(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】血管内熱交換に使用可能な流体循環カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61F 7/00 20060101AFI20220906BHJP
A61F 7/12 20060101ALI20220906BHJP
A61M 25/14 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A61F7/00 300
A61F7/12 Z
A61M25/14 512
(21)【出願番号】P 2019535324
(86)(22)【出願日】2017-12-29
(86)【国際出願番号】 US2017069107
(87)【国際公開番号】W WO2018126217
(87)【国際公開日】2018-07-05
【審査請求日】2020-12-25
(32)【優先日】2016-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510034982
【氏名又は名称】ゾール サーキュレイション インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ZOLL Circulation,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッツォーネ、ジェームズ、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マフィ、マソウメ
(72)【発明者】
【氏名】リム、アレックス、エル.
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン、ジャック、アイ.
(72)【発明者】
【氏名】グェン、ダン、エー.
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3188492(JP,U)
【文献】米国特許第06338727(US,B1)
【文献】米国特許第06231595(US,B1)
【文献】特開2010-137067(JP,A)
【文献】特表2014-528282(JP,A)
【文献】特許第4787919(JP,B2)
【文献】米国特許第06450990(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 7/00
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルデバイスであって、
遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体から遠位に延伸する細長い部材であって、前記細長い部材は、その上に離間した複数の熱交換部材受け取り機能を有する細長い部材と
少なくとも1つの熱交換部材であって、流体が、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、次に、前記少なくとも1つの熱交換部材を通り、その後、前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環し得るように前記細長い部材上に配置され、かつ、前記第1ルーメン及び第2ルーメンに接続されている、少なくとも1つの熱交換部材と、
前記カテーテル本体に取り付けられ、かつ、前記細長い部材に実質的に平行に延伸する細長い管腔部材であって、細長い部材を通って長手方向に延伸するルーメンを有する細長い管腔部材と、を備え、
前記少なくとも1つの熱交換部材の一部が、前記細長い部材と前記細長い管腔部材との間に収められている、
カテーテルデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、一連のらせん構造を構成している少なくとも1つのチューブを含む、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項3】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、前記カテーテル本体から前記細長い部材上の遠位位置へと延びる第1セグメント及び前記細長い部材上の遠位位置から前記カテーテル本体へと戻る第2セグメントを有する連続したチューブを含んでいる、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項4】
第1直径のらせん構造が第1チューブ又は第1チューブセグメントに形成され、かつ、第2直径のらせん構造が第2チューブ又は第2チューブセグメントに形成されている、
請求項2に記載のカテーテルデバイス。
【請求項5】
前記らせん構造が一列に並んでいる、
請求項4に記載のカテーテルデバイス。
【請求項6】
前記第1直径の前記らせん構造が前記第2直径の前記らせん構造と互い違いになっている、
請求項5に記載のカテーテルデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、
熱交換流体が、遠位方向に循環する際に通る第1熱交換セグメント及び熱交換流体が近位方向に循環する際に通る第2熱交換セグメントを有する単一の熱交換部材と、
熱交換流体が遠位方向に循環する際に通る少なくとも第1熱交換部材、及び、第2熱交換部材であって、前記第1熱交換部材を通って前記遠位方向に流れた流体が、その後、前記第2熱交換部材を通って前記近位方向に流れるように、前記第1熱交換部材に接続されている第2熱交換部材を含む複数の熱交換部材と
から選択される、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項8】
らせん構造が、前記少なくとも1つの熱交換部材に形成されている、
請求項7に記載のカテーテルデバイス。
【請求項9】
第1直径のらせん構造が前記第1熱交換セグメント又は第1熱交換部材に形成され、かつ、第2直径のらせん構造が前記第2熱交換セグメント又は第2熱交換部材に形成されている、
請求項7に記載のカテーテルデバイス。
【請求項10】
前記第1熱交換セグメント又は第1熱交換部材並びに前記第2熱交換部材又は第2熱交換セグメントが、前記らせん構造が一列に並ぶように前記細長い部材上に配置されている、
請求項9に記載のカテーテルデバイス。
【請求項11】
前記第1直径の前記らせん構造が前記第2直径の前記らせん構造と互い違いになっている、
請求項10に記載のカテーテルデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、熱交換流体が遠位方向に循環する際に通る第1熱交換部材と、熱交換流体が近位方向に循環する際に通る第2熱交換部材と、前記第1熱交換部材及び前記第2熱交換部材の間の流体接続とを備え、
前記流体接続が、前記細長い部材の遠位端に再循環遠位先端を有し、流体が前記カテーテル本体の前記第1ルーメンから、遠位方向に前記第1熱交換部材を通って、前記再循環遠位先端を通り、前記第2熱交換部材を通って近位方向に、さらに、その後、前記カテーテル本体の前記第2ルーメン内に流れるように、前記第1熱交換部材及び前記第2熱交換部材が、前記再循環遠位先端に接続されている、
請求項7に記載のカテーテルデバイス。
【請求項13】
前記カテーテル本体を通って延伸する第3ルーメンをさらに備えている、
請求項1から12のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの熱交換部材を前記細長い部材及び前記細長い管腔部材のうちの少なくとも1つに接着させる、接着剤をさらに備えている、
請求項1から13のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、少なくとも1つの熱交換チューブを含んでいる、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの熱交換チューブが、空の場合はしぼみ、また、流体で満たされている場合は膨張している、
請求項15に記載のカテーテルデバイス。
【請求項17】
前記細長い部材は、その上
に形成された受け取り機能であって、前記少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置のサイズ及び形状に対応している受け取り機能を備え、かつ、
前記少なくとも1つの熱交換部材上の前記細長い部材の接触位置は、前記受け取り機能内に配置されている、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項18】
前記受け取り機能は、前記少なくとも1つの熱交換部材上の前記細長い部材の接触位置が、完全又は部分的に配置されている、前記細長い部材に形成されている、クリップ、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ノッチ、溝、くぼみ、開口部、穴、貫通孔及び開口領域から選択される、
請求項17に記載のカテーテルデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、前記細長い部材に接着されている、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項20】
細長い部材の接触位置が受け取り機能に接着されている、
請求項19に記載のカテーテルデバイス。
【請求項21】
前記細長い管腔部材が、チューブである、
請求項1から20のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項22】
前記細長い部材は、その上に形成された受け取り機能を有する細長い部材を含み、前記受け取り機能は、前記少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置のサイズ及び形状に対応しており、
前記少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置は、前記細長い部材の上
に形成した前記受け取り機能内に配置され、
前記細長い管腔部材は、前記少なくとも1つの熱交換部材を前記受け取り機能内に維持するように、前記細長い部材上に取り付けられている、
請求項1から21のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項23】
前記細長い部材に沿って一連の前記受け取り機能が形成され、
前記少なくとも1つの熱交換部材が一連のらせん構造に形成され、
少なくとも一部の前記らせん構造上の細長い部材の接触位置は、前記受け取り機能内に配置され、かつ
前記らせん構造を前記受け取り機能内に維持するように、前記細長い管腔部材が、前記細長い部材に取り付けられている、
請求項22に記載のカテーテルデバイス。
【請求項24】
前記少なくとも1つ熱交換部材はまた、前記細長い部材に接着されている、
請求項23に記載のカテーテルデバイス。
【請求項25】
前記細長い部材の接触位置が、前記受け取り機能に接着されている、
請求項24に記載のカテーテルデバイス。
【請求項26】
前記らせん構造が直径の異なるらせん構造を含んでいる、
請求項23から25のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項27】
前記らせん構造が、第1直径のらせん構造と第2直径のらせん構造とが互い違いになるように配置されている、
請求項26に記載のカテーテルデバイス。
【請求項28】
前記少なくとも1つの熱交換部材が、直径0.095インチ(2.41mm)かつ肉厚が0.0005インチ(0.0127mm)を有するポリマー材料から形成されている少なくとも1つのチューブを含んでいる、
請求項27に記載のカテーテルデバイス。
【請求項29】
前記少なくとも1つのチューブが、空の場合は、フレンチスケールで12以上のイントロデューサを通過するサイズまで折り畳み可能である、
請求項28に記載のカテーテルデバイス。
【請求項30】
前記少なくとも1つのチューブが、流体で満たされている場合は、直径がおよそ0.600インチ(およそ15.2mm)からおよそ0.700インチ(およそ17.8mm)の範囲を有する膨張した構造を取る、
請求項29に記載のカテーテルデバイス。
【請求項31】
前記少なくとも1つの熱交換部材は、44個から54個の間のらせん構造を有している、
請求項23から30のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項32】
前記少なくとも1つの熱交換部材は、54個のらせん構造を有している、
請求項31に記載のカテーテルデバイス。
【請求項33】
らせん構造の直径及び数は、温度37℃の水が、毎分2.5リットルの流量で圧送される際に通る内径(ID)22mmのリジッドチューブの中で、生理食塩水が使われる場合、少なくとも約600ワットの冷却能力を発揮できるようになっている、
請求項23から32のいずれか一項に記載のカテーテルデバイス。
【請求項34】
前記カテーテル本体は、複数の流入ルーメン及び単一の排出ルーメンを含み、かつ、前記少なくとも1つのチューブは、
複数の遠位循環チューブ又はチューブセグメントを含み、そのそれぞれが前記カテーテル本体の流入ルーメンと、前記カテーテル本体の前記単一の排出ルーメンに接続されている単一の近位循環チューブ又はチューブセグメントに接続され、
流体が、前記複数の流入ルーメンを通って遠位方向に、その後、
前記複数の遠位循環チューブ又はチューブセグメントを通って前記遠位方向に、次に、前記単一の近位循環チューブ又はチューブセグメントを通って
前記近位方向に、さらに前記カテーテル本体の前記単一の排出ルーメンを通って前記近位方向へと循環し得る、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項35】
前記カテーテル本体は、単一の流入ルーメン及び複数の排出ルーメンを含み、かつ、前記少なくとも1つのチューブは、
前記カテーテル本体の前記単一の流入ルーメンに接続されている単一の遠位循環チューブ又はチューブセグメント、及び、それぞれが前記カテーテル本体の排出ルーメンに接続されている複数の近位循環チューブ又はチューブセグメントを備え、
流体が、前記単一の流入ルーメンを通って前記遠位方向に、その後、前記単一の遠位循環チューブ又はチューブセグメントを通って前記遠位方向に、次に、前記複数の近位循環チューブ又はチューブセグメントを通って
前記近位方向に、さらに前記カテーテル本体の前記複数の排出ルーメンを通って前記近位方向へと循環し得る、
請求項1に記載のカテーテルデバイス。
【請求項36】
前記管腔部材の前記ルーメンを通って進むことができるサイズのガイドワイヤ又は温度センサから選択される、少なくとも1つのデバイスと組み合わせて、請求項1から35のいずれか一項に記載のカテーテルデバイスを備えている、システム。
【請求項37】
流体を前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記少なくとも1つのチューブを通り、次に、前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環させるように動作する流体ポンプ装置と組み合わせて請求項1に記載のカテーテルデバイスを備えている、システム。
【請求項38】
流体を前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記第1チューブセグメントを通って前記遠位方向に、次に、前記第2チューブセグメントを通って近位方向に、さらに、前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環させるように動作する流体ポンプ装置と組み合わせて請求項4に記載のカテーテルデバイスを備えている、システム。
【請求項39】
血管内温度管理システムであって、加熱又は冷却した熱交換流体を、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、少なくとも1つのチューブを通り、次に、前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環させるように動作する、流体の加熱又は冷却並びに圧送をする装置と組み合わせて、請求項1に記載のカテーテルデバイスを備えている、
システム。
【請求項40】
カテーテルを製造する方法であって、
遠位端並びにそれを通って延伸する少なくとも第1及び第2ルーメンを有する、近位カテーテル本体を形成又は取得する段階と、
細長い部材を形成又は取得する段階と、
前記細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する段階と、
前記細長い部材が前記近位カテーテル本体の前記遠位端を超えて延伸するように、前記細長い部材を前記近位カテーテル本体に取り付ける段階と、
流体が、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記少なくとも1つのチューブを通り、次に、前記第2ルーメンを通って近位方向へと流れるように、前記少なくとも1つのチューブを少なくとも前記第1及び第2ルーメンに接続する段階と、
細長い管腔部材を、前記細長い部材に実質的に平行に延伸する前記近位カテーテル本体に接続する段階を含み、
前記細長い管腔部材は、前記細長い部材を通って長手方向に延伸するルーメンを有し、
前記少なくとも1つのチューブの一部は、前記細長い部材と前記細長い管腔部材との間に収められている、
カテーテルを製造する方法。
【請求項41】
前記少なくとも1つのチューブを、らせん構成を有するようにする段階をさらに備えている、
請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つのチューブが、
i)前記少なくとも1つのチューブを実質的に直線状の形成部材上を前進させる段階と、
ii)前記実質的に直線状の形成部材を湾曲構成を帯びるようにし、それにより、前記少なくとも1つのチューブにらせん構成を付与する段階と、
iii)前記らせん構成を維持したまま、前記チューブから前記形成部材を取り外す段階とによってらせん構成を有するようになる、
請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記形成部材は、前記湾曲構成にあらかじめ形成される段階と、
前記少なくとも1つのチューブが前記形成部材上を前進する際に、弾性的に又は超弾性的に変形し、かつ前記実質的に直線状の構成に制限される段階と、
その後、前記制限から解放されることで、前記形成部材があらかじめ形成した湾曲構成に弾性的又は超弾性的に遷移できるようにし、それにより、前記少なくとも1つのチューブに前記らせん構成を付与する段階と
を備えている、
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記形成部材が、形状記憶材料を含み、かつ、前記実質的に直線状の構成を有する第1の状態から前記湾曲構成を有する第2の状態へと遷移可能であり、また、前記形成部材は、前記少なくとも1つのチューブが前記形成部材上を前進する間は前記第1の状態を維持し、その後、前記第2の状態に遷移することにより、前記少なくとも1つのチューブに前記らせん構成を付与する、
請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記形成部材の温度を変えることで、前記第1の状態から前記第2の状態への形状記憶の遷移を生じる
請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記形成部材が、ニッケル-チタン合金で形成されている、
請求項42に記載の方法。
【請求項47】
前記ニッケル-チタン合金が、50重量%のニッケルと残部のチタンとを備えている、
請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記形成部材が、温度が20℃と35℃の間にある場合は、前記第1の状態にあり、また、温度が35℃より高いか又は20℃未満の場合には、前記第2の状態にあり、
前記少なくとも1つのチューブが前記形成部材上を前進する間は、前記形成部材を20℃と35℃の間の温度に維持し、その後、20℃未満の温度に冷却するか、又は、35℃より高い温度に温めて、前記形成部材を前記第2の状態へと遷移させる
請求項44に記載の方法。
【請求項49】
細長い部材を形成又は取得する段階は、細長い中実部材を含む加工材料を取得する前記段階と、前記細長い中実部材内に一連のチューブ受け取り位置を形成する段階とを備えている、
請求項40に記載の方法。
【請求項50】
前記チューブ受け取り位置は、前記細長い部材
の上に形成され、1又は複数のチューブを完全に又は部分的に配置し得る、クリップ、クランプ、クレードル、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ノッチ、溝、くぼみ、開口部、穴、貫通孔及び開口領域を含んでいる、
請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する前記段階は、前記細長い部材に前記少なくとも1つのチューブを接着する段階を備えている、
請求項40に記載の方法。
【請求項52】
前記細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する前記段階は、前記少なくとも1つのチューブ上のスパイン接触位置を、前記細長い部材上のチューブ受け取り位置に接着する段階を備えている、
請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する前記段階は、前記少なくとも1つのチューブ上の細長い部材の接触位置を前記細長い部材のチューブ受け取り位置に、熱溶接する段階を備えている、
請求項40に記載の方法。
【請求項54】
細長い管腔部材を前記細長い部材に沿って長手方向に配置する段階をさらに備えている、
請求項40に記載の方法。
【請求項55】
前記近位カテーテル本体は、第3ルーメンを有し、前記方法は、さらに、前記細長い管腔部材の近位端を前記近位カテーテル本体の前記第3ルーメンに接続する前記段階を含む、
請求項51に記載の方法。
【請求項56】
前記細長い部材は、その上に形成されたチューブ受け取り位置を有するスパイン部材を含み、
少なくとも1つのチューブを前記スパイン部材上に配置する段階は、前記少なくとも1つのチューブ上のスパイン接触位置を、前記スパイン部材の前記チューブ受け取り位置内に配置する段階を有し、かつ、
細長い管腔部材を前記スパイン部材の長手方向に沿って配置する前記段階は、前記スパイン部材の前記チューブ受け取り位置内に、前記細長い管腔部材が前記少なくとも1つのチューブの前記スパイン接触位置を保持するように、細長い管腔部材を前記スパイン部材に取り付ける段階を有する
請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1つのチューブ上の前記スパイン接触位置は、前記細長い管腔部材によって前記チューブ受け取り位置に保持されるのに加えて、さらに、前記チューブ受け取り位置に接着又は熱溶接される、
請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記細長い管腔部材は、
前記スパイン部材の一方の側に沿って延伸し、かつ、前記少なくとも1つのチューブのスパイン接触位置が摩擦的に噛み合うように前記スパイン部材に取り付けられているチューブを含み、チューブが前記スパイン部材上の
前記チューブ受け取り位置から外に出ることを阻止する、
請求項56に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つのチューブ部材は、近位端及び遠位端を含む遠位循環チューブ又はチューブ部材と近位端及び遠位端を含む近位循環チューブ部材とを含み、
前記方法は、前記細長い部材の前記遠位端に再循環遠位先端部材を取り付けるか又は形成する段階をさらに備え、
前記少なくとも1つのチューブを、少なくとも前記第1及び第2ルーメンに接続する前記段階は、前記遠位循環チューブの前記近位端を前記近位カテーテル本体の第1ルーメンに接続する段階と、前記遠位循環チューブの前記近位端を前記再循環遠位先端部材に接続する段階と、前記近位循環チューブ部材の前記遠位端を前記再循環遠位先端部材に接続する段階と、前記近位循環チューブ部材の前記近位端を前記近位カテーテル本体の第2ルーメンに接続する段階とを有し、前記流体が、前記近位カテーテル本体の前記第1ルーメンを通って前記遠位方向に、その後、前記遠位循環チューブを通って前記遠位方向に、次に、前記再循環遠位先端部材を通り、さらに前記近位循環チューブ部材を通って前記近位方向に、さらに前記近位カテーテル本体の前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環するようにする、
請求項40に記載の方法。
【請求項60】
可撓性の細長いカテーテル本体と、熱交換流体が循環する際に通る熱交換領域と、前記熱交換流体が循環する際にも通る再循環遠位先端部材と、前記可撓性の細長いカテーテル本体から延伸する細長い部材と、前記可撓性の細長いカテーテル本体に取り付けられた細長い管腔部材であって、それを通って長手方向に延伸する管腔を有する細長い管腔部材と、を備え、
前記熱交換領域の一部は、前記細長い部材および前記細長い管腔部材との間に収められている、
熱交換カテーテル。
【請求項61】
前記可撓性の細長いカテーテル本体の少なくとも一部及び前記再循環遠位先端部材を通り延伸しているスルールーメンであって、熱交換流体が前記スルールーメンに入らないように、前記再循環遠位先端部材を通り循環する熱交換流体から流体分離されているスルールーメンをさらに備えている、
請求項6
0に記載の熱交換カテーテル。
【請求項62】
前記再循環遠位先端部材は、隣接する前記可撓性の細長いカテーテル本体とは硬度が異なる材料から形成されている、
請求項6
0に記載の熱交換カテーテル。
【請求項63】
前記再循環遠位先端部材は、隣接する前記可撓性の細長いカテーテル本体とはX線不透過性が異なる、
請求項6
0に記載の熱交換カテーテル。
【請求項64】
前記再循環遠位先端部材は、その中に再循環キャビティを有する筐体を有し、また、前記スルールーメンは、前記再循環キャビティを通って延伸し、かつ、前記再循環遠位先端部材内に形成されている遠位開口部において遠位で終端するチューブのルーメンを部分的に備えている
請求項6
1に記載の熱交換カテーテル。
【請求項65】
前記熱交換流体の前記再循環遠位先端部材は、テーパー状、円錐状、円錐台形状、先がとがっていない円錐状、S字曲線状又は弾丸形状を有し、その中に前記遠位開口部が形成されている、
請求項6
4に記載の熱交換カテーテル。
【請求項66】
熱交換カテーテルシステムであって、
(i)遠位端を有するカテーテル本体と、(ii)前記カテーテル本体に取り付けられ、かつ、その遠位端を超えて延伸する細長い部材と、(iii)前記細長い部材上に配置され、かつ、前記カテーテル本体の送達及び還流ルーメンに接続されている少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブとを備えた熱交換カテーテルと、
前記カテーテル本体に取り付けられた細長い管腔部材であって、少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブの一部は、前記細長い部材と前記細長い管腔部材との間に収められている、細長い管腔部材と、
前記カテーテル本体の前記送達及び還流ルーメンに接続され、かつ、冷却した熱交換流体を前記少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブを通って循環させるように動作する流体冷却装置とを備え、
前記流体冷却装置及び前記少なくとも1つらせん状に巻かれたチューブは、温度37℃の水が、毎分2.5リットルの流量で圧送する際に通る内径(ID)22mmのリジッドチューブの中で動作する場合に、少なくとも約600ワットの冷却能力を発揮できる前記熱交換カテーテルシステムを提供するようにサイズ決めされ、構成され、かつ、構築されている、
熱交換カテーテルシステム。
【請求項67】
カテーテルデバイスであって、
遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを含むカテーテル本体と、
前記カテーテル本体とは異なり、かつ、前記カテーテル本体から遠位に延伸するスパインと、
少なくとも1つの熱交換部材であって、流体が、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記少なくとも1つの熱交換部材を通り、次に、前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環し得るように、前記スパイン上に配置され、前記カテーテル本体の前記第1ルーメン及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つの熱交換部材と、
前記カテーテル本体に取り付けられ、前記カテーテル本体から遠位に延伸する細長い管腔部材であって、前記少なくとも1つの熱交換部材の一部は、前記細長い
管腔部材と前記スパインとの間に収められている、細長い管腔部材と、を備えている、
カテーテルデバイス。
【請求項68】
前記スパインは、前記カテーテル本体とは異なる屈曲特性を有している、
請求項
67に記載のカテーテルデバイス。
【請求項69】
前記スパインは、前記カテーテル本体より硬い、
請求項
68に記載のカテーテルデバイス。
【請求項70】
前記スパインは
、その上に離間している複数のチューブ受け取り機能を備え、前記少なくとも1つのチューブは前記複数のチューブ受け取り機能内に受け取られる、
請求項
67に記載のカテーテルデバイス。
【請求項71】
前記スパインは、実質的に中実である、
請求項
67に記載のカテーテルデバイス。
【請求項72】
カテーテルデバイスであって、
遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、
前記カテーテル本体に取り付けられ、かつ、前記カテーテル本体の前記遠位端を超えて延伸する細長い部材と、
少なくとも1つのチューブであって、流体が、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記少なくとも1つのチューブを通り、次に、前記第2ルーメンを通って近位方向へと循環し得るように、前記細長い部材の上に配置され、かつ、前記第1ルーメン及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つのチューブと、
前記カテーテル本体に取り付けられ、かつ、前記細長い部材と実質的に平行に延伸する細長い管腔部材であって、前記細長い部材を通り延伸するスルールーメンを有している細長い管腔部材と
を備え、
前記細長い部材は、その
上に前記少なくとも1つのチューブの個別の位置が配置されるチューブ受け取り機能を有し、それにより、前記少なくとも1つのチューブをある構成で前記細長い部材上に配置させる、
前記少なくとも1つのチューブの一部は、前記細長い部材と前記細長い管腔部材との間に収められている、
カテーテルデバイス。
【請求項73】
前記構成は、コイル状又はらせん状の構成を有している、
請求項7
2に記載のカテーテルデバイス。
【請求項74】
前記チューブ受け取り機能は、前記細長い部材に形成されているクリップ、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ノッチ、溝、くぼみ、開口部、穴、貫通孔及び開口領域から選択され、その中に前記少なくとも1つのチューブ上の離間位置が内部に位置決めされている、
請求項7
2に記載のカテーテルデバイス。
【請求項75】
前記チューブ受け取り機能は、開口を有し、
前記少なくとも1つのチューブ上の前記位置は、前記開口を通り、かつ、前記チューブ受け取り機能内に挿入され、
前記細長い管状部材は、前記少なくとも1つのチューブを前記チューブ受け取り機能の中に維持する方式で、前記細長い部材に取り付けられている、
請求項7
2に記載のカテーテルデバイス。
【請求項76】
生理食塩水を、温度37℃の水が、毎分2.5リットルの流量で圧送される際に通る内径(ID)22mmのリジッドチューブの中で、生理食塩水が使われる場合、前記カテーテルデバイスが、少なくとも約600ワットの冷却能力を発揮できるように前記少なくとも1つのチューブはコイル状又はらせん状である、
請求項7
2に記載のカテーテルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願] 本PCT国際特許出願は、2016年12月30日に出願された、米国特許出願第15/395,858号に基づく優先権を主張するもので、この出願の全開示が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、医学及び工学分野、より具体的には、血管内熱交換及び関連する方法によって患者の体温を制御するために使用できる流体循環カテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許法規則1.71(e)に従って、本特許文書は、著作権保護の対象となる資料を含み、かつ本特許文書の所有権者は、全ての著作権を留保する。
【0004】
現代医学では、患者の体温を制御若しくは変更することが望ましい臨床的状況が多数ある。例えば、虚血性、無酸素又は毒性発作の影響から、様々な臓器や組織を保護する目的で、人間や一部の動物に、低体温を生じさせることも可能である。例えば、心筋梗塞若しくは急性冠症候群、心肺機能蘇生に続く無酸素後のこん睡状態、外傷性脳損傷、脳卒中、くも膜下出血、発熱又は神経損傷のなどの、虚血性の事象で苦しむ患者に、低体温は、神経保護及び/又は心臓保護効果を有することが可能である。同様に、低体温は、以前から腎臓機能障害を有する患者に対して、X線撮影造影剤の腎毒性作用(例えば、造影剤腎症)を改善することが可能であることが、研究により示されている。
【0005】
低体温を誘発させる1つの方法、又は別のやり方で、患者の体温を変更又は制御する1つの方法には、患者の血管系内への血管内熱交換カテーテルの挿入を伴い、カテーテル上に配置した熱交換器を通して、温めた又は冷却した生理食塩水などの熱交換流体を循環させる。これにより、循環する熱交換流体と患者の血管系を流れる血液との間で熱交換がもたらされる。この技術は、患者の身体全体にわたって血液が循環するため、患者の深部体温を望ましい目標温度に変え、その後、ある期間にわたって、その目標深部体温を維持することに効果があり得る。
【0006】
臨床的状況によっては、できるだけ迅速に低体温を誘発させることが望ましい。そのような例として、急性心筋梗塞の治療がある。急性心筋梗塞と診断された患者は、多くの場合、虚血心筋を再かん流するために、冠状動脈インターベンション又は手術(例えば、血管形成手術又は冠動脈バイパス手術)で治療される。血管形成による再かん流に先立って、深部体温を少なくとも35℃まで低下させた前壁梗塞を有する患者の梗塞の大きさの中央値は、再かん流の時点での深部体温が35℃よりも高かった他の前壁梗塞の患者よりも、著しく小さいことが少なくとも1つの研究において、認められた。この観察結果は、発症から受診までの時間、病変の位置又は血管形成の前の順行性冠血流量(TIMI血流)などの、他の要因では説明できない。このことが示唆するのは、少なくとも急性心筋梗塞の場合患者の体温をできるだけ速やかに少なくとも35℃まで低下させることが望ましく、これにより、そのような低体温を誘発させた後の再かん流もまたできるだけ速やかに、実現できるということであろう。
【発明の概要】
【0007】
本開示に従って、効率的な血管内熱交換に使用可能な熱交換カテーテルデバイス、システム及び方法を本明細書に記載する。
【0008】
多くの場合、血管内熱交換カテーテルを用いて患者の体温を上昇又は低下させるのに要する時間は、少なくともある程度は、熱交換カテーテルの熱交換効率に依存する。本開示では、高効率な熱交換及び患者の体温を迅速に上昇又は低下させる能力を提供する、改良を行った熱交換カテーテル、システム及び方法を説明する。
【0009】
ある実施形態に従って、遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体から遠位に延伸するスパイン又は他の細長い部材とを備えるカテーテルデバイスで、そのようなスパイン又は他の細長い部材は、その中又はその上に複数の離間した熱交換部材受け取り機能を有するカテーテルデバイスを提供する。少なくとも1つの熱交換部材(例えば、1又は複数の熱交換チューブ)を、スパイン又は他の細長い部材上に配置し、第1及び第2ルーメンに接続して、流体が、第1ルーメンを通り遠位方向に、次に、少なくとも1つの熱交換部材を通り、さらに、第2ルーメンを通り近位方向へと循環し得るようにする。
【0010】
他の実施形態に従って、遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体とは異なり、カテーテル本体から遠位に延伸するスパイン又は他の細長い部材と、スパイン又は細長い部材上に配置され、かつ、流体が、第1ルーメンを通り遠位方向に、次に、少なくとも1つの熱交換部材を通り、かつ、さらに、第2ルーメンを通り近位方向へと循環し得るように、のカテーテル本体の第1及び第2ルーメンに接続される少なくとも1つの熱交換部材(例えば、1又は複数の熱交換チューブとを備える、カテーテルデバイスを提供する。
【0011】
さらに他の実施形態に従って、遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体に取り付けられかつカテーテル本体の遠位端を超えて延伸する細長い部材と、細長い部材上に配置され、かつ、第1及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つのチューブであって、流体が、第1ルーメンを通り遠位方向に、その後、少なくとも1つのチューブを通り、さらに、第2ルーメンを通り近位方向へと循環し得るように少なくとも1つのチューブと、カテーテル本体に取り付けられ、かつ、細長い部材に対して実質的に平行に延伸する細長い管腔部材であって、細長い部材を通り延伸するスルールーメンを有する細長い管腔部材とを備え、細長い部材は、少なくとも1つのチューブ上の細長い部材の接触位置のサイズ及び形状に対応するチューブ受け取り機能を含み、少なくとも1つのチューブ上の細長い部材の接触位置は細長い部材のチューブ受け取り機能内に配置され、かつ、少なくとも1つのチューブの細長い部材の接触位置を細長い部材のチューブ受け取り位置内に保持するために、細長い管腔部材は細長い部材に沿って延伸しているカテーテルデバイスを本明細書に開示する。
【0012】
さらに他の実施形態に従って、遠位端及びそれを通って延伸する少なくとも第1及び第2ルーメンを有する近位カテーテル本体を形成又は取得する段階と、スパイン又は他の細長い部材を形成又は取得する段階と、スパイン又は他の細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する段階と、スパイン又は他の細長い部材がカテーテル本体の遠位端を超えて延伸するように、スパイン又は他の細長い部材を近位カテーテル本体に取り付ける段階と、流体が、第1ルーメンを通り遠位方向に、その後、少なくとも1つのチューブを通り、さらに第2ルーメンを通り近位方向に流れるように、少なくとも1つのチューブを少なくとも第1及び第2ルーメンに接続する段階とを備える、カテーテルを製造する方法を提供する。
【0013】
さらなる他の実施形態に従って、それを通って延伸するルーメン又は経路を有するチューブ又は他の加工材料に、望ましい湾曲又はループ形状を付与する方法を提供する。この方法は、概して、i)形成部材が初期構成(例えば、実質的に直線)である間に、チューブ又は他の加工材料を形成部材の上方は中を進行させる段階と、ii)形成部材を望ましい湾曲又はループ形状に遷移させることにより形成部材上に位置するチューブ又は他の加工材料に湾曲又はループ形状を付与する段階と、iii)チューブ又は他の加工材料を望ましい湾曲又はループ構成に維持したまま、形成部材をチューブ又は他の加工材料から取り外す段階とを備えている。この方法は、本明細書に記載する様々なカテーテルで使用する熱交換チューブ又は他の管腔熱交換部材に、ループ構成を付与するのに用い得る。
【0014】
他の実施形態に従って、本明細書に記載するあらゆるカテーテルと、流体を、少なくとも1つの熱交換部材(又は、少なくとも1つの単一熱交換部材のセグメント)を通って遠位方向へと循環させ、その後、第2熱交換部材(又は、単一熱交換部材の第2セグメント)を通って近位方向に還流させるように動作する流体ポンプ装置との組み合わせを備えるシステムを提供する。そのようなシステムは、流体の加熱又は冷却並びに制御する装置などの追加のコンポーネントを含み得る。本カテーテルと共に使用可能な、圧送、加熱/冷却及び制御装置を備えた血管内熱交換システムの例は、米国特許第8,911,485号(Brian III他)、米国特許第9,314,367号(Caliister他)、米国特許第9,278,023号(Dabrowiak)及び米国特許出願公開番号2015/0230975(Dabrowiak他)の記載を含み、これらに限定されないが、そのような各特許及び出願の全開示は、参照により本明細書に明確に組み込まれる。さらに、本明細書には、米国特許第9,492,633号(Dabrowiak)の全開示及び米国特許出願第13/631,076号(US PG Pub.2013/0178923)及び米国特許出願第13/631,324号(US PG Pub.2013/0090708)の全開示が参照により組み込まれている。
【0015】
他の実施形態に従って、人間又は動物の被検体の体温を変更又は制御する方法を提供する。当該方法は、(i)本明細書に記載するあらゆる実施形態のカテーテルをそのような被検体の血管系に挿入する段階と、(ii)カテーテルを通して加熱又は冷却した熱交換流体を循環させることにより、被検体の血流との間で熱を交換し、結果として被検体の体温が変更又は制御され、様々な状態に対する処置、例えば、急性心筋梗塞の処置、を行う段階とを備えている。
【0016】
さらに、他の実施形態に従って、流体が、カテーテル上の第1部材を通って遠位方向へと循環し、その後、カテーテル上の第2部材を通って近位方向に還流する、流体循環カテーテルのための再循環遠位先端を提供する。再循環遠位先端部材は、中空内部キャビティを有し、第1及び第2部材に接続され、第1部材を通って遠位方向へと流れる流体が、再循環先端部材の中空内部キャビティを通り、その後、第2部材を通って近位方向に流れるように第2部材内を通り、実施形態によっては、カテーテルが、再循環遠位先端の中空内部キャビティを通って再循環先端部材の遠位端の開口まで延伸するスルールーメンチューブを有していてもよい。スルールーメンチューブは、再循環先端部材の中空内部キャビティを通って循環する流体が、スルールーメンチューブのルーメンに漏れ出すか又は入らないように、かつ、スルールーメンチューブを通って点滴に使用されるあらゆる流体が再循環先端部材の中空内部キャビティに漏れ出すか又は入らないように、再循環遠位先端部材に気密に取り付けられている。
【0017】
本開示は、遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体から遠位に延伸する細長い部材とを含み、細長い部材は、その中又はその上に複数の離間した熱交換部材受け取り機能を有し、さらに、流体が第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、少なくとも1つの熱交換部材、さらに、第2ルーメンを通って近位方向へと循環し得るように、細長い部材上に配置されかつ第1及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つの熱交換部材を有するカテーテルデバイスを含んでいる。
【0018】
少なくとも1つの熱交換部材は、一連のループで構成した少なくとも1つのチューブを備えていてもよい。少なくとも1つの熱交換部材は、カテーテル本体から細長い部材上の遠位位置まで延びる第1セグメントと、細長い部材上の遠位位置からカテーテル本体へと戻る第2セグメントとを有する連続したチューブを備えていてもよい。ループは、らせん状であってもよい。第1サイズのらせん状のループは、第1チューブ又は、第1チューブセグメント内に形成してもよい。第2サイズのらせん状のループは、第2チューブ又は第2チューブセグメント内に形成してもよい。ループは、一列に並べてもよい。第1サイズのループが第2サイズのループと互い違いになっていてもよい。
【0019】
少なくとも1つの熱交換部材は、熱交換流体が遠位方向に循環する際に通る第1セグメント及び熱交換流体が近位方向循環する際に通る第2セグメント有する単一の熱交換部材、又は、熱交換流体が遠位方向循環する際に通る少なくとも第1熱交換部材、及び第1熱交換部材を通って遠位方向に流れた流体が、その後、第2熱交換部材を通って近位方向に流れるように第1熱交換部材に接続されている第2熱交換部材を含んでいる複数の熱交換部材から選んでも良い。
【0020】
らせん状のループは、少なくとも1つの熱交換部材内に形成してもよい。第1サイズのらせん状のループを、第1セグメント又は第1熱交換部材に形成してもよい。第2サイズのらせん状のループを、第2セグメント又は第2熱交換部材に形成してもよい。第1セグメント又は第1熱交換部材と、第2セグメント又は第2熱交換部材とは、ループの輪が一列に並ぶように細長い部材上に配置してもよい。第1サイズのループは第2サイズのループと互い違いになっていてもよい。
【0021】
少なくとも1つの熱交換部材は、熱交換流体が遠位方向に循環する際に通る第1熱交換部材と、熱交換流体が近位方向に循環する際に通る第2熱交換部材と、第1及び第2熱交換部材の間の流体接続とを備えていてもよく、流体接続は、細長い部材の遠位端上の再循環遠位先端を有してもよく、流体が、カテーテル本体の第1ルーメンから、第1熱交換部材を通って遠位方向に、再循環遠位先端を通り、第2熱交換部材を通って近位方向に、その後、カテーテル本体の第2ルーメンに流れるように、再循環遠位先端に第1及び第2熱交換部材は接続されている。
【0022】
カテーテルデバイスは、さらに、カテーテル本体を通って延伸する第3ルーメンと、カテーテル本体に取り付けられかつ細長い部材に対して実質的に平行に延伸する細長い管腔部材とを備えていてもよく、細長い管腔部材は、細長い部材を通り長手方向に延伸するルーメンを有している。
【0023】
前述の少なくとも1つの熱交換部材の一部は、細長い部材と細長い管腔部材との間に収められていてもよい。 カテーテルデバイスは、さらに、少なくとも1つの熱交換部材を細長い部材及び細長い管腔部材の少なくとも1つに接着する接着剤を含んでいてもよい。少なくとも1つ熱交換部材は、少なくとも1つ熱交換チューブを含んでいてもよい。少なくとも1つの熱交換チューブは、空の場合はつぶれ、流体で満たされている場合は、膨張し得る。少なくとも1つの熱交換チューブは、コンプライアンス性のないポリマー材料で形成さていてもよい。細長い部材は、その中又はその上に形成されている受け取り機能を備えていてもよく、受け取り機能は、少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置のサイズ及び形状に対応している。少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置は、受け取り機能内に位置していてもよい。受け取り機能は、細長い部材内に形成されているクリップ、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ロケータマーク、ノッチ、溝、くぼみ、開口部、穴、貫通孔及び開口領域から選択されてもよく、少なくとも1つの熱交換部材の位置が、完全に又は部分的に配置できればよい。少なくとも1つの熱交換部材は、細長い部材に接着されていてもよい。細長い部材の接触位置は、受け取り機能に接着されていてもよい。細長い管腔部材はチューブを備えていてもよい。細長い部材は、その上又はその中に形成した受け取り機能を有する細長い部材を備えていてもよい。受け取り機能は、少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置のサイズ及び形状に対応していてもよい。少なくとも1つの熱交換部材上の細長い部材の接触位置は、細長い部材上又は細長い部材内に形成した受け取り機能内に位置していてもよく、少なくとも1つの熱交換部材を受け取り機能内に保持するように細長い管腔部材は、細長い部材上に取り付けられていてもよい。一連の受け取り機能は、細長い部材に沿って形成され、少なくとも1つの熱交換部材は、一連のループ内に形成され、少なくとも一部のループ上の細長い部材の接触位置は受け取り機能内に位置し、ループを受け取り機能内に保持するように細長い管腔部材は細長い部材上に取り付けられていてもよい。少なくとも1つの熱交換部材もまた、細長い部材に接着されていてもよい。細長い部材の接触位置は、受け取り機能に接着されていてもよい。ループは、らせん状であってもよい。らせん状のループは、直径が異なるらせん状のループを含んでいてもよい。らせん状のループは、第1直径のループと第2直径のループとが互い違いに配置されていてもよい。少なくとも1つの熱交換部材は、直径0.095インチ(2.41mm)、肉厚0.0005インチ(0.0127mm)を有するポリマー材料から形成された少なくとも1つのチューブを含んでいてもよい。少なくとも1つのチューブは、空の場合は、フレンチスケールで12以上のイントロデューサを通過する大きさに折り畳み可能である。少なくとも1つのチューブは、流体で満たされている場合は、直径がおよそ0.600インチ(およそ15.2mm)からおよそ0.700インチ(およそ17.8mm)の範囲を有する膨張した構造を取り得る。少なくとも1つ熱交換部材は、44個から54個の間のらせん状のループを有していてもよい。少なくとも1つの熱交換部材は、54個のらせん状のループを有していてもよい。らせん状のループのサイズ及び数は、温度37℃の水が、毎分2.5リットルの流量で圧送される際に通る内径(ID)22mmのリジッドチューブの中で、生理食塩水が使われる場合に、前記カテーテルが少なくとも約600ワットの冷却能力を発揮できるようになり得る。カテーテル本体は、複数の流入ルーメン及び単一の排出ルーメンを有していてもよく、かつ、前述の少なくとも1つのチューブは、それぞれがカテーテル本体の流入ルーメンに接続されている複数の遠位循環チューブ又はチューブセグメントと、カテーテル本体の排出ルーメンに接続されている単一の近位循環チューブ又はチューブセグメントとを有し、流体が、カテーテル本体の複数の流入ルーメンを通り遠位方向に、その後、複数の遠位循環チューブ又はチューブセグメントを通って遠位方向に、次に、単一の近位循環チューブ又はチューブセグメントを通って近位方向に、さらに、単一の排出ルーメンを通って近位方向へと循環し得る。カテーテル本体は、単一の流入ルーメン及び複数の排出ルーメンを有していてもよく、かつ、前述の少なくとも1つのチューブは、カテーテル本体の流入ルーメンに接続されている単一の遠位循環チューブ又はチューブセグメントと、それぞれがカテーテル本体の排出ルーメンに接続されている複数の近位循環チューブ又はチューブセグメントとを有し、流体が、カテーテル本体の単一の流入ルーメンを通って遠位方向に、その後、単一の遠位循環チューブ又はチューブセグメントを通って遠位方向に、次に、複数の近位循環チューブ又はチューブセグメントを通って近位方向に、さらに複数の排出ルーメンを通って近位方向へと循環し得る。
【0024】
別の態様に従って、上述したように、管腔部材のルーメンを通って進むことができるようなサイズのガイドワイヤ又は温度センサから選択される少なくとも1つのデバイスと組み合わせるカテーテルデバイスを備えるシステムを提供する。
【0025】
上述したように、別の態様に従って、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記少なくとも1つのチューブを通って、次に、第2ルーメンを通って近位方向に流体を循環させるように動作する流体ポンプ装置と組み合わせるカテーテルデバイスを備えるシステムを本明細書に開示する。
【0026】
別の態様に従って、上述したように、流体を第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、第1チューブセグメントを通って遠位方向に、次に、第2チューブセグメントを通って近位方向に、さらに第2ルーメンを通って近位方向に流体を循環させるように動作する流体ポンプ装置と組み合わせるカテーテルデバイスを備えるシステムを本明細書に開示する。
【0027】
別の態様に従って、上述したように、前記第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、前記少なくとも1つのチューブを通って、さらに第2ルーメンを通って近位方向に加熱又は冷却した熱交換流体を循環させるように動作する流体の加熱又は冷却及び圧送装置と組み合わせるカテーテルを備える血管内温度管理システムを本明細書に開示する。
【0028】
別の態様に従って、上述したように、人間又は動物の被検体の体温を変更又は制御するカテーテルデバイス又はシステムを用いる方法は、少なくとも1つのチューブが血管系中で被検体の血流と接触するように被検体の血管系にカテーテルデバイスを挿入する段階と、加熱又は冷却された熱交換流体をカテーテル本体の第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、少なくとも1つのチューブと通って、次に、カテーテル本体の第2ルーメンを通って近位方向へと循環させる段階とを備え、それにより、被検体の血流と熱を交換し、結果として、被検体の体温を変更又は制御する方法を本明細書に開示する。
【0029】
別の態様に従って、遠位端及びそれを通って延伸する少なくとも第1及び第2ルーメンを有する近位カテーテル本体を形成又は取得する段階と、細長い部材を形成又は取得する段階と、細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する段階と、細長い部材がカテーテル本体の遠位端を超えて延伸するように細長い部材を近位カテーテル本体に取り付ける段階と、流体が、第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、少なくとも1つのチューブを通り、さらに第2ルーメンを通って近位方向へと流れるように、少なくとも1つのチューブを少なくとも第1及び第2ルーメンに接続する段階とを備えるカテーテルを製造する方法を本明細書に開示する。本方法は、さらに、少なくとも1つのチューブがループ構成を有するようにすることを含んでいてもよい。少なくとも1つのチューブをループ構成にするには、i)少なくとも1つのチューブを、実質的に直線状の形成部材上を前進させる段階と、ii)実質的に直線状の形成部材が湾曲構成を帯びるようにさせ、それにより、少なくとも1つのチューブにループ構成を付与する段階と、iii)ループ構成を維持したまま、チューブから形成部材を取り外す段階とを含む方法を、本明細書に開示する。形成部材は、湾曲構成にあらかじめ形成してもよく、少なくとも1つのチューブが、形成部材上を前進する間は、実質的に直線状の構成に弾性的又は超弾性的に変形し、かつ、制限し、その後、前述の制限から解放させ、それにより、あらかじめ形成した湾曲構成に形成部材を弾性的又は超弾性的に遷移させ、それにより、少なくとも1つのチューブにループ構成を付与する。形成部材は、形状記憶材料を含んでいてもよく、かつ、実質的に直線状の構成を有する第1の状態から湾曲構成を有する第2の状態へと遷移可能であり、形成部材は、少なくとも1つのチューブが形成部材上を前進する間は第1の状態を維持し、その後、第2の状態に遷移し、それにより前記少なくとも1つのチューブにループ構成を付与する。形成部材の温度を変えることで、第1の状態から第2の状態への形状記憶の遷移を生じさせてもよい。形成部材は、ニッケル-チタン合金から形成されていてもよい。ニッケル-チタン合金は、50重量%のニッケルと残部のチタンとを含んでいてもよい。形成部材は、温度が20℃から35℃の間の場合は、第1の状態であってもよく、温度が35℃を超えているか又は20℃未満の場合は第2の状態であってよい。形成部材は、少なくとも1つのチューブが形成部材上を前進する間は20℃と35℃の間の温度に維持し、その後、20℃未満の温度に冷却するか、又は、35℃より高い温度に温めて、形成部材を第2の状態へと遷移させる。細長い部材を形成又は取得する段階は、細長い中実部材を備える加工材料を取得する段階と、細長い中実部材内に一連のチューブ受け取り位置を形成する段階とを備える。チューブ受け取り位置は、前記細長い部材内又は上に形成されているクリップ、クランプ、クレードル、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ノッチ、溝、くぼみ、開口部、穴、貫通孔及び開口領域を含んでいてもよく、1又は複数のチューブを完全に又は部分的に配置し得る。細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する段階は、細長い部材に対して少なくとも1つのチューブを接着する段階を備えていてもよい。細長い部材上に少なくとも1つのチューブを配置する段階は、少なくとも1つのチューブ上のスパイン又は部材接触位置を、細長い部材上のチューブ受け取り位置に接着する段階を含んでいてもよい。少なくとも1つのチューブをスパイン又は細長い部材上に配置する段階は、少なくとも1つのチューブ上の細長い部材の接触位置を細長い部材のチューブ受け取り位置に熱溶接する段階を含んでいてもよい。
【0030】
製造方法は、さらに、細長い部材の長手方向に沿って細長い管腔部材を配置する段階を含んでいてもよい。カテーテル本体は、第3ルーメンを有していてもよく、かつ、方法は、さらに、細長い管腔部材の近位端をカテーテル本体の第3ルーメンに接続する前記段階を含んでいてもよい。細長い部材は、その中に形成されたチューブ受け取り位置を有するスパイン部材備えていてもよく、かつ、スパイン部材上に少なくとも1つのチューブを配置する段階は、少なくとも1つのチューブ上のスパイン接触位置を、スパイン部材のチューブ受け取り位置内に配置する段階と、前記少なくとも1つのチューブのスパイン接触位置を、細長い管腔部材が、スパイン部材のチューブ受け取り位置内に保持するように、細長い管腔部材をスパインに取り付ける段階とを含む、スパインの長手方向に沿って、細長い管腔部材を配置する段階とを備えている。細長い管腔部材によりチューブ受け取り位置内に保持されるのに加え、少なくとも1つのチューブ上のスパイン接触位置もまた、チューブ受け取り位置に接着又は熱溶接されていてもよい。細長い管腔部材は、チューブを含み、それは、スパイン部材に取り付けることで、スパイン部材の一方の側に沿って延伸し、かつ、少なくとも1つのチューブのスパイン接触位置が摩擦的に噛み合い、スパイン部材上のチューブ受け取り位置から外に出ることを阻止する。少なくとも1つのチューブ部材は、近位端及び遠位端を含む遠位循環チューブ又はチューブ部材と近位端及び遠位端を含む近位循環チューブ部材とを備えていてもよく、かつ、本方法は、さらに、細長い部材の遠位端に再循環遠位先端部材を取り付けるか又は形成する段階と、少なくとも1つのチューブを、少なくとも第1及び第2ルーメンに接続する段階であって、流体が、カテーテル本体の第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、遠位循環チューブを通って遠位方向に、次に、再循環遠位先端部材を通って、さらに近位循環チューブを通って近位方向に、さらにカテーテル本体の第2ルーメンを通って近位方向へと循環するように、遠位循環チューブの近位端をカテーテル本体の第1ルーメンに接続する段階と、遠位循環チューブの近位端を再循環遠位先端部材に接続する段階と、近位循環チューブの遠位端を再循環遠位先端部材に接続する段階と、近位循環チューブの近位端を前記カテーテル本体の第2ルーメンに接続する段階とを有する、少なくとも1つのチューブを、少なくとも第1及び第2ルーメンに接続する段階とを備えている。
【0031】
別の態様に従って、近位端及び遠位端を含む細長いカテーテルと、細長いカテーテルの遠位部分の遠位端の近傍に配置されている少なくとも1つの熱交換器と、細長いカテーテルの遠位端上に流体の再循環先端部材であって、その中に再循環キャビティを含む筐体を有している流体の再循環先端部材とを備え、熱交換器は、熱交換流体がその中を通り遠位方向に流れる少なくとも1つの遠位流熱交換要素と、熱交換流体がその中を通り近位方向に流れる少なくとも1つの近位流熱交換要素とを含み、少なくとも1つの遠位流熱交換要素と少なくとも1つの近位流熱交換要素とが再循環キャビティと共に流体連通することで、少なくとも1つの遠位流熱交換要素を通って遠位方向に流れる流体が、再循環キャビティに入り、次に、再循環キャビティから少なくとも1つの近位流熱交換要素を通って近位方向に流れるカテーテルデバイスを本明細書に開示する。流体の再循環先端部材は、テーパー状、円錐、円錐台形状、先がとがっていない円錐、S字曲線状又は弾丸形状を有していてもよい。カテーテルデバイスは、さらに、細長いカテーテルの少なくとも一部を通り、かつ、流体の再循環先端部材を通って長手方向に延伸するスルールーメンを含んでいてもよく、スルールーメンは、再循環キャビティから流体分離されている。スルールーメンは、部分的に、再循環先端部材の再循環キャビティの長手方向を通って延伸するチューブのルーメンを含んでいてもよい。チューブの遠位端は、再循環先端部材内に形成された遠位開口部で終端してもよい。
【0032】
別の態様に従って、可撓性の細長いカテーテル本体と、熱交換流体が循環する際に通る熱交換領域と、前記熱交換流体が循環する際にも通る再循環遠位先端部材とを含む前記熱交換カテーテルを本明細書に開示する。熱交換カテーテルは、さらに、カテーテル本体の少なくとも一部を通り、かつ、再循環遠位先端部材を通って延伸するスルールーメンであって、熱交換流体がスルールーメンに入らないように、再循環遠位先端部材を通って循環する熱交換流体から流体分離されているスルールーメンを備えていてもよい。再循環遠位先端部材は、隣接するカテーテル本体とは硬度が異なる材料から形成されていてもよい。再循環遠位先端部材は、隣接するカテーテル本体とはX線不透過性が異なっていてもよい。再循環遠位先端部材は、その中に再循環キャビティを有する筐体を含んでいてもよく、かつ、スルールーメンは、部分的に、再循環キャビティを通って延伸し、かつ、再循環先端部材内に形成される遠位開口部において遠位で終端するチューブのルーメンを含んでいてもよい。流体の再循環先端部材は、テーパー状、円錐状、円錐台形状、先がとがっていない円錐状、S字曲線状又は弾丸形状を備え、その中に遠位開口部が形成されていてもよい。
【0033】
別の態様に従って、被検体の血管系内に熱交換カテーテルを配置する段階を含み、熱交換カテーテルは、(i)遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、(ii)カテーテル本体取り付けられ、かつ、カテーテル本体の遠位端を超えて延伸する細長い部材と、(iii)細長い部材上に配置され、かつ、第1及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つのチューブとを備え、さらに、温められているか又は冷却されている熱交換流体を第1ルーメン通って遠位方向へ、その後、少なくとも1つのチューブを通って、次に、第2ルーメンを通って近位方向へと循環させ、それにより、被検体の身体を温めるか又は冷却する段階とを含む人間又は動物の被検体の身体を温めるか又は冷却するための方法を本明細書に開示する。少なくとも1つのチューブは、一連のループで構成されている。少なくとも1つのチューブは、カテーテル本体から細長い部材上の遠位位置へと延びる第1セグメントと、細長い部材上の遠位位置からカテーテル本体へと戻る第2セグメントとを有する単一のチューブを含んでいてもよい。らせん状のループは、少なくとも1つのチューブ内に形成されてもよい。第1サイズのらせん状のループは、第1チューブセグメント内に形成され、第2サイズのらせん状のループは、第2チューブセグメント内に、形成されてもよい。第1及び第2チューブセグメントは、らせん状のループが一列に並ぶように、細長い部材上に配置されてもよい。第1サイズのループが第2サイズのループと互い違いになっていてもよい。急性心筋梗塞で人間又は動物が悩まされ、身体を温めるか又は冷却することにが、結果として急性心筋梗塞の処置になる場合に本方法を適用してもよい。
【0034】
別の態様に従って、(i)遠位端を有するカテーテル本体と、(ii)前記カテーテル本体に取り付けられ、かつ、その遠位端を超えて延伸する細長い部材と、(iii)細長い部材上に配置され、かつ、カテーテル本体の送達及び還流ルーメンに接続されている少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブとを有する熱交換カテーテルと、カテーテル本体の送達及び還流ルーメンに接続され、かつ、冷却した熱交換流体を少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブを通って循環するように動作する流体冷却装置であって、少なくとも1つらせん状に巻かれたチューブは、温度37℃の水が、毎分2.5リットルの流量で圧送される際に通る内径(ID)22mmのリジッドチューブの中で動作する場合に、少なくとも約600ワットの冷却能力を発揮できるシステムを提供するように、サイズ決めされ、構成され、かつ、構築される流体冷却装置とを備えている熱交換カテーテルを含む熱交換カテーテルシステムを本明細書に開示する。
【0035】
別の態様に従って、遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを含むカテーテル本体と、カテーテル本体とは異なり、かつ、カテーテル本体から遠位に延伸するスパインと、流体が、第1ルーメンを通って遠位方向に、その後、少なくとも1つ熱交換部材を通り、次に、第2ルーメンを通って近位方向へと循環し得るようにスパイン上に配置され、かつ、カテーテル本体の第1及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つの熱交換部材とを備えているカテーテルデバイスを本明細書に開示する。スパインは、カテーテル本体とは、異なる屈曲特性を有していてもよい。スパインは、カテーテル本体より硬くてもよい。スパインは、その中又はその上に離間している複数のチューブ受け取り機能を有していてもよく、かつ、少なくとも1つのチューブはチューブ受け取り機能内に受け取られている。スパインは、実質的に中実な材料で形成されていてもよい。
【0036】
別の態様に従って、遠位端、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテル本体と、カテーテル本体に取り付けられかつカテーテル本体の遠位端を超えて延伸する細長い部材と、細長い部材上に配置され、かつ、第1及び第2ルーメンに接続されている少なくとも1つのチューブであって、流体が、第1ルーメンを通り遠位方向に、その後、少なくとも1つのチューブを通り、さらに、第2ルーメンを通り近位方向へと循環し得るように、少なくとも1つのチューブと、カテーテル本体に取り付けられ、かつ、細長い部材に対して実質的に平行に延伸する細長い管腔部材であって、細長い管腔部材は、細長い部材を通り延伸するスルールーメンを有し、細長い部材は、少なくとも1つのチューブ上のスパイン又は部材接触位置のサイズ及び形状に対応するチューブ受け取り機能を含み、少なくとも1つのチューブ上のスパイン又は部材接触位置はスパイン又は細長い部材のチューブ受け取り機能内に配置され、かつ、少なくとも1つのチューブのスパイン又は部材接触位置がスパイン又は細長い部材のチューブ受け取り位置内に保持されるようにスパインに沿って延伸する細長い管腔部材とを備えるカテーテルデバイスを本明細書に開示する。
【0037】
本発明のなおさらなる態様及び詳細は、以下に記載される詳細な説明及び例を読むと理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下の、詳細な説明及び例は、本明細書に記載の本発明の必ずしも全ての例又は実施形態ではないが、いくつかの例又は実施形態を非網羅的に説明する目的で提供され、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0039】
【
図1】血管内熱交換カテーテルを含む血管内温度管理システムを示す。
【0040】
【
図2】血管内熱交換カテーテルの一実施形態の側面図を示す。
【0041】
【
図2A】
図2の2A-2Aの線から見た断面図を示す。
【0042】
【
図3A】
図2における血管内熱交換カテーテルの実施形態の特定のコンポーネントを示す。具体的には、細長い部材の側面図である。
【
図3B】
図2における血管内熱交換カテーテルの実施形態の特定のコンポーネントを示す。具体的には、熱交換チューブの側面図である。
【
図3C】
図2における血管内熱交換カテーテルの実施形態の特定のコンポーネントを示す。具体的には、任意選択の、細長い管腔部材及び遠位先端部材の側面図である。
【0043】
【
図4A】
図2の血管内熱交換バルーンカテーテルの実施形態の遠位部分の組み立てに使用され得るプロセスの特定の段階を示す。具体的には、その上に細長い部材に取り付けられた遠位先端部材を示す。
【
図4B】
図2の血管内熱交換バルーンカテーテルの実施形態の遠位部分の組み立てに使用され得るプロセスの特定の段階を示す。具体的には、細長い部材上に取り付けられ熱交換チューブを示す。
【
図4C】
図2の血管内熱交換バルーンカテーテルの実施形態の遠位部分の組み立てに使用され得るプロセスの特定の段階を示す。具体的には、熱交換チューブに沿って細長い部材上に取り付けられた、任意選択の細長い管腔部材を示す。
【0044】
【
図5】本明細書に記載の血管内熱交換カテーテルのいずれにも用いられ得る再循環遠位先端部材の一実施形態の斜視図を示す。
【0045】
【
図5A】
図5の再循環遠位先端部材の遠位端の図を示す。
【0046】
【
図5B】
図5の再循環遠位先端部材の長手方向断面図であり、任意選択の細長い管腔部材が再循環遠位先端部材(点線で示す)に挿入されている。
【0047】
【
図6】血管内熱交換カテーテルの代替の実施形態における、遠位部分の側面図を示す。
【0048】
【
図7】
図2に示した、熱交換流体が、第1のループ状の熱交換チューブを通って遠位方向に圧送され、第2のループ状の熱交換チューブを通って近位方向に戻るタイプの、血管内熱交換カテーテルの実施形態の時間に対する電力と流量のグラフを示す。
【0049】
【
図8】
図6に示した、熱交換流体が、直線状流入ルーメンを通って遠位方向に圧送され、その後、ループ状の熱交換チューブの両方を通って近位方向に戻るタイプの、代替の血管内熱交換カテーテルの実施形態の時間に対する電力と流量のグラフを示す。
【0050】
【
図9】
図6に示した、熱交換流体が、ループ状の熱交換チューブの両方を通って遠位方向に圧送され、その後、単一の直線状還流ルーメンを通って近位方向に戻るタイプの、代替の血管内熱交換カテーテルの実施形態の時間に対する電力と流量の時間のグラフを示す。
【0051】
【
図10】湾曲(例えば、ループ状の)構成を有するチューブを作成する方法の段階を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下の詳細な説明及び参照する添付図面は、本発明の例又は実施形態の一部を説明することを意図しており、必ずしも全てを説明するものではない。記載した実施形態は、全ての点で例示的なものにすぎず、限定的なものではないとみなされるべきである。この詳細な説明及び添付図面の内容は、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0053】
出願人は、発明の名称が、「患者の体温を制御するための高効率熱交換カテーテル」と題する特許出願を同日付けで本願と共に出願しており、その全開示が、参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0054】
図1に、概して、制御コンソール10a及び血管内熱交換カテーテル10bを含む血管内温度管理システム10を示す。
図2及び
図2Aに、さらに、血管内熱交換カテーテル10bの詳細を示す。
【0055】
コンソール10aは、ハウジング3を備え、その中又はその上には、熱交換流体を交互に加熱又は冷却するための加熱/冷却装置32と、熱交換流体を圧送するためのポンプ34と、プログラム可能なコントローラ36とが配置されている。液晶ディスプレイ(LCD)などのユーザインタフェース38は、コントローラ36と通信している。本明細書にさらに詳細に説明されるように、ユーザインタフェースは、システム情報を表示し、また、ユーザ入力並びにセンサのデータも受信する。
【0056】
滅菌した0.9%NaCl溶液のバッグ又は容器などの熱交換流体4の供給源は、加熱器/冷却器32にチューブで接続されている。熱交換流体の排出ラインOL及び熱交換流体の流入ラインILの近位端もまた加熱器/冷却器32に接続されている。
【0057】
体温センサTSが、温度リードTLを経由して又は代替的に無線接続によってコントローラ36に接続されている。
【0058】
血管内熱交換カテーテル10bは、概して、近位カテーテル本体12及び血管内熱交換アセンブリ14を備えている。この特定の実施形態においては、近位カテーテル本体12は、流入ルーメン、排出ルーメン及び任意選択のスルールーメンの3個のルーメンを有している。熱交換アセンブリ14は、スパイン又は細長い部材40と、スパイン又は細長い部材40に配置されている少なくとも1つ熱交換部材30とを備えている。示すように、熱交換アセンブリ14は、近位カテーテル本体12に取り付けられ、そこから遠位に延伸している。患者の身体にカテーテルを導入するには、イントロデューサーシースを使用してもよい。代替的に、イントロデューサーシースを使用せずにカテーテルを導入してもよい。
【0059】
少なくともいくつかの実施形態においては、「細長い部材」という用語は、カテーテル本体から延伸し、かつ、その上に少なくとも1つの熱交換部材が配置されている部材、例えば、スパイン又は同様の構造を意味することがある。少なくともいくつかの実施形態においては、構造又は物理的性質の1又は複数の相違点に基づき、細長い部材40は、カテーテル本体12とは区別可能である。例えば、細長い部材40は、カテーテル本体に比べ、ある程度硬くてもよい。同様に、例えば、細長い部材40は、熱交換部材30を受け取るように構成される、受け取り機能46を備えていてもよい。
図3A及び
図4Aに見られるように、そのような受け取り機能46は、細長い部材の一方の側に形成された横断方向のノッチを備え、又は、代替的に、任意の他のクリップ、クランプ、クレードル、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ロケータマーク、ノッチ、溝、くぼみ、開口部、穴、貫通孔又は開口領域を備えていてもよく、その中又は上に熱交換部材30が、完全に又は部分的に配置され得る。いくつかの実施形態においては、細長い部材40は、中実又は実質的に中実な材料から形成されてもよく、及び/又は、細長い部材40を通って長手方向に延伸するルーメンを何も有さなくてもよい。いくつかの実施形態においては、細長い部材40は、細長い部材40を通って長手方向に延伸する1又は複数のルーメンを有していてもよい。特定の実施形態においては、細長い部材は、代替的に、カテーテル本体の連続部分、例えば、遠位部分を備え、その遠位部分の1又は複数の側に受け取り機能が形成されてよい。そのような受け取り機能は、例えば、クリップ、クランプ、クレードル、突出部、突起部、陥没部、切欠き、ノッチ、溝、くぼみなどを含む。
【0060】
示す特定の実施形態においては、細長い部材40は、受け取り機能46を有する概して細長いC字形状の部材を備え、
図3A及び
図4Aから理解され得るであろうが、受け取り機能46は、概してC字形状の部材の開側に沿って形成されて離間した横断方向のノッチ、凹部又は溝を有している。らせん状のループが、概してC字形状の細長い部材40の閉側の周囲に延伸するように、熱交換部材30をこれらの凹部、溝又はノッチタイプの受け取り機能46に挿入してもよい。接着剤又は他の適切な手段によって、熱交換部材30は、受け取り機能46に固定されてもよい。さらに、又は、代替的に、熱交換部材30を、凹部、溝又はノッチタイプの受け取り機能46内に収めかつ保持するために、概してC字形状の細長い部材40によって形成されている開側に沿って又はチャネル内に1又は複数の部材を固定してもよい。例えば、熱交換部材30を受け取り機能46に挿入した後に、プラスチックチューブなどの細長い管腔部材50を細長い部材40の開側に沿って取り付けることにより、受け取り機能46内に熱交換部材30を収め、細長い部材40に熱交換部材30を取り付け又は固定してもよい。これは、
図2A及び
図4Cにより理解されるであろう。受け取り機能の寸法は、熱交換能力を最大化し、かつ、カテーテルの外形を最適化させるべく、様々なサイズの熱交換部材を収容するように、異なっていてよい。開側を含む細長い部材の寸法は、カテーテルの外形を最適化すべく、様々なサイズを有する細長い管腔部材又はスルールーメンを収容するように、異なっていてよい。代替的に、任意の細長い部材が、概してC字形状以外の形状であってもよい。特定の実施形態においては、C字形状でないように細長い部材の開側が閉じられていてもよく、代わりに、細長い管腔部材が入るか又は挿入され得る際に通る一連の開口又は囲われたチャネルを含んでいる。
【0061】
以下に、より詳細に説明するように、任意選択の細長い管腔部材50のルーメンは、ガイドワイヤの通路、薬剤又は流体の注入、温度センサTSの挿入又は他の機能として使用可能なカテーテル10bのスルールーメンとして機能してもよい。
【0062】
特定の実施形態においては、細長い部材40は、成型されても、切り込みを入れられても、押し出されてもよい。特定の実施形態においては、細長い部材40は、近位カテーテル本体12に、任意の適切な手段によって、取り付けられていてもよい。この例においては、細長い部材40の近位延伸部44が、近位カテーテル本体12の遠位端に挿入され、その中に接着剤、クランプ又はファスナで固定される、及び/又は、プラスチックチューブ、紐又は他の結束方法又は材料(例えば、PET又は他のタイプのポリマー)でカテーテル本体に結束又は締結される。熱交換部材30は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、Pebax(登録商標)、ポリオレフィン、ポリウレタン及び/若しくはナイロンなどのコンプライアンス性のないポリマー材料、又は他の適切なコンプライアンス性のある若しくはコンプライアンス性のない材料から形成されている、第1及び第2のらせん状、渦巻き状又は曲線状の熱交換セグメント30a及び30bを備えていてもよい。セグメント30a及び30bは、外径がそれぞれ約16.6mmと11mm、及び肉厚が約0.0127mmで有り得る。しかし、適切な直径及び厚みは様々であってよい。例えば、いずれかの熱交換セグメントの直径は、2mmから19mmの範囲、かつ厚みは、0.0006mmから0.1mmの範囲であり得る。特定の実施形態においては、熱交換セグメントは、直径0.095インチ(2.41mm)及び肉厚み0.0005インチ(0.0127mm)を有するポリマー材料から形成されていてもよく、熱交換セグメントは、空の場合には、フレンチスケールで12以上のイントロデューサを貫通する大きさに折り畳み可能であり得、及び/又は、流体で満たされた場合には、熱交換セグメントは、直径およそ0.600インチ(およそ15.2mm)からおよそ0.700インチ(およそ17.8mm)の範囲を有する膨張した構造を取り得る。
【0063】
第1セグメント30aの近位端は、カテーテル本体12の流入ルーメンに接続されている。第2セグメント30bの近位端はカテーテル本体12の排出ルーメンに接続されている。熱交換部材30は、単一の連続した熱交換チューブを含んでいてもよい。代替的に、熱交換部材30は、1又は複数の熱交換チューブを含んでいてもよい。例えば、熱交換セグメント30a及び30bは、独立した熱交換チューブであってもよく、その遠位端は、接続部、例えば、接続チューブ、ルーメン又は他の接続要素、によって互いに接続されていてもよい。
【0064】
熱交換部材30の第1及び第2熱交換セグメント30a及び30bは、熱交換流体が、カテーテル本体12の流入ルーメンから、第1熱交換セグメント30aを通って遠位方向に、その後、第2熱交換セグメント30bを通って近位方向に、さらに、カテーテル本体12の排出ルーメンへと循環するように、細長い部材40上に配置されている。代替的に、他の実施形態においては、熱交換部材30は、再循環先端部材に接続されていてもよく、熱交換流体は、再循環先端部材を介して第1セグメント30aから第2セグメント30bへと循環する。そのような、再循環遠位先端部材60の1つの例を、
図5~
図5Bに示し、以下により詳細に記載する。代替的に、さらなる他の実施形態に、独立した熱交換チューブ30a、30bの遠位端は、熱交換流体が、第1チューブ30aから第2チューブ30bへと循環する際に通る再循環先端部材に接続されていてもよい。
【0065】
図1~
図3Cに示す非限定的な例においては、第1熱交換セグメント30a(又は、2つ以上の独立した熱交換チューブで形成されている場合には第1熱交換チューブ)は、等距離に離間している第1の十分に膨張した直径のらせん状のループを有し、かつ、第2熱交換セグメント30b(又は、2つ以上の独立した熱交換チューブで形成されている場合には第2熱交換チューブ)は、等距離離間している第2の十分に膨張した直径のらせん状のループを有している。第2の十分に膨張した直径は、第1の十分に膨張した直径より小さい。他の実施形態において、第1の十分に膨張した直径は、第2の十分に膨張した直径より小さくてもよく、又は、第1及び第2の十分に膨張した直径の大きさは同一でもよい。
【0066】
ループの数及び直径は、患者の身体の大きさ、カテーテルを挿入する血管のサイズ及び意図する手順のために必要な熱交換能力などの、様々な要因によって異なっていてもよい。
図2及び
図3Bに見られる非限定的な例において、熱交換部材は合計54のループを有し、第1熱交換セグメント30aのより大きいループは十分に膨張した直径が16.6mmで、かつ、第2熱交換セグメント30bのより小さいループは十分に膨張した直径が11mmである。この例においてもまた、熱交換セグメント30a、30bのループは、細長い部材40上の受け取り機能46内に位置している。そのような配置により、ループは、第1熱交換セグメント30aの大きいループが、第2熱交換セグメント30bのより小さいループと交互にならんで等距離又は実質的に等距離に一列に整列することになる。細長い部材40の受け取り機能46は具体的には、製造中に、それぞれのループを適切な配置に導くように細長い部材内に設置されていてもよく、それにより、ループは、隣接するループとの間に意図する間隔を有した意図した位置に確実に配置される。特定の実施形態においては、ループの数は、44から54個のループの範囲であってもよい。ハブ16が、近位カテーテル本体12の近位端PEに取り付けられている。ハブ16は、カテーテル本体12の流入ルーメンに接続されている流入コネクタ18と、近位カテーテル本体12の排出ルーメンに接続されている排出コネクタ20と、近位カテーテル本体12の任意選択のスルールーメンに接続されているスルールーメンコネクタ22とを有している。
【0067】
流入ラインILは、加熱器/冷却器32からカテーテルの流入コネクタ18へと延伸している。排出ラインOLは、カテーテルの排出コネクタ20から加熱器/冷却器32へと延伸している。予定した体温を感知するために、温度センサTSを備えている1又は複数の温度リードTLを被検体の身体の上又は中の任意の適切な位置に、配置してもよい。温度センサTSを備えている1又は複数の温度リードTLは、ルーメンコネクタ22及びカテーテル10bを通って挿入されていてもよい。温度リードTLは、温度センサTSをコントローラ36に接続するように機能している。温度リードTLの代わりに、代替的に無線接続を用いてもよい。実施形態によっては、
図1に示すように、温度センサTSをカテーテル10aを通して挿入する必要はないが、むしろ、コントローラ36に、被検体の現在の体温のリアルタイムでのフィードバックを提供するために、被検体の身体の上又は中の任意の他の適切な位置に1又は複数の体温センサTSを配置してもよい。実施形態によっては、カテーテルを通して温度センサTSを挿入してもよく、被検体の身体の上又は中の任意の他の適切な位置に第2TSを配置してもよい。
【0068】
図3A~
図3Cに、カテーテル10bの血管内熱交換アセンブリ14の特定のコンポーネントの分解図を示す。具体的に、
図3Aは、細長い部材40の側面図である。
図3Bは、上述のように、第1熱交換セグメント30a及び第2熱交換セグメント30bを含む熱交換部材30の側面図である。
図3Cは、任意選択の細長い管腔部材50及び任意選択の遠位先端部材24の側面図である。
【0069】
図4A~
図4Cに、カテーテル10bの熱交換アセンブリ14を組み立てるために用い得るプロセスの特定の段階を示す。熱交換部材をループ構成にした後に、
図4Bに示すように、細長い部材40の受け取り機能46に、ループ上の細長い部材の接触位置を挿入する。それぞれの受け取り機能46内にそれぞれのループを固定するために接着剤を適用してもよい。その後、任意選択の細長い管腔部材50を使用する場合には、
図4Aに詳細に示すように、任意選択で、細長い部材40の遠位端に取り付けられていてもよい遠位先端部材24を通って長手方向に延伸する任意選択の穴に細長い管腔部材50のルーメンが、位置合わせされるように、細長い管腔部材50の遠位端52を細長い部材40の遠位構造42に挿入する。次に、
図4C並びに
図2Aの断面図に見られるように、細長い管腔部材50の全長は、概してC字形状の細長い部材40の開側に対して、接着剤、クランプ又はファスナによってはめ込む、設置する及び/又は取り付けられる、及び/又は、プラスチックチューブ、紐又は他の結束方法又は材料(例えば、PET又は他のタイプのポリマー)によって結束又は締結される。
【0070】
熱交換アセンブリ14を組み立てた後に、熱交換部材30の近位端を近位カテーテル本体12の流入及び排出ルーメン内に挿入し固定する。任意選択の細長い管腔部材50の近位端52も、存在する場合には、近位カテーテル本体12の任意選択のスルールーメン内に挿入し固定する。さらに、細長い部材40の近位延伸部44を近位カテーテル本体12内に挿入し固定する。
【0071】
図5~5Bに、本明細書に記載する熱交換カテーテルの特定の実施形態、又は、他のタイプ再循環流体カテーテルに用い得る、任意選択の再循環先端部材60の一実施形態を示す。この再循環遠位先端部材60は、概して、弾丸形状又は先端が尖っていない円筒構造を有し、中空内部キャビティ62を備えている。再循環先端部材60の近位端上に流入コネクタ64及び排出コネクタ66が形成されている。上述したカテーテル10bの端にこの再循環遠位先端部材60を取り付ける場合、コネクタ32を経由するため、熱交換チューブ30aの遠位端は、直接、熱交換チューブ30bの遠位端に、接続されない。どちらかといえば、熱交換チューブ30aの遠位端は、流入コネクタ64に接続され、熱交換チューブ30bの遠位端は排出コネクタ66に接続される。このようにして、熱交換流体は、熱交換チューブ30aの遠位端から、流入コネクタ64と、遠位先端部材60の中空内部キャビティ62と、排出コネクタ66とを通り、熱交換チューブ30bの遠位端へと流れる。任意選択の細長い管腔部材50を含んでいるカテーテルの場合には、再循環先端部材60は、任意選択の近位及び遠位開口部68、70を有するであろう。
図5Bに見られるように、細長い管腔部材50の遠位部分又は延伸部は、近位開口68を通って挿入され、内部キャビティ62を通って進み、さらに遠位開口部70に気密に取り付けられる。このようにして、細長い管腔部材50のルーメンは、遠位先端部材60の内部キャビティ62から流体的に分離され、熱交換流体が、細長い管腔部材50のルーメンの内部に入ったり漏れたりせずに、内部キャビティ62を通り、細長い管腔部材50の外面を周って循環できる。再循環先端部材60は、複数部品又は単一部品構成であってもよく、いずれも、X線不透過性材料を含む、任意の適切な材料から形成されてよい。再循環先端部材60を形成し得る材料の例としては、アルミニウム、90%/10%白金-イリジウム合金及び/又はセラミックが含まれる。特定の実施形態において、ルーメンは、近位開口68から、内部キャビティ62を通って、遠位開口部70まで延伸してもよく、細長い管腔部材がルーメンの中を通って延伸し得、熱交換流体が、ルーメンの内部に入ったり漏れたりせずに、内部キャビティ62を通り、ルーメンの外面を周って循環し得るように、遠位先端部材60の内部キャビティ62から流体的に分離されているルーメンを提供する。
【0072】
図6に、熱交換カテーテル10cの代替の実施形態を示す。この実施形態においては、細長い管腔部材50のルーメンは、カテーテルの遠位端の近傍で終端し、熱交換チューブ30a、30bの遠位端に接続されている。矢印で示すように、熱交換流体は、細長い管腔部材50のルーメンを通って遠位方向へ、その後、熱交換チューブ30a及び30bの両方を通って近位方向へと循環し得る。結果として、事実上、熱交換流体は、単一の直線状ルーメンを通る遠位方向に向け流入し、引き続き、熱交換流体は、ループ状の熱交換チューブの両方を通って排出(還流)される。冷却されている又は温められている熱交換流体が熱交換チューブ30a、30bの遠位端に供給されるに従い、細長い管腔部材を断熱して熱の利得又は損失を最小化してもよい。この例では、2つのループ状排出ルーメンを有する単一の流入ルーメンを示しているが、あらゆる数の流入及び排出ルーメンを用いてもよいことが理解されよう。任意選択で、細長い管腔部材は、1又は複数のルーメンを有していてもよい。例えば、1又は複数のルーメンは、ガイドワイヤの通路、薬剤又は流体の注入、温度センサTSの挿入又は他の機能として使用可能なスルールーメンとして機能してもよい。
【0073】
代替的に、
図6を参照して、流れの方向を逆にし、熱交換流体が、ループ状の熱交換チューブ30a、30bを通って遠位方向へと循環し、その後、細長い管腔部材50のルーメンを通って近位方向に戻るようにしてもよい。任意選択で、本明細書に記載するいかなる熱交換カテーテルの実施形態も再循環先端部材60を含み得る。
【0074】
使用される、流入及び排出ルーメンの数及び構成は、熱交換流体の流速及びカテーテルの熱交換能力に影響を与える。
図7から
図9に、熱交換を測定する目的としたIVC流及び温度を表すベンチトップ卓の実験モデルによる本開示のいくつか異なるカテーテル構成の時間に対するカテーテル出力及び流速のグラフ表現を示す。この水に基づくモデルでは、カテーテルは、マニホールド(16)までシリンダ内にセットされている。37℃の水を、シリンダ内で、マニホールド(16)からバルーン(14)の方向に2.5L/分の流量で循環させる。カテーテルには、2つのサーミスタが取り付けられている。一方は出口(20)、そして、一方は入口(18)ルアーに取り付けられている。カテーテルのルアーに、60psi(およそ413kPa)の圧力及び生理食塩水を4℃未満の流体で提供可能なコンソールを接続する。カテーテル流の出口側に、流量計を取り付ける。
図7に、熱交換部材30は合計54ループを有し、熱交換流体は、より大きいループが形成されている第1熱交換セグメント30aを通って遠位方向に圧送され、より小さいループが形成されている第2熱交換セグメント30bを通って近位方向に戻る、
図2に示した、熱交換カテーテル10bの第1の実施形態の時間に対する電力と流量を示す。
【0075】
カテーテルの出口に配置した流量計により流速を測定する。電力は、以下の公式、電力=0.0697(ΔΤ*Flow)により、計算する。ここで、温度Tは摂氏、FlowはmL/分で示す。
【0076】
図7に見られるように、カテーテル10bの第1の実施形態では、750と800ワットとの間の電力をおよそ580mL/分の実質的に一定の流速で絶えず供給する。
【0077】
図8は、ループ状の熱交換チューブ30a、30bが合計44のループを有し、熱交換流体が、その中を、細長い管腔部材50のルーメンを通って遠位方向へと循環し、その後、ループ状の熱交換チューブ30a、30bの両方を通って近位方向に戻る
図6に示すタイプの、血管内熱交換カテーテル10cの代替の実施形態における時間に対する電力と流量のグラフである。
【0078】
図8に見られるように、この実施形態では、およそ715~720mL/分の実質的に一定の流速で、電力をおよそ740ワットからおよそ780ワットまでを徐々に増加させて供給する。
【0079】
図9は、ループ状の熱交換チューブ30a、30bが合計約44のループを有し、その中を熱交換流体が、ループ状の熱交換チューブ30a、30bの両方を通って遠位方向へと循環し、その後、細長い管腔部材50のルーメンを通って近位方向に戻る、
図6に示すタイプの、血管内熱交換カテーテル10cの代替の実施形態における時間に対する電力と流量のグラフである。他の実施形態においては、ループの数は20から60までであってもよい。
【0080】
図9に見られるように、この実施形態は、およそ830mL/分とおよそ860mL/分の間で変化する流速で、およそ900ワットとおよそ925ワットの間で変化するカテーテル出力を提供する。
【0081】
図10は、熱交換部材30内に望ましいループを形成する例示的方法の段階を示すフロー図である。この方法では、熱交換部材30やそれを通って延伸するルーメンを有する任意の他のチューブや加工材料に望ましいループ構成を付与するために、ニッケルチタン(ニチノール)ワイヤのセグメントなどの形状記憶形成部材を使用する。初めに、形成部材が、ループ形状でない初期構成である間(例えば、実質的に直線状)に、形成部材上に、ループを形成する熱交換部材、チューブ又は他の加工材料を前進させる。その後、形成部材を、初期構成から望ましいループ構成へと遷移させることで、熱交換部材、チューブ又は他の加工材料にもそのようなループ構成を帯びるようにする。その後、熱交換部材、チューブ又は他の加工材料をループ構成に維持したまま、形成部材から部材、チューブ又は他の加工材料を取り外す。このようにして、熱交換部材30及び/又はチューブ30a及び30b又は他のチューブ又は管腔加工材料に、望ましい数、サイズ、形状及び間隔のループを形成し得る。実施形態によっては、形成部材は、形状記憶ニッケル-チタン合金又は他の材料から形成させてもよく、形成部材を第1構成から望ましい第2構成へ遷移させる段階は、形成部材の温度を変化させることにより形成部材を第1形状から第2形状へと遷移させる段階を実現させてもよい。この方法を用いて、本開示のカテーテルの熱交換部材30又はチューブ30a、30bに望ましいループ構成を誘起させる用途の場合は、形成部材は、例えば、約4~10℃、又は、20℃未満及び/又は35℃より高い形状記憶遷移温度を有する、重量で50/50のチタンとニッケルのニチノールから形成したニッケル-チタン合金ワイヤを含みうる。代替の実施形態においては、形状記憶形成部材が、チューブの形状であってもよい。チューブは、熱交換部材が挿入されるであろうルーメンを有している。このチューブ状の形状記憶形成部材は、直線状とループ構成の間で遷移するであろうことにより、熱交換部材内に望ましいループ構成を付与する。
【0082】
特定の例においては、本明細書に記載する1又は複数のカテーテル又はカテーテルコンポーネントは、PEBAX及びPETなどの材料を用いて構成してもよい。例えば、カテーテル本体、細長い部材又はスパイン、及び/又は熱交換部材を、PEBAX及びPETなどの材料を用いて構成してもよい。任意選択で、カテーテルは、テブラ―(Tevlar)、テドラー(登録商標)(Tedlar(登録商標))(フッ化ポリビニル、デュポン社、米国デラウェア州ウィルミントン(E.I.Dupont,Wilmington,Delaware,USA)、液晶ポリマー、PEEK、又は他の非鉄高温リマーなどの、非鉄又はMRIと互換性のある材料、を含んでいてもよく、又、それらの材料により強化されていてもよい。 これらの材料を使用して、ブレード又はコイル状の補強材をカテーテル内に形成してもよい。
【0083】
本明細書に記載する熱交換カテーテルは、既存の熱交換カテーテルに比べ、多くの優れる点を提供する。例えば、熱交換アセンブリ14を被検体の血管系内の目的位置まで前進させるために必要な剛性又はカラム強度を、細長い部材又はスパイン40は提供し得る。延伸させたガイドワイヤルーメン又は他の部材の周囲にバルーンを結び付けるのに比べて、カテーテル10bの製造が、細長い部材40によってより容易になり得る。熱交換部材、熱交換部材のそれぞれのループ、チューブ又はバルーンを所定の位置に保持するチューブ又はバルーンを受け取り、ループ間の間隔を維持する、歯/溝又は他の受け取り機能と共に細長い部材を射出成型してもよい。これは、多くののループを有するループ状の供給及び還流ルーメンを含む、熱交換部材、チューブ又はバルーンで作業をする場合に特に有益かもしれない。細長い部材40によって、収縮したときに、熱交換アセンブリ14が、比較的小さな断面形状(例えば、フレンチスケールで、2~16、10~14又は12)を有するようにできる。また、細長い部材40の受け取り機能46が、ループの間隔を維持しているので、血管内での熱交換部材30の閉塞性が低くなる。これにより、熱交換部材がカテーテル本体の周囲に巻きつけられるか、又は、熱交換部材の隣接するループが等間隔に配置されていないより閉塞的なカテーテル構成に比べて、バルーンの中及び周囲を通る血流がより良くなり、血栓形成のリスクは、低くなる。本明細書に記載する熱交換カテーテル、システム及び方法は、高効率熱交換及び患者の体温を迅速に上昇させたり、低下させたりする能力を提供し得る。
【0084】
本発明は、本発明の特定の例又は実施形態を参照して上に記載しているが、記載されている例及び実施形態に対して、発明の意図する思想及び範囲を逸脱することなく、様々な追加、削除、変更及び修正し得ることを理解されよう。例えば、1つの実施形態又は例の、いかなる、要素、段階、部材、コンポーネント、組成、反応物、部品、又は部分は、他に規定しない限り、又は、その実施形態又は例がその意図する用途に適さない場合を除いて、他の実施形態又は例に組み込まれるか、又は、共に使用され得る。方法又はプロセスの段階を特定の順序で記載又は示している場合においても、他に規定しない限り、又は、その方法又はプロセスがその意図する目的に適さない場合を除いて、前述の段階の順序が変更され得る。さらに、本明細書に記載するいかなる発明又は例の、要素、段階、部材、コンポーネント、組成、反応物、部品又は一部は、任意の他の要素、段階、部材、コンポーネント、組成、反応物、パーツ又は一部が存在しないか、実質的に存在しない場合でも、特に明記しない限りは任意選択で存在し得るか、又は用い得る。全ての合理的な追加、削除、修正及び変更は、記載されている例及び実施形態と均等とみなされ、以下の特許請求の範囲内に含まれる。