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特許7136571予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置及び方法
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  • 特許-予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/10 20120101AFI20220906BHJP
   G05D 1/02 20200101ALI20220906BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B60W40/10
G05D1/02 Z
B60W30/10
【請求項の数】 2
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018055623
(22)【出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2018177206
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2021-03-02
(31)【優先権主張番号】10 2017 206 345.9
(32)【優先日】2017-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】508097870
【氏名又は名称】コンチネンタル オートモーティヴ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Continental Automotive GmbH
【住所又は居所原語表記】Vahrenwalder Strasse 9, D-30165 Hannover, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】デニス・セレンスキー
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-211626(JP,A)
【文献】特表2016-521230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置(100)であって、
車両(V)の車体(VB)の一点(VBP)の位置と移動方向をそれぞれ定義する車両頂点(VV1、VV2、VV3、…、VVn)のリストに基づき、当該車両頂点の間をそれぞれ円弧のセグメントが延びるスプライン円弧として車両軌跡を提供するように構成された軌跡割当器(10);
前記車両軌跡のセグメントの両端の車両頂点における前記車両の位置についてそれぞれ、前記車両軌跡のセグメントに沿った前記車両の運動の旋回半径が最小ある前記車体(VB)の点(VBP)と、前記車両の運動の前記旋回半径が最大である前記車体(VB)の点(VBP)とを選択することにより、最外点の頂点(EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVn)のリストを前記車両軌跡のセグメント全てについて計算するように構成され、前記車両(V)の最外点の頂点(EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVn)の前記リストに基づき、前記車両軌跡のセグメント全てについて、前記旋回半径が最小の前記最外点の頂点同士の間および前記旋回半径が最大の前記最外点の頂点同士の間にそれぞれ延びる複数のコーナー軌跡を前記スプライン円弧を変換することにより提供するように構成された軌跡変換器(20);並びに
前記複数のコーナー軌跡に基づく占有軌道を提供するように構成された間隙解除器(30)及び交点除去器(40)であって、前記複数のコーナー軌跡の続いて並んだ円弧を互いに接続するように構成された間隙解除器(30)と、前記複数のコーナー軌跡の交差する円弧を、当該交差する円弧を交点で切断して外側に向いている部分を残すことにより切断するように構成された交点除去器(40)を備え、前記間隙解除器(30)及び前記交点除去器(40)が、前記複数のコーナー軌跡に基づく少なくとも2つの連続する曲線に基づき前記占有軌道を提供するように構成されている装置(100)。
【請求項2】
予測される車両占有領域を幾何学的に構成する方法であって、
軌跡割当器(10)が、それぞれが車両(V)の車体(VB)の一点(VBP)の位置と移動方向を定義する車両頂点(VV1、VV2、VV3、…、VVn)のリストに基づき、当該車両頂点の間をそれぞれ円弧のセグメントが延びるスプライン円弧として車両軌跡を提供するステップ(S1);
軌跡変換器(20)が、前記車両軌跡のセグメントの両端の車両頂点における前記車両の位置についてそれぞれ、前記車両軌跡のセグメントに沿った前記車両の運動の旋回半径が最小ある前記車体(VB)の点(VBP)と、前記車両の運動の前記旋回半径が最大である前記車体(VB)の点(VBP)とを選択することにより、最外点の頂点(EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVn)の前記リストを前記車両軌跡の前記セグメント全てについて計算するステップ(S2)、及び前記軌跡変換器(20)が、前記車両(V)の最外点の頂点(EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVn)のリストに基づき、前記車両軌跡のセグメント全てについて、前記旋回半径が最小の前記最外点の頂点同士の間および前記旋回半径が最大の前記最外点の頂点同士の間にそれぞれ延びる複数のコーナー軌跡を前記スプライン円弧を変換することにより提供するステップ;
間隙解除器(30)及び交点除去器(40)が、
前記複数のコーナー軌跡の続いて並んだ円弧を互いに接続するステップ(S3)と;
前記複数のコーナー軌跡の交差する円弧を、当該交差する円弧を交点で切断して外側に向いている部分を残すことにより切断するステップ(S4)により、
前記複数のコーナー軌跡に基づく少なくとも2つの連続する曲線に基づき占有軌道を提供するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリッドに基づくオブジェクトの位置及び占有領域の予測の分野に関する。特に、本発明は、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複雑なスプライン円弧に基づく軌跡を用いて車両の予測される占有軌道を計算し可視化する場合、軌跡に沿った車両の離散姿勢を使用してサンプル点を計算し、そのサンプル点を補間する。
【0003】
車両のコーナー点、即ち、最外点を考慮して、最も張り出したコーナーの経路に沿っ所定の位置について計算が行われる。
【0004】
車両軌跡の離散化が計算の精度に制限を加える。離散車両姿勢において車両のコーナー点を変換することで、その所定の点の位置を得なければならない。
【0005】
精度に対する要求が高まれば、要求される精度に応じて計算量が上昇し、より多くの変換が必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両の占有領域及び軌道を計算する装置及び方法を改良する必要性が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こうした必要は、独立請求項の主題によって満たされる。更に、例示の実施形態が、従属請求項及び以下の記載から明らかとなる。
【0008】
本発明の一態様は、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置に関し、装置は、それぞれが車両の車体の一点の位置と移動方向を定義する車両頂点のリストに基づき、車両軌跡を提供するように構成された軌跡割当器;車両の所定の位置について旋回半径が最小および/または最大である車体の点を選択することにより、最外点の頂点のリストを計算するように構成され、車両の最外点の頂点のリストに基づき複数のコーナー軌跡を提供するように構成された軌跡変換器;並びに複数のコーナー軌跡に基づく占有軌道を提供するように構成された間隙解除器及び交点除去器であって、複数のコーナー軌跡の続いて並んだ円弧を接続するように構成された間隙解除器と、複数のコーナー軌跡の交差する円弧を切断するように構成された交点除去器を備える。
【0009】
本方法は、離散点を用いて車両の非離散円弧軌跡を変換することにより、占有軌道を計算する問題を解決する。コーナーの軌跡は、それ自体が必要な変換の数を最小限に制限する円弧として計算される。
【0010】
本方法は、アッカーマン・ドライブ又はアッカーマン・ステアリング・ジオメトリを搭載した自律走行車のための最適スプライン円弧近似に基づく可視化及びスプラインに基づく軌跡最適化のために、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する方法として使用し得る。
【0011】
本発明の更なる第2の態様は、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する方法に関し、方法は、軌跡割当器を用いて、それぞれが車両の車体の一点の位置と移動方向を定義する車両頂点のリストに基づき、車両軌跡を提供するステップ;軌跡変換器を用いて、車両の所定の位置について旋回半径が最小および/または最大である車体の点を選択することにより、最外点の頂点のリストを計算するステップ、及び軌跡変換器を用いて、車両の最外点の頂点のリストに基づき複数のコーナー軌跡を提供するステップ;間隙解除器及び交点除去器を用いて、複数のコーナー軌跡の続いて並んだ円弧を接続するステップと;複数のコーナー軌跡の交差する円弧を切断するステップにより、複数のコーナー軌跡に基づく占有軌道を提供するステップを含む。
【0012】
本発明の例示の実施形態によると、
交点除去器は、複数のコーナー軌跡の交差する円弧を、交差する円弧を交点で切断して外側に向いている部分を残すことにより切断するように構成されている。
【0013】
本発明の例示の実施形態によると、
軌跡変換器は、車両軌跡のセグメント全てについて、最外点の頂点のリストを計算するように構成されている。
【0014】
本発明の例示の実施形態によると、
軌跡割当器は、車両軌跡をスプライン円弧として提供するように構成されている。
【0015】
本発明の例示の実施形態によると、
間隙解除器及び交点除去器は、複数のコーナー軌跡に基づく少なくとも2つの連続する曲線に基づき占有軌道を提供するように構成されている。
【0016】
本発明の方法を遂行するコンピュータプログラムが、コンピュータ可読媒体に格納されてもよい。コンピュータ可読媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク、CD、DVD、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)格納装置、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(読み取り専用メモリ)又はEPROM(消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ)であってもよい。
【0017】
コンピュータ可読媒体は、データ通信ネットワーク、例えばプログラムコードのダウンロードを可能とするインターネットとすることもできる。
【0018】
本明細書に記載の方法、システム、及び装置は、デジタル信号プロセッサDSP、マイクロコントローラ、若しく他のサイドプロセッサ内のソフトウェアとして、又は特定用途向け集積回路ASIC、CPLD又はFPGA内のハードウェア回路として実施してもよい。
【0019】
本発明は、デジタル電子回路において、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、又はそれらの組合せにおいて、例えば、従来の医療用イメージング装置の利用可能なハードウェアにおいて、又は本明細書に記載された方法を処理するように専用化された新しいハードウェアにおいて実施することができる。
【0020】
本発明のより完全な理解及びそれに付随する利点は、正しい縮尺ではない以下の概略図を参照することにより、より明確に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の例示の実施形態による、スプライン円弧として与えられた車両軌跡を示す図である。
図2】本発明の例示の実施形態による、コーナー点の非離散変換を示す図である。
図3】本発明の例示の実施形態による、車両軌跡のセグメント全てに適用される提案された変換アプローチを示す図である。
図4】本発明の例示の実施形態による、提案されたアプローチであって、これに従って交点及び間隙が解消され、結果として連続する途切れない曲線が提供されるアプローチを示す図である。
図5】本発明の例示の実施形態による、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置の概略図を示す図である。
図6】本発明の例示の実施形態による、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する方法の概略フローチャート図を示す図である。
図7】サラウンドビュー投影に使用された場合の計算された軌道の1つの可能な可視化の略図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面に示されているのは概略に過ぎず、相似関係やサイズ情報の提供を意図したものではない。異なる図面において、類似又は同一の要素には、同じ参照番号が付されている。
【0023】
一般に、同一の部分、ユニット、実体又はステップには、説明において同じ参照符号が付されている。
【0024】
図1は、本発明の例示の実施形態による、スプライン円弧として与えられた車両軌跡を示す。
【0025】
図2は、本発明の例示の実施形態による、コーナー点の非離散変換を示す。
【0026】
図3は、本発明の例示の実施形態による、車両軌跡のセグメント全てに適用される提案された変換アプローチを示す。
【0027】
図4は、本発明の更なる例示の実施形態による、提案されたアプローチであって、これに従って交点及び間隙が解消され、結果として連続する途切れない曲線が提供されるアプローチを示す。
【0028】
図5は、本発明の例示の実施形態による、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置の概略図を示す。
【0029】
予測される車両占有領域を幾何学的に構成する装置100は、軌跡割当器10、軌跡変換器20、間隙解除器30、及び交点除去器40を備える。
【0030】
軌跡割当器10は、それぞれが車両Vの車体VBの一点VBPの位置と移動方向を定義する車両頂点VV1、VV2、VV3、…、VVnのリストに基づき、車両軌跡を提供するように構成されている。
【0031】
軌跡割当器10は、車両頂点VV1、VV2、VV3、…、VVnのリストを、外部装置又はプロバイダから受信するように構成されてもよい。軌跡割当器10は、車両頂点のリストに関するデータを受信するために、インターフェース又は通信システムを備えてもよい。
【0032】
軌跡変換器20は、車両の所定の位置について旋回半径が最小および/または最大である車体VBの点VBPを選択することにより、最外点の頂点EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVnのリストを計算するように構成され、車両Vの最外点の頂点EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVnのリストに基づき複数のコーナー軌跡を提供するように構成されている。
【0033】
間隙解除器30及び交点除去器40は、複数のコーナー軌跡に基づく占有軌道を提供するように構成されており、間隙解除器30は、複数のコーナー軌跡の続いて並んだ円弧を接続するように構成され、交点除去器40は、複数のコーナー軌跡の交差する円弧を切断するように構成されている。
【0034】
図6は、本発明の例示の実施形態による、予測される車両占有領域を幾何学的に構成する方法の概略図を示す。
【0035】
予測される車両占有領域を幾何学的に構成する方法は、以下のステップを含む。
【0036】
方法の第1のステップとして、軌跡割当器10を用いて、それぞれが車両Vの車体VBの一点VBPの位置と移動方向を定義する車両頂点VV1、VV2、VV3、…、VVnのリストに基づき、車両軌跡を提供するステップS1が遂行されてもよい。
【0037】
方法の第2のステップとして、軌跡変換器20を用いて、車両の所定の位置について旋回半径が最小および/または最大である車体VBの点VBPを選択することにより、最外点の頂点EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVnのリストを計算するステップS2が遂行されてもよい。
【0038】
更に、軌跡変換器20を用いて、車両Vの最外点の頂点EPV1、EPV2、EPV3、…、EPVnのリストに基づき複数のコーナー軌跡を提供するステップが遂行されてもよい。
【0039】
更に、間隙解除器30及び交点除去器40を用いて、複数のコーナー軌跡に基づく占有軌道を提供するステップが遂行されてもよい。
【0040】
方法の第3のステップとして、複数のコーナー軌跡の続いて並んだ円弧を接続するステップS3が遂行されてもよい。
【0041】
方法の第4のステップとして、複数のコーナー軌跡の交差する円弧を切断するステップS4が遂行されてもよい。
【0042】
図7は、サラウンドビュー投影に使用された場合の計算された軌道の1つの可能な可視化の略図を示す。基礎とされる軌跡は、実際の駐車状況から得られる。
【0043】
図7は、車両Vの車体VBの一点VBP、例えば、右フェンダーの頂部のような車両点のある点の移動方向を示す。
【0044】
なお、本発明の実施形態は、様々な主題を参照して記載される。特に、一部の実施形態は、方法型の請求項を参照して記載され、他の実施形態は、装置型の請求項を参照して記載される。
【0045】
しかし、当業者は、特に断りのない限り、1つの型の主題に属する特徴の任意の組合せに加え、異なる主題に関する特徴同士の任意の組合せも本願と共に開示されているとみなされることを、上記の記述から推測する。
【0046】
しかし、特徴は全て、そうした特徴の単なる足し合わせを超える相乗効果を提供するように組み合わせることができる。
【0047】
本発明を、図面及び上記説明において詳細に例示し説明したが、当該例示及び説明は、例示的であって、限定的であると見なすべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。
【0048】
開示された実施形態に対する他の変形態様は、図面、開示内容及び添付の請求項を検討することにより、請求項に係る発明を実施する当業者により理解され且つ実施され得る。
【0049】
請求項において、「備える、含む(comprising)」という用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又はコントローラ又は他のユニットが、請求項に記載される幾つかのアイテムの機能を実現し得る。
【0050】
ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという事実だけで、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。請求項におけるいかなる参照符号も範囲を限定するものとして解釈すべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7