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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】金型装置および流路部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/33 20060101AFI20220906BHJP
   B29C 33/44 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B29C45/33
B29C33/44
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018212787
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020078886
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】萩野 智和
(72)【発明者】
【氏名】淺野 良治
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-093263(JP,A)
【文献】実公昭57-036410(JP,Y1)
【文献】特開昭63-130252(JP,A)
【文献】実公昭49-037949(JP,Y1)
【文献】国際公開第2014/046063(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00 - 33/76
B29C 45/00 - 45/84
F16L 41/00 - 49/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がり流路部を含む流路を有する流路部材を射出成形する金型装置であって、
前記流路部材の外周面を成形する外周成形金型と、
前記流路部材内の前記流路を成形する流路成形金型と、
を備え、前記流路成形金型が、
軸線方向に延び、かつ前記軸線方向に沿って先端側の成形位置と基端側の退避位置との間で進退される第1コアピンと、
前記流路の内周面の内まわり側の周面部分を成形する内まわり成形部を有して、前記第1コアピンに沿って延びる第2コアピンと、
前記第1コアピンが前記成形位置から前記退避位置へ後退するとき、前記第2コアピンを前記内まわり側とは反対側へずらしたうえで後退させる連動機構と、
を備え、前記連動機構が、前記軸線方向に対して前記先端側へ向かって前記内まわり側とは反対側へ傾斜する傾斜方向へ延びるようにして前記第1、第2コアピンの一方に設けられた傾斜ガイドと、前記第1、第2コアピンの他方に設けられたスライド係合部とを含み、これら傾斜ガイドとスライド係合部とが、前記傾斜方向へスライド可能に係合され、
前記傾斜方向の前記軸線方向に対する傾斜角度が、0.5°~15°であり、前記内まわり成形部における前記曲がり流路部を成形する曲がり流路成形部の周面の内まわりの曲率半径が、前記曲がり流路成形部の軸線と直交する断面の外周直径の0.3倍~1倍であることを特徴とする金型装置。
【請求項2】
前記第1コアピンの軸線方向の一箇所にリング部が形成され、前記リング部の外周面が、前記流路の所定部位における内周全周の成形面を構成しており、かつ前記第2コアピンが前記リング部に挿通されていることを特徴とする請求項1に記載の金型装置。
【請求項3】
前記第1コアピンが、前記流路の内周面の外まわり側の周面部分を成形する外まわり成形部を有し、
前記リング部の周方向の一部が、前記外まわり成形部と一体をなし、
前記リング部の前記一部を除く部分環状部が、前記外まわり成形部から前記内まわり側へ突出され、
前記部分環状部の内周面と前記外まわり成形部との間に前記第2コアピンが挿通されていることを特徴とする請求項に記載の金型装置。
【請求項4】
前記第2コアピンにおける前記リング部より基端側には、前記内まわり成形部の周面から突出するストッパ部が形成され、
前記第1コアピンの後退途中に、前記リング部が前記ストッパ部に突き当たることを特徴とする請求項又はに記載の金型装置。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項に記載の金型装置によって曲がり流路部を含む流路を有する流路部材を製造する方法であって、
前記金型装置の外周成形金型と流路成形金型との間に画成されたキャビティに樹脂を供給して前記流路部材を成形する工程と、
前記流路成形金型の第1コアピンを前記成形時の成形位置から軸線方向の基端側の退避位置へ後退させる後退工程と、
前記流路成形金型における、前記流路の内周面の内まわり側の周面部分を成形する内まわり成形部を有する第2コアピンを、連動機構によって前記後退時の第1コアピンと連動させて、前記内まわり側とは反対側へずらしたうえで後退させる連動工程と、
を備え、前記第1コアピンの後退量に対する前記第2コアピンのずれ量が、tan0.5°倍~tan15°倍であり、前記内まわり成形部における前記曲がり流路部を成形する曲がり流路成形部の周面の内まわりの曲率半径が、前記曲がり流路成形部の軸線と直交する断面の外周直径の0.3倍~1倍であることを特徴とする流路部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管や管継手などの流路部材を製造する装置に関し、特に、曲がり流路を有する流路部材を射出成形によって製造する金型装置に関する。
【背景技術】
【0002】
管や管継手などの流路部材の曲がり流路部においては、内周面にRを付けることによって、圧力損失を低減できる。一方、この種流路部材を射出成形金型によって製造する場合、曲がり流路部の内周面の内まわり部分がアンダーカットとなる。かかるアンダーカットを抜くために、種々の金型装置が開発されている(下記特許文献等参照)。
【0003】
例えば、特許文献1~5においては、アンダーカット金型を型抜き時に回転させることによって、型抜き可能にしている。
【0004】
特許文献6には、エルボを射出成形する金型装置が記載されている。該金型装置は、エルボの曲がり流路の内周面の内まわり部分用のアンダーカット金型ピースを含む。該アンダーカット金型ピースにおける成形面とは反対側の背面は、エルボの直線部の軸線に沿う型抜き方向に対して傾斜されている。該背面には、傾斜方向に延びる凸条が形成されている。該凸条が、型締め・型抜き用のスライド駆動板の傾斜先端面に形成された傾斜溝にスライド可能に嵌合されている。スライド駆動板を型抜き方向へスライドさせると、前記凸条が前記傾斜溝に沿ってスライドされることによって、前記アンダーカット金型ピースが曲がり流路の外まわり側へずれて型抜き可能となる。このとき、前記アンダーカット金型ピースにおける型抜き方向と直交する底面が、エルボの直線流路用の別の金型ピースの先端面と摺擦される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-215639号公報
【文献】特開2002-018904号公報
【文献】特許第5969617号公報
【文献】特開昭52-085253号公報
【文献】特開昭52-150467号公報
【文献】実公昭57-36410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンダーカット金型を回転させて型抜き可能にする金型装置(特許文献1~5など)においては、ヒンジなどの回転機構に大きな負荷が掛かり、長期耐久性に課題があった。
特許文献6の金型装置においては、アンダーカット金型ピースを曲がり流路の外まわり側へ平行移動させて型抜き可能とするものであるが、凸条及び傾斜溝の長さが短いために、所要の平行移動量(ずれ量)を確保するには、凸条及び傾斜溝の傾斜角度を大きくする必要があり、アンダーカット金型ピースなどに大きな負荷が掛かり、長期耐久性に課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑み、アンダーカット金型を平行にずらすことによって型抜きする曲がり流路用の金型装置における耐久性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、曲がり流路部を含む流路を有する流路部材を射出成形する金型装置であって、
前記流路部材の外周面を成形する外周成形金型と、
前記流路部材内の前記流路を成形する流路成形金型と、
を備え、前記流路成形金型が、
軸線方向に延び、かつ前記軸線方向に沿って先端側の成形位置と基端側の退避位置との間で進退される第1コアピンと、
前記流路の内周面の内まわり側の周面部分を成形する内まわり成形部を有して、前記第1コアピンに沿って延びる第2コアピンと、
前記第1コアピンが前記成形位置から前記退避位置へ後退するとき、前記第2コアピンを前記内まわり側とは反対側へずらしたうえで後退させる連動機構と、
を備え、前記連動機構が、前記軸線方向に対して前記先端側へ向かって前記内まわり側とは反対側へ傾斜する傾斜方向へ延びるようにして前記第1、第2コアピンの一方に設けられた傾斜ガイドと、前記第1、第2コアピンの他方に設けられたスライド係合部とを含み、これら傾斜ガイドとスライド係合部とが、前記傾斜方向へスライド可能に係合され、
前記傾斜方向の前記軸線方向に対する傾斜角度が、0.5°~15°であることを特徴とする。
【0008】
当該金型装置においては、第2コアピンが、アンダーカット金型となる。前記流路部材においては、曲がり流路部の内まわり側の周面部分がアンダーカットとなる。
前記傾斜角度を0.5°~15°とするによって、第2コアピンの内まわり側とは反対側への平行移動量(ずれ量)を確保して確実に型抜きでき、かつ第1、第2コアピンにかかる負荷が低減して金型装置の耐久性を向上できる。
前記傾斜角度が0.5°を下回ると、第2コアピンの内まわり側とは反対側への平行移動量(ずれ量)が小さ過ぎ、アンダーカット処理が困難になる。
前記傾斜角度が15°を上回ると、第1、第2コアピンにかかる負荷が過大になる。
前記傾斜角度は、好ましくは2°~5°である。
曲がり流路部は、流路内の流体の流れ方向が変わる部分を言い、円弧状に湾曲する流路の他、角度をもって折れ曲がった流路、直線路と枝路との合流部などが含まれる。
【0009】
前記内まわり成形部における前記曲がり流路部を成形する曲がり流路成形部の周面の内まわりの曲率半径が、前記曲がり流路成形部の前記軸線と直交する断面の外周直径の0.15倍~1.7倍であることが好ましい。
これによって、確実に型抜きでき、かつ曲がり流路部における圧力損失を低減できる。
前記曲率半径が前記外周直径の0.15倍を下回ると、圧力損失の低減効果が小さい。
前記曲率半径が前記外周直径の1.7倍を上回ると、第2コアピンの所要すれ量が前記内直径の半分以上となり、アンダーカット処理が容易でない。
前記曲率半径は、前記外周直径の好ましくは0.3倍~1倍である。
【0010】
前記第1コアピンの軸線方向の一箇所にリング部が形成され、前記リング部の外周面が、前記流路の所定部位における内周全周の成形面を構成しており、かつ前記第2コアピンが前記リング部に挿通されていることが好ましい。
これによって、流路の前記所定部位については、全周を第1コアピンだけで成形できる。したがって、前記所定部位の内周にスジ状ないしは段差状のパーティングライン(複数のコアピンの継ぎ目跡)が出来ることがない。
好ましくは、前記所定部位は、前記流路部材の端部である。前記流路部材の端部に別の管を接続して、前記流路部材と前記別の管との間をパッキン等でシールする場合、パーティングラインが無いためにシール性が高まる。前記流路部材及び前記別の管に水などの流体を通す場合、前記流体の漏れを確実に防止できる。
本発明に係る射出成形金型装置は、パーティングラインを無くす観点からは、流路部材の外周面を成形する外周成形金型と、前記流路部材内の前記流路を成形する流路成形金型と、を備え、前記流路成形金型が、軸線方向に延びる第1、第2コアピンを含み、前記第1コアピンの軸線方向の一箇所にリング部が形成され、前記リング部の外周面が、前記流路の所定部位における内周全周の成形面を構成しており、かつ前記第2コアピンが前記リング部に挿通されていることを特徴とする。
【0011】
前記第1コアピンが、前記流路の内周面の外まわり側の周面部分を成形する外まわり成形部を有し、
前記リング部の周方向の一部が、前記外まわり成形部と一体をなし、
前記リング部の前記一部を除く部分環状部が、前記外まわり成形部から前記内まわり側へ突出され、
前記部分環状部の内周面と前記外まわり成形部との間に前記第2コアピンが挿通されていることが好ましい。
これによって、前記外まわり側の周面部分を第1コアピンによって成形し、前記内まわり側の周面部分を主に第2コアピンによって成形し、かつ前記所定部位については内周全周を第1コアピンのリング部によって成形できる。
【0012】
前記第2コアピンにおける前記リング部より基端側には、前記内まわり成形部の周面から突出するストッパ部が形成され、
前記第1コアピンの後退途中に、前記リング部が前記ストッパ部に突き当たることが好ましい。
前記リング部が段差部と突き当たるまでの間は、傾斜ガイド及びスライド係合部の相互作用によって第2コアピンが外まわり側へずれる。前記リング部がストッパ部に突き当たった後は、第2コアピンが第1コアピンと一体になって型抜きされる。
【0013】
本発明方法は、前記の金型装置によって曲がり流路部を含む流路を有する流路部材を製造する方法であって、
前記金型装置の外周成形金型と流路成形金型との間に画成されたキャビティに樹脂を供給して、曲がり流路部を含む流路を有する流路部材を成形する工程と、
前記流路成形金型の第1コアピンを前記成形時の成形位置から軸線方向の基端側の退避位置へ後退させる後退工程と、
前記流路成形金型における、前記流路の内周面の内まわり側の周面部分を成形する内まわり成形部を有する第2コアピンを、連動機構によって前記後退時の第1コアピンと連動させて、前記内まわり側とは反対側へずらしたうえで後退させる連動工程と、
を備え、前記第1コアピンの後退量に対する前記第2コアピンのずれ量が、tan0.5°倍~tan15°倍であることを特徴とする。
tan0.5°倍(約0.008倍)を下回ると、第2コアピンの内まわり側とは反対側への平行移動量(ずれ量)が小さ過ぎ、アンダーカット処理が困難になる。
tan15°倍(約0.268倍)を上回ると、第1、第2コアピンにかかる負荷が過大になる。
前記第1コアピンの後退量に対する前記第2コアピンのずれ量は、好ましくはtan2°倍~tan5°倍(約0.034倍~約0.088倍)である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、曲がり流路用の金型装置における耐久性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る金型装置の正面断面図である。
図2図2は、前記金型装置の流路成形金型の先端部分の正面図である。
図3図3(a)は、前記流路成形金型の第2コアピンの平面図である。図3(b)は、前記流路成形金型の第1コアピンの平面図である。
図4図4(a)は、前記流路成形金型の分解斜視図である。図4(b)は、前記流路成形金型の組状態の斜視図である。
図5図5は、図2のV-V線に沿う断面図である。
図6図6(a)~同図(d)は、型抜き工程を順次示す解説図である。
図7図7は、前記金型装置によって作られた流路部材の断面図である。
図8図8は、本発明の第2実施形態に係る金型装置の正面断面図である。
図9図9は、前記第2実施形態に係る金型装置の流路成形金型の型抜き工程を示す断面図である。
図10図10(a)は、本発明の第3実施形態に係る金型装置の流路成形金型を、コアピンユニットが成形位置の状態で示す正面図である。図10(b)~同図(c)は、前記コアピンユニットの型抜き工程を順次示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1図7は、本発明の第1実施形態を示したものである。
図1に示すように、金型装置1によって流路部材9が射出成形される。図7に示すように、成形対象の流路部材9は、例えばエルボ(L字管継手)である。流路部材9の流路90は、一対の直線流路部91と、曲がり流路部92を含む。曲がり流路部92は、90°曲がっている。なお、曲がり流路部92の曲がり角度(中心角)は、90°に限らず、90°未満でもよく、90°より大きくてもよい。曲がり流路部92の内周面の内まわり部分92bが、射出成形時のアンダーカットとなる。
【0017】
曲がり流路部92の両端部に直線流路部91がそれぞれ連なっている。一対の直線流路部91の軸線どうしが直交している。直線流路部91の内径は、曲がり流路部92の内径より大きい。直線流路部91の内周面と曲がり流路部92の内周面との間には環状の段差93が形成されている。
なお、直線流路部91の内径が曲がり流路部92の内径と同じでもよく、直線流路部91と曲がり流路部92とが段差無く連なっていてもよい。
各直線流路部91の端部91eは、他の管8等との接続のために拡径されている。
【0018】
流路部材9の材質は、例えばポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)などの強度が高いエンジニアリングプラスチックであるが、これに限らず、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)などの比較的柔らかく摺動性のある樹脂であってもよい。
【0019】
図1に示すように、金型装置1は、外周成形金型10と、流路成形金型20を備えている。外周成形金型10は、流路部材9の外周面を成形する。
流路成形金型20は、流路部材9の内周面を成形し、ひいては流路90を成形する。流路成形金型20は、一対のコアピンユニット21,22を含む。一対のコアピンユニット21,22の軸線L21,L22は、互いに直交されている。一方のコアピンユニット21によって、流路90の1の直線流路部91と、曲がり流路部92における前記1の直線流路部91側の45度部分が成形される。他方のコアピンユニット22によって、流路90の他方の直線流路部91と、曲がり流路部92における前記他方の直線流路部91側の45度部分が成形される。
2つのコアピンユニット21,22は、実質的に同一構造になっており、射出成形時における動きも実質同一である。以下、特に断らない限り、一方のコアピンユニット21について説明し、他方のコアピンユニット22の説明は割愛する。
【0020】
図1に示すように、流路成形金型20のコアピンユニット21は、第1コアピン30と、第2コアピン40を有している。各コアピン30,40が、コアピンユニット21の軸線L21に沿う方向(軸線方向L、図1において上下)に延びている。これらコアピン30,40が、他方のコアピンユニット22の軸線L22に沿う方向に対峙している。言い換えると、図4に示すように、コアピンユニット21は、2つ(複数)のコアピン30,40に縦分割されている。
【0021】
図2に示すように、第1コアピン30は、先端(図1において上端)の外まわり成形部31と、第1コアピン軸部32を含む。外まわり成形部31は、湾曲形状をなし、曲がり流路部92の内周面の外まわり側の周面部分92a(図7)を成形する。
【0022】
図1に示すように、外まわり成形部31の基端側(図1において下側)にコアピン軸部32が連なっている。コアピン軸部32は、外まわり成形部31に連なる直線流路成形部33と、流路外部分34とを含む。図3(b)及び図4(a)に示すように、直線流路成形部33は、部分円柱形状に形成され、直線流路部91の内周面における前記外まわり周面部分92aと連なる部分91aを成形する。図2に示すように、外まわり成形部31と直線流路成形部33との間には、環状段差93(図7)の外まわり部分を成形する段差面33dが形成されている。
【0023】
図1に示すように、流路外部分34は、直線流路成形部33から軸線方向Lに沿って基端側(図1において下方)へ延びている。流路外部分34は、基端側へ向けて拡径する部分円錐形状に形成されている。流路外部分34は、流路成形部分を有していない。
【0024】
図2及び図3(b)に示すように、第1コアピン30の直線流路成形部33と流路外部分34との間の部分(軸線方向の一箇所)には、リング部35が形成されている。リング部35は、直線流路成形部33より少し大径の円環状になっている。リング部35の周方向の外まわり部分35a(一部)は、外まわり成形部31と一体をなしている。
【0025】
リング部35の周方向の内まわり部分は、半円形(部分環状)をなす部分環状部35bを構成している。部分環状部35bは、外まわり成形部31の背面から内まわり側(図3(b)において左側)へ突出されている。部分環状部35bの外周面の周方向の両端部が、外まわり成形部31の周面と連続している。
図1に示すように、リング部35によって流路90の一端部91e(所定部位)が形成される。リング部35の外周面は、流路端部91eの内周全周を成形する成形面を構成している。
【0026】
図1及び図3(b)に示すように、第1コアピン30の成形面とは反対側の背面30b(第2コアピン30との対向面)は、第1コアピン30の全長にわたる傾斜面となっている。背面30bは、第1コアピン30の先端側(図1において上側)へ向かって軸線方向Lに対して外まわり側(内まわり側とは反対側、図1において右側)へ傾斜されている。
【0027】
図1に示すように、第1コアピン30には進退機構2が接続されている。進退機構2は、シリンダ、その他のアクチュエータによって構成されている。進退機構2によって、第1コアピン30が、軸線方向Lに沿って先端側(図1において上側)の成形位置(図1)と基端側(図1において下側)の退避位置(図6(c)及び同図(d))との間で進退される。
【0028】
図2及び図4(a)に示すように、第2コアピン40は、先端(図2において上端)の内まわり成形部41と、第2コアピン軸部42を含む。内まわり成形部41は、反るように湾曲され、曲がり流路部92の内周面の内まわり側の周面部分92b(アンダーカット)を成形する。内まわり成形部41を有する第2コアピン40は、アンダーカット金型を構成している。
【0029】
図2に示すように、内まわり成形部41の周面の内まわりの曲率半径R41は、内まわり成形部41の曲がりに沿う軸線と直交する断面の外周直径φ43の好ましくは0.15倍~1.7倍であり、より好ましくは0.3倍~1倍である。
内まわり成形部41の先端面41eは、軸線方向Lに対して45度傾斜された斜面となっている。
【0030】
図1に示すように、内まわり成形部41の基端側(図1において下側)にコアピン軸部42が連なっている。コアピン軸部42は、内まわり成形部41に連なる直線流路成形部43と、流路外部分44とを含む。図2及び図3(a)に示すように、直線流路成形部43は、部分円柱形状に形成され、直線流路部91の内周面における前記内まわり周面部分92bと連なる部分91bを成形する。内まわり成形部41と直線流路成形部43との間には、環状段差93(図7)の内まわり部分を成形する段差面43dが形成されている。
【0031】
図1に示すように、流路外部分44は、直線流路成形部43から軸線方向Lに沿って基端側(図1において下方)へ延びている。流路外部分44は、直線流路成形部43より大径かつ直線流路成形部43より長い部分円柱形状に形成されている。該流路外部分44が、第1コアピン30の部分環状部35bの内周面と外まわり成形部31の背面との間に軸線方向Lに沿ってスライド可能に挿通されている。
流路外部分34は、流路成形部分を有していない。
【0032】
図4(b)に示すように、流路外部分44における基端側(先端部とは反対側)の部分には、ベース部45が設けられている。ベース部45は、部分環状部35bよりも内まわり側へ突出されている。ベース部45は、リング部35より基端側(図4(b)において下側)に配置されている。
【0033】
図1及び図4(a)に示すように、第2コアピン40の成形面とは反対側の背面40b(第1コアピン40との対向面)は、第2コアピン40の全長にわたる傾斜面となっている。背面40bは、第2コアピン40の先端側(図1において上側)へ向かって軸線方向Lに対して外まわり側(内まわり側とは反対側、図1において右側)へ傾斜されている。
一対のコアピン30,40の背面30b,40b(対向面)どうしが平行に対向して当接されている。
【0034】
図1に示すように、第1コアピン30及び第2コアピン40どうし間には連動機構5が介在されている。連動機構5は、第1コアピン30が成形位置から退避位置へ後退するとき、その動きと連動して、第2コアピン40を外まわり側(内まわり側とは反対側)へずらす傾斜カム機構5aと、ずらされた第2コアピン40を第1コアピン30と一体に移動させるストッパ機構5bとを含む。
【0035】
詳しくは、傾斜カム機構5aは、第1コアピン30の背面30bから突出された案内凸条51(傾斜ガイド)と、第2コアピン40の背面40bに形成された案内凹溝52(スライド係合部)を含む。また、前記部分環状部35b及びベース部45(ストッパ部)が、前記ストッパ機構5bとして提供されている。
【0036】
図5に示すように、傾斜カム機構5aの案内凸条51の断面は、例えば概略T字形状になっている。図1及び図3(b)に示すように、案内凸条51は、背面30bの傾斜方向に沿って、第1コアピン30の先端部から基端部まで直線状に延びている。好ましくは第1コアピン30の実質全長にわたって延びている。したがって、案内凸条51は、外まわり成形部31及びコアピン軸部32にわたる長さを有している。
【0037】
図3(a)に示すように、案内凹溝52の断面は、案内凸条51の断面に対応し、例えば概略T字形状になっている。図1に示すように、該案内凹溝52が、背面40bの傾斜方向に沿って案内凸条51と平行に、かつ第2コアピン40の先端部から基端部まで直線状に延びている。好ましくは第2コアピン40の実質全長にわたって延びている。したがって、案内凹溝52は、内まわり成形部41及びコアピン軸部42にわたる長さを有している。
図5に示すように、案内凸条51と案内凹溝52どうしが前記傾斜方向へ相対スライド可能に嵌合(係合)されている。
【0038】
軸線方向Lに対する背面30b,40bひいては案内凸条51及び案内凹溝52の傾斜角度は0.5°~15°であり、より好ましくは2°~5°である。
【0039】
前記の金型装置1によって、流路部材9が、次のようにして作製される。
図1に示すように、進退機構2によってコアピンユニット21を成形位置に前進させる。成形位置においては、外まわり成形部31及び内まわり成形部41が外周成形金型10の内部に配置される。外周成形金型10と外まわり成形部31及び内まわり成形部41との間にキャビティ1cが形成される。
前記キャビティ1cに流路部材9の材料を供給する。これによって、流路部材9が射出成形される。
流路90の端部91eは、全周にわたって第1コアピン30の環状のリング部35だけで成形できる。したがって、流路端部91eの内周面にスジ状ないしは段差状のパーティングライン(複数のコアピンの継ぎ目跡)が出来ることがない。
【0040】
射出成形後、進退機構2によって第1コアピン30を成形位置から退避位置へ向けて後退させる。
図6(a)に示すように、該退避工程の初期段階においては、曲がり流路部92の内まわり部分92b(アンダーカット)に内まわり成形部41が引っ掛かることで、第2コアピン40は、ほぼ射出成形時の位置にとどまる。かつ連動機構5の案内凸条51が案内凹溝52に沿って摺動される。これら案内凸条51及び案内凹溝52の傾斜カム作用によって、第2コアピン40が外まわり側へずらされる。前記傾斜角度の設定によって、第1コアピン30の後退量に対する第2コアピン40のずれ量は、tan0.5°倍~tan15°倍(約0.008倍~約0.268倍)となり、好ましくはtan2°倍~tan5°倍(約0.034倍~約0.088倍)となる。
第2コアピン40の前記位置ずれによって、曲がり流路部92の内まわり部分92b(アンダーカット)と内まわり成形部41との引っ掛かりが解除される。好ましくは第1コアピン30の退避と同時に外周成形金型10が開くことによって流路部材9が可動状態になり、前記引っ掛かりが解除されやすくなる。
【0041】
図6(b)に示すように、第1コアピン30の後退工程の途中、前記引っ掛かりの解除とほぼ同時に、部分環状部35bがベース部45(ストッパ部)に突き当たる。これによって、第2コアピン40が第1コアピン30と一体に退避位置へ向けて移動され、内まわり成形部41が曲がり流路部92の内まわり部分92bよりも軸線方向Lの基端側へ移行される。
図6(c)に示すように、このようにして、コアピンユニット21を流路部材9から型抜きできる。そして、流路部材9を金型装置1から取り出すことができる。
なお、図示は省略するが、第2コアピン40をバネなどの付勢手段によって第1コアピン30に対して基端側(図1において下側)へ付勢することが好ましい。これによって、図6(d)に示すように、型抜き後の第2コアピン40が基端側へ移動され、第1コアピン40と揃う。
【0042】
金型装置1においては、案内凸条51及び案内凹溝52を成形部31,41より長くすることによって、案内凹溝52に対する案内凸条51の可動距離を大きくできる。したがって、案内凹溝52の軸線方向Lひいては型抜き方向に対する傾斜が小さくても、第2コアピン40の外まわり側への平行移動量(ずれ量)を十分に確保でき、確実に型抜きできる。
案内凸条51及び案内凹溝52の軸線方向Lに対する傾斜角度を好ましくは0.5°~15°より好ましくは2°~5°程度とし、第1コアピン30の後退量に対する第2コアピン40のずれ量を好ましくは約0.008倍~約0.268倍より好ましくは約0.034倍~約0.088倍とすることによって、確実に型抜きできるとともに、コアピン30,40にかかる負荷が低減される。この結果、金型装置1の耐久性を向上できる。
【0043】
さらに、内まわり成形部41の内まわりの曲率半径R41を外周直径φ41の好ましくは1.7倍以下、より好ましくは1倍以下とすることによって、一層確実に型抜きできる。
成形された流路部材9においては、曲がり流路部92の内まわりの曲率半径が曲がり流路部92の断面の内直径の好ましくは0.15倍以上、より好ましくは0.3倍以上とすることができる。これによって、曲がり流路部92における圧力損失を低減できる。
流路端部91eの内周面にはパーティングラインが出来ることがない。したがって、流路端部91eに別の管を接続して、該接続部をパッキン等でシールする場合、パーティングラインが無いためにシール性を高めることができる。この結果、流路部材9及び前記別の管内を流れる水などの流体が前記接続部から漏れるのを確実に防止できる。
【0044】
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては図面に同一符号を付して説明を省略する。
<第2実施形態>
図8及び図9は、本発明の第2実施形態を示したものである。
図9に示すように、第2実施形態における成形対象の流路部材9Bは、チーズ(T字管継手)である。流路部材9Bの本管路95と枝管路96との接続部分97が、流体の流れ方向を変える曲がり流路部を構成している。該接続部分97の両側部に、それぞれアンダーカットとなる内まわり周面部分97bが形成されている。
【0045】
図8に示すように、流路部材9B用の金型装置1Bにおける流路成形金型20Bは、3つのコアピンユニット21B,22B,22Bを有している。一対のコアピンユニット22B,22Bによって流路部材9Bの本管路95が成形される。コアピンユニット21Bによって流路部材9Bの枝管路96が成形される。
【0046】
本管路95用のコアピンユニット22Bの基本構造は、第1実施形態のコアピンユニット21,22と同様である。
枝管路96用のコアピンユニット21Bは、3つのコアピン30B,40B,40Bに縦分割されている。詳しくは、コアピンユニット21Bは、中央の第1コアピン30Bと、両側の第2コアピン40B,40Bを含む。第1コアピン30Bは、軸線方向Lに直線状に延びるとともに先端(図8において上端)へ向かって幅細になっている。第1コアピン30Bの両側面36,36(第2コアピン40Bとの対向面)は、軸線方向Lの先端(図8において上端)へ向かうにしたがって互いに接近され、それぞれ対応する内まわり側とは反対側へ傾く斜面となっている。各側面36の長手方向の全長にわたって案内凸条51が形成されている。
詳細な図示は省略するが、第1コアピン30Bにおける、図8の紙面と直交する両側の周面部は、枝管路96の内周部分の成形面を構成していてもよい。
【0047】
第1コアピン30Bを挟んで両側に一対の第2コアピン40Bが設けられている。第2コアピン40Bの基本構造は、第1実施形態の第2コアピン40と同様であり、第1コアピン30Bに沿って延びるコアピン軸部42Bと、該コアピン軸部42Bの先端に設けられた内まわり成形部41Bとを含む。内まわり成形部41Bは、反るように湾曲され、内まわり周面部分97b(アンダーカット)を成形する。コアピン軸部42Bは、枝管路96の内周面を成形する。
【0048】
各第2コアピン40Bの背面46(第1コアピン30Bとの対向面)は、第1コアピン30Bの対応する側面36と平行な斜面となっており、該背面46の長手方向の全長にわたって案内凹溝52が形成されている。案内凹溝52に案内凸条51がスライド可能に嵌合されている。
【0049】
図9に示すように、射出成形後、第1コアピン30Bが軸線方向Lの基端側(図9において下方)へ後退される。このとき、両側の第2コアピン40Bが、案内凸条51と案内凹溝52との傾斜カム機構5aによって互いに接近するようにスライドされ、内まわり周面部分97b(アンダーカット)から外れる。これによって、コアピンユニット21Bを型抜きできる。
図示は省略するが、第2実施形態においても、第1コアピン30Bに流路端部成形用のリング部35が設けられ、第2コアピン40Bにストッパ部45が設けられ、第1コアピン30Bの後退途中でリング部35がストッパ部45と突き当たり、以後、第1、第2コアピン30B,40Bが一体に後退されるようにしてもよい。
【0050】
連動機構5の傾斜カム機構5aは、案内凸条51および案内凹溝52に限らない。また傾斜カム機構5aは対向面30b,40bに設けられていなくてもよい。
<第3実施形態>
図10は、本発明の第3実施形態を示したものである。図10(a)に示すように、第3実施形態においては、コアピンユニット21の傾斜カム機構5aが、案内軸53および案内孔54を含む。
【0051】
案内軸53(傾斜ガイド)は、真っ直ぐな柱形状ないしは棒形状に形成され、第1コアピン30の対向面30bよりも内まわり側(図10において左側)に配置されている。案内軸53の基端部(図10において下端部)が、第1コアピン30の基端部に対して固定されている。案内軸53の先端部(図10において上端部)は、解放端になっている。案内軸53は、軸線方向Lに対して先端側(図10において上側)へ向かって外まわり側(図10において右側)へ傾斜されている。案内軸53の軸線方向Lに対する傾斜角度は0.5°~15°であり、より好ましくは2°~5°である。
【0052】
第2コアピン40には、案内孔54(スライド係合部)が形成されている。案内孔54は、案内軸53の傾斜方向に沿って延び、ベース部45の基端面(図10において下面)から先端面(図10において上面)へ貫通している。
案内軸53が、案内孔5に傾斜方向へスライド可能に挿通(係合)されている。
【0053】
図10(a)~同図(c)に示すように、流路部材9(図7参照)の射出成形後、第1コアピン30が軸線方向Lの基端側(図10において下方)へ後退される。これと連動して、案内軸53と案内孔54との傾斜カム機構5aによって、第2コアピン40が、外まわり側(図10において右側)へずれる。第1コアピン30の後退量に対する第2コアピン40のずれ量は、tan0.5°倍~tan15°倍(約0.008倍~約0.268倍)となり、好ましくはtan2°倍~tan5°倍(約0.034倍~約0.088倍)となる。これによって、コアピンユニット21を確実に型抜きでき、かつコアピン30,40にかかる負荷を低減して金型装置1の耐久性を向上できる。
【0054】
図10(c)に示すように、第1コアピン30の後退工程の途中、第2コアピン40がアンダーカットをクリアするのとほぼ同時に、部分環状部35bがベース部45(ストッパ部)に突き当たり、その後、第2コアピン40が第1コアピン30と一体に退避位置へ向けて移動される。この点は、第1実施形態と同様である。
【0055】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、傾斜ガイド51,53が第2コアピンに設けられ、スライド係合部52,54が第1コアピンに設けられていてもよい。傾斜ガイドが、案内凹溝又は案内孔であり。スライド係合部が、案内凸条又は案内軸であってもよい。
傾斜ガイドおよびスライド係合部の長さは、コアピンの必要な平行移動量を確保できる長さであればよく、必ずしも両方とも長い必要はない。傾斜ガイドおよびスライド係合部のいずれか一方の長さが必要な平行移動量以上であれば、他方の長さは前記一方より短くてもよく、部分的に設けられていてもよい。
案内凸条51及び案内凹溝52の断面形状は、T字状に限らず任意に改変でき、たとえば四角形や半円形であってもよい。案内凸条51及び案内凹溝52の断面形状が、コアピン30,40の対向方向(図1の左右方向)へは離間可能で、かつコアピン30,40の幅方向(図1の紙面と直交する方向)へは互いに移動規制し合うような形状であっててもよい。傾斜ガイドおよびスライド係合部が、傾斜ガイドの傾斜方向と交差する方向に離間可能であってもよい。
型抜き工程において、第2コアピンは、内まわり側周面部分から完全に外れるようになっていなくてもよく、わずかに内まわり側周面部分に触れて無理抜きされるようになっていてもよい。射出成形後、流路部材が硬化していれば、第2コアピンが後退時に弾性変形して抜けるからである。
コアピンユニットの第2コアピンの数は、1つ又は2つに限らず、3つ以上であってもよい。第1コアピンが、複数の第2コアピンで囲まれていてもよい。この場合、第1コアピンは、流路成形部を有していなくてもよい。
成形対象の流路部材は、エルボ(L字管継手)、チーズ(T字管継手)に限らず、十字にクロスする継手などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、例えば給水管、給湯管、排水管、空調管などの流体管に適用できる。
【符号の説明】
【0057】
1,1B 金型装置
1c キャビティ
2 進退機構
10 外周成形金型
20,20B 流路成形金型
30,30B 第1コアピン
30b 背面(対向面)
31 外まわり成形部
32 第1コアピン軸部
35 リング部
35b 部分環状部
36 両側面(対向面)
40,40B 第2コアピン
40b 背面(対向面)
41,41B 内まわり成形部(アンダーカット金型)
42,42B 第2コアピン軸部(コアピン軸部)
45 ベース部(ストッパ部)
46 背面(対向面)
5 連動機構
5a 傾斜カム機構
5b ストッパ機構
51 案内凸条(傾斜ガイド)
52 案内凹溝(スライド係合部)
53 案内軸(傾斜ガイド)
54 案内孔(スライド係合部)
9,9B 流路部材
90 流路
91e 流路端部
92 曲がり流路部
92a 外まわり側周面部分
92b 内まわり側周面部分(アンダーカット)
97 接続部分97(曲がり流路部)
97b 内まわり側周面部分(アンダーカット)
L 軸線方向
41 曲率半径
φ41 外周直径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10