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特許7136532モジュールの製造方法及び光学モジュールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】モジュールの製造方法及び光学モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20220906BHJP
   H01L 33/52 20100101ALI20220906BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20220906BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20220906BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20220906BHJP
   H01L 23/28 20060101ALI20220906BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20220906BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220906BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01L21/56 J
H01L33/52
H01L33/60
H01L33/62
H01L33/50
H01L23/28 D
H01L23/30 B
G02B5/20
H01L21/56 R
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018066933
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019179791
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小野 位
(72)【発明者】
【氏名】北爪 誠
【審査官】河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-071793(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117526(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/066430(WO,A1)
【文献】特開2016-164963(JP,A)
【文献】特開2014-064021(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 33/52
H01L 33/60
H01L 33/62
H01L 33/50
H01L 23/28
H01L 23/29
G02B 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
N層(Nは2以上の自然数)の樹脂を積層してなるモジュールの製造方法であって、
金型に1層目の樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して、前記1層目の樹脂を本硬化させない範囲で硬化させる工程と、
2層目以降のN層目の樹脂について、前記金型に(N-1)層目の樹脂に積層するように前記N層目の樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して、前記積層した前記N層目の樹脂の総てを本硬化させない範囲で硬化させる処理を繰り返す工程と、
前記N層目の樹脂を形成した後に、前記積層した前記N層の樹脂を総て本硬化させる工程と、を有する、モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記1層目の樹脂を本硬化させない範囲で硬化させる工程では、前記1層目の樹脂が固体化されるレベルまで前記1層目の樹脂を硬化させる請求項1に記載のモジュールの製造方法。
【請求項3】
前記1層目の樹脂が固体化されるレベルは、50~65%の範囲の硬化率に設定される請求項2に記載のモジュールの製造方法。
【請求項4】
前記積層した前記N層目の樹脂を本硬化させない範囲で硬化させる処理では、前記N層目の樹脂が固体化されるレベルまで前記N層目の樹脂を硬化させる請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項5】
前記N層目の樹脂が固体化されるレベルは、50~65%の範囲の硬化率に設定される請求項4に記載のモジュールの製造方法。
【請求項6】
前記積層した前記N層目の樹脂を本硬化させない範囲で硬化させる処理を繰り返す工程は、前記積層した前記N層の樹脂の総てを本硬化させない範囲で硬化させる工程である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項7】
前記積層した前記N層の樹脂の総てを本硬化させない範囲で硬化させる工程は、前記積層した前記N層の樹脂の総てを、50%~95%の範囲の硬化率で硬化させる工程である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項8】
前記積層した前記N層の樹脂を総て本硬化させる工程は、前記積層した前記N層の樹脂を総て95%を超える硬化率で硬化させる工程である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項9】
前記N層の樹脂の総てが同一系列の樹脂である請求項1乃至8のいずれか一項に記載のモジュールの製造方法。
【請求項10】
表面に複数の電極を有する基板上に発光素子をフェイスダウンで実装する第1工程と、
金型に前記基板を設置し、光波長変換物質が混合された第1の光透過性樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して前記発光素子を含めて前記基板の実装面を光波長変換物質が混合された前記第1の光透過性樹脂で封止する第2工程と、
前記金型に前記第1の光透過性樹脂の上面に第2の光透過性樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して前記第2の光透過性樹脂で覆う第3工程と、
前記金型から前記基板を取り外す工程と、
前記発光素子を囲むように、前記第2の光透過性樹脂の上面から前記基板の所定深さまで到達する溝を形成する第4工程と、
前記金型に前記基板を設置し、光反射性樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して前記溝に光反射性樹脂を充填するとともに前記第2の光透過性樹脂の上面を前記光反射性樹脂で覆う第5工程と、
前記金型から前記基板を取り外す工程と、
前記第2の光透過性樹脂の上面を覆っている前記光反射性樹脂を除去する第6工程と、
前記溝に充填された前記光反射性樹脂の一部を残して外側面が前記光反射性樹脂で覆われるように前記光反射性樹脂に沿ってダイシングを行い、前記発光素子を個片化する第7工程と、を有し、
前記第2工程、前記第3工程及び前記第5工程において、前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂は、本硬化させない範囲で硬化させることにより形成され、
前記第5工程と前記第7工程との間に、前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を本硬化させる工程を更に有する、光学モジュールの製造方法。
【請求項11】
前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を本硬化させない範囲で硬化させるレベルは、前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を固体化させるレベルである請求項10に記載の光学モジュールの製造方法。
【請求項12】
前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を固体化させるレベルは、前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を50%~95%の範囲の硬化率で硬化するレベルである請求項11に記載の光学モジュールの製造方法。
【請求項13】
前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を本硬化させる工程は、前記第1の光透過性樹脂、前記第2の光透過性樹脂及び前記光反射性樹脂を95%を超える硬化率で硬化させる工程である請求項10乃至12のいずれか一項に記載の光学モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モジュールの製造方法及び光学モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、発光素子が固着された第1のフレームと、第1のフレームから離間して配置され、発光素子の電極と金属ワイヤで接続された第2のフレームと、発光素子と第1のフレームと第2のフレームとを覆う樹脂パッケージとを有する半導体発光装置の製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
かかる特許文献1に記載の半導体発光装置の製造方法では、まず、複数の第1のフレームと複数の第2のフレームとが交互に配置された金属プレートの表面に、発光素子、第1のフレーム及び第2のフレームを覆う第1の樹脂を形成し、第1の樹脂の表面に犠牲シートを貼着する。そして、金属プレート上の第1の樹脂及び犠牲シートに樹脂パッケージの外周に沿った溝を形成し、溝の内部に第2の樹脂を充填し、第2の樹脂を溝に沿って分断することにより、第1の樹脂の外縁を第2の樹脂で覆った樹脂パッケージを形成する。その後は、分断された樹脂パッケージの上面を覆っている第2の樹脂上に、犠牲シートよりも粘着力の大きい粘着シートを貼着し、この粘着シートを引き剥がすことにより、第1の樹脂の上面に形成された第2の樹脂を犠牲シートと共に取り除く。これにより、発光面を露出させ、半導体発光装置を完成させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-4807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の半導体発光装置の製造方法では、第1の樹脂及び第2の樹脂の形成の際、各々を形成段階で本硬化させて完全に固化して形成している。このような従来からの樹脂の形成方法では、弾性を有する樹脂を得ることはできず、復元性があまり無いため、半導体発光装置の取り付けの際に応力が加わると、変形等により樹脂が破損する場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、従来と大幅に製造方法を変更することにより、可撓性及び復元性に優れた強靭性の高いモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係るモジュールの製造方法は、N層(Nは2以上の自然数)の樹脂を積層してなるモジュールの製造方法であって、
金型に1層目の樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して、前記1層目の樹脂を本硬化させない範囲で硬化させる工程と、
2層目以降のN層目の樹脂について、前記金型に(N-1)層目の樹脂に積層するように前記N層目の樹脂を充填した状態で熱と圧力を印加して、前記積層した前記N層目の樹脂の総てを本硬化させない範囲で硬化させる処理を繰り返す工程と、
前記N層目の樹脂を形成した後に、前記積層した前記N層の樹脂を総て本硬化させる工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、樹脂を用いたモジュールの柔軟性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施形態に係るモジュールの製造方法の一例の一連の工程を示した図である。
図2】光透過性樹脂Aの硬化率特性を示した図である。
図3】光透過性樹脂Bの硬化率特性を示した図である。
図4】本実施形態に係るモジュールの製造方法における1~4層目の光透過性樹脂の硬化率の変化を示した図である。
図5】第2の実施形態に係るモジュールの製造方法の一例を示した図である。
図6】第3の実施形態に係るモジュールの製造方法の一例を説明するための図である。
図7】従来のバリア層付蛍光体シートの製造方法を示した図である。
図8】従来のモジュールの製造方法の温度プロファイルを示した図である。
図9】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の基板用意工程の一例を示した図である。
図10】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の接合ペースト塗布工程の一例を示した図である。
図11】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の実装工程の一例を示した図である。
図12】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の封止工程の一例を示した図である。
図13】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の透明樹脂コーティング工程の一例を示した図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の溝形成工程の一例を示した図である。
図15】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の光反射樹脂封止工程の一例を示した図である。
図16】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の表面研削工程の一例を示した図である。
図17】本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法のモジュール個片化工程の一例を示した図である。
図18】光学アレイ及びバックライトユニットに第4の実施形態に係る光学モジュールを適用した例を示した図である。
図19】第1の態様に係る光学アレイを示した図である。
図20】第2の態様に係る光学アレイを示した図である。
図21】第3の態様に係る光学アレイを示した図である。
図22】第4の態様に係る光学アレイを示した図である。
図23】第5の態様に係る光学アレイを示した図である。
図24】第6の態様に係る光学アレイを示した図である。
図25】第7の態様に係る光学アレイを示した図である。
図26】第8の態様に係る光学アレイを示した図である。
図27】実施例に用いた光透過性樹脂の硬化率特性を示した図である。
図28】実施例及び比較例に係るモジュールの製造方法により製造されたモジュールの曲げ耐性試験の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るモジュールの製造方法の一例の一連の工程を示した図である。第1の実施形態においては、光透過性樹脂Aと光透過性樹脂Bを用いて、モジュールを製造した例について説明する。本実施形態に係るモジュールの製造方法は、種々の樹脂に適用することができ、光透過性樹脂への適用に限定されるものではないが、ここでは、光透過性樹脂A、Bを用いた例を挙げて説明する。光透過性樹脂は、LED(Light Emitting Diode)を用いた光学的半導体装置に多く利用され、用途の広い樹脂である。なお、本実施形態に係るモジュールの製造方法では、製造に用いる樹脂の硬化率特性を利用してモジュールを製造する。
【0012】
図2は、光透過性樹脂Aの硬化率特性を示した図である。図2において、横軸は時間(分)、縦軸は硬化率(%)を示している。即ち、一定の加熱温度で加熱時間を延ばしてゆくと、光透過性樹脂Aの硬化が進行する。光透過性樹脂Aは、10分程の加熱で硬化率が約60%に達し、20分で硬化率が80%を超え、30分で硬化率が90%を超える特性を有する。そして、60分経過しても、100%には近付くが、100%には到達しない。ここで、完全に硬化が完了した状態をハードニング(本硬化)と呼ぶが、一般に、ハードニング(本硬化)が完了しても、硬化率は100%には到達せず、96~99%程度に留まるのが一般的である。本実施形態では、実際の工程で、これ以上加熱しても更なる硬化は進まず、硬化が完了したとみなせる状態をハードニング(本硬化)と呼ぶ。硬化率にすると、95%を超えた状態であり、例えば、96~99%の範囲である。
【0013】
ここで、キュア(硬化)とは、樹脂を本硬化させない範囲で硬化させることを指し、例えば、硬化率が50~95%である。
【0014】
図3は、光透過性樹脂Bの硬化率特性を示した図である。図3においても、横軸は時間(分)、縦軸は硬化率(%)を示している。図3に示されるように、光特性樹脂Bは、光透過性樹脂Aよりも硬化し易く、2分程で硬化率80%を超える硬化率特性となっており、5分経過後は硬化率90%を超える硬化率特性となっている。
【0015】
このように、光透過性樹脂の種類により硬化率は異なる。本実施形態においては、これらの硬化率特性を考慮して、樹脂を積層させたモジュールを製造する。
【0016】
図1(a)は、1層目の樹脂をキュア(硬化)させる工程の一例を示した図である。1層目の光透過性樹脂10には、光透過性樹脂Aを用いる。なお、光透過性樹脂Aは、最初は液体の状態であるが、加熱により硬化(キュア)する。よって、光透過性樹脂10の硬化は、液体の光透過性樹脂10を貯留可能な容器に光透過性樹脂10を貯留した状態で行われる。一般的には、モジュールを製造するためには、光透過性樹脂10を所定の形状に成形する必要があるので、例えば、金型に光透過性樹脂10を充填した状態で硬化が行われ、所定の形状に成形する。
【0017】
図1においては、実際に用いる金型等は省略し、本実施形態に係るモジュールの製造方法の概念及び原理について説明する。
【0018】
図1(a)に示されるように、まずは1層目の光透過性樹脂10が成形される。ここで、最初の硬化は、例えば、10分間の加熱硬化により行われる。10分間の加熱では、図2で示されるように、60%程度の硬化率である。即ち、1層目の光透過性樹脂10の成形では、60%程度硬化した状態まで光透過性樹脂Aをキュア(硬化)させる。ここで、液体の光透過性樹脂Aが固体化されるのは、硬化率50%を超えたレベルである。よって、硬化率が50%を超えるレベルまでキュア(硬化)させれば、液状の光透過性樹脂Aは固体化(成形)する。
【0019】
図1(b)は、2層目の光透過性樹脂20を硬化させる工程の一例を示した図である。2層目の光透過性樹脂20も、光透過性樹脂Aを用いる。2層目の光透過性樹脂10は、固体化された1層目の光透過性樹脂10に積層されるように設けられる。この状態で10分間のキュア(硬化)を行うことにより、2層目の光透過性樹脂Aは、60%程度の硬化率で硬化する。一方、1層目の光透過性樹脂10の硬化は更なる10分間のキュア(硬化)により進行し、80%程度となる。最初は液体であった2層目の光透過性樹脂20が固体化され、1層目の光透過性樹脂10及び2層目の光透過性樹脂20が双方とも固体化される。
【0020】
図1(c)は、3層目の光透過性樹脂30を硬化させる工程の一例を示した図である。3層目の光透過性樹脂30も、光透過性樹脂Aが選択された例を挙げて説明する。3層目の液体状態の光透過性樹脂30は、2層目の光透過性樹脂20に積層されるように設けられる。この状態で10分間のキュア(硬化)を行うと、3層目の光透過性樹脂30は約60%硬化する。2層目の光透過性樹脂20は、約20分間の硬化となるので、図2に示される通り、例えば、約80%硬化する。1層目の光透過性樹脂10は、トータルで30分間の硬化となるので、図2に示される通り、例えば、90%以上硬化する。
【0021】
図1(d)は、4層目の光透過性樹脂40を硬化させる工程の一例を示した図である。4層目の光透過性樹脂40には、光透過性樹脂Bを用いた例を挙げて説明する。4層目の光透過性樹脂40は、3層目の光透過性樹脂30に積層されるように設けられ、キュア(硬化)を行う。ここでも10分間のキュア(硬化)とする。4層目の光透過性樹脂40は光透過性樹脂Bであるので、図3の硬化率特性に従う。図3に示される通り、10分間の硬化で、90%を超える硬化率で硬化する。一方、3層目の光透過性樹脂30は、合計で20分間の硬化であるから、約80%の硬化である。2層目の光透過性樹脂20は、合計で30分間の硬化であるから、90%を超える硬化率となる。1層目の光透過性樹脂10は、合計で40分間の硬化であるから、やはり90%を超える硬化率となる。
【0022】
図1(e)は、本硬化工程の一例を示した図である。ハードニング(本硬化)工程では、1~4層目の光透過性樹脂10~40の総てをハードニング(本硬化)させる。本実施形態では、200分間硬化することにより、1~4層目の光透過性樹脂10~40をハードニング(本硬化)させ、モジュール50を完成させる。後に実施例を示すが、このような硬化プロセスを辿ることにより、1~4層目の光透過性樹脂10~40を一体化成形することができ、1~4層目の光透過性樹脂10~40同士の境界を無くすことができる。これにより、モジュール50に柔軟性及び伸展性を持たせることができ、破損し難い耐久性の高いモジュール50を製造することができる。
【0023】
図4は、本実施形態に係るモジュールの製造方法における1~4層目の光透過性樹脂10~40の硬化率の変化を示した図である。図4に示される通り、1~4層目の光透過性樹脂は、硬化率が50~95%の範囲となるようにキュア(硬化)され、その後に時間を十分費やしてハードニング(本硬化)させ、100%に近い硬化率となるようにしている。このような硬化率の制御を行うことにより、1~4層目の光透過性樹脂10~40を一体的に成形でき、柔軟で強靭なモジュール50を製造することができる。なお、本硬化の理想は100%の硬化率であり、条件が良ければ、99.99%といった硬化率の実現も不可能ではないので、本硬化の硬化率の上限は99%より高くてもよい。
【0024】
また、図4において40分までに行っている硬化は、1~4層目の光透過性樹脂10~40をハードニング(本硬化)させず、50~95%の範囲に制御するキュア(硬化)である。そのような制御は、図2及び図3に示した硬化率特性を考慮することにより実現できる。
【0025】
なお、本実施形態では、1~4層目の光透過性樹脂10~40を積層及び硬化させてモジュール50を製造する例を挙げて説明したが、もっと多数の樹脂層を有するモジュールに一般化して適用することができる。即ち、1層目の光透過性樹脂10を固体化させた後、2層目からN(Nは2以上の自然数)層目の樹脂まで、(N-1)層目の光透過性樹脂に積層し、固体化させるが本硬化まではさせないキュア(硬化)を順次各層に行い、最後に1~N層の総てをハードニング(本硬化)させる、という処理を行えば、層数が増加しても、同様の原理により、各層が一体化して柔軟な可撓性及び復元性を有するモジュールを製造することができる。
【0026】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係るモジュールの製造方法について説明する。
【0027】
図5は、第2の実施形態に係るモジュールの製造方法の一例を示した図である。図5は、LEDを用いた光学的モジュールに用いられるバリア層付蛍光体シートを製造する例を示した図である。第2の実施形態に係るモジュールの製造方法では、樹脂層の積層及び硬化の具体的な方法も含めて、モジュールとしてバリア層付蛍光体シートを製造する方法について説明する。
【0028】
図5(a)は、ハンドリング基板設置工程の一例を示した図である。ハンドリング基板設置工程では、金型60を開き、上型61の方にハンドリング基板70を設置する。下型には、この段階では特に何も設置されない。
【0029】
本実施形態に係る蛍光体シートの製造方法では、金型60を用いて圧縮成形法により蛍光体シートを製造する。金型60は、上型61と下型62とを有する。また、ハンドリング基板70は、フィルム状の基板であり、最終的には除去される基板である。
【0030】
図5(b)は、第1の光透過性樹脂供給工程の一例を示した図である。第1の光透過性樹脂供給工程では、開いた金型60の下型62に第1の光透過性樹脂80を供給する。ここで、第1の光透過性樹脂80は、例えば、液状の光透過性樹脂に蛍光体の微粒子を混練させた光透過性樹脂が用いられる。
【0031】
図5(c)は、蛍光体シート成形工程の一例を示した図である。蛍光体シート成形工程では、金型60を閉じて、所定時間、所定の圧力と所定の熱を第1の光透過性樹脂80に印加し、第1の光透過性樹脂80をキュア(硬化)し、固体化した第1の光透過性樹脂81を成形する。ここで、固体化した第1の光透過性樹脂81は、ハードニング(本硬化)まではさせず、50~95%の範囲で硬化させる。但し、次の硬化も考慮し、50%を超える範囲でなるべく低い硬化率に設定することが好ましく、例えば、50~65%の硬化率となる程度にキュア(硬化)してもよい。なお、固体化した第1の光透過性樹脂81は、蛍光体を含むため、蛍光体シート81として機能する(以下、「蛍光体シート81」と呼んでもよいこととする)。
【0032】
図5(d)は、バリアシート用光透過性樹脂供給工程の一例を示した図である。バリアシート用光透過性樹脂供給工程では、金型60が開かれるとともに、下型62にバリアシート用の第2の光透過性樹脂90が供給される。
【0033】
蛍光体シート81の表面にバリアシートを一体的に形成するため、蛍光体シート81を上型61にそのまま保持した状態とし、下型にバリアシート用の第2の光透過性樹脂90を供給する。
【0034】
第2の光透過性樹脂90は、第1の光透過性樹脂20と同一の樹脂であってもよいし、互いに異なる樹脂であってもよい。但し、互いに異なる樹脂を用いる場合であっても、光学的特性を安定させるため、樹脂系は同一である方が好ましく、例えば、第1の光透過性樹脂80をシリコーン樹脂とした場合には、第2の光透過性樹脂90もシリコーン樹脂とすることが好ましい。また、第1の光透過性樹脂80をアクリル樹脂とした場合には、第2の光透過性樹脂90もアクリル樹脂とすることが好ましい。なお、シリコーン樹脂、アクリル樹脂の中にも様々な化合物があるので、同系の中で、用途に応じて異なる化合物、製品の樹脂を用いるのは何ら問題無い。但し、第1の光透過性樹脂80と第2の光透過性樹脂90が同系であることは必須ではなく、異なる系の光透過性樹脂80、90を用いることも可能である。
【0035】
また、第2の光透過性樹脂90には、バリアシートに適した樹脂であれば、用途に応じて種々の光透過性樹脂を用いることができる。例えば、第2の光透過性樹脂90として、シリコーン樹脂やアクリル樹脂を用いるようにしてもよい。
【0036】
ここで、バリアシートは、蛍光体シート81に表面に設けられ、蛍光体シート81に水分、埃が入るのを防止するための保護膜であり、酸素透過率をコントロールした樹脂が用いられる。よって、第2の光透過性樹脂90は、上述のような、酸素透過率が調整された樹脂を選択することが好ましい。
【0037】
図5(e)は、バリアシート成形工程の一例を示した図である。バリアシート成形工程では、金型60を閉じ、所定時間、所定の圧力と所定の熱を蛍光体シート81及び第2の光透過性樹脂90に印加し、第2の光透過性樹脂90をキュア(硬化)し、固体化した第2の光透過性樹脂91とする。これにより、バリアシート91が、蛍光体シート81と一体化した状態で成形される。ここで、第1の光透過性樹脂90の硬化は、ハードニング(本硬化)までは行わずに、固体化するレベルで行う。上述のように、50~95%の硬化率の範囲内で硬化するように制御するが、蛍光体シート81は更に硬化した状態となるため、50%以上の範囲で低い硬化率の設定とすることが好ましい。例えば、バリアシート91の硬化率は、50~65%の硬化率であってもよい。
【0038】
なお、蛍光体シート81は1層目の樹脂であり、バリアシート91は2層目の樹脂に相当する。金型60を用いる場合、1層目の樹脂(固体化された第1の光透過性樹脂81)が上型61に保持され、下方から2層目の樹脂(第2の光透過性樹脂90)が1層目の樹脂に積層される構造となる。
【0039】
図5(f)は、本硬化工程の一例を示した図である。本硬化工程では、金型60から、固体化した第1の光透過性樹脂81及び固体化した第2の光透過性樹脂91が表面に形成されたハンドリング基板70を取り外し、固体化した第1の光透過性樹脂81及び固体化した第2の光透過性樹脂91が本硬化するまで硬化する。つまり、図5(c)の蛍光体シート成形工程及び図5(e)のバリアシート成形工程よりも長時間硬化し、ハードニング(本硬化)した蛍光体シート82及びバリアシート92を形成する。なお、必要に応じて、ハードニング(本硬化)の際、加熱時間を短縮するため、ハードニング(本硬化)温度等を変更することも可能である。これにより、ハードニング(本硬化)した蛍光体シート82及びバリアシート92はほぼ完全に一体化成形され、硬化率は95%を超え、100%に近い状態となる。この時の硬化率は、例えば、96~99.99%であってもよい。
【0040】
バリアシート92と蛍光体シート82とが一体化されているため、バリアシート92と蛍光体シート82との間に境界は無く、本硬化したバリアシート92と蛍光体シート82とが連続した状態でバリア層付蛍光体シート100が形成される。この点、単独のバリアシートを蛍光体シートに接合した構成とは異なる。接合による場合、接合層がバリアシートと蛍光体シートとの間に形成され、境界が存在するからである。
【0041】
また、ハードニング(本硬化)後は、所定時間バリア層付蛍光体シート100を乾燥させる。
【0042】
図5(g)は、ハンドリング基板取り外し工程の一例を示した図である。ハンドリング基板取り外し工程では、バリア層付蛍光体シート100からハンドリング基板70を取り外す。このようにして、バリア層付蛍光体シート100を取得することができる。なお、バリア層付蛍光体シート100の乾燥時間については、バリア層付蛍光体シート100を乾燥及び本硬化できる限り、用途に応じて種々の時間に設定することができる。
【0043】
得られたバリア層付蛍光体シート100は、弾力性があるフレキシブルな性質、又は伸展性があるストレッチャブルな性質を有し、耐性が非常に強く、破損し難いシートとなる。
【0044】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態に係るモジュールの製造方法の一例を説明するための図である。第3の実施形態に係るモジュールの製造方法においても、第2の実施形態に係るモジュールの製造方法と同様に、バリア層付蛍光体シートを製造する方法について説明する。
【0045】
図6(a)は、ハンドリング基板設置工程の一例を示した図である。ハンドリング基板取り付け工程においては、金型60の上型61に、ハンドリング基板70が設置される。なお、ハンドリング基板設置工程は、第2の実施形態における図5(a)と同一の工程であるので、その説明を省略する。
【0046】
図6(b)は、第1の光透過性樹脂供給工程の一例を示した図である。第1の光透過性樹脂供給工程では、開いた金型60の下型62に第1の光透過性樹脂90を供給する。ここで、第1の光透過性樹脂90は、第2の実施形態におけるバリアシート用の第2の光透過性樹脂90が用いられる。つまり、バリアシートから形成してバリア層付蛍光体シートを構成してもよい。第3の実施形態では、バリアシートからバリア層付蛍光体シートを形成する実施形態について説明する。
【0047】
なお、バリアシート用の光透過性樹脂90の性質は、第2の実施形態で説明した通りであるので、その説明を省略する。
【0048】
図6(c)は、バリアシート成形工程の一例を示した図である。バリアシート成形工程では、金型60を閉じて、所定時間、所定の圧力と所定の熱を第1の光透過性樹脂90に印加し、第1の光透過性樹脂90を硬化(キュア)し、固体化した第1の光透過性樹脂91を成形する。ここで、固体化した第1の光透過性樹脂91は、ハードニング(本硬化)まではさせず、50~95%の範囲で硬化させる。但し、次のキュア(硬化)も考慮し、50%を超える範囲でなるべく低い硬化率に設定することが好ましく、例えば、50~65%の硬化率となる程度にキュア(硬化)してもよい。固体化した第1の光透過性樹脂91は、バリアシート91として機能する(以下、「バリアシート91」と呼んでもよいこととする)。
【0049】
図6(d)は、第2の光透過性樹脂供給工程の一例を示した図である。第2の光透過性樹脂供給工程では、金型60が開かれるとともに、下型62に蛍光体シート用の第2の光透過性樹脂80が供給される。ここで、蛍光体シート用の第2の光透過性樹脂80は、第2の実施形態と同様に、液状の光透過性樹脂に蛍光体の微粒子を混練させた樹脂であってよい。
【0050】
なお、バリアシート91の表面に蛍光体シートを一体的に形成するため、バリアシート91を上型61にそのまま保持した状態とし、下型に蛍光体シート用の第2の光透過性樹脂90を供給する。
【0051】
第2の光透過性樹脂80が、第1の光透過性樹脂90と同一の樹脂系であることが好ましいのは、積層順序が変わっても同様である。その内容は、第2の実施形態で説明した通りであるので、説明を省略する。
【0052】
図6(e)は、蛍光体シート成形工程の一例を示した図である。蛍光体シート成形工程では、金型60を閉じ、所定時間、所定の圧力と所定の熱をバリアシート91及び第2の光透過性樹脂80に印加し、第2の光透過性樹脂80をキュア(硬化)し、固体化した第2の光透過性樹脂81とする。これにより、バリアシート91が、蛍光体シート81と一体化した状態で成形される。ここで、第2の光透過性樹脂80の硬化は、ハードニング(本硬化)までは行わずに、固体化するレベルで行う。上述のように、50~95%の硬化率の範囲内で硬化するように制御するが、バリアシート91は更に硬化した状態となるため、50%以上の範囲で低い硬化率の設定とすることが好ましい。例えば、蛍光体シート81の硬化率は、50~65%の硬化率であってもよい。
【0053】
なお、第2の実施形態と逆に、バリアシート91は1層目の樹脂となり、蛍光体シート81が2層目の樹脂に相当する。金型60を用いる場合、1層目の樹脂(固体化された第1の光透過性樹脂91)が上型61に保持され、下方から2層目の樹脂(第2の光透過性樹脂90)が1層目の樹脂に積層される構造となる。
【0054】
図6(f)は、ハードニング(本硬化)工程の一例を示した図である。ハードニング(本硬化)工程では、金型60から、固体化した第1の光透過性樹脂91及び固体化した第2の光透過性樹脂81が表面に形成されたハンドリング基板70を取り外し、固体化した第1の光透過性樹脂91及び固体化した第2の光透過性樹脂81が本硬化するまで硬化する。これにより、バリア層付蛍光体シート101が形成される。なお、上下の関係が逆なだけであり、第2の実施形態と同様の内容であるので、その説明を省略する。
【0055】
図6(g)は、ハンドリング基板取り外し工程の一例を示した図である。ハンドリング基板取り外し工程では、バリア層付蛍光体シート101からハンドリング基板70を取り外す。このようにして、バリア層付蛍光体シート100を取得することができる。
【0056】
得られたバリア層付蛍光体シート101は、弾力性があるフレキシブルな性質、又は伸展性があるストレッチャブルな性質を有し、耐性が非常に強く、破損し難いシートとなる。
【0057】
このように、1層目の樹脂と2層目の樹脂の積層・形成順序を変更しても本実施形態に係るモジュールを製造することができ、用途に応じて種々の構成のモジュールを製造することができる。
【0058】
[比較例]
次に、比較例として、従来のモジュールの製造方法について説明する。
【0059】
図7は、従来のバリア層付蛍光体シートの製造方法を示した図である。なお、この比較例は、第2の実施形態に係るバリア層付蛍光体シートの構造に対応する。
【0060】
図7(a)は、ハンドリング基板設置工程の一例を示した図であり、図7(b)は、第1の光透過性樹脂供給工程の一例を示した図である。これらの工程は、第2の実施形態の図5(a)、(b)と同様なので、その説明を省略する。
【0061】
図7(c)は、蛍光体シート成形工程の一例を示した図である。蛍光体シート成形工程では、金型60を閉じて、所定時間、所定の圧力と所定の熱を第1の光透過性樹脂80に印加し、第1の光透過性樹脂80を硬化(キュア)する。この時、第1の光透過性樹脂80を50~95%の範囲の硬化率に留める必要は無く、本硬化させても問題無いので、金型60で可能な限りの加熱を行ってもよい。
【0062】
図7(d)は、本硬化工程の一例を示した図である。本硬化工程では、金型60から、固体化した第1の光透過性樹脂81が表面に形成されたハンドリング基板70を取り外し、固体化した第1の光透過性樹脂81がハードニング(本硬化)するまで硬化し、本硬化した第1の光透過性樹脂82を形成する。即ち、第2の実施形態とは異なり、第1の光透過性樹脂81が固体化したら、他の樹脂を積層させる前に加熱してハードニング(本硬化)させ、ハードニング(本硬化)した蛍光体シート82を完成させる。
【0063】
図7(e)は、バリアシート用光透過性樹脂供給工程の一例を示した図である。バリアシート用光透過性樹脂供給工程では、金型60が開かれるとともに、下型62にバリアシート用の第2の光透過性樹脂90が供給される。この工程は、第2の実施形態と同様である。
【0064】
図7(f)は、バリアシート成形工程の一例を示した図である。バリアシート成形工程では、金型60を閉じ、所定時間、所定の圧力と所定の熱を蛍光体シート82及び第2の光透過性樹脂90に印加し、第2の光透過性樹脂90をハードニング(本硬化)し、ハードニング(本硬化)した第2の光透過性樹脂92を形成する。蛍光体シート82は先にハードニング(本硬化)しており、この工程でバリアシート92もハードニング(本硬化)するので、両者は一体化されず、分離されたものが接合している状態となる。
【0065】
図7(g)は、バリア層付蛍光体シート取り出し工程の一例を示した図である。バリア層付蛍光体シート取り出し工程では、ハードニング(本硬化)したバリアシート92と蛍光体シート82からなるバリア層付蛍光体シート102がハンドリング基板70とともに上型61から取り外されるが、バリアシート92と蛍光体シート82との間には、境界が見られ、一体化しておらず、柔軟性も乏しいバリア層付蛍光体シート102となってしまう。よって、耐久力が不足し、破損し易い性質となる。
【0066】
図7(h)は、ハンドリング基板取り外し工程であり、これは第2及び第3の実施形態の図5(g)及び図6(g)における説明と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
図8は、従来のモジュールの製造方法の温度プロファイルを示した図である。図8に示される通り、温度は100℃で一旦段階を踏み、第1の光透過性樹脂80を固体化するが、固体化して第1の光透過性樹脂81を取り外した後、温度は150℃に上げられて蛍光体シート81をハードニング(本硬化)する。よって、蛍光体シート82は単独で速やかにハードニング(本硬化)し、バリアシート91も、同様の温度プロファイルで単独にハードニング(本硬化)させる。よって、柔軟性に乏しい蛍光体シート82及びバリアシート92が積層した構造となり、柔軟性に乏しい性質を有するバリア層付蛍光体シート102となる。
【0068】
このように、従来のモジュールの製造方法では、個別に樹脂をハードニング(本硬化)してしまうので、樹脂同士が一体化する機会が全くない。その結果、柔軟な樹脂モジュールを製造することができず、強い耐性を得ることができなくなる。本実施形態に係るモジュールの製造方法は、このような従来のモジュールの製造方法を改善し、柔軟性及び伸展性を備えたバリア層付蛍光体シート等のモジュールを製造することができる。
【0069】
[第4の実施形態]
次に、本実施形態に係るモジュールの製造方法を、光学的モジュールの製造工程に適用した実施形態について説明する。
【0070】
図9は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の基板用意工程の一例を示した図である。基板用意工程においては、LEDチップを実装するためのプリント配線板110が用意される。プリント配線板110は、LEDチップを実装するための基板の一例であり、LEDチップを実装することができれば、他の基板が用いられてもよい。本実施形態においては、基板としてプリント配線板110を用いた例を挙げて説明する。なお、プリント配線板110は、例えば、長方形の平面形状を有して構成されてもよい。
【0071】
プリント配線板110は、表面にLEDチップを実装するための電極120を有し、裏面にはマザーボードに電気的接続を行うための外部接続端子130を有する。電極120及び外部接続端子130は、ともに複数個設けられる。実装するLEDチップは、通常、アノード及びカソードの2個の端子を有するため、電極120及び外部接続端子130はともに複数個設けられる。また、通常、プリント配線板110の表面上には複数個のLEDチップが実装されるため、実装されるLEDチップの数に合わせて電極120及び外部接続端子130の個数が定められる。
【0072】
なお、表面側の電極120と裏面側の外部接続端子130とは、プリント配線板110の内部で配線パターンにより接続されているが、その点の詳細については後述する。
【0073】
また、基板用意工程においては、プリント配線板110を用意する他、プリント配線板110に付着している異物を除去するべくプリント配線板110の洗浄を行う。また、洗浄後は、ベーキングによってプリント配線板110を乾燥させる。
【0074】
図10は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の接合ペースト塗布工程の一例を示した図である。なお、外部接続端子130は、光学モジュールの製造方法には直接は関連しないので、図10以降は図示を省略する。
【0075】
接合ペースト塗布工程においては、プリント配線板110の表面に設けられた電極120上に接合ペースト140を塗布する。接合ペースト140は、加熱溶融によりLEDチップの電極とプリント配線板110の表面上の電極120とを接合し、電気的に接続できる限り、種々の接合ペースト140を用いることができる。接合ペースト140としては、例えば、Au-Sn(金-錫)ペーストを用いてもよい。なお、接合ペースト140を電極120の表面上に塗布した後は、加熱により接合ペースト140を溶融し、その後冷却する。冷却後には、洗浄によりフラックス残渣を除去する。接合ペースト塗布工程により、電極120上にLEDチップが実装可能な状態となる。
【0076】
図11は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の実装工程の一例を示した図である。実装工程においては、ウエハーから個片化されたLEDチップ150をプリント配線板110に実装する。なお、LEDチップ150は発光素子の一例であり、発光可能な素子であれば、他の素子が実装されてもよい。本実施形態においては、発光素子としてLEDチップ150を用いた例を挙げて説明する。
【0077】
LEDチップ150は、フェイスダウンでプリント配線板110に実装される。つまり、LEDチップの端子(又は電極)が下面に配置され、ボンディングワイヤを用いることなく、接合ペースト140を介して電極120に直接接合される。かかるフリップチップ実装により、ボンディングワイヤが不要となり、低背化実装が可能となる。
【0078】
なお、LEDチップ150の電極120上への実装は、通常は、熱圧着工法により行われるが、フリップチップ実装が可能な限り、これに限定されず、種々の実装方法が用いられてよい。なお、熱圧着工法は、加熱しながら圧着ヘッド等を用いてLEDチップ150を基板110(正確には電極120)に圧着する方法である。
【0079】
また、LEDチップ150は、プリント配線板110と反対側の面、図11の例では上面が発光取り出し面となる。つまり、LEDチップ150の端子(又は電極)と反対側の面が発光取り出し面となり、図11の例では、上方に向かって光が放出される。
【0080】
図12は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の封止工程の一例を示した図である。封止工程においては、LEDチップ150を実装したプリント配線板110の実装面上に光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170を供給して封止する。
【0081】
ここで、光波長変換物質は、例えば、青色を発光するLEDチップ150の光を、白色光に変換するのに必要な物質を含んでもよい。例えば光波長変換物質として、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yttrium Aluminum Garnet)を用いると白色光を得ることができる。また、白色光を得るために、光波長変換物質を用いずに光の三原色である赤色・緑色・青色の発光ダイオードのチップを用いて1つの発光源として白色光を得ることもできる。更に白色光以外の色の光もLEDチップの発光色と光波長変換物質の組み合わせにより、様々な色の光を得ることができる。
【0082】
光波長変換物質は、例えば、蛍光体の微粒子を用いてもよい。例えば、シリコーン樹脂170に蛍光体の微粒子を混練させ、蛍光体を含む光はシリコーン樹脂170を構成してもよい。なお、蛍光体の凝集及び分離を防ぐため、透明体の微粒子を蛍光体の微粒子とともにシリコーン樹脂170に混練させてもよい。
【0083】
シリコーン樹脂170は、熱硬化性樹脂であり、硬化した際に透明体を構成することができる。なお、シリコーン樹脂170は一例であり、硬化したときに光を透過する透明体を構成することができれば、他の樹脂を用いてもよい。
【0084】
封止工程は、プリント配線板110の実装面をLEDチップ150も含めて封止することができれば、種々の封止方法により実現されてよいが、以下、封止工程の一例について説明する。
【0085】
例えば、第2の実施形態で説明したように、金型60の下型62に蛍光体を混練させたシリコーン樹脂170を供給する。また、上型61には、封止面、つまりLEDチップ150の実装面を下向きにしてプリント基板110を設置する。
【0086】
この状態で金型60を閉じ、圧力を加えるともに加熱し、シリコーン樹脂170をキュア(硬化)する。この時のキュア(硬化)は、ハードニング(本硬化)までさせない範囲のキュア(硬化)であり、シリコーン樹脂170を固体化させるが、ハードニング(本硬化)まではさせないキュア(硬化)である。好ましくは、50~65%程度の硬化率でシリコーン樹脂170をキュア(硬化)させる。
【0087】
図13は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の透明樹脂コーティング工程の一例を示した図である。透明樹脂コーティング工程においては、蛍光体が混練されたシリコーン樹脂170の上面をシリコーン樹脂180で覆う。図13に示されるように、プリント配線板110が下部、光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170が上部に位置する配置とすると、光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170の上面が露出面となる。そこで、光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170の上面を、光波長変換物質を含まないシリコーン樹脂180で覆う。上述のように、シリコーン樹脂180は、熱硬化したときに光を透過させる透明体を構成する樹脂であり、そのような性質を有する樹脂であれば、シリコーン樹脂180以外の樹脂を用いてもよい。また、シリコーン樹脂180は、プリント配線板110と光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170と全く同一の樹脂(同一製品)を用いてもよいし、異なる樹脂(異なる製品)を用いてもよい。
【0088】
なお、シリコーン樹脂180は、光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170を保護する役割を有する。つまり、露出した光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170を覆い、光を遮ることなく光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170の露出面を保護する。
【0089】
シリコーン樹脂180の形成方法は特に限定されないが、例えば、第2の実施形態で説明したように、金型60を開き、下型62にシリコーン樹脂180を供給し、金型60を閉じてから、シリコーン樹脂170及びシリコーン樹脂180を本硬化させない範囲で、かつシリコーン樹脂180を固体化するレベルまでキュア(硬化)させるようにしてもよい。これにより、シリコーン樹脂170とシリコーン樹脂180が一体的に成形される。
【0090】
なお、シリコーン樹脂170とシリコーン樹脂180は、必ずしも同じ構造、製品を用いる必要は無いが、同じ系の樹脂であるから、硬化率曲線は同一又は類似した特性を示すと考えられるので、同一のキュア(硬化)を行えば、シリコーン樹脂170、180の硬化状態は正確に把握できる。
【0091】
図13に示される通り、LEDチップ150から放出された光は、光波長変換物質を含むシリコーン樹脂170及び光波長変換物質を含まないシリコーン樹脂80を透過して上方に出射されることになる。
【0092】
図14は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の溝形成工程の一例を示した図である。溝形成工程においては、シリコーン樹脂180の上面からシリコーン樹脂170を貫通してプリント配線板110にまで到達する溝190を形成する。溝190は、プリント配線板110を貫通しないが、プリント配線板110にも溝190が形成される深さで形成され、溝190の底面191がプリント配線板110内に形成される。なお、このようなプリント配線板110(基板)の途中まで溝190を形成することをハーフカットとも呼ぶので、本工程をハーフカット工程と呼んでもよい。
【0093】
なお、溝190が形成される限り、溝の形成方法に特に限定は無いが、溝形成工程を実施する際には、金型60からプリント配線板110を取り外して行うのが一般的である。
【0094】
溝190は、LEDチップ150を囲むように形成される。LEDチップが複数個実装されている場合は、LEDチップ間の領域を除いてLEDチップを囲むように溝190を形成する。溝190は、後述する個片化された光学モジュール150の外周近傍に形成される。図14においては、1方向の断面しか示されていないが、図14の切断方向と垂直な方向においても両端に溝190が形成されている。つまり、LEDチップ150を長方形で囲むように溝190が形成され、長方形の枠を形成するように溝190が形成される。なお、LEDチップ150を丸く囲みたい場合には、円形の溝190をLEDチップ150の周囲に形成すればよい。以下の例においては、プリント配線板110が長方形の平面形状を有し、プリント配線板110の外形に沿って、LEDチップ150を長方形の枠で囲むように溝190を形成した例について説明する。
【0095】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の光反射樹脂封止工程の一例を示した図である。光反射樹脂封止工程においては、溝190に光反射性物質を含む樹脂を充填する。光反射性物質を含む樹脂は、種々の樹脂から選択されてよいが、本実施形態においては、白樹脂200を光反射性樹脂として用いた例を挙げて説明する。白樹脂200は、光反射性物質を含んでいるので、光反射性樹脂として好適に使用可能である。溝190に充填された白樹脂200は、光学モジュールのリフレクタを構成する。
【0096】
白樹脂200の形成方法は特に限定は無いが、例えば、第2の実施形態で説明したように、シリコーン樹脂180が下向きとなるように上型61にプリント配線板110を設置し、下型62に白樹脂200を供給し、金型60を閉じて圧力を加えるとともに加熱するコンプレッションモールド法を用いてもよい。
【0097】
ここで、白樹脂200は、ハードニング(本硬化)までしない範囲でキュア(硬化)する。より詳細には、白樹脂200が固体化して成形されるが、ハードニング(本硬化)までは到達しない範囲でキュア(硬化)させる。その硬化率は、50~95%の範囲としてよいが、例えば、50~65%の範囲内の硬化率でキュア(硬化)するようにしてもよい。
【0098】
また、白樹脂200は、シリコーン樹脂170、180とは硬化率特性が異なると考えられるので、白樹脂200の硬化率特性を考慮して硬化を行う。
【0099】
なお、溝190は、プリント配線板110まで到達してハーフカットされているので、白樹脂200と溝190との密着性を高めることができる。即ち、白樹脂200がプリント配線板110の厚さ方向の途中まで到達しているので、杭を地面に打ち込んだのと類似した状態とすることができ、更に白樹脂200の接触面積も増加させることができるので、高い密着性を実現することができる。
【0100】
なお、白樹脂200を溝190に充填する際、溝190のみならず、シリコーン樹脂180の上面をも白樹脂200で覆ってもよい。溝190にのみ白樹脂200を充填するのは通常は困難なので、シリコーン樹脂180の上面も含めて白樹脂200で封止してよい。
【0101】
このように、一旦金型60を用いて白樹脂200を形成したら、プリント配線板110を金型60から取り外し、ハードニング(本硬化)を行う。ハードニング(本硬化)では、所定の時間、所定の熱を加え、シリコーン樹脂170、180及び白樹脂200を総てハードニング(本硬化)させる。具体的には、シリコーン樹脂170、180及び白樹脂200の硬化率が95%を超え、96~99%にまで到達するように加熱する。ここで、99%は、上限という意味ではなく、100%の硬化率を目指してハードニング(本硬化)させても、現実的には99%以下に収まる場合が多いので例示している意図であり、理想的には100%であってもよく、好条件であれば99.99%であってもよい。
【0102】
かかるハードニング(本硬化)を行うことにより、シリコーン樹脂170、180及び白樹脂200が一体化された状態で形成され、全体として柔軟性及び伸展性に富んだ光学モジュールとなる。なお、図示の便宜上、境界線は明確に示されているが、シリコーン樹脂170、180及び白樹脂200間の境界線は薄れる。
【0103】
図16は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法の表面研削工程の一例を示した図である。表面研削工程においては、シリコーン樹脂180が露出するまで上面を研削する。これにより、不要な白樹脂200が除去され、透明体(シリコーン樹脂180)からなる光学モジュールの発光面が形成される。なお、表面研削は、種々の方法により行われてよいが、例えば、グラインド研削により上面の白樹脂200を研削してもよい。
【0104】
図17は、本発明の第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法のモジュール個片化工程の一例を示した図である。モジュール個片化工程においては、白樹脂200の一部を残すように、溝190に沿ってダイシングを行い、光学モジュールを個片化する。白樹脂200の一部を残すことにより、個片化された光学モジュールの外周側面が白樹脂200で覆われ、外周側面にリフレクタが形成された状態となるからである。これにより、LEDチップ150で発光した光のうち、側面方向に放射する光を内側に反射させ、効率良く上方に向けて光を出射させることができる。なお、モジュール個片化工程の終了により、個片化された光学モジュール250が完成する。個片化した光学モジュール250は、LEDチップ150を含むプリント配線板110の上面を封止する樹脂170、180、200が一体化されて柔軟性を有するので、光学モジュール250全体としても柔軟性が向上し、ストレス等に強い耐久性の高い光学モジュール250となる。
【0105】
このように、第4の実施形態に係る光学モジュールの製造方法によれば、プリント配線板110のLEDチップ150が実装された実装面を封止る樹脂170、180、200が一体化され、高い柔軟性及び伸展性を有するため、耐久性の高い強靭な光学モジュール250として構成することができる。
【0106】
なお、ハードニング(本硬化)工程は、図15の段階ではなく、図16の段階で行っても良い。総ての樹脂170、180、200が成形された後であって、図17のダイシングを行う前であれば、任意のタイミングでハードニング(本硬化)工程を行うことができる。
【0107】
[第5の実施形態]
図18は、光学アレイ260及びバックライトユニット270に第4の実施形態に係る光学モジュール250を適用した例を示した図である。図18(a)は、個片化した光学モジュール250を配列して光学アレイ260を構成し、これをバックライトユニット270に組み込んだ全体構成の一例を示した図であり、図18(b)は、バックライトユニット270に組み込まれた光学アレイ光学260を取り出した図である。
【0108】
図18(a)に示されるように、バックライトユニット270の長手方向における一端に、バックライトユニット270の外形の1つの短辺に沿うように光学アレイ260は設けられる。発光面は、バックライトユニット270の面に沿った横向きとなる。以下、光学アレイ260の種々の態様について説明する。
【0109】
図19は、第1の態様に係る光学アレイ261を示した図である。第1の態様に係る光学アレイ261は、一般的な光学アレイの態様を示している。このように、一般的には、光学アレイ261の長手方向に沿って個片化された光学モジュール250が配置される。なお、図11乃至17には、2個のLEDチップ150が搭載された光学モジュール250を示したが、光学モジュール250に搭載されるLEDチップ250は、1個でもよいし、もっと多くの数でもよい。一般的には、2個だけではなく、もっと多くのLEDチップ150が個片化された光学モジュール250に搭載される。
【0110】
なお、光学アレイ261には、LEDチップ250の裏面の電極130と導通するための電極135が配置される。光学アレイ261の内部には、配線が形成され、複数配置されたLEDチップ250を統合して配線する構成となっている。以下の例において、電極135は、その存在を符号とともに示すが、その説明は省略する。
【0111】
図20は、第2の態様に係る光学アレイ262を示した図である。第2の態様に係る光学アレイ262は、光学アレイ261の幅方向に複数列の光学モジュール250が配列された構成を有する。具体的には、3個の光学モジュール250が光学アレイ262の幅方向に配列されている。このように、光学モジュール250の耐久性を向上させることにより、光学アレイ262に応力が加わった場合でも、光学モジュール250が破損するおそれが少ないので、自由な光学モジュール250の配置をすることができる。
【0112】
図21は、第3の態様に係る光学アレイ263を示した図である。第3の態様に係る光学アレイ263は、幅方向に3列配置された光学モジュール250の中央の列を端の2列に対して長手方向においてずらした配置構成を有する。例えば、このような交互の配置であってもよい。
【0113】
図22は、第4の態様に係る光学アレイ264を示した図である。第4の態様に係る光学アレイ264は、光学アレイ264の幅方向に光学モジュール250を延在させるように配置している。つまり、光学モジュール250の長手方向と光学アレイ264の長手方向が直角に交わるような配置としている。
【0114】
図23は、第5の態様に係る光学アレイ265を示した図である。第5の態様に係る光学アレイ265は、縦、横、斜めという種々の配置を組み合わせて光学モジュール250を配置している。このように、種々の配置であっても、光学モジュール250が柔軟であるため、種々の方向からの応力に対応することができ、何ら問題無く光学アレイ265を構成することができる。
【0115】
図24は、第6の態様に係る光学アレイ266を示した図である。第6の態様に係る光学アレイ266は、光学モジュール250をジグザグに配置した構成を示した図である。光学アレイ266は、例えば、このような配置であってもよい。
【0116】
図25は、第7の態様に係る光学アレイ267を示した図である。第7の態様に係る光学アレイ267は、光学アレイ267を円弧状に形成し、光学モジュール250を、光学アレイ267の半径方向に沿って全体としては放射状に配置した構成を有する。光学アレイ266は、例えば、このような配置であってもよい。
【0117】
図26は、第8の態様に係る光学アレイ268を示した図である。第8の態様に係る光学アレイ268は、光学アレイ268を円弧状に形成し、光学モジュール250を、光学アレイ268の周方向に沿って、全体としては円弧状に配置した構成を有する。光学アレイ268は、例えば、このような配置であってもよい。
【0118】
[実施例]
次に、第2の実施形態に係るモジュールの製造方法を実施した実施例について説明する。第2の実施形態と同様に、蛍光体シート81を1層目にハードニング(本硬化)させない範囲で形成し、バリアシート91を2層目にハードニング(本硬化)しない範囲で形成し、最後にハードニング(本硬化)してバリア層付蛍光体シート100を形成した。蛍光体シートに用いる光透過性樹脂80と、バリアシート91に用いる光透過性樹脂90は、同じ系のシリコーン樹脂とした。一方、比較例においては、蛍光体シート82のみを形成し、最初から本硬化した。樹脂は、実施例の光透過性樹脂80と同様にシリコーン樹脂とした。
【0119】
図27は、実施例に用いた光透過性樹脂80、つまりシリコーン樹脂の硬化率特性を示した図である。図27において、120℃の硬化率特性に従い、加熱温度を120℃に設定して実施例及び比較例を実施した。
【0120】
図28は、実施例及び比較例に係るモジュールの製造方法により製造されたモジュールの曲げ耐性試験の結果を示した図である。実施例に係るバリア層付蛍光体シート及び比較例に係る蛍光体シートを、円弧を形成するように曲げ、破損の発生率を調べた。なお、シートの5点について測定を行った。
【0121】
図28に示されるように、曲げ直径を80mm~3mmに変化させて破損発生率を調べたが、80mm~3mmの総ての直径において、実施例に係るバリア層付蛍光体シートは破損発生率がゼロであった。
【0122】
一方、比較例に係る蛍光体シートは、曲げ直径が80mmの場合には、破損発生率はゼロであったが、50mm以下となると、総て発生率は100%となり、破損が発生した。これは、柔軟性が小さ過ぎるため、変形的な応力が加わると、割れが発生してしまうからである。
【0123】
これと比較して、実施例に係るバリア層付蛍光体シートは、柔軟性を有するため、曲げられても破損せず、曲げられたまま形状を維持できるからである。
【0124】
このように、本実施例によれば、本実施形態に係るモジュールの製造方法により製造されたモジュールが十分な柔軟性を有し、耐久性を向上できることが示された。
【0125】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施形態及び実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0126】
10 1層目の光透過性樹脂
20 2層目の光透過性樹脂
30 3層目の光透過性樹脂
40 4層目の光透過性樹脂
50 モジュール
60 金型
80、90 光透過性樹脂
81、82 蛍光体シート
91、92 バリアシート
100、101 バリア層付蛍光体シート
110 プリント配線板
150 LEDチップ
170、180 シリコーン樹脂
190 溝
200 白樹脂
250 光学モジュール
260~268 光学アレイ
270 バックライトユニット
図1
図2
図3
図4
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