(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】レーザ加工におけるアライメントマーク検出方法及びレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
H05K 3/00 20060101AFI20220906BHJP
B23K 26/382 20140101ALI20220906BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H05K3/00 N
B23K26/382
B23K26/03
H05K3/00 J
H05K3/00 K
(21)【出願番号】P 2017236671
(22)【出願日】2017-12-11
【審査請求日】2020-09-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000233332
【氏名又は名称】ビアメカニクス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西部 達矢
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】菊地 潤
【審査官】黒田 久美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-176666(JP,A)
【文献】特開2005-140597(JP,A)
【文献】特開2016-068086(JP,A)
【文献】特開2014-178536(JP,A)
【文献】特開2000-165039(JP,A)
【文献】特開平10-256737(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/00
B23K 26/382
B23K 26/03
H05K 3/46
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアライメントマークが当該アライメントマークの上部に形成された層によって覆われている基板をレーザ照射により加工する場合のアライメントマーク検出方法において、
広角CCDカメラを用いて前記基板全体の上面画像を一度に読取り、前記基板の4辺の交点を検出し、前記交点と前記アライメントマークとの位置関係を示す予め用意された相対データに基づいて前記アライメントマークの各々の上部にある層の除去位置を決定する第1ステップと、
当該第1ステップで決定された除去位置の各々にレーザを照射して前記アライメントマークの上部にある層を除去する第2ステップと、
当該第2ステップの後
前記広角CCDカメラよりも高精細なCCDカメラを用いて前記アライメントマークの各々を順番に読取り当該アライメントマークの各々の位置を決定する第3ステップとを備えることを特徴とするアライメントマークの検出方法。
【請求項2】
複数のアライメントマークが形成されている基板をレーザ照射により加工するレーザ加工装置において、
前記基板全体の上面画像を一度に読取る第1カメラであって当該読取り画像に基づいて前記基板の4辺の交点を検出し、前記交点と前記アライメントマークとの位置関係を示す予め用意された相対データに基づいて前記アライメントマークの各々の上部にある層の除去位置を決定するためのものと、
当該除去位置の各々にレーザを照射した後に前記アライメントマークの各々を順番に読取る第2カメラであって当該アライメントマークの各々の位置を決定するためのもの
で前記第1カメラよりも高精細なものとを備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザを使用して基板に加工を行うレーザ加工において、基準マークとなるアライメントマークの検出方法及びそれを行うためのレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザを使用した基板の加工においては、例えば、特許文献1に開示されているように、プリント基板上に設けられた基準マークとなるアライメントマークを予め検出するようになっているが、プリント基板のなかには、アライメントマークが樹脂層等で覆われていて、そのままではアライメントマークを検出できないものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の目的は、レーザ加工において、アライメントマークが樹脂層等で覆われている基板でのアライメントマークの検出を行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なレーザ加工装置は、代表的なアライメントマーク検出方法は、複数のアライメントマークが当該アライメントマークの上部に形成された層によって覆われている基板をレーザ照射により加工する場合のアライメントマーク検出方法において、
広角CCDカメラを用いて前記基板全体の上面画像を一度に読取り、前記基板の4辺の交点を検出し、前記交点と前記アライメントマークとの位置関係を示す予め用意された相対データに基づいて前記アライメントマークの各々の上部にある層の除去位置を決定する第1ステップと、
当該第1ステップで決定された除去位置の各々にレーザを照射して前記アライメントマークの上部にある層を除去する第2ステップと、
当該第2ステップの後前記広角CCDカメラよりも高精細なCCDカメラを用いて前記アライメントマークの各々を順番に読取り当該アライメントマークの各々の位置を決定する第3ステップとを備えることを特徴とする。
【0006】
また、本願において開示される発明のうち、代表的なレーザ加工装置は、複数のアライメントマークが形成されている基板をレーザ照射により加工するレーザ加工装置において、前記基板全体の上面画像を一度に読取る第1カメラであって当該読取り画像に基づいて前記基板の4辺の交点を検出し、前記交点と前記アライメントマークとの位置関係を示す予め用意された相対データに基づいて前記アライメントマークの各々の上部にある層の除去位置を決定するためのものと、当該除去位置にレーザを照射した後に前記アライメントマークの各々を順番に読取る第2カメラであって当該アライメントマークの各々の位置を決定するためのもので前記第1カメラよりも高精細なものとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、レーザ加工において、アライメントマークが樹脂層等で覆われている基板でのアライメントマークの検出が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施例でのアライメントマーク検出動作を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施例となるレーザ加工装置のブロック図である。
【
図3】本発明の一実施例でのアライメントマーク検出動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の一実施例でのアライメントマーク検出動作を説明するための図であり、(a)はプリント基板を上から見た平面図、(b)と(c)は(a)のA-A断面図である。
図1において、プリント基板1は3層構造となっており、ベース層2の上に銅層3があり、その上に樹脂層4がある。5A~5Dはそれぞれプリント基板1の四隅に形成されたアライメントマークであり、この部分の銅層3が除去されることによって形成されている。プリント基板1は四角形となっており、6A~6Dはそれぞれ四角形の辺、7A~7Dはそれぞれ四角形の頂点である。
アライメントマーク5A~5Dは樹脂層4で覆われているので、外側からは検出することはできない。これを検出するためには、検出する前にその周辺上部にある樹脂層4をレーザ照射により除去する必要がある。(b)はアライメントマーク5A~5Dが樹脂層4で覆われている状態での断面図、(c)はアライメントマーク5A~5Dの周辺上部にある樹脂層4を除去した状態での断面図である。
【0010】
図2は本発明の一実施例となるレーザ加工装置のブロック図である。各構成要素や接続線は、主に本実施例を説明するために必要と考えられるものを示してあり、レーザ加工装置として必要な全てを示している訳ではない。
このレーザ加工装置では、加工すべきプリント基板1を載置する加工テーブル12に対し、レーザ照射系13を搭載する加工ユニット14を相対的移動させることにより、プリント基板1に穴あけ加工するようになっている。
加工ユニット14には、プリント基板1の上面を一度に読取るための広角CCDカメラ15と、プリント基板1の四隅に形成されたアライメントマークをそれぞれ一つずつ読取るためのCCDカメラ16が搭載されている。CCDカメラ16は広角CCDカメラ15よりも高精細なものとなっている。
【0011】
17は加工プログラムに基づいて加工テーブル12、レーザ照射系13、広角CCDカメラ15、CCDカメラ16、その他の動作を制御して加工動作を進める全体制御部で、例えばプログラム制御の処理装置を中心にして構成されるものである。全体制御部17の内部には、広角CCDカメラ15やCCDカメラ16で読取った画像データを処理する画像処理部18が設けられている。なお、全体制御部17はここで説明するもの以外の構成要素や制御機能を有しているものする。
【0012】
図3は、本発明の一実施例でのアライメントマーク検出動作のフローチャートである。以下、
図1~
図3を用いて、アライメントマーク検出動作を説明する。
図2のレーザ加工装置は全体制御部17の制御の下で以下のように動作する。
プリント基板1の全体画像を上から広角CCDカメラ15により読取る(
図3におけるステップS1)。画像処理部18はプリント基板1全体の画像データに基づきプリント基板1の各頂点7A~7Dの座標を検出する(
図3におけるステップS2)。この方法は、例えば辺6A~6Dの各々毎に離間した2点を検出して各辺を検出し、これら辺同士の交点座標を求めればよい。
【0013】
各頂点7A~7Dの座標とそれぞれの近くにあるアライメントマーク5A~5Dの各々の座標との相対関係を示す相対データは、装置内に用意されている。従って、各頂点7A~7Dの座標を検出した後、この相対データに基づきアライメントマーク5A~5Dの各々の周辺上部にある樹脂層4にレーザを照射してこの部分を除去する(
図3におけるステップS3)。
プリント基板1の変形や歪みの影響で、前記相対データで決定される座標位置に確実にアライメントマーク5A~5Dが存在するとは限らない。この理由から、樹脂層4の除去部分はアライメントマーク5A~5Dの周辺上部とし、ある程度範囲を広げて行う必要がある。
【0014】
次に、樹脂層4が除去されたアライメントマーク5A~5Dに対し、一つずつ順番にCCDカメラ16を位置合わせし、その画像データを読取り((
図3におけるステップS4)、その座標位置を検出する((
図3におけるステップS5)。この場合も、プリント基板1の変形や歪みの影響で、前記相対データで決定される座標位置に確実にアライメントマーク5A~5Dが存在するとは限らないので、CCDカメラ16はある程度探索範囲を広げてアライメントマークの読取りを行う。
なお、プリント基板1の加工位置を示す座標データは装置内に用意されており、この座標データがプリント基板1の変形や歪みの影響を抑えるためにアライメントマーク5A~5Dの座標位置に基づいて補正されることは良く知られており、ここでは説明を省略する。
【0015】
以上の実施例によれば、アライメントマーク5A~5Dの各々の周辺上部にある樹脂層4の除去位置を、プリント基板1の全体画像を上から広角CCDカメラ15により一度に読取って決定できるので、アライメントマークが樹脂層等で覆われている基板でのアライメントマークの検出を高速に行うことができる。
【0016】
以上、本発明を実施例を主体に説明したが、実施例は本発明を理解しやすくするための例であり、実施例における構成要素を種々置換したり、別の要素を付加することにより、各種の変形が可能である。従って、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0017】
例えば、アライメントマーク5A~5Dの各々の周辺上部の樹脂層4に、当該樹脂層4を除去すべき位置であることを示す除去マークを形成しておき、プリント基板1の全体画像を上から広角CCDカメラ15により一度に読取って除去マークの座標を検出し、当該部分の樹脂層4にレーザを照射してこの部分を除去するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0018】
1:プリント基板 2:ベース層 3:銅層 4:樹脂層
5A~5B:アライメントマーク 6A~6D:辺 7A~7D:頂点
12:加工テーブル 13:レーザ照射系 14:加工ユニット
15:広角CCDカメラ 16:CCDカメラ 17:全体制御部
18:画像処理部