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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】電波環境測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20220906BHJP
   B64C 27/08 20060101ALI20220906BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20220906BHJP
   B64C 1/36 20060101ALI20220906BHJP
   H04B 17/30 20150101ALI20220906BHJP
【FI】
G01R29/08 B
B64C27/08
B64C39/02
B64C1/36
H04B17/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021508254
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(86)【国際出願番号】 JP2020006134
(87)【国際公開番号】W WO2020195336
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-08-24
(31)【優先権主張番号】P 2019064444
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、総務省、平成30年度における電波資源拡大のための研究開発のうち「IoT/5G時代の様々な電波環境に対応した最適通信方式選択技術の研究開発」の委託業務、産業技術力強化法第17条の規定の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】藤本 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】浅田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】前田 敏行
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-136237(JP,A)
【文献】国際公開第2017/134715(WO,A1)
【文献】特開2018-155710(JP,A)
【文献】特開昭61-230503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0088498(US,A1)
【文献】国際公開第2018/138942(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/211828(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 29/08
G01R 29/10
B64C 27/08
B64C 39/02
H04B 17/309
H04B 17/318
H04B 17/345
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状態で移動可能なマルチコプタ型無人飛行体と、
前記マルチコプタ型無人飛行体の機体に取り付けられた、複数の面を有する多面体と、
前記多面体の前記複数の面のそれぞれに設けられたアンテナと、を備え、
前記多面体は、前記アンテナに対応する動作周波数帯における1波長以上の間隔を設けて、前記機体に取り付けられている、
電波環境測定装置。
【請求項2】
中空状態で移動可能なマルチコプタ型無人飛行体と、
前記マルチコプタ型無人飛行体の機体に取り付けられた、複数の面を有する多面体と、
前記多面体の前記複数の面のそれぞれに設けられたアンテナと、を備え、
前記多面体は、正多面体の形状を有し、前記マルチコプタ型無人飛行体の機体の中心を通る鉛直線上に前記正多面体の中心を配置するように前記機体に取り付けられている、
電波環境測定装置。
【請求項3】
中空状態で移動可能なマルチコプタ型無人飛行体と、
前記マルチコプタ型無人飛行体の機体に取り付けられた、複数の面を有する多面体と、
前記多面体の前記複数の面のそれぞれに設けられたアンテナと、を備え、
前記多面体は、頂点部を有し、前記頂点部を前記機体に対向させて取り付けられている、
電波環境測定装置。
【請求項4】
中空状態で移動可能なマルチコプタ型無人飛行体と、
前記マルチコプタ型無人飛行体の機体に取り付けられた、複数の面を有する多面体と、
前記多面体の前記複数の面のそれぞれに設けられたアンテナと、を備え、
前記多面体は、角錐台形の形状を有する、
電波環境測定装置。
【請求項5】
前記多面体は、前記機体よりも鉛直方向上側に固定して取り付けられている、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の電波環境測定装置。
【請求項6】
前記多面体は、前記機体よりも鉛直方向下側に固定して取り付けられている、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の電波環境測定装置。
【請求項7】
前記多面体は、少なくとも表面が樹脂材料で覆われた支柱を介して前記機体に取り付けられている、
請求項1~4のうちいずれか一項に記載の電波環境測定装置。
【請求項8】
前記多面体は、六面体の形状を有する、
請求項1~のうちいずれか一項に記載の電波環境測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電波環境測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、基地局と、ドローンと、ドローン制御装置とを含む放射電力測定システムが開示されている。ドローンは、基地局から到来する電波を受信する受信アンテナと、受信した電波の電力を測定する電力測定部とを含む。ドローン制御装置は、ドローンを基地局から所定の距離離れた所定の位置に移動させ、電波の到来方向と受信アンテナの向きが対応するようにドローンを回転させる位置姿勢制御部を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-96928号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示は、上述した従来の状況に鑑みて案出され、マルチコプタ型無人飛行体を用いた、電波測定の効率を向上させる電波環境測定装置を提供することを目的とする。
【0005】
本開示は、中空状態で移動可能なマルチコプタ型無人飛行体と、前記マルチコプタ型無人飛行体の機体に取り付けられた、複数の面を有する多面体と、前記多面体の前記複数の面のそれぞれに設けられたアンテナと、を備える、電波環境測定装置を提供する。
【0006】
本開示によれば、マルチコプタ型無人飛行体を用いた電波測定の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係る電波環境測定装置の多面体が機体よりも上に取り付けられた斜視図
図2図1に示した電波環境測定装置の側面図
図3】多面体が機体よりも下に取り付けられた電波環境測定装置の斜視図
図4図3に示した電波環境測定装置の側面図
図5】多面体が機体よりも上で頂点を機体に対向して取り付けた電波環境測定装置の斜視図
図6図5に示した電波環境測定装置の側面図
図7】多面体が機体よりも下で頂点を機体に対向して取り付けた電波環境測定装置の斜視図
図8図7に示した電波環境測定装置の側面図
図9】角錐台形の多面体が機体よりも上に取り付けられた電波環境測定装置の斜視図
図10】正六面体で形成された多面体アンテナの斜視図
図11】多面体アンテナの一つの面の正面図
図12図11の断面12-12による断面図
図13】多面体アンテナにおける合わせ目のシールド構造を概念的に示す模式図
図14】電波環境測定装置の受信系のハードウェア構成例を示すブロック図
図15】電波環境測定装置により測定が行われる対象エリアの一例を示す図
図16】多面体アンテナによる測定概念を示す説明図
図17】実施の形態1に係る電波環境測定装置を用いた測定方法の概略説明図
図18図17の方法で実測した垂直偏波電波強度の変動度を示す説明図
図19図17の方法で実測した水平偏波電波強度の変動度を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示に至る経緯)
特許文献1に開示される放射電力測定システムでは、アンテナが指向性を有するため、最強感度の方向を探索するには、電波の到来方向と受信アンテナの向きとが対応するようにドローンを回転させる必要があった。このため、ドローンを回転させる動作に費やされる時間分、電波の到来方向を測定するための時間が長くなる可能性があった。
【0009】
そこで、以下の実施の形態1では、マルチコプタ型無人飛行体を用いた電波測定の効率を向上させる電波環境測定装置の例を説明する。
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係る電波環境測定装置の構成および動作を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
(電波環境測定装置の構成)
図1は、実施の形態1に係る電波環境測定装置11の多面体13が機体15よりも上に取り付けられた斜視図である。図2は、図1に示した電波環境測定装置11の側面図である。電波環境測定装置11は、機体15を有し中空状態(つまり、宙に浮いたホバー状態)で移動可能なマルチコプタ型無人飛行体(ドローン17)と、多面体13と、アンテナ(水平偏波アンテナ51及び垂直偏波アンテナ53)と、を主要な構成として有する。
【0012】
以下の説明において、マルチコプタ型無人飛行体は、無人飛行可能な航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)としてドローン17を例示する。ドローン17は、ドローン17から離れた位置に存在する操作者が所持する操作用端末(図示略)に対する操作に応じて無線で送信される制御信号の受信に基づいて、自律的な制御を行うことで飛行する。なお、ドローン17は、例えば4つの回転翼(つまりロータ19)を備えるクアッドコプタを図例として示すが、回転翼数はこれに限定されない。
【0013】
ドローン17は、機体15を有する。機体15は、軽量な合成樹脂製の外殻により覆われる。機体15は、例えば扁平な六面体として形成される。なお、機体15の形状は、六面体に限定されず、その他の多面体や流線形(例えばティアードロップ形や回転楕円形など)であってもよい。
【0014】
機体15には、モータの駆動軸21に回転翼(ロータ19)を固定した4つの回転駆動部23が、アーム部材25を介して放射方向に固定される。また、機体15には、下方に延びる開脚した一対のランディングスキッド27が備えられる。
【0015】
機体15の内方は、受信機、送信機、PC、フライトコントローラ、ジャイロセンサ、加速度センサ、衛星測位システム、記憶装置、MPU部、バッテリなどの電装機器が収容される。
【0016】
多面体13は、機体15に取り付けられる。
【0017】
アンテナは、多面体13の複数の面のそれぞれに一様に設けられてよい。アンテナが設けられた面は、平面アンテナとなる。多面体13は、複数の面のそれぞれが平面アンテナとなることにより、多面体アンテナ29を構成する。
【0018】
多面体13は、アンテナが対応する動作周波数(中心周波数)帯における1波長以上の間隔aを設けて機体15に取り付けられている。この間隔aは、より具体的には、機体15に収容される電装機器(金属部材)と、多面体アンテナ29のシールド層との最も近い距離と言うことができる。
【0019】
電波環境測定装置11は、多面体13が、少なくとも表面を樹脂材料で覆った支柱31を介して機体15に取り付けられている。支柱31は、例えば多面体13の底面における各角部から1本ずつの合計4本が機体15に固定されている。なお、支柱31の数は4本に限定されず、1本、あるいは2本以上の複数であってもよい。また、支柱31は、丸棒形状(断面が円形形状)であることが好ましい。
【0020】
電波環境測定装置11は、多面体13が、機体15よりも鉛直方向上側に取り付けられてもよい。
【0021】
電波環境測定装置11は、多面体13が、正多面体の形状を有し、機体中心を通る鉛直線上に正多面体中心を配置するように機体15に取り付けられていることが好ましい。なお、「中心」とは、幾何学的な中心(一定点に関して点対称な図形に対して、その一定点)を言うが、この中心の位置が重心(質量中心)と大きく異なる場合には、中心は重心と読み替えるものとする。
【0022】
電波環境測定装置11は、多面体13が、六面体であってもよい。なお、多面体13は、六面体に限定されない。六面体で形成された多面体13は、例えば一対の平行な面が、機体15の上面と平行となり、他の一対の面が、機体15の前進後退方向に直交面となる向きで機体15に取り付けられる。
【0023】
図3は、多面体13が機体15よりも下に取り付けられた電波環境測定装置11Aの斜視図である。図4は、図3に示した電波環境測定装置11Aの側面図である。電波環境測定装置11Aは、多面体13が、機体15よりも鉛直方向下側に取り付けられてもよい。六面体で形成された多面体13は、例えば一対の平行な面が、機体15の下面と平行となり、他の一対の面が、機体15の前進後退方向に直交面となる向きで機体15に取り付けられる。この場合、多面体13は、機体15が着地した際の地面との接触を回避できるように、一対のランディングスキッド27の間で、ランディングスキッド27の下端よりも上方に配置される。
【0024】
図5は、多面体13が機体15よりも上で頂点を機体15に対向して取り付けた電波環境測定装置11Bの斜視図である。図6は、図5に示した電波環境測定装置11Bの側面図である。電波環境測定装置11Bは、多面体13が、頂点部を有し、その頂点部を機体15に対向させて取り付けられてもよい。多面体13は、機体15よりも鉛直方向上側で、頂点部を機体15に対向させて取り付けることができる。この場合、六面体で形成された多面体13は、一つの対角線が機体15の上面に垂直方向となり、他の一つの対角線が機体15の前進後退方向に沿う方向となる向きで機体15に取り付けられる。
【0025】
図7は、多面体13が機体15よりも下で頂点を機体15に対向して取り付けた電波環境測定装置11Cの斜視図である。図8は、図7に示した電波環境測定装置11Cの側面図である。多面体13は、機体15よりも鉛直方向下側で、頂点を機体15に対向させて取り付けてもよい。この場合、六面体で形成された多面体13は、一つの対角線が機体15の下面に垂直方向となり、他の一つの対角線が機体15の前進後退方向に沿う方向となる向きで機体15に取り付けられる。
【0026】
図9は、角錐台形の多面体13Dが機体15よりも上に取り付けられた電波環境測定装置11Dの斜視図である。電波環境測定装置11Dは、多面体13Dが、角錐台形であってもよい。図例では四角錐台形を示す。角錐台形の多面体アンテナ29Dは、底面積が上面積よりも大きくなる向きで機体15に取り付けられる。この場合、多面体13Dは、底面にアンテナを設けない構成としてもよい。
【0027】
多面体は、上記した六面体や角錐台形以外の多面体とすることができる。即ち、多面体は、四面体、八面体、十二面体などとすることができる。また、多面体は、三角錐台形とすることもできる。
【0028】
図10は、正六面体で形成された多面体アンテナ29の斜視図である。多面体アンテナ29は、面材の一例としてのプリント基板33と、フレーム体35(図13参照)とを主要な構成として有する。プリント基板33と、フレーム体35とは、固定ねじ37により固定されて筐体を構成する。筐体は六面体であり、特に立方体である場合を例示する。
【0029】
多面体アンテナ29は、被測定電波の到来方向に対向する面を、第1面39とした場合、平面視において、第1面39から時計回りで隣接する面を第2面41、第3面43、第4面45とし、上面を第5面47、下面を第6面49とすることができる。多面体アンテナ29は、第1面39から第6面49のそれぞれに、アンテナである水平偏波アンテナ51と垂直偏波アンテナ53を配置している。
【0030】
図11は、多面体アンテナ29の一つの面の正面図である。多面体アンテナ29は、一つの面が平面アンテナとなる。平面アンテナは、プリント基板33の表面に、水平偏波アンテナ51と垂直偏波アンテナ53を備える。水平偏波アンテナ51と垂直偏波アンテナ53のそれぞれは、ダイポールアンテナとすることができる。
【0031】
図12は、図11の断面12-12による断面図である。平面アンテナは、プリント基板33の裏面にシールド層55(ダイポールアンテナに対しプリント基板33の厚み分離れる)を設けている。ダイポールアンテナには、プリント基板33を貫通するビア導体57が接続される。ビア導体57は、プリント基板33の裏面で、シールド層55と隔絶された接続端部59となる。
【0032】
図13は、多面体アンテナ29における合わせ目61のシールド構造を概念的に示す模式図である。多面体アンテナ29は、シールド層55を中間層に有した積層基板63を、フレーム体35に固定してもよい。この場合、積層基板63の縁部同士は、フレーム体35の直交2面部65に固定される。フレーム体35は、導電性を有し、積層基板63の縁部同士を固定するとともに、接地用ビア導体67、接地導体69を介して、シールド層55と導通する。つまり、直交2面部65に固定された隣接のプリント基板33は、それぞれの接地導体69が直交2面部65に接触することによりフレーム体35と同電位で接地される。
【0033】
その結果、縁部同士の合わせ目61により生じた接地導体69の不連続部分は、フレーム体35により接続され、立方体の内方への電波の進入が抑制される。この多面体アンテナ29によれば、立方体の内方への電波の進入が抑制されることにより、進入が許容される構成に比べ、電波の到来方向のより正確な測定が可能となる。
【0034】
図14は、電波環境測定装置11の受信系のハードウェア構成例を示すブロック図である。多面体アンテナ29は、アンテナ部1~6と、MPU部7とを含む構成である。アンテナ部1~6の構成はいずれも同一であるため、ここでは説明を簡略化するために、アンテナ部1を例示して説明する。また、以下のアンテナ部1の説明において、他のアンテナ部の対応する構成に読み替えても構わない。
【0035】
アンテナ部1は、水平偏波アンテナ1hと、垂直偏波アンテナ1vと、スイッチ部1sと、アンテナ制御部1mとを含む。
【0036】
水平偏波アンテナ1hは、エリア内に配置される無線送信機10TX(図15参照)から送信される電波の水平偏波を受信し、具体的には、所定の周波数帯(例えば5.0GHz帯)の水平偏波を受信する。水平偏波アンテナ1hは、スイッチ部1sと導通されている。
【0037】
垂直偏波アンテナ1vは、エリア内に配置される無線送信機10TX(図15参照)から送信される電波の垂直偏波を受信し、具体的には、所定の周波数帯(例えば5.0GHz帯)の垂直偏波を受信する。垂直偏波アンテナ1vは、スイッチ部1sと導通されている。
【0038】
スイッチ部1sは、MPU7aのスイッチ切換制御部7a2から多面体アンテナ29の筐体を構成する面毎に時分割で出力されるスイッチ切換信号に応じて、水平偏波アンテナ1hまたは垂直偏波アンテナ1vをアンテナ制御部1mに接続する。言い換えると、スイッチ部1sは、上述したスイッチ切換信号に応じて、水平偏波アンテナ1hまたは垂直偏波アンテナ1vの出力をアンテナ制御部1mに出力する。
【0039】
アンテナ制御部1mは、例えばWi-Sun(登録商標)の無線信号を扱う標準規格に準拠した無線信号用の回路(モジュール)を用いて構成される。アンテナ制御部1mは、スイッチ部1sに接続された水平偏波アンテナ1hまたは垂直偏波アンテナ1vの出力をパラレル形式のデータ(例えば、無線送信機10TXから送信された電波の受信電界強度)として取り出し、そのパラレル形式のデータをMPU7aのデータ変換部7a1に出力する。
【0040】
MPU部7は、MPU(Micro Processing Unit)7aと、USB(Universal Serial Bus)ポート7bと、を含む。
【0041】
MPU7aは、多面体アンテナ29の制御部として機能し、多面体アンテナ29の各部の動作を全体的に統括するための制御処理、多面体アンテナ29の各部との間のデータの入出力処理、データの演算処理、およびデータの記憶処理を行う。MPU7aは、データ変換部7a1と、スイッチ切換制御部7a2とを含む。
【0042】
データ変換部7a1は、例えばUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)回路を用いて構成され、それぞれのアンテナ制御部(例えばアンテナ制御部1m~6m)により出力されたパラレル形式のデータをシリアル形式のデータに変換する。このデータ(例えば、無線送信機10TXから送信された電波の受信電界強度)は、USBポート7bを介して、多面体アンテナ29に接続される測定機器(例えば、スペクトラムアナライザ、またはネットワークアナライザ)に入力される。また、実施の形態1において、測定機器は、PC(Personal Computer)を含んでもよい。
【0043】
スイッチ切換制御部7a2は、多面体アンテナ29のそれぞれの面のうちいずれかの面の水平偏波アンテナまたは垂直偏波アンテナの出力をMPU部7に入力するためのスイッチ切換信号を時分割に生成する。スイッチ切換制御部7a2は、GPIO(General Purpose Input Output)端子を有し、このGPIO端子を介して、上述した時分割に生成したスイッチ切換信号を、それぞれの面のスイッチ部(例えばスイッチ部1s~6s)に出力する。これにより、スイッチ切換信号により、所定時間毎にアンテナ部1の水平偏波アンテナ1hの出力、アンテナ部1の垂直偏波アンテナ1vの出力、…、アンテナ部6の水平偏波アンテナ6hの出力、アンテナ部6の垂直偏波アンテナ6vの出力の順に周期的に、いずれかのアンテナの出力値だけが排他的にMPU7aに入力可能となる。
【0044】
なお、スイッチ切換制御部7a2は、多面体アンテナ29の全ての面のそれぞれの水平偏波アンテナおよび垂直偏波アンテナの出力を同時にMPU部7に入力するための制御信号を生成してもよい。スイッチ切換制御部7a2は、このGPIO端子を介して、上述した制御信号を一斉に、それぞれの面のスイッチ部(例えばスイッチ部1s~6s)に出力する。これにより、制御信号により、アンテナ部1の水平偏波アンテナ1hの出力およびアンテナ部1の垂直偏波アンテナ1vの出力、…、アンテナ部6の水平偏波アンテナ6hの出力およびアンテナ部6の垂直偏波アンテナ6vの出力が一斉にMPU7aに入力可能となり、多面体アンテナ29の全ての面において水平偏波アンテナおよび垂直偏波アンテナの両方の測定が同時に可能となる。
【0045】
USBポート7bは、多面体アンテナ29と、図示しないPCや測定機器(例えば、スペクトラムアナライザ、またはネットワークアナライザ)とを接続する。
【0046】
なお、上述した説明は、多面体アンテナ29が電波を受信する場合を例示した説明であるが、多面体アンテナ29は電波を送信するための構成を有していると考えてよい。つまり、多面体アンテナ29は、アンテナ部1~6のうち時分割でいずれかのアンテナ部を使用するように切り換え、さらに、そのアンテナ部に設けられた水平偏波アンテナまたは垂直偏波アンテナから電波を時分割に送信してもよい。従って、後述する無線送信機10TXは、多面体アンテナ29と同一の構成を有することができる。
【0047】
PC(図示略)は、エリア内において無線送信機10TX(図15参照)から送信された電波を受信するための多面体アンテナ29との間でUSBケーブル(図示略)を介して接続される。PCは、多面体アンテナ29により受信された電波の検出出力(例えば受信電界強度)に基づいて、エリア内の地点における電波の受信電力を測定して計算する。PCは、多面体アンテナ29のそれぞれの面に配置された水平偏波アンテナおよび垂直偏波アンテナにおける検出出力に基づいて各周波数の水平偏波、垂直偏波の電波強度を測定できる。また、PCは、多面体アンテナ29のそれぞれの面に配置された水平偏波アンテナおよび垂直偏波アンテナにおける検出出力に基づいて反射波の到来方向を特定し、壁面等の障害物(散乱体)が電波を吸収しているかどうかを判別できる。PCは、機体15に収容されても、機体15と別体で設けられてもよい。PCが機体15と別体で設けられる場合には、各測定値は記憶装置に記憶された後、PCへと有線接続等により読み込ませる。
【0048】
図15は、電波環境測定装置11により測定が行われる対象エリア71の一例を示す図である。対象エリア71は、例えば奥行き30m、間口90mの面積を有する広大な工場であり、一端側の所定の高さ(例えば床面から180cm)の位置に無線送信機10TXが配置される。また、対象エリア71の略中央には散乱体の一例としての壁73が配置されている。ドローン17は、手動による遠隔操作で対象エリア71を飛行させることができる。
【0049】
また、ドローン17は、例えば衛星測位システムであるGNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して現在位置を取得することができる。この場合、ドローン17は、対象エリア71の地図情報、現在位置情報、測定座標点、検出値を記憶装置に記憶する。
【0050】
電波環境の測定では、ドローン17の飛行に先立ち、例えば事前に飛行ルートとなるウェイポイントを机上で作成してもよい。ウェイポイントは、飛行ルートを一筆書きで記した線上に通過順に設定される。このウェイポイントは、各ウェイポイントの方向情報とともにドローン17の記憶装置に記憶される。
【0051】
この場合、ドローン17は、対象エリア71の地図情報と、ウェイポイントP1,P2,P3~Pn-1,Pnとを照会しながら飛行し、各測定座標点での測定を自動で行うことが可能となる。ドローン17は、位置情報とともに各測定座標点での測定値を記憶装置に記憶する。フライトコントローラは、全てのウェイポイントP1~Pnを通過完了したか否かを判断する。フライトコントローラは、全てのウェイポイントP1~Pnを通過していた場合、測定を終了する。
【0052】
(電波環境測定装置の動作)
次に、実施の形態1に係る電波環境測定装置11の動作を説明する。
【0053】
実施の形態1に係る電波環境測定装置11は、中空状態で移動可能なドローン17と、ドローン17の機体15に取り付けられた、複数の面を有する多面体13と、多面体13の複数の面のそれぞれに設けられたアンテナと、を備える。
【0054】
実施の形態1に係る電波環境測定装置11では、ドローン17の機体15に、多面体13が取り付けられる。多面体13の複数の面には、受信アンテナとなるアンテナが設けられている。多面体13は、複数の面にアンテナを備えた多面体アンテナ29と称すことができる。多面体アンテナ29を備えた電波環境測定装置11は、ドローン17の飛行移動によって、電波環境を測定する対象エリア71を飛行可能である。この対象エリア71には、信号源としての無線送信機10TXの少なくとも送信アンテナ75が配置される。ドローン17は、多面体アンテナ29に設けられた各受信アンテナが送信アンテナ75から送信された電波を受信する。受信した電波は、電波環境測定装置11とは一体または別体のPCにより解析処理される。PCの解析処理によりドローン17の各測定点における受信強度が得られる。受信強度は、例えば受信電力あるいは受信電界強度とすることができる。対象エリア71は、ドローン17を所望の位置に移動させ、各測定点における受信強度を記憶させていくことで、電波環境が取得可能となる。
【0055】
一方、特許文献1等の従来の放射電力測定システムでは、ドローン17が送信アンテナ75から所定の距離離れた所定の位置に移動したとき、電波の到来方向と受信アンテナの向きが対応するようにドローン17を回転する動作が必要となった。
【0056】
これに対し、電波環境測定装置11は、多面体13の複数の面に受信アンテナが設けられている。即ち、指向性を小さくしている。これにより、ドローン17の非回転状態において、各受信アンテナが複数の方向における受信電界強度を同時に検出できる。このうち送信アンテナ75からの電波の到来方向に最も近接して向いた受信アンテナからは、最大の受信電界強度が得られる。従って、電波環境測定装置11は、対象エリア71の各測定点で、ドローン17を回転させずに、最大の受信電界強度を検出していくことができる。
【0057】
このように、電波環境測定装置11では、最強感度方向を探索するために、各測定点にドローン17を回転させる動作が不要となる。その結果、従来、回転させる動作に費やされていた合計時間分、測定時間を大幅に短縮することができる。従って、本実施の形態に係る電波環境測定装置11によれば、ドローン17を用いた電波強度の測定時間を従来システムよりも短縮できる。
【0058】
また、電波環境測定装置11では、多面体13は、アンテナに対応する動作周波数帯における1波長以上の間隔を設けて、機体15に取り付けられている。
【0059】
この電波環境測定装置11では、ドローン17が、機体15を有する。一般的に、ドローン17は、機体15に、受信機、送信機、フライトコントローラ、ジャイロセンサ、加速度センサ、衛星測位システム、バッテリ等を収容している。機体15の外殻は、一般的に軽量な合成樹脂製となる。機体15には、モータの駆動軸21に回転翼(ロータ19)を固定した複数の回転駆動部23がアーム部材25を介して放射方向に固定される。そのため、機体15は、収容される種々の電装機器により被測定電波を散乱させる可能性を有する。そこで、多面体アンテナ29は、機体15より1波長以上の間隔を設けて機体15に取り付けられる。これにより、電波環境測定装置11は、機体15で散乱する被測定電波が、多面体アンテナ29の受信に与える影響を抑制することができる。その結果、電波環境測定装置11では、被測定電波の測定誤差を小さくできる。
【0060】
なお、多面体アンテナ29は、機体15と対向するアンテナ面(アンテナが設けられている多面体13の面)が存在する場合、機体対向アンテナ面における測定誤差が多重反射などにより大きくなる。この測定誤差の劣化は、多面体アンテナ全体の測定誤差に影響を及ぼす。この場合、多面体アンテナ29は、機体15より1.5波長以上の間隔を設けて機体15に取り付けることで、機体対向アンテナ面による多重反射を抑制できる。従って、多面体アンテナ29は、機体15より1.5波長以上の間隔を設けて機体15に取り付けられることがより好ましい。換言すれば、機体対向アンテナ面が存在しない配置構造とすれば、多面体アンテナ29は、機体15より1波長以上の間隔を設けて機体15に取り付けできる。
【0061】
また、電波環境測定装置11では、多面体13は、機体15よりも鉛直方向上側に取り付けられている。
【0062】
この電波環境測定装置11では、多面体アンテナ29が、機体15よりも鉛直方向上側に取り付けられる。この場合、電波環境測定装置11は、被測定電波が多面体アンテナ29よりも上方から到来する測定対象空間に用いて好適となる。多面体アンテナ29は、送信アンテナ75からの電波が機体15に遮られることなく、直線的に受信が可能となり、被測定電波の測定誤差を小さくできる。このような測定対象空間としては、被測定電波を出力する送信アンテナ75が高所に設置される例えばスタジアムやコンサートホール、工場、倉庫などが挙げられる。
【0063】
また、電波環境測定装置11A,11Cでは、多面体13は、機体15よりも鉛直方向下側に取り付けられている。
【0064】
この電波環境測定装置11A,11Cでは、多面体アンテナ29が、機体15よりも鉛直方向下側に取り付けられる。この場合、電波環境測定装置11A,11Cは、被測定電波が多面体アンテナ29よりも下方から到来する測定対象空間に用いて好適となる。多面体アンテナ29は、送信アンテナ75からの電波が機体15に遮られることなく、直線的に受信が可能となり、被測定電波の測定誤差を小さくできる。
【0065】
また、電波環境測定装置11では、多面体13は、少なくとも表面を樹脂材料で覆った支柱31を介して機体15に取り付けられている。
【0066】
この電波環境測定装置11では、例えば金属製の支柱31に、被測定電波が反射して多面体アンテナ29に検出されたり、機体15から反射した被測定電波がさらに金属製の支柱31に反射して多面体アンテナ29に検出されたりすることを抑制できる。これにより、表面を樹脂材料で覆った支柱31では、誤検出を抑制して、被測定電波の測定誤差を小さくできる。
【0067】
また、電波環境測定装置11では、多面体13は、正多面体であり、機体中心を通る鉛直線上に正多面体中心を配置するように機体15に取り付けられている。
【0068】
この電波環境測定装置11では、多面体13が正多面体で形成される。正多面体は、機体中心を通る鉛直線上に、正多面体中心を配置するように機体15に取り付けられる。ドローン17は、ロータ19を有する回転駆動部23が、3つのトライコプタ、4つのクアッドコプタ、6つのヘキサコプタ、8つのオクトコプタなどに分けられる。これらのドローン17は、上昇および下降がロータ19の回転数で制御される。また、前進、後進、旋回などは、各ロータ19の回転数を変え、機体15を傾けることで制御する。各モータの回転数の制御は、搭載されたジャイロセンサで傾きを検出し、補正する方向にモータの回転数を変える。
【0069】
機体中心は、それぞれの回転駆動部23の駆動軸21から等距離となる中心点とすることができる。電波環境測定装置11は、それぞれの駆動軸21が鉛直方向となる姿勢において、機体中心を通る鉛直線上に多面体中心が配置される。ここで、多面体中心は、上記のように、重心とされる場合もある。電波環境測定装置11は、各測定点において、空中に停止することが好ましい。電波環境測定装置11は、機体中心を通る鉛直上に多面体中心を配置することにより、空中停止時の各モータの回転制御を容易にし、飛行を容易に安定化させることができる。
【0070】
また、電波環境測定装置11では、多面体13は、六面体の形状を有する。
【0071】
この電波環境測定装置11では、多面体13が六面体で形成される。六面体で形成される多面体13は、四方の側面が鉛直方向となる向きで機体15に取り付けられることにより、水平偏波電波および垂直偏波電波を検出するための演算を簡素にすることができる。この場合、多面体13は、正六面体とすることにより、演算をさらに簡素にできる。また、正多面体の場合には、各面に、同一構成のアンテナ面材を用いて組立を行うことが可能となる。即ち、6枚のアンテナ面材を共通部材として組み立てできる。これにより、多面体アンテナ29を容易にかつ安価に製造することができる。
【0072】
また、電波環境測定装置11B,11Cでは、多面体13は、頂点部を有し、その頂点部を機体15に対向させて取り付けられている。
【0073】
この電波環境測定装置11B,11Cでは、多面体アンテナ29の頂点部が機体15に対向する。多面体アンテナ29は、機体15と平行になるアンテナ面が無くなるので、機体15とアンテナ面との間に多重反射が生じにくくなる。これにより、電波環境測定装置11B,11Cは、多重反射の影響を抑制でき、被測定電波の測定誤差を小さくできる。
【0074】
また、電波環境測定装置11Dでは、多面体13Dが、角錐台形の形状を有する。
【0075】
この電波環境測定装置11Dでは、多面体13Dが角錐台形となる。角錐台形の多面体アンテナ29Dは、底面積が上面積よりも大きい向きで機体15に取り付けられる。この場合、多重反射の生じやすい機体対向アンテナ面となる底面には、アンテナを設けない構成とする。従って、角錐台形を取り付けた電波環境測定装置11Dは、アンテナを有しない大きな底面積の機体対向面が機体15に取り付けられる。これにより、電波環境測定装置11Dは、水平飛行時において、機体中心から離れた位置での空気抵抗を抑制できる。また、電波環境測定装置11Dは、多面体アンテナ29Dを角錐台形とすることで、多面体アンテナ29Dを高強度で機体15に固定できる。
【0076】
(電波環境の実測例)
次に、実施の形態1に係る電波環境測定装置11を試作し、水平偏波の電波と垂直偏波の電波の電波強度の変動度を調べた結果例を説明する。
【0077】
図16は、多面体アンテナ29による測定概念を示す説明図である。平面アンテナは、図11図12に示すように、多層積層したプリント基板33で構成した。プリント基板33は、表面にダイポールアンテナ、裏面にシールド層55を設けた。平面アンテナは、水平偏波アンテナ51と垂直偏波アンテナ53を同一平面に配置した。被測定電波は、5.0GHzとした。平面アンテナは、正方形に形成し、6面を正六面体として組み立てて、多面体アンテナ29(正六面体アンテナ)とした。
【0078】
多面体アンテナ29は、図10に示すように、送信アンテナ75から放射される水平偏波方向H、垂直偏波方向Vの被測定電波の到来方向に対向する面を、第1面39とした。多面体アンテナ29は、平面視において、第1面39から時計回りで隣接する面を第2面41、第3面43、第4面45とした。また、上面を第5面47、下面を第6面49とした。
【0079】
水平偏波アンテナ51は、第1面39から第6面49に設けたものをそれぞれH1アンテナ~H6アンテナ(水平偏波アンテナ1h~6hに対応)とした。垂直偏波アンテナ53は、第1面39から第6面49に設けたものをそれぞれV1アンテナ~V6アンテナ(垂直偏波アンテナ1v~6vに対応)とした。
【0080】
図17は、実施の形態に対応する電波環境測定装置11を用いた測定方法の概略説明図である。測定は、送信アンテナ75から被測定対象の周波数(例えば5.0GHz)の電波を放射し、多面体アンテナ29のみの場合と、ドローン17に設けた多面体アンテナ29の場合それぞれで行った。ドローン17に設けた多面体アンテナ29の測定は、異なる複数の間隔(a/λ)ごとに測定した。
【0081】
図18は、図17の方法で実測した垂直偏波電波強度の変動度を示す説明図である。図18中、縦軸は、ドローン17が有る場合と無い場合における電波強度の比(ドローン有り/ドローン無し)をdBで表した。横軸は、間隔aと波長λの比(間隔a/λ)を表した。それぞれの測定値は、図18中に示したV1アンテナ~V6アンテナに対応する凡例のプロット位置で表した。
【0082】
図19は、図17の方法で実測した水平偏波電波強度の変動度を示す説明図である。図19中、縦軸および横軸は、図18と同じ目盛りとした。それぞれの測定値は、図19中に示したH1アンテナ~H6アンテナに対応する凡例のプロット位置で表した。
【0083】
図18図19の測定結果から、間隔aを1波長λとすることにより、変動度が±3dBの範囲内に抑制されることが知見できた。特に垂直偏波電波強度変動度、水平偏波電波強度変動度は、機体15に対向するH6アンテナ、V6アンテナの変動度が大きいことが知見できた。H6アンテナ、V6アンテナの変動度も、間隔aを1波長λの1.5倍以上とすることにより減衰することが知見できた。以上の結果から、間隔aは、1波長λ以上とすればよく、1波長λの1.5倍以上の範囲Kとすることがより好ましいことが分かった。
【0084】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0085】
なお、上述した実施の形態1では、測定機器は多面体アンテナ29に接続されると説明したが、例えば多面体アンテナ29の中にスペクトラムアナライザ等(例えば図14に示す測定機器あるいはPC)が内蔵されてもよい。多面体アンテナ29は、図13に示されるシールド構造を有する。このため、測定機器が多面体アンテナ29に内蔵される方が、スペクトラムアナライザ等のEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立性)がシールド構造によりカットされ、電波測定に対する影響を軽減できる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示は、実環境において移動体が存在する測定対象エリアを対象とした電波環境の測定精度向上と測定時間の増大抑制とができ、電波測定を効率的に実行する電波環境測定として有用である。
【符号の説明】
【0087】
11,11A,11B,11C,11D 電波環境測定装置
13,13D 多面体
15 機体
17 ドローン
29,29D 多面体アンテナ
31 支柱
51 水平偏波アンテナ
53 垂直偏波アンテナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19