(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ルーフパネルモジュール及びルーフ用モジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/22 20060101AFI20220906BHJP
B62D 25/06 20060101ALI20220906BHJP
B62D 29/04 20060101ALI20220906BHJP
H01Q 1/32 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01Q1/22 B
B62D25/06 Z
B62D29/04 A
H01Q1/32
(21)【出願番号】P 2021530580
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 JP2020024587
(87)【国際公開番号】W WO2021006033
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2021-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2019129497
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】竹中 祐司
(72)【発明者】
【氏名】大見 則親
(72)【発明者】
【氏名】曽根 康介
(72)【発明者】
【氏名】山岸 傑
(72)【発明者】
【氏名】福永 貴徳
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-182523(JP,A)
【文献】特開2003-017916(JP,A)
【文献】特開2009-246740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/22
B62D 25/06
B62D 29/04
H01Q 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂によって形成された車両ルーフパネルと、
前記車両ルーフパネルの対応領域に設けられた電波遮蔽部と、
導電性を有する導電性弾性部材と、
を備え、
前記導電性弾性部材は、前記車両ルーフパネルの縁の少なくとも一部に沿って設けられる、ルーフパネルモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のルーフパネルモジュールであって、
前記電波遮蔽部は、周波数帯に関して選択的な電波遮蔽性を呈する周波数選択部である、ルーフパネルモジュール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のルーフパネルモジュールであって、
外部アンテナモジュールをさらに備え、
前記車両ルーフパネルに形成された開口に前記外部アンテナモジュールが嵌め込まれ、
前記導電性弾性部材は、前記開口の縁に沿って設けられる、ルーフパネルモジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のルーフパネルモジュールであって、
前記導電性弾性部材は、前記車両ルーフパネルの外周縁の少なくとも一部に沿って設けられる、ルーフパネルモジュール。
【請求項5】
樹脂によって形成された車両ルーフパネルの対応領域に設けられる電波遮蔽部と、
外部アンテナモジュールと、
導電性を有する導電性弾性部材と、
を備え、
前記電波遮蔽部に開口が形成され、
前記外部アンテナモジュールが前記開口に嵌め込まれ、
前記導電性弾性部材が、前記開口の縁に沿って設けられる、ルーフ用モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ルーフパネルモジュール及びルーフ用モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アンテナと金属パネルとを備えるルーフモジュールを開示している。アンテナは、樹脂材料によって面状に形成され車両の外装を構成するルーフパネルの車室内側に設けられる。金属パネルは、アンテナの車室内側に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製のルーフパネルを適用した場合において、車両における通信環境に関してさらなる改善が望まれる。また、樹脂製のルーフパネルの縁は、他の部分と組合わせられる。かかる縁の近傍領域において、防水性を高めつつ電波漏れを抑制することが望まれる。
【0005】
そこで、本開示は、車両における通信環境を改善しつつ、樹脂製のルーフパネルの縁の近傍領域において防水性を高めつつ電波漏れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のルーフパネルモジュールは、樹脂によって形成された車両ルーフパネルと、前記車両ルーフパネルの対応領域に設けられた電波遮蔽部と、導電性を有する導電性弾性部材と、を備え、前記導電性弾性部材は、前記車両ルーフパネルの縁の少なくとも一部に沿って設けられる、ルーフパネルモジュールである。
【0007】
本開示のルーフ用モジュールは、樹脂によって形成された車両ルーフパネルの対応領域に設けられる電波遮蔽部と、外部アンテナモジュールと、導電性を有する導電性弾性部材と、を備え、前記電波遮蔽部に開口が形成され、前記外部アンテナモジュールが前記開口に嵌め込まれ、前記導電性弾性部材が、前記開口の縁に沿って設けられる、ルーフ用モジュールである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両における通信環境が改善されつつ、樹脂製のルーフパネルの縁の近傍領域において防水性が高められつつ電波漏れが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は実施形態1に係るルーフパネルモジュールが組込まれた車両を示す概略斜視図である。
【
図2】
図2はルーフパネルモジュールの断面図である。
【
図3】
図3はルーフパネルモジュールの部分平面図である。
【
図4】
図4はルーフ用モジュールを示す分解斜視図である。
【
図5】
図5はルーフ用モジュールを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0011】
本開示のルーフパネルモジュールは、次の通りである。
【0012】
(1)樹脂によって形成された車両ルーフパネルと、前記車両ルーフパネルの対応領域に設けられた電波遮蔽部と、導電性を有する導電性弾性部材と、を備え、前記導電性弾性部材は、前記車両ルーフパネルの縁の少なくとも一部に沿って設けられる、ルーフパネルモジュールである。電波遮蔽部は、車両ルーフパネルで電波を遮蔽することができる。このため、車両における通信環境が改善される。また、車両ルーフパネルの縁の近傍領域において、導電性弾性部材によって防水性が高められる。また、導電性弾性部材によって電波漏れが抑制される。ここで、電波遮蔽部とは、少なくとも一部の周波数帯の電波を遮蔽する部分である。
【0013】
(2)前記電波遮蔽部は、周波数帯に関して選択的な電波遮蔽性を呈する周波数選択部であってもよい。一部の周波数帯の電波がルーフパネルモジュールによって遮蔽され、他の一部の周波数帯の電波がルーフパネルモジュールを透過することができる。このため、車両における通信環境が改善される。
【0014】
(3)外部アンテナモジュールをさらに備え、前記車両ルーフパネルに形成された開口に前記外部アンテナモジュールが嵌め込まれ、前記導電性弾性部材は、前記開口の縁に沿って設けられてもよい。車両ルーフパネルの開口と外部アンテナモジュールとの間で、導電性弾性部材によって防水性が高められると共に電波漏れが抑制される。
【0015】
(4)前記導電性弾性部材は、前記車両ルーフパネルの外周縁の少なくとも一部に沿って設けられてもよい。車両ルーフパネルの外周縁の近傍領域において、導電性弾性部材によって防水性が高められると共に電波漏れが抑制される。
【0016】
本開示のルーフ用モジュールは、次の通りである。
【0017】
(5)樹脂によって形成された車両ルーフパネルの対応領域に設けられる電波遮蔽部と、外部アンテナモジュールと、導電性を有する導電性弾性部材と、を備え、前記電波遮蔽部に開口が形成され、前記外部アンテナモジュールが前記開口に嵌め込まれ、前記導電性弾性部材が、前記開口の縁に沿って設けられる、ルーフ用モジュールである。車両における通信環境を改善しつつ、樹脂製のルーフパネルの縁の近傍領域において防水性を高めつつ電波漏れが抑制される。
【0018】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のルーフパネルモジュール及びルーフ用モジュールの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
[実施形態1]
以下、実施形態1に係るルーフパネルモジュールについて説明する。
図1は、ルーフパネルモジュール20、60が組込まれた車両10を示す概略斜視図である。車両10は、ボディ12を備える。ボディ12は車両10の外形をなす部分である。ボディ12は、モノコックボディであってもよいし、ラダーフレーム上に搭載されるボディであってもよい。ボディ12は金属によって形成されてもよいし、樹脂によって形成されてもよい。ここでは、ボディ12は金属板によって形成されている。ボディ12自体は、電波を遮蔽することができる。ボディ12のうち車室の上方に開口が形成されている。開口の前後方向中間部を横切るようにして補強バー12aが設けられる。なお、本明細書において、前後方向とは、車両10に対する前後方向であり、車両10の進行方向が前側であり、後退方向が後ろ側である。また、左右方向は車両10に対して前側を向いた状態を基準とする。左右方向は幅方向でもある。また、上下方向は、車両10に対する上下方向である。開口は、補強バー12aによって、複数(ここでは2つ)の開口13a、13bに区切られている。ここでは、開口13a、13bは、方形状の開口である。開口13aにルーフパネルモジュール20が嵌め込まれている。開口13bにルーフパネルモジュール60が嵌め込まれている。ボディ12に対して1つの開口が形成され、当該開口に1つのルーフパネルモジュールが嵌め込まれてもよい。
【0020】
図2はルーフパネルモジュール20の断面図である。
図3はルーフパネルモジュール20の部分平面図である。
【0021】
ルーフパネルモジュール20は、車両ルーフパネル22と、電波遮蔽部30と、導電性弾性部材40、45とを備える。
【0022】
車両ルーフパネル22は、樹脂によって形成されている。車両ルーフパネル22が樹脂によって形成されることは、車両10の軽量化に貢献する。ここでは、車両ルーフパネル22は、開口13aを塞ぐことができる方形板状に形成されている。車両ルーフパネル22の形状が方形状であることは必須ではなく、開口13aの形状等に応じて適宜設定され得る。車両ルーフパネル22は、車両10の外観形状を形作るべく一部又は部分的に湾曲していてもよい。ここでは、車両ルーフパネル22には、アンテナ用開口22hが形成されている。ここでは、アンテナ用開口22hは、車両ルーフパネル22の幅方向中間及び前後方向中間に形成されている。アンテナ用開口22hは、車両ルーフパネル22に対して、いずれか一側、前、後ろ等に偏った位置に形成されていてもよい。
【0023】
車両ルーフパネル22が開口13aに嵌め込まれた状態で、車両ルーフパネル22は、ネジ止、嵌り込み構造等によってボディ12に固定される。この状態で、車両ルーフパネル22は、車両10の上側に露出する。
【0024】
電波遮蔽部30は、車両ルーフパネル22の対応領域に設けられる。ここでは、電波遮蔽部30は、車両ルーフパネル22における下面全体に広がるように設けられる。電波遮蔽部は、車両ルーフパネルより大きくてもよいし、小さくてもよい。例えば、電波遮蔽部の縁が、車両ルーフパネルの縁より5cm以内の範囲ではみ出るか内側に入り込んでいてもよい。電波遮蔽部が車両ルーフパネルより小さい場合、導電性弾性部材が車両ルーフパネル側にはみ出て電波遮蔽部と接触して配設されることが好ましい。電波遮蔽部が車両ルーフパネルより大きい場合、電波遮蔽部のうち車両ルーフパネルからはみ出る部分が折畳まれてもよい。
【0025】
電波遮蔽部30は、電波遮蔽部30の一方主面側及び他方主面側の間で電波が伝わり難いようにする面状に広がった部分である。電波遮蔽部30は、全ての周波数に対して電波遮蔽性を有していてもよいし、周波数帯に関して選択的な電波遮蔽性を有していてもよい。この場合、一部の周波数帯の電波は、電波遮蔽部30において反射又は吸収の少なくとも一方がなされればよい。電波遮蔽部30は、アルミニウム、鉄等の金属で形成された部分であってもよい。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽部30としては、周知の周波数選択膜(FSS: Frequency Selective Surface)が用いられてもよい。周波数選択膜は、樹脂等で形成されたベースフィルム上に金属箔等によってユニットセル(素子)が形成されたものである。かかる周波数選択膜は、ユニットセル(素子)の周波数特性に応じて1つ又は複数の周波数帯の電波を選択的に遮蔽し、他の周波数帯の電波を通過させる性質を有する。選択的な電波遮蔽性を有する電波遮蔽部は、車両ルーフパネル22の内面に、直接導電性ペースト等を印刷することによって形成されていてもよい。
【0026】
電波遮蔽部30が選択的な電波遮蔽性を有する場合、遮蔽される周波数帯の例は次の通りある。
【0027】
遮蔽される周波数帯の一例は、電波遮蔽部30に対して車室側に設けられる複数の機器(スマートフォン、携帯電話、パーソナルコンピュータ機器等)同士が通信を行うための電波の周波数帯である。例えば、Wi-Fi(登録商標)通信、Bluetooth(登録商標)通信用の周波数帯が遮蔽される周波数帯の一例である。これにより、室内側の機器が無線通信を行う電波が、電波遮蔽部30によって遮蔽され、車外側に伝播され難くなる。
【0028】
また、遮蔽される周波数帯の他の例は、電波遮蔽部30よりも車室側で、室内機器に対して非接触給電を行うために用いられる電波(電力)の周波数帯である。これにより、車外に電波(電力)が漏れていかないため、効率的に非接触給電が行われる。
【0029】
また、遮蔽される周波数帯の他の例は、後述する外部アンテナモジュール50が外部の機器(基地局等)との間で無線通信を行うための電波の周波数である。これにより、外部アンテナモジュール50の外部アンテナ53から放射される電波が、電波遮蔽部30によって遮蔽され、車室内側に伝播され難くなる。また、外部アンテナ53から放射される電波は電波遮蔽部30によって遮蔽されることなく、外部に伝播される。このため、外部アンテナ53を介して外部の機器(基地局等)との無線通信は良好に行われる。
【0030】
また、電波遮蔽部30が選択的な電波遮蔽性を有する場合、遮蔽対象とならない周波数帯の例は次の通りある。
【0031】
遮蔽対象とならない周波数帯の一例は、スマートフォン等の室内機器が、公衆通信回線又は専用通信回線を介して外部との間で無線通信を行う場合において、公衆通信回線又は専用通信回線において利用される電波の周波数帯である。これらの電波の周波数帯が、電波遮蔽部30によって遮蔽される周波数帯外であれば、室内側の機器は車外の通信機器(基地局等)との間で良好に無線通信を行うことができる。
【0032】
導電性弾性部材40、45は、導電性及び弾性を有する部材である。例えば、導電性弾性部材40、45は、導電性カーボン、金属粉末等の導電性フィラーを含むゴムである。導電性弾性部材40、45は、車両ルーフパネル22の縁の少なくとも一部に沿って設けられる。ここで、車両ルーフパネル22の縁とは、当該車両ルーフパネル22の外側及び内側を問わず、平面視において車両ルーフパネル22の境界として観察され得る部分である。
【0033】
導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の外周縁の少なくとも一部に沿って設けられる。ここでは、導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の外周縁の全体と、開口13aの内周縁の全体との間に設けられる。導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の外周縁全体を囲む環状に形成されていてもよい。導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の直線状縁部分毎に分割して形成されていてもよい。導電性弾性部材40は、開口13aの内周縁と車両ルーフパネル22の外周縁との間に挟まれることによって、それらの間に保持されていてもよい。導電性弾性部材40に、開口13aの内周縁と車両ルーフパネル22の外周縁との少なくとも一方が嵌る溝が形成されていてもよい。
【0034】
本実施形態では、導電性弾性部材40は、平面視において、開口13aの内周縁と車両ルーフパネル22の外周縁との間に配設されている。開口の内周縁と車両ルーフパネルの外周縁とが上下方向において重ね合される場合等には、導電性弾性部材は、開口の内周縁と車両ルーフパネルの外周縁との間で上下方向において挟込まれていてもよい。電波の漏れ防止という点からは、導電性弾性部材40は、電波遮蔽部30とボディ12の開口13aとの間において電波の進入路を塞ぐように配設されるとよい。水の浸入抑制という点からは、導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の外周縁とボディ12の開口13aの内周縁とに密着するように配設されるとよい。導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の外周縁の一部に沿って設けられてもよく、また、導電性弾性部材40は、車両ルーフパネル22の外周縁における1つ又は複数の部分的な箇所(導電性弾性部材40の切れ込み部分等)を除いて当該車両ルーフパネル22の外周縁を覆っていてもよい。この場合、車両ルーフパネル22の外周縁における導電性弾性部材40を欠く部分の長さを、遮蔽対象となる電波の周波数の波長λに対し、望ましくはλ/8以下、より望ましくはλ/16以下に設定してもよい。遮蔽対象となる複数周波数が存在する場合には最小波長λで考えるとよい。
【0035】
これにより、ボディ12と車両ルーフパネル22との間で、電波が導電性弾性部材40によって遮蔽される。また、ボディ12と車両ルーフパネル22との間に導電性弾性部材40が介在するため、それらの間を伝った水の浸入が抑制される。
【0036】
本実施形態においては、ルーフパネルモジュール20は、外部アンテナモジュール50をさらに備えている。外部アンテナモジュール50は、車外の機器との間で無線通信を行うための外部アンテナ53を含む。ここでは、外部アンテナモジュール50は、ベース基板52と、外部アンテナ53と、ケース54とを備える。ベース基板52は、偏平な形状、ここでは、方形板状に形成されている。ベース基板52の一方の主面には、金属箔等によってグラウンドとなる導体層52aが形成されている。この導体層52aは、外部アンテナモジュール50の両面の間で電波を遮蔽する役割を果すことができる。ベース基板52上に外部アンテナ53が設けられている。外部アンテナ53は、例えば、車外機器との間で通信を行うためのアンテナである。外部アンテナ53は、例えば、公衆通信回線又は専用通信回線における無線基地局との間で通信を行うアンテナ、車車間通信又は路車間通信のためのアンテナ、GPS信号受信のためのアンテナである。ベース基板52上には、外部アンテナ53が1つ設けられてもよいし、複数設けられてもよい。ケース54は、樹脂等によって構成されており、ベース基板52及び外部アンテナ53の上下及び周囲4方を覆っている。ケース54の底部は他の部分よりも外側に張出している。
【0037】
車両ルーフパネル22に形成されたアンテナ用開口22hは、ケース54の外周囲に応じた形状に形成されている。外部アンテナモジュール50がアンテナ用開口22hに車内側から嵌め込まれる。これにより、車両ルーフパネル22に電波遮蔽部30が設けられていても、外部アンテナ53は、当該電波遮蔽部30によって覆われずに、車外を向くことができる。外部アンテナモジュール50は、薄いボックス状に形成されている。外部アンテナモジュールは、フィン(fin)状又はロッド状に形成されていてもよい。この場合、フィン状又はロッド状に形成された外部アンテナモジュールは、車両ルーフパネルに形成された孔に挿入されて、当該ルーフパネルの外側に突出してもよい。
【0038】
導電性弾性部材45は、上記アンテナ用開口22hの縁に沿って設けられる。すなわち、導電性弾性部材45は、外部アンテナモジュール50の周囲全体を囲む環状、ここでは、方形環状形状に形成されている。導電性弾性部材45は、複数の部分の組合せによって外部アンテナモジュール50の周囲全体を囲んでもよい。ここでは、導電性弾性部材45は、アンテナ用開口22hの内周縁と外部アンテナモジュール50の外周面との間に挟まれることによって、それらの間に保持されている。導電性弾性部材45に、アンテナ用開口22hの内周縁と外部アンテナモジュール50の外周縁との少なくとも一方が嵌る溝が形成されてもよい。上記と同様に、導電性弾性部材45は、外部アンテナモジュール50の周囲の一部に設けられてもよく、また、導電性弾性部材45は、外部アンテナモジュール50の周囲における1つ又は複数の部分的な箇所(導電性弾性部材45の切れ込み部分等)を除いて当該外部アンテナモジュール50の周囲を覆っていてもよい。この場合、外部アンテナモジュール50の周囲における導電性弾性部材45を欠く部分の長さを、遮蔽対象となる電波の周波数の波長λに対し、望ましくはλ/8以下、より望ましくはλ/16以下に設定してもよい。遮蔽対象となる複数周波数が存在する場合には最小波長λで考えるとよい。
【0039】
本実施形態では、導電性弾性部材45は、平面視において、アンテナ用開口22hの内周縁と外部アンテナモジュール50の外周面との間に配設されている。アンテナ用開口の内周縁に対して外部アンテナモジュールにおける外周部分が上下方向において重ね合される場合等には、導電性弾性部材は、アンテナ用開口の内周縁と外部アンテナモジュールにおける外周部分との間で上下方向において挟込まれてもよい。電波の漏れ防止という点からは、導電性弾性部材45は、電波遮蔽部30と外部アンテナモジュール50との間において電波の進入路を塞ぐように配設されるとよい。水の浸入抑制という点からは、導電性弾性部材45は、車両ルーフパネル22のアンテナ用開口22hの内周縁と外部アンテナモジュール50の外周部分とに密着するように配設されるとよい。
【0040】
これにより、ボディ12と外部アンテナモジュール50との間で、電波が導電性弾性部材45によって遮蔽される。また、ボディ12と外部アンテナモジュール50との間に導電性弾性部材45が介在するため、それらの間を伝った水の浸入が抑制される。
【0041】
ルーフパネルモジュール60は、上記ルーフパネルモジュール20において、アンテナ用開口22h及び外部アンテナモジュール50が省略された構成と同様である。
【0042】
このルーフパネルモジュール60が開口13bに嵌め込まれた状態で、ルーフパネルモジュール60の周縁の全体に沿って導電性弾性部材65が設けられる。導電性弾性部材65は、車両ルーフパネル22の開口13bとルーフパネルモジュール60との間で、電波を遮蔽すると共に水の浸入を抑制する。
【0043】
以上のように構成されたルーフパネルモジュール20によると、電波遮蔽部30は、車両ルーフパネル22で電波を遮蔽することができる。このため、車内から外部への電波の漏れ、外部から車内への電波の侵入が抑制され、車両における通信環境が改善する。また、車両ルーフパネル22の縁の近傍領域において、導電性弾性部材40、45によって、電波が遮蔽されると共に、防水性が高められる。
【0044】
また、電波遮蔽部30が周波数選択部であると、所望の周波数帯の電波については、ルーフパネルモジュール20、60を透過させ、他の所望の周波数帯の電波についてはルーフパネルモジュール20、60で遮蔽することができる。このため、例えば、車室の内外間の通信等に用いられる電波の周波数帯については、電波遮蔽部30による遮蔽対象外に設定することで、車室内外で良好な通信が可能となる。また、例えば、車室内通信、車外通信等に用いられる電波の周波数帯については、電波遮蔽部30による遮蔽対象に設定することで、車室内外で電波の漏れを抑制することができる。
【0045】
なお、この場合において、導電性弾性部材40、45、65において、全ての周波数帯の電波が遮蔽されても、周波数選択性を有する電波遮蔽部30において、遮蔽対象外の周波数帯の電波が透過することができるため、車室内外で良好な通信が可能となる。むしろ、導電性弾性部材40、45、65によって、車室内通信等に用いられる電波を遮蔽できる意義の方が大きい。
【0046】
上記導電性弾性部材45が、車両ルーフパネル22のアンテナ用開口22hの縁に沿って設けられていると、車両ルーフパネル22のアンテナ用開口22hと外部アンテナモジュール50との間で、導電性弾性部材45によって防水性が高められると共に電波漏れが抑制される。
【0047】
また、導電性弾性部材40、65が、車両ルーフパネル22の外周縁に沿って設けられていると、当該車両ルーフパネル22の外周縁の近傍領域、例えば、車両ルーフパネル22と当該車両ルーフパネル22が嵌め込まれる開口13a、13bとの間で、防水性が高められると共に電波漏れが抑制される。
【0048】
[実施形態2]
実施形態2に係るルーフ用モジュールについて説明する。
図4はルーフ用モジュール120を示す分解斜視図である。
図5はルーフ用モジュール120を示す断面図である。
図4及び
図5において、ルーフ用モジュール120の取付対象である車両ルーフパネル122が図示されている。
【0049】
ルーフ用モジュール120は、車両ルーフパネル122に取付けられる。車両ルーフパネル122は、上記車両ルーフパネル22と同様構成部材であり、樹脂によって形成されている。車両ルーフパネル122には、外部アンテナモジュール150が嵌め込まれるアンテナ用開口122hが形成されている。
【0050】
ルーフ用モジュール120は、電波遮蔽部130と、外部アンテナモジュール150と、導電性弾性部材145とを備える。
【0051】
電波遮蔽部130は、上記電波遮蔽部30と同様構成である。外部アンテナモジュール150は、上記外部アンテナモジュール50と同様構成である。
【0052】
電波遮蔽部130は、好ましくは車両ルーフパネル122の一方の主面(車内側の面)の全体に広がる形状に形成される。電波遮蔽部130には、アンテナ用開口130hが形成されている。アンテナ用開口130hは、外部アンテナモジュール150を嵌込可能な形状、ここでは、方形開口状に形成されている。外部アンテナモジュール150は、アンテナ用開口130hに嵌め込まれる。好ましくは、外部アンテナモジュール150がアンテナ用開口130hに嵌め込まれた状態で、外部アンテナモジュール150における外周部が、電波遮蔽部130におけるアンテナ用開口130hの内周縁に固定される。例えば、外部アンテナモジュール150における外周部に、枠状のブラケットがネジ止等で固定される。外部アンテナモジュール150における外周部とブラケットとの間に、電波遮蔽部130におけるアンテナ用開口130hの内周縁が挟み込まれる。
【0053】
電波遮蔽部130には、断熱層、防音層をなすシート状の部材(例えば、不織布)が重ね合されていてもよい。電波遮蔽部30には、他の電気機器、ワイヤハーネス等が組込まれていてもよい。
【0054】
導電性弾性部材145は、上記導電性弾性部材40、45と同様に、導電性及び弾性を有する部材である。導電性弾性部材145は、アンテナ用開口130hの縁に沿って設けられている。ここでは、導電性弾性部材145は、外部アンテナモジュール150の外周部に外嵌めされた環状形状に形成されている。
【0055】
導電性弾性部材145は、外部アンテナモジュール150の外周面に密着する。これにより、電波遮蔽部130のアンテナ用開口130hの周縁部と外部アンテナモジュール150との間に隙間が空いてしまう場合において、導電性弾性部材145が当該隙間を埋めるように配設される。これにより、外部アンテナモジュール150と電波遮蔽部130との間での電波漏れが抑制される。
【0056】
導電性弾性部材145は、電波遮蔽部130に対して上側に露出している。本ルーフ用モジュール120が車両ルーフパネル122に取付けられた状態で、導電性弾性部材145が車両ルーフパネル122におけるアンテナ用開口122hの内周部分又は室内側部分に押付けられる。これにより、導電性弾性部材145が、車両ルーフパネル122と外部アンテナモジュール150との間で水の侵入を防止する。
【0057】
このように構成されたルーフ用モジュール120は車両ルーフパネル122に取付けられる。この取付状態で、外部アンテナモジュール150は車両ルーフパネル122のアンテナ用開口122h内に嵌め込まれる。電波遮蔽部130は、車両ルーフパネル122の車内側の面に沿って配設される。導電性弾性部材145は、電波遮蔽部130と外部アンテナモジュール150との間において電波の進入路を塞ぐように配設される。また、導電性弾性部材145は、車両ルーフパネル122と外部アンテナモジュール150との間に介在する。導電性弾性部材145は、車両ルーフパネル122のアンテナ用開口122hの内周縁と外部アンテナモジュール150外周部に密着する。
【0058】
このため、上記実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。また、ルーフ用モジュール120は、電波遮蔽部130と、外部アンテナモジュール150と、導電性弾性部材145とが一体的に組合わされた構成であるため、車両ルーフパネル122に対して、外部アンテナモジュール150を組込みつつ電波遮蔽機能を持たせることが容易である。
【0059】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 車両
12 ボディ
12a 補強バー
13a 開口
13b 開口
20 ルーフパネルモジュール
22 車両ルーフパネル
22h アンテナ用開口
30 電波遮蔽部
40、45 導電性弾性部材
50 外部アンテナモジュール
52 ベース基板
52a 導体層
53 外部アンテナ
54 ケース
60 ルーフパネルモジュール
65 導電性弾性部材
120 ルーフ用モジュール
122 車両ルーフパネル
122h アンテナ用開口
130 電波遮蔽部
130h アンテナ用開口
145 導電性弾性部材
150 外部アンテナモジュール