(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】インテークマニホールド
(51)【国際特許分類】
F02M 35/104 20060101AFI20220906BHJP
F02M 35/16 20060101ALI20220906BHJP
F02M 37/00 20060101ALI20220906BHJP
F02M 63/00 20060101ALI20220906BHJP
F02M 61/16 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
F02M35/104 A
F02M35/104 B
F02M35/16 E
F02M37/00 321B
F02M63/00 C
F02M61/16 W
(21)【出願番号】P 2018225195
(22)【出願日】2018-11-30
【審査請求日】2021-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】水口 篤
(72)【発明者】
【氏名】楠田 賢士
(72)【発明者】
【氏名】安田 光毅
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-246968(JP,A)
【文献】特開2002-174152(JP,A)
【文献】特開2009-236018(JP,A)
【文献】特開2006-336528(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0162699(US,A1)
【文献】独国実用新案第202014102423(DE,U1)
【文献】特開2010-285916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/104
F02M 35/16
F02M 37/00
F02M 63/00
F02M 61/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料系部品よりも車両前方側に配置されたインテークマニホールドであって、
内燃機関に取り付けられる取付部と、
前記取付部の
下端を通り、前記取付部の軸線の延伸方向に沿う線分を挟んで、前記燃料系部品とは反対側に位置し、前記インテークマニホールドの車両前方側の壁に設けられ、前記壁よりも厚い厚肉部と、を具備するインテークマニホールド。
【請求項2】
複数の吸気管を具備し、
前記厚肉部は前記複数の吸気管を横断する請求項1に記載のインテークマニホールド。
【請求項3】
前記厚肉部は、前記インテークマニホールドのうち最も車両前方側の部分よりも後方かつ上に位置する請求項1または2に記載のインテークマニホールド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインテークマニホールドに関する。
【背景技術】
【0002】
車両前部のエンジンルームにはエンジン、燃料系部品およびインテークマニホールドなどが収納される。インテークマニホールドはエンジンに接続され、エンジンに吸気を供給する。車両が衝突した際、インテークマニホールドのスロットルボディが破壊され、衝撃を吸収する技術が開発されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両が衝突した際、インテークマニホールドが燃料系部品に衝突し、燃料系部品が破損する恐れがある。そこで、燃料系部品を保護することが可能なインテークマニホールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、燃料系部品よりも車両前方側に配置されたインテークマニホールドであって、内燃機関に取り付けられる取付部と、前記取付部の下端を通り、前記取付部の軸線の延伸方向に沿う線分を挟んで、前記燃料系部品とは反対側に位置し、前記インテークマニホールドの車両前方側の壁に設けられ、前記壁よりも厚い厚肉部と、を具備するインテークマニホールドによって達成できる。
【発明の効果】
【0006】
燃料系部品を保護することが可能なインテークマニホールドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)はインテークマニホールドを例示する側面図であり、
図1(b)はインテークマニホールドを例示する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本実施形態のインテークマニホールド100について説明する。
図1(a)はインテークマニホールド100を例示する側面図であり、
図1(b)はインテークマニホールド100を例示する正面図である。
図1(a)および
図1(b)に示すX軸方向は車両の前方向(Fr側)であり、Y軸方向は上方向である。
【0009】
インテークマニホールド100は自動車などの車両に搭載される。
図1(a)に示すように、インテークマニホールド100は3つのピース10、12および14を接合することで形成されている。ピース10、12および14はそれぞれ樹脂製である。ピース10はインテークマニホールド100のFr側の壁を構成する。
【0010】
図1(b)に示すように、インテークマニホールド100は複数の吸気管15a~15cを有し、
図1(a)に示すようにサージタンク16、EGR(Exhaust Gas Recirculation)トーナメント部18、およびフランジ部20(取付部)を有する。
【0011】
サージタンク16およびEGRトーナメント部18は吸気管15a~15cに連通する。フランジ部20は各吸気管の先端であって、インテークマニホールド100の-X側(Rr側)に位置する。フランジ部20は不図示の内燃機関の吸気ポートに取り付けられる。吸気はサージタンク16に一時的に溜められ、インテークマニホールド100を流れ、フランジ部20から内燃機関に供給される。
【0012】
図1(a)および
図1(b)に示すように、インテークマニホールド100のFr側の壁面であって、サージタンク16とEGRトーナメント部18との間に厚肉部22が形成されている。厚肉部22は例えばピース10と同一の樹脂から形成され、リブ22aおよび22bを含む。
図1(b)に示すように、リブ22aは吸気管15a~15cを横断し、
図1(a)に示すように庇形状であり、壁面からFr側に突出する。リブ22bは吸気管ごとに設けられ、リブ22aと吸気管の壁面とを接続する。リブ22aの厚さTはインテークマニホールド100のFr側の壁よりも大きく、厚さの差は例えば1mm以下でもよいし、1mm以上でもよい。このため厚肉部22はインテークマニホールド100の他の部分よりも高い剛性を有する。
【0013】
内燃機関は例えばガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンなどであり、燃料を燃焼することで動力を発生させる。燃料パイプ30(燃料系部品)はフランジ部20よりも上側(+Y側)に位置し、内燃機関に燃料を供給する。
【0014】
厚肉部22は、フランジ部20の燃料パイプ30側とは反対側に位置する。すなわち、フランジ部20の下端を通りフランジ部20の延伸方向に沿う線分L1を挟んで、厚肉部22は燃料パイプ30の反対側に位置する。
【0015】
車両のFr側が他の車両などに衝突した際、インテークマニホールド100は厚肉部22の下から亀裂を生じ、破壊される。例えば
図1(a)に示す厚肉部22の下端を通る線分L2においてインテークマニホールド100が破壊され、部分100aと部分100bとに分割される。矢印で示すように線分L2より下の部分100bは重力の作用で落下する。線分L2より上の部分100aは残存する。燃料パイプ30は部分10aより後方側(-X側)に位置しており、部分100bに接触しにくい。
【0016】
本実施形態によれば、インテークマニホールド100は燃料パイプ30よりもFr側に位置し、Fr側の壁面に厚肉部22を有する。車両のFr側衝突時にインテークマニホールド100は厚肉部22の下から破壊され、部分100aと部分100bとに分離する。これにより衝撃が吸収され、ピース10、12および14の分離が抑制される。したがって剥離したピースが燃料パイプ30に衝突することによる燃料パイプ30の破壊が抑制される。また、下側の部分100bは落下し、燃料パイプ30に接触しにくい。この結果、燃料パイプ30が保護される。
【0017】
上側の部分100aは残存し、燃料パイプ30のFr側に位置する。このためFr側から飛来する物体は部分100aに衝突し、燃料パイプ30には衝突しにくい。すなわち燃料パイプ30は部分100aにより保護される。
【0018】
厚肉部22は庇形状を有することが好ましい。これにより、厚肉部22は高い強度を有し、厚肉部22の下側は厚肉部22より低い強度を有する。したがって衝突時に厚肉部22より下側においてインテークマニホールド100が割れて、部分100bが脱落しやすくなる。厚肉部22はリブ22aおよびリブ22bを含むとしたが、他の形状でもよい。
【0019】
インテークマニホールド100と一体に厚肉部22を設ければよく、プロテクタなどを設けなくてよいため、車両の軽量化および低コスト化が可能となる。
【0020】
図1(b)に示すように、インテークマニホールド100は、3気筒エンジンに対応して3つの吸気管15a~15cを有する。インテークマニホールド100はエンジンの気筒の数に応じて、1つ、2つまたは4つ以上の吸気管を有してもよい。厚肉部22は少なくとも1つの吸気管に設けられてもよいが、複数の吸気管を横断することが好ましい。インテークマニホールド100が各吸気管の厚肉部22の下側から割れることで、燃料パイプ30が保護される。
【0021】
厚肉部22は、インテークマニホールド100のうち最も車両前方側の部分よりも後方かつ上に位置する。これによりFr側の衝突時に部分100aを残存させ、かつ部分100bを脱落させることができる。なお、燃料パイプ30以外に燃料ポンプなど他の燃料系部品が設けられてもよい。燃料系部品が保護され、燃料漏れが抑制される。
【0022】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0023】
10、12、14 ピース
15a、15b、15c 吸気管
16 サージタンク
18 EGRトーナメント部
20 フランジ部
22 厚肉部
22a、22b リブ
30 燃料パイプ
100 インテークマニホールド
100a、100b 部分