(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】炭化水素のハロゲン化
(51)【国際特許分類】
C07C 17/10 20060101AFI20220906BHJP
C07C 17/14 20060101ALI20220906BHJP
C07C 19/075 20060101ALI20220906BHJP
C07C 22/04 20060101ALI20220906BHJP
C08C 19/14 20060101ALI20220906BHJP
C08F 8/20 20060101ALI20220906BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220906BHJP
C08F 14/06 20060101ALI20220906BHJP
C08G 63/91 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C07C17/10
C07C17/14
C07C19/075
C07C22/04
C08C19/14
C08F8/20
C08F10/00 510
C08F14/06
C08G63/91
(21)【出願番号】P 2018193115
(22)【出願日】2018-10-12
(62)【分割の表示】P 2015537422の分割
【原出願日】2013-10-18
【審査請求日】2018-11-09
【審判番号】
【審判請求日】2020-10-09
(31)【優先権主張番号】3049/MUM/2012
(32)【優先日】2012-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】513202971
【氏名又は名称】リライアンス インダストリーズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】RELIANCE INDUSTRIES LTD.
【住所又は居所原語表記】3rd Floor,Maker Chamber-4,222,Nariman Point,Mumbai 400 021,Maharashtra,India
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】ジャスラ,ラクシャビル
(72)【発明者】
【氏名】イングル,ニナド ディーパク
(72)【発明者】
【氏名】カパディア,プラディープ パレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ムンシ,プラディプ
【合議体】
【審判長】木村 敏康
【審判官】齊藤 真由美
【審判官】野田 定文
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-218536(JP,A)
【文献】特開昭64-40504(JP,A)
【文献】特開2014-5475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C, C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程i~vから構成される炭化水素のハロゲン化方法であって、
i.反応容器に炭化水素を導入する工程;
ii.前記反応容器の中央に備えられた撹拌機を使用して、前記反応容器中の前記炭化水素を200rpmの速度で5分間あらかじめ撹拌する工程;
iii.前記速度を200rpmから
650rpmに上げ、前記反応容器の中央に備えられた前記撹拌機を使用して、前記炭化水素を
650rpmの速度で40分間撹拌する工程;
iv. 前記反応容器の中央に備えられた前記撹拌機を使用し
て、前記炭化水素を650rpmの速度で40分間撹拌しながら、前記反応容器にハロゲンを導入する工程;および
v.前記反応容器の外側に、前記反応容器の外壁から0.5~4cm離れて配置された複数の固体発光デバイスから出射された390~780nmの波長の光を、前記反応容器内に一定時間入射させて、ハロゲン化炭化水素を得る工程、
を含み、
工程(ii)および(iii)を不活性雰囲気下で行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記炭化水素をスラリーまたは溶液の形態で前記反応容器に導入する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光を2~12時間にわたって前記反応容器内へ入射させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程(iv)を実施する前に、前記反応容器中の前記炭化水素を40~90℃に加熱する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記炭化水素が、
ポリマー、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素からなる群からなる選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハロゲンが、塩素
または臭素から選択される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明技術の分野
本発明は炭化水素のハロゲン化に関する。
【背景技術】
【0002】
発明技術の背景:
炭化水素のハロゲン化は通常の場合気相または液相のいずれかで行われる。気相での炭化水素のハロゲン化は高速反応である。しかしながら気相反応は高熱を発生する反応であり、極めて注意し制御しなければならないことが判明している。
【0003】
対照的に、液相での炭化水素のハロゲン化は安全ではあるが、炭化水素のハロゲン化スピードは極めて低く、反応を加速するために触媒を使用しなければならない。液相での炭化水素のハロゲン化に一般的に使用される触媒には金属の塩化物やヨウ素が含まれる。しかしながらこの種の触媒は排水、排ガスや同類の廃棄物等に伴う深刻な環境的懸念の原因である。
【0004】
この種の環境的懸念への処置としては触媒として紫外線照射を試みる取り組みが行われてきた。
【0005】
例えば、米国特許US4102760はフッ化ビニリデンの重合体樹脂を開始剤化合物、トリエタノールアミンおよび紫外線照射の存在下において塩化する方法を開示している。US4102760は最小輝度450ワットで出力の紫外線領域のうち28%を紫外線として発する水晶水銀蒸気ランプを利用している。さらに、ウォータージャケット式水晶含浸ウェルを使用して反応媒体を水晶水銀蒸気ランプから分離する。
【0006】
US3362896は液体中に懸濁させた塩化ビニル重合体の可視光線または短波長光線の照射による塩化プロセスを開示している。US3362896で使用されている光源は蒸気/気相高圧水銀ランプである。
【0007】
GB1202229は100Wの水銀ランプを光源に用いる塩素処理ポリ塩化ビニルのプロセス調製を開示している。
【0008】
WO2013069542は塩素処理塩化ビニル樹脂の生産プロセスを開示している。同プロセスは紫外線照射による塩化ビニル樹脂の塩素処理を含んでいる。WO2013069542に従い使用されている紫外線光源は紫外線LED、有機EL、無機ELならびに紫外線レーザを含む。
【0009】
既知の発明技術でUV光源として使用されるフィラメントベースのまたは蒸気/気相ランプは距離に伴い高率の輝度減衰を伴う拡散型または多方向UV光を放つ。従って、これらのランプは効果的反応を誘発せず、その結果として電力を多く消費する。さらに、これらのランプは嵩張り、耐用期間が短い(8000-15000時間)。
【0010】
さらに、この種の光源を使用すると周囲環境へのUV放射に伴う短期的および長期的健康への危害の原因になる可能性がある。さらに、水晶製の反応容器はハロゲン化プロセスおよび反応装置を高価なものにする。
【0011】
従って、画期的かつ経済的な炭化水素のハロゲン化プロセスに対するニーズがある。さらに、炭化水素のハロゲン化に低輝度固体式の光を活用する装置の必要性も存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の目的
本発明によるシステムの目的の一部は少なくとも一つの実施例を本明細書において取り上げることでじゅうぶんであり、以下のものである。
【0013】
先端の代替手段または少なくとも有用な代替手段を提供する一つまたは複数の問題を改善することが本発明の目的である。
【0014】
経済的な炭化水素のハロゲン化プロセスを提供することが本発明の目的である。
【0015】
環境に安全な炭化水素のハロゲン化プロセスを提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0016】
発光デバイスを利用する炭化水素のハロゲン化プロセスを提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0017】
固体式発光デバイスを利用する炭化水素ハロゲン化プロセスを提供することが本発明のさらに別の目的である。
【0018】
本発明のさらに一つの目的は膨張剤、開始剤分散剤等の添加剤を使用しない炭化水素ハロゲン化プロセスを提供することである。
【0019】
本発明のさらに一つの目的は炭化水素のハロゲン化装置を提供することである。
【0020】
本発明のさらに一つの目的はエネルギー高効率、経済的な炭化水素のハロゲン化装置を提供することである。
【0021】
取り扱い易い炭化水素のハロゲン化装置を提供することが本発明のさらに一つの目的である。
【0022】
発明の要約
本発明のうちの一つの側面に従い炭化水素ハロゲン化プロセスを提供する。前記プロセスは以下の手順から構成される。
i. 炭化水素を反応容器に導入する。
ii. ハロゲンを反応容器に導入する。および、
iii. 波長領域390~780 nmの光を複数の固体型発光デバイスから反応容器の中へ一定時間の間発射し、ハロゲン化炭化水素を得る。
【0023】
この際、ハロゲンを反応容器に導入する手順の後または前に炭化水素を撹拌する。
【0024】
この際、前記のプロセスは不活性ガス内で実行される。
【0025】
通常の場合、炭化水素はスラリーまたは溶液として反応容器に導入される。
【0026】
通常の場合、炭化水素を200~850rpmのスピードで5~60分の間回転式撹拌機を使用して撹拌する。
【0027】
通常の場合、2~12時間反応容器の中に光を照射する。
【0028】
通常の場合、固体式発光デバイスは発光ダイオード(LED)、レーザ、有機電界発光素材、無機 電界発光、有機発光ダイオード、無機発光ダイオードから構成される群から選択される少なくとも一つである。
【0029】
通常の場合、光源は、外部反応容器、内部反応容器から選ぶ少なくとも一箇所に設置し、反応容器の内壁に埋め込んだ固体式発光デバイスのバンクである。
【0030】
通常の場合、固体式デバイスを反応容器の外壁から0.2~12 cmの距離、優先的には0.5~4cmの距離をおいた反応容器外部に設置する。
【0031】
通常の場合、固体式発光デバイスバンクからの発光プロセスはプロセス反応が生じる反応容器内の反応部分までの導波含む。
【0032】
本発明のプロセスはさらに、手順(ii)の前に温度40~900C領域での炭化水素加熱手順から成る。
【0033】
通常の場合、炭化水素は少なくとも一つのC-H群、重合体、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素から構成される化合物から成る群から選択された少なくとも一つの化合物である。
【0034】
通常の場合、炭化水素はポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステルおよびゴム化合物からなる群から選択された少なくとも一つの重合体である。
【0035】
通常の場合、炭化水素はポリ塩化ビニルであり、同プロセスはポリ塩化ビニルの効率的なハロゲン化に関わる。
【0036】
通常の場合、ハロゲンは塩素、臭素、固体式発光デバイスによる光照射を受けると塩素または臭素の基を遊離するハロゲン化化合物から選択される。
【0037】
本発明の他の一つの請求項に従い炭化水素のハロゲン化装置を提供する。前記の装置は一つの反応容器、液体を前記の反応容器内にページするためのパージ手段、中心に取付られた撹拌機および固体式発光デバイスのバンクから成る。
【0038】
本発明の装置は固体式発光デバイスから反応容器内の反応部分へ光を導波するための誘導手段を含む。
【0039】
通常の場合、固体式発光デバイスはLED、レーザ、有機電界発光素材、無機 電界発光、有機発光ダイオード、無機発光ダイオードから構成される群から選択される少なくとも一つである。
【0040】
通常の場合、波長が390~780nmである光を発する光源は外部反応容器、内部反応容器から選ぶ少なくとも一箇所に設置され反応容器の内壁に埋め込まれた固体式発光デバイスのバンクである。
【0041】
通常の場合、固体式発光デバイスのバンクを反応容器の外壁から0.2~12 cmの距離、優先的には0.5~4cmの距離をおいて設置する。
【0042】
通常の場合、反応容器はガラス製の外壁を持ち、透明である。
【0043】
次に本発明の炭化水素のハロゲン化プロセスを限定されない付帯図面を参照しつつ説明する。同図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】
図1は炭化水素スラリーを通過する光強度の減衰パターンの図解である。この図において、Aは波長254 nmの光を発する24W紫外線ランプを使用するスラリーを通過する光を表し、Bは波長254 nmの光を発する48W紫外線ランプを使用するスラリーを通過する光を表し、Cは波長254 nmの光を発する72W紫外線ランプを使用するスラリーを通過する光を表し、Dは波長410nmの光を発する38W LEDを使用するスラリーを通過する光を表す。
【
図2】
図2は気相ランプが発する光の相対強度の図解である。
【
図3】
図3は本発明の装置に使用されるLEDが発する光の相対強度の図解である。
【0045】
発明の詳細な説明
本発明に従い、炭化水素のハロゲン化プロセスを提供する。同プロセスは以下の段階から成る。
【0046】
第一段階において、炭化水素を反応容器に導入する。本発明に従い使用する炭化水素の限定されない例には重合体、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素を含む。さらに、炭化水素は少なくとも一つのC-H群、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、ポリエステルおよびゴム化合物から構成される化合物を限定されることなく含む。
【0047】
さらに、本発明の一実施例に従い、炭化水素はスラリーまたは溶液の形態を取る。
【0048】
第二段階において、ハロゲンを反応容器に導入する。本発明に従い使用するハロゲンは液状、固形物および気体から成る群から選択された少なくとも一つの形態を取る。ハロゲンの限定されない例にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素または固体式発光デバイスを通して発せられた光の照射を受けるとハロゲン化遊離基を放つ任意のハロゲン化化合物を含む。
【0049】
本発明の一実施例に従い、炭化水素を最初に200~850rpmの範囲のスピードで5~60分間、撹拌し、次にハロゲンを反応容器に導入する。代替的に、最初に炭化水素とハロゲンの混合物を得、次にこの混合物を200~850 rpmの範囲のスピードで5~60分間撹拌してもよい。
【0050】
本発明のもう一つの実施例に従い、炭化水素を40~90℃の温度で加熱してから、ハロゲンを反応容器に導入する。
【0051】
第三段階において、光を反応容器に2~12時間間照射してハロゲン化炭化水素を得る。波長390~780nm優先的には390~493nmの光を通過させる光源は固体式発光デバイスのバンクである。反応容器の外壁と反応容器の外部に設置された固体式発光デバイスのバンクの間の距離は0.2~12 cmの範囲である。固体式発光デバイスのバンクを反応容器の外部、反応容器の内部から成る群から選択され、反応容器の壁に埋め込まれた少なくとも一つの場所に設置する。
【0052】
本発明に従い光源として使用する固体式発光デバイスは限定されることなくLED、レーザ、有機電界発光素材、無機電界発光、有機発光ダイオードおよび無機発光ダイオードを含む。
【0053】
固体式発光デバイスバンクからの発光手順は炭化水素ハロゲン化反応が生じる反応容器内の反応部分までの光導波路をさらに含む。
【0054】
炭化水素ハロゲン化プロセスは不活性ガスのパージによって作られた不活性ガス雰囲気の中で実施される。一実施例に従い窒素ガスを反応容器に供給して不活性ガス雰囲気を作り出す。
【0055】
本発明の実施例のうちの一つに従い炭化水素はPVCであり、同プロセスはPVCの効率的なハロゲン化である。
【0056】
本発明に従い炭化水素のハロゲン化装置も提供する。本装置は反応容器、反応容器内に液体をパージするためのパージ手段、中心に取り付けた撹拌機および、波長領域390~780 nm、優先的には390~493 nmの光を発生するように適合された固体式発光デバイスのバンクから成る。外部反応容器、内部反応容器から成る群から選択された少なくとも一箇所に設置され、反応容器の内壁に埋め込んだ固体式発光デバイスのバンク。反応容器の外壁と反応容器の外部に設置された固体式発光デバイスのバンクの間の距離は0.2~12 cmの領域にある。
【0057】
本発明の装置は固体式発光デバイスのバンクから反応容器内の反応部分へ光を導波するための誘導手段も含む。同誘導手段は限定されることなく導波管、レンズおよびレンズセットを含む。
【0058】
通常の場合、反応容器はガラス製の外壁を持ち透明である。
【0059】
異なる三種類の気相ランプ、即ちランプ1、ランプ2およびランプ3から発せられたUV光が炭化水素に照射されると、照射光強度の幾何級数的減衰が観測されるが、本発明のLEDから発せられた場合は照射光の線形的減衰が観測される(
図1)。
【0060】
さらに、
図2および
図3から明白なことは、従来型気相ランプから発する光の相対強度は本発明のLEDが持つ相対強度より低い。従って、LEDの場合は光の強度が入力電流に線形比例するので電力の無駄が減る。
【0061】
前記の観察に基づき、本発明は経済的でエネルギー効率が高く環境に無害なプロセス、ならびに、従来型フィラメント方式または蒸気/気相ランプをLEDで置換することによって大幅に節電が可能な炭化水素のハロゲン化装置を提供する。
【0062】
以下において、例を参照しつつ本発明をより詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0063】
例1:ハロ炭化水素重合体のハロゲン化
【0064】
160gのPVCを含有する1010グラム(g)のポリ塩化ビニル(PVC)水性スラリーを反応容器(リアクター)に採取した。次に、スラリーを初めに200回転/分(rpm)で5分間撹拌し、窒素ガスを反応容器内部のスラリーに通してパージした。次に回転スピードを650 rpmへ増加し、窒素パージをさらに40分間継続し、空気または酸素を反応容器およびスラリーから取り除いた。撹拌中に温度を70℃まで不活性ガス雰囲気の中で上昇させた。次に、窒素のパージを停止し、同じ条件下でスラリーを塩素でパージした。反応容器およびスラリーが塩素で飽和状態であることが特定されたときに、一つまたは複数の発光デバイス(LED)を点灯した。同混合物をLED光に暴露した時点から反応開始時間を記録した。温度を70℃に維持して一つまたは複数の発光デバイスの電源を切った。LED光に6時間暴露した後、塩素パージを停止して反応を停止した。次に、窒素ガスで1時間パージし、未反応塩素ガスを反応系および反応質量から除去した。ウェットケーキ産出物を得るために3つの部分に分割して減圧下でろ過し、水1500ミリリットル(ml)で洗浄した水性スラリーから、塩素処理されたポリ塩化ビニル(CPVC)を得た。次にウェットケーキを70℃の気流を吹き付けて乾燥させ、固形のCPVCを白い乾燥粉として得た。塩素濃度(重量)はPVCの乾燥粉に対する重量の増加によって確認された。以上のようにして得たCPVCは重量にして67%の塩素を含有していた。表1は異なる波長を用いる炭化水素の67%塩素処理に要した反応時間を表す。
【0065】
【0066】
例2:純粋な炭化水素重合体のハロゲン化
【0067】
反応容器(リアクター)に採取された50 gのポリエチレン850 mlの水を重合体に添加しスラリーを得る。次に、スラリーを500 rpmで初めに5分間撹拌し、窒素ガスで反応容器内部のスラリーを通過させてパージした。窒素によるパージをさらに40分間継続して反応容器とスラリーから空気または酸素を除去した。次に、窒素のパージを停止し、塩素で同じ条件下でスラリーをパージした。スラリーの温度を50℃に設定した。反応容器とスラリーが塩素で飽和されたことが判明した時点で、一つまたは複数の発光デバイスを点灯した。同混合物を波長405nmのLED光に暴露した時点から反応開始時間を記録した。LED光に3時間暴露した後、塩素パージを停止して反応を停止した。次に、窒素ガスで1時間パージした。塩素化ポリエチレン(CPE)がろ過し、水1000 mlで3つの部分で減圧下において洗浄した水性スラリーからウェットケーキ生成物としての形で得られた。次にウェットケーキを70℃の気流を吹き付けて乾燥させ、固形のCPEを白い乾燥粉として得た。CPEが塩素化されたことは酸素フラスコ試験法の次に銀滴定を実施して確認された。
【0068】
例3:不飽和炭化水素重合体のハロゲン化
【0069】
30 gのポリブタジエンゴムを反応容器(リアクター)に採取した。800 mlの水を重合体に添加しスラリーを得る。次に、スラリーを初めに600 rpmで5分間撹拌し、窒素ガスで反応容器内部のスラリーをパージした。窒素ガスによるパージをさらに40分間継続して反応容器とスラリーから空気または酸素を除去した。次に、窒素のパージを停止し、塩素で同じ条件下でスラリーをパージした。スラリーの温度を60℃に設定した。反応容器とスラリーが塩素で飽和されたことが判明した時点で一つまたは複数の発光デバイスを点灯した。同混合物をLED光に暴露した時点から反応開始時間を記録した。波長405nmのLED光に3時間暴露した後、塩素パージを停止して反応を停止した。次に、窒素で1時間パージした。塩素化ポリブタジエンゴム(CPBR)がろ過し水1000 mlで3つの部分で減圧下において洗浄した水性スラリーから得られた。次に同湿潤生成物を気流を吹き付けながら60℃で乾燥し、CPBRを得た。CPBRが塩素化されたことは酸素フラスコ法の次に銀テストを実施して確認された。
【0070】
例4:脂肪族炭化水素のハロゲン化
【0071】
31 g (10 ml)の液体臭素と25 mlのnヘキサンを100 mlの丸底フラスコに採取した。同混合物を室温で磁気撹拌装置の磁性棒を用いて連続的に撹拌した。次に丸底フラスコに窒素ガスで空気または酸素をパージした。このフラスコを室温下で一つまたは複数の発光デバイスから発せられる光に暴露した。同混合物を波長405nmのLED光に暴露した時点から反応開始時間を記録した。5時間が経過したときに反応生成物のガスクロマトグラフィーを実施したところ臭化ヘキサンが生成されたことが判明した。
【0072】
例5:芳香族炭化水素のハロゲン化
【0073】
2 ml のトルエン、および2.26 mlの臭化ナトリウムが丸底フラスコから採取された。同混合物を磁気撹拌機を使用して連続撹拌した。次に丸底フラスコに窒素ガスで空気または酸素をパージした。次に3.4 mlの30 %過酸化水素溶液を同混合物に添加した。このフラスコを室温下で一つまたは複数の発光デバイスから発せられる光に暴露した。同混合物を波長405 nmのLED光に暴露した時点から反応開始時間を記録した。5時間経過時点に反応混合物を解析したところ臭化ベンジルの生成を確認した。
【0074】
本明細書を一貫して用語「成す」「構成する」やその類語としての「成っている」または「成している」は記載されている要素、整数または手順または要素、整数または手順の群を含むがその他の要素、整数または手順またはその他の要素、整数または手順の群を除くことことなくこれらを含むことを含意している。
【0075】
「少なくとも」または「少なくとも一つの」という表現の使用は、一つまたは複数の目的物質または結果を得るために本発明の実施例において使用される場合があることに従い、一つまたは複数の要素または成分または数量の使用を示唆している。
【0076】
本明細書に含まれている文書、行為、素材、デバイス、商品または同類のものについての議論は本発明開示のための文脈を成す目的のためにのみ含まれている。任意のまたは以上のすべての事項が既知の発明技術の基礎の一部を成す、または本出願の優先日以前に任意の場所に存在していた本発明関連分野において共有される一般的知識であるということの是認とは解釈されてはならない。
【0077】
異なる物理的パラメータ、変数、寸法や数量を表す数値は概数であって、パラメータ、変数、寸法や数量に代入された数値より高い/低い値は本発明の範囲に含まれることが意図されている。但し、明細書に異なる記載がなされている場合はこの限りではない。