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特許7136410小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパー
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  • 特許-小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパー
(51)【国際特許分類】
   B60B 39/12 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B60B39/12 B
B60B39/12 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021072180
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2022-06-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521170992
【氏名又は名称】大東 正範
(72)【発明者】
【氏名】大東 正範
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】実開平5-13801(JP,U)
【文献】実開昭63-194003(JP,U)
【文献】特公昭50-13537(JP,B1)
【文献】国際公開第2019/204867(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 39/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
ボード基盤(1)の両端部に形成されたコの字型の上下平行部(2・3)の一方の長さを他方より長くしたことを特徴とする請求項1に記載の小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型および普通自動車におけるタイヤの埋まりに際して、タイヤトレッドを捉えやすくして効率的な脱却を可能とした小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
悪路または積雪路面においてタイヤが埋まった際の状況としては複数の要因があり、深く埋まっている、轍や溝などの狭い幅で埋まっている、浅い埋まりでもタイヤトレッドの接地面が凍結している、といったことが主にあげられるが、従来、下記の特許文献で示されるように、対処の脱出用具として、プラスチックや金属製の板状のスノーヘルパーもしくはゴム質のマットがあり、現在市販されているヘルパーは下記文献のいずれかの形態に沿ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-099804広報
【文献】実登3047049広報
【文献】実開平05-022102広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の脱出用具において、プラスチックもしくは金属製の板状のスノーヘルパーでは、深く埋まっていたり狭い轍や溝などの状況ではヘルパーの乗り上げ先端部とタイヤとに段差が生じてタイヤがうまく乗らなかったり、ヘルパーの反り返りが生じてタイヤトレッドを捉えきれないことがあり、ヘルパーを早期に機能化出来なければ、タイヤの空回りによって深雪の場合や湿った雪の場合はより深くなり、浅く硬い雪や氷の状態の場合は路面をより滑りやすくしてしまう結果となり、また従来のマット形態では、局部の埋まり個所から直進的に対処するには良いが轍や溝などから抜け出したい時には深みから外側への斜め方向での設置は傾きを生じて困難である。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、雪質や埋まった深さ、そして轍や溝などでのタイヤの埋まった状況に対応すべく、タイヤのヘルパー乗り上げ時の段差抵抗を削減し、ヘルパーの反り返りや蹴り出しを防いで、ヘルパーの安定を維持しながら埋まりから効率的に脱却をするための小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる脱却用ヘルパーは、ボード基盤1の両端部をコの字型に形成し、該コの字型の上下平行部2・3に交わるコの字型の縦部4の交点から前記ボード基盤1の内側に向かって切り込み5を入れ下方に向いた湾曲面7を形成させて、該湾曲面7の起点近傍にトレッド捕捉マット14を係止させて構成するものである
【0007】
また、ボード基盤1の両端部に形成されたコの字型の上下平行部2・3の一方の長さを他方より長くしている。
【0008】
湾曲面7・7の湾曲起点から側面方向の延長線上にあたるボード基盤1の両側から4~5cm中心寄りの位置に、マット固定軸受け孔9・9が形成されており、該マット固定軸受け孔9・9にトレッド捕捉マット14を固定したマット固定軸13の両端を着脱できるようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の脱却用ヘルパーによれば、以下の効果をもたらすことができる。
【0010】
タイヤの乗り降り部分の湾曲面7が、コの字型の上下平行部2・3の長さの分だけボード基盤1の中心寄りに位置することで、タイヤ乗り降り時の加重点をボード基盤1の中心方向に近づけることができ、タイヤがボード基盤1に乗り降りする際にコの字型の上下平行部2・3が支えとなりボード基盤1の跳ね上がりを抑制して安定させることができ、埋まりからの脱却に向けたタイヤの移動が円滑になる。
【0011】
湾曲面7によって、タイヤ乗り口部分の角に生ずる段差を無くすることでトレッド捕捉マット14がボード基盤1の端で加重により折り曲げられるのを防ぐとともに、ボード基盤1へのタイヤ乗り上げ時の段差による抵抗を削減することができる。
【0012】
トレッド捕捉マット14はボード基盤1へ乗り上げる前にタイヤトレッドを事前に捉え、更には、マット先端部18をタイヤ幅より狭くしていることでタイヤ幅から余分にはみ出る分が無くなり、狭い轍や深い埋まりでもタイヤトレッドを捉えてボード基盤1に誘導することができる。
【0013】
更には、ヘルパーの直進的な使用の他に、ボード基盤1の両端部コの字型の上下平行部2・3の長さが異なっているため、図8で示すようにボード基盤1の向きを180度変えてトレッド捕捉マット14を反対側へ付け替えることで轍や溝などから左右の斜め方向に対しても脱却を可能にしたことにある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 ボード基盤の形態図
図2】 ボード基盤コの字型部と湾曲面の構造図
図3】 ヘルパー全体の上面図
図4】 トレッド捕捉マットの斜視図
図5】 トレッド捕捉マットの側面図
図6】 タイヤ乗り上げ時の加重点を示す図
図7】 直進方向に脱却する場合の使用図
図8】 斜め方向に使用した場合の左右相対図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するにあたっての形態を各図にて参照しつつ説明する。ここで各図に示す同一の符号は同一物を示している。
【0016】
本実施形態における小型および普通自動車向けの脱却用ヘルパーのボード基盤1の形態を図1に表している。アルミまたは硬質プラスチックFRPのような軽量で強度のある素材からなるボード基盤1の両端部にそれぞれコの字型となるように平行部2と平行部3を有し、コの字型縦部4のタイヤが乗り降りする部分には、平行部2と平行部3に挟まれるかたちで段差抵抗を削減する湾曲面7を形成し、タイヤ乗り降り時において平行部2と平行部3を支えとしながら加重点を中心寄りになるようにしており、ボード基盤1の裏面には強度を有する補強軸12が複数施されている。
【0017】
両端の各湾曲面7の湾曲起点から側面方向の延長線上にあたるボード基盤1の両側部から4~5cm中心寄りの位置にマット固定軸受け孔9・9が形成されている。
【0018】
ボード基盤中央部10は、タイヤの滑りを防ぐために荒いザラザラ面または吹き抜け格子状の形状となっており、ボード基盤1の裏面には、硬質プラスチックFRPまたは接地面がスタットレス形状のゴム質の素材からなる滑り止め11が複数施されている。
【0019】
コの字型の平行部2と平行部3および湾曲面7の片端部の構造図を図2に示しており、ここでは平行部2の長さを180~200mm、平行部3の長さを110~120mmとして一方を長くしており、コの字型の内幅6および湾曲面7の幅は、小型または普通自動車のタイヤ幅に対応し得る300~350mmとしている。上記小型または普通自動車のタイヤ幅とは、120~225mmを目安にしている。
【0020】
ボード基盤1にトレッド捕捉マット14を装着したヘルパー全体の上面図を図3に示しており、強度を持った材質からなるマット固定軸13の両端がボード基盤1の両側部に形成されているマット固定軸受け孔9・9に組まれて、湾曲面7からコの字型の方向に向けてトレッド捕捉マット14が装備されている。
【0021】
トレッド捕捉マット14の形状は、斜視図を図4、および側面図を図5に示している。トレッド捕捉マット14はマット固定軸13に固定され、柔軟性を持つ天然ゴムNRのような素材からなるマット基盤15と、その裏面セラミド繊維などのマット補強繊維16を貼り合わせて強度を付けている。マット基盤15の表面には、タイヤトレッドを捉えるとともにタイヤからの加重によるトレッド捕捉マット14の歪みを軽減するため横方向にトレッド捕捉補助ゴム17が付けられて構成しており、マット先端部18はタイヤ幅より狭くなるように10~12cmとしている。
【0022】
従来のボード式ヘルパーと本発明によるヘルパーのタイヤ乗り上げ位置である加重点の違いを図6に示しており、タイヤ乗り上げ部分が、前者ではボードの先端に位置し、後者ではコの字型の上下平行部2・3の張り出し起点の湾曲面7に位置することによって従来のボード式ヘルパーのタイヤ乗り上げ時の加重点19よりも本発明によるヘルパーのタイヤ乗り上げ時の加重点20がボード基盤1の中心寄りにあることから、ヘルパーにタイヤが乗った時、ヘルパーの他端がタイヤの加重の加重および駆動力で持ち上げられることをコの字型の上下平行部2.3により制止させることができる。
【0023】
直進方向へ脱却時の本発明によるヘルパーの使用例を図7に示しており、先ずトレッド捕捉マット14がタイヤ21のトレッドを捕捉し、トレッド捕捉マット14上から段差抵抗を削減した湾曲面7に乗り上げるが、その際の加重に対する支えの一部をコの字型の上下平行部2・3が担っている。
【0024】
直進方向の脱却以外に、轍または溝22から左右どちらかの斜め方向で横に抜け出す際の本発明によるヘルパーの使用例を図8に示しており、コの字型の上下平行部の一方が轍または溝22に対し、たすき掛けのかたちで設置して、トレッド捕捉マット14が轍または溝22の中でタイヤ21のトレッドを捕捉し、トレッド捕捉マット14上から湾曲面7を経由して轍または溝22の外へ脱却するが、ボード基盤1の向きを180度変えてトレッド捕捉マット14を反対側へ付け替えることで左右どちら方向への脱却でも対応可能となる。
【0025】
つまり本発明のヘルパーは、前記の形態により、タイヤトレッドの早期捕捉、ヘルパーの安定による反り返りと蹴り出しの防止、ヘルパーへのタイヤ乗り上げ時の段差抵抗の削減、を併せ持って埋まりからの脱却の効率を向上させたものである。
【符号の説明】
【0026】
1 ボード基盤
2 平行部
3 平行部
4 コの字型縦部
5 切り込み
6 コの字型の内幅
7 湾曲面
8 湾曲面の出張り幅
9 マット固定軸受け孔
10 ボード基盤中央部
11 滑り止め
12 補強軸
13 マット固定軸
14 トレッド捕捉マット
15 マット基盤
16 マット補強繊維
17 トレッド捕捉補助ゴム
18 マット先端部
19 従来のボード式ヘルパーのタイヤ乗り上げ時の加重点
20 本発明によるヘルパーのタイヤ乗り上げ時の加重点
21 タイヤ
22 轍または溝
【要約】
【課題】小型または普通自動車のタイヤが雪や窪みに埋まった際に、タイヤトレッドを無駄なく捉えヘルパーの安定を維持しながら脱却の効率を向上させた脱却用ヘルパーを提供する。
【解決手段】本発明に係わる脱却用ヘルパーは、ボード基盤1の両端部にコの字型となる長さの異なる平行部2と平行部3を形成し、両端平行部張り出し起点の位置に平行部2と平行部3に挟まれるかたちで湾曲面7を形成させて、湾曲面7の湾曲起点から側面方向の延長線上にあたるボード基盤1の両側部から4~5cm中心寄りの位置に、トレッド捕捉用のマットを係止するためのマット固定軸受け孔9・9が形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8