(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】振動装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B06B 1/06 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
(21)【出願番号】P 2021501913
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(86)【国際出願番号】 JP2020005582
(87)【国際公開番号】W WO2020170937
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】P 2019030109
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 和之
(72)【発明者】
【氏名】加賀山 健司
(72)【発明者】
【氏名】床井 正護
【審査官】宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】実公昭60-020454(JP,Y2)
【文献】国際公開第2015/163166(WO,A1)
【文献】米国特許第05665918(US,A)
【文献】特開平04-325883(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0103878(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動部及び固定部を有する振動板と、
前記振動部に設けられた振動子と、
固定電極と、
を備え、
前記固定部が、異なる方向に延びる第1の辺部及び第2の辺部を有し、
前記振動板と前記固定電極とが一体の部材であり、前記第1の辺部から前記振動部が延びており、前記第2の辺部から前記固定電極が延びている、振動装置。
【請求項2】
側壁部を有する筐体をさらに備え、
前記筐体に前記固定部が固定されており、
前記側壁部が外側面を含み、
前記固定電極が前記外側面上に位置する部分を有する、請求項1に記載の振動装置。
【請求項3】
前記振動板、前記固定電極及び前記筐体の前記側壁部が1つのインサート成形体であり、
前記固定部の少なくとも一部が、前記側壁部の内部に設けられている、請求項2に記載の振動装置。
【請求項4】
前記筐体が、底面を含むベース部を有し、
前記筐体の前記側壁部が、対向し合う第1の開口端面及び第2の開口端面を有し、
前記
ベース部が、前記第2の開口端面側に配置されており、
前記固定電極が、前記底面上に位置する曲げ部を有する、請求項2または3に記載の振動装置。
【請求項5】
前記振動子に電気的に接続されている給電電極をさらに備え、
前記給電電極及び前記ベース部が1つのインサート成形体であり、
前記給電電極の一部が、前記第1の開口端面上に位置する曲げ部を有する、請求項4に記載の振動装置。
【請求項6】
前記振動子が圧電振動子であり、
前記振動子が前記振動板の一方主面上に設けられている、請求項1~5のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項7】
前記振動部に接続されている質量付加部材をさらに備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項8】
前記固定部が、前記第1の辺部に対向する第3の辺部を有し、
前記振動部が第1の振動部及び第2の振動部を含み、前記第1の振動部が前記第1の辺部から延びており、前記第2の振動部が前記第3の辺部から延びている、請求項1~7のいずれか1項に記載の振動装置。
【請求項9】
固定電極部分と、振動部及び固定部を含む振動板部分とを有し、前記固定電極部分と前記振動板部分が一体の部材である、第1の板部材を用意する工程と、
振動子を設ける工程と、
を備え
、
前記第1の板部材に、対向し合う第1の開口端面及び第2の開口端面と、前記第1の開口端面及び前記第2の開口端面に接続された外側面と、を含む側壁部を設ける工程と、
前記第1の板部材の前記固定電極部分を折り曲げ、前記側壁部の前記外側面上に前記固定電極部分を配置する工程と、
をさらに備える、振動装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1の板部材に前記側壁部を設ける工程を、前記第1の板部材を内部に含むように前記側壁部が構成された、インサート成形体を形成することにより行い、前記振動板部分の前記固定部の少なくとも一部を、前記側壁部の内部に設けることにより固定する、請求項
9に記載の振動装置の製造方法。
【請求項11】
給電電極部分の一部を内部に含むように、底面を含むベース部が構成された、インサート成形体を形成する工程と、
前記ベース部を、前記側壁部の前記第2の開口端面側に配置する工程と、
前記給電電極部分を折り曲げ、前記側壁部の前記外側面上及び前記第1の開口端面上に配置する工程と、
前記給電電極部分を前記振動子に接続する工程と、
をさらに備え、
前記側壁部の前記外側面上に前記固定電極部分を配置する工程において、前記固定電極部分の一部を前記ベース部の前記底面上に配置する、請求項
9または
10に記載の振動装置の製造方法。
【請求項12】
給電電極部分の一部を内部に含むように、底面を含むベース部が構成され、前記給電電極部分を有する第2の板部材を含む、インサート成形体を形成する工程と、
前記ベース部を、前記側壁部の前記第2の開口端面側に配置する工程と、
前記給電電極部分を折り曲げ、前記側壁部の前記外側面上及び前記第1の開口端面上に配置する工程と、
前記給電電極部分を前記振動子に接続する工程と、
をさらに備え、
前記側壁部の前記外側面上に前記固定電極部分を配置する工程において、前記固定電極部分の一部を前記ベース部の前記底面上に配置する、
請求項
9または
10に記載の振動装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、振動装置は、外部に振動を伝搬させる報知用の機器や、音響機器などに広く用いられている。振動装置は、振動を伝搬させる目的及び音響を発する目的において兼用される場合もある。下記の特許文献1には、振動装置の一例が開示されている。この振動装置においては、圧電振動板がケース内に収納されている。圧電振動板にはインサート端子が接続されている。インサート端子はケース外に露出しており、ケースの側面上及び底面上に至っている。インサート端子の底面上に位置する部分が、半田により外部に接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような振動装置の振動を外部に伝搬させる場合には、振動はケース及びインサート端子を介して外部に伝搬する。そのため、振動を外部に確実に伝搬させるためには、圧電振動板とインサート端子との接合の信頼性が高いことが求められることとなる。圧電振動板とインサート端子との接合の信頼性を高めるために、生産性が低くなるおそれもある。
【0005】
本発明の目的は、生産性を高めることができ、信頼性を高めることができ、かつ振動の効率を高めることができる、振動装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る振動装置は、振動部及び固定部を有する振動板と、前記振動部に設けられた振動子と、固定電極とを備え、前記固定部が、異なる方向に延びる第1の辺部及び第2の辺部を有し、前記振動板と前記固定電極とが一体の部材であり、前記第1の辺部から前記振動部が延びており、前記第2の辺部から前記固定電極が延びている。
【0007】
本発明に係る振動装置の製造方法は、固定電極部分と、振動部及び固定部を含む振動板部分とを有し、前記固定電極部分と前記振動板部分が一体の部材である、第1の板部材を用意する工程と、振動子を設ける工程とを備える。
【発明の効果】
【0008】
生産性を高めることができ、信頼性を高めることができ、かつ振動の効率を高めることができる、振動装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施形態における振動板及び固定電極の斜視図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態における第1の圧電振動子の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置を、蓋部を透視して示す斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態における質量付加部材の側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いられる第1の板部材を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いられる第2の板部材を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【
図13】
図13は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【
図14】
図14は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【
図15】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る振動装置の給電電極付近を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0011】
なお、本明細書に記載の各実施形態は、例示的なものであり、異なる実施形態間において、構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることを指摘しておく。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の斜視図である。
図2は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の分解斜視図である。
【0013】
図1に示すように、振動装置1は筐体2を有する。
図2に示すように、振動装置1は振動板6を有し、筐体2には振動板6が収納されている。筐体2は、ベース部3と、ベース部3上に設けられている側壁部4と、側壁部4上に設けられている蓋部5とを有する。
【0014】
側壁部4は枠状である。より具体的には、側壁部4は、互いに対向し合う第1の開口端面4a及び第2の開口端面4bと、第1の開口端面4a及び第2の開口端面4bに接続された4つの外側面とを有する。本実施形態では、4つの外側面は、第1の外側面4c、第2の外側面4d、第3の外側面4e及び第4の外側面4fである。蓋部5は、側壁部4の第1の開口端面4a側を塞ぐように配置されている。ベース部3は、側壁部4の第2の開口端面4b側を塞ぐように配置されている。ベース部3は底面3bを有する。筐体2の形状は、本実施形態では略直方体である。なお、筐体2の形状は上記に限定されない。
【0015】
筐体2は適宜の合成樹脂からなる。合成樹脂としては、例えば、LCP(液晶ポリマー)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)などを挙げることができる。筐体2のベース部3、側壁部4及び蓋部5には、互いに異なる材料が用いられてもよい。
【0016】
側壁部4の外側面上及びベース部3の底面3b上に至るように、固定電極17A、固定電極17B、固定電極17C及び固定電極17Dが設けられている。固定電極17A~17Dは、例えば半田などによって外部に固定される。より具体的には、例えば、固定電極17A~17Dは実装基板に接合される。この場合、振動装置1の振動は、固定電極17A~17D及び筐体2を介して外部に伝搬する。
【0017】
図3は、本発明の第1の実施形態における振動板及び固定電極の斜視図である。
【0018】
振動板6は、第1の振動部8及び第2の振動部9を有する。また、振動板6は、固定部7を有する。固定部7が上記筐体2の側壁部4に固定されている。固定部7は枠状である。より具体的には、固定部7は、第1の辺部7Aと、第2の辺部7Bと、第3の辺部7Cと、第4の辺部7Dとを有する。第2の辺部7Bと第4の辺部7Dは、第1の辺部7Aと直交する方向に延びており、互いに対向している。第3の辺部7Cは、第1の辺部7Aと同じ方向に延びており、第1の辺部7Aと対向している。このように、本実施形態では、第1の辺部7Aと第2の辺部7Bとの各々が延びる方向は90度異なる。第3の辺部7Cと第4の辺部7Dとの各々が延びる方向は90度異なる。もっとも、第1の辺部7Aと第2の辺部7Bとがなす角度は90度には限定されず、第3の辺部7Cと第4の辺部7Dとがなす角度も90度には限定されない。なお、
図2に示した第1の外側面4cは第1の辺部7A付近に位置し、第2の外側面4dは第2の辺部7B付近に位置し、第3の外側面4eは第3の辺部7C付近に位置し、第4の外側面4fは第4の辺部7D付近に位置する。
【0019】
図3に示すように、第1の辺部7Aから第1の振動部8が延びており、第3の辺部7Cから第2の振動部9が延びている。第1の振動部8及び第2の振動部9は、それぞれ自由端を有する片持ち梁構造である。なお、第1の振動部8及び第2の振動部9は、第2の辺部7B及び第4の辺部7Dとは接続されていない。平面視において、第1の振動部8及び第2の振動部9は、固定部7の内周の中心を対称点として点対称に配置されている。第1の辺部7Aが延びる方向に平行な方向から見たときに、第1の振動部8及び第2の振動部9は重なっている。本明細書において平面視とは、蓋部5側から見ることをいう。
【0020】
第1の振動部8及び第2の振動部9の配置は上記に限定されない。もっとも、第1の振動部8及び第2の振動部9を本実施形態のように配置することにより、振動の変位を大きくすることができ、かつ振動の安定性を高めることができる。
【0021】
第1の振動部8は、対向し合う第1の主面8a及び第2の主面8bを有する。第1の主面8aは筐体2の蓋部5側に位置しており、第2の主面8bはベース部3側に位置している。第2の振動部9は、対向し合う第1の主面9a及び第2の主面9bを有する。第1の主面9aは筐体2の蓋部5側に位置しており、第2の主面9bはベース部3側に位置している。ここで、第1の振動部8及び第2の振動部9と固定部7とは、同一平面に位置する。もっとも、例えば、後述する質量付加部材が設けられていることにより、第1の振動部8及び第2の振動部9が固定部7よりもベース部3側に位置している部分を含んでいてもよい。
【0022】
本実施形態の第1の振動部8は、板状部8cと、接続部8dとを有する。板状部8cは矩形板状であり、接続部8dはミアンダ状である。接続部8dの一方の端部が板状部8cに接続されており、接続部8dの他方の端部が固定部7に接続されている。このように、板状部8cは、接続部8dを介して固定部7に接続されている。第2の振動部9は、板状部9cと、接続部9dとを有する。板状部9cは矩形板状であり、接続部9dはミアンダ状である。接続部9dの一方の端部が板状部9cに接続されており、接続部9dの他方の端部が固定部7に接続されている。このように、板状部9cは、接続部9dを介して固定部7に接続されている。接続部8d及び接続部9dがミアンダ状であることにより、振動に際し接続部8d付近及び接続部9d付近に加わる応力による影響を緩和することができ、振動の効率を高めることができる。加えて、例えば、振動装置1が落下して外部から機械的衝撃が加わった場合であっても、接続部8d及び接続部9dがばねとして作用し、機械的衝撃によって加わった応力を緩和することができる。従って、振動装置1の耐衝撃性を高めることができる。
【0023】
なお、接続部8d及び接続部9dはミアンダ状の形状に限定されず、直線状の形状であってもよい。また、板状部8c及び接続部8dの両方が矩形板状であり、例えば、1つの矩形板状の第1の振動部8を構成していてもよい。板状部9c及び接続部9dの両方が矩形板状であり、例えば、1つの矩形板状の第2の振動部9を構成していてもよい。本実施形態においては、振動板6が第1の振動部8及び第2の振動部9を含むが、振動板6は、少なくとも1つの振動部を有していればよい。
【0024】
固定部7の第2の辺部7Bから固定電極17A及び固定電極17Bが延びている。同様に、固定部7の第4の辺部7Dから固定電極17C及び固定電極17Dが延びている。このように、本実施形態では、振動板6と固定電極17A~17Dは一体の部材である。振動板6は、固定電極17A~17Dと同じ材料からなる導電性部材である。
【0025】
より具体的には、第2の辺部7Bは、側壁部4の内部を通り、固定電極17A及び固定電極17Bに至っている部分を有する。本実施形態では、固定電極17A及び固定電極17Bは、第2の辺部7Bから、第1の振動部8の第1の主面8aの法線方向と平行に延びている。第4の辺部7Dは、側壁部4の内部を通り、固定電極17C及び固定電極17Dに至っている部分を有する。本実施形態では、固定電極17C及び固定電極17Dは、第4の辺部7Dから、第2の振動部9の第1の主面9aの法線方向と平行に延びている。なお、第1の振動部8の第1の主面8a及び第2の振動部9の第1の主面9a、第1の辺部7A~第4の辺部7Dは同じ平面上に位置する。
【0026】
固定電極17A、固定電極17B、固定電極17C及び固定電極17Dは、それぞれ側壁部4の外側面上に位置する部分及びベース部3の底面3b上に位置する部分を有する。より具体的には、固定電極17A及び固定電極17Bは、第2の外側面4d上に位置する部分を有する。固定電極17C及び固定電極17Dは、第4の外側面4f上に位置する部分を有する。
【0027】
ここで、固定電極17Aは曲げ部17aを有する。本明細書において曲げ部とは、折れ曲がった部分から先端までの部分である。固定電極17Aが複数の折れ曲がった部分を有している場合は、折れ曲がった部分のうち最も先端側に位置する折れ曲がった部分から先端までの部分が曲げ部である。曲げ部17aは、固定電極17Aにおけるベース部3の底面3b上に位置する部分である。曲げ部17aはベース部3に当接している。同様に、固定電極17B、固定電極17C及び固定電極17Dも、ベース部3の底面3b上に位置する曲げ部17b、曲げ部17c及び曲げ部17dをそれぞれ有する。曲げ部17b、曲げ部17c及び曲げ部17dはベース部3に当接している。本実施形態では複数の固定電極が設けられているが、固定電極は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0028】
図2に示すように、第1の振動部8の第1の主面8a上には、第1の圧電振動子13Aが設けられている。第1の圧電振動子13Aは、導電性の接着剤により第1の振動部8に接合されている。なお、第1の圧電振動子13A及び第1の振動部8との接合の方法は上記に限定されない。第1の圧電振動子13Aが第1の振動部8を振動させる。
【0029】
第2の振動部9の第1の主面9a上には、第2の圧電振動子13Bが設けられている。第2の圧電振動子13Bは、導電性の接着剤により第2の振動部9に接合されている。第2の圧電振動子13Bが第2の振動部9を振動させる。第1の圧電振動子13A及び第2の圧電振動子13Bの形状は、特に限定されないが、本実施形態においては矩形板状である。なお、第1の圧電振動子13Aは、第1の振動部8の第2の主面8b上に設けられていてもよい。第2の圧電振動子13Bは、第2の振動部9の第2の主面9b上に設けられていてもよい。
【0030】
図4は、本発明の第1の実施形態における第1の圧電振動子の斜視図である。
【0031】
第1の圧電振動子13Aは圧電体部14を有する。圧電体部14は、上記第1の振動部8側に位置する面14a及び面14aに対向する面14bを有する。圧電体部14には、例えば、PZT系セラミックスなどの圧電体を用いることができる。
【0032】
圧電体部14の面14a上には第1の外部電極15Aが設けられている。面14b上には第2の外部電極15Bが設けられている。第1の外部電極15A及び第2の外部電極15Bは、それぞれ異なる電位に接続される。
【0033】
圧電体部14は、1つの圧電体層であってもよく、あるいは、複数の圧電体層が積層された圧電積層体であってもよい。圧電体部14が圧電積層体である場合には、積層された圧電体層の間に内部電極が設けられていることが好ましい。それによって、低い電圧を印加した場合においても、振動装置1を駆動することができる。
図2に示す第2の圧電振動子13Bも第1の圧電振動子13Aと同様の構成を有する。
【0034】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置を、蓋部を透視して示す斜視図である。
【0035】
振動装置1は、第1の圧電振動子13Aに電気的に接続されており、第1の圧電振動子13Aに給電する給電電極19Aを有する。より具体的には、給電電極19Aは、第1の圧電振動子13Aの第2の外部電極15Bに接続されている。給電電極19Aは、接合部材10により第1の圧電振動子13Aに接合されている。接合部材10には、例えば、半田を用いることができる。同様に、振動装置1は、第2の圧電振動子13Bに電気的に接続されており、第2の圧電振動子13Bに給電する給電電極19Bを有する。給電電極19Bは、接合部材により第2の圧電振動子13Bに接合されている。給電電極19A及び給電電極19Bは、ベース部3に固定されている。
【0036】
給電電極19Aは、筐体2の側壁部4の第1の外側面4c上に位置する部分、第1の開口端面4a上に位置する部分及び第1の圧電振動子13A上に位置する部分を有する。より具体的には、給電電極19Aは曲げ部19aを有する。曲げ部19aは、第1の開口端面4a上に位置する部分及び第1の圧電振動子13A上に位置する部分である。給電電極19Bは、筐体2の側壁部4の第3の外側面4e上に位置する部分、第1の開口端面4a上に位置する部分及び第2の圧電振動子13B上に位置する部分を有する。給電電極19Bは曲げ部19bを有する。曲げ部19bは、第1の開口端面4a上に位置する部分及び第2の圧電振動子13B上に位置する部分である。なお、給電電極19A及び給電電極19Bは振動板6には接していない。
【0037】
第1の圧電振動子13Aの第1の外部電極15Aは、振動板6に電気的に接続される。第1の外部電極15Aは、例えば、振動板6及び固定電極17A~17Dを介して、グラウンド電位に接続される。第2の圧電振動子13Bにおいても同様である。
【0038】
第1の圧電振動子13Aに交流電界を印加することにより、第1の圧電振動子13Aが面内方向に伸縮する。それに伴い、第1の振動部8は屈曲モードにより振動する。同様に、第2の圧電振動子13Bに交流電界を印加することにより、第2の圧電振動子13Bが面内方向に伸縮する。それに伴い、第2の振動部9は屈曲モードにより振動する。本実施形態においては、第1の振動部8及び第2の振動部9の振動は同一である。本明細書において振動が同一であるとは、振動装置1の特性を大きく劣化させない程度に振動が略同一であることを含む。
【0039】
なお、振動装置1は第1の振動部8及び第2の振動部9を振動させる振動子を有していればよく、振動子は圧電振動子には限定されない。
【0040】
第1の振動部8の第2の主面8b側及び第2の振動部9の第2の主面9b側には、
図2に示す質量付加部材18が接続されている。より具体的には、第1の振動部8の自由端及び第2の振動部9の自由端が質量付加部材18に接続されている。なお、質量付加部材18は第1の振動部8の自由端側の部分及び第2の振動部9の自由端側の部分に接続されていればよく、必ずしも第1の振動部8及び第2の振動部9の自由端に接続されていなくともよい。もっとも、質量付加部材18は、第1の振動部8及び第2の振動部9の自由端に接続されていることが望ましい。これにより、振動の強度を大きくすることができる。
【0041】
本実施形態においては、質量付加部材18が、蓋部5とベース部3とを結ぶ方向において、直線の軌道上を往復するように振動する。よって、振動装置1では、筐体2内におけるほぼ全体の領域において、第1の振動部8、第2の振動部9及び質量付加部材18が振動する。従って、振動の強度を効果的に大きくすることができ、かつ振動装置1を小型にすることができる。
【0042】
図6は、本発明の第1の実施形態における質量付加部材の側面図である。
【0043】
図2及び
図6に示すように、質量付加部材18は、振動板6の第1の振動部8及び第2の振動部9に対向する側の面において、第1の傾斜部18a及び第2の傾斜部18bを有する。第1の傾斜部18aは、質量付加部材18の第1の振動部8と対向する領域に位置している。より具体的には、第1の傾斜部18aは、振動板6の固定部7における第1の辺部7Aと第3の辺部7Cとを結ぶ方向中央と、第3の辺部7C側の端部との間に位置している。第1の傾斜部18aにおいては、第3の辺部7C側に向かうほど、第1の振動部8に近づくように傾斜している。
【0044】
第2の傾斜部18bは、質量付加部材18の第2の振動部9と対向する位置に位置している。より具体的には、第2の傾斜部18bは、振動板6の固定部7における第1の辺部7Aと第3の辺部7Cとを結ぶ方向中央と、第1の辺部7A側の端部との間に位置している。第2の傾斜部18bにおいては、第1の辺部7A側に向かうほど、第2の振動部9に近づくように傾斜している。
【0045】
他方、質量付加部材18の第1の傾斜部18a及び第2の傾斜部18bが設けられている面における、第1の傾斜部18a及び第2の傾斜部18b以外の部分は、平坦である。質量付加部材18が第1の傾斜部18a及び第2の傾斜部18bを有することにより、質量付加部材18の蓋部5側の変位をより一層大きくすることができる。従って、振動の強度をより一層大きくすることができる。
【0046】
なお、質量付加部材18の形状は上記に限定されない。質量付加部材18は、傾斜部を有しない直方体などであってもよい。質量付加部材18は、適宜の金属や金属及び樹脂の合成材料、あるいはセラミックスなどからなる。質量付加部材18は、質量付加作用が高いタングステンなどの、密度が高い金属からなることが好ましい。それによって、振動装置1の小型化を容易に進めることができる。
【0047】
本実施形態においては、振動板6の固定部7の中心と質量付加部材18の重心とは重なっている。もっとも、振動板6と質量付加部材18との位置関係はこれに限定されない。
【0048】
本実施形態の特徴は、以下の点にある。1)振動板6と固定電極17A~17Dとが一体の部材であること。2)第1の辺部7Aから第1の振動部8が延びており、第2の辺部7Bから固定電極17A及び固定電極17Bが延びており、第3の辺部7Cから第2の振動部9が延びており、第4の辺部7Dから固定電極17C及び固定電極17Dが延びていること。
【0049】
振動板6と固定電極17A~17Dとが一体の部材であることにより、振動板6と固定電極17A~17Dとの間に接合部が存在しないため、振動による接合強度の劣化がなく、振動装置1の信頼性を高めることができる。加えて、固定電極17A~17Dと振動板6とを接続するための部材を設ける工程や、固定電極17A~17Dと振動板6とを接続する工程を省くことができ、生産性を高めることができる。さらに、固定電極17A~17Dと振動板6とを接続するための部材などが不要であるため、振動装置1を小型にすることができる。
【0050】
ここで、振動板6の固定部7は、第1の振動部8及び第2の振動部9を固定する部分であるが、第1の振動部8及び第2の振動部9の振動に伴い微小に変位する。例えば、第1の辺部から第1の振動部、固定電極が延びている場合、固定電極により第1の辺部の剛性が高くなり、第1の振動部の振動が阻害される。これに対して、本実施形態においては、異なる方向に延びる第1の辺部7A及び第2の辺部7Bのうち、第1の辺部7Aから第1の振動部8が延びており、第2の辺部7Bから固定電極17A及び固定電極17Bが延びている。それによって、第1の振動部8の振動の阻害が生じ難い。同様に、第3の辺部7Cから第2の振動部9が延びており、第4の辺部7Dから固定電極17C及び固定電極17Dが延びていることにより、第2の振動部9の振動の阻害が生じ難い。これにより、振動の効率を高めることができ、小型であっても大きな振動を発生する振動装置1が得られる。
【0051】
本実施形態においては、振動板6、固定電極17A、固定電極17B、固定電極17C、固定電極17D及び筐体2の側壁部4は、第1のインサート成形体12Aである。より具体的には、振動板6における固定部7の一部が、側壁部4の内部に設けられることにより固定されている。さらに、固定電極17A~17Dは振動板6と一体の部材である。それによって、振動板6及び固定電極17A~17Dを、接合用の部材などを用いずに好適に固定することができる。従って、小型化をより一層容易に進めることができる。
【0052】
給電電極19A、給電電極19B及び筐体2のベース部3は、第2のインサート成形体12Bである。より具体的には、給電電極19A及び給電電極19Bの一部が、ベース部3の内部に設けられている。それによって、給電電極19A及び給電電極19Bを、接合用の部材などを用いずに好適に固定することができる。従って、振動装置1の小型化をより一層容易に進めることができる。なお、筐体2の側壁部4及びベース部3は、必ずしもインサート成形体として設けられていなくともよい。
【0053】
本実施形態においては、振動板6の第1の振動部8及び第2の振動部9は自由端を有する片持ち梁構造であるが、両持ち梁構造であってもよい。この場合においても、振動板6と固定電極17A~17Dとが一体の部材であることにより、生産性を高めることができ、かつより確実に振動を外部に伝搬させることができる。
【0054】
以下において、第1の実施形態に係る振動装置1の製造方法の一例を説明する。
【0055】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いられる第1の板部材を示す斜視図である。
図8は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図9は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図10は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。なお、
図10においては、側壁部の内部を透視して示し、質量付加部材をハッチングにより示す。
【0056】
図7に示すように、第1の板部材25を用意する。第1の板部材25は、固定電極部分27A、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dを有する。固定電極部分27Aは、
図3に示した固定電極17Aとなる部分である。同様に、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dは、それぞれ、固定電極17B、固定電極17C及び固定電極17Dとなる部分である。
【0057】
第1の板部材25は、第1の振動部8、第2の振動部9及び固定部7を含む振動板部分26を有する。振動板部分26は振動板6となる部分である。さらに、第1の板部材25は、固定電極部分27A、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dを接続している、枠状の接続部分23を有する。なお、第1の板部材25は接続部分23を有していなくともよい。第1の板部材25は導電性部材である。
【0058】
次に、
図8に示すように、インサート成形により、第1の板部材25の一部を内部に含むように、上記筐体2の側壁部4が構成された、インサート成形体22Aを形成する。このとき、振動板部分26の固定部7の少なくとも一部が側壁部4の内部に位置し、かつ固定電極部分27A~27Dが側壁部4を貫通するように、側壁部4を設ける。それによって、接合用の部材などを用いずに振動板部分26、固定電極部分27A~27Dを側壁部4に固定することができる。
【0059】
次に、
図9に示すように、第1の板部材25の振動板部分26における第1の振動部8の第1の主面8a上に第1の圧電振動子13Aを設ける。同様に、第1の板部材25の振動板部分26における第2の振動部9の第1の主面9a上に第2の圧電振動子13Bを設ける。次に、
図10に示すように、第1の振動部8の自由端及び第2の振動部9の自由端に質量付加部材18を接続する。
【0060】
次に、固定電極部分27Aを折り曲げることにより、曲げ部27aを設ける。同様に、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dを折り曲げることにより、曲げ部27b、曲げ部27c及び曲げ部27dをそれぞれ設ける。なお、固定電極部分27A、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dを折り曲げるに際し、
図9に示した接続部分23から固定電極部分27A~27Dを切り離す。もっとも、第1の板部材25は、固定電極部分27A~27Dを切り離さずに折り曲げられるように構成されていてもよい。
【0061】
図11は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造に用いられる第2の板部材を示す斜視図である。
図12は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図13は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
図14は、本発明の第1の実施形態に係る振動装置の製造方法の一例を説明するための斜視図である。
【0062】
他方、
図11に示すように、給電電極部分29A及び給電電極部分29Bが一体となった第2の板部材28を用意する。給電電極部分29Aは
図2に示した給電電極19Aとなる部分であり、給電電極部分29Bは給電電極19Bとなる部分である。第2の板部材28は、給電電極部分29A及び給電電極部分29Bを接続している接続部分24を有する。なお、第2の板部材28は、接続部分24を有していなくともよい。
【0063】
次に、
図12に示すように、インサート成形により、第2の板部材28の一部を内部に含むように、上記筐体2のベース部3が構成された、インサート成形体22Bを形成する。このとき、給電電極部分29A及び給電電極部分29Bの一部がベース部3の内部に位置するように、ベース部3を設ける。それによって、給電電極部分29A及び給電電極部分29Bを、接合するための部材を用いずに、ベース部3に固定することができる。
【0064】
次に、
図13に示すように、ベース部3により側壁部4の第2の開口端面4b側を塞ぐように、インサート成形体22Aとインサート成形体22Bとを接合する。次に、固定電極部分27Aの曲げ部27aがベース部3の底面3b上に位置するように、固定電極部分27Aを折り曲げる。これにより、固定電極部分27Aが側壁部4の外側面上に位置する部分及びベース部3の底面3b上に位置する部分を有するように、固定電極部分27Aを配置する。同様に、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dの曲げ部27b、曲げ部27c及び曲げ部27dがベース部3の底面3b上に位置するように、固定電極部分27B~27Dを折り曲げる。これにより、固定電極部分27B、固定電極部分27C及び固定電極部分27Dが側壁部4の外側面上に位置する部分及びベース部3の底面3b上に位置する部分を有するように、固定電極部分27B~27Dを配置する。それによって、
図14に示すように、固定電極17A、固定電極17B、固定電極17C及び固定電極17Dを得る。
【0065】
次に、第2の板部材28の給電電極部分29Aを折り曲げることにより、曲げ部29aを設ける。さらに、給電電極部分29Aを折り曲げることにより、給電電極部分29Aにおける、側壁部4の第1の外側面4c上に位置する部分を設け、かつ曲げ部29aを側壁部4の第1の開口端面4a上及び第1の圧電振動子13A上に配置する。このように、給電電極部分29Aを、第1の外側面4c上、第1の開口端面4a上及び第1の圧電振動子13A上に位置するように配置する。
【0066】
同様に、給電電極部分29Bを折り曲げることにより曲げ部29bを設ける。さらに、給電電極部分29Bを折り曲げることにより、給電電極部分29Bにおける、側壁部4の第3の外側面4e上に位置する部分を設け、かつ曲げ部29bを側壁部4の第1の開口端面4a上及び第2の圧電振動子13B上に配置する。このように、給電電極部分29Bを、第3の外側面4e上、第1の開口端面4a上及び第2の圧電振動子13B上に位置するように配置する。なお、振動板6に接しないように、給電電極部分29A及び給電電極部分29Bを配置する。給電電極部分29A及び給電電極部分29Bを折り曲げるに際し、接続部分24から給電電極部分29A及び給電電極部分29Bを切り離す。もっとも、第2の板部材28は、各給電電極部分を切り離さずに折り曲げられるように構成されていてもよい。
【0067】
次に、第1の圧電振動子13Aの第2の外部電極15Bに給電電極部分29Aを接合する。第2の外部電極15Bと給電電極部分29Aとの接合には、例えば、半田を用いることができる。同様に、第2の圧電振動子13Bに
給電電極部分29Bを接合する。次に、側壁部4上に、
図1に示した蓋部5を設ける。
【0068】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る振動装置の給電電極付近を示す斜視図である。
図16は、
図15に示す部分において、蓋部を省略した斜視図である。
【0069】
図15及び
図16に示すように、本実施形態は、給電電極39Aが突起部39c及び突起部39dを有し、筐体32の蓋部35が凹部35a及び凹部35bを有する点において、第1の実施形態と異なる。さらに、突起部39cと凹部35aとが嵌合しており、突起部39dと凹部35bとが嵌合している点においても第1の実施形態と異なる。なお、給電電極39Aに対向する給電電極も給電電極39Aと同様に突起部を有し、該突起部と蓋部の凹部とが嵌合している。上記の点以外においては、本実施形態の振動装置は第1の実施形態の振動装置1と同様の構成を有する。
【0070】
本明細書において、例えば、突起部39cと凹部35aとが嵌合しているとは、少なくとも、突起部39cと、凹部35aの内面における側壁部4の第1の外側面4c側の部分とが接していることをいう。突起部39cと凹部35aとが嵌合していることにより、少なくとも側壁部4の外側への給電電極39Aの位置ずれを抑制することができる。よって、給電電極39Aが第1の圧電振動子13Aから剥離し難い。例えば、給電電極39Aにおける第1の外側面4c上に位置する部分が外部に接合され、給電電極39Aに対して側壁部4の外側方向に外力が加わる場合などに特に好適である。あるいは、給電電極39Aにおける第1の外側面4c上に位置する部分が半田などにより外部に接合され、熱膨張などが生じた場合においても、給電電極39Aの位置ずれを効果的に抑制することができる。
【0071】
本実施形態では、給電電極39Aが突起部39c及び突起部39dを有し、突起部39c及び突起部39dがそれぞれ凹部35a及び凹部35bと嵌合しているため、給電電極39Aの位置ずれをより一層抑制することができる。
【0072】
なお、給電電極39Aの突起部の個数及び形状は特に限定されない。あるいは、給電電極39Aに凹部または貫通孔が設けられており、蓋部35に突起部が設けられており、かつ給電電極39Aの凹部または貫通孔と蓋部35の突起部とが嵌合していてもよい。
【0073】
本実施形態においても、振動板6と固定電極とは一体の部材である。従って、第1の実施形態と同様に、生産性を高めることができ、かつより確実に振動を外部に伝搬させることができる。
【符号の説明】
【0074】
1…振動装置
2…筐体
3…ベース部
3b…底面
4…側壁部
4a…第1の開口端面
4b…第2の開口端面
4c~4f…第1~第4の外側面
5…蓋部
6…振動板
7…固定部
7A~7D…第1~第4の辺部
8…第1の振動部
8a,8b…第1,第2の主面
8c…板状部
8d…接続部
9…第2の振動部
9a,9b…第1,第2の主面
9c…板状部
9d…接続部
10…接合部材
12A,12B…第1,第2のインサート成形体
13A,13B…第1,第2の圧電振動子
14…圧電体部
14a,14b…面
15A,15B…第1,第2の外部電極
17A~17D…固定電極
17a~17d…曲げ部
18…質量付加部材
18a,18b…第1,第2の傾斜部
19A,19B…給電電極
19a,19b…曲げ部
22A,22B…インサート成形体
23,24…接続部分
25…第1の板部材
26…振動板部分
27A~27D…固定電極部分
27a~27d…曲げ部
28…第2の板部材
29A,29B…給電電極部分
29a,29b…曲げ部
32…筐体
35…蓋部
35a,35b…凹部
39A…給電電極
39c,39d…突起部