(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】三次元有孔基材
(51)【国際特許分類】
A61F 13/511 20060101AFI20220906BHJP
A61F 13/513 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A61F13/511 300
A61F13/511 100
A61F13/511 400
A61F13/513 110
(21)【出願番号】P 2019513006
(86)(22)【出願日】2017-09-06
(86)【国際出願番号】 US2017050199
(87)【国際公開番号】W WO2018048845
(87)【国際公開日】2018-03-15
【審査請求日】2019-03-07
【審判番号】
【審判請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゴ、ロザーティ
(72)【発明者】
【氏名】グエルテキン、エルデム
(72)【発明者】
【氏名】サッシャ、クライセル
(72)【発明者】
【氏名】ミサエル、オマー、アビレス
【合議体】
【審判長】藤原 直欣
【審判官】稲葉 大紀
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0250662(US,A1)
【文献】米国特許第6395957(US,B1)
【文献】国際公開第2009/062998(WO,A1)
【文献】特公平4-22578(JP,B2)
【文献】特公平6-38818(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15-13/84
A61L 15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品用の液体透過性不織布トップシートであって、前記トップシートが、
不織布疎水性材料を含み、
前記トップシートが、複数の陥没部と、複数の突起部と、複数のランド領域と、を備え、前記ランド領域は、前記複数の突起部及び複数の前記陥没部の少なくとも大部分を包囲し、前記複数の陥没部、前記複数の突起部、及び前記複数のランド領域は、共に前記トップシートの第1の側面上に第1の三次元表面を、及び前記トップシートの第2の側面上に第2の三次元表面を形成し、前記突起部の大部分が、突起部高さ試験に従って、400μm~4000μmの範囲のz方向高さを有し、前記陥没部の大部分が、隣接する突起部の頂部ピークから最遠位の位置で孔を画定し、前記陥没部の前記大部分が、陥没部高さ試験に従って、400μm~2000μmの範囲のz方向高さを有し、
前記トップシートが、全トップシート高さ試験に従って、800μm~6000μmの範囲の全z方向高さを有し、
少なくともいくつかの前記孔に近接した部分にのみ親水性材料が適用されてなることを特徴とする、トップシート。
【請求項2】
前記不織布疎水性材料が、
第1の不織布疎水性層と、
第2の不織布疎水性層と、を含み、前記第1の不織布疎水性層が前記第2の不織布疎水性層に接合され、前記第1の不織布疎水性層が、前記第2の不織布疎水性層とは異なる坪量を有し、
前記突起部の一部及び前記陥没部の一部が、前記第1の不織布疎水性層の一部及び前記第2の不織布疎水性層の一部によって形成され、
前記孔が、前記第1の不織布疎水性層及び前記第2の不織布疎水性層を貫いて形成される、請求項1に記載のトップシート。
【請求項3】
前記突起部及び前記ランド領域が、疎水性である、請求項1又は2に記載のトップシート。
【請求項4】
前記陥没部が、前記孔の外周部の周りの領域に前記親水性材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項5】
前記孔の大部分が、孔試験に従って、1.0mm
2~3.5mm
2の範囲の有効孔面積を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項6】
前記トップシートが、孔試験に従って、5%~20%の範囲の有効孔面積%を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項7】
前記第1の不織布疎水性層が、加熱空気に前記第1の不織布疎水性層及び前記第2の不織布疎水性層を通過させることによって、前記第2の不織布疎水性層に接合される、
請求項2に記載のトップシート。
【請求項8】
前記第1の不織布疎水性層が複数の第1の繊維を含み、前記第2の不織布疎水性層が複数の第2の繊維を含み、前記第1及び第2の繊維が異なる、
請求項2に記載のトップシート。
【請求項9】
4つの孔が各突起部の周囲に形成され、4つの突起部が各孔の周囲に形成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項10】
2つの隣接する孔が、突起部及びランド領域により前記トップシートの横方向軸線に沿って分離され、2つの隣接する突起部が、孔及びランド領域により前記トップシートの前記横方向軸線に沿って分離され、2つの隣接する孔が、突起部及びランド領域により前記トップシートの長手方向軸線に沿って分離され、2つの隣接する突起部が、孔及びランド領域により前記トップシートの前記長手方向軸線に沿って分離される、請求項1~9のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項11】
前記陥没部の全てが孔を画定し、前記突起部の全てが中空アーチ部分を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項12】
前記孔が、共に前記トップシートの第1の線を形成する孔の第1の組と、共に前記トップシートの第2の線を形成する孔の第2の組と、を含み、前記第1の線が前記第2の線と平行である、請求項1~11のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項13】
前記孔の前記大部分の外周部が前記トップシートの最下部の第1の平面を形成し、前記突起部の前記大部分の頂部ピークが前記トップシートの最上部の第2の平面を形成し、前記ランド領域が前記第1の平面と前記第2の平面との中間に位置付けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載のトップシート。
【請求項14】
前記第1の不織布疎水性層が、前記第2の不織布疎水性層の繊維のデニールよりも少なくとも0.5デニール大きい繊維を含む、
請求項2に記載のトップシート。
【請求項15】
前記第1の不織布疎水性層が、1.2~4の範囲のデニールを有する繊維を含み、前記第2の不織布疎水性層が、1.0~3.5の範囲のデニールを有する繊維を含む、
請求項2に記載のトップシート。
【請求項16】
吸収性物品であって、
請求項1~15のいずれか一項に記載のトップシートと、
バックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの中間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コアと、を含む、吸収性物品。
【請求項17】
前記吸収性コアが、前記吸収性コアの少なくとも90重量%の超吸収性ポリマーを含む吸収性材料を含む、請求項16に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的には、三次元有孔基材に関する。
【背景技術】
【0002】
乳児用使い捨ておむつ、幼児用トレーニングパンツ、成人失禁用下着、及び/又は生理用ナプキンなどの個人衛生用吸収性物品は、排泄物、特に大量の尿、粘性の低いBM、及び/又は経血(まとめて「流体(複数可)」とする)を吸収して収容するように設計されている。これらの吸収性物品は、異なる機能を提供するいくつかの層、必要な場合、層の中でもとりわけ、例えば、トップシート、バックシート、及びトップシートとバックシートとの間に配置された、又は部分的に配置された吸収性コア、捕捉及び/又は分配システムなどを含み得る。
【0003】
トップシートは、概して液体透過性であり、身体から排泄される流体を受容し、流体を捕捉及び/若しくは分配システムに向かう、並びに/又は吸収性コアに向かう方向付けに役立つように構成されている。完全に親水性のトップシートは、これらが流体を迅速に吸収するので、望ましい場合がある。しかしながら、完全に親水性のトップシートでの1つの問題は、これらが、その親水性によって大量の流体を保持し得ることである。これにより、吸収性物品の着用者に皮膚に対する濡れ感を生じさせる場合がある。完全に疎水性のトップシートは、これらが流体を保持しないので、望ましい場合がある。しかしながら、完全に疎水性トップシートでは、流体が開口部を通って導かれることができるように、通常、孔が設けられる。有効孔面積が小さくなりすぎると(例えば、1.8mm2)、流体が孔に入り込みかつそれを通って流れないであろう。これにより、非常に大きな有効孔面積(例えば、4.6mm2)が、関連技術の完全に疎水性トップシートでは必要とされる。しかしながら、より大きな穴は、再湿潤の増加につながる。完全に疎水性のトップシートは、これらが流体を保持しないために望ましいが、特により小さな有効孔面積による流出及び漏れの問題の潜在的リスクを有する。三次元トップシートは、流体が吸収生物品中に吸収され、流体/皮膚接触時間を低減することができるまで、流体を着用者の皮膚から離れる方向に移動させるために望ましい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
完全に親水性のトップシート及び完全に疎水性のトップシートの両方の問題を解決し、着用者の皮膚を乾燥した状態のまま残し、流体/皮膚接触時間を低減し、より小さな孔かつ皮膚マーキングの低減を可能にし、並びに流出及び漏れの問題を低減するために、三次元有孔トップシートは、更に改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、概して、1つには、吸収性物品のトップシートとして使用され得るか、又はトップシートの一部、又は全体を形成する、三次元不織布有孔基材に関する。三次元有孔基材は、液体透過性基材であってよい。本開示の三次元有孔基材は、第1のz方向高さを有する第1の構成要素、及び、第2のz方向高さを有する少なくとも第2の構成要素を設けることによって、流体/皮膚接触時間を短縮することができる。第1のz方向高さは、通常第2のz方向高さより高くてよい。このような構造により、複数の高さを有する基材がもたらされる。これらの三次元有孔基材は、例えば排尿中に、流体が基材上に収容されること、並びに、第2のz方向高さ(低い方)を有する第2の構成要素内、及び/又は孔内かつそこを通って移動することを可能にし、皮膚と接触する流体の量を少なくとも低減し、及び/又は、流体/皮膚接触時間を少なくとも短縮することができる。別の言い方をすれば、第1のz方向高さ(高い方)を有する第1の構成要素は皮膚と接触でき、その間、流体は、第2のz方向高さ(低い方の高さ)を有する第2の構成要素内に、及び/又は、孔内にかつそこを通って重力により移動する。情報と信念により、かかる三次元構造は、皮膚上の流体量を少なくし、着用者により乾燥した、より心地よい感触をもたらし、及び/又は、流体/皮膚接触の時間を短縮する。第1のz方向高さ(高い方)を有する第1の構成要素は、基本的に、皮膚と流体との間にスペーサーを与えるように働き、その間、基材は、捕捉及び/若しくは分配システム並びに/又は吸収性コア内に流体を通している。
【0006】
これらの三次元有孔基材(例えば、トップシートとして使用される)は、疎水性不織布材などの疎水性材料を含むことができるが、親水性材料は、孔の外周部の周りのみに、孔の周辺に近接する領域のみに、及び/又は孔の外周部の周りと陥没部の一部のみに(本明細書ではまとめて「孔に近接して」と称する)設けることができる。三次元有孔疎水性基材を親水性材料と共に、孔に近接して設けることによって、流体を、孔を通って迅速に吸い上げることができる。ここでは、孔は、大きな有効孔面積(例えば、4.6mm2)を有する従来の疎水性トップシートと比べて、有効孔面積を低減させることができ(例えば、1.8mm2)、これにより、大きな孔を有する完全に疎水性のトップシートとほぼ同じ流出及び漏れの効果を達成しながら、皮膚マーキング及び再湿潤を低減させることができる。
【0007】
これにより、本開示の三次元不織布有孔基材又はトップシートは、完全に親水性のトップシート及び完全に疎水性のトップシートの両方の問題を解決し、着用者の皮膚を乾燥した状態のまま残し、流体/皮膚接触を減らし、より小さな孔かつ皮膚マーキングの低減を可能にし、並びに流出及び漏れの問題を低減する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示の上記及び他の特徴並びに利点、更にそれらを実現する様式は、本開示の非限定的な形態の以下の説明を添付の図面と併せて参照することによって、より明らかになり、本開示自体の理解が深まるであろう。
【
図1】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面しており、いくつかの層を部分的に切り欠いた、吸収性物品の上面図である。
【
図2】本開示による、
図1の線2-2の周囲で切り取った吸収性物品の断面図である。
【
図3】本開示による、
図2の線2-2の周囲で切り取った、吸収性物品が流体で充填された吸収性物品の断面図である。
【
図4】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面しており、いくつかの層を部分的に切り欠いた、別の吸収性物品の上面図である。
【
図5】本開示による、
図4の線5-5の周囲で切り取った吸収性物品の断面図である。
【
図6】本開示による、いくつかの層を部分的に切り欠いた
図4の吸収性物品の吸収性コアの上面図である。
【
図7】本開示による、
図6の線7-7の周囲で切り取った吸収性コアの断面図である。
【
図8】本開示による、
図6の線8-8の周囲で切り取った吸収性コアの断面図である。
【
図9】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面しており、いくつかの層が切り取られた生理用ナプキンである、吸収性物品の上面図である。
【
図10】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面しており、三次元液体透過性基材を含む吸収性物品の上面図である。
【
図12】本開示による、
図10の液体透過性基材の一部分の拡大上面図である。
【
図13】本開示による、
図10の液体透過性基材の一部分の別の拡大上面図である。
【
図14】本開示による、吸収性物品のトップシートに位置付けられた、及び/又は接合された三次元液体透過性基材の概略図である。
【
図15】本開示による、吸収性物品のトップシートに位置付けられた、及び/又は接合された三次元液体透過性基材の別の概略図である。
【
図16】本開示による、吸収性物品のトップシートに位置付けられた、及び/又は接合された三次元液体透過性基材の別の概略図である。
【
図17】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の正面図である。
【
図18】本開示による、
図17の三次元液体透過性基材の一部分の正面斜視図である。
【
図19】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の別の正面図である。
【
図20】本開示による、
図19の液体透過性基材の一部分の正面斜視図である。
【
図21】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の背面図である。
【
図22】本開示による、
図21の三次元液体透過性基材の一部分の背面斜視図である。
【
図23】本開示による、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元液体透過性基材の一部分の別の背面図である。
【
図24】本開示による、
図23の液体透過性基材の一部分の背面斜視図である。
【
図25】本開示による、液体透過性基材の断面図である。
【
図26】本開示の基材の形成プロセスの一例の概略図である。
【
図27】本開示による、第1及び第2のロールの一部分の噛み合い係合の図である。
【
図28】本開示による、第1のロールの一部分の図である。
【
図29】本開示による、第2のロールの一部分の図である。
【
図30】本開示による、吸収性物品のパッケージの側面図である。外側表面は、明確にする目的で透明に図示されている。
【
図31】本開示による、孔に近接して位置付けられた親水性材料を有する例示的な三次元疎水性不織布有孔材料の概略断面図である。
【
図32】本開示による、孔に近接して位置付けられた親水性材料を有する例示的な三次元疎水性不織布有孔材料の上面斜視図の写真である。
【
図33】本開示による、孔に近接して位置付けられた親水性材料を有する例示的な三次元疎水性不織布有孔材料の底面斜視図の写真である。
【
図34】本開示による、孔に近接する三次元不織布疎水性有孔材料に適用される親水性材料の概略図である。
【
図35】本開示による、孔に近接する三次元不織布疎水性有孔材料に適用される親水性材料の概略図である。
【
図36】本開示による、突起部上に位置付けられた疎水性材料及び孔に近接する親水性材料を有する例示的な三次元親水性不織布有孔材料の概略断面図である。
【
図37】本開示による、突起部上の三次元不織布親水性有孔材料に適用される疎水性材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で開示される三次元有孔基材の構造、機能、製造、及び使用の原理の総合的な理解を提供するために、ここで、本開示の様々な非限定的形態が説明される。これらの非限定的実施形態の1つ以上の例が、添付図面に示されている。当業者であれば、本明細書において記載され、かつ添付の図面で例示される三次元有孔基材は、非限定的な例示的形態であり、本開示の種々の非限定的な形態の範囲は、特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの非限定的な形態に関して図示又は説明される特徴は、他の非限定的な形態の特徴と組み合わせることができる。そのような修正及び変形は、本開示の範囲内に含まれるものとする。
【0010】
序論
本明細書で使用するとき、用語「吸収性物品」とは、未熟児、乳児、小児、又は大人用おむつ、成人用失禁製品、トレーニングパンツ、生理用ナプキンなどの、着用者の身体に接して又は近接して配置されて、身体から排出される様々な流体を吸収して封じ込める使い捨て装置を指す。典型的には、これらの吸収性物品は、トップシート、バックシート、吸収性コア、任意で捕捉システム、及び/又は分配システム(1つ又はいくつかの層からなり得る)、並びに典型的にはその他の構成要素を備え、吸収性コアは通常、バックシートと捕捉システム及び/又は分配システムとの間、あるいはトップシートとバックシートとの間に、少なくとも部分的に配置される。本開示の三次元有孔液体透過性基材を含む吸収性物品について、以下の説明にて、及び図面にて、テープ付きおむつの1つ以上の構成要素の形態で更に説明することにする。しかしながら、この説明におけるいかなる内容も、特許請求の範囲を制限するものと見なされるべきではない。したがって、本開示は、任意の好適な形態の吸収性物品(例えば、おむつ、トレーニングパンツ、成人用失禁製品、生理用ナプキン)に適用される。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「不織布ウェブ」とは、摩擦、及び/又は粘着、及び/又は接着により結合された、一方向又は無作為に配向された繊維から製造されたシート、ウェブ、又はバットを意味し、紙、及び追加のニードル加工の有無を問わず、織られた、編まれた、タフト加工された、結束糸若しくはフィラメントを組み込んだステッチボンド、又は湿式粉砕によってフェルト加工された製品を含まない。繊維は、天然又は人工物由来であってもよく、ステープル若しくは連続フィラメントであっても、又はその場で形成されたものであってもよい。市販の繊維は、約0.001mm未満~約0.2mm超の範囲の直径を有することがあり、短繊維(ステープルファイバ又はチョップドファイバとして知られる)、連続単繊維(フィラメント又はモノフィラメント)、連続フィラメントの無撚束(粗麻)、及び連続フィラメントの撚り束(紡績糸)など、いくつかの異なる形態で提供されることがある。不織布ウェブは、メルトブロー法、スパンボンド法、溶媒紡糸法、電界紡糸法、カーディング法、及びエアレイイング法などの多くのプロセスによって形成され得る。不織布ウェブの坪量は、通常、グラム毎平方メートル(g/m2又はgsm)で表される。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「接合された」、「結合された」、又は「取り付けられた」とは、ある要素を直接別の要素に固着させることによって、ある要素がもう一方の要素に直接固定される構成、及びある要素を中間部材に固着させて、続いてその中間部材をもう一方の要素に固着させることによって、ある要素がもう一方の要素に間接的に固定される構成を包含する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「機械方向」又は「MD」は、基材が製造される際の基材の移動方向と実質的に平行な方向である。「横断方向」又は「CD」は、MDに及び基材によって概ね画定された平面において実質的に垂直な方向である。
【0014】
本明細書で使用するとき、用語「親水性」とは、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion」(Robert F.Gould編集、1964年に著作権取得)により、90°以下の接触角を有する材料を指す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「疎水性」とは、The American Chemical Society Publication「Contact Angle,Wettability,and Adhesion」(Robert F.Gould編集、1964年に著作権取得)により、90°以上の接触角を有する材料又は層を指す。
【0016】
吸収性物品の概説
おむつ20形態の例示的な吸収性物品を
図1~
図3に示す。
図1は、例示的なおむつ20を平らに広げた状態で示した平面図であり、おむつ20の構造をより明確に示すためにその構造の一部を切り欠いている。
図1のおむつ20の着用者に面する表面は、図を見る人に面している。本開示の三次元基材は、吸収性物品の1つ以上の構成要素として使用され得るため、このおむつ20は、例示目的でのみ示されている。
【0017】
吸収性物品20は、液体透過性トップシート24、液体不透過性バックシート25、トップシート24とバックシート25との間に少なくとも部分的に位置付けられた吸収性コア28、及びバリアレッグカフ34を備え得る。吸収性物品はまた、捕捉及び/又は分配システム(「acquisition and/or distribution system、ADS」)50を備えてもよく、この捕捉及び/又は分配システム50は、示される例では分配層54と捕捉層52とを備えており、これについては下記で更に詳細に説明する。また、吸収性物品は、吸収性物品のシャーシに、(典型的にはトップシート及び/又はバックシートを介して)接合され、おむつのシャーシに対して実質的に平坦な弾性体33を含む、弾性ガスケットカフ32を備え得る。
【0018】
これらの図はまた、タブ42を備える締着システムなどの典型的なテープ付きおむつ構成要素を示し、タブ42は、物品の後縁部に向かって取り付けられ、吸収性物品の前方でランディングゾーン44と協働する。吸収性物品はまた、例えば、後側弾性腰部機構、前側弾性腰部機構、横方向バリアカフ(複数可)、及び/又はローションアプリケーションなど、図示されていない他の典型的な要素を含んでもよい。
【0019】
吸収性物品20は、前側腰部縁部10、前側腰部縁部10と長手方向に対向する後側腰部縁部12、第1の側縁部3、及び第1の側縁部3と横方向に対向する第2の側縁部4を備える。前側腰部縁部10は、着用時にユーザーの前面に向かって配置されるように意図された物品の縁部であり、後側腰部縁部12は対向する縁部である。吸収性物品は、
図1のように吸収性物品を平らに配置して物品を上方から見た場合に、物品の前側腰部縁部10の横方向中点から後側腰部縁部12の横方向中点まで延在して、長手方向軸線80を中心に実質的に対称的な2つの半体に物品を分割する、長手方向軸線80を有し得る。吸収性物品はまた、第1の側縁部3の長手方向中点から第2の側縁部4の長手方向中点まで延在する横方向軸線90を有し得る。物品の長さLは、長手方向軸線80に沿った、前側腰部縁部10から後側腰部縁部12までの長さとして測定され得る。物品の幅Wは、横方向軸線90に沿った、第1の側縁部3から第2の側縁部4までの幅として測定され得る。本物品は、本明細書では、物品20の前縁部10から開始してLの5分の2(2/5)の距離で長手方向軸線上に配置された点として定義される股点Cを含み得る。本物品は、前側腰部領域5、後側腰部領域6、及び股部領域7を備え得る。前側腰部領域5、後側腰部領域6、及び股部領域7は、それぞれ吸収性物品の長手方向長さLの3分の1を画定する。
【0020】
吸収性コア28は、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%の吸収性材料を含む吸収性材料と、超吸収性ポリマーを封入するコアラップと、を含んでよい。コアラップは、通常、コアの上面及び下面に対して、2つの材料、基材、又は不織布材料16及び16’を備えてもよい。コアは、
図1においては、4つのチャネル26、26’、及び27、27’として図示される、1つ以上のチャネルを備え得る。チャネル26、26’、27、及び27’は任意選択的な特徴である。それどころか、コアはチャネルを全く有さずともよく、又は任意の数のチャネルを有してもよい。チャネルは、吸収性材料又は吸収性コアにエンボス加工されてもよい。
【0021】
例示的吸収性物品のこれらの及びその他の構成要素を、以下でより詳細に説明する。
【0022】
トップシート
本開示において、トップシート(着用者の皮膚に接触し、流体を受容する吸収性物品の部分)は、本明細書に記載の1つ以上の三次元有孔基材の一部分若しくは全体で形成される、並びに/又はそこに位置付けられている、及び/若しくはそこに接合されている1つ以上の三次元有孔基材を有することができ、それによって三次元有孔基材は着用者の皮膚に接触する。トップシートの他の部分(三次元基材有孔以外)も着用者の皮膚に接触し得る。典型的なトップシートについて以下に記載するが、このトップシート24又はその一部分の代わりに、本明細書に記載の三次元有孔不織布基材を使用してよいことが理解されるであろう。場合によっては、三次元有孔不織布基材は、本明細書に記載のように、典型的なトップシート24の上にストリップ又はパッチとして位置付けられてよい。別の例では、三次元有孔不織布基材は、トップシートの中央部分を形成してもよく、一方、平坦な不織材料が側部を形成してもよい。
【0023】
トップシート24は、着用者の皮膚に接触する吸収性物品の一部であり得る。当業者には周知されるように、トップシート24は、バックシート25、コア28、及び/又は任意のその他の層に接合され得る。通常は、トップシート24とバックシート25とは、いくつかの箇所(例えば、吸収性物品の周辺部又はその付近)で互いに直接接合され、また他の箇所では、トップシート24とバックシート25とを物品20の1つ以上の他の要素に直接接合することによって、これらは間接的に接合される。
【0024】
トップシート24は、着用者の皮膚に対して順応性があり、柔軟な感触であり、非刺激性であってよい。更に、トップシート24の一部分又はその全部は液体透過性であって、その厚さ方向に液体を容易に浸透させることができる。
【0025】
トップシートとして使用される三次元有孔不織布基材が、本明細書に更に議論されている。
【0026】
バックシート
バックシート25は、通常、吸収性コア28の衣類に面する表面に隣接して位置付けられ、吸収性コア中に吸収され、かつ封じ込められた流体がベッドシーツ及び下着などの物品を汚すのを防止するか又は少なくとも抑制する、吸収性物品20の一部である。バックシート25は典型的には、流体(例えば、尿)に対して不透過性、又は少なくとも実質的に不透過性である。他の好適なバックシート材料としては、蒸気を吸収性物品20から逃がす一方で、流体がバックシート25を通過するのを防ぐ、又は少なくとも抑制する通気性材料を挙げることができる。
【0027】
外側カバー23は、吸収性物品の柔らかい、衣類に面する表面を形成するため、バックシート25の少なくとも一部分又は全体を被覆し得る。外側カバー23は、1つ以上の不織布材料又は他の好適な材料から形成され得る。一例として、
図2に外側カバー23が長点で図示されている。
【0028】
吸収性コア
本明細書で使用するとき、用語「吸収性コア」とは、吸収能力の大半を有し、吸収性材料、及び吸収性材料を封入するコアラップ又はコアバッグを備える吸収性物品の構成要素を指す。用語「吸収性コア」は、捕捉及び/若しくは分配システム、又は、コアラップ若しくはコアバッグの一体部分ではないかあるいはコアラップ若しくはコアバッグ内に配置されないかのいずれかの物品の他のいかなる構成要素も含まない。吸収性コアは、上記のコアラップ、吸収性材料(例えば、超吸収性ポリマー)、及び1つ以上の接着剤を含むか、それらから本質的になるか、又はそれらからなる場合がある。
【0029】
吸収性コア28は、コアラップ内に封入された、大量の超吸収性ポリマー(本明細書では「superabsorbent polymer、SAP」と略す)を有する吸収性材料を含み得る。SAP含有量は、コアラップ内に封入された吸収性材料の70重量%~100重量%、又は少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも99重量%、若しくは100重量%を示してもよい。コアラップは、吸収性コア内のSAPの百分率を見積もる目的で、吸収性材料とは見なされない。吸収性材料は、具体的には、15重量%未満、10重量%未満、5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満の天然、セルロース系及び/若しくは合成繊維を含んでもよく、又は更には天然、セルロース系、及び/若しくは合成繊維を実質的に含まなくてもよい。また、コアは、SAPを有する又は有さないエアフェルト又はセルロース繊維も含み得る。
【0030】
「吸収性材料」とは、SAP、セルロース系繊維、及び合成繊維など、何らかの吸収特性又は液体保持特性を有する材料を意味する。通常、吸収性コアの作製に使用される糊剤は、吸収特性を全く又はほとんど有せず、吸収性材料とは見なされない。
【0031】
図4~
図5の例示的な吸収性物品20の吸収性コア28を、
図6~
図8では分離して示す。吸収性コア28は、前側部280と、後側部282と、前側部280と後側部282とを接合する2つの長手方向側部284、286とを備え得る。吸収性コア28はまた、概ね平面状の上側部、及び概ね平面状の下側部を備え得る。コアの前側部280は、吸収性物品の前側腰部縁部10に向けて配置されるように意図されるコアの側部である。コア28は、
図1に示すような上平面図で上から見ると、吸収性物品20の長手方向軸線80に実質的に対応する長手方向軸線80’を有し得る。特定の吸収性物品では、前側部にてより高い吸収性が要求され得るため、吸収性材料は、後側部282に向かうよりも前側部280に向かってより多くの量が分配されてもよい。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、又はその他の材料16、16’により形成され得るが、それらは、吸収性コア28の側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止され得る。コアラップは、吸収性材料が吸収性コアラップから実質的に全く漏れ出さないように、その前側部280、後側部282、及び2つの長手方向側部284、286に沿って、少なくとも部分的に封止されてもよい。
図7に示されるように、第1の材料、基材、又は不織布16は、第2の材料、基材、又は不織布16’を少なくとも部分的に包囲して、コアラップを形成してもよい。第1の材料16は、第2の材料の16’のうち、第1の側縁部284及び第2側縁部286に近接した一部分を包囲してもよい。
【0032】
吸収性コアは、例えば、コアラップ内でSAPが動かないようにするのを助けるため、かつ/又は、特にコアラップが2つ以上の基材から作られる場合にコアラップの一体性を確保するため、接着剤を含み得る。接着剤は、例えばH.B.Fullerから供給されるホットメルト接着剤であってもよい。コアラップは、吸収性材料をその内部に収容するために厳密に必要とされるよりも広い面積に延在してよい。
【0033】
様々なコアの設計を有し、比較的大量のSAPを含むコアが、米国特許第5,599,335号(Goldman)、欧州特許第1447066号(Busam)、国際公開第95/11652号(Tanzer)、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)、及び国際公開第2012/052172号(Van Malderen)に開示されている。
【0034】
吸収性材料は、コアラップ内に存在する連続層であってもよい。あるいは、吸収性材料は、コアラップ内に封入された吸収性材料の個別のポケット又はストライプからなってもよい。第1の事例では、吸収性材料は、例えば、吸収性材料の単一の連続層を適用することによって得られてもよい。吸収性材料の、特にSAPの連続層は、不連続的な吸収性材料の適用パターンを有する2つの吸収性層を組み合わせることによっても得ることができ、結果として得られる層は、例えば米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されるように、吸収性粒状ポリマー材料領域の全体にわたって実質的に連続的に分布している。吸収性コア28は、第1の吸収性層と第2の吸収性層とを備えてもよい。第1の吸収性層は、第1の材料16と、100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第1の層61と、を備え得る。第2の吸収性層は、第2の材料16’と、やはり100%以下のSAPであり得る吸収性材料の第2の層62と、を備え得る。吸収性コア28はまた、吸収性材料61、62の各層を、それぞれ対応する材料16又は16’に少なくとも部分的に結合する、繊維状の熱可塑性接着剤材料51を含んでよい。これは、
図7~
図8に一例として図示されており、図中、第1及び第2のSAP層は、組み合わされる前に、対応する基材上の所望される吸収性材料堆積領域と同じ幅を有する横ストライプ、即ち「ランド領域」として適用されている。ストライプは、コア80の長手方向軸線に沿ってプロファイル化された坪量を提供するために異なる量の吸収性材料(SAP)を含み得る。第1の材料16と第2の材料16’とは、コアラップを形成することができる。
【0035】
繊維状の熱可塑性接着剤材料51は、ランド領域において、吸収性材料61、62と少なくとも部分的に接触していてもよく、また、接合区域において、材料16、16’と少なくとも部分的に接触してよい。これによって、それ自体では長さ及び幅方向の寸法と比べると相対的に厚みが薄い、本質的に二次元の構造である熱可塑性接着剤材料51の繊維層に、本質的に三次元の構造が付与される。それにより、繊維状の熱可塑性接着剤材料は、吸収性材料のランド領域を被覆するキャビティを提供することができ、それによって100%以下のSAPであり得るこの吸収性材料を固定化させる。
【0036】
コアラップ
コアラップは、吸収性材料の周りに折り重ねられた単一の基材、材料、又は不織布で形成されてもよく、あるいは互いに取り付けられた2つ(又はそれ以上)の基材、材料、又は不織布を含むものとしてもよい。一般的な取り付け方法は、いわゆるCラップ及び/又はサンドイッチラップである。例えば
図2及び
図7に示すように、Cラップでは、一方の基材の長手方向縁部及び/又は横方向縁部を他方の基材に折り重ねてフラップを形成する。次に、これらのフラップは、一般的には糊剤接着によって、他方の基材の外表面に結合される。
【0037】
コアラップは、吸収性材料がコアから実質的に漏れ出さないように、吸収性コアの全ての側部に沿って少なくとも部分的に封止されてもよい。
【0038】
コアラップが2つの基材16、16’によって形成される場合、4つの封止を用いて吸収性材料60をコアラップ内に封入してもよい。例えば、第1の基材16は、コアの一方の側部(図面に示されるような上側部)に配置され、コアの反対側にある下側部を少なくとも部分的に包み込むように、コアの長手方向縁部の周りに延在してよい。第2の基材16’は、第1の基材16の包み込まれたフラップと吸収性材料60との間に存在してもよい。強力な封止をもたらすため、第1の基材16のフラップを第2の基材16’に糊剤接着してもよい。このいわゆるCラップ構造は、サンドイッチ式の封止と比較して、湿潤負荷状態での耐破裂性の改善などの利点を提供することができる。次に、コアラップの前側部及び後側部も、第1の基材及び第2の基材を互いに糊剤接着することによって封止されて、コアの周辺部全体にわたる吸収性材料の完全な封入をもたらしてもよい。コアの前側部及び後側部に関しては、第1及び第2の基材が延在してもよく、実質的に平面方向で互いに接合されて、これらの縁部にいわゆるサンドイッチ構造を形成してもよい。いわゆるサンドイッチ構造では、第1及び第2の基材はまた、コアの全側部において外側に延在してもよく、一般的には糊剤接着及び/又は熱結合/圧着結合によって、コアの周辺部の全体若しくは一部に沿って平坦に、又は実質的に平坦に封止されてもよい。一例では、第1及び第2の基材のいずれも、製造を簡便化するため矩形に切断されてもよいが、その他の形状も本開示の範囲に含まれるように、形状決めする必要はない。
【0039】
コアラップはまた、吸収性材料を風呂敷包み状に封入して、コアの前側部及び後側部、並びに一方の長手方向封止部に沿って封止され得る、単一の基材によって形成されてもよい。
【0040】
SAP堆積領域
吸収性材料堆積領域8は、吸収性コアの上面から見て分かるように、コアラップ内の吸収性材料60によって形成される層の周辺部によって画定されてよい。吸収性材料堆積領域8は、コアの中央、つまり「股部」領域に向かってその幅に沿ってテーパーを示す、様々な形状、特にいわゆる「ドッグボーン」又は「砂時計」形を有してもよい。このように、吸収性材料堆積領域8は、
図1に図示されるように、吸収性物品の股部領域内に配置されるように意図されたコアの領域で比較的狭い幅を有し得る。これにより、着用時の快適性をより高めることができる。また、吸収性材料堆積領域8は、例えば
図4~
図6に示されるように、概ね矩形であってもよいが、矩形、「T」字形、「Y」字形、「砂時計」形、又は「ドッグボーン」形のような他の堆積領域も本開示の範囲内である。吸収性材料は、比較的高速で比較的精密なSAPの堆積を可能にし得る任意の好適な技術を用いて堆積することができる。
【0041】
チャネル
吸収性材料堆積領域8は、物品80の長手方向に少なくとも部分的に向けられた(即ち、長手方向のベクトル成分を有する)少なくとも1つのチャネル26を備え得る。他のチャネルは、横方向の向きに(即ち、横方向ベクトル成分を有する)、又は他の任意の方向に少なくとも部分的に向けられてもよい。以下、「チャネル」が複数形で用いられる場合は、「少なくとも1つのチャネル」を意味する。チャネルは、物品の長手方向軸線80上で突出する、物品の長さLの少なくとも10%である長さL’を有し得る。チャネルは、様々な方法で形成されてもよい。例えば、チャネルは、吸収性材料、特にSAPを実質的に含まないか、又は全く含まなくてもよい、吸収性材料堆積領域8内のゾーンによって形成され得る。加えて又は代替的に、チャネル(複数可)は、吸収性材料堆積領域8全体でコアラップの上側部とコアラップの下側部とを連続的又は非連続的に結合することによって形成することもできる。チャネルは連続的であってもよいが、チャネルが断続的であってもよいことも想到される。捕捉-分配システム若しくは層50、又は物品の別の層が、吸収性コアのチャネルに対応しても又はしなくてもよいチャネルを更に備え得る。
【0042】
いくつかの場合では、2つの長手方向に延在するチャネル26、26’により
図1に示すように、チャネルは、吸収性物品の股点C又は横方向軸線60と少なくとも同じ長手方向の高さに存在し得る。また、チャネルは、股部領域7から延在してもよく、あるいは物品の前側腰部領域5及び/又は後側腰部領域6内に存在してもよい。
【0043】
吸収性コア28もまた、3つ以上、例えば、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、又はそれより多くのチャネルを備えてもよい。より短いチャネルが、例えばコアの後側腰部領域6又は前側腰部領域5において、物品の前側部に向かう
図1の一対のチャネル27、27’によって表されるとおりに、更に存在してもよい。チャネルは、対称に配置されるか、ないしは別の方法で長手方向軸線80に対して配置された、1つ以上のチャネルの対を備え得る。
【0044】
チャネルはその全長の少なくとも一部に沿って、例えば少なくとも2mm、少なくとも3mm、少なくとも4mm、最大で例えば20mm、16mm、又は12mmの幅Wcを有し得る。チャネルの幅は、チャネルの実質的に全長にわたって一定であってもよく、又はその長さに沿って変化してもよい。チャネルが吸収性材料の堆積領域8内の吸収性材料非存在ゾーンによって形成される場合、チャネルの幅は材料非存在ゾーンの幅であると見なし、チャネル内に存在する可能性のあるコアラップは度外視する。チャネルが吸収性材料非存在ゾーンによって形成されるのではなく、例えば主として、吸収性材料ゾーンを通じたコアラップの結合によって形成される場合、チャネルの幅はこの結合部の幅となる。
【0045】
チャネルの少なくともいくつか、又はその全てが恒久的なチャネルであってもよく、これはつまり、乾燥状態及び湿潤状態の両方でその完全性が少なくとも部分的に維持されることを意味する。恒久的なチャネルは、例えば、チャネルの壁内で基材を吸収性材料と接着する助けとなる、接着剤材料の繊維層又は構造用糊剤など、1つ以上の接着剤材料を提供することによって得られてもよい。恒久的なチャネルはまた、チャネル全体を通して、コアラップの上側部及び下側部(例えば、第1の基材16及び第2の基材16’)、並びに/又はトップシート24及びバックシート25を互いに結合することによって形成されてよい。典型的には、チャネルを通してコアラップの両側部、又はトップシートとバックシートとを結合するために接着剤が用いられ得るが、圧着結合、超音波結合、熱結合、又はこれらの組み合わせなどの他の既知のプロセスによる結合も可能である。コアラップ、又はトップシート24とバックシート25とは、チャネルに沿って連続的に結合されるか、又は断続的に結合されてよい。吸収性物品が完全に流体で満たされたとき、チャネルは有利には、少なくともトップシート及び/又はバックシートを通して目に見える状態を維持するか、又は目に見える状態となってもよい。これは、膨潤しないようにチャネルにSAPを実質的に含有させない、また湿潤時に閉じることがないようにチャネルを十分に大きくすることによって得られてもよい。更に、チャネル全体を通してコアラップをそれ自体に結合させるか、又はトップシートをバックシートに結合させることが、有利となる場合がある。
【0046】
バリアレッグカフ
吸収性物品は、一対のバリアレッグカフ34を備え得る。各バリアレッグカフは、これが吸収性物品の着用者に面する表面から上方に延在して、およそ着用者の胴体と脚部との接合部において流体及び他の身体滲出物の改善された収容を提供し得るように、物品に結合された材料の小片によって形成され得る。バリアレッグカフは、トップシート24及び/又はバックシート25と直接的あるいは間接的に接合された近位縁部64と、着用者の皮膚に接触して着用者の皮膚との封止を形成するように意図された自由端縁部66と、によって境界を定められてもよい。バリアレッグカフ34は、長手方向軸線80の両側面上で、吸収性物品の前側腰部縁部10と後側腰部縁部12との間に少なくとも部分的に延在し、かつ少なくとも股点(C)又は股部領域の高さに存在する。バリアレッグカフは、糊剤接着、溶融結合、又は他の好適な結合プロセスの組み合わせによって実施され得る結合部65によって、近位縁部64で物品のシャーシと接合され得る。近位縁部64での結合部65は、連続的又は断続的であってもよい。レッグカフの隆起区間と最も近接する結合部65は、レッグカフの立ち上がり区間の近位縁部64の境界を定める。
【0047】
バリアレッグカフは、トップシート24又はバックシート25と一体であってもよく、あるいは物品のシャーシに接合された別個の材料であってもよい。各バリアレッグカフ34は、より良好な封止を提供するため、自由端縁部66付近に1つ、2つ、又はそれ以上の弾性ストリング35を備え得る。
【0048】
バリアレッグカフ34に加えて、物品は、吸収性物品のシャーシ、特にトップシート24及び/又はバックシート25に接合され、かつバリアレッグカフに対して外方に設置された、ガスケットカフ32を備え得る。ガスケットカフ32は、着用者の大腿の周りにより効果的な封止をもたらすことができる。各ガスケットレッグカフは、吸収性物品のシャーシ内のトップシート24とバックシート25との間の脚部開口部の領域に、1つ以上の弾性ストリング又は弾性要素33を備え得る。
【0049】
捕捉-分配システム
本開示の吸収性物品は、捕捉-分配層又はシステム50(「ADS」)を備え得る。ADSの一機能は、流体のうちの1つ以上を迅速に捕捉して、これらを効率的に吸収性コアに分配することである。ADSは、1つ、2つ、又は3つ以上の層を備えてもよく、これらの層は一体の層を形成してもよく、あるいは、互いに取り付けられ得る個別の層として留まっていてもよい。一実施例では、ADSは、2つの層、つまり吸収性コアとトップシートとの間に配置される分配層54及び捕捉層52を備え得るが、本開示はこのようには限定されない。
【0050】
一実施例では、ADSが提供されなくてもよく、あるいは分配層のみ、又は捕捉層のみなど、ADSの一方のみの層が提供されてもよい。本開示の三次元液体透過性有孔基材のうちの1つがトップシートの一部分又は全部として用いられる、あるいはトップシート上に位置決めされる場合は、ADSの一方の層のみが存在する、又は層が全く存在しない場合、液体透過性基材の乾燥性能が改善され得る。これは、流体が、液体透過性基材から直接吸収性コア28及び/又は1層のADSへと容易に吸い上がることができるという事実によるものである。
【0051】
分配層
ADSの分配層は、少なくとも50重量%の架橋セルロース繊維を含み得る。架橋セルロース繊維は、捲縮、加撚、若しくはカールされてもよく、又は捲縮、加撚、及びカールを含むこれらの組み合わせであってもよい。このタイプの材料が、米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号(Hundorf)に開示されている。
【0052】
捕捉層
ADS50は、捕捉層52を備え得る。捕捉層は、分配層54とトップシート24との間に配置され得る。捕捉層52は、スパンボンド層、メルトブロー層、及び更なるスパンボンド層、あるいはその代わりにカーディング加工された短繊維の化学結合不織布を含む、親水性SMS又はSMMS材料などの不織布材料であってもよく、又はそれを備えてもよい。不織布材料は、ラテックス結合されてもよい。
【0053】
締結システム
吸収性物品は、締着システムを含んでもよい。締結システムは、テープ付きおむつでは典型的であるように、吸収性物品の外周の周りに横方向の張力を与えて、吸収性物品を着用者に対して保持するために使用され得る。トレーニングパンツ物品の腰部領域は既に結合されているので、この締結システムはこれらの物品の場合は必須ではない場合もある。締結システムは、例えば、テープタブ、フックとループの締結要素、タブ及びスロットのような係合締結具、バックル、ボタン、スナップ、及び/又は雌雄同体締結要素などの締結具を含んでよいが、他の任意の好適な締結機構も、本開示の範囲内である。通常、ランディングゾーン44は、締結具を着脱自在に取り付けられるように、前側腰部領域5の衣類に面する表面上に提供される。ランディングゾーン44は、前側腰部領域5における外側カバー不織布材料の単に一部であってもよく、又は外側カバー不織布材料に取り付けられた別個の構成要素であってもよい。
【0054】
前耳部及び後耳部
吸収性物品は、前耳部46と後耳部40とを備え得る。耳部は、トップシート24及び/又はバックシート26からサイドパネルとして形成されるような、シャーシと一体になった部分であり得る。あるいは、
図1に示すように、耳部は、糊剤接着、熱エンボス加工、及び/又は圧着結合により取り付けられる別個の要素であってもよい。タブ42をランディングゾーン44に容易に取り付け、テープ付きおむつを着用者の腰部周りの定位置に保つために、後耳部40は伸縮可能であり得る。後側耳部40はまた、弾性のある耳部によって吸収性物品の側部が伸縮し得るため、最初に吸収性物品を着用者に対して適合するようにフィットさせ、続いて吸収性物品が流体で充填されてからかなりの時間が経過した後も着用期間全体を通してこのフィットを維持することによって、より快適で、体に巻き付くようなフィット感を付与するように、弾性又は伸張性であってもよい。
【0055】
各層間の関係
典型的には、隣接する層及び構成要素は、層表面全体若しくはその一部へのスロットコーティング若しくは吹き付けによる接着剤コーティング、熱結合、圧着結合、又はそれらの組み合わせなど、従来の結合方法を用いて互いに接合され得る。この結合は、明確にかつ読みやすくするために、図には示されていないが(トップシート24とのレッグカフ65の隆起要素間の結合を除く)、物品の層同士の結合は、別段に除外されない限り、存在すると見なされるべきである。バックシート25とコアラップとの間で異なる層の接着性を改善するために、接着剤を用い得る。糊剤は、当該技術分野で既知の、任意の好適なホットメルト糊剤であってよい。
【0056】
生理用ナプキン
本開示の三次元不織布有孔基材は、トップシートの一部分を形成してよい、トップシートを形成してよい、二次トップシートの一部分若しくは全体を形成してよい、又は生理用ナプキンのトップシートの少なくとも一部分に位置付けられてよい、若しくはそこに接合されてよい。
図9を参照すると、吸収性物品は、生理用ナプキン300を含んでよい。生理用ナプキン300は、液体透過性トップシート314と、液体不透過性、又は実質的に液体不透過性のバックシート316と、吸収性コア308と、を含んでよい。吸収性コア308は、吸収性コア28に関して本明細書に記載する特徴部のいずれか又は全てを有し得、いくつかの形態では、先に開示した捕捉分配システムの代わりに二次トップシートを有し得る。また、生理用ナプキン300は、生理用ナプキン300の長手方向軸線380に対して外向きに延在する羽根320を含んでよい。生理用ナプキン300はまた、横方向軸線390を含んでよい。羽根320は、トップシート314、バックシート316、及び/又は吸収性コア308に接合されていてよい。生理用ナプキン300はまた、前縁部322と、前縁部322と長手方向に対向する後縁部324と、第1の側縁部326と、第1の側縁部326と長手方向に対向する第2の側縁部328と、を含んでよい。長手方向軸線380は、前縁部322の中点から後縁部324の中点まで延在し得る。横方向軸線390は、第1の側縁部326の中点から第2の側縁部328の中点まで延在し得る。生理用ナプキン300はまた、例えば、二次トップシート319など、当該技術分野において概ね既知のとおり、生理用ナプキンに一般的に見出される追加の特徴部を備えてよい。
【0057】
三次元有孔基材
本開示の三次元有孔液体透過性基材(例えば、トップシート)は、第1のz方向高さを有する第1の要素(例えば、突起部)と、第2のz方向高さを有する、少なくとも第2の要素(例えば、ランド領域)と、を含み得る。基材はまた、複数の孔を有してよい。基材はまた、少なくとも第3のz方向高さを有する少なくとも第3の要素を有してよい。かかる構造により、流体は着用者の皮膚から離れて速やかに移動し得、着用者の皮膚と接触している、第1のz方向高さを有する第1の要素から主として離れ、それによって、着用者により乾燥したように感じさせる。流体は、重力によって、又は毛細管勾配によって第2の要素及び/又は少なくとも第3の要素に流入し、孔を通って流れてよく、それにより流体は、吸収性物品に吸収され得る。本開示の三次元有孔基材を提供することにより、流体/皮膚接触と、流体が着用者の皮膚と接触している時間を低減させることができる。更に第1のz方向高さを有する第1の要素は、流体が吸収性物品に吸収されている間、流体と着用者の皮膚との間のスペーサーとして作用してよい。基材は、本明細書に更に記載されるように、孔に近接して位置付けられた親水性材料を有する2つの疎水性不織布層を含むことができる。他の例では、基材は、単一の疎水性不織布層又は3つの疎水性不織布層を含んでもよい。
【0058】
図10~
図13を参照すると、三次元有孔液体透過性基材400は、吸収性物品402のトップシートとして例示されている。
図10は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品402の上面図である。
図11は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品402の斜視図である。
図12は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品上の液体透過性有孔基材400の一部分の上面図である。
図13は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、吸収性物品402上の三次元有孔基材400の一部分の別の上面図である。
【0059】
一形態では、三次元有孔基材400、又は本明細書に記載の他の三次元有孔基材は、吸収性物品402のトップシートに位置付けられた、及び/又はこれらに接合されたパッチ又はストリップを含んでよい。パッチ又はストリップは、トップシートに結合されてよい、トップシートに接着剤で取り付けられてよい、トップシートに冷間圧接されてよい、トップシートに超音波結合されてよい、及び/又は他の方法でトップシートに接合されてよい。あるいは、本開示の三次元有孔基材は、トップシート(例えば、トップシート24)を含んでよいか、トップシート全体を形成してよいか、又はトップシートの一部分を形成してもよい。また、トップシート24は、本開示の三次元有孔基材のうちの1つ以上のみで構成されてよい。各種構成のいずれにおいても、本開示の三次元有孔基材は、吸収性物品の着用者に面する表面の少なくとも一部分を形成し、着用者の皮膚と少なくとも部分的に接触することを意図する。
【0060】
図14~
図16を参照すると、トップシート24に接合されたパッチ又はストリップ形態である三次元有孔基材400、又は本明細書に記載の他の三次元有孔基材は、機械横断方向幅W1を有してよく、一方トップシート24は、機械横断方向幅W2を有してよい。W1は、幅W2よりも小さくてよい、幅W2と同一でよい、幅W2と実質的に同一でよい、又は幅W2よりも大きくてよい(図示なし)。幅W1はまた、液体透過性基材の長手方向長さを通じて変動しても、一定であってもよい。更に
図14~
図16を参照すると、パッチ又はストリップ形態である三次元有孔基材400、又は本明細書に記載の他の三次元有孔基材は、機械方向長さL1を有してよく、一方トップシート24は、機械方向長さL2を有してよい。L1は、長さL2よりも小さくてよい、長さL2と同一でよい、長さL2と実質的に同一でよい、又は長さL2よりも大きくてよい(図示なし)。長さL1は、液体透過性基材の幅W1にわたって変動しても、一定であってもよい。
図14~
図16に図示されていないが、トップシート24及び三次元有孔基材の長さ及び幅は同一でよい、又は実質的に同一でよい。
【0061】
図14~
図16において、三次元有孔基材400のパッチ又はストリップは矩形として図示されているが、本開示の三次元有孔基材はまた、前側/後側輪郭形状(即ち、前側がより広い、後側がより広い、及び/又は股部がより狭い)、正方形、卵形、又は他の好適な形状など任意の他の好適な形状を有してよい。三次元有孔基材400の側縁部404及び/又は端縁部406は、それらから切り取られた1つ以上の弓形部分、デザイン、及び/又は形状を有して、液体透過性有孔基材400に審美的に魅力がある外観をもたらしてよい。一方の側縁部404は、トップシート24の長手方向軸線408に対して、他方の側縁部404と対称又は非対称であってもよい。同様に、一方の端縁部406は、トップシート24の横方向軸線410に対して、他方の側縁部406と対称又は非対称であってよい。
【0062】
三次元有孔基材400は、不織布材料の1つ以上の層を含むことができる。2つ以上の層が設けられる場合、層は、機械的結合、接着剤結合、圧力結合、熱結合、両層に加熱気体を通過させること、又は接合して多層基材400を形成する他の方法により、一緒に接合されるか、互いに取り付けられてよい。あるいは、層は、第1のタイプ及び第2のタイプのステープル繊維のための第1及び第2のカーディング操作など以降の繊維レイダウン工程、又は添加物を含む高分子フィラメントの、2つの連続するスパンレイのビームにて形成されてもよい。1つ以上の層は、孔に近接する1つ以上の親水性材料を有して疎水性であってもよい。
【0063】
三次元有孔基材の第1の層は、複数の第1の繊維及び/又はフィラメント(本明細書で以後、共に繊維と称する)を含んでよい。複数の第1の繊維は、同一の、又は実質的に同一の、又は異なるサイズ、形状、組成、デニール、繊維径、繊維長さ、及び/又は重量の繊維を含んでよい。三次元有孔基材の第2の層は、複数の第2の繊維を含んでもよい。複数の第2の繊維は、同一の、又は実質的に同一の、又は異なるサイズ、形状、組成、デニール、繊維径、繊維長さ、及び/又は重量の繊維を含んでよい。複数の第1の繊維は、複数の第2の繊維と同一、実質的に同一、又は異なっていてよい。追加の層は、同一又は異なる構成を有してよい。単一の材料が三次元有孔基材として設けられる場合には、単一層は、1つ以上のタイプの繊維を有してもよい。2つ以上のタイプの繊維を設ける場合、繊維は、寸法、形状、組成、デニール、繊維径、繊維長さ及び/又は重量が異なってもよい。
【0064】
第1の層及び/若しくは第2の層、又は単一の不織布基材は、シース及びコアを有する2成分繊維を含んでよい。シースはポリエチレンを含んでよく、コアはポリエチレンテレフタレート(PET)を含んでよい。シース及びコアはまた、当業者に既知の任意の他の好適な材料を含み得る。シース及びコアは、それぞれ繊維の約50重量%の繊維を含み得るが、その他の変更例(例えば、シース60%、コア40%;シース30%、コア70%など)もまた本開示の範囲内である。第1の層及び/若しくは第2の層を構成している2成分繊維又は他の繊維、又は単一不織布基材は、約0.5~約6、約0.75~約4、約1.0~約4、約1.2~約4、約1.5~約3.5、約1.5~約2.5の範囲、約2、約3、又は約4のデニールを有してよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1デニールの増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を含む。デニールは、9000メートルの繊維長さ当たりの質量(グラム単位)として定義される。他の例では、第1の層の繊維のデニールは、約1デニール~約4デニール、約1.2デニール~約4デニール、約1.5デニール~約6デニール、又は約2デニール~約4デニールの範囲であってよく、第2の層の繊維のデニールは、約1デニール~約4デニール、約1デニール~約3.5デニール、又は約1デニール~約3デニールの範囲であってよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1デニールの増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。特定の場合では、第1の層の繊維は、特定の吸収性物品中で使用されている特定の捕捉及び/又は分配システムに少なくとも部分的に応じて、第2の層の繊維のデニールよりも少なくとも0.5デニール、少なくとも1デニール、少なくとも1.5デニール、又は少なくとも2デニール大きくてよい。他の例では、第1及び第2の層における繊維のデニールは、同じであっても、又は実質的に同様であってもよい。第2の層の繊維のデニールよりも大きいデニールを有する第1の層の繊維を提供することにより、液体透過性有孔基材中に細孔勾配が設けられる。この細孔勾配は、より良好な乾燥状態、及び/又は液体透過性有孔基材中の捕捉をもたらし得る。第1の層中のより大きいデニールを有する繊維は、第2の層中のより小さいデニールを有する繊維よりも大きい細孔を提供し、それにより層の間に細孔勾配をもたらす。
【0065】
場合によっては、第1の層の繊維は、第2の層における繊維のデニールよりも低いデニールを有してもよい。例えば、第1の層の繊維は、約2~約3のデニールを有してもよく、第2の層の繊維は、約3~約4のデニールを有してもよい。両方の層が疎水性である状態で、第1の層に関してより小さな繊維(より小さいデニール)を使用することは、ソフトグライドタッチの柔軟性を提供することができ、より厚い繊維(より大きなデニール)は、クッション性柔軟性のために第2の層で使用されてもよい。
【0066】
複数の第1の繊維及び第2の繊維(単一の不織布基材中の繊維を含む)はまた、例えば、ポリ乳酸、熱可塑性澱粉含有持続性樹脂、他の持続性樹脂、バイオ-PE、バイオ-PP、及びバイオ-PET、ビスコース繊維、レーヨン繊維、又は他の好適な不織布繊維などの、PET以外の、ポリプロピレン繊維、他のポリオレフィン、他のポリエステルなどの任意の他の好適なタイプの繊維を含んでよい。これらの繊維は、任意の好適なデニール若しくはデニール範囲、及び/又は繊維長さ若しくは繊維長さ範囲を有してよい。複数の第1の繊維及び第2の繊維(単一の不織布基材中の繊維を含む)は、自然な疎水性の状態で残存していてもよいし、より疎水性になるように更に処理されていてもよい。
【0067】
第1の層は、約10gsm~約25gsmの範囲の坪量を有してよい。第2の層は、約10gsm~約45gsmの範囲の坪量を有してよい。基材(第1の層及び第2の層の両方、又は単一層変更例)の坪量は、例えば、約20gsm~約70gsm、約20gsm~約60gsm、約25gsm~約50gsm、約30gsm~約40gsmの範囲、約30gsm、約35gsm、又は約40gsmであってよい。
【0068】
一形態では、基材の坪量は、約30gsm~約40gsm又は約35gsmであってよい。一例では、第1の層は、約10gsm~約20gsmの範囲、又は約15gsmの坪量を有してよく、第2の層は、約15gsm~約25gsmの範囲、又は約20gsmの坪量を有してよい。別の例では、基材の坪量は、約20gsmであってよい。かかる例では、第1の層は約10gsmの坪量を有してよく、第2の層は約10gsmの坪量を有してよい。更に別の例では、基材の坪量は、約60gsmであってよい。かかる例では、第1の層は約24gsmの坪量を有してよく、第2の層は36gsmの坪量を有してよい。基材の第1の層及び第2の層、又は単一層基材に関する全ての他の好適な坪量範囲は、本開示の範囲内に含まれる。したがって、基材の層、又は単一層基材の坪量は、特定の製品の必要条件のために設計されてもよい。
【0069】
具体的には、上記に特定した坪量の範囲内の全ての0.1gsm刻み、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を本明細書に列挙する。本開示の全ての坪量数は、本明細書の秤量試験に応じて測定される。
【0070】
場合によっては、第2の層と比較して第1の層がより大きい坪量を有することが望ましいことがある。例えば、第1の層の坪量は、第2の層の坪量の少なくとも約1~約4倍、少なくとも約1~約3.5倍、約1.5~約3倍、約1.5倍間~約3倍、約2倍、約2.5倍、又は約3倍であってよい。場合によっては、例えば、第1の層の坪量は約20gsm~約30gsmの範囲であってよく、第2の層の坪量は約10gsm~約20gsmの範囲であってよい。具体的には、上記に特定した坪量の範囲内の全ての0.1gsm刻み、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を本明細書に列挙する。
【0071】
場合によっては、第1の層と比較して第2の層がより大きい坪量を有することが望ましいことがある。例えば、第2の層の坪量は、第1の層の坪量の少なくとも約1~約4倍、少なくとも約1~約3.5倍、約1.5~約3倍、約1.5倍間~約3倍、約2倍、約2.5倍、又は約3倍であってよい。場合によっては、例えば、第2の層の坪量は約20gsm~約30gsmの範囲であってよく、第1の層の坪量は約10gsm~約20gsmの範囲であってよい。具体的には、上記に特定した坪量の範囲内の全ての0.1gsm刻み、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を本明細書に列挙する。
【0072】
更に他の例では、第1及び第2の層の坪量は、同じであっても、又は実質的に同様であってもよい。
【0073】
図17は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元有孔不織布液体透過性基材の一部分の正面図である。
図18は、
図17の三次元有孔不織布液体透過性基材の一部分の正面斜視図である。
図19は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元有孔不織布液体透過性基材の一部分の別の正面図である。
図20は、
図19の基材の一部分の正面斜視図である。
図21は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元有孔不織布液体透過性基材の一部分の背面図である。
図22は、
図21の基材の一部分の背面斜視図である。
図23は、着用者に面する表面が図を見る人に面している、三次元有孔不織布液体透過性基材の一部分の別の背面図である。
図24は、
図23の基材の一部分の背面斜視図である。
図25は、本開示の三次元有孔不織布液体透過性基材の断面図である。
【0074】
概して
図17~
図25を参照すると、液体透過性基材400は、第1の層及び第2の層、単一の層、又は3つ以上の層を含んでよい。基材400は、複数のランド領域412、複数の陥没部414、及び複数の突起部416を含んでよい。上述したように、複数の突起部416は、第1のz方向高さを有する第1の要素を形成してよく、ランド領域412は、第2のz方向高さを有する第2の要素を形成してよい。複数のランド領域412、複数の陥没部414、及び複数の突起部416は、共に、基材400の第1の側418に第1の三次元表面を形成してよい。複数のランド領域412、複数の陥没部414、及び複数の突起部416はまた、基材400の第2の側420に第2の三次元表面を形成してよい。突起部416は、液体透過性基材400の着用者に面する表面で概ねドーム形状であってよく、液体透過性基材400の着用者に面する表面で中空アーチ形状であってよい。陥没部414の全て若しくは大部分(即ち、50%超、又は75%超)、又はその実質的に全ては、隣接する突起部416の頂部ピーク425から最も遠位の位置において孔422を画定してよい。孔422の大部分、又はその全ての外周部423は、基材400の最下部又は平面を形成してよく、一方、突起部416の大部分、又はその全ての頂部ピーク425(即ち、最上部)は、基材400の最上部又は平面を形成してよい。孔422は、基材400の第1の層及び第2の層を通って延在してよい。
【0075】
ランド領域412は、(1)隣接する突起部416と、(2)隣接する陥没部414及び/又は隣接する孔422との間に位置付けられてよい。ランド領域412はまた、陥没部414及び/又は孔の大部分若しくは全ての少なくとも一部、又は全てと、突起部416の少なくとも大部分、若しくは全てを包囲してよい。ランド領域412は、孔422の少なくとも大部分の外周部の平面と、突起部416の頂部ピーク425の少なくとも大部分の平面との間に位置付けられてよい。
【0076】
突起部416は、陥没部414及び/又は孔422と、液体透過性基材400の横方向軸線424と概ね平行な方向に交互に配置されてよい。横方向軸線424は、
図14~
図16に図示された横方向軸線410と概ね平行である。突起部416はまた、陥没部414及び/又は孔422と、液体透過性基材400の長手方向軸線426と概ね平行な方向に交互に配置されてよい。長手方向軸線426は、
図14~
図16に図示された長手方向軸線408と概ね平行である。かかる構成では、横方向軸線424と概ね平行な方向に、又は長手方向軸線426と概ね平行な方向に、突起部416、並びに陥没部414及び/又は孔422は交互になっている(即ち、突起部、陥没部及び/又は孔、突起部、陥没部及び/又は孔)。この特徴は、隣接する陥没部414及び/又は孔422の大部分、又はその全ての間に柔らかな突起ピーク425があるという点で、基材400に対してより良好な柔らかさを提供する。この特徴はまた、突起部416が皮膚と流体との間にスペーサーを本質的に形成するために、着用者の皮膚をランド領域412及び/又は陥没部414内の流体から離れる方向に維持することに役立つ。
【0077】
2つ以上の隣接する突起部416は、横方向軸線424に概ね平行な方向に、又は長手方向軸線426に概ね平行な方向に、陥没部414及び/又は孔422並びに1つ以上のランド領域412によって互いに分離されてよい。2つ以上の隣接する陥没部414及び/又は孔422は、横方向軸線424に概ね平行な方向に、又は長手方向軸線426に概ね平行な方向に、突起部416及び1つ以上のランド領域412によって分離されてよい。ランド領域412は、孔422及び突起部416を完全に取り囲んでよい。ランド領域412は、基材400を通って概ね連続的な格子を形成してよく、一方、突起部416及び陥没部414及び/又は孔422は、基材にわたって別個の要素であってよい。
【0078】
場合によっては、2つ以上の、例えば4つの突起部416が、陥没部414及び/又は孔422の少なくとも大部分、実質的にその全て、又はその全ての周囲に位置付けられてよい(これは、突起部416と陥没部414及び/又は孔422との間のランド領域412を含まない)。2つ以上の、例えば4つの陥没部414及び/又は孔422が、突起部416の少なくとも大部分、実質的にその全て、又はその全ての周囲に位置付けられてよい(これは、陥没部414及び/又は孔422と突起部416との間のランド領域412を含まない)。突起部416、陥没部414、孔422、及びランド領域412は全て、基材の第1及び第2の層の一部分から(又は単一層のみが設けられている場合、単一層で)形成されてよい。2つを超える層が基材に設けられる場合、突起部416、陥没部414、孔422、及びランド領域412は全て、基材の第1、第2、及び第3の層の一部分から形成されてよい。特定の基材に3つを超える層が設けられている場合も同様であり得る。別の場合では、ランド領域412は、第1の層のみに形成されてよい。
【0079】
孔422及び/又は陥没部414は、基材400に第1の線を共に形成する、第1の組の孔及び/又は陥没部414と、基材400に第2の線を共に形成する、第2の組の孔422及び/又は陥没部414と、を含んでよい。第1の線は、第2の線と概ね平行であるか、又はこれに対して概ね垂直であってもよい。第1の線はまた、第2の線と鋭角又は鈍角を形成してもよい。突起部416は、基材400に第1の線を共に形成する、第1の組の突起部416と、基材400に第2の線を共に形成する、第2の組の突起部416と、を含んでよい。第1の線は、第2の線と概ね平行であるか、又はこれに対して概ね垂直であってもよい。第1の線はまた、第2の線と鋭角又は鈍角を形成してもよい。
【0080】
基材400は、横方向軸線424に関して概ね対称であってよく、及び/又は長手方向軸線426に関して概ね対称であってよい。他の場合では、基材は、横方向軸線424及び/又は長手方向軸線426に関して対称でなくてよい。
【0081】
一形態では、基材400は、横方向軸線424に平行な方向に延在する、交互の孔422及び突起部416を含む第1の線と、横方向軸線424に概ね平行な方向に延在する、交互の孔422及び突起部416を含む第2の隣接する線とを含んでもよい。これらの線は、孔422及び突起部416の中心を通ることになる。例として、
図17の線A及びBを参照されたい。線Cが、長手方向軸線426と概ね平行であり、かつ線A及びBと交差する方向に引かれると、孔422は線AとCの交点に位置することになり、突起部416は線BとCの交点に位置することになる。
図19に図示されるように、線A及びBが長手方向軸線426に平行な方向に引かれ、線Cが横方向軸線424に概ね平行な方向に引かれた場合も同じである。線が異なる位置で引かれる場合、線A及びCの交点が突起部416を有してよく、また線B及びCの交点が孔422を有してよい。主な点は、孔の列及び突起部の列が互い違いになっていることである。この様式で孔及び突起部を互い違いにすることにより、柔らかい突起部又は突起部頂部が2つの孔の間にあるために、基材400の着用者に面する表面においてより良好な柔らかさが得られる。
【0082】
三次元基材のパラメータ
突起部416の全て又は大部分は、約300μm~約6000μm、約400μm~約5000μm、約400μm~約4000μm、約300μm~約3000μm、約500μm~約3000μm、約500μm~約2000μm、約750μm~約1500μm、約800μm~約1400μm、約900μm~約1300μm、約1000μm~約1300μm、約1100μm~約1200μmの範囲、約1165、約1166、約1167、又は約1150μm~約1200μmの範囲のz方向高さを有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての1μm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。突起部416のz方向高さは、本明細書に記載の突出部高さ試験に従って測定される。
【0083】
陥没部414の全て又は大部分は、約200μm~約3000μm、約300μm~約2000μm、約100μm~約2000μm、約400μm~約2000μm、約500μm~約1500μm、約700μm~約1300μm、約800μm~約1200μm、約900μm~約1100μm、約900μm~約1000μm、約970μm、又は約950μm~約1000μmの範囲のz方向高さを有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての1μm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。陥没部416のz方向高さは、本明細書に記載の陥没部高さ試験に従って測定される。
【0084】
基材400、又はその一部分は、約500μm~約6000μm、約800μm~約6000μm、約750μm~約4000μm、約1000μm~約6000μm、約1500μm~約6000μm、約1000μm~約3000μm、約1500μm~約2500μm、約1750μm~約2300μm、約1900μm~約2300μm、約2000μm~約2300μm、約2100μm~約2250μm、約2136μm、又は約2135μmの範囲の全z方向高さを有してもよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての1μm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。基材400又はその一部分の全z方向高さは、本明細書に記載の全基材高さ試験に従って測定される。
【0085】
孔422の大部分又はその全ては、約0.4mm2~約10mm2、約0.5mm2~約8mm2、約0.5mm2~約3mm2、約0.5mm2~約4mm2、約0.5mm2~約5mm2、約0.7mm2~約6mm2、約0.7mm2~約3mm2、約1mm2~約4mm2、約1mm2~約5mm2、約0.8mm2~約3mm2、約0.9mm2~約1.4mm2の範囲、約1mm2、約1.1mm2、約1.2mm2、約1.23mm2、約1.3mm2、又は約1.4mm2の有効孔面積を有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm2増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。孔の有効孔面積は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0086】
孔422の大部分又は全ては、約0.5mm~約4mm、約0.8mm~約3mm、約1mm~約2mm、約1.2mm~約1.8mm、約1.4mm~約1.6mmの範囲、約1.49、又は約1.5mmのフェレ径(孔の長さ)を有してもよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。孔のフェレ径は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0087】
孔422の大部分又は全ては、約0.5mm~約4mm、約0.7mm~約3mm、約0.8mm~約2mm、約0.9mm~約1.3mm、約1mm~約1.2mmの範囲、約1mm、約1.1mm、約1.11mm、約1.2mm、又は約1.3mmの最小フェレ径(孔の幅)を有してもよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。孔の最小フェレ径は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0088】
孔422の大部分又は全ては、約0.3~約2.5、約0.5~約2、約0.8~約1.6、約1~約1.5、約1.1~約1.5の範囲、約1.2、約1.3、約1.35、約1.4、又は約1.5の最小フェレ径に対するフェレ径比を有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。フェレ径比は、孔のフェレ径を孔の最小フェレ径で除算することにより計算される。
【0089】
突起部を横切って測定される、隣接する孔の大部分又は全ての、横方向軸線中心-中心の平均孔間隔は、約2mm~約20mm、約2mm~約15mm、約3mm~約12mm、約3mm~約10mm、約3mm~約8mm、約3mm~約7mmの範囲、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約4mm~約6mm、約5mm~約6mmの範囲、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、又は約5.9mmであり、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。隣接する孔の横方向軸線中心-中心の平均間隔は、本明細書に記載の平均孔間隔試験(横方向軸線孔間隔)に従って測定される。
【0090】
突起部を横切って測定される、隣接する孔の大部分又は全ての、長手方向軸線中心-中心の平均孔間隔は、約2mm~約20mm、約2mm~約15mm、約3mm~約12mm、約3mm~約10mm、約3mm~約8mm、約3mm~約7mmの範囲、約4mm、約5mm、約6mm、約7mm、約4mm~約6mm、約5mm~約6mmの範囲、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、又は約5.9mmであり、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。隣接する孔の長手方向軸線中心-中心の平均間隔は、本明細書に記載の平均孔間隔試験(長手方向軸線孔間隔)に従って測定される。
【0091】
突起部416の大部分又は全ては、吸収性物品の横方向軸線に平行な方向で取って、約1mm~約15mm、約1mm~約10mm、約1mm~約8mm、約1mm~約6mm、約1.5mm~約6mm、約2mm~約5mmの範囲内の最大断面直径を有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。
【0092】
突起部416の大部分又は全ては、吸収性物品の長手方向軸線に平行な方向で取って、約1mm~約15mm、約1mm~約10mm、約1mm~約8mm、約1mm~約6mm、約1.5mm~約6mm、約2mm~約5mmの範囲の最大断面直径を有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。
【0093】
本開示の基材は、約1%~約50%、約1%~約40%、約3%~約35%、約5%~約25%、約5%~約20%、約6%~約18%、約5%~約15%、約9%~約13%の範囲、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、又は約14%の有効孔面積%を有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1%増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。基材の有効孔面積%は、本明細書に記載される孔試験に従って測定される。
【0094】
本開示の基材は、約1mm~約50mm、約1mm~約30mm、約2mm~約20mm、約2mm~約15mm、約2mm~約10mm、約3mm~約8mmの範囲、約4mm、約5mm、約5.42mm、約6mm、又は約7mmの外周部を有する孔を有してよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。孔の外周部は、本明細書に記載の孔試験に従って測定される。
【0095】
比率
有効孔面積%に対する突起部の高さ(μm)の比率は、約70~約160、約80~約150、約100~約145、約95~約150、約100~約140、約110~約130、約115~約130、約118~約125の範囲、約120、約121、約122、約122.74、約123、又は約124であってよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。
【0096】
有効孔面積%に対する全基材高さ(μm)の比は、約125~約350、約150~約300、約175~約275、約200~約250、約215~約235、約220~約230の範囲内、又は約225であってよく、具体的には、上記に特定した範囲内の全ての0.1増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。
【0097】
本開示の基材は、1つ以上の色、染料、インク、目印(indicias)、パターン、エンボス、及び/又は図形を含んでもよい。色、染料、インク、目印、パターン、及び/又は図形は、基材の審美的外観を補助し得る。
【0098】
本開示の基材は、ふきん、ワイプ(湿潤又は乾燥)、吸収性物品、化粧落とし基材、ペーパータオル、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、医療用ガウン、外科用基材、ラップ、濾過基材、又は任意の他の好適な製品などの任意の好適な製品の一部分又は全体として使用されてよい。
【0099】
三次元有孔基材又は三次元有孔基材を含む吸収性物品の作製方法
本開示の三次元有孔不織布基材、及び三次元有孔不織布基材を含む吸収性物品は、手で作製されてもよく、又は高速で工業的に製造されてよい。
【0100】
図26は、本開示の基材の形成プロセスの一例の概略図である。
図27は、第1及び第2のロールの一部分の噛み合い係合の図である。
図28は、第1のロールの一部分の図である。
図29は、第2のロールの一部分の図である。
【0101】
図26~
図29を参照すると、本開示の基材は、1つ以上の層基材399(非三次元)を、2つの噛み合いロール504及び506によって形成されるニップ502に通過させ、三次元基材400を形成することによって形成することができる。ロール504及び506は、加熱されてよい。第1のロール504は、(第2のロールと組み合わされて)基材400に孔422及び陥没部414を形成してよく、第2のロール506は、(第1のロールと組み合わされて)基材400に突起部416を形成してよい。第1のロール504は、第1のロール504から径方向外側に延出する複数の円錐形状の突出部508を含んでよい。第1のロール504はまた、第1のロール504の径方向外側表面に形成された複数の陥没部510を含んでよい。第2のロール506は、第2のロール506から径方向外側に延出する複数のドーム形状の突出部512を含んでよい。第2のロール506はまた、第2のロール506の径方向外側表面に形成された複数の陥没部514を含んでよい。第1のロール504上の突出部508は、第2のロール506上の突出部512とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してよい。第1のロール504に形成された陥没部510は、第2のロール506に形成された陥没部514とは異なるサイズ、形状、高さ、面積、幅、及び/又は寸法を有してよい。第1のロール504の陥没部510は、ドーム形状の突出部512を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それにより基材400に突起部414を形成する。陥没部510は、突起部414及び突起部ピーク425を形成している基材の部分が圧縮されないように、又は十分に圧縮されないように、十分深くてよい。具体的には、ドーム形状の突出部512が陥没部510に係合する際、径方向の表面間に十分な深さの空間が残留するため、突起部414での基材の厚さは、陥没部510の厚さよりも大きい。この特徴により、突起部414を形成している基材の部分を圧縮するのと比較して、より柔らかい感触及びより大きい高さを有する突起部414が提供される。第2のロール506の陥没部514は、円錐形状の突出部508を少なくとも部分的に受容するように構成され得、それにより基材400に陥没部414及び孔422を形成する。
【0102】
パッケージ
本開示の吸収性物品はパッケージに入れられてもよい。パッケージは、高分子フィルム及び/又は他の材料を含んでよい。吸収性物品の特性に関する図形及び/又は目印は、パッケージの外側部分に形成され、印刷され、位置付けられ、及び/又は配置されてよい。それぞれのパッケージは、複数の吸収性物品を含んでよい。吸収性物品は、1パッケージ当たり妥当な量の吸収性物品を依然として提供しながら、パッケージのサイズを低減するように圧縮下で包装されてもよい。吸収性物品を圧縮下で包装することによって、介護者は、パッケージを容易に扱い、保管することができると共に、パッケージのサイズによる流通コストの削減を製造業者にもたらすことができる。
【0103】
したがって、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書に記載のバッグ内スタック高さ試験に基づいて、約110mm未満、約105mm未満、約100mm未満、約95mm未満、約90mm未満、約85mm未満、約80mm未満、約78mm未満、約76mm未満、約74mm未満、約72mm未満、又は約70mm未満のバッグ内スタック高さを有してもよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。あるいは、本開示の吸収性物品のパッケージは、本明細書に記載のバッグ内スタック高さ試験基づいて、約70mm~約110mm、約70mm~約105mm、約70mm~約100mm、約70mm~約95mm、約70mm~約90mm、約70mm~約85mm、約72mm~約80mm、又は約74mm~約78mmのバッグ内スタック高さを有してもよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1mm増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。
【0104】
図30は、複数の吸収性物品1004を含む例示的なパッケージ1000を示している。パッケージ1000は、複数の吸収性物品1004が置かれる内部空間1002を画定している。複数の吸収性物品1004は、1つ以上のスタック1006として配置されている。
【0105】
上述のように、これらの三次元有孔不織布基材400(例えば、トップシートとして使用される)は、疎水性不織布材料などの疎水性材料であってもよいが、親水性材料が、孔422の外周部423の周りのみに、及び/又は孔422の周辺に近接する領域のみに、例えば、孔422の外周部の約1mmの範囲内又は陥没部414の一部まで延びて設けられてもよい。孔422の周辺に近接する領域内の親水性材料は、陥没部414内にあってもよい。親水性材料はまた、孔の壁(周辺部の厚さ)内に存在してもよい。孔に近接する親水性材料と共に三次元有孔疎水性基材を設けることによって、疎水性基材とは違った風に、流体を、孔を通って迅速に吸い上げることができる。孔に近接して親水性材料を付加することにより、孔は、ここでは、従来の有孔疎水性トップシートと比べて減少した寸法及び/又は面積となり、これにより、皮膚マーキング及び再湿潤を低減させ、それと同時により大きな孔を有する完全に疎水性のトップシートとほぼ同じ流出及び漏れ効果を達成することができる。情報と信ずるところによれば、本開示の親水性材料の、孔に近接する領域上への、又は孔周辺部の少なくとも周りへの付加は、流体が基材中に吸収されるのに必要なブレークスルー圧を低減させ得る。
【0106】
これにより、本開示の三次元有孔基材又はトップシートは、完全に親水性のトップシート及び完全に疎水性のトップシートの両方の問題を解決し、着用者の皮膚を乾燥した状態のまま残し、流体/皮膚接触を減らし、より小さな孔を可能にし、皮膚マーキング及び再湿潤を低減させ、流出及び漏れの問題を低減する。
【0107】
図31は、例示の目的のための、本開示の三次元有孔不織布基材の一部分の例の断面図の概略図である。
図32は、着用者に面する表面を上方に臨む、本開示の例示的な三次元有孔不織布基材の写真である。
図33は、衣類に面する表面を上方に臨む、本開示の例示的な三次元有孔不織布基材の写真である。
図31~
図33を参照すると、三次元有孔不織布基材400は、1つ以上の疎水性層を含むが、孔422に近接して適用された親水性材料を伴う。親水性材料は、陥没部414の部分上の孔422の壁に、又は孔に近接する材料に位置付けられてもよい。突起部416及びランド領域412は、典型的には、疎水性材料のいずれも含まなくともよい。その結果、流体が三次元有孔不織布基材(例えば、トップシート)に接触すると、流体は、主として、ランド領域412及び突起部416を貫通しないが、その代わりに、重力によって陥没部414に向かって駆動される。流体が一旦陥没部414に達すると、これらは、孔422に近接して、及び/又は孔422の周辺部423の周りに位置付けられた親水性材料600のために、孔422を通って迅速に吸い上げられる。親水性材料600がないと、小さな有効孔面積(例えば、流体が孔を通る移動を阻止する毛細管力を作り出す)のために、流体は陥没部414内にそのまま留まり、孔422を通って吸い上げられないであろう。例えば、「小さい」有効孔面積は、約1mm
2~約4.0mm
2、約1mm
2~約3.5mm
2、約1mm
2~約3mm
2、又は約1.2mm
2~約2.5mm
2、又は約1.5mm
2~約2.5mm
2の範囲であってもよく、具体的には、特定した範囲内の全ての0.1mm
2増分、及びその中の又はそれにより形成される全範囲を列挙する。有効孔面積は、本明細書の孔試験に従って測定される。孔が円錐形を有する場合、有効孔面積は円錐形の最小寸法で取られる。
【0108】
陥没部414が垂直壁を有する場合、又は更には陥没部の頂部における面積が、孔422と比べて小さい面積を有する場合、流体は、依然として、親水性材料600のために、孔を通って吸い上げられることが可能であろう。親水性材料は、完全に疎水性の基材と比較して異なる陥没部構成を可能にする。完全に疎水性の基材においては、この陥没部は、上下逆の円錐形状を有していなければならず、孔は非常に大きくなっていなければならない。
【0109】
更に、親水性材料600を孔に近接して設けることによって、孔壁(即ち、孔周辺部の厚さ)は、例えば、約0.3mmの厚さ、約0.6mmの厚さ、又は約1mmの厚さであってもよく、より小さな有効孔面積を有する場合であっても、流体をなおそれらを通って吸い上げることができる。これは、同じ有効孔面積を有する完全に疎水性の基材では不可能であろう。
【0110】
親水性材料のいくつかの好適な例は、約7以上、約10以上、又は約14以上の親水性/親油性バランス数(HLB)を有する界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせを含む。測定されたHLBを一般的に有さない親水性材料もまた、用いることができる。
【0111】
親水性材料のいくつかの好適な例としては、エステル、アミド、カルボン酸、アルコール、エーテル-ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ソルビタン、エトキシル化脂肪アルコール、アルキルフェノールポリエトキシレート、レシチン、グリセロールエステル及びそれらのエトキシレートを含む非イオン性界面活性剤、並びに糖ベースの界面活性剤(ポリソルベート、ポリグリコシド)が挙げられる。他の好適な非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸エステルエトキシレート、脂肪酸エーテルエトキシレート、及びエトキシル化糖誘導体(例えば、エトキシル化脂肪酸ポリエステル、エトキシル化脂肪酸ソルビタンエステルなど)等、並びに上記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。他の好適な例としては、スルホン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、脂肪酸のアルカリ金属塩、硫酸の脂肪アルコールモノエステル、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルジフェニルオキシドスルホネート、リグニンスルホネート、オレフィンスルホネート、スルホサクシネート、及び脂肪アルコールの硫酸化エトキシレートを含むアニオン性界面活性剤が挙げられる。他の好適な例としては、アミン(一級、二級、三級)、四級アンモニウム、ピリジニウム、四級アンモニウム塩-QUATS、アルキル化ピリジニウム塩、アルキル一級、二級、三級アミン、及びアルカノールアミドを含むカチオン性界面活性剤が挙げられる。他の好適な例としては、アミノ酸及び誘導体、アミンオキシド、ベタイン、並びにアルキルアミンオキシドを含む双性界面活性剤が挙げられる。他の好適な例としては、ポリアミン、カルボン酸ポリマー及びコポリマー、EO/POブロックコポリマー、エチレンオキシドポリマー及びコポリマー、並びにポリビニルピロリドンを含むポリマー界面活性剤が挙げられる。他の好適な例としては、親水性物質を有するジメチルシロキサンポリマーを含むシリコーン界面活性剤が挙げられる。更に他の好適な例としては、過カルボン酸塩及びフッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0112】
測定されたHLBを一般的に有さない親水性材料もまた、用いることができる。このような親水性材料としては、グリコール及びポリグリコールなどのジオールを挙げることができるが、これらに限定されない。好適な非イオン性界面活性剤としては、限定を意図するものではないが、C2~8のジオール及びポリグリコール等が挙げられる。一般に、ジオールは、グリコール(C2及びC3ジオール)並びにポリグリコールであってもよい。用語「ポリグリコール」とは、2つ以上のグリコール分子の脱水によって形成されたジヒドロキシエーテルを指す。有用なポリグリコールの代表的な非限定的なリストとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メトキシポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、ブチレンオキシドとエチレンオキシドのブロックコポリマー等、並びに上記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0113】
更に、好適な親水性材料は、商業的に入手可能である合成界面活性剤溶液の典型的な独自のブレンドである仕上げ処理材を含む。例としては、とりわけ、商標名Silastol(例えば、Silastol PHP 26、Silastol PHP 90、Silastol PST-N、Silastol PHP 207、Silastol PHP 28及びSilastol PHP 8)でSchill & Seilacher AGからの材料、商標名Stantex(登録商標)(例えば、Stantex S 6087-4、及びStantex PP 602)でPulcra Chemicalsからの材料が挙げられる。
【0114】
親水性材料は、2016年9月9日に出願された、米国特許出願第62/385,265号、P&G代理人整理番号14495PQに記載されている印刷方法を用いて、基材に適用することができる。親水性材料はまた、
図34に示すプロセスにより適用されてもよい。
図34において、ローラー602は、三次元有孔基材400と、液体親水性材料600を含有するバット604との間に位置付けられる。基材400は、矢印MDの方向に搬送される。基材400は、例示の目的のために断面で示されている。ローラー602は、ローラー602上で矢印により示される方向に回転することができるか、又は反対方向に回転することができる。ローラー602は、液体親水性材料600をバット604から受け取り、液体親水性材料600の被膜をその外表面に搬送し、次いで、液体親水性材料600の一部を陥没部414の部分及び/又は孔422に近接する部分に堆積させるように構成されている。ローラー602は、それが陥没部414及び/又は孔422に近接する領域のみと係合するように位置付けることができる。孔422の外周部423は、一般には、基材400の最も低い平面を形成する。これにより、ローラー602は、主として、孔422の外周部423と接触し、親水性材料の一部が、陥没部414に近接する領域に吸い上げられる。このようなやり方で、親水性材料は、陥没部及び/又は孔に近接する領域に適用され得るが、疎水性ランド領域412及び突起部416には適用され得ない。ローラー602の外表面は、移動する基材の速度と一致してもよく、又は移動する基材よりも高速若しくは低速で移動されてもよい。基材400の張力及びラップ角度は、基材400の接触が、孔422に近接する領域のみに制限されるように調整される必要があり得る。ニップNにおいて基材400に適用される圧力ローラー602もまた、より少ない疎水性材料又はより多くの疎水性材料を基材400に適用するように調整されてもよい。
【0115】
親水性材料はまた、
図35に示すプロセスにより基材400の孔422に近接して適用されてもよい。
図35を参照すると、親水性材料600(例えば、1.5%のS6327溶液)は、平坦で清浄な表面606上に散布される。基材400は、表面606とローラー608との間に形成されたニップNを通って搬送される。基材400は、一般には、矢印MDで示した方向に移動することができる。ローラー608は、ローラー608上に矢印で示した方向に回転することができる。ローラー608は、疎水性材料600と孔422に近接する基材の領域との間の接触を確実にするように存在してもよい。基材400の張力及びラップ角度は、基材400の接触が、孔422に近接する領域のみに制限されるように調整される必要があり得る。ニップNにおいて基材400に適用される圧力ローラー608もまた、より多くの疎水性材料又はより少ない疎水性材料を基材400に適用するように調整されてもよい。
【実施例】
【0116】
単一の可変実験を、3つの異なる三次元有孔不織布基材を用いて行った。第1の三次元有孔不織布基材は完全に疎水性であって、それに適用される親水性材料のいずれも有さなかった。第2の三次元有孔基材は、本明細書に記載するように、孔に近接してかつ陥没部の部分に適用された親水性材料を有した。第2の三次元有孔基材は、
図35に示すように疎水性材料を選択的に堆積させることによって得た。青色顔料及びラマン分光法の使用は、親水性材料が実際に、意図したとおりに孔に近接して選択的に適用されたことを確認するために用いた。第3の三次元有孔基材は、着用者に面する表面の疎水性層と衣類に面する表面の親水性層とを有した。疎水性/親水性の相違以外は、第1、第2、及び第3の三次元有孔基材は同一であった。
【0117】
おむつの原型を、米国で2014年の10月に市販されているPampers(登録商標)Swaddlers(登録商標)のサイズ2のおむつを用いて作成した。Pampers(登録商標)Swaddlersのサイズ2のおむつは、それぞれ、トップシート、トップシート下の捕捉層、捕捉層下の分配層、及び分配層と吸収性コア下のバックシートとの間に位置する吸収性コアを含む。市販のPampers(登録商標)Swaddlersおむつのトップシートを、以下に記載されるプロセスによって、第1の基材、第2の基材、及び第3の基材で置き換えた。各おむつ原型について、捕捉層上に5gsmのスパイラル接着剤を塗布し、第1、第2、及び第3の基材を、孔外周部が吸収性コアに面する状態で、全長/幅にわたって配置した。各原型おむつは、試験前に23℃+/-2℃及び50%+/-10%の相対湿度(RH)で3日間保管した。
【0118】
第1、第2、及び第3の三次元有孔基材を、以下のとおりに、それぞれ、Swaddlers(登録商標)サイズ2おむつに適用した。最初に、バリアレッグカフタックダウンボンドを開いた。次に、Swaddlers(登録商標)製品のトップシートを、凍結スプレーを用いて取り外した。次いで、取り外したトップシートと同じサイズ(即ち、長さ及び幅)を有する第1、第2、及び第3の三次元基材を、Swaddlers(登録商標)製品に適用した。第1、第2、及び第3の三次元基材を、5mgのスパイラル糊を用いて、Swaddlers(登録商標)製品の捕捉層に取り付けた。次いで、レッグカフタックダウンボンドを、両面テープを用いて再度作成した。
【0119】
このようにして製造された原型を、本明細書の流出試験に従って、トップシートの流出について実験室で試験した。以下に結果を示す。
【0120】
流出
表1
報告されたデータは平均値であり、標準偏差は括弧内に示される。
【0121】
【0122】
上記表1から理解し得るように、第2の基材は、最小量の流出を有した。
【0123】
濡れ長さ
表2
報告されたデータは平均値であり、標準偏差は括弧内に示される。
【0124】
【0125】
上記表2から理解し得るように、第2の基材は、最小量の濡れ長さを有した。
【0126】
これらの両方の図表から理解し得るように、データは全体的に、流出及び濡れ長さの両方の最小化に関して、比較例の両方(第1の基材及び第2の基材)と比べて、本開示(第2の基材)の有利性を確認する。
【0127】
第1の基材-完全に疎水性の両方の層
第1の基材は、孔に近接して付加されたいかなる親水性材料もなく、2つの完全に疎水性の層を有した。第1の層は、15gsmの坪量を有する、PE/PETシース/コア(2デニール)ステープルファイバから作製された疎水性材料であった。トップシートに関しては、この第1の層は、着用者に面する層である。第2の層は、20gsmの坪量を有する、PE/PETシース/コア(2デニール)ステープルファイバから作製された。トップシートに関しては、この第2の層は、衣類に面する層である。熱風結合を通して、第1の層を第2の層に接合させ、次いで、本明細書に記載されるように、両方の層を
図27~
図29のロールを通り抜けさせた。突起部のz方向高さは、第1の基材では1200μmであった。第1の基材における陥没部は、隣接する突起部の頂部ピークから最も遠位の位置で円錐形の孔を画定する。上部孔径(約1900μm)は、底部径(約1500μm)よりも大きかった。陥没部は、約500μmのz方向高さを有した。第1の基材は、約1700μmの全体的なz方向の高さを有した。この段落における高さは、本明細書の高さ試験に従って測定した。
【0128】
第2の基材-親水性材料を有する疎水性の両方の層(本開示)
第2の基材は、第1の基材と同じであるが、
図31~
図34を参照して記載したように、孔に近接して適用された親水性材料を有する。
【0129】
第3の基材-疎水性の着用者に面する層及び親水性の衣類に面する層
第3の基材は、第1の基材と同じであるが、第2の層が親水性であり、かつPE/PETシース/コア(2デニール)ステープルファイバから作製されている。
【0130】
疎水性物質を有する親水性基材
異なる形態として、本開示は、親水性不織布有孔基材を含んでもよい。この基材は、本明細書に記載される三次元有孔基材と同一構造を有してもよい(突起部、陥没部、ランド領域等)が、疎水性である代わりに親水性であってもよい。基材は、1つ以上の親水性層を有してもよい。2つ以上の親水性層が設けられる場合、様々な層は、デニール、坪量、繊維の種類等が、孔に近接してのみ位置付けられた親水性材料を有する疎水性基材に関して上記で記載されたものと、同じであっても、又は異なってもよい。三次元親水性有孔基材については、流体は、突起部及びランド領域を通して迅速に吸収され/それらを貫通し、またいくらか孔422を通して吸い上げられる傾向がある。
図36を参照すると、流体を陥没部414に向かって、かつ孔422を通って流すために、1つ以上の疎水性材料700が、突起部416及び/又はランド領域上にのみ位置付けられるか、又は印刷されてもよい。突起部416及び/又はランド領域上にのみ位置付けられ/印刷される疎水性材料700は、流体を重力により下部陥没部414に流動させることができ、これにより、流体を、孔422を通って吸い上げることができる。疎水性材料700は、流体が突起部及び/又はランド領域を通って吸い上がることを防止するか、又は少なくとも阻止することができる。陥没部414及び孔422は、基材の親水性に起因して、親水性であってもよい。場合によっては、上記記載の親水性材料600はまた、孔422及び/又は陥没部414の部分に近接する領域の親水性を更に増大させるために、孔に近接してのみ適用されてもよい。本質的に、突起部及び/又はランド領域上に位置付けられた1つ以上の疎水性材料を有する親水性基材のこの形態は、上記記載の孔に近接してのみ位置付けられた親水性材料を有する疎水性基材と同様な目標を達成する。
【0131】
疎水性材料700のいくつかの好適な例は、フッ素化又は過フッ素化ポリマー;シリコーン、フルオロケミカル、ジルコニウム化合物、油;ラテックス;ワックス、架橋性樹脂、及びそのブレンド;フルオロケミカルウレタン、尿素、エステル、エーテル、アルコール、エポキシド、アロファネート、アミド、アミン(及びそれらの塩)、酸(及びそれらの塩)、カルボジイミド、グアニジン、オキサゾリジノン、イソシアヌレート、及びビウレット;ヒュームドシリカ、疎水性チタニア、酸化亜鉛、ナノクレイ、及びこれらの混合物;油脂、グリセリン誘導体;疎水性シリコーン又はその好適な組み合わせを含む。
【0132】
好適なシリコーンポリマーの例は、シリコーンMQ樹脂、ポリジメチルシロキサン、架橋シリコーン、シリコーン液体エラストマー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。ポリジメチルシロキサンは、とりわけ、ビニル末端ポリジメチルシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサン、ヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサン、オルガノ変性ポリジメチルシロキサン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0133】
本開示に好適な他の疎水性材料700は、当該技術分野において明確に定義され、かつ文書化されている。例えば、米国特許出願公開第2002/0064639(A1)号は、シリコーン、フルオロケミカル、ジルコニウム化合物、油、ラテックス、ワックス、架橋性樹脂、及びこれらのブレンドからなる群から選択される疎水性組成物を記載している。米国特許第7,407,899号で記載される代表的な撥水性フルオロケミカル化合物としては、フルオロケミカルウレタン、尿素、エステル、エーテル、アルコール、エポキシド、アロファネート、アミド、アミン(及びそれらの塩)、酸(及びそれらの塩)、カルボジイミド、グアニジン、オキサゾリジノン、イソシアヌレート、及びビウレットが挙げられる。米国特許第6,548,732号は、カカオ脂、カカオバター、ココアバター、ペトロラタム、鉱物ゼリー、白色鉱油、ジメチコン、酸化亜鉛調製物、チャイニーズホワイト、亜鉛白、ミツロウ、ラノリン、ホホバ油、及びこれらの組み合わせからなる群からの疎水性物質を記載している。更に、2011年7月28日に出願された米国特許出願第13/193,065号は、フッ素化ポリマー、過フッ素化ポリマー、及びこれらの混合物;ヒュームドシリカ、疎水性チタニア、酸化亜鉛、ナノクレイ、及びこれらの混合物から選択されるナノ構造粒子;並びに、水性非有機溶媒全体のための水から選択される疎水性成分を含む組成物で処理されると、超疎水性特性を呈する基材を論議している。2011年7月28日に出願された米国特許出願第13/193,065号におけるこのような組成物及び表面の例は、本開示の不織トップシートとして使用することができる超疎水性処理表面を例示している。
【0134】
追加のワックス及び他の疎水性材料を用いてもよく、石油系エモリエント、脂肪酸エステル、ポリオールポリエステル、脂肪アルコールエーテル、ステロール及びステロールエステル、並びにこれらの誘導体、トリグリセリド、グリセリルエステル、セラミド、及びこれらの混合物が挙げられる。脂肪酸は、植物原料、動物原料、及び/又は合成原料に由来してもよい。いくつかの脂肪酸は、C8脂肪酸~C30脂肪酸、又はC12脂肪酸~C22脂肪酸の範囲に及び得る。別の実施形態において、特に脂肪酸前駆体の水素化の結果として飽和が生じるとき、実質的に飽和脂肪酸が使用され得る。脂肪酸誘導体の例としては、脂肪族アルコール、脂肪酸エステル、及び脂肪酸アミドが挙げられる。
【0135】
好適な脂肪族アルコール(R-OH)としては、C12~C28脂肪酸に由来するものが挙げられる。
R-OH R=C12~C28アルキル鎖
【0136】
好適な脂肪酸エステルとしては、C12~C28脂肪酸及び短鎖(C1~C8、好ましくはC1~C3)一価アルコールの混合物、好ましくはC12~C22飽和脂肪酸及び短鎖(C1~C8、好ましくはC1~C3)一価アルコールの混合物由来の脂肪酸エステルが挙げられる。疎水性溶融添加剤は、モノ、ジ、及び/又はトリ-脂肪酸エステルの混合物を含んでもよい。例として、骨格鎖としてグリセロールとの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0137】
【0138】
このグリセロール由来の脂肪酸エステルは、グリセロールに対して少なくとも1つのアルキル鎖、少なくとも2つ、又は3つの鎖を有し、モノ、ジ又はトリグリセリドを形成する。トリグリセリドの好適な例としては、グリセロールトリベヘネート(C22)、グリセロールトリステアレート(C18)、グリセロールトリパルミテート(C16)、及びグリセロールトリミリステート(C14)、並びにこれらの混合物が挙げられる。トリグリセリド及びジグリセリドの場合、アルキル鎖は、同じ長さでも異なる長さでもよい。例として、1個のアルキルC18鎖と2個のC16アルキル鎖、又は、2個のC18アルキル鎖と1個のC16鎖を有するトリグリセリドが挙げられる。好ましいトリグリセリドは、C14~C22脂肪酸に由来するアルキル鎖を含む。
【0139】
好適な脂肪酸アミドとして、C12~C28脂肪酸(飽和又は不飽和)及び一級又は二級アミンの混合物由来のものが挙げられる。一級脂肪酸アミドの好適な例としては、脂肪酸及びアンモニア由来のものが挙げられる。
【0140】
【0141】
好適な例として、エルカミド、オレアミド、及びベヘンアミドが挙げられる。他の好適な疎水性溶融添加剤として、疎水性シリコーン、エトキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。
【0142】
疎水性材料700は、2016年9月9日に出願された、米国特許出願第62/385,265号、P&G代理人整理番号14495PQに記載されているインクジェット印刷方法を用いて親水性基材に適用することができる。疎水性材料700はまた、
図34の修正プロセスを用いて適用されてもよい。この修正プロセスにおいて、基材400は、突起部416及び/又はランド領域がローラー602と接触するように、ひっくり返されてもよい。親水性材料600を疎水性材料700と交換してもよい。このように、ローラー602は、疎水性材料700を突起部及び/又はランド領域上に堆積させることができる。疎水性材料700はまた、
図35の修正プロセスを用いて適用されてもよい。基材400は、突起部416及び/又はランド領域がフラットな清浄な表面606と接触するように、ひっくり返されてもよい。親水性材料600を疎水性材料700と交換してもよい。このように、清浄な表面606は、疎水性材料700を突起部及び/又はランド領域上に堆積させることができる。
図37を参照する他の例では、親水性基材400を機械方向、MDに搬送してもよい。スロット塗布機2099を用いて、疎水性材料700を突起部416及び/又はランド領域のみに適用することもできる。
【0143】
試験方法
試験前に、約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、全てのサンプルを約2時間調整する。
【0144】
孔試験
孔寸法、有効孔面積、及び有効孔面積%の測定を、反射モードにおいて6400dpiの解像度及び8ビットグレースケールでスキャン可能なフラットベッド走査装置を使用して、生成された画像上で実施する(好適な走査装置は、Epson Perfection V750 Pro(Epson,USA)である)。分析は、ImageJ software(National Institutes of Health,USAのv.s.1.46)を使用して実施し、NISTによって認定された定規に対して較正される。試験片を取り付けるために鋼製フレーム(100mm2、1.5mm厚、60mm2開口部付き)を使用し、黒のガラスタイル(HunterLab(Reston,VA)から販売されるP/N 11-0050-30)を走査画像の背景として使用する。
【0145】
スチールフレームを取って、内部開口部を取り囲む底面上に両面接着テープを貼る。試験片を取得するために、着用者に面する表面を上向きにして吸収性物品を作業台上に平らに置く。テープの剥離紙を除去し、鋼製フレームを吸収性物品のトップシートに接着する(本明細書に記載の基材は、例えばトップシート上に配置されることによりトップシートの一部分のみを形成してもよく、三次元材料がサンプルとなるものである)。かみそりの刃を用いて、フレームの外周部の周りの吸収性物品の下層からトップシートを切り取る。長手方向及び横方向の拡張部が維持されるように、試験片を丁寧に取り除く。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze(Control Company,Houston TX)など)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。5つの実質的に同様の吸収性物品から取得した5つの複製試験片を、分析に備えて準備する。
【0146】
定規を走査装置ベッドに置き、蓋を閉じて、6400dpi及び8ビットグレースケールの解像度にて反射率モードで定規の50mm×50mmの較正画像を取得する。画像を圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存する。蓋を持ち上げて定規を取り除く。較正画像を取得した後、全ての試験片を同じ条件下で走査して同じ較正ファイルに基づいて測定する。次に、試験片の着用者に面する表面を走査装置のガラス面に対向させた状態で、フレーム付きの試験片を走査装置ベッドの中心に置く。黒のガラスタイルを、試験片を覆うフレーム上に置き、蓋を閉じて、走査画像を取得する。同様に、残りの4つの複製試験片を走査する。
【0147】
ImageJ内の較正ファイルを開き、画像化した定規を使用して、較正がその後の試験片に適用されるようにスケールをGlobalに設定したまま線形較正を行う。ImageJ内の試験片画像を開く。ヒストグラムを見て、孔の暗画素ピークと不織布のより明るい画像ピークとの間に位置する最小母集団のグレーレベル値を特定する。画像の閾値を最小グレーレベル値に設定して二値画像を生成する。処理した画像では、孔は黒く、不織布は白く見える。
【0148】
分析粒子機能を選択する。最小孔面積排除限界を0.3mm2に、かつ、分析のために、縁部孔を除外するように設定する。有効孔面積、外周部、フェレ径(孔の長さ)及び最小フェレ径(孔の幅)を計算するようにソフトウェアを設定する。平均有効孔面積を0.01mm2単位で、また平均外周を0.01mm単位で記録する。再度、分析粒子機能を選択するが、今回は有効孔面積を計算する際に縁部穴を含むように分析を設定する。有効孔面積(全体及び部分の孔を含む)を合計して、画像内に含まれた総面積(2500mm2)で除算する。有効孔面積%を0.01%単位で記録する。
【0149】
同様に、残りの4つの試験片画像を分析する。5つの複製試験片について、平均有効孔面積を、0.01mm2単位で、平均孔外周部を0.01mm単位で、フェレ径及び最小フェレ径を0.01mm単位で、並びに、有効孔面積%を0.01%単位で計算し、報告する。
【0150】
孔が円錐形を有する場合、有効孔面積は円錐形の最小寸法で取られる。
【0151】
高さ試験
基材突起部高さ及び全基材高さを、GFMesstechnik GmbH(Teltow/Berlin,Germany)から市販されるGFM MikroCAD Premium計器を用いて測定する。GFM MikroCAD Premium計器は、以下の主要構成要素を含む:a)直接デジタル制御マイクロミラーを備えるデジタル光処理(DLP)投影装置;b)少なくとも1600×1200ピクセルの解像度を有するCCDカメラ;c)少なくとも60mm×45mmの測定領域に適合された投影光学系;d)少なくとも60mm×45mmの測定領域に適合された記録光学系;e)小さな硬石プレートに基づく三脚台;f)青色LED光源;g)測定、制御、及び評価用のコンピュータ実行ODSCADソフトウェア(バージョン6.2又は等価物);並びに、h)供給メーカーから入手可能な、横方向(x-y)較正及び垂直方向(z)較正用の較正プレート。
【0152】
GFM MikroCAD Premiumシステムは、デジタルマイクロミラーパターン縞投影技術を用いてサンプルの表面高さを測定する。解析の結果は、x-y平面内の変位に対する表面高さ(z方向つまりz軸)のマップである。このシステムは、およそ40マイクロメートルのx-yピクセル解像度を伴う、60×45mmの視野を有する。高さの解像度は、±15mmの高さ範囲で、0.5マイクロメートル/カウントに設定される。全ての試験は、約23±2℃及び約50±2%の相対湿度に維持された調湿室内で行われる。
【0153】
スチールフレーム(100mm2、厚さ1.5mm、70mm2の開口部付き)を使用して試験片を乗せる。スチールフレームを取って、内部開口部を取り囲む底面上に両面接着テープを貼る。試験片を得るために、着用者に面する表面を上向きにして吸収性物品を作業台上に平らに置く。テープの剥離紙を除去し、鋼製フレームを吸収性物品のトップシートに接着する(本明細書に記載の基材は、例えばトップシート上に配置されることによりトップシートの一部分のみを形成してもよく、三次元材料がサンプルとなるものである)。かみそりの刃を用いて、フレームの外周部の周りの吸収性物品の下層からトップシートを切り取る。長手方向及び横方向の拡張部が維持されるように、試験片を丁寧に取り除く。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze(Control Company,Houston TX)など)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。5つの実質的に同様の吸収性物品から取得した5つの複製試験片を、分析に備えて準備する。
【0154】
製造者の仕様書に従って、供給メーカーから入手可能な、横方向(x-y軸)及び垂直方向(z軸)用の較正プレートを用いて計器を較正する。
【0155】
鋼製プレート及び試験片を、着用者に面する表面をカメラに向けてテーブル上のカメラの真下に置く。試験片の表面だけが画像内で見られるように、試験片の中心をカメラの視野内に合わせる。試験片を、しわを最小限にして平らに置く。
【0156】
計器製造者の推奨する測定手順に従って、試験片の高さの画像(z方向)を収集する。以下の操作パラメータを有する技術的表面/標準測定プログラムを選択する:3フレームディレイを用いた高速録画の使用。デュアル位相シフトを、1)ピクチャー数12を有する16ピクセルストライプ幅、及び2)ピクチャー数8を有する32ピクセルストライプ幅、と共に用いる。ピクセル2で開始し、ピクセル512で終了するフルグレイコード。測定プログラムを選択した後、測定システムの焦点合わせ及び輝度調整の実施に関して、引き続き計器製造者の推奨手順に従う。3D測定を実施した後で、高さ画像及びカメラ画像ファイルを保存する。
【0157】
高さ画像を、クリップボードを介してソフトウェアの分析部分に取り込む。続いて、各画像に対して以下のフィルタリング手順を実施する:1)不正な点の除去、2)頂部(小さな局部的上昇)の除去、3)n=5のランクを有し、材料部分から頂部の30%及び谷部の30%を排除した、5サイクルの、材料部分の多項式フィルタリング。
【0158】
突起部高さ試験
一連の突起部のピークを接続する線を引く。この線は、突起部のそれぞれの間に位置する、無孔のランド領域を通る。描いた線に沿って、高さの画像の断面画像を生成する。断面線に沿って、突起物の頂点と隣接するランド領域の谷部との間の垂直高さ(z方向)の差を測定する。高さを0.1μm単位で記録する。10個の異なる突起物の頂点からランド領域までの高さの測定値を共に平均化し、この値を0.1μm単位で報告する。これが突起物高さである。
【0159】
陥没部高さ試験
全基材高さから突起部高さを減じて、陥没部高さを得る。これは、突起部高さ試験及び全基材高さ試験からの各10個の測定値で行う必要がある。10個の陥没部高さを共に平均し、この値を0.1μm単位で報告する。これが陥没部高さである。
【0160】
全基材高さ試験
一連の突起部のピークを接続する線を引く。この線は、突起部のそれぞれの間及び陥没部内に位置する、孔の中心を通る。描いた線に沿って、高さの画像の断面画像を生成する。断面線に沿って、突起部のピークと隣接する陥没部の底部との間の垂直高さの差を測定する。高さを0.1μm単位で記録する。10個の異なる突起部ピークから陥没部の底部までの高さ測定値を共に平均し、この値を0.1μm単位で報告する。これが全基材高さである。
【0161】
平均孔間隔試験
横方向軸線孔間隔及び長手方向軸線孔間隔を、反射モードにおいて6400dpiの解像度及び8ビットグレースケールで走査可能なフラットベッド走査装置を使用して、生成された画像上で実施する(好適な走査装置は、Epson Perfection V750 Pro(Epson,USA)である)。分析は、ImageJ software(National Institutes of Health,USAのv.s.1.46)を使用して実施し、NISTによって認定された定規に対して較正される。試験片を取り付けるために鋼製フレーム(100mm2、1.5mm厚、60mm2開口部付き)を使用し、黒のガラスタイル(HunterLab(Reston,VA)から販売されるP/N 11-0050-30)を走査画像の背景として使用する。試験は、約23℃±2℃及び相対湿度約50%±2%にて行う。
【0162】
スチールフレームを取って、内部開口部を取り囲む底面上に両面接着テープを貼る。試験片を取得するために、着用者に面する表面を上向きにして吸収性物品を作業台上に平らに置く。テープの剥離紙を除去し、鋼製フレームを吸収性物品のトップシートに接着する。かみそりの刃を用いて、フレームの外周部の周りの吸収性物品の下層からトップシート(即ち、着用者に面する表面の全体又は一部分を形成する三次元基材)を切り取る。長手方向及び横方向の拡張部が維持されるように、試験片を丁寧に取り除く。必要であれば、低温スプレー(Cyto-Freeze(Control Company,Houston TX)など)を使用して、トップシート試験片を下層から取り出すことができる。5つの実質的に同様の吸収性物品から取得した5つの複製試験片を、分析に備えて準備する。試験前に約2時間かけて約23℃±2℃及び約50%±2%の相対湿度で、サンプルを調整する。
【0163】
定規を走査装置ベッドに置き、蓋を閉じて、反射率モードにおいて6400dpiの解像度及び8ビットグレースケールで定規の50mm×50mmの較正画像を取得する。画像を圧縮前のTIFF書式ファイルとして保存する。蓋を持ち上げて定規を取り除く。較正画像を取得した後、全ての試験片を同じ条件下で走査して同じ較正ファイルに基づいて測定する。次に、試験片の着用者に面する表面を走査装置のガラス面に対向させた状態で、フレーム付きの試験片を走査装置ベッドの中心に置く。黒のガラスタイルを、試験片を覆うフレーム上に置き、蓋を閉じて、走査画像を取得する。同様に、残りの4つの複製試験片を走査する。
【0164】
ImageJ内の較正ファイルを開き、画像化した定規を使用して、較正がその後の試験片に適用されるようにスケールをGlobalに設定したまま線形較正を行う。ImageJ内の試験片画像を開き、以下の測定を行う。
【0165】
横方向軸線孔間隔
1つの孔の中心点から、2つの孔の間に配置されている突起部の反対側の、隣接する孔の中心点までを測定する。測定値は、突起部を横切って、試験片の横方向軸線に平行な方向に取得される。各距離を0.1mm単位で報告する。試験片内で5つのランダムな測定値を取得する。5つの値を平均し、横方向軸線中心-中心間隔の平均を0.1mm単位で報告する。この手順を、更に4つのサンプルにて繰り返す。
【0166】
長手方向軸線孔間隔
1つの孔の中心点から、2つの孔の間に配置されている突起部の反対側の、隣接する孔の中心点までを測定する。測定値は、突起部を横切って、試験片の長手方向軸線に平行な方向に取得される。各距離を0.1mm単位で報告する。試験片内で5つのランダムな測定値を取得する。5つの値を平均し、長手方向軸線の中心から中心までの間隔の平均を、0.1mm単位で報告する。この手順を、更に4つのサンプルにて繰り返す。
【0167】
坪量試験
三次元基材の秤量は、いくつかの利用可能な技術によって判定され得るが、単純な代表的な技術では、吸収性物品を取ることと、存在する恐れがある一切の弾性を除去することと、吸収性物品を全長まで伸張させることと、を含む。その後、45.6cm2の面積を有する打抜き型を使用して、存在する恐れがある任意の他の層にトップシートを固着するために使用され得る任意の接着剤を可能な限り回避する場所において、おむつ又は吸収性製品のほぼ中心から、トップシートを形成する、トップシート上に配置される、又はトップシートの一部分を形成する基材(この方法では「トップシート」)片を切り取り、(必要であればCyto-freeze(Control-Company(Houston,Tx))など、低温スプレーを使用して)トップシート層を他の層から除去する。その後、サンプルを秤量して打抜き型の面積で割ると、トップシートの秤量が得られる。結果を、5つのサンプルの平均として、0.1グラム/平方メートル単位で報告する。
【0168】
バッグ内スタック高さ試験
吸収性物品のパッケージのバッグ内スタック高さは、以下のとおりに判定する。
【0169】
機器
平坦な剛性の水平スライディングプレートを備えた厚さテスタが使用される。厚さテスタは、水平スライディングプレートが平坦な剛性の水平ベースプレートのすぐ上で水平の向きに常に維持された状態で、水平スライディングプレートが垂直方向に自由に移動するように構成される。厚さテスタは、水平スライディングプレートと水平ベースプレートとの間の間隙を±0.5mm以内で測定するのに好適な装置を含む。水平スライディングプレート及び水平ベースプレートは、各プレートと接触する吸収性物品パッケージの表面よりも大きい(即ち、全ての方向で各プレートは吸収性物品パッケージの接触表面を越えて延在する)。水平スライディングプレートは、850±8.34N(1重量グラム)の下向きの力を吸収性物品パッケージに加えるが、これは、水平スライディングプレートのパッケージに接触しない上面の中央に好適な重しを置いて、スライディングプレートの合計質量に付加重量を足したものが850±1グラムとなるようにすることによって達成されてもよい。
【0170】
試験手順
吸収性物品パッケージを、測定前に、23±2℃及び50±5%の相対湿度で平衡化する。
【0171】
水平スライディングプレートを上げ、パッケージ内の吸収性物品が水平方向になるような形で、吸収性物品パッケージを水平スライディングプレート下で中央に配置する(
図30を参照)。プレートのどちらかに接触するであろうパッケージの表面上にある任意のハンドル又は他のパッケージング機構を、パッケージの表面に対して平坦に折り重ねることで、測定に対する影響を最小限にする。水平スライディングプレートを、パッケージの上面に接触するまでゆっくり下げてから、解放する。水平スライディングプレートを解放してから10秒後に、水平プレート間の間隙を±0.5mm以内で測定する。5つの同一パッケージ(同じサイズのパッケージ及び同じ吸収性物品数)を測定し、算術平均をパッケージ幅として報告する。「バッグ内スタック高さ」=(パッケージ幅/1スタック当たりの吸収性物品数)×10を計算し、±0.5mm以内で報告する。
【0172】
流出試験
流出試験は、試験液が、トップシートの表面に流出することなく、かつおむつの後縁部に漏れ出すことなく、試験液がおむつに十分素早く吸収されるかどうかを試験するものである。この方法は、典型的には体重が5~8kg±20%の範囲の着用者に指定された乳児用おむつ(例えば、Pampersベビー用おむつのサイズ2、又はほとんどの他の商標名のベビー用おむつのサイズ2若しくはサイズS)の液体の流出を測定する。全ての試験を、23±2℃及び40~55%の相対湿度で行う。
【0173】
試験装置は、厚さが約10mmであるポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))製の角度付きテーブルを含む。角度付きテーブルは、長さが520mmであり、広さが160mmであって、水平に対して30±1度傾いており、当該テーブルの寸法は、おむつの寸法より大きくなるように調整可能である。角度付きテーブルは、厚さが約10mmであるポリカーボネート(例えば、Lexan(登録商標))、又は同等の好適な材料から製造された支持体に取り付けられる。
【0174】
おむつは、そのパッケージから取り出され、カフ弾性材料を好適な間隔で切断し、おむつを平らに置き、トップシートにできるだけ触れずおむつのコアを傷付けないように注意しなければならない。製品は、適切な上皿式の計りの上に±0.1グラムの範囲内で重さを量り、次いで、製品が装置の長手方向中心線に沿って中央に配置されるように、両面接着テープを介して角度付きテーブルに取り付けられるが、その際、製品のトップシート(身体側)を上方に向け、前側腰部縁部を角度付きテーブルの上部に直立させ、後縁部を角度付きテーブルの下縁部に揃える。なお、負荷点は、前方コア吸収体縁部から76mmの位置に耐水性のペンを用いて、製品にマーキングする。
【0175】
好適なポンプ、例えばCole Parmer Instruments(Chicago,USA)製Model7520-00、又はその等価物を、4.8mmの内径を有する可撓性プラスチック管、例えばTygon(登録商標)R-3603又はその等価物から塩化ナトリウムの0.9質量%水溶液を放出するように準備する。チューブの端部は、製品にマーキングされた負荷点の25mm上に垂直に中央に配置されるように垂直に固定されるが、チューブの端部の位置は、製品にマーキングされた負荷点の25mm上の距離を維持するように水溶液の毎噴出後に調整される。ポンプは、タイマーによって操作され、10mL/秒の速度で0.9%食塩水溶液の40.0mLの噴出を放出するように前もって較正される。4つの噴出がこの方法で製品に送達され、ある噴出の開始と次の噴出の開始との間の時間間隔は、300秒である。
【0176】
適切なペトリ皿の重さを事前に計り、角度付きのテーブルの下縁部の下に配置し、流出した液体を回収する。試験液体の流出は、毎噴出後、流出した液体を有するペトリ皿の重量から乾いた状態でのペトリ皿の重量を減算して算出する。試験液体の総流出量は、また、1回目、2回目、3回目、及び4回目の噴出流出量の総和として、報告及び算出される。毎噴出後、乾燥したペトリ皿が使用される。各選択肢に対して4つの製品がこのように試験され、各噴出のそれぞれの(1回目~4回目)平均及び総流出量が算出される。
【0177】
「濡れ長さ」は、第1の液体がトップシートに接触して(負荷点)から、液体が吸収される領域まで、液体がトップシート上を流れ落ちる距離である。「濡れ長さ」は、負荷点から液体が吸収される領域の位置まで、トップシート(直線)の長手方向中心軸と平行に測定される。この「濡れ長さ」は、噴出毎、60秒後に測定する。濡れ長さを決定するために、吸収性領域を良好に可視化するように、青色顔料(インジゴカーマイン(C.I.73015))を液体に添加することができる。具体的には、本明細書に示した例では、排尿点からおむつ端部までの最大距離は、280mmである。
【0178】
本明細書で開示する寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限られるとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、このような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0179】
相互参照される又は関連特許若しくは出願のいずれをも含めた、本明細書に引用されている全ての文書は、明示的に除外される、又は特に限定されない限り、その全体が本明細書に参照として組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書で開示若しくは請求される任意の実施形態に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは任意の他の参照(単数又は複数)との任意の組み合わせで任意のこのような実施形態を教示、提案、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照することによって組み込まれた文書内の同じ用語の意味又は定義と矛盾する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0180】
本開示の特定の実施形態が図示及び説明されたが、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行い得ることは、当業者には明白であろう。したがって、本開示の範囲内に属する全てのこのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。