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特許7136491水性濃縮物、水性製剤、および飲み物の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】水性濃縮物、水性製剤、および飲み物の調製方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 3/18 20060101AFI20220906BHJP
   A23F 5/26 20060101ALI20220906BHJP
   A23L 2/385 20060101ALN20220906BHJP
   A23L 2/38 20210101ALN20220906BHJP
   A23L 2/00 20060101ALN20220906BHJP
【FI】
A23F3/18
A23F5/26
A23L2/385
A23L2/38 B
A23L2/00 V
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020549674
(86)(22)【出願日】2020-04-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2020086486
(87)【国際公開番号】W WO2021212433
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2020-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】520350292
【氏名又は名称】アクアマリン ミネラルズ テクノロジー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リン、ウェイ-チェ
【審査官】澤田 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-292371(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102652563(CN,A)
【文献】Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan,2005年,12,pp.423-428
【文献】高知県工業技術センター研究報告,2002年,33,pp.77-80
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F,A23L,C02F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性濃縮物であって、
カルシウムイオンを3000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-20000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを400-1200ppmの濃度で、含有し、
ここで、前記水性濃縮物の硬度が35000-90000ppmであり、pH値が6-9である、水性濃縮物。
【請求項2】
前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを10000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-1900ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1300-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを500-600ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が35000-40000ppmである、請求項1に記載の水性濃縮物。
【請求項3】
前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを3000-4000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1800-2000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1000ppmの濃度で、
カリウムイオンを1000-1200ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が80000-90000ppmである、請求項1に記載の水性濃縮物。
【請求項4】
前記水性濃縮物がさらに、重炭酸イオンを17000ppm未満の濃度で含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の水性濃縮物。
【請求項5】
前記水性濃縮物がさらに、塩素イオンを20000-60000ppmの濃度で含有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の水性濃縮物。
【請求項6】
前記水性濃縮物が、水深600-700メートルの台湾東部海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の水性濃縮物。
【請求項7】
飲み物を調製するために使用され、請求項1から6のいずれか一項に記載の水性濃縮物を500-1500の倍率で希釈したものである、水性製剤。
【請求項8】
前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを10000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-1900ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1300-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを500-600ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が35000-40000ppmである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項9】
前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを3000-4000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1800-2000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1000ppmの濃度で、
カリウムイオンを1000-1200ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が80000-90000ppmである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項10】
前記水性濃縮物がさらに、重炭酸イオンを17000ppm未満の濃度で含有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項11】
前記水性濃縮物がさらに、塩素イオンを20000-60000ppmの濃度で含有する、請求項7から10のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項12】
前記水性濃縮物が、水深600-700メートルの台湾東部海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである、請求項7から11のいずれか一項に記載の水性製剤。
【請求項13】
前記水性製剤は、
カルシウムイオンを4-16ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを2-25ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを0.5-2.5ppmの濃度で、
カリウムイオンを0.5-2ppmの濃度で、含有し、
前記水性製剤の硬度が40-120ppmである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項14】
前記水性製剤は、
カルシウムイオンを15.7ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを2.1ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1.7ppmの濃度で、
カリウムイオンを0.7ppmの濃度で、含有し、
前記水性製剤の硬度が47.9ppmである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項15】
前記水性製剤は、
カルシウムイオンを4.1ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを23ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを0.9ppmの濃度で、
カリウムイオンを1.4ppmの濃度で、含有し、
前記水性製剤の硬度が104.6ppmである、請求項7に記載の水性製剤。
【請求項16】
飲み物の調製方法であって、
請求項7から15のいずれか一項に記載の水性製剤および飲み物原料を提供するステップと、
前記水性製剤で前記飲み物原料を淹れて飲み物を得るステップと、を含む、飲み物の調製方法。
【請求項17】
前記飲み物原料が、茶葉、ティーバッグ、コーヒー粉、コーヒー豆およびコーヒーカプセルのうちの少なくとも1つである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記飲み物が、コーヒーおよび/または茶である、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、食品技術分野に関し、具体的には、水性濃縮物、水性製剤、および飲み物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水は、すべての生物の重要な構成要素であり、例えば、人間の体内では70%の割合を占め、生化学反応だけでなく、体内の栄養素や酸素の輸送にも関与しており、生物の体温維持にも大きく貢献している。
【0003】
飲み物は、現在の人々が水分を摂取する主要な方法であり、コーヒー、茶、ソーダ水、牛乳やジュースなどを含むが、これらに限定されない。生活水準の向上に伴い、人々は飲み物への要求が高まり、利便性が飲み物に対する唯一の要件ではない。喉の渇きを癒すことができるだけでなく、食感や風味が良く、ある程度の健康機能を持った飲み物が求められている。
【0004】
従来では、茶やコーヒーなどの飲み物の食感は、茶葉、コーヒー豆、またはそれらの粉末などの飲み物の原料に依存するか、または飲み物を淹れる温度、順序や手法などの要因に依存すると考えられており、茶やコーヒーなどの飲み物の食感や風味を向上させるために、飲み物原料や淹れ方などに関する一連の研究が行われており、例えば、特許US20120244254A1には、生のコーヒー豆を処理する方法が開示され、特許US20190231738A1には、茶のエピガロカテキンおよびガレートの含有量を最大化する方法が開示され、特許公開第US20170143155A1号には、茶飲み物を調製する方法が開示されているが、飲み物の品質向上において飲み物を淹れるための水に関する技術的検討はほとんど行われていない
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本出願の実施例の目的の一つは、飲み物の食感および風味を向上させるために、水性濃縮物、水性製剤、および飲み物の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本出願の実施例で採用されている技術的解決手段は次のとおりである。
【0007】
第1態様では、水性濃縮物が提供され、前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを3000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-20000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを400-1200ppmの濃度で、含有し、
ここで、前記水性濃縮物の硬度が35000-90000ppmであり、pH値が6-9である。
【0008】
一実施例では、前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを10000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-1900ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1300-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを500-600ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が35000-40000ppmである。
【0009】
一実施例では、前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを3000-4000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1800-2000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1000ppmの濃度で、
カリウムイオンを1000-1200ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が80000-90000ppmである。
【0010】
一実施例では、前記水性濃縮物がさらに、重炭酸イオンを17000ppm未満の濃度で含有する。
【0011】
一実施例では、前記水性濃縮物がさらに、塩素イオンを20000-60000ppmの濃度で含有する。
【0012】
一実施例では、前記水性濃縮物が、水深600-700メートルの台湾東部海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである。
【0013】
第2態様では、水性製剤が提供され、飲み物を調製するために使用され、上記の水性濃縮物を500-1500の倍率で希釈したものである。
【0014】
一実施例では、前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを10000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-1900ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1300-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを500-600ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が35000-40000ppmである。
【0015】
一実施例では、前記水性濃縮物は、
カルシウムイオンを3000-4000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1800-2000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1000ppmの濃度で、
カリウムイオンを1000-1200ppmの濃度で、含有し、
前記水性濃縮物の硬度が80000-90000ppmである。
【0016】
一実施例では、前記水性濃縮物がさらに、重炭酸イオンを17000ppm未満の濃度で含有する。
【0017】
一実施例では、前記水性濃縮物が、塩素イオンを20000-60000ppmの濃度で含有する。
【0018】
一実施例では、前記水性濃縮物が、水深600-700メートルの台湾東部海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである。
【0019】
一実施例では、前記水性製剤は、
カルシウムイオンを4-16ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを2-25ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを0.5-2.5ppmの濃度で、
カリウムイオンを0.5-2ppmの濃度で、含有し、
前記水性製剤の硬度が40-120ppmである。
【0020】
一実施例では、前記水性製剤は、
カルシウムイオンを15.7ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを2.1ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1.7ppmの濃度で、
カリウムイオンを0.7ppmの濃度で、含有し、
前記水性製剤の硬度が47.9ppmである。
【0021】
一実施例では、前記水性製剤は、
カルシウムイオンを4.1ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを23ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを0.9ppmの濃度で、
カリウムイオンを1.4ppmの濃度で、含有し、
前記水性製剤の硬度が104.6ppmである。
【0022】
第3態様では、飲み物の調製方法が提供され、前記方法は、
上記の水性製剤および飲み物原料を提供するステップと、
前記水性製剤で前記飲み物原料を淹れて飲み物を得るステップと、を含む。
【0023】
一実施例では、前記飲み物原料が、茶葉、ティーバッグ、コーヒー粉、コーヒー豆およびコーヒーカプセルのうちの少なくとも1つである。
【0024】
一実施例では、前記飲み物が、コーヒーおよび/または茶である。
【発明の効果】
【0025】
本出願の実施例による水性濃縮物は、濃度3000-15000ppmのカルシウムイオン、濃度1500-20000ppmのマグネシウムイオン、濃度700-1500ppmのナトリウムイオン、および濃度400-1200ppmのカリウムイオンを有し、硬度が35000-90000ppmであり、pH値が6-9である。実際の応用過程では、この水性濃縮物は、精製水で希釈されると、コーヒーや茶を淹れるための水として使用されてもよく、使い勝手が良く、貯蔵や輸送に便利であり、コーヒーショップ、喫茶店やレストランなどの多くの飲み物を必要とする企業や使用者に適し、また、このように淹れて得られたコーヒーまたは茶は、風味や食感が良く、市場の展望が広い。
【0026】
本出願の実施例による水性製剤は、上記の水性濃縮物を500-1500の倍率で希釈したものであり、飲み物を調製するための水として使用される場合、コーヒーや茶などの飲み物原料に含まれる有効成分の抽出効率を向上させることができ、飲み物の風味、食感および健康効果の向上に寄与している。試験からわかるように、本出願に係る水性製剤で淹れたコーヒーは、精製水で淹れたコーヒーと比較して、リンゴ酸、乳酸、酢酸、全有機酸、オイゲノールやキナ酸などの有効成分が豊富に含まれ、クエン酸などの機能性物質の含有量が最大229%増加しており、また、本出願に係る水性製剤で淹れた茶は、精製水で淹れた茶と比較して、エピガロカテキンガレート(EGCG)の含有量が85%増加している。
【0027】
本出願の実施例による飲み物の調製方法では、飲み物原料を上記の水性製剤で淹れることによって得られ、方法が簡単で操作しやすく、このようにして得られた飲み物は、アミノ酸、フラボノイド、ポリフェノール、テルペノイド、アルカロイドや有機酸などの有効成分が豊富であり、風味や食感が良く、飲み物の健康機能をある程度向上させることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本出願の実施例における技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、実施例または例示的な技術的説明で使用される図面を簡単に紹介し、当然のことながら、以下の説明における図面は、本出願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的労働を要することなく、これらの図面に基づく他の図面を得ることができる。
【0029】
図1】実施例8および比較例2の茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)の含有量を測定した結果である。
図2】実施例6および比較例1のコーヒーに含まれるリンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、カフェインおよび総クロロゲン酸の含有量を測定した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願の目的、技術的解決手段および利点をより明らかにするために、以下では、図面および実施例に併せて本出願をさらに詳細に説明する。ここで説明される具体的な実施例は本出願を解釈するためのものに過ぎず、本出願を限定するためのものではないことを理解すべきである。
【0031】
なお、本出願の明細書で言及されている「ppm」は、イオン濃度の単位であり、全溶液の質量における溶質の質量の100万分の1で表される濃度を指し、100万分の1の濃度とも呼ばれることに留意すべきである。同時に、各イオン成分の濃度は、水性濃縮物または水性製剤中の各成分の特定の含有量を指すだけでなく、各成分間の質量の比例関係も示すことができるので、組成物の各成分の濃度は、本出願の実施例の説明書に従ってスケールアップまたはスケールダウンされる限り、本出願の実施例の明細書の開示範囲に含まれるべきである。具体的には、本出願の実施例の明細書に記載の質量は、μg、mg、g、kgなどの食品分野でよく知られている重量単位であり得る。
【0032】
本出願による技術的解決手段を説明するために、以下では、具体的な図面および実施例に併せて詳細に説明する。
【0033】
水性濃縮物であって、
カルシウムイオンを3000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-20000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを400-1200ppmの濃度で、含有し、
ここで、前記水性濃縮物の硬度が35000-90000ppmであり、pH値が6-9である。
【0034】
本出願の実施例による水性濃縮物は、濃度3000-15000ppmのカルシウムイオン、濃度1500-20000ppmのマグネシウムイオン、濃度700-1500ppmのナトリウムイオン、および濃度400-1200ppmのカリウムイオンを有し、硬度が35000-90000ppmであり、pH値が6-9である。実際の応用過程では、この水性濃縮物は、精製水で希釈されると、コーヒーまたは茶を淹れるための水として使用でされてもよく、使い勝手が良く、貯蔵や輸送に便利であり、コーヒーショップ、喫茶店やレストランなど、多くの飲み物を必要とする企業または使用者に適し、また、このように淹れて得られたコーヒーまたは茶は、風味や食感が良く、市場の展望が広い。
【0035】
いくつかの実施例では、水性濃縮物は、
カルシウムイオンを10000-15000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1500-1900ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1300-1500ppmの濃度で、
カリウムイオンを500-600ppmの濃度で、含有し、
水性濃縮物の硬度が35000-40000ppmである。
【0036】
いくつかの実施例では、水性濃縮物は、
カルシウムイオンを3000-4000ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1800-2000ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを700-1000ppmの濃度で、
カリウムイオンを1000-1200ppmの濃度で、含有し、
水性濃縮物の硬度が80000-90000ppmである。
【0037】
上記の実施例に基づいて、水性濃縮物がさらに、重炭酸イオンおよび/または塩素イオンを含んでもよい。
【0038】
いくつかの実施例では、水性濃縮物がさらに、重炭酸イオンを17000ppm未満の濃度で含有し、好ましくは、重炭酸イオンの含有量が500ppm以下である。特定の実施例では、水性濃縮物の重炭酸イオンの含有量が255または385ppmである。
【0039】
いくつかの実施例では、水性濃縮物がさらに、塩素イオンを20000-60000ppmの濃度で含有し、好ましくは、塩素イオンの含有量が20000-40000ppmである。特定の実施例では、水性濃縮物の塩素イオンの含有量が21693または34625ppmである。
【0040】
従来方法における食品用ミネラル原料で製造された水性濃縮物とは異なり、本出願の実施例による水性濃縮物は、水深600-700メートルの台湾東部海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである。台湾東部海域は、独特の地理的条件を持っており、海岸線が300キロメートルに達し、海岸から10キロメートル未満の海底では水深が1000メートル以上に達し、海岸から30キロメートルの海底では水深が700~800メートルの深さに達し、採掘に適し、また、この海域では自然の湧昇(upwelling)現象がよく見られ、理想的な深層海水を得て、飲み物の風味や食感をさらに向上させることに有利である。
【0041】
いくつかの実施例では、水性濃縮物が、水深600-700メートルの台湾花蓮の七星潭海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである。
【0042】
いくつかの実施例では、水性濃縮物が、水深600-700メートルの台湾の台東県海域に由来する深層海水を精製濃縮したものである。
【0043】
上記の技術的解決手段に基づいて、本出願の実施例はさらに、水性製剤、および当該水性製剤を用いて飲み物を調製する方法を提供する。
【0044】
本出願の実施例による水性製剤は、上記の水性濃縮物を500-1500の倍率で希釈したものであり、飲み物の調製に使用する場合、コーヒーや茶などの飲み物原料に含まれる有効成分の抽出効率を向上させることができ、飲み物の風味、食感および健康効果の向上に寄与している。試験からわかるように、本出願の実施例に係る水性製剤で淹れたコーヒーは、精製水で淹れたコーヒーと比較して、リンゴ酸、乳酸、酢酸、全有機酸、オイゲノールやキナ酸などの有効成分が豊富に含まれ、クエン酸などの機能性物質の含有量が最大229%増加しており、また、本出願の実施例に係る水性製剤で淹れた茶は、精製水で淹れた茶と比較して、エピガロカテキンガレート(EGCG)の含有量が85%増加している。
【0045】
本出願の実施例で使用される水性濃縮物は、上記の水性濃縮物と同様の組成および効果を有するものとする。
【0046】
希釈倍率とは、希釈前の溶液濃度を希釈後の溶液濃度で割った得た商である。いくつかの実施例では、希釈倍率は好ましくは700-1000または800-900である。特定の実施例では、希釈倍率が820、825、830、835、840、845、855、860、865、870、875、880または885である。
【0047】
いくつかの実施例では、水性製剤は、
カルシウムイオンを4-16ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを2-25ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを0.5-2.5ppmの濃度で、
カリウムイオンを0.5-2ppmの濃度で、含有し、
水性製剤の硬度が40-120ppmである。
【0048】
いくつかの特定の実施例では、水性製剤は、
カルシウムイオンを15.7ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを2.1ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1.7ppmの濃度で、
カリウムイオンを0.7ppmの濃度で、含有し、
水性製剤の硬度が47.9ppmである。
【0049】
この水性製剤は、コーヒー豆を淹れるための水として使用され、得られたコーヒーには、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、全有機酸、クロロゲン酸、オイゲノール、カフェインやキナ酸などの有効成分が豊富に含まれており、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、全有機酸、クロロゲン酸、オイゲノール、カフェインやキナ酸は、コーヒーの風味を決定する重要な要素であり、クロロゲン酸は、コーヒーに含まれる重要な抗酸化物質と見なされていることからわかるように、上記の水性製剤は、コーヒー豆などの飲み物原料に含まれる有効成分の抽出効率を向上させることができ、飲み物の風味、食感および健康効果の向上に寄与している。
【0050】
いくつかの特定の実施例では、水性製剤は、
カルシウムイオンを4.1ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを23ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを0.9ppmの濃度で、
カリウムイオンを1.4ppmの濃度で、含有し、
水性製剤の硬度が104.6ppmである。
【0051】
この水性製剤は、茶葉を淹れるための水として使用され、得られた茶には、茶ポリフェノール、没食子酸、カテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、エピカテキン、エピガロカテキンガレート(EGCG)、カテキン没食子酸やエピカテキン没食子酸などが豊富に含まれており、これらの有効成分は、人体にとって異なる健康機能を持っており、例えば、EGCGは抗がん作用を有し、心臓病、糖尿病や肥満などに関連する疾患のリスクを低減するのに良い役割を果たしている。一試験例では、それぞれ精製水および上記の水性製剤を用いて茶葉を淹れたところ、精製水で淹れた茶と比較して、本出願の実施例に係る水性製剤で淹れた茶は、エピガロカテキンガレート(EGCG)の含有量が85%増加しており、本出願の実施例による水性製剤を用いることにより、茶葉中の有効成分の浸出が促進され、飲み物の健康機能が向上し、飲み物の風味や食感が向上することがわかる。
【0052】
本出願の実施例による飲み物の調製方法であって、
S01、上記の水性製剤および飲み物原料を提供するステップと、
S02、前記水性製剤で前記飲み物原料を淹れて飲み物を得るステップと、を含む。
【0053】
本出願の実施例による飲み物の調製方法では、飲み物原料を上記の水性製剤で淹れることによって得られ、方法が簡単で操作しやすく、このようにして得られた飲み物は、アミノ酸、フラボノイド、ポリフェノール、テルペノイド、アルカロイドや有機酸などの有効成分が豊富であり、風味や食感が良く、飲み物の健康機能をある程度向上させることもできる。
【0054】
ここで、ステップS01での水性製剤は、上記の水性製剤と同じであり、それと同様の組成および効果を有する。
【0055】
飲み物原料は、茶葉、ティーバッグ、コーヒー粉、コーヒー豆およびコーヒーカプセルのうちの少なくとも1つから選択されてもよく、これにより、コーヒーや茶などの飲み物が得られる。
【0056】
ステップS02では、飲み物原料を水性製剤で淹れて飲み物を得る。
【0057】
異なる飲み物原料で異なる飲み物が得られ、いくつかの実施例では、飲み物は、コーヒーおよび/または茶である。
【0058】
飲み物原料を水性製剤で淹れるために使用される方法は、飲み物原料の特性に応じて柔軟に調整することができる。いくつかの実施例では、飲み物原料が茶葉またはコーヒー豆から選択され、前記飲み物原料を前記水性製剤で淹れるステップにおいて、水性製剤を80℃-90℃に加熱した後、飲み物原料に加えて3-5分間淹れる。
【0059】
水性製剤および飲み物原料の投与量は、様々な人のニーズに応じて柔軟に調整されててもよく、例えば、いくつかの実施例では、水性製剤と飲み物原料の投与量比は、150mL:(3-10)gである。
【0060】
本出願の上記の実施詳細および操作が当業者に明確に理解されてもよく、また、本出願の実施例に係る水性濃縮物、水性製剤、および飲み物の調製方法の進歩性が顕著に具体化されるように、以下では、実施例によって本出願の実施状況を挙げて説明する。
【0061】
実施例1
本実施例は、水性濃縮物を提供し、前記水性濃縮物は、水深600-700メートルの台湾東部海域に由来する深層海水を精製濃縮したものであり、
カルシウムイオンを13099ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを1752ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを1418ppmの濃度で
カリウムイオンを584ppmの濃度で、
重炭酸イオンを255ppmの濃度で、
塩素イオンを21693ppmの濃度で、含有し、
ここで、水性濃縮物の硬度が39965ppmであり、pH値が5.77である。
【0062】
実施例2
本実施例は、水性濃縮物を提供し、前記水性濃縮物は、深層海水を精製濃縮したものであり、
カルシウムイオンを3421ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを19190ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを751ppmの濃度で、
カリウムイオンを1168ppmの濃度で、
重炭酸イオンを385ppmの濃度で、
塩素イオを34625ppmの濃度で、含有し、
ここで、水性濃縮物の硬度が87271ppmであり、pH値が5.7である。
【0063】
実施例3-4は、水性製剤を提供し、前記水性製剤は、その配合方法が表1に示すとおりであり、それぞれ実施例1-2の水性濃縮物を特定の希釈倍率で精製水に加えて希釈したものである。
【0064】
【表1】
【0065】
実施例5
本実施例は、水性製剤を提供し、前記水性製剤は、
カルシウムイオンを6.7ppmの濃度で、
マグネシウムイオンを16.7ppmの濃度で、
ナトリウムイオンを2.3ppmの濃度で、
カリウムイオンを1.0ppmの濃度で、
重炭酸イオンを<20ppmの濃度で、
塩素イオンを75ppmの濃度で、含有し、
ここで、水性製剤の硬度が103ppmであり、pH値が7.2である。
【0066】
上記の水性製剤は、食品グレードの塩化カルシウム、食品グレードの塩化マグネシウム、食品グレードの重炭酸ナトリウムおよび食品グレードの重炭酸カリウムを原料として調製される。
【0067】
実施例6
本実施例では、コーヒーを調製し、その調製過程は、具体的には、
(1)実施例3で提供された水性製剤を150mL取りし、加熱煮沸した後、85℃まで冷却して淹れ水を得るステップと、
(2)ステップ(1)の淹れ水にコーヒー粉を10g加え、3分間淹れてコーヒーを得るステップと、を含む。
【0068】
実施例7
本実施例では、コーヒーを調製し、その調製過程は、実施例5で提供された水性製剤を用いて淹れ水を調製することを除いて、基本的に実施例6と同じである。
【0069】
実施例8
本実施例では、茶を調製し、その調製過程は、実施例4で提供された水性製剤を用い、適度に発酵した烏龍茶の茶葉を淹れるための淹れ水を調製し、3gの茶葉を150mLの淹れ水に加えて5分間淹れ、冷却した茶汁を茶とすることを除いて、基本的に実施例6と同じである。
【0070】
比較例1
本比較例では、コーヒーを調製し、その調製過程は、精製水を淹れ水としてコーヒー粉を淹れることを除いて、基本的に実施例6と同じである。
【0071】
比較例2
本比較例では、茶を調製し、その調製過程は、精製水を淹れ水として使用し、淹れる時間を5分間とすることを除いて、基本的に実施例8と同じである。
【0072】
実施例6-7および比較例1のコーヒーを取り、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)を使用して各コーヒーの成分を検出し、結果を表2に示す。
【0073】
この結果から明らかなように、実施例6のコーヒーは、比較例1と比較して以下の各成分が増加し、その中でも、リンゴ酸、乳酸、酢酸、全有機酸、オイゲノールやキナ酸などの有效成分の増加効果が最も顕著である。実施例7のコーヒーは、比較例1と比較してその一部の成分が増加するが、増加効果が実施例6のそれほど顕著ではない。
【0074】
リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、全有機酸、クロロゲン酸、オイゲノール、カフェインおよびキナ酸は、コーヒー風味を決定する重要な要素であり、且つクロロゲン酸は、コーヒーに含まれる重要な抗酸化物質と見なされていることからわかるように、深層海水を精製濃縮して得られた水性濃縮物、およびこれを希釈して得られた水性製剤をコーヒー原料の淹れ水として使用することにより、コーヒー粉の抽出効率を向上させ、コーヒーの風味や食感をある程度向上させることができる。
【0075】
【表2】
【0076】
実施例8および比較例2の茶を取り、高速液体クロマトグラフィー(High Performance Liquid Chromatography、HPLC)を使用して各茶に含まれるエピガロカテキンガレート(EGCG)の含有量を検出し、結果が図1に示すように、実施例8の茶に含まれるEGCGは、比較例2と比較して85%増加し、EGCGが茶の特徴的な有効成分であることからわかるように、本出願の実施例に係る水性製剤は、茶原料の抽出効率を効果的に向上させることができ、茶の健康効果を高めることに寄与している。
【0077】
実施例6および比較例1のコーヒーを取り、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:High Performance Liquid Chromatography)を使用して各コーヒーに含まれるリンゴ酸、クエン酸、乳酸、酢酸、カフェインおよび総クロロゲン酸の含有量を検出し、結果が図2に示すように、実施例6のコーヒーに含まれるクロロゲン酸、リンゴ酸およびクエン酸の含有量は、比較例1と比較して、それぞれ23%、19%および229%増加することからわかるよう、本出願の実施例に係る水性製剤を使用することにより、コーヒー粉などのコーヒー原料の抽出効率を効果的に向上させ、コーヒーの風味や食感をある程度向上させることができる。
【0078】
上記は本出願の好ましい実施例に過ぎず、本出願を制限するためのものではない。本出願は、当業者にとって、様々な変更および変形が可能である。本出願の精神および原則においてなされたあらゆる変更、等価取替および改良などは、本出願の特許請求の範囲に含まれるものとする。
図1
図2