(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】蒸着装置
(51)【国際特許分類】
C23C 14/24 20060101AFI20220906BHJP
C23C 14/54 20060101ALI20220906BHJP
H05B 33/10 20060101ALI20220906BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
C23C14/24 A
C23C14/24 U
C23C14/54 A
H05B33/10
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2018548000
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2017116463
(87)【国際公開番号】W WO2018214483
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2020-11-06
(31)【優先権主張番号】201720572004.6
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】512282165
【氏名又は名称】合肥▲シン▼晟光▲電▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】HEFEI XINSHENG OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Xinzhan Industrial Park,Hefei,Anhui,230012,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲書▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】胡 ▲長▼奇
【審査官】西田 彩乃
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第205774772(CN,U)
【文献】特開2008-169420(JP,A)
【文献】特開2004-225058(JP,A)
【文献】国際公開第2007/026649(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/199686(WO,A1)
【文献】特開2012-112036(JP,A)
【文献】特開平06-224153(JP,A)
【文献】特開2015-108172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/24
C23C 14/54
H01L 51/50
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
ステージにある蒸着源と、
前記蒸着源の少なくとも一側に位置し蒸着源の蒸着レートを検出可能に配置されるとともに、前記蒸着源に固着された内層板と、
前記内層板の前記蒸着源から離れた一側に位置し前記内層板に隣接しており、蒸着範囲を調整するように配置される外層板と、
を備える蒸着装置であって、
前記蒸着装置は、
少なくとも部分的に前記内層板内に
嵌め込まれた膜厚検出手段と、
前記内層板内に設置され前記膜厚検出手段に接続される電気配線と、
をさらに備え、
前記膜厚検出手段は、前記蒸着装置の蒸着レートを検出するように配置される、蒸着装置。
【請求項2】
前記内層板と前記外層板は、前記蒸着源の対向両側に位置する
請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項3】
前記外層板に接続され、前記外層板を駆動して蒸着範囲を調整するように配置される駆動装置をさらに備える
請求項1または2に記載の蒸着装置。
【請求項4】
前記駆動装置は、前記外層板を駆動して前記ステージから離れた方向に変位させることで、前記外層板のステージに対する高さを変えるように配置される昇降装置を含む
請求項3に記載の蒸着装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、回転装置を含み、
前記外層板は、
前記内層板の前記蒸着源から離れた一側に位置し、かつ前記内層板とともに前記ステージに垂直な方向に延びる本体部であって、前記蒸着源から離れた端部が延出して前記内層板の前記蒸着源から離れた端部を超える本体部と、
一端が前記本体部の前記蒸着源から離れた端部にヒンジ連結される回動部と、を含み、
前記回転装置は、前記回動部を駆動して、前記蒸着源に対して接近離反する方向へ回動させるように配置される
請求項3に記載の蒸着装置。
【請求項6】
前記膜厚検出手段は、圧電センサを含む
請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項7】
前記膜厚検出手段と前記駆動装置とそれぞれ通信可能に接続され、前記膜厚検出手段が検出した蒸着レートに基づいて前記駆動装置を制御するように配置されるコントローラをさらに備える
請求項3~5のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項8】
前記内層板内に設置され、前記膜厚検出手段を冷却するように配置される冷却装置をさらに備える
請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項9】
前記冷却装置は、クーラント配管を含む
請求項8に記載の蒸着装置。
【請求項10】
前記電気配線は、電源線および信号伝送線のうちの少なくとも一方を含む
請求項1に記載の蒸着装置。
【請求項11】
前記内層板の前記外層板に向けた第1表面と、前記外層板の前記内層板に向けた第2表面が接触して設置される
請求項1~10のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項12】
前記内層板の前記蒸着源から離れた端部は、前記内層板の前記蒸着源に近い一側に傾く第1傾斜面を含む
請求項1~11のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項13】
前記外層板の前記蒸着源から離れた端部は、前記外層板の前記蒸着源に近い一側に傾く第2傾斜面を含む
請求項1~12のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項14】
前記蒸着源は、線状で前記蒸着源に並設される複数の蒸発孔を含む
請求項1~13のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【請求項15】
前記蒸着源は、線状で前記蒸着源に並設される複数の蒸発孔を含んでおり、前記蒸着装置は、前記複数の蒸発孔に一対一に対応して設置される複数の前記膜厚検出手段を含む
請求項1~13のいずれか1項に記載の蒸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸着装置に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本願は、2017年5月22日に出願された中国特許出願201720572004.6号の優先権を主張し、ここでこの先の出願の開示全体が本願の一部として取り込まれる。
【背景技術】
【0003】
表示技術の発展に伴い、有機発光ダイオードディスプレイ(Organic Light-Emitting Diode Display、OLED Display)は、自己発光、広視野角、高コントラスト、低消費電力、高応答速度等の利点のために、注目されている。
【0004】
有機発光ダイオードは、複数種の機能層を積層してなる発光デバイスである。従来、有機発光ダイオードの製造プロセスには、蒸着プロセス、すなわち、蒸着プロセスにより有機発光ダイオードにおけるたとえば有機発光層等の機能層を蒸着するプロセスが含まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、蒸着装置を提供する。該蒸着装置は、蒸着源、内層板、外層板および駆動装置を備える。蒸着源は、少なくとも1つの蒸発孔を含んでおり、内層板は、蒸発孔の両側に位置しており、外層板は、内層板の蒸発孔から離れた一側に設置されており、駆動装置は、外層板に接続され、外層板を駆動して蒸着範囲を調整するように配置される。本発明の少なくとも一実施形態は、ステージと、ステージにある蒸着源と、前記蒸着源の少なくとも一側に位置し蒸着源の蒸着レートを検出可能に配置されるとともに、前記蒸着源に固着された内層板と、前記内層板の前記蒸着源から離れた一側に位置し前記内層板に隣接しており、蒸着範囲を調整するように配置される外層板と、を備える蒸着装置を提供する。
【0006】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記内層板と前記外層板は、前記蒸着源の対向両側に位置する。
【0007】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記外層板に接続され、前記外層板を駆動して蒸着範囲を調整するように配置される駆動装置をさらに備える。
【0008】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記駆動装置は、前記外層板を駆動して前記ステージから離れた方向に変位させることで、前記外層板のステージに対する高さを変えるように配置される昇降装置を含む。
【0009】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記駆動装置は、前記外層板を駆動して前記ステージから離れた方向に変位させるように配置される昇降装置を含む。
【0010】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記駆動装置は、回転装置を含み、前記外層板は、前記内層板の前記蒸着源から離れた一側に位置し、かつ前記内層板とともに前記ステージに垂直な方向に延びる本体部であって、前記蒸着源から離れた端部が延出して前記内層板の前記蒸着源から離れた端部を超える本体部と、一端が前記本体部の前記蒸着源から離れた端部にヒンジ連結される回動部と、を含み、前記回転装置は、前記回動部を駆動して、前記蒸着源に対して接近離反する方向へ回動させるように配置される。
【0011】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、少なくとも部分的に前記内層板内に設置された膜厚検出手段をさらに備え、前記膜厚検出手段は、前記蒸着装置の蒸着レートを検出するように配置される。
【0012】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記膜厚検出手段は、圧電センサを含む。
【0013】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記膜厚検出手段と前記駆動装置とそれぞれ通信可能に接続され、前記膜厚検出手段が検出した蒸着レートに基づいて前記駆動装置を制御するように配置されるコントローラをさらに備える。
【0014】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記内層板内に設置され、前記膜厚検出手段を冷却するように配置される冷却装置をさらに備える。
【0015】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記冷却装置は、クーラント配管を含む。
【0016】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記内層板内に設置され前記膜厚検出手段に接続される電気配線をさらに備える。
【0017】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記電気配線は、電源線および信号伝送線のうちの少なくとも一方を含む。
【0018】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記内層板の前記外層板に向けた第1表面と、前記外層板の前記内層板に向けた第2表面が接触して設置される。
【0019】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記内層板の前記蒸着源から離れた端部は、前記内層板の前記蒸着源に近い一側に傾く第1傾斜面を含む。
【0020】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記外層板の前記蒸着源から離れた端部は、前記外層板の前記蒸着源に近い一側に傾く第2傾斜面を含む。
【0021】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記蒸着源は、線状で前記蒸着源に並設される複数の蒸発孔を含む。
【0022】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、前記蒸着源は、線状で前記蒸着源に並設される複数の蒸発孔を含んでおり、前記蒸着装置は、前記複数の蒸発孔に一対一に対応して設置される複数の前記膜厚検出手段を含む。
【0023】
本発明の実施形態に関わる技術手段をより明確に説明するために、以下、実施形態の図面について簡単に説明するが、勿論、以下の説明における図面は本発明の実施形態の一部に過ぎず、本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る蒸着装置を模式的に示す構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る蒸着装置を模式的に示す作動図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る蒸着装置を模式的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る別の蒸着装置を模式的に示す構成図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る別の蒸着装置を模式的に示す作動図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る蒸着装置のコントローラの接続関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の目的、技術手段、およびメリットをより明白にするため、本発明の実施形態に係る技術思想について本発明の実施形態の図面を参照しながら全体として明確に説明する。説明された実施例が本発明の一部の実施例のみであり、本発明の全ての実施例ではないことは明白であろう。当業者には、開示された本発明の実施例に基づき、容易に成し遂げることができた他の実施例の全ては本発明の精神から逸脱しない。
【0026】
特に定義しない限り、本開示に使用された技術用語または科学用語は、当業者に理解される一般的な意味である。本発明に係る特許出願の明細書及び特許請求の範囲に使用される「第1」「第2」のような用語は順序、数量または重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するものにすぎない。「備える」、「含む」および類似する用語は、挙げられた要素に加えて、他の要素が共存してもよいことを意味する。「接続」や「連結」等のような用語は物理的または機械的接続に限定されなく、直接的や間接的にかかわらず電気的接続を含む。
【0027】
研究したところ、本願の発明者は、有機発光ダイオードのキャリアの注入と輸送能力、発光効率、およびデバイス耐用年数等の特性を改善し、また、異なる特性を有する有機発光ダイオードデバイスを製造するには、有機発光ダイオードの異なる機能層の厚さを調整する必要がある。通常、温度を上げ下げする方法により、蒸着源の蒸発速度を変えることで、形成すべき機能層の厚さを調整する。しかしながら、温度の上げ下げに時間がかかり、生産性の巨大な損失を引き起こす。さらに、一般的な蒸着装置では、信号伝送線、制御線等の電気配線はすべて露出配線としてレイアウトするため、高温焼き付けや蒸発した材料の付着による損傷等の問題がある。
【0028】
本発明の実施形態は蒸着装置を提供する。該蒸着装置は、ステージ、ステージにある蒸着源、内層板および外層板を備えており、内層板は、蒸着源の少なくとも一側に位置し蒸着源の蒸着レートを検出可能に配置されるとともに、蒸着源に固着されており、外層板は、内層板の前記蒸着源から離れた一側に位置し内層板に隣接し、蒸着範囲を調整可能である。従って、該蒸着装置は、該蒸着源の蒸着範囲を調整することで、該蒸着装置の蒸着レートを調整して蒸着すべき膜層の厚さを調整し、蒸着すべき膜層の厚さを迅速に調整し、生産効率を向上させることができる。
【0029】
以下、本発明の実施形態に係る蒸着装置について図面を参照しながら説明する。
【0030】
本発明の一実施形態は蒸着装置を提供する。
図1は、本実施形態に係る蒸着装置を模式的に示す構成図である。
図1に示されるように、該蒸着装置は、ステージ900、ステージ900にある蒸着源110、内層板120および外層板130を備えており、内層板120は、蒸着源110の少なくとも一側に位置し蒸着源110の蒸着レートを検出可能であり、かつ蒸着源110に固着されており、外層板130は、内層板120の蒸着源110から離れた一側に位置し内層板120に隣接し、蒸着範囲を調整可能である。
【0031】
本実施形態に係る蒸着装置では、外層板が蒸着源の蒸着範囲を制限することができ、たとえば、外層板がステージに垂直な方向に移動することによって、蒸着源の蒸着範囲を変える。たとえば、蒸着源の蒸着範囲が大きくなると、同一量の蒸着材料では、より大きな範囲にて蒸着するようになり、それによって、該蒸着装置の蒸着レートが低下する。一方、蒸着源の蒸着範囲が小さくなると、同一量の蒸着材料では、より小さな範囲にて蒸着するようになり、それによって、該蒸着装置の蒸着レートが高まる。このように、該蒸着装置は、外層板によって蒸着源の蒸着範囲を調整することで、該蒸着装置の蒸着レートを調整できる。蒸着装置の蒸着レートを調整することで蒸着すべき膜層の厚さを調整し、それによって蒸着すべき膜層の厚さを速やかに調整して、生産効率を向上させる。なお、上記蒸着レートとは、蒸着装置が単位時間、単位面積あたりに堆積する蒸着材料の量のことである。
【0032】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、
図1に示されるように、内層板120と外層板130は、蒸着源110の対向両側に位置するため、蒸着源110の対向両側から蒸着範囲を制限することができる。
【0033】
たとえば、本発明の一実施形態に係る蒸着装置において、
図1に示されるように、該蒸着装置は、外層板130に接続されるとともに、蒸着範囲を調整するようにして外層板130を駆動可能になる駆動装置140をさらに備える。
【0034】
たとえば、いくつかの例では、
図1に示されるように、該蒸着装置は、蒸着源110、内層板120、外層板130および駆動装置140を含む。蒸着源110は、少なくとも1つの蒸発孔112を含み、蒸着材料が蒸着源110で加熱されてから、蒸発孔112から蒸発される。内層板130は、蒸着源110に設置され蒸発孔112の両側に位置する。外層板130は、内層板120の蒸発孔112から離れた一側に設置され、すなわち、外層板130は内層板120の外側に設置される。駆動装置140は、外層板130に接続され、蒸着範囲を調整するようにして外層板130を駆動可能である。つまり、外層板130は、蒸着源110の蒸着範囲を制限可能であり、駆動装置140は、蒸着源110の蒸着範囲を調整するためのものである。
【0035】
本実施形態に係る蒸着装置では、外層板が蒸着源の蒸着範囲を制限できるため、駆動装置によって外層板を駆動して移動させることにより蒸着源の蒸着範囲を調整でき、たとえば、駆動装置が外層板を駆動して蒸発孔の中心線の方向に移動させることで、蒸着源の蒸着範囲を変える。たとえば、蒸着源の蒸着範囲が大きくなると、同一量の蒸着材料では、より大きな範囲にて蒸着するようになり、それによって、該蒸着装置の蒸着レートが低下する。蒸着源の蒸着範囲が小さくなると、同一量の蒸着材料では、より小さな範囲にて蒸着するようになり、それによって、該蒸着装置の蒸着レートが高まる。このように、該蒸着装置は、駆動装置によって外層板を駆動して蒸着源の蒸着範囲を調整することで、該蒸着装置の蒸着レートを調整できる。蒸着装置の蒸着レートを調整することで蒸着すべき膜層の厚さを調整し、それによって蒸着すべき膜層の厚さを速やかに調整して、生産効率を向上させる。なお、上記蒸着レートとは、蒸着装置が単位時間、単位面積あたりに堆積する蒸着材料の量のことである。
【0036】
たとえば、本実施形態に係る蒸着装置では、
図1に示されるように、外層板120と内層板130は、蒸発孔112の中心線(
図1参照)に平行な方向に延びており、外層板130の蒸着源110から離れた端部が延出して内層板120の蒸着源110から離れた端部を超える。そして、外層板130は、内層板120に対して、蒸発孔112の中心線に平行な方向に運動できる。よって、外層板130は、蒸着源110の蒸着範囲を制限しつつ、外層板130が内層板120に対して、蒸発孔112の中心線に平行な方向に運動すると、該蒸着源110の蒸着範囲を変える。
図2は、本実施形態に係る蒸着装置の作動原理図を示す。
図2に示されるように、外層板130が内層板120に対して蒸発孔112の中心線に平行な方向に上へ運動すると(外層板130の蒸着源110から離れた端部が
図2中の破線に示すように)、
図2に示される平面において、蒸着源110の蒸着角度が小さくなり、つまり、蒸着源110の蒸着範囲が小さくなる。同様に、外層板が内層板に対して蒸発孔の中心線に平行な方向に下へ運動すると、蒸着源の蒸着範囲が大きくなる。よって、外層板を内層板に対して蒸発孔の中心線に平行な方向に運動させることで、蒸着源の蒸着範囲を調整して、それによって該蒸着装置の蒸着レートを調整することができる。勿論、本発明の実施形態は、それに制限されず、外層板はそれ以外の方式で蒸着源の蒸着範囲を調整してもよい。なお、
図1中、蒸発孔の中心線に平行な方向は、ステージに垂直な方向である。
【0037】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、駆動装置140は昇降装置141を含み、昇降装置141が外層板130を駆動して蒸発孔112の中心線に平行な方向に運動させて、外層板130のステージ900に対する高さを変える。よって、昇降装置によって外層板を蒸発孔の中心線に平行な方向に運動させることができる。
【0038】
たとえば、昇降装置は、シリンダまたは油圧装置としてもよい。勿論、本発明の実施形態はそれらに制限されず、昇降装置は、それ以外の一般的な構造、たとえばねじとモーターによって昇降運動してもよい。
【0039】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、該蒸着装置は膜厚検出手段128をさらに含む。膜厚検出手段128は、少なくとも部分的に内層板120内に設置され、該蒸着装置の蒸着レートを検出するためのものである。よって、該膜厚検出手段で蒸着装置の蒸着レートを検出することができ、蒸着対象基板の蒸着時間が決定可能であるため、該蒸着装置を利用して蒸着対象基板に膜層を蒸着するとき、蒸着膜層の厚さが蒸着レートから算出できる。つまり、蒸着装置の蒸着レートを取得すれば、蒸着対象基板に蒸着される蒸着膜層の厚さを取得できる。蒸着対象基板に蒸着される蒸着膜層の厚さの調整が必要である場合、直接膜厚検出手段が検出した現在蒸着レートに基づいて外層板を調整して、蒸着レートを変えることが可能である。たとえば、膜厚検出手段が検出した現在蒸着レートが所望の蒸着レートになるまで、駆動装置によって外層板を駆動して蒸発孔の中心線に平行な方向に運動させる。また、該膜厚検出手段は、部分的に内層板内に位置するため、該膜厚検出手段と外部を接続する配線を完全に内層板内に設置することができ、このようにして、内層板により該膜厚検出手段と外部を接続する配線を保護して、該膜厚検出手段と外部を接続する配線の高温焼き付けや蒸発した材料の付着による損傷を避ける。
【0040】
たとえば、膜厚検出手段は、圧電センサを含む。よって、膜厚検出手段は、単位時間あたり圧電センサに堆積される蒸着材料の質量から、該蒸着装置の蒸着レートを決定することができる。勿論、本発明の実施形態は、それに制限されず、膜厚検出手段は、それ以外の構成やセンサで該蒸着装置の蒸着レートを検出してもよい。
【0041】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、該蒸着装置は、内層板120内に設置され膜厚検出手段128の冷却に供する冷却装置124をさらに備える。よって、冷却装置で膜厚検出手段を冷却することによって、膜厚検出手段の温度を適切に維持して該膜厚検出手段の検出精度を向上させつつ、膜厚検出手段を保護して膜厚検出手段の耐用年数を延ばす。
【0042】
たとえば、冷却装置は、クーラント配管を含む。クーラントを循環させることで検出手段を冷却する。たとえば、クーラントは水としてもよい。勿論、本発明の実施形態はそれに制限されず、空冷やその他の冷却方式で膜厚検出手段を冷却してもよい。
【0043】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、該蒸着装置は電気配線126をさらに備える。電気配線126は、内層板120内に設置されかつ膜厚検出手段128に接続される。たとえば、電気配線は、膜厚検出手段の電源線、制御線および信号伝送線等を含める。よって、電気配線が内層板内に設置される場合、内層板は、電気配線を高温焼き付けや蒸発した材料の付着による損傷から保護する。
【0044】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、内層板120の外層板130に向けた第1表面129と外層板130の内層板120に向けた第2表面139が接触して設置される。このように、内層板と外層板との間への蒸着材料の堆積を防止して、外層板の内層板に対する移動を避ける。
【0045】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、内層板120の蒸着源110から離れた端部1200は、内層板120の蒸発孔112に近い一側、すなわち蒸着源110に近い一側に傾く第1傾斜面121を含む。よって、内層板の蒸着源から離れた端部への大量の蒸着材料の堆積が防止できる。
【0046】
たとえば、本実施形態の一例による蒸着装置において、
図1に示されるように、外層板130の蒸着源110から離れた端部1300は、外層板130の蒸発孔112に近い一側、すなわち蒸着源110に近い一側に傾く第2傾斜面131を含む。よって、外層板の蒸着源から離れた端部への大量の蒸着材料の堆積が防止できる。
【0047】
図3は、本実施形態に係る蒸着装置の斜視図を模式的に示す。
図3に示されるように、該蒸着装置は、蒸着源110、内層板120、外層板130および駆動装置140を備える。蒸着源110は少なくとも1つの蒸発孔112を含み、蒸着材料が蒸着源110にて加熱されてから、蒸発孔112から蒸発される。内層板130は蒸着源110上に設置されかつ蒸発孔112の両側に位置する。外層板130は内層板120の蒸発孔112から離れた一側に設置され、すなわち外層板130は内層板120の外側に設置される。駆動装置140は、外層板130に接続される。外層板130は、蒸着源110の蒸着範囲を制限するためのものであり、駆動装置140は、蒸着源110の蒸着範囲を調整するためのものである。よって、該蒸着装置は、駆動装置で外層板を駆動して蒸着源の蒸着範囲を調整することで、該蒸着装置の蒸着レートを調整できる。蒸着装置の蒸着レートを調整することにより、蒸着すべき膜層の厚さを調整し、それにより蒸着すべき膜層の厚さを速やかに調整して、生産効率を向上させる。また、
図3に示されるように、膜厚検出手段128は、部分的に内層板120内に設置され、すなわち膜厚検出手段128は内層板120に嵌め込まれており、そして、膜厚検出手段128に接続された電気配線126も内層板120内に設置される。よって、該蒸着装置は、高温焼き付けや蒸発した材料の付着による上記電気配線の損傷を避け、それによって該蒸着装置の安定性を向上させて、該蒸着装置の耐用年数を延ばす。また、
図3に示されるように、該蒸着装置は、膜厚検出手段を冷却するための冷却装置がさらに備えられる。よって、該蒸着装置は、冷却装置で膜厚検出手段を冷却することで、膜厚検出手段の温度を適切に維持して該膜厚検出手段の検出精度を向上させつつ、膜厚検出手段を保護して膜厚検出手段の耐用年数を延ばす。
【0048】
たとえば、
図3に示されるように、少なくとも1つの蒸発孔112としては、線状で蒸着源110に並設される複数の蒸発孔112が含まれてもよい。よって、線状で並設された複数の蒸発孔によって、面積の大きい蒸着が図られ、蒸着の均一性が向上できる。
【0049】
たとえば、
図3に示されるように、該蒸着装置は、複数の蒸発孔112に一対一に対応して設置される複数の膜厚検出手段128が備えられ、それによって異なる蒸発孔112の所在する位置での蒸着レートを検出する。
【0050】
本発明の一実施形態は、蒸着装置を提供する。
図4は本実施形態に係る蒸着装置を模式的に示す構成図である。該蒸着装置は、
図4に示されるように、駆動装置140が回転装置145を含み、外層板130が本体部1301と回動部1302を含む点で、実施形態1とは異なる。本体部1301は、内層板120の蒸発孔112から離れた一側に設置されており、本体部1301と内層板120は、蒸発孔112の中心線(
図4参照)に平行な方向に延びており、本体部1301の蒸着源112から離れた端部1300は延出して内層板120の蒸着源112から離れた端部1200を超える。回動部1302は、一端が本体部1301の蒸着源110から離れた端部1300にヒンジ連結され、たとえばピボットで接続されており、回転装置145は、回動部1302を駆動して蒸着源1102に接近する方向へ回動させるためのものである。たとえば、
図4に示されるように、回転装置145は、回動部1302の一端と本体部1301の蒸着源110から離れた端部1300とのヒンジ部位に設置され、それによって、回動部1302を駆動して蒸着源1102に対して接近離反する方向へ回動させる。勿論、本発明の実施形態はそれに制限されず、回転装置はそれ以外の位置に設置されてもよく、回動部を駆動して蒸着源に対して接近離反する方向へ回動させることができればよい。
【0051】
図5は、本実施形態に係る蒸着装置を模式的に示す作動図である。
図5に示されるように、回動部1302が蒸着源1102に接近する方向へ回動すると(
図5中の破線ボックスで示すように)、蒸着源110の蒸着範囲が小さくなる。同様に、回動部が蒸着源から離反する方向へ回転すると、蒸着源の蒸着範囲が大きくなる。よって、回動部を駆動して蒸着源に対して接近離反する方向へ回動させることによって、蒸着源の蒸着範囲を調整することで、該蒸着装置の蒸着レートを調整することができる。
【0052】
なお、駆動装置は昇降装置と回転装置をともに備えてもよく、外層板を駆動して昇降運動させるとともに、回動部を駆動して回転させることで、協力して蒸着源の蒸着範囲を調整する。
【0053】
たとえば、
図6は本実施形態に係る蒸着装置のコントローラの接続関係を模式的に示す図である。
図6に示されるように、該蒸着装置は、膜厚検出手段128と駆動装置140とそれぞれ通信接続され、たとえば、ケーブルを介して接続され、あるいは無線通信方式(たとえばWiFi)で接続されるコントローラ170をさらに備える。コントローラ170は、膜厚検出手段128が検出した蒸着レートに基づいて駆動装置140を制御できる。よって、コントローラは、蒸着装置の蒸着レートを取得することで、蒸着対象基板に蒸着される蒸着膜層の厚さを取得できる。蒸着対象基板に蒸着する蒸着膜層の厚さの調整が必要である場合、コントローラは直接膜厚検出手段が検出した現在蒸着レートに基づいて、駆動装置によって外層板を駆動制御して、蒸着レートを変える。たとえば、膜厚検出手段が検出した現在蒸着レートが所望の蒸着レートになるまで、駆動装置の回転装置によって外層板の回動部を駆動して、蒸着源に接近する方向へ回動させる。
【0054】
なお、
(1)本発明の実施形態の図面は、本発明の実施形態に係る構造のみに関し、他の構造は通常の設計を参照すればよい。
(2)矛盾がない限り、本発明の同一実施形態および異なる実施形態における特徴は互いに組み合わせてもよい。
【0055】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、本開示に記載の技術的範囲を超えていない限り、当業者により容易に成し遂げることができた変更や置換はすべて本発明の保護範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は、添付した特許請求の範囲に定められる。
【符号の説明】
【0056】
110 蒸着源
120 内層板
130 外層板
900 ステージ