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特許7136565フレームを伝送する無線通信システムおよび無線通信制御方法
<図1>
  • 特許-フレームを伝送する無線通信システムおよび無線通信制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】フレームを伝送する無線通信システムおよび無線通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20220906BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220906BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220906BHJP
   H04W 76/15 20180101ALI20220906BHJP
【FI】
H04L27/26 113
H04L27/26 410
H04W84/12
H04W72/04 111
H04W76/15
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018027098
(22)【出願日】2018-02-19
(65)【公開番号】P2019145950
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-06
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成29年度、総務省、「複数周波数帯域の同時利用による周波数利用効率向上技術の研究開発」研究開発委託契約に基づく開発項目「複数無線周波数帯無線フレーム同時伝送技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】501140452
【氏名又は名称】株式会社モバイルテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100131521
【弁理士】
【氏名又は名称】堀口 忍
(72)【発明者】
【氏名】周東 雅之
【審査官】北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0169350(US,A1)
【文献】Naoto EGASHIRA et al.,Integrated Synchronization Scheme for WLAN Systems Employing Multiband SimultaneousTransmission,2017 IEEE Wireless Communications and Networking Conference(WCNC),2017年
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04W 84/12
H04W 72/04
H04W 76/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数の周波数帯を使用して第1の無線通信装置から第2の無線通信装置にフレームを伝送可能な無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
各周波数帯に対して設けられ、それぞれ、レガシーシグナルフィールドを含むフレームを送信する複数の送信回路と、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールドに同じ値を設定するシグナルフィールド設定部と、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯の伝送レートに応じて、各周波数帯における送信時間が互いに同じになるように、前記データを前記複数の送信回路に分配する分配器と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、各周波数帯を介して受信したフレームのレガシーシグナルフィールドを互いに比較し、その比較の結果に基づいて、前記複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定する判定部を備え
前記レガシーシグナルフィールドは、伝送レートを表すレートフィールドおよびデータ長を表すレングスフィールドを含み、
前記第1の無線通信装置が第1の周波数帯および第2の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときは、前記シグナルフィールド設定部は、
前記第1の周波数帯で伝送されるフレームのレートフィールドおよび前記第2の周波数帯で伝送されるフレームのレートフィールドに、同一の所定の固定レートを設定し、
前記第1の周波数帯で伝送されるフレームのレングスフィールドおよび前記第2の周波数帯で伝送されるフレームのレングスフィールドに、前記送信時間に前記固定レートを乗算することで得られる値を設定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1の周波数帯を介して受信した信号のレガシーシグナルフィールドの復号結果と前記第2の周波数帯を介して受信した信号のレガシーシグナルフィールドの復号結果とが互いに一致するときは、前記第1の周波数帯および前記第2の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていると判定する
ことを特徴とする請求項に記載の無線通信システム。
【請求項3】
複数の周波数帯を使用して第1の無線通信装置から第2の無線通信装置にフレームを伝送可能な無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
各周波数帯に対して設けられ、それぞれ、レガシーシグナルフィールドを含むフレームを送信する複数の送信回路と、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールドに同じ値を設定するシグナルフィールド設定部と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、各周波数帯を介して受信したフレームのレガシーシグナルフィールドを互いに比較し、その比較の結果に基づいて、前記複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定する判定部を備え、
前記判定部は、第1の周波数帯を介して受信した信号のレガシーシグナルフィールドの復調信号と第2の周波数帯を介して受信した信号のレガシーシグナルフィールドの復調信号との相関が所定の閾値よりも大きいときは、前記第1の周波数帯および前記第2の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていると判定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
複数の周波数帯を使用して第1の無線通信装置から第2の無線通信装置にフレームを伝送可能な無線通信システムであって、
前記第1の無線通信装置は、
各周波数帯に対して設けられ、それぞれ、レガシーシグナルフィールドを含むフレームを送信する複数の送信回路と、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールドに同じ値を設定するシグナルフィールド設定部と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、各周波数帯を介して受信したフレームのレガシーシグナルフィールドを互いに比較し、その比較の結果に基づいて、前記複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定する判定部を備え、
前記シグナルフィールド設定部は、前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームの所定のシグナルフィールドに、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信を行うことを表す制御情報を設定し、
前記判定部は、前記レガシーシグナルフィールドを利用した判定において複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていると判定しなかったときには、前記制御情報を復号し、いずれか1つ以上の周波数帯から復号される制御情報が複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信を行うことを表していれば、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信を行われていると判定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項5】
数の周波数帯を使用して第1の無線通信装置から第2の無線通信装置にフレームを伝送可能な無線通信を制御する無線通信制御方法であって、
前記第1の無線通信装置は、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯の伝送レートに応じて、各周波数帯における送信時間が互いに同じになるように、前記複数の周波数帯に対して設けられる複数の送信回路に前記データを分配し、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールドに同じ値を設定し、
前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、前記複数の送信回路を利用してそれぞれレガシーシグナルフィールドを含むフレームを送信し、
前記レガシーシグナルフィールドは、伝送レートを表すレートフィールドおよびデータ長を表すレングスフィールドを含み、
第1の周波数帯および第2の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときは、前記第1の無線通信装置は、
前記第1の周波数帯で伝送されるフレームのレートフィールドおよび前記第2の周波数帯で伝送されるフレームのレートフィールドに、同一の所定の固定レートを設定し、
前記第1の周波数帯で伝送されるフレームのレングスフィールドおよび前記第2の周波数帯で伝送されるフレームのレングスフィールドに、前記送信時間に前記固定レートを乗算することで得られる値を設定し、
前記第2の無線通信装置は、各周波数帯を介して受信したフレームのレガシーシグナルフィールドを互いに比較し、その比較の結果に基づいて、前記複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定する
ことを特徴とする無線通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1または複数の周波数帯を利用してフレームを伝送する無線通信システムおよび無線通信制御方法に係わる。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信システムが広く普及している。例えば、IEEE802.11により規定されている無線LANでは、5GHz帯及び/又は2.4GHz帯を使用してデータが伝送される。データ信号は、例えば、OFDM(orthogonal frequency division multiplexing)で伝送される。OFDMは、周波数領域で互いに直交する複数のサブキャリアを使用してデータを伝送する。
【0003】
無線LANにおいては、新しい規格が次々と提案され、実用化されている。ただし、新たな無線LANシステムは、過去に実用化されている無線LANシステム(すなわち、レガシーシステム)と接続できることが要求される。すなわち、レガシーコンパチビリティが要求される。
【0004】
加えて、複数の周波数帯を同時に使用してデータを伝送する方式が提案されている。そして、複数の周波数帯を同時に使用してデータを伝送する無線LANであっても、レガシーコンパチビリティを有することが好ましい。
【0005】
なお、関連技術として、複数の送信機から送信されるOFDM信号を同時に受信する無線通信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2007-110456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、無線LANは、レガシーコンパチビリティを有していることが要求される。このため、複数の周波数帯を同時に使用してデータを伝送することができる無線通信システムにおいて、単一の周波数帯を使用してデータが伝送されることがある。したがって、この場合、受信機は、単一の周波数帯を使用してデータが伝送されるのか、複数の周波数帯を同時に使用してデータが伝送されるのかを判定する必要がある。
【0008】
この判定は、例えば、送信機と受信機との間で、単一の周波数帯を使用するのか複数の周波数帯を同時に使用するのかを表す情報を通知することで実現され得る。ただし、このケースでは、オーバヘッドによりスループットが低下するおそれがある。
【0009】
本発明の1つの側面に係わる目的は、スループットを低下させることなく複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われるか否かを判別する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の1つの態様の無線通信システムは、1または複数の周波数帯を使用して第1の無線通信装置から第2の無線通信装置にフレームを伝送する無線通信システムであって、前記第1の無線通信装置は、各周波数帯に対して設けられ、それぞれ、レガシーシグナルフィールドを含むフレームを送信する複数の送信回路と、前記複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールドに同じ値を設定するシグナルフィールド設定部と、を備え、前記第2の無線通信装置は、各周波数帯を介して受信したフレームのレガシーシグナルフィールドを互いに比較し、その比較の結果に基づいて、前記複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定する判定部を備える。
【発明の効果】
【0011】
上述の態様によれば、スループットを低下させることなく複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われるか否かを判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施形態に係わる無線通信システムの一例を示す図である。
図2】第1の実施形態に係わる無線通信装置が備える送信機の一例を示す図である。
図3】プリアンブルシグナルフィールドの構成の一例を示す図である。
図4】レガシーシグナルフィールドの構成の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係わる無線通信装置が備える受信機の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態の無線通信制御方法の一例を示すフローチャートである。
図7】第2の実施形態に係わる無線通信装置が備える受信機の一例を示す図である。
図8】第2の実施形態の無線通信制御方法の一例を示すフローチャートである。
図9】第3の実施形態に係わる無線通信装置が備える受信機の一例を示す図である。
図10】第3の実施形態の無線通信制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係わる無線通信システムの一例を示す。図1に示す無線通信システム1は、特に限定されるものではないが、例えば、無線LANシステムである。また、無線通信システム1は、無線通信装置2、3を含む。各無線通信装置2、3は、例えば、ユーザ端末である。ユーザ端末は、モバイル端末であってもよい。
【0014】
無線通信装置2、3は、複数の周波数帯を利用してデータを伝送できる。具体的には、無線通信装置2、3は、複数の周波数帯を同時に利用してデータを伝送できる。この実施例では、無線通信装置2、3は、2.4GHz帯、5GHz帯を利用してデータを伝送できる。なお、無線通信装置2、3間の通信品質は、周波数帯ごとに異なる。よって、無線通信装置2、3は、周波数帯ごとに異なる変調方式および異なる符号でデータを伝送してもよい。
【0015】
図2は、無線通信装置2、3が備える送信機10の一例を示す。送信機10は、この例では、図2に示すように、分配器21、制御部22、複数の送信回路23a、23bを備える。なお、送信回路は、周波数帯毎に備えられる。また、送信機10は、図2に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0016】
分配器21は、制御部22から与えられる分配指示に従って、複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯の伝送レートに応じて、各周波数帯における送信時間が互いに同じとなるように、データを複数の送信回路23a、23bに分配する。分配器21は、各周波数帯のSN比や通信品質に応じて各周波数帯における送信時間が互いに同じとなるように、データを分配する。
【0017】
制御部22は、シグナルフィールド設定部24を備える。シグナルフィールド設定部24は、アプリケーションから与えられる指示に従って、複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールド(L-SIG:Legacy Signal Field)に同じ値を設定する。レガシーシグナルフィールド(L-SIG)の構成については後述する。
【0018】
各送信回路23a、23bは、各周波数帯に対して設けられ、それぞれ、レガシーシグナルフィールドを含むフレームを送信する。各送信回路23a、23bは、それぞれ、フレーム生成器31a、31b、符号化器32a、32b、変調器33a、33b、ミキサ34a、34bを備える。なお、各送信回路23a、23bは、図2に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0019】
各フレーム生成器31a、31bは、分配器21により分配されたデータから入力データを伝送するフレームを生成する。各フレーム生成器31a、31bによりフレームを生成する例については後述する。
【0020】
符号化器32a、32bは、生成された送信フレームのビット列をそれぞれ符号化する。変調器33a、33bは、符号化されたビット列からそれぞれ変調信号を生成する。各ミキサ34a、34bは、変調器33a、33bから出力される変調信号にRF発振信号f1、f2を乗算する。すなわち、出力信号(変調信号)が無線周波数帯にアップコンバートされる。なお、RF発振信号f1、f2の周波数は、図1に示す実施例においては、2.4GHz帯、5GHz帯である。そして、送信回路23a、23bは、アンテナを介して信号を出力する。なお、各周波数帯の変調信号は、互いに異なるアンテナを介して出力されるようにしてもよい。
【0021】
このように、各送信回路23a、23bは、2.4GHz帯信号、5GHz帯信号を出力することができる。そして、各送信回路23a、23bから出力される無線信号(すなわち、2.4GHz帯信号、5GHz帯信号)は、各送信回路23a、23bの無線エリア内に位置する無線通信装置により受信される。
【0022】
図3図4を参照して、シグナルフィールド設定部24により設定されるプリアンブルシグナルフィールドの構成について説明する。図3は、シグナルフィールド設定部24により設定されるプリアンブルシグナルフィールドの構成の一例を示す。図4は、プリアンブルシグナルフィールドのうちレガシーシグナルフィールドの構成の一例を示す。
【0023】
シグナルフィールド設定部24は、IEEE802.11a/g/n/ac/ax等のレガシーシステムと互換性があるプリアンブルシグナルフィールドを生成する。このプリアンブルシグナルフィールドは、フレーム生成器31a、31bにより生成される各フレームの先頭に付加される。
【0024】
シグナルフィールド設定部24により設定されるプリアンブルシグナルフィールドは、レガシーショートトレーニングフィールド(LSTF:Legacy Short Training Field)、レガシーロングトレーニングフィールド(LLTF:Legacy Long Training Field)、レガシーシグナルフィールド(L-SIG)およびニューシグナルフィールド(NEW-SIG)を含む。LSTFおよびLLTFは、それぞれ、既知の繰返し信号により構成される。
【0025】
図4に示すように、L-SIGは、伝送レートを表すレートフィールド(Rate)、データ長を表すレングスフィールド(Length)およびパリティビット用のパリティフィールド(P)を含む。
【0026】
レガシーシステム(たとえば、802.11a/g)においては、L-SIGの各フィールドには、実際の通信パラメータ(即ち、実際の伝送レートおよびデータ長を表す値)が設定される。これに対して、最近のシステム(以下、「非レガシーシステム」)では、L-SIGを使用することなく無線通信装置間で通信パラメータが通知される。ただし、レガシーシステムとの互換性を確保するために、非レガシーシステムで伝送されるフレームもL-SIGを含んでいる。このため、非レガシーシステムで伝送されるフレームのL-SIGには、必ずしも実際の通信パラメータが設定されなくてもよい。
【0027】
非レガシーシステムにおいては、レートフィールドには所定の固定レート(6Mbps)が設定される。また、レングスフィールドには、実際の送信時間に基づいて、6Mbpsで送信されるデータ長を表す値が設定される。
【0028】
シグナルフィールド設定部24は、複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、所定の制御情報をNEW-SIGに設定する。NEW-SIGは、本実施形態において特有のシグナルフィールドである。図3では、フレーム内に2個のNEW-SIGが設けられているが、各フレームは任意の数のNEW-SIGを備えるようにしてもよい。また、第1の実施形態においては、NEW-SIGのシグナルフィールドはなくてもよい。NEW-SIGに設定する所定の制御情報については、後述の第3の実施形態において説明する。
【0029】
ここで、シグナルフィールド設定部24がLengthに設定する値の算出例について説明する。本実施形態においては、DATAをN個のOFDMシンボルで送信する場合について考える。Nは任意の自然数である。
【0030】
はじめに、シグナルフィールド設定部24は、1つの周波数帯(例えば、第1の周波数帯)での送信時間を算出する。
【0031】
LSTFの長さ(8μs)をT_LSTF、LLTFの長さ(8μs)をT_LLTF、L-SIGの長さ(4μs)をT_L-SIG、NEW-SIGの長さ(4μs)をT_NEW-SIG、DATAの長さ(4μs)をT_DATAでそれぞれ表すと、データの送信時間は、(1)式で表すことができる。
【0032】
この送信時間は、各周波数帯において送信時間が互いに同じとなるように、分配器21により各送信回路23a、23bに分配されているため、各周波数帯によらず共通するものとなる。
【0033】
送信時間=T_LSTF+T_LLTF+T_L-SIG+T_NEW-SIG*2+T_DATA*N・・・(式1)
【0034】
ここで伝送レートは6Mbpsであるため、1つのOFDMシンボルで24bit(3byte)送信可能である。そして、Lengthで指定する長さは、T_LSTF、T_LLTF、T_L-SIG以外の長さである。
【0035】
そうすると、送信時間からT_LSTF、T_LLTF、T_L-SIGを差し引いたLengthは、(2)式で表すことができる。
【0036】
Length=(送信時間-(T_LSTF+T_LLTF+T_L-SIG))/4μs*3byte
=(送信時間-20)/4*3・・・(式2)
【0037】
IEEE802.11のWLAN規格においては、正確にはLengthで指定したデータ以外にService Field、tail、pad bitが伝送されるため、より好ましくは3byte分差し引いた値が実際のLengthとなる。
【0038】
そうすると、上記式2から3byte分差し引いた、より好ましいLengthは、(3)式で表すことができる。
【0039】
Length=((送信時間-20)/4)*3-3byte・・・(式3)
【0040】
例えば、送信時間が100μsの場合、式3に代入すると、下記のようにデータ長が算出される。
【0041】
Length=((100-20)/4)*3-3=57byte
【0042】
送信機10が複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときには、シグナルフィールド設定部24は、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのL-SIGに、算出したLengthを設定する。すなわち、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのL-SIGに同じ値が設定される。そして、シグナルフィールド設定部24は、同じ値に設定したL-SIGを含むプリアンブルシグナルフィールドをフレーム生成器31a、31bへ送る。
【0043】
フレーム生成器31a、31bは、生成する各フレームの先頭に、シグナルフィールド設定部24により設定されたL-SIGを含むプリアンブルシグナルフィールドを付加する。
【0044】
このように、送信機10が複数の周波数帯(第1の周波数帯および第2の周波数帯)を同時に使用してデータを送信するときは、分配器21は、各周波数帯の伝送レートに応じて、各周波数帯における送信時間が互いに同じになるように、入力データを複数の送信回路に分配する。ここで、レガシーシグナルフィールドは、伝送レートを表すレートフィールドおよびデータ長を表すレングスフィールドを含む。そして、シグナルフィールド設定部24は、第1の周波数帯で伝送されるフレームのレートフィールドおよび第2の周波数帯で伝送されるフレームのレートフィールドに同一の所定の固定レート(6Mbps)を設定し、第1の周波数帯で伝送されるフレームのレングスフィールドおよび第2の周波数帯で伝送されるフレームのレングスフィールドに、送信時間に固定レートを乗算することで得られる値を設定する。ここで、「送信時間」は第1の周波数帯および第2の周波数帯で互いに同じである。したがって、送信時間に固定レートを乗算することで得られる値も、第1の周波数帯および第2の周波数帯で互いに同じである。この結果、第1の周波数帯および第2の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのレガシーシグナルフィールドには互いに同じ値が設定される。
【0045】
なお、送信機10は、複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときは、各周波数帯のフレームを互いに同期させて送信することが好ましい。特に、OFDMでデータが伝送される通信システムでは、サブキャリア間の干渉を抑制するために、各周波数帯のフレームが互いに同期して送信されることが要求される。
【0046】
図5は、第1の実施形態に係わる無線通信装置2、3が備える受信機の一例を示す。受信機11は、この例では、図5に示すように、複数の受信回路40a、40b、制御部45を備える。なお、受信機11は、図5に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0047】
受信回路40a、40bは、それぞれ、ミキサ41a、41b、タイミング検出器42a、42b、復調器43a、43b、復号器44a、44bを備える。なお、受信回路40a、40bは、図5に示していない他の回路要素を備えていてもよい。そして、受信回路40a、40bは、図2に示す送信機10から出力される無線信号を受信する。
【0048】
図5に示すように、ミキサ41a、41bは、アンテナとタイミング検出器42a、42bとの間に設けられる。ミキサ41a、41bは、それぞれ、アンテナを介して受信する電波(受信波)にRF発振信号f1、f2を乗算する。これらのRF発振信号f1、f2の周波数は、送信回路23a、23bにおいて使用されるRF発振信号f1、f2の周波数と実質的に同じである。よって、各周波数帯f1、f2の受信波成分が抽出される。
【0049】
この結果、各受信信号は、ベースバンド領域にダウンコンバートされる。以下の記載では、ミキサ41a、41bによりダウンコンバートされた信号をそれぞれ「S1」「S2」と呼ぶことがある。
【0050】
タイミング検出器42a、42bは、ミキサ41a、41bが抽出した受信波成分の出力信号(例えば、電界情報)に基づいて、同期タイミングを検出する。例えば、IEEE802.11a/g/n/ac/ax等のレガシーシステムと互換性があるプリアンブルシグナルフィールドには、各送信回路23a、23bから送信される各フレームの先頭に所定のプリアンブルとしてLSTF、LLTFが設定されている。プリアンブルは、既知のパターンを含む。そして、タイミング検出器42a、42bは、受信信号においてプリアンブルをモニタすることによりフレーム同期を確立する。具体的には、タイミング検出器42a、42bは、プリアンブルを用いた自己相関処理または相互相関処理によりフレーム同期を確立する。
【0051】
復調器43a、43bは、それぞれ、制御部45から与えられる指示に従って、対応する周波数帯の受信信号S1、S2を復調する。このとき、復調器43a、43bは、変調器33a、33bによる変調処理に対応する復調処理を実行する。
【0052】
復号器44a、44bは、制御部45から与えられる指示に従って、復調器43a、43bから出力されるビット列を復号する。このとき、復号器44a、44bは、符号化器32a、32bによる符号化に対応する復号処理を実行する。
【0053】
制御部45は、受信機11の受信動作を制御する、また、制御部45は、判定部51、L-SIGチェック部52を備える。なお、制御部45は、図5に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0054】
判定部51は、復号器44a、44bにより復号された受信信号S1のフレームのL-SIGの値と受信信号S2のフレームのL-SIGの値とを互いに比較する。すなわち、判定部51は、受信信号S1に含まれるL-SIG(以下、「L-SIGa」と呼ぶ)と、受信信号S2に含まれるL-SIG(以下、「L-SIGb」と呼ぶ)と、の復号結果の内容を比較する。そして、L-SIGaとL-SIGbの復号結果が互いに同一である場合には、判定部51は、受信信号S1および受信信号S2が送信機10により並列に送信されたと判定する。すなわち、第1の周波数帯と第2の周波数帯とが同時に使用されるデータ送信が行われていると判定される。
【0055】
L-SIGチェック部52は、各周波数帯を介して受信したフレームのL-SIGが正しく復調および復号されたか否かをチェックする。各L-SIGが正しく復調および復号されていれば、判定部51による判定結果が正しいと推定される。すなわち、L-SIGチェック部52は、判定部51による判定の精度を向上させるために設けられている。
【0056】
L-SIGチェック部52は、L-SIGaおよびL-SIGbのパリティフィールド(P)の値を抽出し、所定のデータ領域が破損しているか否かを判定してもよい。所定のデータ領域が破損していない場合には、L-SIGチェック部52は、判定部51の判定結果の信頼性が高いと判定する。これに対し、所定のデータ領域が破損している場合には、L-SIGチェック部52は、判定部51の判定結果の信頼性が低いと判定する。
【0057】
図6は、第1の実施形態の無線通信制御方法の一例を示すフローチャートである。S11、S12において、タイミング検出器42a、42bは、ミキサ41a、41bが抽出した受信波成分の出力信号S1、S2に基づいて、同期タイミングを検出する。S13、S14において、復調器43a、43bは、第1の周波数帯の受信信号S1に含まれるL-SIGa、第2の周波数帯の受信信号S2に含まれるL-SIGbをそれぞれ抽出し復調する。
【0058】
S15、S16において、復号器44a、44bは、復調器43a、43bが復調したビット列に含まれるL-SIGa、L-SIGbをそれぞれ復号する。S17において、判定部51は、L-SIGaを復号した結果と、L-SIGbを復号した結果とを比較する。
【0059】
L-SIGの復号結果が同一ではない場合(S18:No)には、判定部51は、既存システムからデータ送信が行われていると判定する。即ち、判定部51は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていないと判定する。
【0060】
L-SIGの復号結果が同一である場合(S18:Yes)には、L-SIGチェック部52は、各周波数帯を介して受信したフレームのL-SIGが正しく復調および復号されている否かをチェックする(S19)。
【0061】
各周波数帯のL-SIGが正しく復調および復号されていないとき(S19:NG)には、L-SIGチェック部52は、判定部51による判定の信頼性が低いと判定する。この場合、制御部45は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていないと判定する。
【0062】
各周波数帯のL-SIGが正しく復調および復号されているとき(S19:OK)には、L-SIGチェック部52は、判定部51による判定の信頼性が高いと判定する。この場合、制御部45は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われたと判定する。
【0063】
このように、第1の実施形態によれば、送信機は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信を行うときは、各周波数帯を使用して伝送されるフレームのL-SIGに同じ値を設定する。このとき、レガシーシステムとの互換性を確保するため、IEEE802.11a/g/n/ac/ax等のレガシーシステムのL-SIGと同じフォーマットが使用される。そして、受信機は、周波数帯毎に受信した各L-SIGが互いに一致しているか否かに応じて、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われたか否かを判定することができる。第1の実施形態では、各周波数帯のL-SIGの復号結果が互いに比較される。
【0064】
第1の実施形態では、レガシーシステムのフォーマットが有する各周波数帯のL-SIGの復号結果に基づき、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われたか否かが判定される。したがって、レガシーコンパチビリティを有し、かつ、余計なオーバヘッドなしにどの周波数帯を利用しているかを判別することができる。
【0065】
第1の実施形態の無線通信装置2、3は、プロセッサを備える。そして、シグナルフィールド設定部24、判定部51、L-SIGチェック部52は、プロセッサを用いて無線通信制御プログラムを実行することにより実現される。この場合、無線通信制御プログラムは、プロセッサがアクセス可能なメモリ領域に格納される。なお、分配器21、フレーム生成器31a、31b、符号化器32a、32b、変調器33a、33b、ミキサ34a、34b、41a、41b、タイミング検出器42a、42b、復調器43a、43b、復号器44a、44b、は、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0066】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、判定部51は、各周波数帯に含まれるL-SIGの復号結果を比較して複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信であるか否かを判定する。これに対して、第2の実施形態では、各周波数帯に含まれるL-SIGの復調結果の相関に基づいて複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信であるか否かを判定する。
【0067】
図7は、第2の実施形態に係わる無線通信装置2、3が備える受信機の一例を示す。第2の実施形態の受信機12は、複数の受信回路40a、40b、制御部70を備える。なお、受信回路40a、40bは、図5に示す第1の実施形態および図7に示す第2の実施形態において実質的に同じである。また、受信機12は、図7に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0068】
制御部70は、判定部71、L-SIG合成部72、L-SIG復号部73、L-SIGチェック部74を備える。なお、制御部70は、図7に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0069】
判定部71は、各周波数帯を介して受信した受信信号S1に含まれるL-SIGaの復調結果と、受信信号S2に含まれるL-SIGbの復調結果との相関を計算する。そして、L-SIGaとL-SIGbとの復調結果の相関が所定の閾値以上である場合には、判定部71は、受信信号S1および受信信号S2が送信機10により並列に送信されたと判定する。すなわち、第1の周波数帯と第2の周波数帯とが同時に使用されるデータ送信が行われていると判定される。
【0070】
L-SIG合成部72は、受信信号S1に含まれるL-SIGaの復調結果と受信信号S2に含まれるL-SIGbの復調結果とを合成して合成復調信号を生成する。L-SIG復号部73は、L-SIG合成部72により生成される合成復調信号が表すビット列を復号する。このとき、L-SIG復号部73は、符号化器32a、32bによる符号化に対応する復号処理を実行する。
【0071】
L-SIGチェック部74は、各周波数帯を介して受信したフレームのL-SIGが正しく復調されたか否かをチェックする。各L-SIGが正しく復調されていれば、判定部71による判定結果が正しいと推定される。すなわち、L-SIGチェック部74は、判定部71による判定の精度を向上させるために設けられている。
【0072】
図8は、第2の実施形態の無線通信制御方法の一例を示すフローチャートである。S21、S22において、タイミング検出器42a、42bは、ミキサ41a、41bが抽出した受信波成分の出力信号S1、S2に基づいて、同期タイミングを検出する。
【0073】
S23、S24において、復調器43a、43bは、第1の周波数帯の受信信号S1に含まれるL-SIGa、第2の周波数帯の受信信号S2に含まれるL-SIGbをそれぞれ復調する。
【0074】
S25において、判定部71は、L-SIGaを復調した結果と、L-SIGbを復調した結果との相関を計算する。そして、この相関値が所定の閾値未満である場合(S26:No)には、判定部71は、既存システムからデータ送信が行われていると判定する。即ち、判定部71は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていないと判定する。
【0075】
これに対し、上記相関値が閾値以上である場合(S26:Yes)には、L-SIG合成部72は、各周波数帯のL-SIGの復調信号を合成して合成復調信号を生成する(S27)。
【0076】
S28において、L-SIG復号部73は、L-SIG合成部72により生成される合成復調信号が表すビット列を復号する。S29において、L-SIGチェック部74は、S23、S24においてL-SIGが正しく復調されたか否かをチェックする。
【0077】
L-SIGが正しく復調されていないとき(S29:NG)には、L-SIGチェック部74は、判定部71による判定の信頼性が低いと判定する。この場合、制御部70は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていないと判定する。一方、L-SIGが正しく復調されているとき(S29:OK)には、L-SIGチェック部74は、判定部71による判定の信頼性が高いと判定する。この場合、制御部70は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていると判定する。
【0078】
このように、第2の実施形態では、各周波数帯の復調結果の相関が高い(例えば、所定の閾値以上)であるか否かに基づき、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われたか否かを判定している。したがって、レガシーコンパチビリティを有し、かつ、余計なオーバヘッドなしにどの周波数帯を利用しているかを判定することができる。
【0079】
第2の実施形態の無線通信装置2、3は、プロセッサを備える。そして、判定部71、L-SIG合成部72、L-SIG復号部73、L-SIGチェック部74は、プロセッサを用いて無線通信制御プログラムを実行することにより実現される。この場合、無線通信制御プログラムは、プロセッサがアクセス可能なメモリ領域に格納される。
【0080】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、判定部51は、各周波数帯に含まれるL-SIGの復号結果を比較して複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信であるか否かを判定する。これに対して、第3の実施形態では、送信機側において、どの周波数帯を同時に利用しているかを表す制御情報がシグナルフィールド内に設定される。この制御情報は、例えば、第3の実施形態で新たに用意されるNEW-SIGフィールドに設定される。NEW-SIGは、特に限定されるものではないが、例えば図3に示すように、L-SIGの後ろに設定される。そして、受信機は、L-SIGを使用する判定に加えて、NEW-SIGに含まれる制御情報に基づいて、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定する。
【0081】
第3の実施形態に係わる無線通信装置2、3が備える送信機の構成については、図2の第1の実施形態の送信機の構成とほぼ同一であるため図面を省略する。但し、第3の実施形態のシグナルフィールド設定部24は、送信機10が複数の周波数帯を同時に使用してデータを送信するときに、何れの周波数帯を同時利用しているかを表す制御情報をNEW-SIGに設定する。例えば、同時に使用する周波数帯が5GHzと2.4GHzである場合、シグナルフィールド設定部24は、5GHzと2.4GHzを同時に使用することを示す制御情報をNEW-SIGに設定する。
【0082】
図9は、第3の実施形態に係わる無線通信装置2、3が備える受信機の一例を示す。受信機13は、この例では、図9に示すように、複数の受信回路40a、40b、制御部90を備える。なお、受信回路40a、40bは、図5に示す第1の実施形態および図9に示す第3の実施形態において実質的に同じである。また、受信機13は、図9に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0083】
制御部90は、判定部91、L-SIGチェック部92、NEW-SIG復調部93a、93b、NEW-SIG復号部94a、94b、NEW-SIG判定部95を備える。なお、制御部90は、図9に示していない他の回路要素を備えていてもよい。第3の実施形態の判定部91およびL-SIGチェック部92については、第1の実施形態の判定部51およびL-SIGチェック部52とほぼ同様であるため説明を省略する。
【0084】
NEW-SIG復調部93a、93bは、第1の周波数帯の受信信号S1および第2の周波数帯の受信信号S2からNEW-SIGa、NEW-SIGbを抽出して復調する。NEW-SIG復号部94a、94bは、NEW-SIG復調部93a、93bの出力信号からNEW-SIGa、NEW-SIGbを復号する。
【0085】
NEW-SIG判定部95は、NEW-SIG復号部94a、94bにより得られる復号結果に基づいて制御信号を取得し、どの周波数帯が同時に利用されているかをチェックする。NEW-SIG判定部95は、チェック結果に基づいて、複数の周波数帯で同時にデータ送信が行われているか否かを判定する。
【0086】
図10は、第3の実施形態の無線通信制御方法の一例を示すフローチャートである。第3の実施形態のS31~S38の処理については、第1の実施形態のS11~S18の処理とほぼ同じであるため説明を省略する。
【0087】
L-SIGの復号結果が同一ではない場合(S38:No)には、判定部91は、既存システムからデータ送信が行われていると判定する。即ち、判定部91は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていないと判定する。この場合、制御部90の処理はS40、S41に進む。
【0088】
L-SIGの復号結果が同一である場合(S38:Yes)には、L-SIGチェック部92は、L-SIGが正しく復調および復号されたか否かをチェックする(S39)。
【0089】
L-SIGが正しく復調および復号されている場合、(S39:OK)には、L-SIGチェック部92は、判定部91による判定の信頼性が高いと判定する。即ち、制御部90は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていると判定する。一方、L-SIGが正しく復調または復号されていない場合(S39:NG)には、制御部90の処理はS40、S41に進む。
【0090】
S40、S41において、NEW-SIG復調部93aは、第1の周波数帯の受信信号S1に含まれるNEW-SIGaを復調し、NEW-SIG復調部93bは、第2の周波数帯の受信信号S2に含まれるNEW-SIGbを復調する。S42、S43において、NEW-SIG復号部94a、94bは、NEW-SIG復調部93a、93bが復調したビット列に含まれるNEW-SIGa、NEW-SIGbをそれぞれ復号する。この結果、各周波数帯の制御信号が得られる。
【0091】
S44において、NEW-SIG判定部95は、NEW-SIG復号部94a、94bにより得られる制御信号に基づいて、どの周波数帯が同時に利用されているかをチェックする。そして、複数の周波数帯を同時に利用するデータ送信が行われている旨を表す制御信号が少なくとも1つの周波数帯から得られた場合(S45:Yes)には、NEW-SIG判定部95は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていると判定する。
【0092】
これに対し、複数の周波数帯を同時に利用するデータ送信が行われている旨を表す制御信号がいずれの周波数帯からも得られなかった場合(S45:No)には、NEW-SIG判定部95は、既存システムからデータ送信が行われていると判定する。即ち、NEW-SIG判定部95は、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われていないと判定する。
【0093】
このように、第3の実施形態では、レガシーシステムのフォーマットが有する各周波数帯のL-SIGの復号結果に加えて、NEW-SIGに設定される制御情報に基づき、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われているか否かを判定している。したがって、第3の実施形態では、複数の周波数帯のうち、いずれかの周波数帯の受信品質が悪く、L-SIGの内容だけでは複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われたか否かを判定できなかった場合であっても、NEW-SIGの復号結果を使用することにより、複数の周波数帯を同時に使用するデータ送信が行われたか否か精度よく判定することができる。
【0094】
第3の実施形態の無線通信装置2、3は、プロセッサを備える。そして、判定部91、L-SIGチェック部92、NEW-SIG復調部93a、93b、NEW-SIG復号部94a、94b、NEW-SIG判定部95は、プロセッサを用いて無線通信制御プログラムを実行することにより実現される。この場合、無線通信制御プログラムは、プロセッサがアクセス可能なメモリ領域に格納される。
【0095】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0096】
1 無線通信システム
2、3 無線通信装置
10 送信機
11、12、13 受信機
21 分配器
22 制御部
23a、23b 送信回路
24 シグナルフィールド設定部
31a、31b フレーム生成器
32a、32b 符号化器
33a、33b 変調器
34a、34b ミキサ
40a、40b 受信回路
41a、41b ミキサ
42a、42b タイミング検出器
43a、43b 復調器
44a、44b 復号器
45 制御部
51 判定部
52 L-SIGチェック部
70 制御部
71 判定部
72 L-SIG合成部
73 L-SIG復号部
74 L-SIGチェック部
90 制御部
91 判定部
92 L-SIGチェック部
93a、93b NEW-SIG復調部
94a、94b NEW-SIG復号部
95 NEW-SIG判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10