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特許7136617複数の粒子から成る凝集体モデルを生成する方法、システム及びプログラム
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  • 特許-複数の粒子から成る凝集体モデルを生成する方法、システム及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】複数の粒子から成る凝集体モデルを生成する方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/44 20060101AFI20220906BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20220906BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220906BHJP
【FI】
G01N33/44
G06F30/10
G06F30/20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018139188
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020016524
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日野 理
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-212925(JP,A)
【文献】特開2008-122154(JP,A)
【文献】特開2018-060413(JP,A)
【文献】特開2016-024177(JP,A)
【文献】特開2017-102025(JP,A)
【文献】Boel M,New method for simulation of Mullins effects using finite element method,Plastics, Rubber, and Composite,2005年,Vol.34 No.8,Page.343-348
【文献】日野理,実在架橋高分子の粗視化分子モデリング,日本機械学会計算力学講演会論文集(CD-ROM) ,2017年09月15日,Vol.30th,Page.ROMBUNNO.215
【文献】Schatz, Miroslav,Polymer-filler interaction I Polymer filler interaction parameters,Sbornik Vysoke Skoly Chemicko-Technologicke v Praze, C: Organicka Chemiea Technologie ,1973年,Vol.C20,Page.137-144
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/44
G06F 30/10
G06F 30/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、
凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データに基づき、三次元立体形状を複数の多面体要素に分割し、前記多面体要素を複数の節点と節点同士を結ぶ結合性とで表した多面体要素データを生成するステップと、
前記多面体要素データの節点座標に基づき粒子座標を取得するステップと、
前記多面体要素データの結合性に基づき、結合関係にある粒子及び結合距離を表す結合データを取得するステップと、
前記粒子座標に粒子が配置され、前記結合データに基づき結合関係にある粒子間に所定の結合相互作用が設定され、前記所定の結合相互作用の平衡粒子間距離に前記結合距離が設定されている、複数の粒子から成る凝集体モデルを生成するステップと、
を含む、凝集体モデルを生成する方法。
【請求項2】
前記多面体要素は、四面体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ドロネー分割により、前記三次元立体形状を複数の多面体要素に分割する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データに基づき、三次元立体形状を複数の多面体要素に分割し、前記多面体要素を複数の節点と節点同士を結ぶ結合性とで表した多面体要素データを生成する多面体要素データ生成部と、
前記多面体要素データの節点座標に基づき粒子座標を取得する粒子座標取得部と、
前記多面体要素データの結合性に基づき、結合関係にある粒子及び結合距離を表す結合データを取得する結合データ取得部と、
前記粒子座標に粒子が配置され、前記結合データに基づき結合関係にある粒子間に所定の結合相互作用が設定され、前記所定の結合相互作用の平衡粒子間距離に前記結合距離が設定されている、複数の粒子から成る凝集体モデルを生成する凝集体モデル生成部と、
を備える、凝集体モデルを生成するシステム。
【請求項5】
前記多面体要素は、四面体である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
ドロネー分割により、前記三次元立体形状を複数の多面体要素に分割する、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
請求項1~3のいずれかに記載の方法を1又は複数のプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィラーなど、複数の粒子から成る凝集体モデルを生成する方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ゴムにおいては、カーボンブラックやシリカなどの充填剤(フィラー)をゴムに混合することにより、力学特性を用途に応じて調節する。
【0003】
フィラーは、複数の粒子から成る凝集体である。フィラーを配合したゴムの分子シミュレーションは数多く行われているが、フィラーを球状の剛体として(フィラーを構成する粒子間の距離を一定値に保ちながら)処理している例が多い。
【0004】
しかし、実際には、フィラーは、複数の粒子の結合によって弾性を有し且つ非対称形状の物質であり、弾性と形状はフィラーを充填したゴムの物性に影響を与えると考えられる。
【0005】
したがって、弾性を有する任意形状のフィラー(凝集体モデル)を生成することは、分子シミュレーションの予測精度を高めるために必要であると考えられる。
【0006】
特許文献1には、複数のフィラー粒子から成るフィラーを任意形状で生成する手法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-24177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、複数のフィラー粒子を格子状に配列しておき、必要な形状に応じて切り取る手法を採用している。このような方法では、複数のフィラー粒子が格子状に配置されるという制約が生じるうえ、格子状の配置では、任意の形状を維持することが難しいと考えられる。
【0009】
本発明の目的は、複数の粒子から成る凝集体モデルを任意形状にて生成する方法、システム及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の凝集体モデルを生成する方法は、
1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、
凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データに基づき、三次元立体形状を複数の多面体要素に分割し、前記多面体要素を複数の節点と節点同士を結ぶ結合性とで表した多面体要素データを生成するステップと、
前記多面体要素データの節点座標に基づき粒子座標を取得するステップと、
前記多面体要素データの結合性に基づき、結合関係にある粒子及び結合距離を表す結合データを取得するステップと、
前記粒子座標に粒子が配置され、前記結合データに基づき結合関係にある粒子間に所定の結合相互作用が設定され、前記所定の結合相互作用の平衡粒子間距離に前記結合距離が設定されている、複数の粒子から成る凝集体モデルを生成するステップと、
を含む。
【0011】
このように、三次元立体形状を表す形状データを使用しているので、特殊な形状であっても任意の形状の凝集体モデルを生成可能となる。
多面体要素データの結合性に基づく結合データを用いるので、粒子間距離を算出して結合関係であるか否かの判定を行う必要がなく、さらに、結合相互作用の平衡粒子間距離の設定も簡素にできるので、簡素に結合相互作用を設定可能となる。
また、既存の三次元CADソフトウェアなどを利用して生成された形状データを、有限要素法モデルデータなどの多面体要素データに変換することにより、実装が容易となる場合がある。
したがって、簡素な手続きで、複数の粒子から成る凝集体モデルを任意形状にて生成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】凝集体モデルを生成するシステムを示すブロック図
図2】上記システムが実行する処理ルーチンを示すフローチャート
図3】三次元立体形状を複数の多面体要素に分割することに関する説明図
図4】多面体要素を構成する複数の節点及び節点同士を結ぶ結合性に関する説明図
図5】複数の粒子から成る凝集体モデルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
[凝集体モデルを生成するシステム]
本実施形態のシステム1は、分子動力学計算に用いられる、フィラーなどの、複数の粒子から成る凝集体モデルを生成する。
【0015】
図1に示すように、システム1は、形状データ取得部10と、多面体要素データ生成部11と、粒子座標取得部12と、結合データ取得部13と、凝集体モデル生成部14と、平衡化処理部15と、を有する。これら各部10~15は、プロセッサ、メモリ、各種インターフェイス等を備えたパソコン等の情報処理装置において予め記憶されている図2に示す処理ルーチンをプロセッサが実行することによりソフトウェア及びハードウェアが協働して実現される。本実施形態では、1つの装置におけるプロセッサが各部の処理を実行しているが、これに限定されない。例えば、ネットワークを用いて分散させ、複数のプロセッサが各部の処理を実行するように構成してもよい。
【0016】
図1に示す形状データ取得部10は、フィラーなどの凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データD1を取得する。形状データD1は、図3の上部に例示する、いわゆる三次元CAD(computer-aided design)データであり、立体形状を表すデータであれば、その形式は種々の形式を利用可能である。形状データ取得部10は、形状データD1を外部からストレージ又はネットワークを介して入力されるが、形状データD1を生成してもよい。図3の上部の例では、凝集体の形状を球状にしているが、これは一例であり、所望の任意の形状を採用できる。
【0017】
図1に示す多面体要素データ生成部11は、形状データD1に基づき、図3の下部に示すように、三次元立体形状を複数の多面体要素に分割した多面体要素データD2を生成する。多面体要素データD2は、多面体要素を複数の節点と節点間の結合性(コネクティビティ)によって定義される。多面体要素データD2は、有限要素法(FEM;Finite Element Method)で用いられるデータと等価である。
【0018】
図4に例示するように、多面体要素データD2は、1つの多面体要素2を複数の節点20とそれらの間の結合性で定義される。図4の例では、多面体要素2は、四面体であるが、これに限定されず、六面体、八面体などの4以上の多面体であってもよい。図4の例では、1つの多面体要素2を、4つの節点20及び4つの結合性については各節点間を結んだ線分21で表している。任意形状を有する領域は、領域内に複数の要素を敷き詰めることによって近似される。図4においては説明の便宜のため、複数ある多面体要素2のうち、隣接する2つの多面体要素2のみを図示している。図4において、説明の便宜のために、節点20に符号(G1、G2、G3、G4、G5、G6)を付している。
【0019】
本実施形態において、多面体要素データ生成部11は、ドロネー分割(Delaunay tessellation)により、三次元立体形状を複数の多面体要素に分割している。図3は、球状領域をドロネー四面体分割によって近似した例を示している。
【0020】
図1に示す粒子座標取得部12は、多面体要素データD2の節点座標に基づき粒子座標を取得する。節点座標にそのまま粒子を配置することになるので、図4の示す例の粒子座標は次のように表すことができる。
G1(X1,Y1,Z1)
G2(X2,Y2,Z2)
G3(X3,Y3,Z3)
G4(X4,Y4,Z4)
G5(X5,Y5,Z5)
G6(X6,Y6,Z6)
ここでは、粒子G1の座標は(X1,Y1,Z1)であることを表している。各粒子G1~G6の座標を、X座標、Y座標及びZ座標の組で表している。
【0021】
図1に示す結合データ取得部13は、多面体要素データD2の結合性21に基づき、結合関係にある粒子及び結合距離を表す結合データを取得する。図4に示す例では、11個の結合性21があるため、結合データは、次のように表すことができる。
G1-G2:結合距離L1
G2-G3:結合距離L2
G1-G3:結合距離L3
G1-G4:結合距離L4
G2-G4:結合距離L5
G3-G4:結合距離L6
G2-G5:結合距離L7
G3-G5:結合距離L8
G2-G6:結合距離L9
G3-G6:結合距離L10
G5-G6:結合距離L11
ここでは、粒子G1とG2とが結合関係にあり、その結合距離がL1であることを表している。
【0022】
図1に示す凝集体モデル生成部14は、図5に示すように、粒子座標及び結合データに基づき、複数の粒子30から成る凝集体モデル3を生成する。凝集体モデル3は、複数の粒子30、粒子30の質量、及び結合関係にある粒子30の間に結合相互作用が設定され、粒子30に対し他の粒子との非結合相互作用が設定されたデータであり、分子動力学計算に利用可能なデータである。図5において、粒子30を球状に示し、結合相互作用が設定されている粒子30間にボンドを表示している。。凝集体モデル生成部14は、結合相互作用を設定すれば、非結合相互作用を設定するところの実装を省略可能である。凝集体モデル3を使用するときに非結合相互作用を設定すればよいためである。
【0023】
図5に示すように、凝集体モデル生成部14は、粒子座標取得部12が取得した粒子座標に粒子30を配置する。また、凝集体モデル生成部14は、結合データ取得部13が取得した結合データに基づき結合関係にある粒子30間に所定の結合相互作用を設定し、所定の結合相互作用の平衡粒子間距離に結合距離を設定する。所定の結合相互作用は、粒子間距離を入力値とする関数で表され、関数の係数として相互作用の強さを示すパラメータ及び平衡粒子間距離が設定されている。
【0024】
本実施形態では、所定の結合相互作用として、調和型結合ポテンシャルを設定しているが、適宜変更可能である。調和型結合ポテンシャルは、次の式(1)で表される。
(r)=1/2×k(r-r …(1)
kは相互作用の強さを示すパラメータであり、バネ定数である。rは粒子間距離である。rは平衡粒子間距離である。凝集体モデル生成部14は、平衡粒子間距離rに設定する。
【0025】
また、凝集体モデル生成部14は、粒子30に対して他の粒子との非結合相互作用を設定するように構成されていてもよい。非結合相互作用には、レナード・ジョーンズ相互作用(ポテンシャル)を使用している。この非結合相互作用は、次の式(2)で表される。
【数1】

εは相互作用の強さを示すパラメータである。σは粒子の大きさを表すパラメータである。rは粒子間距離である。rは相互作用のカットオフである。
【0026】
なお、凝集体モデル3の使用時には、本システム1以外が非結合相互作用を設定すればよいので、非結合相互作用を設定しなくてもよい。
【0027】
図1に示す平衡化処理部15は、所定圧力及び所定温度において凝集体モデル3の分子動力学計算を実行し、凝集体モデル3のエネルギーが最小化するまで平衡化処理を実行する。最小化するとは、凝集体モデル3のエネルギーがほぼ一定になる(エネルギー変動が閾値以下となる)まで各粒子30の挙動を計算する。凝集体モデル3の生成直後は、分子動力学計算において安定状態であるとは必ずしもいえないためである。平衡化処理は、凝集体モデル3分子動力学計算を実行するうえで必須となるが、使用時に平衡化処理を実行するのであれば、凝集体モデル3の生成時には省略可能である。
【0028】
[凝集体モデルを生成する方法]
図1に示すシステム1を用いて、凝集体モデルを生成する方法について、図2を用いて説明する。
【0029】
まず、ステップST1において、形状データ取得部10は、凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データD1を取得する。
【0030】
次のステップST2において、多面体要素データ生成部11は、形状データD1に基づき、三次元立体形状を複数の多面体要素2に分割し、多面体要素2を複数の節点20と節点20同士を結ぶ結合性21とで表した多面体要素データD2を生成する。ここで、多面体要素データ生成部11は、多面体要素2を四面体として、ドロネー分割を実行する。
【0031】
次のステップST3において、粒子座標取得部12は、多面体要素データD2の節点20の座標に基づき粒子座標を取得する。
【0032】
次のステップST4において、結合データ取得部13は、多面体要素データD2の結合性21に基づき、結合関係にある粒子30及び結合距離を表す結合データを取得する。ステップST3とステップST4は順不同である。
【0033】
次のステップST5において、凝集体モデル生成部14は、粒子座標及び結合データに基づき、複数の粒子30から成る凝集体モデル3を生成する。凝集体モデル3は、粒子座標に粒子30が配置され、結合データ取得部13に基づき結合関係にある粒子30間に所定の結合相互作用が設定され、所定の結合相互作用の平衡粒子間距離rに結合距離が設定されている。
【0034】
次のステップST6において、平衡化処理部15は、凝集体モデル3の分子動力学計算を実行し、凝集体モデル3のエネルギーが最小化するまで平衡化処理を実行する。
【0035】
以上のように、本実施形態の凝集体モデルを生成する方法は、
1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、
凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データD1に基づき、三次元立体形状を複数の多面体要素2に分割し、多面体要素2を複数の節点20と節点20同士を結ぶ結合性21とで表した多面体要素データD2を生成するステップST2と、
多面体要素データD2の節点座標に基づき粒子座標を取得するステップST3と、
多面体要素データD2の結合性21に基づき、結合関係にある粒子30及び結合距離を表す結合データを取得するステップST4と、
粒子座標に粒子30が配置され、結合データ取得部13に基づき結合関係にある粒子30間に所定の結合相互作用が設定され、所定の結合相互作用の平衡粒子間距離rに結合距離が設定されている、複数の粒子30から成る凝集体モデル3を生成するステップST5と、
を含む。
【0036】
本実施形態の凝集体モデルを生成するシステムは、
凝集体モデルの三次元立体形状を表す形状データD1に基づき、三次元立体形状を複数の多面体要素2に分割し、多面体要素2を複数の節点20と節点20同士を結ぶ結合性21とで表した多面体要素データD2を生成する多面体要素データ生成部11と、
多面体要素データD2の節点座標に基づき粒子座標を取得する粒子座標取得部12と、
多面体要素データD2の結合性21に基づき、結合関係にある粒子30及び結合距離を表す結合データを取得する結合データ取得部13と、
粒子座標に粒子30が配置され、結合データ取得部13に基づき結合関係にある粒子30間に所定の結合相互作用が設定され、所定の結合相互作用の平衡粒子間距離rに結合距離が設定されている、複数の粒子30から成る凝集体モデル3を生成する凝集体モデル生成部14と、
を備える。
【0037】
このように、三次元立体形状を表す形状データD1を使用しているので、特殊な形状であっても任意の形状の凝集体モデル3を生成可能となる。
多面体要素データD2の結合性21に基づく結合データを用いるので、粒子間距離を算出して結合関係であるか否かの判定を行う必要がなく、さらに、結合相互作用の平衡粒子間距離の設定も簡素にできるので、簡素に結合相互作用を設定可能となる。
また、既存の三次元CADソフトウェアなどを利用して生成された形状データを、有限要素法モデルデータなどの多面体要素データに変換することにより、実装が容易となる場合がある。
したがって、簡素な手続きで、複数の粒子30から成る凝集体モデル3を任意形状にて生成可能となる。
【0038】
本実施形態において、多面体要素2は、四面体である。
【0039】
このように、多面体要素2が四面体であれば、四面体は三角面の集合であるので、三次元立体形状の分割が容易となる。
【0040】
本実施形態において、ドロネー分割により、三次元立体形状を複数の多面体要素2に分割する。
【0041】
ドロネー分割により、三次元立体形状を、空間的に離散した好適な複数の多面体要素に分割可能となる。
【0042】
本実施形態に係るプログラムは、上記方法をコンピュータに実行させるプログラムである。このプログラムを実行することによっても、上記方法の奏する作用効果を得ることが可能となる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0044】
例えば、図1に示す各部10~15は、所定プログラムをコンピュータのプロセッサで実行することで実現しているが、各部を専用回路で構成してもよい。また、本実施形態では1つのコンピュータにおけるプロセッサが各部10~15を実装しているが、少なくとも1又は複数のプロセッサに分散して実装してもよい。
【0045】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0046】
本実施形態では、凝集体モデル3がフィラーである例として説明しているが、結合相互作用で結合された複数の粒子から成る凝集体であれば、フィラー以外にも適用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 システム
11 多面体要素データ生成部
12 粒子座標取得部
13 結合データ取得部
14 凝集体モデル生成部
3 凝集体モデル
30 粒子
D1 形状データ
D2 多面体要素データ
図1
図2
図3
図4
図5