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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】位置特定システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20220906BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20220906BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H04M11/00 302
G08B25/04 K
G08B21/02
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021578007
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006272
(87)【国際公開番号】W WO2021229883
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2021-12-28
(31)【優先権主張番号】P 2020083139
(32)【優先日】2020-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515342446
【氏名又は名称】株式会社otta
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】山本 文和
【審査官】西巻 正臣
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-186040(JP,A)
【文献】特開2015-039098(JP,A)
【文献】特開2008-306558(JP,A)
【文献】特開2009-284255(JP,A)
【文献】特許第5891468(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B19/00-31/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に携帯される対象者端末であって、無線通信を介して当該対象者端末の位置を特定するための識別情報を発信するとともに、前記対象者に向けた配信情報を受信可能であり、音、光、表示および動きのうちの少なくとも一つの方法によって前記対象者に前記配信情報の受信を通知する出力部を有する対象者端末と、
予め設定された前記対象者の見守りエリアを含む領域に存在し、近距離無線通信を介して通信可能な前記対象者端末を検出し、前記対象者端末を検出した場合に、前記対象者端末から発信された前記識別情報を取得してサーバーに送信する検出用端末と、
前記対象者端末から発信された前記識別情報に基づいて前記対象者端末の位置を特定するサーバーと、
前記サーバーによって特定された前記対象者端末の位置と、予め記憶されたマップ情報とに基づいて、前記対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定する判定部と、
前記判定部における判定結果に応じて、前記対象者端末の前記出力部における出力方法を決定する決定部と、
を有し、
前記対象者端末は、
第1の時間間隔をあけて、前記近距離無線通信を行うための信号を出力し、前記近距離無線通信を介して前記識別情報を発信する第1通信部と、
少なくとも前記第1の時間間隔よりも長い第2の時間間隔をあけて、GPS衛星からの信号に基づく当該対象者端末の位置情報を取得し、前記近距離無線通信よりも通信距離が長い長距離無線通信を介して、前記サーバーに前記識別情報および前記位置情報を送信する第2通信部と、を有し、
前記サーバーは、
前記検出用端末から送信された前記識別情報と、前記検出用端末の位置に関する情報とを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記識別情報および前記検出用端末の位置に関する情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する第1特定部と、
前記対象者端末の前記第2通信部から送信された前記識別情報および前記位置情報に基づいて、前記対象者端末の位置を特定する第2特定部と、を有し、
前記判定部は、前記第1特定部または前記第2特定部によって特定された前記対象者端末の位置と、前記マップ情報とに基づいて、前記対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定する位置特定システム。
【請求項2】
前記決定部は、前記判定結果に応じて、前記通知を音によって出力するか否かを決定する請求項1に記載の位置特定システム。
【請求項3】
前記決定部は、
前記対象者が前記設備外に存在する場合は、前記通知を音によって出力させ、
前記対象者が前記設備内に存在する場合は、前記通知を音以外の方法によって出力させる請求項1または2に記載の位置特定システム。
【請求項4】
前記設備は、所定の建物、施設、または交通機関を含み、
前記マップ情報は、マップ上における建物、施設、および交通機関の経路に関する情報を含む請求項1~3のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項5】
前記決定部は、前記判定結果において、前記対象者が前記設備内に存在すると判定された場合、前記対象者が存在する前記設備の種類をさらに考慮して、前記通知を音によって出力させるか否かを決定する請求項1~4のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項6】
前記設備は、学校または教室であり、
前記判定部は、前記対象者が前記設備内に存在する場合において、時刻情報と予め記憶された前記設備におけるスケジュールに関する情報とを考慮して前記対象者が授業またはレッスンに参加中であるか否かをさらに判定し、
前記決定部は、
前記対象者が授業またはレッスンに参加中でない場合は、前記通知を音によって出力させ、
前記対象者が授業またはレッスンに参加中である場合は、前記通知を音以外の方法によって出力させる請求項1~5のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項7】
前記設備は、映画館またはコンサート会場を含むイベント会場であり、
前記判定部は、前記対象者が前記設備内に存在する場合において、時刻情報と予め記憶された前記設備におけるスケジュールに関する情報とを考慮して前記対象者がイベントに参加中であるか否かをさらに判定し、
前記決定部は、
前記対象者がイベントに参加中でない場合は、前記通知を音によって出力させ、
前記対象者がイベントに参加中である場合は、前記通知を音以外の方法によって出力させる請求項1~5のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項8】
前記決定部は、前記対象者端末から取得する前記対象者端末の移動速度または加速度に関する情報をさらに考慮して前記出力部における出力方法を決定する請求項1~7のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項9】
前記設備は、電車またはバスを含む交通機関の経路であり、
前記判定部は、前記対象者が前記設備内に存在する場合において、前記対象者端末から取得する前記対象者端末の移動速度または加速度に関する情報をさらに考慮して前記対象者が前記交通機関を利用中であるか否かをさらに判定し、
前記決定部は、
前記対象者が前記交通機関を利用中でない場合は、前記通知を音によって出力させ、
前記対象者が前記交通機関を利用中である場合は、前記通知を音以外の方法によって出力させる請求項8に記載の位置特定システム。
【請求項10】
前記サーバーは、
前記対象者端末に対して配信するための配信情報を受信する受信部と、
前記受信部において前記配信情報が受信された場合に配信フラグを設定する設定部と、
前記配信情報を前記対象者端末に送信する送信部と、を有し、
前記対象者端末は、
前記サーバーから前記配信フラグを取得した場合に、前記出力部によって前記配信情報の受信を前記対象者に通知する請求項1~9のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項11】
前記対象者端末は、
前記配信情報を受信するための受信指示を受け付ける受信指示受付部をさらに有し、
前記受信指示受付部において前記受信指示が受け付けられた場合、前記サーバーと通信して前記配信情報を受信し、前記判定部における判定結果に応じて、前記配信情報の出力方法を決定する請求項1~10のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項12】
前記検出用端末は、前記見守りエリアに含まれる所定の位置に設置され、当該検出用端末を識別するための情報を送信し、
前記サーバーは、前記検出用端末から送信された当該検出用端末を識別するための情報を用いて、当該情報と当該検出用端末の位置とが予め対応付けられて記憶された記憶部から、当該検出用端末の位置に関する情報を取得する請求項1~11のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項13】
前記検出用端末は、前記見守りエリアを含む領域を移動する移動体に設けられ、GPS衛星からの信号に基づいて当該検出用端末の位置に関する情報を取得して前記サーバーに送信し、
前記サーバーは、前記検出用端末から送信された情報に基づいて当該検出用端末の位置に関する情報を取得する請求項1~12のいずれかに記載の位置特定システム。
【請求項14】
前記対象者端末は、GPS衛星からの信号に基づく当該対象者端末の位置情報を、前記対象者端末の移動速度および位置の推移に基づいて異なる頻度で取得し、長距離無線通信を介して、前記サーバーに前記識別情報および前記位置情報を送信する請求項1~13のいずれかに記載の位置特定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供等の見守り対象者の所在を把握しつつ対象者の状況に応じて適切な方法で対象者にメッセージを伝達できるようにするための位置特定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば幼い子供を持つ保護者は、子供が事故等に遭うことなく学校や塾に無事に到着しているか、また、帰宅時も、自宅まで無事に帰ってくるか、心配を抱くことが多くある。このため、従来から、地域の住民等が協力して通学路を見守る等、子供の安全を確保するための様々な取り組みが行われている。しかし、共働き世帯の増加や高齢化等の社会環境の変化によって、十分な見守りが困難となっている。このような状況のもと、子供が登下校中に連れ去られたり事件に巻き込まれたりする事例は後を絶たず、むしろ増加の傾向にある。
【0003】
上記のような問題に対応するための仕組みとして、たとえば、スマートフォン等の携帯型情報端末に搭載されたGPS機能を利用して子供の位置情報を確認可能とするサービスが提供されている。
【0004】
しかしながら、スマートフォン等の携帯型情報端末は、端末価格や通信料金等が一般的に高価であり、さらに、教育上の理由等による使用の制限も必要と考えられるため、位置情報の確認を目的として子供1人1人に携帯型情報端末を持たせるのは現実的でない。
【0005】
また、GPS機能による位置検出は、検出される位置の精度が十分に高くないという問題がある。たとえば、子供が実際には学校にいるのに学校の外の道路上等にいると検出されてしまい、子供の位置を確認した保護者等が、心配になったり違和感を覚えたりするという問題が発生している。
【0006】
さらに、GPS機能は電力消費量が大きいため、常にGPS機能を用いて位置を検出する場合、スマートフォン等を少なくとも数日おきに充電しておく必要がある。これでは、たとえば充電を忘れた場合には、いざというときに子供の位置を確認できなくなってしまう。
【0007】
このような問題に対応するために、GPS機能を使用せずに、Bluetooth等の省電力な近距離無線通信を利用する技術も提案されている。たとえば、識別情報のみを送信する簡易なBluetooth端末を子供に携帯させて、通学路等の見守りエリアに位置する読取端末によってBluetooth端末から送信される識別情報を読み取る。これにより、子供が当該読取端末の位置を通過したことを確認できる(たとえば、特許文献1参照)。
【0008】
このような方法によれば、近距離無線通信を使用するため、位置検出の精度は高く、またGPS機能を使用しないため、子供に携帯させる端末を頻繁に充電する必要もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第5891468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のような位置検出技術では、子供の位置を検出できたとしても、子供に対してメッセージを伝えることが難しいという問題がある。そこで、何らかの方法で子供の端末にメッセージを通知する場合、子供がすぐにメッセージに気が付くことができるようにメッセージの着信アラームを鳴動させることが必要となる。しかし、たとえば学校の授業中にメッセージの着信アラームが鳴動してしまうと、授業の妨げとなってしまうため、子供に端末を携帯させて登校させることが難しい。また、着信音の鳴動のオン・オフを授業中とそうでない場合とで切り替えるのは煩雑であり、特に子供等の見守り対象者にとっては現実的でない。これでは、学校としても、そのようなシステムを積極的に導入することはできない。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、子供等の見守り対象者の所在を把握しつつ、対象者の状況に応じて適切な方法で対象者にメッセージを通知できるようにするための位置特定システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0013】
位置特定システムは、対象者に携帯される対象者端末と、サーバーと、判定部と、決定部とを有する。対象者端末は、無線通信を介して当該対象者端末の位置を特定するための識別情報を発信するとともに、対象者に向けた配信情報を受信可能であり、音、光、表示および動きのうちの少なくとも一つの方法によって対象者に配信情報の受信を通知する出力部を有する。サーバーは、対象者端末から発信された識別情報に基づいて対象者端末の位置を特定する。判定部は、サーバーによって特定された対象者端末の位置と、予め記憶されたマップ情報とに基づいて、対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定する。決定部は、判定部における判定結果に応じて、対象者端末の出力部における出力方法を決定する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の位置特定システムによれば、対象者に向けた配信情報の受信を、音、光、表示および動きのうちの少なくとも一つの方法によって通知する対象者端末と、対象者端末の位置を特定するサーバーとを有する。位置特定システムは、サーバーによって特定された対象者端末の位置と、予め記憶されたマップ情報とに基づいて、対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定し、判定結果に応じて、対象者端末における通知の出力方法を決定する。これにより、子供等の見守り対象者の所在を把握しつつ、対象者の状況に応じて適切な方法で対象者にメッセージを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る位置特定システムの概略構成を示す図である。
図2】対象者端末の概略構成を示すブロック図である。
図3】検出用端末の概略構成を示すブロック図である。
図4】サーバーの概略構成を示すブロック図である。
図5】保護者端末の概略構成を示すブロック図である。
図6】位置特定システムにおいて実行される位置特定処理の流れを示すシーケンスチャートである。
図7】保護者端末に表示される画面の例を示す図である。
図8】位置特定システムにおいて実行される対象者情報送信処理の流れを示すシーケンスチャートである。
図9】対象者端末の位置と、当該位置において記録された対象者情報に対応する表示とが関連付けられて可視化された画面の例を示す図である。
図10】位置特定システムにおいて実行される対象者への情報配信処理の流れを示すシーケンスチャートである。
図11図10のステップS122の出力方法決定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0017】
<位置特定システムの構成>
図1は、本発明の実施形態に係る位置特定システムの概略構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、位置特定システムは、対象者端末10、検出用端末20(20a、20b)、サーバー30、および保護者端末40から構成される。以下、検出用端末20aと検出用端末20bとを特に区別しない場合は、検出用端末20と総称する。
【0019】
対象者端末10は、近距離無線通信を介して検出用端末20(20a、20b)と通信すると共に、長距離無線通信を介してネットワーク経由でサーバー30に接続する。
【0020】
検出用端末20(20a、20b)は、近距離無線通信を介して対象者端末10と通信すると共に、有線または無線の通信を介してネットワーク経由でサーバー30に接続する。
【0021】
サーバー30は、対象者端末10、検出用端末20(20a、20b)、および保護者端末40とネットワーク経由で通信可能に構成される。
【0022】
保護者端末40は、有線または無線の通信を介してネットワーク経由でサーバー30に接続する。以下、各構成について詳細に説明する。
【0023】
<対象者端末10>
対象者端末10は、子供や高齢者等の見守り対象者(以下、単に「対象者」とも称する)に携帯される端末である。
【0024】
図2は、対象者端末の概略構成を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、対象者端末10は、制御部11、記憶部12、第1通信部13、第2通信部14、受付部15、取得部16、および出力部17を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。
【0026】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を有し、プログラムに従い、上述した各構成要素の制御や各種の演算処理を実行する。
【0027】
記憶部12は、予め各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶するRAM(Random Access Memory)、各種プログラムや各種データを記憶する。
【0028】
また、記憶部12は、対象者端末10を識別するための識別情報、第1通信部13が識別情報を発信する時間間隔である第1の時間間隔、および第2通信部14が通信を行う時間間隔である第2の時間間隔を示す情報等を記憶する。また、記憶部12は、取得部16によって取得された各種情報を記憶する。
【0029】
第1通信部13は、たとえばBluetooth(登録商標)規格を用いた近距離無線通信を行うための信号を出力し、近距離無線通信を介して、近接して存在する他の端末や装置等と通信する。近距離無線通信の規格としては、たとえばBluetooth4.0(Bluetooth Low EnergyまたはBLEとも称される)が用いられる。この規格は、通信速度を追求しない代わりに格段の省電力化が図られているため、本実施形態において好適に用いられる。第1通信部13は、たとえば数十ミリ秒~数秒程度の比較的短い時間間隔である第1の時間間隔をあけて近距離無線通信を行い、対象者端末10を識別するための識別情報を周囲に発信する。第1の時間間隔は、たとえば3秒程度に設定され得る。
【0030】
第2通信部14は、モバイル通信キャリア等が提供する長距離無線通信を介して、他の端末や装置等と通信する。長距離無線通信の規格としては、たとえばLTE-M(Long Term Evolution for Machine-type-communication)が用いられる。この規格は、既存のLTE設備を活用したLPWA(Low Power Wide Area:省電力・広域通信を可能とする無線通信技術)の一つであり、中程度の通信速度を確保しつつ省電力化および通信の安定性向上が図られているため、本実施形態において好適に用いられる。本実施形態では、第2通信部14は、たとえば数分~数時間程度の比較的長い時間間隔である第2の時間間隔をあけて、対象者端末10を識別するための識別情報をサーバー30に送信する。第2の時間間隔は、ユーザーによって任意に設定可能とすることができ、たとえば、5分、10分、30分、1時間、2時間、12時間等の選択候補の中からユーザーが選択して設定するようにしてもよい。また、第2の時間間隔は、対象者端末10が移動している場合と、静止している場合とで、それぞれ別々の値が使用されるように設定されてもよい。たとえば、対象者端末10が移動している場合の移動時の第2の時間間隔が30分に設定され、対象者端末10が静止している場合の静止時の第2の時間間隔が1時間に設定されてもよい。ここで、対象者端末10が移動しているか静止しているかは、たとえば対象者端末10に設けられた加速度センサー(不図示)の検出情報に基づいて判断され得る。さらに、第2の時間間隔は、対象者端末10の移動速度の段階に応じて異なる値が設定されてもよい。たとえば、対象者端末10の移動速度が、低速の場合(0km/h~4km/h)、中速の場合(4km/h~10km/h)、高速の場合(10km/h~)等、移動速度の段階に応じてそれぞれ別の値が使用されるように設定されてもよい。移動速度の段階は上記の例に限定されず、様々な数や範囲の段階が設定されうる。
【0031】
また、第2通信部14は、GPS衛星からの信号を受信し、受信した信号に基づいて位置情報を取得するGPS機能を有する。第2通信部14は、上記のように対象者端末10を識別するための識別情報をサーバー30に送信する際に、GPS機能を起動して位置情報を取得し、取得した位置情報を、識別情報とあわせてサーバー30に送信する。このように、第2通信部14は、省電力化が図られている長距離無線通信技術を用いることに加えて、1時間程度の比較的長い時間間隔をあけて長距離無線通信およびGPS機能による位置情報取得を行うため、より一層の省電力化が実現される。
【0032】
受付部15は、対象者等から、指示を受け付けるための構成であり、たとえばプッシュボタンやタッチパネル上のボタン等によって構成される。本実施形態では、受付部15は、対象者の音声メッセージや周囲の音声等を示す対象者情報を取得するための取得指示を受け付ける取得指示受付部151と、サーバー30から対象者に向けて配信される配信情報を受信するための受信指示を受け付ける受信指示受付部152とを有する。なお、受付部15は、対象者端末10の動きを検出するために対象者端末10に設けられた加速度センサー等の各種センサー(不図示)の出力に基づいて、対象者の転倒や急激な速度変化等の異常な動きが検出された場合に、取得指示を受け付けてもよい。また、受付部15は、後述する緊急フラグをサーバー30から取得した場合に取得指示を受け付けてもよい。また、受付部15は、マイク等によって取得される音声を介して取得指示および受信指示を受け付けてもよく、あるいは、カメラ等によって取得される画像(映像を含む)を介して取得指示および受信指示を受け付けてもよい。また、受付部15の取得指示受付部151と受信指示受付部152とは、それぞれ別々のボタンに対応付けて実装されてもよく、あるいは一つのボタンの短い押下、長押し、連続押下等の別々の操作方法にそれぞれ対応付けて実装されてもよい。また、取得指示受付部151は、たとえば対象者に何らかの緊急事態が発生したタイミング等、対象者が希望する任意のタイミングに使用されうる。
【0033】
取得部16は、対象者端末10の周囲の音声や画像(映像)を取得するための構成であり、マイクやカメラ等によって構成される。取得部16は、たとえば取得指示受付部151において対象者からの指示が受け付けられた場合に、周囲の音声または画像(映像)を取得して、対象者情報として記憶する。たとえば、取得部16は、対象者情報の取得指示が受け付けられた後、所定の間隔ごとに繰り返し周囲の音声または画像(映像)を記録してもよい。これにより、電力消費量を抑制しつつ、効果的に対象者や周囲の状況を把握できる。制御部11は、取得部16によって取得された音声または画像(映像)を示す情報を、記憶部12に記憶すると共に、第2通信部14を介してサーバー30に送信する。さらに、制御部11は、第2通信部14を制御してGPS機能によって位置情報を取得し、当該対象者端末10の識別情報および位置情報をサーバー30に送信する。
【0034】
出力部17は、音を出力する音出力部(不図示)、光を出力する光出力部(不図示)、画像を出力する画像出力部(不図示)、振動等の動きを発生させる動作出力部(不図示)等を有し、対象者に配信情報の受信を通知する。また、出力部17は、サーバー30から受信した配信情報を出力する。音出力部は、たとえば、スピーカーやイヤホンジャック等の音声出力インターフェースである。光出力部は、たとえば、LED等の光源である。画像出力部は、たとえば、液晶ディスプレイや映像出力端子等の映像出力インターフェースである。動作出力部は、たとえば振動を発生させる振動モーターである。対象者は、出力部17における通知が確認された場合に、受信指示受付部152を操作するだけで、確実かつ容易に、サーバー30に保存されている配信情報を取得して確認することができる。
【0035】
本実施形態において、対象者端末10の制御部11は、決定部として機能し、サーバー30の判定部(詳細は後述)における判定結果に応じて、出力部17による出力の方法を決定する。
【0036】
本実施形態における対象者端末10は、通常消費電力の大きい無線通信に関して上記のように省電力化を図っているため、たとえば、充電可能なリチウムイオン電池等の小型の二次電池を使用する場合、1か月程度充電しなくても動作可能であり、設定内容や使用状況によっては、充電なしで数か月から1年程度動作させることも可能となる。
【0037】
<検出用端末20(20a、20b)>
検出用端末20は、対象者の見守りエリアを含む領域に存在し、近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末10を検出する端末である。検出用端末20aは、見守りエリアに含まれる所定の位置に設置される固定端末であり、検出用端末20bは、見守りエリアを含む領域を移動する移動体である人や車両等に設けられる移動端末である。上記の車両には、たとえば自家用車、タクシー、バス、電車等の各種乗り物が含まれる。たとえば、検出用端末20は、スマートフォンやタブレットPC等の汎用の情報端末に専用のアプリケーションをインストールすることによって構成されてもよく、あるいは下記のような最小限の構成を有する専用の端末として構成されてもよい。
【0038】
図3は、検出用端末の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
図3に示すように、検出用端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、および検出部24を有する。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。検出用端末20の制御部21および記憶部22は、それぞれ対象者端末10の制御部11および記憶部12と同様の構成であるため、重複する説明を省略する。
【0040】
通信部23は、ネットワークを介して他の端末や装置等と通信するための構成である。通信部23は、たとえばサーバー30との間で各種情報を送受信する。
【0041】
検出部24は、上述したBluetooth等の近距離無線通信を介して通信可能な対象者端末10を検出するための構成である。上述のように、対象者端末10は、第1通信部13によって、近距離無線通信を介した通信を行う。検出部24は、たとえば対象者端末10の第1通信部13によって発信された識別情報を受信した際に、当該対象者端末10を通信可能な対象者端末10として検出することができる。
【0042】
制御部21は、検出部24によって対象者端末10が検出された場合に、送信部として、当該対象者端末10の識別情報をサーバー30に送信する。
【0043】
検出用端末20aは、固定端末であるため、各検出用端末20aの位置に関する情報は、当該検出用端末20aを識別するための情報と対応付けられて、サーバー30の記憶部32に予め記憶される。検出用端末20aは、検出部24によって検出された対象者端末10の識別情報をサーバー30に送信する際に、当該検出用端末20aを識別するための情報をあわせてサーバー30に送信する。これにより、サーバー30は、検出用端末20aから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した当該検出用端末20aを識別するための情報を用いて、記憶部32から当該検出用端末20aの位置に関する情報を取得できる。
【0044】
一方、検出用端末20bは、移動端末であるため、各検出用端末20bの位置に関する情報は、各検出用端末20bが有するGPS機能によって、GPS衛星からの信号に基づいて取得される。検出用端末20bは、検出部24によって検出された対象者端末10の識別情報をサーバー30に送信する際に、当該検出用端末20bの位置を示す情報を共に送信する。これにより、サーバー30は、検出用端末20bから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した情報に基づいて、当該検出用端末20bの位置を示す情報を取得できる。
【0045】
たとえば移動端末である検出用端末20bがスマートフォンやタブレットPC等によって構成される場合、さらに操作部、表示部(タッチパネルディスプレイ等)の一般的な情報端末の構成を有する。この場合、検出用端末20bは、後述する保護者端末40としても兼用され得る。
【0046】
<サーバー30>
サーバー30は、たとえば位置情報を特定して通知するサービスの提供者によって運営される情報処理装置である。
【0047】
図4は、サーバーの概略構成を示すブロック図である。
【0048】
図4に示すように、サーバー30は、制御部31、記憶部32および通信部33を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。サーバー30の制御部31、記憶部32および通信部33の各構成は、それぞれ検出用端末20の制御部21、記憶部22および通信部23と同様であるため、重複する説明を省略する。
【0049】
制御部31は、プログラムを読み込んで処理を実行することによって、対象者端末10から発信された識別情報に基づいて対象者端末10の位置を特定する処理を実行する。たとえば、サーバー30は、対象者端末10から送信された識別情報および位置情報に基づいて、対象者端末10の位置を特定する。あるいは、サーバー30は、検出用端末20から送信された識別情報と、検出用端末20の位置に関する情報とに基づいて、対象者端末10の位置を特定する。また、制御部31は、特定された対象者端末10の位置に関する情報を出力する。制御部31は、位置に関する情報を、2次元または3次元等の座標情報によって出力してもよく、あるいは所定の規則にしたがって座標情報を住所やエリア名等に変換して住所やエリア名として出力してもよい。また、制御部31は、対象者端末10の位置に関する情報に関連付けて、当該位置において記録された対象者情報に対応する表示が可視化されるように出力する。
【0050】
また、制御部31は、判定部、受信部、設定部、および送信部として機能する。
【0051】
判定部は、特定された対象者端末10の位置と、予め記憶されたマップ情報とに基づいて、対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定する。また、判定部は、対象者が設備内に存在する場合において、予め記憶された設備におけるスケジュールに関する情報と時刻情報とを考慮して、対象者が設備で行われているレッスンやイベントに参加中であるか否かを判定する。また、判定部は、対象者が設備内に存在する場合において、対象者端末10から取得する対象者端末10の移動速度または加速度に関する情報を考慮して対象者が交通機関を利用中であるか否かを判定する。
【0052】
受信部は、対象者端末10に対して配信するための配信情報を受信する。
【0053】
設定部は、受信部において配信情報が受信された場合に配信フラグを設定する。
【0054】
送信部は、配信情報を対象者端末10に送信する。
【0055】
また、制御部31は、対象者端末10を保有する対象者に関する緊急事態の発生を示す緊急フラグを設定してもよい。たとえば、制御部31は、特定された対象者端末10の位置が、見守りエリア内の所定の範囲に含まれている場合、当該対象者端末10に関して緊急フラグを設定する。また、制御部31は、特定された対象者端末10の位置が、見守りエリア外である場合、当該対象者端末10に関して緊急フラグを設定する。また、制御部31は、対象者端末10の第1通信部13から発信される識別情報が所定の時間にわたり取得されない場合、当該対象者端末10に関して緊急フラグを設定する。
【0056】
記憶部32には、対象者および対象者端末10に関する情報として、対象者端末10の識別情報、当該対象者端末10を保有する対象者の氏名、年齢等の属性情報、当該対象者の保護者の氏名、連絡先等の属性情報等が関連付けられて記憶される。
【0057】
また、記憶部32には、検出用端末20に関する情報として、検出用端末20の識別情報、当該検出用端末20が固定端末であるか移動端末であるか等を示す属性情報、固定端末である場合には当該検出用端末20の位置に関する情報等が関連付けられて記憶される。
【0058】
また、記憶部32には、対象者端末10が移動する範囲における建物、施設、および交通機関等の設備の位置に関する情報を含むマップ情報が記憶される。設備には、たとえば、学校、塾や各種習い事の教室(スポーツの練習場等を含む)、映画館、コンサート会場等のイベント会場、電車やバス等の交通機関が含まれる。
【0059】
また、記憶部32には、上記のような設備におけるスケジュールに関する情報が記憶される。たとえば、学校や教室の場合、登下校時間(開始および終了時間)や時間割(レッスンのスケジュール)に関する情報が記憶される。映画館やコンサート会場の場合、映画やコンサートの開演および終演時間に関する情報が記憶される。電車やバス等の交通機関の場合、運行時間に関する情報が記憶される。
【0060】
また、記憶部32には、対象者端末10の第2の時間間隔を設定するための時間設定フラグや、緊急フラグ、配信フラグ等に関するフラグ情報や、各種フラグを設定するための見守りエリアの範囲に関する情報等も記憶されている。見守りエリアの範囲は、2次元または3次元等の座標情報の範囲によって規定されてもよく、あるいは座標情報の範囲に対応する住所やエリア名等によって規定されてもよい。また、記憶部32には、見守りエリア内において見守りエリア外に出やすいと想定される所定の範囲に関する情報や、見守りエリア内の各領域の環境に関する情報、環境に応じた危険度に関する情報、各領域の時間帯に応じた危険度に関する情報等も記憶されている。また、記憶部32には、対象者端末10の位置の特定状況、移動状況、移動速度、所在している区域の環境および時間帯等に応じて対象者端末10ごとに設定される第2の時間間隔の値も記憶されている。
【0061】
<保護者端末40>
保護者端末40は、対象者を保護したり管理したりする保護者によって使用される端末である。保護者端末40は、サーバー30からの通知を受信して保護者に知らせたり、サーバー30にアクセスしてサーバー30に記憶されている対象者情報や対象者の位置に関する情報を取得して表示したりする。
【0062】
図5は、保護者端末の概略構成を示すブロック図である。
【0063】
図5に示すように、保護者端末40は、制御部41、記憶部42、通信部43、表示部44、操作受付部45、および音声入出力部46を備える。各構成要素は、バスを介して相互に通信可能に接続されている。保護者端末40の制御部41、記憶部42および通信部43の各構成は、それぞれ検出用端末20の制御部21、記憶部22および通信部23と同様であるため、説明を省略する。
【0064】
表示部44は、LCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイ等を備え、各種情報を表示する。
【0065】
操作受付部45は、タッチセンサーや、マウス等のポインティングデバイス、キーボード等を備え、ユーザーの各種操作を受け付ける。表示部44および操作受付部45は、表示部44としての表示面に、操作受付部45としてのタッチセンサーを重畳することによって、タッチパネルを構成してもよい。操作受付部45は、たとえば、サーバー30から対象者情報を取得して出力するための指示を保護者から受け付ける。
【0066】
音声入出力部46は、音声を入力するためのマイクまたは音声入力端子等と、音声を出力するためのスピーカーまたは音声出力端子等によって構成される。音声入出力部46は、たとえば、サーバー30から取得された対象者情報に対応する音声を出力したり、対象者に対して配信するための配信情報の入力を受け付けたりする。
【0067】
なお、対象者端末10、検出用端末20、サーバー30、および保護者端末40の各々は、上述した構成要素以外の構成要素を備えてもよいし、上述した構成要素のうちの一部を備えなくてもよい。
【0068】
<処理概要>
続いて、位置特定システムにおける処理の流れについて説明する。
【0069】
<位置特定処理>
図6は、位置特定システムにおいて実行される処理の流れを示すシーケンスチャートである。図7は、保護者端末に表示される画面の例を示す図である。
【0070】
まず、対象者端末10の処理について説明する。
【0071】
図6に示すように、対象者端末10は、第1の時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS101)。第1の時間間隔が経過していない場合(ステップS101:NO)、対象者端末10は、第1の時間間隔が経過するまで待機する。
【0072】
第1の時間間隔が経過した場合(ステップS101:YES)、対象者端末10は、第1通信部13によって、近距離無線通信を行うための信号を出力し、近距離無線通信を介して当該対象者端末10を識別するための識別情報を周囲に発信する(ステップS102)。第1の時間間隔としては、3秒程度の比較的短い時間間隔が設定されるため、対象者端末10は、識別情報を短いサイクルで常時発信する状態となる。第1の時間間隔としては、一定の値が固定値として設定されてもよく、変動する値が設定されてもよい。なお、第1通信部13は、第1の時間間隔をあけて近距離無線通信を行うための電波を出力し、相手先と通信が確立した際に、相手先に識別情報を送信するようにしてもよい。あるいは、第1通信部13は、相手先との通信の確立の有無に関わらず、第1の時間間隔をあけて識別情報を発信するようにしてもよい。
【0073】
続いて、対象者端末10は、第2の時間間隔が経過したか否かを判断する(ステップS103)。第2の時間間隔が経過していない場合(ステップS103:NO)、対象者端末10は、ステップS101の処理に戻り、近距離無線通信を行う処理を繰り返す。
【0074】
第2の時間間隔が経過した場合(ステップS103:YES)、対象者端末10は、第2通信部14によって、公知の技術を用いてGPS衛星からの信号に基づく当該対象者端末10の位置情報を取得する(ステップS104)。そして、対象者端末10は、ステップS104の処理において取得した当該対象者端末10の位置情報と、当該対象者端末10を識別するための識別情報とを、長距離無線通信を介してサーバー30に送信する(ステップS105)。第2の時間間隔としては、1時間程度の比較的長い時間間隔が設定されるため、対象者端末10は、上記のように短いサイクルで近距離無線通信を介して識別情報を発信しつつ、1時間ごと等の長いサイクルで長距離無線通信を介して識別情報とGPS機能による位置情報をサーバー30に送信する。なお、上述のように、第2の時間間隔として、対象者端末10の移動状態や移動速度に応じた値が設定されている場合は、対象者端末10は、加速度センサー等の検出情報から判断した自機の移動状態および移動速度に応じた第2の時間間隔を使用する。
【0075】
続いて、対象者端末10は、ステップS105の処理においてサーバー30と通信を行った際に、サーバー30から第2の時間間隔を変更するための時間設定フラグ情報を取得していれば、フラグ情報の内容に基づいて第2の時間間隔を変更する(ステップS106)。また、対象者端末10は、対象者端末10は、ステップS105の処理においてサーバー30と通信を行った際に、緊急フラグまたは配信フラグを取得していれば、後述する各フラグに対応する処理を実行する。
【0076】
対象者端末10は、ステップS101~ステップS106の処理を繰り返し実行する。
【0077】
次に、検出用端末20の処理について説明する。
【0078】
検出用端末20は、通信可能な対象者端末10を検出し、当該対象者端末10から識別情報を取得したか否かを判断する(ステップS201)。識別情報を取得していない場合(ステップS201:NO)、検出用端末20は、識別情報を取得できるまで対象者端末10を検出して識別情報を取得するための処理を継続する。
【0079】
識別情報を取得した場合(ステップS201:YES)、検出用端末20は、取得した識別情報をサーバー30に送信する(ステップS202)。
【0080】
ここで、検出用端末20が、固定端末(検出用端末20a)である場合、検出用端末20aは、当該検出用端末20aを識別するための情報を、識別情報とあわせてサーバー30に送信する。これは、各検出用端末20aの位置に関する情報が、当該検出用端末20aを識別するための情報と対応付けられて、サーバー30の記憶部32に予め記憶されているためである。これにより、サーバー30は、検出用端末20aから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した当該検出用端末20aを識別するための情報を用いて、記憶部32から当該検出用端末20aの位置に関する情報を取得できる。
【0081】
一方、検出用端末20が、移動端末(検出用端末20b)である場合、検出用端末20bは、GPS機能を用いて、GPS衛星からの信号に基づいて各検出用端末20bの位置に関する情報を取得し、識別情報とあわせてサーバー30に送信する。これにより、サーバー30は、検出用端末20bから対象者端末10の識別情報を受信した際に、あわせて受信した情報に基づいて、当該検出用端末20bの位置を示す情報を取得できる。
【0082】
検出用端末20は、ステップS201~ステップS202の処理を繰り返し実行する。
【0083】
次に、サーバー30の処理について説明する。
【0084】
サーバー30は、検出用端末20から対象者端末10の識別情報を受信して、上述のように当該検出用端末20の位置に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、識別情報に対応する対象者端末10の位置を特定する(ステップS301)。サーバー30は、対象者端末10の識別情報と特定された位置を関連付けて記憶部32に登録する。
【0085】
続いて、サーバー30は、ステップS301の処理における対象者端末10の位置の特定状況に基づいて、各種フラグの設定要否を判断する(ステップS302)。たとえば、サーバー30は、対象者端末10の位置の特定状況に基づいてGPS機能を用いた位置情報取得の頻度、すなわち第2の時間間隔を変更する必要があるか否かを判断し、時間設定フラグの設定要否を判断する。また、サーバー30は、対象者端末10の位置の特定状況に基づいて緊急フラグの設定要否を判断する。なお、サーバー30は、時間設定フラグおよび緊急フラグの設定要否の判断を、それぞれ独立した条件に基づいて個別に判断してもよい。
【0086】
たとえば、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置が、予め設定された見守りエリア内の所定の範囲に含まれている場合、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定する必要があると判断する。なお、時間設定フラグを設定するための所定の範囲と、緊急フラグを設定するための所定の範囲については、それぞれ別の領域が設定されうる。たとえば、時間設定フラグを設定するための所定の範囲は、対象者端末10がこれから見守りエリア外に出ることが予想される見守りエリアの周縁部の領域や、長距離移動が可能な電車やバス等の交通機関に乗降可能な駅やバス停、あるいは電車やバスが通行する線路やバス道路等が含まれる領域である。また、時間設定フラグおよび緊急フラグを設定するための所定の範囲は、たとえば、その区域の属性(居住エリア、オフィスエリア、商店街、歓楽街等)、治安レベル、交通量レベル、見守りの充実レベル(検出用端末20a、20bの充実度)、事件・事故発生度、不審者情報発生度、災害発生度等から危険度が高いと判断される領域である。領域ごとの危険度は、動的に変更することができ、たとえば、事件・事故や災害が発生した場合には、任意の範囲を事件・事故発生区域や災害発生区域として危険度が高い領域に設定することができる。
【0087】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置の推移に基づいて、対象者端末10が見守りエリア内の周縁部等の所定の範囲から見守りエリアの外側に向かって移動していると判断された場合、当該対象者端末10の第2の時間間隔を短く変更する必要があると判断してもよい。これは、対象者端末10がこれから見守りエリア外に出る可能性が高いためである。
【0088】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置に基づいて、当該位置が含まれる区域を判断し、当該区域の環境に応じて予め設定された第2の時間間隔の値を取得し、取得した値が、当該対象者端末10において使用されている値と異なる場合に、当該対象者端末10の第2の時間間隔を変更する必要があると判断してもよい。区域の環境としては、たとえば、区域の属性(居住エリア、オフィスエリア、商店街、歓楽街等)、治安レベル、交通量レベル、見守りの充実レベル(検出用端末20a、20bの充実度)、事件・事故発生度、不審者情報発生度、災害発生度等が設定され、区域の環境に応じて対象者端末10ごとに第2の時間間隔が設定されうる。また、区域の属性は動的に変更することができ、たとえば、事件・事故や災害が発生した場合には、任意の範囲を事件・事故発生区域や災害発生区域として設定することができる。
【0089】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置に基づいて、当該位置が含まれる区域を判断し、当該区域について時間帯に応じて予め設定された第2の時間間隔の値を取得し、取得した値が、当該対象者端末10において使用されている値と異なる場合に、当該対象者端末10の第2の時間間隔を変更する必要があると判断してもよい。たとえば、治安レベル、交通量レベル、見守り充実レベル等の観点で、昼間は比較的安全であるが夜間は危険度が高くなる区域について、昼間の時間帯の第2の時間間隔を長く設定し、夜間の時間帯の第2の時間間隔を短く設定することができる。
【0090】
また、サーバー30は、対象者端末10の第1通信部13から発信される識別情報が所定の時間にわたり取得されない場合、当該識別情報に対応する対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定する必要があると判断してもよい。
【0091】
また、サーバー30は、特定された対象者端末10の位置の推移に基づいて、対象者端末10が見守りエリア内の所定の範囲から見守りエリア内の所定の範囲以外に移動した場合、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定してもよい。
【0092】
なお、サーバー30は、上記のような各種の判断方法を複数組み合わせて実行してもよい。
【0093】
各種フラグを設定する必要がないと判断された場合(ステップS302:NO)、サーバー30は、ステップS304またはステップS301の処理に進む。サーバー30は、検出用端末20から識別情報を受信した場合は、ステップS301の処理に戻り、対象者端末10から識別情報を受信した場合は、ステップS304の処理に進む。
【0094】
各種フラグを設定する必要があると判断された場合(ステップS302:YES)、サーバー30は、当該対象者端末10に予め関連付けられた保護者端末40に通知すると共に、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定する(ステップS303)。上記のように時間設定フラグおよび緊急フラグを設定しておくことにより、当該対象者端末10が、第2通信部14によってサーバー30と通信した際に、上記の各フラグを取得し、取得したフラグの内容に基づいて、対応する処理を実行することができる。
【0095】
ここで、保護者端末40への通知は、たとえば図7の(a)に示すような通知画面を保護者端末40の表示部44に表示させることによって実行される。あるいは、保護者端末40への通知は、予め登録された電子メールアドレスや各種メッセージングアプリケーションまたはSNSサービス等のアカウントに対してメッセージを送信することによって実行されてもよい。
【0096】
たとえば、図7の(a)に示す画面おいて、「はい」のボタンが押下されると、サーバー30は、該当する対象者の位置情報を保護者端末40に送信する(後述するステップS307の処理に相当)。これにより、保護者端末40の表示部44に、たとえば図7の(b)に示すような位置情報表示画面が表示される。
【0097】
図7の(b)の画面においては、対象者である「Aさん」の位置情報の推移が画面下方から上方に向かって時系列で表示されている。この画面では、午前9時から午前11時までは見守りエリアである「中央区」に位置していたAさんが、午前11時20分には見守りエリア外である「南区」に位置していることがGPS情報から検知されていることが示されている。さらに、図7の(b)の画面において、位置情報を示す各レコードの表示が押下されることによって、図7の(c)の画面に示すように、マップ情報を含めた詳細な位置情報が表示されてもよい。なお、画面の表示順や表示内容は上記の例に限定されず、様々な方法によって対象者の位置情報が表示され得る。たとえば、図7の(a)の画面において「はい」のボタンが押下されると、図7の(c)の画面が表示され、履歴ボタンの押下等の所定の操作が行われることによって図7の(b)の画面が表示されるようにしてもよい。
【0098】
また、サーバー30は、対象者端末10の第2通信部14から送信された識別情報および位置情報に基づいて、識別情報に対応する対象者端末10の位置を特定する(ステップS304)。サーバー30は、対象者端末10の識別情報と特定された位置を関連付けて記憶部32に登録する。
【0099】
続いて、サーバー30は、ステップS304の処理における対象者端末10の位置の特定状況に基づいて、各種フラグを設定する必要があるか否かを判断する(ステップS305)。
【0100】
たとえば、サーバー30は、ステップS304の処理において特定された対象者端末10の位置に基づいて、上述したステップS302の処理と同様の方法で、各種フラグを設定する必要があるか否かを判断する。
【0101】
また、サーバー30は、ステップS304の処理において特定された対象者端末の位置が、見守りエリア外である場合、当該対象者端末10の各種フラグを設定する必要があると判断してもよい。
【0102】
各種フラグを設定する必要がないと判断された場合(ステップS305:NO)、サーバー30は、ステップS307の処理に進む。
【0103】
各種フラグを設定する必要があると判断された場合(ステップS305:YES)、サーバー30は、当該対象者端末10に予め関連付けられた保護者端末40に通知すると共に、当該対象者端末10の時間設定フラグおよび緊急フラグを設定し、当該対象者端末10に時間設定フラグを送信する(ステップS306)。これにより、当該対象者端末10は、上記の各フラグを取得し、取得したフラグの内容に基づいて、対応する処理を実行することができる。
【0104】
続いて、サーバー30は、ステップS301およびステップS304の処理において登録された情報や、ステップS303およびステップS306の処理において通知された情報等を、保護者端末40において閲覧可能に出力する(ステップS307)。この出力処理は、保護者端末40からの要求等に基づいて任意のタイミングで実行され得る。
【0105】
なお、図6のシーケンスチャートでは、サーバー30は、検出用端末20経由で対象者端末10の識別情報を受信した後に、対象者端末10から直接識別情報を受信するフローとして説明したが、実際には、検出用端末20から識別情報を受信した場合はステップS301の処理を実行し、対象者端末10から識別情報を受信した場合はステップS304の処理を実行する。また、本システムの実際の使用環境においては、対象者端末10および検出用端末20はそれぞれ複数設けられることが想定され、サーバー30は、複数の対象者端末10および複数の検出用端末20のそれぞれについて上記のような処理を実行する。
【0106】
<対象者情報送信処理>
対象者端末10の取得指示受付部151において、取得指示が受け付けられた場合、図6のシーケンスチャートの処理フローに関わらず、対象者端末10は、ステップS104およびステップS105の処理を実行し、GPS機能を使用して位置情報を取得し、識別情報と位置情報を含めて緊急事態の発生を示す通知をサーバー30に送信する。その際、対象者端末10は、取得部16によって当該対象者端末10の周囲の音声や画像(映像)を取得し、音声や画像(映像)を示す情報をサーバー30に送信することができる。
【0107】
また、上記の緊急事態の発生に関する指示は、対象者端末10の取得指示受付部151において受け付ける形態に限定されず、サーバー30において緊急事態の発生を示す緊急フラグを設定しておくことによって受け付けられてもよい。この場合、対象者端末10がサーバー30と定期的な通信を行い、緊急フラグを取得した際に、対象者端末10において緊急事態の発生を通知するための指示が受け付けられ、GPS機能を使用して位置情報を取得し、サーバー30に送信する処理等が実行される。
【0108】
以下、情報取得処理について詳細に説明する。
【0109】
図8は、位置特定システムにおいて実行される対象者情報送信処理の流れを示すシーケンスチャートである。図9は、対象者端末の位置と、当該位置において記録された対象者情報に対応する表示とが関連付けられて可視化された画面の例を示す図である。
【0110】
まず、対象者端末10の処理について説明する。
【0111】
図8に示すように、対象者端末10は、取得指示を受け付けたか否かを判断する(ステップS111)。上述のように、対象者端末10は、取得指示受付部151における指示の受け付けや、各種センサーの出力に基づく対象者の異常な動きの検出、対象者端末10の位置情報に基づいて設定される緊急フラグの取得等によって取得指示を受け付ける。
【0112】
取得指示を受け付けていない場合(ステップS111:NO)、対象者端末10は、取得指示を受け付けるまで待機する。
【0113】
取得指示を受け付けた場合(ステップS111:YES)、対象者端末10は、所定の間隔ごとに、所定の時間にわたり、周囲の音声を対象者情報として記録する(ステップS112)。また、対象者端末10は、記録した対象者情報を、サーバー30に送信する。対象者端末10は、対象者情報を記録した際の対象者端末10の位置情報を取得して、対象者情報とあわせてサーバー30に送信してもよい。
【0114】
対象者端末10は、所定の終了条件が満たされたか否かを判断し(ステップS113)、終了条件が満たされていなければ(ステップS113:NO)、ステップS112の処理を繰り返し、終了条件が満たされていれば(ステップS113:YES)、処理を終了してステップS111の処理に戻る。終了条件としては、たとえば、対象者端末10における所定の操作や、サーバー30の緊急フラグ解除等が設定されうる。
【0115】
次に、サーバー30および保護者端末40の処理について説明する。
【0116】
サーバー30は、対象者端末10から送信された各種情報を取得して記憶部32に記憶する(ステップS211)。また、サーバー30は、対象者端末10から対象者情報を取得した旨を、保護者端末40に通知する。
【0117】
保護者端末40は、サーバー30から送信された通知を、表示部44または音声入出力部46を介して出力する(ステップS311)。
【0118】
保護者端末40は、対象者音声を取得するための指示を受け付けているか否かを判断する(ステップS312)。対象者音声を取得するための指示は、たとえば、表示部44または音声入出力部46によって出力された通知を確認した保護者が、操作受付部45において所定の操作を行うことによって受け付けられる。
【0119】
対象者音声を取得するための指示を受け付けていない場合(ステップS312:NO)、保護者端末40は、指示を受け付けるまで待機する。
【0120】
対象者音声を取得するための指示を受け付けている場合(ステップS312:YES)、保護者端末40は、対象者情報をサーバー30に要求し、サーバー30は、記憶されている対象者情報を保護者端末40に送信する。
【0121】
保護者端末40は、サーバー30から送信された対象者情報に対応する音声を、音声入出力部46を介して出力する(ステップS313)。
【0122】
さらに、サーバー30は、対象者端末10の位置に関する情報に関連付けて、当該位置において記録された対象者情報に対応する表示が可視化されるように出力する(ステップS212)。たとえば、サーバー30は、図9に示すような画面を表示するための情報を出力する。サーバー30は、たとえば、保護者端末40からの要求に応じて、当該情報を保護者端末40に送信する。保護者端末40は、送信された情報に基づいて、図9に示すような画面を表示部44に表示することができる。図9の画面においては、対象者端末10の位置の推移が軌跡として示され、対象者情報が取得された際の対象者端末10の位置に関連付けて、音声(図9の例では波形)を示すアイコンが表示されている。たとえば、保護者等が音声を示すアイコンを選択すると、対応する音声が再生される。
【0123】
<対象者への配信処理>
対象者に緊急事態が発生した場合等において、保護者から対象者に対して音声を非同期配信する処理について説明する。
【0124】
図10は、位置特定システムにおいて実行される対象者への情報配信処理の流れを示すシーケンスチャートである。
【0125】
図10に示すように、保護者端末40は、配信情報を記録するための指示を保護者等から受け付けているか否かを判断する(ステップS321)。
【0126】
配信情報を記録するための指示を受け付けていない場合(ステップS321:NO)、保護者端末40は、指示を受け付けるまで待機する。
【0127】
配信情報を記録するための指示を受け付けている場合(ステップS321:YES)、保護者端末40は、音声入出力部46を介して、保護者等の音声入力を受け付けて、配信音声情報として記録する(ステップS322)。保護者端末40は、記録した配信情報を、サーバー30に送信する。
【0128】
サーバー30は、保護者端末40から送信された配信情報を受信して記憶部32に記憶すると共に、保護者端末40に予め関連付けられた対象者端末10に送信するための配信フラグを記憶部32に設定する(ステップS221)。
【0129】
対象者端末10は、サーバー30と各種通信を行う際に、サーバー30に設定された配信フラグを取得しているか否かを判断する(ステップS121)。
【0130】
配信フラグを取得していない場合(ステップS121:NO)、対象者端末10は、配信フラグを取得するまで各種処理を継続しつつ待機する。
【0131】
配信フラグを取得している場合(ステップS121:YES)、対象者端末10は、サーバー30において配信情報が受信されている旨を通知する際の出力方法を決定する(ステップS122)。ステップS122の出力方法決定処理について、詳細は後述する。
【0132】
対象者端末10は、ステップS122の出力方法決定処理において決定された方法によって通知する(ステップS123)。
【0133】
対象者端末10は、配信情報の受信指示を対象者等から受け付けているか否かを判断する(ステップS124)。
【0134】
配信情報の受信指示を受け付けていない場合(ステップS124:NO)、対象者端末10は、受信指示を受け付けるまで待機する。
【0135】
配信情報の受信指示を受け付けている場合(ステップS124:YES)、対象者端末10は、配信情報をサーバー30に要求し、サーバー30は、記憶されている配信情報を対象者端末10に送信する。
【0136】
対象者端末10は、サーバー30から取得した配信情報をステップS122の出力方法決定処理において決定された方法に応じて出力する(ステップS125)。たとえば、配信情報が音声メッセージである場合に、出力部17における出力方法が音以外に設定されている場合には、配信情報を出力できない旨を示す所定のアラームを光、表示、動き等によって出力してもよい。あるいは、音声メッセージをテキストに変換して表示したり、光や動きによる所定の信号に変換して出力したりしてもよい。
【0137】
<ステップS122の出力方法決定処理>
図11は、図10のステップS122の出力方法決定処理の手順を示すフローチャートである。
【0138】
図11に示すように、対象者端末10は、自機が学校等の所定の設備内に存在するか否かを判断する(ステップS1221)。たとえば、対象者端末10は、自機が所定の設備内に存在するか否かを、サーバー30に照会する。サーバー30は、対象者端末10の位置を特定し、特定した位置と記憶部32に記憶されているマップ情報に基づいて、対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定し、判定結果を対象者端末10に通知する。対象者端末10は、サーバー30から通知された判定結果に基づいて自機が所定の設備内に存在するか否かを判断できる。上記の判定処理は、サーバー30において実行される形態に限定されず、対象者端末10または他の装置によって実行されてもよい。
【0139】
所定の設備内に存在しない場合(ステップS1221:NO)、対象者端末10は、通知を音によって出力するように出力部17を設定して(ステップS1224)、図10のステップS123の処理に戻る。
【0140】
所定の設備内に存在する場合(ステップS1221:YES)、対象者端末10は、ステップS1221において対象者が存在すると判定された設備に応じて、設備ごとに設定される所定の期間内であるか、または所定の状態であるかを判断する(ステップS1222)。
【0141】
たとえば、所定の設備が学校や各種習い事の教室である場合、対象者端末10は、対象者が授業またはレッスンに参加中と考えられる所定の期間内であるか否かを、サーバー30に照会する。サーバー30は、記憶部32に記憶されている設備ごとの時間割やレッスン日程等のスケジュール情報と現在時刻とに基づいて、対象者が授業またはレッスンに参加中であるか否かを判定し、判定結果を対象者端末10に通知する。対象者端末10は、サーバー30から通知された判定結果に基づいて、所定の期間内であるか否かを判断できる。
【0142】
また、所定の設備が映画館またはコンサート会場を含むイベント会場である場合、対象者端末10は、対象者がイベントに参加中(映画またはコンサート等を鑑賞中)と考えられる所定の期間内であるか否かを、サーバー30に照会する。サーバー30は、記憶部32に記憶されている設備ごとのイベントのスケジュール情報と現在時刻とに基づいて、対象者がイベントに参加中であるか否かを判定し、判定結果を対象者端末10に通知する。対象者端末10は、サーバー30から通知された判定結果に基づいて、所定の期間内であるか否かを判断できる。
【0143】
また、所定の設備が電車またはバスを含む交通機関の経路である場合、対象者端末10は、対象者端末10の移動速度または加速度に関する情報を考慮して、対象者が交通機関を利用中と考えられる所定の状態であるか否かを判断する。
【0144】
所定の期間内または所定の状態でない場合(ステップS1222:NO)、対象者端末10は、ステップS1224の処理に進み、通知を音によって出力するように出力部17を設定する。
【0145】
所定の期間内または所定の状態である場合(ステップS1222:YES)、対象者端末10は、通知を音以外の光、表示、動きのうちの少なくとも一つの方法によって出力するように出力部17を設定して(ステップS1223)、図10のステップS123の処理に戻る。
【0146】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。
【0147】
たとえば、上記の実施形態では、近距離無線通信と長距離無線通信とを組み合わせて確実かつ効率的に対象者端末10の位置を特定するシステムの例について説明したが、位置の特定方法はこれに限定されない。たとえば、近距離無線通信のみを用いて位置を特定してもよく、長距離無線通信のみを用いて位置を特定してもよい。
【0148】
また、上記の実施形態では、サーバー30が判定部として機能し、対象者端末10が決定部として機能する例について説明したが、これに限定されない。たとえば、対象者端末10が判定部として機能してもよく、サーバー30が決定部として機能してもよい。
【0149】
また、上記の実施形態では、学校の時間割等のスケジュール情報を予め記憶しておくものとして説明したが、これに限定されない。たとえば、曜日や時間の情報または位置情報と対象者の状態とを有する教師データによって予め機械学習された学習済みモデルを利用して対象者の状況を判定し、通知の出力方法を決定してもよい。
【0150】
また、上記の実施形態では、サーバー30において各フラグの設定要否を判断して各フラグを設定する例について説明したが、上記の判断および各フラグの設定を対象者端末10が実行するようにしてもよい。この場合、対象者端末10が設定部として機能する。
【0151】
また、上記の実施形態では、サーバー30において各フラグの設定要否を判断して各フラグを設定する例について説明したが、上記の判断および各フラグの設定を対象者端末10が実行するようにしてもよい。この場合、対象者端末10が設定部として機能する。
【0152】
また、図6のステップS104の処理において、対象者端末10は第2の時間間隔が経過した際にはGPS機能を用いて位置情報を取得するものとして説明したが、対象者端末10の位置が、前回GPS機能を用いて位置情報を取得した位置と変化していないことが加速度センサー等の情報から判断できる場合は、GPS機能の使用を省略して前回取得した位置情報がそのまま用いられてもよい。これにより、対象者端末10のGPS機能による電力消費をより抑制することができる。
【0153】
また、上記の実施形態では、位置特定システムに含まれるサーバー30等の各構成要素が一つの独立した装置として構成される例について説明したが、装置の構成はこれに限定されない。各構成要素は、複数の装置から構成されてもよく、あるいは他の機能を有する装置に含まれて構成されてもよい。たとえば、サーバー30は、多数のサーバーから構成されるクラウドサーバー上に分散して構成されてもよい。あるいは、サーバー30の機能を有するアプリケーションが検出用端末20や保護者端末40等にインストールされ、検出用端末20や保護者端末40においてサーバー30の処理が実行されてもよい。
【0154】
また、上記の実施形態では、対象者端末10は、ボタン電池で駆動可能な小型の専用端末である例について説明したが、これに限定されない。対象者端末10は、スマートフォンやタブレット端末等であってもよく、対象者の腕部または頭部等に装着されるウェアラブル情報端末または埋込型の情報端末等であってもよい。この場合も、上記のような実施形態を適用することによって、電力消費量を大幅に低減しつつ、精度よく確実かつ効率的に対象者の位置が特定される。
【0155】
また、上述した実施形態に係る位置特定システムの処理は、上述したステップ以外のステップを含んでもよく、あるいは、上述したステップのうちの一部を含まなくてもよい。また、ステップの順序は、上述した実施形態に限定されない。さらに、各ステップは、他のステップと組み合わされて一つのステップとして実行されてもよく、他のステップに含まれて実行されてもよく、複数のステップに分割されて実行されてもよい。
【0156】
上述した実施形態に係る位置特定システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、フレキシブルディスクおよびCD-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、位置特定システムの一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【0157】
以上のように構成される本実施形態の位置特定システムは、対象者に向けた配信情報の受信を、音、光、表示および動きのうちの少なくとも一つの方法によって通知する対象者端末10と、対象者端末10の位置を特定するサーバー30とを有する。位置特定システムは、サーバー30によって特定された対象者端末10の位置と、予め記憶されたマップ情報とに基づいて、対象者が所定の設備内に存在するか否かを判定し、判定結果に応じて、対象者端末10における通知の出力方法を決定する。これにより、子供等の見守り対象者の所在を把握しつつ、対象者の状況に応じて適切な方法で対象者にメッセージの到着を知らせてメッセージを伝達することができる。たとえば、授業中やレッスン中、映画やコンサート等のイベントに参加中、電車やバス等の公共交通機関を利用中等の、通知アラーム音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう場合においては、通知アラーム音を鳴動させずに、光、表示、振動等の他の方法によって通知を行うことができる。したがって、学校等の施設においても、本実施形態のような情報配信機能付きの位置特定システムをスムーズに導入することができる。
【0158】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者が所定の設備内に存在するか否かの判定結果に応じて、通知を音によって出力するか否かが決定される。これにより、たとえば通知音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう環境においては通知音を鳴動させず、周囲の迷惑にならない環境においては通知音を鳴動させて対象者にメッセージの到着を知らせることができる。
【0159】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者が所定の設備外に存在する場合は、通知を音によって出力し、対象者が所定の設備内に存在する場合は、通知を音以外の方法によって出力するように制御される。これにより、メッセージの到着を対象者に確実に知らせつつ、通知音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう環境においては通知音を鳴動させずに他の方法によって、対象者にメッセージの到着を知らせることができる。
【0160】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、所定の設備は、所定の建物、施設、または交通機関を含み、マップ情報は、マップ上における建物、施設、および交通機関の経路に関する情報を含む。これにより、対象者が存在する様々な設備や環境に応じて通知の出力方法を適切に決定することができる。
【0161】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者が所定の設備内に存在すると判定された場合、対象者が存在する設備の種類をさらに考慮して、通知を音によって出力させるか否かが決定される。これにより、対象者が存在する設備の種類に応じて、通知音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう環境においては通知音を鳴動させず、周囲の迷惑にならない環境においては通知音を鳴動させて対象者にメッセージの到着を知らせることができる。
【0162】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者が学校または教室内に存在する場合、予め記憶された学校または教室におけるスケジュールに関する情報と時刻情報とを考慮して対象者が授業またはレッスンに参加中であるか否かが判定される。そして、対象者が授業またはレッスンに参加中でない場合は、通知を音によって出力させ、対象者が授業またはレッスンに参加中である場合は、通知を音以外の方法によって出力させるように制御される。これにより、対象者が授業中やレッスン中であり、通知音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう場合において、通知音を鳴動させずに、光、表示、振動等の他の方法によって通知を行うことができる。したがって、学校や各種習い事の教室等の施設においても、本実施形態の情報配信機能付きの位置特定システムをスムーズに導入することができる。
【0163】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者が映画館またはコンサート会場を含むイベント会場内に存在する場合、時刻情報と予め記憶されたイベント会場におけるスケジュールに関する情報とを考慮して対象者がイベントに参加中であるか否かが判定される。そして、対象者がイベントに参加中でない場合は、通知を音によって出力させ、対象者がイベントに参加中である場合は、通知を音以外の方法によって出力させるように制御される。これにより、対象者が映画やコンサート等を鑑賞中であり、通知音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう場合において、通知音を鳴動させずに、光、表示、振動等の他の方法によって通知を行うことができる。周囲に迷惑をかけずに対象者にメッセージを配信できるため、対象者も嫌な思いをせず、保護者も対象者が置かれている状況を気にせずに、いつでも安心してメッセージを送ることができる。その結果、社会全体においても、本実施形態の情報配信機能付きの位置特定システムをスムーズに受け入れることができる。
【0164】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者端末から取得する対象者端末の移動速度または加速度に関する情報をさらに考慮して通知の出力方法が決定される。これにより、対象者が置かれている状況をより正確に把握したうえで、状況に応じてより適切な方法で対象者に通知することができる。
【0165】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者が電車またはバスを含む交通機関の経路内に存在する場合、対象者端末から取得する対象者端末の移動速度または加速度に関する情報を考慮して対象者が交通機関を利用中であるか否かが判定される。そして、対象者が交通機関を利用中でない場合は、通知を音によって出力させ、対象者が交通機関を利用中である場合は、通知を音以外の方法によって出力させるように制御される。これにより、対象者が電車やバスを利用中であり、通知音の鳴動が周囲の迷惑となってしまう場合において、通知音を鳴動させずに、光、表示、振動等の他の方法によって通知を行うことができる。周囲に迷惑をかけずに対象者にメッセージを配信できるため、対象者も嫌な思いをせず、保護者も対象者が置かれている状況を気にせずに、いつでも安心してメッセージを送ることができる。その結果、社会全体においても、本実施形態の情報配信機能付きの位置特定システムをスムーズに受け入れることができる。
【0166】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、サーバー30は、対象者端末10に対して配信するための配信情報を受信し、配信情報が受信された場合に配信フラグを設定する。対象者端末10は、サーバー30から配信フラグを取得した場合に、配信情報の受信を対象者に通知する。対象者端末10は、配信情報を受信するための受信指示を受け付けると、サーバー30と通信して配信情報を受信し、決定された出力方法に応じて、配信情報を出力する。これにより、保護者等は対象者端末10に対して任意のメッセージを非同期で配信することができる。非同期で配信されるため、保護者は、対象者の状況に関わらず任意のタイミングでメッセージを送信することができる。また、対象者は、通知を確認した後に都合のよいタイミングで配信情報を確認することができる。さらに、対象者端末10は、連絡を受け付けるために常にスタンバイしている必要がなく、所定のタイミングでサーバー30の配信フラグを確認したり、対象者の指示に基づいて配信情報を取得したりすればよいため、対象者端末10の電力消費を抑制して省電力化および長寿命化を図ることができる。さらに、配信情報を受信した場合も対象者の状況に応じて出力方法が決定されるため、たとえば配信情報が音声メッセージの場合でも、周囲に迷惑をかけない方法で配信情報を確認することができる。
【0167】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者端末10は、GPS衛星からの信号に基づく対象者端末10の位置情報を取得し、長距離無線通信を介して、サーバー30に識別情報および位置情報を送信し、サーバー30は、対象者端末10から送信された識別情報および位置情報に基づいて、対象者端末10の位置を特定する。これにより、たとえば、GPS機能付きのスマートフォンや携帯電話等の一般的な携帯通信端末に対してメッセージを配信する場合においても、本実施形態のような通知の出力方法を決定する処理を適用することができる。
【0168】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、対象者端末10は、近距離無線を介して識別情報を発信し、見守りエリアに配置される検出用端末20を介して識別情報がサーバー30に送信され、サーバー30は、検出用端末20から送信された識別情報と、検出用端末20の位置に関する情報とに基づいて、対象者端末10の位置を特定する。これにより、対象者の位置を精度よく把握しつつ、対象者の状況に応じて適切な方法で対象者に通知することができる。
【0169】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、検出用端末20aは、見守りエリアに含まれる所定の位置に設置され、当該検出用端末20aを識別するための情報を送信し、サーバー30は、検出用端末20aから送信された当該検出用端末20aを識別するための情報を用いて、当該情報と当該検出用端末20aの位置とが予め対応付けられて記憶された記憶部32から、当該検出用端末20aの位置に関する情報を取得する。これにより、見守りエリアに設置され、位置情報が予め記憶された固定端末である検出用端末20aを用いて、対象者端末の位置を精度よく特定することができる。
【0170】
また、本実施形態の位置特定システムにおいて、検出用端末20bは、見守りエリアを含む領域を移動する移動体に設けられ、GPS衛星からの信号に基づいて当該検出用端末20bの位置に関する情報を取得してサーバー30に送信する。そして、サーバー30は、検出用端末20bから送信された情報に基づいて当該検出用端末20bの位置に関する情報を取得する。これにより、見守りエリア内を移動する見守り人が携帯するスマートフォンや移動するタクシー等に設置されたタブレットPC等の情報端末を検出用端末として使用できる。したがって、見守りエリア内にくまなく固定端末を設置することなく、対象者端末10の位置を精度よく特定することができる。
【符号の説明】
【0171】
10 対象者端末、
11 制御部、
12 記憶部、
13 第1通信部、
14 第2通信部、
15 受付部、
151 取得指示受付部、
152 受信指示受付部、
16 取得部、
17 出力部、
20、20a、20b 検出用端末、
21 制御部、
22 記憶部、
23 通信部、
24 検出部、
30 サーバー、
31 制御部、
32 記憶部、
33 通信部、
40 保護者端末、
41 制御部、
42 記憶部、
43 通信部、
44 表示部、
45 操作受付部、
46 音声入出力部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11