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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】MEMSデバイス
(51)【国際特許分類】
   B81B 7/02 20060101AFI20220906BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20220906BHJP
   G01C 19/5684 20120101ALI20220906BHJP
【FI】
B81B7/02
H01L29/84 Z
G01C19/5684
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019541978
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 JP2018031749
(87)【国際公開番号】W WO2019054171
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-08-16
(31)【優先権主張番号】P 2017178146
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】松岡 元
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆志
(72)【発明者】
【氏名】田淵 裕介
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-116694(JP,A)
【文献】特開2009-028891(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B81B 7/02
H01L 29/84
G01C 19/5684
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性基板と、
前記非導電性基板と接合されるMEMSデバイスの母材と、
前記非導電性基板と前記母材とにより形成される密閉空間と、
前記密閉空間内に形成され、前記母材と電気的に接続されるとともに前記母材を介してグラウンド電位に接続される配線層と、
前記配線層と略全体が接触するように前記配線層に積層され、活性ガスを吸着する導電性のゲッター層と、を備え
前記配線層は、複数に分割され、
複数に分割された前記配線層同士は、前記ゲッター層を介して互いに電気的に接続されている、MEMSデバイス。
【請求項2】
非導電性基板と、
前記非導電性基板と接合されるMEMSデバイスの母材と、
前記非導電性基板と前記母材とにより形成される密閉空間と、
前記密閉空間内に形成され、前記母材と電気的に接続されるとともに前記母材を介して定電位に接続される配線層と、
前記配線層と略全体が接触するように前記配線層に積層され、活性ガスを吸着する導電性のゲッター層と、を備え
前記配線層は、複数に分割され、
複数に分割された前記配線層同士は、前記ゲッター層を介して互いに電気的に接続されている、MEMSデバイス。
【請求項3】
前記配線層は、前記非導電性基板と前記母材との接合部分の一部において、前記非導電性基板と前記母材とに挟まれた状態で、前記母材に接触することによって、前記母材と電気的に接続されている、請求項1または2に記載のMEMSデバイス。
【請求項4】
前記配線層は、前記非導電性基板と前記母材との接合部分において厚み方向に漸次薄くなるように形成されている、請求項3に記載のMEMSデバイス。
【請求項5】
前記母材は、互いに構造的に分離して設けられた内側部分と外側部分とを含み、
前記配線層は、前記非導電性基板と前記母材の前記外側部分との接合部分において、前記非導電性基板と前記母材の前記外側部分とに挟まれた状態で、前記母材と電気的に接続されている、請求項3または4に記載のMEMSデバイス。
【請求項6】
前記配線層は、前記非導電性基板と前記母材との接合部分の略全周において、前記非導電性基板と前記母材とに挟まれている、請求項3~5のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項7】
前記配線層は、断面視において、前記ゲッター層に対して両側で前記母材と電気的に接続されている、請求項1~6のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項8】
前記配線層は、アルミニウムからなる、請求項1~7のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項9】
前記ゲッター層は、前記配線層とは異なる活性ガスを吸着するように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載のMEMSデバイス。
【請求項10】
前記接合部分の近傍に、空隙を有する、請求項4に記載のMEMSデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスに関し、特に、活性ガスを吸着するゲッター層を備えるMEMSデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、活性ガスを吸着するゲッター層を備えるMEMSデバイスが知られている。このようなMEMSデバイスは、たとえば、特開2009-28891号公報に開示されている。
【0003】
上記特開2009-28891号公報には、リング型振動ジャイロとしてのMEMSデバイスが開示されている。このMEMSデバイスでは、MEMSデバイスの母材(振動子)は、凹部が設けられたガラス基板と接合されている。また、このMEMSデバイスでは、ガラス基板の凹部と母材とにより、密閉空間が形成されている。密閉空間には、密閉空間内の活性ガス(酸素ガスなど)を吸着する導電性のゲッター膜が形成されている。ゲッター膜は、蒸着などにより、ガラス基板の凹部に形成されている。また、ゲッター膜の一部は、母材に接続されている。ゲッター膜は、母材を介してグラウンド電位に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-28891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ゲッター膜が活性ガスを吸着して、活性ガスと反応すると、ゲッター膜の活性ガスとの反応部分が非導電性部分に変化する。非導電性部分の生じ方によっては、ゲッター膜のある導電性部分が、他の導電性部分から電気的に孤立する場合がある。たとえば、非導電性部分が周状に生じ、導電性部分が非導電性部分に囲まれた場合、非導電性部分に囲まれた導電性部分は、他の導電性部分から電気的に孤立する。
【0006】
一方、上記特開2009-28891号公報に記載のMEMSデバイスでは、ゲッター膜の一部が母材に接続されることにより、ゲッター膜が母材を介してグラウンド電位に接続されている。この構成では、ゲッター膜に電気的に孤立した導電性部分が生じた場合、電気的に孤立した導電性部分と母材との間の電気的接続が非導電性部分により切断される。このため、電気的に孤立した導電性部分に溜まった電荷を効率良く逃がすことができない。電荷を効率良く逃がすことができないと、ゲッター膜に溜まった電荷に起因したノイズを十分に低減することができないため、MEMSデバイスを高精度化しにくい。この点において、上記特開2009-28891号公報に記載のMEMSデバイスには、改善の余地がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、ゲッター膜に溜まった電荷に起因したノイズを低減することにより、高精度化することが可能なMEMSデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるMEMSデバイスは、非導電性基板と、非導電性基板と接合されるMEMSデバイスの母材と、非導電性基板と母材とにより形成される密閉空間と、密閉空間内に形成され、母材と電気的に接続されるとともに母材を介してグラウンド電位に接続される配線層と、配線層と略全体が接触するように配線層に積層され、活性ガスを吸着する導電性のゲッター層と、を備え、配線層は、複数に分割され、複数に分割された配線層同士は、ゲッター層を介して互いに電気的に接続されている
【0009】
この発明の第1の局面によるMEMSデバイスでは、上記のような配線層とゲッター層とを設ける。これにより、活性ガスとの反応に起因してゲッター層に電気的に孤立した導電性部分が生じたとしても、ゲッター層と略全体が接触する配線層により、電気的に孤立した導電性部分と母材との間の電気的接続を確保することができる。その結果、電気的に孤立した導電性部分に溜まった電荷を効率良く逃がすことができるので、ゲッター層に溜まった電荷に起因したノイズを十分に低減することができる。これにより、MEMSデバイスを高精度化することができる。また、配線層を複数に分割することによって、個々の配線層の大きさを小さくすることができるので、個々の配線層を製造しやすくすることができる。その結果、MEMSデバイスの製造性を向上させることができる。
【0010】
上記目的を達成するために、この発明の第2の局面によるMEMSデバイスは、非導電性基板と、非導電性基板と接合されるMEMSデバイスの母材と、非導電性基板と母材とにより形成される密閉空間と、密閉空間内に形成され、母材と電気的に接続されるとともに母材を介して定電位に接続される配線層と、配線層と略全体が接触するように配線層に積層され、活性ガスを吸着する導電性のゲッター層と、を備え、配線層は、複数に分割され、複数に分割された配線層同士は、ゲッター層を介して互いに電気的に接続されている
【0011】
この発明の第2の局面によるMEMSデバイスでは、上記のような配線層とゲッター層とを設ける。これにより、活性ガスとの反応に起因してゲッター層に電気的に孤立した導電性部分が生じたとしても、ゲッター層と略全体が接触する配線層により、電気的に孤立した導電性部分と母材との間の電気的接続を確保することができる。その結果、電気的に孤立した導電性部分に溜まった電荷を効率良く逃がすことができるので、ゲッター層に溜まった電荷に起因したノイズを十分に低減することができる。これにより、MEMSデバイスを高精度化することができる。また、配線層を複数に分割することによって、個々の配線層の大きさを小さくすることができるので、個々の配線層を製造しやすくすることができる。その結果、MEMSデバイスの製造性を向上させることができる。
【0012】
上記第1および第2の局面によるMEMSデバイスにおいて、好ましくは、配線層は、非導電性基板と母材との接合部分の一部において、非導電性基板と母材とに挟まれた状態で、母材に接触することによって、母材と電気的に接続されている。このように構成すれば、配線層と母材とをより確実に接触させることができるので、配線層と母材とをより確実に電気的に接続することができる。その結果、ゲッター層に溜まった電荷をより確実に逃がすことができる。
【0013】
この場合、好ましくは、配線層は、非導電性基板と母材との接合部分において厚み方向に漸次薄くなるように形成されている。ここで、配線層が非導電性基板と母材との接合部分において、非導電性基板と母材とに挟まれている場合、非導電性基板と母材とに挟まれた配線層の近傍において、非導電性基板と母材との接合部分にわずかな空隙が生じる。そこで、上記のように、配線層を厚み方向に漸次(徐々に)薄くなるように形成すれば、配線層に起因して非導電性基板と母材との接合部分に生じる空隙を小さくすることができる。その結果、空隙に起因して接合不良などの不良が生じることを抑制することができる。
【0014】
上記配線層が非導電性部分と母材とに挟まれた構成において、好ましくは、母材は、互いに構造的に分離して設けられた内側部分と外側部分とを含み、配線層は、非導電性基板と母材の外側部分との接合部分において、非導電性基板と母材の外側部分とに挟まれた状態で、母材と電気的に接続されている。ここで、配線層が非導電性基板と母材との接合部分において、非導電性基板と母材とに挟まれている場合、配線層の厚みに起因して母材にわずかな歪みが生じる。そこで、上記のように、配線層を非導電性基板と母材の外側部分との接合部分において、非導電性基板と母材の外側部分とに挟むように構成すれば、母材の内側部分を歪ませることなく、母材の外側部分だけを歪ませることができるので、母材の内側部分に歪みが影響することを抑制することができる。この効果は、母材の内側部分にMEMSデバイスの可動部が設けられている場合、可動部の動きに歪みが影響することを抑制できる点で、特に有効である。
【0015】
上記配線層が非導電性部分と母材とに挟まれた構成において、好ましくは、配線層は、非導電性基板と母材との接合部分の略全周において、非導電性基板と母材とに挟まれている。このように構成すれば、配線層と母材とをより一層確実に接触させることができるので、配線層と母材とをより一層確実に電気的に接続することができる。また、配線層に起因して母材に歪みが生じたとしても、母材の略全周にわたって略均一に母材を歪ませることができるので、歪みに起因して母材の一部に応力が集中することを抑制することができる。その結果、歪みに起因して動作不良などの不良が生じることを抑制することができる。
【0016】
上記第1および第2の局面によるMEMSデバイスにおいて、好ましくは、配線層は、断面視において、ゲッター層に対して両側で母材と電気的に接続されている。このように構成すれば、配線層がゲッター層に対して片側のみで母材と電気的に接続されている場合に比べて、配線層と母材とをより確実に電気的に接続することができる。
【0017】
上記第1および第2の局面によるMEMSデバイスにおいて、好ましくは、配線層は、アルミニウムからなる。このように構成すれば、アルミニウムからなる配線層を電磁波のシールド材として機能させることができる。その結果、配線層により、ゲッター層の電荷を効率良く逃がすことができるだけでなく、電磁波に起因してMEMSデバイスの性能が劣化することを抑制することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ゲッター膜に溜まった電荷に起因したノイズを低減することにより、高精度化することが可能なMEMSデバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一実施形態によるMEMSデバイスを示す分解斜視図である。
図2】一実施形態によるMEMSデバイスの母材を示す平面図である。
図3】一実施形態によるMEMSデバイスを示す模式的な断面図である。
図4図3の部分拡大断面図である。
図5】一実施形態の変形例によるMEMSデバイスの配線層を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1図4を参照して、一実施形態によるMEMSデバイス100の構成について説明する。以下の説明では、MEMSデバイス100の厚み方向をZ方向とし、厚み方向のうちの一方方向をZ1方向とし、厚み方向のうちの他方方向をZ2方向とする。また、厚み方向と直交する方向をX方向とする。
【0023】
(MEMSデバイス)
MEMSデバイス100は、コリオリ力に基づいて、角速度を検出する静電駆動型の角速度センサ(ジャイロセンサ)である。
【0024】
MEMSデバイス100は、図1に示すように、一方側(Z1方向側)の筐体10と、他方側(Z2方向側)の筐体20と、一方側の非導電性基板30と、他方側の非導電性基板40と、振動子としてのMEMSデバイス100の母材50とを備えている。MEMSデバイス100では、非導電性基板30、40および母材50により、密閉空間60(図3参照)が形成されている。密閉空間60内は、略真空状態に減圧されている。これにより、密閉空間60内のガスの粘性に起因して母材(振動子)50に振動減衰が生じることを抑制可能である。
【0025】
〈筐体〉
一方側(Z1方向側)の筐体10は、蓋部を構成する。他方側(Z2方向側)の筐体20は、非導電性基板30、40および母材50を設置するための設置台を構成する。筐体10および20は、たとえば溶接により、互いに接合されている。これにより、筐体10および20内に、非導電性基板30、40および母材50が密封される。この結果、非導電性基板30、40および母材50が外部から隔離されるため、水分などの侵入に起因して母材(振動子)50の動作不良が生じることを抑制可能である。
【0026】
〈非導電性基板〉
一方側(Z1方向側)の非導電性基板30および他方側(Z2方向側)の非導電性基板40は、たとえば、非導電性のガラス基板である。あるいは、非導電性基板30および40は、Si基板(シリコンウエハ)の表面を熱酸化した基板であってもよい。非導電性基板30および40は、母材50を厚み方向(Z方向)に挟み込むように構成されている。なお、非導電性とは、電気的絶縁性が高いことを意味している。つまり、非導電性とは、全く電気を通さないわけではなく、印加される電圧によっては、多少は電気を通す性質を含む概念である。
【0027】
図1および図3に示すように、非導電性基板30は、母材50に対して一方側(Z1方向側)に配置されている。非導電性基板30は、母材50の一方側の面と接合されている。非導電性基板30と母材50の一方側の面とは、たとえば陽極接合により、厚み方向(Z方向)に互いに接合されている。なお、非導電性基板30と母材50とは、はんだなどの接合材により互いに接合されていてもよい。
【0028】
非導電性基板30は、中央接合部31と、外周接合部32とを含んでいる。中央接合部31は、母材50の一方側の面において母材50の後述する中央部53と接合されている。つまり、中央接合部31は、母材50の中央部53を一方側から支持している。中央接合部31は、一方側から他方側に向かって突出するように形成されている。中央接合部31は、非導電性基板30のX方向の中央位置に形成されている。
【0029】
外周接合部32は、母材50の一方側(Z1方向側)の面において母材50の後述する外側部分(外周部分)58および電極部57a~57hと接合されている。つまり、外周接合部32は、母材50の外側部分58および電極部57a~57hを一方側から支持している。外周接合部32は、周状に形成されている。外周接合部32は、非導電性基板30のX方向の外周位置に形成されている。
【0030】
また、非導電性基板30は、凹部33を含んでいる。凹部33は、他方側(Z2方向側、母材50が配置される側)から一方側(Z1方向側、母材50が配置されるのとは反対側)に窪むように形成されている。凹部33は、中央接合部31を囲むように、略環状に形成されている。凹部33は、非導電性基板30のうちの他方側の部分に形成されている。凹部33は、たとえば、ウェットエッチングにより形成される。凹部33は、密閉空間60の一部を構成している。
【0031】
また、非導電性基板30は、複数の貫通孔34を含んでいる。貫通孔34は、非導電性基板30を厚み方向(Z方向)に貫通するように形成されている。貫通孔34は、一方側(Z1方向側、母材50が配置されるのとは反対側)から他方側(Z2方向側、母材50が配置される側)に向かって徐々に先細るテーパ状に形成されている。貫通孔34は、たとえば、サンドブラストにより形成される。貫通孔34には、金属材料からなる電極(貫通電極)35が配置されている。貫通孔34および電極35は、平面視(図2参照)において、母材50の後述する電極部56、57a~57hおよび外側部分(外周部分)58に対応する位置に設けられている。なお、図1では、貫通孔34および電極35の図示を省略している。また、図2では、理解の容易のために、母材50において電極35に対応する位置を四角(実線)により図示している。
【0032】
非導電性基板40は、母材50に対して他方側(Z2方向側)に配置されている。非導電性基板40は、母材50の他方側の面と接合されている。非導電性基板40と母材50の他方側の面とは、たとえば陽極接合により、厚み方向(Z方向)に互いに接合されている。なお、非導電性基板40と母材50とは、はんだなどの接合材により互いに接合されていてもよい。
【0033】
非導電性基板40は、外周接合部41を含んでいる。外周接合部41は、母材50の他方側(Z2方向側)の面において母材50の外側部分(外周部分)58と接合されている。つまり、外周接合部41は、母材50の外側部分58を他方側から支持している。外周接合部41は、周状に形成されている。外周接合部41は、非導電性基板40のX方向の外周位置に形成されている。
【0034】
また、非導電性基板40は、凹部42を含んでいる。凹部42は、一方側(Z1方向側、母材50が配置される側)から他方側(Z2方向側、母材50が配置されるのとは反対側)に向かって窪むように形成されている。凹部42は、略円状に形成されている。凹部42は、非導電性基板40のうちの一方側の部分に形成されている。凹部42は、たとえば、ウェットエッチングにより形成される。凹部42は、密閉空間60の一部を構成している。また、凹部42の側部42aは、周状に形成されている。側部42aは、外周接合部41と連続するように形成されている。凹部42の底部42bは、略円状に形成されている。底部42bは、側部42aと連続するように形成されている。なお、本実施形態の凹部42には、非導電性基板30の中央接合部31のような突出部は形成されていないが、X方向の中央位置に突出部が形成されていてもよい。
【0035】
〈母材〉
母材50は、リング型の振動子である。母材50は、たとえば、トレンチエッチングにより加工されたシリコン(珪素)からなる。
【0036】
図2に示すように、母材50は、リング部51と、複数(8つ)の支持部(レッグ部)52と、中央部53と、複数(8つ)のエッチング残し部54とを含んでいる。リング部51と、複数の支持部52と、中央部53と、複数のエッチング残し部54とは、トレンチ(溝状の貫通孔)55により区画されている。また、リング部51と、複数の支持部52と、中央部53と、複数のエッチング残し部54とは、一体的に形成されている。
【0037】
リング部51および支持部52は、母材50の可動部を構成している。リング部51および支持部52は、撓み変形可能なように構成されている。リング部51は、略環状(略円環状)に形成されている。リング部51は、複数の支持部52により支持されている。
【0038】
複数の支持部52は、母材50の中央部53から概略放射状に延びるように形成されている。複数の支持部52は、それぞれ、同様の形状を有している。複数の支持部52は、それぞれ、細長い梁状に形成されている。複数の支持部52は、一端が中央部53に接続され、他端がリング部51に接続されるように構成されている。
【0039】
中央部53は、略円状に形成されている。中央部53は、母材50の中央位置に形成されている。中央部53は、母材50の固定部を構成している。中央部53には、対応する電極35を介して、直流電源部(図示せず)からの直流電力が供給されている。これにより、リング部51、複数の支持部52および複数のエッチング残し部54にも、中央部53を介して、直流電源部からの直流電力が供給されている。
【0040】
また、母材50は、複数(16個)の固有振動数調整用電極部56を含んでいる。固有振動数調整用電極部56は、一次振動の固有振動数と、二次振動の固有振動数とを一致させるように調整するための電極部である。固有振動数調整用電極部56は、リング部51とエッチング残し部54との間に形成されている。固有振動数調整用電極部56には、対応する電極35を介して、直流電源部(図示せず)からの直流電力が供給されている。
【0041】
また、母材50は、一対の一次振動駆動用電極部57aおよび57bと、一対の一次振動検出用電極部57cおよび57dと、一対の二次振動検出用電極部57eおよび57fと、一対の二次振動打ち消し用電極部57gおよび57hとを含んでいる。一対の一次振動駆動用電極部57aおよび57bは、リング部51および支持部52などの可動部を駆動するための電極部である。一対の一次振動検出用電極部57cおよび57dは、可動部の駆動による一次振動を検出するための電極部である。一対の二次振動検出用電極部57eおよび57fは、コリオリ力による二次振動を検出するための電極部である。一対の二次振動打ち消し用電極部57gおよび57hは、二次振動を打ち消すための電極部である。
【0042】
一次振動駆動用電極部57aおよび57b(一次振動検出用電極部57cおよび57d、二次振動検出用電極部57eおよび57f、二次振動打ち消し用電極部57gおよび57h)は、X方向に互いに対向するように、リング部51よりも外側に形成されている。一次振動駆動用電極部57aおよび57b、並びに、二次振動打ち消し用電極部57gおよび57hは、対応する電極35を介して、交流電源部(図示せず)からの交流電力が供給されている。
【0043】
MEMSデバイス100では、まず、一次振動駆動用電極部57aおよび57bに交流電力が供給される。また、交流電力が供給されると、リング部51と一次振動駆動用電極部57aおよび57bとの間の静電引力により、一次振動が母材(振動子)50に生じる。そして、この一次振動が、一次振動検出用電極部57cおよび57dにより検出される。また、ある角速度が母材50に加わると、コリオリ力が生じることにより、角速度に応じた二次振動が母材50に生じる。そして、この二次振動が、二次振動検出用電極部57eおよび57fにより検出される。具体的には、二次振動に起因した静電容量の変化に伴って生じる電流が、二次振動検出用電極部57eおよび57fにより検出される。また、固有振動数調整用電極部56によって、リング部51との間に電位差を与えることにより、一次振動の固有振動数と二次振動の固有振動数とが一致するように調整されている。そして、二次振動検出用電極部57eおよび57fの検出結果に応じて、二次振動を打ち消すような交流電力が、二次振動打ち消し用電極部57gおよび57hに供給される。そして、この交流電力に基づいて、角速度が取得(検出)される。
【0044】
また、母材50は、外側部分(外周部分)58を含んでいる。外側部分58は、周状に形成されている。外側部分58は、母材50の最外周位置に形成されている。外側部分58は、母材50の固定部を構成している。外側部分58は、対応する電極35を介して、グラウンド電位(基準電位)に接続されている。外側部分58は、トレンチ55に区画されることにより、外側部分58よりも内側に位置する内側部分59とは互いに構造的(物理的および電気的)に分離して設けられている。内側部分59は、リング部51と、支持部52と、中央部53と、エッチング残し部54と、上記電極部56、57a~57hとを含んでいる。
【0045】
〈ゲッター層〉
図1および図3に示すように、密閉空間60内には、ゲッター層70が形成されている。ゲッター層70は、活性ガス(酸素、水素、窒素、メタン、一酸化炭素、二酸化炭素など)を吸着するように構成されている。ゲッター層70が活性ガスを吸着することにより、密閉空間60内の真空度を高い状態で維持可能である。
【0046】
ゲッター層70は、たとえば、蒸着、スパッタリングなどにより形成されたチタニウムからなる。ゲッター層70は、ジルコニウム、バナジウムなどの金属材料からなっていてもよい。ゲッター層70は、数百nm程度の薄膜状に形成されている。ゲッター層70は、導電性を有している。ゲッター層70は、一方側(Z1方向側)の表面が密閉空間60内に露出するように形成されている。ゲッター層70では、活性ガスを吸着して反応した反応部分は、非導電性部分(酸化物など)に変化する。したがって、ゲッター層70は、活性ガスとの反応状態によっては、導電性部分と非導電性部分との両方を有している。
【0047】
〈配線層〉
ここで、本実施形態では、密閉空間60内には、ゲッター層70に溜まった電荷を逃がすための配線層80が形成されている。
【0048】
配線層80は、たとえば、蒸着、スパッタリングなどにより形成されたアルミニウムからなる。配線層80は、金、銀、銅、アルミニウム合金(アルミニウム-シリコン合金、アルミニウム-銅合金など)などの金属材料からなっていてもよい。配線層80は、数百nm程度の薄膜状に形成されている。また、配線層80は、導電性を有している。
【0049】
配線層80には、ゲッター層70の略全体が接触するように、ゲッター層70が積層されている。配線層80は、ゲッター層70の密閉空間60内に露出する表面(Z1方向側の面)とは反対側の表面(Z2方向側の面)の略全体と接触している。
【0050】
また、配線層80は、母材50と電気的に接続されている。配線層80は、母材50および対応する電極35を介してグラウンド電位に接続されている。これにより、ゲッター層70は、配線層80、母材50および対応する電極35を介してグラウンド電位に接続されている。MEMSデバイス100では、ゲッター層70に溜まった電荷は、配線層80、母材50、電極35、グラウンド電位の順に移動する。これにより、ゲッター層70に溜まった電荷を逃がすことが可能である。
【0051】
配線層80は、非導電性基板40の凹部42の全体、および、非導電性基板40の外周接合部41の内周縁部に形成(積層)されている。つまり、配線層80は、非導電性基板40の凹部42、および、非導電性基板40の外周接合部41の内周縁部に沿った形状に形成されている。具体的には、配線層80は、第1部分81と、第2部分82と、第3部分83とを含んでいる。第1部分81、第2部分82および第3部分83は、一体的に形成されている。
【0052】
第1部分81は、配線層80のうち、非導電性基板40の凹部42の底部42b上に形成された部分である。つまり、第1部分81は、凹部42の底部42bに沿った形状に形成されている。第1部分81には、ゲッター層70が積層されている。第1部分81は、ゲッター層70と接触することによって、ゲッター層70と電気的に接続されている。
【0053】
第2部分82は、配線層80のうち、非導電性基板40の凹部42の側部42a上に形成された部分である。つまり、第2部分82は、凹部42の側部42aに沿った形状に形成されている。第2部分82は、第1部分81と第3部分83とを接続している。
【0054】
第3部分83は、配線層80のうち、非導電性基板40の外周接合部41の内周縁部上に形成された部分である。つまり、第3部分83は、非導電性基板40の外周接合部41の内周縁部に沿った形状に形成されている。第3部分83は、配線層80の端部である。第3部分83は、母材50の外側部分58の内周縁部と接触することによって、母材50と電気的に接続されている。
【0055】
本実施形態では、図4に示すように、配線層80の第3部分83は、非導電性基板40と母材50との接合部分90の一部(接合部分90の内周縁部)において、非導電性基板40と母材50とに厚み方向(Z方向)に挟まれている。この結果、接合部分90において、配線層80の第3部分83の近傍には、わずかな空隙Sが形成されている。なお、接合部分90は、非導電性基板40の外周接合部41と、母材50の外側部分58との接合部分である。したがって、配線層80の第3部分83は、非導電性基板40と母材50の外側部分58との接合部分90において、非導電性基板40と母材50とに厚み方向(Z方向)に挟まれている。
【0056】
配線層80の第3部分83は、接合部分90の内周縁部に挟まれている一方、接合部分90のうちの外側部分には挟まれていない。また、配線層80の挟まれている部分の長さ(配線層80の第3部分83のX方向の長さ)L1は、たとえば、約50μmである。接合部分90の全体の長さ(接合部分90の全体のX方向の長さ)L2は、たとえば、約200μmである。また、接合部分90の接合領域の長さ(接合部分90のうちの実際に接合されている領域のX方向の長さ)L3は、100μm以上が好ましい。これにより、接合部分90に配線層80を挟む場合には、長さL3が所定長さ以上であれば、配線層80の影響を小さくすることができるので、配線層80に起因して接合不良が生じることを抑制可能である。なお、図3および図4では、理解の容易のために各構成要素を誇張して図示している。このため、図4では、長さL1と長さL2と長さL3とは、実際の長さを反映していない。
【0057】
また、配線層80の第3部分83は、非導電性基板40と母材50の外側部分58とに厚み方向に挟まれた状態で、母材50の外側部分58に厚み方向に接触することによって、母材50と電気的と接続されている。
【0058】
本実施形態では、配線層80の第3部分83は、断面視において、ゲッター層70に対してX方向の両側で非導電性基板40と母材50とに挟まれている(図3参照)。つまり、配線層80の第3部分83は、断面視において、ゲッター層70に対してX方向の両側で母材50に電気的に接続されている。具体的には、配線層80の周状の第3部分83は、接合部分90の略全周において、非導電性基板40と母材50とに挟まれている。つまり、配線層80の第3部分83は、略全周において、母材50と接触し、母材50と電気的に接続されている。
【0059】
また、本実施形態では、配線層80の第3部分83は、接合部分90において、先端に向かって、厚み方向(Z方向)に漸次薄くなるように形成されている。つまり、配線層80の第3部分83は、接合部分90において、先端に向かうに従って、厚みが小さくなるように形成されている。具体的には、配線層80の第3部分83は、第3部分83の母材50側(Z1方向側)の面83aが、非導電性基板40の外周接合部41の母材50側の接合面41aに近付くように、厚み方向に漸次薄くなるように形成されている。配線層80の第3部分83の最先端部では、第3部分83の母材50側の面83aが、非導電性基板40の外周接合部41の母材50側の接合面41aと、滑らかに接続されている。
【0060】
また、配線層80の第3部分83は、たとえば、ウェットエッチングにより、厚み方向(Z方向)に漸次薄くなるように形成されている。配線層80が加工が容易なアルミニウムからなる場合、配線層80の第3部分83を容易に漸次薄くなるように加工可能である。
【0061】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0062】
本実施形態では、上記のように、MEMSデバイス100に、配線層80と、ゲッター層70とを設ける。これにより、活性ガスとの反応に起因してゲッター層70に電気的に孤立した導電性部分が生じたとしても、ゲッター層70と略全体が接触する配線層80により、電気的に孤立した導電性部分と母材50との間の電気的接続を確保することができる。その結果、電気的に孤立した導電性部分に溜まった電荷を効率良く逃がすことができるので、ゲッター層70に溜まった電荷に起因したノイズを十分に低減することができる。これにより、MEMSデバイス100を高精度化することができる。つまり、本実施形態のように、MEMSデバイス100がセンサ(角速度センサ)である場合、より精度良く物理量(角速度)を検出することができる。
【0063】
ところで、母材50とゲッター層70との間の距離が近い場合にも、ゲッター層70に溜まった電荷に起因したノイズが生じやすくなる。このため、従来では、ゲッター層70が設けられた非導電性基板40の凹部42の深さを深くすることにより、母材50とゲッター層70とを極力離して配置するように構成していた。
【0064】
しかしながら、非導電性基板40の凹部42の深さを深くする場合、MEMSデバイス100の製造工程において、非導電性基板40の凹部42を形成する工程に要する時間が伸びるという不都合がある。
【0065】
これに対して、本実施形態では、上記のように、配線層80を設けることにより、ゲッター層70に溜まった電荷に起因したノイズを十分に低減することができるので、ゲッター層70を従来よりも母材50の近くに配置することができる。その結果、ゲッター層70が設けられた非導電性基板40の凹部42の深さを極力小さくすることができる。これにより、MEMSデバイス100の製造工程において、非導電性基板40の凹部42を形成する工程に要する時間を低減することができるという利点も生じる。
【0066】
また、本実施形態では、上記のように、配線層80を、非導電性基板40と母材50との接合部分90の一部において、非導電性基板40と母材50とに挟まれた状態で、母材50に接触することによって、母材50と電気的に接続する。これにより、配線層80と母材50とをより確実に接触させることができるので、配線層80と母材50とをより確実に電気的に接続することができる。その結果、ゲッター層70に溜まった電荷をより確実に逃がすことができる。
【0067】
また、本実施形態では、上記のように、配線層80を、非導電性基板40と母材50との接合部分90において厚み方向に漸次薄くなるように形成する。ここで、配線層80が非導電性基板40と母材50との接合部分90において、非導電性基板40と母材50とに挟まれている場合、非導電性基板40と母材50とに挟まれた配線層80の近傍において、非導電性基板40と母材50との接合部分90にわずかな空隙Sが生じる。そこで、上記のように、配線層80を厚み方向に漸次(徐々に)薄くなるように形成することにより、配線層80に起因して非導電性基板40と母材50との接合部分90に生じる空隙Sを小さくすることができる。その結果、空隙Sに起因して接合不良などの不良が生じることを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態では、上記のように、配線層80を、非導電性基板40と母材50の外側部分58との接合部分90において、非導電性基板40と母材50の外側部分58とに挟まれた状態で、母材50と電気的に接続する。ここで、配線層80が非導電性基板40と母材50との接合部分90において、非導電性基板40と母材50とに挟まれている場合、配線層80の厚みに起因して母材50にわずかな歪みが生じる。そこで、上記のように、配線層80を非導電性基板40と母材50の外側部分58との接合部分90において、非導電性基板40と母材50の外側部分58とに挟むように構成することにより、母材50の内側部分59を歪ませることなく、母材50の外側部分58だけを歪ませることができるので、母材50の内側部分59に歪みが影響することを抑制することができる。この効果は、本実施形態のように、母材50の内側部分59にMEMSデバイス100の可動部(リング部51、支持部52)が設けられている場合、可動部の動きに歪みが影響することを抑制できる点で、特に有効である。
【0069】
また、本実施形態では、上記のように、配線層80を、非導電性基板40と母材50との接合部分90の略全周において、非導電性基板40と母材50とに挟む。これにより、配線層80と母材50とをより一層確実に接触させることができるので、配線層80と母材50とをより一層確実に電気的に接続することができる。また、配線層80に起因して母材50に歪みが生じたとしても、母材50の略全周にわたって略均一に母材50を歪ませることができるので、歪みに起因して母材50の一部に応力が集中することを抑制することができる。その結果、歪みに起因して動作不良などの不良が生じることを抑制することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上記のように、配線層80を、断面視において、ゲッター層70に対して両側で母材50と電気的に接続する。これにより、配線層80がゲッター層70に対して片側のみで母材50と電気的に接続されている場合に比べて、配線層80と母材50とをより確実に電気的に接続することができる。
【0071】
また、本実施形態では、上記のように、配線層80は、アルミニウムからなる。これにより、アルミニウムからなる配線層80を電磁波のシールド材として機能させることができる。その結果、配線層80により、ゲッター層70の電荷を効率良く逃がすことができるだけでなく、電磁波に起因してMEMSデバイス100の性能が劣化することを抑制することもできる。
【0072】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0073】
たとえば、上記実施形態では、角速度センサとしての慣性センサ(物理量センサ)であるMEMSデバイスに本発明を適用した例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、加速度センサとしての慣性センサであるMEMSデバイスや、その他の慣性センサであるMEMSデバイスに適用されてもよい。また、本発明は、慣性センサ以外のMEMSデバイスに適用されてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、ゲッター層70および配線層80が、他方側の非導電性基板40の凹部42に設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ゲッター層70および配線層80が、一方側の非導電性基板30の凹部33に設けられてもよい。
【0075】
また、上記施形態では、配線層が、非導電性基板と母材との接合部分において、非導電性基板と母材とに挟まれている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、配線層が、非導電性基板と母材との接合部分において、非導電性基板と母材とに挟まれていなくてもよい。この場合、配線層が、接合部分以外の位置で、母材と電気的に接続されていればよい。
【0076】
また、上記施形態では、配線層が、非導電性基板と母材の外側部分との接合部分において、非導電性基板と母材の外側部分とに挟まれている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、非導電性基板と母材の内側部分とが接合されている場合、配線層が、非導電性基板と母材の内側部分との接合部分において、非導電性基板と母材の内側部分とに挟まれていてもよい。この場合、配線層が、非導電性基板と母材の内側部分とに挟まれた状態で、母材の内側部分に接触することによって、母材と電気的に接続されればよい。
【0077】
また、上記実施形態では、配線層が、非導電性基板と母材との接合部分において厚み方向に漸次薄くなるように形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、配線層が、非導電性基板と母材との接合部分において均一な厚みに形成されていてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、配線層が、非導電性基板と母材との接合部分の略全周において、非導電性基板と母材とに挟まれている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、非導電性基板と母材との接合部分の一部において、非導電性基板と母材とに挟まれていてもよい。
【0079】
また、上記実施形態では、1つの配線層が設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、配線層が複数に分割されていてもよい。変形例では、図5に示すように、配線層180は、複数(2つ)に分割されている。具体的には、配線層180は、配線層の半分を構成する略半円状の配線層181と、配線層のもう半分を構成する略半円状の配線層182とを含んでいる。配線層181および182は、距離D(D>0)を隔てて配置されている。つまり、配線層181および182は、互いに非接触(非接続)である。また、配線層181および182は、略円状に形成されている。配線層181および182は、それぞれ、母材と電気的に接続されるとともに、母材を介してグラウンド電位に接続されている。また、変形例では、ゲッター層70は、配線層181および182と略全体が接触するように、配線層181および182に積層されている。ゲッター層70は、配線層181および182を電気的に接続している。
【0080】
変形例では、上記のように、配線層180を、複数(2つ)に分割する。これにより、個々の配線層181および182の大きさを小さくすることができるので、個々の配線層181および182を製造しやすくすることができる。その結果、MEMSデバイスの製造性を向上させることができる。また、変形例では、上記のように、互いに非接触である配線層181および182を、ゲッター層70により電気的に接続する。これにより、配線層181および182のうちの一方から他方に電流を流すことにより、ゲッター層70を介した導通試験を行うことができる。これにより、配線層181または182の導通不良を容易に確認することができる。
【0081】
なお、変形例では、配線層が2つに分割されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、配線層は、3つ以上に分割されていてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、配線層が、母材を介してグラウンド電位に接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、配線層が、母材を介してグラウンド電位以外の定電位に接続されていてもよい。
【符号の説明】
【0083】
30、40 非導電性基板
50 MEMSデバイスの母材
60 密閉空間
70 ゲッター層
80、180、181、182 配線層
90 接合部分
100 MEMSデバイス
図1
図2
図3
図4
図5