(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/60 20160101AFI20220906BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20220906BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20220906BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220906BHJP
H04B 5/02 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H02J50/60
H02J50/80
H02J50/12
H02J7/00 301D
H04B5/02
(21)【出願番号】P 2018529436
(86)(22)【出願日】2017-06-15
(86)【国際出願番号】 JP2017022068
(87)【国際公開番号】W WO2018020890
(87)【国際公開日】2018-02-01
【審査請求日】2020-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2016149320
(32)【優先日】2016-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堺 修
(72)【発明者】
【氏名】中野 裕章
(72)【発明者】
【氏名】宮本 宗
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-183628(JP,A)
【文献】特開2015-012746(JP,A)
【文献】特開2016-027788(JP,A)
【文献】特開平11-122832(JP,A)
【文献】特開2014-197923(JP,A)
【文献】特開2015-126558(JP,A)
【文献】特開平08-080042(JP,A)
【文献】特開2011-223739(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/60
H02J 50/80
H02J 50/12
H02J 7/00
H04B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電装置と、
受電装置と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍に
通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記給電部が第1の信号を前記給電コイルに供給する期間において、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定する第1の測定部と、
前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、
前記受電装置を含む電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有し
、
前記コイル情報は、前記コイルが、
前記電子機器において、前記受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報であり、
前記制御部は、前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、前記他のコイルに対応する共振点がある場合に、前記他のコイルを有する物体があり、前記受電装置へ電力を供給しないと判断する
給電システム。
【請求項2】
前記給電コイルは、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する際に、第1の共振周波数を有する第1の共振回路を構成する
請求項1に記載の給電システム。
【請求項3】
前記給電コイルは、前記給電部が前記受電装置に電力を供給する際に、第2の共振周波数を有する第2の共振回路を構成する
請求項1または請求項2に記載の給電システム。
【請求項4】
前記給電部は、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する際、前記第1の周波数範囲において、
前記第1の信号の周波数を変化させつつ、前記第1の信号を前記給電コイルに供給する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項5】
前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路における共振点の数についての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振点の数を測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲における共振点の数に基づいて前記第1の判断を行う
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項6】
前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路の共振周波数についての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振周波数を測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲における共振周波数に基づいて前記第1の判断を行う
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項7】
前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路のインピーダンスについての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲におけるインピーダンスを測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲におけるインピーダンスに基づいて前記第1の判断を行う
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項8】
前記第1の周波数範囲は、13.56MHzを含む
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項9】
前記第2の通信部は、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定した後に、前記第1の通信部との間で通信を開始することにより、前記コイル情報を受信する
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項10】
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振点の数を測定し、
前記制御部は、
前記共振点の数が所定数以下である場合に、前記第1の判断を行う
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項11】
前記給電装置は、
前記給電部が第2の信号を前記給電コイルに供給する期間において、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第2の周波数範囲における第2のパラメータの第2の周波数特性を測定する第2の測定部をさらに
備え、
前記制御部は、前記第2の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての
第2の判断を行い、
前記受電装置へ電力を供給すると判断した場合に、前記第1の判断を行う
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項12】
前記第2の周波数範囲における最大周波数は、前記第1の周波数範囲における最小周波数よりも低い
請求項11に記載の給電システム。
【請求項13】
前記第1の通信部は、前記受電コイルの特性に対応する受電コイル情報を前記給電装置に対してさらに送信し、
前記第2の通信部は、前記受電コイル情報をさらに受信し、
前記制御部は、
前記第2の周波数特性および前記受電コイル情報に基づいて、前記第2の判断を行う
請求項11または請求項12に記載の給電システム。
【請求項14】
前記制御部は、前記第2の周波数特性および前記受電コイル情報に基づいて、前記給電コイルのクオリティファクタまたは前記給電コイルが構成する共振回路のクオリティファクタを評価することにより、前記第2の判断を行う
請求項13に記載の給電システム。
【請求項15】
前記制御部は、前記第2の通信部が前記第1の通信部との間で通信を開始した後に、前記第1の判断を行うか否かを決定する
請求項1から
請求項14のいずれか一項に記載の給電システム。
【請求項16】
給電装置と、
受電装置と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記給電部が第1の信号を前記給電コイルの近傍に設けられた測定コイルに供給する期間において、前記測定コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定する第1の測定部と、
前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記受電装置を含む電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有し、
前記コイル情報は、前記コイルが、前記電子機器において、前記受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報であり、
前記制御部は、前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、前記他のコイルに対応する共振点がある場合に、前記他のコイルを有する物体があり、前記受電装置へ電力を供給しないと判断する
給電システム。
【請求項17】
前記測定コイルは、第1の共振周波数を有する第1の共振回路を構成する
請求項16に記載の給電システム。
【請求項18】
前記給電コイルおよび前記測定コイルを備え、
前記給電コイルおよび前記測定コイルは、平面コイルであり、同一平面に配置され、
前記給電コイルおよび前記測定コイルのうちの一方は、他方の内側に配置された
請求項16または請求項17に記載の給電システム。
【請求項19】
給電装置と、
受電装置と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記給電部が第1の信号を前記給電コイルに供給する期間において、前記給電コイルにおける信号に基づいて、所定の周波数における第1のパラメータのパラメータ値を測定する第1の測定部と、
前記パラメータ値および前記コイル情報に基づいて、前記受電装置を含む電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有し、
前記コイル情報は、前記コイルが、前記電子機器において、前記受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報であり、
前記制御部は、前記パラメータ値および前記コイル情報に基づいて、前記他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、前記他のコイルに対応する共振点がある場合に、前記他のコイルを有する物体があり、前記受電装置へ電力を供給しないと判断する
給電システム。
【請求項20】
前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記所定の周波数における前記第3の共振回路のインピーダンスについての情報を含み、
前記第1のパラメータは、インピーダンスである
請求項19に記載の給電システム。
【請求項21】
前記所定の周波数は、13.56MHzである
請求項19または請求項20に記載の給電システム。
【請求項22】
給電装置と、
受電装置を有する電子機器と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍に
通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記給電部が第1の信号を前記給電コイルに供給する期間において、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定する第1の測定部と、
前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、
前記電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有し、
前記コイル情報は、前記コイルが、
前記電子機器において、前記受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報であ
り、
前記制御部は、前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、前記他のコイルに対応する共振点がある場合に、前記他のコイルを有する物体があり、前記受電装置へ電力を供給しないと判断する
給電システム。
【請求項23】
前記電子機器は、前記コイルを有し、
前記受電装置は、前記受電コイルを有し、
前記受電コイルおよび前記コイルは、平面コイルであり、同一平面に配置され、
前記受電コイルおよび前記コイルのうちの一方は、他方の内側に配置された
請求項22に記載の給電システム。
【請求項24】
給電装置と、
受電装置を有する電子機器と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記給電部が第1の信号を前記給電コイルの近傍に設けられた測定コイルに供給する期間において、前記測定コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定する第1の測定部と、
前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有し、
前記コイル情報は、前記コイルが、前記電子機器において、前記受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報であり、
前記制御部は、前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、前記他のコイルに対応する共振点がある場合に、前記他のコイルを有する物体があり、前記受電装置へ電力を供給しないと判断する
給電システム。
【請求項25】
給電装置と、
受電装置を有する電子機器と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記給電部が第1の信号を前記給電コイルに供給する期間において、前記給電コイルにおける信号に基づいて、所定の周波数における第1のパラメータのパラメータ値を測定する第1の測定部と、
前記パラメータ値および前記コイル情報に基づいて、前記電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有し、
前記コイル情報は、前記コイルが、前記電子機器において、前記受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報であり、
前記制御部は、前記パラメータ値および前記コイル情報に基づいて、前記他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、前記他のコイルに対応する共振点がある場合に、前記他のコイルを有する物体があり、前記受電装置へ電力を供給しないと判断する
給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給電装置から受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば携帯電話機や携帯音楽プレーヤー等のCE機器(Consumer Electronics Device:民生用電子機器)に対し、ワイヤレス給電(Wireless Power Transfer、Contact Free、非接触給電ともいう)を行う給電システムが注目を集めている。このような給電システムでは、例えば、給電トレー(給電装置)上に携帯電話機(受電装置)を置くことにより、携帯電話機を充電することができる。このようなワイヤレス給電を行う方法としては、例えば、電磁誘導方式や、共鳴現象を利用した磁界共鳴方式などがある。この電磁誘導方式や磁界共鳴方式は、しばしば、総称して、磁界結合方式とも呼ばれる。
【0003】
このような磁界結合方式の給電システムでは、給電の際、例えば給電装置と受電装置との間に金属片などの異物があると発熱し、安全性が低下するおそれがある。よって、異物を検出し、その検出結果に基づいて給電動作を制御することが望まれている。例えば、特許文献1~3には、異物を検出可能な給電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-46990号公報
【文献】特開2013-27171号公報
【文献】特開2013-27255号公報
【発明の概要】
【0005】
このように、給電システムでは、安全性を高めることが望まれており、さらなる安全性の向上が期待されている。
【0006】
安全性を高めることができる給電システムを提供することが望ましい。
【0007】
本開示の一実施の形態における第1の給電システムは、給電装置と、受電装置とを備えている。受電装置は、受電部と、第1の通信部とを有している。受電部は、受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取るものである。第1の通信部は、受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を給電装置に対して送信するものである。給電装置は、給電部と、第2の通信部と、第1の測定部と、制御部とを有している。給電部は、給電コイルを用いて受電装置にワイヤレスで電力を供給するものである。第2の通信部は、コイル情報を受信するものである。第1の測定部は、給電部が第1の信号を給電コイルに供給する期間において、給電コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定するものである。制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、受電装置を含む電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて給電部の動作を制御するものである。上記コイル情報は、コイルが、電子機器において、受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報である。上記制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、他のコイルに対応する共振点がある場合に、他のコイルを有する物体があり、受電装置へ電力を供給しないと判断する。
本開示の一実施の形態における第2の給電システムは、給電装置と、受電装置とを備えている。受電装置は、受電部と、第1の通信部とを有している。受電部は、受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取るものである。第1の通信部は、受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を給電装置に対して送信するものである。給電装置は、給電部と、第2の通信部と、第1の測定部と、制御部とを有している。給電部は、給電コイルを用いて受電装置にワイヤレスで電力を供給するものである。第2の通信部は、コイル情報を受信するものである。第1の測定部は、給電部が第1の信号を給電コイルの近傍に設けられた測定コイルに供給する期間において、測定コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定するものである。制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、受電装置を含む電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて給電部の動作を制御するものである。上記コイル情報は、コイルが、電子機器において、受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報である。上記制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、他のコイルに対応する共振点がある場合に、他のコイルを有する物体があり、受電装置へ電力を供給しないと判断する。
本開示の一実施の形態における第3の給電システムは、給電装置と、受電装置とを備えている。受電装置は、受電部と、第1の通信部とを有している。受電部は、受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取るものである。第1の通信部は、受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を給電装置に対して送信するものである。給電装置は、給電部と、第2の通信部と、第1の測定部と、制御部とを有している。給電部は、給電コイルを用いて受電装置にワイヤレスで電力を供給するものである。第2の通信部は、コイル情報を受信するものである。第1の測定部は、給電部が第1の信号を給電コイルに供給する期間において、給電コイルにおける信号に基づいて、所定の周波数における第1のパラメータのパラメータ値を測定するものである。制御部は、パラメータ値およびコイル情報に基づいて、受電装置を含む電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて給電部の動作を制御するものである。上記コイル情報は、コイルが、電子機器において、受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報である。上記制御部は、パラメータ値およびコイル情報に基づいて、他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、他のコイルに対応する共振点がある場合に、他のコイルを有する物体があり、受電装置へ電力を供給しないと判断する。
【0008】
本開示の一実施の形態における第4の給電システムは、給電装置と、電子機器とを備えている。電子機器は、受電装置を有している。受電装置は、受電部と、第1の通信部とを有している。受電部は、受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取るものである。第1の通信部は、受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を給電装置に対して送信するものである。給電装置は、給電部と、第2の通信部と、第1の測定部と、制御部とを有している。給電部は、給電コイルを用いて受電装置にワイヤレスで電力を供給するものである。第2の通信部は、コイル情報を受信するものである。第1の測定部は、給電部が第1の信号を給電コイルに供給する期間において、給電コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定するものである。制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて給電部の動作を制御するものである。上記コイル情報は、コイルが、電子機器において、受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報である。上記制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、他のコイルに対応する共振点がある場合に、他のコイルを有する物体があり、受電装置へ電力を供給しないと判断する。
本開示の一実施の形態における第5の給電システムは、給電装置と、電子機器とを備えている。電子機器は、受電装置を有している。受電装置は、受電部と、第1の通信部とを有している。受電部は、受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取るものである。第1の通信部は、受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を給電装置に対して送信するものである。給電装置は、給電部と、第2の通信部と、第1の測定部と、制御部とを有している。給電部は、給電コイルを用いて受電装置にワイヤレスで電力を供給するものである。第2の通信部は、コイル情報を受信するものである。第1の測定部は、給電部が第1の信号を給電コイルの近傍に設けられた測定コイルに供給する期間において、測定コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定するものである。制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて給電部の動作を制御するものである。上記コイル情報は、コイルが、電子機器において、受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報である。上記制御部は、第1の周波数特性およびコイル情報に基づいて、他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、他のコイルに対応する共振点がある場合に、他のコイルを有する物体があり、受電装置へ電力を供給しないと判断する。
本開示の一実施の形態における第6の給電システムは、給電装置と、電子機器とを備えている。電子機器は、受電装置を有している。受電装置は、受電部と、第1の通信部とを有している。受電部は、受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取るものである。第1の通信部は、受電コイルの近傍に通信用のコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を給電装置に対して送信するものである。給電装置は、給電部と、第2の通信部と、第1の測定部と、制御部とを有している。給電部は、給電コイルを用いて受電装置にワイヤレスで電力を供給するものである。第2の通信部は、コイル情報を受信するものである。第1の測定部は、給電部が第1の信号を給電コイルに供給する期間において、給電コイルにおける信号に基づいて、所定の周波数における第1のパラメータのパラメータ値を測定するものである。制御部は、パラメータ値およびコイル情報に基づいて、電子機器とは別に、通信用の他のコイルを有する物体があるかどうか、および受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて給電部の動作を制御するものである。上記コイル情報は、コイルが、電子機器において、受電装置とは別に設けられているか否かを示す情報である。上記制御部は、パラメータ値およびコイル情報に基づいて、他のコイルに対応する共振点があるかどうかを判断し、他のコイルに対応する共振点がある場合に、他のコイルを有する物体があり、受電装置へ電力を供給しないと判断する。
【0010】
本開示の一実施の形態における第1から第6の給電システムでは、受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断が行われ、その第1の判断結果に基づいて、受電装置への給電が行われる。この第1の判断は、受電装置から送信されたコイル情報に基づいて行われる。このコイル情報は、受電コイルの近傍にコイルが設けられているか否かを示すものである。
【0012】
本開示の一実施の形態における第1から第6の給電システムによれば、受電装置から送信された、受電コイルの近傍にコイルが設けられているか否かを示すコイル情報に基づいて、受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行うようにしたので、安全性を高めることができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれの効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る給電システムの一構成例を表す斜視図である。
【
図2】
図1に示した給電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図3】
図2に示した給電装置の一動作例を表す説明図である。
【
図4A】
図1に示したスマートフォンの一構成例を表すブロック図である。
【
図4B】
図1に示した他のスマートフォンの一構成例を表すブロック図である。
【
図5】
図4Bに示した給電コイルおよびコイルの配置の一例を表す説明図である。
【
図6】
図4Bに示した給電コイルおよびコイルの配置の他の例を表す説明図である。
【
図7】
図1に示した給電システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図8】
図1に示した給電システムにおける通信動作の一例を表すシーケンス図である。
【
図9】
図1に示した給電システムの一動作例を表す説明図である。
【
図10】
図1に示した給電システムの他の動作例を表す説明図である。
【
図11B】
図10に示した動作例における一特性例を表す他の特性図である。
【
図12】
図1に示した給電システムの他の動作例を表す説明図である。
【
図13】
図1に示した給電システムの他の動作例を表す説明図である。
【
図14B】
図13に示した動作例における一特性例を表す他の特性図である。
【
図15】変形例に係る給電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図16】
図15に示した給電装置の一動作例を表す説明図である。
【
図17】他の変形例に係る給電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図18】
図17に示した給電装置の一動作例を表す説明図である。
【
図19】他の変形例に係るスマートフォンの一構成例を表すブロック図である。
【
図20】他の変形例に係る給電システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図21】他の変形例に係るスマートフォンの一構成例を表すブロック図である。
【
図22】他の変形例に係る給電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図23】他の変形例に係る給電装置の一構成例を表すブロック図である。
【
図24】他の変形例に係る給電システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図25】他の変形例に係る給電システムの一動作例を表すフローチャートである。
【
図26】他の変形例に係る給電システムの一動作例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0017】
<実施の形態>
[構成例]
図1は、一実施の形態に係る給電システム(給電システム1)の一構成例を表すものである。この給電システム1は、給電前に、金属片などの異物や、コイルを有するICタグやICカードなどが、給電装置と受電装置との間に挟まっているか否かを検出するものである。
【0018】
給電システム1は、給電装置10と、スマートフォン20とを備えている。スマートフォン20は受電装置30を有している。給電装置10は、この例ではトレー型の給電装置であり、この給電装置10の給電面上にスマートフォン20を置くことにより、スマートフォン20の受電装置30に対して電力を供給し、2次電池29(後述)を充電することができるようになっている。
【0019】
この給電装置10の給電面(スマートフォン20と接する側)には、給電コイル123(後述)が配置されており、スマートフォン20の受電面(給電装置10と接する側)には、受電装置30の受電コイル311(後述)が配置されている。給電装置10は、これらの給電コイル123および受電コイル311を介して、電磁誘導により、スマートフォン20の受電装置30に対して電力を供給する。これにより、ユーザは、スマートフォン20にAC(Alternating Current)アダプタ等を直接接続することなく、2次電池29を充電することができる。その結果、給電システム1は、ユーザの利便性を高めることができるようになっている。
【0020】
また、給電装置10は、後述するように、本給電を行う前に、給電装置10と受電装置30との間に金属片などの異物が有るか否かを検出する(異物検出(FOD:Foreign Object Detection)DF1,DF2)とともに、給電装置10と受電装置30との間に、コイルを有するICタグやICカードなどが有るか否かを検出(共振検出DR1,DR2)する機能も有している。すなわち、例えば、給電装置10と受電装置30との間に金属片などの異物がある場合には、給電装置10が受電装置30に電力を供給する際、その金属片に渦電流が流れることにより、金属片が発熱するおそれがある。また、例えば、給電装置10と受電装置30との間にICタグがある場合には、給電装置10が受電装置30に電力を供給する際、ICタグのコイルに誘導起電力が生じることにより高電圧が発生し、ICタグがこの高電圧により破壊されるおそれがある。そこで、給電装置10は、異物検出DF1,DF2および共振検出DR1,DR2を行い、金属片などの異物や、コイルを有するICタグやICカードなどがないことを確認したあとに本給電を開始する。これにより、給電システム1では、安全性を高めることができるようになっている。
【0021】
なお、この例では、スマートフォン20に対して電力を供給するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、携帯電話、スマートフォン、モバイルバッテリ、タブレット、電子書籍リーダ、オーディオプレーヤ等の様々な電子機器に対して電力を供給することができる。また、この例では、給電装置10は、1つのスマートフォン20に対して給電を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、2つ以上の電子機器に対して同時もしくは時分割的(順次)に給電を行うようにしてもよい。
【0022】
(給電装置10)
図2は、給電装置10の一構成例を表すものである。給電装置10は、給電部11と、容量素子121と、スイッチ122と、給電コイル123と、物体検出部13と、異物検出部14と、共振検出部15と、受信部16と、給電制御部19とを有している。
【0023】
給電部11は、給電制御部19からの指示に基づいて、交流の電力信号SP1を生成するものである。給電部11には、プラグソケット(いわゆるコンセント)を介して交流電源が供給され、あるいは、その他の電源装置から交流電源もしくは直流電源が供給される。そして、給電部11は、供給された電源に基づいて電力信号SP1を生成する。この電力信号SP1の周波数は、例えば、百kHz~数百kHz程度である。
【0024】
また、給電部11は、異物検出DF1において、電力信号SP1の電力よりも低い電力を有する交流信号SDFを生成する機能をも有している。その際、給電部11は、交流信号SDFの周波数を、電力信号SP1の周波数を含む所定の周波数範囲(周波数掃引範囲RDF)にわたって掃引するようになっている。なお、この例では、周波数掃引範囲RDFは、電力信号SP1の周波数を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、電力信号SP1の周波数を含まなくでもよい。この場合、周波数掃引範囲RDFは、電力信号SP1の周波数に近いことが望ましい。
【0025】
また、給電部11は、共振検出DR1において、電力信号SP1の電力よりも低い電力を有する交流信号SDRを生成する機能をも有している。その際、給電部11は、交流信号SDRの周波数を、ICタグやICカードなどが用いる搬送波の周波数fc(例えば13.56MHz)を含む所定の周波数範囲(周波数掃引範囲RDR)にわたって掃引するようになっている。この周波数掃引範囲RDRは、例えば、周波数掃引範囲RDFにおける最大周波数よりも高い周波数を含んでもよい。
【0026】
また、給電部11は、受電装置30に対して給電制御信号CTL1を送信する機能をも有している。具体的には、給電部11は、給電制御信号CTL1を送信する際、電力信号SP1を生成するとともに、その電力信号SP1を、送信する情報に応じて変調させる。これにより、受電装置30の通信部35(後述)は、変調された電力信号に基づいて、給電制御信号CTL1を受信することができるようになっている。
【0027】
容量素子121の一端は、スイッチ122の一端および給電部11に接続され、他端はスイッチ122の他端および給電コイル123の一端に接続されている。スイッチ122の一端は、容量素子121の一端および給電部11に接続され、他端は容量素子121の他端および給電コイル123の一端に接続されている。このスイッチ122は、給電制御部19からの指示に基づいてオンオフするようになっている。給電コイル123は、給電装置10の給電面に配置され、一端は容量素子121の他端およびスイッチ122の他端に接続され、他端は接地されている。
【0028】
図3は、給電部11およびスイッチ122の一動作例を模式的に表すものである。給電装置10が受電装置30に対して電力を供給する場合には、スイッチ122は、給電制御部19からの指示に基づいてオフ状態になる。このとき、容量素子121および給電コイル123は直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、電力信号SP1の周波数付近の周波数である。そして、給電部11は、電力信号SP1をこの共振回路に供給する。これにより、給電コイル123は、電力信号SP1に応じた電磁界を発生させるようになっている。
【0029】
また、給電装置10が異物検出DF1を行う場合には、スイッチ122は、給電制御部19からの指示に基づいてオフ状態になる。このとき、容量素子121および給電コイル123は、共振回路を構成する。そして、給電部11は、交流信号SDFの周波数を周波数掃引範囲RDFにわたって掃引しつつ、その交流信号SDFをこの共振回路に供給する。これにより、給電コイル123は、交流信号SDFに応じた電磁界を発生させるようになっている。
【0030】
また、給電装置10が共振検出DR1を行う場合には、スイッチ122は、給電制御部19からの指示に基づいてオン状態になる。このとき、容量素子121の両端はスイッチ122により短絡される。そして、給電部11は、交流信号SDRの周波数を周波数掃引範囲RDRにわたって掃引しつつ、その交流信号SDRを給電コイル123に供給する。これにより、給電コイル123は、交流信号SDRに応じた電磁界を発生させるようになっている。
【0031】
物体検出部13は、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、給電装置10の給電面上に物体(例えばスマートフォン20)が置かれているか否かを検出するものである。具体的には、例えば、物体検出部13は、給電部11が交流信号を生成する期間において、給電コイル123の一端における信号を検出する。このとき、給電コイル123の一端での信号の振幅や位相は、給電装置10の給電面上に物体が置かれているか否かに応じて変化する。物体検出部13は、この振幅の変化や位相の変化を検出することにより、物体の有無を検出するようになっている。
【0032】
なお、物体検出部13は、この例では、給電コイル123の一端での電圧に基づいて物体を検出したが、これに限定されるものではなく、他のノードでの電圧や電流に基づいて物体を検出してもよい。また、物体を検出する方法は、これに限定されるものではなく、物体の有無を検出できる様々な方法が適用可能である。
【0033】
異物検出部14は、給電コイル123の一端での電圧に基づいて異物検出DF1を行うものである。具体的には、異物検出部14は、給電部11が交流信号SDFを生成する期間において、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、周波数掃引範囲RDFにおけるクオリティファクタQDを求める。このクオリティファクタQDは、給電コイル123および容量素子121が構成する共振回路のクオリティファクタに係るものであり、給電装置10から受電装置30への給電効率に関連するものである。クオリティファクタQDは、共振回路における、抵抗値、インダクタンス値、キャパシタンス値、および周波数に応じて変化するパラメータである。言い換えると、電圧値、給電効率、充電効率、エネルギー損失、抵抗値、インダクタンス値、キャパシタンス値、周波数は、クオリティファクタに関連するパラメータである。なお、この例では、クオリティファクタQDは、共振回路のクオリティファクタとしたが、これに限定されるものではなく、給電コイル123自体のクオリティファクタであってもよい。例えば、給電装置10と受電装置30との間に金属片などの異物がある場合には、この異物の抵抗成分により、クオリティファクタQDが低下する。異物検出部14は、このクオリティファクタQDに基づいて、異物の有無を検出するようになっている。
【0034】
また、異物検出部14は、後述するように、給電装置10および受電装置30が通信を開始した後に、このクオリティファクタQDと、受電装置30から送信された異物判定情報IF(後述)とに基づいて、異物検出DF2を行う機能をも有している。
【0035】
なお、異物検出部14は、この例では、給電コイル123の一端での電圧に基づいて異物検出DF1を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、他のノードでの電圧や電流に基づいて異物検出DF1を行うようにしてもよい。
【0036】
共振検出部15は、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、共振検出DR1を行うものである。具体的には、共振検出部15は、給電部11が交流信号SDRを生成する期間において、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、共振検出部15から見たインピーダンスの周波数特性(インピーダンス特性ZDR)を測定し、このインピーダンス特性ZDRに基づいて、周波数掃引範囲RDRにおける共振点の数(共振数ND)を求める。例えば、給電装置10と受電装置30との間に、コイルを有するICタグやICカードなどがある場合には、共振数NDが変化する。共振検出部15は、この共振数NDに基づいて、ICタグやICカードなどの有無を検出するようになっている。
【0037】
また、共振検出部15は、後述するように、給電装置10および受電装置30が通信を開始した後に、この共振数NDと、受電装置30から送信された共振情報IR(後述)とに基づいて、共振検出DR2を行う機能をも有している。
【0038】
なお、共振検出部15は、この例では、給電コイル123の一端での電圧に基づいて共振検出DR1を行うようにしたが、これに限定されるものではなく、他のノードでの電圧や電流に基づいて共振検出DR1を行うようにしてもよい。
【0039】
受信部16は、受電装置30との間で通信を行うことにより、給電制御信号CTL2を受信するものである。この給電制御信号CTL2は、給電装置10に対する給電電力の増大要求、低減要求など、給電動作に必要な情報を含むものである。また、この例では、給電制御信号CTL2は、後述する、識別情報ID、電力情報IP、異物判定情報IF、および共振情報IRなどをも含んでいる。受信部16は、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、給電制御信号CTL2を受信する。具体的には、まず、給電部11が電力信号SP1を生成する期間において、受電装置30の通信部35(後述)が、送信しようとする情報に応じて、給電装置10からみた負荷を変化させる。この負荷の変化は、給電装置10において、給電コイル123の一端での電圧の振幅や位相の変化、および給電コイル123に流れる電流の振幅や位相の変化として現れる。受信部16は、これらの振幅や位相の変化を検出することにより、受電装置30から送信された給電制御信号CTL2を受信する。このように、給電システム1では、いわゆる負荷変調により、給電制御信号CTL2を送信するようになっている。
【0040】
なお、受信部16は、この例では、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、給電制御信号CTL2を受信したが、これに限定されるものではなく、他のノードでの電圧や電流に基づいて給電制御信号CTL2を受信してもよい。
【0041】
給電制御部19は、給電装置10における動作を制御するものである。具体的には、給電制御部19は、給電装置10の給電面上に物体(スマートフォン20など)が置かれているかどうかを検出する場合には、スイッチ122がオフ状態になるように制御し、給電部11が交流信号を生成するように制御し、物体検出部13が物体の有無を検出するように制御する。
【0042】
また、給電制御部19は、異物検出DF1を行う場合には、スイッチ122がオフ状態になるように制御し、給電部11が交流信号SDFを生成するように制御し、異物検出部14が異物の有無を検出するように制御する。また、給電制御部19は、共振検出DR1を行う場合には、スイッチ122がオン状態になるように制御し、給電部11が交流信号SDRを生成するように制御し、共振検出部15がICタグやICカードなどの有無を検出するように制御する。
【0043】
また、給電制御部19は、給電装置10が異物検出DF2を行う場合には、受信部16が異物判定情報IF(後述)を受信するように制御し、異物検出部14がこの異物判定情報IFに基づいて異物の有無を検出するように制御する。また、給電制御部19は、共振検出DR2を行う場合には、受信部16が共振情報IR(後述)を受信するように制御し、共振検出部15がこの共振情報IRに基づいてICタグやICカードなどの有無を検出するように制御する。
【0044】
また、給電制御部19は、受電装置30に対して本給電を行う場合には、スイッチ122がオフ状態になるように制御し、受信部16が給電電力の増大要求や低減要求などの情報を含む給電制御信号CTL2を受信するように制御し、この要求に基づいて、給電部11が生成する電力信号SP1の電力を制御するようになっている。
【0045】
(スマートフォン20と受電装置30)
次に、スマートフォン20について説明する。以下、2つのスマートフォン20A,20Bを例に挙げて説明する。スマートフォン20Aは、近距離無線通信(NFC;Near Field Communication)を行う機能を有しないものであり、スマートフォン20Bは、近距離無線通信を行う機能を有するものである。
【0046】
図4Aは、スマートフォン20Aの一構成例を表すものである。スマートフォン20Aは、受電装置30と、充電制御部28と、2次電池29と、音声通信部21と、データ通信部22と、操作部24と、表示部25と、処理部26Aとを有している。
【0047】
受電装置30は、受電コイル311と、容量素子312,313と、整流部32と、レギュレータ33と、負荷接続部34と、通信部35、記憶部36と、受電制御部37とを有している。
【0048】
受電コイル311は、スマートフォン20の受電面に配置され、一端は容量素子312を介して整流部32の第1の入力端子に接続され、他端は整流部32の第2の入力端子に接続されている。そして、整流部32の第1の入力端子と第2の入力端子との間には容量素子313が挿設されている。このように、受電コイル311および容量素子312は直列接続され、共振回路を構成している。この共振回路の共振周波数は、電力信号SP1の周波数付近の周波数である。そして、受電コイル311は、給電装置10の給電コイル123が生成した電磁界に基づいて、電磁誘導の法則に従って、その磁束の変化に応じた誘導電圧を発生させるようになっている。
【0049】
受電コイル311および容量素子312,313からなる回路は、給電時において、受電コイル311の両端間の誘導電圧に応じた電圧を有する交流の電力信号SP2を生成し、整流部32に供給する。すなわち、この電力信号SP2は、給電装置10における電力信号SP1に基づいて生成されるものである。
【0050】
整流部32は、電力信号SP2を整流することにより、受電電圧Vrectを有する直流信号を生成するものである。
【0051】
レギュレータ33は、整流部32から供給された直流信号に基づいて、電圧Vregを有する直流電力を生成するものである。そして、レギュレータ33は、受電装置30内の各ブロックにこの電圧Vregを電源電圧として供給するとともに、負荷接続部34を介して、充電制御部28に対してこの電圧Vregを供給するようになっている。
【0052】
負荷接続部34は、受電制御部37からの指示に基づいて、レギュレータ33と充電制御部28とを接続し、または切り離すものである。
【0053】
通信部35は、給電装置10から送信された給電制御信号CTL1を受信するとともに、受電制御部37から供給された情報を含む給電制御信号CTL2を、給電装置10に対して送信するものである。具体的には、給電制御信号CTL1を受信する場合には、通信部35は、変調された電力信号SP2に対して復調処理を行うことにより、給電制御信号CTL1を受信する。また、給電制御信号CTL2を送信する場合には、通信部35は、給電装置10が電力信号SP1を送信している期間において、送信する情報に応じて、整流部32の第1の入力端子と第2の入力端子との間のインピーダンスを変化させる。給電装置10の受信部16は、このインピーダンスの変化(負荷の変化)を検出することにより、給電制御信号CTL2を受信するようになっている。
【0054】
記憶部36は、給電システム1においてやり取りされる情報を記憶するものであり、例えば不揮発性のメモリを用いて構成されるものである。記憶部36は、識別情報ID、電力情報IP、異物判定情報IF、および共振情報IRを記憶している。識別情報IDは、受電装置30を識別するための情報であり、例えば、いわゆるシリアル番号である。電力情報IPは、受電装置30が受け取ることができる電力(パワークラス)を示す情報である。異物判定情報IFは、給電装置10の異物検出部14が異物検出DF2を行う際に用いる情報であり、例えば、リファレンスクオリティファクタQを含んでいる。共振情報IRは、給電装置10の共振検出部15が共振検出DR2を行う際に用いる情報である。この共振情報IRは、スマートフォン20Aにおいて、受電コイル311の近傍にコイルが設けられている場合には、そのコイルが構成する共振回路における共振点の数(共振数N)についての情報を含んでいる。この共振数Nは、受電コイル311の近傍にコイルが設けられていない場合には“0”に設定される。すなわち、この共振情報IRは、受電コイル311の近傍にコイルが設けられているか否かについての情報をも含んでいる。スマートフォン20Aでは、受電コイル311の近傍にコイルを設けていない。よって、この例では、共振数Nが“0”(N=0)に設定されている。
【0055】
受電制御部37は、受電装置30における動作を制御するものである。具体的には、受電制御部37は、識別情報ID、電力情報IP、異物判定情報IF、および共振情報IRを通信部35に供給し、通信部35が、これらの情報を含む給電制御信号CTL2を給電装置10に対して送信するように制御する。また、受電制御部37は、給電装置10から供給された電力を受け取る際、受電電圧Vrectに基づいて、給電電力の増大要求、低減要求などについての情報を通信部35に供給し、通信部35が、これらの情報を含む給電制御信号CTL2を給電装置10に対して送信するように制御する。また、受電制御部37は、負荷接続部34における、レギュレータ33と充電制御部28とを接続する動作または切り離す動作を制御するようになっている。
【0056】
充電制御部28は、2次電池29における充電動作を制御するものである。2次電池29は、直流電力を蓄えるものであり、例えばリチウムイオン電池などの充電池を用いて構成されるものである。充電制御部28および2次電池29は、スマートフォン20の機能を実現するための様々な回路やデバイス(この例では、音声通信部21、データ通信部22、操作部24、表示部25、および処理部26A)に電力を供給するようになっている。
【0057】
音声通信部21は、携帯電話の基地局との間で音声通信を行うものである。データ通信部22は、無線LAN(Local Area Network)を用いて、データ通信を行うものである。操作部24は、ユーザがスマートフォン20Aを操作する際に用いるユーザインタフェースであり、各種ボタンやタッチパネルなどにより構成されるものである。表示部25は、スマートフォン20Aの状態や、様々な情報処理の結果を表示するものである。処理部26Aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを用いて構成され、プログラムを実行することによりスマートフォン20Aの機能を実現するための様々な情報処理を行うものである。
【0058】
図4Bは、スマートフォン20Bの一構成例を表すものである。スマートフォン20Bは、受電装置30と、充電制御部28と、2次電池29と、音声通信部21と、データ通信部22と、NFC通信部23と、操作部24と、表示部25と、処理部26Bとを有している。このスマートフォン20Bは、スマートフォン20A(
図4A)に、NFC通信部23を追加するとともに、処理部26Aを処理部26Bに置き換えたものである。
【0059】
NFC通信部23は、近距離無線通信を行うものである。NFC通信部23は、コイル231と、容量素子232と、通信回路233とを有している。コイル231および容量素子232は、並列接続され、共振回路を構成している。この共振回路の共振周波数は、例えば、周波数fc(例えば13.56MHz)付近の周波数である。コイル231および容量素子232は、通信回路233に接続されている。この通信回路233は、コイル231において高電圧が生じても、その高電圧により破壊されにくく構成されている。
【0060】
図5,6は、スマートフォン20Bにおける、受電コイル311およびコイル231の配置例を表すものである。スマートフォン20Bでは、コイル231を、受電コイル311の近傍に配置している。
図5に示した例では、スマートフォン20Bの受電面において、受電コイル311およびコイル231が互いに隣り合うように配置している。
図6に示した例では、スマートフォン20Bの受電面において、受電コイル311の中心点とコイル231の中心点が略一致するように配置している。この例では、受電コイル311のコイル径が、コイル231のコイル径よりも小さいため、受電コイル311を、コイル231の内側に配置している。
【0061】
このように、スマートフォン20Bでは、受電コイル311の近傍にコイル231を設けている。このコイル231は共振回路を構成し、この共振回路は1つの共振点を有している。よって、スマートフォン20Bの記憶部36では、共振数Nが“1”(N=1)に設定されている。
【0062】
ここで、給電部11は、本開示における「給電部」の一具体例に対応する。整流部32およびレギュレータ33は、本開示における「受電部」の一具体例に対応する。通信部35は、本開示における「第1の通信部」の一具体例に対応する。受信部16は、本開示における「第2の通信部」の一具体例に対応する。コイル231は、本開示における「コイル」の一具体例に対応する。共振情報IRは、本開示における「コイル情報」の一具体例に対応する。異物判定情報IFは、本開示における「受電コイル情報」の一具体例に対応する。共振検出部15は、本開示における「第1の測定部」の一具体例に対応する。異物検出部14は、本開示における「第2の測定部」の一具体例に対応する。給電制御部19は、本開示における「制御部」の一具体例に対応する。
【0063】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の給電システム1の動作および作用について説明する。
【0064】
(全体動作概要)
まず、
図2,4A,4Bを参照して、給電システム1の全体動作概要を説明する。給電装置10(
図2)では、給電部11は、給電制御部19からの指示に基づいて、電力信号SP1、交流信号SDF,SDRを生成するとともに、受電装置30に対して給電制御信号CTL1を送信する。スイッチ122は、給電制御部19からの指示に基づいて、容量素子121の両端を短絡する。給電コイル123は、電力信号SP1および交流信号SDF,SDRに基づいて電磁界を発生させる。物体検出部13は、給電装置10の給電面上に物体が置かれているか否かを検出する。異物検出部14は、異物検出DF1,DF2を行うことにより、給電装置10の給電面上に異物が有るか否かを検出する。共振検出部15は、共振検出DR1,DR2を行うことにより、給電装置10の給電面上にICタグやICカードなどが有るか否かを検出する。受信部16は、受電装置30から送信された給電制御信号CTL2を受信する。給電制御部19は、給電装置10における動作を制御する。
【0065】
受電装置30(
図4A,4B)では、受電コイル311は、給電コイル123が生成した電磁界に基づいて、その磁束の変化に応じた誘導電圧を発生させる。そして、受電コイル311および容量素子312,313は、電力信号SP1に対応した電力信号SP2を整流部32に供給する。整流部32は、電力信号SP2を整流することにより、受電電圧Vrectを有する直流信号を生成する。レギュレータ33は、整流部32から供給された直流信号に基づいて、電圧Vregを有する直流電力を生成する。負荷接続部34は、受電制御部37からの指示に基づいて、レギュレータ33と充電制御部28との間の接続を行う。通信部35は、給電装置10から送信された給電制御信号CTL1を受信するとともに、受電制御部37から供給された情報を含む給電制御信号CTL2を給電装置10に対して送信する。記憶部36は、識別情報ID、電力情報IP、異物判定情報IF、および共振情報IRを記憶する。受電制御部37は、受電装置30における動作を制御する。
【0066】
充電制御部28は、2次電池29における充電動作を制御する。2次電池29は、直流電力を蓄える。充電制御部28および2次電池29は、スマートフォン20(20A,20B)の機能を実現するための様々な回路やデバイスに電力を供給する。
【0067】
(詳細動作)
図7は、給電システム1における給電動作のフローチャートを表すものである。給電システム1では、給電装置10は、異物検出DF1および共振検出DR1を行い、その後に、受電装置30との間で通信を開始する。そして、給電装置10は、異物検出DF2および共振検出DR2を行い、その後に受電装置30に対して本給電を開始する。以下に、その詳細を説明する。
【0068】
まず、給電装置10は、給電装置10の給電面上に物体(例えばスマートフォン20)が置かれているか否かを検出する(ステップS1)。具体的には、例えば、給電制御部19がスイッチ122をオフ状態にし、給電部11が交流信号を生成し、物体検出部13が物体の有無を検出する。物体が無い場合(ステップS1において“N”)には、ステップS1に戻り、物体が検出されるまでこのステップS1を繰り返す。
【0069】
ステップS1において物体が検出された場合(ステップS1において“Y”)には、給電装置10は、異物検出DF1を行う(ステップS2)。具体的には、まず、給電制御部19がスイッチ122をオフ状態にし、給電部11が交流信号SDFを生成する。その際、給電部11は、交流信号SDFの周波数を、周波数掃引範囲RDFにわたって掃引する。そして、異物検出部14は、周波数掃引範囲RDFにおけるクオリティファクタQDを求める。そして、異物検出部14は、求めたクオリティファクタQDが所定の範囲内に収まっていない場合には、異物が有ると判断し(ステップS2において“N”)、ステップS1に戻る。すなわち、この場合には、給電装置10は、異物が有るので電力を供給すべきでないと判断する。また、異物検出部14は、求めたクオリティファクタQDが所定の範囲内に収まっている場合には、異物がないと判断する。
【0070】
ステップS2において異物が無い場合(ステップS2において“Y”)には、給電装置10は、共振検出DR1を行う(ステップS3)。具体的には、まず、給電制御部19がスイッチ122をオン状態にし、給電部11は交流信号SDRを生成する。その際、給電部11は、交流信号SDRの周波数を、周波数掃引範囲RDRにわたって掃引する。そして、共振検出部15は、周波数掃引範囲RDRにおける、共振検出部15から見たインピーダンスの周波数特性(インピーダンス特性ZDR)を測定し、このインピーダンス特性ZDRに基づいて、周波数掃引範囲RDRにおける共振点の数(共振数ND)を求める。そして、共振検出部15は、この共振数NDが所定のしきい値X以下(ND≦X)であるか否かを確認する。所定のしきい値Xは、この例では“1”に設定される。共振数NDが所定のしきい値Xよりも多い場合(ステップS3において“N”)には、給電装置10は、ICタグやICカードなどが有ると判断し、ステップS1に戻る。すなわち、この場合には、給電装置10は、ICタグやICカードなどが有るので電力を供給すべきでないと判断する。
【0071】
ステップS3において、共振数NDが所定のしきい値X以下である場合(ステップS3において“Y”)には、給電装置10は、受電装置30との間で通信を開始する(ステップS4)。具体的には、まず、給電制御部19がスイッチ122をオフ状態にし、給電部11が電力信号SP1を生成する。その際、給電部11は、受電装置30が動作できる程度の小さい電力を、受電装置30に対して供給する。受電装置30では、整流部32が電力信号SP2に基づいて受電電圧Vrectを生成し、レギュレータ33がこの受電電圧Vrectに基づいて電圧Vregを生成する。そして、受電装置30の各ブロックが、この電圧Vregを電源電圧として動作を開始する。そして、給電装置10の給電部11が受電装置30に対して給電制御信号CTL1を送信し、受電装置30の通信部35が給電装置10に対して給電制御信号CTL2を送信する。
【0072】
次に、給電装置10は、受電装置30から異物判定情報IFを取得する(ステップS5)。具体的には、受電装置30の受電制御部37が、記憶部36から異物判定情報IFを読み出し、通信部35が、受電制御部37からの指示に基づいて、この異物判定情報IFを含む給電制御信号CTL2を給電装置10に送信する。そして、給電装置10の受信部16は、この給電制御信号CTL2を受信する。
【0073】
次に、給電装置10は、異物検出DF2を行う(ステップS6)。具体的には、異物検出部14は、異物検出DF1(ステップS2)において求めたクオリティファクタQDと、ステップS5において取得した異物判定情報IFに含まれるリファレンスクオリティファクタQとを比較する。そして、異物検出部14は、クオリティファクタQDが、リファレンスクオリティファクタQに基づいて設定された所定の範囲内に収まっていない場合には、異物が有ると判断する(ステップS6において“N”)。この場合には、給電装置10は、受電装置30との間の通信を停止し(ステップS9)、ステップS1に戻る。すなわち、この場合には、給電装置10は、異物が有るので電力を供給すべきでないと判断する。また、異物検出部14は、クオリティファクタQDが、リファレンスクオリティファクタQに基づいて設定された所定の範囲内に収まっている場合には、異物がないと判断する。
【0074】
ステップS6において異物が無い場合(ステップS6において“Y”)には、給電装置10は、受電装置30から共振情報IRを取得する(ステップS7)。具体的には、受電装置30の受電制御部37が、記憶部36から共振情報IRを読み出し、通信部35が、受電制御部37からの指示に基づいて、この共振情報IRを含む給電制御信号CTL2を給電装置10に送信する。そして、給電装置10の受信部16は、この給電制御信号CTL2を受信する。
【0075】
次に、給電装置10は、共振検出DR2を行う(ステップS8)。具体的には、共振検出部15は、共振検出DR1(ステップS3)において求めた共振数NDと、ステップS7において取得した共振情報IRに含まれる共振数Nとを比較する。そして、共振検出部15は、共振数NDが共振数Nと一致しない場合(ステップS8において“N”)には、ICタグやICカードなどが有ると判断する。この場合には、給電装置10は、受電装置30との間の通信を停止し(ステップS9)、ステップS1に戻る。すなわち、この場合には、給電装置10は、ICタグやICカードなどが有るので電力を供給すべきでないと判断する。
【0076】
ステップS8において、共振数NDが共振数Nと一致した場合(ステップS8において“Y”)には、給電装置10は、受電装置30に対して本給電を開始する(ステップS17)。具体的には、まず、受電制御部37は、給電装置10に対して、給電制御信号CTL2を用いて給電電力の増大要求や低減要求などを行い、受電電圧Vrectが目標電圧に達するように制御する。そして、負荷接続部34は、受電制御部37からの指示に基づいて、レギュレータ33と充電制御部28とを接続する。これにより、受電装置30は、充電制御部28を介して2次電池29に対する充電を開始する。
【0077】
次に、受電装置30は、2次電池29に対する充電が完了したか否かを判断する(ステップS18)。具体的には、受電制御部37は、例えば、2次電池29における電圧や2次電池29への供給電流に基づいて、2次電池29に対する充電が完了したか否かを判断する。2次電池29に対する充電がまだ完了していない場合(ステップS18において“N”)には、ステップS18に戻る。そして、充電が完了するまで、ステップS18を繰り返す。
【0078】
そして、ステップS18において、2次電池に対する充電が完了した場合(ステップS18において“Y”)には、給電装置10は、受電装置30に対する給電を停止する(ステップS19)。具体的には、負荷接続部34は、受電制御部37からの指示に基づいて、レギュレータ33と充電制御部28とを切り離す。また、受電制御部37は、給電装置10に対して、給電制御信号CTL2を用いて給電停止要求を行う。そして、給電装置10の給電制御部19は、この給電停止要求に基づいて、電力信号SP1の生成を停止するように給電部11の動作を制御する。
【0079】
以上で、このフローは終了する。
【0080】
図8は、給電システム1における通信動作のシーケンス図を表すものである。この通信動作は、
図7のステップS4における通信開始から、ステップS17における本給電開始までの期間において行われるものである。
【0081】
まず、通信開始後、給電装置10は、受電装置30に対して起動信号を送信する(ステップS101)。受電装置30は、この起動信号に応じて起動する(ステップS102)。次に、受電装置30は、記憶部36に記憶された識別情報IDおよび電力情報IPを含む給電制御信号CTL2を給電装置10に対して送信する(ステップS103)。そして、給電装置10は、これらの情報を受け取ったことを示す応答信号を、受電装置30に対して送信する(ステップS104)。このステップS101~S104の動作は、
図7のステップS4における動作に対応する。
【0082】
次に、受電装置30は、異物判定情報IFを含む給電制御信号CTL2を給電装置10に対して送信する(ステップS105)。給電装置10は、この異物判定情報IFに含まれるリファレンスクオリティファクタQを用いて異物検出DF2を行い(ステップS106)、異物の有無を含む検出結果を、受電装置30に通知する(ステップS107)。このステップS105~S107の動作は、
図7のステップS5,S6における動作に対応する。
【0083】
次に、受電装置30は、共振情報IRを含む給電制御信号CTL2を給電装置10に対して送信する(ステップS108)。給電装置10は、この共振情報IRに含まれる共振数Nを用いて共振検出DR2を行い(ステップS109)、ICタグやICカードなどの有無を含む検出結果を、受電装置30に通知する(ステップS110)。この検出結果は、言い換えれば、受電装置30に対して電力を供給するか否かを示すものである。このステップS108~S110の動作は、
図7のステップS7,S8における動作に対応する。
【0084】
以上のように、給電システム1では、異物検出DF1,DF2に加えて、共振検出DR1,DR2を行うようにしたので、安全性を高めることができる。すなわち、例えば、給電装置10とスマートフォン20との間にICタグやICカードなどがある場合には、異物検出DF1,DF2によりこれらを検出できないおそれがある。給電システム1では、異物検出DF1,DF2に加えて共振検出DR1,DR2を行うようにしたので、ICタグやICカードなどを検出しやすくすることができる。その結果、ICタグやICカードなどが破壊されるおそれを低減することができ、安全性を高めることができる。
【0085】
また、給電システム1では、低い周波数の交流信号SDFを用いて異物検出DF1を行った後に、高い周波数の交流信号SDRを用いて共振検出DR1を行うようにしたので、ICタグやICカードなどを破壊しにくくすることができる。
【0086】
また、給電システム1では、共振検出DR1において、電力信号SP1の電力よりも低い電力を有する交流信号SDRを用いるようにしたので、ICタグやICカードなどに供給される電力を抑えることができるため、ICタグやICカードなどを破壊しにくくすることができる。
【0087】
また、給電システム1では、共振検出DR1において、スイッチ122をオン状態にしたので、ICタグやICカードなどを検出しやすくすることができる。すなわち、スイッチ122をオフ状態にした場合には、容量素子121および給電コイル123は共振回路を構成し、その共振周波数は、数100kHz程度である。よって、交流信号SDRの周波数はこの共振周波数よりも十分に高いため、交流信号SDRは減衰してしまう。一方、給電システム1では、共振検出DR1において、スイッチ122をオン状態にしたので、給電コイル123は共振回路を構成しない。その結果、交流信号SDRが減衰するおそれを低減することができるため、ICタグやICカードなどを検出しやすくすることができる。
【0088】
また、給電システム1では、通信開始前に共振検出DR1を行うようにしたので、より早い段階でICタグやICカードなどを検出することができるので、安全性を高めることができる。
【0089】
また、給電システム1では、電力を供給する対象であるスマートフォン20から供給された共振情報IRを用いて共振検出DR2を行うようにしたので、以下に示すように、ICタグやICカードなどを検出する際の検出精度を高めることができる。
【0090】
次に、具体的な動作例をいくつか挙げて、共振検出DR1,DR2の動作を説明する。
【0091】
(動作例E1)
図9は、動作例E1を表すものである。この例では、給電装置10の給電面上にスマートフォン20Aを置いている。共振検出DR1(
図7のステップS3)において、給電装置10は、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRを測定し、そのインピーダンス特性ZDRに基づいて、周波数掃引範囲RDRにおける共振点の数(共振数ND)を求める。給電装置10の給電コイル123は、この共振検出DR1において、共振回路を構成しない。また、スマートフォン20Aは、受電コイル311の近傍にコイルを有しない。よって、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRには共振点は現れず、共振数NDは“0”である。この共振数NDは、所定のしきい値X(この例では“1”)以下である。よって、共振検出部15は、共振検出DR1において、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0092】
共振検出DR2(
図7のステップS8)において、給電装置10は、共振検出DR1において求めた共振数NDが、受電装置30から供給された共振情報IRに含まれる共振数Nと等しいか否かを確認する。スマートフォン20Aでは、共振数Nは“0”(N=0)であるため、共振数NDは共振数Nと一致する。よって、共振検出部15は、共振検出DR2において、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0093】
このように、動作例E1では、ICタグやICカードなどが無いと判断するため、給電装置10は、受電装置30に対して本給電を行う。
【0094】
(動作例E2)
図10は、動作例E2を表すものである。この例では、給電装置10とスマートフォン20Aとの間にICカード9を挿入している。このICカード9は、コイル91を有している。このコイル91は、1つの共振点を有する共振回路を構成する。よって、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRには、この共振回路に起因して、1つの共振点が現れる。
【0095】
図11A,11Bは、動作例E2でのインピーダンス特性ZDRの一例を、散乱パラメータS11を用いて表すものである。
図11Aは、散乱パラメータS11の特性をスミスチャートで示している。この例では、
図11Aに示したように、ICカード9の共振回路に起因して、円状のインピーダンス軌跡が1つ生じており、13.56MHz付近に1つの共振点が現れている。
【0096】
給電装置10は、共振検出DR1において、このようなインピーダンス特性ZDRに基づいて共振数NDを求める。この例では、共振数NDは“1”である。この共振数NDは、所定のしきい値X以下である。よって、共振検出部15は、共振検出DR1において、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0097】
しかしながら、スマートフォン20Aでは、共振数Nは“0”(N=0)である。よって、共振数NDは共振数Nと一致しない。その結果、共振検出部15は、共振検出DR2において、ICタグやICカードなどが有ると判断する。
【0098】
このように、動作例E2では、ICタグやICカードなどが有ると判断するため、給電装置10は、受電装置30に対して本給電を行わない。
【0099】
(動作例E3)
図12は、動作例E3を表すものである。この例では、給電装置10の給電面上にスマートフォン20Bを置いている。このスマートフォン20Bでは、受電コイル311およびコイル231を、それぞれの中心点が略一致するように配置している。このコイル231は、1つの共振点を有する共振回路を構成する。よって、動作例E2の場合と同様に、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRには1つの共振点が現れ、共振数NDは“1”である。この共振数NDは、所定のしきい値X以下である。よって、共振検出部15は、共振検出DR1において、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0100】
また、スマートフォン20Bでは、共振数Nは“1”(N=1)である。よって、共振数NDは共振数Nと一致する。その結果、共振検出部15は、共振検出DR2において、ICタグやICカードなどが無いと判断する。
【0101】
このように、動作例E3では、ICタグやICカードなどが無いと判断するため、給電装置10は、受電装置30に対して本給電を行う。
【0102】
(動作例E4)
図13は、動作例E4を表すものである。この例では、給電装置10とスマートフォン20Bとの間にICカード9を挿入している。この場合には、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRには、2つの共振点が現れる。
【0103】
図14A,14Bは、動作例E4でのインピーダンス特性ZDRの一例を、散乱パラメータS11を用いて表すものである。この例では、
図14Aに示したように、ICカード9の共振回路、およびスマートフォン20Bのコイル231が構成する共振回路に起因する、2つの共振点に応じたインピーダンス軌跡が生じている。
【0104】
給電装置10は、共振検出DR1において、このようなインピーダンス特性ZDRに基づいて共振数NDを求める。この例では、共振数NDは“2”である。この共振数NDは、所定のしきい値Xよりも大きい。よって、共振検出部15は、共振検出DR1において、ICタグやICカードなどが有ると判断する。
【0105】
このように、動作例E4では、ICタグやICカードなどが有ると判断するため、給電装置10は、受電装置30に対して本給電を行わない。
【0106】
以上のように、給電システム1では、電力を供給する対象であるスマートフォン20から供給された共振情報IRを用いて共振検出DR2を行うようにしたので、ICタグやICカードなどを検出する際の検出精度を高めることができる。すなわち、例えば、動作例E2(
図10)、および動作例E3(
図12)では、給電装置10は、共振検出DR1においてともに1つの共振点を検出する。このうち、動作例E3(
図12)は、電力を供給すべき例であり、動作例E2(
図10)は、ICカード9が挿入されているため電力を供給すべきでない例である。給電システム1では、給電装置10は、受電装置30から、共振数Nについての情報を含む共振情報IRを受け取り、この共振数Nを用いて、共振検出DR2を行う。給電装置10は、動作例E2では、共振数NDと共振数Nが一致しないため、検出した共振点がICタグやICカードなどに起因するものと判断し、電力を供給すべきではないと判断する。また、給電装置10は、動作例E3では、共振数NDと共振数Nが一致するため、検出した共振点が、受電コイル311の近傍に設けられたコイルに起因するものと判断し、電力を供給すべきと判断する。このように、給電装置10は、受電装置30から供給された、共振数Nについての情報を利用して共振検出DR2を行う。その結果、給電システム1では、ICタグやICカードなどを検出する際の検出精度を高めることができる。
【0107】
[効果]
以上のように本実施の形態では、異物検出DF1,DF2に加えて、共振検出DR1,DR2を行うようにしたので、安全性を高めることができる。
【0108】
本実施の形態では、低い周波数の交流信号SDFを用いて異物検出DF1を行った後に、高い周波数の交流信号SDRを用いて共振検出DR1を行うようにしたので、ICタグやICカードなどを破壊しにくくすることができる。
【0109】
本実施の形態では、共振検出DR1において、電力信号SP1の電力よりも低い電力を有する交流信号SDRを用いるようにしたので、ICタグやICカードなどを破壊しにくくすることができる。
【0110】
本実施の形態では、共振検出DR1において、スイッチ122をオン状態にしたので、ICタグやICカードなどを検出しやすくすることができる。
【0111】
本実施の形態では、通信開始前に共振検出DR1を行うようにしたので、安全性を高めることができる。
【0112】
本実施の形態では、電力を供給する対象であるスマートフォンから供給された共振情報IRを用いて共振検出DR2を行うようにしたので、安全性を高めることができる。
【0113】
[変形例1]
上記実施の形態では、共振検出DR1において共振数NDと比較する所定のしきい値Xを“1”にしたが、これに限定されるものではない。例えば、この所定のしきい値Xを“2”以上の値にしてもよいし、この所定のしきい値Xを“0”にしてもよい。
【0114】
[変形例2]
上記実施の形態では、給電装置10は、共振検出DR1を行う際に、給電コイル123が共振回路を構成しないようにしたが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例について、いくつか例を挙げて詳細に説明する。
【0115】
図15は、本変形例に係る給電装置10Aの一構成例を表すものである。給電装置10Aは、容量素子124,125と、給電制御部19Aとを有している。容量素子124,125は、上記実施の形態に係る給電装置10(
図2)における容量素子121に対応するものである。容量素子124の一端は、スイッチ122の一端および給電部11に接続され、他端はスイッチ122の他端および容量素子125の一端に接続されている。容量素子125の一端は、容量素子124の他端およびスイッチ122の他端に接続され、他端は給電コイル123の一端に接続されている。給電制御部19Aは、給電装置10Aにおける動作を制御するものである。
【0116】
図16は、給電装置10Aにおける、給電部11およびスイッチ122の一動作例を模式的に表すものである。給電装置10Aが受電装置30に対して電力を供給する場合には、スイッチ122は、給電制御部19Aからの指示に基づいてオン状態になり、容量素子124の両端はスイッチ122により短絡される。そして、容量素子125および給電コイル123は直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、電力信号SP1の周波数付近の周波数である。そして、給電部11は、電力信号SP1をこの共振回路に供給する。
【0117】
また、給電装置10Aが異物検出DF1を行う場合には、スイッチ122は、給電制御部19Aからの指示に基づいてオン状態になる。このとき、容量素子125および給電コイル123は直列接続され、共振回路を構成する。そして、給電部11は、交流信号SDFの周波数を周波数掃引範囲RDFにわたって掃引しつつ、その交流信号SDFをこの共振回路に供給する。
【0118】
また、給電装置10Aが共振検出DR1を行う場合には、スイッチ122は、給電制御部19Aからの指示に基づいてオフ状態になる。このとき、容量素子124,125および給電コイル123は直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、例えば周波数fc付近の周波数である。そして、給電部11は、交流信号SDRの周波数を周波数掃引範囲RDRにわたって掃引しつつ、その交流信号SDRをこの共振回路に供給する。
【0119】
図17は、本変形例に係る他の給電装置10Bの一構成例を表すものである。給電装置10Bは、給電コイル126,127と、スイッチ128と、給電制御部19Aとを有している。給電コイル126,127は、上記実施の形態に係る給電装置10(
図2)における給電コイル123に対応するものである。給電コイル126の一端はスイッチ128の一端および容量素子121の他端に接続され、他端はスイッチ128の他端および給電コイル127の一端に接続されている。給電コイル127の一端は、給電コイル126の他端およびスイッチ128の他端に接続され、他端は接地されている。給電制御部19Aは、給電装置10Bにおける動作を制御するものである。
【0120】
図18は、給電装置10Bにおける、給電部11およびスイッチ128の一動作例を模式的に表すものである。給電装置10Bが受電装置30に対して電力を供給する場合には、スイッチ128は、給電制御部19Bからの指示に基づいてオフ状態になる。このとき、容量素子121および給電コイル126,127は直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、電力信号SP1の周波数付近の周波数である。そして、給電部11は、電力信号SP1をこの共振回路に供給する。
【0121】
また、給電装置10Bが異物検出DF1を行う場合には、スイッチ128は、給電制御部19Bからの指示に基づいてオフ状態になる。このとき、容量素子121および給電コイル126,127は直列接続され、共振回路を構成する。そして、給電部11は、交流信号SDFの周波数を周波数掃引範囲RDFにわたって掃引しつつ、その交流信号SDFをこの共振回路に供給する。
【0122】
また、給電装置10Bが共振検出DR1を行う場合には、スイッチ128は、給電制御部19Bからの指示に基づいてオン状態になり、給電コイル126の両端はスイッチ128により短絡される。そして、容量素子121および給電コイル127は直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、例えば周波数fc付近の周波数である。そして、給電部11は、交流信号SDRの周波数を周波数掃引範囲RDRにわたって掃引しつつ、その交流信号SDRをこの共振回路に供給する。
【0123】
このように、本変形例では、共振検出DR1を行う際に、給電コイル123が共振回路を構成する。これにより、ICタグやICカードなどを検出する際の検出精度を高めることができる。このように給電コイル123が共振回路を構成するので、共振検出DR1により測定したインピーダンス特性ZDRには、この共振回路が有する共振点も現れる。よって、例えば、共振検出DR1において共振数NDと比較する所定のしきい値Xを“2”にすることができる。
【0124】
[変形例3]
上記実施の形態では、共振情報IRは共振数Nについての情報を含むようにしたのが、これに限定されるものではなく、例えば、共振周波数についての情報を含んでもよい。以下に、本変形例に係る給電システム1Cについて詳細に説明する。給電システム1Cは、スマートフォン20Cと、給電装置10Cとを備えている。
【0125】
図19は、スマートフォン20Cの一構成例を表すものである。スマートフォン20Cは、スマートフォン20B(
図4B)と同様に、近距離無線通信を行う機能を有するものである。このスマートフォン20Cは、受電装置30Cを有している。受電装置30Cは、共振情報IRを記憶する記憶部36Cを有している。この共振情報IRは、共振数Nについての情報に加え、共振周波数frについての情報をも含んでいる。共振周波数frは、受電コイル311の近傍にコイルが設けられている場合における、共振点の周波数である。このスマートフォン20Cは、スマートフォン20Bの場合(
図5,6)と同様に、受電コイル311の近傍に配置されたコイル231を有している。よって、スマートフォン20Cの記憶部36Cは、共振数N(N=1)を記憶するとともに、その共振点の共振周波数frをも記憶している。
【0126】
給電装置10Cは、共振検出部15Cを有している。共振検出部15Cは、上記実施の形態に係る共振検出部15と同様に、共振検出DR1を行うものである。また、共振検出部15Cは、受電装置30Cから送信された共振情報IRに含まれる共振数Nおよび共振周波数frについての情報に基づいて、共振検出DR2を行う機能をも有している。
【0127】
図20は、給電システム1Cにおける給電動作のフローチャートを表すものである。給電装置10Cは、上記実施の形態に係る給電システム1の場合(
図7)と同様に、まず、給電装置10Cの給電面上に物体が置かれているか否かを検出し(ステップS1)、その後に異物検出DF1および共振検出DR1を行う(ステップS2,S3)。そして、給電装置10Cは、受電装置30Cとの間で通信を開始し(ステップS4)、受電装置30Cから異物判定情報IFを取得し(ステップS5)、異物検出DF2を行う(ステップS6)。
【0128】
次に、給電装置10Cは、受電装置30Cから、共振数Nおよび共振周波数frについての情報を含む共振情報IRを取得する(ステップS7)。次に、給電装置10Cは、共振検出DR2を行う(ステップS21~S23)。
【0129】
具体的には、まず、給電装置10Cの共振検出部15Cは、ステップS7において取得した共振情報IRに基づいて、周波数掃引範囲RDRの範囲内での共振点の数(共振数NK)を算出する(ステップS21)。
【0130】
次に、共振検出部15Cは、共振検出DR1(ステップS3)において求めた共振数NDが、ステップS21において求めた共振数NKよりも多い(ND>NK)か否かを確認する(ステップS22)。共振数NDが共振数NKよりも多い場合(ステップS22において“Y”)には、共振検出部15Cは、ICタグやICカードなどが有ると判断する。この場合には、給電装置10Cは、受電装置30Cとの間の通信を停止し(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0131】
ステップS21において、共振数NDが共振数NKよりも多くない場合(ステップS22において“N”)には、共振検出部15Cは、共振検出DR1(ステップS3)において測定したインピーダンス特性ZDRにおける共振周波数fdと、ステップS7において取得した共振情報IRに含まれる共振周波数frとが一致するか否かを確認する(ステップS23)。なお、共振数ND,NKがともに“0”である場合には、共振検出部15Cは、共振周波数fdと共振周波数frとが一致していると判断する。共振周波数fdと共振周波数frとが一致しない場合(ステップS23において“N”)には、共振検出部15Cは、ICタグやICカードなどが有ると判断する。この場合には、給電装置10Cは、受電装置30Cとの間の通信を停止し(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0132】
また、ステップS23において、共振周波数fdと共振周波数frとが一致した場合(ステップS23において“Y”)には、給電装置10Cは、受電装置30Cに対して本給電を開始する。これ以降の動作は、上記実施の形態に係る給電システム1の場合(
図7)と同様である。
【0133】
このように、給電システム1Cでは、共振情報IRが共振周波数frについての情報を含むようにしたので、共振周波数が一致した場合に本給電を開始することができるため、ICタグやICカードなどを検出する際の検出精度を高めることができる。
【0134】
このスマートフォン20Cは、NFC通信部23を有するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、他の同様な通信部23Cを有していてもよい。この通信部23Cは、受電コイル311の近傍に設けられたコイル231Cを有している。このコイル231Cは共振回路を構成しており、この共振回路の共振周波数は、この例では10MHzである。この場合、共振情報IRでは、共振数Nは“1”に設定され、共振周波数frは“10MHz”に設定される。以下に、周波数掃引範囲RDRが11MHz以上15MHz以下である場合における動作例について説明する。
【0135】
(動作例F1)
この動作例F1では、動作例E3(
図12)と同様に、給電装置10の給電面上にスマートフォン20Cを置いている。このスマートフォン20Cでは、受電コイル311およびコイル231Cを、それぞれの中心点が略一致するように配置している。このコイル231Cは、1つの共振点を有する共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は10MHzである。しかしながら、この共振周波数は、この例では、周波数掃引範囲RDRの範囲外である。よって、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRには、共振点は現れないため、共振数NDは“0”である。この共振数NDは、所定のしきい値X(この例では“1”)以下である。よって、共振検出部15Cは、共振検出DR1において、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0136】
共振検出DR2では、共振検出部15Cは、共振情報IRに基づいて、周波数掃引範囲RDRの範囲内での共振数NKを求める(ステップS21)。この例では、共振数NKは“0”である。よって、共振数NDは共振数NKよりも多くなく(ステップS22において“N”)、共振数ND,NKがともに“0”であるため(ステップS23において“Y”)、共振検出部15Cは、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0137】
このように、動作例F1では、ICタグやICカードなどがないと判断するため、給電装置10Cは、受電装置30Cに対して本給電を行う。
【0138】
(動作例F2)
この動作例F2では、動作例E4(
図13)と同様に、給電装置10Cとスマートフォン20Cとの間にICカード9を挿入している。この場合には、周波数掃引範囲RDRにおけるインピーダンス特性ZDRには、ICカード9に起因する1つの共振点が現れるため、共振数NDは“1”である。この共振数NDは、所定のしきい値X以下である。よって、共振検出部15Cは、共振検出DR1において、ICタグやICカードなどは無いと判断する。
【0139】
一方、共振検出DR2では、共振数NKは、動作例F1の場合と同様に“0”であるので、共振数NDは共振数NKよりも多いため(ステップS22において“Y”)、共振検出部15Cは、ICタグやICカードなどが有ると判断する。
【0140】
このように、動作例F2では、ICタグやICカードなどが有ると判断するため、給電装置10Cは、受電装置30Cに対して本給電を行わない。
【0141】
以上のように、本変形例に係る給電システム1Cでは、共振情報IRに、共振数Nに加えて、共振周波数frについての情報を含めるようにしたので、検出精度を高めることができる。すなわち、例えば、動作例F2(
図13)において、上記実施の形態のように共振数Nのみに基づいて共振検出DR2を行った場合には、共振数ND(ND=1)と共振数N(N=1)は一致するので、ICタグやICカードなどが無いと判断されてしまう。この共振数Nが示す共振点の周波数は10MHzであり、周波数掃引範囲RDRの範囲外のものである。よって、このような場合には、共振数NDと共振数Nを比較するのは適切ではない。本変形例に係る給電システム1Cでは、共振情報IRに、共振数Nに加えて、共振周波数frについての情報を含めるようにした。これにより、給電装置10Cは、周波数掃引範囲RDRの範囲内での共振数NKを求めることができる。よって、給電装置10Cは、共振数Nと共振数NKを比較することにより、ICタグやICカードなどの有無を、より正確に検出することができる。
【0142】
[変形例4]
上記実施の形態では、共振情報IRは共振数Nについての情報を含むようにしたのが、これに限定されるものではなく、例えば、
図21に示すスマートフォン20Dのように、共振点におけるインピーダンス(共振インピーダンス)についての情報をも含んでもよい。このスマートフォン20Dは、受電装置30Dを有している。受電装置30Dは、共振情報IRを記憶する記憶部36Dを有している。この共振情報IRは、共振数Nについての情報に加え、共振インピーダンスZrについての情報をも含んでいる。共振インピーダンスZrは、受電コイル311の近傍にコイルが設けられている場合における、共振点でのインピーダンスである。このスマートフォン20Dは、スマートフォン20Bの場合(
図5,6)と同様に、受電コイル311の近傍にコイル231を有している。よって、スマートフォン20Dの記憶部36Dは、共振数N(N=1)を記憶するとともに、その共振点での共振インピーダンスZrをも記憶している。この共振インピーダンスZrは、給電装置が共振点を検出する場合における、その共振点の検出しやすさに対応する。給電装置は、共振検出DR1,DR2を行う際、この共振インピーダンスZrを利用することができる。
【0143】
[変形例5]
上記実施の形態では、異物検出DF1,DF2、共振検出DR1,DR2、および給電動作において、同じ給電コイル123を用いたが、これに限定されるものではない。以下に、本変形例に係る給電装置10Dについて詳細に説明する。
【0144】
図22は、給電装置10Dの一構成例を表すものである。給電装置10Dは、給電部11Dと、信号生成部41Dと、容量素子421Dと、コイル422Dと、共振検出部45Dと、給電制御部19Dとを有している。
【0145】
給電部11Dは、上記実施の形態に係る給電部11と同様に、給電制御部19Dからの指示に基づいて、交流の電力信号SP1を生成するものである。また、給電部11Dは、異物検出DF1において、交流信号SDFを生成する機能をも有している。また、給電部11Dは、受電装置30に対して給電制御信号CTL1を送信する機能をも有している。すなわち、給電部11Dは、上記実施の形態に係る給電部11から、共振検出DR1において交流信号SDRを生成する機能を省いたものである。
【0146】
容量素子121および給電コイル123は直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、電力信号SP1の周波数付近の周波数である。
【0147】
信号生成部41Dは、給電制御部19Dからの指示に基づいて、共振検出DR1において、交流信号SDRを生成するものである。その際、信号生成部41Dは、交流信号SDRの周波数を、ICタグやICカードなどが用いる搬送波の周波数fc(例えば13.56MHz)を含む所定の周波数範囲(周波数掃引範囲RDR)にわたって掃引するようになっている。
【0148】
容量素子421Dの一端は信号生成部41Dに接続され、他端はコイル422Dに接続されている。コイル422Dの一端は容量素子421Dの他端に接続され、他端は接地されている。容量素子421Dおよびコイル422Dは直列接続され、共振回路を構成する。この共振回路の共振周波数は、例えば周波数fc付近の周波数である。コイル422Dは、スマートフォン20Bの場合(
図5,6)と同様に、給電コイル123の近傍に設けられている。
【0149】
共振検出部45Dは、上記実施の形態に係る共振検出部15と同様に、コイル422Dの一端での電圧に基づいて、共振検出DR1を行うものである。具体的には、共振検出部45Dは、信号生成部41Dが交流信号SDRを生成する期間において、コイル422Dの一端での電圧に基づいて、共振検出部45Dから見たインピーダンスの周波数特性(インピーダンス特性ZDR)を測定する。そして、共振検出部45Dは、このインピーダンス特性ZDRに基づいて、ICタグやICカードなどの有無を検出するようになっている。また、共振検出部45Dは、受電装置30との通信開始後において、上記実施の形態に係る共振検出部15と同様に、共振検出DR2を行う機能をも有している。
【0150】
給電制御部19Dは、給電装置10Dにおける動作を制御するものである。
【0151】
この給電装置10Dは、異物検出DF1,DF2、給電、および通信を行う場合には給電コイル123を用い、共振検出DR1,DR2を行う場合にはコイル422Dを用いる。よって、例えば、共振検出DR1,DR2を、任意の期間において行うことができる。具体的には、例えば、給電装置10Dは、給電を行いつつ、共振検出DR1,DR2を行うことができる。この場合には、例えば給電中に給電装置10Dと受電装置30との間にICタグやICカードなどが挿入された場合でも、電力の供給を停止することができるため、安全性を高めることができる。
【0152】
図23は、本変形例に係る他の給電装置10Eの一構成例を表すものである。給電装置10Eは、給電部11Eと、給電制御部19Eとを有している。給電部11Eは、上記実施の形態に係る給電部11と同様に、給電制御部19Eからの指示に基づいて、交流の電力信号SP1を生成するものである。また、給電部11Eは、異物検出DF1において交流信号SDFを生成するとともに、共振検出DR1において交流信号SDRを生成する機能をも有している。また、給電部11Eは、受電装置30に対して給電制御信号CTL1を送信する機能をも有している。すなわち、この給電部11Eは、給電装置10Dにおける給電部11Dおよび信号生成部41Dを1つにしたものである。給電制御部19Eは、給電装置10Eにおける動作を制御するものである。このように構成しても、給電装置10Dと同様の効果を得ることができる。
【0153】
[変形例6]
上記実施の形態では、給電装置10は、異物検出DF1および共振検出DR1を行い、次に通信を開始し、次に異物検出DF2および共振検出DR2を行い、その後に本給電を開始したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、
図24,25に示したように、受電装置30が準拠する給電規格に応じて、異物検出DF2および共振検出DR2のうちの一方または双方を省いてもよい。
図24,25の例では、ステップS4において通信を開始した後、給電装置10は、例えば受電装置30から、受電装置30が準拠する給電規格についての情報を取得する(ステップS31)。そして、受電装置30が準拠する給電規格が規格Aである場合には、給電装置10は、異物検出DF2および共振検出DR2を行う。また、受電装置30が準拠する給電規格が規格Bである場合には、給電装置10は、異物検出DF2および共振検出DR2のうちの一方または双方を省く。
図24の例では、給電装置10は、異物検出DF2および共振検出DR2の双方を省き、給電を開始する。
図25の例では、給電装置10は、異物検出DF2を省き、共振検出DR2を行い、その後に給電を開始する。
【0154】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0155】
例えば、上記の実施の形態等では、共振検出DR1において周波数を掃引し、インピーダンス特性ZDRを測定したが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、周波数を掃引せずに、周波数fcにおけるインピーダンスを取得してもよい。この場合でも、このインピーダンスに基づいて、周波数fc付近に共振点があるか否かを検出することができる。その際、受電装置30は、給電装置10に対して、周波数fcにおけるインピーダンスについての情報を含む共振情報IRを供給してもよい。これにより、給電装置10は、測定したインピーダンスと、受電装置30から取得したインピーダンスに基づいて、ICタグやICカードなどの有無を検出することができる。例えば、周波数fc付近に、コイル231に起因する共振点、およびICタグに起因する共振点がある場合には、周波数fcにおけるインピーダンスが乱れ、給電装置10は、共振点が無いと誤判定するおそれがある。しかしながら、この場合でも、受電装置30から取得したインピーダンスを用いて、このような誤判定を是正することができる。
【0156】
また、上記の実施の形態等では、共振検出部15は、共振検出部15から見たインピーダンスの周波数特性(インピーダンス特性ZDR)を測定し、その測定結果に基づいて共振数NDを求めたが、これに限定されるものではない。これに代えて、例えば、クオリティファクタ、レジスタンス、リアクタンス、アドミッタンス、コンダクタンス、サセプタンス、自己インダクタンス値、相互インダクタンス値、結合係数、信号振幅、位相などの1以上のパラメータを測定し、その測定結果に基づいて共振数NDを求めてもよい。
【0157】
また、上記の実施の形態等では、共振検出部15は、共振数NDに基づいて、ICタグやICカードなどの有無を検出したが、これに限定されるものではない。例えば、周波数によって変化する様々なパラメータに基づいて、ICタグやICカードなどの有無を検出することができる。このようなパラメータは、例えば、コイルまたはコイルを含む回路に関連する電気的なパラメータであってもよい。具体的には、例えば、品質係数(Q値)、インピーダンス値(Z値)、抵抗値(R値)、静電容量(C値)、自己インダクタンス値(L値)、相互インダクタンス値(M値)、結合係数(K値)、誘導起電力、磁束密度、磁界強度、電界強度、給電電力値、給電電圧値、給電電流値、受電電力値、受電電圧値、受電電流値、コイル電力値、コイル電圧値、コイル電流値、力率、エネルギー効率、伝送効率、給電効率、充電効率、エネルギー損失、信号振幅、信号位相、信号レベル、雑音レベル、変調度、温度などの1以上のパラメータを利用することができる。以下に、クオリティファクタを用いてICタグやICカードなどの有無を検出する給電システム1Gについて詳細に説明する。この給電システム1Gは、給電装置10Gを備えている。給電装置10Gは、共振検出部15Gを有している。
【0158】
共振検出部15Gは、給電コイル123の一端での電圧に基づいて、共振検出DR1を行うものである。具体的には、共振検出部15Gは、給電部11が交流信号SDRを生成する期間において、周波数掃引範囲RDRにおけるクオリティファクタQDRを求める。共振検出部15Gは、このクオリティファクタQDRに基づいて、ICタグやICカードなどの有無を検出するようになっている。また、共振検出部15Gは、給電装置10Gおよび受電装置30が通信を開始した後に、このクオリティファクタQDRと、受電装置30から送信された共振情報IRとに基づいて、共振検出DR2を行う機能をも有している。この場合、共振情報IRは、周波数掃引範囲RDRにおけるリファレンスクオリティファクタを含んでいる。このリファレンスクオリティファクタは、異物判定情報IFに含まれるリファレンスクオリティファクタQと同じでもよいし、異なっていてもよい。
【0159】
図26は、給電システム1Gにおける給電動作のフローチャートを表すものである。 ステップS43において、給電装置10Gは、共振検出DR1を行う。具体的には、まず、給電制御部19がスイッチ122をオン状態にし、給電部11が交流信号SDRを生成する。その際、給電部11は、交流信号SDRの周波数を、周波数掃引範囲RDRにわたって掃引する。そして、共振検出部15Gは、周波数掃引範囲RDRにおけるクオリティファクタQDRを求める。そして、共振検出部15Gは、求めたクオリティファクタQDRが所定の範囲内に収まっていない場合(ステップS43において“N”)には、ICタグやICカードなどが有ると判断し、ステップS1に戻る。この共振検出DR1における所定の範囲は、異物検出DF1における所定の範囲と同じでもよいし、異なっていてもよい。また、共振検出部15Gは、求めたクオリティファクタQDRが所定の範囲内に収まっている場合(ステップS43において“Y”)には、ICタグやICカードなどがないと判断し、ステップS4に進む。
【0160】
ステップS48において、給電装置10Gは、共振検出DR2を行う。具体的には、共振検出部15Gは、共振検出DR1(ステップS43)において求めたクオリティファクタQDRと、ステップS7において取得した共振情報IRに含まれるリファレンスクオリティファクタとを比較する。そして、共振検出部15Gは、クオリティファクタQDRが、リファレンスクオリティファクタに基づいて設定された所定の範囲内に収まっていない場合(ステップS48において“N”)には、ICタグやICカードなどが有ると判断する。この場合には、給電装置10Gは、受電装置30との間の通信を停止し(ステップS9)、ステップS1に戻る。また、共振検出部15Gは、クオリティファクタQDRが、リファレンスクオリティファクタに基づいて設定された所定の範囲内に収まっている場合(ステップS48において“Y”)には、ICタグやICカードなどがないと判断し、ステップS17に進む。
【0161】
なお、この例では、ステップS7において共振情報IRを取得したが、これに限定されるものではなく、例えば、このステップS7を省いてもよい。この場合には、共振検出部15Gは、共振検出DR1(ステップS43)と同様に、クオリティファクタQDRが所定の範囲内に収まっているかどうかを確認する。この場合でも、例えば、ステップS43とステップS48の間で、給電装置10Gと受電装置30との間にICタグやICカードなどが挿入された場合に、ICタグやICカードなどを検出することができる。
【0162】
また、上記の実施の形態等では、異物検出部14は、クオリティファクタQDに基づいて、異物の有無を検出したが、これに限定されるものではない。例えば、周波数によって変化する様々なパラメータに基づいて、異物の有無を検出することができる。このようなパラメータは、例えば、コイルまたはコイルを含む回路に関連する電気的なパラメータであってもよい。具体的には、例えば、品質係数(Q値)、インピーダンス値(Z値)、抵抗値(R値)、静電容量(C値)、自己インダクタンス値(L値)、相互インダクタンス値(M値)、結合係数(K値)、誘導起電力、磁束密度、磁界強度、電界強度、給電電力値、給電電圧値、給電電流値、受電電力値、受電電圧値、受電電流値、コイル電力値、コイル電圧値、コイル電流値、力率、エネルギー効率、伝送効率、給電効率、充電効率、エネルギー損失、信号振幅、信号位相、信号レベル、雑音レベル、変調度、温度などの1以上のパラメータを利用することができる。
【0163】
また、上記の実施の形態等では、検出対象物はICタグやICカードなどとしたが、これに限定されるものではない。例えば、RFID(Radio Frequency Identification)であってもよい。また、検出対象物は、必ずしもコイルを含んでなくてもよく、例えば、アンテナや電極などを用いて近距離無線通信を行う様々なデバイスであってもよい。
【0164】
また、上記の実施の形態等では、本技術を、電子機器へ電力を供給する給電システムに適用したが、これに限定されるものではない。具体的には、例えば、本技術を、電動車両や電気自動車等に電力を供給する給電システムに適用してもよい。
【0165】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0166】
なお、本技術は以下のような構成とすることができる。
【0167】
(1)給電装置と、
受電装置と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍にコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記コイル情報に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有する
給電システム。
(2)前記給電装置は、第1の測定部をさらに有し、
前記給電部は、給電コイルを用いて前記受電装置に電力を供給し、
前記第1の測定部は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定し、
前記制御部は、前記コイル情報に加え、前記第1の周波数特性にも基づいて、前記第1の判断を行う
前記(1)に記載の給電システム。
(3)前記給電コイルは、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する際に、第1の共振周波数を有する第1の共振回路を構成する
前記(2)に記載の給電システム。
(4)前記給電コイルは、前記給電部が前記受電装置に電力を供給する際に、第2の共振周波数を有する第2の共振回路を構成する
前記(2)または(3)に記載の給電システム。
(5)前記給電部は、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する際、前記第1の周波数範囲において、第1の信号の周波数を変化させつつ、前記第1の信号を前記給電コイルに供給する
前記(2)から(4)のいずれかに記載の給電システム。
(6)前記給電装置は、第1の測定部をさらに有し、
前記給電部は、給電コイルを用いて前記受電装置に電力を供給し、
前記第1の測定部は、前記給電コイルの近傍に設けられた測定コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定し、
前記制御部は、前記コイル情報に加え、前記第1の周波数特性にも基づいて、前記第1の判断を行う
前記(1)に記載の給電システム。
(7)前記測定コイルは、第1の共振周波数を有する第1の共振回路を構成する
前記(6)に記載の給電システム。
(8)前記給電装置は、前記給電コイルおよび前記測定コイルを有し、
前記給電コイルおよび前記測定コイルは、平面コイルであり、同一平面に配置され、
前記給電コイルおよび前記測定コイルのうちの一方は、他方の内側に配置された
前記(6)または(7)に記載の給電システム。
(9)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路における共振点の数についての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振点の数を測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲における共振点の数に基づいて前記第1の判断を行う
前記(2)から(8)のいずれかに記載の給電システム。
(10)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路の共振周波数についての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振周波数を測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲における共振周波数に基づいて前記第1の判断を行う
前記(2)から(9)のいずれかに記載の給電システム。
(11)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路のインピーダンスについての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲におけるインピーダンスを測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲におけるインピーダンスに基づいて前記第1の判断を行う
前記(2)から(10)のいずれかに記載の給電システム。
(12)前記第1の周波数範囲は、13.56MHzを含む
前記(2)から(11)のいずれかに記載の給電システム。
(13)前記第2の通信部は、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定した後に、前記第1の通信部との間で通信を開始することにより、前記コイル情報を受信する
前記(2)から(12)のいずれかに記載の給電システム。
(14)前記制御部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第2の判断を行い、その第2の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御し、
前記第2の判断が、前記受電装置へ電力を供給する判断である場合には、前記第2の通信部は、前記第1の通信部との間で通信を開始することにより、前記コイル情報を受信する
前記(13)に記載の給電システム。
(15)前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振点の数を測定し、
前記制御部は、前記共振点の数と所定数とを比較することにより、前記第2の判断を行う
前記(14)に記載の給電システム。
(16)前記給電装置は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第2の周波数範囲における第2のパラメータの第2の周波数特性を測定する第2の測定部をさらに有し、
前記制御部は、前記第2の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第3の判断を行い、その第3の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する
前記(14)または(15)に記載の給電システム。
(17)前記第2の周波数範囲における最大周波数は、前記第1の周波数範囲における最小周波数よりも低い
前記(16)に記載の給電システム。
(18)前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する前に、前記第2の測定部が前記第2の周波数特性を測定し、前記制御部は前記第3の判断を行う
前記(16)または(17)に記載の給電システム。
(19)前記給電装置は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第2の周波数範囲における第2のパラメータの第2の周波数特性を測定する第2の測定部をさらに有し、
前記第1の通信部は、前記受電コイルの特性に対応する受電コイル情報を前記給電装置に対してさらに送信し、
前記第2の通信部は、前記受電コイル情報をさらに受信し、
前記制御部は、前記受電コイル情報および前記第2の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第4の判断を行い、その第4の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する
前記(2)から(18)のいずれかに記載の給電システム。
(20)前記第4の判断が、前記受電装置へ電力を供給する判断である場合には、前記制御部は、前記第1の判断を行う
前記(19)に記載の給電システム。
(21)前記給電装置は、第1の測定部をさらに有し、
前記給電部は、給電コイルを用いて前記受電装置に電力を供給し、
前記第1の測定部は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、所定の周波数における第1のパラメータのパラメータ値を測定し、
前記制御部は、前記コイル情報に加え、前記パラメータ値にも基づいて、前記第1の判断を行う
前記(1)に記載の給電システム。
(22)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記所定の周波数における前記第3の共振回路のインピーダンスについての情報を含み、
前記第1のパラメータは、インピーダンスである
前記(21)に記載の給電システム。
(23)前記所定の周波数は、13.56MHzである
前記(21)または(22)に記載の給電システム。
(24)前記制御部は、前記第2の通信部が前記第1の通信部との間で通信を開始した後に、前記第1の判断を行うか否かを決定する
前記(1)から(23)のいずれかに記載の給電システム。
(25)前記コイルは、通信に用いられるものである
前記(1)から(24)のいずれかに記載の給電システム。
(26)給電装置と、
受電装置を有する電子機器と
を備え、
前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍にコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、
前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記コイル情報を受信する第2の通信部と、
前記コイル情報に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有する
給電システム。
(27)前記電子機器は、前記コイルを有し、
前記受電装置は、前記受電コイルを有し、
前記受電コイルおよび前記コイルは、平面コイルであり、同一平面に配置され、
前記受電コイルおよび前記コイルのうちの一方は、他方の内側に配置された
前記(26)に記載の給電システム。
(28)給電装置と、
受電装置と
を備え、
前記給電装置は、
給電コイルを用いて前記受電装置にワイヤレスで電力を供給する給電部と、
前記給電コイルまたは前記給電コイルの近傍に設けられた測定コイルにおける信号に基づいて、第1の周波数範囲における第1のパラメータの第1の周波数特性を測定する第1の測定部と、
前記第1の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第1の判断を行い、その第1の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する制御部と
を有する
給電システム。
(29)前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振点の数を測定し、
前記制御部は、前記共振点の数に基づいて前記第1の判断を行う
前記(28)に記載の給電システム。
(30)前記制御部は、前記共振点の数と所定数とを比較することにより、前記第1の判断を行う
前記(29)に記載の給電システム。
(31)前記第1の測定部は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、前記第1の周波数特性を測定し、
前記給電コイルは、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する際に、第1の共振周波数を有する第1の共振回路を構成する
前記(28)から(30)のいずれかに記載の給電システム。
(32)前記給電コイルは、前記給電部が前記受電装置に電力を供給する際に、第2の共振周波数を有する第2の共振回路を構成する
前記(31)に記載の給電システム。
(33)前記給電部は、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する際、前記第1の周波数範囲において、第1の信号の周波数を変化させつつ、前記第1の信号を前記給電コイルに供給する
前記(28)から(32)のいずれかに記載の給電システム。
(34)前記第1の測定部は、前記測定コイルにおける信号に基づいて、前記第1の周波数特性を測定し、
前記測定コイルは、第1の共振周波数を有する第1の共振回路を構成する
前記(28)から(30)のいずれかに記載の給電システム。
(35)前記給電装置は、前記給電コイルおよび前記測定コイルを有し、
前記給電コイルおよび前記測定コイルは、平面コイルであり、同一平面に配置され、
前記給電コイルおよび前記測定コイルのうちの一方は、他方の内側に配置された
前記(34)に記載の給電システム。
(36)前記第1の周波数範囲は、13.56MHzを含む
前記(28)から(35)のいずれかに記載の給電システム。
(37)前記受電装置は、
受電コイルを用いて給電装置からワイヤレスで電力を受け取る受電部と、
前記受電コイルの近傍にコイルが設けられているか否かを示すコイル情報を前記給電装置に対して送信する第1の通信部と
を有し、
前記給電装置は、前記コイル情報を受信する第2の通信部をさらに有し、
前記制御部は、前記第1の周波数特性および前記コイル情報に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第2の判断を行い、その第2の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する
前記(28)から(36)のいずれかに記載の給電システム。
(38)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路における共振点の数についての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振点の数を測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲における共振点の数に基づいて前記第2の判断を行う
前記(37)に記載の給電システム。
(39)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路の共振周波数についての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲における共振周波数を測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲における共振周波数に基づいて前記第2の判断を行う
前記(37)または(38)に記載の給電システム。
(40)前記コイルは、前記受電コイルの近傍に設けられるとともに第3の共振回路を構成し、
前記コイル情報は、前記第3の共振回路のインピーダンスについての情報を含み、
前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲におけるインピーダンスを測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲におけるインピーダンスに基づいて前記第2の判断を行う
前記(37)から(39)のいずれかに記載の給電システム。
(41)前記第2の通信部は、前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定した後に、前記第1の通信部との間で通信を開始することにより、前記コイル情報を受信する
前記(37)から(40)のいずれかに記載の給電システム。
(42)前記第1の判断が、前記受電装置へ電力を供給する判断である場合には、前記第2の通信部は、前記第1の通信部との間で通信を開始することにより、前記コイル情報を受信する
前記(41)に記載の給電システム。
(43)前記制御部は、前記第2の通信部が前記第1の通信部との間で通信を開始した後に、前記第2の判断を行うか否かを決定する
前記(37)から(42)のいずれかに記載の給電システム。
(44)前記給電装置は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第2の周波数範囲における第2のパラメータの第2の周波数特性を測定する第2の測定部をさらに有し、
前記第1の通信部は、前記受電コイルの特性に対応する受電コイル情報を前記給電装置に対してさらに送信し、
前記第2の通信部は、前記受電コイル情報をさらに受信し、
前記制御部は、前記受電コイル情報および前記第2の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第3の判断を行い、その第3の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する
前記(37)から(43)のいずれかに記載の給電システム。
(45)前記第2の周波数範囲における最大周波数は、前記第1の周波数範囲における最小周波数よりも低い
前記(44)に記載の給電システム。
(46)前記第3の判断が、前記受電装置へ電力を供給する判断である場合には、前記制御部は、前記第2の判断を行う
前記(44)または(45)に記載の給電システム。
(47)前記給電装置は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第2の周波数範囲における第2のパラメータの第2の周波数特性を測定する第2の測定部をさらに有し、
前記制御部は、前記第2の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第4の判断を行い、その第4の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する
前記(28)から(46)のいずれかに記載の給電システム。
(48)前記第1の測定部が前記第1の周波数特性を測定する前に、前記第2の測定部が前記第2の周波数特性を測定し、前記制御部は前記第4の判断を行う
前記(47)に記載の給電システム。
(49)前記コイルは、通信に用いられるものである
前記(28)から(48)のいずれかに記載の給電システム。
(50)前記第1の測定部は、前記第1の周波数特性に基づいて、前記第1の周波数範囲におけるクオリティファクタを測定し、
前記制御部は、前記第1の周波数範囲におけるクオリティファクタに基づいて前記第1の判断を行う
前記(28)に記載の給電システム。
(51)前記給電装置は、前記給電コイルにおける信号に基づいて、第2の周波数範囲における第2のパラメータの第2の周波数特性を測定する第2の測定部をさらに有し、
前記制御部は、前記第2の周波数特性に基づいて、前記受電装置へ電力を供給するか否かについての第4の判断を行い、その第4の判断の結果に基づいて前記給電部の動作を制御する
前記(28)または(50)に記載の給電システム。
(52)前記第2の測定部は、前記第2の周波数特性に基づいて、前記第2の周波数範囲におけるクオリティファクタを測定し、
前記制御部は、前記第2の周波数範囲におけるクオリティファクタに基づいて前記第4の判断を行う
前記(51)に記載の給電システム。
【0168】
本出願は、日本国特許庁において2016年7月29日に出願された日本特許出願番号2016-149320号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0169】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。