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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】吹出口装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/06 20060101AFI20220906BHJP
   F24F 13/14 20060101ALI20220906BHJP
   F24F 13/065 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F13/14 B
F24F13/065
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017228251
(22)【出願日】2017-11-28
(65)【公開番号】P2019100560
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】390022666
【氏名又は名称】協立エアテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(72)【発明者】
【氏名】矢野 諭
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏治
(72)【発明者】
【氏名】川上 大樹
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 隆侍
(72)【発明者】
【氏名】荒川 芳三
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智清
(72)【発明者】
【氏名】金子 一光
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-094551(JP,A)
【文献】特開平09-089283(JP,A)
【文献】実開平01-175255(JP,U)
【文献】特開2016-084956(JP,A)
【文献】実公平03-045079(JP,Y2)
【文献】特開2008-286456(JP,A)
【文献】特開平08-159544(JP,A)
【文献】登録実用新案第3045940(JP,U)
【文献】特開2013-139962(JP,A)
【文献】実開昭61-181242(JP,U)
【文献】実開平01-106852(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/06
F24F 13/14
F24F 13/065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調空気を吹き出す開口部を有するダクト若しくは壁面に前記開口部と連通した状態で取り付けられる外筒体と、
前記外筒体の内部に、前記外筒体の半径方向と平行な第1支軸を介して回動可能に配置された前記外筒体より小径の環状体と、
前記第1支軸を中心に前記環状体を回動させる第1駆動手段と、
前記環状体の内部に、前記環状体の半径方向と平行であって前記第1支軸と直角をなす第2支軸を介して回動可能に配置された前記環状体より小径の内筒体と、
前記第2支軸を中心に前記内筒体を回動させる第2駆動手段と、を備え、
前記外筒体を前記開口部と連通した状態で前記ダクト若しくは前記壁面に固定するため前記外筒体の基端部の外周にフランジ部を設け、
前記内筒体の基端部の上流側に、前記開口部から吹き出す空調空気を前記内筒体の基端部内へ誘導するベルマウスを設け、
前記ベルマウスの先端部の内径が前記内筒体の基端部の内径より小であって、
前記内筒体の基端部が前記ベルマウスの先端部より空調空気の吹出方向に離れた位置にあり、前記環状体の前記外筒体の軸心方向の長さは前記内筒体の前記軸心方向の長さより小である吹出口装置。
【請求項2】
前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段は、制御手段によって遠隔操作することが可能である請求項1に記載の吹出口装置。
【請求項3】
前記第1駆動手段が前記外筒体と前記環状体との間に配置されたリニアアクチュエータである請求項1または2に記載の吹出口装置。
【請求項4】
前記第2駆動手段が前記環状体と前記内筒体との間に配置されたリニアアクチュエータである請求項1~3の何れかに記載の吹出口装置。
【請求項5】
前記内筒体の先端部が前記外筒体の先端部より空調空気の吹出方向に突出した位置にある請求項1~の何れかに記載の吹出口装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、規模の大きな展示会場やイベント会場などに設けられている大空間空調設備に使用される吹出口装置に関する。
【背景技術】
【0002】
規模の大きな展示会場やイベント会場などに設けられている大空間空調設備においては、会場内に向かって空調空気を吹き出すための大型のノズル(二重ノズル)などの吹出口装置が天井部分や壁面の高い位置に設けられている。このような展示会場やイベント会場などにおいては、カーテン状の展示物が天井から吊下げられたり、映像用のスクリーンが設置されたりすることがあるが、前述した吹出口装置から吹き出す空調空気が展示物やスクリーンに当たり、展示物が揺動したり、映像が乱れたりするなどの問題が生じている。
【0003】
天井や壁面に配置される吹出口装置については、従来、空調空気の吹出方向を変更する機能を有するものが開発されているが、大空間空調の場合、吹出口装置は高所に配置されるので、空調空気の吹出方向を手動操作で変更することは困難である。このため、空調空気の温度によって作動するワックスセンサや形状記憶合金などの感温素子を利用し、自力でノズルの内筒を制御することにより吹出方向を変更する機構を有するものが提案されている。
【0004】
一方、本発明に関連する吹出口装置として、例えば、特許文献1,2に記載された「吹出口装置」がある。
【0005】
特許文献1に記載された「吹出口装置」は、空気調和用の気体を空気調和の対象となる空間へ吹出す略筒状の開口枠体と、一端部が斜めに形成された傾斜端面を有する略円筒体で形成され、開口枠体の開口領域内側で一端部の傾斜端面及び他端部の端面いずれにも平行な回動軸を中心に軸支され、他端部を開口枠体の吹出側端面より所定長さ突出させた状態で傾動自在に配設される中ノズルと、開口枠体及び中ノズルの間に配設され、中ノズルを開口枠体に対し所定角度に傾ける傾動手段とを備え、傾動手段で中ノズルを傾斜させることにより、空気調和の対象となる空間への空気調和用気体の吹出方向を変化させることができる。
【0006】
特許文献2に記載された「吹出口装置」は、略円筒体である吹出口本体の開口部に第1案内ノズルを配設すると共に、第1案内ノズルの開口部にさらに第2案内ノズルを配設し、第1案内ノズルに対する第2案内ノズルの向きを、調和空気の温度に応じて同じ向きから下に傾けた向きまで傾動手段によって調整可能とした上で、第1案内ノズルを第2案内ノズルごと吹出口本体に対し左右に傾動可能として、調和空気の吹出しの向きを左右方向に調整できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】登録実用新案第3045940号公報
【文献】特開2015-94551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
感温素子を利用した風向変更機構を有する吹出口装置は、空調空気の温度を感知して、予め設定された方向に吹出方向を変更する機能を有しているが、必要に応じて吹出方向を任意に調整することは不可能である。また、大空間空調に使用される吹出口装置は大型であるため、感温素子を利用した風向変更機構は、動力及びストロークが足りず、機能を果たさない。
【0009】
一方、特許文献1には「上下方向に傾動する中ノズルに対して案内ノズルを例えば水平方向に傾動させ、気流の吹出方向の自由度を高めてより柔軟な空気調和を行うことができる(段落0024)」と記載されているが、上下方向及び水平方向の両方向に傾動させる具体的な構造は記載されていない。また、特許文献1記載の「吹出口装置」は遠隔操作することができないので、高所に配置される大空間空調設備には不向きである。
【0010】
また、特許文献2記載の「吹出口装置」は、感熱応動部材を利用して第2案内ノズルを上下方向に傾動させるものであるため、上下方向及び水平方向の両方向に任意に傾動させることはできない。また、感熱応動部材を利用した風向変更機構は、大空間空調に使用するには、動力及びストローク不足である。
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、空調空気の吹出方向を上下方向及び左右方向に変更可能であり、大空間空調に好適に使用することができる吹出口装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る吹出口装置は、
空調空気を吹き出す開口部を有するダクト若しくは壁面に前記開口部と連通した状態で取り付けられる外筒体と、
前記外筒体の内部に、前記外筒体の半径方向と平行な第1支軸を介して回動可能に配置された前記外筒体より小径の環状体と、
前記第1支軸を中心に前記環状体を回動させる第1駆動手段と、
前記環状体の内部に、前記環状体の半径方向と平行であって前記第1支軸と直角をなす第2支軸を介して回動可能に配置された前記環状体より小径の内筒体と、
前記第2支軸を中心に前記内筒体を回動させる第2駆動手段と、を備えたことを特徴とする。
ここで、前記ダクトは空調空気を空調対象空間に供給するためのダクトであり、前記壁面は空調対象空間の一部を形成する壁面である。
【0013】
このような構成とすれば、第1駆動手段で環状体を回動させることにより環状体とともに内筒体を第1支軸を中心に回動させることができ、第2駆動手段で内筒体を回動させることにより内筒体を(第1支軸と直角をなす)第2支軸を中心に回動させることができるので、例えば、第1支軸を鉛直方向に設定しておけば、内筒体から吹き出す空調空気の吹出方向を上下方向及び左右方向の両方向に変更可能である。
【0014】
前記吹出口装置において、前記第1駆動手段及び前記第2駆動手段は、制御手段によって遠隔操作することが可能であることが望ましい。
【0015】
このような構成とすれば、制御手段を利用して第1駆動手段及び第2駆動手段を遠隔操作して、空調空気の吹出方向を任意に変更することができるため、吹出口装置が高所に配置される大空間空調においても好適に使用することができる。なお、制御手段は、無線通信や赤外線通信によるリモートコントローラを使用しても良いし、有線接続方式によるものでも良い。
【0016】
前記吹出口装置においては、前記第1駆動手段が前記外筒体と前記環状体との間に配置されたリニアアクチュエータであることが望ましい。また、前記吹出口装置においては、前記第2駆動手段が前記環状体と前記内筒体との間に配置されたリニアアクチュエータであることが望ましい。
【0017】
このような構成とすれば、駆動手段の簡素化、駆動手段の設置スペースのコンパクト化を図りつつ、強力な駆動力を得ることができる。
【0018】
前記吹出口装置においては、前記外筒体を前記ダクト若しくは前記壁面に取り付けるためのフランジ部を備えている
【0019】
このような構成とすれば、ダクト若しくは壁面に対する固定作業を容易化することができ、確実な固定を行うことができる。
【0020】
前記吹出口装置においては、前記ダクト若しくは前記壁面の開口部から吹き出す空調空気を前記内筒体の基端部内へ誘導するベルマウスを備えている
【0021】
このような構成とすれば、空調空気を内筒体内へ効率良く流入させることが可能となり、風向調整機能の向上に有効である。
【0022】
前記吹出口装置においては、前記ベルマウスの先端部の内径が前記内筒体の基端部の内径より小である。
【0023】
このような構成とすれば、空調空気を更に効率良く内筒体へ流入させることが可能となる。
【0024】
前記吹出口装置においては、前記内筒体の先端部が前記外筒体の先端部より空調空気の吹出方向に突出した位置にあることが望ましい。
【0025】
このような構成とすれば、内筒体の先端部から吹き出す空調空気の指向性を高めることができるので、風向調整機能を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、空調空気の吹出方向を上下方向及び左右方向に変更可能であり、大空間空調に好適に使用することができる吹出口装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態である吹出口装置を示す斜視図である。
図2図1中の矢線X方向から見た吹出口装置の正面図である。
図3図1中の矢線Y方向から見た吹出口装置の側面図である。
図4図1中の矢線Z方向から見た吹出口装置の平面図である。
図5図2中のA-A線における断面図である。
図6図2中のB-B線における断面図である。
図7図1中の矢線X方向から見た吹出口装置の正面図である。
図8】本発明のその他の実施形態である吹出口装置を壁に取り付ける前の状態を示す側面図である。
図9図8に示す吹出口装置を壁に取り付けた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図1図9に基づいて、本発明の実施形態である吹出口装置100,200について説明する。
【0029】
初めに、図1図7に基づいて吹出口装置100について説明する。図1図4に示すように、吹出口装置100は、外筒体10と、環状体20と、第1駆動手段1と、内筒体30と、第2駆動手段2と、第1駆動手段1及び第2駆動手段2を遠隔操作する制御手段(図示せず)と、を備えている。環状体20は外筒体10より小径であり、内筒体30は環状体20より小径である。外筒体10の基端部10bの外周にはフランジ13が設けられている。
【0030】
吹出口装置100において、外筒体10は、空調空気を吹き出す開口部Hを有するダクト15に開口部Hと連通した状態で配置され、フランジ13をダクト15の正面にねじ止めすることによって固定されている。環状体20は、外筒体10の内部に、外筒体10の半径方向と平行な第1支軸11を介して回動可能に配置されている。第1駆動手段1は、第1支軸11を中心に環状体20を回動させる機能を有する。内筒体30は、環状体20の内部に、環状体20の半径方向と平行であって第1支軸11と直角をなす第2支軸12を介して回動可能に配置されている。第2駆動手段2は、第2支軸12を中心に内筒体30を回動させる機能を有する。
【0031】
また、第1駆動手段1及び第2駆動手段2を遠隔操作する制御手段(図示せず)を備えている。制御手段は限定されないので、無線通信や赤外線通信によるリモートコントローラを使用することができるが、有線接続方式による制御手段を使用することもできる。
【0032】
図2は、環状体20及び内筒体30の軸心が外筒体10の軸心10cと同軸上にあるときの吹出口装置100の正面図である。図2に示すように、第1支軸11は外筒体10の軸心10cと水平方向に直交する方向に配置され、第2支軸12は、外筒体10の軸心10c周りに第1支軸1と90度変位した位置に軸心10cと鉛直方向に直交する方向に配置されている。
【0033】
第1駆動手段1及び第2駆動手段2は何れもリニアアクチュエータであり、長手方向に伸縮する機能を有する。第1駆動手段1は外筒体10と環状体20との間の最上部分に外筒体10と環状体20とを連接した状態で配置され、第2駆動手段2は環状体20と内筒体30との間であって外筒体10の軸心10c(図2参照)周りに第1駆動手段1から90度変位した位置に環状体20と内筒体30とを連接した状態で配置されている。
【0034】
内筒体30の基端部30bの上流側(ダクト15側)には、ダクト15の開口部Hから吹き出す空調空気を内筒体30の基端部30b内へ誘導するためのベルマウス14を備えている。ベルマウス14の先端部14aの内径は内筒体30の基端部30bの内径より小である。内筒体30の先端部30aは外筒体10の先端部10aより空調空気の吹出方向Dに突出した位置にある。
【0035】
ここで、図5に基づいて、第1駆動手段1の機能について説明する。図5(a)に示すように、第1駆動手段1を収縮させると、環状体20及び内筒体30が第1支軸11を中心に時計回りに回動し、内筒体30の先端部30aが上向き状態となるので、内筒体30内を流動する空調空気は斜め上方に向かって吹き出す。
【0036】
図5(b)に示すように、第1駆動手段1を図5(a)に示す状態より展伸させると環状体20及び内筒体30が第1支軸11を中心に反時計回りに回動し、内筒体30の先端部30aが基端部30bと同じ高さ(内筒体30の軸心が水平状態)となるので、内筒体30内を流動する空調空気は水平方向に向かって吹き出す。
【0037】
図5(c)に示すように、第1駆動手段1を図5(b)に示す状態より展伸させると環状体20及び内筒体30が第1支軸11を中心に図5における反時計回りに回動し、内筒体30の先端部30aが下向き状態となるので、内筒体30内を流動する空調空気は斜め下方に向かって吹き出す。
【0038】
図5(a)~(c)に示すように、第1駆動手段1を伸縮させることにより、環状体20とともに内筒体30が第1支軸11を中心に回動させることができるので、空調空気の吹出方向を上下方向に変更(調整)することができる。
【0039】
次に、図6に基づいて、第2駆動手段2の機能について説明する。図6(a)に示すように、第2駆動手段2を収縮させると、内筒体30が第2支軸12を中心に図6における反時計回りに回動し、内筒体30の先端部30aが左向き状態となるので、内筒体30内を流動する空調空気は斜め左方向に向かって吹き出す。
【0040】
図6(b)に示すように、第2駆動手段2を図6(a)に示す状態より展伸させると内筒体30が第2支軸12を中心に時計回りに回動し、内筒体30の先端部30aと基端部30bとが外筒体10の軸心10c方向に並んだ状態となるので、内筒体30内を流動する空調空気は左右方向の真ん中に向かって吹き出す。
【0041】
図6(c)に示すように、第2駆動手段2を図6(b)に示す状態より展伸させると内筒体30が第2支軸12を中心に時計回りに回動し、内筒体30の先端部30aが右向き状態となるので、内筒体30内を流動する空調空気は斜め右方向に向かって吹き出す。
【0042】
図6(a)~(c)に示すように、第2駆動手段2を伸縮させることにより、内筒体30が第2支軸12を中心に回動させることができるので、空調空気の吹出方向を左右方向に変更(調整)することができる。
【0043】
図5図6に示すように、第1駆動手段1及び第2駆動手段2はそれぞれ独立して機能するので、第1駆動手段1及び第2駆動手段2の伸縮状態を組み合わせることにより、図7(a)~(d)に示すように、吹出口装置100から吹き出す空調空気の吹出方向を任意に変更(調整)することができる。
【0044】
即ち、図7(a)は斜め左上方に向かって空調空気を吹き出す状態を示しており、図7(b)は斜め右上方に向かって空調空気を吹き出す状態を示しており、図7(c)は斜め左下方向に向かって空調空気を吹き出す状態を示しており、図7(d)は斜め右下方向に向かって空調空気を吹き出す状態を示している。
【0045】
このように、吹出口装置100においては、第1駆動手段1で環状体20を回動させることにより環状体20とともに内筒体30を第1支軸11を中心にして回動させることができ、第2駆動手段2で内筒体30を回動させることにより内筒体30を(第1支軸11と直角をなす)第2支軸12を中心にして回動させることができる。従って、図2に示すように、第1支軸11の軸心方向を水平方向に設定しておけば、内筒体30から吹き出す空調空気の吹出方向を上下方向及び左右方向の両方向に変更(調整)することができる。
【0046】
また、遠隔操作可能な制御手段(図示せず)を利用し、第1駆動手段1及び第2駆動手段2を遠隔操作して、空調空気の吹出方向を任意に変更することができるため、吹出口装置100が高所に配置される大空間空調においても好適に使用することができる
【0047】
吹出口装置100においては、第1駆動手段1として外筒体10と環状体20との間にリニアアクチュエータを配置し、第2駆動手段2として、環状体20と内筒体30との間にリニアアクチュエータを配置しているため、駆動手段の簡素化、設置スペースのコンパクト化を図りつつ、強力かつ確実な駆動力を発揮することができる。
【0048】
吹出口装置100は、外筒体10をダクト15に取り付けるためのフランジ13を備えているため、ダクト15に対する固定作業を容易化することができ、確実な固定を行うことができる。
【0049】
吹出口装置100は、ベルマウス14を備えているため、ダクト15の開口部Hから吹き出す空調空気を内筒体30の基端部30bから内筒体30内へ効率良く流入させることができ、風向調整機能の向上に有効である。
【0050】
吹出口装置100においては、ベルマウス14の先端部14aの内径が内筒体30の基端部30bの内径より小であるため、空調空気をさらに効率良く内筒体30内へ流入させることができる
【0051】
図1に示すように、吹出口装置100においては、内筒体30の先端部30aを外筒体10の先端部10aより空調空気の吹出方向Dに突出した位置に設定したことにより、内筒体30の先端部30aから吹き出す空調空気の指向性を高めることができるので、風向調整機能を更に向上させることができる。
【0052】
次に、図8図9に基づいて、本発明のその他の実施形態である吹出口装置200について説明する。図8は吹出口装置200を壁Wに取り付ける前の状態を示す側面図であり、図9図8に示す吹出口装置200を壁Wに取り付けた状態を示す側面図である。なお、吹出口装置200において前述した吹出口装置100と共通する部分については、図8図9中に図1図7中の符号と同符号を付して説明を省略する。
【0053】
図8図9に示すように、吹出口装置200は、外筒体40と、環状体20と、第1駆動手段1と、内筒体30と、第2駆動手段2と、第1駆動手段1及び第2駆動手段2を遠隔操作する制御手段(図示せず)と、を備えている。環状体20は外筒体40より小径であり、内筒体30は環状体20より小径である。
【0054】
外筒体40の軸心方向の長さは内筒体30の軸心方向の長さより小であり、外筒体40の先端部40a、基端部40bから、内筒体30の先端部30a、基端部30bがそれぞれ突出した状態となっている。外筒体40の先端部40aの外周にはフランジ42が設けられている。外筒体40の基端部40b側には、上流側(空調空気の流動方向の上流側)に向かって突出した補助部材41が設けられている。
【0055】
第1駆動手段1は外筒体40と環状体20との間の最上部分に、外筒体40の補助部材41と環状体20とを連接した状態で配置され、第2駆動手段2は環状体20と内筒体30との間であって外筒体10の軸心10c(図2参照)周りに第1駆動手段1から90度変位した位置に環状体20と内筒体30とを連接した状態で配置されている。
【0056】
図8に示すように、空調対象空間に面する壁Wの背面側にダクト15の開口部Hが配置され、壁Wの開口部からダクト15の開口部Hに向かって円筒状のネック16が挿入されている。ネック16の外周と壁Wの開口部W1との隙間には断熱材18が配置されている。ネック16の先端部16aはフランジ状に拡径しており、先端部16aの背面部分の一部は断熱材18の正面部分に当接している。ネック16の内周の軸心方向の中央付近には軸心に向かって補助部材17が突設されている。ネック16の基端部16bにはフランジ16cが設けられ、フランジ16cをダクト15の正面にねじ止めすることによって、ネック16が固定されている。
【0057】
図8図9に示すように、吹出口装置200は、内筒体30の基端部30b側及び外筒体40の基端部40b側を、ネック16の先端部16aから基端部16bに向かって矢線方向に沿って挿入し、外筒体40のフランジ42の背面部分を壁Wの正面部分に当接させた後、ねじ19を外筒体40の先端部40aから矢線方向に沿って挿入し、ねじ19によって外筒体40の基端部40bを補助部材17に取り付けることによって固定される。
【0058】
図3に示す吹出口装置100と同様、吹出口装置200においても、第1駆動手段1で環状体20を回動させることにより環状体20とともに内筒体30を第1支軸11を中心にして回動させることができ、第2駆動手段2で内筒体30を回動させることにより内筒体30を第2支軸12を中心にして回動させることができる。
【0059】
図9に示すように、吹出口装置200は、壁Wとダクト15との間に設けられたネック16内に配置され、吹出口装置200の大部分(外筒体40のフランジ42より上流側に位置する部分)は壁Wの背面側に隠れた状態となるため、壁Wから突出する部材が少ないという長所がある。また、ねじ19を緩めれば、壁Wの正面側から吹出口装置200全体をネック16内から取り出すことができるので、メンテンナンスや修理などを行うときの作業性も良好である。
【0060】
なお、図1図9に基づいて説明した吹出口装置100,200は、本発明に係る吹出口装置の一例を示すものであり、本発明に係る吹出口装置は前述した吹出口装置100,200に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明に係る吹出口装置は、大型の展示場やイベント会場などに配置される大空間空調設備の一部として建設業などの産業分野において広く利用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 第1駆動手段(リニアアクチュエータ)
2 第2駆動手段(リニアアクチュエータ)
10,40 外筒体
10a,14a,16a,30a 先端部
10b,30b,40b 基端部
10c 軸心
11 第1支軸
12 第2支軸
13,42 フランジ
14 ベルマウス
15 ダクト
16 ネック
17,41 補助部材
18 断熱材
19 ねじ
20 環状体
30 内筒体
100,200 吹出口装置
D 吹出方向
H 開口部
W 壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9