(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ワイヤなしリモートセンス用のシステム、方法及び装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H02M3/00 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018055745
(22)【出願日】2018-03-23
【審査請求日】2021-03-18
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518100236
【氏名又は名称】バーサトル・パワー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Versatile Power, Inc.
【住所又は居所原語表記】743 Camden Avenue, Campbell, CA 95008, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ホフマン
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-129256(JP,A)
【文献】特開2003-304679(JP,A)
【文献】特開2012-39778(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0234399(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
G05F 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
電力を負荷に供給する電力変換回路と、
電力を前記電力変換回路から出力する出力端子と、
前記電力変換回路からの電力の出力を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、
較正
モードをトリガーする信号を受信すること、
前記較正モード中に、
前記電力変換回路を前記負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、前記電力変換回路を制御することであって、前記1つ又は2つ以上のリードは、前記遠位端にて短絡している、こと、
前記遠位端にて短絡した前記1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定すること、
前記電圧降下に基づいて決定されたパラメータを記憶することであって、前記パラメータは、前記電圧降下と、前記電圧降下及び前記既知の電流に基づいて計算された前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上を含む、こと、
前記1つ又は2つ以上のリード
の短絡
の除去によるインピーダンスの有意な変化を感知した後に前記較正モードを脱して動作モードとし、
前記動作モード中に、
ターゲット電圧を前記記憶されたパラメータに基づいて前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御すること、を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記負荷の前記ターゲット電圧
を表すターゲット電圧レベ
ルを受信すること、
前記ターゲット電圧レベルを前記負荷に供給するために前記電力変換回路の出力電圧を計算すること、を行うように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記電力変換回路によって供給された出力電流を測定し、前記制御装置は、前記出力電圧を、
前記ターゲット電圧レベル、及び、
前記出力電流と前記1つ又は2つ以上のリードの前記インピーダンスとの積を合計することによって計算する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記出力電圧を前記電力変換回路のスイッチング周波数にて計算する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムは、前記1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを備えていない、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記較正
モードをトリガーする前記信号を受信することに応答して較正モードに入る、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記電力変換回路の前記出力のデジタル制御を提供する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
電源装置の電力出力を制御する方法であって、
較正モード中に、
前記
電源装置の電力出力を出力する電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、前記電力変換回路を制御することであって、前記1つ又は2つ以上のリードは、前記遠位端にて短絡している、ことと、
前記遠位端にて短絡した前記1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定することと、
前記電圧降下から決定されたパラメータを記憶することであって、前記パラメータは、前記電圧降下と、前記電圧降下及び前記既知の電流に基づいて計算された前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上を含む、ことと、
前記1つ又は2つ以上のリードの短絡の除去によるインピーダンスの有意な変化を感知した後に前記較正モードを脱して動作モードとする、ことと、
前記動作モード中に、
ターゲット電圧を前記記憶されたパラメータに基づいて前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記動作モード中に、
前記負荷の前記ターゲット電圧
を表すターゲット電圧レベ
ルを受信することと、
前記ターゲット電圧レベルを前記負荷に供給するために前記電力変換回路の出力電圧を計算することと、を更に含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記電力変換回路によって供給された出力電流を測定することを更に含み、前記出力電圧を計算することは、前記出力電圧を、
前記ターゲット電圧レベル、及び、
前記出力電流と前記1つ又は2つ以上のリードの前記インピーダンスとの積を合計することによって計算することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記出力電圧を計算することは、前記出力電圧を、前記電力変換回路のスイッチング周波数にて計算することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記ターゲット電圧を前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御することは、前記1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを使用して電圧を負荷にて又はその近傍で測定することなく制御することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
較正をトリガーする信号を受信することに応答して前記較正モードに入ることを更に含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
1つ又は2つ以上のプロセッサに、
較正
モードをトリガーする信号を受信すること、
前記較正モード中に、
電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、前記電力変換回路を制御することであって、前記1つ又は2つ以上のリードは、前記遠位端にて短絡している、こと、
前記遠位端にて短絡した前記1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定すること、
前記電圧降下から決定されたパラメータを記憶することであって、前記パラメータは、前記電圧降下と、前記電圧降下及び前記既知の電流に基づいて計算された前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上を含む、こと、
前記1つ又は2つ以上のリード
の短絡
の除去によるインピーダンスの有意な変化を感知した後に前記較正モードを脱して動作モードとし、
前記動作モード中に、
ターゲット電圧を前記記憶されたパラメータに基づいて前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御すること、を行わせる、コンピュータ
プログラム。
【請求項15】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
更に、
前記負荷の前記ターゲット電圧
を表すターゲット電圧レベ
ルを受信すること、
前記ターゲット電圧レベルを前記負荷に供給するために前記電力変換回路の出力電圧を計算すること、を行わせる、請求項1
4に記載のコンピュータ
プログラム。
【請求項16】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
更に、
前記電力変換回路によって供給された出力電流を測定することを行わせ、
前記出力電圧を計算することは、前記出力電圧を、前記ターゲット電圧レベル、及び、前記出力電流と前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとの積を合計することによって計算することを含む、請求項1
5に記載のコンピュータ
プログラム。
【請求項17】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記出力電圧を、前記電力変換回路のスイッチング周波数にて計算することによって前記出力電圧を計算することを行わせる、請求項1
5に記載のコンピュータ
プログラム。
【請求項18】
前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを使用して電圧を前記負荷にて又はその近傍で測定することなく、前記ターゲット電圧を前記負荷に供給するように、前記電力変換回路を制御することを行わせる、請求項1
4に記載のコンピュータ
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電源装置に関し、より詳細には、電源装置が電源装置と負荷との間のワイヤの電圧降下を補正することを可能にすることに関する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図2】リモートセンスコネクタを有する電源装置を例示する概略図である。
【
図3】一実施形態による、ワイヤレスリモートセンスを提供する電源装置を例示する概略図である。
【
図4】一実施形態による、制御装置の構成要素を例示する概略ブロック図である。
【
図5】一実施形態による、電力を負荷に供給する方法を例示する概略フローチャート図である。
【
図6】一実装形態による、電源装置システムを例示する概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
試験電源装置及び測定電源装置上の共通の機構であるリモートセンスは、システム又はユーザが電源装置と負荷との間のワイヤの電圧降下を補正することを可能にする。これは、負荷にて所望される電圧が実際に負荷に到達することに確実にする一助となることができるので重要な機構である。リモートセンスがなくても、(電源装置の出力端子などの)電源装置の出力は正確であり得るが、負荷に到達する電圧は、配電ワイヤに発生する電圧の降下に起因して少なくなる恐れがある。
【0004】
典型的には、電源装置は、出力を出力端子に非常に近い地点にて感知し、その感知地点での電圧を正確に調整するものである。
図1は、リモートセンス能力なしのベンチ電源装置100において使用され得る典型的な感知回路配置を例示する。電源装置100は、電気入力(図示せず)を出力端子104への電気出力に変換する電力変換電子品102を含む。例えば、ワイヤリードは、電力を負荷に供給するために出力端子104に接続され得る。センス増幅器106は、出力端子104近傍で出力を測定し、誤差増幅器108は、実効出力と基準110出力との誤差を検出する。電力変換電子品102は、誤差増幅器108の出力に基づいて出力を補正して、所望の出力レベルを提供する。この例では、センス増幅器106は、電源装置の出力端子104にて出力のみを感知する。
【0005】
基本的なリモートセンスを有する電源装置200を
図2に例示する。電源装置200は、追加のリモートセンスコネクタ202を含み、これにより、ユーザは、負荷から始まり、次いでセンス増幅器106にて又はその近傍で終端する一対のワイヤを接続することができる。小値抵抗器204は、電源装置の出力端子104近傍で出力に直に至るセンスラインと直列に追加されている。これらの抵抗器204によって、リモートセンスコネクタ202からのリモートセンス信号は、リモートセンスコネクタ202に接続されているセンスワイヤの抵抗が直列抵抗体204を有意に下回る限り出力端子104からの信号を無効にすることができる。リモートセンスワイヤがリモートセンスコネクタ202に装着されていない場合、抵抗器204は、センス増幅器106を出力端子104に接続する。
【0006】
図2のリモートセンス技術は広く使われているが、性能を制限する一部の重大な欠点がある。更に、頻発するこのトポロジに関連した故障機構がある。
【0007】
具体的には、第1の欠点及び故障点は、ノイズに起因する。
図2のものなど、基本的なリモートセンススキームで、ユーザは、電力ケーブル又はリードに加えて、第2のセットのリードを負荷までに走らせることが必要とされる。センスリードに関する共通の問題は、それらが長く、環境からノイズを拾いやすいことである。センスリードが結局は電源装置200を制御するフィードバックとして使用されるセンス増幅器106に至るので、センスリードによって拾われるノイズがあれば、電源装置200によって増幅されることになり、出力上のはるかに多くのノイズとして現れることになる。これによって、結果的に、出力の望ましくない発振を伴うノイズが多い出力が、電源装置200によって供給されるか、又は、電源装置200の故障さえ発生する恐れがある。
【0008】
したがって、ノイズ源を回避するために、センスリードに関して多大な配慮を講じなければならない。問題を排除するために電源装置200自体の出力端子104に接続される出力リードさえ回避しなければならないことが多い。こういう理由から、小値抵抗器204は、通常、リモートセンスコネクタ202と出力端子104との間で使用される。大値抵抗器が使用される場合、リモートセンスの入力インピーダンスは、ノイズ問題を克服しがたいほど高いであろう。残念ながら、抵抗器は、グラウンドループの問題に起因するノイズ問題がないほど小さくすることができず、グラウンドループ問題を更に以下で論じる。出願人は、既存のリモートセンスシステムを有する電源装置では注入されたノイズの問題から生じる電源装置故障を含む継続中の問題が発生していることを認識した。
【0009】
ノイズに加えて、基本的なリモートセンススキームに関する別の重大な問題は、グラウンドループの可能性である。いずれの電源装置、特に高電流電源装置も、電源装置の出力を負荷に接続するワイヤ又はリードの有意な電圧降下が発生する可能性がある。こういう理由からリモートセンシングが使用される。残念ながら、負荷に至るリードが普通より短尺であるか又は偶発的に断路した場合、電源装置内部リモートセンス回路の損傷が生じる可能性がある。これが発生するのは、負荷ワイヤにわたる降下があれば、センス回路において必要である2つの直列抵抗器にわたって反映されるからである。どちらかの負荷ワイヤが瞬間的に開放されるか、又は、負荷ワイヤの降下が十分である場合、センス抵抗器は、ワイヤが不良となる原因になるほどの電流を導くことになる。これが、多くの電源装置における戻りのよくある原因である。
【0010】
上記の観点から、出願人らは、ワイヤなしリモートセンス用のシステム、方法、及び装置を開発した。一実施形態では、電源装置システムは、電力を負荷及び出力端子に供給する電力変換回路を含み、出力端子は、電力を電力変換回路から出力する。システムは、電力変換回路からの電力の出力を制御する制御装置も含む。制御装置は、較正をトリガーする信号を受信するように構成されている。制御装置は、電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、電力変換回路を制御し、1つ又は2つ以上のリードは、遠位端にて短絡している。制御装置は、遠位端にて短絡した1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定する。制御装置は、電圧降下に基づいて決定されたパラメータを記憶する。パラメータとしては、電圧降下と、電圧降下及び既知の電流に基づいて計算された1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上が挙げられ得る。制御装置は、1つ又は2つ以上のリードが負荷にて短絡していないときにターゲット電圧を記憶されたパラメータに基づいて負荷に供給するように電力変換回路を制御する。
【0011】
多くの試験用電源装置及び測定用電源装置は、アナログ制御ループで設計されている。一部は、ユーザ用のデジタル前面パネル及びデジタルインターフェースを有し得るが、電源装置の実際の制御は、それでもアナログ回路で行われている。一実施形態では、電源装置システムは、完全デジタル制御で設計された制御装置を含む。デジタル制御は、制御装置がアナログ制御ループで可能ではないことを行うことを可能にし得る。例えば、制御装置は、制御ループをリアルタイムで変えて多くの形式の負荷に対応することができる。電源装置の性能も、特定の負荷又はユーザの要求に合うように調整することができる。
【0012】
リモートセンスの場合、デジタル制御は、上述したノイズ及びグラウンドループの問題を排除し、更なる利点を提供追加するために使用され得る。一実施形態では、負荷に至る電力リード以外にはリードは不要である。これによって、負荷に供給される電圧又は電力レベルの精度を失うことなくノイズに敏感な余分なワイヤをシステムに追加するコスト及び取り組みが排除される。これによって、出力端子とセンス増幅器(例えば、
図2を参照されたい)との間の抵抗器の排除も可能である。これは、負荷電流を感知して、負荷に対するリードの抵抗を決定することによって達成することができる。負荷電流及び負荷に対するリードの抵抗がわかると、オームの法則を用いて、電源装置の出力上で必要な電圧を決定して負荷上の適切な電圧を得ることができる。デジタル制御電源装置では、出力電流を検出することができ、出力電圧必要量を電源装置のスイッチング周波数にて計算することができる。少なくとも一実施形態では、本明細書で開示するワイヤレスリモートセンシングの実施形態は、有線リモートセンススキームよりも迅速に負荷電流の変動に応答することができる。
【0013】
構成は、リードの抵抗を決定する較正プロセス又はモードを含み得、リードの抵抗は、電力を負荷に供給するために使用されることになる。これを行うために、ユーザは、負荷を電源装置に任意の選ばれたワイヤを介して接続し得る。次に、ユーザは、ワイヤの端部を接触させる、つまり、端部を導体で短絡させることによってなど、電源装置出力部をワイヤの負荷端部にて短絡させる。この時点で、ユーザは、入力を電源装置に(例えば、前面パネル又は他のインターフェースを介して)供給してワイヤ抵抗を較正し得る。この間に、電源装置は、ワイヤ抵抗を取得又は計算し得る。これが行われると、ユーザは、短絡を負荷から(又はワイヤの端部にて)除去することができるので、電源装置は、負荷変動があれば自動的に補正することになる。センスワイヤがないので、ノイズをセンスワイヤから拾う可能性がない。またグラウンドループの可能性もない。更に、損傷する可能性があるセンス抵抗器がないので負荷ワイヤ補償電圧量の制限があり得る。
【0014】
本明細書で開示する実施形態は、余分なワイヤをワイヤリモートセンスのために追加する必要性を除去し得、注入されたノイズ又はグラウンドループのリスクを除去し得る。非常に正確で非常に迅速な調整を負荷にてワイヤなし、かつ、単純な1回の構成で行うことができる。
【0015】
本開示の実施形態によるシステム及び方法の詳細な説明を以下で提示する。いくつかの実施形態を説明するが、本開示はいずれの一実施形態に限定されず、その代わりに数多くの代替物、変更例及び均等物を包含することを理解されたい。更に、本明細書で開示する実施形態を完全に理解することができるようにするために数多くの特定の詳細を以下の説明において述べるが、一部の実施形態は、これらの詳細の一部又は全部がなくても実施され得る。更に、明瞭さのために、関連した技術分野において既知である特定の技工物は、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために詳細な説明を割愛している。
【0016】
図3は、ワイヤレスリモートセンスを提供する電源装置システム300を例示する概略図である。システム300は、入力電力(図示せず)を出力電力に出力端子304にて変換する電力変換回路302を含む。システム300は、電流センス抵抗器318にわたる電流を感知する電流センス増幅器306と、電力変換回路302によって供給された電圧を感知する電圧センス増幅器308とを含む。システム300はまた、電力変換回路302の出力を制御する制御装置312も含む。電力を負荷に供給するために使用される/されることになるワイヤ314は、出力端子304に接続されていると示されている。例えば、負荷は、ワイヤコネクタ316にワイヤ314の遠位端にて接続され得る。R1及びR2は、ワイヤ314の抵抗を表す。ワイヤ314は試験又はベンチ電源装置において長尺であり得るので、R1及びR2は、ワイヤを無視することができないほどの大きさであり得る。
【0017】
一実施形態では、制御装置312は、複数の異なるモードで動作するように電源装置システム300を制御し得る。1つのモードは、較正モードであり得る。較正モードは、電源装置システム300を較正してワイヤ314の抵抗を補正するために使用され得る。一実施形態では、電源装置システム300のユーザインターフェースは、較正モードに入るボタンを含み得る。例えば、ユーザは、ワイヤ314をワイヤコネクタ316にて短絡させて、次いで、ボタンを選択し得る。ワイヤコネクタ316が短絡した状態で、制御装置312は、電力変換回路302に電流をワイヤ314に供給させ得る。電流は、所定の既知の電流、又は、電流センス抵抗器318及び電流センス増幅器306を使用して測定された電流であり得る。次いで、制御装置312は、電圧センス増幅器308を使用して出力端子304間の電圧を測定し得る。測定された電圧及び既知の電流は、ワイヤ314にわたる総ワイヤ抵抗(例えば、R1+R2)を決定するために使用され得る。例えば、オームの法則が、R1+R2を以下の方程式1を使用して解くために使用され得る。
【0018】
【0019】
方程式1では、ワイヤ抵抗Rワイヤは、ワイヤ314の全抵抗(例えば、R1+R2)を表し得る。I供給は、ワイヤコネクタ316にて短絡しているワイヤ314にわたる電流を表し得る。更には、V測定は、電圧センス増幅器308によって測定/感知された電圧を表し得る。次いで、ワイヤ抵抗は、動作モード中に使用されるように制御装置312によって記憶され得る。
【0020】
動作モードでは、ワイヤコネクタ316間の短絡は除去され得るので、制御装置312は、計算を行って、所望の電圧レベルを負荷に供給するように電力変換回路302を制御し得る。例えば、ワイヤ314の抵抗が(Rワイヤ)がわかって記憶されていると、電源装置システム300は、負荷(例えば、ワイヤコネクタ316にて)での所望の電圧レベルを正確に供給することができる。一実施形態では、制御装置312は、負荷に至るワイヤの遠位端での(ワイヤコネクタ316での)所望の電圧となる出力電圧を以下の方程式2を使用して計算し得る。
V出=V負荷+I出×Rワイヤ 方程式2
【0021】
方程式2では、V負荷は、負荷での所望の電圧レベルを表す。例えば、V負荷は、電源装置システム300のユーザインターフェース上のユーザによって入力された電圧レベルであり得る。V出は、出力端子304での電源装置システム300の出力電圧を表す。I出は、電流センス増幅器306によって測定/感知された特定の時点での電流を表す。Rワイヤは、較正モード中に記憶及び/又は決定されたものであり、いつでもメモリ又は記憶装置から検索することができるワイヤ314の抵抗を表す。
【0022】
したがって、較正モード及び動作モードに関して、電源装置システム300は、所望の電圧を負荷に供給することができる。一実施形態では、ワイヤコネクタ316に又は負荷近傍で接続されたワイヤは、不要であり、なぜならば、制御装置312は、必要とされる電圧を測定された電流及びワイヤ314の記憶された抵抗谷(vales)に基づいて計算されることができるからである。実際上、リモートセンス機能性は、これらのワイヤがなくても提供される。リモートセンスワイヤの排除によって、注入されたノイズ又はグラウンドループの問題が軽減する。更に、出力は制御装置312によって計算され得るので、出力のリアルタイム制御をほとんど遅延なく取得することができる。例えば、制御装置312は、V出値を電力変換回路302のスイッチング周波数にて計算及び再計算し得る。したがって、制御装置312を使用する出力のこの「デジタル制御」によって、極めて正確であり一貫した負荷電圧を長い接続ワイヤでさえ負荷に供給することができる。
【0023】
図4は、制御装置312の構成要素を例示する概略ブロック図である。一実施形態では、制御装置312は、較正モード及び動作モードの両方を提供するチップ上のマイクロコントローラ、プロセッサ、コンピュータ、又は、他のコンピューティングデバイス、処理装置、又は回路を含み得る。一実施形態では、制御装置312は、電源装置システム並びにワイヤレスリモートセンスの完全なデジタル制御を可能にする。負荷での電圧は、直に感知されないが、較正モード中に取得された既知のワイヤ又はケーブル抵抗に基づいて正確に計算することができる。
【0024】
制御装置312は、複数の構成要素を含み、複数の構成要素としては、電源装置システムの制御を提供する回路、コンピュータ可読メモリなどを挙げ得る。制御装置312は、モード構成要素402と、較正構成要素404と、測定構成要素406と、負荷構成要素408と、出力構成要素410と、記憶装置412とを含む。構成要素402~412は、一例としてのみ示されており、全ての実施形態において全て含まれ得るわけではない。構成要素402~412のそれぞれは、制御装置312又は別個の装置、構成要素又はシステムの一部内に含まれ得るか、又は、それによって実装され得る。
【0025】
モード構成要素402は、制御装置312つまり親電源装置システムの電流モード又は動作状態を制御するように構成されている。一実施形態では、モード構成要素402は、電流モードを複数の異なる利用可能なモードから決定する。一実施形態では、複数の異なるモードとしては、較正モード及び動作モードが挙げられる。較正モードでは、制御装置312は、電力を負荷に供給するために使用されるか又は使用されることになるワイヤリードの抵抗を決定し得る。モード構成要素402は、制御装置312に、較正をトリガーする信号をユーザから受信することに応答して較正モードに入らせ得る。例えば、ユーザは、負荷ワイヤの遠位端を短絡させ、次いで、電源装置を較正するユーザインターフェースオプションを選択し得る。インターフェースは、較正モードがユーザによってトリガーされたことを示す信号を制御装置312又はモード構成要素402に供給し得る。較正モードは、電力を負荷に供給するために使用されているリード又はワイヤの抵抗を決定し得る。これは、リモートセンスワイヤを必要とすることなく、及び、関連の課題及び欠点なくリモートセンスと類似の動作を可能にする。
【0026】
一実施形態では、モード構成要素402は、電源装置が選択した電圧又は電力レベルを出力する動作モードにデフォルトし得る。例えば、ユーザは、所望の電圧レベルを電源装置のインターフェースを介して供給することができ得る。動作モードでは、制御装置312は、その所望の電圧レベル又は電力レベルを負荷に供給しようとし得る。一実施形態では、モード構成要素402は、較正モードがトリガーされてから予め定義された時間後に制御装置312に動作モードに入らせ得る。一実施形態では、モード構成要素402は、制御装置312にインピーダンスの有意な変化を感知した後に較正モードを出させ得、インピーダンスの有意な変化は、電力を負荷に供給するために使用されたリード又はワイヤの遠位端にわたる短絡の除去を反映し得る。
【0027】
較正構成要素404は、制御装置312及び/又は電源装置の動作を較正するように構成されている。較正構成要素404は、較正プロセスを実行して、電力を負荷に供給するために使用されることになる/使用されているリードワイヤの抵抗を取得又は決定し得る。較正モードでは、較正構成要素404は、制御装置に、リードワイヤの遠位端が短絡している間に既知の電流を供給させ、電圧降下を電源装置の出力部にて測定させ、抵抗又は電圧降下をその後の検索のために記憶させ得る。例えば、較正構成要素404は、制御装置312に、電力変換回路を使用して、1つ又は2つ以上のリードが遠位端にて短絡しているときに既知の電流を供給させ、次いで、電圧降下を測定させ得る。電流は、測定のために、又は、電源装置が正確に特定の既知の電流を供給するように設計されているために既知のものであり得る。
【0028】
次いで、電圧降下は、既知の電流と組み合わせて、リードワイヤの抵抗をオームの法則を用いて計算するために使用され得る。例えば、ワイヤの抵抗は、電圧降下÷電流(方程式1を参照されたい)に等しくなる。この抵抗又は何らかの他の値は、制御装置312によってパラメータとして記憶され得る。例えば、制御装置312は、1つ又は2つ以上のレジスタ又は他のコンピュータ可読媒体を含み得、較正プロセスから得られた電圧降下、電流レベル、及び/又は抵抗は、その後の検索のために記憶され得る。電圧降下、抵抗、又は他のパラメータは、記憶装置412に記憶され得る。
【0029】
測定構成要素406は、電流、電圧、又は他のパラメータの測定値を取得するように構成されている。一実施形態では、測定構成要素406は、(
図3の電圧センス増幅器308などの)電圧センス増幅器を使用して電圧測定値を取得するように構成されている。電圧測定値は、電源装置システムの出力端子又はその近傍での電圧を含み得る。一実施形態では、測定構成要素406は、(
図3の電流センス増幅器306などの)電流センス増幅器を使用して電流測定値を取得するように構成されている。電流測定値は、電源装置の出力端子を介して供給された電流量を示し得る。測定構成要素406は、測定を較正モード、動作モード、又は任意の他のモード中に実行し得る。
【0030】
負荷構成要素408は、負荷に供給される電圧レベル、電流レベル、及び/又は電力レベルを決定するように構成されている。一実施形態では、制御装置312は、負荷に供給される選択した電圧レベルの表示を受信する。例えば、電源装置は、デジタル前面パネルを含み得、デジタル前面パネルに、ユーザは、負荷に供給されるべきである電圧レベルを選択する入力を供給することができる。次いで、ユーザによって供給された電圧レベルは、電源装置が負荷に供給しようとするターゲット電圧レベルであり得る。負荷構成要素408及び/又は前面パネルは、負荷に供給される電圧のデジタル制御を可能にし得る。電源装置の出力のデジタル制御を提供し得る出力構成要素と組み合わせて、完全なデジタル制御が、電力を負荷に供給するために利用可能であり得る。
【0031】
出力構成要素410は、電力を負荷に電源装置の出力端子を介して供給するように構成されている。一実施形態では、出力構成要素410は、電源装置の出力を動作モード中に制御する。出力構成要素410は、負荷構成要素408によって取得又は決定されたターゲット電圧レベル、電流レベル、又は電力レベルを満たす電力出力を供給し得る。
【0032】
一実施形態では、出力構成要素410は、ターゲット電圧を負荷にて供給するために必要とされる出力電圧を計算する。先に論じたように、電力を負荷に供給するために使用されたリードワイヤは、電圧降下を引き起こし得、その結果、負荷は、電源装置の出力端子と異なる電圧を受け取る。出力構成要素410は、必要とされる出力を、較正モード中に取得されて記憶装置412に記憶されたリードワイヤの抵抗など、パラメータに基づいて計算し得る。一実施形態では、出力構成要素は、出力電圧を、ターゲット電圧レベル、及び、出力電流と1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとの積を合計することによって計算する。例えば、出力構成要素410は、ターゲット電圧が負荷にて存在するように、方程式2(上記)の計算を実行して電力変換回路の出力電圧を計算し得る。
【0033】
ワイヤの抵抗が記憶されるので、出力構成要素410は、極めて正確であり高帯域の電圧補正を提供するために、所望の頻度で出力電圧を計算し得る。例えば、出力構成要素410は、出力電圧を電力変換回路のスイッチング周波数にて計算し得る。これは、有意により速くより正確な反応及び一貫した電圧をアナログ電圧制御にわたって負荷にて可能にし得る。更に、負荷での電圧を決定するために使用されるワイヤがないことからグラウンドループ及びノイズに関する問題が排除される。
【0034】
記憶装置412は、制御装置312内の内部フラッシュメモリ又は他のコンピュータ可読メモリを含み得る。制御装置312内の内部メモリの使用は、ワイヤレスリモートセンスの単純かつ安価な実装形態を可能にし得、なぜならば、シングルチップマイクロコントローラが使用され得るからである。
【0035】
図5は、電源装置制御の例示的な方法500を例示する概略フローチャート図である。方法500は、
図3又は
図4の制御装置312又は
図3の電源装置など、電源装置又は電源装置の制御装置によって実行され得る。
【0036】
方法500が始まると、モード構成要素402は、502にて、較正をトリガーする信号を受信する。モード構成要素402は、信号に応答して電源装置を較正モードにし得る。較正構成要素404は、504にて、電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、電力変換回路を制御する。1つ又は2つ以上のリードは、既知の電流の印加中に遠位端にて短絡する。測定構成要素406が、506にて、遠位端にて短絡した1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定する。較正構成要素404は、508にて、電圧降下に基づいて決定されたパラメータを記憶する。パラメータは、制御装置又はマイクロコントローラのレジスタ又はメモリに記憶され得る。パラメータとしては、電圧降下、又は電圧降下及び既知の電流に基づいて計算された1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスのうちの1つ又は2つ以上を挙げ得る。出力構成要素510は、510にて、1つ又は2つ以上のリードが負荷にて短絡していないときにターゲット電圧を記憶されたパラメータに基づいて負荷に供給するように電力変換回路を制御する。例えば、計算された出力電圧を負荷に印加すると、結果的に、ターゲット電圧が負荷にて生じ得る。
【0037】
図6をここで参照すると、例示的なデジタル的に制御電源装置システム600のブロック図が例示されている。システム600は、
図3、
図4、及び
図5の実施形態を実装するために使用され得る。システム600は、内部メモリ604を有するマイクロコントローラを含む。マイクロコントローラ602は、
図3又は
図4の制御装置312として使用され得る。内部メモリ604としては、マイクロコントローラ602内の内部フラッシュメモリを挙げ得る。一実施形態では、較正中に計算される抵抗値が、内部メモリ604に記憶される。内部メモリ602の存在は、単にそしてシステムのコストを低減し得、なぜならば、高価な外部メモリ又は記憶装置が不要であり得るからである。
【0038】
システム600は、入力装置606と表示装置608とを含む。一実施形態では、入力装置606は、押しボタンと2つのロータリエンコーダとを含む。押しボタンは、較正モードを選択するなど、マイクロコントローラ602及びシステム600のモードを選択するために使用され得る。ロータリエンコーダは、システム600の電圧レベル、電流レベル若しくは他の出力レベル又はパラメータの選択を可能にし得る。表示装置608は、現在選択されているモード、電圧、又は、パラメータを示す小文字表示を含み得る。表示装置608は、ユーザが入力装置606を使用して入力を制御及び供給することを可能にする視覚インターフェースを表示し得る。
【0039】
システム600は、また、電力変換及び感知回路610を含む。電力変換回路は、(例えば、壁部、生地(batter)又は他の電源からの)インプット電力を出力電力に変換し得る。電力変換回路の出力電力は、入力装置606及び表示装置608を使用してユーザによって供給された入力値に適合するようにマイクロコントローラ602によって制御され得る。感知回路は、出力パラメータを電力変換回路のために測定して、感知された値をマイクロコントローラ602に電力変換回路の出力のデジタルフィードバック制御のために供給し得る。
【0040】
実施例
以下の実施例は、更なる実施形態に関連する。
【0041】
実施例1は、電力を負荷に供給する電力変換回路を含むシステムである。システムは、出力端子を含み、出力端子は、電力を電力変換回路から出力する。システムは、電力変換回路からの電力の出力を制御する制御装置を含む。制御装置は、較正をトリガーする信号を受信するように構成されている。制御装置は、電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、電力変換回路を制御するように構成されており、1つ又は2つ以上のリードは、遠位端にて短絡している。制御装置は、遠位端にて短絡した1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定するように構成されている。制御装置は、電圧降下に基づいて決定されたパラメータを記憶するように構成されており、パラメータとしては、電圧降下と、電圧降下及び既知の電流に基づいて計算された1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。制御装置は、1つ又は2つ以上のリードが負荷にて短絡していないときにターゲット電圧を記憶されたパラメータに基づいて負荷に供給するように、電力変換回路を制御するように構成されている。
【0042】
実施例2では、実施例1の制御装置は、更に、負荷のターゲット電圧レベルの表示を受信して、ターゲット電圧レベルを負荷に供給するために電力変換回路の出力電圧を計算するように構成されている。
【0043】
実施例3では、実施例2の制御装置は、電力変換回路によって供給された出力電流を測定し、制御装置は、出力電圧を、ターゲット電圧レベル、及び、出力電流と1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとの積を合計することによって計算する。
【0044】
実施例4では、実施例2~3のいずれかのような制御装置は、出力電圧を電力変換回路のスイッチング周波数にて計算する。
【0045】
実施例5では、実施例1~4のいずれかのようなシステムは、1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを含まない。
【0046】
実施例6では、実施例1~5のいずれかの制御装置は、較正をトリガーする信号を受信することに応答して較正モードに入る。
【0047】
実施例7では、実施例6の制御装置は、較正モード中に、既知の電流を供給し、電圧降下を測定し、パラメータを記憶するように電力変換回路を制御するように構成されている。制御装置は、動作モード中に、ターゲット電圧を供給するように電力変換回路を制御するように構成されている。
【0048】
実施例8では、実施例1~7のいずれかのような制御装置は、電力変換回路の出力のデジタル制御を提供する。
【0049】
実施例9は、電源装置の電力出力を制御する方法である。この方法は、較正モード中に、電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、電力変換回路を制御することを含み、1つ又は2つ以上のリードは、遠位端にて短絡している。この方法は、較正モード中に、遠位端にて短絡した1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定することを含む。この方法は、較正モード中に、電圧降下から決定されたパラメータを記憶することを含み、パラメータとしては、電圧降下と、電圧降下及び既知の電流に基づいて計算された1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。この方法は、動作モード中に、1つ又は2つ以上のリードが負荷にて短絡していないときにターゲット電圧を記憶されたパラメータに基づいて負荷に供給するように電力変換回路を制御することを含む。
【0050】
実施例10では、実施例9の方法は、更に、動作モード中に、負荷のターゲット電圧レベルの表示を受信して、ターゲット電圧レベルを負荷に供給するために電力変換回路の出力電圧を計算することを含む。
【0051】
実施例11では、実施例10の方法は、電力変換回路によって供給された出力電流を測定することを更に含み、出力電圧を計算することは、出力電圧を、ターゲット電圧レベル、及び、出力電流と1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとの積を合計することによって計算することを含む。
【0052】
実施例12では、実施例10~11のいずれかのような出力電圧を計算することは、出力電圧を電力変換回路のスイッチング周波数にて計算することを含む。
【0053】
実施例13では、実施例9~12のいずれかのようにターゲット電圧を負荷に供給するように電力変換回路を制御することは、1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを使用して電圧を負荷にて又はその近傍で測定することなく制御することを更に含む。
【0054】
実施例14では、実施例9~14のいずれかのような方法は、較正をトリガーする信号を受信することに応答して較正モードに入ることを更に含む。
【0055】
実施例15は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるとき、1つ又は2つ以上のプロセッサにリモートセンス較正をトリガーする信号を受信させる命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体である。命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサに、電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、電力変換回路を制御させ、1つ又は2つ以上のリードは、遠位端にて短絡している。命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサに、遠位端にて短絡した1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定させる。命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサに、電圧降下から決定されたパラメータを記憶させ、パラメータとしては、電圧降下、又は電圧降下及び既知の電流に基づいて計算された1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスのうちの1つ又は2つ以上が挙げられる。命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のリードが負荷にて短絡していないときにターゲット電圧を、記憶されたパラメータに基づいて負荷に供給するように、電力変換回路を制御させる。
【0056】
実施例16では、命令は、実施例15の1つ又は2つ以上のプロセッサに、負荷のターゲット電圧レベルの表示を受信させて、ターゲット電圧レベルを負荷に供給するために電力変換回路の出力電圧を計算させる。
【0057】
実施例17では、命令は、実施例16の1つ又は2つ以上のプロセッサに、電力変換回路によって供給された出力電流を測定させ、出力電圧を計算することは、出力電圧を、ターゲット電圧レベル、及び、出力電流と1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとの積を合計することによって計算することを含む。
【0058】
実施例18では、実施例16~17のいずれかのような命令は、出力電圧を電力変換回路のスイッチング周波数にて計算することによって出力電圧を計算すること。
【0059】
実施例19では、実施例15~18のいずれかのような命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサに、1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを使用して電圧を負荷にて又はその近傍で測定することなくターゲット電圧を負荷に供給するように電力変換回路を制御させる。
【0060】
実施例20では、実施例16~19のいずれかのような命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサに、較正モード中に既知の電流を供給し、電圧降下を測定し、パラメータを記憶するように電力変換回路を制御させ、かつ、動作モード中にターゲット電圧を供給するように電力変換回路を制御させる。
【0061】
実施例21は、実施例1~20のいずれかのように方法を実行するか、又は、システム又は装置を実現する手段を含む装置である。
【0062】
様々な技術もしく特定の態様又は部分は、フロッピーディスケット、CD-ROM、ハードドライブ、非一時的コンピュータ可読記憶媒体、又は、任意の他の機械可読記憶媒体など、有形の媒体において具現化されたプログラムコード(即ち、命令)の形を取り得、プログラムコードがコンピュータなど機械に取り込まれて実行されるとき、機械は、様々な技術を実施する装置になる。プログラム可能なコンピュータ上でのプログラムコード実行の場合、コンピューティングデバイスは、プロセッサと、プロセッサによって読取り可能な(揮発性メモリ及び不揮発性メモリ及び/又は記憶素子を含む)記憶媒体と、少なくとも1つの入力装置と、少なくとも1つの出力装置とを含み得る。揮発性メモリ及び不揮発性メモリ及び/又は記憶素子は、RAM、EPROM、フラッシュドライブ、光学ドライブ、磁気ハードドライブ、又は、電子データを記憶する別の媒体であり得る。様々な本明細書で説明する技術を実装又は利用し得る1つ又は2つ以上のプログラムは、アプリケーションプログラミングインタフェース(API)、再使用可能な制御などを使用し得る。そのようなプログラムは、コンピュータシステムと通信するためにハイレベル手続き型プログラミング言語又はオブジェクト指向プログラミング言語で実装され得る。しかしながら、プログラムは、所望であればアセンブリ言語又は機械言語で実装され得る。いずれにしても、言語は、編集又は解釈された言語であって、ハードウェア実装形態と組み合わされ得る。
【0063】
本明細書で説明する機能装置の多くが1つ又は2つ以上の構成要素として実装され得、これは、実装独立性をより詳細に強調するために使用された条件であることを理解されたい。例えば、構成要素は、特殊超大規模集積(VLSI)回路又はゲートアレイ、論理チップ、トランジスタ、又は、他の個別構成部品などの市販品半導体を備えるハードウェア回路として実装され得る。構成要素は、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラム可能アレイ論理、プログラマブル論理デバイスなどのプログラム可能なハードウェアデバイスにおいても実装され得る。
【0064】
構成要素は、様々な形式のプロセッサによる実行のためにソフトウェアにも実装され得る。実行可能なコードの識別されたコンポーネントが、例えば、オブジェクト、手順、又は機能として構成され得る、例えば、コンピュータ命令の1つ又は2つ以上の物理ブロック又は論理的ブロックを備え得る。それにもかかわらず、識別されたコンポーネントの実行可能ファイルは、物理的にともに位置する必要がなく、異なる場所に記憶された異種の命令を備え得、異種の命令は、論理的にともに結合されたとき、コンポーネントを構成し、規定された目的をコンポーネントについて達成する。
【0065】
実際には、実行可能なコードのコンポーネントは、単一の命令又は多くの命令であり得、いくつかの異なるコードセグメントで、異なるプログラム間で、かつ、いくつかの記憶装置にわたって配信さえされ得る。同様に、運用データが識別され、構成要素内に本明細書で例示される場合があり、任意の好適な形態で具現化され、任意の好適な形式のデータ構造内で構成され得る。運用データは、単一のデータセットとして収集され得るか、又は、異なる記憶装置上を含む異なる場所にわたって配信され得、少なくとも部分的に、単にシステム又はネットワーク上の電子信号として存在し得る。コンポーネントは、所望の機能を実行する動作可能なエージェントを含み、受動的又は能動的であり得る。
【0066】
本明細書を通した「実施例」への言及は、実施例に関連して説明する特定の機構、構造、又は特性が本開示の少なくとも一実施形態内に含まれていることを意味する。したがって、語句「実施例では」が本明細書を通して様々な場所で登場しても、必ずしも全て同じ実施形態を指しているわけではない。
【0067】
本明細書で使用するとき、複数の項目、構造要素、構成要素、及び/又は材料が、便宜上共通のリストで提示されている場合がある。しかしながら、これらのリストは、あたかもリストのそれぞれの要素が別個かつ独自の要素と個別に識別されるように解釈されたい。したがって、そのようなリストの個々の要素は、単にそれとは反対に表示なく共通のグループにおける提示に基づいて同じリストの任意の他の要素の事実上の等価物と解釈されたい。更に、本開示の様々な実施形態及び実施例が、様々な構成要素の代替物とともに本明細書で参照されている場合がある。了解事項として、そのような実施形態、実施例、及び代替物は、互いの事実上の均等物と解釈せず、本開示の別個かつ自律的な表現とみなされたい。
【0068】
上記は明瞭さを期すためにある程度詳細に説明したが、特定の変更及び修正がその原理から逸脱することなく行われ得ることが明らかであろう。本明細書で説明するプロセス及び装置を実装する多くの別な方法があることに注意されたい。したがって、本発明の実施形態は、例示的であって制限的ではないとみなされたい。
【0069】
当業者は、多くの変更が本開示の根本的な諸原理から逸脱することなく上記の実施形態の詳細に行われ得ることが認識するであろう。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されたい。
【0070】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
電力を負荷に供給する電力変換回路と、
電力を前記電力変換回路から出力する出力端子と、
前記電力変換回路からの電力の出力を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、
較正をトリガーする信号を受信すること、
前記電力変換回路を前記負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、前記電力変換回路を制御することであって、前記1つ又は2つ以上のリードは、前記遠位端にて短絡している、こと、
前記遠位端にて短絡した前記1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定すること、
前記電圧降下に基づいて決定されたパラメータを記憶することであって、前記パラメータは、前記電圧降下と、前記電圧降下及び前記既知の電流に基づいて計算された前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上を含む、こと、
前記1つ又は2つ以上のリードが前記負荷にて短絡していないときに、ターゲット電圧を前記記憶されたパラメータに基づいて前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御すること、を行うように構成されている、システム。
(2) 前記制御装置は、
前記負荷の前記ターゲット電圧レベルの表示を受信すること、
前記ターゲット電圧レベルを前記負荷に供給するために前記電力変換回路の出力電圧を計算すること、を行うように更に構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記制御装置は、前記電力変換回路によって供給された出力電流を測定し、前記制御装置は、前記出力電圧を、
前記ターゲット電圧レベル、及び、
前記出力電流と前記1つ又は2つ以上のリードの前記インピーダンスとの積を合計することによって計算する、実施態様2に記載のシステム。
(4) 前記制御装置は、前記出力電圧を前記電力変換回路のスイッチング周波数にて計算する、実施態様2に記載のシステム。
(5) 前記システムは、前記1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを備えていない、実施態様1に記載のシステム。
【0071】
(6) 前記制御装置は、較正をトリガーする前記信号を受信することに応答して較正モードに入る、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記制御装置は、前記較正モード中に、前記既知の電流を供給し、前記電圧降下を測定し、前記パラメータを記憶するように前記電力変換回路を制御するように構成されており、
前記制御装置は、動作モード中に、前記ターゲット電圧を供給するように前記電力変換回路を制御するように構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記制御装置は、前記電力変換回路の前記出力のデジタル制御を提供する、実施態様1に記載のシステム。
(9) 電源装置の電力出力を制御する方法であって、
較正モード中に、
前記電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、前記電力変換回路を制御することであって、前記1つ又は2つ以上のリードは、前記遠位端にて短絡している、ことと、
前記遠位端にて短絡した前記1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定することと、
前記電圧降下から決定されたパラメータを記憶することであって、前記パラメータは、前記電圧降下と、前記電圧降下及び前記既知の電流に基づいて計算された前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上を含む、ことと、
動作モード中に、前記1つ又は2つ以上のリードが前記負荷にて短絡していないときに、ターゲット電圧を前記記憶されたパラメータに基づいて前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御することと、を含む、方法。
(10) 前記動作モード中に、
前記負荷の前記ターゲット電圧レベルの表示を受信することと、
前記ターゲット電圧レベルを前記負荷に供給するために前記電力変換回路の出力電圧を計算することと、を更に含む、実施態様9に記載の方法。
【0072】
(11) 前記電力変換回路によって供給された出力電流を測定することを更に含み、前記出力電圧を計算することは、前記出力電圧を、
前記ターゲット電圧レベル、及び、
前記出力電流と前記1つ又は2つ以上のリードの前記インピーダンスとの積を合計することによって計算することを含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記出力電圧を計算することは、前記出力電圧を、前記電力変換回路のスイッチング周波数にて計算することを含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 前記ターゲット電圧を前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御することは、前記1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを使用して電圧を負荷にて又はその近傍で測定することなく制御することを含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 較正をトリガーする信号を受信することに応答して前記較正モードに入ることを更に含む、実施態様9に記載の方法。
(15) 命令を記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
リモートセンス較正をトリガーする信号を受信すること、
前記電力変換回路を負荷に遠位端にて接続する1つ又は2つ以上のリードに既知の電流を供給するように、前記電力変換回路を制御することであって、前記1つ又は2つ以上のリードは、前記遠位端にて短絡している、こと、
前記遠位端にて短絡した前記1つ又は2つ以上のリードにわたる電圧降下を測定すること、
前記電圧降下から決定されたパラメータを記憶することであって、前記パラメータは、前記電圧降下と、前記電圧降下及び前記既知の電流に基づいて計算された前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとのうちの1つ又は2つ以上を含む、こと、
前記1つ又は2つ以上のリードが前記負荷にて短絡していないときに、ターゲット電圧を前記記憶されたパラメータに基づいて前記負荷に供給するように前記電力変換回路を制御すること、を行わせる、コンピュータ可読記憶媒体。
【0073】
(16) 前記1つ又は2つ以上の命令は、更に、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
前記負荷の前記ターゲット電圧レベルの表示を受信すること、
前記ターゲット電圧レベルを前記負荷に供給するために前記電力変換回路の出力電圧を計算すること、を行わせる、実施態様15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(17) 前記1つ又は2つ以上の命令は、更に、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
前記電力変換回路によって供給された出力電流を測定することを行わせ、
前記出力電圧を計算することは、前記出力電圧を、前記ターゲット電圧レベル、及び、前記出力電流と前記1つ又は2つ以上のリードのインピーダンスとの積を合計することによって計算することを含む、実施態様16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(18) 前記1つ又は2つ以上の命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記出力電圧を、前記電力変換回路のスイッチング周波数にて計算することによって前記出力電圧を計算することを行わせる、実施態様16に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(19) 前記1つ又は2つ以上の命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、前記1つ又は2つ以上のリードの遠位端に接続されたリモートセンスリードを使用して電圧を前記負荷にて又はその近傍で測定することなく、前記ターゲット電圧を前記負荷に供給するように、前記電力変換回路を制御することを行わせる、実施態様15に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
(20) 前記1つ又は2つ以上の命令は、前記1つ又は2つ以上のプロセッサに、
前記較正モード中に、前記既知の電流を供給し、前記電圧降下を測定し、前記パラメータを記憶するように前記電力変換回路を制御すること、
動作モード中に、前記ターゲット電圧を供給するように前記電力変換回路を制御すること、を行わせる、実施態様6に記載のシステム。