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特許7136424並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20220906BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 B
H02J7/00 S
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021541193
(86)(22)【出願日】2020-10-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-08
(86)【国際出願番号】 KR2020014113
(87)【国際公開番号】W WO2021080247
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0131695
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カン、ス-ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ハン-ソル
(72)【発明者】
【氏名】リー、ブン-ヒー
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン-キ
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-286068(JP,A)
【文献】特開平10-341535(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列リンクノードを通じて並列で接続される第1バッテリーパック~第nバッテリーパック(nは自然数)に含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置において、
第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられた第1スイッチ部~第nスイッチ部と、
第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられたスイッチ部と接続されて該当スイッチ部を通じて流れる電流を測定する第1電流センサ~第n電流センサと、
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ接続されて該当スイッチ部の両端電圧を測定する第1電圧センサ~第n電圧センサと、
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部、前記第1電流センサ~第n電流センサ及び前記第1電圧センサ~第n電圧センサと動作可能に接続された制御ユニットと、を含み、
前記制御ユニットは、
並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部を予め設定された順番でターンオンさせて前記第1バッテリーパック~第nバッテリーパックを並列で接続させ、
第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部に接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、前記第k番目のスイッチ部をターンオンさせ、続いて第k番目のスイッチ部と接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算し、
前記並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定する、並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置。
【請求項2】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部のそれぞれは高電位スイッチ及び低電位スイッチを含み、
前記制御ユニットは、前記第k番目のスイッチ部をターンオンさせる前に、前記第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチに接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、前記第k番目のスイッチ部をターンオンさせる、請求項1に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチと接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、前記スイッチ電圧値と前記スイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算する、請求項2に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置。
【請求項4】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部に対するスイッチ電圧値、スイッチ電流値、及び前記第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値が記録される保存ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を前記保存ユニットから参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置。
【請求項5】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチに対するスイッチ電圧値、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値、及び前記第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値が記録される保存ユニットをさらに含み、
前記制御ユニットは、前記並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に前記第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定する、請求項1から3のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置。
【請求項6】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部は、リレースイッチである、請求項1から5のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置を含むバッテリー管理システム。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置を含む電気駆動装置。
【請求項9】
並列リンクノードを通じて並列で接続される第1バッテリーパック~第nバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法において、
(a)第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられた第1スイッチ部~第nスイッチ部、第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられたスイッチ部と接続されて該当スイッチ部を通じて流れる電流を測定する第1電流センサ~第n電流センサ、及び前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ接続されて該当スイッチ部の両端電圧を測定する第1電圧センサ~第n電圧センサを提供する段階と、
(b)並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部を予め設定された順番でターンオンさせて前記第1バッテリーパック~第nバッテリーパックを並列で接続させ、第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部に接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、前記第k番目のスイッチ部をターンオンさせ、続いて第k番目のスイッチ部と接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算して保存する段階と、を含み、
前記並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定する、並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法。
【請求項10】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部のそれぞれは高電位スイッチ及び低電位スイッチを含み、
前記(b)段階において、前記第k番目のスイッチ部をターンオンさせる前に、前記第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチに接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、前記第k番目のスイッチ部をターンオンさせる、請求項9に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法。
【請求項11】
前記(b)段階において、前記第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチと接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算する、請求項10に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法。
【請求項12】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部に対するスイッチ電圧値、スイッチ電流値、及び前記第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値を保存する段階をさらに含み、
前記(b)段階において、前記並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記保存された前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に前記第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定する、請求項9から11のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法。
【請求項13】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチに対するスイッチ電圧値、前記第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値、及び前記第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値を保存する段階をさらに含み、
前記(b)段階において、前記並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、前記保存された第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に前記第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定する、請求項9から11のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法。
【請求項14】
前記第1スイッチ部~第nスイッチ部は、リレースイッチである、請求項9から13のいずれか一項に記載の並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ部のターンオン動作制御装置及び方法に関し、より詳しくは、複数のバッテリーパックを並列で接続した並列マルチバッテリーパックにおいて各バッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオンの順番を制御する装置及び方法に関する。
【0002】
本出願は、2019年10月22日出願の韓国特許出願第10-2019-0131695号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
バッテリーは、携帯電話、ラップトップパソコン、スマートフォン、スマートパッドなどのモバイルデバイスだけでなく、電気で駆動される自動車(EV、HEV、PHEV)や大容量電力貯蔵装置(ESS)などの分野にまでその用途が急速に広がっている。
【0004】
電気自動車に搭載されるバッテリーシステムは、高いエネルギー容量を確保するため、並列で接続された複数のバッテリーパックを含み、それぞれのバッテリーパックは直列で接続された複数のバッテリーセルを含む。以下、並列で接続された複数のバッテリーパックを並列マルチバッテリーパックと称する。
【0005】
本明細書において、バッテリーセルは一つの単位セルまたは並列で接続された複数の単位セルを含み得る。単位セルとは、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例として、一つのパウチ型リチウムポリマーセルを単位セルとして見なし得る。
【0006】
並列マルチバッテリーパックが充電または放電するときは、すべてのバッテリーパックが充電または放電するか、若しくは、一部のバッテリーパックのみが充電または放電し得る。一部のバッテリーパックが充電または放電する場合としては、特定のバッテリーパックで故障が生じた場合、パックバランシングのために一部のバッテリーパックのみを充電または放電する場合、または、求められる放電電力または充電電力が小さくて全体バッテリーパックを動作させる必要がない場合などが挙げられる。
【0007】
このような選択的な放電または充電を制御するため、並列マルチバッテリーパックを構成する各バッテリーパックは内部にスイッチ部を備える。スイッチ部は、バッテリーパックを負荷または充電器に接続するか又は接続を解除する機能をする。
【0008】
並列マルチバッテリーパックに含まれたバッテリーパックが同時に充電または放電する間は、各バッテリーパックの外部端子に印加される電圧がすべて同一である。
【0009】
しかし、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が中断されて無負荷状態になれば、各バッテリーパックの電圧が平衡状態電圧に安定化する。平衡状態電圧はバッテリーパックの退化度や充電状態によって異なるため、無負荷状態が所定時間続くと、バッテリーパック同士の電圧にバラツキが生じる。
【0010】
一方、無負荷状態が所定時間維持された後、並列マルチバッテリーパックが負荷または充電器に再び接続されるときは、まず、各バッテリーパックに含まれたスイッチ部がターンオン状態に制御され、複数のバッテリーパックが並列接続状態になる。この状態で、並列マルチバッテリーパックの外部スイッチ部がターンオンされれば、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される。
【0011】
一方、外部スイッチ部をターンオンする前に複数のバッテリーパックを並列で接続すれば、電圧が相対的に高いバッテリーパックから電圧が相対的に低いバッテリーパック側へと短時間に電流が流れる。このように複数のバッテリーパックが並列で接続される過程でバッテリーパック同士の間で流れる電流を突入電流(inrush current)と称する。
【0012】
突入電流は、短時間に流れ、大電流であるため、スイッチ部を損傷させる原因になる。特に、スイッチ部がリレースイッチのような機械式スイッチからなる場合、突入電流は接点の間でスパークを起こして接点にショート故障またはオープン故障を引き起こす。
【0013】
ショート故障は接点が融解して互いに固着した場合に生じ、オープン故障は接点が融解しながら完全に分離してターンオン状態でも接触できない場合に生じる。また、ショート故障やオープン故障が生じなくても、突入電流によってスイッチ部に加えられた損傷が累積されると、接点間の抵抗を増加させてスイッチ部の発熱を引き起こす。
【0014】
並列マルチバッテリーパックにおいて、突入電流の発生は避けられない現象である。バッテリーパック間の充電状態が完璧にバランシングされない限り、無負荷状態が維持される間にバッテリーパック同士の電圧が変わるためである。また、スイッチ部のターンオン時点が完全に一致しないことも重要な原因の一つである。したがって、並列接続が後で行われるバッテリーパックと既に並列接続が行われたバッテリーパックとの間に電圧差が存在すれば、後で並列接続されるバッテリーパックに突入電流が流れ込むか又は突入電流が該当バッテリーパックから流れ出る。
【0015】
したがって、バッテリーパック同士の充電状態をバランシングすることとは別に、突入電流によって生じるスイッチ部の故障や劣化を緩和できる技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記のような従来技術の背景下で創案されたものであり、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に複数のバッテリーパックが並列で接続される過程で、バッテリーパック同士の間で流れる突入電流によるスイッチ部の損傷を緩和できるように、スイッチ部のターンオンの順番を最適に制御することができる装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の技術的課題を達成するため、本発明による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置は、並列リンクノードを通じて並列で接続される第1バッテリーパック~第nバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作を制御する装置である。
【0018】
望ましくは、本発明による制御装置は、第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられた第1スイッチ部~第nスイッチ部と、第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられたスイッチ部と接続されて該当スイッチ部を通じて流れる電流を測定する第1電流センサ~第n電流センサと、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ接続されて該当スイッチ部の両端電圧を測定する第1電圧センサ~第n電圧センサと、第1スイッチ部~第nスイッチ部、第1電流センサ~第n電流センサ及び第1電圧センサ~第n電圧センサと動作可能に接続された制御ユニットと、を含む。
【0019】
望ましくは、制御ユニットは、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、第1スイッチ部~第nスイッチ部を予め設定された順番でターンオンさせて第1バッテリーパック~第nバッテリーパックを並列で接続させ、ここで、第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部に接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、第k番目のスイッチ部をターンオンさせ、続いて第k番目のスイッチ部と接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算するように構成され得る。
【0020】
望ましくは、制御ユニットは、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定するように構成され得る。
【0021】
本発明において、第1スイッチ部~第nスイッチ部のそれぞれは高電位スイッチ及び低電位スイッチを含み得る。
【0022】
この場合、制御ユニットは、第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチに接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、第k番目のスイッチ部をターンオンさせるように構成され得る。
【0023】
また、制御ユニットは、第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチと接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算するように構成され得る。
【0024】
一態様によれば、本発明による制御装置は、第1スイッチ部~第nスイッチ部に対するスイッチ電圧値、スイッチ電流値、及び第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値が記録される保存ユニットをさらに含み得る。
【0025】
他の態様によれば、本発明による制御装置は、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチに対するスイッチ電圧値、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値、及び第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値が記録される保存ユニットをさらに含み得る。
【0026】
望ましくは、制御ユニットは、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を保存ユニットから参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定するように構成され得る。
【0027】
望ましくは、第1スイッチ部~第nスイッチ部は、リレースイッチであり得る。
【0028】
本発明の技術的課題は、並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置を含むバッテリー管理システムまたは電気駆動装置によって達成され得る。
【0029】
上記の技術的課題を達成するため、本発明による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法は、並列リンクノードを通じて並列で接続される第1バッテリーパック~第nバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作を制御する方法である。
【0030】
望ましくは、本発明による方法は、(a)第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられた第1スイッチ部~第nスイッチ部、第1バッテリーパック~第nバッテリーパックの電力ラインにそれぞれ設けられたスイッチ部と接続されて該当スイッチ部を通じて流れる電流を測定する第1電流センサ~第n電流センサ、及び第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ接続されて該当スイッチ部の両端電圧を測定する第1電圧センサ~第n電圧センサを提供する段階と、(b)並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、第1スイッチ部~第nスイッチ部を予め設定された順番でターンオンさせて第1バッテリーパック~第nバッテリーパックを並列で接続させ、ここで、第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部に接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、第k番目のスイッチ部をターンオンさせ、続いて第k番目のスイッチ部と接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算して保存する段階と、を含む。
【0031】
望ましくは、本発明による方法は、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定し得る。
【0032】
望ましくは、第1スイッチ部~第nスイッチ部のそれぞれは、高電位スイッチ及び低電位スイッチを含み得る。
【0033】
この場合、(b)段階において、第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチに接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けた後、第k番目のスイッチ部をターンオンさせ得る。
【0034】
また、(b)段階において、第k番目のスイッチ部に含まれた高電位スイッチと接続された電流センサからスイッチ電流値の入力を受け、スイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部で消費されたワットエネルギー値を積算し得る。
【0035】
一態様において、本発明による方法は、第1スイッチ部~第nスイッチ部に対するスイッチ電圧値、スイッチ電流値、及び第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値を保存する段階をさらに含み得る。
【0036】
他の態様において、本発明による方法は、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチに対するスイッチ電圧値、第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ含まれた高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値、及び第1スイッチ部~第nスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値を保存する段階をさらに含み得る。
【0037】
本発明によれば、(b)段階において、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に、保存された第1スイッチ部~第nスイッチ部にそれぞれ対応するワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が大きいスイッチ部から降順に第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオンの順番を決定し得る。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、並列マルチバッテリーパックを構成するバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオンの順番を最適に制御することで、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に複数のバッテリーパックが並列で接続される過程で、突入電流によって生じるスイッチ部の損傷を最小化することができる。したがって、スイッチ部の寿命を延長させてスイッチ部の故障による交換費用を節減することができる。
【0039】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施形態を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであるため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置を示したブロック図である。
図2】並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に複数のバッテリーパックが並列で接続される過程で、並列接続時点によって突入電流の大きさが変わることを説明するための図である。
図3】並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に複数のバッテリーパックが並列で接続される過程で、並列接続時点によって突入電流の大きさが変わることを説明するための図である。
図4】本発明の一実施形態による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法を示したフロー図である。
図5】本発明の一実施形態による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法を示したフロー図である。
図6】本発明の一実施形態によって、5個のバッテリーパックが並列で接続された並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部がターンオン制御されるとき、第pサイクル、第p+10サイクル及び第p+20サイクルの並列接続時点を基準にして各バッテリーパックに含まれたスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値を示した表である。
図7】本発明の一実施形態によるスイッチ部のターンオン動作制御装置を含むバッテリー管理システムのブロック図である。
図8】本発明の一実施形態によるスイッチ部のターンオン動作制御装置を含む電気駆動装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び請求範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0042】
後述する実施形態において、バッテリーセルとはリチウム二次電池を意味する。ここで、リチウム二次電池は、充電及び放電中にリチウムイオンが作動イオンとして作用し、正極及び負極で電気化学的反応を引き起こす二次電池を総称する。
【0043】
一方、リチウム二次電池に使われた電解質や分離膜の種類、二次電池の包装に使われた包装材の種類、リチウム二次電池の内部または外部の構造などによって二次電池の名称が変わっても、リチウムイオンが作動イオンとして使われる二次電池であれば、すべてリチウム二次電池の範疇に含まれると解釈しなければならない。
【0044】
本発明は、リチウム二次電池の外の他の二次電池にも適用可能である。したがって、作動イオンがリチウムイオンではなくても本発明の技術的思想が適用可能な二次電池であれば、その種類に関係なく本発明の範疇に含まれると解釈しなければならない。
【0045】
また、バッテリーセルは、一つの単位セルまたは並列で接続された複数の単位セルであり得る。
【0046】
図1は、本発明の一実施形態による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置の構成を示したブロック図である。
【0047】
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるスイッチ部のターンオン動作制御装置10は、並列リンクノードNを通じた第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnの並列接続に使われる第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオン動作を制御する装置である。
【0048】
以下、並列マルチバッテリーパックMPは、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snを通じて並列で接続される第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnを含むバッテリーモジュールと定義する。
【0049】
並列マルチバッテリーパックMPは、外部スイッチ部Mを通じて負荷Lと接続され得る。外部スイッチ部Mは、外部高電位スイッチM+及び外部低電位スイッチM-を含む。外部高電位スイッチM+及び外部低電位スイッチM-はリレースイッチであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0050】
負荷Lは、並列マルチバッテリーパックMPから電力の供給を受ける装置であって、一例として電気自動車に含まれたインバータであり得る。インバータは、電気自動車の電気モーターの前段に設けられ、並列マルチバッテリーパックMPから供給される直流電流を三相交流電流に変換して電気モーターに供給する電力変換回路である。負荷Lの種類はインバータに限定されず、並列マルチバッテリーパックMPから電力が供給可能な装置またはデバイスであれば、その種類に関係なく負荷Lの範疇に含まれ得る。また、並列マルチバッテリーパックMPは、負荷Lの他に、充電器にも接続可能であることは自明である。
【0051】
外部高電位スイッチM+と外部低電位スイッチM-がターンオンされれば、並列マルチバッテリーパックMPは負荷Lに電気的に接続される。逆に、外部高電位スイッチM+と外部低電位スイッチM-がターンオフされれば、並列マルチバッテリーパックMPと負荷Lとの電気的接続は解除される。
【0052】
第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnのそれぞれは、内部に直列で接続された複数のバッテリーセルを含む。すなわち、第1バッテリーパックP1は、直列で接続された第1バッテリーセルC11~第pバッテリーセルC1pを含む。また、第2バッテリーパックP2は、直列で接続された第1バッテリーセルC21~第pバッテリーセルC2pを含む。また、第3バッテリーパックP3は、直列で接続された第1バッテリーセルC31~第pバッテリーセルC3pを含む。また、第nバッテリーパックPnは、直列で接続された第1バッテリーセルCn1~第pバッテリーセルCnpを含む。図示されていない第4バッテリーパック~第n-1バッテリーパックも、図示されたバッテリーパックと同様に直列で接続されたp個のバッテリーセルを含んでいる。
【0053】
第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnは、それぞれ、内部にスイッチ部(S1~Sn)を含む。すなわち、第1バッテリーパックP1は第1スイッチ部S1を含む。また、第2バッテリーパックP2は第2スイッチ部S2を含む。また、第3バッテリーパックP3は第3スイッチ部S3を含む。また、第nバッテリーパックPnは第nスイッチ部Snを含む。図示されていない第4バッテリーパック~第n-1バッテリーパックも、図示されたバッテリーパックと同様にスイッチ部を含んでいる。
【0054】
第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snは、それぞれ、低電位スイッチ及び高電位スイッチを含む。すなわち、第1スイッチ部S1は、第1バッテリーパックP1の高電位側に設けられた第1高電位スイッチS1及び第1バッテリーパックP1の低電位側に設けられた第1低電位スイッチS1を含む。また、第2スイッチ部S2は、第2バッテリーパックP2の高電位側に設けられた第2高電位スイッチS2及び第2バッテリーパックP2の低電位側に設けられた第2低電位スイッチS2を含む。また、第3スイッチ部S3は、第3バッテリーパックP3の高電位側に設けられた第3高電位スイッチS3及び第3バッテリーパックP3の低電位側に設けられた第3低電位スイッチS3を含む。また、第nスイッチ部Snは、第nバッテリーパックPnの高電位側に設けられた第n高電位スイッチSn及び第nバッテリーパックPnの低電位側に設けられた第n低電位スイッチSnを含む。一方、図示されていない第4バッテリーパック~第n-1バッテリーパックも、図示されたバッテリーパックと同様に高電位スイッチ及び低電位スイッチを含んでいる。また、各スイッチ部において、高電位スイッチ及び低電位スイッチのいずれか一方が省略されることもあり得る。
【0055】
以下の説明において、スイッチ部がターンオンされるとするとき、低電位スイッチが先にターンオンされて高電位スイッチが後にターンオンされ得る。また、スイッチ部がターンオフされるとするとき、高電位スイッチが先にターンオフされて低電位スイッチが後にターンオフされ得る。
【0056】
スイッチ部(S1~Sn)を構成するスイッチは、MOSFETのような半導体スイッチまたはリレーのような機械式スイッチであり得るが、本発明がこれに限定されることはない。
【0057】
負荷Lの前段にはキャパシタCapが備えられる。キャパシタCapは、並列マルチバッテリーパックMPと負荷Lとの間に並列で接続される。キャパシタCapは、ノイズ電流が負荷L側に印加されることを防止するフィルター機能をする。
【0058】
本発明によるスイッチ部(S1~Sn)のターンオン動作制御装置10は、第1電流センサI1~第n電流センサInを含む。
【0059】
第1電流センサI1~第n電流センサInは、第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnと接続された電力ライン(C1~Cn)にそれぞれ設けられてスイッチ部、特に高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値を測定する。
【0060】
すなわち、第1電流センサI1は、第1バッテリーパックP1に含まれた第1スイッチ部S1の第1高電位スイッチS1を通じて流れるスイッチ電流値を測定する。また、第2電流センサI2は、第2バッテリーパックP2に含まれた第2スイッチ部S2の第2高電位スイッチS2を通じて流れるスイッチ電流値を測定する。また、第3電流センサI3は、第3バッテリーパックP3に含まれた第3スイッチ部S3の第3高電位スイッチS3を通じて流れるスイッチ電流値を測定する。第n電流センサInは、第nバッテリーパックPnに含まれた第nスイッチ部Snの第n高電位スイッチSnを通じて流れるスイッチ電流値を測定する。図示されていないが、第4電流センサ~第n-1電流センサは、それぞれ第4バッテリーパック~第n-1バッテリーパックに含まれた第4スイッチ部~第n-1スイッチ部の高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値を測定する。図面では、第1電流センサI1~第n電流センサInが各バッテリーパックの内部に含まれているが、本発明は、第1電流センサI1~第n電流センサInが各バッテリーパックの外部に設けられることを制限しない。
【0061】
第1電流センサI1~第n電流センサInは、ホールセンサであり得る。ホールセンサは、電流の大きさに応じた電圧信号を出力する公知の電流センサである。他の例において、第1電流センサI1~第n電流センサInは、センス抵抗であり得る。センス抵抗の両端に印加された電圧を測定すれば、オームの法則を用いてセンス抵抗を通じて流れる電流の大きさを決定できる。すなわち、測定された電圧の大きさを既知のセンス抵抗の抵抗値で除することで、センス抵抗を通じて流れる電流の大きさを決定することができる。
【0062】
本発明によるスイッチ部(S1~Sn)のターンオン動作制御装置10は、第1電圧センサV1~第n電圧センサVnを含む。第1電圧センサV1は、第1スイッチ部S1に含まれた第1高電位スイッチS1の両端に印加されるスイッチ電圧値Vs1を測定する。スイッチ電圧値Vs1は、第1スイッチ部S1が含まれたバッテリーパックP1のセルのうち電位が最も高いセルC11の正極電圧と並列リンクノードNに印加される電圧との差に該当する。第2電圧センサV2は、第2スイッチ部S2に含まれた第2高電位スイッチS2の両端に印加されるスイッチ電圧値Vs2を測定する。スイッチ電圧値Vs2は、第2スイッチ部S2が含まれたバッテリーパックP2のセルのうち電位が最も高いセルC21の正極電圧と並列リンクノードNに印加される電圧との差に該当する。第3電圧センサV3は、第3スイッチ部S3に含まれた第3高電位スイッチS3の両端に印加されるスイッチ電圧値Vs3を測定する。スイッチ電圧値Vs3は、第3スイッチ部S3が含まれたバッテリーパックP3のセルのうち電位が最も高いセルC31の正極電圧と並列リンクノードNに印加される電圧との差に該当する。第n電圧センサVnは、第nスイッチ部Snに含まれた第n高電位スイッチSnの両端に印加されるスイッチ電圧値Vsnを測定する。スイッチ電圧値Vsnは、第nスイッチ部Snが含まれたバッテリーパックPnのセルのうち電位が最も高いセルCn1の正極電圧と並列リンクノードNに印加される電圧との差に該当する。図示されていないが、第4電圧センサ~第n-1電圧センサはそれぞれ、第4スイッチ部に含まれた第4高電位スイッチの両端電圧~第n-1スイッチ部に含まれた第n-1高電位スイッチの両端電圧を測定する。
【0063】
第1電圧センサV1~第n電圧センサVnは、差動増幅回路のような電圧測定回路を含む。電圧測定回路は、当業界に周知されているため、電圧測定回路についての詳しい説明は省略する。
【0064】
本発明によるスイッチ部(S1~Sn)のターンオン動作制御装置10は、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Sn、第1電流センサI1~第n電流センサIn、及び第1電圧センサV1~第n電圧センサVnと動作可能に接続された制御ユニット20を含む。
【0065】
制御ユニット20は、並列マルチバッテリーパックMPが充電または放電する前に第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnを互いに並列で接続した後、外部スイッチ部Mをターンオンさせる。
【0066】
制御ユニット20は、第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnを並列で接続させる際、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオンの順番を制御することで突入電流によるスイッチ部の損傷を最小化する。
【0067】
具体的には、制御ユニット20は、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snがターンオンされるときスイッチ部を通じて流れる突入電流によるエネルギー消費量を積算して管理する。
【0068】
ここで、エネルギー消費量とは、スイッチ部に含まれた高電位スイッチの両端に電圧差がある状態で、スイッチ部を構成する高電位スイッチと低電位スイッチがターンオンされたとき、高電位スイッチを通じて突入電流が急に流れながら高電位スイッチを通じて消費されるワットエネルギーを意味する。
【0069】
高電位スイッチの両端に電圧差が生じる場合は、高電位スイッチが含まれたバッテリーパックが他のバッテリーパックと並列で接続されるときである。
【0070】
例えば、第1バッテリーパックP1に含まれた第1スイッチ部S1がターンオンされた後、第2バッテリーパックP2に含まれた第2スイッチ部S2がターンオンされる場合を仮定しよう。この場合、第1スイッチ部S1がターンオンされる前には、第1バッテリーパックP1に含まれた第1スイッチ部S1の高電位スイッチの両端に電圧差がない。しかし、第2スイッチ部S2がターンオンされる前には、第2スイッチ部S2に含まれた第2高電位スイッチS2の両端に、第1バッテリーパックP1の電圧と第2バッテリーパックP2の電圧との差に対応する電圧が印加される。
【0071】
他の例として、第1バッテリーパックP1に含まれた第1スイッチ部S1と第2バッテリーパックP2に含まれた第2スイッチ部S2がターンオンされた後、第3バッテリーパックP3に含まれた第3スイッチ部S3がターンオンされる場合を仮定しよう。この場合、第3スイッチ部S3がターンオンされる前には、第3スイッチ部S3に含まれた第3高電位スイッチS3の両端に、第1バッテリーパックP1と第2バッテリーパックP2とが並列で接続された並列リンクノードNの電圧と第3バッテリーパックP3の電圧との差に対応する電圧が印加される。
【0072】
さらに他の例として、第1バッテリーパックP1~第n-1バッテリーパックに含まれた第1スイッチ部S1~第n-1スイッチ部Sn-1がターンオンされた後、第nバッテリーパックPnに含まれた第nスイッチ部Snがターンオンされる場合を仮定しよう。この場合、第nスイッチ部Snがターンオンされる前には、第nスイッチ部Snに含まれた第n高電位スイッチSnの両端に、第1バッテリーパックP1~第n-1バッテリーパックPn-1が並列で接続された並列リンクノードNの電圧と第nバッテリーパックPnの電圧との差に対応する電圧が印加される。
【0073】
スイッチ部を構成する高電位スイッチの両端に電圧が印加された状態でスイッチ部を構成する高電位スイッチと低電位スイッチがターンオンされれば、高電位スイッチに急速に電流が流れながら、単位時間当り「高電位スイッチの両端電圧×高電位スイッチを通じて流れる電流」に該当するワットエネルギーが消費される。このようなワットエネルギーの消費は、並列で接続されているバッテリーパックに他のバッテリーパックが新たに並列で接続されるとき、他のバッテリーパックに含まれた高電位スイッチで発生する。そして、既に並列で接続されているバッテリーパックに含まれたスイッチ部は、ターンオン状態が維持されているため、他のバッテリーパックが新たに接続される過程において高電位スイッチでのエネルギー消費がない。
【0074】
制御ユニット20は、予め設定した順番で第1スイッチ部~第nスイッチ部をターンオン動作させるとき、第k番目に並列で接続されるバッテリーパックに含まれた高電位スイッチがターンオンされるときに高電位スイッチで消費されるワットエネルギーを積算することができる。
【0075】
具体的には、制御ユニット20は、第k番目のスイッチ部(kはターンオンインデックスであって、2以上n以下の自然数である)をターンオンさせる前に、第k番目のスイッチ部の高電位スイッチに接続された電圧センサからスイッチ電圧値の入力を受けて保存ユニット30に記録する。そして、制御ユニット20は、第k番目のスイッチ部の高電位スイッチ及び低電位スイッチをターンオンさせた後、電流センサからスイッチ部を通じて流れるスイッチ電流値の入力を受けて保存ユニット30に記録する。その後、制御ユニット20は、保存ユニット30に記録されたスイッチ電圧値とスイッチ電流値から第k番目のスイッチ部の高電位スイッチで消費されたワットエネルギー値を算出する。次いで、制御ユニット20は、算出されたワットエネルギー値を用いて第k番目のスイッチ部の高電位スイッチで消費されたワットエネルギー積算値を更新する。ここで、制御ユニット20は、ワットエネルギー積算値を保存ユニット30に記録して管理する。
【0076】
また、制御ユニット20は、無負荷状態であった並列マルチバッテリーパックMPが充電または放電する前に複数のバッテリーパックを並列で接続するとき、保存ユニット30に記録された各スイッチ部のワットエネルギー積算値を参照して第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオンの順番を最適に決定する。
【0077】
具体的には、制御ユニット20は、複数のバッテリーパックが並列で接続される過程で更新されたワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が最大であるスイッチ部から降順に第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオンの順番を決定することができる。
【0078】
また、制御ユニット20は、決定された第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオンの順番に従ってスイッチ部をターンオンさせながら複数のバッテリーパックを並列で接続するとき、上述したように各スイッチ部に含まれた高電位スイッチで消費されるワットエネルギー値を算出してワットエネルギー積算値を更新することができる。
【0079】
一方、複数のバッテリーパックが並列で接続されるとき、最初にターンオンされるスイッチ部に含まれた高電位スイッチの両端には電圧が印加されない。例えば、第1バッテリーパックP1の第1スイッチ部S1に含まれた第1高電位スイッチS1が最初にターンオンされる場合、下側ノードのみに第1バッテリーパックP1に含まれたセルのうち最上位セルC11の正極電位が印加され、上側ノードには電位が印加されないためである。したがって、制御ユニット20は、第一順番でターンオンされるスイッチ部の高電位スイッチで消費されるワットエネルギーを0と算出し、ワットエネルギー積算値は直前値のまま維持することができる。
【0080】
本発明において、保存ユニット30は、情報を記録し消去可能な保存媒体であればその種類に特に制限がない。一例として、保存ユニット30はRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、レジスタまたはフラッシュ(登録商標)メモリであり得る。また、保存ユニット30は、制御ユニット20によってアクセスできるように、例えばデータバスなどを介して制御ユニット20と電気的に接続され得る。
【0081】
また、保存ユニット30は、制御ユニット20が実行する各種の制御ロジックを含むプログラム及び/または制御ロジックの実行時に発生するデータを、保存及び/または更新及び/または消去及び/または伝送する。保存ユニット30は、論理的に二つ以上に分割可能であり、制御ユニット20内に含まれることを制限しない。
【0082】
本発明において、制御ユニット20は、第1電圧センサV1~第n電圧センサVnを制御でき、第1電圧センサV1~第n電圧センサVnからスイッチ電圧値を示す信号(Vs1~Vsn)を受信して保存ユニット30に記録することができる。また、制御ユニット20は、第1電流センサI1~第n電流センサInを制御でき、第1電流センサI1~第n電流センサInからスイッチ電流値を示す信号(I1~In)を受信して保存ユニット30に記録することができる。また、制御ユニット20は、各バッテリーパックに含まれたスイッチ部(S1~Sn)のターンオンまたはターンオフ動作を制御するためのスイッチ制御信号であるS1~Sn及びS1~Snを出力することができる。ここで、S1~Sn信号は第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snの高電位スイッチを独立的に制御するための信号であり、S1~Sn信号は第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snの低電位スイッチを独立的に制御するための信号である。また、制御ユニット20は、外部スイッチ部Mを構成する外部高電位スイッチM+及び外部低電位スイッチM-を制御するためのスイッチ制御信号であるM+及びM-信号を出力することができる。
【0083】
本発明において、制御ユニット20は、上述した多様な制御ロジックを実行するため、当業界に知られたプロセッサ、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、他のチップセット、論理回路、レジスタ、通信モデム、データ処理装置などを選択的に含み得る。また、制御ロジックがソフトウェアとして具現されるとき、制御ユニット20はプログラムモジュールの集合として具現され得る。このとき、プログラムモジュールはメモリに保存されてプロセッサによって実行され得る。メモリは、プロセッサの内部または外部に備えられ得、周知の多様なコンピュータ部品を通じてプロセッサと接続され得る。また、メモリは、本発明の保存ユニット30に含まれ得る。また、メモリは、デバイスの種類に関係なく、情報が保存されるデバイスを総称するものであって、特定のメモリデバイスを称するものではない。
【0084】
また、制御ユニット20の多様な制御ロジックは少なくとも一つ以上が組み合わせられ、組み合わせられた制御ロジックはコンピュータ可読のコード体系で作成されてコンピュータ可読の記録媒体に書き込まれ得る。記録媒体は、コンピュータに含まれたプロセッサによってアクセス可能なものであれば、その種類に特に制限がない。一例として、記録媒体は、ROM、RAM、レジスタ、CD-ROM、磁気テープ、ハードディスク、フロッピーディスク及び光データ記録装置を含む群から選択された少なくとも一つ以上を含む。また、コード体系は、ネットワークで接続されたコンピュータに分散して保存されて実行され得る。また、組み合わせられた制御ロジックを具現するための機能的なプログラム、コード及びコードセグメントは、本発明が属する技術分野のプログラマによって容易に推論可能である。
【0085】
本発明による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置10は、図7に示されたように、バッテリー管理システム100に含まれ得る。バッテリー管理システム100は、バッテリーの充放電に係わる全般的な動作を制御するものであって、当業界でバッテリー管理システム(Battery Management System:BMS)と呼ばれるコンピューティングシステムである。
【0086】
また、本発明による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御装置10は、図8に示されたように、多様な種類の電気駆動装置200に搭載され得る。
【0087】
一態様によれば、電気駆動装置200は、携帯電話、ラップトップパソコン、タブレットパソコンなどのモバイルコンピュータ装置、またはデジタルカメラ、ビデオカメラ、オーディオ/ビデオ再生装置などを含む携帯用マルチメディア装置であり得る。
【0088】
他の態様によれば、電気駆動装置200は、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気自転車、電気バイク、電気列車、電気船、電気飛行機などのように電気によって移動可能な電気動力装置、または電気ドリル、電気グラインダーなどのようにモーターが含まれたパワーツールであり得る。
【0089】
図2及び図3は、並列マルチバッテリーパックMPの充電または放電が開始される前に複数のバッテリーパック(P1~Pn)が並列で接続される過程で、並列接続時点によって突入電流の大きさが変わることを説明するための図である。
【0090】
図2を参照すると、電圧がV2であってスイッチ部がターンオン状態を維持している右側バッテリーパックに、電圧がV1(<V2)である左側バッテリーパックが接続される場合、二つのバッテリーパックの間には|V2-V1|に該当する電圧差が存在する。したがって、電圧がV1であるバッテリーパックに含まれたスイッチ部がターンオンされるとき、右側バッテリーパックから左側バッテリーパック側に突入電流が流れる。突入電流の大きさは|V2-V1|/2Rである。ここで、Rはバッテリーパックの内部抵抗値である。
【0091】
図3を参照すると、電圧がV2であってスイッチ部がターンオン状態を維持している二番目~五番目のバッテリーパック(これらは並列で接続されている)に、電圧がV1(<V2)である一番目のバッテリーパックが接続される場合、並列で接続されたバッテリーパックと一番目のバッテリーパックとの間には|V2-V1|に該当する電圧差が存在する。したがって、電圧がV1であるバッテリーパックに含まれたスイッチ部がターンオンされるとき、二番目~五番目のバッテリーパックから一番目のバッテリーパック側に突入電流が流れる。突入電流の大きさは(V2-V1)/(R+0.25R)である。ここで、Rはバッテリーパックの内部抵抗値である。
【0092】
図3に示された例における突入電流の大きさは、図2に示された例における突入電流の大きさよりも大きい。したがって、必ずしもそうではないが、複数のバッテリーパックが相互並列で接続されるとき、バッテリーパックの内部抵抗が同一である場合、並列で接続される順番が遅いほど突入電流の大きさが増加し得ることが分かる。
【0093】
図4及び図5は、本発明の一実施形態による並列マルチバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作制御方法を示したフロー図である。
【0094】
図4に示されたように、制御ユニット20は、段階S10において、並列マルチバッテリーパックMPに対する充電または放電が要求されたか否かを判断する。そのため、制御ユニット20は、通信インターフェースを通じて充電または放電の要求を伝送する装置と接続され得る。該装置は、負荷Lや充電器の動作を制御する制御システムであり得る。一例において、充電または放電の要求は、通信メッセージの形態で制御ユニット20に伝送され得る。
【0095】
制御ユニット20は、段階S10の判断の結果が「いいえ」であれば、プロセスの移行を保留する。一方、制御ユニット20は、段階S10の判断の結果が「はい」であれば、段階20において、保存ユニット30に第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値が保存されているか否かを判断する。
【0096】
ここで、第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値は、第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnにそれぞれ含まれた第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snの高電位スイッチがターンオンされる度に高電位スイッチで消費されたワットエネルギーを積算した値である。
【0097】
第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値は、図5を参照して後述する段階P10~段階P110によって更新することができる。
【0098】
制御ユニット20は、段階S20の判断の結果が「いいえ」であれば、段階S30において、充放電サイクル数pを1に初期化する。pは、充放電サイクル数に対するインデックスである。充放電サイクル数とは、並列マルチバッテリーパックMPの充電または放電のサイクル数を意味する。充放電サイクル数が1であれば、最初の充放電であることを意味する。段階S30の後、段階S40が行われる。
【0099】
制御ユニット20は、段階S40において、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snの第1サイクルのターンオンの順番、すなわち第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnの1回目の並列接続順番をランダムに決定する。
【0100】
代案として、制御ユニット20は、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオンの順番を、第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnの充電状態に基づいて、充電状態が高いほど接続優先順位を増加させるか又は減少させ得る。しかし、本発明がこれに限定されることはない。
【0101】
充放電サイクル数が1である場合、スイッチ部に含まれた高電位スイッチで消費されたワットエネルギー積算値が0であるため、スイッチ部のターンオンの順番をランダムに決定してもよい。段階S40の後、段階S50が行われる。
【0102】
制御ユニット20は、段階S50において、第1サイクルのターンオンの順番に従って第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオン動作を制御する。制御ユニット20は、段階S50が行われる間に、図5に示されたフロー図に従って第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snに対する第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を更新して保存ユニット30に記録する。
【0103】
具体的には、制御ユニット20は、段階P10において、第1順番のスイッチ部をターンオンさせる。スイッチ部がターンオンされるとは、高電位スイッチと低電位スイッチがターンオンされることを意味するが、以下においても同様である。望ましくは、制御ユニット20は、低電位スイッチを先にターンオンさせた後、高電位スイッチをターンオンさせる。段階P10の後、段階P20が行われる。
【0104】
制御ユニット20は、第2順番のスイッチ部のターンオン動作を制御する前に、該当スイッチ部の高電位スイッチに接続された電圧センサを制御して高電位スイッチの両端に印加されるスイッチ電圧値を測定し、スイッチ電圧値を保存ユニット30に記録する。段階P20の後、段階P30が行われる。
【0105】
制御ユニット20は、段階P30において、第2順番のスイッチ部をターンオンさせる。次いで、制御ユニット20は、段階P40において、第2順番のスイッチ部が位置する線路に設けられた電流センサを制御して高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値を測定し、スイッチ電流値を保存ユニット30に記録する。段階P40の後、段階P50が行われる。
【0106】
制御ユニット20は、段階P50において、第3順番のスイッチ部のターンオン動作を制御する前に、該当スイッチ部の高電位スイッチに接続された電圧センサを制御して高電位スイッチの両端に印加されるスイッチ電圧値を測定し、スイッチ電圧値を保存ユニット30に記録する。段階P50の後、段階P60が行われる。
【0107】
制御ユニット20は、段階P60において、第3順番のスイッチ部をターンオンさせる。次いで、制御ユニット20は、段階P70において、第3順番のスイッチ部が位置する線路に設けられた電流センサを制御して高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値を測定し、スイッチ電流値を保存ユニット30に記録する。
【0108】
段階P50~段階P70は、第4順番のスイッチ部から第n-1順番のスイッチ部においても同様に適用され、その後、段階P80が行われる。
【0109】
制御ユニット20は、段階P80において、第n順番のスイッチ部に対するターンオン動作を制御する前に、該当スイッチ部の高電位スイッチに接続された電圧センサを制御して高電位スイッチの両端に印加されるスイッチ電圧値を測定し、スイッチ電圧値を保存ユニット30に記録する。段階P80の後、段階P90が行われる。
【0110】
制御ユニット20は、段階P90において、第n順番のスイッチ部をターンオンさせる。次いで、制御ユニット20は、段階P100において、第n順番のスイッチ部が位置する線路に設けられた電流センサを制御して高電位スイッチを通じて流れるスイッチ電流値を測定し、スイッチ電流値を保存ユニット30に記録する。段階P100の後、段階P110が行われる。
【0111】
制御ユニット20は、段階P110において、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snの高電位スイッチで消費された第1ワットエネルギー値~第nワットエネルギー値を下記の数式を用いて算出する。基準時間は1秒~数秒である。第1順番でターンオンされるスイッチ部の高電位スイッチの両端には電圧が印加されないため、第1順番のスイッチ部に対するワットエネルギーは0である。段階P110の後、段階P120が行われる。
【0112】
ワットエネルギー=V×I×t(Vはスイッチ電圧値、Iはスイッチ電流値、tは基準時間)
【0113】
制御ユニット20は、段階P120において、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snに対する第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を更新する。すなわち、制御ユニット20は、段階P110で算出された第1ワットエネルギー値~第nワットエネルギー値を保存ユニット30に記録された直前の第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値に加算し、第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を更新する。
【0114】
段階P10~段階P120により、第1サイクルのターンオンの順番に従って第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオン動作が制御されながら第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値の更新が完了すれば、段階S60が行われる。
【0115】
制御ユニット20は、段階S60において、並列マルチバッテリーパックMPの外部スイッチ部Mをターンオン状態に制御する。すると、並列マルチバッテリーパックMPの第1サイクルの充電または放電が開始される。段階S60の後、段階S70が行われる。
【0116】
制御ユニット20は、段階S70において、並列マルチバッテリーパックMPの充電または放電の終了が要求されたか否かを判断する。充電または放電終了の要求は、制御ユニット20に接続された通信インターフェースを通じて負荷Lまたは充電器の制御システムから提供され得る。
【0117】
制御ユニット20は、段階S70の判断の結果が「いいえ」であれば、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snと外部スイッチ部Mとのターンオン状態を維持する。一方、制御ユニット20は、段階S70の判断の結果が「はい」であれば、並列マルチバッテリーパックMPの充電または放電を中断するため、段階S80において、外部スイッチ部Mをターンオフさせて第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snをターンオフさせる。第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオフ順番は、ターンオンの順番の反対である。これによって、第1サイクルの充放電は終了し、プロセスは段階S10に移行する。したがって、制御ユニット20は、負荷Lまたは充電器の制御システムから充電または放電が要求されるか否かをモニタリングするモードに移行する。
【0118】
一方、制御ユニット20は、充放電サイクル数が2以上である場合は、保存ユニット30に記録された第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を参照して第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオンの順番を決定し、決定された順番に従って第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオン動作、すなわち第1バッテリーパックP1~第nバッテリーパックPnの並列接続の順番を制御する。
【0119】
具体的には、制御ユニット20は、段階S20の判断の結果が「はい」であれば、段階S90において、充放電サイクル数pを1だけ増加させる。例えば、充放電サイクル数pが1であれば、pを2に増加させる。充放電サイクル数が2であれば、2回目の充放電サイクルを意味する。段階S90の後、段階S100が行われる。
【0120】
制御ユニット20は、段階S100において、保存ユニット30に記録されている第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を参照して、ワットエネルギー積算値が最大であるスイッチ部から降順に第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snの第p+1サイクルのターンオンの順番を決定する。段階S100の後、段階S110が行われる。
【0121】
制御ユニット20は、段階S110において、第p+1サイクルのターンオンの順番に従って第1スイッチ部~第nスイッチ部のターンオン動作を制御する。制御ユニット20は、段階S110が行われる間に、図5に示されたフロー図に従って第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を更新するプロセスを実行し、プロセスを段階S60に移行する。
【0122】
制御ユニット20は、段階S60において、並列マルチバッテリーパックMPの外部スイッチ部Mをターンオン状態に制御する。すると、並列マルチバッテリーパックMPの第2サイクルの充電または放電が開始される。段階S60の後、段階S70が行われる。
【0123】
制御ユニット20は、段階S70において、並列マルチバッテリーパックMPの第2サイクルの充電または放電の終了が要求されたか否かを判断する。充電または放電終了の要求は、制御ユニット20に接続された通信インターフェースを通じて負荷Lまたは充電器の制御システムから提供され得る。
【0124】
制御ユニット20は、段階S70の判断の結果が「いいえ」であれば、第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snと外部スイッチ部Mとのターンオン状態を維持する。一方、制御ユニット20は、段階S70の判断の結果が「はい」であれば、並列マルチバッテリーパックMPの充電または放電を中断するため、段階S80において、外部スイッチ部Mをターンオフさせて第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snをターンオフさせる。第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオフ順番は、ターンオンの順番の反対である。これによって、第2サイクルの充放電は終了し、プロセスは段階S10に移行する。したがって、制御ユニット20は、負荷Lまたは充電器の制御システムから第3サイクルの充電または放電が要求されるか否かをモニタリングするモードに移行する。
【0125】
上記のような制御ロジックが繰り返される。すなわち、制御ユニット20は、充放電サイクル数を1だけ増加させ(S90)、保存ユニット30に記録された第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を参照して第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snに対する第p+1サイクルのターンオンの順番を決定し(S110)、決定された第p+1サイクルのターンオンの順番に従って第1スイッチ部S1~第nスイッチ部Snのターンオン動作を制御し(S110)、同時に第1ワットエネルギー積算値~第nワットエネルギー積算値を更新する過程(P10~P120)を繰り返す。
【0126】
図6は、本発明の一実施形態によって、5個のバッテリーパックが並列で接続された並列マルチバッテリーパックMPに含まれたスイッチ部がターンオン制御されるとき、第pサイクル、第p+10サイクル及び第p+20サイクルの並列接続時点を基準にして各バッテリーパックに含まれたスイッチ部で消費されたワットエネルギー積算値を示した表である。
【0127】
図6を参照すると、第pサイクルの並列接続時点では5番バッテリーパック、4番バッテリーパック、3番バッテリーパック、2番バッテリーパック及び1番バッテリーパックの順に並列接続される。また、第p+10サイクルの並列接続時点では、2番バッテリーパック、1番バッテリーパック、3番バッテリーパック、5番バッテリーパック及び4番バッテリーパックの順に並列接続される。また、第p+20サイクルの並列接続時点では、5番バッテリーパック、4番バッテリーパック、2番バッテリーパック、1番バッテリーパック及び3番バッテリーパックの順に並列接続される。
【0128】
本発明によれば、並列マルチバッテリーパックを構成するバッテリーパックに含まれたスイッチ部のターンオン動作順番を最適に制御することで、並列マルチバッテリーパックの充電または放電が開始される前に複数のバッテリーパックが並列で接続される過程で、突入電流によって生じるスイッチ部の損傷を最小化することができる。したがって、スイッチ部の寿命を延長させてスイッチ部の故障による交換費用を節減することができる。
【0129】
本発明の多様な実施形態の説明において、「ユニット」と称される構成要素は物理的に区分される要素ではなく、機能的に区分される要素として理解されねばならない。したがって、それぞれの構成要素は他の構成要素と選択的に統合されるか、または、それぞれの構成要素が制御ロジックの効率的な実行のためにサブ構成要素に分割され得る。しかし、構成要素が統合または分割されても機能の同一性が認定されれば、統合または分割された構成要素も本発明の範囲内であると解釈されることは当業者にとって自明である。
【0130】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
図1
図2
図3
図4
図5
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図8