(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】視覚効果を有する多層コーティング
(51)【国際特許分類】
B32B 27/20 20060101AFI20220906BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20220906BHJP
B05D 1/36 20060101ALI20220906BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20220906BHJP
C09D 5/29 20060101ALI20220906BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20220906BHJP
C09D 5/04 20060101ALI20220906BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20220906BHJP
C09D 7/62 20180101ALI20220906BHJP
C09D 7/43 20180101ALI20220906BHJP
C09D 167/06 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B32B27/36 101
B05D1/36 Z
B05D5/06 Z
C09D5/29
C09D5/00 D
C09D5/04
C09D7/61
C09D7/62
C09D7/43
C09D167/06
(21)【出願番号】P 2018519327
(86)(22)【出願日】2016-10-14
(86)【国際出願番号】 US2016057091
(87)【国際公開番号】W WO2017066604
(87)【国際公開日】2017-04-20
【審査請求日】2019-09-25
(32)【優先日】2015-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517299870
【氏名又は名称】ポリント コンポジッツ ユーエスエイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ベルデン ライアン
【審査官】深谷 陽子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-239614(JP,A)
【文献】米国特許第04497918(US,A)
【文献】特開2001-205750(JP,A)
【文献】特開2007-276477(JP,A)
【文献】特開平03-288627(JP,A)
【文献】特開2002-254559(JP,A)
【文献】特開2005-154222(JP,A)
【文献】特開2009-041005(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0199551(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102442031(CN,A)
【文献】特表2017-510432(JP,A)
【文献】飯塚義雄,チキソトロピック剤(増粘剤, 沈降防止剤, タレ防止剤),色材,1992年,65巻12号,p.775-785,https://www.jstage.jst.go.jp/article/shikizai1937/65/12/65_775/_pdf/-char/ja
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00- 43/00
B05D 1/00- 7/26
C09D 1/00- 10/00、101/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚効果を有する多層コーティングであって、下記:
a. 不飽和ポリエステル及びゲルコート層の透明性を有意には損なわないサイズと表面を有するチキソトロピック剤を含む高透明性ゲルコート層
であって、ビコチャートの白色部に少なくとも94の透明度及び/又はビコチャートの黒色部に26未満の透明度を有する前記高透明性ゲルコート層;
b. 透明ゲルコート及び視覚効果顔料を含む視覚効果層;及び
c. ゲルコート及び単純顔料を含むカラー層
を含む、前記多層コーティング。
【請求項2】
前記視覚効果が、輝き、金属効果、真珠光沢効果、艶、画像の明瞭さ、粗さ、閃光、きらめき、テクスチャー、又はその組み合わせから成る群より選択される、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項3】
前記視覚効果が輝きである、請求項1に記載の多層コーティング。
【請求項4】
前記視覚効果顔料が金属コートガラス粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載の多層コーティング。
【請求項5】
前記視覚効果顔料が、35~150ミクロンの粒径分布を有する、請求項4に記載の多層コーティング。
【請求項6】
前記高透明性ゲルコート層が、シリカを2質量%未満の量で含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の多層コーティング。
【請求項7】
前記高透明性ゲルコート層が、260~350m
2/gのBET表面積を有するシリカを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の多層コーティング。
【請求項8】
前記高透明性ゲルコート層が、280~330m
2/gのBET表面積を有するシリカを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の多層コーティング。
【請求項9】
前記高透明性ゲルコート層が、スチレンモノマーと(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルとを含有する不飽和ポリエステル樹脂を硬化させることによって形成される、請求項1~
8のいずれか1項に記載の多層コーティング。
【請求項10】
前記高透明性ゲルコート層、前記視覚効果層、又はカラー層の1つ以上が、1種以上のフタラート含有ポリエステル、ビニル含有ポリエステル又はメタクリル酸メチル含有ポリエステルを含む、請求項1~
9のいずれか1項に記載の多層コーティング。
【請求項11】
視覚効果を有する多層コーティングの製造方法であって、下記:
高透明性ゲルコート樹脂を層として型に適用すること、ここで、前記樹脂は、ゲルコート層の透明性を有意には損なわないサイズと表面を有するチキソトロピック剤を含む高透明性ゲルコート樹脂であり
、前記高透明性ゲルコート層が、ビコチャートの白色部に少なくとも94の透明度及び/又はビコチャートの黒色部に26未満の透明度を有し;
前記高透明性ゲルコート樹脂層に
透明ゲルコート及び視覚効果顔料を含む視覚効果樹脂を直接又は間接的に適用して、視覚効果層を形成すること;
前記視覚効果層に
ゲルコート及び単純顔料を含むカラー樹脂を直接又は間接的に適用して、カラー層を形成すること
を含む、前記方法。
【請求項12】
前記高透明性ゲルコート樹脂が、前記視覚効果樹脂が適用される前に少なくとも部分的に硬化される、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記視覚効果樹脂が、前記カラー樹脂が適用される前に少なくとも部分的に硬化される、請求項
11又は
12に記載の方法。
【請求項14】
前記高透明性ゲルコート樹脂、前記視覚効果樹脂、及び前記カラー樹脂が、噴霧によって適用される、請求項
11~
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記カラー層に熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂を適用することをさらに含む、請求項
11~
14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記多層コーティングを基板に付着させて物品を形成することをさらに含む、請求項
11~
15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が、ウォータークラフト、風車、スイミングプール、浴槽、シャワー、衛生陶器、タンク、パイプ、タンク、ダクト、ヒュームスタック、建築パネル、船舶、電気部品、航空機コンポーネント、及び電子コンポーネントから成る群より選択される表面である、請求項
11~
16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
請求項1~
10のいずれか1項に記載の多層コーティングでコートされた物品。
【請求項19】
前記物品がさらに複合材を含む、請求項
18に記載の物品。
【請求項20】
前記複合材が繊維強化されている、請求項
19に記載の物品。
【請求項21】
前記物品が、ウォータークラフト、風車、スイミングプール、浴槽、シャワー、衛生陶器、タンク、パイプ、タンク、ダクト、ヒュームスタック、建築パネル、船舶、電気部品、航空機コンポーネント、及び電子コンポーネントから成る群より選択される、請求項
18~
20のいずれか1項に記載の物品。
【請求項22】
前記高透明性ゲルコートがポリエステル樹脂を含み、前記物品がウォータークラフト船体である、請求項
21に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年10月16日に提出された米国仮出願第62/242,894号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明の実施形態は、一般的に多層カラーコーティングの分野、さらに詳細には1つ以上のゲルコート層及び視覚効果顔料を含む多層コーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ゲルコートは、複合成形品の外面層として多くの用途に広く使用されている。ゲルコートは、典型的に、耐湿性、耐亀裂性及び同様の特性を必要とする環境にさらされる複合品、或いは強く、可撓性、耐摩耗性及び耐衝撃性のある表面並びに/又は滑らかな光沢仕上げを必要とする物品に見られる。該物品の例としては、とりわけ、艇体、バスタブエンクロージャー、プール、スパ、並びに車及びトラックの車体パネルが挙げられる。
ゲルコート品は、典型的にゲルコート組成物を高圧スプレーガンから、開いた型の内面に噴霧し、場合により1種以上の他の材料を適用し、複合品用の積層樹脂をゲルコート又は中間材料上に適用することによって形成される。形成方法は、典型的にゲルコートを硬化させ、この硬化したゲルコート品を型から取り出すことを含む。ゲルコート品は、複合材料を数個割り型(multi-part mold)中に適用し、ゲルコート組成物を射出又は適用し、型を閉じ、ゲルコートを硬化させてから、硬化したゲルコート品を型から取り出すことによっても作製可能である。
【0004】
複合品用のゲルコートは、典型的に、不飽和ポリエステル、アクリラート及びウレタン型樹脂等の熱硬化性基礎樹脂系から、フィラー、顔料及び他の添加剤を組み入れて調合される。ゲルコートは、型への適用を容易にできるように高剪断で低粘性を示すべきであるが、適用後に垂れ下がるか又は流れることに耐えるべきでもある。ゲルコートの別の重要な特性は、表面粘着性及び硬化時間である。
典型的に、ゲルコート樹脂は、噴霧によってゲルコートを適用するために樹脂系の粘度を下げるためにも使用されるスチレン又はメタクリル酸メチル(MMA)等の反応性重合可能モノマーと混合される。通常のゲルコート組成物は、35~45wt%の反応性モノマー及び他の揮発性有機化合物(VOCs)を含有する。高量のスチレン及び他のVOCsの存在は、政府規制により厳密に制御されるスチレン蒸気その他の有害大気汚染物質(HAP)の排出をもたらす。
【0005】
US 20010010367 A1は、フィラー及びリン光性顔料を懸濁させた熱硬化性不飽和ポリエステルを含む組成物から調製され、ゲルコート品並びに成形、鋳造及びガラス繊維強化プラスチック(FRP)品の製造に利用される発光ポリマーについて論じる。該発光ポリマーは、熱及びエレクトロルミネセント特性によって明るくて持続性のフォトルミネセント残光、残光の強い熱刺激(thermostimulation)を示すと言われている。
US 20070249742 A1は、少なくとも1種の熱可塑性樹脂及び少なくとも1種の特殊視覚効果添加剤を含む樹脂性組成物に由来する物品中の可視ニットライン(knitline)を実質的に減らすか又は本質的に排除する方法を開示する。この出願は、鉱物フレーク又はフレーク形態であり得る金属顔料を含む視覚効果添加剤について論じる。種々の金属及び平均粒径範囲の金属顔料が論じられている。
US 20110123750 A1は、ゲルコート組成物、特に海洋ゲルコート組成物、それらの製造プロセス、並びに光、水及び溶媒にさらされる物品の表面をコートするためのそれらの使用について論じる。該ゲルコートは、150~250m2/gのBET表面を有する沈降シリカ、98.5質量%以上のSiO2含量、及び0.5質量%以下のNa2O含量を組み入れる。
【0006】
US 20120225190 A1は、標的コーティング層の特性を得る方法について論じる。詳細には、標的コーティングの色及び外観特性を測定するために標的コーティング層上にクリアコート層が与えられる。このクリアコート層は、再生可能資源からの材料を含むことができる。この出願は、標的コーティング層の特性を得るためのシステムをも対象とする。
US 20150166760 A1は、プレートレット形基板を構成する金属効果顔料とコーティングについて論じる。このコーティングは、少なくとも1種のハイブリッド無機/有機層を含み、このハイブリッド層は、少なくとも部分的に、1種以上の無機酸化物成分を有する無機網目構造を有し、かつ少なくとも1種の有機成分を有し、この有機成分は、少なくとも部分的に、1つ以上の有機網目構造形成体を介して少なくとも部分的に無機網目構造に共有結合している有機オリゴマー及び/又はポリマーである。この出願は、これらの金属効果顔料の製造方法、及びそれらの使用についても論じる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の一態様として、視覚効果を有する多層コーティングを提供する。本コーティングは、(a)不飽和ポリエステル及びチキソトロピック剤を含む高透明性ゲルコート層であって、その透明性を有意には損なわないサイズと表面を有するゲルコート層;(b)透明ゲルコート及び視覚効果顔料を含む視覚効果層;及び(c)ゲルコート及び単純顔料を含むカラー層を含む。
【0008】
別の態様として、視覚効果を有する多層コーティングの製造方法を提供する。本方法は、高透明性ゲルコート樹脂を層として型に適用することを含み、ここで、樹脂は、チキソトロピック剤を含む高透明性ゲルコート樹脂であり、該ゲルコート層の透明性を有意には損なわないサイズと表面を有する。本方法は、視覚効果樹脂を透明ゲルコート樹脂層に直接又は間接的に適用して、視覚効果層を形成することをも含む。本方法は、カラー樹脂を視覚効果層に直接又は間接的に適用して、カラー層を形成することをも含む。本方法の一部の実施形態では、高透明性ゲルコート樹脂は、視覚効果樹脂が適用される前に少なくとも部分的に硬化され、及び/又は視覚効果樹脂は、カラー樹脂が適用される前に少なくとも部分的に硬化される。高透明性ゲルコート樹脂、視覚効果樹脂、及びカラー樹脂の1つ以上は、噴霧によって適用可能である。本方法は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂をカラー層に適用し、及び/又は多層コーティングを基板に付着させて物品を形成することをさらに含むことができる。
【0009】
本発明のさらに別の態様として、本多層コーティングでコートされた物品を提供する。例えば、物品は、視覚効果を有する多層コーティングによって少なくとも部分的にコートされている複合材(例えば繊維強化複合材)を含んでよい。
物品は、ウォータークラフト、風車、スイミングプール、浴槽、シャワー、衛生陶器、タンク、パイプ、タンク、ダクト、ヒュームスタック、建築パネル(build panel)、船舶、電気部品、航空機コンポーネント、及び電子コンポーネントから成る群より選択され得る。例えば、高透明性ゲルコートはポリエステル樹脂を含み、物品はウォータークラフト船体である。
【0010】
本発明の別の態様として、視覚効果ゲルコート樹脂を提供する。視覚効果ゲルコート樹脂は、該組成物の総質量に基づいて、70~90wt%の高透明性ゲルコート樹脂と、2%未満の、260~350m2/gのBETを有する少なくとも1種のシリカとを含む。
本発明の前述の態様では、視覚効果ゲルコート樹脂は、少なくとも1種の不飽和ポリエステル樹脂又は他の架橋性ゲルコート樹脂を包含し得る。
本発明の前述の態様では、視覚効果は、輝き、金属効果、真珠光沢効果、艶、画像の明瞭さ、粗さ、閃光、きらめき、テクスチャー、又はその組み合わせから成る群より選択され得る。例えば、好ましい視覚効果は輝き効果(きらきら輝くとも称される)である。視覚効果顔料は、金属コートガラス粒子であってよく、及び/又は35~150ミクロンの粒径分布を有し得る。高透明性ゲルコート層は、シリカ(好ましくはヒュームドシリカ)を2質量%未満の量で含むことができる。これとは別に又はこれに加えて、高透明性ゲルコート層は、260~350m2/g又は280~330m2/gのBET表面積を有するシリカを含む。
【0011】
一部の実施形態では、高透明性ゲルコート層は、スチレンモノマーと、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸アルキルとを含有する不飽和ポリエステル樹脂を硬化させることによって形成される。高透明性ゲルコート層、視覚効果層、又はカラー層の1つ以上は、1種以上のフタラート含有ポリエステル、ビニル含有ポリエステル又はメタクリル酸メチル含有ポリエステルを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
専門用語の定義
本明細書で用いる専門用語は、特定実施形態を記述するためだけのものであり、限定する意図でないものと理解すべきである。定義した用語は、定義した用語の技術的及び科学的意味に加えて、本教示の技術分野で一般的に理解され、受け入れられるものである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「a」、「an」及び「the」は、文脈が明白に他の意味を指示しない限り、単数及び複数の両参照対象を包含する。従って、例えば、「a device」は、1つの装置及び複数の装置を包含する。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、用語「実質的な」又は「実質的に」は、それらの通常の意味に加えて、許容可能限界又は程度以内であることを意味する。例えば、「実質的に解除される」は、当業者が解除を許容可能とみなすことを意味する。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、その通常の意味に加えて、用語「ほぼ」は、当業者に許容される限界又は量の範囲内であることを意味する。例えば、「ほぼ同一」は、比較するアイテムが同一であると当業者がみなすことを意味する。
「上(above)」、「下(below)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」及び「下方(lower)」等の相対的用語を用いて、添付図面に示すように、種々の要素相互の関係を描写することができる。これらの相対的用語は、コーティング及び/又は物品の描写した位置付けに加えて様々な位置付けを包含するよう意図される。例えば、物品を反転させたら、例えば、別の要素の「上」と描写した要素は、今度は当該要素の「下」となる。同様に、物品を90°回転させたら、別の要素の「上」又は「下」と描写した要素は、今度は他の要素に「隣接」することになる。この「隣接」は、他の要素に隣接しているか、又は要素間に1つ以上の層、材料、構造等を有することを意味する。
【0013】
「視覚効果」は、輝き、金属効果、真珠光沢効果、艶、画像の明瞭さ、粗さ、閃光、きらめき、テクスチャー、又はその組み合わせを意味する。
層、樹脂は、直接又は間接的に別の表面に付着し得る。ある層の別の層への「間接的」付着は、それらの間に中間層があることを意味する。例えば、第1の透明層とカラー層との間に第2の透明層があるとき、第1の透明層は、カラー層に間接的に付着していることになる。
本明細書で特に指定のない限り、用語「粘度」は、Brookfield RVモデル粘度計を用いてセンチポアズ(cps)で測定される25℃(77℃)におけるモノマーを含むポリマーの粘度を指す。コーン及びプレート(CAP)型粘度計により10,000l/秒の剪断速度で高剪断下の粘度を測定する。用語「NVM」は、ASTM D1259に従って測定される揮発性物質(例えば、モノマー)に分散した不揮発性材料を指す。
本開示の全ての百分率は、特に指定のない限り、質量によるものである。
【0014】
詳細な説明
以下の詳細な説明においては、説明の目的で、かつ限定ではなく、本教示の徹底的な理解を可能にするために特定の詳細を開示する代表的実施形態を示す。実施形態例の説明を不明瞭にしないように、既知のシステム、装置、材料、操作方法及び製造方法の説明は省略することがある。それにもかかわらず、代表的実施形態に従って、当業者の理解の範囲内にあるシステム、装置、材料及び方法を使用してよい。
【0015】
本発明の一態様により、少なくとも1つの高透明性ゲルコート層及び少なくとも1つの視覚効果層を含む多層コーティングを提供する。ここで、透明バリア層は、使用中、輝き効果顔料層の上に配置され、それによって透明バリア層が輝き効果層の構造と外観を保護する。
本コーティング及び物品は、海洋、輸送、及び建築関係の産業及び構造に適している。例えば、コーティングをキオスク、現金自動預払機、壁パネル、及び他の物品に適用することができる。それらは、一般的自動車の金属仕上げ及び真珠状仕上げと同様の視覚効果を与える。本コーティング及び物品は、1種以上の視覚効果添加剤を含む中間層を包含する。本コーティング及び物品は、1つ以上のゲルコート層、例えば3つの層を包含し、本方法は、1つ以上の層適用工程、例えば少なくとも3つの層適用工程を包含する。本方法は、外観を向上させ、海洋及び輸送面に望ましい視覚効果をもたらす深く、リッチなきらきら輝く仕上げを作り出す。一部の実施形態では、本コーティングは、少なくとも3つの層、すなわち透明層、視覚効果層及びベースカラー層を含む。
【0016】
一部の実施形態では、視覚効果層は、1種以上の視覚効果顔料を含み、場合により所望の視覚的又は美的外観を与えるために供給される他の装飾又は観賞作用物質を含有する装飾層である。装飾又は観賞作用物質としては、限定するものではないが、通常の顔料、粒子及びチップが挙げられる。一部の実施形態では、多層コーティングは3つの層を含み、各層は5~12ミル(0.13~0.30mm)、或いは7~10ミル(0.18~0.25mm)である。
本コーティング及び物品は、ここに開示する1種以上のゲルコート組成物を含む。それらは、ゲルコート多層コーティングの製造に使用可能である。ゲルコート組成物、特に最外層及び/又は視覚効果層に用いるゲルコート組成物は高い透明度、例えば、ビコチャート(byko chart)の白色部上で測定される94以上の透明度を有する。
【0017】
一部の実施形態では、本コーティング又は物品の1つ以上の層は、透明ゲルコートである。高透明性ゲルコート樹脂はPolynt Composites USA, Inc.から入手可能である。一部の実施形態では、透明層は、硬化及び/又は架橋すると高透明性ゲルコートをもたらす不飽和ポリエステル樹脂由来の透明ポリエステルゲルコートである。例えば、Polynt Composites USA, Inc.からのSTYPOL 040-0901、STYPOL 040-0946、及び他の樹脂を透明ゲルコート用成分として使用することができる。別の例として、1種以上のフタラート含有ポリエステル、ビニル含有ポリエステル又は(メチル)メタクリラート含有ポリエステルを含む樹脂から透明ポリエステルゲルコート層を形成することができる。さらに好ましくは、透明ポリエステルゲルコートは、フタラート含有ポリエステル、特にイソフタル酸ネオペンチルグリコール(iso-NPG)に由来するフタラート含有ポリエステルを含む。
【0018】
高透明性ゲルコート樹脂又は層は、総ゲルコート組成物の40~95%、又は65~85%として不飽和ポリエステル樹脂を含んでよい。透明コート樹脂又は層は、総ゲルコート組成物の20~60%、又は30~45%として反応性モノマー(例えばスチレン)を含んでよい。透明コート樹脂又は層は、1~10%、或いは3~8%の(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリラート又は他のエチレン性不飽和カルボン酸を含んでよい。高透明性ゲルコート樹脂又は層は、低カラー、高い透明性、並びに高い耐候性と耐水性を有するものであり;該樹脂の例は、Polynt Composite USA, Inc., Carpentersville, Illinoisから入手可能なSTYPOL Gold系列の樹脂である。
一部の実施形態では、多層コーティングは、ビコチャートの白色部に少なくとも94の透明度を有し、及び/又はビコチャートの黒色部に26未満の透明度を有する高透明性ゲルコート層を含む。高透明性ゲルコート樹脂に適切な他の特性には、3,200~4,500cpsの粘度及び4~7.5のチキソトロピー指数がある。
【0019】
本コーティングに有用な不飽和ポリエステルは、製作者が樹脂を使用するまで架橋を阻止する反応抑制剤を含有する架橋モノマーに溶解したポリカルボン酸又は無水物と1種以上の多価アルコールとの反応生成物である。不飽和ポリエステルは、重合可能ビニリデンモノマーと組み合わせた1種以上の不飽和ジカルボン酸又は無水物、1種以上の芳香族ジカルボン酸又は無水物及び1種以上の多価アルコールの縮合生成物である。ポリエステルの1種以上の成分は、エチレン性不飽和でなければならず、好ましくはポリカルボン酸成分である。
【0020】
典型的な不飽和酸としては、ジカルボン酸及び無水物、例えばマレイン酸無水物、マレイン酸、フマル酸、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸及びシトラコン酸が挙げられる。マレイン酸が最も経済的な誘導体であるが、フマル酸を代用することができ、多少の微妙な構造上の差はあるが同じ特性を有する樹脂をもたらす。用語(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、メタクリル酸、又はその組み合わせを指す。ほとんどの市販製剤では、ポリエステルポリマーの反応性は主にマレイン酸無水物成分に由来する。本発明には、マレイン酸無水物、フマル酸若しくはマレイン酸又はその混合物を利用するマレイン酸とフマル酸に基づく樹脂が好ましい。アクリル酸変性及びメタクリル酸変性ポリエステル樹脂も使用できる。不飽和度は、飽和二塩基酸(ポリエステルに関する限り芳香族酸を含む)、例えばフタル酸無水物、イソフタル酸、フタル酸、クロレンド酸無水物、テトラブロモフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸及び無水物、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸等を含めることによって変動する。本発明の実施には、オルトフタル酸に基づくポリエステル樹脂(フタル酸無水物又はフタル酸由来)及びイソフタル酸に基づくポリエステル樹脂(イソフタル酸由来)並びにそれらの置換及びハロゲン化誘導体が特に好ましい。DCPD変性フタル酸及び/又はイソフタル酸樹脂も使用できる。多価アルコールの例としては、グリコール、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ジブロモネオペンチルグリコール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,3-プロパンジオール、ヘキシレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジシクロペンタジエンヒドロキシル付加物;プロピレンオキシド;トリオール、例えばトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールヘキサン、及びヘキサントリオール;ビスフェノールAエーテル及びビスフェノールA付加物(例えばビスフェノールジプロポキシエーテル及びビスフェノールAとエチレンオキシドの付加物)、水素化ビスフェノールA及び臭素化ビスフェノール;その他が挙げられる。
【0021】
エチレン性不飽和ポリエステルは、通常は半硬質ポリエステル又は可撓性ポリエステルであるが、これらの混合物を硬質ポリエステルと共に使用することができる。好ましいポリエステルは、ビニリデンモノマーと共重合物を形成する。好ましいビニルモノマーはスチレンである。スチレンは、他の市販モノマーに比べて一般的にずっと低コストで同等の特性を提供する。特定モノマーは特有の性質を増強し、例えば、フタル酸ジアリル及びシアヌル酸トリアリルは、特定電気部品に必要とされる熱耐久性を伸ばす。他のモノマーとしては、ビニル芳香族、例えばビニルトルエン、αメチルスチレン、ジビニルベンゼン、p-t-ブチルスチレン、o-クロロスチレン及びジクロロスチレン等、α、βエチレン性不飽和モノカルボン酸のアルキルエステル、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル及びアクリル酸2-エチルヘキシル等、並びにビニルエステル、例えば酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニルが挙げられる。それらは、通常はスチレンと組み合わせていくらかの有用性を満たす。ビニルエステルは、一般的に本発明の実施にはあまり適さない。好ましくは、エチレン性不飽和ポリエステルは、約30~80パーセントの重合可能樹脂形成成分を含み、残りの20~70パーセントが架橋ビニリデンモノマーで構成される。スチレンの量の制御は、高光沢表面仕上げを得る祭に特に有用である。
【0022】
本コーティング及び物品は、各層に少なくとも1種の樹脂を含む。種々の層用の樹脂の組成は、所望の外観に基づいて異なる。低粘度(500~1000cps)樹脂を使用すると、それは容易に充填可能であり、捕捉空気を逃がすことになる。通常、衝撃又は熱応力に起因する剥離(chipping)を確実になくすために耐衝撃性グレードが好ましい。完全製剤中の濃度は、典型的に25~95質量%である。
各々の層用の樹脂及び組成物は、不飽和ポリエステルに加えて種々の他の成分、例えば1種以上のフィラーを含むことができる。フィラーの例は、望まれる特定の物理的、化学的、又は電気的特性に応じて、炭酸カルシウム(高粘度のノンザグ(nonsag)コート用に用いる微細な合成高純度グレードを含めて)、水和ケイ酸アルミニウム及び他のケイ酸塩、粘土、粉砕石灰岩、マイカ、タルク、アルミニウム三水和物、硫酸バリウム、霞石閃長岩、長石、炭化物、酸化物、金属粉末及び炭素である。フィラーを用いて、樹脂の収縮を減らし、発熱を少なくし、硬度を高くし、熱伝導度及び寸法安定性を高め、難燃性を高め、又は樹脂の密度及び不透明度を変える。フィラー濃度は5~75質量%の範囲であり得る。
【0023】
本コーティング及び物品、又は該コーティング若しくは物品を構成する層若しくは樹脂は、1種以上のチキソトロピック剤を含むことができる。例えば、チキソトロピック剤としては、コロイドシリカ、沈降シリカ及び/又はヒュームドシリカが挙げられる。他のチキソトロピック剤としては、ケイ酸アルミニウムマグネシウム粘土(例えばベントナイト)がある。垂直面及び無空隙高密度面に適用するときのゲルコートのたるみ及び流れを防止するためにチキソトロピック剤を含める。一部の実施形態では、チキソトロピック剤は、粉末、例えば260~350m2/g、或いは280~330m2/gのBrunauer-Emmett-Teller(BET)表面積を有する粉末である。一部の実施形態では、チキソトロピック剤は、260~350m2/g、或いは280~330m2/gのBET表面積を有するシリカから選択される。BET表面積は、ISO 9277「気体吸着による固体の比表面積の決定--BET法」、又は他の適切な分析方法によって決定可能である。ISO 9277手順を用いて、BET手順に従うシリカ及びケイ酸塩のN2比表面積を決定する。測定値は、明確に定義された分圧における窒素の極低温吸着によって決まる。この分析は、多点定量として達成され、0.05~0.2の分圧(p/p0)範囲内に全部で5点の測定による線形挙動を示す。
【0024】
ヒュームドシリカ(CAS番号112945-52-5)は、炎内で生成されるので発熱性シリカとしても知られ、非晶質シリカの微視的液滴を含み、これらが融合して分岐した鎖様、及び/又は三次元の二次粒子となり、次いで凝集して三次粒子となる。ヒュームドシリカは、極端に低い容積密度と高い表面積を有する。その三次元構造は、増粘剤又は補強フィラーとして使用するときに粘度上昇チキソトロピー挙動をもたらす。沈降シリカは、ケイ酸塩を含有する溶液からの沈降により生成されるシリカ(SiO2)である。
チキソトロピック剤を用いて、フィラーの沈殿を最小限にし、かつ顔料効率を高める。チキソトロピック剤は、0.1~15質量%、或いは0.25~5質量%、或いは0.5~1.75質量%の濃度で使用可能である。他の既知のチキソトロピック剤としては、水素化ヒマシ油及び脂肪酸アミドがある。堆積膜の厚さ及び該膜がたるむ傾向を考慮して、ゲルコートのチキソトロピー特性を正確に制御すべきである。ゲルコートは、垂直面及び無空隙高密度面に適用するときの滴下を排除するように均一にチキソトロピックでなければならない。ゲル時間の延長は、割り当てられた時間内のゲルコートの硬化を害し、その後の樹脂積層物の適用がゲルコートを膨潤させ、しわくちゃにする恐れがあるので、ゲルコート製剤は典型的に促進剤を含有する。顔料及びチキソトロピック剤、例えばヒュームドシリカによるコバルト促進剤の吸収及び失活に起因するゲル時間ドリフトには特別な注意を払わなければならない。
【0025】
本コーティング及び物品は、1種以上の単純顔料を含むことができる。単純顔料は、着色剤として作用することを越えて視覚効果を与えない顔料を指す。単純顔料は、ゲルコートに0~10質量%の濃度で使用されることが多い。本コーティング及び物品では、カラー層及び基礎ゲルコート層は、1種以上の単純顔料を含むことができる。
本コーティング及び物品に使用する樹脂は、1種以上の溶媒を含むことができる。製剤を薄めるため及び噴霧粘稠度のためにアセトン等の溶媒を製剤に添加することができる。溶媒は、性能、製造及び環境のリスク又は懸念を提起することがあるので、最少量の溶媒を使用する(又は溶媒を使用しない)。
本樹脂に有用な他の成分としては、反応抑制剤、硬化促進剤、レベリング剤及び消泡剤が挙げられる。
本コーティング及び物品は、1種以上の視覚効果顔料を含む。例えば、視覚効果顔料は、色及び1つ以上の他の視覚効果、例えば、輝き、金属効果、真珠光沢効果、艶、画像の明瞭さ、粗さ、閃光、きらめき、テクスチャー、又はその組み合わせを与える。好ましい視覚効果顔料には、輝き効果顔料及び金属コートガラス粒子がある。他の視覚効果顔料は、鉱物フレーク又はフレークの形態であり得る金属顔料である。
【0026】
輝く外見、金属性(metallescent)又は金属様外見、真の金属の外観、又は任意角度の条件等色(metameric)外観を有するプラスチック品は、多くの場合に望ましい。個々のフレークを裸眼で区別でき、輝く外観又は金属性外観を有する物品をもたらすような荷重でプラスチック品に遊離金属フレーク等の特殊な視覚効果添加剤を組み入れることによって、輝く外見又は金属性外見を有するプラスチック品を作り出すことができる。もっと高荷重の遊離金属フレークを使用することによって、真の金属の外見を有するプラスチック品を作り出すことができる。
一部の実施形態では、視覚効果顔料は、ガラスフレーク、金属顔料、金属フレーク、アルミニウム顔料、架橋ポリマー粒子、架橋アクリル樹脂、及び該添加剤の少なくとも1種を含む混合物から成る群より選択される。
視覚効果顔料の例は、BASF光輝顔料であり、それらの平滑面及び高屈折率のため透明であり、光を反射する。より大きい粒径は、視覚効果として輝く効果を与えることができる。プレートレットから反射された光は、粒径によって異なる奥行き感及び光輝を作り出す。すなわち、より小さい粒子はサテン光沢を与え、一方、より大きい粒子は、より大きい輝き効果又はグリッター様効果を作り出す。BASFのいくつかのMEARLIN特殊効果顔料は、見る角度によって色が変化する多色プレー及び動的カラートラベル又は「フロップ(flop)」を有する。これらの顔料は非金属であるが、それらは仕上げに金属の外見を与える。BASFからのMEARLIN真珠光沢顔料は、種々のコーティング、プラスチック及び印刷インク用途に色と視覚効果の両方を与える二酸化チタン及び/又は酸化鉄でコートされたマイカプレートレットである。
【0027】
視覚効果顔料の他の例として、EckartからのLUXAN真珠光沢顔料は、合成により作製されたガラスであり、層でコートされている。一例として、LUXAN C001顔料は、視覚効果として透明のチラチラ光る効果を与える小さいガラスフレークである。視覚効果顔料として使用し得るEckhartからの他のガラス真珠顔料として、LUXAN D001、LUXAN E001、LUXAN F001、LUXAN E221、LUXAN E241、LUXAN C261、LUXAN E261、LUXAN C393、LUXAN D393、LUXAN B241、LUXAN B502、LUXAN B522、LUXAN B542、LUXAN D502、LUXAN D522、LUXAN D542、LUXAN B512、LUXAN D512、及びLUXAN B393が挙げられる。
好ましい金属顔料は、元素周期表の第4、6、8、9、10、11、13、及び14族の金属に基づいている。金属顔料は有色であり得る。これらの金属顔料の例としては、アルミニウム、青銅、黄銅、クロム、銅、金、鉄、モリブデン、ニッケル、スズ、チタン、亜鉛等が挙げられる。金属顔料は、寸断して広い分布の不規則な粒子形状を与えることによって、或いは打ち抜いてより限定的な粒子のサイズと形状を与えることによって作製され得る。箔から作製された特殊タイプのアルミニウム顔料であるグリッターも利用可能である。典型的に0.025mm未満のゲージにローラーで伸ばされた箔は、典型的に0.2~約3mmのサイズの正方形、長方形又は六角形にカットされ、典型的に箔の酸化的曇りを停止させるために透明エポキシラッカーでコートされる。粒子サイズが大きいグリッターは、金属の輝きの個別ハイライトを作り出すことができる。金青銅は、典型的には銅と亜鉛の合金であり、酸化を減らすために少量のアルミニウムを含む。金色の範囲は、合金の主成分の比率を変えることによって作り出される。種々の例では、緑金合金は、典型的に70パーセントの銅を含有し、銅の割合が増すにつれて色がより赤くなり;90パーセントの銅は薄金色をもたらし;濃金色は、合金の酸化の制御によって作られる。金青銅は、通常はフレーク形態で利用され、グレードが粗いほど強い輝度を与える。しかしながら、銅等の金属フレークは、熱、水分及び腐食剤に影響を受けやすいので、注意して利用しなければならない。金属顔料は、場合により、例えば、ロジン又は脂肪酸、例えばオレイン酸若しくはリノール酸でコートしてよい。場合により、金属顔料は、最初は、少なくとも1種のポリマーを含み得る担体材料を含む顆粒形態であってよい。適切な担体材料は、鉱油、ワックス、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)等を含む。顆粒形態では、金属顔料は、典型的に顆粒の約70~80%を占め、残りが担体である。前記顔料を用いて、本多層コーティング及び物品に、明るい輝きのみならずハンマー及びリーフィング(leafing)仕上げをもたらすか又は増強することができる。適切な視覚効果顔料は、約1~約1300ミクロンの範囲、典型的には約1~約850ミクロンの範囲、さらに好ましくは約10~約200ミクロンの範囲の直径を有する複数のミクロスフェアビーズを含んでもよい。特定の実施形態では、ビーズはガラスで構成され、約50ミクロンの直径を有する。別の特定の実施形態では、ビーズはチタン酸バリウムで構成される。
【0028】
光吸収顔料、光散乱顔料、光干渉顔料、及び光反射顔料等の視覚効果顔料を含有するコーティングは周知である。金属フレーク顔料、例えばアルミニウムフレークは、このような効果の顔料の例であり、例えば通常は「フロップ」と呼ばれる差動的光反射効果をそれらが与えること、並びにフレークのサイズ分布及びフレークによって付与される輝きのみならずコーティングの奥行き知覚の増強を含むフレークの外観効果のために自動車表面の装飾に使用されている。フロップ効果は、車体が見える角度に左右される。達成されるフロップ効果の度合は、コーティングの外表面に対する金属フレークの方位の関数である。輝きの度合は、フレークサイズ、表面の平滑さ、方位及びエッジの均一性の関数である。金属コーティングは、一般的に光散乱型ではなく光吸収型の顔料をも通常は含有する。顔料又はフレーク自体から、例えばフレークエッジからのいずれの光散乱も、コーティングのフロップと輝きを両方とも弱める。
視覚効果顔料は、典型的に約1~約3500ミクロン、好ましくは約1~約500ミクロン、好ましくは約10~約300ミクロン、なおさらに好ましくは約10~約100ミクロンの範囲の平均径を有する。
視覚効果顔料の粒径分布は、視覚効果に影響を与えることがある。例えば、より大きい粒子及びより粗い粒子は、輝き及び艶を与える傾向があり、より小さい粒子及びより微細な粒子は、より強い構造力及び隠蔽力を与える傾向がある。一部の実施形態では、視覚効果顔料は、より粗い粒径分布、例えば、35~150ミクロン、又は10~65ミクロンの粒径分布を有する。
一部の実施形態では、コーティングの視覚効果層に視覚効果顔料層が存在する。視覚効果層は、輝き効果層であり得る。視覚効果層は、1種以上の他の顔料又は反射粒子を含有することもできる。
【0029】
有用な単純顔料としては、例えば、無機顔料がある。例示無機顔料として、金属酸化物水酸化物及び金属酸化物、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、酸化ユウロピウム、酸化セリウム、着色酸化アルミニウム粒子等が挙げられる。無機顔料としては、炭酸塩、例えば炭酸カルシウム及び炭酸コバルト;ルチルに基づくチタン酸塩(チタン酸アンチモンクロム及びチタン酸アンチモンニッケル)、スピネル(チタン酸コバルト及びチタン酸鉄)、プリデライト、及び擬板チタン石顔料構造体も挙げられる。他の例示顔料としては、(i)アルミン酸塩、例えばアルミン酸コバルト及びアルミン酸クロムコバルト;(ii)クロマイト、例えば銅クロマイトブラック及びコバルトクロマイトグリーン;(iii)フェライト、例えばマグネシウム及び亜鉛を含有する純粋フェライトスピネル、混合クロマイト/フェライトスピネル、及びピグメントグリーン17又はピグメントブラウン29として特定されている混合クロム鉄顔料;(iv)硫化物及び硫酸塩、例えば硫化カドミウム及び硫セレン化カドミウム、硫化セリウム、硫化亜鉛、硫酸バリウム、及び硫酸ストロンチウム;(v)ビスマス顔料、例えばバナジン酸ビスマス、混合酸化物を形成するイットリウム及びセリウム置換酸化ビスマス;(vi)クロム酸塩;(vii)ケイ酸塩、例えばウルトラマリン及びケイ酸ジルコニウム顔料;(viii)シアン化合物、例えばFe(II)Fe(III)シアノ錯体;(ix)カルシウム、ランタン、及びタンタル酸化物-窒化物;リン酸マンガン及びリン酸コバルト;(x)カーボンブラック;(xi)発光顔料、例えば硫化物及び硫セレン化物、アルカリ土類硫化物及び硫セレン化物オキシ硫化物、ホウ酸塩、アルミン酸塩、没食子酸塩、ケイ酸塩、ゲルマン酸塩(germinate)、ハロリン酸塩及びリン酸塩、酸化物、ヒ酸塩、バナジン酸塩、例えばバナジン酸イットリウム、ニオブ酸塩及びタンタル酸塩、硫酸塩、タングステン酸塩及びモリブデン酸塩、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物(反ストークスシフト(anti-stokes shift)顔料を含めて)、オキシハライド;(xii)量子効果顔料、例えば5ナノメートル未満の粒径を有するナノスケールケイ素;半導体発光ナノ粒子、例えばCd.sub.3P.sub.2、及びPbS;記憶リン光体(storaeg Phosphor)、例えばCaS:Eu,Smが挙げられる。
【0030】
リン光材料としては、ZnS:Cu及びSrS:Biが挙げられる。使用可能なリン光体としては、MAl2O4に基づくものが挙げられる。ここで、Mは金属、例えばカルシウム、ストロンチウム、バリウム、又は前述の金属の少なくとも1つを含む組み合わせである。マトリックスをユウロピウム及びジスプロシウムでドープすることができる。
有用な有機顔料及び染料としては、アクリジン染料、アミノケトン染料、アントラセン誘導体、アントラキノン、アリール又はヘテロアリール置換ポリ(C2-8)オレフィン染料、アリールメタン染料、アジン染料、アゾ染料、アゾレーキ、アゾ、ベンズイミダゾロン顔料、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、ビス(ヒドロキシフラボン)、ビス(スチリル)ビフェニル染料、ビス-ベンゾオキサゾリルチオフェン(BBOT)、カルボシアニン染料、カルボスチリル染料、クリセン、コロネン、クマリン染料、例えばクマリン460(ブルー)及び7-アミノ-4-メチルクマリン、ナイルレッド等、シアニン染料、ジアゾニウム染料、ジアゾ、ジ(インミニウム)、ジケトピロロピロール、ジオキサジン、例えばジオキサジンバイオレット、エンスロン(enthrone)、フラバントロン、赤外線(IR)吸収体、例えばColorChem International Corp.からのIR1000、フルオロフォア、例えば近赤外波長で吸収し、可視波長で発光する反ストークスシフト染料、フルオレセイン、炭化水素及び置換炭化水素染料、ヒドロキシフラボン、イミダゾール誘導体、インダントロン染料、インジゴイド染料、イソインドリノン、ラクトン染料、ランタニドキレート、金属ジチオール錯体、メチン染料、ナフタルイミド誘導体、ニトロ染料、オキサジン、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン染料、フタロシアニン、ポリアザインダセン、多環式芳香族炭化水素染料、ポルフィリン染料、ピラゾリン、ピラゾロン、ピレン、ピリリウム、キナクリドン、キノンイミン染料、キノフタロン、ローダミン700、ローダミン800、ローダミン及び全てのそれらの誘導体、ルブレン、シンチレーション染料、例えばオキサゾール又はオキサジアゾール染料、スクアリリウム、スチルベン、テトラクロロイソインドリノン、テトラゾリウム染料、サーモクロミック顔料、チアゾール染料、チアピリリウム、トリアリールアンモニウム、チアジネクス(thiazinex)、チオインジゴイド染料、チオフェン、チオキサンテン、トリアリールメタン、トリアリールアンモニウム、キサンテン、1,1'-ジエチル-2,2'-カルボシアニンヨージド、2-(1-ナフチル)-5-フェニルオキサゾール、2-(4-(4-ジメチルアミノフェニル)-1,3-ブタジエニル-3-エチルベンゾチアゾリウム ペルクロラート、2-(4-ビフェニリル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,2'-ジメチル-p-クアテルフェニル、2,2-ジメチル-p-テルフェニル、2,2'-p-フェニレン-ビス(5-フェニルオキサゾール)、2,5-ビス-(4-ビフェニリル)-オキサゾール、2,5-ジフェニルフラン、2,5-ジフェニルオキサゾール、3-(2'-ベンゾチアゾリル)-7-ジエチルアミノクマリン、3,3'-ジエチル-4,4',5,5'-ジベンゾチアトリカルボシアニンヨージド、3,4-オキサジアゾール、3,5,3',5'-テトラ-t-ブチル-p-キンクエフェニル、3-ジエチルアミノ-7-ジエチルイミノフェノキサゾニウムペルクロラート、4,4'-ジフェニルスチルベン、4-ジシアノメチレン-2-メチル-6-(p-ジメチル アミノスチリル)-4H-ピラン、7-ジメチルアミノ-1-メチル-4-メトキシ-8-アザキノロン-2,7-ジメチルアミノ-4-メチルキノロン-2等が挙げられる。
【0031】
一部の実施形態では、視覚効果を有する多層コーティングの製造方法は、層として高透明性ゲルコート樹脂を型に適用すること、ここで、樹脂は、チキソトロピック剤を含む高透明性ゲルコート樹脂であり、該ゲルコート層の透明性を有意には損なわないサイズ及び表面を有する;該透明ゲルコート樹脂層に直接又は間接的に視覚効果樹脂を適用して視覚効果層を形成すること;及び該視覚効果層に直接又は間接的にカラー樹脂を適用してカラー層を形成することを含む。視覚効果樹脂を適用する前に高透明性ゲルコート樹脂を少なくとも部分的に硬化させることができる。これとは別に又はこれに加えて、カラー樹脂を適用する前に視覚効果樹脂を少なくとも部分的に硬化させることができる。高透明性ゲルコート樹脂、視覚効果樹脂、及び/又はカラー樹脂は、噴霧によって適用可能である。
本方法は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂をカラー層に適用し、及び/又は多層コーティングを基板に付着させて物品を形成することを含むこともできる。例えば、基板は、ウォータークラフト、風車、スイミングプール、浴槽、シャワー、衛生陶器、タンク、パイプ、タンク、ダクト、ヒュームスタック、建築パネル、船舶、電気部品、航空機コンポーネント、及び電子コンポーネントから成る群より選択される表面であり得る。
【0032】
一部の実施形態では、熱硬化性ゲルコート組成物をインモールドコーティングとして型の表面に適用すること;該ゲルコート組成物を周囲温度で硬化させて部分的に架橋した粘着性乃至タックフリーのゲルコートを形成すること;顔料層を適用すること;及びカラー層を適用することによって多層コーティングを作製する。本方法は、部分的に架橋したゲルコート上に成形すべき材料を適用する工程;前記材料上に架橋性積層樹脂を適用する工程;及び積層樹脂及びゲルコートを周囲温度で架橋させて、固体の架橋した熱硬化性樹脂を形成する工程を含むこともできる。
コーティング及びコートすべき物品には、熱硬化性、熱可塑性又は他の材料でできた成形品が含まれる。特に場合により繊維強化されたコートされた成形品は、典型的に、物品に対応する表面を有するネガティブレリーフ(negative relief)の型の表面全体にゲルコート組成物を広げることによって作られる。一部の実施形態では、高透明性ゲルコート層は、成形品の最外層となり、環境にさらされてきて、環境からの保護を与えることになる。ゲルコート組成物樹脂は、多数の技術(例えば、ブラッシング、ハンドレイアップ、又は噴霧)のいずれの技術によっても型の表面を横切って広げることが可能である。視覚効果樹脂及びカラー樹脂は、同じ技術又は異なる技術によって適用可能である。
【0033】
一部の実施形態では、次に、場合により繊維強化された強化プラスチック支持体を、部分的又は全体的に硬化したゲルコート組成物の裏に、多数の技術のいずれの技術によっても(例えば、開型プロセスではブラッシング、ハンドレイアップ、又は噴霧によって、或いは閉型プロセスではキャスティングによって)適用することができ、結果として生じる積層構造体を硬化させて型から取り出す。硬化は、フリーラジカル重合開始剤を用いて促進することができる。
本コーティング及び層は、標準的なゲルコーティング機器で適用可能である。層をウェット・オン・ウェット適用するか又は層の適用間にゲルを薄膜で覆うことができる。LED光を用いて視覚効果層の被覆度を検証することができる。透明補修シンナーで補修することができる。
【0034】
ISO 13320-1に従って平均粒径を測定することができる。この試験手順は、レーザー回折を用いる0.04~2500ミクロンのシリカ及びケイ酸塩の粒径分布の測定について記述している。粒径決定のためにフラウンホーファー(Fraunhofer)モデルを使用するレーザー回折の適用は、粒子は全ての方向に異なる強度パターンで光を散乱させる現象に基づいている。散乱は粒径に左右される。粒子が小さいほど散乱角が大きい。
調査するサンプルは、測定前に500ミクロンのふるいを用いて前選別すべきである。これは、粉砕生成物、それぞれ>500ミクロンの物質のない生成物にとって妥当である。
【0035】
高透明性ゲルコート層及び/又は視覚効果層を形成するためのシステム及びキットをも提供する。一実施形態では、システムは、一緒に包装された別々の容器で構成され、高透明性ゲルコート樹脂と、ゲルコートについて本明細書に記載したフィラー、顔料及びチキソトロピック剤から成る群より選択される少なくとも1種の添加成分との容器;視覚効果顔料の容器;塩基触媒の容器;及び容器の中身を組み合わせて本明細書に記載の高透明性ゲルコート層及び/又は視覚効果層を形成するための説明書を含む。
多層ゲルコートカラー物品を形成するためのシステムをも提供する。システム又はキットは、高透明性ゲルコート樹脂、視覚効果樹脂、及びカラー樹脂を含むことができる。一部の実施形態では、システムは、一緒に包装された別々の容器で構成され、高透明性ゲルコート樹脂の容器;視覚効果顔料の容器;ベースカラーの容器、及び塩基触媒の容器;並びに容器の中身を適用し、及び/又は組み合わせて、視覚効果を有する多層コーティングを形成するための説明書を含む。
【実施例】
【0036】
実施例
この実施例は、標準的な透明層を使用して多層コーティングに所望の輝き効果を作り出すことはできないが、ここに開示する本多層コーティングは優れた色と輝き効果を有することを実証する。この実施例では、以下の4つのパネルを調製した:実験用ブラック、標準的ブラック、実験用ホワイト及び標準的ホワイト。試験は二要素から成った。視覚測定用に実地どおりに(透明、効果層、ソリッドカラー、積層)パネル及び定量試験用にビコチャートPA-2810(BYK-Gardnerから入手可能)上にドローダウン(drawdown)を作製する。実験用パネルは実験室規模の吸引ガンを用いて製造したが、機器に関する限りは如何なる特殊な適用パラメーターもない。BYK-Gardnerは、コーティング材料の色、不透明性及び/又は透明性を評価するためのドローダウンカード及びチャートを提供する。
実施例1は、本開示に従う透明ゲルコート層を作製するための樹脂を記載する。表1は、実験用透明ゲルコート樹脂の成分と濃度を開示する。親水性発熱性シリカ(ヒュームドシリカ)は、280~330m2/gのBETを有した。
【0037】
【0038】
Stypol Gold系列樹脂は低カラー、高透明性、高耐候性及び高耐水性を特徴とする。
実施例2は、本開示に従うカラー層用のゲルコート樹脂を作製するための樹脂を記載する。表2は、実験用無彩色(Neutral)ゲルコート樹脂の成分と濃度を開示する。
【0039】
【0040】
実施例3は、視覚効果層を作製するための樹脂を記載する。表3は、実施例1に記載の樹脂及び視覚効果顔料としてLUXAN C001を含む実験用の明るい銀色の樹脂の成分と濃度を開示する。
【0041】
【0042】
実施例4は、カラー層を作製するための樹脂を記載する。表4は、実施例2に記載の樹脂及びいくつかの単純顔料を含む実験用Deep Cosmos樹脂を記載する。
【0043】
【0044】
比較例Aは、透明ゲルコート層を作製するための樹脂を記載する。表Aは、標準的透明ゲルコート樹脂の成分と濃度を開示する。
【0045】
【0046】
パネルは、7ミル(0.2mm)の透明コーティング樹脂、7ミル(0.2mm)の視覚効果樹脂及び7ミル(0.2mm)のカラー層を噴霧することによって構築した。パネルを硬化させて型から取り出した後、本コーティングと標準的コーティングとの間の差は直ちに認識できた。ブラックパネルでは標準的透明樹脂(比較例A)の曇りが顕著だった。2つのブラックパネルの色を比較すると、実験用透明樹脂(実施例1)で作製したパネルは真っ黒だったが、標準的透明樹脂は灰色に見えた。標準的透明樹脂(比較例A)の曇りは、視覚効果顔料の出現をも減らし、それらをよく見えないようにし、劣った視覚効果コーティングにした。対照的に、実験用透明樹脂(黒及び白ベースカラー層を有する両方)を含むパネルは、高度の輝きと共に優れた視覚効果を有した。標準的透明樹脂及び白ベースカラー層を有するパネルは、黄色がかった外観を有し、白ベースカラー層を有する本発明のコーティングの優れた透明性を実証する。
これらの観察は、実験用及び標準的透明樹脂をチャート上にドローダウンさせ、色測定を行なったビコチャート(#2810)の黒色及び白色部の上の透明樹脂の色示度によっても支持される。
【0047】
色測定は、Chroma-calc(登録商標)ソフトウェアを備えるDatacolor International Spectraflash SF600(登録商標) Plus CT カラーコンピューターを用いて行なった。色測定の設定は以下のとおりである:大開口部(Large area view)(LAV);鏡面反射除外;10°のランプ角度;及びハンター(Hunter)色座標。3次元色空間で色を測定し、次元はL、a、及びbである。「L」は黒及び白の度合を表す。L値は、0(黒)から100(白)に及ぶ。「a」は緑及び赤の度合を表す。a値は、負(緑)から正(赤)に及ぶ。「b」は青及び黄の度合を表す。b値は、負(青)から正(黄)に及ぶ。
ビコチャート上の透明樹脂についての色結果をデルタE(DE)、すなわち総色変化として記録する。この値は、初期のL、a、及びb値と現在のL、a、及びb値との間の差の二乗の合計の平方根である。実験用ホワイトは、ビコチャートの白色部の上にドローダウンした実施例1の樹脂を指し、実験用ブラックは、黒色部の上にドローダウンした実施例1の樹脂を指す。標準的ホワイト及びブラックは、ビコチャートのそれぞれ白色部及び黒色部の上にドローダウンした比較例Aの樹脂を指す。
【0048】
表5:視覚効果パネルの色値(Color Value)
【0049】
これらの色値は、ビコチャートに適用した透明ゲルコートの透明性を反映し、ゲルコートの透明性の定量化として使用可能である。白色についての数が大きいほど高い透明性を表し;黒色についての数が小さいほど低い透明性を表す。実験用透明樹脂(実施例1)は、Datacolor International Spectraflash機器で測定したところ、ビコチャートの白色部に少なくとも94の透明度を有し、ビコチャートの黒色部に26未満の透明度を有した。これらの結果は、本明細書に記載の高透明性ゲルコート層及び樹脂が、標準的透明コートに比べてずっと優れた透明性及び色伝送を有することを実証する。実験用透明樹脂は、白色部にずっと低レベルの黄色を有し(3.55対5.99)、この場合もやはり白ベースカラー層を有する本発明のコーティングの優れた透明性を実証する。
【0050】
この開示を考慮して、本教示に沿うことによって本方法及び装置を実施できることに留意されたい。さらに、種々の成分、材料、構造及びパラメーターは、説明及び例としてのみ含められ、決して限定する意味ではない。この開示を考慮して、他の用途で本教示を実施することができ、添付の特許請求の範囲内にとどまりながら、これらの用途を実施するための成分、材料、構造及び機器を決定することができる。