であって、
前記第1ユーザは、前記第2ユーザよりも早く前記選定車両に乗車するユーザである共用車両管理方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の共用車両管理方法であって、
前記制御装置は、前記第1ユーザの前記降車位置への到着が前記第1ユーザにより設定された許容遅延時間よりも遅れる場合、前記代替乗車位置又は前記代替降車位置を設定する共用車両管理方法。
【請求項6】
サーバ
として機能する前記制御装置により実行される請求項1~5のいずれか一項に記載の共用車両管理方法。
【請求項7】
複数のユーザに共用される共用車両の情報に基づいて前記共用車両を管理する制御装置を備え、
前記制御装置は、
前記複数のユーザから、乗車位置又は降車位置を含む希望条件を取得し、
前記希望条件に基づいて、第1ユーザ及び第2ユーザが相乗りする前記共用車両を選定車両として選定し、
前記第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれの前記希望条件に基づいて、前記選定車両が走行する第1の走行経路と、前記第1の走行経路上の前記第1ユーザの降車位置に前記選定車両が到着するまでに要する第1の所要時間とを算出し、
前記選定車両が前記第1の走行経路を走行している間に、前記第1ユーザの前記降車位置への到着が遅れる場合、前記第1ユーザ及び前記第2ユーザそれぞれの前記希望条件に基づいて、前記第1ユーザの前記降車位置への到着が遅れないように、前記第2ユーザの前記乗車位置に代替する代替乗車位置、又は前記第2ユーザの前記降車位置に代替する代替降車位置を設定し、
少なくとも前記代替乗車位置又は前記代替降車位置を、前記第2ユーザに通知する共用車両管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザに利用される共用車両を管理する共用車両管理方法及び共用車両管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
客などを移送中に他の客からの移送要求があった場合に、道路交通情報に基づいて、すべての客などを移送し終えるまでの予想所要時間などを最小とする走行経路を決定する方法が知られている(特許文献1)。他の客は、決定した走行経路等を承諾することで、移送中の車両へ相乗りすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、相乗りしているユーザを降ろすため又は相乗りするユーザを迎えにいくために、車両が走行経路を走行している間に、交通渋滞の発生等により走行経路上の交通環境が変化した場合、ユーザは当該交通環境の変化を知ることが難しい、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、相乗りしているユーザを降ろすため又は相乗りするユーザを迎えにいくために、車両が走行経路を走行している間に、走行経路上の交通環境が変化した場合、当該交通環境の変化をユーザに知らせることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、選定車両に相乗りする第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれの希望条件に基づいて、選定車両が走行する第1の走行経路と、選定車両が第1の走行経路上の第1ユーザの降車位置に到着するまでに要する第1の所要時間とを算出し、選定車両が第1の走行経路を走行している間に、第1ユーザの降車位置への到着が遅れる場合、第1ユーザ及び第2ユーザそれぞれの希望条件に基づいて、第2ユーザの乗車位置に代替する代替乗車位置、又は第2ユーザの降車位置に代替する代替降車位置を設定し、代替乗車位置又は代替降車位置を第2ユーザに通知することにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、相乗りしているユーザを降ろすため又は相乗りするユーザを迎えにいくために、車両が走行経路を走行している間に、走行経路上の交通環境が変化した場合であっても、予想所要時間に対する遅延時間を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、第1実施形態に係る共用車両管理システムの構成図である。
【
図1B】
図1Bは、第1実施形態の制御装置が備える機能を示した共用車両管理装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、一日の時間帯に対する渋滞の発生確率を示すデータの一例である。
【
図3】
図3は、第1走行経路算出機能を説明するための図である。
【
図4】
図4は、遅延時間検出機能を説明するための図である。
【
図5】
図5は、代替目的地設定機能と、第2走行経路算出機能と、第2所要時間算出機能を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1形態の共用車両管理装置によるカーシェアリングシステムの制御手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第
3実施形態の第2走行経路算出機能を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第4実施形態の第1走行経路算出機能を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第4実施形態の遅延時間検出機能を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態の代替目的地設定機能と、第4実施形態の第2走行経路算出機能と、第4実施形態の第2所要時間算出機能を説明するための図である。
【
図11】
図11は、変形例の第1走行経路算出機能と、変形例の遅延時間検出機能を説明するための図である。
【
図12】
図12は、変形例の代替目的地設定機能を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0010】
≪第1実施形態≫
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る共用車両管理供装置について説明する。本実施形態では、共用車両管理装置を、複数のユーザが複数のステーションに配置された複数の共用車両を共用するカーシェアリングシステムを管理運営する共用車両管理システムに適用した例を用いて説明する。また、本実施形態のカーシェアリングシステムでは、共用車両を借り出すステーションと、共用車両を返却するステーションとは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。なお、各ステーションは、共用車両を駐車させることができ、共用車両の貸出及び返却を行ったり、利用されていない共用車両を待機させたりできる場所であり、カーシェアリングシステムのために予め用意した駐車場などが挙げられる。
【0011】
図1Aは、本実施形態の共用車両管理システム1を示す構成図である。
図1Aに示すように、本実施形態の共用車両管理システム1は、共用車両管理装置100と、複数のユーザに利用される複数の共用車両V1~Vn(以下、共用車両Vnと総称することもある)がそれぞれ備える車載装置200V1~200Vn(以下、車載装置200Vnと総称することもある)と、複数のユーザがそれぞれ所持するユーザ端末装置400A~400Z(以下、ユーザ端末装置400Aと総称することもある)と、を有する。本実施形態の共用車両管理システム1を構成する、車載装置200V1~200Vn、ユーザ端末装置400A~400Zの台数は限定されない。
【0012】
共用車両管理装置100、車載装置200V1~200Vn、及びユーザ端末装置400X~400Yは、それぞれ通信装置(20、220、420)を備え、インターネット300などの電気通信回線網を介して相互に情報の授受が可能である。通信経路は有線であっても無線であってもよい。
【0013】
本実施形態のユーザ端末装置400Aは、本発明の本実施形態に係るユーザ端末装置400Aに適用されるプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、各機能を実行させる動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備えるコンピュータである。本実施形態のユーザ端末装置400Aは、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、又はPDA(Personal Digital Assistant)その他の可搬型の端末装置であってもよい。
【0014】
本実施形態のユーザ端末装置400Aは、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める入力情報を受け付ける入力装置410と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置420と、各ユーザに情報を通知するための表示装置430と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置440とを備える。
【0015】
ユーザ端末装置400Aの入力装置410としては、例えば、ユーザの手操作による入力が可能なディスプレイ画面上に配置されるタッチパネル又はジョイスティックや、ユーザの音声による入力が可能なマイクなどの装置を用いることができる。
【0016】
表示装置430は、共用車両管理装置100から受信した情報を、ユーザに通知する。表示装置430としては、ディスプレイなどが挙げられ、タッチパネル・ディスプレイを用いる場合には、入力装置410と兼用することができる。表示装置430は、例えば、共用車両Vnの走行経路の情報などを共用車両管理装置100から受信して、ユーザに通知する。
【0017】
本実施形態の制御装置440は、ユーザ端末装置400Aに備えられた図示しないGPS(Global Positioning System)受信機などの位置取得装置を用いて、ユーザ端末装置400Aを操作するユーザの現在位置の情報を取得する。現在位置の情報としては、例えば、緯度及び経度の情報が挙げられる。制御装置440は、取得した現在位置の情報を、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。本実施形態では、制御装置440は、定期的に各ユーザの現在位置の情報を、共用車両管理装置100に送信する。これにより、後述する共用車両管理装置100が備える制御装置10は、各ユーザの現在の位置情報を取得することができる。
【0018】
また、制御装置440は、各ユーザによる共用車両Vnの利用を求める利用要求などの入力情報を受け付け、通信装置420を介して、共用車両管理装置100に送信する。
【0019】
上述した利用要求には、ユーザのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザの希望出発地の情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザの希望目的地の情報、ユーザの希望利用開始時刻、ユーザが許容できる遅延時間の情報などが含まれる。ユーザの希望出発地とは、ユーザが共用車両Vnに乗車する乗車位置であり、ユーザの希望目的地とは、ユーザが共用車両Vnを降車する降車位置である。
【0020】
また、ユーザが許容できる遅延時間の情報(以降、許容遅延時間)とは、ユーザが他のユーザと共用車両Vnに相乗りする際に許容できる遅延時間である。本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両Vnに複数のユーザを相乗りさせるために、一台の共用車両Vnに利用要求を行なった複数のユーザを割り当てる処理を実行する。一般的に、ユーザが他のユーザと共用車両Vnに相乗りする又は相乗りする予定の場合、共用車両Vnは、ユーザの乗車位置又は降車位置に加えて、他のユーザの乗車位置又は降車位置を経由するため、ユーザの乗車位置又は降車位置までの予想所要時間には遅延が発生する。そこで、本実施形態では、許容遅延時間を、ユーザを共用車両Vnに割り当てる際の条件として規定している。共用車両管理装置100が利用要求を行なったユーザを共用車両Vnへ割り当てる処理については後述する。
【0021】
また、本実施形態においては、ユーザ端末装置400A及び車載装置200Vnのうち、一方又は両方が、ユーザに対して共用車両Vnの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能してもよい。ユーザ端末装置400Aがナビゲーション装置として機能する場合には、ユーザ端末装置400Aは、例えば、予めユーザ端末装置400Aに備えられたROMなどに地図情報を記憶させておく。ユーザ端末装置400Aは、共用車両管理装置100により算出された走行経路や予想所要時間を受信する。ユーザ端末装置400Aは、表示装置430に、地図情報とともに、ユーザが現在利用している共用車両Vnの現在位置と、共用車両Vnの目的地の位置とを表示し、共用車両Vnの現在位置から目的地までの走行経路を案内する。
【0022】
本実施形態の共用車両Vnとしては、電動モータを駆動源として備える電気自動車、内燃機関を駆動源として備えるエンジン自動車、電動モータ及び内燃機関の両方を駆動源として備えるハイブリッド自動車を例示できる。なお、電動モータを駆動源とする電気自動車やハイブリッド自動車には、二次電池を電動モータの電源とするタイプや燃料電池を電動モータの電源とするタイプのものも含まれる。なお、本実施形態では、利用要求を行なったユーザは目的地まで共用車両Vnを運転するものとする。
【0023】
本実施形態の車載装置200Vnは、各共用車両Vnの現在位置を検出するGPS受信機210と、共用車両管理装置100などの外部装置と通信を行う通信装置220と、ユーザによる共用車両Vnの利用の制御処理を実行する制御装置230とを備える。
【0024】
この車載装置200Vnは、ユーザ端末装置400Aの機能を利用した簡易な機構にしてもよい。例えば、GPS受信機や通信装置、経路演算および経路誘導装置などがユーザ端末装置400Aに搭載されている場合はその機能を利用し、車載装置200Vnは、次に示すユーザの認証のみを行うようにしてもよい。
【0025】
本実施形態においては、制御装置230は、車載装置200Vnに備えられた認証装置(不図示)を用いて、共用車両Vnに乗車したユーザが、この共用車両Vnの利用要求を行ったユーザと一致するか否かのユーザ認証を行う。例えば、制御装置230は、認証装置として、NFC(Near Field Communication)による通信が可能な装置を用いて、ユーザが所有するユーザ端末装置400Aや会員カードなどからユーザのID情報を読み取る。さらに、制御装置230は、通信装置220を介して共用車両管理装置100にアクセスして、共用車両Vnの利用要求の情報を取得し、共用車両Vnに乗車したユーザのユーザ認証を行う。
【0026】
また、制御装置230は、GPS受信機210を用いて取得した現在位置の情報を、通信装置220を介して、共用車両管理装置100に送信する。
【0027】
さらに、制御装置230は、図示しないディスプレイやスピーカなどを用いて、共用車両管理装置100から送信された情報などを、ユーザに通知する。本実施形態では、制御装置230は、共用車両管理装置100から、共用車両Vnへの相乗りを希望しているユーザに関する情報、共用車両Vnの走行経路、予想所要時間などを受信して、ユーザに通知する。本実施形態の相乗りとは、一台の共用車両に複数人数が一緒に乗り合わせることを示し、例えば、他人同士が一台の共用車両に乗ることを示す。
【0028】
なお、本実施形態においては、車載装置200Vnは、上述したユーザ端末装置400Aと同様に、共用車両Vnの現在位置から目的地までの走行経路を案内するためのナビゲーション装置として機能するものであってもよい。
【0029】
本実施形態の共用車両管理装置100は、共用車両管理システム1のサーバとして機能し、カーシェアリングシステムを管理運営するための制御処理を実行する制御装置10と、車載装置200Vn及びユーザ端末装置400Aとそれぞれ相互に通信可能な通信装置20と、通信装置20により受信した情報、各共用車両Vnの情報などを記憶するデータベース30とを備える。
【0030】
データベース30は、共用車両情報31と、ユーザから受け付けた利用要求32と、地図情報33と、ユーザ情報34と、道路交通情報35とを記憶する。
【0031】
共用車両情報31は、各共用車両Vnに関する情報である。共用車両情報31には、各共用車両Vnの現在位置の情報、各共用車両Vnの電力残容量や故障情報、各共用車両Vnの現在の利用状況などが含まれる。
【0032】
利用要求32は、各ユーザがユーザ端末装置400Aを用いて入力した共用車両Vnの利用を求める入力情報である。利用要求32には、ユーザのID情報、ユーザが利用しようとする共用車両VnのID情報、ユーザの現在位置の情報、ユーザが設定した出発地、目的地、利用開始時間、許容遅延時間を示す情報などが含まれる。
【0033】
地図情報33は、道路や施設などの情報も含む地図情報である。地図情報33には、例えば、各ステーションの位置情報、各ステーション周辺の施設情報、各ステーション周辺の交通状況、及び各ステーションの利用状況等の各ステーションに関する情報が含まれる。
【0034】
ユーザ情報34は、カーシェアリングシステムを利用することができる全ユーザの情報である。ユーザ情報34には、全ユーザのID情報、全ユーザの現在位置の情報が含まれる。例えば、通信装置20が各ユーザのユーザ端末装置400Aから所定の期間ごとに各ユーザの現在の位置情報を受信することで、ユーザ情報34に各ユーザの現在の位置情報を格納することができる。また、ユーザ情報34には、ユーザごとに共用車両Vnの利用履歴の情報が含まれていてもよい。この利用履歴には、少なくとも、ユーザが設定した出発地及び目的地、ユーザが実際に乗車した位置及びユーザが実際に降車した位置、ユーザが利用した時間帯の情報が含まれる。
【0035】
道路交通情報35は、交通規制や渋滞の情報である。道路交通情報35としては、車両の外部に設けられたVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)から通信装置20を介して受信した情報が例示できる。VICSから受信した情報には、道路の渋滞状況(車速、通過所要時間など)の情報が含まれる。
【0036】
また、本実施形態では、道路交通情報35には、現在の交通規制や渋滞の情報だけでなく、一日の時間帯に対する渋滞の発生確率を示すデータが含まれる。例えば、道路交通情報35としては、
図2に示すような、横軸が時間、縦軸が渋滞発生確率で表されるグラフが例示できる。
図2の例では、7時頃と18時頃に渋滞が発生する確率が高いことを示している。道路交通情報35は、
図2のグラフを、道路ごと、曜日ごと、天候ごとに記憶している。なお、
図2は、一日の時間帯に対する渋滞の発生確率を示すデータの一例である。
【0037】
再び、
図1Aに戻り、共用車両管理システム1について説明する。本実施形態の共用車両管理装置100の制御装置10は、
図1Aに示すように、カーシェアリングシステムを管理運営する処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory)12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、共用車両管理装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13とを備える。
【0038】
共用車両管理装置100の制御装置10は、
図1Bに示すように、予約管理機能と相乗り管理機能とを実現する。予約管理機能には、利用受付機能と、共用車両選定機能が含まれる。相乗り管理機能には、第1走行経路算出機能と、第1所要時間算出機能と、相乗り判定機能と、遅延時間検出機能と、代替目的地設定機能と、第2走行経路算出機能と、第2所要時間算出機能と、通知機能とが含まれる。本実施形態に係る共用車両管理装置100の制御装置10は、上記機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実現するコンピュータである。なお、
図1Bは、本実施形態の制御装置10が備える機能を示した共用車両管理装置100のブロック図である。
【0039】
以下において、共用車両管理装置100の制御装置10が実現する各機能についてそれぞれ説明する。
【0040】
まず、本実施形態の制御装置10が実行する予約管理機能のうち、利用受付機能について説明する。制御装置10は、利用受付機能により、ユーザから、ユーザ端末装置400Aを介して、一の共用車両Vnの利用を要求する利用要求を、逐次的に取得する。そして、制御装置10は、取得した利用要求の情報を、利用要求を受信した時刻(予約時刻)の情報と共に、データベース30に記憶させる。
【0041】
例えば、ユーザが、ユーザ端末装置400Aの通信装置420を起動させ、共用車両管理装置100にアクセスし、共用車両管理装置100のデータベース30に記憶された共用車両情報31の中から、ユーザが乗車したい希望の車種を特定する。また、ユーザは、ユーザ端末装置400Aの入力装置410に、共用車両Vnの利用を開始する時刻として利用開始時間を入力する。さらに、ユーザは、入力装置410に、共用車両Vnに乗車する位置として出発地と、共用車両Vnに降車する位置として目的地を入力する。加えて、ユーザは、利用する共用車両Vnに相乗りすることが可能か否かを示す情報(相乗り可否の情報)と、ユーザが他のユーザと共用車両Vnに相乗りする又は相乗りする予定の場合に許容できる遅延時間として許容遅延時間とを入力する。ユーザ端末装置400Aは、通信装置420を介して、入力された情報を、共用車両管理装置100へ送信する。共用車両管理装置100は、車種、利用開始時間、出発地、目的地、相乗り可否の情報、及び許容遅延時間を、ユーザの希望条件として受け付ける。
【0042】
なお、ユーザ端末装置400Aから共用車両管理装置100へ送信する情報は、ユーザの希望条件だけでなく、例えば、性別、年齢(年代)等のユーザの個人情報が含まれていてもよい。制御装置10は、受信したユーザの個人情報を、データベース30のユーザ情報34に記憶させる。
【0043】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する予約管理機能のうち、共用車両選定機能について説明する。制御装置10は、共用車両選定機能により、共用車両情報31、利用要求32、及びユーザ情報34に基づいて、ユーザごとに共用車両Vnを割り当てることで、複数のユーザが相乗りする共用車両を選定する。
【0044】
相乗りを許容する一のユーザAが共用車両V1を利用している場面を例に挙げて、制御装置10が実行する処理について説明する。この場面において、制御装置10は、相乗りが可能な他のユーザBから利用要求を取得した場合、ユーザBの希望条件に基づいて、ユーザBを現在利用されている特定の共用車両Vnに割り当てる。例えば、制御装置10は、ユーザBを共用車両V1に割り当てる。言い換えると、共用車両V1は、複数のユーザが相乗りする車両として選定されたことになる。
【0045】
なお、利用要求を行なったユーザを、利用されている特定の共用車両Vnに割り当てるかの判断基準は、特に限定されない。制御装置10は、利用要求を行なったユーザの現在の位置と共用車両Vnの現在の位置との関係性に基づいて、利用要求を行なったユーザを適切に共用車両Vnに割り当てることができる。上述の場面の例では、制御装置10は、共用車両V1がユーザBの現在位置周辺を走行している場合、ユーザBを共用車両V1に割り当てる。この時に、制御装置10は、走行中の共用車両V1の乗車人数を考慮して、共用車両V1に相乗りできるか否かを判断してもよい。例えば、制御装置10は、共用車両V1に最大乗車人数が乗車している場合、ユーザBを共用車両V1ではなく、ユーザBの現在位置周辺を走行している共用車両V2に割り当てる。
【0046】
また、制御装置10は、ユーザの個人情報に基づいて、利用要求を行なったユーザを適切に共用車両Vnに割り当てることができる。上述の場面の例では、制御装置10は、ユーザAの性別とユーザBの性別が同じ場合、ユーザBを共用車両V1に割り当てる。また、例えば、制御装置10は、ユーザAの年代とユーザBの年代が同じ場合、ユーザBを共用車両V1に割り当てる。
【0047】
次に、共用車両V1が特定のユーザに利用されていない場面を例に挙げて、制御装置10が実行する処理について説明する。この場面において、制御装置10は、相乗りが可能な複数のユーザ(ユーザA、ユーザBを含む)から利用要求をした場合、複数のユーザの現在の位置情報や複数のユーザの個人情報に基づいて、複数のユーザを特定の共用車両Vnに割り当てる。
【0048】
例えば、制御装置10は、複数のユーザから取得した複数の出発地又は複数の目的地に対して、クラスタリング処理を実行して、出発地又は目的地が同じ方面の複数のユーザを特定する。例えば、ユーザAの出発地及び目的地と、ユーザBの出発地及び目的地が同じ方面の場合、制御装置10は、クラスタリング処理により、複数のユーザからユーザA及びユーザBを特定する。そして、制御装置10は、ユーザA及びユーザBを、ステーションに待機中の共用車両V1に割り当てる。なお、制御装置10は、出発地又は目的地でクラスタリング処理を実行することに限られず、例えば、ユーザの現在の位置、ユーザの個人情報(性別、年代等)でクラスタリング処理を実行してもよい。
【0049】
制御装置10は、上述した処理を実行することで、複数のユーザが相乗りすることが可能な特定の共用車両Vnを選定する。
【0050】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する相乗り機能のうち、第1走行経路算出機能について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、第1走行経路算出機能を説明するための図である。
図3(A)は、第1の走行経路及び第1の所要時間を説明するための図である。
図3(B)は、
図3(A)に示す走行経路と所要時間を抽出した図である。
【0051】
図3(A)は、ユーザAが共用車両V1を利用して降車位置G1に向かっている間に、ユーザBが共用車両Vnの利用要求を行なった場面を示す。ユーザBは、利用条件に基づいて、共用車両V1に割り当てられたものとする。現在位置Pは、共用車両V1の現在位置を示し、降車位置G1は、ユーザAにより設定された降車位置を示し、乗車位置S2は、ユーザBにより設定された乗車位置を示し、降車位置G2は、ユーザBにより設定された降車位置を、それぞれ示している。交差点a~jは交差点を示し、経路r
1~r
6は経路を、それぞれ示している。なお、経路r
1~r
6のカッコ内には、共用車両V1が経路r
1~r
6を走行するのに要する時間が、それぞれ示されている。これらの時間は、道路交通情報が考慮された予測時間である。例えば、予測時間としては、VICSから送信される、道路の渋滞状況が考慮された予測時間が挙げられる。ユーザAは許容遅延時間を15分に設定し、ユーザBは許容遅延時間を10分に設定している。
【0052】
まず、制御装置10は、共用車両Vnに相乗りするユーザがいない場合、共用車両Vnが走行する走行経路と、共用車両Vnを利用するユーザにより設定された目的地に到着するまでに要する予想所要時間(相乗り前の予想所要時間)を算出する。
図3(A)の例では、制御装置10は、現在位置Pから降車位置G1までの走行経路P0(「r
1→r
2→r
3→r
4」で構成される経路)を算出する。また、制御装置10は、共用車両V1が走行経路P0を走行して降車位置G1に到着するまでに要する予想所要時間(相乗り前の予想所要時間:28分)を算出する。相乗り前の予想所要時間の内訳は、経路r
1で6分、経路r
2で10分、経路r
3で7分、経路r
4で5分である。なお、上述した走行経路及び予想所要時間を算出する処理は、一般的なナビゲーションシステムが実行する処理と同じであってもよい。
【0053】
次に、制御装置10は、共用車両Vnが現在の走行経路を走行することで、利用要求を行なったユーザを相乗りさせることができるか否かを判定する。制御装置10は、利用要求を行なったユーザを相乗りさせることができると判定した場合、現在の走行経路を変更しない。反対に、制御装置10は、利用要求を行なったユーザを相乗りさせることができないと判定した場合、利用要求を行なったユーザにより設定された出発地及び目的地を経由して、利用中のユーザにより設定された目的地に到着するように、第1の走行経路を算出する。
図3(A)の例では、制御装置10は、乗車位置S2は走行経路P0上に位置するが、降車位置G2は走行経路P0上に位置しないため、共用車両V1が走行経路P0を走行してもユーザBを降車させることができず、ユーザBを相乗りさせることができないと判断する。そして、制御装置10は、現在位置Pから乗車位置S2及び降車位置G2を経由して降車位置G1までの経路として、第1の走行経路P1(「r
1→r
2→r
5→r
6→r
7→r
8→r
4」で構成される経路)を算出する。
【0054】
ここで、上述したように、一般的には、乗車中のユーザと利用要求を行なったユーザが共用車両Vnに相乗りしようとすると、相乗り前の予想所要時間は遅くなる。本実施形態では、制御装置10は、乗車中のユーザと利用要求を行なったユーザが共用車両Vnに相乗りしたとしても、相乗り前の予想所要時間が、許容遅延時間よりも遅くならないように、第1の走行経路を算出する。
図3(A)の例では、制御装置10は、相乗り前の予想所要時間(28分)がユーザAにより設定された許容遅延時間(15分)よりも遅れないように、第1の走行経路P1を算出する。また、制御装置10は、相乗り前の予想所要時間を、共用車両Vnを利用中のユーザの基準の時間として、RAMに一時的に記憶させる。
【0055】
なお、第1の走行経路は、利用要求を行なったユーザが乗車又は降車するための経路であって、かつ、利用中のユーザにより設定された目的地までの予想所要時間がこのユーザにより設定された許容遅延時間よりも遅れないような経路であればよく、その他の条件については特に限定される経路ではない。
図3(A)の例では、制御装置10は、共用車両V1が降車位置G1に最短距離又は最短時間で到着できるように、第1の走行経路P1を算出してもよい。また、例えば、制御装置10は、共用車両V1が乗車位置S2又は降車位置G2に最短距離又は最短時間で到着できるように、第1の走行経路P1を算出してもよい。さらに、例えば、制御装置10は、共用車両V1の走行コストを抑えるように、第1の走行経路P1を算出してもよい。また、制御装置10は、第1の走行経路を算出する際に、
図2に示すような道路交通情報を考慮してもよい。道路交通情報を考慮することで、例えば、共用車両V1が乗車位置S2又は降車位置G2に最短時間で到着することが可能な第1の走行経路P1を精度良く算出することができる。
【0056】
上述した処理により算出された第1の走行経路について、
図3(B)を参照しながら説明する。
図3(B)に示すように、ユーザBの利用要求を受け付ける前では、共用車両V1が走行する走行経路P0は、現在位置Pから降車位置G1まで最短距離となる走行経路である。これに対して、ユーザBの利用要求を受け付けた後では、共用車両V1は乗車位置S2及び降車位置G2を経由する必要がある。そのため、第1の走行経路P1は、降車位置G1までの最短距離の走行経路ではなく、降車位置G2を経由して迂回した走行経路となる。
【0057】
制御装置10は、第1の走行経路を算出すると、共用車両Vnを利用中のユーザにより設定された目的地に到着するまでに要する予想所要時間(相乗り後の所要時間)を再び算出する。
図3(A)の例では、制御装置10は、共用車両V1が第1の走行経路P1を走行して降車位置G1に到着するまでに要する予想所要時間(相乗り後の予想所要時間:40分)を算出する。相乗り後の予想所要時間の内訳は、経路r
1で6分、経路r
2で10分、経路r
5で4分、経路r
6で5分、経路r
7で7分、経路r
8で6分、経路r
4で5分である。
【0058】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する相乗り機能のうち、第1所要時間算出機能について、
図3(A)(B)を参照しながら説明する。制御装置10は、第1所要時間算出機能により、共用車両Vnが第1の走行経路上の目的地に到着するまでに要する時間として、第1の所要時間を算出する。
【0059】
第1の走行経路上の目的地とは、共用車両Vnに同乗するユーザそれぞれが設定した乗車位置又は降車位置である。
図3(A)の例では、共用車両Vnに同乗するユーザとは、共用車両V1を利用しているユーザAと、利用要求を行なったユーザBである。なお、共用車両Vnに同乗するユーザには、これから乗車する予定のユーザも含まれる。
【0060】
また、第1の走行経路上の目的地は、一箇所とは限られず、複数箇所であってもよい。
図3(A)の例では、第1の走行経路P1は、現在位置Pから乗車位置S2及び降車位置G2を経由して降車位置G1までの走行経路である。この場合、第1の走行経路P1上の目的地には、乗車位置S2と、降車位置G2と、降車位置G1が該当する。制御装置10は、共用車両V1が第1の走行経路P1上の各地点に到着するまでに要する時間をそれぞれ算出する。具体的には、制御装置10は、乗車位置S2までの予想所要時間を6分と算出し、降車位置G2までの予想所要時間を20分と算出し、降車位置G1までの予想所要時間を40分と算出する。また、制御装置10は、ユーザBが共用車両V1に乗車している予想乗車時間を14分と算出する。
【0061】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する相乗り機能のうち、相乗り判定機能について
図3(A)(B)を参照しながら説明する。制御装置10は、相乗り判定機能により、相乗りに関する情報を、共用車両Vnを利用中のユーザと、利用要求を行なったユーザに対して通知する。相乗りに関する情報には、第1の走行経路と、第1の走行経路上の乗車位置又は降車位置までの予想所要時間(第1の所要時間)と、各ユーザのID情報が例示できる。これにより、共用車両Vnを利用中のユーザは、降車位置に到着する時間がどの程度遅れるかを知ることができる。また、利用要求を行なったユーザは、乗車位置にいつまでに到着すれば共用車両Vnに相乗りできるかを知ることができる。そして、共用車両Vnを利用中のユーザと利用要求を行なったユーザは、通知された情報に問題がない場合、通信装置220又は通信装置420を介して、共用車両管理装置100に、共用車両V1に相乗りすることを承諾する旨を送信する。なお、制御装置10は、利用要求を行なったユーザが共用車両Vnに乗車している時間を通知してもよい。
図3(A)の例では、制御装置10は、第1の走行経路P1と、乗車位置S2までの予想所要時間(6分)と、降車位置G2までの予想所要時間(22分)と、降車位置G1までの予想所要時間(40分)とを、ユーザA及びユーザBに通知する。
【0062】
制御装置10は、通信装置20を介して、共用車両Vnを利用中のユーザ及び利用要求を行なったユーザから、相乗りすることを承諾する旨を取得した場合、第1の走行経路を共用車両Vnの走行経路として更新する。また、制御装置10は、第1の所要時間を第1の走行経路上の目的地に到着するまでに要する予想所要時間として更新する。そして、制御装置10は、通信装置20を介して、共用車両Vnを利用中のユーザ及び利用要求を行なったユーザに、相乗りが決定された旨と、第1の走行経路と、第1の所要時間とを含む情報を通知する。
【0063】
以降では、制御装置10は、相乗り前の予想所要時間を、共用車両Vnを利用中のユーザにより設定された目的地までの当初の予想所要時間として扱い、第1の所要時間を、利用要求を行なったユーザにより設定された出発地又は目的地までの当初の予想所要時間として、それぞれ扱う。制御装置10は、これらの当初の予想所要時間をRAMに一時的に記憶させる。
図3(A)(B)の例では、ユーザAの当初の予想所要時間は28分であり、ユーザBの当初の予想所要時間は20分である。
【0064】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する相乗り機能のうち、遅延時間検出機能について
図4(A)(B)を参照しながら説明する。
図4は、遅延時間検出機能を説明するための図である。
図4(A)は、遅延時間を説明するための図であり、
図4(B)は、
図4(A)に示す走行経路と、走行経路に対する予想所要時間との移り変わりを示す図である。
【0065】
図4(A)は、
図3(A)の場面から所定の時間が経過した場面であり、
図4(A)では、
図3(A)と同じ構成には同一の符号を付している。共用車両V1は、ユーザBを乗車位置S2(
図3(A)参照)で乗車させて経路r
2を走行しており、第1の走行経路P1に従って交差点bを右折しようとしている。また、
図4(A)では、
図3(A)に示す時点で発生していなかった交通渋滞が、交差点bから交差点hの区間において発生している。そのため、
図4(A)は、経路r5を走行するのに10分を要し、経路r6を走行するのに6分を要することを示す。
【0066】
制御装置10は、遅延時間検出機能により、各ユーザにより設定された出発地又は目的地までの当初の予想所要時間に対する遅延時間を検出する。制御装置10は、共用車両Vnを利用中のユーザ及び利用要求を行なったユーザが相乗りすることに承諾した以降、所定の期間毎に、各ユーザの乗車位置又は降車位置までの予想所要時間に遅延が発生しているか否かを判定する。
【0067】
具体的には、まず、制御装置10は、所定の周期毎に、各ユーザにより設定された出発地又は目的地までの予想所要時間を算出する。そして、制御装置10は、算出した予想所要時間と、RAMに記憶された各ユーザにより設定された出発地又は目的地までの当初の予想所要時間とを比較して遅延時間を算出する。
図4(A)の例では、制御装置10は、降車位置G1までの予想所要時間に対する遅延時間と、降車位置G2までの予想所要時間に対する遅延時間を検出する。制御装置10は、算出した降車位置G1までの予想所要時間(50分)と、RAMに記憶された当初の降車位置G1までの予想所要時間(28分)から、降車位置G1までの予想所要時間に対する遅延時間(22分)を算出する。また、制御装置10は、算出した降車位置G2までの予想所要時間(22分)と、RAMに記憶された当初の降車位置G2までの予想所要時間(26分)から、降車位置G2までの予想所要時間に対する遅延時間(4分)を算出する。
【0068】
そして、制御装置10は、算出した遅延時間とユーザにより設定された許容遅延時間とを比較することで、ユーザが許容する遅延以上の遅延が発生しているか否かを判定する。制御装置10は、遅延時間が許容遅延時間を超えている場合、ユーザが許容する遅延以上の遅延が発生していると判定し、反対に、遅延時間が許容遅延時間以下の場合、ユーザの許容範囲内の遅延が発生していると判定する。
図4(A)の例では、制御装置10は、降車位置G1までの予想所要時間に対する遅延時間(22分)とユーザAにより設定された許容遅延時間(15分)とを比較することで、ユーザAが許容する遅延以上の遅延が発生していると判定する。一方、制御装置10は、降車位置G2までの予想所要時間遅延時間(6分)とユーザBにより設定された許容遅延時間(10分)とを比較することで、ユーザBが許容する範囲内の遅延が発生していると判定する。
【0069】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する相乗り機能のうち、代替目的地設定機能と、第2走行経路算出機能と、第2所要時間算出機能について
図5(A)(B)を参照しながら説明する。
図5は、代替目的地設定機能と、第2走行経路算出機能と、第2所要時間算出機能を説明するための図である。
図5(A)は、代替降車位置を説明するための図でり、
図5(B)は、
図5(A)に示す走行経路と、走行経路に対する予想所要時間の移り変わりを示す図である。
図5(A)は、
図4(A)の場面と同じ場面であり、交差点bと交差点hの間の区間には、交通渋滞が発生している。
【0070】
代替目的地設定機能について説明する。制御装置10は、代替目的地設定機能により、当初の予想所要時間に対する遅延時間がユーザの許容遅延時間を超える場合に、相乗りするユーザの希望条件に基づいて、乗車位置を代替えする代替乗車位置又は降車位置を代替する代替降車位置を設定する。相乗りするユーザには、共用車両Vnを利用中のユーザと、利用要求を行なったユーザとが含まれる。
【0071】
具体的な代替乗車位置又は代替降車位置の設定方法について説明する。本実施形態の制御装置10は、利用要求を行なったユーザを、当初の降車位置から最も近い位置、かつ、当初の降車位置よりも手前の位置に代替降車位置を設定する。また、制御装置10は、代替乗車位置についても上述した代替降車位置と同様の方法により設定する。これにより、例えば、複数のユーザが共用車両Vnに相乗りしている状態では、共用車両Vnは、利用要求を行なったユーザを代替降車位置で降車させた後、交通渋滞が発生している経路を回避して走行することができる。交通渋滞のように予め予測できない遅延が発生した場合であっても、共用車両Vnの走行中に代替降車位置を設定することで、遅延時間を共用車両Vnを利用するユーザが許容する遅延時間の範囲内に抑えることができる。
図5(A)の例では、制御装置10は、降車位置G2を代替する代替降車位置G2
’を、第1の走行経路P1上において降車位置G2よりも手前に位置する交差点eに設定する。
【0072】
なお、本実施形態の制御装置10は、利用中のユーザに対して代替乗車位置又は代替降車位置を設定したが、代替乗車位置又は代替降車位置が設定される対象ユーザは、特に限定されない。例えば、共用車両Vnを利用中のユーザであってもよいし、利用要求を行なったユーザであってもよい。つまり、代替乗車位置で乗車する又は代替降車位置で降車するユーザと、共用車両Vnの利用順との関係性は特に制限されるものではない。
【0073】
第2走行経路機能について説明する。制御装置10は、第2走行経路機能により、代替乗車位置又は代替降車位置を経由して、共用車両Vnを利用するユーザにより設定された降車位置までの第2の走行経路を算出する。
図5(A)の例では、制御装置10は、代替降車位置G2
’を経由して降車位置G1までの経路として、第2の走行経路P2(「r
1→r
2→r
9→r
10→r
11」で構成される経路)を算出する。第2の走行経路P2は、交通渋滞が発生している経路r
5、r
6を途中で左折する走行経路である。共用車両V1は、遅延時間が許容遅延時間を超えたことを判定したタイミングから、第2の走行経路P2を走行することで、交通渋滞が発生していない経路r
10、r
11を走行して降車位置G1へ向かうことができる。なお、経路r
9は、交差点bから代替降車位置G2
’までの経路であり、経路r
10は、代替降車位置G2
’から交差点gまでの経路であり、経路r
11は、交差点gから降車位置G1までの経路である。
【0074】
制御装置10は、第2所要時間算出機能により、共用車両Vnが第2の走行経路上の目的地に到着するまでに要する時間として、第2の所要時間を算出する。第2の走行経路上の目的地とは、共用車両Vnに同乗するユーザそれぞれが設定した乗車位置又は降車位置、及び代替目的地設定機能により設定された代替乗車位置又は代替降車位置である。なお、共用車両Vnに同乗するユーザには、これから同乗する予定のユーザも含まれる。
【0075】
また、第2の走行経路上の目的地は、一箇所とは限られず、複数箇所であってもよい。
図5(A)の例では、第2の走行経路P2は、現在位置Pから代替降車位置G2
’を経由して降車位置G1までの走行経路である。この場合、第2の走行経路P2上の目的地には、代替降車位置G2
’と、降車位置G1が該当する。制御装置10は、共用車両V1が第2の走行経路P2上の各地点に到着するまでに要する時間をそれぞれ算出する。具体的には、制御装置10は、代替降車位置G2
’にまでの予想所要時間を22分と算出し、降車位置G1までの予想所要時間を40分と算出する。
【0076】
次に、本実施形態の制御装置10が実行する相乗り機能のうち、通知機能について説明する。制御装置10は、通知機能により、交通渋滞により変更された情報を、共用車両Vnを利用中のユーザ及び利用要求を行なったユーザに通知する。具体的には、制御装置10は、代替乗車位置又は代替降車位置と、第2の走行経路と、第2の所要時間と、を通知する。
図5(A)の例では、制御装置10は、代替降車位置G2
’と、第2の走行経路P2と、代替降車位置G2
’までの予想所要時間(22分)と、降車位置G1までの予想所要時間(40分)をユーザA及びユーザBに通知する。ユーザAは、交通渋滞が発生していても、降車位置G1までの予想所要時間に対する遅延時間(12分)が許容遅延時間(15分)の範囲内であることを確認する。また、ユーザAは、ユーザBが降車する位置が変更されたこと、ユーザBが降車した以降の走行経路が変更されたことを確認する。一方、ユーザBは、降車位置が降車位置G2よりも手前に位置する代替降車位置G2
’に変更されたことを確認する。
【0077】
また、制御装置10は、代替降車位置で降車するユーザに対して、割引された利用料金を通知してもよい。これにより、通知されたユーザは、本来の降車位置とは異なる位置で降車することに了承するための判断材料として扱うことができる。なお、制御装置10は、降車位置と代替降車位置との距離に応じて、割引率を決定することができる。
【0078】
制御装置10は、通信装置20を介して、共用車両Vnを利用中のユーザ及び利用要求を行なったユーザから、通知内容を承諾する旨を取得した場合、第2の走行経路を共用車両Vnの走行経路として更新する。また、制御装置10は、第2の所要時間を共用車両Vnが第2の走行経路上の目的地に到着するまでに要する時間として更新する。そして、制御装置10は、通信装置20を介して、共用車両Vnの走行経路が第2の走行経路に変更されたことを、共用車両Vnが備える制御装置230及びユーザ端末装置400Aに送信する。
【0079】
続いて、本実施形態の共用車両管理システムの制御手順を示すフローチャートである
図4のフローチャートに基づいて、本実施形態の共用車両管理システムの制御処理について説明する。制御処理は、所定の周期毎に繰り返し実行される。
【0080】
ステップS101において、共用車両管理装置100の制御装置10は、共用車両Vnを利用するユーザから希望条件を取得したか否かを判定する。希望条件を取得した場合、ステップS102に進み、反対に、希望条件を取得していない場合、制御処理を終了する。希望条件には、利用開始時間、出発地、目的地、相乗り可否の情報、及び許容遅延時間が含まれる。
【0081】
ステップS102において、制御装置10は、ステップS101において取得した希望条件に適合し、利用可能な共用車両を選定する。
【0082】
ステップS103において、制御装置10は、道路交通情報を取得する。例えば、制御装置10は、通信装置20を介して、VICSから道路交通情報を取得する。
【0083】
ステップS104において、制御装置10は、ステップS103において取得した道路交通情報に基づいて、共用車両Vnの走行経路とユーザにより設定された降車位置までの予想所要時間を算出する。制御装置10は、算出した予想所要時間を、共用車両Vnを利用中のユーザの当初の予想所要時間(相乗り前の予想所要時間)として、RAMに一時的に保存する。
図3(A)の例では、制御装置10は、走行経路P0と、降車位置G1までの予想所要時間(28分)を算出する。
【0084】
ステップS105において、制御装置10は、共用車両Vnに相乗りを希望するユーザから希望条件を取得したか否かを判定する。希望条件を取得した場合、ステップS106に進み、反対に、希望条件を取得していない場合、ステップS107に進む。
【0085】
ステップS106において、制御装置10は、第1の走行経路を算出する。例えば、制御装置10は、相乗りを希望するユーザにより設定された乗車位置及び降車位置を経由して、共用車両Vnを利用中のユーザにより設定された降車位置に最短時間で到達することができる第1の走行経路を算出する。
図3(A)の例では、制御装置10は、第1の走行経路P1を算出する。
【0086】
ステップS107において、制御装置10は、第1の走行経路上の目的地までの予想所要時間として、第1の所要時間を算出する。第1の走行経路上に複数の乗車位置又は複数の降車位置が存在する場合、制御装置10は、第1の走行経路上の各乗車位置又は各降車位置までの予想所要時間を、
乗車位置ごと又は降車位置ごとに算出する。
図3(A)の例では、制御装置10は、降車位置G1までの予想所要時間(40分)と、降車位置G2までの予想所要時間(20分)を算出する。
【0087】
そして、制御装置10は、ステップS106において算出された第1の走行経路と、ステップS107において算出された第1の所要時間とを、各ユーザに通知する。以降では、各ユーザが通知された内容に承諾したものとして説明する。制御装置10は、算出した第1の所要時間を、ステップS105において利用要求を行なったユーザの当初の予想所要時間として、RAMに一時的に保存する。
【0088】
ステップS108において、制御装置10は、第1の所要時間に対する遅延が発生しているか否かを検出する。例えば、制御装置10は、所定の期間毎に、各ユーザにより設定された乗車位置又は降車位置までの予想所要時間を算出するとともに、算出した予想所要時間と、RAMに記憶された各ユーザの当初の予想所要時間とを比較して、遅延が発生しているか否かを判定する。遅延が発生している場合、ステップS109に進み、反対に、遅延が発生していない場合、ステップS114に進む。
図4(A)の例では、制御装置10は、交通渋滞により、降車位置G2までの予想所要時間(26分)が当初の降車位置G2までの予想所要時間(20分)に対して遅れているため、遅延が発生していると判定する。
【0089】
ステップS109において、制御装置10は、ステップS108において発生した遅延は、許容遅延時間の範囲内であるか否かを判定する。許容遅延時間の範囲を超えている場合、ステップS110に進み、反対に、許容遅延時間の範囲以内の場合、ステップS114に進む。
図4(A)の例では、制御装置10は、発生した遅延は、ユーザAにより設定された許容遅延時間を超えていると判定する。
【0090】
ステップS110において、制御装置10は、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。例えば、制御装置10は、降車位置の最も近くの位置であり、かつ、第1の走行経路上において手前の位置に、代替降車位置を設定する。
図5(A)の例では、制御装置10は、代替降車位置G2
’を、第1の走行経路P1上において手前に位置する交差点bに設定する。
【0091】
ステップS111において、制御装置10は、ステップS110において設定された代替乗車位置又は代替降車位置を経由する第2の走行経路を算出する。また、制御装置10は、第2の走行経路上の目的地までの予想所要時間として、第2の所要時間を算出する。
図5(A)の例では、制御装置10は、
第2の走行経路P2を算出する。また、制御装置10は、降車位置G1までの予想所要時間(40分)と、降車位置G2までの予想所要時間(22分)を算出する。
【0092】
ステップS112において、制御装置10は、遅延により変更された情報を共用車両を利用中のユーザ及び利用要求を行なったユーザに通知する。変更情報には、代替乗車位置又は代替降車位置と、第2の走行経路と、第2の所要時間と、割引された利用料金と、が含まれる。通知されたユーザは、代替乗車位置又は代替降車位置の情報と、割引された利用料金と、更新された走行経路及び更新された予想所要時間を確認する。
【0093】
ステップS113において、制御装置10は、ステップS112において通知したユーザから、変更情報を承諾した旨を取得したか否かを判定する。変更情報を承諾した旨を取得した場合、ステップS114に進み、反対に、変更情報を取得していない場合、ステップS110に戻る。
【0094】
ステップS114において、制御装置10は、乗車する全てのユーザが降車したか否かを判定する。全てのユーザが降車した場合、制御処理を終了し、反対に、共用車両Vnに乗車するユーザが存在する場合、ステップS105に戻る。
【0095】
以上のように、本実施形態の共用車両管理装置100は、複数のユーザから、乗車位置又は降車位置を含む希望条件を取得し、希望条件に基づいて、複数のユーザが相乗りする共用車両を選定する。そして、共用車両管理装置100は、共用車両に相乗りするユーザ(共用車両Vnを利用中のユーザと利用要求を行なったユーザ)により設定された乗車位置又は降車位置に基づいて、第1の走行経路と、第1の走行経路上の目的地に到着するまでに要する第1の所要時間とを算出する。また、共用車両管理装置100は、共用車両Vnが第1の走行経路を走行している間に、第1の所要時間に対する遅延時間が許容遅延時間を超える場合、共用車両に相乗りするユーザの希望条件に基づいて、乗車位置に代替する代替乗車位置、又は降車位置に代替する代替降車位置を設定する。共用車両管理装置100は、共用車両Vnが代替乗車位置又は代替降車位置を経由して走行する第2の走行経路と、共用車両Vnが第2の走行経路上の目的地に到着するまでに要する第2の所要時間とを算出する。そして、共用車両管理装置100は、代替乗車位置又は代替降車位置と、第2の走行経路と、第2の所要時間とを、共用車両Vnに相乗りするユーザに通知する。乗車位置が変更されたユーザは、代替乗車位置にいつまでに到着すればよいかを知ることができ、降車位置が変更されたユーザは、代替降車位置の情報を知ることができる。また、共用車両Vnを運転するユーザは、第2の走行経路に沿って、許容時間内に目的地に到着することができる。これにより、共用車両Vnに相乗りしているユーザを降ろすため又は相乗りするユーザを迎えに行くために、車両が走行経路を走行している間に、走行経路上で交通渋滞が発生した場合であっても、相乗りする前の当初の予想所要時間に対する遅延時間を低減させることができる。
【0096】
また、本実施形態では、共用車両管理装置100は、第1の所要時間に対する遅延時間がユーザにより設定された許容遅延時間を超える場合、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。代替乗車位置又は代替降車位置を設定されたユーザは、共用車両Vnが走行する経路上の交通環境が変化したことを知ることができる。また、代替乗車位置又は代替降車位置を設定されなかったユーザは、共用車両Vnがユーザの許容範囲内の時間に乗車位置又は降車位置に到着することを知ることができるため、相乗りに対する不安を低減させることができる。
【0097】
なお、上述した実施形態では、共用車両管理装置100は、相乗り前の予想所要時間を、共用車両Vnを利用中のユーザの当初の予想所要時間として扱い、第1の所要時間を、利用要求を行なったユーザの当初の予想所要時間として扱う構成を例示したがこれに限られない。例えば、共用車両管理装置100は、共用車両Vnを利用中のユーザにより設定された許容遅延時間から、第1の走行経路を走行する時点で発生している遅延時間を予め減算することで、第1の所要時間を、共用車両Vnを利用中のユーザの当初の予想所要時間として扱うことができる。
図3(A)(B)の例では、共用車両管理装置100は、ユーザA及びユーザBが相乗りすることに承諾した旨を送信した場合、ユーザAの許容遅延時間15分から、共用車両V1が第1の走行経路P1を走行することで発生する遅延時間(12分)を減算することで、降車位置G1までの当初の予想所要時間を40分として扱うことができる。
【0098】
また、上述した実施形態では、代替乗車位置又は代替降車位置が設定されるユーザとして、利用中の共用車両Vnに後から乗車するユーザを例示したが、これに限定されない。例えば、上述した実施形態において、共用車両Vnを利用中のユーザが設定した降車位置に対して代替降車位置を設定してもよい。この場合、共用車両管理装置100は、終点を、第1の装甲経路の終点である降車位置から代替降車位置に変更した第2の走行経路を設定する。これにより、後から乗車するユーザは、第1の走行経路上の交通環境が変化した場合であっても、設定した乗降位置で乗降することができる。
【0099】
≪第2実施形態≫
次に、上述した実施形態と異なる本発明に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態の共用車両管理装置120は、制御装置10が備える代替目的地設定機能が異なる以外は、上述した実施形態の共用車両管理装置100と同様の構成であるため、同様の構成については上述した実施形態でした説明を援用する。
【0100】
本実施形態の代替目的地設定機能について説明する。本実施形態の制御装置10は、代替目的地設定機能により、利用要求を行なったユーザが以前に共用車両Vnへ乗車した乗車位置、又は利用要求を行なったユーザが以前に共用車両Vnを降車した降車位置に基づいて、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。
【0101】
制御装置10は、データベース30のユーザ情報34にアクセスして、利用要求を行なったユーザの利用履歴の情報を取得する。ユーザの利用履歴の情報には、ユーザが以前に設定した乗車位置又は降車位置の情報や、ユーザが以前に乗車した位置又は降車した位置の情報が含まれる。
【0102】
制御装置10は、データベース30に該当するユーザの利用履歴の情報が含まれている場合、ユーザが以前に乗車した位置又は降車した位置に基づいて、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。代替降車位置を例にして説明する。例えば、ユーザの利用履歴の情報に、第1の走行経路上の位置情報が含まれている場合、制御装置10は、ユーザが以前に降車した位置を、代替降車位置の候補として設定する。そして、制御装置10は、代替降車位置の候補を設定することで、遅延時間を共用車両Vnを利用するユーザが許容する遅延の範囲内に抑えることができるか否かを判定する。制御装置10は、遅延時間を許容遅延時間の範囲内に抑えることができると判定した場合、代替降車位置の候補を、代替降車位置として設定する。反対に、遅延時間を許容遅延時間の範囲内に抑えることができないと判定した場合、ユーザ以前に降車した位置とは別の位置に、代替降車位置を設定する。別の位置への設定方法については後述する。なお、代替乗車位置の設定方法は、上述した代替降車位置の方法と同様とする。
【0103】
また、利用履歴の情報に、第1の走行経路上の位置情報が含まれていない場合であっても、第1の走行経路の周辺での乗車情報が含まれている場合、制御装置10は、ユーザが以前に乗車した位置を、代替乗車位置の候補として設定する。また、制御装置10は、利用履歴の情報に、第1の走行経路の周辺での降車情報が含まれている場合、ユーザが以前に降車した位置を、代替降車位置の候補として設定する。この設定方法は、ユーザが乗車した経験又はユーザが降車した経験を優先した方がユーザに与える不安を低減できるという観点に基づくものである。
【0104】
一方、制御装置10は、データベース30に該当するユーザの利用履歴の情報が含まれていない場合、又はデータベース30に該当するユーザの利用履歴の情報が含まれているが、ユーザが以前に乗車位置又はユーザが以前に降車した位置では遅延時間を許容遅延時間の範囲内に抑えることができない場合、制御装置10は、道路情報又は天候情報に基づいて、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。例えば、制御装置10は、データベース30の地図情報33から、第1の走行経路周辺の幅員の広い道路を特定し、特定した道路上に代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。また、例えば、データベース30が天候情報を格納している場合、制御装置10は、天候情報から、第1の走行経路周辺の凍結の恐れのある道路を特定し、特定した道路以外の道路上に代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。
【0105】
以上のように、本実施形態では、データベース30は、共用車両に相乗りするユーザが以前に共用車両Vnを利用した際の情報として、利用履歴の情報を記憶している。共用車両管理装置120は、利用履歴の情報に、過去の乗車位置の情報又は過去の降車位置の情報が含まれている場合、利用履歴の情報に基づいて、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。これにより、共用車両Vnに乗車するユーザ又は共用車両Vnを降車するユーザは、以前に乗降車した位置で乗降車することができる。その結果、乗降車する位置が変更される場合であっても、ユーザに与える不安を低減することができる。
【0106】
また、本実施形態では、共用車両管理装置120は、利用履歴の情報に、過去の乗車位置の情報又は過去の降車位置の情報が含まれていない場合、道路情報又は天候情報に基づいて、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。これにより、ユーザが幅員が狭い道路で乗降車することを防ぐことができる。また、ユーザが路面が凍結した道路で乗降車することを防ぐことができる。その結果、上記効果と同様の効果を奏する。
【0107】
≪第3実施形態≫
次に、上述した実施形態と異なる本発明に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態の共用車両管理装置130は、制御装置10が備える第2走行経路算出機能が異なる以外は、上述した実施形態の共用車両管理装置100と同様の構成であるため、同様の構成については上述した実施形態でした説明を援用する。
【0108】
本実施形態の第2走行経路算出機能について、
図7(A)(B)を参照しながら説明する。
図7は、本実施形態の第2走行経路算出機能を説明するための図である。
図7(A)(B)は、それぞれ
図5(A)(B)に対応する図であるため、同一の構成には同一の符号を付している。
図7(A)では、交差点bと交差点hの間の区間には、交通渋滞が発生している。制御装置10は、代替目的地設定機能により、ユーザBの代替降車位置を、交差点eに設定している。
【0109】
本実施形態の制御装置10は、代替乗車位置又は代替降車位置を経由までに、複数の経路が存在する場合、代替乗車位置又は代替降車位置に最短時間で到着するように、第2の走行経路を設定する。
図7(A)の例では、現在の共用車両V1の位置(交差点b)から代替降車位置G2
’(交差点e)までの経路として、直線的な経路r
9(交差点bから交差点eまでの最短距離の経路)と、「経路r
12→経路r
13→経路r
14」で構成される迂回する経路とが存在する。また、
図7(A)の例では、共用車両V1が経路r9を走行した場合には、交差点eに到着するまでの予想所要時間は10分以上とし、一方、共用車両V1が迂回経路を走行した場合には、交差点eに到着するまでの予想所要時間は9分とする。制御装置10は、2つの走行経路の予想所要時間を比較し、予想所要時間が少ない迂回経路を選択する。そして、制御装置10は、迂回経路を含む第2の走行経路P2
’を設定する。これにより、代替降車位置G2
’までの予想所要時間を短くすることができるとともに、降車位置G1までの予想所要時間を短くすることができるため、ユーザAとユーザBに与える不安を低減することができる。
【0110】
以上のように、本実施形態では、共用車両管理装置130は、代替乗車位置又は代替降車位置までに複数の経路が存在する場合、複数の経路のうち、代替乗車位置又は代替降車位置に到着するまでに要する予想所要時間が短い走行経路を選択する。そして、共用車両管理装置130は、選択した走行経路を含む第2の走行経路を設定する。これにより、共用車両Vnは、交通環境に適した経路で代替乗車位置又は代替降車位置に到着することができるため、乗降車する位置が変更されたユーザに与える不満を低減することができる。
【0111】
≪第4実施形態≫
次に、上述した実施形態と異なる本発明に係る共用車両管理装置について説明する。本実施形態の共用車両管理装置140は、制御装置10が備える代替目的地設定機能が異なる以外は、上述した実施形態の共用車両管理装置100と同様の構成であるため、同様の構成については上述した実施形態でした説明を援用する。本実施形態では、利用要求を行なったユーザが複数存在する場合について説明する。
【0112】
本実施形態の代替目的地設定機能について、
図8~
図10を参照しながら説明する。
図8~
図10は、
図3~
図5にそれぞれ対応する図である。
図8は、本実施形態の第1走行経路算出機能を説明するための図である。
図8は、ユーザAが共用車両V1を利用して降車位置G1に向かっている間に、ユーザB及びユーザCが共用車両Vnの利用要求を行なった場面を示す。
図8では、ユーザA、ユーザB、及びユーザCは共用車両V1に相乗りすることを承諾したものとする。ユーザAは許容遅延時間を15分に設定し、ユーザBは許容遅延時間を10分に設定し、ユーザCは許容遅延時間を10分に設定している。
【0113】
図9は、本実施形態の遅延時間検出機能を説明するための図である。
図9は、ユーザA、ユーザB、及びユーザCが相乗りしている共用車両V1が交差点bと交差点eの間の区間を走行している間に、経路r
7で交通渋滞が発生したことを示している。制御装置10は、経路r
7で発生した交通渋滞により、降車位置G1までの予想所要時間に対する遅延時間(18分)が、ユーザAの許容遅延時間(15分)を超えたことを検出する。
【0114】
本実施形態の制御装置10は、交通渋滞が発生した経路が第1の走行経路に含まれる原因を探知する。具体的には、制御装置10は、どのユーザにより設定された乗車位置又は降車位置により、予想所要時間に対する遅延時間がユーザの許容遅延時間を超えているかを探知する。
図9(A)の例では、制御装置10は、第1の走行経路P1に含まれる降車位置G1~G3と、各降車位置の間にある経路r
5、r
6、r
7、r
8、r
4と、交通渋滞が発生している交差点hから交差点jまでの区間から、ユーザCにより設定された降車位置G3により、交通渋滞が発生している経路r
7が第1の走行経路P1に含まれていると探知する。
【0115】
図10は、本実施形態の代替目的地設定機能と、第2走行経路算出機能と、第2所要時間算出機能を説明するための図である。
図10は、制御装置10により設定された代替降車位置と、第2の走行経路と、第2の所要時間を示している。
【0116】
本実施形態の制御装置10は、代替目的地設定機能により、複数の乗車位置又は複数の降車位置のうち、遅延の原因となる乗車位置又は降車位置に対して、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。具体的には、制御装置10は、遅延が発生している経路において、共用車両Vnが最初に通過する乗車位置又は降車位置に対して、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。
図10(A)の例では、制御装置10は、交通渋滞が発生している経路r
7において、最初に通過する降車位置G3に対して、代替降車位置G3
’を設定する。そして、制御装置10は、代替降車位置G3
’を経由して降車位置G1までの経路として、第2の走行経路P2(「r
1→r
2→r
5→r
15→r
16→r
17→r
18→r
4」で構成される経路)を算出する。なお、
図10(A)の例では、代替降車位置G3
’は第1の走行経路P1上の位置に設定されているが、これに限定されるものではない。
【0117】
以上のように、本実施形態では、共用車両管理装置140は、遅延の原因となる経路において、共用車両Vnが最初に通過する乗車位置又は降車位置に対して、代替乗車位置又は代替降車位置を設定する。共用車両Vnを相乗りする複数のユーザのうち、遅延の原因となる乗車位置又は降車位置を設定したユーザは、代替乗車位置又は代替降車位置に変更される。これにより、遅延の原因とは関係ない乗車位置又は降車位置を設定したユーザに対して、代替乗車位置又は代替降車位置を通知することを防ぎ、ユーザに与える不満を低減させることができる。
【0118】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0119】
例えば、上述した実施形態において、代替降車位置を設定する構成を例示したが、代替乗車位置を設定してもよい。上述した実施形態の変形例について説明する。
【0120】
図11は、変形例の第1走行経路算出機能と、変形例の遅延時間検出機能を説明するための図である。
図11(A)は、ユーザAが乗車した共用車両V1が利用要求を行なったユーザBの乗車位置S2に向かって走行している間に、交通渋滞が交差点bから交差点hの区間において発生した場面である。
【0121】
制御装置10は、
図11(B)に示すように、交通渋滞の発生により、G1までの予想所要時間に対する遅延時間(22分)がユーザAの許容遅延時間(15分)を超えたことを検出する。なお、変形例では、制御装置10は、乗車位置S2までの予想所要時間と降車位置G2までの予想所要時間を算出するが、乗車位置までの予想所要時間の算出方法と降車位置までの予想所要時間と算出方法は同様とする。
【0122】
図12は、変形例の代替目的地設定機能を説明するための図である。制御装置10は、乗車位置S2を代替する代替乗車位置S2
’を、第1の走行経路P1上において乗車位置S2よりも手前に位置する交差点eに設定する。そして、制御装置10は、代替乗車位置S2
’を経由して降車位置G1までの経路として、第2の走行経路P2(「r
1→r
2→r
19→r
20→r
21→r
22→r
11」で構成される経路)を算出する。これにより、降車位置G1までの予想所要時間に対する遅延時間を、ユーザAの許容遅延時間の範囲内に抑えることができる。
【0123】
また、例えば、上述した実施形態において、共用車両Vnは、無人で自動的に走行することができる自動運転機能を備える車両であってもよい。共用車両Vnは駆動機構や操舵機構を備えており、これらの機構は自動運転機能により、完全に自動で制御される。自動運転機能を備える車両の場合、共用車両管理装置は、ユーザが運転する車両の場合に比べて、精度良く予想所要時間を算出できる。
【0124】
また、本明細書では、本発明に係る共用車両管理装置を、制御装置10と、通信装置20と、データベース30とを備える共用車両管理装置100を例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0125】
1…共用車両管理システム
100…共用車両管理装置
10…制御装置
20…通信装置
30…データベース
V1~Vn…共用車両
200V1~200Vn…車載装置
400A~400Y…ユーザ端末装置