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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】モジュールシステムおよび通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20220906BHJP
   F21K 9/23 20160101ALI20220906BHJP
   F21V 33/00 20060101ALI20220906BHJP
   H05B 47/175 20200101ALI20220906BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
F21K9/23
F21V33/00 300
H05B47/175
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018232582
(22)【出願日】2018-12-12
(65)【公開番号】P2020096277
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】518319436
【氏名又は名称】株式会社stak
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 振一郎
(72)【発明者】
【氏名】上本 遼
【審査官】鈴木 香苗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/098287(WO,A1)
【文献】特開2018-018577(JP,A)
【文献】特開2017-017027(JP,A)
【文献】特開2002-198970(JP,A)
【文献】特開2020-013758(JP,A)
【文献】特表2019-525536(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0142810(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2014-0132491(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
F21K 9/23
F21V 33/00
H05B 47/175
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モジュールと、第2モジュールとを有するモジュールシステムであって、
前記第1モジュールは、
照明器具用のソケットに接続可能な口金と、
前記第2モジュールと第1系統および第2系統の2種類の通信に用いる第1接続部と、
前記第2モジュールを保持する保持部と、
前記第2モジュールとの前記2種類の通信を制御する第1制御部と、を有し、
前記第2モジュールは、
前記第1接続部と接続し、前記第1モジュールと前記2種類の通信に用いる第2接続部と、
前記第1モジュールとの前記2種類の通信を制御する第2制御部と、を有し、
前記第2制御部は、前記第2モジュールの電源投入時にランダムに生成した第1識別子を前記第1系統の通信を用いて前記第1制御部に送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記第1識別子に対して、前記第2系統の通信を行う前記第2接続部の端子番号を指定し、指定した前記端子番号と、前記第1識別子とを対応付けて、前記第2制御部に送信し、
前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記第1識別子が、自身が送信した第1識別子であると判定した場合、前記第1制御部から受信した前記端子番号に対応する前記第2接続部の端子と、前記第2モジュールの種別を識別する第2識別子とを用いて前記第2系統の通信を行う、
ことを特徴とするモジュールシステム。
【請求項2】
前記第2モジュールは、
さらに、他の第2モジュールを保持する保持部と、
前記他の第2モジュールと接続し、接続した前記他の第2モジュールと、前記2種類の通信に用いる第3接続部と、
を有することを特徴とする請求項1に記載のモジュールシステム。
【請求項3】
前記第1系統の通信は、前記第1モジュールと、複数の前記第2モジュールとの間で通信可能な非同期通信である、
ことを特徴とする請求項2に記載のモジュールシステム。
【請求項4】
前記第2系統の通信は、前記第1モジュールと、1つの前記第2モジュールとの間で通信可能な同期通信である、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のモジュールシステム。
【請求項5】
前記第2モジュールは、さらに、無線通信部を有し、
前記第2制御部は、前記無線通信部で受信した情報を前記第1モジュールに送信し、
前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した情報に基づいて、前記他の第2モジュールの動作を制御する、
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1つに記載のモジュールシステム。
【請求項6】
前記第2モジュールは、虫除けモジュールと、照明モジュールとであり、
前記虫除けモジュールは、前記照明モジュールの点灯状態と、時刻とに基づいて、動作時間を決定する、
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1つに記載のモジュールシステム。
【請求項7】
前記第2モジュールは、フレグランスモジュールであり、時刻に応じて異なる香りを出力する、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1つに記載のモジュールシステム。
【請求項8】
前記第1モジュールは、さらに、無線通信部を有し、
前記第1制御部は、前記無線通信部で受信した情報に基づいて、前記第2モジュールの動作を制御する、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1つに記載のモジュールシステム。
【請求項9】
前記第1識別子は、前記第2モジュールの種別に応じて生成範囲が異なる識別子である、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1つに記載のモジュールシステム。
【請求項10】
前記第1制御部は、前記第2系統の通信が確立された後に、前記第1系統の通信に用いた通信経路を用いて前記第2モジュールの死活監視を行う、
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1つに記載のモジュールシステム。
【請求項11】
第1モジュールと、第2モジュールとを有するモジュールシステムの通信方法であって、
前記第2モジュールは、該第2モジュールの電源投入時にランダムに生成した第1識別子を第1系統の通信を用いて前記第1モジュールに送信し、
前記第1モジュールは、前記第2モジュールから受信した前記第1識別子に対して、前記第1系統と異なる第2系統の通信を行う接続部の端子番号を指定し、指定した前記端子番号と、前記第1識別子とを対応付けて、前記第2モジュールに送信し、
前記第2モジュールは、前記第1モジュールから受信した前記第1識別子が、自身が送信した第1識別子であると判定した場合、前記第1モジュールから受信した前記端子番号に対応する前記接続部の端子と、前記第2モジュールの種別を識別する第2識別子とを用いて前記第2系統の通信を行う、
処理をモジュールシステムが実行することを特徴とする通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールシステムおよび通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リモートコントローラ(以下、リモコンという。)を用いて制御可能な照明器具がある。このような照明器具では、当該照明器具専用のリモコンを用いて点灯を制御している。また、近年、様々な物をネットワークに接続するIoT(Internet of Things)と呼ばれる技術が提案されている。例えば、無線通信機能を有し、スマートフォン等で制御可能な機能モジュールを有するシステムが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2015/098287号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のシステムでは、機能モジュールごとに無線通信機能を有するため、機能モジュール間で通信を行うことは想定されていない。このため、複数の機能モジュールが接続された場合に、各機能モジュール間で有線による通信経路の確立が難しい。従って、複数のモジュールがある場合に、他のモジュールを容易に制御することが困難である。
【0005】
一つの側面では、複数のモジュールがある場合に、他のモジュールを容易に制御することができるモジュールシステムおよび通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様では、モジュールシステムは、第1モジュールと、第2モジュールとを有する。前記第1モジュールは、口金と、第1接続部と、保持部と、第1制御部とを有する。前記口金は、照明器具用のソケットに接続可能である。前記第1接続部は、前記第2モジュールと第1系統および第2系統の2種類の通信に用いる。前記保持部は、前記第2モジュールを保持する。前記第1制御部は、前記第2モジュールとの前記2種類の通信を制御する。前記第2モジュールは、第2接続部と、第2制御部とを有する。前記第2接続部は、前記第1接続部と接続し、前記第1モジュールと前記2種類の通信に用いる。前記第2制御部は、前記第1モジュールとの前記2種類の通信を制御する。前記第2制御部は、前記第2モジュールの電源投入時にランダムに生成した第1識別子を前記第1系統の通信を用いて前記第1制御部に送信する。前記第1制御部は、前記第2制御部から受信した前記第1識別子に対して、前記第2系統の通信を行う前記第2接続部の端子番号を指定し、指定した前記端子番号と、前記第1識別子とを対応付けて、前記第2制御部に送信する。前記第2制御部は、前記第1制御部から受信した前記第1識別子が、自身が送信した第1識別子であると判定した場合、前記第1制御部から受信した前記端子番号に対応する前記第2接続部の端子と、前記第2モジュールの種別を識別する第2識別子とを用いて前記第2系統の通信を行う。
【発明の効果】
【0007】
複数のモジュールがある場合に、他のモジュールを容易に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施例のモジュールシステムの構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、実施例のベースモジュールの一例を示す斜視図である。
図3図3は、ベースモジュールの底面図である。
図4図4は、実施例の赤外線モジュールの構成の一例を示す斜視図である。
図5図5は、実施例の照明モジュールの構成の一例を示す斜視図である。
図6図6は、実施例のベースモジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。
図7図7は、実施例の赤外線モジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。
図8図8は、実施例の照明モジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。
図9図9は、実施例の通信処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて、本願の開示するモジュールシステムおよび通信方法の実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例により、開示技術が限定されるものではない。
【実施例
【0010】
図1は、実施例のモジュールシステムの構成の一例を示す斜視図である。図1に示すモジュールシステム1は、ベースモジュール10と、赤外線モジュール20と、照明モジュール30とを有する。ベースモジュール10は、第1モジュールの一例である。また、赤外線モジュール20、および、照明モジュール30は、第2モジュールの一例である。モジュールシステム1は、例えば、ベースモジュール10を照明器具のソケットに接続し、ベースモジュール10に接続されている赤外線モジュール20や、赤外線モジュール20に接続されている照明モジュール30を動作させるシステムである。
【0011】
図2は、実施例のベースモジュールの一例を示す斜視図である。図2に示すように、ベースモジュール10は、筐体11と口金12とを有する。筐体11は、ベースモジュール10内の各機能部を格納する。口金12は、筐体11の上部に設けられ、照明器具のソケットに接続する口金であり、例えば、一般的な白熱電球用のE26ソケットや、小型電球用のE17ソケットに対応する口金である。
【0012】
図3は、ベースモジュールの底面図である。ベースモジュール10の底面には、第2モジュールと接続するための第1接続部13と、第2モジュールを保持する保持部14とを有する。第1接続部13は、例えば、複数の接続端子13aを有する。複数の接続端子13aは、それぞれ電源供給用や通信用の接続端子である。複数の接続端子13aは、点対称となっており、第1接続部13を180度回転させても同一の機能を有する端子同士が接続されるピン配置である。保持部14は、例えば、磁石であり、対向する第2モジュールの保持部の磁石と引き合うことで、第2モジュールを保持する。なお、図3では、ベースモジュール10の底面の構成について説明したが、赤外線モジュール20の底面も同様の構成である。赤外線モジュール20の場合は、第3接続部23、複数の接続端子23a、および、保持部24を有することになる。
【0013】
図4は、実施例の赤外線モジュールの構成の一例を示す斜視図である。図4に示すように、赤外線モジュール20は、ベースモジュール10の底面と嵌合する上面に、第2接続部22と、保持部25とを有する。第2接続部22は、例えば、複数の接続端子22aを有する。複数の接続端子22aは、それぞれ電源供給用や通信用の接続端子である。複数の接続端子22aは、ベースモジュール10の複数の接続端子13aに対応するピン配置となっている。複数の接続端子22aは、複数の接続端子13aと同様に点対称となっており、第2接続部22を180度回転させても同一の機能を有する端子同士が接続されるピン配置である。保持部25は、例えば、磁石であり、ベースモジュール10の保持部14と対向する位置に配置される。赤外線モジュール20の底面は、図3に示すように、第3接続部23、複数の接続端子23a、および、保持部24を有する。赤外線モジュール20の底面は、他の第2モジュール、例えば、照明モジュール30の上面と嵌合し、保持部24を用いて照明モジュール30を保持する。
【0014】
図5は、実施例の照明モジュールの構成の一例を示す斜視図である。図5に示すように、照明モジュール30は、赤外線モジュール20の底面と嵌合する上面に、第2接続部32と、保持部34とを有する。第2接続部32は、例えば、複数の接続端子32aを有する。複数の接続端子32aは、それぞれ電源供給用や通信用の接続端子である。複数の接続端子32aは、赤外線モジュール20の複数の接続端子23aに対応するピン配置となっている。複数の接続端子32aは、複数の接続端子23aと同様に点対称となっており、第2接続部32を180度回転させても同一の機能を有する端子同士が接続されるピン配置である。保持部34は、例えば、磁石であり、赤外線モジュール20の保持部24と対向する位置に配置される。照明モジュール30の底面には、照明部35を有する。照明部35は、例えば、内部に照明用のLED(Light Emitting Diode)を有する透光性の樹脂で覆われた部材である。
【0015】
ベースモジュール10と、赤外線モジュール20とは、図1に示すように組み合わせることで、第1接続部13の複数の接続端子13aと、第2接続部22の複数の接続端子22aとが、それぞれ接続される。また、ベースモジュール10および赤外線モジュール20は、保持部14と保持部25とが磁力により引き合うことで嵌合される。
【0016】
同様に、赤外線モジュール20と、照明モジュール30とは、図1に示すように組み合わせることで、第3接続部23の複数の接続端子23aと、第2接続部32の複数の接続端子32aとが、それぞれ接続される。また、赤外線モジュール20および照明モジュール30は、保持部24と保持部34とが磁力により引き合うことで嵌合される。すなわち、モジュールシステム1は、ベースモジュール10と、赤外線モジュール20と、照明モジュール30とが一体となるとともに、ベースモジュール10、赤外線モジュール20および照明モジュール30の間で、電源線および通信線が接続される。なお、照明モジュール30の電源線および通信線以外の接続端子を放熱のために用いてもよい。この場合、赤外線モジュール20は、放熱用の接続端子を第2接続部22と第3接続部23との間で接続し、ベースモジュール10の第1接続部13および口金12を介して、ソケットに放熱する。
【0017】
次に、図6から図8を用いて各モジュールの機能構成について説明する。図6は、実施例のベースモジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、ベースモジュール10は、口金12と、第1接続部13と、記憶部16と、第1制御部17とを有する。なお、各モジュールの機能構成では、ベースモジュール10を第1モジュールと称し、赤外線モジュール20および照明モジュール30を第2モジュールと称して説明する場合がある。
【0018】
口金12は、照明器具のソケットに接続することで、ソケットから電源を取得する。つまり、口金12は、第1制御部17に電源を供給する。第1接続部13は、第1制御部17から出力される電源線と、第1制御部17がベースモジュール10に接続される赤外線モジュール20との通信を行う通信線とを有するコネクタである。なお、電源線および通信線のピン配置は、各接続端子13aの予め定められたピン配置に基づいている。
【0019】
記憶部16は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子等の記憶装置によって実現される。記憶部16は、例えば、赤外線モジュール20や照明モジュール30といった、第2モジュールの種別を識別する第2ID(IDentifier)(第2識別子)を記憶する。また、記憶部16は、第1制御部17での処理に用いる情報を記憶する。
【0020】
第1制御部17は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、第1制御部17は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されるようにしてもよい。第1制御部17は、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0021】
第1制御部17は、電源が投入されると、第1接続部13の各接続端子13aのうち、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信に割り当てられた端子を用いて、第2モジュールからの通信を待機する。なお、UART通信は、第1系統の通信の一例である。第1制御部17は、いずれかの第2モジュールから、ランダムに生成された第1ID(第1識別子)を受信すると、受信した第1IDに対して、SPI(Serial Peripheral Interface)通信で用いるCS(Chip Select)ピン番号を指定する。第1制御部17は、例えば、未使用のCSピン番号から1つのCSピン番号を指定する。なお、SPI通信は、第2系統の通信の一例である。
【0022】
ここで、UART通信と、SPI通信の配線(通信経路)の一例について説明する。UART通信では、双方向通信を行う場合、TX(送信)、RX(受信)およびGND(接地)の3線を用いる。例えば、第1モジュールのRXが第2モジュールのTXに接続される。また、第1モジュールのTXが第2モジュールのRXに接続される。さらに、第1モジュールおよび第2モジュールのGND同士が接続される。UART通信では、データの伝送は調歩同期方式(非同期通信)で行われる。
【0023】
SPI通信では、例えば、第1モジュール側は、SCLK(Serial Clock)、MISO(Master In SlaveOut)、MOSI(Master Out Slave In)、および、SS(Slave Select)を用いる。SSは、第2モジュールの数だけピンを用意する。SSは、例えば3本のピンを用意することで、3つの第2モジュールと通信することができる。第2モジュール側は、SCLK、MISO、MOSI、および、CS(Chip Select)を用いる。CSは、例えば、3本のピンを用意する。第2モジュールは、第1モジュール側で指定されたピン番号のCSを用いて、第1モジュールと双方向通信を行う。SPI通信では、データの伝送は同期方式(同期通信)で行われる。
【0024】
すなわち、第1制御部17は、CSピン番号に対応するSSピン番号の端子を用いることで、複数の第2モジュールをそれぞれ選択して通信することができる。なお、第1制御部17では、最初の第1IDを受信した後は、当該第1IDに対応する第2モジュールに対するUART通信が完了するまで、他の第1IDを持つ第2モジュールからの通信は破棄することになる。
【0025】
第1制御部17は、受信した第1IDと、指定したCSピン番号とを対応付けて、UART通信を用いて、各第2モジュールに送信する。第1制御部17は、第1IDと、指定したCSピン番号とを送信すると、指定したCSピン番号に対応するSSピン番号を用いて、その後のSPI通信を行う。第1制御部17は、SPI通信において、第2モジュールから第2モジュールの種別を表す第2IDを受信すると、指定したCSピン番号と、第2IDとを対応付けて、第2モジュールとの間でSPI通信の通信経路を確立する。その後、第1制御部17は、確立した通信経路を用いて第2モジュールとの間でSPI通信を開始する。
【0026】
また、第1制御部17は、第1IDと、指定したCSピン番号とを送信すると、UART通信側において、再度、第2モジュールからの通信を待機する。第1制御部17は、第2モジュールが複数ある場合、2つ目以降の第2モジュールについても同様にCSピン番号を指定することで、それぞれの第2モジュールとの間でSPI通信の通信経路を確立する。なお、第1制御部17は、全ての第2モジュールとの間でSPI通信の通信経路を確立すると、UART通信に用いた通信経路を用いて各第2モジュールの死活監視を行うようにしてもよい。また、第1制御部17は、SPI通信を介して、照明モジュール30に点灯制御を指示する。
【0027】
図7は、実施例の赤外線モジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、赤外線モジュール20は、第2接続部22と、第3接続部23と、記憶部26と、第2制御部27と、赤外線送信部28と、無線通信部29とを有する。
【0028】
第2接続部22は、ベースモジュール10の第1接続部13と接続するコネクタである。第2接続部22は、ベースモジュール10から出力される電源線と、第2制御部27がベースモジュール10の第1制御部17との通信を行う通信線とを有する。第3接続部23は、第2制御部27から出力される電源線と、第2制御部27が自身に接続される照明モジュール30との通信を行う通信線とを有する。第2接続部22および第3接続部23の通信線は、第1接続部13の通信線と同様に、UART通信およびSPI通信に対応する。なお、電源線および通信線は、第2制御部27を経由せずに、第2接続部22から第3接続部23に直接接続するようにしてもよい。
【0029】
記憶部26は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子等の記憶装置によって実現される。記憶部26は、例えば、自身の第2モジュールの種別を識別する第2IDを記憶する。また、記憶部26は、第2制御部27での処理に用いる情報を記憶する。
【0030】
第2制御部27は、例えば、CPUやMPU等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、第2制御部27は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されるようにしてもよい。第2制御部27は、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0031】
第2制御部27は、電源が投入されると、予め設定された生成範囲における値をランダムに生成することで、第1IDを生成する。なお、生成範囲は、例えば「0~255」の範囲とし、第2モジュールの種別ごとに分割することができる。第2制御部27は、第1IDを生成すると、所定時間待機する。ここで、所定時間は、例えば、ランダムに生成された時間である。第2制御部27は、所定時間待機後に、生成した第1IDをUART通信を用いて、ベースモジュール10に送信する。
【0032】
第2制御部27は、UART通信を用いて、第1制御部17から第1IDと、CSピン番号とを受信する。なお、本実施例のUART通信では、第1制御部17は、8ビットの第1IDを送信し、その後、8ビットのCSピン番号を送信している。第2制御部27は、受信した第1IDが自身が送信した第1IDであるか否かを判定する。第2制御部27は、受信した第1IDが自身が送信した第1IDでないと判定した場合には、CSピン番号を無視し、次の第1IDを受信するために、引き続き、UART通信の受信状態で待機する。
【0033】
第2制御部27は、受信した第1IDが、自身が送信した第1IDであると判定した場合には、受信したCSピン番号を選択する。つまり、第2制御部27は、自身の第1IDを受信することで第2制御部27がUART通信の受信状態となり、次に受信したCSピン番号を自身のCSピン番号であると認識する。第2制御部27は、選択したCSピン番号を用いて、第1制御部17とSPI通信を行い、自身の第2IDを送信する。つまり、第2制御部27は、CSピン番号と第2IDとを用いてSPI通信の通信経路を確立する。その後、第2制御部27は、確立した通信経路を用いてベースモジュール10の第1制御部17との間でSPI通信を開始する。
【0034】
また、第2制御部27は、赤外線送信部28を用いて、予め記憶された通信方式に基づいて、赤外線リモコンによって操作可能な家電製品等を制御する。第2制御部27は、例えば、無線通信部29を介して、ユーザのスマートフォンから操作情報を受信すると、受信した操作情報を対象となる家電製品等に向けて、赤外線送信部28を用いて送信する。
【0035】
赤外線送信部28は、例えば、赤外線リモコン用の赤外線LEDを有する。赤外線送信部28は、第2制御部27から入力される操作情報を、操作対象の家電製品等に向けて赤外線で送信する。
【0036】
無線通信部29は、例えば、無線LAN(Local Area Network)、および、Bluetooth(登録商標)等に対応する無線通信モジュールによって実現される。無線通信部29は、例えば、ユーザのスマートフォンと接続され、各種情報の通信を司る通信インタフェースである。
【0037】
図8は、実施例の照明モジュールの機能構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、照明モジュール30は、第2接続部32と、照明部35と、記憶部36と、第2制御部37とを有する。
【0038】
第2接続部32は、赤外線モジュール20の第3接続部23と接続するコネクタである。第2接続部32は、赤外線モジュール20から出力される電源線と、第2制御部37が赤外線モジュール20を介してベースモジュール10の第1制御部17との通信を行う通信線とを有する。つまり、第2接続部32は、赤外線モジュール20の第2接続部22と同様の機能を有する。
【0039】
照明部35は、例えば、照明用の白色LED等を有する。照明部35は、第2制御部37から制御されることで、照明の点灯、消灯および調光等が行われる。また、照明部35は、例えば、発光色を調整可能なLEDを用いることで、電球色等の様々な色の照明を行うようにしてもよい。
【0040】
記憶部36は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子等の記憶装置によって実現される。記憶部36は、例えば、自身の第2モジュールの種別を識別する第2IDを記憶する。また、記憶部36は、第2制御部37での処理に用いる情報を記憶する。
【0041】
第2制御部37は、例えば、CPUやMPU等によって、内部の記憶装置に記憶されているプログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、第2制御部37は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現されるようにしてもよい。第2制御部37は、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。
【0042】
第2制御部37は、ベースモジュール10とのUART通信およびSPI通信については、赤外線モジュール20の第2制御部27と同様であるので、その説明を省略する。第2制御部37は、ベースモジュール10の第1制御部17から照明の点灯等の点灯制御を指示されると、照明部35を制御して点灯や消灯等を行う。
【0043】
次に、実施例のモジュールシステム1の動作について説明する。図9は、実施例の通信処理の一例を示すシーケンス図である。なお、図9の説明では、第2モジュール側として赤外線モジュール20を用いて説明するが、照明モジュール30も同様の動作を行うものとする。
【0044】
まず、モジュールシステム1の電源が投入されると、ベースモジュール10、赤外線モジュール20および照明モジュール30に電源が供給される。
【0045】
赤外線モジュール20の第2制御部27は、電源が投入されると、第1IDを生成し、所定時間待機する(ステップS1)。第2制御部27は、所定時間待機後に、生成した第1IDをUART通信を用いて、ベースモジュール10に送信する(ステップS2)。
【0046】
ベースモジュール10の第1制御部17は、赤外線モジュール20から、第1IDを受信する(ステップS3)。第1制御部17は、受信した第1IDに対して、SPI通信で用いるCSピン番号を指定する(ステップS4)。第1制御部17は、第1IDと、指定したCSピン番号とを対応付けて、UART通信を用いて、赤外線モジュール20および照明モジュール30に送信する(ステップS5)。
【0047】
赤外線モジュール20の第2制御部27は、UART通信を用いて、第1制御部17から第1IDと、CSピン番号とを受信する(ステップS6)。第2制御部27は、受信した第1IDが自身が送信した第1IDであるか否かを判定する(ステップS7)。第2制御部27は、受信した第1IDが自身が送信した第1IDでないと判定した場合には(ステップS7:No)、ステップS6に戻り、UART通信の受信状態で待機する。なお、赤外線モジュール20が第1IDを送信した場合、照明モジュール30は、受信状態で待機した後に、赤外線モジュール20と同様の処理を行う。
【0048】
第2制御部27は、受信した第1IDが、自身が送信した第1IDであると判定した場合には(ステップS7:Yes)、受信したCSピン番号を選択する。第1制御部17および第2制御部27は、第2制御部27で選択されたCSピン番号と第2IDとを用いてSPI通信の通信経路を確立する(ステップS8)。第1制御部17および第2制御部27は、確立した通信経路を用いてSPI通信を開始する(ステップS9)。これにより、モジュールシステム1は、複数のモジュールがある場合に、第1モジュールが第2モジュールを容易に制御することができる。また、モジュールシステム1は、各第2モジュールを個別に制御することができる。さらに、モジュールシステム1は、様々な第2モジュールを組み合わせても、CSピンの数の範囲で、CSピンの重複を防止することができる。また、モジュールシステム1では、SPI通信のSS/CSピンの接続を動的に変更することができる。
【0049】
なお、上記実施例では、ベースモジュール10に赤外線モジュール20と照明モジュール30とを順に接続したが、これに限定されない。例えば、ベースモジュール10に照明モジュール30を直接接続してもよいし、さらに他の第2モジュールを追加して接続してもよい。つまり、第2モジュールは、様々な組み合わせとすることができる。また、他の第2モジュールとしては、例えば、虫除けモジュールやフレグランスモジュールが挙げられる。虫除けモジュールは、例えば、周波数の高い音を発することで虫を寄せ付けない機能や、虫除け効果のある成分を蒸散させる機能等を有する。虫除けモジュールは、例えば、照明モジュール30の点灯状態と時刻とに基づいて、動作時間を決定することができる。また、フレグランスモジュールは、香料を蒸散させることで香りを出力することができる。フレグランスモジュールは、例えば、時刻に応じて異なる香りを出力することができる。
【0050】
また、上記実施例では、無線通信部29を赤外線モジュール20に設けたが、これに限定されない。例えば、ベースモジュール10に設けた無線通信部で受信した情報に基づいて、第2モジュールの動作を制御するようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施例では、無線通信部29で受信した操作情報を赤外線送信部28から送信したが、これに限定されない。例えば、赤外線モジュール20の無線通信部29で受信した操作情報を一旦ベースモジュール10に送信し、ベースモジュール10の第1制御部17が、受信した操作情報に基づいて、照明モジュール30等の他の第2モジュールの動作を制御するようにしてもよい。
【0052】
このように、モジュールシステム1は、第1モジュールと、第2モジュールとを有する。第1モジュールは、口金と、第1接続部と、保持部と、第1制御部とを有する。口金は、照明器具用のソケットに接続可能な口金である。第1接続部は、第2モジュールと第1系統および第2系統の2種類の通信に用いる接続部である。保持部は、第2モジュールを保持する。第1制御部は、第2モジュールとの2種類の通信を制御する。第2モジュールは、第2接続部と、第2制御部とを有する。第2接続部は、第1接続部と接続し、第1モジュールと2種類の通信に用いる接続部である。第2制御部は、第1モジュールとの2種類の通信を制御する。第2制御部は、第2モジュールの電源投入時にランダムに生成した第1識別子を第1系統の通信を用いて第1制御部に送信する。第1制御部は、第2制御部から受信した第1識別子に対して、第2系統の通信を行う第2接続部の端子番号を指定し、指定した端子番号と、第1識別子とを対応付けて、第2制御部に送信する。第2制御部は、第1制御部から受信した第1識別子が、自身が送信した第1識別子であると判定した場合、第1制御部から受信した端子番号に対応する第2接続部の端子と、第2モジュールの種別を識別する第2識別子とを用いて第2系統の通信を行う。その結果、モジュールシステム1は、複数のモジュールがある場合に、他のモジュールを容易に制御することができる。
【0053】
また、第2モジュールは、さらに、他の第2モジュールを保持する保持部と、他の第2モジュールと接続し、接続した他の第2モジュールと2種類の通信に用いる第3接続部とを有する。その結果、モジュールシステム1は、複数の第2モジュールを連結できる。
【0054】
また、第1系統の通信は、第1モジュールと、複数の第2モジュールとの間で通信可能な非同期通信である。その結果、第1モジュールは第2モジュールの存在を検知して通信することができる。
【0055】
また、第2系統の通信は、第1モジュールと、1つの第2モジュールとの間で通信可能な同期通信である。その結果、第1モジュールと第2モジュールとの間で第1系統の通信よりも高速な通信を行うことができる。
【0056】
また、第2モジュールは、さらに、無線通信部を有する。また、第2制御部は、無線通信部で受信した情報を第1モジュールに送信する。また、第1制御部は、第2制御部から受信した情報に基づいて、他の第2モジュールの動作を制御する。その結果、無線通信を介して第2モジュールの動作を制御できる。
【0057】
また、第2モジュールは、虫除けモジュールと、照明モジュールとである。また、虫除けモジュールは、照明モジュールの点灯状態と、時刻とに基づいて、動作時間を決定する。その結果、照明の点灯状態や時刻に応じて、虫除け機能を動作させることができる。
【0058】
また、第2モジュールは、フレグランスモジュールであり、時刻に応じて異なる香りを出力する。その結果、時刻に応じて、異なる香りを出力できる。
【0059】
また、第1モジュールは、さらに、無線通信部を有する。また、第1制御部は、無線通信部で受信した情報に基づいて、第2モジュールの動作を制御する。その結果、無線通信を介して第2モジュールの動作を制御できる。
【0060】
また、第1識別子は、第2モジュールの種別に応じて生成範囲が異なる識別子である。その結果、第2モジュールの種別が異なれば、第1識別子が一致することがなく、UART通信での衝突をより回避できる。例えば、種別が同じ第2モジュールを連結しない場合、つまり、異なる種類の第2モジュールの組み合わせである場合、UART通信での衝突は発生しないので、衝突を完全に回避できる。
【0061】
また、第1制御部は、第2系統の通信が確立された後に、第1系統の通信に用いた通信経路を用いて第2モジュールの死活監視を行う。その結果、第1制御部は、第2モジュールが取り外されたり、故障したりした場合に迅速に検出することができる。
【0062】
また、図示した各部の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。また、図示した各処理は、上記の順番に限定されるものでなく、処理内容を矛盾させない範囲において、同時に実施してもよく、順序を入れ替えて実施してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1 モジュールシステム
10 ベースモジュール
11 筐体
12 口金
13 第1接続部
13a,22a,23a,32a 接続端子
14,24,25,34 保持部
16,26,36 記憶部
17 第1制御部
20 赤外線モジュール
22,32 第2接続部
23 第3接続部
27,37 第2制御部
28 赤外線送信部
29 無線通信部
30 照明モジュール
35 照明部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9