(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】回路基板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20220906BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01L23/12 K
H01L21/60 311Q
(21)【出願番号】P 2017229053
(22)【出願日】2017-11-29
【審査請求日】2020-10-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】竹井 涼
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 聡史
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-111419(JP,A)
【文献】特開2011-096819(JP,A)
【文献】特開2016-039181(JP,A)
【文献】特開2008-153376(JP,A)
【文献】特開2005-101031(JP,A)
【文献】特開平05-036754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/447-21/449
H01L21/60 -21/607
H01L23/12 -23/15
H05K 3/32 - 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面上に形成された第1の電極パッドと、
前記基板の前記表面上に形成され、前記第1の電極パッドより大きな実装面を有する第2の電極パッドと、
前記第2
の電極パッドの前記実装面を全域に亘って連続して覆う半田レベラーと、
前記第1の電極パッド上に配置され、第1の高さで上方に突出する第1の半田バンプと、
前記第2の電極パッドの前記実装面の前記半田レベラー上に複数個が配置された第2の半田バンプであって、その各々が第2の高さで上方に突出する複数の第2の半田バンプと、を備え、
前記複数の第2の半田バンプの各々は、前記第1の半田バンプを基準とし、前記第1の半田バンプの形状に相似する形状を有し、且つ前記第1の半田バンプの体積に対して所定の範囲内の体積を有する、回路基板。
【請求項2】
前記第1の半田バンプの前記第1の高さと、前記複数の第2の半田バンプの各々の第2の高さが同一である、請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1の半田バンプは第1のバンプ径を有し、
前記複数の第2の半田バンプのそれぞれは第2のバンプ径を有し、
前記第1のバンプ径と前記第2のバンプ径は同一である、請求項1又は2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記複数の第2の半田バンプは前記第2の電極パッド上でアレイ状に配列される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項5】
前記アレイ状に配列された前記複数の第2の半田バンプは、第1の方向に周期的に配列される間隔と、前記第1の方向と概ね直交する第2の方向に周期的に配列される間隔と、が同一である、請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記第1の半田バンプの形状は、球状又は半球状である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の回路基板。
【請求項7】
第1の電極パッドと、前記第1の電極パッドより大きな実装面を有する第2の電極パッドが形成された基板を準備する準備工程と、
前記第1の電極パッドの表面および前記第2
の電極パッドの前記実装面を全域に亘って連続して覆う半田レベラーを形成する半田レベラー加工工程と、
前記第1の電極パッド上の一箇所に半田クリームを塗布し、前記第2の電極パッドの前記実装面の半田レベラー上の複数箇所に半田クリームを塗布する半田塗布工程と、
前記半田クリームの各々を加熱して、前記第1の電極パッド上に一つの第1の半田バンプを形成し、前記第2の電極パッド上には複数の第2の半田バンプを形成するバンプ形成工程と、を備え、
前記半田塗布工程は、前記複数の第2の半田バンプの各々が前記第1の半田バンプの形状に対して相似の形状を有し、且つ前記第1の半田バンプの体積に対して所定の範囲内の体積を有するように、前記第1の電極パッドに対する半田塗布量を基準として、前記第2の電極パッドに対する半田塗布量を調整する、回路基板の製造方法。
【請求項8】
前記半田塗布工程は、
3つ以上の開口を有するマスクを、前記第1の電極パッド上に一つの前記開口が位置し、前記第2の電極パッド上に複数の前記開口が位置するように配置するマスク配置工程と、
前記マスクの複数の開口を介して、前記半田クリームを印刷する印刷工程と、を備える、請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【請求項9】
前記複数の開口のそれぞれは、円形または楕円形である、請求項8に記載の回路基板の製造方法。
【請求項10】
前記半田塗布工程は、
ディスペンサを、前記基板上から一定の高さを維持して移動させながら、当該ディスペンサの吐出口から前記半田クリームを吐出する吐出工程を備える、請求項7に記載の回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板およびその製造方法に関し、特に実装面の大きさが互いに異なる電極パッド上のそれぞれに形成された半田バンプを有する回路基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各種携帯端末をはじめとする電子機器の小型化が進展している。この小型化への要求に対応するために、搭載される半導体素子や電子コンポーネント等の個々の素子の小型化が推進され、それと共に、それらの素子の小型化に見合った高密度実装技術が求められている。この種の実装技術として、半導体素子や電子コンポーネントを回路機能ごとに個別の回路基板上に集積した電子回路モジュールを、マザーボード等の主回路基板上に実装する技術が採用されている。その一例として、LGA(Land Grid Array)型の一つの回路基板上に必要な半導体素子や電子コンポーネントを集積して実装する技術がある。
【0003】
LGA型の回路基板は、一表面上に半導体素子や電子コンポーネントを搭載し、反対側の他の表面上に他の回路基板等と接続するための多数の電極パッドが配置されている。これらの電極パッドは、例えば、このLGA型の回路基板が実装される主回路基板上に配置されている各電極と半田材料を介して電気的に接続される。そのため、LGA型回路基板の電極パッド上には、あらかじめ半田材料からなる接続層、例えば半田バンプが形成されている。
【0004】
このように、LGA型回路基板は半田材料を介して主回路基板上に直接実装可能であるため、電子回路モジュール回路基板と主回路基板を、コネクタを用いて接続する電子機器と比較すると、電子回路モジュール回路基板の面積の縮小とその高さの低背化を実現できる。
【0005】
例えば、回路基板の電極パッド上に半田材料を形成する技術として、半田クリームを電極パッド上に印刷形成する技術が広く知られている。
【0006】
このような技術では、それぞれの電極パッドの実装形状と同じ形状の開口が形成されたメタルマスクをまず準備し、それらの開口が、各電極パッド上に位置するように回路基板上に重ねられる。続いて、スキージを用いてメタルマスク上の半田クリームを、それらの開口に流し込む。その結果、それぞれの電極パッドの実装面の形状と同じ形状で、メタルマスク厚さと概ね同じ厚さの半田クリームが電極パッド上に印刷される。
【0007】
これら、印刷された半田クリームを加熱処理して、それぞれの電極パッドの実装面全体を覆う半田層が形成される。この種の技術が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、回路機能ごとに同じ回路基板上に集積される半導体素子や電子コンポーネントの形状および大きさは多様であるから、それぞれを接続するための電極パッドの形状および実装面の大きさも多様である。そのため、それら多様な形状および実装面の大きさを有するそれぞれの電極パッド上に良好なコプラナリティ(平坦度)をもって半田材料を形成することが必須となる。
【0010】
上記のように、半田クリームを加熱軟化して半田層を形成すると、半田層は加熱により軟化した状態における表面張力に応じて、表面積が小さく、例えば半球面に近くなるように変形(リフロー)する。そのため、加熱変形後の半田層の最も高い部分の高さは、形成される半田クリームの体積が小さい電極パッド上の半田層に比べて、形成される半田クリームの体積が大きい電極パッド上の半田層の方がより高くなる傾向がある。
【0011】
このような傾向は、多様な形状および実装面の大きさを有する複数の電極パッドが形成された回路基板上に半田バンプを形成するにあたって、コプラナリティを損なう大きな要因となっている。
【0012】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、回路基板上に形成された、形状及び実装面の大きさが互いに異なる複数の電極パッド上に半田バンプを形成するにあたって、それら電極パッドの形状及び実装面の大きさに依存せずに、高さの精度及び均一性が良好であって、優れたコプラナリティを有する複数の半田バンプを備える回路基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様である回路基板は、基板と、前記基板の表面上に形成された第1の電極パッドと、前記基板の前記表面上に形成され、前記第1の電極パッドより大きな実装面を有する第2の電極パッドと、前記第1の電極パッド上に配置され、第1の高さで上方に突出する第1の半田バンプと、前記第2の電極パッド上に配置され、その各々が第2の高さで上方に突出する複数の第2の半田バンプと、を備え、前記複数の第2の半田バンプの各々は、前記第1の半田バンプを基準とし、前記第1の半田バンプの形状に相似する形状を有し、且つ前記第1の半田バンプの体積に対して所定の範囲内の体積を有する。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、上記第1の態様において、前記第1の半田バンプの前記第1の高さと、前記複数の第2の半田バンプの各々の第2の高さが同一である。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、上記第1又は第2の態様において、前記第1の半田バンプは第1のバンプ径を有し、前記複数の第2の半田バンプのそれぞれは第2のバンプ径を有し、前記第1のバンプ径と前記第2のバンプ径が同一である。
【0016】
本発明の第4の態様によれば、上記第1乃至第3のいずれか1つの態様において、前記複数の第2の半田バンプは前記第2の電極パッド上でアレイ状に配列される。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、上記第4の態様において、前記アレイ状に配列された前記複数の第2の半田バンプは、第1の方向に周期的に配列される間隔と、前記第1の方向と概ね直交する第2の方向に周期的に配列される間隔と、が同一である。
【0018】
本発明の第6の態様によれば、上記第1乃至第5のいずれか1つの態様において、前記第1の半田バンプの形状は、球状又は半球状である。
【0019】
また、本発明の第7の態様である回路基板の製造方法によれば、第1の電極パッドと、前記第1の電極パッドより大きな実装面を有する第2の電極パッドが形成された基板を準備する準備工程と、前記第1の電極パッド上の一箇所に半田クリームを塗布し、前記第2の電極パッド上の複数箇所に半田クリームを塗布する半田塗布工程と、前記半田クリームの各々を加熱して、前記第1の電極パッド上に一つの第1の半田バンプを形成し、前記第2の電極パッド上には複数の第2の半田バンプを形成するバンプ形成工程と、を備え、前記半田塗布工程は、前記複数の第2の半田バンプの各々が前記第1の半田バンプの形状に対して相似の形状を有し、且つ前記第1の半田バンプの体積に対して所定の範囲内の体積を有するように、前記第1の電極パッドに対する半田塗布量を基準として、前記第2の電極パッドに対する半田塗布量を調整する。
【0020】
本発明の第8の態様によれば、上記第7の態様において、前記半田塗布工程の一つの形態は、3つ以上の開口を有するマスクを、前記第1の電極パッド上に一つの前記開口が位置し、前記第2の電極パッド上に複数の前記開口が位置するように配置するマスク配置工程と、前記マスクの複数の開口を介して、前記半田クリームを印刷する印刷工程と、を備える。
【0021】
本発明の第9の態様によれば、上記第8の態様において、前記複数の開口のそれぞれは、円形又は楕円形である。
【0022】
本発明の第10の態様によれば、上記第7の態様において、前記半田塗布工程に他の形態は、ディスペンサを、前記基板上から一定の高さを維持して移動させながら、当該ディスペンサの吐出口から前記半田クリームを吐出する吐出工程を備える。
【0023】
本発明の第11の態様によれば、上記第7乃至10のいずれかの態様において、前記準備された基板の、前記第1の電極パッドおよび前記第2の電極パッドの表面は、半田レベラーで覆われている。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、その表面上に実装面の大きさが互いに異なる電極パッドが形成されている基板において、高さの精度及び均一性が良好な、優れたコプラナリティを有する複数の半田バンプを備える回路基板を提供することができる。これにより半導体素子や電子コンポーネントを回路機能ごとに個別の回路基板上に集積した電子回路モジュールを良好な平坦度をもって実装できるという特有な効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例に係る回路基板の電極パッドの配置構成を示す平面図である。
【
図2】本発明の実施例に係る回路基板の電極パッド上に形成された半田バンプの配置構成を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施例に係る回路基板に半田クリームを印刷するメタルマスクの開口の配置構成を示す平面図である。
【
図4】(A)乃至(D)本発明の実施例で用いるメタルマスクの開口のアレイ配置構成を決定する方法を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施例に係る回路基板の製造方法の工程順の断面図であり、(A)は
図2のA-A’線に沿った工程順の断面図、(B)は
図2のB-B’線に沿った工程順の断面図である。
【
図6】本発明の実施例に係る回路基板の製造方法の工程順の断面図であり、(A)は
図2のA-A’線に沿った工程順の断面図、(B)は
図2のB-B’線に沿った工程順の断面図である。
【
図7】本発明の実施例に係る回路基板の製造方法の工程順の断面図であり、(A)は
図2のA-A’線に沿った工程順の断面図、(B)は
図2のB-B’線に沿った工程順の断面図である。
【
図8】本発明の実施例に係る回路基板の製造方法の工程順の断面図であり、(A)は
図2のA-A’線に沿った工程順の断面図、(B)は
図2のB-B’線に沿った工程順の断面図である。
【
図9】本発明の実施例に係る回路基板の製造方法の工程順の断面図であり、(A)は
図2のA-A’線に沿った工程順の断面図、(B)は
図2のB-B’線に沿った工程順の断面図である。
【
図10】本発明の実施例に係る回路基板の製造方法の工程順の断面図であり、(A)は
図2のA-A’線に沿った工程順の断面図、(B)は
図2のB-B’線に沿った工程順の断面図である。
【
図11】変形例に係る半田バンプの高さを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例及び変形例について図面を参照しながら説明する。
【0027】
<実施例>
図1に、本発明の実施例に係る回路基板1の、基板20の表面上に形成された電極パッドの平面配置構成を示す。基板20の表面上には、小さい面積を有する複数の第1の電極パッド21が所定の間隔で周期的に形成されている。この基板20の表面上の一部に、第1の電極パッド21が形成されていない領域があり、その領域内に第1の電極パッド21より、大きい実装面を有する第2の電極パッド22、及び第2の電極パッド22より、さらに大きい実装面を有する第3の電極パッド23が形成されている。なお、第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23はそれぞれ同一の厚さで形成されている。
【0028】
図2に、本発明の実施例に係る回路基板1の、基板20上に形成された第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23上のそれぞれの半田バンプの配置構成を示す。第1の電極パッド21上の各々には第1の高さH1で上方に突出する第1の半田バンプ31が一つずつ形成されている。なお、
図2においては、説明の便宜上のため、後述する半田レベラー26は省略している。
【0029】
また、第2の電極パッド22上には、5列×2行のアレイ状に計10個の第2の半田バンプ32が、それぞれの高さが第2の高さH2で揃うように上方に突出して形成されている。これらのアレイ状に配列された第2の半田バンプ32は第2の電極パッド22の長辺の中点同士を結んだ中心線に対して鏡面対称に、且つ短辺の中点同士を結んだ中心線に対しても鏡面対称になるように形成されている。
【0030】
さらに、第3の電極パッド23上には、5列×3行のアレイ状に計15個の第3の半田バンプ33が、それぞれの高さが第3の高さH3で揃うように上方に突出して形成されている。これらの第3の半田バンプ33は、第3の電極パッド23の長辺の中点同士を結んだ中心線に対して鏡面対称に、且つ短辺の中点同士を結んだ中心線に対しても鏡面対称になるように形成されている。
【0031】
加えて、第1の半田バンプ31の第1の高さH1と第2の半田バンプ32の各々の第2の高さH2は互いに一致するように形成されている。同様に、第3の半田バンプ33の各々の第3の高さH3も、第1の半田バンプ31の第1の高さH1及び第2の半田バンプ32の各々の第2の高さH2のそれぞれと一致するように形成されている。
【0032】
すなわち、本実施例においては、第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23のそれぞれにおいて、各実装面を概ね覆うような寸法が異なる半田バンプを形成するのではなく、最も小さい第1の電極パッド21上に形成される第1の半田バンプ31と同一寸法の半田バンプを他の電極パッドにも複数形成している。このように、基板20上の電極パッド上の半田バンプの寸法を統一することにより、回路基板1における半田バンプの高さの精度及び均一性を向上させ、半田バンプの優れたコプラナリティを実現している。
【0033】
これにより、半導体素子や電子コンポーネントを回路機能ごとに個別の回路基板1上に集積した電子回路モジュールを良好な平坦度をもって実装できるという特有な効果を奏することができる。
【0034】
ここで、各半田バンプの寸法は統一されていることが好ましいものの、回路基板1に要求されるコプラナリティに対応することができれば、各半田バンプの寸法を完全に統一させることなく、所定の範囲内に調整してもよい。すなわち、第2のバンプの各々は、第1の半田バンプ31を基準として、第1の半田バンプ31の形状に相似する形状を有し、且つ第1の半田バンプ31の体積に対して、概ね±20%の範囲内の体積を有してもよい。同様に、第3の半田バンプ33の各々は、第1の半田バンプ31を基準として、第1の半田バンプ31の形状に相似する形状を有し、且つ第1の半田バンプ31の体積に対して、概ね±20%の範囲内の体積を有してもよい。
【0035】
なお、上記の基板20表面の反対側に位置する他方の面には、所望の回路機能を実現するための半導体素子や電子コンポーネントを実装するための多数の電極パッドが形成されていてもよい。また、第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23はそれぞれ、上記実装するための多数の電極パッドのいずれかと、基板20の表面から他方の面まで貫通する導電材料によって電気的に接続されている(図示せず)。
【0036】
さらに、上記基板20は、多数の配線層が絶縁層を介して重ね合われた多層回路基板とすることができる。例えば、これらの配線層として、銅を主成分とする金属材料を用い、絶縁層としてガラスエポキシ基板材料をはじめ、有機基板材料あるいはセラミック基板材料を用いてもよい。
【0037】
<メタルマスクの開口の配置>
次に、メタルマスク2の開口61の配置の設計手順について説明する。
図3に、本発明の実施例に係る回路基板1に、半田クリームを印刷するためのメタルマスク2上の開口61の配置を示す。メタルマスク2は所定の厚さを有する金属材料からなり、メタルマスク2上の供給される半田クリームを、スキージを用いて各開口61内に流し込み、メタルマスク2の厚さに対応した厚さの半田クリーム27を各開口61の形状で電極パッド60上に印刷するための冶具である。なお、各開口61を区別して説明する観点から、第1の電極パッド21上位置合わせされる開口を第1の開口61aとも称し、第2の電極パッド22上位置合わせされる開口を第2の開口61bとも称し、第3の電極パッド23上に位置合わせされる開口を第3の開口61cとも称する。
【0038】
このメタルマスク2には、
図2に示された半田バンプの形成位置に対応して円形の開口61が設けられている。それぞれの半田バンプを所定の範囲内の体積に調整するために径は同一としている。なお、半田バンプを所定の範囲内の体積で調整する場合には、径は概ね同一(所定の範囲内で)である。
【0039】
ただし、メタルマスク2の開口61は円形に限定されるものでは無く、楕円形、正方形、長方形、多角形あるいはそれらが混在してもよい。
【0040】
図4は、半田バンプをアレイ状に形成するときのメタルマスクの開口61の配置構成を決める手順を示す概念図である。
図4(A)~(B)のそれぞれに記載された長方形は、いずれも半田バンプが形成される電極パッド60の形状を示し、図面の辺L
n方向の長さが(A)→(B)→(C)→(D)の順で徐々に長くなっている。すなわち、L
1<L
2<L
3<L
4である。
【0041】
ここで、メタルマスク2の開口61径をd、開口61同士の最小間隔をs
1、開口61と電極パッド60端との距離をs
0とする。電極パッド60の辺L
n方向の長さがL
1=2s
0+2d+s
1なる関係式を満たすときは、
図4(A)に示すとおり、各L
1方向において丁度2個の開口61を設けることができる。また、
図4(C)に示すとおり、電極パッド60の長さがL
3=2s
0+3d+2s
1を満たすときは、各L
3方向において3個の開口61を設けることができる。これらは、いずれも開口61が辺L
nの中点同士を結んだ中心線に対して鏡面対称に配置される。
【0042】
しかしながら、電極パッド60の形状は回路基板1上に搭載される半導体素子や電子コンポーネントの仕様(例えば、電源電圧および入出力電圧等)により決定されるため、上記L
1やL
3のようにメタルマスクの開口61が2個配置あるいは3個配置の設置基準に一致するとは限らず、L
1≦L
2≦L
3なる範囲の辺L
n方向の長さL
2を有する形状となることがある(
図4(B))。その場合は、開口61の間隔をL
2=2s
0+2d+s
2なる条件を満たすように開口61の間隔をs
2に拡大して、開口61が辺L
n方向の中心線に対して鏡面対称となるように設けることができる。
図4(D)の如く、L
3≦L
4なる場合の同様に間隔をs
3に拡大して開口61が辺L
nの中点同士を結んだ中心線に対して鏡面対称となるように配置することができる。
【0043】
辺Ln方向に直交する方向についても、上記と同様な手順で、電極パッド60のもう一方の辺の中点を結んだ中心線に対して鏡面対称となるように配置することができる。また上記の手順において、開口61の間隔を拡大すると共に、開口61と電極パッド60の端部との距離s0も拡大しながら位置を調整してもよい。
【0044】
このような手順で、半田バンプの形成位置を画定するメタルマスクの開口61を、半田バンプが形成される電極パッド60の、対向する2辺の中点同士を結んだ中心線のそれぞれ対して鏡面対称となるように、アレイ配置することができる。
【0045】
図2に示す半田バンプを形成した回路基板1上に集積された電子回路モジュールは、他の回路基板上に、回路基板1の電極パッドと他の回路基板の電極パッドの間で、軟化した半田バンプが薄く広がり接続される。良好な平坦性をもって、他の回路基板上に回路基板1を実装するためには、実装面の電極パッド上でアレイ状に配置された個々の半田バンプが一様な厚さとなるよう電極パッド全体に広がることが必要である。
【0046】
そのためには、それぞれの半田バンプの高さが均一性良く揃って、それぞれが互いに所定の範囲内の相似形状及び体積を有し、個々の半田バンプの形成位置が、電極パッドの対向する2辺の中点同士を結んだ中心線のそれぞれ対して鏡面対称となるように形成された半田バンプアレイが望ましい。
【0047】
次に、本発明の実施例に係る製造方法について、
図5~
図10に示す工程順の縦断面図を参照して説明する。
【0048】
まず、第1の電極パッド21と、第1の電極パッド21より大きな実装面を有する第2の電極パッド22と、第2の電極パッド22よりさらに大きな実装面を有する第3の電極パッド23が、形成された基板20を準備する(
図5)。上述したように、本実施例においては、第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23はそれぞれ同一の厚さで形成されている。
【0049】
この基板20は、多層配線層を含む多層回路基板であってもよい。第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23のそれぞれは、例えば銅を主成分とする金属で形成することができる。
【0050】
これらの電極パッド上には、パッド表面の酸化等による変質層の形成や汚れの付着を防止し、また、バンプを形成する半田材料に対する濡れ性を向上させるために、あらかじめ、ごく薄い半田層がコーティング(半田レベラー加工)されていてもよい(
図6)。
【0051】
次に、
図7に示すとおり、半田クリーム27を印刷するために、円形状で同一の径を持つ多数の開口を有するメタルマスク2を、第1の電極パッド21上に一つの開口が位置し、第2の電極パッド22上に複数の開口が位置するように基板20上に重ね合わせる。重ね合わせは位置決めピン(図示せず)で行う。この際に、開口61aが第1の電極パッド上に、開口61bが第2の電極パッド上に、開口61cが第3の電極パッド上にそれぞれ位置する。メタルマスク2は、ニッケルやステンレス等の一般的な金属材料で作成することができ、そのマスクの厚さと概ね同等な厚さの半田クリーム27を印刷することができる。
【0052】
続いて、基板20上に重ねたメタルマスク2の表面上に半田クリーム27を供給し、スキージをその表面上に配置して摺動させることにより、メタルマスク2の表面上の半田クリーム27を各開口内に流し込む(
図8)。
【0053】
図9はメタルマスク2を取り外した状態を示す。メタルマスク2の各開口61の位置に、概ねメタルパッドの厚さと同様な高さを持ち、それぞれの体積が同一である円筒形の半田クリーム27が形成されている。これらの半田クリーム27は、第1の電極パッド21上の第1の開口61aに対応する位置に一つ、第2の電極パッド22上の複数の第2の開口61bに対応するそれぞれの位置に複数個、複数の第3の開口61cに対応する第3の電極パッド23上のそれぞれの位置に複数個が形成されている。
【0054】
これらの円筒形の半田クリーム27は、加熱処理を行い軟化させてバンプ形状にされる(
図10)。半田クリームは、加熱軟化時にその表面張力により表面積が小さくなるように変形(リフロー)するため、それぞれが概ね同様な高さを持ち、それぞれの体積が所定の範囲内のある円筒形の複数の半田クリーム27は、それぞれ高さの均一性が良好な半球状の半田バンプとなる。
【0055】
図10からわかるように、上述の実施例では、第1の電極パッド21、第2の電極パッド22、及び第3の電極パッド23のそれぞれの厚さを同一であるため、第1の半田バンプ31、第2の半田バンプ32、及び第3の半田バンプ33のそれぞれのバンプ径51、52、53を同一とし、各バンプ高さH1、H2、及びH3が同一となるように形成している。これにより、回路基板1における半田バンプの高さの精度及び均一性を向上され、半田バンプの優れたコプラナリティが実現されている。
【0056】
本製造方法では、メタルマスクを使用するので、半田クリーム27を形成する位置の精度は、メタルマスクの微細化の限界及びメタルマスクと基板20との位置合わせ精度の限界まで高めることができ、且つ半田クリーム27の厚さをメタルマスクの厚さで規定できるから、高い精度で半田バンプの高さや体積を揃えることができる。
【0057】
次に、本発明の他の製造方法について説明する。本製造方法は、実施例に係る回路基板1の製造方法の
図7~
図9に示す半田塗布工程を、印刷技術に替えて、ディスペンサを用いて、一つずつ個別に半田クリーム27を形成するが、その他の製造方法は上記の製造方法と同一である。
【0058】
まず、上記、<メタルマスクの開口の配置>に示した手順と同様の手順で、それぞれの電極パッド上に形成する個々の半田クリーム27の位置を決定する。
【0059】
次に、ディスペンサを、基板20上から一定の高さを維持して移動させながら、あらかじめ決められた電極パッド上の所定の位置で、ディスペンサの吐出口から半田クリーム27を吐出し、個片化された半球状の半田クリーム27を形成する。
【0060】
このような製造方法では、メタルマスクは不要であり、またディスペンサの吐出口から基板20上に半田クリーム27を直接的に吐出するので、印刷のようにメタルマスク表面に付着する余剰な半田クリーム27が不要であるため、製造コストを低く抑制できる効果がある。
【0061】
<変形例>
上記実施例においては、第1の電極パッド21、第2の電極パッド23、及び第3の電極パッド23のそれぞれの厚さを同一としていが、電極パッドの厚さが異なる場合がある。このような場合を変形例として以下に説明する。
【0062】
図11は半田バンプの高さを示す断面図である。基板20は、絶縁物からなる最表面76を有し、最表面76上には第1の電極パッド21及び第2の電極パッド22が形成されている。基板20は、その内部に第1の電極パッド21及び第2の電極パッド22のそれぞれと電気的に接続された導電材料からなる配線層(図示せず)を含む。また、第1の電極パッド21及び第2の電極パッド22のそれぞれは厚さt1及び厚さt2を有し、それらの上表面は半田レベラー26でコーティングされている。
図11からわかるように、第1の電極パッド21の厚さt1が第2の電極パッド22の厚さt2よりも薄くなっている。
【0063】
ここで、基板20上に種々の部品を集積した電子回路モジュールである本発明の回路基板1を他の回路基板上に実装するときは、基板20に形成された半田バンプを介して他の回路基板上に設置し、半田バンプをリフローして接続する。良好な平坦度をもって電子回路モジュールを実装するためには、回路基板1の最表面76と他の回路基板の最表面が平行になるように設置することが求められる。そのためには基板20の最表面76からそれぞれの半田バンプの最上部までの高さが同一である必要がある。
【0064】
このため、
図11に示す変形例では、第1の電極パッド21上の第1の半田バンプ31の高さH5を、第2の電極パッド22上の第2の半田バンプ32の高さH7より、t1+H5=t2+H7なる関係式を満たすように高くする。その結果、回路基板1の最表面76からの第1の半田バンプ31の最上部までの高さH4は、回路基板1の最表面76からの第2の半田バンプ32の最上部までの高さH6は、等しくなる。
【0065】
このような電極パッドの厚みに応じて、各半田バンプの寸法を適宜変更させ、回路基板1の最表面76からの各半田バンプの最上部までの高さを統一することにより、回路基板1における半田バンプの高さの精度及び均一性を向上させ、半田バンプの優れたコプラナリティを実現している。
【0066】
そして、変形例においても、半導体素子や電子コンポーネントを回路機能ごとに個別の回路基板1上に集積した電子回路モジュールを良好な平坦度をもって実装できるという特有な効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 回路基板
2 メタルマスク
20 基板
21 第1の電極パッド
22 第2の電極パッド
23 第3の電極パッド
26 半田レベラー
27 半田クリーム
31 第1の半田バンプ
32 第2の半田バンプ
33 第3の半田バンプ
51、52、53 バンプ径
60 電極パッド
61、61a、61b、61c 開口