IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電産シンポ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】管理装置および移動体システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220906BHJP
【FI】
G05D1/02 S
G05D1/02 P
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019543708
(86)(22)【出願日】2018-09-20
(86)【国際出願番号】 JP2018034905
(87)【国際公開番号】W WO2019059307
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2017183531
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000107147
【氏名又は名称】日本電産シンポ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】市川 明男
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-231698(JP,A)
【文献】特開2017-130121(JP,A)
【文献】特開平11-259130(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律移動可能な複数の移動体の運行を管理する管理装置であって、
前記複数の移動体の各々と通信する第1通信回路と、
前記複数の移動体の各々の運行経路を決定し、前記第1通信回路を介して、前記運行経路を示す信号を前記複数の移動体の各々に送信する第1制御回路と、
を備え、
前記複数の移動体の各々は、
前記第1通信回路と通信する第2通信回路と、
障害物を検知する少なくとも1つのセンサと、
前記第1制御回路によって決定された前記運行経路に従って前記移動体を移動させる第2制御回路であって、前記センサによって障害物が検知されたとき、前記移動体に前記障害物を回避させ、前記障害物の存在を示す信号を前記第2通信回路を介して送信する第2制御回路と、
を備え、
前記第1制御回路は、
前記複数の移動体のいずれかから、前記障害物の存在を示す前記信号が送信されたとき、
前記複数の移動体のうち、前記障害物が存在する経路を通過する予定の移動体の経路を変更し、
前記第1制御回路は、
前記障害物の存在を示す前記信号が最初に送信されたときには前記障害物が存在する経路を通過する予定の移動体の経路を変更せず、
n個(nは2以上の整数のいずれか)の移動体から前記障害物の存在を示す前記信号が送信されたときに初めて、前記障害物が存在する経路を通過する予定の移動体の経路を変更する、管理装置。
【請求項2】
自律移動可能な複数の移動体の運行を管理する管理装置であって、
前記複数の移動体の各々と通信する第1通信回路と、
前記複数の移動体の各々の運行経路を決定し、前記第1通信回路を介して、前記運行経路を示す信号を前記複数の移動体の各々に送信する第1制御回路と、
を備え、
前記複数の移動体の各々は、
前記第1通信回路と通信する第2通信回路と、
障害物を検知する少なくとも1つのセンサと、
前記第1制御回路によって決定された前記運行経路に従って前記移動体を移動させる第2制御回路であって、前記センサによって障害物が検知されたとき、前記移動体に前記障害物を回避させ、前記障害物の存在を示す信号を前記第2通信回路を介して送信する第2制御回路と、
を備え、
前記第1制御回路は、
前記複数の移動体のいずれかから、前記障害物の存在を示す前記信号が送信されたとき、
前記複数の移動体のうち、前記障害物が存在する経路を通過する予定の移動体の経路を変更し、
各移動体は、
レーザレンジファインダと、
環境地図を保持する記憶装置と、
前記レーザレンジファインダから出力されたデータと前記環境地図とを照合することにより、前記環境地図上における前記移動体の位置および向きの推定値を決定して出力する位置推定装置と、
をさらに備え、
前記第2制御回路は、前記位置推定装置から出力された前記推定値と、前記第1制御回
路から送信された前記運行経路を示す前記信号とに基づいて、前記移動体を移動させ、
前記複数の移動体のいずれかから前記障害物の存在を示す前記信号が送信された後、一定期間内に前記障害物が除去されたことを示す信号が入力されなかったとき、
前記第1制御回路は、各移動体に、前記障害物の情報を含む環境地図への更新を指示する、管理装置。
【請求項3】
前記運行経路を示す前記信号は、初期位置から目的位置までの経路上における複数の地点の位置を示す情報を含み、
前記障害物の存在を示す前記信号は、前記障害物の位置を示す情報を含み、
前記複数の移動体のいずれかから、前記障害物の存在を示す前記信号が送信され、前記障害物の位置が、前記複数の地点のうちの隣接する2つの地点の間であるとき、
前記第1制御回路は、前記複数の移動体のうち、前記2つの地点を含む経路を通過する予定の移動体の経路を、前記2つの地点を含まない経路に変更する、
請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記第1制御回路は、前記障害物が除去されたことを示す信号が入力されたとき、変更した経路を元の経路に戻す、請求項1から請求項3のいずれかに記載の管理装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれかに記載の管理装置と、
複数の移動体と、
を備える移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は移動体および移動体システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人搬送車または移動ロボットなどの移動体の研究および開発が進められている。たとえば特開2009-223634号公報、特開2009-205652号公報、および特開2005-242489号公報は、複数の自律移動体が互いに衝突しないように各移動体の移動を制御するシステムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-223634号公報
【文献】特開2009-205652号公報
【文献】特開2005-242489号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、自律移動可能な複数の移動体の運行をより円滑にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の例示的な実施形態における管理装置は、自律移動可能な複数の移動体の運行を管理する。前記管理装置は、前記複数の移動体の各々と通信する第1通信回路と、前記複数の移動体の各々の運行経路を決定し、前記第1通信回路を介して、前記運行経路を示す信号を前記複数の移動体の各々に送信する第1制御回路とを備える。前記複数の移動体の各々は、前記第1通信回路と通信する第2通信回路と、障害物を検知する少なくとも1つのセンサと、前記第1制御回路によって決定された前記運行経路に従って前記移動体を移動させる第2制御回路であって、前記センサによって障害物が検知されたとき、前記移動体に前記障害物を回避させ、前記障害物の存在を示す信号を前記第2通信回路を介して送信する第2制御回路とを備える。前記第1制御回路は、前記複数の移動体のいずれかから、前記障害物の存在を示す前記信号が送信されたとき、前記複数の移動体のうち、前記障害物が存在する経路を通過する予定の移動体の経路を変更する。
【0006】
上記の包括的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または記録媒体によって実現されてもよい。あるいは、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、および記録媒体の任意な組み合わせによって実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、ある移動体が障害物を回避する動作を行ったとき、他の移動体の経路が、障害物と衝突しない経路に変更される。これにより、移動体システムの運行をより円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態における移動体システム100の構成を模式的に示す図である。
図2A図2Aは、移動体10Aの運行経路上に障害物がない場合の例を示している。
図2B図2Bは、移動体10Aの運行経路上のマーカM1とマーカM2との間に障害物70が存在する場合の回避動作の例を示している。
図2C図2Cは、変更後の経路の一例を示す図である。
図2D図2Dは、変更後の経路の他の例を示す図である。
図3図3は、管理装置50によって管理される各移動体10の運行経路を示すデータの一例を示す図である。
図4図4は、管理装置50における第1制御回路51の動作の例を示すフローチャートである。
図5図5は、移動体10における第2制御回路14aの動作の例を示すフローチャートである。
図6図6は、本開示による、各AGVの走行を制御する制御システムの概要を示す図である。
図7図7は、AGVが存在する移動空間Sの一例を示す図である。
図8A図8Aは、接続される前のAGVおよび牽引台車を示す図である。
図8B図8Bは、接続されたAGVおよび牽引台車を示す図である。
図9図9は、本実施形態にかかる例示的なAGVの外観図である。
図10A図10Aは、AGVの第1のハードウェア構成例を示す図である。
図10B図10Bは、AGVの第2のハードウェア構成例を示す図である。
図11A図11Aは、移動しながら地図を生成するAGVを示す図である。
図11B図11Bは、移動しながら地図を生成するAGVを示す図である。
図11C図11Cは、移動しながら地図を生成するAGVを示す図である。
図11D図11Dは、移動しながら地図を生成するAGVを示す図である。
図11E図11Eは、移動しながら地図を生成するAGVを示す図である。
図11F図11Fは、完成した地図の一部を模式的に示す図である。
図12図12は、複数の部分地図によって1つのフロアの地図が構成される例を示す図である。
図13図13は、運行管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図14図14は、運行管理装置によって決定されたAGVの移動経路の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<用語>
本開示の実施形態を説明する前に、本明細書において使用する用語の定義を説明する。
【0010】
「無人搬送車」(AGV)とは、本体に人手または自動で荷物を積み込み、指示された場所まで自動走行し、人手または自動で荷卸しをする無軌道車両を意味する。「無人搬送車」は、無人牽引車および無人フォークリフトを含む。
【0011】
「無人」の用語は、車両の操舵に人を必要としないことを意味しており、無人搬送車が「人(たとえば荷物の積み下ろしを行う者)」を搬送することは除外しない。
【0012】
「無人牽引車」とは、人手または自動で荷物の積み込み荷卸しをする台車を牽引して、指示された場所まで自動走行する無軌道車両である。
【0013】
「無人フォークリフト」とは、荷物移載用のフォークなどを上下させるマストを備え、フォークなどに荷物を自動移載し指示された場所まで自動走行し、自動荷役作業をする無軌道車両である。
【0014】
「無軌道車両」とは、車輪と、車輪を回転させる電気モータまたはエンジンを備える移動体(vehicle)である。
【0015】
「移動体」とは、人または荷物を載せて移動する装置であり、移動のための駆動力(traction)を発生させる車輪、二足もしくは多足歩行装置、またはプロペラなどの駆動装置を備える。本開示における「移動体」の用語は、狭義の無人搬送車のみならず、モバイルロボット、サービスロボット、およびドローンを含む。
【0016】
「自動走行」は、無人搬送車が通信によって接続されるコンピュータの運行管理システムの指令に基づく走行と、無人搬送車が備える制御装置による自律的走行とを含む。自律的走行には、無人搬送車が所定の経路に沿って目的地に向かう走行のみならず、追尾目標に追従する走行も含まれる。また、無人搬送車は、一時的に作業者の指示に基づくマニュアル走行を行ってもよい。「自動走行」は、一般には「ガイド式」の走行および「ガイドレス式」の走行の両方を含むが、本開示では「ガイドレス式」の走行を意味する。
【0017】
「ガイド式」とは、誘導体を連続的または断続的に設置し、誘導体を利用して無人搬送車を誘導する方式である。
【0018】
「ガイドレス式」とは、誘導体を設置せずに誘導する方式である。本開示の実施形態における無人搬送車は、自己位置推定装置を備え、ガイドレス式で走行することができる。
【0019】
「自己位置推定装置」は、レーザレンジファインダなどの外界センサによって取得されたセンサデータに基づいて環境地図上における自己位置を推定する装置である。
【0020】
「外界センサ」は、移動体の外部の状態をセンシングするセンサである。外界センサには、たとえば、レーザレンジファインダ(測域センサともいう)、カメラ(またはイメージセンサ)、LIDAR(Light Detection and Ranging)、ミリ波レーダ、および磁気センサがある。
【0021】
「内界センサ」は、移動体の内部の状態をセンシングするセンサである。内界センサには、たとえばロータリエンコーダ(以下、単に「エンコーダ」と称することがある)、加速度センサ、および角加速度センサ(たとえばジャイロセンサ)がある。
【0022】
「SLAM(スラム)」とは、Simultaneous Localization and Mappingの略語であり、自己位置推定と環境地図作成を同時に行うことを意味する。
【0023】
<例示的な実施形態>
以下、添付の図面を参照しながら、本開示による移動体および移動体システムの一例を説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。たとえば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。本発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供する。これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似の構成要素には、同一の参照符号を付している。
【0024】
図1は、本開示の例示的な実施形態における移動体システム100の構成を模式的に示す図である。この移動体システム100は、自律的に移動することが可能な複数の移動体10と、複数の移動体10の運行を管理する運行管理装置(以下、単に「管理装置」と称することがある)50とを備えている。図1には、一例として、2台の移動体10が示されている。移動体システム100は、3台以上の移動体10を備えていてもよい。本実施形態では、移動体10は無人搬送車(AGV)である。以下の説明において、移動体10を「AGV10」と記述することがある。移動体10は、たとえば二足もしくは多足歩行ロボット、ホバークラフト、またはドローンなどの他の種類の移動体でもよい。
【0025】
管理装置50は、複数の移動体10の各々とネットワークを介して通信する第1通信回路54と、第1通信回路54を制御する第1制御回路51とを備えている。第1制御回路51は、複数の移動体10の各々の運行経路を決定し、それぞれの運行経路を示す信号を第1通信回路54を介して複数の移動体10に送信する。運行経路は、移動体10ごとに個別に決定されてもよいし、全ての移動体10が同一の運行経路に従って移動してもよい。複数の移動体10のうちの少なくとも2台の移動体10の運行経路は、少なくとも部分的に重複している。
【0026】
管理装置50から各移動体10に送信される「運行経路を示す信号」は、たとえば初期位置から目的位置までの経路上における複数の地点の位置を示す情報を含み得る。本明細書において、そのような地点を「マーカ」と称することがある。マーカは、各移動体10の運行経路に沿って、たとえば数十センチメートル(cm)から数メートル(m)程度の距離ごとに設定され得る。
【0027】
複数の移動体10の各々は、管理装置50からの指示に従い、運行経路に沿って移動する。典型的な例では、各移動体10は、環境地図のデータ(単に「環境地図」と称することがある)を記憶する記憶装置と、環境を周期的にスキャンし、スキャンごとにセンサデータを出力する外界センサとを備える。その場合、各移動体10は、センサデータと環境地図データとのマッチングによって自己の位置および姿勢(pose)を推定しながら、運行経路に沿って移動する。
【0028】
各移動体10は、運行経路上にある障害物を検知する機能と、障害物を回避する機能とを備える。各移動体10は、ネットワークを介して第1通信回路54と通信することが可能な第2通信回路14eと、障害物を検知する少なくとも1つの障害物センサ19と、移動体10の移動および通信を制御する第2制御回路14aとを備えている。第2制御回路14aは、第1制御回路54によって決定された運行経路に従って不図示の駆動装置を制御して移動体10を移動させる。第2制御回路14aは、センサ19によって運行経路上に障害物が検知されたとき、移動体10に障害物を回避させる。第2制御回路14aはこの際、障害物の存在を示す信号を第2通信回路14eを介して第1通信回路54に送信する。
【0029】
「障害物の存在を示す信号」は、たとえば障害物の位置情報、障害物を回避した移動体の軌跡の情報、または障害物の有無を示す情報を含み得る。障害物の存在を示す信号は、障害物の大きさまたはその障害物が占める領域に関する情報を含んでいてもよい。
【0030】
管理装置50における第1制御回路51は、複数の移動体10のいずれかから、障害物の存在を示す信号が送信されたとき、複数の移動体10のうち、当該障害物が存在する経路を通過する予定の移動体10の経路を変更する。
【0031】
一例として、運行経路を示す信号が、経路上における複数の地点(マーカ)の位置を示す情報を含む場合の動作を説明する。複数の移動体10のいずれかから障害物の存在を示す信号が送信されると、第1制御回路54は、その障害物が間に位置する2つの隣接する地点を特定する。第1制御回路54は、複数の移動体10のうち、当該2つの地点を含む経路を通過する予定の移動体10の経路を、当該2つの地点を含まない経路に変更する。
【0032】
このような動作により、後続の移動体10は、障害物の影響を受けることなく、新たな経路に沿って円滑に移動することができる。1つの移動体10が障害物を発見した後、他の移動体10は、その障害物を回避する動作を行う必要性がなくなる。このため、移動体システムの運行をより円滑にすることができる。
【0033】
以下、図2Aから図2Dを参照しながら、経路変更時の動作の例を説明する。ここでは一例として、「運行経路を示す信号」が、初期位置から目的位置までの経路上における複数の地点(マーカ)の位置を示す情報を含み、「障害物の存在を示す信号」が、障害物の位置を示す情報を含む場合の例を説明する。「障害物の位置を示す情報」は、障害物そのものの位置(座標)の情報に限らず、回避動作を行った移動体10の位置(座標)または軌跡の情報であってもよい。
【0034】
図2Aは、移動体10Aの運行経路上に障害物がない場合の例を示している。この場合、移動体10Aは、予め設定された運行経路(図中の折れ線矢印)に沿って移動する。より具体的には、移動体10Aは、管理装置50の第1制御回路51から指示された複数のマーカ(図2AではマーカMおよびMのみを例示)を順次辿り、初期位置から目的位置まで移動する。マーカ間の移動は直線的な移動である。移動体10Aは、予め運行経路上の全てのマーカの位置情報を取得していてもよいし、各マーカに到達する度に管理装置50から次のマーカの位置情報を要求してもよい。
【0035】
図2Bは、移動体10Aの運行経路上のマーカMとマーカMとの間に障害物70が存在する場合の回避動作の例を示している。障害物70は、環境地図上には存在しない物体であり、たとえば荷物、人、または他の移動体であり得る。移動体10Aの運行経路は、そのような障害物が存在しないものとして事前に決定されている。
【0036】
移動体10Aは、センサ19を用いて経路上に障害物70を発見すると、その障害物70を回避する動作を行う。たとえば、移動体10Aは、右折、左折、旋回などの動作を適宜組み合わせて障害物70を回避する。図2Bの例では、移動体10Aは障害物70を発見すると、以下の動作を行っている。
(1)障害物70の手前(たとえば数十cm手前)で進行方向を右に約90度転換して障害物70の幅と同程度の距離を前進する。障害物70の幅は、たとえばセンサ19またはレーザレンジファインダなどを利用して計測できる。
(2)進行方向を左に約90度転換して障害物70の幅よりもやや長い距離を前進する。
(3)進行方向を左に約90度転換して障害物70の幅程度の距離を前進する。
(4)進行方向を右に約90度転換してマーカMまで前進する。
【0037】
移動体10Aによる障害物70の回避動作は、この例に限らず、任意のアルゴリズムを適用することができる。
【0038】
移動体10Aは、障害物70を発見すると、障害物70の存在を示す信号を管理装置50に送信する。移動体10Aは、たとえば、マーカMとマーカMとの間に障害物70が存在することを示す信号、またはマーカMとマーカMとの間で行った移動体10Aの回避動作の軌跡(複数の座標の集合)を示す信号を管理装置50に送信する。移動体10Aがレーザレンジファインダを用いて障害物70の座標および大きさを計測できる場合は、障害物70の座標および大きさの情報を当該信号に含めてもよい。
【0039】
管理装置50の第1制御回路51は、移動体10Aから障害物70の存在を示す信号を受信すると、2つのマーカMおよびMを含む経路を通過する予定の後続の移動体10があるかを判定する。そのような移動体10がある場合、第1制御回路51は、その移動体10の経路を、当該2つのマーカMおよびMを含まない経路に変更する。
【0040】
図2Cは、変更後の経路の一例を示す図である。この例では、後続する他の移動体10Bの経路が、障害物70に衝突しないように僅かにシフトされた経路に変更されている。管理装置50の第1制御回路51は、マーカMおよびMを、マーカM'およびM'に変更することによってこの経路変更を実現している。
【0041】
図2Dは、変更後の経路の他の例を示す図である。この例では、後続する他の移動体10Bの経路が大幅に変更されている。変更後のマーカM'およびM'の位置は、元のマーカMおよびMの位置から大きく変化している。
【0042】
以上のような経路の変更が行われることにより、後続の移動体10Bは、障害物70を回避する動作を行うことなく、円滑に目的地まで移動することができる。
【0043】
図3は、管理装置50によって管理される各移動体10の運行経路を示すデータの一例を示す図である。このようなデータは、管理装置50が備える記憶装置(図1において不図示)に記録され得る。各移動体10の運行経路を示すデータは、図3に示すように、経路上の複数の地点(マーカ)の情報を含み得る。各マーカの情報は、そのマーカの位置(たとえばx座標およびy座標)およびその位置における移動体10の向き(たとえばx軸からの角度θ)の情報を含み得る。図3においては、各マーカの情報は、M11(x11,y11,θ11)などの記号で表されているが、これらはいずれも具体的な数値として記録される。
【0044】
図4は、管理装置50における第1制御回路51の動作の例を示すフローチャートである。この例において、第1制御回路51は、以下の動作を行う。
・ステップS101:各移動体10の移動経路を決定する。移動経路の決定は、ユーザもしくは管理者からの指示、または所定のプログラムに従って行われる。
・ステップS102:各移動体10への移動の指示を開始する。各移動体10への移動の指示の開始のタイミングも、ユーザまたは管理者からの指示、または所定のプログラムに従って行われる。
・ステップS103:いずれかの移動体10から障害物が存在する旨の通知を受けたかを判定する。この判定がYesの場合、ステップS104に移行する。この判定がNoの場合、ステップS103を再度実行する。
・ステップS104:障害物が存在する経路を通過する予定の後続の移動体10があるかを判定する。この判定は、たとえば障害物の位置と、各移動体10の経路との比較に基づいて行われ得る。この判定がYesの場合、ステップS105に移行する。この判定がNoの場合、ステップS103に戻る。
・ステップS105:後続の移動体10の経路を変更し、当該移動体10に経路変更を指示する。その後、ステップS103に移行する。
【0045】
図5は、移動体10における第2制御回路14aの動作の例を示すフローチャートである。この例において、第2制御回路14aは、移動開始後、以下の動作を行う。
・ステップS201:障害物センサ19が障害物を検知したかを判定する。この判定がYesの場合、ステップS202に移行する。この判定がNoの場合、ステップS203に移行する。
・ステップS202:障害物が存在する旨の信号を管理装置50に送信し、障害物を回避する動作を行う。
・ステップS203:管理装置50から経路変更の指示を受信したかを判定する。この判定がYesの場合、ステップS204に移行する。この判定がNoの場合、ステップS201に戻る。
・ステップS204:指示された変更後の経路に沿って移動する。
【0046】
以上の動作は一例であり、上記の動作を適宜改変してもよい。以下、本実施形態のいくつかの変形例を説明する。
【0047】
第1制御回路51は、経路を変更した後、障害物が除去されたことを示す信号が入力されたとき、変更した経路を元の経路に戻してもよい。障害物が除去されたことを示す信号は、たとえばその場所の近傍を移動する他の移動体10から送信されてもよいし、管理者またはユーザによって人手で入力されてもよい。
【0048】
第1制御回路51は、障害物の存在を示す信号が最初に送信されたときには障害物が存在する経路を通過する予定の移動体10の経路を変更せず、後続の移動体10に障害物の回避を任せてもよい。第1制御回路51は、n個(nは2以上の整数のいずれか)の移動体から障害物の存在を示す信号が送信されたとき、または当該障害物の存在を示す信号がn回送信されたときに初めて、当該障害物が存在する経路を通過する予定の移動体10の経路を変更してもよい。このような動作によれば、障害物が長時間存在する場合にだけ経路の変更が行われるため、短時間だけ障害物が存在する場合に経路変更が頻繁に行われることが回避される。
【0049】
各移動体10は、レーザレンジファインダと、環境地図を保持する記憶装置と、レーザレンジファインダから出力されたデータと環境地図とを照合することにより、環境地図上における移動体10の位置および向きの推定値を決定して出力する位置推定装置とをさらに備えていてもよい。この場合、第2制御回路14aは、位置推定装置から出力された位置および向きの推定値と、第1制御回路54から送信された運行経路を示す信号とに基づいて、移動体10を移動させる。
【0050】
第1制御回路54は、各移動体10に、環境地図を送信したり、状況に応じて環境地図の更新を指示してもよい。たとえば、第1制御回路54は、複数の移動体10のいずれかから障害物の存在を示す信号が送信された後、一定期間内(たとえば数時間から数日以内)に障害物が除去されたことを示す信号が入力されなかった場合、各移動体10に、障害物の情報を含む環境地図への更新を指示してもよい。
【0051】
以下、移動体が無人搬送車である場合のより具体的な例を説明する。以下の説明では、略語を用いて、無人搬送車を「AGV」と記述する。なお、以下の説明は、矛盾がない限り、AGV以外の移動体、たとえば二足もしくは多足の歩行ロボット、ドローン、ホバークラフト、または有人の車両などにも同様に適用することができる。
【0052】
(1)システムの基本構成
図6は、本開示による例示的な移動体管理システム100の基本構成例を示している。移動体管理システム100は、少なくとも1台のAGV10と、AGV10の運行管理を行う運行管理装置50とを含む。図6には、ユーザ1によって操作される端末装置20も記載されている。
【0053】
AGV10は、走行に磁気テープなどの誘導体が不要な「ガイドレス式」走行が可能な無人搬送台車である。AGV10は、自己位置推定を行い、推定の結果を端末装置20および運行管理装置50に送信することができる。AGV10は、運行管理装置50からの指令に従って移動空間S内を自動走行することが可能である。AGV10は、さらに、人または他の移動体に追従して移動する「追尾モード」で動作することが可能である。
【0054】
運行管理装置50は各AGV10の位置をトラッキングし、各AGV10の走行を管理するコンピュータシステムである。運行管理装置50は、デスクトップ型PC、ノート型PC、および/または、サーバコンピュータであり得る。運行管理装置50は、複数のアクセスポイント2を介して、各AGV10と通信する。たとえば、運行管理装置50は、各AGV10が次に向かうべき位置の座標のデータを各AGV10に送信する。各AGV10は、定期的に、たとえば100ミリ秒ごとに自身の位置および姿勢(orientation)を示すデータを運行管理装置50に送信する。指示した位置にAGV10が到達すると、運行管理装置50は、さらに次に向かうべき位置の座標のデータを送信する。AGV10は、端末装置20に入力されたユーザ1の操作に応じて移動空間S内を走行することも可能である。端末装置20の一例はタブレットコンピュータである。典型的には、端末装置20を利用したAGV10の走行は地図作成時に行われ、運行管理装置50を利用したAGV10の走行は地図作成後に行われる。
【0055】
図7は、3台のAGV10a、10bおよび10cが存在する移動空間Sの一例を示している。いずれのAGVも図中の奥行き方向に走行しているとする。AGV10aおよび10bは天板に載置された荷物を搬送中である。AGV10cは、前方のAGV10bに追従して走行している。なお、説明の便宜のため、図7では参照符号10a、10bおよび10cを付したが、以下では、「AGV10」と記述する。
【0056】
AGV10は、天板に載置された荷物を搬送する方法以外に、自身と接続された牽引台車を利用して荷物を搬送することも可能である。図8Aは接続される前のAGV10および牽引台車5を示している。牽引台車5の各足にはキャスターが設けられている。AGV10は牽引台車5と機械的に接続される。図8Bは、接続されたAGV10および牽引台車5を示している。AGV10が走行すると、牽引台車5はAGV10に牽引される。牽引台車5を牽引することにより、AGV10は、牽引台車5に載置された荷物を搬送できる。
【0057】
AGV10と牽引台車5との接続方法は任意である。ここでは一例を説明する。AGV10の天板にはプレート6が固定されている。牽引台車5には、スリットを有するガイド7が設けられている。AGV10は牽引台車5に接近し、プレート6をガイド7のスリットに差し込む。差し込みが完了すると、AGV10は、図示されない電磁ロック式ピンをプレート6およびガイド7に貫通させ、電磁ロックをかける。これにより、AGV10と牽引台車5とが物理的に接続される。
【0058】
再び図6を参照する。各AGV10と端末装置20とは、たとえば1対1で接続されてBluetooth(登録商標)規格に準拠した通信を行うことができる。各AGV10と端末装置20とは、1または複数のアクセスポイント2を利用してWi-Fi(登録商標)に準拠した通信を行うこともできる。複数のアクセスポイント2は、たとえばスイッチングハブ3を介して互いに接続されている。図6には2台のアクセスポイント2a、2bが記載されている。AGV10はアクセスポイント2aと無線で接続されている。端末装置20はアクセスポイント2bと無線で接続されている。AGV10が送信したデータはアクセスポイント2aで受信され、スイッチングハブ3を介してアクセスポイント2bに転送され、アクセスポイント2bから端末装置20に送信される。また、端末装置20が送信したデータは、アクセスポイント2bで受信され、スイッチングハブ3を介してアクセスポイント2aに転送され、アクセスポイント2aからAGV10に送信される。これにより、AGV10および端末装置20の間の双方向通信が実現される。複数のアクセスポイント2はスイッチングハブ3を介して運行管理装置50とも接続されている。これにより、運行管理装置50と各AGV10との間でも双方向通信が実現される。
【0059】
(2)環境地図の作成
自己位置を推定しながらAGV10が走行できるようにするため、移動空間S内の地図が作成される。AGV10には位置推定装置およびレーザレンジファインダが搭載されており、レーザレンジファインダの出力を利用して地図を作成できる。
【0060】
AGV10は、ユーザの操作によってデータ取得モードに遷移する。データ取得モードにおいて、AGV10はレーザレンジファインダを用いたセンサデータの取得を開始する。レーザレンジファインダは周期的にたとえば赤外線または可視光のレーザビームを周囲に放射して周囲の空間Sをスキャンする。レーザビームは、たとえば、壁、柱等の構造物、床の上に置かれた物体等の表面で反射される。レーザレンジファインダは、レーザビームの反射光を受けて各反射点までの距離を計算し、各反射点の位置が示された測定結果のデータを出力する。各反射点の位置には、反射光の到来方向および距離が反映されている。測定結果のデータは「計測データ」または「センサデータ」と呼ばれることがある。
【0061】
位置推定装置は、センサデータを記憶装置に蓄積する。移動空間S内のセンサデータの取得が完了すると、記憶装置に蓄積されたセンサデータが外部装置に送信される。外部装置は、たとえば信号処理プロセッサを有し、かつ、地図作成プログラムがインストールされたコンピュータである。
【0062】
外部装置の信号処理プロセッサは、スキャンごとに得られたセンサデータ同士を重ね合わせる。信号処理プロセッサが重ね合わせる処理を繰り返し行うことにより、空間Sの地図を作成することができる。外部装置は、作成した地図のデータをAGV10に送信する。AGV10は、作成した地図のデータを内部の記憶装置に保存する。外部装置は、運行管理装置50であってもよいし、他の装置であってもよい。
【0063】
外部装置ではなくAGV10が地図の作成を行ってもよい。上述した外部装置の信号処理プロセッサが行った処理を、AGV10のマイクロコントローラユニット(マイコン)などの回路が行えばよい。AGV10内で地図を作成する場合には、蓄積されたセンサデータを外部装置に送信する必要が無くなる。センサデータのデータ容量は一般には大きいと考えられる。センサデータを外部装置に送信する必要がないため、通信回線の占有を回避できる。
【0064】
なお、センサデータを取得するための移動空間S内の移動は、ユーザの操作に従ってAGV10が走行することによって実現し得る。たとえば、AGV10は、端末装置20を介して無線でユーザから前後左右の各方向への移動を指示する走行指令を受け取る。AGV10は走行指令にしたがって移動空間S内を前後左右に走行し、地図を作成する。AGV10がジョイスティック等の操縦装置と有線で接続されている場合には、当該操縦装置からの制御信号にしたがって移動空間S内を前後左右に走行し、地図を作成してもよい。レーザレンジファインダを搭載した計測台車を人が押し歩くことによってセンサデータを取得してもよい。
【0065】
なお、図6および図7には複数台のAGV10が示されているが、AGVは1台であってもよい。複数台のAGV10が存在する場合、ユーザ1は端末装置20を利用して、登録された複数のAGVのうちから一台のAGV10を選択して、移動空間Sの地図を作成させることができる。
【0066】
地図が作成されると、以後、各AGV10は当該地図を利用して自己位置を推定しながら自動走行することができる。自己位置を推定する処理の説明は後述する。
【0067】
(3)AGVの構成
図9は、本実施形態にかかる例示的なAGV10の外観図である。AGV10は、2つの駆動輪11aおよび11bと、4つのキャスター11c、11d、11eおよび11fと、フレーム12と、搬送テーブル13と、走行制御装置14と、レーザレンジファインダ15とを有する。2つの駆動輪11aおよび11bは、AGV10の右側および左側にそれぞれ設けられている。4つのキャスター11c、11d、11eおよび11fは、AGV10の4隅に配置されている。なお、AGV10は、2つの駆動輪11aおよび11bに接続される複数のモータも有するが、複数のモータは図9には示されていない。また、図9には、AGV10の右側に位置する1つの駆動輪11aおよび2つのキャスター11cおよび11eと、左後部に位置するキャスター11fとが示されているが、左側の駆動輪11bおよび左前部のキャスター11dはフレーム12の蔭に隠れているため明示されていない。4つのキャスター11c、11d、11eおよび11fは、自由に旋回することができる。以下の説明では、駆動輪11aおよび駆動輪11bを、それぞれ車輪11aおよび車輪11bとも称する。
【0068】
AGV10は、さらに、障害物を検知するための少なくとも1つの障害物センサ19を備えている。図9の例では、フレーム12の4隅に4つの障害物センサ19が設けられている。障害物センサ19の個数および配置は、図9の例とは異なっていてもよい。障害物センサ19は、たとえば、赤外線センサ、超音波センサ、またはステレオカメラなどの、距離計測が可能な装置であり得る。障害物センサ19が赤外線センサである場合、たとえば一定時間ごとに赤外線を出射し、反射された赤外線が戻ってくるまでの時間を計測することにより、一定距離以内に存在する障害物を検知することができる。AGV10は、少なくとも1つの障害物センサ19から出力された信号に基づいて経路上の障害物を検知したとき、その障害物を回避する動作を行う。
【0069】
走行制御装置14は、AGV10の動作を制御する装置であり、主としてマイコン(後述)を含む集積回路、電子部品およびそれらが搭載された基板を含む。走行制御装置14は、上述した、端末装置20とのデータの送受信、および前処理演算を行う。
【0070】
レーザレンジファインダ15は、たとえば赤外線または可視光のレーザビーム15aを放射し、当該レーザビーム15aの反射光を検出することにより、反射点までの距離を測定する光学機器である。本実施形態では、AGV10のレーザレンジファインダ15は、たとえばAGV10の正面を基準として左右135度(合計270度)の範囲の空間に、0.25度ごとに方向を変化させながらパルス状のレーザビーム15aを放射し、各レーザビーム15aの反射光を検出する。これにより、0.25度ごと、合計1081ステップ分の角度で決まる方向における反射点までの距離のデータを得ることができる。なお、本実施形態では、レーザレンジファインダ15が行う周囲の空間のスキャンは実質的に床面に平行であり、平面的(二次元的)である。しかしながら、レーザレンジファインダ15は高さ方向のスキャンを行ってもよい。
【0071】
AGV10の位置および姿勢(向き)と、レーザレンジファインダ15のスキャン結果とにより、AGV10は、空間Sの地図を作成することができる。地図には、AGVの周囲の壁、柱等の構造物、床の上に載置された物体の配置が反映され得る。地図のデータは、AGV10内に設けられた記憶装置に格納される。
【0072】
一般に、移動体の位置および姿勢は、ポーズ(pose)と呼ばれる。二次元面内における移動体の位置および姿勢は、XY直交座標系における位置座標(x, y)と、X軸に対する角度θによって表現される。AGV10の位置および姿勢、すなわちポーズ(x, y, θ)を、以下、単に「位置」と呼ぶことがある。
【0073】
レーザビーム15aの放射位置から見た反射点の位置は、角度および距離によって決定される極座標を用いて表現され得る。本実施形態では、レーザレンジファインダ15は極座標で表現されたセンサデータを出力する。ただし、レーザレンジファインダ15は、極座標で表現された位置を直交座標に変換して出力してもよい。
【0074】
レーザレンジファインダの構造および動作原理は公知であるため、本明細書ではこれ以上の詳細な説明は省略する。レーザレンジファインダ15によって検出され得る物体の例は、人、荷物、棚、壁である。
【0075】
レーザレンジファインダ15は、周囲の空間をセンシングしてセンサデータを取得するための外界センサの一例である。そのような外界センサの他の例としては、イメージセンサおよび超音波センサが考えられる。
【0076】
走行制御装置14は、レーザレンジファインダ15の測定結果と、自身が保持する地図データとを比較して、自身の現在位置を推定することができる。なお、保持されている地図データは、他のAGV10が作成した地図データであってもよい。
【0077】
図10Aは、AGV10の第1のハードウェア構成例を示している。また図10Aは、走行制御装置14の具体的な構成も示している。
【0078】
AGV10は、走行制御装置14と、レーザレンジファインダ15と、2台のモータ16aおよび16bと、駆動装置17と、車輪11aおよび11bと、2つのロータリエンコーダ18aおよび18bとを備えている。
【0079】
走行制御装置14は、マイコン14aと、メモリ14bと、記憶装置14cと、通信回路14dと、位置推定装置14eとを有している。マイコン14a、メモリ14b、記憶装置14c、通信回路14dおよび位置推定装置14eは通信バス14fで接続されており、相互にデータを授受することが可能である。レーザレンジファインダ15もまた通信インタフェース(図示せず)を介して通信バス14fに接続されており、計測結果である計測データを、マイコン14a、位置推定装置14eおよび/またはメモリ14bに送信する。マイコン14aは、図1に示す第2制御回路14aとしても機能する。
【0080】
マイコン14aは、走行制御装置14を含むAGV10の全体を制御するための演算を行うプロセッサまたは制御回路(コンピュータ)である。典型的にはマイコン14aは半導体集積回路である。マイコン14aは、制御信号であるPWM(Pulse Width Modulation)信号を駆動装置17に送信して駆動装置17を制御し、モータに印加する電圧を調整させる。これによりモータ16aおよび16bの各々が所望の回転速度で回転する。
【0081】
左右のモータ16aおよび16bの駆動を制御する1つ以上の制御回路(たとえばマイコン)を、マイコン14aとは独立して設けてもよい。たとえば、モータ駆動装置17が、モータ16aおよび16bの駆動をそれぞれ制御する2つのマイコンを備えていてもよい。それらの2つのマイコンは、エンコーダ18aおよび18bから出力されたエンコーダ情報を用いた座標計算をそれぞれ行い、所与の初期位置からのAGV10の移動距離を推定してもよい。また、当該2つのマイコンは、エンコーダ情報を利用してモータ駆動回路17aおよび17bを制御してもよい。
【0082】
メモリ14bは、マイコン14aが実行するコンピュータプログラムを記憶する揮発性の記憶装置である。メモリ14bは、マイコン14aおよび位置推定装置14eが演算を行う際のワークメモリとしても利用され得る。
【0083】
記憶装置14cは、不揮発性の半導体メモリ装置である。ただし、記憶装置14cは、ハードディスクに代表される磁気記録媒体、または、光ディスクに代表される光学式記録媒体であってもよい。さらに、記憶装置14cは、いずれかの記録媒体にデータを書き込みおよび/または読み出すためのヘッド装置および当該ヘッド装置の制御装置を含んでもよい。
【0084】
記憶装置14cは、走行する空間Sの地図データM、および、1または複数の走行経路のデータ(走行経路データ)Rを記憶する。地図データMは、AGV10が地図作成モードで動作することによって作成され記憶装置14cに記憶される。走行経路データRは、地図データMが作成された後に外部から送信される。本実施形態では、地図データMおよび走行経路データRは同じ記憶装置14cに記憶されているが、異なる記憶装置に記憶されてもよい。
【0085】
走行経路データRの例を説明する。
【0086】
端末装置20がタブレットコンピュータである場合には、AGV10はタブレットコンピュータから走行経路を示す走行経路データRを受信する。このときの走行経路データRは、複数のマーカの位置を示すマーカデータを含む。「マーカ」は走行するAGV10の通過位置(経由点)を示す。走行経路データRは、走行開始位置を示す開始マーカおよび走行終了位置を示す終了マーカの位置情報を少なくとも含む。走行経路データRは、さらに、1以上の中間経由点のマーカの位置情報を含んでもよい。走行経路が1以上の中間経由点を含む場合には、開始マーカから、当該走行経由点を順に経由して終了マーカに至る経路が、走行経路として定義される。各マーカのデータは、そのマーカの座標データに加えて、次のマーカに移動するまでのAGV10の向き(角度)および走行速度のデータを含み得る。AGV10が各マーカの位置で一旦停止し、自己位置推定および端末装置20への通知などを行う場合には、各マーカのデータは、当該走行速度に達するまでの加速に要する加速時間、および/または、当該走行速度から次のマーカの位置で停止するまでの減速に要する減速時間のデータを含み得る。
【0087】
端末装置20ではなく運行管理装置50(たとえば、PCおよび/またはサーバコンピュータ)がAGV10の移動を制御してもよい。その場合には、運行管理装置50は、AGV10がマーカに到達する度に、次のマーカへの移動をAGV10に指示してもよい。たとえば、AGV10は、運行管理装置50から、次に向かうべき目的位置の座標データ、または、当該目的位置までの距離および進むべき角度のデータを、走行経路を示す走行経路データRとして受信する。
【0088】
AGV10は、作成された地図と走行中に取得されたレーザレンジファインダ15が出力したセンサデータとを利用して自己位置を推定しながら、記憶された走行経路に沿って走行することができる。
【0089】
通信回路14dは、たとえば、Bluetooth(登録商標)および/またはWi-Fi(登録商標)規格に準拠した無線通信を行う無線通信回路である。いずれの規格も、2.4GHz帯の周波数を利用した無線通信規格を含む。たとえばAGV10を走行させて地図を作成するモードでは、通信回路14dは、Bluetooth(登録商標)規格に準拠した無線通信を行い、1対1で端末装置20と通信する。
【0090】
位置推定装置14eは、地図の作成処理、および、走行時には自己位置の推定処理を行う。位置推定装置14eは、AGV10の位置および姿勢とレーザレンジファインダのスキャン結果とにより、移動空間Sの地図を作成する。走行時には、位置推定装置14eは、レーザレンジファインダ15からセンサデータを受け取り、また、記憶装置14cに記憶された地図データMを読み出す。レーザレンジファインダ15のスキャン結果から作成された局所的地図データ(センサデータ)と、より広範囲の地図データMとのマッチングを行うことにより、地図データM上における自己位置(x, y, θ)を同定する。位置推定装置14eは、局所的地図データが地図データMに一致した程度を表す「信頼度」のデータを生成する。自己位置(x, y, θ)、および、信頼度の各データは、AGV10から端末装置20または運行管理装置50に送信され得る。端末装置20または運行管理装置50は、自己位置(x, y, θ)、および、信頼度の各データを受信して、内蔵または接続された表示装置に表示することができる。
【0091】
本実施形態では、マイコン14aと位置推定装置14eとは別個の構成要素であるとしているが、これは一例である。マイコン14aおよび位置推定装置14eの各動作を独立して行うことが可能な1つのチップ回路または半導体集積回路であってもよい。図10Aには、マイコン14aおよび位置推定装置14eを包括するチップ回路14gが示されている。以下では、マイコン14aおよび位置推定装置14eが別個独立に設けられている例を説明する。
【0092】
2台のモータ16aおよび16bは、それぞれ2つの車輪11aおよび11bに取り付けられ、各車輪を回転させる。つまり、2つの車輪11aおよび11bはそれぞれ駆動輪である。本明細書では、モータ16aおよびモータ16bは、それぞれAGV10の右輪および左輪を駆動するモータであるとして説明する。
【0093】
移動体10は、さらに、車輪11aおよび11bの回転位置または回転速度を測定するエンコーダユニット18をさらに備えている。エンコーダユニット18は、第1ロータリエンコーダ18aおよび第2ロータリエンコーダ18bを含む。第1ロータリエンコーダ18aは、モータ16aから車輪11aまでの動力伝達機構のいずれかの位置における回転を計測する。第2ロータリエンコーダ18bは、モータ16bから車輪11bまでの動力伝達機構のいずれかの位置における回転を計測する。エンコーダユニット18は、ロータリエンコーダ18aおよび18bによって取得された信号を、マイコン14aに送信する。マイコン14aは、位置推定装置14eから受信した信号だけでなく、エンコーダユニット18から受信した信号を利用して、移動体10の移動を制御してもよい。
【0094】
駆動装置17は、2台のモータ16aおよび16bの各々に印加される電圧を調整するためのモータ駆動回路17aおよび17bを有する。モータ駆動回路17aおよび17bの各々はいわゆるインバータ回路を含む。モータ駆動回路17aおよび17bは、マイコン14aまたはモータ駆動回路17a内のマイコンから送信されたPWM信号によって各モータに流れる電流をオンまたはオフし、それによりモータに印加される電圧を調整する。
【0095】
図10Bは、AGV10の第2のハードウェア構成例を示している。第2のハードウェア構成例は、レーザ測位システム14hを有する点、および、マイコン14aが各構成要素と1対1で接続されている点において、第1のハードウェア構成例(図10A)と相違する。
【0096】
レーザ測位システム14hは、位置推定装置14eおよびレーザレンジファインダ15を有する。位置推定装置14eおよびレーザレンジファインダ15は、たとえばイーサネット(登録商標)ケーブルで接続されている。位置推定装置14eおよびレーザレンジファインダ15の各動作は上述した通りである。レーザ測位システム14hは、AGV10のポーズ(x, y, θ)を示す情報をマイコン14aに出力する。
【0097】
マイコン14aは、種々の汎用I/Oインタフェースまたは汎用入出力ポート(図示せず)を有している。マイコン14aは、通信回路14d、レーザ測位システム14h等の、走行制御装置14内の他の構成要素と、当該汎用入出力ポートを介して直接接続されている。
【0098】
図10Bに関して上述した構成以外は、図10Aの構成と共通である。よって共通の構成の説明は省略する。
【0099】
本開示の実施形態におけるAGV10は、図示されていないバンパースイッチなどのセーフティセンサを備えていてもよい。AGV10は、ジャイロセンサなどの慣性計測装置を備えていてもよい。ロータリエンコーダ18aおよび18bまたは慣性計測装置などの内界センサによる測定データを利用すれば、AGV10の移動距離および姿勢の変化量(角度)を推定することができる。これらの距離および角度の推定値は、オドメトリデータと呼ばれ、位置推定装置14eによって得られる位置および姿勢の情報を補助する機能を発揮し得る。
【0100】
(4)地図データ
図11A図11Fは、センサデータを取得しながら移動するAGV10を模式的に示す。ユーザ1は、端末装置20を操作しながらマニュアルでAGV10を移動させてもよい。あるいは、図10Aおよび6Bに示される走行制御装置14を備えるユニット、または、AGV10そのものを台車に載置し、台車をユーザ1が手で押す、または牽くことによってセンサデータを取得してもよい。
【0101】
図11Aには、レーザレンジファインダ15を用いて周囲の空間をスキャンするAGV10が示されている。所定のステップ角毎にレーザビームが放射され、スキャンが行われる。なお、図示されたスキャン範囲は模式的に示した例であり、上述した合計270度のスキャン範囲とは異なっている。
【0102】
図11A図11Fの各々では、レーザビームの反射点の位置が、記号「・」で表される複数の黒点4を用いて模式的に示されている。レーザビームのスキャンは、レーザレンジファインダ15の位置および姿勢が変化する間に短い周期で実行される。このため、現実の反射点の個数は、図示されている反射点4の個数よりも遥かに多い。位置推定装置14eは、走行に伴って得られる黒点4の位置を、たとえばメモリ14bに蓄積する。AGV10が走行しながらスキャンを継続して行うことにより、地図データが徐々に完成されてゆく。図11Bから図11Eでは、簡略化のためスキャン範囲のみが示されている。当該スキャン範囲は例示であり、上述した合計270度の例とは異なる。
【0103】
地図は、地図作成に必要な量のセンサデータを取得した後、そのセンサデータに基づいて、このAGV10内のマイコン14aまたは外部のコンピュータを用いて作成してもよい。あるいは、移動しつつあるAGV10が取得したセンサデータに基づいてリアルタイムで地図を作成してもよい。
【0104】
図11Fは、完成した地図80の一部を模式的に示す。図11Fに示される地図では、レーザビームの反射点の集まりに相当する点群(Point Cloud)によって自由空間が仕切られている。地図の他の例は、物体が占有している空間と自由空間とをグリッド単位で区別する占有格子地図である。位置推定装置14eは、地図のデータ(地図データM)をメモリ14bまたは記憶装置14cに蓄積する。なお図示されている黒点の数または密度は一例である。
【0105】
こうして得られた地図データは、複数のAGV10によって共有され得る。
【0106】
AGV10が地図データに基づいて自己位置を推定するアルゴリズムの典型例は、ICP(Iterative Closest Point)マッチングである。前述したように、レーザレンジファインダ15のスキャン結果から作成された局所的地図データ(センサデータ)と、より広範囲の地図データMとのマッチングを行うことにより、地図データM上における自己位置(x, y, θ)を推定することができる。
【0107】
AGV10が走行するエリアが広い場合、地図データMのデータ量が多くなる。そのため、地図の作成時間が増大したり、自己位置推定に多大な時間を要するなどの不都合が生じる可能性がある。そのような不都合が生じる場合には、地図データMを、複数の部分地図のデータに分けて作成および記録してもよい。
【0108】
図12は、4つの部分地図データM1、M2、M3、M4の組み合わせによって1つの工場の1フロアの全域がカバーされる例を示している。この例では、1つの部分地図データは50m×50mの領域をカバーしている。X方向およびY方向のそれぞれにおいて隣接する2つの地図の境界部分に、幅5mの矩形の重複領域が設けられている。この重複領域を「地図切替エリア」と呼ぶ。1つの部分地図を参照しながら走行しているAGV10が地図切替エリアに到達すると、隣接する他の部分地図を参照する走行に切り替える。部分地図の枚数は4枚に限らず、AGV10が走行するフロアの面積、地図作成および自己位置推定を実行するコンピュータの性能に応じて適宜設定してよい。部分地図データのサイズおよび重複領域の幅も、上記の例に限定されず、任意に設定してよい。
【0109】
(5)運行管理装置の構成例
図13は、運行管理装置50のハードウェア構成例を示している。運行管理装置50は、CPU51と、メモリ52と、位置データベース(位置DB)53と、通信回路54と、地図データベース(地図DB)55と、画像処理回路56とを有する。
【0110】
CPU51、メモリ52、位置DB53、通信回路54、地図DB55および画像処理回路56は通信バス57で接続されており、相互にデータを授受することが可能である。
【0111】
CPU51は、運行管理装置50の動作を制御する信号処理回路(コンピュータ)である。典型的にはCPU51は半導体集積回路である。CPU51は、図1に示す第1制御回路51として機能する。
【0112】
メモリ52は、CPU51が実行するコンピュータプログラムを記憶する、揮発性の記憶装置である。メモリ52は、CPU51が演算を行う際のワークメモリとしても利用され得る。
【0113】
位置DB53は、各AGV10の行き先となり得る各位置を示す位置データを格納する。位置データは、たとえば管理者によって工場内に仮想的に設定された座標によって表され得る。位置データは管理者によって決定される。
【0114】
通信回路54は、たとえばイーサネット(登録商標)規格に準拠した有線通信を行う。通信回路54はアクセスポイント2(図1)と有線で接続されており、アクセスポイント2を介して、AGV10と通信することができる。通信回路54は、AGV10に送信すべきデータを、バス57を介してCPU51から受信する。また通信回路54は、AGV10から受信したデータ(通知)を、バス57を介してCPU51および/またはメモリ52に送信する。
【0115】
図DB55は、AGV10が走行する工場等の内部の地図のデータを格納する。当該地図は、地図80図11F)と同じであってもよいし、異なっていてもよい。各AGV10の位置と1対1で対応関係を有する地図であれば、データの形式は問わない。たとえば地図DB55に格納される地図は、CADによって作成された地図であってもよい。
【0116】
位置DB53および地図DB55は、不揮発性の半導体メモリ上に構築されてもよいし、ハードディスクに代表される磁気記録媒体、または光ディスクに代表される光学式記録媒体上に構築されてもよい。
【0117】
画像処理回路56はモニタ58に表示される映像のデータを生成する回路である。画像処理回路56は、専ら、管理者が運行管理装置50を操作する際に動作する。本実施形態では特にこれ以上の詳細な説明は省略する。なお、モニタ59は運行管理装置50と一体化されていてもよい。また画像処理回路56の処理をCPU51が行ってもよい。
【0118】
(6)運行管理装置の動作
図14を参照しながら、運行管理装置50の動作の概要を説明する。図14は、運行管理装置50によって決定されたAGV10の移動経路の一例を模式的に示す図である。
【0119】
AGV10および運行管理装置50の動作の概要は以下のとおりである。以下では、あるAGV10が現在、地点(マーカ)Mにおり、幾つかの位置を通過して、最終的な目的地であるマーカMn+1(n:1以上の正の整数)まで走行する例を説明する。なお、位置DB53にはマーカMの次に通過すべきマーカM、マーカMの次に通過すべきマーカM等の各位置を示す座標データが記録されている。
【0120】
運行管理装置50のCPU51は、位置DB53を参照してマーカMの座標データを読み出し、マーカMに向かわせる走行指令を生成する。通信回路54は、アクセスポイント2を介して走行指令をAGV10に送信する。
【0121】
CPU51は、AGV10から、アクセスポイント2を介して、定期的に現在位置および姿勢を示すデータを受信する。こうして運行管理装置50は、各AGV10の位置をトラッキングすることができる。CPU51は、AGV10の現在位置がマーカMに一致したと判定すると、マーカMの座標データを読み出し、マーカMに向かわせる走行指令を生成してAGV10に送信する。つまり運行管理装置50は、AGV10がある位置に到達したと判定すると、次に通過すべき位置に向かわせる走行指令を送信する。これにより、AGV10は最終的な目的地であるマーカMn+1に到達することができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本開示の移動体および移動体管理システムは、工場、倉庫、建設現場、物流、病院などで荷物、部品、完成品などの物の移動および搬送に好適に利用され得る。
【符号の説明】
【0123】
1・・・ユーザ、2a、2b・・・アクセスポイント、10・・・AGV(移動体)、14・・・走行制御装置、14a・・・マイコン(第2制御回路)、14b・・・メモリ、14c・・・記憶装置、14d・・・通信回路(第2通信回路)、14e・・・位置推定装置、16a、16b・・・モータ、15・・・レーザレンジファインダ、17・・・駆動装置、17a、17b・・・モータ駆動回路、18・・・エンコーダユニット、18a、18b・・・ロータリエンコーダ、19・・・障害物センサ、20・・・端末装置(タブレットコンピュータなどのモバイルコンピュータ)、50・・・運行管理装置、51・・・CPU(第1制御回路)、52・・・メモリ、53・・・位置データベース(位置DB)、54・・・通信回路(第1通信回路)、55・・・地図データベース(地図DB)、56・・・画像処理回路、100・・・移動体管理システム、101・・・移動体、103・・・外界センサ、105・・・位置推定装置、107・・・記憶装置、109・・・コントローラ、111・・・駆動装置
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図11F
図12
図13
図14