(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法、装置、及びシステム
(51)【国際特許分類】
B23K 31/00 20060101AFI20220906BHJP
B23K 9/04 20060101ALI20220906BHJP
B23K 9/095 20060101ALI20220906BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20220906BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220906BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20220906BHJP
【FI】
B23K31/00 Z
B23K9/04 G
B23K9/04 Z
B23K9/095 515Z
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
(21)【出願番号】P 2021531538
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2020138656
(87)【国際公開番号】W WO2021129671
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-06-02
(31)【優先権主張番号】201911347776.X
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510268554
【氏名又は名称】▲華▼中科技大学
【氏名又は名称原語表記】HUAZHONG UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 海鴎
(72)【発明者】
【氏名】王 桂蘭
(72)【発明者】
【氏名】唐 尚勇
(72)【発明者】
【氏名】周 思宇
(72)【発明者】
【氏名】李 潤声
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-30014(JP,A)
【文献】特開2004-122180(JP,A)
【文献】特開2017-39160(JP,A)
【文献】特開2017-226001(JP,A)
【文献】米国特許第5510596(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 31/00
B23K 9/04
B23K 9/095
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法であって、オフライントレーニング段階とオンラインモデリング段階を含み、
前記オフライントレーニング段階は、
動的パラメータ法を使用して、一回のアーク式積層造形プロセスでは、同じ溶接ビードで異なる溶接プロセスパラメータを使用して、溶接プロセスパラメータの動的変化に同期して動的に形態が変化する溶接ビードを取得し、前記溶接プロセスパラメータには、溶接ビード温度、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度、および走行速度が含まれ、溶接中に赤外線サーモグラフィによって溶接ビード温度をリアルタイムに収集し、
ラインレーザーセンサーを使用してスキャンし、動的パラメータ法によって取得された溶接ビードのセグメント形態を取得し、溶接ビードの各セグメントの形態を、このセグメントの溶接プロセスパラメータに1対1で対応してトレーニングデータとして、前記溶接ビード形態には、溶接ビードの高さと幅が含まれる動的処理とデータ収集というステップ1と、
溶接プロセスパラメータをニューラルネットワークの入力として使用し、入力された溶接プロセスパラメータに対応する溶接ビード形態をニューラルネットワークの出力として使用し、ニューラルネットワークをトレーニングすることにより入力された溶接プロセスパラメータに基づいて対応する溶接ビード形態を取得できる溶接ビードのモデリングモデルを取得するモデルトレーニングというステップ2と、を含み、
前記オンラインモデリング段階は、
アーク式積層造形プロセスで溶接プロセスパラメータをリアルタイムで収集し、収集した溶接プロセスパラメータをステップ2のオフライントレーニングで取得した溶接ビードのモデリングモデルに入力して、溶接ビードの形態を取得するというステップ3を含むことを特徴とするアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法。
【請求項2】
ステップ1において、溶接のアーク開始ヘッドとアーク消火テールの溶接プロセスパラメータと溶接ビードの形態をスキップし、アークヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの溶接プロセスパラメータ及び溶接ビードの形態のみを収集してステップ2のモデルトレーニングの有効なデータとして使用することを特徴とする請求項1に記載のアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法。
【請求項3】
ステップ1において、アーク開始ヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの範囲内で、溶接プロセスパラメータがアーク開始点からアーク終了点までセグメントで動的に変化するため、1回の溶接テストによって多くで有効なトレーニングデータを取得することを特徴とする請求項2に記載のアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法。
【請求項4】
ステップ1において、溶接電圧は溶接電流に応じて溶接機によって自動的に調整され、温度も溶接プロセス中に溶接電流によって受動的に変化し、移動速度、ワイヤ送給速度、溶接電流の3つのパラメータは、事前設定された方法に従って動的かつアクティブに変更されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法。
【請求項5】
コンピュータ可読記憶媒体であって、このコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラムを格納し、このコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法が実現されることを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項6】
アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリングの装置であって、請求項5に記載のコンピュータ可読記憶媒体およびプロセッサを含み、プロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを呼び出して処理するために使用されることを特徴とするアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリングの装置。
【請求項7】
アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリングのシステムであって、赤外線サーモグラフィ、ホールセンサー、数値制御工作機械、溶接機、電流センサー、溶接機制御盤、ラインレーザースキャナーおよび請求項6に記載の装置を含み、
前記赤外線サーモグラフィは、溶接ビードの温度を収集するために使用され、前記ホールセンサーは、溶接電圧を収集するために使用され、前記数値制御工作機械は、前記溶接機の走行速度を制御するために使用され、前記電流センサーは、溶接電流を収集するために使用され、前記溶接機制御盤は、溶接機のワイヤ送給速度を制御するために使用され、前記ラインレーザースキャナーは、溶接ビードをスキャンし、溶接ビードの形態を取得するために使用されることを特徴とするアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリングのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2019年12月24日に中国特許庁に提出され、出願番号201911347776.X、発明の名称「アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法、装置、及びシステム」の中国特許出願の優先権を要求し、その内容全体が参照により本出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、アーク式積層造形の技術分野、特にアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤアーク式積層造形技術(Wire-Arc Additive Manufacture、WAAM)は、消耗電極不活性ガスシールド溶接(MIG)、タングステン電極不活性ガスシールド溶接(TIG)、プラズマ溶接電源(PA)などの溶接機によって生成されるアークを熱源として、プログラムの制御下で金属線を追加することにより、設定された成形経路に従って層を基板上に積み重ねて、金属部品がほぼ形成されるまで層を積み重ねることである。現在、従来のアーク式積層造形用の溶接ビードのモデルの確立は、主に直交実験法と応答曲面法を使用している。
【0004】
直交実験法は、直交実験を設計することにより、入力パラメータと出力パラメータとの間の変化関係を研究することである。このモデリング方法には実験回数が多く、不適切な実験方法ではパラメータが間違っている傾向があり、同時に、最適なパラメータを取得するには、通常、パラメータの範囲を継続的に狭めて最適なパラメータを実現するために複数回の実験が必要である。このような実験方法は通常、入力パラメータと出力パラメータとの間の数学的関係を取得することはできず、パラメータの最適な傾向を調査することしかできない。
【0005】
より頻繁に使用されるもう1つの方法は、応答曲面法であり、入力パラメータと出力パラメータとの間の関係のモデルを構築することにより、回帰方程式を使用して、入力と出力との間の関係式を取得することである。このモデリング方法は、直交実験法よりも科学的で信頼性があるが、実験の数が増え、同時に、パラメータが少ないため、実験の不安定性やエラーにより、パラメータエラーが大きくなりやすくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これに基づいて、本発明は、深層学習モデルを使用して成形プロセスパラメータと溶接ビードの形状との間の関係を表現し、同時にオフライントレーニングプロセスで動的パラメータ法を採用し、同じ溶接ビードで異なる溶接パラメータの使用を実現し、1回の処理実験で複数のセットの実験データを取得できるため、実験データのセットごとに実験のセットを設計する必要はなくなり、実験の回数と実験のコストが削減される状況下でニューラルネットワークトレーニングモデリングに十分なトレーニングデータを提供し、従来の直交実験法と応答曲面法の複雑な回帰方程式の選択とパラメータの最適化が必要であるという技術的課題を解決した、アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法、装置、及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は、アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法を提供し、それは、オフライントレーニング段階とオンラインモデリング段階を含み、
前記オフライントレーニング段階は、
動的パラメータ法を使用して、一回のアーク式積層造形プロセスでは、同じ溶接ビードで異なる溶接プロセスパラメータを使用して、溶接プロセスパラメータの動的変化に同期して動的に形態が変化する溶接ビードを取得し、前記溶接プロセスパラメータには、溶接ビード温度、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度、および走行速度が含まれ、溶接中に赤外線サーモグラフィによって溶接ビード温度をリアルタイムに収集し、
ラインレーザーセンサーを使用してスキャンし、動的パラメータ法によって取得された溶接ビードのセグメント形態を取得し、溶接ビードの各セグメントの形態を、このセグメントの溶接プロセスパラメータに1対1で対応してトレーニングデータとして、前記溶接ビード形態には、溶接ビードの高さと幅が含まれる動的処理とデータ収集というステップ1と、
溶接プロセスパラメータをニューラルネットワークの入力として使用し、入力された溶接プロセスパラメータに対応する溶接ビード形態をニューラルネットワークの出力として使用し、ニューラルネットワークをトレーニングすることにより入力された溶接プロセスパラメータに基づいて対応する溶接ビード形態を取得できる溶接ビードのモデリングモデルを取得するモデルトレーニングというステップ2と、を含み、
前記オンラインモデリング段階は、
アーク式積層造形プロセスで溶接プロセスパラメータをリアルタイムで収集し、収集した溶接プロセスパラメータをステップ2のオフライントレーニングで取得した溶接ビードのモデリングモデルに入力して、溶接ビードの形態を取得するというステップ3を含む。
【0008】
任意選択的に、ステップ1で、溶接のアーク開始ヘッドとアーク消火テールの溶接プロセスパラメータと溶接ビードの形態をスキップし、アークヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの溶接プロセスパラメータ及び溶接ビードの形態のみを収集してステップ2のモデルトレーニングの有効なデータとして使用する。溶接シームのアーク開始ヘッドとアーク消火テールの溶接プロセスパラメータと溶接ビードの形態をスキップし、アークヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの溶接プロセスパラメータ及び溶接ビードの形態のみを収集してステップ2のモデルトレーニングの有効なデータとして使用する。
【0009】
任意選択的に、ステップ1で、アーク開始ヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの範囲内で、溶接プロセスパラメータがアーク開始点からアーク終了点まで動的に変化するため、1回の溶接テストによって多くで有効なトレーニングデータを取得する。
【0010】
任意選択的に、ステップ1において、溶接電圧は溶接電流に応じて溶接機によって自動的に調整され、温度も溶接プロセス中に溶接電流によって受動的に変化し、移動速度、ワイヤ送給速度、溶接電流の3つのパラメータは、事前設定された方法に従って動的かつアクティブに変更される。
【0011】
本発明はまた、コンピュータ可読記憶媒体を提供し、このコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラムを格納し、このコンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、上記のアーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法が実現される。
【0012】
本発明はまた、アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリングの装置を提供し、上記のコンピュータ可読記憶媒体およびプロセッサを含み、プロセッサは、コンピュータ可読記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを呼び出して処理するために使用される。
【0013】
本発明はまた、アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリングのシステムを提供し、赤外線サーモグラフィ、ホールセンサー、数値制御工作機械、溶接機、電流センサー、溶接機制御盤、ラインレーザースキャナーおよび上記の装置を含み、
前記赤外線サーモグラフィは、溶接ビードの温度を収集するために使用され、前記ホールセンサーは、溶接電圧を収集するために使用され、前記数値制御工作機械は、前記溶接機の走行速度を制御するために使用され、前記電流センサーは、溶接電流を収集するために使用され、前記溶接機制御盤は、溶接機のワイヤ送給速度を制御するために使用され、前記ラインレーザースキャナーは、溶接ビードをスキャンし、溶接ビードの形態を取得するために使用される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によって提供される特定の実施例によれば、本発明は、以下の技術的効果を開示する。
【0015】
(1)本発明は、ニューラルネットワークを使用することにより、溶接ビードの入力パラメータと出力パラメータとの間の溶接ビードのモデリングモデルを確立し、これにより、従来の直交実験法および応答曲面法の複雑な回帰方程式の選択およびパラメータ最適化を回避でき、同時に、ニューラルネットワークは、後続の継続的な実験と実際のモデリング操作でいずれも現在のモデルを継続的にトレーニングおよび最適化して、より優れた深層学習ネットワークを取得できる。
(2)従来のニューラルネットワークトレーニングは大量のサンプルデータを必要とするため、アーク式積層造形実験の数が多いと、時間と材料費の点で比較的大きな支出になり、本発明は、溶接ビードのデータ収集の実験プロセスを設計するための動的パラメータ実験方法を革新的に提案し、処理パラメータをセグメントで動的に変更することによって、わずか数セットのパラメータ実験を通じて、溶接ビード形態の入力パラメータと出力パラメータに関する大量のデータを取得でき、実験パラメータのセットごとに実験のセットを設計する必要性を回避し、実験の回数と実験のコストを削減し、溶接ビードのモデルを確立するための時間としきい値を大幅に短縮した。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の実施例または従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例に必要な図面を以下に簡単に紹介する。明らかに、以下の説明の図面は、本発明の一部の実施例にすぎない。当業者にとって、創造的な労力なしで、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0017】
【
図1】本発明の実施例の全体的なプロセスおよびシステムフレームワークの模式図である。
【
図2】本発明の実施例で使用される畳み込みニューラルネットワークモデルの構造図である。
【
図3】本発明の実施例による溶接方向および溶接の有効データ領域の模式図である。
【
図4】本発明の実施例による動的パラメータ法の実験デザインアイデア図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、本発明の実施例における添付の図面を参照して、本発明の実施例における技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、本発明の実施例の一部に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0019】
本発明は、深層学習モデルを使用して成形プロセスパラメータと溶接ビードの形状との間の関係を表現し、同時にオフライントレーニングプロセスで動的パラメータ法を採用し、同じ溶接ビードで異なる溶接パラメータの使用を実現し、1回の処理実験で複数のセットの実験データを取得できるため、実験データのセットごとに実験のセットを設計する必要はなくなり、実験の回数と実験のコストが削減される状況下でニューラルネットワークトレーニングモデリングに十分なトレーニングデータを提供し、従来の直交実験法と応答曲面法の複雑な回帰方程式の選択とパラメータの最適化が必要であるという技術的課題を解決した、アーク式積層造形用の溶接ビードのモデリング方法、装置、及びシステムを提供することを目的とする。
【0020】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより顕著で分かりやすくするために、以下に図面及び発明を実施するための形態を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。
【0021】
本発明は、新しい溶接ビード形態のモデリング方法を提供し、ここでモデリングでは、ニューラルネットワークに基づく深層学習モデルを使用し、深層学習モデルは、特に非線形システムの場合、複数の入力と出力との間にいかなる仮定を立てることなく、複雑な関係を確立するための効果的なツールである。本発明において、深層学習モデルは、成形プロセスパラメータと溶接ビードの形状との間の関係を表現するために使用される。本発明は、実験計画において動的パラメータ法を採用し、数値制御工作機械および溶接機を使用して、同じ溶接ビードにおいて異なる溶接パラメータの使用を実現し、実験パラメータの各セットについて実験のセットを設計する必要性を回避し、実験の回数と実験のコストを削減し、ニューラルネットワークモデリングに十分なトレーニングデータを提供する。
【0022】
図1に示すように、本発明の好ましい実験システムおよびモデリングシステムには、赤外線サーモグラフィ、ホールセンサー、数値制御工作機械、溶接機、電流センサー、溶接機制御盤、ラインレーザースキャナーが含まれる。前記赤外線サーモグラフィは、溶接ビードの温度を収集するために使用され、前記ホールセンサーは、溶接電圧を収集するために使用され、前記数値制御工作機械は、前記溶接機の走行速度を制御するために使用され、前記電流センサーは、溶接電流を収集するために使用され、前記溶接機制御盤は、溶接機のワイヤ送給速度を制御するために使用され、前記ラインレーザースキャナーは、溶接ビードをスキャンし、溶接ビードの形態を取得するために使用される。
【0023】
その溶接シーム形態モデルのトレーニングとモデリングは、コンピュータに基づいて畳み込みニューラルネットワークプログラムを呼び出してトレーニングを行うことにより実現でき、具体的には、オフライントレーニング段階とオンラインモデリング段階が含まれる。
【0024】
前記オフライントレーニング段階は、
動的パラメータ法を使用して、一回のアーク式積層造形プロセスでは、同じ溶接ビードで異なる溶接プロセスパラメータを使用して、溶接プロセスパラメータの動的変化に同期して動的に形態が変化する溶接ビードを取得し、前記溶接プロセスパラメータには、溶接ビード温度、溶接電流、溶接電圧、ワイヤ送給速度、および走行速度が含まれ、溶接中に赤外線サーモグラフィによって溶接ビード温度をリアルタイムに収集し、
ラインレーザーセンサーを使用してスキャンし、動的パラメータ法によって取得された溶接ビードのセグメント形態を取得し、溶接ビードの各セグメントの形態を、このセグメントの溶接プロセスパラメータに1対1で対応してトレーニングデータとして、前記溶接ビード形態には、溶接ビードの高さと幅が含まれる動的処理とデータ収集というステップ1と、
溶接プロセスパラメータをニューラルネットワークの入力として使用し、入力された溶接プロセスパラメータに対応する溶接ビード形態をニューラルネットワークの出力として使用し、ニューラルネットワークをトレーニングすることにより入力された溶接プロセスパラメータに基づいて対応する溶接ビード形態を取得できる溶接ビードのモデリングモデルを取得するモデルトレーニングというステップ2と、を含み、
前記オンラインモデリング段階は、
アーク式積層造形プロセスで溶接プロセスパラメータをリアルタイムで収集し、収集した溶接プロセスパラメータをステップ2のオフライントレーニングで取得した溶接ビードのモデリングモデルに入力して、溶接ビードの形態を取得するというステップ3を含む。
【0025】
好ましくは、ステップ1において、溶接シームのアーク開始ヘッドとアーク消火テールの溶接プロセスパラメータと溶接ビードの形態をスキップし、アークヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの溶接プロセスパラメータ及び溶接ビードの形態のみを収集してステップ2のモデルトレーニングの有効なデータとして使用する。
【0026】
好ましくは、ステップ1において、アーク開始ヘッドとアーク消火テールとの間の溶接ビードの範囲内で、溶接プロセスパラメータがアーク開始点からアーク終了点までセグメントで動的に変化するため、1回の溶接テストによって多くで有効なトレーニングデータを取得する。ここで、セグメントで動的に変化することは、溶接ビードをセグメント化し、各溶接ビードセクションに異なる溶接プロセスパラメータを設定することである。
【0027】
好ましくは、ステップ1において、溶接電圧は溶接電流に応じて溶接機によって自動的に調整され、温度も溶接プロセス中に溶接電流によって受動的に変化し、移動速度、ワイヤ送給速度、溶接電流の3つのパラメータは、事前設定された方法に従って動的かつアクティブに変更される。
【0028】
以下は、本発明のモデリング方法を詳細に紹介するためのより具体的な事例である。
【0029】
図2に示すように、本発明では、モデリング方法は深層学習モデルを採用し、深層学習モデルは、成形プロセスパラメータと溶接ビードの形状との間の関係を表現するために使用される。深層学習モデルは、入力層、3つの隠れ層、および出力層で構成される畳み込みニューラルネットワークであることが好ましい。ニューロンは層間で完全に接続されており、入力パラメータと応答パラメータとの間で非線形マッピングを実行する。ここで、成形プロセスのパラメータは、温度、電流、電圧、ワイヤ送給速度、および走行速度であり、溶接ビードの形状の説明では、溶接ビードの幅と高さを使用する。次に、深層学習モデルのためにトレーニングデータを選択する必要がある。
【0030】
WAAMの溶着プロセス中、アークの始点とアークの終点での溶接シーム幾何学的形状は通常不安定である。溶接シームの両端の異常領域を回避するために、この実施例は、溶接シームの両端の間に20mmのギャップを追加した。
図3に示すように、溶接シームの中央領域(100mm)のみがデータ収集に有効である。この実施例では、経路全体の長さは140mmであり、収集されたデータの信頼性を確保するために100mmのみが使用された。
【0031】
本発明により提供された動的パラメータ実験(DPE)方法を使用して、この100mmの長さを最大限に活用することにより、WAAMの成形パラメータは、アーク開始点からアーク終了点までのセグメントで動的に変化する。成形パラメータの変化により、溶接シームの幅と高さが変化し、次に、ラインレーザーセンサーを使用して溶接ビード成形後の幾何学的形状情報を測定し、それによって入力データ(溶接パラメータ)と応答データ(溶接ビード形態)を1つずつ一致させることができ、このようにして、深層学習モデルの大量のトレーニングデータを取得できる。
【0032】
本実施例において、溶接の安定性を確保するために、溶接電流に応じて溶接機によって自分でパラメータを調整して、溶接電圧を変更し、同様に温度も溶接工程で受動的に変化させた。したがって、
図4に示すように、移動速度(S、mm/min)、ワイヤ送給速度(F、m/min)、および溶接電流(C、A)の3つのパラメータのみが動的にアクティブに変化した。
【0033】
上記システムと実験方法の操作フローは、
溶接機のプロセスパラメータを数値制御コードで変更できるようにし、直接数値制御コードに従って溶接機の移動速度を取得するのも簡単にするために数値制御工作機械と溶接機との間の通信を確立するステップ1と、
図4によれば、動的パラメータ法を使用して実験を計画し、同じ溶接ビードでは、溶接プロセスのパラメータを、前進するプロセス中に絶えず変更し、それを数値制御コードに書き込むステップ2と、
ステップ2の可変パラメータ数値制御コードを使用して実験を行い、実験中は、ホール電圧センサー、ホール電流センサー、溶接機制御盤を使用して、電圧、電流、ワイヤ送給速度をそれぞれ収集し、赤外線サーモグラフィを使用して、溶接ビード温度を収集し、次に、データを、高速取得カードを介してコンピュータにフィードバックし、このプロセスでは、
図3の有効なデータ領域のデータのみを収集するステップ3と、
毎回に溶接ビードの実験が完了したら、図中のラインレーザーセンサーを使用して、完成した溶接ビードの形態をスキャンし、各部分の溶接ビードの幅と高さを抽出し、次に、
図1に従って、溶接ビードの各セグメントの高さと幅を、対応するセグメントのプロセスパラメータと1対1で対応し、トレーニングデータを形成するステップ4と、
トレーニングデータを使用して、
図2の畳み込みニューラルネットワークをトレーニングし、溶接シームモデリングモデルを取得するステップ5と、
実際の加工プロセスでは、ステップ3に従って溶接パラメータを収集し、ステップ5でトレーニングした溶接シームモデリングモデルを入力して、溶接シームをモデリングするステップ6と、を含む。
【0034】
本明細書では、特定の例を使用して、本発明の原理と実施形態を説明し、上記の実施例の説明は、本発明の方法とコアアイデアを理解するのを助けるためにのみ使用され、同時に、当業者にとって、本発明のアイデアによれば、発明を実施するための形態および適用範囲に変更が生じるであろう。要約すると、本明細書の内容は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。