(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】弁プロテーゼ送達システムと共に使用する腱索管理装置及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220906BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
A61F2/24
A61M25/00 530
(21)【出願番号】P 2019523839
(86)(22)【出願日】2017-10-20
(86)【国際出願番号】 US2017057695
(87)【国際公開番号】W WO2018089185
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-10-20
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511126109
【氏名又は名称】メドトロニック ヴァスキュラー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(72)【発明者】
【氏名】デヴェルクス ポール
(72)【発明者】
【氏名】フリスビー パライク
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト フランク
(72)【発明者】
【氏名】キット トーマス
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン マーク
(72)【発明者】
【氏名】キャロル グレイン
(72)【発明者】
【氏名】マクギネス シアラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ ティム
(72)【発明者】
【氏名】グリフィン パトリック
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0235531(US,A1)
【文献】特表2016-512753(JP,A)
【文献】特表2015-530916(JP,A)
【文献】特表2016-512721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の生来の弁輪に弁プロテーゼを送達するシステムであって、
前記生来の弁が腱索を有し、
前記心臓の心室内に位置付けられる索管理カテーテルを有し、前記索管理カテーテルは、その遠位端に変位バルーンを有し、前記変位バルーンは、その内部を通る中央内腔を画定する環状構成要素であり、
前記変位バルーンは、前記心室内の治療部位又は前記生来の弁輪の近位側又は手前側で膨張して、前記腱索を半径方向外向きに押すように構成され、
前記心臓の心室壁を介して前記心臓の前記心室に導入される弁送達システムを有し、この弁送達システムは、その遠位部分に前記弁プロテーゼを有し、前記弁プロテーゼは送達構成であり、
前記弁送達システムは、前記膨張した変位バルーンの前記中央内腔を通って、前記心臓の前記生来の弁輪に向かって前進するように構成され、
前記弁プロテーゼは、展開して、前記生来の弁輪と並置されるように構成されている、システム。
【請求項2】
前記索管理カテーテルは、前記心臓の前記心室内に位置付けられ、前記心臓の尖部に導入されるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記索管理カテーテルは、前記心臓の前記心室内に位置付けられ、大動脈を通って左室内へと前進するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記索管理カテーテルは、前記心臓の前記心室内に位置付けられ、経中隔的に左房及び左室内へと前進するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記変位バルーンは、円筒状又は球状の膨張した外形を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記変位バルーンの内側側壁が前記変位バルーンの外側側壁よりも強いように、前記内側側壁にコーティングが塗布される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記索管理カテーテルは、生理食塩水を送達するための第1膨張内腔と、造影剤溶液を送達するための第2膨張内腔と、を含み
、前記第1膨張内腔から生理食塩水が
前記変位バルーンに送達されると共に、前記第2膨張内腔から造影剤溶液が
前記変位バルーンに送達される
と、前記変位バルーンが膨張する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2膨張内腔は、3つの円周方向に離間したマーカーを含む模様を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
さらに、前記心臓の心室内に位置付けられる第2索管理カテーテルを有し、この第2索管理カテーテルは、その遠位端に第2変位バルーンを有し、前記第2変位バルーンは、その内部を通る第2中央内腔を画定する環状構成要素であり、
前記第2変位バルーンは、前記心室内で膨張して、前記腱索を半径方向外向きに押すように構成され、
前記弁送達システムは、前記膨張した変位バルーンの前記中央内腔を通って、並びに前記膨張した第2変位バルーンの前記第2中央内腔を通って、前進するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記索管理カテーテルは、前記心臓の心室内に位置付けられ、大動脈を通って左室内へと前進するように構成され、前記第2索管理カテーテルは、前記心臓の左心室内に位置付けられ、大動脈を通って左室内へと前進するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記弁プロテーゼが展開することに先立って、前記変位バルーンが収縮して、前記索管理カテーテルが少なくとも部分的に取り出される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
心臓の生来の弁輪に弁プロテーゼを送達するシステムであって、
前記生来の弁が腱索を有し、
前記心臓の心室内に位置付けられるカテーテルを有し、このカテーテルは、その遠位端に変位構成要素を有し、前記変位構成要素は、その内部を通る中央内腔を画定し、
前記変位構成要素が前記心室内の治療部位又は前記生来の弁輪の近位側又は手前側で半径方向に拡張することにより、前記心室内の腱索が半径方向外向きに押され、
前記心臓の心室壁を介して前記心臓の前記心室に導入される弁送達システムを有し、前記弁送達システムは、その遠位部分に前記弁プロテーゼを有し、前記弁プロテーゼは送達構成であり、
前記弁送達システムは、前記半径方向に拡張した変位構成要素の前記中央内腔を通って、前記心臓の前記生来の弁輪に向かって前進するように構成され、
前記弁プロテーゼは、展開して、前記生来の弁輪と並置されるように構成されている、システム。
【請求項13】
前記変位構成要素はバルーンである、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記変位構成要素は、半径方向に拡張し、前記変位構成要素の遠位端を前記心臓の左房内に固定するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記変位構成要素は、自己拡張性材料から形成されたリングである、請求項12に記載のシステム。
【請求項16】
前記カテーテルは、前記心臓の前記心室内に位置付けられ、前記心臓の尖部を介して左室に導入されるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項17】
前記カテーテルは、前記心臓の前記心室内に位置付けられ、大動脈を通って左室内へと前記カテーテルを経皮的に前進するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項18】
前記カテーテルは、前記心臓の前記心室内に位置付けられ、経中隔的に左房及び左室内へと前進するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項19】
前記弁プロテーゼが展開することに先立って、前記変位構成要素は、半径方向に折り畳まれ、前記カテーテルが少なくとも部分的に取り出されるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項20】
前記変位構成要素は、漏斗構成に成形され、少なくとも部分的に自己拡張性材料から形成された平面要素である、請求項12に記載のシステム。
【請求項21】
前記変位構成要素は、半径方向に拡張し、前記カテーテルの外側シャフトが後退し、前記変位構成要素が露出する、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記変位構成要素は、半径方向に拡張し、前記カテーテルのシャフトを回転させるように構成されている、請求項21に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁プロテーゼに関し、より具体的には、弁プロテーゼの送達中に原位置で腱索を管理するための、弁送達システムと共に使用するように構成されている装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「内腔内プロテーゼ」を用いる広範な医療処置が知られている。本明細書で使用するとき、内腔内プロテーゼは、自然発生的及び人工的に作製された内腔の両方を含む、体腔内での一時的又は永久的な埋め込みに適合している医療装置を含むことが意図される。内腔内プロテーゼが埋め込まれ得る内腔の例としては、動脈、静脈、胃腸管、胆管、尿道、気管、肝及び脳シャント、並びに卵管が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
ステントプロテーゼは、体腔を画定する壁組織に人工的な半径方向支持を提供するための体腔内での埋め込みで知られている。一般的に「血管形成術」、「PTA」又は「PTCA」と呼ばれる経皮経管冠動脈形成術によって広げられた血管など血管への半径方向支持を提供するために、ステントは、処置と併用されて埋め込まれてよい。この処置において、ステントは挿入径に折り畳まれ、病変血管から離れた部位で脈管構造に挿入されてよい。次いで、ステントは、罹患した血管内の所望の治療部位に送達され、自己拡張又は半径方向拡張によって、治療のためにその所望の直径まで展開され得る。
【0004】
最近では、カテーテルベースの送達システムを使用して経皮的に送達され得るステント構造によって支持される可撓性人工弁が、心臓及び静脈弁置換用に開発されている。これらの人工弁は、ステント構造の内部に配置された弁尖を有する自己拡張性又はバルーン拡張性ステント構造のいずれかを含んでよい。人工弁は、弁送達システムのシース構成要素内に収容されることによって、又はバルーンカテーテル上に圧着することによって直径を減少させ、静脈又は動脈血管系を通って前進できる。人工弁が処置部位、例えば、機能不全の生来の、又は以前埋め込まれた人工の弁内に位置付けられると、ステント構造は拡張されて、人工弁を定位置でしっかりと保持し得る。ステント構造を有する人工弁の一実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Percutaneous Placement Valve Stent」と題する米国特許第5,957,949号(Leonhardtら)に開示されている。
【0005】
ヒト心臓は、心房から心室へと血液が通って流れる2つの房室弁を含み、これらの弁は、血液が心房に戻らないように機能する。三尖弁は、右房室弁としても知られており、右房と右室との間に位置する三重フラップ弁である。二尖弁又は左房室弁としても知られる僧帽弁は、左房と左室との間に位置する二重フラップ弁であり、肺からの酸素を含む血液を、心臓の左側を通って大動脈内へと方向付けて、身体中に分配する機能を果たす。心臓の他の弁と同様に、僧帽弁は、それ自体がいかなるエネルギーも消費せず、いかなる能動的な収縮機能も行わない受動的な構造である。左房室弁は、弁の両側への差圧に応答してそれぞれ開閉する、2つの可動尖(前尖、後尖)を含む。理想的には、尖は、弁が開放位置にあるときに互いから離れるように移動し、弁が閉鎖位置にあるときに接触又は「接合」する。弁に関して生じ得る問題としては、弁が適切に開口しない狭窄、及び/又は弁が適切に閉鎖しない不全症若しくは逆流が挙げられる。狭窄及び不全症は、同一の弁内で付随して生じ得る。弁機能不全の影響は様々であり、僧帽弁逆流(regurgitation)又は逆流(backflow)は、通常、患者にとって比較的重大な生理学的影響をもたらす。
【0006】
腱索は、僧帽弁の生来の尖と乳頭筋との間の左室内に延在する。腱索は、僧帽弁の後尖に内側乳頭筋を接続し、僧帽弁の前尖に外側乳頭筋を接続する、紐状腱である。僧帽弁プロテーゼを送達する1つの方法は、開胸して心尖部を直接通る経心尖アプローチによって送達することを含む。しかしながら、このような経心尖アプローチの間、腱索は、送達経路内の障害物として作用し得る。腱索は、全て同様に整列するわけではないため、僧帽弁への送達経路に関する課題がより多くなる。弁送達システムは、前進中に腱索内で絡まることがあり、それによって、解剖学的構造内での弁送達システムの移動が制限され、また、弁プロテーゼの正確な整列及び/又は展開が妨げられる。
【0007】
僧帽弁は、他の弁と比較して異なる物理的特性を有するため、僧帽位置への弁の埋め込みは、独自の弁置換要件を有する。僧帽弁を経皮的に置換するための改善された装置及び方法を提供することによってなど、僧帽弁置換装置及び心臓の構造に適応する処置を改善することが引き続き所望されている。本発明の実施形態は、経心尖的弁置換処置中に腱索を管理するための方法及び装置に関する。
【発明の概要】
【0008】
本発明の実施形態は、脈管構造内で送達するように構成されている弁プロテーゼを送達する方法に関する。弁プロテーゼを心臓の生来の弁輪に送達する方法であって、この生来の弁は腱索を有する。索管理カテーテルは、心臓の心室内に位置付けられ、この索管理カテーテルは、その遠位端に変位バルーンを有する。変位バルーンは環状構成要素であって、その内部を通る中央内腔を画定する。変位バルーンは心室内で膨張させられて、腱索を半径方向外向きに押す。弁送達システムは、心臓の心室壁を介して心臓の心室に導入される。弁送達システムは、その遠位部分に弁プロテーゼを有し、弁プロテーゼは送達構成である。弁送達システムは、膨張した変位バルーンの中央内腔を通って、心臓の生来の弁輪に向かって前進する。弁プロテーゼは、展開されて生来の弁と並置される。
【0009】
本発明の別の実施形態では、弁プロテーゼを心臓の生来の弁輪に送達する方法であって、この生来の弁は腱索を有する。索管理カテーテルは、心臓の心室内に位置付けられ、この索管理カテーテルは、その遠位端に変位構成要素を有する。この変位構成要素は環形状を有し、その内部を通る中央内腔を画定する。この変位構成要素は、心室内で腱索を半径方向外向きに押すように半径方向に拡張される。弁送達システムは、心臓の心室壁を介して心臓の心室に導入される。この弁送達システムは、その遠位部分に弁プロテーゼを有し、弁プロテーゼは送達構成である。この弁送達システムは、半径方向に拡張した変位構成要素の中央内腔を通って、心臓の生来の弁輪に向かって前進させられる。弁プロテーゼは、展開されて生来の弁と並置される。
【0010】
本発明の前述及び他の特徴並びに利点は、添付図面において例示されるような本発明の実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。本発明に組み込まれており、明細書の一部を形成する添付図面は、本発明の原理を説明するために、かつ関連技術分野の技術者が本発明を実行かつ使用することを可能にするために更に役立つ。これらの図面は、原寸に比例していない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態で使用するための例示的な経カテーテル弁プロテーゼの斜視図である。
【
図2】生来の僧帽弁の解剖学的構造の断面図である。
【
図3】生来の僧帽弁輪内に埋め込まれた、
図1の弁プロテーゼの断面図である。
【
図4】経カテーテル弁プロテーゼのための例示的な経心尖送達経路又はルートを示す、心臓の解剖学的構造の断面図である。
【
図5】本発明の実施形態による、変位構成要素又はバルーンを遠位端に有する索管理カテーテルの図であり、変位構成要素は、送達又は非拡張構成である。
【
図5A】
図5の線A-Aに沿って切り取られた断面図である。
【
図6】
図5の索管理カテーテルの遠位部分の側面図であり、その変位構成要素は、円筒状構成又は外形を有する膨張可能なバルーンであり、展開又は拡張構成で示されている。
【
図7】
図5の変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、説明目的のみで索管理カテーテルから取り出されており、変位構成要素は、円筒状構成又は外形を有する膨張可能なバルーンであり、展開又は拡張構成で示されている。
【
図8】
図5の索管理カテーテルの端面図であり、変位構成要素は、シャフト構成要素と長手方向にオフセットされ、シャフト構成要素が変位構成要素の最外表面に沿って延在するように、シャフト構成要素の遠位端に封着されている。
【
図9】本発明の別の実施形態による索管理カテーテルの端面図であり、変位構成要素は、シャフト構成要素と長手方向にオフセットされ、シャフト構成要素が変位構成要素の最内表面に沿って延在するように、シャフト構成要素の遠位端に封着されている。
【
図10A】本発明の別の実施形態による索管理カテーテルの遠位部分の側面図であり、変位構成要素は策管理システムの最遠位端に配置され、変位構成要素の送達中に後退可能な外側シースが用いられ、交代可能な外側シースは、変位構成要素の上に配置され、変位構成要素は膨張していない。
【
図10B】
図10Aの索管理カテーテルの遠位部分の側面図であり、後退可能な外側シースは後退しており、変位構成要素は膨張していない。
【
図10C】
図10Aの索管理カテーテルの遠位部分の側面図であり、後退可能な外側シースは後退しており、変位構成要素は膨張している。
【
図10D】
図10Aの索管理カテーテルの遠位部分の端面図であり、後退可能な外側シースは後退しており、変位構成要素は膨張している。
【
図11】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、環状構成又は外形を有する膨張可能なバルーンであり、展開又は拡張構成で示されている。
【
図12】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、球状構成又は外形を有する膨張可能なバルーンであり、展開又は拡張構成で示されている。
【
図13】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、最遠位フランジ又は縁部を有する円筒状構成又は外形を有し、展開又は拡張構成で示されている。
【
図14】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、環状構成又は外形を有する拡張可能なメッシュであり、展開又は拡張構成で示されている。
【
図15】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、拡張可能なリングであり、展開又は拡張構成で示されている。
【
図16】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、円筒状構成又は外形を有する膨張可能なバルーンであり、展開又は拡張構成で示され、円筒状バルーンは、造影剤溶液を受容するための一体型チャネルを含む。
【
図17】
図16の変位構成要素が取り付けられている索管理カテーテルの斜視図であり、変位構成要素は、拡張又は膨張構成である。
【
図18】原位置での
図5の索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルは、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、送達又は非拡張構成である。
【
図19】原位置での
図5の索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルの変位構成要素は、展開又は拡張構成である。
【
図20】
図5の索管理カテーテルを通って原位置に位置付けられている弁送達システムの図であり、弁送達システムは、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、展開又は拡張構成であり、弁送達システムの弁プロテーゼは、送達又は非拡張構成である。
【
図21】
図5の索管理カテーテルを通って原位置に位置付けられている弁送達システムの図であり、索管理カテーテルの変位構成要素は、少なくとも部分的に非拡張構成であり、索管理カテーテルは、少なくとも部分的に近位に後退している又は引き抜かれている。
【
図22】索管理カテーテルを少なくとも部分的に取り出した後の、原位置で展開されている
図1の弁プロテーゼの図である。
【
図23】原位置での索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルは、経大動脈アプローチによって左室内に位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、送達又は非拡張構成である。
【
図24】原位置での2つの索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルは、経大動脈アプローチによって左室内に順次位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、拡張又は膨張構成である。
【
図25】原位置での索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルは、経中隔アプローチによって左室内に位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、送達又は非拡張構成である。
【
図26】本発明の別の実施形態による脊索管理カテーテルの変位構成要素及び遠位端の斜視図であり、変位構成要素は、展開時に漏斗構成を有する平面要素であり、
図26は、変位構成要素がその展開構成であることを示す。
【
図27】
図26の索管理カテーテルの側面図であり、索管理カテーテルの外側シャフトは変位構成要素の上で延在し、したがって変位構成要素はその送達構成である。
【
図28】
図26の変位構成要素の斜視図であり、索管理カテーテルの外側シャフトが後退しており、変位構成要素は部分展開構成である。
【
図29】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、非外傷性長手方向外縁部と共に展開されると、漏斗構成を有する平面要素であり、
図29は、変位構成要素がその展開構成であることを示す。
【
図31】
図30の一部分の拡大図であり、非外傷性長手方向外縁部は丸みを帯びている。
【
図32】本発明の別の実施形態による
図30の一部分の拡大図であり、非外傷性長手方向外縁部は丸みを帯びている。
【
図33】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、非外傷性周向遠位端と共に展開されると、漏斗構成を有する平面要素であり、
図33は、変位構成要素がその展開構成であることを示す。
【
図34】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、非外傷性周方向遠位端と共に展開されると、漏斗構成を有する平面要素であり、変位構成要素は、自己拡張性フィラメントを受容するための周方向通路を含み、
図34は、変位構成要素がその展開構成であることを示す。
【
図37】本発明の別の実施形態による
図35の一部分の拡大図であり、自己拡張性フィラメントは、変位構成要素の2枚の積層シートの間に受容される。
【
図38】本発明の別の実施形態による
図35の一部分の拡大図であり、自己拡張性フィラメントは、周方向通路を形成する管状要素内に受容される。
【
図39】本発明の別の実施形態による索管理カテーテルの変位構成要素及び遠位端の斜視図であり、変位構成要素は、非外傷性周方向遠位端と共に展開されると、漏斗構成を有する平面要素であり、変位構成要素は、索管理カテーテルのシャフトの回転により展開可能であり、
図39は、変位構成要素がその展開構成であることを示す。
【
図40】
図39の変位構成要素及び索管理カテーテルの端面図であり、変位構成要素はその送達構成である。
【
図41】原位置での
図39の索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルは、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、送達又は非拡張構成である。
【
図42】原位置での
図39の索管理カテーテルの図であり、索管理カテーテルの変位構成要素は、展開又は拡張構成である。
【
図43】
図39の索管理カテーテルを通って原位置に位置付けられている弁送達システムの図であり、弁送達システムは、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられており、索管理カテーテルの変位構成要素は、展開又は拡張構成であり、弁送達システムの弁プロテーゼは、送達又は非拡張構成である。
【
図44】本発明の別の実施形態による変位構成要素の斜視図であり、変位構成要素は、最遠位フランジ又は縁部を有する円筒状構成又は外形を有する、拡張可能なメッシュであり、展開又は拡張構成で示されており、変位構成要素は、索管理カテーテル及び左房内のアンカーから解放されて、その後、心臓弁プロテーゼの移植後にその一部となり、弁周囲漏出を防止するように構成されている。
【
図45】本発明の別の実施形態による変位構成要素及びその内部で展開された弁プロテーゼの側面図であり、変位構成要素は、拡張した弁プロテーゼ及び変位構成要素が、原位置での拡張時に構成要素間で完全な適合を形成するように、不規則な嵌合面を含むことを除いて、
図44の変位構成要素に類似である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の特定の実施形態が、図面を参照してここで説明され、図面では、同様な参照番号は、同等な又は機能的に類似した要素を示す。別途記載のない限り、「遠位」及び「近位」という用語は、治療している臨床医に対する位置又は方向に関して以下の説明で使用される。「遠位」及び「遠位に」は、臨床医から遠く離れている、又は臨床医から離れる方向の位置を指し、「近位」及び「近位に」は、臨床医に近い、又は臨床医に向かう方向の位置を指す。加えて、「自己拡張性」という用語は以下の説明で使用され、構造体が、圧縮又は収縮送達構成から拡張展開構成に構造体を戻すための機械的記憶を備え得る材料から成形又は形成されることを伝えることを意図する。非包括的な、例示的な自己拡張性材料としては、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金若しくはニチノールなど疑弾性金属、様々なポリマー、又はニッケル、コバルト、クロム、若しくは他の金属の卑金属を有し得る、いわゆる超合金が挙げられる。機械的記憶は、熱処理によってワイヤ又は骨格構造体に対して付与されて、例えば、ステンレス鋼においてスプリングテンパ-を達成するか、又は、ニチノールなど影響を受けやすい金属合金に形状記憶を設定することができる。形状記憶特性を有するように作製され得る様々なポリマーはまた、本発明の実施形態での使用に好適であり得、ポリノルボレン、トランス-ポリイソプレン、スチレン-ブタジエン、及びポリウレタンなどのポリマーを含む。同様に、ポリL-D乳酸コポリマー、オリゴカプリルラクトンコポリマー、及びポリシクロオクテンは、別々に、又は他の形状記憶ポリマーと共に使用され得る。
【0013】
以下の詳細な説明は、本質的に例示にすぎず、本発明又は本発明の用途及び使用を限定することを意図しない。本発明の実施形態の説明は、生来の僧帽弁内に弁プロテーゼを送達するための送達システムの文脈であるが、本明細書に記載の索管理カテーテルはまた、生来の三尖弁内に弁プロテーゼを送達するため、又は、故障した、以前に埋め込まれたプロテーゼ内に僧帽弁プロテーゼ若しくは三尖弁プロテーゼを送達するためなど、腱索を含む身体の他の弁に使用され得る。更に、先行技術分野、背景、簡単な要約、又は以下の詳細な説明に提示された明示又は暗示された理論に拘束されることを意図するものではない。
【0014】
本発明の実施形態は、経カテーテル心臓弁埋め込み処置において心臓の生来の心臓弁内で展開するように構成されている弁プロテーゼに関連する。
図1は、本発明の実施形態で使用するための例示的な経カテーテル弁プロテーゼ101の斜視図であり、弁プロテーゼは、本発明の実施形態による拡張展開構成である。弁プロテーゼ101は、本発明の実施形態による弁送達システムと共に用いられる索管理方法及び装置の説明を容易にするために、本発明に図示される。任意の数の代替的な心臓弁プロテーゼが、本発明に記載の方法及び装置で使用され得ることが理解される。弁プロテーゼ101は、単に例示的なものであり、参照によりその全体が本発明に組み込まれる、米国特許第9,034,032号(McLeanら)により詳細に記載されている心臓弁プロテーゼに類似している。本開示のシステム及び方法に有用な経カテーテル弁プロテーゼの他の非限定的な例は、米国特許出願公開第2012/0101572号(Kovalskyら)、同第2012/0035722号(Tuval)、同第2006/0265056号(Nguyenら)、同第2007/05409266号(Birdsall)、同第2007/05409269号(Dolanら)、及び同第2008/00713548号(Tuval)に記載されており、これらの特許のそれぞれは、その全体が参照により本発明に組み込まれ、僧帽弁内に配置するように構成されている心臓弁プロテーゼを示す。
【0015】
図1に示すように、心臓弁プロテーゼ101は、内側弁支持体110を少なくとも部分的に包囲し、これに連結される可撓性固定部材108を含む。心臓弁プロテーゼ101は、弁支持体110に連結される、その中に取り付けられる、又は別の方法でそれによって担持される人工弁構成要素104を更に含む。心臓弁プロテーゼ101はまた、1つ以上の封止部材106と、組織係合要素114と、を含む。例えば、組織係合要素114は、固定部材108の上流外周に配置され、上向き及び/又は半径方向外向き方向に延在して係合するスパイクであってよく、いくつかの実施形態では、所望の埋め込み位置にある装置の位置の保持又は維持を容易にするために、生来の組織を穿通する。別の特定の実施形態では、封止部材140は、固定部材108の内壁の周囲及び/又は弁支持体110の外面の周囲に延在して、心臓弁プロテーゼ101と生来の組織との間及び/又は固定部材108と弁支持体110との間の弁周囲漏出を防止してよい。組織係合要素114はまた、固定部材108の外壁の周囲に含まれてよく、外向きに延在して係合してよく、いくつかの実施形態では、生来の弁尖又は他の隣接組織を穿通してよい。更に、弁支持体110は、本明細書に更に記載されるように、上流端の周囲にアイレットなど複数の連結機構112を有して、送達カテーテル(図示せず)内での、及びそこからの心臓弁プロテーゼ101の装填、保持、及び展開を容易にしてよい。
【0016】
弁支持体110は、その内部に人工弁構成要素104を支持する、概ね円筒状のステント又はフレームである。同様に、固定部材108はまた、フレア状、漏斗状、又は双曲面形状を有するステント又はフレームである。いくつかの実施形態では、弁支持体110及び/又は固定部材108は、複数のストラット103によって周方向に接続された複数のポスト102を含む。ポスト102及びストラット103は、拡張し、人工弁構成要素104の完全性を維持するために十分な弾力性及び柱強度を提供し得る様々な幾何学的パターンで配置されてよい。例えば、ポスト102は、複数列のストラット103を横切って長手方向に延在して、弁支持体110にカラム強度を提供できる。概ね、複数のポスト102は、長手方向軸に概ね平行な軸方向に沿って延在してよく、ストラット103は、長手方向軸の周囲に、及びそれに対して直角に延在してもよい。当業者に理解されるように、弁プロテーゼのステント又はフレームは、金属、ポリマー、又はファブリックメッシュ若しくは織物構造など他の構成を有してよい。本発明の実施形態では、弁支持体110は、圧縮又は収縮送達状態から拡張展開状態に戻るように自己拡張性であり、ステンレス鋼、ニッケルチタン合金若しくはニチノールなどの擬似弾性金属、又はニッケル、コバルト、クロム、若しくは他の金属の卑金属を有し得る、いわゆる超合金から作製され得る。本明細書で使用するとき、「自己拡張性」は、構造体/構成要素が、本明細書に記載されるように、拡張又は展開構成に戻る機械的記憶を有することを意味する。あるいは、弁プロテーゼ101は、当業者が理解するように、バルーン拡張型であってよい。弁支持体110が自己拡張性であるか、又はバルーン膨張型であるかにかかわらず、弁プロテーゼ101は、弁送達システム内に送達するための圧縮構成と、生来の弁部位の輪内で展開するための半径方向拡張構成と、を有する。いくつかの実施形態では、固定部材108及び/又は弁支持体110は、単一の金属管から所望の形状にレーザー切断されて、相互接続されたストラットのパイプ足場を形成することができる。次いで、固定部材108は、そのような材料の既知の形状設定技術を使用して、所望の構成、例えば、フレア状、漏斗状、又は双曲面形状に成形されてよい。
【0017】
前述したように、弁プロテーゼ101は、弁支持体110の内部に人工弁構成要素104を含む。人工弁構成要素104は一方向弁として構成されており、一方向への血流を可能にし、それによって、そこを通る血流を調節する。人工弁構成要素104は、一方向への流れを遮断して、二尖又は三尖置換弁を形成し得る弁尖によって、その内部を通る流れを調節できる。より具体的には、弁プロテーゼ101が、僧帽弁などの2つの尖を有する生来の弁内に配置するように構成されている場合、人工弁構成要素104は、流出の圧力を受けると閉じ、流入の圧力を受けると開く二尖置換弁を形成する2つの弁尖を含む。本発明による他の実施形態では、人工弁構成要素は、三尖置換弁であってよい、又は単尖置換弁であってよい。弁尖は、人工組織弁構造の当業者に既知であるように、弁支持体110及び/又は弁支持体110を包囲する、若しくは補強する封止部材106の内周に縫合されるか、ないしは別の方法でしっかり封着される。
【0018】
弁尖は、心膜材料で作製されてよいが、弁尖は、代わりに別の材料で作製されてよい。人工弁構成要素104で使用するための人工弁尖用の自然組織は、例えば、ヒト又は動物(例えば、ウシ、ウマ、又は豚由来)からの心臓弁、大動脈根、大動脈壁、大動脈尖、心膜組織(例えば、心膜パッチ、バイパス移植片、血管、腸粘膜下組織、臍帯組織)などから得られてよい。本発明の実施形態における人工弁尖として使用するのに好適な合成材料としては、Invista North America S.A.R.L(Wilmington,DE)から市販されているDACRON(登録商標)ポリエステル、ポリウレタン、Gore-Tex又は他の布材料、ナイロンブレンド、ポリマー材料、及び真空蒸着ニチノール加工材料が挙げられる。置換弁尖が作製され得る1種類のポリマー材料は、Royal DSM(Netherlands)から商品名DYNEEMAで市販されている超高分子量ポリエチレン材料である。特定の人工尖材料では、過成長を防止又は最小限に抑える材料で置換弁尖の片側又は両側を被覆することが望ましい場合がある。人工尖材料に耐久性があり、また、伸張、変形、又は疲労を受けないことが更に望ましい。
【0019】
封止部材106は、心膜又は腸粘膜下組織などの別の膜状組織など天然材料又は生物材料など好適な移植材料から形成される。あるいは、密封材料106は、ポリエステル、Dacronファブリックなど低多孔性の織布、又はPTFEであってよく、これらは、ステントに取り付けられたときに一方向流体通路を形成する。一実施形態では、封止部材106は、ポリエステル又はPTFEニットなどニット又は織物ポリエステルであってよく、これらは、組織の内方成長のための媒体及び織布が伸張して曲面に適合する能力を提供することが望ましい場合に用いられ得る。一方の側に組織の内方成長のための媒体、及び他方の側に滑らかな表面を提供することが所望される場合などでは、ポリエステルベロアファブリックが、代わりに用いられ得る。これら及び他の適切な心血管ファブリックは、例えば、Bard Peripheral Vascular,Inc.(Tempe,Ariz.)から市販されている。
【0020】
図2は、左房LAと、左室LVと、僧帽弁MVと、大動脈弁AVと、を含む心臓Hの断面図を示す。血流BFは、左房LA内、左室LV内に入り、僧帽弁MVを通り、大動脈弁AVを通って大動脈内に入る
図2の方向矢印で示される。僧帽弁MVはサドル形状であり、2つの生来の尖(後尖PL及び前尖AL)を含み、腱索CTは、僧帽弁MVの生来の尖と乳頭筋との間の左室LV内に延在する。本明細書に前述したように、腱索CTは、僧帽弁MVの後尖PLに内側乳頭筋MPMを接続し、僧帽弁MVの前尖ALに外側乳頭筋LPMを接続する紐状腱である。生来の僧帽弁が適切に動作している場合、生来の尖は、概して、尖が開放位置にあるときには、血液が左室LVに向かって流れるように、また尖が閉鎖位置にあるときには、血液が左房LAに向かって移動しないように機能する。収縮期中、生来の尖が閉鎖して、心房への血液の逆流を防止するとき、腱索CTが張り詰めて生来の弁尖を閉鎖位置に保持することにより、生来の弁尖がめくれたり、心房内に脱出したりしないようにする。
【0021】
図3は、生来の僧帽心臓弁内に埋め込まれた弁プロテーゼ101の図であり、断面で示されている。弁プロテーゼ101は、生来の僧帽弁内で展開されて示され、その上流端は左室内に延在し、その下流端は左房内に延在する。弁プロテーゼ101が生来の心臓弁の弁輪内で展開されるとき、弁支持体110及び固定部材108は、患者の欠陥のある弁の生来の弁尖(後尖PL及び前尖AL)内で拡張し、生来の弁尖を恒久的に開放状態で保持する。
【0022】
僧帽弁プロテーゼ101を送達する1つの方法は、
図4に最も良好に示されるように、開胸して心尖部を直接通る経心尖アプローチによって送達することを含む。
図4は、弁プロテーゼ101を、左房と左室との間に位置する生来の僧帽弁に送達するための、方向矢印416によって表される例示的な経心尖送達経路又はルートを示す、心臓の解剖学的構造の断面図である。
図4はまた、弁プロテーゼを、右房と右室との間に位置する生来の三尖弁に送達するための、方向矢印418によって表される例示的な経心尖送達経路又はルートを示す。経心尖アプローチでは、心臓へのアクセスは胸腔切開によって得られ、これは従来の開胸術若しくは胸骨切開術であり得る、又はより小さい肋間若しくは剣状突起切開若しくは穿刺であり得る。次いで、アクセスカニューレは、心尖部又はその近くの左室の壁内の穿刺部(巾着縫合によって封止される)を通って配置される。次いで、本明細書に記載の弁送達システムを、このアクセスカニューレを通って左室に導入してよい。経心尖アプローチは、僧帽弁又は三尖弁までのより短く、より直線的であり、より直接的な経路を提供するという特徴を有する。更に、血管内アクセスを伴わないため、経心尖的処置は、他の経皮的アプローチで必要とされるカテーテル法を実行するために介入心臓学において必要な訓練を有さない外科医によって行われ得る。送達中、自己拡張性の場合、弁プロテーゼは、標的の病変した生来の心臓弁に到達するまで圧縮されたままであり、弁プロテーゼは、到達時に弁送達システムから解放され、自己拡張によって原位置で拡張し得る。次いで、弁送達システムは取り出され、弁プロテーゼ101は、生来の標的心臓弁内に展開状態で留まる。あるいは、弁プロテーゼ101は、当業者が理解するように、バルーン拡張型であってよく、その送達は、バルーンカテーテルによって達成されてよい。
【0023】
しかしながら、本明細書に前述したように、腱索は、弁プロテーゼ101が経心尖的に送達されると、送達経路416、418内の障害物として作用し得、弁送達システムは、前進中に腱索内で絡まる場合がある。本発明の実施形態は、経心尖的弁置換処置中に腱索を管理するための方法及び装置に関する。より具体的には、本発明の実施形態は、索管理カテーテル520に関し、このカテーテルは、その遠位端に変位構成要素530を有して、心臓の左室又は右室内で展開し、索腱を変位させ、それによって、変位構成要素530によって画定された中央内腔又は通路538を通って前進する、以降に送達される弁送達システムのために経路の障害物を除去する。変位構成要素530は、尖部からの僧帽アクセスを妨げる腱索を再配置又は変位させ、一方、変位構成要素530によって画定された中央内腔538は、弁送達システムが通過して弁プロテーゼを展開し、弁の展開後に弁送達システムが安全に取り出されるように、障害物のない経路又は経路を提供する。
【0024】
索管理カテーテル520は、
図5及び
図5Aを参照してより詳細に説明され、
図5Aは、
図5の線A-Aに沿って切り取られた断面図である。
図5は、変位構成要素530を有する索管理カテーテル520の側面図であり、変位構成要素は送達又は非拡張構成である。
図6及び
図7は、半径方向に拡張した又は膨張した構成の変位構成要素530の側面図及び斜視図をそれぞれ示す。
図5の実施形態では、変位構成要素530は膨張可能なバルーンである。拡張又は膨張構成では、変位構成要素530は、その内部を通る中央内腔又は通路538を画定する円筒状の膨張可能なバルーンである。参照によりその全体が本発明に組み込まれる、米国特許第4,909,252号(Goldberger)は、本発明の実施形態で使用するために修正され得る環状又はリング状バルーンについて説明している。拡張した変位構成要素530は、外壁又は周面534と、内壁又は周面536と、を有する環状断面を有し、内部空間又は容積535が外壁534と内壁536との間に画定されている。患者のサイズに応じて、外壁534は、患者の解剖学的構造に応じて直半径方向に20mm~60mmの幅があってよく、内壁536は、それと共に使用される送達装置に応じて直半径方向に8mm~45mmの幅があってよい。ある実施形態では、外壁534は約20mmであってよく、内壁536は約14mmであってよい。中央内腔538は、弁送達システムの以降の送達を可能にし、したがって内壁536は、間に間隙を設けるために、弁送達システムの外形よりもわずかに大きいサイズである。より具体的には、中央内腔538は、弁送達システム内に収容された弁プロテーゼの展開に先立って弁送達システムを生来の弁輪へと誘導するために、弁送達システムが拡張した変位構成要素530を通って以降に送達され得るサイズであり、そのように構成されている。拡張した変位構成要素530は、腱索を押すか又は変位させ、左室又は右室内に後に導入される弁送達システムの経路又はルートの障害物を除去し、より良好に人工弁を展開するために、弁置換/修復処置の開始時に生来の弁輪内に位置付けられる。
【0025】
索管理カテーテル520は、シャフト構成要素522と、シャフト構成要素522の近位端に配置されたルアーハブ525と、シャフト構成要素522の遠位端に配置されたテーパ状遠位先端529と、を含む。バルーンカテーテル設計の当業者に理解されるように、索管理カテーテル520の近位部分は、患者の外部に延在し、ルアーハブ525、又は近位ガイドワイヤポート521及び膨張流体源に接続され得る近位膨張ポート523を有する他のタイプの取り付け具を含む。シャフト構成要素522は、多内腔異形押出によって形成され、その内部を通るガイドワイヤ内腔528、及び変位構成要素530の内部空間又は容積535と流体連通している膨張内腔524を画定する。ガイドワイヤ内腔528は、
図5に示されるように、索管理カテーテル520が、その送達中にガイドワイヤ上で追跡されるように構成されているように、ルアーハブ525の近位ガイドワイヤポート532を通ってガイドワイヤ532を摺動自在に受容するサイズである。
【0026】
変位構成要素530の少なくとも一部は、シャフト構成要素522から長手方向にオフセットされるように、シャフト構成要素522に封着される。
図5の実施形態では、変位構成要素530は、変位構成要素530の近位端及び遠位端に位置付けられた取り付け点526A、526Bにおいて、シャフト構成要素522の外側表面に封着されている。取り付け点526A、526Bのうちの少なくとも1つに沿って、シャフト構成要素522は遠位膨張ポート又は開口部(図示せず)を含み、膨張内腔524と変位構成要素530の内部容積535との間に流体連通を提供する。膨張内腔524により、膨張流体は、ルアーハブ525を通って索管理カテーテル520の近位端において受容され、変位構成要素530に送達されることが可能になる。膨張流体が膨張内腔524内で提供されるとき、膨張流体は、変位構成要素を拡張構成へと膨張させるために、変位構成要素530の内部容積535を充填する。本発明のある実施形態では、変位構成要素530を膨張させる膨張流体は、拡張した変位構成要素530が弁置換/修復処置中にその一定の可視化を提供するように、造影剤を含む。
【0027】
シャフト構成要素522は、任意の好適な可撓性ポリマー材料から形成される。シャフト構成要素の材料の非包括的な例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン、ポリエチレン、PEBAX、又はこれらのいずれかの組み合わせであり、ブレンド若しくは共押出のいずれかである。所望により、シャフト構成要素の一部は、強度、可撓性、及び/又は靱性を向上させるために、ポリマー本体内に組み込まれた補強材料を有する複合体として形成される。好適な補強層としては、組物、ワイヤメッシュ層、埋め込まれた軸方向ワイヤ、埋め込まれた螺旋状又は周方向ワイヤなどが挙げられる。ある実施形態では、シャフト構成要素522の近位部分は、いくつかの例では、ハイポチューブ、又は例えば、参照によりその全体が本発明に組み込まれる、米国特許第5,827,242号(Follmerら)に示され、説明されているように強化ポリマーチューブなど金属チューブ類から形成されてよい。シャフト構成要素522は、本体容器内の標的位置まで延在する任意の好適な作動長を有してよい。
【0028】
変位構成要素530は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド12、又はポリエチレンブロックコポリマーを含むがこれらに限定されない、拡張バルーンに一般的に使用され得るものなどポリマー材料で作製されてよい。本発明のある実施形態では、内壁の強度が変位構成要素530の外壁又は周面534よりも高いように、変位構成要素530の内壁又は周面536にコーティングが塗布される。ある実施形態では、コーティングは、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー材料などであるがこれらに限定される、耐摩耗性及び耐穿刺性コーティングであってよい。別の実施形態では、変位構成要素530の内壁又は周面536は、共押出によって形成され得る2層構成において、変位構成要素530の外壁又は周面534よりも2番目に強いものから形成されてもよい。弁送達システムが中央内腔538を通過するとき、変位構成要素530の内壁又は周面536は弁送達システムと接触してよく、したがって、それにコーティングを塗布することにより、弁送達システムの前進中の引き裂きに対する抵抗がより強くなる。
【0029】
他の種類のカテーテル構造(例えば、外側シャフトの内側表面と内側シャフトの外側表面との間に画定された環状膨張内腔を有する同軸の内側シャフト及び外側シャフトを含む同軸カテーテル構造などが挙げられるが、これに限定されない)はまた、本発明に修正可能である。
図5の実施形態では、索管理カテーテル520は、ガイドワイヤを収容するためにカテーテルの実質的に全長に延在するガイドワイヤ内腔528を有するオーバーザワイヤ(OTW)カテーテル構成を有する。別の実施形態(図示せず)では、索管理カテーテル520は、ガイドワイヤ内腔528が索管理カテーテル520の遠位部分内のみに延在するように、本発明の範囲から逸脱することなく、迅速交換式(RX)カテーテル構成であるように修正される。
【0030】
加えて、変位構成要素530は、膨張内腔524が変位構成要素530の内部空間又は容積535と流体連通している限り、任意の好適な方法でシャフト構成要素522に封着されてよい。より具体的には、
図8に最も良好に示されるように、変位構成要素530は、シャフト構成要素522の遠位端に封着され、その結果、シャフト構成要素522は変位構成要素530の最外表面に沿って延在する。
図9に示す別の実施形態では、変位構成要素930は、シャフト構成要素922の遠位端に封着され、その結果、シャフト構成要素922は、変位構成要素930の中央内腔938内で変位構成要素930の最内表面に沿って延在する。変位構成要素930の中央内腔928内にシャフト構成要素922を配置することによって、変位構成要素930は、左室又は右室を本質的に充填する、比較的より広い寸法に半径方向に拡張するように構成され得る。
【0031】
図10A~10Dに示される別の実施形態では、索管理カテーテル1020は、シャフト構成要素1022上に配置された後退可能な外側シース1027を含む。変位構成要素1030は、変位構成要素530に類似の膨張可能なバルーンであるが、この実施形態では、変位構成要素1030は、シャフト構成要素1022の最遠位端又は先端に取り付けられている。シャフト構成要素1022は、その内部を通る膨張内腔(図示せず)を画定し、これは、変位構成要素1030の内部空間又は容積と流体連通しており、ガイドワイヤ内腔(図示せず)も画定し得る。外側シース1027は、
図10Aに示されるように送達中に変位構成要素1030を収容するように設けられ、
図10B~10Dに示されるように変位構成要素1030を膨張させることが望ましいときに後退する。より具体的には、
図10Bは、外側シース1027が後退しているものの、変位構成要素1030はまだ膨張していないことを示し、
図10C及び10Dは、それぞれ変位構成要素1030の膨張後の側面図及び端面図である。シャフト構成要素1022の最遠位端又は先端に変位構成要素1030を配置することにより、索管理カテーテル1020は、
図23及び24で説明されるような経大動脈アプローチによって左室内に位置付けられる場合に特に有用であり得る。これは、変位構成要素1030の中央内腔1038は、変位構成要素1030の膨張時に、索管理カテーテル1020の遠位に配置されるためである。
【0032】
膨張した円筒状外形又は構成で示されているが、変位構成要素530は、腱索を押す又は変位させ、左室又は右室内に後に導入される弁送達システムの経路又はルートの障害物を除去するように構成されている他の構成を有してよい。例えば、
図11は、本発明の別の実施形態による、展開又は拡張構成で示される変位構成要素1130の斜視図である。拡張又は膨張構成では、変位構成要素1130は、その断面がその内部を通る中央開口部又は内腔1138を画定するようにドーナツ形状又はトロイド形状の構成を有する環状構成要素である。
図12は、本発明の別の実施形態による、展開又は拡張構成で示される変位構成要素1230の斜視図である。拡張又は膨張構成では、変位構成要素1230は円筒状ではなく、膨張した球状外形又は構成を有する。変位構成要素1230は、弁送達システムの以降の送達のために、その内部を通る中央開口部又は内腔1238を画定する。
図13は、本発明の別の実施形態による、展開又は拡張構成で示される変位構成要素1330の斜視図である。拡張又は膨張構成では、変位構成要素1230は、円筒状外形又は構成を有するが、変位構成要素の残りの長さの外径よりも大きい外径を有する最遠位フランジ又は縁部1396も含む。変位構成要素1330は、弁送達システムの以降の送達のために、その内部を通る中央開口部又は内腔1338を画定する。原位置での膨張時に、最遠位フランジ又は縁部1396は、左房内に配置され、弁送達システムの送達中に生来の僧帽弁輪に接触して、変位構成要素1330を固定するように構成されている。本発明のある実施形態では、最遠位フランジ又は縁部1396は、放射線不透過性材料から形成されてよく、及び/又は弁の埋め込み中に放射線不透過性マーカーとして機能する放射線不透過性コーティングを含んでよい。
【0033】
図14は、本発明の別の実施形態による変位構成要素1430の斜視図である。変位構成要素1430は、環状構成又は外形を有する、拡張可能なメッシュ又は編組構成要素であり、展開又は拡張構成で示されている。変位構成要素1430は、一緒に織られた複数の金属ワイヤ若しくはフィラメントから構成される編組構造、又は型打ちメッシュ1437を含み、その断面がその内部を通る中央開口部若しくは内腔1438を画定して、弁送達システムの以降の送達を可能にするように、トロイド形状又はドーナッツ形状の構成を有する。変位構成要素1430の拡張時にメッシュ1437によって画定される開放空間1439により、血液又は他の流体は、弁置換/修復処置中にその内部を通って流れることができ、それによって血流が遮断されない、又は閉塞しない。
図14に示される実施形態では、変位構成要素1430は自己拡張性であり、これは、拡張又は展開構成に戻るための機械的記憶を有することを意味する。機械的記憶は、変位構成要素1430を形成する編組又はメッシュ構造体に対して熱処理によって付与され、例えば、ステンレス鋼においてスプリングテンパ-を達成してよい、又は、ニチノールなど影響を受けやすい金属合金に形状記憶を設定してよい。拡張可能な変位構成要素1430は、外側シース(図示せず)内でその送達構成において保持又は圧縮され、その結果、変位構成要素1430は、縮小した外形で脈管構造を通って追跡されるように構成されている。変位構成要素1430を環状トロイド形状又はドーナツ形状の構成に拡張することが望ましい場合、外側シースは、変位構成要素1430が解放され、その拡張構成をとることができるように引き抜かれる。
図15に示される本発明の別の実施形態では、変位構成要素1530は、その内部を通る開口部又は内腔1538を画定する拡張可能なリングであってよく、変位構成要素1430と同様に動作するように自己拡張性材料から形成される。
【0034】
本発明のある実施形態では、変位構成要素は、索管理カテーテル及び左房内のアンカーから解放され、以降は埋め込み後に心臓弁プロテーゼの一部となり、弁周囲漏出を防止するように構成されてよい。より具体的には、
図44は、本発明の別の実施形態による、展開又は拡張構成で示される変位構成要素4430の斜視図である。変位構成要素4430は、内部を通る中央開口部又は内腔4438を画定して、弁送達システムの以降の送達を可能にする、拡張可能なメッシュ又は編組構成要素である。変位構成要素4430は、一緒に織られた複数の金属ワイヤ若しくはフィラメントから構成される編組構造、又は型打ちメッシュ4437を含む。変位構成要素4430の拡張時にメッシュ4437によって画定される開放空間4439により、血液又は他の流体は、弁置換/修復処置中にその内部を通って流れることができ、それによって血流が遮断されない、又は閉塞しない。拡張又は展開構成では、変位構成要素4430は、円筒状外形又は構成を有するが、変位構成要素の残りの長さの外径よりも大きい外径を有する最遠位フランジ又は縁部4496も含む。原位置での展開時に、最遠位フランジ又は縁部4496は、左房内に配置され、弁送達システムの送達中に生来の僧帽弁輪に接触して、変位構成要素4430を固定するように構成されている。本発明のある実施形態では、最遠位フランジ又は縁部4496は、放射線不透過性材料から形成されてよく、及び/又は弁の埋め込み中に放射線不透過性マーカーとして機能する放射線不透過性コーティングを含んでよい。変位構成要素4430は自己拡張性であり、これは、拡張又は展開構成に戻るための機械的記憶を有することを意味する。機械的記憶は、変位構成要素4430を形成する編組又はメッシュ構造体に対して熱処理によって付与され、例えば、ステンレス鋼においてスプリングテンパ-を達成してよい、又は、ニチノールなど影響を受けやすい金属合金に形状記憶を設定してよい。拡張可能な変位構成要素4430は、外側シース(図示せず)内でその送達構成において保持又は圧縮され、その結果、変位構成要素4430は、縮小した外形で脈管構造を通って追跡されるように構成されている。変位構成要素4430を展開構成に拡張することが望ましい場合、外側シースは、変位構成要素4430が索管理カテーテルから解放され、その拡張構成をとることができるように、引き抜かれる。
【0035】
変位構成要素4430は、自己拡張性ポリマー材料などの比較的軟質又は半軟質の材料から形成される。生来の弁内に送達されて展開されると、最遠位フランジ又は縁部4496は左房内に配置され、生来の僧帽弁輪に接触して変位構成要素4430を固定し、それによって索管理カテーテルの取り出しを可能にする。中央開口部又は内腔4438、並びにメッシュ4437によって画定される開放空間4439は、血流が遮断されない、又は閉塞しないように弁プロテーゼの送達中に血液又は他の流体がその内部を通って流れることができるようにする。次いで、弁送達カテーテルは中央開口部又は内腔4438を通って前進させられてよく、弁プロテーゼは中央開口部又は内腔4438内で展開されてよい。弁プロテーゼが変位構成要素4430内で展開されると、弁プロテーゼの反半径方向力は、弁プロテーゼ及び変位構成要素4430を共に取り付ける、又は固定する。より具体的には、変位構成要素4430は比較的軟質又は半軟質の材料から形成されるため、弁プロテーゼの拡張により変位構成要素4430は圧縮され、それによって、拡張した弁プロテーゼと生来の解剖学的構造との間に変位構成要素4430を固定する。拡張した弁プロテーゼと生来の解剖学的構造との間に挟まれると、変位構成要素4430は、狭窄、カルシウム、又は不規則な弁尖形成に起因して弁プロテーゼが生来の解剖学的構造に適合しないようにし得る、拡張した弁プロテーゼの外側表面と生来の弁組織との間の任意/全ての間隙又は空洞/隙間を実質的に充填する。本明細書で使用するとき、「実質的に」は、標的間隙又は空洞を通って流れる血流が閉塞する、又は遮断される、つまり換言すると、血液がそこを通って流れることが許可されないことを意味する。拡張した弁プロテーゼと生来の解剖学的構造との間に挟まれると、変位構成要素4430は、心臓弁プロテーゼの周囲の連続的な周方向シールとして機能し、弁プロテーゼの外周の周りの血流を遮断又は防止し、それによって埋め込み部位における弁周囲漏出を最小限に抑える、及び/又は排除する。
【0036】
拡張した弁プロテーゼと変位構成要素4430との間の固定を改善するために、拡張した弁プロテーゼ及び変位構成要素4430は、原位置での拡張時に構成要素間に完全に適合するために、不規則な嵌合表面を含んでよい。例えば、
図45に示すように、変位構成要素4530の内側表面4590は、その上に形成された雌型ノッチ4592を含む。換言すれば、中央開口部又は内腔4538は、その上に形成された雌型ノッチ4592を含む。変位構成要素4530は、変位構成要素4530に類似であり、その内部を通る中央開口部又は内腔4538を画定して、弁送達システムの以降の送達を可能にする、拡張可能なメッシュ又は編組構成要素である。変位構成要素4530の拡張時にメッシュ4537によって画定される開放空間4539により、血液又は他の流体は、弁置換/修復処置中にその内部を通って流れることができ、それによって血流が遮断されない、又は閉塞しない。拡張又は展開構成では、変位構成要素4530は、円筒状外形又は構成を有するが、変位構成要素の残りの長さの外径よりも大きい外径を有する最遠位フランジ又は縁部4596も含み、これは、左房内に配置され、弁送達システムの送達中に生来の僧帽弁輪に接触して、変位構成要素4530を固定するように構成されている。変位構成要素4530は、自己拡張性ポリマー材料などの比較的軟質又は半軟質の材料から形成される。弁プロテーゼ4501が変位構成要素4530内で展開されると、弁プロテーゼの反半径方向力は、弁プロテーゼ及び変位構成要素4530を共に取り付ける、又は固定する。拡張した弁プロテーゼ4501と生来の解剖学的構造との間に挟まれると、変位構成要素4530は、狭窄、カルシウム、又は不規則な弁尖形成に起因して、弁プロテーゼが生来の解剖学的構造に適合しないようにし得る、拡張した弁プロテーゼの外側表面と生来の弁組織との間の任意/全ての間隙又は空洞/隙間を実質的に充填する。弁プロテーゼ4501は、雌型ノッチ4592と嵌合するように構成されている雄突起部4594を含むように修正されることを除いて、上記の弁プロテーゼ101に類似してよい。弁プロテーゼ4501が中央開口部又は内腔4538内で拡張すると、弁プロテーゼ4501の雄型突起部4594は、変位構成要素4530の雌型ノッチ4592内にしっかりと適合して、構成要素間の適合を強化する。
【0037】
図16は、本発明の別の実施形態による変位構成要素1630の斜視図であり、
図16Aは、
図16の線A-Aに沿って切り取られた変位構成要素1630の断面図である。
図16及び16Aに示される拡張又は膨張構成では、変位構成要素1630は、その内部を通る中央内腔又は通路1638を画定する円筒状の膨張可能なバルーンである。中央内腔538と同様に、中央内腔1638は、弁送達システムの以降の送達を可能にする。より具体的には、中央内腔1638は、弁送達システム内に収容された弁プロテーゼの展開に先立って弁送達システムを生来の弁輪へと誘導するために、弁送達システムが拡張した変位構成要素1630を通って以降に送達され得るサイズであり、そのように構成されている。拡張した変位構成要素1630は、腱索を押すか又は変位させ、左室又は右室内に後に導入される弁送達システムの経路又はルートの障害物を除去し、より良好に人工弁を展開するために、弁置換/修復処置の開始時に生来の弁輪内に位置付けられる。拡張した変位構成要素1630は、外壁又は周面1634と、内壁又は周面1636と、を有する環状断面を有し、内部空間又は容積1635が外壁1634と内壁1636との間に画定されている。
【0038】
変位構成要素1630は、造影剤溶液を受容するための内部空間又は容積1635内の複数の一体型チャネル又はポケット1631A、1631B、1631C(本明細書ではポケット1631と総称される)を含む。一体型ポケット1631には、弁送達システムの適切な位置合わせ及び位置付けを支援するマーカーが設けられ、その後弁送達システムは、拡張した変位構成要素1630の中央内腔1638を通って送達される。ポケット1631は模様又は幾何学的形状を形成し、この模様を有さないバルーンよりも、X線透視下で変位構成要素1630を見やすくする。ある実施形態では、
図16に示されるように、模様又は幾何学的形状は、3つの円周方向に離間したポケット1631を含むが、他の模様も好適であり得る。
【0039】
図17は、取り付けられた変位構成要素1630を有する索管理カテーテル1620の斜視図である。
図17Aは、
図17の線A-Aに沿って切り取られた断面図である。単一の膨張内腔とは対照的に、索管理カテーテル1620は、造影剤溶液を送達するための第1膨張内腔1624Aと、生理食塩水を送達するための第2膨張内腔1624Bと、を含む。より具体的には、索管理カテーテル1620は、シャフト構成要素1622と、シャフト構成要素1622の近位端に配置されたルアーハブ1625と、近位ガイドワイヤポート1621を有するルアーハブ1626と、膨張流体源に接続され得る2つの近位膨張ポート1623A、1623Bと、を含む。シャフト構成要素1622は、多内腔異形押出によって形成され、その内部を通るガイドワイヤ内腔1628、並びに第1及び第2膨張内腔1624A、1624Bを画定する。ガイドワイヤ内腔1628は、
図17に示されるように、索管理カテーテル1620が、その送達中にガイドワイヤ上で追跡されるように構成されているように、ルアーハブ1625の近位ガイドワイヤポート1632を通ってガイドワイヤ1632を摺動自在に受容するサイズである。
【0040】
変位構成要素1630の少なくとも一部は、シャフト構成要素1622と長手方向にオフセットされるように、シャフト構成要素1622に封着される。
図16の実施形態では、変位構成要素1630は、変位構成要素1630の近位端及び遠位端に位置付けられた取り付け点1626A、1626Bにおいて、シャフト構成要素1622の外側表面に封着される。取り付け点526Aに沿って、シャフト構成要素1622は第1遠位膨張ポート又は開口部(図示せず)を含み、第1膨張内腔1624Aと変位構成要素530のポケット1631の内部容積との間に流体連通を提供する。膨張内腔1624Aにより、造影剤溶液は、ルアーハブ1625の近位膨張ポート1623Aを通って索管理カテーテル1620の近位端において受容され、変位構成要素1630に送達されることが可能になる。第1膨張内腔1624A内に造影剤溶液が提供されると、変位構成要素530のポケットの内部容積1631が充填される。シャフト構成要素1622は、取り付け点526Aに沿って第2遠位膨張ポート又は開口部(図示せず)を含み、第2膨張内腔524Bと変位構成要素1630の内部容積1635との間に流体連通を提供する。膨張内腔1624Bにより、膨張流体は、索管理カテーテル1620の近位端にあるルアーハブ1625の近位膨張ポート1623Bを通って受容され、変位構成要素1630に送達されることが可能になる。膨張流体が膨張内腔1624B内で提供されるとき、膨張流体は、変位構成要素を拡張構成へと膨張させるために、変位構成要素1630の内部容積1635を充填する。
【0041】
図18~22を参照して、索管理カテーテル520を使用して心臓の生来の弁輪に弁プロテーゼを送達する(生来の弁は腱索を有する)方法を説明する。
図18を参照すると、索管理カテーテル520は、ガイドワイヤ532上での追跡後の原位置で示されており、その変位構成要素530は、送達又は非拡張構成である。この実施形態では、索管理カテーテルは、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられ、心臓の左室内に索管理カテーテル520を位置付けることは、心尖部にカテーテルを導入すること、並びに心尖部に隣接する心室壁を通ってカテーテルを導入することを含む。換言すれば、本発明で使用するとき、「経心尖アプローチ」は、心尖部のみを介した導入に限定されるものではなく、心尖部に隣接する心室壁も含む。これは、心臓の解剖学的構造が患者ごとに異なるためである。更に、上述したように、
図18では生来の僧帽弁に関連する腱索の治療のために左室に導入されるものとして記載されているが、生来の三尖弁に関連する腱索を治療するために、索管理カテーテル520を右室に同様に導入できる。索管理カテーテル520は、その遠位先端が生来の僧帽弁輪の下の左室、すなわち、生来の僧帽弁の下側に位置付けられるまで操作され、前進させられる。別の実施形態では、索管理カテーテル520は、変位構成要素530が生来の僧帽弁の下側と係合する、又は接触するまで操作され、前進させられる。索管理カテーテル520は、カテーテルが所望どおりに位置付けられた後に取り出され得るガイドワイヤ532上で追跡されてよい。
【0042】
変位構成要素530が記載されるように左室内に位置付けられると、
図19に示されるように、変位構成要素530は膨張させられ、展開又は拡張構成となる。変位バルーン530は心室内で膨張させられて、全ての索腱、小柱、及び心室バンドを心室壁に向かって半径方向外向きに押す。索腱索の変位は腱索を損傷せず、むしろ、変位構成要素530の中央開口部538は、未閉塞のチャネル又は経路を生来の僧帽弁に提供する。本発明のある実施形態では、当業者には理解されるように、変位構成要素530は、内視鏡(図示せず)を用いて膨張させられてよい。変位構成要素530は、完全に膨張又は拡張してよく、又は部分的に膨張若しくは拡張してよく、又は必要に応じて拡張して、全ての索腱、小柱、及び心室バンドを心室壁に向かって半径方向外向きに押す。左室のサイズに対する変位構成要素530の幅及び長さは、
図19に示されるものとは異なり得る。例えば、拡張又は膨張した変位構成要素は、図示されているものより長い長さを有するように構成されていて、生来の僧帽弁の下側から左室の底部まで延在してよい、又は
図11の環状ドーナツ形状構成などに示されるものよりも短い長さを有するように構成されてよい。同様に、拡張又は膨張した変位構成要素は、図示されているものよりも大きい幅を有するように構成されていて、左室を本質的に充填し、乳頭筋を心室壁に向かって、またそれに対して半径方向外向きに押してよい。寸法は用途に応じて異なり、未閉塞のチャネル又は経路を生来の僧帽弁に提供するように十分に腱索を外側に押すように構成されていることのみが必須である。
【0043】
変位構成要素530が左室内に位置付けられ、拡張されて腱索を変位させると、弁プロテーゼ101が取り付けられた弁送達システム2040は治療部位に送達され、
図20に示すように、拡張した変位構成要素530の中央開口部538を通って前進させられる。弁送達システム2040は、変位構成要素の中央開口部内での前進後の原位置で示され、弁プロテーゼ101は送達又は非拡張構成である。この実施形態では、弁送達システム2040は、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられ、心臓の左室内に弁送達システム2040を位置付けることは、心尖部にカテーテルを導入すること、並びに心尖部に隣接する心室壁を通ってカテーテルを導入することを含む。換言すれば、本明細書に前述したように、本明細書で使用するとき、「経心尖アプローチ」は、心尖部のみを介した導入に限定されるものではなく、心尖部に隣接する心室壁も含む。これは、心臓の解剖学的構造が患者ごとに異なるためである。更に、上述したように、
図20では生来の僧帽弁の弁置換のために左室に導入されるものとして記載されているが、生来の三尖弁の弁置換のために、弁送達システム2040は、右室に同様に導入され得る。弁送達システム2040は操作され、膨張した変位構成要素530の中央内腔538を通って心臓の生来の僧帽弁輪に向かって前進させられる。
【0044】
図20では、弁送達システム2040は、送達又は圧縮構成の弁プロテーゼ101(
図20では閉塞しているが、
図22に示される)と共に示されており、弁プロテーゼは、弁送達システムの遠位カプセル部2042内に装填されている。弁送達システム2040は、欠陥のある心臓弁の経カテーテル修復/置換のために構成されている。
図20Aに示されるように、弁送達システム2040はまた、その内部を通る内腔2048を画定する管状シャフト構成要素2046と、その内部を通る内腔2052を画定する管状内側シャフト2050と、を含む。遠位端2041は、内側シャフト2050の遠位端に連結されている。内側シャフト2050は、シャフト構成要素2046の内腔2048内に同心円状に配置され、内側シャフト2050の内腔2052は、ガイドワイヤ2054を摺動自在に受容するサイズであり、したがって弁送達システム2040は、所望に応じて弁プロテーゼの送達中にガイドワイヤ上で追跡されるように構成されている。ただし、弁送達システム2040は、膨張した変位構成要素530の中央内腔538を通って前進するため、ガイドワイヤ上での追跡は必須ではない。
図20の送達構成では、遠位カプセル部2042は、弁プロテーゼ上に配置されて、内側シャフト2050と圧着係合する弁プロテーゼに圧力をかけて保持する。弁送達システム2040は、参照によりその全体が本明細書に以前組み込まれた米国特許第9,034,032号(McLeanら)、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、同第2011/0245917号(Savageら)、同第2011/0251675号(Dwork)、同第2011/0251681号(Shipleyら)、同第2011/0251682号(Murray,IIIら)、及び同第2011/0264202号(Murray,IIIら)に記載されている送達システムのうちの1つであり得るが、これらに限定されるものではない。弁送達システム2040の遠位端2041は、生来の弁輪を越えて前進させられ、左房内に位置する。
【0045】
弁送達システム2040の所望どおりの位置付け後、変位構成要素530は、少なくとも部分的に収縮するか、又は非拡張であり、索管理カテーテル520は、
図21に示されるように、少なくとも部分的に近位方向に引き抜かれるか、又は後退させられる。索管理カテーテル520は、弁プロテーゼ101の送達への干渉を回避するために、少なくとも部分的に近位方向に引き抜かれるか、又は後退させられる。索管理カテーテル520が少なくとも近位に引き抜かれた後、弁プロテーゼ101は、
図22に示されるように完全に展開又は拡張される。より具体的には、弁送達システム2040の遠位カプセル部2042は近位に後退させられて、弁プロテーゼ101の全長を露出して解放する。弁プロテーゼ101は自己拡張して、周囲の生来の解剖学的構造、すなわち、生来の弁輪と並置される。次いで弁送達システム2040は、部分的に収縮した又は収縮した変位構成要素530の中央内腔538を通って近位に後退させられてよく、その後、変位構成要素530は完全に収縮し、索管理カテーテル520は取り出される。
【0046】
本発明の別の実施形態では、弁プロテーゼは、変位構成要素の収縮及び後退に先立って完全に展開される。より具体的には、膨張した変位構成要素530が、弁プロテーゼ101の展開に干渉しないように位置付けられる場合、弁プロテーゼ101は、索管理カテーテル520及び拡張した変位構成要素530を定位置に配置したままで、展開されてよい。次いで弁送達システム2040は、膨張した変位構成要素530の中央内腔538を通って近位に後退させられてよく、その後、変位構成要素530は収縮し、索管理カテーテル520は取り出される。
【0047】
経心尖的に送達されるものとして記載されているが、索管理カテーテル520及び変位構成要素530は、別のアクセスルートを介して送達されてよい。例えば、
図23は、経大動脈アプローチによって左室内に位置付けられている変位構成要素2330を有する索管理カテーテル2320を示す。変位構成要素2330は、大動脈を通って左室にナビゲートされる。左室内に位置付けられると、変位構成要素2330は膨張させられて腱索を変位させ、弁送達システム(図示せず)は、上述のように変位構成要素2330の中央内腔2338を通って経心尖的に送達される。介入心臓学及び/又は介入放射線学の分野において既知の技術に従って、
図23に示されるような経大動脈アプローチによって索管理カテーテル2320を左室内に位置付けるために、索管理カテーテル2320は、脈管構造を通って、患者の左室LVと患者の大動脈Aとの間に延在する生来の大動脈弁AVまで逆行性アプローチで経腔的に前進させられる。生来の大動脈弁AVへの索管理カテーテル2320の送達は、生来の大動脈弁AVにアクセスするために、送達システムが大腿動脈を通って、大動脈を上り、大動脈弓の周囲で追跡される、経皮的大腿アプローチによって達成される。索管理カテーテル2320は、腱管理カテーテル2320に生来の大動脈弁AVを通過させて左室に入れることによって、左室に更に送達される。
【0048】
複数の変位構成要素を使用することにより、腱索は更に管理され得る。
図24を参照すると、2つの索管理カテーテル2420A、2420Bは、経大動脈アプローチによって左室内に順次位置付けられる。各カテーテル2420A、2420Bは、ドーナツ形状又はトロイド形状の構成を有する変位構成要素1130に類似の変位構成要素2430A、2430Bを含む。索管理カテーテル2420A、2420Bは、変位構成要素2430A、2430Bが長手方向かつ円周方向に整列するように位置付けられる。両方の変位構成要素が心室内で膨張させられて、腱索を半径方向外向きに押す。両方の変位構成要素2430A、2430Bが膨張させられると、弁送達システム(図示せず)は、膨張した変位構成要素2430Aの中央内腔2438Aを通って、並びに膨張した変位構成要素2430Bの中央内腔2438Bを通って経心尖的に送達される。
【0049】
図25は、変位構成要素2530を有する索管理カテーテル2520が、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられ得るという点で、別の代替的なアクセスルートを示す。変位構成要素2530は、心房中隔を介して左房内へ、そして左室内へとナビゲートされる。左室内に位置付けられると、変位構成要素2530は膨張させられて腱索を変位させ、弁送達システム(図示せず)は、上述のように変位構成要素2530の中央内腔2538を通って経心尖的に送達される。介入心臓学及び/又は介入放射線学の分野において既知の技術に従って、
図25に示されるように、心房隔膜を介して左房内に索管理カテーテル2520を位置付けるために、索管理カテーテル2520は、経皮進入点を介して脈管構造に導入された後に示され(別称、Seldinger法)、血管構造を通って追跡され、左房に入る。例えば、経皮進入点は、大腿静脈に形成されてもよい。その後、ガイドワイヤ2532は循環系を通って前進させられ、最終的に心臓に到着する。ガイドワイヤ2532は右房内へと方向付けられ、右房を横切り、経中隔ニードル又は既に存在している貫通孔の助けを受けて、心房中隔を穿刺し、これにより左房に進入する。ガイドワイヤ2532が位置付けられると、管腔内進入口、及び心房中隔が拡張されて、ガイドカテーテル(図示せず)及び/又は索管理カテーテル2520の左房への進入が可能になる。その後、索管理カテーテル2520は、穿刺された心房中隔を通って左房内へと前進させられ、僧帽弁MVを通って左室内に位置付けられる。図示されていないが、心房中隔を通って前進させられるために、索管理カテーテル2520がガイドカテーテルに挿入され得ることは、当業者に理解されるであろう。加えて、僧帽弁に経皮的にアクセスするための経大腿動脈アプローチとして記載されているが、索管理カテーテル2520は、僧帽弁にアクセスするための開胸による経中隔順行性アプローチなど他の異なる方法での進入により、心臓の所望の領域内に位置付けられてよい。
【0050】
図26~38は、変位構成要素2630が、尖部からの僧帽へのアクセスに干渉する腱索を再配置する又は変位させる、半径方向に拡張可能な漏斗又は円錐状構成要素であり、変位構成要素2630によって画定される中央内腔2638は、弁送達システムが通過して弁プロテーゼを展開するため、及び弁の展開後に弁送達システムを安全に取り出すための障害物のない経路又はルートを提供する、本発明の別の実施形態を示す。変位構成要素2630は、心臓の左室又は右室内で展開し、索腱を変位させるように構成されており、それによって、変位構成要素2630によって画定された中央内腔又は通路2638を通って前進させられる、以降に送達される弁送達システムのために経路の障害物を除去する。変位構成要素2630は、
図26に展開されて示されている。変位構成要素2630は、
図26に最も良好に示される、自己拡張性材料から形成され、形状設定される平坦又は平面要素2672であり、展開又は拡張構成に形状設定された円錐又は漏斗構成又は外形2674として説明され得る。本発明のある実施形態では、平坦又は平面要素2672は、ニチノール又は別の自己拡張性材料から形成されたメッシュである。遠位周方向端2682は、本明細書でより詳細に記載される、索管理カテーテル2620の外側シース2660の遠位端2661内に配置される、変位構成要素2630の近位の、又は対向する周方向端2681よりも幅広である。変位構成要素2630は、本明細書でより詳細に記載されるように、索管理カテーテル2620の中間シャフト2664に取り付けられた又は固定された少なくとも近位端を有する第1、つまり内側長手方向縁部2676を含み、また、本実施形態では、索管理カテーテルに束縛されない、又は取り付けられていない第2、つまり外側長手方向縁部2678を含む。
【0051】
より具体的には、
図27、27A、及び27Bを参照して、遠位端に変位構成要素2630を有する索管理カテーテル2620について、より詳細に説明する。索管理カテーテル2620は、その内部を通る内腔2662を画定する外側シャフト2660と、その内部を通る内腔2666を画定する中間シャフト2664と、を含む。中間シャフト2664は、外側シャフト2660内に同心円状に配置される。外側シャフト2660は後退可能であり、したがって中間シャフト2664に対して長手方向に移動可能である。中間シャフト2664の長さは様々であってよい。より具体的には、中間シャフト2664は、変位構成要素2630の遠位周方向端2682まで遠位に延在してよく、その場合、内側長手方向縁部2676の全長は中間シャフト2664に取り付けられてよい。しかしながら、中間シャフト2664は、少なくとも内側長手方向縁部2676の近位端又は近位部分がそこに取り付けられる、又は固定され得るように、変位構成要素2630の近位周方向端2681まで遠位に延在することのみが必須である。本明細書に記載の実施形態では、中間シャフト2664は、内側長手方向縁部2676の近位端又近位部分のみが、それに取り付けられる、又は固定されるように、変位構成要素2630の近位周方向端2681まで遠位に延在する。
図27Bは、
図27の線B-Bに沿って切り取られた断面図であり、変位構成要素2630の所望の長さ及び寸法に応じて変化し得る中間シャフト2664の遠位端のおおよその位置を示す。
【0052】
変位構成要素2630の送達中、変位構成要素2630は、
図27Bに示されるように、変位構成要素2630が外側シャフト2660の内腔2662内に封入される、又は収容される送達構成へと圧縮される。送達構成では、第1、つまり内側長手方向縁部2676の近位端又は近位部分は、結合部2680又は他の取り付け機構を介して、索管理カテーテル2620の中間シャフト2664に取り付けられる、又は固定される。変位構成要素2630の平坦又は平面要素2672は、索管理カテーテルの内腔2662内の密な螺旋状に包み込まれる。構成要素2630がその圧縮又は送達構成であるとき、平坦又は平面要素2672は、一連の1つ以上のループに螺旋状に巻き込まれ、その連続する又は隣接するループは、実質的にそれらの間に空間を有さずに互いに積み重ねられ、接触する。中間シャフト2664に固定される変位構成要素2630の近位周方向端2681では、変位構成要素2630の平坦又は平面要素2672は、中間シャフト2664の周囲の密な螺旋状に包み込まれる。換言すると、変位構成要素が送達構成であるとき、変位構成要素2630の近位周方向端2681は、中間シャフト2664の周囲に延在する一連の巻線を有し、その結果、各巻線は、外側シャフトと中間シャフトとの間に包囲される。
【0053】
索管理カテーテル2620はまた、その内部を通る内腔2669を画定する内側シャフト2668を含んでよい。内側シャフト2668は、その遠位端に取り付けられたテーパ状遠位先端2670を含み、内側シャフト2668は、変位構成要素2630の送達中に中間シャフト2664の内腔2666内で摺動自在に受容される。内側シャフト2668は後退可能であり、したがって中間シャフト2664に対して長手方向に移動可能である。
図27、27A、及び27Bに示されるようなある実施形態では、内側シャフト2668は、ガイドワイヤ2632を摺動自在に受容するためのガイドワイヤ内腔2669を画定してよく、その結果、索管理カテーテル2620は、ガイドワイヤの送達中にガイドワイヤ上で追跡され得る。内側シャフト2668は、
図41~43に関して説明されるように、変位構成要素2630の送達中にのみ用いられる。変位構成要素2630が展開されると、内側シャフト2668は近位に後退させられ、取り出され、その結果として、弁送達システムが中間シャフト2664の内腔2666を通って前進させられてよい。
【0054】
変位構成要素2630の送達中、変位構成要素2630は、上述のように外側シャフト2660内に収容され、したがって、外側シャフト2660は、
図27に示されるように変位構成要素2630の長さにわたって延在する。変位構成要素2630の展開が望ましいとき、外側シャフト2660は、方向矢印2658によって示されるように近位に後退させられて変位構成要素2630を露出し、それによって、変位構成要素2630が、
図28に示されるように、その形状設定された展開又は拡張構成へと自己拡張できる。
図28は、その円錐又は漏斗構成又は外形2674へと自己拡張し、展開するプロセスにおいて部分的に展開された変位構成要素2630を示す。外側シャフト2660は、変位構成要素2630のほぼ全長が露出するまで後退させられるが、変位構成要素2630の近位周方向端部2681は、
図26に示され、上述されるように、変位構成要素2630が完全に展開されると、外側シャフト2660内に配置されたままである。変位構成要素2630を後退させる又は再捕捉するために、外側シャフト2660は、
図27及び27Bに関して上述されたように、再捕捉されて送達構成になり、外側シャフト内に収容され得る変位構成要素2630の上を遠位に前進させられる。
【0055】
索管理カテーテルに拘束されない、又は取り付けられていない変位構成要素2630の第2、つまり外側長手方向縁部は、非外傷性であるために、丸みを帯びているか、又はテーパ状であってよい。より具体的には、
図29は、変位構成要素2930が非外傷性外側長手方向縁部2978を含むことを除いて、
図26の変位構成要素2630に類似の変位構成要素2930を示す。非外傷性外側長手方向縁部2978は、変位構成要素2930の平坦又は平面要素2972とは異なる材料2979から形成される。例えば、平坦又は平面要素2972は自己拡張性材料から形成されるが、非外傷性外側長手方向縁部2978は、35D以下のジュロ硬度を有する軟質ポリマーから形成される。
図30は、変位構成要素2930の遠位周方向端2982の端面図を示す。
図31の拡大図に示すように、非外傷性外側長手方向縁部2978の材料2979は、平坦又は平面要素2972の外側表面に対してテーパ状であってよい。別の実施形態では、
図32の拡大図に示されるように、非外傷性外側長手方向縁部3278の材料3279は丸みを帯びてよい。
【0056】
加えて、変位構成要素2630の遠位周方向端は非外傷性であってよい。より具体的には、
図33は、変位構成要素3330が非外傷性遠位周方向端3382を含むことを除いて、
図26の変位構成要素2630に類似の変位構成要素3330を示す。非外傷性遠位周方向端3382は、変位構成要素3330の平坦又は平面要素3372とは異なる材料3383から形成される。例えば、平坦又は平面要素3372は自己拡張性材料から形成されるが、非外傷性遠位周方向端3382は、35D以下のジュロ硬度を有する軟質ポリマーから形成される。
【0057】
変位構成要素2630の平坦又は平面要素全体を自己拡張性材料で作製するのではなく、
図34~38は、ニチロール又は自己拡張性フィラメント3486が変位構成要素3430に含まれて、変位構成要素に自己拡張特性を提供する実施形態を示す。
図34では、平坦又は平面要素3472は、非自己拡張性材料から形成され、その内部に形成された周方向チャネル又は通路3484を含む。非自己拡張性材料は、例えば、ポリウレタン、HDPE、若しくはナイロンなどポリマーシート、織物ポリマー、又はPTFE、HDPE、PTFE、ナイロン、若しくはポリウレタンなど繊維ポリマーであってよい。
図34は、2つの周方向チャネル又は通路3484を示すが、これより少ない又はこれより多い数の周方向チャネル又は通路が使用されてよい。
図35及び36の側面図及び分解図にそれぞれ示されるように、自己拡張性フィラメント3486は周方向チャネル又は通路3484に収容されて、平坦又は平面要素3472の半径方向拡張を駆動する。
図37に示される本発明のある実施形態では、平坦又は平面要素3772は2つの積層シート層を含んで、自己拡張性フィラメント3786を受容するための周方向チャネル又は通路3784を形成する。
図38に示される本発明の別の実施形態では、周方向チャネル又は通路3884は、平坦又は平面要素3872に取り付けられた管状構成要素を介して形成され、管状構成要素は自己拡張性フィラメント3886を受容するように構成されている。
【0058】
図39~43は、展開方法を除いて変位構成要素2630に類似の変位構成要素3930のある実施形態を示す。変位構成要素2630に類似して、変位構成要素3930は、尖部から僧帽へのアクセスに干渉する腱索を再配置する又は変位させる、半径方向に拡張可能な漏斗又は円錐状構成要素であり、一方、変位構成要素3930によって画定される中央内腔3938は、弁送達システムが通過して弁プロテーゼを展開するため、及び弁の展開後に弁送達システムを安全に取り出すための障害物のない経路又はルートを提供する。変位構成要素3930は、心臓の左室又は右室内で展開し、索腱を変位させるように構成されており、それによって、変位構成要素3930によって画定された中央内腔又は通路3938を通って前進させられる、以降に送達される弁送達システムのために経路の障害物を除去する。変位構成要素3930は、
図39に展開又は拡張構成で示されており、円錐又は漏斗構成又は外形3974として説明されてよい。変位構成要素3930は、自己拡張性材料から形成され、展開又は拡張構成に形状設定されていてその展開を支援する、平坦又は平面要素3972である。遠位周方向端3982は、本明細書でより詳細に記載される、索管理カテーテル3920の外側シース3960の遠位端3961内に配置される、変位構成要素3930の近位の、又は対向する周方向端3981よりも幅広である。変位構成要素3930は、本明細書でより詳細に記載されるように、索管理カテーテル3920の中間シャフト3964に取り付けられた又は固定された第1、つまり内側長手方向縁部3976を含み、また、本明細書でより詳細に記載されるように、索管理カテーテル3920の外側シャフト3960に取り付けられた又は固定された第2、つまり外側長手方向縁部3978を含む。
【0059】
より具体的には、
図40の端面図を参照すると、この実施形態では、索管理カテーテル3920は、外側シャフト3960と、中間シャフト3964と、を含む。中間シャフト3964は、外側シャフト3960内に同心円状に配置される。外側シャフト3960は、中間シャフト3964に対して回転可能であり、及び/又は中間シャフト3964は、外側シャフト3960に対して回転可能である。変位構成要素3930の送達中、変位構成要素3930は、
図40の端面図に示されるように、変位構成要素3930が、外側シャフト3960と中間シャフト3964との間に半径方向に延在する密巻螺旋状である送達構成である。換言すれば、変位構成要素3930の最外表面は送達構成であり、外側シャフト3960の外径以下である。構成要素2930がその圧縮又は送達構成であるとき、平坦又は平面要素2972は、一連の1つ以上のループに螺旋状に巻き込まれ、その連続する又は隣接するループは、実質的にそれらの間に空間を有さずに互いに積み重ねられ、接触する。特に、この実施形態では、変位構成要素3930は、その送達中に索管理カテーテルの内腔空間内に収容又は包囲されず、むしろ平坦又は平面的な要素3972は(変位構成要素3930の近位周方向端3981を除いて)露出し、その送達中に索管理カテーテル3920の遠位端部分を形成する。第1、つまり内側長手方向縁部3976の近位端は、結合部3980又は他の取り付け機構を介して索管理カテーテル3920の中間シャフト3964に取り付けられる、又は固定され、第2、つまり外側長手方向縁部3978の近位端は、結合部3979又は他の取り付け機構を介して索管理カテーテル3920の外側シャフト3960に取り付けられる、又は固定される。外側及び中間シャフト3960、3664の遠位端3961、3965は、それぞれ同一平面であり、送達中に変位構成要素3930の近位周方向端3981に隣接して配置される。
【0060】
変位構成要素3930の展開又は拡張が望ましい場合、中間シャフト3964は、
図39の方向矢印3985によって示されるように、外側シャフト3960に対して回転させられる、又は向きを変えられる。より具体的には、中間シャフト3964が回転させられると、第1、つまり内側長手方向縁部3976はそれと共に回転させられ、変位構成要素3930は、その円錐形又は漏斗構成又は外形3974へと半径方向に拡張する、又は展開する。変位構成要素3930を後退させる又は再捕捉するためには、中間シャフト3964は、方向矢印3985とは反対方向に回転させられる。変位構成要素3930は、
図40に関して上述した送達構成の密巻螺旋に再捕捉又は収縮されてよい。
【0061】
変位構成要素3930を拡張するために、中間シャフト3964は、外側シャフト3960に対して回転される、又は向きを変えられると本明細書に記載されているが、中間シャフト3964と外側シャフト3960との相対回転のみが必須であるため、外側シャフト3960が中間シャフト3964に対して回転させられてもよい。しかしながら、変位構成要素3930を拡張及び収縮させるために外側シャフト3960が回転させられる場合、外側シャフト3060は、方向矢印3985とは反対方向に回転させられて、その展開のために変位構成要素3930を拡張し、方向矢印3985によって示される方向に回転させられて、その再捕捉のために変位構成要素3930を収縮させる。
【0062】
図39~40には示されていないが、索管理カテーテル3920はまた、上述の内側シャフト2668に類似の内側シャフト3968を含んでよい。
図41~43は、内側シャフト3968を含む索管理カテーテル3920の使用方法を示す。内側シャフトは、その遠位端に取り付けられたテーパ状遠位先端3970を含み、内側シャフト3968は、
図41に示されるように、変位構成要素3930の送達中に中間シャフト3964の内腔3966内で摺動自在に受容される。内側シャフト3968は、ガイドワイヤ3932を摺動自在に受容するためのガイドワイヤ内腔(
図41には図示せず)を画定してよく、その結果、索管理カテーテル3920は、
図41に示されるように、その送達中にガイドワイヤ上で追跡され得る。
【0063】
より具体的には、
図41を参照すると、索管理カテーテル3920は、ガイドワイヤ3932上での追跡後の原位置で示されており、その変位構成要素3930は、露出している送達又は非拡張構成であり、圧密螺旋状であり、脊索管理カテーテル3920の遠位端部分を形成する。この実施形態では、索管理カテーテルは、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられ、心臓の左室内に索管理カテーテル3920を位置付けることは、心尖部にカテーテルを導入すること、並びに心尖部に隣接する心室壁を通ってカテーテルを導入することを含む。更に、上述したように、
図41では生来の僧帽弁に関連する腱索の治療のために左室に導入されるものとして記載されているが、生来の三尖弁に関連する腱索を治療するために、索管理カテーテル3920を右室に同様に導入できる。索管理カテーテル3920は、遠位先端3970が生来の僧帽弁輪の下の左室、すなわち、生来の僧帽弁の下側に位置付けられるまで操作され、前進させられる。別の実施形態では、索管理カテーテル3920は、変位構成要素3930が生来の僧帽弁の下側と係合する、又は接触するまで操作され、前進させられる。索管理カテーテル3920は、所望に応じてカテーテルが位置付けられた後に取り外され得るガイドワイヤ3032上で追跡されてよい。
【0064】
変位構成要素2930が記載されるように左室内に位置付けられると、
図42に示されるように、変位構成要素2930は拡張又は展開されて、展開又は拡張構成になる。変位構成要素2930は心室内で拡張されて、全ての索腱、小柱、及び心室バンドを心室壁に向かって半径方向外向きに押す。索腱索の変位は腱索を損傷せず、むしろ、変位構成要素3930の中央開口部3938は、未閉塞のチャネル又は経路を生来の僧帽弁に提供する。変位構成要素3930は、完全に膨張又は拡張してよく、又は部分的に膨張若しくは拡張してよく、又は必要に応じて拡張して、全ての索腱、小柱、及び心室バンドを心室壁に向かって半径方向外向きに押す。左室のサイズに対する変位構成要素3930の幅及び長さは、
図42に示されるものとは異なり得る。例えば、拡張した変位構成要素は、図示されているものよりも長い長さを有するように構成されていて、生来の僧帽弁の下側から左室の底部まで延在してよい。同様に、拡張した変位構成要素は、図示されているものよりも大きい幅を有するように構成されていて、左室を本質的に充填し、乳頭筋を心室壁に向かって及びそれに対して半径方向外向きに押してよい。寸法は用途に応じて異なり、未閉塞のチャネル又は経路を生来の僧帽弁に提供するように十分に腱索を外側に押すように構成されていることのみが必須である。本明細書に記載されるように、変位構成要素3930の展開は、中間シャフト3964と外側シャフト3960との相対回転を介して生じる。変位構成要素3920が用いられる場合、その展開は、本明細書に記載されるように、外側シャフト2660の近位側への後退を介して生じる。
【0065】
変位構成要素3930が左室内に位置付けられ、拡張され腱索を変位させると、上に遠位先端3970を有する内側シャフト3968が近位に後退させられ、取り出され、外側シャフト3960、中間シャフト3964、及び拡張した変位構成要素3930が原位置に残される。内側シャフト2668に関して説明されるように、内側シャフト3968は後退可能であり、したがって、中間シャフト3964に対して長手方向に移動可能である。変位構成要素3930が展開されると、内側シャフト3968は近位に後退させられ、取り出され、その結果、
図43に示されるように、弁送達システム2040は、中間シャフト3964の内腔3966を通って前進させられてよい。
【0066】
より具体的には、取り付けられた弁プロテーゼ101を有する弁送達システム2040は治療部位に送達され、
図43に示すように、拡張した変位構成要素3930の中央開口部3938を通って前進させられる。弁送達システム2040は、変位構成要素の中央開口部内での前進後の原位置で示され、弁プロテーゼ101は送達又は非拡張構成である。この実施形態では、弁送達システム2040は、経心尖アプローチによって左室内に位置付けられ、心臓の左室内に弁送達システム2040を位置付けることは、心尖部にカテーテルを導入すること、並びに心尖部に隣接する心室壁を通ってカテーテルを導入することを含む。更に、上述したように、
図43では生来の僧帽弁の弁置換のために左室に導入されるものとして記載されているが、生来の三尖弁の弁置換のために、弁送達システム2040は、右室に同様に導入され得る。弁送達システム2040は操作され、拡張した変位構成要素3930の中央内腔3938を通って心臓の生来の僧帽弁輪に向かって前進させられる。弁送達システム2040が所望どおりに位置付けられた後、弁プロテーゼ101は、本発明の以前の実施形態に記載されるように完全に展開又は拡張されてよい。拡張した変位構成要素3930が弁プロテーゼ101の展開に干渉しないように位置付けられる限り、弁プロテーゼ101は、索管理カテーテル3920及び拡張した変位構成要素3930を定位置に配置したままで、完全に展開されてよい。次いで、弁送達システム2040は、拡張した変位構成要素3930の中央内腔3938を通って近位に後退させられてよく、その後、変位構成要素2430は再補足され、索管理カテーテル3920は取り出される。
【0067】
本発明による様々な実施形態が上に記載されてきたが、それらは単に例示及び実施例として提示されたにすぎず、限定するものとして提示されたわけではないことを理解されたい。当業者には、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形式及び詳細の様々な変更が可能であることは明らかであろう。したがって、本発明の広さ及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。本明細書で論じられた各実施形態の各特徴部及び本明細書で引用された各参考文献は、他の実施形態の特徴部と組み合わせて使用し得ることも理解されたい。本明細書で論じる全ての特許及び刊行物は、参照によりこれらの全体が本明細書に援用されている。