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特許7136794誘電体共振器アンテナシステムで使用するための電磁反射器を含む電磁装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】誘電体共振器アンテナシステムで使用するための電磁反射器を含む電磁装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 9/04 20060101AFI20220906BHJP
   H01Q 13/02 20060101ALI20220906BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
H01Q9/04
H01Q13/02
H01Q21/06
【請求項の数】 56
(21)【出願番号】P 2019547291
(86)(22)【出願日】2018-04-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-25
(86)【国際出願番号】 US2018029003
(87)【国際公開番号】W WO2018204124
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2021-03-10
(31)【優先権主張番号】62/500,065
(32)【優先日】2017-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/569,051
(32)【優先日】2017-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/957,078
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596024851
【氏名又は名称】ロジャーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】タラスキー、ジャンニ
(72)【発明者】
【氏名】パンセ、クリスティ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ、ショーン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】スプレントール、カール イー.
(72)【発明者】
【氏名】オコナー、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】セスーマドハバン、ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト、マイケル エス.
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表平10-500261(JP,A)
【文献】特開2006-203554(JP,A)
【文献】実開昭60-061814(JP,U)
【文献】特表2004-535693(JP,A)
【文献】Ayman Elboushi et al.,"High gain hybrid DRA / horn antenna for MMW applications",2014 IEEE Antenna and Propagation Society International Symposium,2014年,pp.1968-1969
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 9/04
H01Q 13/02
H01Q 21/06
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁装置であって、
導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを有する一体型の電磁反射構造を含み、
前記複数の反射器は、規則的な配列で互いに対して配置されており、
前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又は前記導電性構造と電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む導電性の壁を形成しており、
前記複数の反射器の各々に関連する前記凹部は誘電体共振器アンテナ(DRA)を受け入れるように構成されており、前記DRAは規定の周波数f及び自由空間での関連する動作波長λで動作可能であり、前記複数の反射器は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されている:
λ以下の間隔で互いに離間している;
λ以下かつλ/2以上の間隔で互いに離間している;又は、
λ/2以下の間隔で互いに離間している、
かつ、前記導電性構造は、前記複数の反射器の電気接地基準電圧を提供するように構成されており、
前記複数の反射器のそれぞれの導電性ベース及び前記複数の反射器のそれぞれの導電性の壁は、前記電気接地基準電圧に直接電気接続するように配置されており、
各関連付けられたDRAは、関連付けられた1つの導電性ベース上に配置されていることを特徴とする、電磁装置。
【請求項2】
前記複数の反射器は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されている:
x-yグリッド型で互いに均等に離間している;
ダイヤモンド型で離間している;
均一な周期的パターンで互いに離間している;
漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している;
斜めのグリッド上で均一な周期的パターンで互いに離間している;
放射状グリッド上で均一な周期的パターンで互いに離間している;
x-yグリッド上で漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している;
斜めのグリッド上で、漸増又は漸減する非周期的なパターンで互いに離間している;
放射状グリッド上で、漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している;
非x-yグリッド上で、均一な周期的パターンで互いに離間している;又は
非x-yグリッド上で、漸増又は漸減する非周期的なパターンで互いに離間している、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記電磁反射構造は、肉眼で見える継ぎ目や接合部がなく、単一の材料から形成されたモノリシック構造である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記電磁反射構造は、いったん形成されると、回復不能に損傷又は破壊することなく互いに分割できない2つ以上の構成要素から形成される複合構造である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記電磁反射構造は、非金属部と、前記非金属部の少なくとも一部の上に配置された金属被覆とを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記金属被覆は、前記非金属部の全ての露出表面上に配置されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記非金属部はポリマーを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記非金属部は熱可塑性物質を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
前記非金属部は熱硬化性物質を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記非金属部はポリマー積層体を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記非金属部は強化ポリマー積層体を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項12】
前記電磁反射構造は第1の配置及び第2の配置をさらに備え、
第1の配置は第1の金属被覆を備える第1の非金属部を有し、
第2の配置は第2の金属被覆を備える第2の非金属部を有し、
第2の金属被覆の少なくとも一部は、第1の金属被覆の少なくとも一部と電気的に導通し、
第1の配置は少なくとも部分的に前記導電性構造を提供し、
第2の配置は少なくとも部分的に前記複数の導電性電磁反射器を提供する、
請求項4に記載の装置。
【請求項13】
電磁信号を受信し、前記電磁信号を前記凹部に送達するように構成された給電構造をさらに含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記給電構造は、開口部、導電性伝送線、ストリップライン、マイクロストリップ、導波路、基板集積導波路(SIW)、又はこれらの任意の組合せを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記導電性ベースは電磁信号を受信するように構成された開口部を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
第1の配置の第1の金属被覆が前記開口部を有する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
電磁装置であって、
導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを有する電磁反射構造を含み、
前記複数の反射器は、規則的な配列で互いに対して配置されており、
前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又は前記導電性構造と電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成しており、
前記複数の反射器の各々に関連する前記凹部は誘電体共振器アンテナ(DRA)を受け入れるように構成されており、前記DRAは規定の周波数f及び自由空間での関連する動作波長λで動作可能であり、前記複数の反射器は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されている:
λ以下の間隔で互いに離間している;
λ以下かつλ/2以上の間隔で互いに離間している;又は、
λ/2以下の間隔で互いに離間している、
かつ、前記導電性構造は、電磁装置の電気接地基準電圧を提供するように構成されており、
前記電磁反射構造は、いったん形成されると、回復不能に損傷又は破壊することなく互いに分割できない2つ以上の構成要素から形成される複合構造であり、
前記電磁反射構造は第1の配置及び第2の配置をさらに備え、
第1の配置は第1の金属被覆を備える第1の非金属部を有し、
第2の配置は第2の金属被覆を備える第2の非金属部を有し、
第2の金属被覆の少なくとも一部は、第1の金属被覆の少なくとも一部と電気的に導通し、
第1の配置は少なくとも部分的に前記導電性構造を提供し、
第2の配置は少なくとも部分的に前記複数の導電性電磁反射器を提供し、
電磁信号を受信し、前記電磁信号を前記凹部に送達するように構成された給電構造をさらに含み、
前記給電構造は、開口部、導電性伝送線、ストリップライン、マイクロストリップ、導波路、基板集積導波路(SIW)、又はこれらの任意の組合せを含み、
前記導電性ベースは電磁信号を受信するように構成された開口部を含み、
第1の配置の第1の金属被覆が前記開口部を有し、
第1の非金属部は、第1の側及び反対側の第2の側を有し、前記開口部を有する第1の金属被覆は、第1の非金属部の第1の側に配置されており、
前記導電性伝送線は第1の非金属部の第2の側に配置されており、前記伝送線は前記開口部と信号通信するように配置されており、前記開口部は、前記伝送線に直交して配置された長さ方向を有するスロット付き開口を含む、装置。
【請求項18】
電磁装置であって、
導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを有する電磁反射構造を含み、
前記複数の反射器は、規則的な配列で互いに対して配置されており、
前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又は前記導電性構造と電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成しており、
前記複数の反射器の各々に関連する前記凹部は誘電体共振器アンテナ(DRA)を受け入れるように構成されており、前記DRAは規定の周波数f及び自由空間での関連する動作波長λで動作可能であり、前記複数の反射器は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されている:
λ以下の間隔で互いに離間している;
λ以下かつλ/2以上の間隔で互いに離間している;又は、
λ/2以下の間隔で互いに離間している、
かつ、前記導電性構造は、電磁装置の電気接地基準電圧を提供するように構成されており、
前記電磁反射構造は、いったん形成されると、回復不能に損傷又は破壊することなく互いに分割できない2つ以上の構成要素から形成される複合構造であり、
前記電磁反射構造は第1の配置及び第2の配置をさらに備え、
第1の配置は第1の金属被覆を備える第1の非金属部を有し、
第2の配置は第2の金属被覆を備える第2の非金属部を有し、
第2の金属被覆の少なくとも一部は、第1の金属被覆の少なくとも一部と電気的に導通し、
第1の配置は少なくとも部分的に前記導電性構造を提供し、
第2の配置は少なくとも部分的に前記複数の導電性電磁反射器を提供し、
電磁信号を受信し、前記電磁信号を前記凹部に送達するように構成された給電構造をさらに含み、
前記給電構造は、開口部、導電性伝送線、ストリップライン、マイクロストリップ、導波路、基板集積導波路(SIW)、又はこれらの任意の組合せを含み、
前記SIWは、内部に誘電体媒体が配置された少なくとも1つの導電性導波路境界を含む、装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの導電性導波路境界は、上部導電性導波路境界、下部導電性導波路境界、左側導電性導波路境界、及び右側導電性導波路境界を有し、上記の全ての境界が互いに電気的に接続されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
上部導電性導波路境界は前記導電性ベースを含み、
下部導電性導波路境界は前記導電性構造を含み、
左側及び右側導電性導波路境界は、前記導電性ベースと前記導電性構造との間で電気的に接続された複数の導電性経路を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
所与の方向において、平面視で、前記SIWの幅は、前記凹部の全体的な外側幅によって画定される前記装置のユニットセルの幅よりも小さい、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
所与の方向において、平面視で、前記SIWの幅は、前記凹部の全体的な外側幅によって画定される前記装置のユニットセルの幅と実質的に等しい、請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記開口部内に配置された同軸ケーブルをさらに備える、請求項14、15、及び16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
複数の誘電体共振器アンテナ(DRA)をさらに備え、前記複数のDRAの各々は前記複数の反射器のそれぞれと1対1の関係で配置されており、前記複数のDRAの各々は関連付けられた1つの導電性ベース上に配置されている、請求項1722のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記複数のDRAは実質的に半球形状のDRAを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記複数のDRAは実質的に円筒形状のDRAを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記複数のDRAは実質的に矩形形状のDRAを含む、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記複数のDRAの各々は関連付けられた1つの導電性ベース上に直接配置されている、請求項24~27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
電磁装置であって、
導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを有する電磁反射構造を含み、
前記複数の反射器は、規則的な配列で互いに対して配置されており、
前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又は前記導電性構造と電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成しており、
前記複数の反射器の各々に関連する前記凹部は誘電体共振器アンテナ(DRA)を受け入れるように構成されており、前記DRAは規定の周波数f及び自由空間での関連する動作波長λで動作可能であり、前記複数の反射器は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されている:
λ以下の間隔で互いに離間している;
λ以下かつλ/2以上の間隔で互いに離間している;又は、
λ/2以下の間隔で互いに離間している、
かつ、前記導電性構造は、電磁装置の電気接地基準電圧を提供するように構成されており、
複数の誘電体共振器アンテナ(DRA)をさらに備え、前記複数のDRAの各々は前記複数の反射器のそれぞれと1対1の関係で配置されており、前記複数のDRAの各々は関連付けられた1つの導電性ベース上に配置されており、
前記複数のDRAの各々は、関連付けられた1つの導電性ベース上に、介在誘電材料を間に挟んだ状態で配置されている、装置。
【請求項30】
前記介在誘電体材料は、電磁装置の動作波長λの1/50と等しいかそれよりも小さい厚さを有し、ここで、動作波長λは自由空間で測定される、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
立面図で見て、前記複数の反射器のうちの所与の1つの全体的な高さは、前記複数のDRAのそれぞれの全体的な高さよりも低い、請求項24~30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記複数のDRAのうち隣接するもの同士が、関連する接続されたDRAの全体的な外形寸法よりも薄い接続構造を介して接続されている、請求項24~31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記複数のDRAのうち隣接するものは、絶対距離で最も近くにある隣接するものである、請求項32に記載の装置。
【請求項34】
前記複数のDRAのうち隣接するものは、対角線方向で最も近くにある隣接するものである、請求項32に記載の装置。
【請求項35】
前記複数の反射器は、平面上に互いに対して配置されている、請求項1~34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記複数の反射器は、非平面上に互いに対して配置されている、請求項1~34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記複数の反射器は、球面上又は円筒面上に互いに対して配置されている、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
電磁装置であって、
非金属部と、前記非金属部の少なくとも一部を覆う金属被覆との組合せを有する一体型の電磁反射構造を含み、前記組合せは、導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されてそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを形成しており、
前記複数の反射器は、規則的な配列で互いに対して配置されており、
前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又はそれと電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む導電性の壁を形成しており、
前記複数の反射器の各々に関連する前記凹部は誘電体共振器アンテナ(DRA)を受け入れるように構成されており、
前記導電性構造は、前記複数の反射器の電気接地基準電圧を提供するように構成されており、
前記複数の反射器のそれぞれの導電性ベース及び前記複数の反射器のそれぞれの導電性の壁は、前記電気接地基準電圧に直接電気接続するように配置されており、
各関連付けられたDRAは、関連付けられた1つの導電性ベース上に配置されていることを特徴とする、電磁装置。
【請求項39】
前記導電性ベースは、電磁信号を受信するように構成された開口部を有する、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記非金属部はポリマーを含む、請求項38に記載の装置。
【請求項41】
前記非金属部は熱可塑性物質を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項42】
前記非金属部は熱硬化性物質を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項43】
前記非金属部はポリマー積層体を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項44】
前記ポリマー積層体は1つ以上の穿孔を含む、請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記非金属部は成形ポリマーを含む、請求項38に記載の装置。
【請求項46】
前記成形ポリマーは射出成形ポリマーを含む、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
前記金属被覆はめっき金属被覆を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項48】
前記金属被覆は電気めっき金属被覆を含む、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記金属被覆は無電解めっき金属被覆を含む、請求項48に記載の装置。
【請求項50】
前記金属被覆は蒸着金属被覆を含む、請求項38に記載の装置。
【請求項51】
前記金属被覆は物理蒸着金属被覆を含む、請求項50に記載の装置。
【請求項52】
記複数の反射器の各反射器は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されている:
x-yグリッド型で互いに均等に離間している;
ダイヤモンド型で離間している;
均一な周期的パターンで互いに離間している;
漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している;
斜めのグリッド上で均一な周期的パターンで互いに離間している;
放射状グリッド上で均一な周期的パターンで互いに離間している;
x-yグリッド上で漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している;
斜めのグリッド上で、漸増又は漸減する非周期的なパターンで互いに離間している;
放射状グリッド上で、漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している;
非x-yグリッド上で、均一な周期的パターンで互いに離間している;又は
非x-yグリッド上で、漸増又は漸減する非周期的なパターンで互いに離間している、
請求項38~51のいずれか一項に記載の装置。
【請求項53】
前記誘電体共振器アンテナ(DRA)は、関係する反射器のそれぞれの凹部内に少なくとも部分的に配置されている、請求項38~52のいずれか一項に記載の装置。
【請求項54】
導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを含む電磁反射構造を有する電磁装置を製造する方法であって、前記複数の反射器は、規則的な配置で互いに対して配置され、前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又はそれと電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成し、前記方法は:
前記導電性構造を備えた給電構造を提供し、前記給電構造を型に挿入する工程;
1つ以上の誘電体共振器アンテナDRAを前記給電構造上に成形し、前記DRAを少なくとも部分的に硬化させてDRAサブコンポーネントを提供する工程;及び、
複数の導電性電磁反射器を含む反射器構造を提供し、前記反射器構造を前記DRAサブコンポーネントに取り付けて、前記複数の導電性電磁反射器が前記導電性構造と一体的に形成されるか又は電気的に接触するようにする工程
を含み、前記1つ以上のDRAは、前記凹部のそれぞれと1対1の関係で配置され、
前記導電性構造は、電磁装置の電気接地基準電圧を提供するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項55】
導電性構造と、前記導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に接触する複数の導電性電磁反射器とを含む電磁反射構造を有する電磁装置を製造する方法であって、前記複数の反射器は、規則的な配置で互いに対して配置され、前記複数の反射器の各反射器は、前記導電性構造の一部を形成するか又はそれと電気的に接触する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成し、前記方法は:
電磁反射構造を提供し、それを型に挿入する工程;及び、
1つ以上の誘電体共振器アンテナDRAを前記電磁反射構造上に成形し、前記DRAを少なくとも部分的に硬化させる工程
を含み、前記1つ以上のDRAは、前記凹部のそれぞれと1対1の関係で配置され、
前記導電性構造は、電磁装置の電気接地基準電圧を提供するように構成されていることを特徴とする方法。
【請求項56】
前記複数の反射器は、非平面上、球面上、又は円筒面上に互いに対して配置されており、
前記複数のDRAの各々は、それぞれの反射器の凹部内に少なくとも部分的に配置されている、請求項24に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して電磁装置に関し、特に、誘電体共振器アンテナ(DRA)システムで使用するための電磁反射構造に関し、より詳細には、マイクロ波用及びミリ波用に適したDRAシステムで使用するためのモノリシック電磁反射構造に関する。
【背景技術】
【0002】
既存のDRA共振器及びアレイはそれらの意図された目的に適したものであり得るが、DRAの技術は、既存の欠点、例えば限られた帯域幅、制限された効率、制限された利得、制限された指向性、又は複雑な製造技術などを克服できる遠方界における高い指向性を備えた高利得DRAシステムの構築に有用な電磁装置と共に進歩するであろう。
以下の刊行物は、有用な背景技術とみなすことができる:(1)欧州特許出願公開第0587247号明細書(SECR DEFENCE BRIT[GB])1994年3月16日(1994-03-16);(2)特開2004-112131号公報(日本電気株式会社)2004年4月8日(2004-04-08);(3)米国特許出願公開第2012/256796号明細書(LEIBA YIGAL[IL])2012年10月11日(2012-10-11);及び(4)米国特許第2624002号明細書(BOUIX MAURICE G)。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態は、導電性構造と、その導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に導通する複数の導電性電磁反射器とを有する電磁反射構造を有する電磁装置を含む。ここで、上記複数の反射器は、規則的な配列で互いに対して配置される。また、各反射器は、導電性構造の一部を形成するか又は導電性構造と電気的に導通する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成する。
【0004】
本発明の上記の特徴及び利点ならびに他の特徴及び利点は、添付した図面に関連して解釈されるとき、本発明の以下の詳細な説明から容易に明らかになる。
添付図面において同様の要素には同様の番号が付けられている例示的かつ非限定的な図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】一実施形態による例示的な電磁(EM)装置の回転させたアイソメトリック図を示す。
図2A】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図2B】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図2C】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図2D】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図2E】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図2F】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図2G】一実施形態による、隣接する反射器間の中心間距離を規則的にアレイ状に配列した、図1のEM装置の複数の反射器の代替の概略図を示す。
図3図1に類似する例示的なEM装置の立面断面図を示すが、一実施形態に従い、一度形成されると互いに分割できない2つ以上の構成要素から形成される。
図4図1に類似する例示的なEM装置の立面断面図を示すが、一実施形態に従い、構成要素の第1の配置及び第2の配置から形成され、部分的に組み立てられた状態で示されている。
図5図3に類似する例示的なEM装置であって、一実施形態による、複数のDRAを有するものを示す。
図6図4に類似する例示的なEM装置であって、一実施形態による、複数のDRAを有するものを、完全に組み立てられた状態で示す。
図7】一実施形態による、図5の切断線7-7を通る断面立面図を示す。
図8】一実施形態による、図1~6に類似する非平面上の例示的なEM装置を示す。
図9】一実施形態による、図4のEM装置の一部の平面図を示す。
図10】一実施形態による、特にストリップライン給電構造を採用した、図6に示されたものに代わる例示的なEM装置の断面立面図を示す。
図11】一実施形態による、アレイとして配置された図10の例示的なEM装置の平面図を示す。
図12】一実施形態による、図10のEM装置を製造する代替方法を示す。
図13】一実施形態による、図10のEM装置を製造する代替方法を示す。
図14A】一実施形態による、特に導電性接地ビアを使用した図10図11の例示的なEM装置の断面立面図を示す。
図14B】一実施形態による、特に導電性接地ビアを使用した図10図11の例示的なEM装置の断面平面図を示す。
図15図14Bに類似する代替の例示的なEM装置の平面図を示すが、一実施形態に従い、基板集積導波路の形態の給電構造を備える。
図16図14Bに類似する代替の例示的なEM装置の平面図を示すが、一実施形態に従い、基板集積導波路の形態の給電構造を備える。
図17図16に類似する代替の例示的なEM装置の平面図を示すが、一実施形態に従い、単一の基板集積導波路で給電される複数のDRAを備える。
図18】一実施形態による、本明細書で開示される目的に有用な例示的なDRAの回転させたアイソメトリック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の詳細な説明には、例示の目的で多くの詳細が含まれるが、当業者であれば、以下の詳細に対する多くの変形及び変更が特許請求の範囲の範囲内であることを理解するであろう。したがって、以下の例示的な実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明に対する一般性を損なうことなく、また制限を課すことなく記載されている。
【0007】
本明細書で開示される実施形態は、遠方界における高い指向性を備えた高利得DRAシステムを構築するのに有用な電磁(EM)装置の様々な構成を含む。本明細書で開示されるEM装置の実施形態は、電気的接地構造として機能し得る導電性構造を有する1つ以上の一体型(unitary)EM反射構造と、その導電性構造と一体的に形成されるか又は電気的に導通する1つ以上の導電性EM反射器とを含む。
【0008】
本明細書に開示されるEM装置の一実施形態は、1つ以上の導電性EM反射器のそれぞれに配置された1つ以上のDRAを含んで、高利得DRAシステムの形態のEM装置を提供する。
【0009】
本明細書で使用される一体型という用語は、1つ又は互いに対して自立している複数の構成要素の単一の配置であって、本明細書に開示されている目的に適した任意の手段によって結合可能であり、かつ1つ又は複数の構成要素を損傷するか否かを問わず分離可能である、1つ又は複数の構成要素の単一の配置を意味する。
【0010】
本明細書で使用する場合、ワンピース構造という語句は、1つ又は互いに対して自立している複数の構成要素の単一の配置であって、通常の使用中に他の1つ以上の構成要素から完全に分離できる構成要素を持たず、かつ関連する構成要素の一部を破壊又は損傷することなく、1つ又は複数の構成要素の他方から完全に分離できる構成要素を持たない、1つ以上の構成要素の単一の配置を意味する。
【0011】
本明細書で使用する場合、一体的に形成されるという語句は、構造のある領域から別の領域にかけて材料が途切れることなく、構造の残りの部分と共通する材料で形成された構造を意味し、例えば、プラスチック成形法、3D印刷法、堆積法、又は機械加工又は鍛造金属加工法などから製造された構造である。あるいは、一体的に形成されるとは、一体型の分割不可能なワンピース構造を意味する。
【0012】
本明細書で使用されるモノリシックという用語は、単一の材料組成物から一体的に形成された構造を意味する。
ここで図1を参照すると、EM装置100の一実施形態は、導電性構造104と、その導電性構造104と一体的に形成されるか又はそれと電気的に導通する複数の導電性電磁反射器106とを有する一体型電磁反射構造102を含む。複数の反射器106は、規則的な配置で互いに対して配置され、複数の反射器106の各反射器は、導電性構造104の一部を形成するか又は導電性構造と電気的に導通する導電性ベース112を有する凹部110を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁108を形成し、導電性ベース112は、電磁信号を受信するように構成された給電構造113を含む。一実施形態では、導電性構造104は、EM装置100の電気接地基準電圧を提供するように構成される。図1は、切頭円錐形状(z軸に対して傾斜した壁)を有する壁108を示しているが、本発明の範囲はこれに限定されず、反射器106の壁108はz軸に対して垂直であり得る(図3~6に最もよく見ることができる)。
【0013】
一実施形態では、一体型電磁反射構造102は、肉眼で見える継ぎ目や接合部のない、単一の材料組成物から形成されたモノリシック構造である。しかし、以下でさらに説明するように、本発明の実施形態はそのようなモノリシック構造に限定されない。
【0014】
図1は、反射器106の2×2のアレイを示しているが、これは単に例示目的であり、本発明の範囲は2×2のアレイのみに限定されないことが理解されよう。そのため、図1は、任意の数かつ任意のアレイ配置の複数の反射器、又は単一の反射器を含む、本明細書の開示と一致する一体型電磁反射構造の任意の数の反射器を表すものであることが理解されるであろう。
【0015】
図1及び図2A図2Gを参照して、一実施形態では、複数の反射器106は、以下の配置のいずれかに従って、隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイ状に配置されてもよい:x-yグリッド型で互いに均等に離間しており、A=B(例えば、図1及び図2Aを参照)である;ダイヤモンド型で離間しており、ダイヤモンド型のダイヤモンド形状が対向する内角α<90度かつ対向する内角β>90度を有する(例えば、図2Bを参照);均一な周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2A、2B、2C、2Dを参照);漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2E、2F、2Gを参照);斜めのグリッド上で均一な周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2Cを参照);放射状グリッド上で均一な周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2Dを参照);x-yグリッド上で漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2Eを参照);斜めのグリッド上で、漸増又は漸減する非周期的なパターンで互いに離間している(例えば、図2Fを参照);放射状グリッド上で、漸増又は漸減する非周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2Gを参照);非x-yグリッド上で、均一な周期的パターンで互いに離間している(例えば、図2B、2C、2Dを参照);非x-yグリッド上で、漸増又は漸減する非周期的なパターンで互いに離間している(例えば、図2F、2Gを参照)。本明細書では、複数の反射器の様々な配置が例えば図1及び図2A~2Gを介して示されているが、そのような図示された配置は、本明細書に開示された目的と一致して構成され得る多くの配置を網羅するものではないことが理解される。したがって、本明細書で開示される目的のための本明細書で開示される複数の反射器のあらゆる配置が、本明細書で開示される本発明の範囲内にあると考えられる。
【0016】
ここで図3を参照すると、一実施形態では、EM装置100の一体型電磁反射構造102は、いったん形成されると、回復不能に損傷又は破壊することなく互いに分割できない2つ以上の構成要素から形成される複合構造であってもよい。例えば、一体型電磁反射構造102は、非金属部300(例えば、1つ以上の非金属部を含み得る)と、非金属部300の少なくとも一部の上に配置された金属被覆350とを含み得る。一実施形態では、金属被覆350は、非金属部300の全ての露出表面上に配置され、その金属被覆350は後に、機械加工により、エッチングにより、又は他の態様により、本明細書に開示される目的と一致する理由(例えば、開口部114を有する給電構造113を作成するなど)のために除去されてもよい。本明細書に開示される金属被覆は、銅又は本明細書に開示される目的に適した他の任意の導電性材料であってよく、クラッド層、蒸着又は電着又は蒸気コーティング、又は物理蒸着金属被覆、めっき又は電気めっきコーティング、又は無電解めっきコーティング、又は本明細書に開示される目的に適した金属又は金属を含む組成物の任意の他の層、被覆、又は蒸着物とすることができる。一実施形態では、非金属部300は、ポリマー、ポリマー積層体、強化ポリマー積層体、ガラス強化エポキシ積層体、又は、本明細書に開示される目的に適した、例えば成形ポリマーや射出成形ポリマーなどの他のポリマー材料又は組成物を含む。図示されているように、図3に示される一体型電磁反射構造102は、導電性構造104と、その導電性構造104と一体的に形成されるか又は導電性構造104と電気的に導通する複数の導電性電磁反射器106とを含む。複数の反射器106の各反射器は、導電性構造104の一部を形成するか又は導電性構造と電気的に導通する導電性ベース112を有する凹部110を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁108を形成し、導電性ベース112は、例えばマイクロストリップフィード116などから電磁信号を受信するように構成された開口部114を含む。より一般的には、給電構造113は、ストリップライン又はマイクロストリップを含む任意の伝送線であってもよく、又は、例えば、基板集積導波管などの導波管であってもよい。一実施形態では、導電性ベース112は、導電性構造104と同一であってもよい。一実施形態では、導電性ベース112及び導電性構造104は、介在する誘電体層118を介してマイクロストリップフィード116から分離される。別の実施形態では、マイクロストリップ116の代わりに、同軸ケーブル120を開口部114内に配置することができ、開口部114は同軸ケーブル120を挿入するために誘電体層118を貫通し得る。図3は、マイクロストリップ116と同軸ケーブル120の両方を示しているが、このような描写は例示目的のみであり、本発明の実施形態は、信号フィードをただ1種類、又は本明細書で開示する信号フィードの任意の組合せ、又は当技術分野で知られている別の態様を利用できることが理解されよう。
【0017】
60GHz用では、EM装置100は以下の寸法を有し得る:反射器壁108の高さ122が約1ミリメートル(mm);凹部110の全体の開口寸法124が約2.2mm;隣接する反射器106間の最小壁厚寸法126が約0.2mm;開口114の開口寸法128が約0.2mm;そして、誘電体層118の厚さ寸法130が約0.1mm。
【0018】
次に図4を参照して、一実施形態は第1の配置400及び第2の配置450から形成された一体型電磁反射構造102を含み、第1の配置400は第1の金属被覆404を備える第1の非金属部402を有し、第2の配置450は第2の金属被覆454を備える第2の非金属部452を有する。第1及び第2の配置400、450が互いに組み立てられたとき(組み立て矢印132を参照)、第2の金属被覆454の少なくとも一部456は、第1の金属被覆404の少なくとも一部406と電気的に導通する。部分406と部分456の間の電気的導通は、例えば、熱及び/又は圧力処理による冶金接合、振動溶接による冶金接合、金属はんだによる冶金接合、又は、例えば銀充填エポキシなどの導電性樹脂を介する接着結合などの、本明細書で開示する目的に適した任意の手段によって提供され得る。そのような結合の例は、本明細書で非限定的な例としてのみ提示され、本明細書で開示される目的のために所望の程度の電気的導通を達成する全ての可能な方法を含むことを意図していない。第1の配置400、より具体的には第1の金属被覆404は、少なくとも部分的に導電性構造104を提供する。第2の配置450、より具体的には第2の金属被覆454は、凹部110を画定しかつそれを少なくとも部分的に取り囲む壁108を有する複数の導電性電磁反射器106を少なくとも部分的に提供する。第1の金属被覆404の別の部分408は、導電性構造104の一部を形成するか、又は導電性構造104と電気的に導通する導電性ベース112を形成する。一実施形態では、導電性ベース112、より具体的には第1の金属被覆404は、電磁信号を受信するように構成された開口部114を含む。図4に示すように、第1の非金属部402は、第1の側402.1及び反対側の第2の側402.2を有し、開口部114を有する第1の金属被覆404は、第1の非金属部402の第1の側402.1に配置される。
【0019】
一実施形態では、導電性マイクロストリップ116は、第1の非金属部402の第2の側402.2に配置され、マイクロストリップ116は、開口部114と信号通信するように配置される。一実施形態では、開口部114は、マイクロストリップ116に直交して配置された長さ方向のスロット方向を有するスロット付き開口である。別の実施形態では、マイクロストリップ116の代わりに、同軸ケーブル120を開口部114内に配置することができ、開口部114は同軸ケーブル120を挿入するために第1の非金属部402を貫通し得る(例えば、図3の描写に類似する)。別の実施形態では、ストリップラインは第1の非金属部402の第2の側402.2に配置され(マイクロストリップ116と同様)、裏面の非金属部がストリップラインを挟むように設けられ、ここで、裏面非金属部はストリップラインを遮蔽する接地板を含む(図10を参照して以下でさらに詳しく説明する)。
【0020】
図3及び4に関連する上述の説明から、EM装置100の一実施形態は、非金属部300、402、452と、その非金属部の少なくとも一部を覆う金属被覆350、404、454との組合せを有する一体型電磁反射構造102を含むことが理解されよう。ここで、上記組合せは、導電性構造104と、その導電性構造と一体的に形成されてそれと電気的に導通する導電性電磁反射器106とを形成し、反射器は、導電性構造104の一部を形成するか又は導電性構造と電気的に導通する導電性ベース112を有する凹部110を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁108を形成し、導電性ベースは、電磁信号を受信するように構成された開口部114を有する。
【0021】
ここで、図1、3、及び4と合わせて図5及び6を参照する。図5図3のものと類似する一体型電磁反射構造102を示し、図6は、組み立てられ、結合部406、456で電気的に接続された図4のものと類似する一体型電磁反射構造102を示す。図5及び6はそれぞれ、複数の誘電体共振器アンテナ(DRA)500を示し、各DRA500は複数の反射器106のそれぞれと1対1の関係で配置され、各DRA500は関連付けられた1つの導電性ベース112上に配置される。一実施形態では、各DRA500は、関連付けられた1つの導電性ベース112上に直接配置され、これは、図5及び6のDRA502を介して示されている。別の実施形態では、各DRA500は、関連付けられた1つの導電性ベース112上に、誘電材料504を間に挟んだ状態で配置され、これは、図5及び6の誘電材料504の上部に配置されたDRA506を介して示されている。介在誘電体材料504を使用する一実施形態では、介在誘電体材料504は、EM装置100の動作波長λの1/50と等しいかそれよりも小さい厚さ「t」を有し、ここで、動作波長λは自由空間で測定される。一実施形態では、立面図に見られるように、複数の反射器106のうちの所与の1つの全体的な高さ「Hr」は、複数のDRA500のそれぞれの全体的な高さ「Hd」よりも低い。一実施形態では、HrはHdの80%であるか又はそれを超える。
【0022】
引き続き図5及び6を参照すると、一実施形態は、複数のDRA500のうち隣接するもの同士が、関連する接続されたDRA502、506の全体的な外形寸法と比べて比較的薄い接続構造508を介して任意に接続される(破線で示される)配置を含む。図7は、DRA500に対する接続構造508の切断線7-7を通る断面図を示し、接続構造508は高さ寸法134及び幅寸法136を有し、寸法134及び136のそれぞれは比較的薄く、例えばλ以下、又はλ/2以下などである。一実施形態では、複数のDRA500のうち隣接するものは、絶対距離で最も近くにある隣接するものである。別の実施形態では、複数のDRA500のうち隣接するものは、対角線方向で最も近くにある隣接するものである。
【0023】
各DRA500は、規定の周波数f及び関連する動作波長λ(自由空間で測定)で動作し、複数の反射器106及び関連付けられたDRA500は、以下の配置のいずれかに従って、(所定のDRAアレイの全体的な形状で)隣接する反射器間の中心間距離を有するアレイに配置されてもよい:反射器106及び関連付けられたDRA500は、λ以下の間隔で互いに離間している;反射器106及び関連付けられたDRA500は、λ以下かつλ/2以上の間隔で互いに離間している;又は、反射器106及び関連付けられたDRA500は、λ/2以下の間隔で互いに離間している。例えば、10GHzに等しい周波数に対するλで、1つのDRAの中心から最も近くにある隣接するDRAの中心までの間隔は、約30mm以下、又は約15mmから約30mmの間、又は約15mm以下である。
【0024】
一実施形態では、複数の反射器106は、例えば図3及び4に示される導電性構造104などの平面上に互いに対して配置される。しかし、本発明の範囲はそれに限定されず、複数の反射器106は、例えば球面又は円筒面などの非平面140(例えば図8を参照)上に互いに対して配置されてもよい。
【0025】
本明細書で開示される複数のDRA500及びEM装置100の一実施形態では、DRA500は、例えばマイクロストリップ116(又はストリップライン)や同軸ケーブル120などの1つ又は複数の信号フィードによって単独給電、選択給電、又は多重給電され得る。マイクロストリップ116及び同軸ケーブル120のみが信号フィードの例として本願に描かれているが、一般に、所与のDRA500の励起は、それぞれのDRA500に電磁気的に結合された銅線、同軸ケーブル、マイクロストリップ(例えば、スロット付き開口を備えるもの)、ストリップライン(例えば、スロット付き開口を備えるもの)、導波路、表面集積導波路、基板集積導波路、又は導電性インクなどの、本明細書に開示される目的に適した任意の信号フィードによって提供され得る。当業者によって理解されるように、電磁気的に結合されたという語句は、2つの場所間の物理的接触を必ずしも必要としない、ある場所から別の場所への電磁エネルギーの意図的な転送を指す技術用語であり、特に本明細書で開示される実施形態に関して、関連付けられたDRAの電磁共鳴モードと一致する電磁共鳴周波数を有する信号源間の相互作用を指す。所与のDRAに直接埋め込まれた信号フィードでは、信号フィードは、接地構造と非電気的に接触し、接地構造の開口部を介して接地構造を貫通し、誘電材料の塊(ボリューム)の中に入る。本明細書で使用する場合、非気体誘電材料以外の誘電材料への言及は、標準大気圧(1気圧)及び温度(摂氏20度)で約1の比誘電率(ε)を有する空気を含む。本明細書で使用される場合、「比誘電率」という用語は、単に「誘電率」と略されるか、「誘電率」という用語と交換可能に使用され得る。使用される用語に関係なく、当業者は、本明細書で提供される本発明の開示全体を読むことにより、本明細書で開示される本発明の範囲を容易に理解するであろう。
【0026】
本明細書では実施形態を送信機アンテナシステムとして説明するが、本発明の範囲はそれに限定されず、受信機アンテナシステムも包含することを理解されたい。
以上を考慮して、DRA500の有無にかかわらず、本明細書で開示されるEM装置100の実施形態は、プリント回路基板(PCB)タイプの基板上に、又は電子部品のウェハレベル(例えば、シリコン系ウェハなどの半導体ウェハ)で形成され得ることが理解されよう。PCBの場合、凹部110を作成するためのブラインド製造プロセス又はスルーホールビアを使用してEM装置100を形成することができる。EM装置100は、マイクロストリップ給電ネットワーク116(又はストリップライン給電ネットワーク)を間に挟んで他のラミネート層の上に配置することができ、RFチップ及び他の電子部品はラミネートの裏面に取り付けることができ、開口部114によりマイクロストリップフィード116と電磁的に接続する。
【0027】
一実施形態では、凹部110は、機械的穿孔又はレーザ穿孔、及び/又はルータ加工又はフライス加工によって、前述の第2の非金属部452(図4参照)などのボード又は基板を貫通する例えば直径約2mmのスルーホールビアを形成し、前述の第2の金属被覆454などの金属で穿孔板をコーティングし、FR-4ガラス強化エポキシラミネート又は少なくとも第2の非金属部452用の誘電体基板と同様の材料の使用を可能にする例えば300℃未満などの低温結合プロセスを用いて、その穿被覆板を(ここで、穿孔被覆板の組合せは、例えば前述の第2の配置450と同義である)前述の第1の配置400(図4参照)に結合することによって形成されてもよい。図9は、例示的な穿孔被覆板(第2の配置450)の平面図を示しており、第2の配置450は、図4では切り取り線4-4に沿って描かれている。ここで図10を参照すると、この図は遮蔽されたストリップライン給電構造を採用したアセンブリ1000の代替実施形態を示している。図示されるように、アセンブリ1000は、図4のものと類似する一体型電磁反射構造102を含むが、第1の配置400の構造にいくつかの違いがあり、第1の非金属部402の第1の側402.1に第1の金属被覆404が配置された第1の非金属部402、第1の非金属部402の第2の側402.2に配置されたストリップライン117(図4に示すマイクロストリップ116と類似する)、第1の非金属部402と裏面非金属部410との間にストリップライン117を挟むように設けられた裏面非金属部410、及び、第1の非金属部402と裏面非金属部410とをそれらの間にストリップライン117が配置された状態で結合するために設けられたプリプレグ層412を有する。裏面非金属部410の外側(底面)表面は、導電性経路414を介して第1の金属被覆404に電気的に接続された導電性接地構造104を含む。図10に示される第2の配置450の特徴は、図4に関連して説明したものと同じであるためここでは繰り返さず、図10では同様の参照番号で単に列挙されている。
【0028】
図10には、上述の比較的薄い接続構造508がないDRA500も示されており、DRA500は、図4に示されたものとは異なる全体的な外形を有するDRAを示すために参照番号510によっても示されている。例えば図10では、DRA510は、側壁に直線部分や垂直部分がなく、代わりに、導電性ベース112に接する広い近位端からDRA510の頂点の狭い遠位端まで連続的に湾曲するように移行する弾丸鼻(bullet nose)形状を有する。概して、図5、6、7、及び10は、本明細書に開示される目的に適したDRA500が、本明細書に開示される目的に適した任意の形状(立面図に見られる断面形状、及び平面図に見られる断面形状)、例えば、垂直側壁を備えたドーム型、垂直側壁を備えていない弾丸鼻形状、半球、又は前述のものの任意の組合せなどを有し得ることを示すことにもなる。さらに、本明細書で開示されるDRA500は、ワンピース固体DRA、中空空芯DRA、又は誘電率が異なる誘電体層を有する多層DRAとすることができ、その全てのバージョンは、図10における左側のDRA510では(オプションの)破線で表されている。
【0029】
図11は、一体型電磁反射構造102の凹部110のそれぞれに配置された図10のDRA510のアレイの平面図を示す。図11では、x方向の全体的なDRA寸法「a」はy方向の全体的なDRA寸法「b」よりも大きく、これは、使用される給電構造のタイプに応じてマッチング及び/又は遠方界放射の制御を提供する役割を果たす。一般に、本明細書に開示される目的に適したDRA500は、本明細書に開示される目的に適した任意の形状(平面図に見られる断面形状)を有し得る。
【0030】
ここで、図10と合わせて図12及び13を参照すると、これらは図10のアセンブリ1000を製造する2つの方法600、650を概要で示している。
方法600では、第1に、給電基板が製造される(602);第2に、反射器構造が給電基板に取り付けられる(604);最後に、DRAなどの誘電体コンポーネントが給電基板上に提供され(606)、これは、インサート成形、3D印刷、ピックアンドプレース、又は本明細書で開示する目的に適した他の製造手段によって達成することができる。
【0031】
方法600は、導電性構造と、その導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に導通する複数の導電性電磁反射器とを含む電磁反射構造を有する電磁装置を製造する方法600としてさらに説明され得る。ここで、複数の反射器は、規則的な配置で互いに対して配置され、複数の反射器の各反射器は、導電性構造の一部を形成するか又は導電性構造と電気的に導通する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成し、上記方法は:電磁反射構造を提供し、それを型に挿入すること;及び、1つ以上の誘電体共振器アンテナ、DRAを電磁反射構造上に成形し、DRAを少なくとも部分的に硬化させることを含み、1つ以上のDRAは、凹部のそれぞれと1対1の関係で配置される。
【0032】
方法650では、第1に、給電基板が製造される(652);第2に、DRAなどの誘電体コンポーネントが給電基板上に提供され(654)、これは、インサート成形、3D印刷、ピックアンドプレース、又は本明細書で開示する目的に適した他の製造手段によって達成される;最後に、反射器構造が給電基板に取り付けられる(656)。
【0033】
方法650は、導電性構造と、その導電性構造と一体的に形成されるか又はそれと電気的に導通する複数の導電性電磁反射器とを含む電磁反射構造を有する電磁装置を製造する方法650としてさらに説明され得る。ここで、複数の反射器は、規則的な配置で互いに対して配置され、複数の反射器の各反射器は、導電性構造の一部を形成するか又は導電性構造と電気的に導通する導電性ベースを有する凹部を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁を形成し、上記方法は:導電性構造を備えた給電構造を提供し、その給電構造を型に挿入すること;1つ以上の誘電体共振器アンテナ、DRAを給電構造上に成形し、DRAを少なくとも部分的に硬化させてDRAサブコンポーネントを提供すること;及び、複数の導電性電磁反射器を含む反射器構造を提供し、その反射器構造をDRAサブコンポーネントに取り付けて、複数の導電性電磁反射器が導電性構造と一体的に形成されるか又は電気的に導通するようにすることを含み、1つ以上のDRAは、凹部のそれぞれと1対1の関係で配置される。
【0034】
方法600又は方法650のいずれにおいても、給電基板は、ボード(例えば、PCB)、ウェハ(例えば、シリコンウェハ、又は他の半導体ベースのウェハ)、あるいは図4又は図10のいずれかに示される第1の配置400とすることができ、反射器構造は、図4又は図10に示される第2の配置450とすることができ、誘電体部品は、本願で提供されるいくつかの図面に示されるDRA500のいずれかとすることができる。
【0035】
ここで、図1と合わせて図14A及び14Bを参照する。図14Aは、導電性構造104を有する一体型電磁反射構造102と、導電性構造104と一体的に形成されるか又は電気的に導通する導電性電磁反射器106とを備えるEM装置100の断面立面図を示し、図14BはそのEM装置100の断面平面図を示す。反射器106は、導電性構造104の一部を形成するか又はそれと電気的に導通する導電性ベース112を有する凹部110を画定して少なくとも部分的に取り囲む壁108を形成し、導電性ベース112は、電磁信号を受信するように構成された給電構造113を有する。図示されているように、DRA500は、凹部110内に配置され、導電性ベース112と接触している。図14A及び14Bを図10と比較すると、類似点が見られる。例えば、図14A、14Bの実施形態は、例えばプリプレグ媒体412などの誘電体媒体内に埋め込まれたストリップライン117の形態の給電構造113を有し、導電性ベース112を導電性構造(グラウンド)104に電気的に接続する接地ビアの形態の導電経路414を有する。第1の非金属部402、裏面非金属部410、又はプリプレグ層412(図10との関連で上述した)のうちの1つ以上に類似する誘電体媒体416によって、導電性構造104から導電性ベース112が分離され、そこを接地ビア414が貫通している。
【0036】
ここで、図14A及び14Bと合わせて図15及び16を参照する。図15及び16は、図14Bのものに類似するEM装置100の代替の平面図を示すが、図14A及び14Bのストリップライン117に代わる、基板集積導波路(SIW)115の形態の代替の給電構造113を備える。SIW115の給電経路は、図15及び14Aを参照して、ならびに図16及び14Aを参照して見ることができる。ここでは、SIW115の給電経路は、導電性ベース112によって形成される上部導電性導波路境界、導電性(接地)構造104によって形成される下部導電性導波路境界、及び、導電性ベース112を導電性(接地)構造104に電気的に接続する導電性ビア414によって形成される左/右導電性導波路境界を有する。誘電体媒体416は、前述の導波路境界内に配置され、第1の非金属部402、裏面非金属部410、又はプリプレグ層412(図10との関連で上述した)のうちの1つ以上に類似し得るか、又は本明細書に開示される目的に適した他の誘電体媒体であり得る。図15と16を比較すると、図15に示すように、SIW115の幅WgはEM装置100のユニットセルの幅Wc(反射器壁108の全体的な外側寸法によって画定される)より小さくてもよいし、図16に示すように、SIW115の幅WgはEM装置100のユニットセルの幅Wc(反射器壁108の全体的な外側寸法によって画定される)と同じか又は実質的に同じでもよい。
【0037】
次に図17を参照すると、一実施形態は、複数のDRA500が単一のSIW115で給電されるEM装置100を含む。また、図17には2つのDRA500のみが示されているが、これは例示のみを目的としており、本発明の範囲はそれに限定されず、本明細書の開示と一致する任意の数のDRA500を含むことが理解されよう。本願で提供される他の図面と同様の特徴である図17に示される他の特徴は、さらなる説明を必要とすることなく同様の参照番号で列挙されている。
【0038】
以上、DRA500の様々な実施形態について説明し図示したが、本発明の範囲は、これまでに説明し図示した3次元形状のみを有するDRA500に限定されず、本明細書で開示される目的に適した任意の3次元形状を包含することを理解されたい。そのような3次元形状には、例えば図18に示されるような、半球形状のDRA512、円筒形状のDRA514、及び矩形形状のDRA516が挙げられる。
【0039】
本願で使用するための誘電体材料は、本明細書で開示される目的のために所望の電気的及び機械的特性を提供するように選択される。誘電体材料は、一般に、熱可塑性又は熱硬化性ポリマーマトリックスと、誘電体充填材(dielectric filler)を含有する充填材組成物と、を含む。誘電体ボリュームは、誘電体ボリュームの体積に基づいて、30~100体積パーセント(体積%)のポリマーマトリックス、及び0~70体積%の充填材組成物を含んでいてもよく、又は30~99体積%のポリマーマトリックス及び1~70体積%の充填材組成物、又は50~95体積%のポリマーマトリックス及び5~50体積%の充填材組成物を含んでいてもよい。ポリマーマトリックス及び充填材は、本明細書に開示される目的に一致する誘電率及び10ギガヘルツ(GHz)で0.006未満又は0.0035以下の散逸率(dissipation factor)を有する誘電体ボリュームを提供するように選択される。散逸率は、IPC-TM-650 X-バンドストリップライン法又は分割共振器法によって測定され得る。
【0040】
誘電体ボリュームは、低極性、低誘電率及び低損失のポリマーで構成されている。ポリマーは、1,2-ポリブタジエン(PBD)、ポリイソプレン、ポリブタジエン-ポリイソプレンコポリマー、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフルオロポリマー、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、アリル化ポリフェニレンエーテルに基づくもの、又はこれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含むことができる。低極性ポリマーと高極性ポリマーの組み合わせも使用することができ、非限定的な例としては、エポキシ及びポリ(フェニレンエーテル)、エポキシ及びポリ(エーテルイミド)、シアン酸エステル及びポリ(フェニレンエーテル)、ならびに1,2-ポリブタジエン及びポリエチレン、が挙げられる。
【0041】
フルオロポリマーは、フッ素化ホモポリマー、例えば、PTFE及びポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ならびにフッ素化コポリマー、例えば、テトラフルオロエチレン又はクロロトリフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン又はパーフルオロアルキルビニルエーテルのようなモノマーとのコポリマー、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、エチレン、又はこれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含むことができる。フルオロポリマーは、異なる少なくとも1つのこれらのフルオロポリマーの組み合わせを含むことができる。
【0042】
ポリマーマトリックスは、熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレンを含むことができる。本明細書で使用される「熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレン」という用語は、ブタジエン、イソプレン、又はこれらの組み合わせから誘導される単位を含むホモポリマー及びコポリマーを含む。他の共重合性モノマーに由来する単位も、例えばグラフトの形でポリマー中に存在し得る。例示的な共重合性モノマーとしては、限定されるものではないが、ビニル芳香族モノマー、例えば、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、α-メチルスチレン、α-メチルビニルトルエン、パラヒドロキシスチレン、パラメトキシスチレン、α-クロロスチレン、α-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラクロロスチレンなどのような置換及び非置換のモノビニル芳香族モノマー、ならびにジビニルベンゼン、ジビニルトルエンなどの置換及び非置換のジビニル芳香族モノマーが含まれる。前述の共重合性モノマーの少なくとも1つを含む組み合わせも使用することができる。例示的な熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレンとしては、限定されるものではないが、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン-スチレンなどのブタジエン-ビニル芳香族コポリマー、イソプレン-スチレンコポリマーなどのイソプレン-ビニル芳香族コポリマーなどが含まれる。
【0043】
熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレンはまた修飾されていてもよい。例えば、ポリマーは、水酸基末端、メタクリレート末端、カルボン酸末端などであってもよい。ブタジエンもしくはイソプレンポリマーのエポキシ-、無水マレイン酸-、又はウレタン-修飾ポリマーなど、ポスト反応(post-reacted)ポリマーを使用することができる。ポリマーは、例えば、ジビニルベンゼンなどのジビニル芳香族化合物によって架橋されていてもよく、例えば、ポリブタジエン-スチレンをジビニルベンゼンで架橋することができる。例示的な材料は、その製造業者、例えば、日本国東京の日本曹達株式会社及びペンシルバニア州エクストンのCray Valley Hydrocarbon Specialty Chemicalsによって「ポリブタジエン」として広く分類されている。組み合わせ、例えば、ポリブタジエンホモポリマーとポリ(ブタジエン-イソプレン)コポリマーの組み合わせも使用できる。シンジオタクチックポリブタジエンを含む組み合わせも有用であり得る。熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレンは、室温で液体又は固体であり得る。液体ポリマーは、5,000g/mol以上の数平均分子量(Mn)を有していてもよい。液体ポリマーは、5,000g/mol未満、又は1,000~3,000g/molのMnを有していてもよい。少なくとも90重量%の1,2付加を有する熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレンは、架橋に利用可能なペンダントビニル基の数が多い故に、硬化時により大きな架橋密度を示すことができる。
【0044】
ポリブタジエン又はポリイソプレンは、全ポリマーマトリックス組成物に対して100重量%までの、又は75重量%までの量で、あるいは全ポリマーマトリックス組成物に基づいて、10~70重量%、又は20~60もしくは20~70重量%の量でポリマー組成物中に存在し得る。
【0045】
熱硬化性ポリブタジエン又はポリイソプレンと共硬化できる他のポリマーを、特定の特性又は加工の変更のために加えることができる。例えば、経時的な誘電体材料の絶縁耐力及び機械的特性の安定性を改善するために、低分子量エチレン-プロピレンエラストマーを系で使用することができる。本明細書で使用されるエチレン-プロピレンエラストマーは、コポリマー、ターポリマー、又は主としてエチレン及びプロピレンを含む他のポリマーである。エチレン-プロピレンエラストマーは、EPMコポリマー(すなわち、エチレン及びとプロピレンモノマーのコポリマー)又はEPDMターポリマー(すなわち、エチレン、プロピレン及びジエンモノマーのターポリマー)としてさらに分類することができる。特に、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムは、飽和した主鎖を有し、容易な架橋のために主鎖から離れて不飽和が利用可能である。ジエンがジシクロペンタジエンである液体のエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーゴムを使用することができる。
【0046】
エチレン-プロピレンゴムの分子量は、10,000g/mol未満の粘度平均分子量(Mv)とすることができる。エチレン-プロピレンゴムは、7200g/molのMvを有するエチレン-プロピレンゴム(商品名TRILENE(商標)CP80としてライオン・コポリマー社(Lion Copolymer)(ルイジアナ州、バトンルージュ)から入手可能である)、7,000g/molのMvを有する液体エチレン-プロピレン-ジシクロペンタジエンターポリマーゴム(商品名TRILENE(商標)65としてライオン・コポリマー社から入手可能である)及び7500g/molのMvを有する液体エチレン-プロピレン-エチリデンノルボルネンターポリマー(商品名TRILENE(商標)67としてライオン・コポリマー社から入手可能である)を含み得る。
【0047】
エチレン-プロピレンゴムは、経時的に誘電体材料の特性、特に絶縁耐力及び機械的特性の安定性を維持するのに有効な量で存在していてもよい。典型的に、そのような量は、ポリマーマトリックス組成物の全重量に対して20重量%まで、又は4~20重量%もしくは6~12重量%である。
【0048】
別の種類の共硬化性(co-curable)ポリマーは、不飽和のポリブタジエン又はポリイソプレンを含有するエラストマーである。この成分は、主に1,3-付加ブタジエン又はイソプレンと、エチレン性不飽和モノマー、例えば、スチレン又はα-メチルスチレンなどのビニル芳香族化合物、メチルメタクリレート又はアクリロニトリルなどのアクリレート又はメタクリレートとのランダム又はブロックコポリマーであり得る。エラストマーは、ポリブタジエンもしくはポリイソプレンブロックと、スチレンもしくはα-メチルスチレンなどのモノビニル芳香族モノマーから誘導できる熱可塑性ブロックとを有する直鎖状又はグラフト型ブロックコポリマーを含む固体熱可塑性エラストマーであり得る。この種類のブロックコポリマーは、スチレン-ブタジエン-スチレントリブロックコポリマー(例えば、テキサス州ヒューストンのデクスコ・ポリマーズ社(Dexco Polymers)からVECTOR 8508M(商標)の商品名で入手可能なもの、テキサス州ヒューストンのエニケム・エラストマーズ・アメリカ社(Enichem Elastomers America)からSOL-T-6302(商標)の商品名で入手可能なもの、及びダイナソル・エラストマーズ社(Dynasol Elastomers)からCALPRENE(商標)401の商品名で入手可能なもの)、ならびにスチレン-ブタジエンジブロックコポリマー及びスチレンとブタジエンを含む混合トリブロック及びジブロックコポリマー(例えば、クレイトン・ポリマーズ社(Kraton Polymers)(テキサス州ヒューストン)からKRATON(商標)D1118の商品名で入手可能なもの)を含む。KRATON(商標)D1118は、33重量%のスチレンを含有する混合ジブロック/トリブロックスチレン及びブタジエン含有コポリマーである。
【0049】
任意選択のポリブタジエン又はポリイソプレン含有エラストマーは、ポリブタジエン又はポリイソプレンブロックが水素化されることを除いて上記と同様の第2のブロックコポリマーをさらに含むことができ、それによりポリエチレンブロック(ポリブタジエンの場合)又はエチレン-プロピレンコポリマーブロック(ポリイソプレンの場合)を形成する。上記のコポリマーと組み合わせて使用すると、より強靭な材料を製造できる。この種類の例示的な第2のブロックコポリマーは、KRATON(商標)GX1855(クレイトン・ポリマーズ社から市販されており、スチレン-高1,2-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーとスチレン-(エチレン-プロピレン)-スチレンブロックコポリマーの組み合わせであると考えられている)である。
【0050】
不飽和ポリブタジエン又はポリイソプレン含有エラストマー成分は、ポリマーマトリックス組成物の総重量に対して2~60重量%、あるいは5~50重量%又は10~40もしくは10~50重量%の量でポリマーマトリックス組成物中に存在していてもよい。
【0051】
特定の特性又は処理の変更のために追加できるさらに他の共硬化性ポリマーには、限定されるものではないが、ポリエチレン及びエチレンオキシドコポリマーなどのエチレンのホモポリマー又はコポリマー、天然ゴム、ポリジシクロペンタジエンなどのノルボルネンポリマー、水素化スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー及びブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、不飽和ポリエステルなど、が含まれる。これらのコポリマーのレベルは、一般に、ポリマーマトリックス組成物中の全ポリマーの50重量%未満である。
【0052】
フリーラジカル硬化性モノマーも、例えば硬化後の系の架橋密度を高めるために、特定の特性や処理の変更のために追加することができる。適切な架橋剤となり得る例示的なモノマーには、例えば、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、及び多官能性アクリレートモノマー(例えば、サルトマーUSA社(Sartomer USA、ペンシルバニア州ニュータウン・スクエア)から入手可能なSARTOMER(商標)ポリマー)、又はそれらの組み合わせなどの、ジ、トリ、又はより高次のエチレン性不飽和モノマーが含まれ、それらのすべては市販されている。架橋剤は、使用される場合、ポリマーマトリックス組成物中の全ポリマーの総重量に基づいて、20重量%まで、又は1~15重量%の量でポリマーマトリックス組成物中に存在していてもよい。
【0053】
硬化剤をポリマーマトリックス組成物に添加して、オレフィン反応部位を有するポリエンの硬化反応を促進することができる。硬化剤は、有機過酸化物、例えば、過酸化ジクミル、t-ブチルパーベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α-ジ-ビス(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、又はこれらのうちの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含み得る。炭素-炭素開始剤、例えば、2,3-ジメチル-2,3ジフェニルブタンを使用することができる。硬化剤又は開始剤は、単独で、又は組み合わせて使用できる。硬化剤の量は、ポリマーマトリックス組成物中のポリマーの総重量に基づいて1.5~10重量%であり得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、ポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーはカルボキシ官能化されている。官能化は、(i)炭素-炭素二重結合又は炭素-炭素三重結合、及び(ii)カルボン酸、無水物、アミド、エステル又は酸ハロゲン化物を含む少なくとも1つのカルボキシ基、の両方を分子内に有する多官能性化合物を使用して達成することができる。特定のカルボキシ基は、カルボン酸又はエステルである。カルボン酸官能基を提供できる多官能性化合物の例としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、及びクエン酸が含まれる。特に、無水マレイン酸が付加されたポリブタジエンを熱硬化性組成物に使用することができる。適切なマレイン化ポリブタジエンポリマーは、例えば、商品名RICON 130MA8、RICON 130MA13、RICON 130MA20、RICON 131MA5、RICON 131MA10、RICON 131MA17、RICON 131MA20及びRICON 156MA17としてクレイ・バレー社(Cray Valley)から市販されている。適切なマレイン化ポリブタジエン-スチレンコポリマーは、例えば、RICON 184MA6の商品名でサルトマー社(Sartomer)から市販されている。RICON 184MA6は、17~27重量%のスチレン含量及び9,900g/molのMnを有する無水マレイン酸が付加されたブタジエン-スチレンコポリマーである。
【0055】
ポリマーマトリックス組成物中の種々のポリマー、たとえばポリブタジエン又はポリイソプレンポリマー及びその他のポリマーの相対量は、使用される特定の導電性金属接地板層、回路材料の所望の特性、及び同様の考慮事項に依存する。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)の使用は、例えば信号フィード、接地、又は反射器コンポーネントなどの導電性金属コンポーネント(例えば、銅又はアルミニウムコンポーネント)への結合強度を高めることができる。ポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーの使用は、例えば、これらのポリマーがカルボキシ官能化されている場合、複合材料の高温耐性を高めることができる。エラストマーブロックコポリマーの使用は、ポリマーマトリックス材料の成分を相溶化するように機能することができる。各成分の適切な量の決定は、過度の実験を行うことなく、特定の用途についての所望の特性に応じて行うことができる。
【0056】
誘電体ボリュームは、誘電体ボリュームの誘電率、散逸率、熱膨張係数、及び他の特性を調整するために選択された粒子状誘電体充填材をさらに含むことができる。誘電体充填材は、例えば、二酸化チタン(ルチル及びアナターゼ)、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、シリカ(溶融アモルファスシリカを含む)、コランダム、ウォラストナイト、BaTi20、固体ガラス球、合成ガラス又はセラミック中空球、石英、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、炭化ケイ素、ベリリア、アルミナ、アルミナ三水和物、マグネシア、マイカ、タルク、ナノクレイ、水酸化マグネシウム、又は前述のものの少なくとも1つを含む組み合わせ、を含み得る。単一の二次充填材、又は二次充填材の組み合わせを使用して、特性の所望のバランスを提供することができる。
【0057】
任意選択的に、充填材は、シリコン含有コーティング、例えば有機官能性アルコキシシランカップリング剤で表面処理することができる。ジルコン酸塩又はチタン酸塩のカップリング剤を使用することができる。そのようなカップリング剤は、ポリマーマトリックス中の充填材の分散を改善し、完成したDRAの水の吸収を減らすことができる。充填材成分は、充填材の重量に基づいて、5~50体積%のマイクロスフェアと、二次充填材として70~30体積%の溶融非晶質シリカとを含むことができる。
【0058】
誘電体ボリュームはまた、ボリュームを炎に対して耐性にするのに有用な難燃剤を任意選択的に含むことができる。これらの難燃剤はハロゲン化又は非ハロゲン化されていてもよい。難燃剤は、誘電体ボリューム中に、同誘電体ボリュームの体積に基づいて0~30体積%の量で存在していてもよい。
【0059】
一実施形態において、難燃剤は無機であり、粒子の形態で存在する。例示的な無機難燃剤は、例えば、1nm~500nm、好ましくは1~200nm、又は5~200nm、又は10~200nmの体積平均粒径を有する金属水和物であり、あるいは、体積平均粒径は500nm~15マイクロメートル、例えば1~5マイクロメートルである。金属水和物は、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu、Ni、又は前述のものの少なくとも1つを含む組み合わせなどの金属の水和物である。Mg、Al、又はCaの水和物、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅及び水酸化ニッケル、ならびに、アルミン酸カルシウム、石膏二水和物、ホウ酸亜鉛及びメタホウ酸バリウムの水和物が、特に好ましい。これらの水和物の複合体、例えばMgとCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiの1つ又は複数と、を含む水和物を使用することができる。好ましい複合金属水和物は、式MgM(OH)を有し、ここで、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu又はNiであり、xは0.1~10であり、yは2~32である。難燃性粒子は、分散又は他の特性を改善するためにコーティングされるか、又は別の方法で処理されていてもよい。
【0060】
無機難燃剤の代わりに、又は無機難燃剤に加えて、有機難燃剤を使用することができる。無機難燃剤の例としては、メラニンシアヌレート、微粒子サイズのメラミンポリホスフェート、芳香族ホスフィネート、ジホスフィネート、ホスホネート、ホスフェートのような様々な他のリン含有化合物、特定のポリシルセスキオキサン、シロキサン、ならびにヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸(HET酸)、テトラブロモフタル酸及びジブロモネオペンチルグリコールなどのハロゲン化化合物が挙げられる。難燃剤(臭素含有難燃剤など)は、20phr(樹脂100部あたりの部)~60phr、又は30~45phrの量で存在し得る。臭素化難燃剤の例には、Saytex(商標)BT93W(エチレンビステトラブロモフタルイミド)、Saytex(商標)120(テトラデカブロモジフェノキシベンゼン)、及びSaytex(商標)102(デカブロモジフェニルオキシド)が含まれる。難燃剤は、相乗剤と組み合わせて使用することができ、例えばハロゲン化難燃剤は三酸化アンチモンなどの相乗剤と組み合わせて使用することがで、リン含有難燃剤はメラミンなどの窒素含有化合物と組み合わせて使用することができる。
【0061】
誘電体材料のボリュームは、ポリマーマトリックス組成物と充填材組成物とを含む誘電体組成物から形成され得る。ボリュームは、誘電体組成物を接地構造層に直接キャストすることにより形成することができ、又は接地構造層に堆積させることができる誘電ボリュームを製造することができる。誘電体ボリュームを生成する方法は、選択したポリマーに基づいていてもよい。例えば、ポリマーがPTFEなどのフルオロポリマーを含む場合、ポリマーは第1のキャリア液体と混合することができる。この組み合わせは、第1のキャリア液体中へのポリマー粒子の分散液、例えば、第1のキャリア液体中へのポリマーの、又はポリマーのモノマーもしくはオリゴマー前駆体の、液滴のエマルジョン、又は第1のキャリア液体中へのポリマーの溶液を含むことができる。ポリマーが液体である場合、第1のキャリア液体は必要ではない可能性がある。
【0062】
第1のキャリア液体の選択は、存在する場合、特定のポリマー及びポリマーが誘電体ボリュームに導入される形態に基づくことができる。ポリマーを溶液として導入することが望ましい場合、特定のポリマーの溶媒がキャリア液体として選択され、たとえば、N-メチルピロリドン(NMP)がポリイミドの溶液に適したキャリア液体であろう。ポリマーを分散液として導入することが望ましい場合、キャリア液体は、非溶解性の液体を含むことができ、たとえば、水はPTFE粒子の分散に適したキャリア液体であり、ポリアミック酸(polyamic acid)のエマルジョン又はブタジエンモノマーのエマルジョンに対する適切なキャリア液体であろう。
【0063】
誘電体充填材成分は、任意選択的に第2のキャリア液体中に分散させるか、あるいは第1のキャリア液体(又は第1のキャリアを使用しない液体ポリマー)と混合させてもよい。第2のキャリア液体は、同じ液体であっても、第1のキャリア液体と混和性の液体であって第1のキャリア液体以外の液体であってもよい。例えば、第1のキャリア液体が水である場合、第2のキャリア液体は水又はアルコールを含むことができる。第2のキャリア液体は水を含み得る。
【0064】
充填材分散液は、第2のキャリア液体がホウケイ酸マイクロスフェアを濡らすことができるように、第2のキャリア液体の表面張力を改変するのに有効な量の界面活性剤を含んでいてもよい。例示的な界面活性剤化合物には、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤が含まれる。TRITON X-100(商標)は、水性充填材分散液における使用のための例示的な界面活性剤であることが見出されている。充填材分散液は、10~70体積%の充填材と0.1~10体積%の界面活性剤を含むことができ、残りは第2のキャリア液体を含む。
【0065】
ポリマーと第1のキャリア液体と第2のキャリア液体中の充填材分散液との組み合わせは、キャスティング混合物を形成するために組み合わせることができる。一実施形態において、キャスティング混合物は、10~60体積%の組み合わせられたポリマー及び充填材と、40~90体積%の組み合わせられた第1及び第2のキャリア液体と、を含む。キャスティング混合物中のポリマーと充填材成分との相対量は、以下で説明するように最終組成物に所望の量を提供するように選択することができる。
【0066】
キャスティング混合物の粘度は、粘度調整剤を添加することによって調整することができ、これは、特定のキャリア液体又はキャリア液体の組み合わせにおけるその相溶性に基づいて選択され、誘電性複合材料からの中空球充填材の分離、すなわち沈降又は浮揚を遅らせることができ、従来の製造装置と適合する粘度を有する誘電体複合材料を提供することができる。水性キャスティング混合物での使用に適した例示的な粘度調整剤には、ポリアクリル酸化合物、植物ゴム、及びセルロースベースの化合物が含まれる。適切な粘度調整剤の具体的な例には、ポリアクリル酸、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、グアーガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、及びトラガカントゴムが含まれる。粘度が調整されたキャスティング混合物の粘度は、誘電体複合材料を選択された製造技術に適合させるために、用途ごとにさらに増加させる、例えば、最小粘度を超えて増加させることができる。一実施形態において、粘度が調整されたキャスティング混合物は、室温値で測定されたときに、10~100,000センチポアズ(cp)(0.01Pa・s~100Pa・s)の粘度、又は、100cp(0.1Pa・s)及び10,000cp(10Pa・s)の粘度を示し得る。
【0067】
あるいは、キャリア液体の粘度が関心のある期間中に分離しないキャスティング混合物を提供するのに十分である場合、粘度調整剤を省くことができる。具体的には、非常に小さな粒子、例えば、0.1マイクロメートル未満の球相当径(equivalent spherical diameter)を有する粒子の場合、粘度調整剤の使用は必要ではないかもしれない。粘度が調整されたキャスティング混合物の層は、接地構造層上にキャスティングするか、ディップコーティングしてから成形することができる。キャスティングは、例えば、ディップコーティング、フローコーティング、リバースロールコーティング、ナイフオーバーロール、ナイフオーバープレート、計量ロッドコーティングなどによって達成することができる。
【0068】
キャリア液体及び加工助剤、すなわち界面活性剤及び粘度調整剤は、ポリマーの誘電体ボリュームとマイクロスフェアを含む充填材とを統合するために、例えば蒸発又は熱分解によってキャストボリュームから除去することができる。
【0069】
ポリマーマトリックス材料のボリューム及び充填材成分をさらに加熱して、ボリュームの物理的特性を改変する、例えば熱可塑性組成物を焼結するか、熱硬化性組成物を硬化又はポスト硬化させることができる。
【0070】
別の方法では、PTFE複合誘電体ボリュームは、ペースト押出及びカレンダー処理プロセスによって製造することができる。
さらに別の実施形態において、誘電体ボリュームをキャスティングし、次いで部分的に硬化(「Bステージ化」)させることができる。このようなBステージ化されたボリュームは、保存され、続いて使用され得る。
【0071】
導電性接地層と誘電体ボリュームの間に接着層を配置することができる。接着層は、ポリ(アリーレンエーテル)、ならびに、ブタジエン、イソプレン、又はブタジエン及びイソプレン単位、及び0から50重量%以下の共硬化性モノマー単位を含むカルボキシ官能化ポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーを含んでいてもよく、接着剤層の組成は、誘電体ボリュームの組成と同じではない。接着剤層は、1平方メートルあたり2~15グラムの量で存在し得る。ポリ(アリーレンエーテル)は、カルボキシ官能化ポリ(アリーレンエーテル)を含んでいてもよい。このポリ(アリーレンエーテル)はポリ(アリーレンエーテル)と環状無水物の反応生成物又はポリ(アリーレンエーテル)と無水マレイン酸の反応生成物であり得る。カルボキシ官能化ポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーは、カルボキシ官能化ブタジエン-スチレンコポリマーであってもよい。このカルボキシ官能化ポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーはポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーと環状無水物との反応生成物であり得る。カルボキシ官能化ポリブタジエン又はポリイソプレンポリマーは、マレイン化ポリブタジエン-スチレン又はマレイン化ポリイソプレン-スチレンコポリマーであってもよい。
【0072】
一実施形態において、ポリブタジエン又はポリイソプレンなどの熱硬化性材料に適した多段階プロセスは、150~200℃の温度での過酸化物硬化ステップを含むことができ、部分硬化(Bステージ化)されたスタックに対して、その後、高エネルギー電子ビーム照射硬化(Eビーム硬化)又は不活性雰囲気下での高温硬化ステップを行うことができる。2段階硬化を使用すると、得られる複合材料に非常に高い程度の架橋を付与することができる。第2の段階で使用される温度は250~300℃、又はポリマーの分解温度であり得る。この高温硬化はオーブン内で実行することができるが、プレスで、即ち、最初の製造及び硬化ステップの続きとして実行することもできる。特定の製造温度及び圧力は、特定の接着剤組成物及び誘電体組成物に依存するものであり、過度の実験なしに当業者により容易に確認可能である。
【0073】
成形により、任意選択的に、埋め込まれた特徴又は表面特徴として別のDRAコンポーネントを伴って、誘電体ボリュームを迅速かつ効率的に製造できる。たとえば、金属、セラミック、又はその他のインサートをモールドに配置して、信号フィード、接地コンポーネント、又は埋め込まれた特徴もしくは表面特徴としての反射器コンポーネントなど、DRAのコンポーネントを提供できる。代替的に、埋め込まれた特徴をボリュームに3D印刷又はインクジェット印刷し、さらに成形することができるか、あるいは、表面特徴をDRAの最外表面に3D印刷又はインクジェット印刷することができる。また、ボリュームを接地構造上に、又は1~3の誘電率を有する材料を含む容器内に直接成形することもできる。
【0074】
モールドは、パッケージ又はボリュームを提供するために、成形又は機械加工されたセラミックを含むモールドインサートを有することができる。セラミックインサートを使用すると、損失が少なくなり、よって効率が向上し、成形アルミナの直接材料費が低いため、コストが削減され、ポリマーの製造のし易さ及び熱膨張制御(制約)のし易さへとつながり得る。また、全体の構造が銅又はアルミニウムの熱膨張係数(CTE)と一致するように、バランスのとれた熱膨張係数(CTE)を提供することができる。
【0075】
射出可能な組成物は、最初にセラミック充填材とシランを組み合わせて充填材組成物を形成し、次に充填材組成物を熱可塑性ポリマー又は熱硬化性組成物と混合することにより調製することができる。熱可塑性ポリマーの場合、セラミック充填材とシランの一方又は両方との混合の前、後、又は混合中にポリマーが溶融されてもよい。次いで、射出可能な組成物をモールド内に射出成形することができる。使用される溶融温度、射出温度、及びモールド温度は、熱可塑性ポリマーの溶融温度及びガラス転移温度に依存し、たとえば150~350℃、又は200~300℃であり得る。成形は、65~350キロパスカル(kPa)の圧力で行うことができる。
【0076】
いくつかの実施形態において、誘電体ボリュームは、熱硬化性組成物を反応射出成形することにより調製することができる。反応射出成形は、少なくとも2つのストリーム(streams)を混合して熱硬化性組成物を形成すること、及び熱硬化性組成物をモールドに注入することを含むことができ、第1のストリームは触媒を含み、第2のストリームは任意選択的に活性剤を含むことができる。第1のストリーム、及び第2のストリーム又は第3のストリームの一方又は両方は、モノマー又は硬化性組成物を含むことができる。第1のストリーム、及び第2のストリーム又は第3のストリームの一方又は両方は、誘電体充填材及び添加剤の一方又は両方を含むことができる。熱硬化性組成物を注入する前に、誘電体充填材及び添加剤の一方又は両方をモールドに加えることができる。
【0077】
例えば、ボリュームを調製する方法は、触媒及び第1のモノマー又は硬化性組成物を含む第1のストリームと、任意選択の活性剤及び第2のモノマー又は硬化性組成物を含む第2のストリームとを混合することを含み得る。第1及び第2のモノマー又は硬化性組成物は同じであっても異なっていてもよい。第1のストリーム及び第2のストリームの一方又は両方は、誘電体充填材を含むことができる。誘電体充填材は、例えば、第3のモノマーをさらに含む第3のストリームとして加えることができる。誘電体充填材は、第1及び第2のストリームの注入の前にモールド内にあり得る。1つ以上のストリームの導入は、不活性気体、例えば窒素又はアルゴン下で行うことができる。
【0078】
混合は、射出成形機のヘッドスペース内にて、インラインミキサー内にて、又はモールドへの射出中に行うことができる。混合は、摂氏0以上かつ200度(℃)までの温度、又は15~130℃、又は0~45℃、又は23~45℃の温度で行うことができる。
【0079】
モールドは、0以上250℃までの温度、又は23~200℃又は45~250℃、又は30~130℃、又は50~70℃の温度に維持することができる。モールドを充填するのに0.25~0.5分かかることがあり、その間にモールドの温度が低下する可能性がある。モールドが充填された後、熱硬化性組成物の温度は、例えば、0~45℃の第1の温度から45~250℃の第2の温度まで増加させることができる。成形は、65~350キロパスカル(kPa)の圧力で行うことができる。成形は、5分以下、又は2分以下、又は2~30秒で行うことができる。重合が完了した後、基板はモールド温度で、又は減少したモールド温度で除去され得る。例えば、離型温度(release temperature)Tは、成形温度Tよりも10℃以上低くすることができる(T≦T-10℃)。
【0080】
ボリュームをモールドから取り外した後、それをポスト硬化させることができる。ポスト硬化は、100~150℃、又は140~200℃の温度で5分以上行うことができる。
【0081】
圧縮成形は、熱可塑性の材料又は熱硬化性の材料のいずれかとともに使用できる。モールド温度などの熱可塑性材料を圧縮成形するための条件は、熱可塑性ポリマーの溶融温度とガラス転移温度に依存し、例えば、150~350℃、又は200~300℃であり得る。成形は、65~350キロパスカル(kPa)の圧力で行うことができる。成形は、5分以下、又は2分以下、又は2~30秒にて行うことができる。熱硬化性材料は、Bステージ化する前に圧縮成形して、Bステージ化された材料又は完全に硬化した材料を生成できるか、あるいはBステージ化した後に圧縮成形し、モールド内又は成形後に完全に硬化させることができる。
【0082】
3D印刷により、任意選択的に埋め込まれた特徴又は表面特徴として別のDRAコンポーネントを伴って、誘電体ボリュームを迅速かつ効率的に製造できる。たとえば、金属、セラミック、又はその他のインサートを印刷中に配置して、信号フィード、接地コンポーネント、又は埋め込まれた特徴もしくは表面特徴としての反射器コンポーネントなど、DRAのコンポーネントを提供できる。或いは、埋め込まれた特徴をボリュームに3D印刷又はインクジェット印刷してから、さらなる印刷をすることができるか、あるいは表面特徴を、DRAの最外表面に3D印刷又はインクジェット印刷することができる。ボリュームを接地構造上に直接3D印刷するか、あるいは1~3の誘電率を有する材料を含む容器に3D印刷することもでき、容器はアレイのユニットセルを埋設するのに有用な場合がある。
【0083】
例えば、融合堆積モデリング(FDM)、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、電子ビーム溶融(EBM)、大規模付加製造(Big Area Additive Manufacturing)(BAAM)、ARBURGプラスチックフリー形成技術、積層物体製造(LOM)、ポンピング堆積法(例えばhttp://nscrypt.com/micro-dispensingで説明されるように、制御されたペースト押出としても知られている)、又は他の3D印刷方法などの、多様な3D印刷方法を使用することができる。3D印刷は、原型の製造又は生産プロセスとして使用できる。いくつかの実施形態において、ボリューム又はDRAは、3D又はインクジェット印刷によってのみ製造されるため、誘電体ボリューム又はDRAを形成する方法は、押出、成形、又は積層プロセスを含まない。
【0084】
材料の押出技術は、熱可塑性プラスチックで特に有用であり、複雑な特徴を提供するために使用できる。材料押出技術には、FDM、ポンプ堆積、溶融フィラメント製造などの技術、ならびにASTM F2792-12aに記載されている他の技術、が含まれる。溶融材料押出技術では、層を形成するために堆積させることができる流動性のある状態に熱可塑性材料を加熱することにより、物品を製造することができる。この層は、x-y軸に所定の形状を有し、z軸に所定の厚さを有することができる。流動性材料は、上記のように道(road)として、又は特定のプロファイルを提供するダイを介して堆積させることができる。層は、堆積すると冷却して固化する。融解した熱可塑性材料の後続の層は、以前に堆積した層に融合し、温度の低下に伴い固化する。後続の複数の層を押し出すと、ボリュームの所望の形状が構築される。特に、物品は、流動性材料を1つ以上の道として基板上にx-y平面で堆積させて層を形成することにより、物品の三次元デジタル表現から形成することができる。次に、基板に対するディスペンサー(たとえば、ノズル)の位置をz軸(x-y平面に対して垂直)に沿って増分し、プロセスを繰り返してデジタル表現から物品を形成する。したがって、分注される材料は、「造形材料(modeling material)」及び「構築材料(build material)」とも呼ばれる。
【0085】
いくつかの実施形態において、ボリュームは2つ以上のノズルから押し出されてもよく、それぞれが同じ誘電体組成物を押し出す。複数のノズルが使用される場合、この方法は、単一のノズルを使用する方法よりも迅速に製品オブジェクトを生成することができ、さまざまなポリマー又はポリマーのブレンド、さまざまな色、又はテクスチャーなどの使用に関して柔軟性を高めることができる。したがって、一実施形態において、2つのノズルを使用する堆積時に単一のボリュームの組成又は特性を変えることができる。
【0086】
材料押出技術は、熱硬化性組成物の堆積にさらに使用することができる。例えば、少なくとも2つのストリームを混合し、堆積させてボリュームを形成することができる。第1のストリームは触媒を含むことができ、第2のストリームは任意選択的に活性剤を含むことができる。第1のストリーム、及び第2のストリーム又は第3のストリームの一方又は両方は、モノマー又は硬化性組成物(例えば、樹脂)を含むことができる。第1のストリーム、及び第2のストリーム又は第3のストリームの一方又は両方は、誘電体充填材及び添加剤の一方又は両方を含むことができる。熱硬化性組成物を注入する前に、誘電体充填材及び添加剤の一方又は両方をモールドに加えることができる。
【0087】
例えば、ボリュームを調製する方法は、触媒及び第1のモノマー又は硬化性組成物を含む第1のストリームと、任意選択の活性剤及び第2のモノマー又は硬化性組成物を含む第2のストリームとを混合することを含み得る。第1及び第2のモノマー又は硬化性組成物は同じであっても異なっていてもよい。第1のストリーム及び第2のストリームの一方又は両方は、誘電体充填材を含むことができる。誘電体充填材は、例えば、第3のモノマーをさらに含む第3のストリームとして加えることができる。1つ以上のストリームの堆積は、不活性気体、例えば窒素又はアルゴンの下で行うことができる。混合は、堆積の前に、インラインミキサーにて、又は層の堆積中に行うことができる。完全な硬化又は部分的な硬化(重合又は架橋)は、堆積前、層の堆積中、又は堆積後に開始することができる。一実施形態において、層の堆積の前又は層の堆積中に部分的な硬化が開始され、層の堆積後又はボリュームを提供する複数の層の堆積後に完全な硬化が開始される。
【0088】
いくつかの実施形態において、当技術分野で知られている支持材料を任意選択的に使用して、支持構造を形成することができる。これらの実施形態において、物品の製造中に構築材料及び支持材料を選択的に分配して、物品及び支持構造を提供することができる。支持材料は、支持構造、例えば、積層プロセスが所望の程度まで完了したときに機械的に除去又は洗い流すことができる足場の形態で存在していてもよい。
【0089】
予め設定されたパターンで連続層を形成するために、選択的レーザ焼結(SLS)、選択的レーザ溶融(SLM)、電子ビーム溶解(EBM)及び結合剤又は溶媒の粉末ベッド噴射などの、ステレオリソグラフィー技術を使用することができる。ステレオリソグラフィー技術は、熱硬化性組成物に特に有用であり、これは、各層を重合又は架橋することにより、層ごとの堆積を生じさせることができるためである。
【0090】
上述のように、誘電体組成物は、熱可塑性ポリマー又は熱硬化性組成物を含むことができる。熱可塑性樹脂は、溶融させるか、適切な溶媒に溶解させることができる。熱硬化性組成物は、液体熱硬化性組成物であるか、溶媒に溶解させることができる。溶媒は、誘電体組成物を塗布した後、熱、空気乾燥、又は他の技術により除去することができる。熱硬化性組成物は、第2のボリュームを形成するために塗布した後に、Bステージ化、又は完全に重合又は硬化させることができる。誘電体組成物の塗布中に重合又は硬化を開始することができる。
【0091】
本発明を例示的な実施形態を参照して説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行い、その要素を均等物で置き換えることができることを当業者は理解するであろう。さらに、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させるために、多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良又は唯一のモードとして開示された特定の実施形態に限定されず、添付の特許請求の範囲内にあるすべての実施形態を含むであろうことが意図されている。また、図面及び説明では、例示的な実施形態が開示されており、特定の用語及び/又は寸法が採用されている可能性があるが、それらは、特に明記しない限り、一般的、例示的及び/又は説明的な意味でのみ使用されており、限定することを目的としておらず、従って、特許請求の範囲をそのように限定するものではない。さらに、「第1」、「第2」などの用語の使用は、順序や重要性を示すものではなく、むしろ「第1」、「第2」などの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用される。用語「1つの(a)」、「1つの(an)」などの使用は、量の限定を意味するものではなく、むしろ参照されている事項の少なくとも1つの存在を意味するものである。本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語は、1つ又は複数のさらなる特徴を包含する可能性を排除するものではない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18