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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】学習モードを備えたファン装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20220906BHJP
   F24F 11/74 20180101ALI20220906BHJP
【FI】
F04D27/00 101M
F24F11/74
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2016560348
(86)(22)【出願日】2015-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-04-20
(86)【国際出願番号】 US2015023582
(87)【国際公開番号】W WO2015153604
(87)【国際公開日】2015-10-08
【審査請求日】2018-03-08
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】61/972,619
(32)【優先日】2014-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515115943
【氏名又は名称】デルタ ティー,エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Delta T,LLC
【住所又は居所原語表記】2348 Innovation Drive,Lexington,KY 40511 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100079980
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 伸行
(74)【代理人】
【識別番号】100167139
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】デスメット,ジェームズ,エム.
(72)【発明者】
【氏名】リード,アレックス
(72)【発明者】
【氏名】オレソン,リチャード,エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ビショップ,ジェーソン
(72)【発明者】
【氏名】レンサー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】バンクス,デーヴィッド,アール.
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】佐々木 芳枝
【審判官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-263088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0215510(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0225542(US,A1)
【文献】特開2011-122550(JP,A)
【文献】米国特許第5996898(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 27/00
F24F 11/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン、および
第1の周囲環境条件でのファン速度を第1の目的速度として第1のユーザーが設定することで前記ファンが第1動作モードで実質的な動作を行うように制御する制御器を備えており、
この制御器は、前記第1の周囲環境条件の増減変化で第2の周囲環境条件に変わると、この第2の周囲環境条件において、前記ファンが予めプログラミングされた範囲の数値に従って前記第1の目的速度に基づいた第1の設定速度で実質的な動作を行うが、
さらに、前記制御器は第2のユーザーが第2の目的速度として前記第1のユーザーの固有な好みに係わりなく前記第2の周囲環境条件で動作するようにファン速度を設定することで、前記ファンの動作が第2動作モードとして前記ファンを制御する構成を更に含み、
前記制御器は、
(a)前記ファン速度を前記第2の目的速度として前記第2動作モードで実質的に動作させるために前記ファンを制御する構成、
(b)前記第2の周囲環境条件において、前記ファンの前記第2の目的速度に基づいて、前記第1の設定速度とは異なる第2の設定速度として前記第2動作モードで実質的に動作させるために前記ファンを調整する構成、
そして、
前記第1の目的速度から既定されたファン速度に追従するファン動作を変更して、前記第2の目的速度から既定されるファン速度に切り替える構成、
さらに
(c)前記第1および/または第2のユーザーが前記予めプログラミングされた範囲の数値と異なる固有な好みの値を持っていることを、変更された速度および既知の動作条件に基づいて前記制御器が判定する構成、
を備え、
前記第1動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第1速度変化率として、前記第2動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第2速度変化率とすると、前記第1速度変化率と前記第2速度変化率とが異なることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御器は、それぞれが実質的に異なる周囲環境条件に対応する複数の異なる速度で前記ファンを動作させる請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記制御器が、前記ファンの前記第1の目的速度に基づいて複数の周囲環境条件で複数のファン速度を与える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ファン、および
ファン速度としてユーザーによって設定される第1の目的速度に基づいて、複数の異なる周囲環境条件のそれぞれに対応する予め設定された値に従った第1動作モードのファン速度を第1の設定速度として調節する構成の制御器を有しており、
さらに前記制御器は、前記ユーザーがファン速度として第2の目的速度を定めると、この第2の目的速度に基づいた第2動作モードで前記ファン速度が調整される構成を含み、
そして、前記第2動作モードにおいて、前記制御器は、
(a)前記ファン速度を前記第2の目的速度として実質的に動作させるために前記ファンを制御する構成、
(b)前記異なる周囲環境条件において、前記第1の設定速度とは異なる第2の設定速度として実質的に動作させるために前記ファンを調整する構成、
(c)前記ユーザーが前記の予め設定された値と異なる固有な好みの値を持っていることを、変更された速度および既知の動作条件に基づいて前記制御器が判定する構成、
を備え、
前記第1動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第1速度変化率として、前記第2動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第2速度変化率とすると、前記第1速度変化率と前記第2速度変化率とが異なることを特徴とする装置。
【請求項5】
前記周囲環境条件が温度および/または湿度を含む請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記制御器が、特定の周囲環境条件で前記ファンを自動的に付勢および脱付勢する請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ファンを室内に設置し、室内に空気の流れを作り出し、前記周囲環境条件がこの室内の温度である請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
さらに、一つかそれ以上の前記周囲環境条件を検知するセンサーを有する請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記センサーが前記ファンから離間している請求項8に記載の装置。
【請求項10】
さらに、前記ファンと無線交信する遠隔制御装置を有し、この遠隔制御装置が前記ファン速度を前記第1の目的速度に設定する請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ファンがオーバーヘッド型ファンを有する請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ファンが複数のファンブレードを有する請求項1~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
ファンの動作方法において
第一ユーザーの目的とする第1ファン速度を入力するためにユーザー入力を提供し、
下記(a)および(b)に従って、第1動作モードで前記ファンが動作して、
(a)第1の周囲環境条件で前記第一ユーザーの目的とする前記第1ファン速度において前記ファンを制御し、そして
(b)前記第1の周囲環境条件に応じた前記第一ユーザーの目的とする前記第1ファン速度に基づいて、予めプログラミングされた範囲の数値に従って第2の周囲環境条件に対応する第2ファン速度で前記ファンを制御し、
下記(c)および(d)に従って、前記第2の周囲環境条件で第二ユーザーの目的とする第二ファン速度になる第2動作モードに前記ファンの動作を変更して、
(c)第2の周囲環境条件に特定して、前記第二ユーザーの目的とする前記第二ファン速度に前記ファンを調節し、
(d)ユーザーが前記の予めプログラミングされた範囲の数値と異なる固有な好みの値を持っていることを、変更された速度および既知の動作条件に基づいて制御器(14)が判定し、
前記第1動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第1速度変化率として、前記第2動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第2速度変化率とすると、前記第1速度変化率と前記第2速度変化率とが異なることを特徴とするファンの動作方法。
【請求項14】
さらに、前記第1の周囲環境条件で目的とする前記第1ファン速度で前記ファンが動作するように制御するステップ、
および前記第2の周囲環境条件で前記ファンが前記第2ファン速度で動作するように制御するステップを有する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の周囲環境条件が、温度および/または湿度である請求項13に記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記ファンを特定の周囲環境条件で付勢または脱付勢するステップを有する請求項13に記載の方法。
【請求項17】
第1ユーザーが設定する第1の目的ファン速度に基づいて複数の周囲環境条件のそれぞれに応じて第1の予め設定された値に従った第1動作モードのファン速度に調節し、
さらに、第2ユーザーによって設定された第2の目的ファン速度に基づいて前記複数の周囲環境条件のそれぞれに応じた第2の予め設定された値に従った第2動作モードの前記ファン速度に調節するステップを有し、
温度センサー(12)で検出された周囲温度とファン速度との関係を予めプログラミングされた範囲の値で特定するために、予め設定された第1および第2の値が表および/または式の形態で記憶されており、
前記表および/または式の形態で予め設定された範囲の値に従って前記ファン速度が調節されて、
前記第1動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第1速度変化率として、前記第2動作モードにおける周囲環境状態変化に対するファン速度の変化率を第2速度変化率とすると、前記第1速度変化率と前記第2速度変化率とが異なることを特徴とするファン制御方法。
【請求項18】
さらに、前記第1ユーザーによって設定された第二の目的ファン速度に基づいて複数の周囲環境条件のそれぞれに応じた第二の予め設定された値に従って前記ファン速度を調節する請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ファンの制御方法であって、
第1の周囲環境条件に基づいて前記ファンに応じた第1の目的速度を入力するためのユーザー入力装置でユーザー入力の設定を行い、
第2の周囲環境条件に基づいて前記ファンに応じた第2の目的速度を入力するためのユーザー入力装置で前記ユーザー入力の設定を行い、そして
前記第1および第2の周囲環境条件での前記第1および第2の目的速度の両方の速度を基礎にして算入することで第3の周囲環境条件でのファン速度を補間し、前記第3の周囲環境条件に応じたファン速度を決定することを特徴とするファンの制御方法。
【請求項20】
室内におけるオーバーヘッド型ファンの動作を制御する方法において、
ユーザーの入力するユーザー入力があって、前記ファンが設置されている前記室内の第1温度に応じたユーザー選択の第1速度および前記室内の第2温度に応じたユーザー選択の第2速度が、前記ユーザー入力で設定され、そして
前記第1温度において前記第1速度で、かつ前記第2温度において前記第2速度で前記ファンの動作を行い、
さらに、前記ユーザー選択の第1および第2速度に基づいて第3温度における第3速度を決定するステップを有することを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願第61/972,619号の優先権を主張する出願であり、この出願の開示はここに援用するものとする。
【0002】
本発明は全体としてはエアハンドリング技術に関し、具体的には、学習モードの動作機能を備えたファン装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ファン装置の場合、例えばファン装置を設置する空間の温度などの周囲環境条件の一つの尺度を与える温度センサーを組み込んで、ファン装置の動作を制御している。温度は様々な条件によって変化することは無論であるが、ファン装置速度を自動調節し、広い範囲の条件にわたって最大の快適さを確保することが望ましい。ところが、検出された温度やその他の条件に基づくファン装置速度の単なる調節は、温度に基づく特定のファン装置速度に対するユーザーの好みを動作中考慮に入れていない。例えば、あるユーザーがある温度で快適と感じるファン装置速度が同じユーザーにとって不快になる時がある。即ち、ロックステップ式(a lock-step fashion)で異なる温度、あるいは異なるユーザー用に調節された時である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】PCT/US2015/20998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、上記問題のいずれか、あるいはすべてに対処できるだけでなく、これまで認識されていない問題に対処できる解決策が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様では、ファン装置は学習モードの動作機能を有する。この学習モードによって、ユーザーが所定の環境条件(例えば温度など)に応じてファン装置の速度などの所望の動作パラメーターを入力でき、条件変更に応じた調節をユーザー入力に基づいて自動的に決定することができる。次に、この条件(例えば異なるユーザーに対する条件など)におけるファン装置パラメーターを初期化中かその後に選択することができ、この条件に対応する所望のファン装置パラメーターを更新することができる。本発明は、ファン装置の動作を制御する制御方法にも関する。
【0007】
一つの具体的な実施態様では、ファン装置は、ファンおよびこのファンを制御する制御装置を有する。この制御装置については、第1の周囲環境条件に応じてユーザーが選択した第1の目的ファン速度において実質的に動作するようにファン装置を制御し、そしてさらに、第2の周囲環境条件に対応して第1の上記ファン速度において実質的に動作するようにファンを制御するように構成する。
【0008】
この実施態様において、あるいは他の実施態様においも、制御装置は、それぞれが実質的に異なる周囲環境条件に対応する複数の速度でファンを回すように動作するようになっている。また、ユーザー入力装置については、第2の目的ファン速度を入力し、この場合制御装置は、(a)ファンが実質的に第2の目的ファン速度で動作するようにファンを制御し、そして(b)ファンが異なる周囲環境条件において第1設定速度とは異なる第2の設定速度で動作するようにファンを調整する。
【0009】
制御装置は、第1の目的ファン速度に基づいて複数の周囲環境条件で複数のファン速度を与えることができる。周囲環境条件は、温度および/または湿度であればよい。この場合制御装置については、特定の周囲環境条件においてファンを自動的に付勢かつ脱付勢するように(活性化させたり不活性化させたりするように)構成することができる。
【0010】
ファン装置は、空気流が発生する室内に設置することができ、周囲環境条件は室内で検知される温度である。周囲環境条件を検知するために、ファン装置から離間した位置(例えば室内の壁、床などの位置)を始めとする位置にセンサーを設置することができる。ファンと無線連絡する遠隔制御装置によって、ユーザーは制御装置に入力してファンを制御することができる。
【0011】
本発明のさらに別な態様は、ファン、およびユーザーが設定する第1の目的ファン速度に基づいて複数の異なる周囲環境条件それぞれに対応する設定値に従ってファン速度を調節するようになった制御装置を有するファン装置に関する。ユーザーは、第2の目的ファン速度を入力するように構成されたユーザー入力装置によって目的にファン速度を設定することができ、制御装置は(a)ファンが実質的に第2の目的ファン速度で動作するようにファンを制御し、そして(b)ファンが異なる周囲環境条件において第1設定速度とは異なる第2の設定速度で実質的に動作するようにファンを調整する。
【0012】
周囲環境条件は温度および/または湿度とすることができる。制御装置については、特定の検出周囲環境条件でファンを自動的に付勢/脱付勢(活性化・不活性化)するように構成してもよい。ファンは、空気の流れを作り出す室内に設置してもよく、周囲環境条件は室内で検知された温度である。センサーはファンから離間設置でき、ファンと無線交信する遠隔制御装置を使用して、制御装置にユーザーが入力することができる。
【0013】
また、本発明はファンの動作方法にも関する。この方法の場合、第1周囲環境条件に応じた第1の目的ファン速度を設定し、この第1周囲環境条件に応じた第1の目的ファン速度に基づいて第2周囲環境条件に対応する第2ファン速度を設定する。この方法は、さらに、第2周囲環境条件が存在する場合にファンを実質的に第2速度で動作させるステップを有する。
【0014】
本発明方法は、(a)第1周囲環境条件においてファンが第1の目的ファン速度で動作するように制御を行うステップ、そして(b)第2周囲環境条件においてファンが第2ファン速度で動作するように制御を行うステップを有するものでもある。さらに、この方法では、ユーザー入力装置によって第3の目的ファン速度を設定、そして(a)実質的にこの第3の目的ファン速度においてファンが動作するように制御を行うとともに、(b)第3の目的ファン速度に基づいて、第2の周囲環境条件において第4の設定速度でファンが動作するように調節を行う。上記周囲環境条件は温度および/または湿度とすることができ、この場合本発明方法は、特定の周囲環境条件でファンを付勢または脱付勢(活性化又は不活性化)(activating or deactivating)するステップを有する。
【0015】
本発明のさらに別な態様は、ファンの制御方法に関する。この本発明方法では、第1ユーザーが設定する第1の目的のファン速度に基づいて、複数の異なる周囲環境条件のそれぞれに応じた第1の所定値に従ってファン速度を調整する。この方法は、さらに、第1ユーザーが設定する第2の目的のファン速度に基づいて、複数の異なる周囲環境条件のそれぞれに応じた第2の所定値に従ってファン速度を調整するステップを有する。さらに、本発明方法は、第2ユーザーが設定する第2の目的のファン速度に基づいて、複数の異なる周囲環境条件のそれぞれに応じた第2の所定値に従ってファン速度を調整するステップを有する。
【0016】
本発明のさらに別な態様は、ファンの制御方法に関する。この方法は、ユーザー入力装置を使用して、第1周囲環境条件に基づいてファンの第1の目的速度を入力し、ユーザー入力装置を使用して、第2周囲環境条件に基づいてファンの第2の目的速度を入力し、そして第1および第2の周囲環境条件における第1および第2の目的速度に基づくなどの第3の周囲環境条件に応じてファン速度を設定する。
【0017】
上記方法では、さらに、第1ユーザー装置によってユーザー入力を設定して、ファンを使用する。この方法は、さらに、ファンを使用する第1ユーザーまたはファンを使用する第2ユーザーによってユーザー入力を設定するステップを有する。
【0018】
本発明は、ファン速度の制御方法にも関する。この方法では、ユーザー入力装置を使用して、第1ユーザーが、第1周囲環境条件に基づいて、ファンの第1の目的速度を入力し、ユーザー入力装置を使用して、第2ユーザーが、第2の周囲環境条件においてファンの第2の目的速度を入力し、そして第1および第2の周囲環境条件(実質的に同じ条件であってもよい)において第1および第2の目的の速度に基づくなどの第3の周囲環境条件に応じたファン速度を設定する。第1ユーザーは、時間的に第2ユーザーが第2の目的速度を入力する前に第1の目的速度を入力する。
【0019】
本発明は、ある空間におけるファンの動作を制御する方法にも関する。この方法では、ファンが設置された空間の第1温度に応じたユーザー選択第1速度およびこの空間の第2温度に応じたユーザー選択第2速度を設定する。この方法では、さらに、第1温度における第1速度および第2温度における第2速度でファン速度を操作する。この方法は、さらに、ユーザー選択第1および第2の速度に基づいて第3温度における第3速度を設定するステップを有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】学習モードの動作機能を実施する制御装置を備えたファン装置を示す概略図である。
図2】学習モードの動作機能の一態様を示す特性図である。
図3】学習モードの動作機能の他の一態様を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明のファン装置10の一つの想定される実施例を示す概略図である図1を参照して説明する。ファン装置10は、対応するモーターによって動作する複数のブレードを有する天井用ファンなどのファンを有し、このファンとして任意のファンを使用することができる。
【0022】
ファン装置10は、ファン位置か、あるいはファンそれ自体から離間した位置(即ち、ファンが位置している正確な位置ではない位置、あるいはファンそれ自体10の一部内の位置ではない位置)のいずれかにおいて周囲環境状態を検出する少なくとも一つのセンサー12を有する。例えばセンサー12としては、ファン10の一部を構成する温度センサーであればよく、あるいは遠隔温度を検出するセンサー(例えばPIRセンサー;国際特許出願No.PCT/US2015/20998に記載のセンサー、この公報の開示は本明細書に援用するものとする)を有するものでもよい。検出された温度を制御装置14が使用して、ファン10を制御すればよい。例えば、ファン10を付勢(活性化)あるいは脱付勢(不活性化)してもよく、あるいはファン10の方向を変更してもよく、もしくはファン10の動作速度を調節してもよい。
【0023】
本発明の一つの態様では、学習モード動作時にユーザーがファン速度を入力するためにユーザー入力装置16を設ける(これは、ユーザー入力とは無関係に目的速度に対してファン速度を調節する自動モードとは対照的である)。入力装置16としては、有線式または無線式の遠隔装置であればよい。一例として、入力装置16にはユーザー専用入力装置の形態を取る、スマートフォンやコンピュータなどの遠隔入力装置を挙げることができ、これは対応するソフトで動作し、目的値を認識可能な形でファン制御装置14に交信する。
【0024】
学習モードの場合、ユーザーが入力した速度(例えば、図2における速度A)は、ユーザー入力装置に対応する検出された温度(例えば72゜F)とともに、メモリ18に記録され、かつ記憶される。この記録は、インストール後のファン10の初期化時に行ってもよく、あるいは入力装置16を介してユーザーが学習モード動作を選択する時点で行ってもよい。
【0025】
所定の温度に対応してユーザー選択速度に基づいて、制御装置14が、初期値からの温度の増減に基づいてファン10の動作を調節する。例えば、温度が増減した場合、これに応じてファン10を制御すればよい(上昇温度76゜Fおよび対応する速度上昇については点Bを参照)。この調節は、図2に直線20で示すように、予めプログラミングされた範囲の数値に従って行えばよい。予めプログラミングされた数値は、任意の形態(表、式など)でメモリ18に記憶されているASHRAE55基準に従って、あるいは以前に得られたデータ、例えば具体的なファンまたは周囲環境において得られた想定経験値データを使用して得られた値に基づいて得たものであればよい。理解しやすくするために、図2においてこれら数値を線形的に示すが、採用するアプローチに応じて非線形であってもよい。ファン速度値についても、予め設定された速度に相関する整数として(例えば、速度1は10rpm、速度2は30rpmなど)示すが、これは例示のみを目的とするもので、速度は、使用するファンモーターの感度に応じて、所定の範囲内で任意に調節可能である。
【0026】
その後、(初期設定を行ったユーザーとは異なるユーザーであってもよい)ユーザーが、例えば入力装置16などを使用して、ファン速度を変更された速度(例えば点C)に調節することができる。この初期設定後の選択を行う場合には、制御装置14が変更された速度(例えば点C)を検知された温度(例えば76゜F)などの条件に対応付ける。変更された速度および既知の動作条件に基づいて、制御装置14が、ユーザーが予めプログラミングされた値とは異なる特に好ましい値をもっているかを判定すればよい。即ち、制御装置14は対応する条件に応じて速度値を調節でき、従って図2の破線22で示すように、新しいモードの動作を生成することができる。
【0027】
同様に、前回の調節とは異なり、かつその後で調節をユーザーが行う場合には、これに応じて制御装置14が応答すればよい。例えば、検出された温度に応じて異なる速度が選択された場合(76゜Fに対する点D)には、(この場合、直線20によって示される元の速度値に対応するように)速度値を調節すればよい。但し、理解できるように、この場合にも、所定の温度に応じて前回使用された速度選択とは異なる速度選択に応じて新しいセットの値を生成できる。
【0028】
さらに理解できるように、上記の調節は、ファン装置10の特定のユーザーあるいは異なるユーザーによって行うことができる。異なるユーザーが後の時期に調節を行い、初期のユーザーに戻って異なる調節を行う場合、ファン装置10は制御装置14によって再度この違いを学習し、対応する調節を行えばよい。このように、温度に対するファン速度は、学習モードの動作時にユーザーに固有な好みに基づいて連続的に調節かつ更新することができる。
【0029】
初期設定時、ユーザーに所定温度に応じて目的の速度を設定し、次に異なる温度(例えば図2の値A)に基づいて異なる速度を設定するように指示することも可能である。例えば、ユーザーを促して、ファンが設置されちる空間の温度を調節し、次にこの調節された温度(例えば図2の値D)に基づいて目的のレベルにファン速度を調節することが可能である。この場合、制御装置14は、入力されたデータを使用して補間を行い、温度値(例えば、74゜Fに対応する直線20および値B)に基づいて所定範囲の速度を与えればよく、次に学習モード動作が選択されている間、検出された温度に基づくファン速度に以降の調節を通して変更することができる。初期設定時の代わりに、この第2の値は、検出された温度がユーザーによって確認された時点で検知された温度とは異なる時点での動作時の目的の速度に関して促すだけで得ることができる。
【0030】
図3を参照して、本発明のさらに別な態様を説明する。この態様では、ユーザーは、周囲環境条件(例えば図3の点A)などの所定条件に応じて初期設定点の速度を選択する。次に、ファン装置10が上記実施態様に従って動作し、検出された条件変化に基づいて速度を調節する。ユーザーが選択した第2速度を入力した時点では、この初期条件に変化はなく、むしろ新しい条件におけるユーザー選択を認識できるに過ぎない(例えば図3の点B)。次に、(補間などの)計算を行って、条件に基づく速度の付加的な値を決定することができる。さらに調節を行うと(例えば点CおよびD)、同じように計算を調節することができる。
【0031】
以上温度のみを使用する態様を説明してきたが、湿度などの別な周囲環境条件を使用して同じアプローチを取ることも可能である。即ち、湿度センサーによって検知した湿度に基づいてファンの速度を制御することも可能である。また、温度および湿度の両方に基づいて速度を調節すること可能であることは無論である。実際、以下の式によって求められる熱指数に基づいて調節を行ってもよい。
熱指数=-42.379+2.04901523T+10.14333127R-0.22475541TR-6.83783×10-3-5.481717×10-2+1・22874×10-3R+8.5282×10-4TR-1.99×10-6(式中Tは空気温度(゜F)、そしてRは相対湿度(%)である)。
従って、ファン速度のユーザーの初期調節またはその後の調節を、温度測定および湿度測定に基づく具体的な熱指数に対応付けることが可能になる。
【0032】
検出された条件に基づくファン速度という条件は厳密ではなく、実質的に具体的な値と同様な温度を使用して、ファンを実質的に具体的な速度を調節することが可能であるが、必ずしも正確な速度は必要ない。摩擦、電力、摩耗などの変数に基づいてバラツキは10%かそれ以上と考えられ、いずれも所定状況下における正確な動作条件に依存する。
【0033】
以上いくつかの実施態様を図示し、かつ説明してきたが、当業者ならば、本発明の範囲から逸脱することなく一部を適正に変更することによって本発明装置、本発明方法および本発明システムをさらに応用することができるはずである。このような考えられる変更などのいくつかについては、既に説明してきたが、これ以外についても当業者にとって明らかなはずである。例えば、明細書本文に記載した実施例、実施態様、形状構成、材料、寸法、比、工程などは例示であり、必ずしも必要ないものである。従って、本発明の範囲については、特許請求の範囲の記載から判断すべきであり、添付図面に示し、かつ明細書本文に記載した構造および動作の細部に制限されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
10:ファン装置
14:制御装置
16:入力装置
18:メモリ
図1
図2
図3