(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】地盤補強工法
(51)【国際特許分類】
E02D 27/34 20060101AFI20220906BHJP
E02D 27/28 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
E02D27/34 Z
E02D27/28
(21)【出願番号】P 2019101360
(22)【出願日】2019-05-30
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】598037569
【氏名又は名称】會澤高圧コンクリート株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 賀宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 涼
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-236249(JP,A)
【文献】特開2008-280828(JP,A)
【文献】特開平10-299005(JP,A)
【文献】特開2010-236323(JP,A)
【文献】特公昭47-050568(JP,B1)
【文献】特開2016-069967(JP,A)
【文献】特開2013-159987(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/34
E02D 27/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤中に複数本のコンクリート柱を打設して不同沈下に対する耐性を大きくする地盤補強工法であって、
前記コンクリート柱は、所定長さの掘削ロッドを円筒状のケーシングに入れて前記掘削ロッドと前記ケーシングとを一体的に回転させると共に垂直方向に地盤に圧入して所定深さ貫入する貫入工程と、
貫入した前記ケーシングを地盤中に残して前記掘削ロッドを引き上げて前記ケーシング内に砕石、切込砕石、高炉スラグ骨材、コンクリートあるいはこれらの組み合わせからなる充填材を所定量投入する充填材投入工程と、
前記ケーシング内に前記掘削ロッドを挿入して前記掘削ロッドの先端によって前記充填材を下方に押し込む押し込み工程と、
前記掘削ロッドを引き上げて前記ケーシング内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、
前記ケーシングを地盤中から引き抜くケーシング引抜工程とから形成することを特徴とする地盤補強工法。
【請求項2】
請求項1に記載の地盤補強工法において、前記ケーシング
引抜工程は、前記掘削ロッドの先端を前記打設されたコンクリートの上面に押し当てて前記コンクリートに所定圧力を作用させながら実施することを特徴とする地盤補強工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の建築に先立って不同沈下に対する耐性を大きくする地盤補強工法に関するものであって、限定するものではないが戸建て住宅等の比較的小規模な建築物を比較的軟弱な地盤に建築する場合に好適な地盤補強工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築物は地盤に所定の基礎を施工し、その基礎の上に基礎に接続するようにして建築される。戸建て住宅等の比較的小規模な建築物の場合、ほとんどの場合布基礎かベタ基礎が採用されている。布基礎は、その断面形状が逆向きのT字状を呈した鉄筋コンクリートが、建築物の柱の位置に沿って連続的に形成された基礎からなり、比較的固い地盤に採用されることが多い。一方、ベタ基礎は柱等を支持する立ち上がり部だけでなく建築物全体に相当する底面も一体的に鉄筋コンクリートから形成されている基礎であり、地盤が十分に強固でなくても不同沈下しにくいという特徴を備えている。
【0003】
しかしながら、地盤が比較的軟弱で不同沈下の虞がある場合には、必要により基礎の施工前に地盤の強度を高める必要がある。地盤強度を強化する施工方法として、例えば特許文献1、2に記載されているように、地盤中に複数本の柱あるいは杭を打ち込んで地盤の沈下に対する耐性を大きくする、いわゆる杭状地盤補強工法が周知である。地盤中に打ち込む柱は、鋼管杭、工場等において予め製造された既設コンクリート杭等を利用してこれを施工現場において打ち込むこともできるし、オーガスクリュ等によって地盤を掘削し、コンクリートを打設して形成するいわゆる現場打ちの柱とすることもできる。杭状地盤補強工法において打ち込まれる柱は、その先端が固い岩盤層まで到達するまで深く打ち込まれることは一般的に少なく、軟弱地盤中に浮いている状態になっていることが多い。このような柱は、いわゆる摩擦杭と同様に、柱の外周面と地盤との摩擦力によって地盤中で位置が維持されるようになっている。つまり沈下が防止されるようになっている。前記した布基礎や、ベタ基礎は、このように杭状地盤補強工法等で強化された地盤の上に施工される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-236249号公報
【文献】特開2008-280828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軟弱地盤であっても、従来の杭状地盤補強工法によって複数本の柱を打ち込めば、ある程度不同沈下を防止することはできる。従って、その上に布基礎、ベタ基礎を施工して建築物を建築することはできる。しかしながら、解決すべき課題も見受けられる。具体的には、軟弱地盤の場合には、柱の外周面の摩擦のみによっては十分に沈下が防止されない虞がある点である。すなわち地盤によっては摩擦力が十分に得られない可能性がある。住宅は長期間利用されるが長期間にわたって沈下が防止される保証がないと、高価な住宅を安心して建築できない。仮に、柱を強固な岩盤等に達するまで深く打ち込むようにすれば、沈下の問題は解決するかも知れない。しかしながら柱を深く打ち込むとコストが嵩み、戸建て住宅等の小規模の建築物のために実施する地盤補強工法としては適切でない。
【0006】
本発明は、上記したような問題点に鑑みてなされたもので、具体的には、コストが小さい工法であるにも拘わらず、比較的軟弱な地盤であっても十分に強度を高めて不同沈下を確実に防止できる、地盤補強工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、地盤中に複数本のコンクリート柱を打設して地盤を強化し、それによって不同沈下を防止する、いわゆる杭状地盤補強工法を対象とする。本発明においては、コンクリート柱は現場打ちのコンクリート柱とし、次の各工程から形成するようにする。まず、所定長さの掘削ロッドを円筒状のケーシングに入れてこれらを一体的に回転させると共に垂直方向に地盤に圧入して所定深さ貫入する貫入工程を実施する。次いで、ケーシングを地盤中に残して掘削ロッドを引き上げて、ケーシング内に所定量の充填材を投入する充填材投入工程を実施する。充填材は、砕石、高炉スラグ骨材、コンクリート等が利用できる。そして掘削ロッドの先端によって投入した充填材を下方に押し込む押し込み工程を実施する。その後、ケーシング内にコンクリートを打設する打設工程を実施し、ケーシングを地盤から引き抜く。このようにしてコンクリート柱を形成する。
【0008】
すなわち請求項1に記載の発明は、地盤中に複数本のコンクリート柱を打設して不同沈下に対する耐性を大きくする地盤補強工法であって、前記コンクリート柱は、所定長さの掘削ロッドを円筒状のケーシングに入れて前記掘削ロッドと前記ケーシングとを一体的に回転させると共に垂直方向に地盤に圧入して所定深さ貫入する貫入工程と、貫入した前記ケーシングを地盤中に残して前記掘削ロッドを引き上げて前記ケーシング内に砕石、切込砕石、高炉スラグ骨材、コンクリートあるいはこれらの組み合わせからなる充填材を所定量投入する充填材投入工程と、前記ケーシング内に前記掘削ロッドを挿入して前記掘削ロッドの先端によって前記充填材を下方に押し込む押し込み工程と、前記掘削ロッドを引き上げて前記ケーシング内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、前記ケーシングを地盤中から引き抜くケーシング引抜工程とから形成することを特徴とする地盤補強工法として構成される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地盤補強工法において、前記ケーシング引抜工程は、前記掘削ロッドの先端を前記打設されたコンクリートの上面に押し当てて前記コンクリートに所定圧力を作用させながら実施することを特徴とする地盤補強工法として構成される。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、地盤中に複数本のコンクリート柱を打設して不同沈下に対する耐性を大きくする地盤補強工法を対象としている。つまり杭状地盤補強工法を対象としている。そして本発明によると、コンクリート柱は、所定長さの掘削ロッドを円筒状のケーシングに入れて掘削ロッドとケーシングとを一体的に回転させると共に垂直方向に地盤に圧入して所定深さ貫入する貫入工程と、貫入したケーシングを地盤中に残して掘削ロッドを引き上げてケーシング内に砕石、切込砕石、高炉スラグ骨材、コンクリートあるいはこれらの組み合わせからなる充填材を所定量投入する充填材投入工程と、ケーシング内に掘削ロッドを挿入して掘削ロッドの先端によって充填材を下方に押し込む押し込み工程と、掘削ロッドを引き上げてケーシング内にコンクリートを打設するコンクリート打設工程と、ケーシングを地盤中から引き抜くケーシング引抜工程とから形成するよう構成されている。そうすると、充填材は押し込み工程によってコンクリート柱の底面積より大きく押し広げられた状態で地盤中に形成され、コンクリート柱はこのように押し広げられた充填材に支持された状態で形成されることになる。従来の杭状地盤補強工法において打ち込まれるコンクリート柱は、その外周面と地盤の摩擦力によってある程度沈下しにくくなっているが、本発明によって形成されるコンクリート柱は外周面の摩擦力だけでなく充填材による支持力も得られるので、確実に沈下が防止される効果が得られる。さらにはコンクリート柱の外周面の摩擦力も工場等で予め製造されたコンクリート柱を打ち込む場合に比して大きい。工場等で製造されるコンクリート柱の外周面は滑らかであるが、現場打ちで形成されるコンクリート柱は打設されるコンクリートが地盤中の隙間にも入り込むので外周面が複雑に形成されるからである。本発明の工法によってコンクリート柱を形成するとき従来のコンクリート柱の形成と相違しているのは、コンクリートの打設に先立って充填材を投入しこれを下方に押し込む工程を実施するだけであり、コストは小さい。このようにコストが小さいにも拘わらず、地盤の不同沈下を確実に防止する効果が得られる。
他の発明によると、ケーシング引抜工程は、掘削ロッドの先端を打設されたコンクリートの上面に押し当ててコンクリートに所定圧力を作用させながら実施するように構成されている。そうすると打設されたコンクリートは、ケーシングが引き抜かれて生じる隙間に確実に充填されることになるし、さらには地盤中に存在する細かなクラックにも浸透する。これによってコンクリート柱の外周面は地盤中に複雑な形状で密着することになり、地盤との摩擦力が強く作用することになる。つまり地盤の不同沈下を防止する効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る施工機と、掘削ロッドとケーシングとを示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る地盤補強工法を模式的に示す図で、その(A)~(C)はコンクリート柱を形成する各工程における本発明の実施の形態に係る施工機と、掘削ロッドとケーシングとを示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る地盤補強工法を模式的に示す図で、その(A)~(C)はコンクリート柱を形成する各工程における本発明の実施の形態に係る施工機と、掘削ロッドとケーシングとを示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る地盤補強工法を模式的に示す図で、その(A)~(C)はコンクリート柱を形成する各工程における本発明の実施の形態に係る施工機と、掘削ロッドとケーシングとを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本実施の形態に係る地盤補強工法は、本実施の形態に係る施工機1と、次に説明する掘削ロッド2とケーシング3とによって実施される。本実施の形態に係る施工機1は、
図1に示されているように、比較的小型のいわゆる杭打ち機からなる。すなわち施工機1は、自走する車両5と、この車両5に垂直に設けられているリーダ6と、このリーダ6にガイドされてスライドするオーガ駆動装置8等から構成されている。
【0012】
本実施の形態に係る掘削ロッド2は、比較的長いロッド部10と、このロッド部10の先端に設けられている所定径の円柱状を呈する先端部11とからなる。先端部11の端面にはビッド12、12が設けられており、掘削ロッド2を下方に押しつけながら回転させると、地盤Gが切削されるようになっている。ケーシング3は鋼管からなり、その内径は掘削ロッド2の先端部11の外径よりもわずかに大きくなっている。従ってケーシング3内に掘削ロッド2を挿入するときケーシング3と掘削ロッド2の先端部11の隙間は十分小さくなる。このため掘削ロッド2とケーシング3とを地盤Gに貫入させるとき、この隙間からケーシング3内に侵入する土砂はほとんどない。あるいは侵入する土砂の量は少なくなることが保証されている。本実施の形態に係る施工機1は、ケーシング3に掘削ロッド2を挿入した状態で、オーガ駆動装置8によって掘削ロッド2とケーシング3とを一体的に保持して回転することができるようになっている。
【0013】
本実施の形態に係る地盤補強工法は、本実施の形態に係る施工機1、掘削ロッド2、ケーシング3によって実施され、比較的軟弱な地盤Gを対象として実施するいわゆる杭状地盤補強工法の一種である。ただし地盤Gにおいて複数本打ち込むコンクリート柱は、工場等で製造されたものではなく、現場打ちによって形成するようになっている。本実施の形態に係る地盤補強工法はこのような杭状地盤補強工法を改良したものになっている。
図2~4によって本実施の形態に係る地盤補強工法の各工程を説明する。
【0014】
ケーシング3内に掘削ロッド2を挿入した状態で、オーガ駆動装置8に掘削ロッド2とケーシング3とを取り付ける。オーガ駆動装置8によって掘削ロッド2とケーシング3とを一体的に回転させながら地盤Gに対して押し込む。すなわち貫入工程を実施する。そうすると
図2の(A)に示されているように掘削ロッド2とケーシング3とが地盤Gに貫入される。
図2の(B)に示されているように、所望の深さだけ掘削ロッド2とケーシング3とを貫入したら、掘削ロッド2とケーシング3の回転を停止し、オーガ駆動装置8からケーシング3を切り離す。オーガ駆動装置8を上方にスライドさせると共に、
図2の(C)に示されているように掘削ロッド2を引き上げて、ケーシング3から完全に抜く。そうするとケーシング3内に円柱状の空間が形成される。地盤Gは比較的軟弱なので、ケーシング3の下方において露出している地面すなわち底面15も比較的柔らかい。
【0015】
図3の(A)に示されているように、ケーシング3内に所定量、例えば30~40Lの充填材16を投入する。つまり充填材投入工程を実施する。充填材16は砕石、切込砕石、高炉スラグ骨材、コンクリート、あるいはこれらの組み合わせ等から選定することができる。底面15は比較的軟弱ではあるが充填材16を投入しても底面15には大きな変化はなく、充填材16のほとんどはケーシング3内に留まっている。この充填材投入工程において投入する充填材の量は、後で説明するコンクリート打設工程において打設されるコンクリート量よりも少ない。次いで掘削ロッド2を再びケーシング3内に挿入する。そして掘削ロッド2の先端によって充填材16を下方に押し込む。あるいは押しながら突き固める。つまり押し込み工程を実施する。充填材としてコンクリートが採用された場合であっても、その投入量は少量であるので、これを下方に押し込むとき大部分のモルタル分は底面15に浸透して骨材が残った状態になる。そうすると充填材として砕石、切込砕石、高炉スラグ骨材を採用したときと同様に、実質的に粒状になる。このような充填材を下方に押し込む押し込み工程は、実質的に転圧を実施している転圧工程と同等であるということができる。充填材16を下方に押し込むとき、掘削ロッド2を高所から落下させてその衝撃で実施してもよいし、オーガ駆動装置8によって強い突き力を発生させてもよい。押し込み工程によって、強い力で充填材16を下方に押し固めると、充填材16がケーシング3の下方から押し出される。そうすると底面15が押し広げられる。つまり充填材16はケーシング3の底面より広い面積で広がることになる。次に説明するコンクリート打設工程によって形成されるコンクリート柱はこの充填材16によって支持されることになる。充填材16は広い面積で広がっているので、コンクリート柱を支持する支持力は大きく、コンクリート柱の沈下に対する耐性が非常に大きくなることが保証される。押し込み工程が完了したら、
図3の(C)に示されているように、掘削ロッド2をケーシング3から引き抜く。
【0016】
図4の(A)に示されているように、ケーシング3内にコンクリート18を注入する。すなわちコンクリート打設工程を実施する。本実施の形態に係る地盤補強工法によって形成するコンクリート柱は、完成したときに地盤G内に完全に埋設された状態になり、その上端は地面より低くなるが、コンクリート打設工程においては、コンクリート18の表面が地面より若干高い位置になるようにコンクリート18を注入する。これはケーシング3を引き抜くとき、ケーシング3の体積分だけコンクリート18の表面が下がるからである。つまりコンクリート打設工程においては、ケーシング3の体積分だけあるいは体積分より多めに、余分にコンクリート18を注入する必要がある。コンクリート18を打設したら、オーガ駆動装置8を降下させてケーシング3をオーガ駆動装置8に固定する。そして、掘削ロッド2を降下させてその先端部11をコンクリート18の表面に押し当てる。掘削ロッド2によってコンクリート18の表面に圧力をかけながら、オーガ駆動装置8を上方に引き上げて、
図4の(B)に示されているようにケーシング3を引き抜く。すなわち、ケーシング引き抜き工程を実施する。掘削ロッド2によってコンクリート18の表面を下方に押し当てて圧力をかけるのは、掘削ロッド2の自重のみにより実施してもいいし、オーガ駆動装置8の駆動力を追加してもよい。ケーシング引き抜き工程を実施すると、ケーシング3が引き抜かれて生じる隙間にコンクリート18が入り込む。これによって
図4の(C)に示されているように、完全にケーシング3が引き抜かれたとき、コンクリート18の表面は地面より下方に下がる。コンクリート18は圧力が印加されて隙間に充填されるので、地盤G中にクラック等の隙間が形成されていると、この隙間にも入り込む。またケーシング3によって形成される孔には表面に凹凸があるが、このような凹凸にもしっかりと密着するように充填される。その結果、コンクリート18が固化して形成されるコンクリート柱は、その外周面が凹凸になるだけでなく、地盤Gに完全に密着する。従って、外周面と地盤Gとの間に作用する摩擦力が高まることになる。
【0017】
本実施の形態に係る地盤補強工法は色々な変形が可能である。例えば、砕石等の充填材を下方に押し込む押し込み工程は掘削ロッド2によって実施しているが、掘削ロッド2の先端部11に転圧に適したアタッチメントを装着するようにしてもよい。本実施の形態において、ケーシング引き抜き工程は、コンクリート18の表面を掘削ロッド2の先端部11によって押し当てて、圧力を印加しながら実施しているが、圧力を印加しないでケーシング3を引き抜くこともできる。コンクリート18の自重により、ある程度はコンクリート18が流動してケーシング3が抜き取られた隙間にも充填されるからである。しかしながら、十分に隙間にコンクリート18が充填されるよう、コンクリート18の表面を何らかの部材、あるいは装置等によって押さえて圧力を印加した状態で、ケーシング引き抜き工程を実施することが推奨される。
【符号の説明】
【0018】
1 施工機 2 掘削ロッド
3 ケーシング 5 車両
6 リーダ 8 オーガ駆動装置
10 ロッド部 11 先端部
12 ビッド 15 底面
16 充填材 18 コンクリート
G 地盤