(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】3次元工作物の設置計画に関するデータの生成方法、システム、及びデータ
(51)【国際特許分類】
G06T 17/20 20060101AFI20220906BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220906BHJP
【FI】
G06T17/20
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2021078115
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521191698
【氏名又は名称】株式会社ライトコンサルタンツ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山路 浩恭
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187507(JP,A)
【文献】特開2002-298162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 15/00-19/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを用いて3次元工作物の設置計画に関するデータを生成する方法であって、
前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて取得した点群データに基づい
て前記屋外環境
における少なくとも前記3次元工作物に関する3次元オブジェクトの設置面を示す第1データを生成し、
少なくとも前
記3次元オブジェクトを示す第2データを生成し、
前記第1及び第2データに基づいて、前
記設置面に対して前記3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は前
記設置面に対して前記3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す第3データを生成する、方法。
【請求項2】
前記第3データにより示される施工途中状態又は施工完了状態を表示装置での表示又は出力装置による出力のためにレンダリングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記3次元オブジェクトは、前記3次元工作物と前記3次元工作物の設置のための用地が複数の面により表されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記点群データに基づい
て前記屋外環境
における少なくとも前記3次元工作物に関する3次元オブジェクトの設置面を示す第1データを生成することは、
前記点群データに基づいて前
記設置面を画定し、
前記点群データに基づいて前記屋外環境の地面上に存在する物体に対応する物体オブジェクトを前
記設置面上に配置することを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記物体オブジェクトは、前
記設置面に対して設置されるべき前記3次元オブジェクトとの干渉がないように配置されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境において前記飛行体を用いて取得した画像に基づいてオルソ画像を生成し、
前記オルソ画像に基づいて前記第1データにより示される前
記設置面に対して着色処理を行うことを更に含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも前
記3次元オブジェクトを示す第2データを生成することは、
前記3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の点又は線を配置し、
前記複数の点又は線に基づいて前記3次元オブジェクトの面を画定することを繰り返して前記3次元オブジェクトを形成することを含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも前
記3次元オブジェクトを示す第2データを生成することは、
前記飛行体を用いずに前記屋外環境の地面上に測量計を設置して行った測量に基づいて少なくとも前記屋外環境の地形を示す第4データを生成することを更に含み、
前記複数の点又は線が前記第4データにより示される前記屋外環境の地形上に配置され、かつ前記3次元オブジェクトが前記第4データにより示される前記屋外環境の地形上に配置される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第4データのデータ量は、前記第1データのデータ量未満である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記点群データは、前記3次元工作物が設置されるべき設置場所の周辺にある既存の工作物又は造営物を示すものであることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記3次元工作物は、ダム、砂防堰堤、河川護岸物、橋、道路又はこれらから選択される2以上のものの組み合わせであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ユーザーによるアプリケーションの操作に基づいて3次元工作物の設置計画に関するデータを生成するシステムであって、
前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて取得した点群データに基づい
て前記屋外環境
における少なくとも前記3次元工作物に関する3次元オブジェクトの設置面を示す第1データを生成し、
少なくとも前
記3次元オブジェクトを示す第2データを生成し、
前記第1及び第2データに基づいて、前
記設置面に対して前記3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は前
記設置面に対して前記3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す第3データを生成するように動作可能であるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、3次元工作物の設置計画に関するデータの生成方法、システム、及びデータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然災害が多発している中、国土強靱化の必要性が広く認識されるに至っている。例えば、砂防堰堤は、長雨又はゲリラ豪雨による山林地帯における土砂流出を食い止めるために重要であり、これにより下流域への土砂流入が抑止され、これに伴う2次災害が抑制される。また、既存の道路の修復や更新、或いは、既存の橋の復旧や架け替えの重要性も認識されている。
【0003】
他方、国土交通省によりi-Constructionが推進されているように、ICT(Information and Communication Technology)を建設現場に導入することが推進されている。また、特許文献1には、建築現場においてAR(Augmented Reality)コンテンツを投影するシステムが開示されている。投影されるビジュアルコンテンツとして、電力配線、コンセント、溝、空調ダクト、管、換気通路、窓等が例示されている(同文献の請求項10参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
屋外環境に工作物を設置することの計画段階では、従来からの測量技術(例えば、水準測量、トータルステーション方式等)を用いて工作物が設置される屋外環境を測量し、測量範囲内の地形及び地面に定着した既存の工作物(例えば、道路等)の現状を示すデータ取りが行われる。次に、コンピュータを用いて、測量データに基づいて地形図を作成し、その地形図上に設置予定の工作物を表す線図(輪郭線、区分線、寸法線等)を配置する。このようにして工作物の設置計画を示すデータが生成される。
【0006】
従来から用いられている方法は、3次元工作物の設置計画(例えば、施工途中状態又は施工完成状態)を、視覚を介して直感的に認識することに関して必ずしも優れた方法ではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るコンピュータを用いて3次元工作物の設置計画に関するデータを生成する方法は、前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて取得した点群データに基づいて少なくとも前記屋外環境の設置面を示す第1データを生成し、少なくとも前記3次元工作物に関する3次元オブジェクトを示す第2データを生成し、前記第1及び第2データに基づいて、前記屋外環境の設置面に対して前記3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は前記屋外環境の設置面に対して前記3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す第3データを生成する。第1データと第2データの生成順序について、第1データの生成前に第2データを生成しても良い。即ち、両者の順番は問わない。
【0008】
本開示の一態様に係る方法は、第1データの生成前、3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて点群データを取得する方法を更に含むようにも理解可能である。第1データの生成は、アプリケーションに対するユーザーの指令に応じてコンピュータにより実行され得る。第2及び第3データも同様である。用いられるアプリケーションは、当業者により適切に選択可能なものである。
【0009】
本開示の一態様に係る、ユーザーによるアプリケーションの操作に基づいて3次元工作物の設置計画に関するデータを生成するシステムは、前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて取得した点群データに基づいて少なくとも前記屋外環境の設置面を示す第1データを生成し、少なくとも前記3次元工作物に関する3次元オブジェクトを示す第2データを生成し、前記第1及び第2データに基づいて、前記屋外環境の設置面に対して前記3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は前記屋外環境の設置面に対して前記3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す第3データを生成するように動作可能である。第1データと第2データの生成順序について、第1データの生成前に第2データを生成しても良い。即ち、両者の順番は問わない。第1データの生成は、アプリケーションに対するユーザーの指令に応じてコンピュータにより実行され得る。第2及び第3データも同様である。用いられるアプリケーションは、当業者により適切に選択可能なものである。
【0010】
本開示の一態様に係る、表示装置による表示又は出力装置による出力のためにコンピュータによりレンダリングされるべき3次元工作物の設置計画に関するデータは、前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は前記屋外環境の設置面に対して前記3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示すものであり、前記屋外環境の設置面は、前記3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて取得された点群データに基づいて画定され、前記3次元オブジェクトは、少なくとも前記3次元工作物の外観が複数の面により表されたものである。前記3次元工作物は、ダム、砂防堰堤、河川護岸物、橋、道路又はこれらから選択される2以上のものの組み合わせであり、前記3次元オブジェクトは、前記3次元工作物と前記3次元工作物の設置のための用地が複数の面により表されたものであり得る。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、3次元工作物の設置計画(例えば、施工途中状態又は施工完成状態)を、視覚を介して直感的に認識することが促進される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一態様に係る3次元工作物の設置計画に関するデータを生成するための方法の概略的なフローチャートである。
【
図3】点群データに基づいて生成したサーフェスデータを示す模式図である。
【
図5】オルソ画像に基づいて着色されたサーフェスデータを示す模式図である。
【
図6】屋外環境の地面上に存在する物体の分布を示すように処理された点群データを示す模式図である。
【
図7】
図6の点群データに基づいて
図5の着色処理されたサーフェスデータが示す屋外環境の設置面上に物体オブジェクトが配置された状態を示す模式図である。
【
図8】屋外環境の設置面に対して設置されるべき3次元オブジェクトとの干渉がないように物体オブジェクトが配置された状態を示す模式図である。
【
図9】屋外環境の地形上に3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の線が配置された状態を天側から見た模式図である。
【
図10】屋外環境の地形上に3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の線が配置された状態を斜視にて示す模式図である。
【
図11】3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の線に基づいて3次元オブジェクトの複数の面が画定された状態を天側から見た模式図である。
【
図12】3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の線に基づいて3次元オブジェクトの複数の面が画定された状態を斜視にて示す模式図である。
【
図13】屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す模式図であり、合成データが示す3次元の施工完了状態がある視点に関してレンダリングされたものである。
【
図14】屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの第1部分が設置された施工途中状態を示す模式図であり、合成データが示す3次元の施工完了状態がある視点に関してレンダリングされたものである。
【
図15】屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの第1及び第2部分が設置された施工途中状態を示す模式図であり、合成データが示す3次元の施工完了状態がある視点に関してレンダリングされたものである。
【
図16】屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す模式図であり、合成データが示す3次元の施工完了状態がある視点に関してレンダリングされたものである。
【
図17】従来から用いられている2次元図面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態及び特徴について説明する。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている。各特徴は、本明細書に開示された方法及びシステムにのみ有効であるものではなく、本明細書に開示されていない他の様々な方法及びシステムにも通用する普遍的な特徴として理解される。
【0014】
本明細書では、ある対象(例えば、屋外環境の設置面、3次元オブジェクト、施工途中又は完了状態)がデータにより示されることは、例えば、コンピュータ(より詳細には、そこにインストールされたアプリケーション(ソフトウェアプログラムと呼んでも良い))によりデータが読み込まれてコンピュータが3次元空間においてそれをオブジェクトとして認識可能な状態になることを意味し得る。コンピュータは、そのように認識した3次元のオブジェクトをレンダリングして表示装置(例えば、液晶パネル、有機ELパネルといった表示パネル)に表示させ、又は出力装置(例えば、プリンタ、3Dプリンタ等)から出力させることができる。
【0015】
本明細書では、コンピュータ及びシステムは、物理的に一つのコンピュータに限らず、物理的に別々の複数のコンピュータから構築されたものであり得る。また、コンピュータ及びシステムは、ネットワーク上に置かれたものであり得る。コンピュータ及びシステムは、少なくとも一つの記憶装置と少なくとも一つのCPU(Central Processing Unit)を有し得る。記憶装置に格納されたプログラムがCPUで実行され、様々な機能(データ解析、グラフィック処理、オブジェクト操作、レンダリング、保存、転送)が実行される。データ解析は、近似処理、スムージング、所望の条件に基づくデータ(例えば、点群データに含まれるデータ部分)の取捨選択、評価関数に基づく評価等の様々な解析手法を包含する。コンピュータ及びシステムは、ユーザーからの指示が入力される入力装置(キーボード、マウス、タッチパネル、ペン入力装置等)を有し得る。アプリケーションに対するユーザーの指令が入力装置を介してコンピュータに入力される。コンピュータ及びシステムは、更には、レンダリングされたデータが供給される表示装置及び出力装置を有し得る。
【0016】
本明細書では、アプリケーションは、あるソフトウェアプログラムの一部であり得、換言すれば、プログラムモジュールであり得る。例えば、異なる別々の機能のためのアプリケーションは、共通のソフトウェアプログラムに含まれる異なる別々の機能のためのプログラムモジュールであり得る。ある機能のためのアプリケーションは、他の機能のためのアプリケーションと統合可能であり、従って、あるアプリケーションは、必ずしも他のアプリケーションから独立したものである必要はない。
【0017】
図1に示すように、本開示の一態様に係る3次元工作物の設置計画に関するデータを生成するための方法では、3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて点群データを取得し(S1)、点群データに基づいて少なくとも屋外環境の設置面を示すサーフェスデータ(第1データ)を生成し(S3)、少なくとも3次元工作物に関する3次元オブジェクトを示すオブジェクトデータ(第2データ)を生成し(S7)、サーフェスデータ及びオブジェクトデータに基づいて、屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す合成データ(第3データ)を生成する(S8)。この方法によれば、3次元工作物の施工途中状態又は施工完成状態が、3次元工作物の関係者により視覚を介して直感的に認識されることが促進される。例えば、
図17に示すような直感的に理解し難い計画図面の追加又は代替として
図13乃至
図16に示すような直感的に理解し易い計画図面を用意することができる。なお、
図13乃至
図16では、後述のとおり、サーフェスデータへの着色処理(S4)、サーフェスデータへの物体オブジェクトの追加処理(S5)を行っているが、これらの処理は、オプションであり、省略可能である。なお、3次元オブジェクトを工作物3次元オブジェクトと呼んでも良い。
【0018】
本明細書では、3次元工作物は、土地に定着した人工物の全てを意味し、具体例としては、ダム、砂防堰堤、河川護岸物、橋(高架橋、河川橋梁)、道路又はこれらから選択される2以上のものの組み合わせであり得る。複数の工作物が一緒に(例えば、隣接して)建設される場合、複数の工作物を一つの工作物と見なすこともできる。3次元工作物が設置される屋外環境は、3次元工作物の種類に応じて様々である。ダム及び砂防堰堤は、通常、山間部に設けられる。河川護岸物、橋、及び道路は、山間部や郊外に限らず、都市部においても設けられる。
【0019】
3次元工作物は、その建設が段階的に行われるもの、即ち、工事計画が必要なものであり得る。工事計画の承認のために国又は地方公共団体といった行政府から事前に工事計画に対して認可又は許可を得ることが必要になる場合がある。この許認可の手続きのために工事計画を説明するデータが有用になる。例えば、後述の合成データをコンピュータ(例えば、ノートパソコン、タブレット端末、スマートフォン等)を用いてレンダリングして表示装置に表示させ又は出力装置に出力させると、工事計画に関する表示物又は印刷物又は立体模型が得られる。これが許認可の判断に際して参照され、許認可の円滑化が促進される。
【0020】
後述の合成データは、許認可手続きに限らず、3次元工作物の建設に関係する全関係者に有益である。例えば、3次元工作物の建設を請け負う工事事業者の工事担当者が、工事内容又は計画をより直感的に理解することが促進される。3次元工作物が設置される付近に住んでいる住民への説明資料のために用いることもできる。
【0021】
3次元工作物の段階的な建設に関して砂防堰堤を一例として挙げると、まず、その建設のために必要な建設用地が確保される。この建設用地の確保は、既存樹木の伐採、工事用道路の形成、地面の平坦化、盛り土、土壌改良等の各種の土木工事を含み得る。砂防堰堤の設置のためには、土砂運搬用のトラック、パワーシャベル、コンクリートミキサー車といった様々な大型車両が必要になることがある。なお、この建設用地は、砂防堰堤の建設の進捗具合に応じて推移し得るものである。例えば、砂防堰堤の左側部分の建設のための土盛りは、その完成後は不要になり、除去され得る。
【0022】
砂防堰堤は、上述の建設用地の確保に続いて当業者に知られたように段階的に建設される。砂防堰堤としては透過型、半透過型、不透過型といった様々な種類がある。透過型のものは、コンクリート製ダム部と、その横方向中央に設けられた透過部を有する。ダム部は高く形成されるため、一度に建設されることなく段階的に形成され得る(例えば、ダム部の下部、中間部、上部の3段階に分けて形成する)。また、透過部も段階的に建設され得る。
【0023】
以下、本開示に係る方法についてより詳しく説明する。まず、3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて点群データを取得する(S1)。飛行体は、航空機、又は無人航空機(UAV(Unmanned Aerial Vehicle))であり、好適には、ドローンといった無人航空機であり、自律飛行機能及び測量機能を有する。例えば、ドローンは、衛星測位システム情報を参照して自律的に飛行し、又はこれ以外の方法で自律的に飛行する。ドローンのメモリに飛行ルート(位置情報の連続)を記憶させれば、ドローンは、位置情報の読み出しを繰り返して飛行ルートに沿って飛行することができる。ドローンにはレーザ測距計が搭載され、ドローンの飛行高さから地面までの距離を測定可能である(例えば、TOF(Time Of Flight)といった周知の測距技術が活用される)。ドローンは、事前に設定された飛行ルートを飛行する間、事前設定されたように、例えば、所定間隔で測距する。測定された距離(z値)は、この測定時のドローンの位置(xy座標の値)に関連づけて記憶される。このようにして、(x,y,z)の座標値が得られ、この蓄積によって点群データが得られる。なお、z値について、測定時のドローン高さからその被測定点のz値を減算することで海面又は基準高さからの被測定点の高さを求めることもできる。いずれにしても、点群データの各点は、XYZ座標を示し、これらの集合によって地形及び地形上の物体の起伏情報が得られる。ドローンによる正確な測定及び/又は画像取得のために標定点の使用といった様々な方法を採用することができる。
【0024】
有利には、飛行体は、点群データの複数の(例えば、全ての)点に対応して地側の画像を取得する。即ち、飛行体は、測距に同期して地側の画像を取得する。これにより、XYZ座標に対応付けて画像が取得され、後述の点群データに基づいて得られるサーフェスデータが示す設置面に対して色づけすることが可能になる。例えば、複数の画像からオルソ画像を生成し、後述のサーフェスデータが示す設置面に対してオルソ画像を付与することができる。点群データの各点データは、XYZ座標のみではなく、これに関連づけられた画像も含むことができる、と言える。
【0025】
有利には、3次元工作物が設置されるべき設置場所の周辺にある既存の工作物又は造営物が含まれる範囲の屋外環境において点群データが取得される。即ち、3次元工作物の設置場所に限った限定的な範囲よりも広い範囲で点群データが取得される。これにより、後述の合成データを用いた3次元工作物の工事計画の説明がより分かりやすいものになる。例えば、砂防堰堤の周囲の民家(造営物の一例)を点群データの取得範囲に含め、これにより砂防堰堤の意義の説明がし易くなる。架け替え前の橋(工作物の一例)を点群データの取得範囲に含め、これにより橋の架け替えの意義の説明がし易くなる。
【0026】
点群データの取得後、点群データが飛行体からコンピュータに転送される(S2)。飛行体が点群データに加えて画像(例えば、オルソ画像形成のための画像)を取得する場合、画像データも飛行体からコンピュータに転送される。飛行体からコンピュータへのデータ転送は、様々な方法により実行可能である。例えば、有線ケーブルを介して又は無線伝送により又はネットワークを介してデータ転送が行われる。飛行体が取得したデータが、ネットワーク経由でリアルタイムにデータ解析用コンピュータに転送されることも想定される。
【0027】
点群データの解析用のコンピュータは、高性能なものであることが好ましく、2以上のCPUを有し得る。点群データは、非常に大きいデータ量を有し、この解析のための演算処理負担が大きいためである。このような観点から点群データがネットワーク上のサーバーにより解析される形態も想定される。
【0028】
次に、点群データに基づいて少なくとも屋外環境の設置面を示すサーフェスデータ(第1データ)を生成する(S3)。例えば、コンピュータは、点群データを解析するアプリケーション(ソフトウェアプログラム)のユーザーによる操作を介して点群データに基づいて屋外環境の設置面を示すサーフェスデータを生成する。この第1データを生成することは、典型的には、ユーザーによるアプリケーションの操作を介してコンピュータにより行われるものであるが、アプリケーションの改良又は別のプログラムの使用により半又は全自動化することもできる。着色処理及び物体オブジェクトの配置についても同様である。
【0029】
飛行体がデータ取得のために飛行する屋外環境には地面上に物体(植物、工作物等)が存在することが一般的である。例えば、物体として、地面から天側に向かって延びる樹木について検討する。このような樹木が存在する屋外環境において飛行体がデータ取得のために飛行すると、得られる点群データには、地面からのレーザ光の反射による飛行体と地面の間の距離に対応した点に限らず、樹木からのレーザ光の反射による飛行体と樹木の間の距離に対応した点も含まれる。3次元工作物は、屋外環境の地面に対して設置されるため、点群データから屋外環境の地面を示す点群を選択し、これらから設置面を画定することが適切である。なお、点群データから屋外環境の地面を示す点群を選択することは、飛行体と樹木の間の距離と飛行体と地面の間の距離の差(前者が後者よりも短いこと)に着目してデータ解析することで実施可能である。必要に応じて近似及び/又はスムージングといった演算処理を行うことができる。起伏のある地形においても地面に対応する点同士を関連付ければ設置面を画定することができる。点同士の関連付けにより面を形成することは、アプリケーションを操作するユーザーによる判断のみにより、又は、アプリケーションの解析機能を踏まえたユーザーによる判断により、又は、アプリケーションによる解析機能のみにより行うことができる。時間を要するが簡単な方法として、ユーザーは、目視により地面に対応する点を選択し、これらを関連付け、これにより面が画定される。
【0030】
図2及び
図3は、ある砂防堰堤の設置計画のためのものである(
図4乃至
図17も同様)。
図2は、点群データを示す模式図である。
図3は、点群データに基づいて生成したサーフェスデータを示す模式図である。上述のように、点群データから屋外環境の地面に対応する点群が選択される。次に、点同士の関連付けにより個別の設置面が画定され、この面画定処理が繰り返される。これにより
図2に示す点群データに基づいて
図3に示すサーフェスデータが生成される。
【0031】
オプションであるが、次に、サーフェスデータへの着色処理が行われる(S4)。例えば、コンピュータは、3次元グラフィック処理(モデリング及びレンダリング)を行うアプリケーションのユーザーによる操作を介して、飛行体が点群データを取得することに同期して取得した複数の画像からオルソ画像を生成し、これに基づいてサーフェスデータにより示される屋外環境の設置面に対して着色処理を行う。オルソ画像は、点群データに含まれる各点に対応して取得された画像の重ね合わせに基づいて生成され、各点に対応した画像領域に区分可能である。従って、サーフェスデータの設置面が有する座標と、これに対応するオルソ画像の画像領域の対応付けによりサーフェスデータが示す個々の設置面に個々のオルソ画像の画像領域を付与する(関連付ける)ことができる。なお、3次元グラフィック処理を行うアプリケーションは、点群データを解析するアプリケーションに付属するアプリケーション、又はこれとは別のアプリケーションであり得る。
【0032】
図4は、点群データの取得に同期して取得された複数の画像に基づいて生成されたオルソ画像を示す図である。
図5は、このオルソ画像に基づいて着色されたサーフェスデータを示す模式図である。オルソ画像を用いたサーフェスデータは、
図3及び
図5の比較から明らかなように3次元工作物の設置場所の状態を視覚的に分かりやすくする。
【0033】
オプションであるが、サーフェスデータへの物体オブジェクトの追加処理が行われる(S5)。例えば、コンピュータは、3次元グラフィック処理を行うアプリケーションのユーザーによる操作を介して、サーフェスデータが示す設置面上に物体に対応する物体オブジェクトを配置する。上述のように、飛行体がデータ取得のために飛行する屋外環境には地面上に物体(植物、工作物等)が存在することがある。従って、点群データからこの物体の位置、大きさ、個数を明らかにし、サーフェスデータが示す設置面上に物体に対応する物体オブジェクトを配置することで3次元工作物の設置場所の状態を視覚的に分かりやすくすることができる。
【0034】
例えば、3次元工作物が砂防堰堤である場合、その設置のために樹木を伐採する場合がある。サーフェスデータが示す設置面上に現状の樹木分布領域を特定しておくことで、3次元工作物の設置に伴って必要な範囲で樹木を伐採した時、どの程度の量の樹木が伐採されるのかを見積もることができる。これは、事前に樹木の運搬用のトラックの台数を見積もることができることを意味し、設置計画の円滑な遂行のために有利である。
【0035】
図6は、屋外環境の地面上に存在する物体の分布を示すように処理された点群データを示す模式図である(
図6では各点が色情報を有するが、これに限られない)。
図7は、
図6の点群データに基づいて、サーフェスデータが示す屋外環境の設置面上に物体オブジェクトが配置された状態を示す模式図である。
図8は、屋外環境の設置面に対して設置されるべき3次元オブジェクトとの干渉がないように物体オブジェクトが配置された状態を示す模式図である。
図6乃至
図8では、屋外環境の地面上に存在する物体が樹木であるが、これは3次元工作物の種類及び設置場所によって他の物(造営物、或いは、電柱、信号機など)に代替される。
【0036】
物体オブジェクトの配置は、上述のアプリケーションに付属の又は別の専用のアプリケーションを用いて行うことができる。即ち、コンピュータは、ユーザーによるアプリケーションの操作を介して、
図6の点群データが示す樹木の位置と範囲に応じて、サーフェスデータが示す設置面上に物体オブジェクトを配置する。サーフェスデータが示す設置面は、XYZ座標或いは簡略的にXY座標により範囲指定することができる。従って、幾つかの場合、サーフェスデータが示す設置面において樹木オブジェクトを配置する領域がユーザーにより指定され、アプリケーションによりその指定された領域に樹木オブジェクトが配置される。物体オブジェクトの属性(例えば、高さ)もアプリケーションにおいて指定可能である。
【0037】
物体オブジェクトの配置は、
図6の点群データが示す物体に加えて3次元工作物と3次元工作物の設置のための用地に応じて行っても良い。これにより、3次元工作物及び用地に干渉しないように物体オブジェクトが配置される。勿論、
図7に示したように物体オブジェクトを配置し、3次元工作物及び用地に干渉する物体オブジェクトを選択的に除去することもできる。
【0038】
物体オブジェクトの選択的な除去のために後述の3次元オブジェクト(
図11及び
図12参照)を用いることもできる。コンピュータは、ユーザーによるアプリケーションの操作を介して、設置面に対して物体オブジェクトを配置し、設置面に対して3次元オブジェクトを配置し、これにより、両者の空間的な干渉が生じる。ユーザーによるアプリケーションの操作を介して、3次元オブジェクトに空間的に干渉する物体オブジェクトを除去すれば、
図8に示すような3次元工作物の設置のために不要な物体オブジェクトが除かれた状態を示すデータが得られる。
【0039】
図7及び
図8に示すような物体(ここでは樹木)の除去前後の各状態を示すデータを生成することが有利であり、これにより、3次元工作物の設置のための用地確保に係る工事計画(3次元工作物の設置前の工事)の視覚を通じた直感的な理解が促進され、更には、伐採により運搬される樹木量の見積もりも可能になる。
【0040】
3次元オブジェクトと設置面の空間的な干渉を特定することもできる。共通のXY座標番地を持ちZ座標値が異なる第1及び第2の点について、第1の点が、設置面に等しいZ座標値を持ち、第2の点が、第1の点よりも小さいZ座標値を持つ時、第2の点は、設置面の下方の地中に位置する。設置面に対して3次元オブジェクトが配置される時、3次元オブジェクトが上述の第2の点の如く地中に存在するならば、これよりも上側の土を除去することが要求され得る。このような3次元オブジェクトと設置面の空間的な干渉の特定により、設置面以下の土の除去量も見積もることができる。
【0041】
上述のS1~S5の工程とは別に、少なくとも3次元工作物に関する3次元オブジェクトを示すオブジェクトデータを生成する(S7)。例えば、コンピュータは、3次元グラフィック処理を行うアプリケーションのユーザーによる操作を介して、少なくとも3次元工作物に関する3次元オブジェクトを示すオブジェクトデータを生成する。少なくとも3次元工作物の外観が複数の面により表された3次元オブジェクトを示すオブジェクトデータが生成される。サーフェスデータが示す設置面上への設置のために3次元工作物が3次元オブジェクトとして表しておくのである。
【0042】
必ずしもこの限りではないが、飛行体を用いずに屋外環境の地面上に測量計を設置して行った測量に基づいて屋外環境の地形を示す地形データ(第4データ)が生成される(S6)。例えば、コンピュータは、3次元グラフィック処理を行うアプリケーションのユーザーによる操作を介して、測定データを読み込み、これから地形データを生成する。地形データは、サーフェスデータよりもデータ量が小さく、地形上への3次元オブジェクトの配置のためのグラフィック処理負担が抑制される。続いて、コンピュータは、そのアプリケーションのユーザーによる操作を介して、地形データが示す屋外環境の地形上に3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の点又は線を配置し、複数の点又は線に基づいて3次元オブジェクトの面を画定することを繰り返して3次元オブジェクトを形成する。このようにして、3次元工作物の外観が複数の面により表された3次元オブジェクトが生成される。
【0043】
3次元オブジェクトは、3次元工作物と3次元工作物の設置のための用地が複数の面により表されたものであり得る。即ち、3次元オブジェクトは、3次元工作物のみを表すものに限られず、3次元工作物の設置のために必要な用地も表し、特には、3次元工作物と用地の間の位置関係も定める。勿論、3次元工作物とこの設置のために必要な用地を別々の3次元オブジェクトで表すこともできる。なお、3次元オブジェクトについては、ユーザーによるアプリケーションの操作を介して、分割及び結合といった加工を施すことができる。実際には、3次元工作物と用地を一つの3次元オブジェクトにまとめることが便利である。
【0044】
3次元工作物の設置計画のタイムフローについて、まず工程S6,S7を行い、これから数ヶ月から数年といった時間が経過した後、実際に3次元工作物を施工する直前の段階で工程S1を行う場合がある。即ち、工程S6と工程S1の間には時間的な隔たりがある場合がある。この場合、工程S3のサーフェスデータを用いて3次元オブジェクトを生成するよりも、飛行体を用いずに屋外環境の地面上に測量計を設置して測量を行うことも有用になる。また、点群データのデータ量は非常に大きく、サーフェスデータのデータ量も大きい。従って、サーフェスデータが示す設置面上において3次元オブジェクトを生成することが、コンピュータの処理能力から制約を受ける場合がある。このような観点からも、飛行体を用いずに屋外環境の地面上に測量計を設置して測量を行うことが有用になる(勿論、これに限られるべきではない)。なお、この測量に基づいて生成した地形データのデータ量は、点群データ又はサーフェスデータのデータ量よりも小さい。また、この測量は、点群データのデータ取得範囲と同じ範囲で行われ、又は異なる(例えば、より狭い)範囲で行われる。
【0045】
図9及び
図10は、地形データが示す地形上に3次元オブジェクトの輪郭を定める複数の線を配置した状態を示す。
図11及び
図12は、3次元オブジェクトの輪郭を定める線に基づいて3次元オブジェクトの面を画定することを繰り返して完成した3次元オブジェクトが地形上に配置された状態を示す。3次元オブジェクトは、公道と用地の連絡通路、用地内に設けられる橋といった3次元工作物の設置のために必要な付加的な要素も表すことができる。オプションとして、3次元オブジェクトに対して着色処理が行われる。例えば、3次元工作物と用地が異なる色に着色され、それらが区別し易くなる。
【0046】
続いて、サーフェスデータ及びオブジェクトデータに基づいて、屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの少なくとも一部が設置された施工途中の又は施工が完了した状態を示す合成データ(第3データ)を生成する(S8)。例えば、コンピュータは、3次元グラフィック処理を行うアプリケーションのユーザーによる操作を介して、サーフェスデータ及びオブジェクトデータを読み込み、(コンピュータ上でアプリケーションにより設定される仮想的な3次元空間において)屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの少なくとも一部又はその全部を設置し、これにより、施工途中状態又は施工完了状態を示す合成データが生成される。なお、サーフェスデータは、例えば、
図8に示すように着色処理され、かつ物体オブジェクトが追加されたものであり得るが、これに限らず、
図3に示すような着色処理がされておらず、かつ物体オブジェクトが追加されていないものであっても良い。なお、3次元オブジェクトが、測量に基づく地形データが示す地形上において生成されたものである(
図9乃至
図12参照)場合には、サーフェスデータが示す設置面との関係において3次元オブジェクトを縮尺する必要はないことも想定されるが、必要ならば、縮尺される。
【0047】
図13は、合成データが示す3次元の施工完了状態がある視点に関してレンダリングされたものである。
図14及び
図15は、合成データが示す3次元の施工途中状態がある視点に関してレンダリングされたものである。
図16は、合成データが示す3次元の施工完了状態がある視点に関してレンダリングされたものである。このようにコンピュータは、3次元グラフィック処理を行うアプリケーションのユーザーによる操作を介して、施工完了状態又は施工途中状態の3次元オブジェクトをレンダリングして(2次元表示として)表示装置に表示させ、又は2次元又は3次元の表示物として出力装置から出力することができる。
【0048】
図14乃至
図16に示すように、施工手順を示すため、3次元オブジェクトを分割して表示すると良い。これにより、3次元工作物の建設順序が視覚を介して直感的に理解される。
【0049】
本開示の方法により生成した合成データにより表された
図13乃至
図16の斜視図と従来の方法により作成された
図17の上面図の対比から本開示の方法により3次元工作物の設置工事の視覚を通じた直感的な理解が促進されることが分かる。なお、
図17は、グラフィック処理を行うアプリケーション(ソフトウェアプログラム)で地形データを読み込み、これに対して工作物の輪郭を定める線等を追加して得られたデータにより表されたものである。
【0050】
本願にて参照される図面では、砂防堰堤が山間部に設けられる場合が代表例として取り上げられているが、本開示に係る方法は、勿論、砂防堰堤以外の工作物の設置計画にも有用である。即ち、3次元工作物は、砂防堰堤に限らず、ダム、砂防堰堤、河川護岸物、橋、道路又はこれらから選択される2以上のものの組み合わせ等であり得る。
【0051】
既存の橋に隣接して新しい橋が新設される場合について検討する。この場合、既存の橋と新設する橋の関係を明らかして架け替え計画を立てることが有益である。従って、飛行体を用いて既存の橋を示すように点群データが取得される。点群データに基づいて既存の橋のオブジェクトが設置面とは別に又はその一部として形成される。設置面に対して新しい橋の3次元オブジェクトを設置することにより新旧の橋の相対的な関係(例えば、新橋が既存の橋よりも高い位置に設けられる、又は新橋が既存の橋よりも幅が広い等)を、視覚を介して直感的に理解することが可能になる。橋の新設が予定されている場所付近の住宅も表すように点群データを取得することで最終的な合成データを住民への説明資料のために用いることができる点は砂防堰堤のシナリオと同様である。
【0052】
施工過程を示す複数の合成データを生成し、施工過程をアニメーション表示することが
できる。さらに、複雑な施工手順の場合、3次元データに時間軸を持たせたシミュレーション(4Dシミュレーション)をすることもできる。
【0053】
本開示は、上述した形態又は例に限られず、他の様々な変形が可能である。
【要約】
【課題】従来の方法は、3次元工作物の施工途中状態又は施工完成状態を、視覚を介して直感的に認識することに関して必ずしも優れていない。
【解決手段】コンピュータを用いて3次元工作物の設置計画に関するデータを生成する方法は、3次元工作物が設置されるべき屋外環境において飛行体を用いて取得した点群データに基づいて少なくとも屋外環境の設置面を示す第1データを生成し、少なくとも3次元工作物に関する3次元オブジェクトを示す第2データを生成し、第1及び第2データに基づいて、屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの一部が設置された施工途中状態又は屋外環境の設置面に対して3次元オブジェクトの全体が設置された施工完了状態を示す第3データを生成することを含む。
【選択図】
図1