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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】レバー操作ロボット及び産業車両
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B66F9/24 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020008064
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021115633
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2021-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】石川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 恵
(72)【発明者】
【氏名】川内 直人
(72)【発明者】
【氏名】釜田 恵太郎
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徳之
(72)【発明者】
【氏名】西脇 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中島 健策
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-092895(JP,A)
【文献】特開2019-214833(JP,A)
【文献】特開2019-044353(JP,A)
【文献】特開2018-080760(JP,A)
【文献】特開平11-061887(JP,A)
【文献】特開平11-050493(JP,A)
【文献】特開平08-249080(JP,A)
【文献】特開2017-172174(JP,A)
【文献】特開2000-343467(JP,A)
【文献】国際公開第2006/068448(WO,A1)
【文献】特開2018-012951(JP,A)
【文献】米国特許第05868034(US,A)
【文献】特開2020-204184(JP,A)
【文献】国際公開第2008/149877(WO,A1)
【文献】特開2003-136457(JP,A)
【文献】特開平02-081723(JP,A)
【文献】米国特許第4960008(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0052671(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 - 9/24
B60W 10/00 - 10/30
B62D 6/00 - 6/10
G05D 1/00 - 1/12
B25J 1/00 - 21/02
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両の少なくとも一つの操作レバーの可動方向に沿った軌跡上で移動可能に構成された少なくとも一つの操作部と、
前記操作レバーを中立位置で解放するように前記操作レバーと非接触となる前記軌跡上の退避位置と、前記操作レバーを前記中立位置から前記可動方向に押し込むように前記操作レバーに接触する前記軌跡上の操作位置と、の間で前記操作部を移動させるように構成された駆動部と、
を備え、
前記操作部は、前記操作レバーを介して対向する位置に設けられ、前記操作レバーと交差する方向に延在する2つの操作片を含み、
2つの前記操作片は、前記操作レバーの可動範囲を含む間隔を空けて設けられた
レバー操作ロボット。
【請求項2】
前記軌跡上で移動可能に前記操作部を案内するガイドをさらに備える
請求項1に記載のレバー操作ロボット。
【請求項3】
前記操作レバーを挟んで操縦席とは反対側に位置し、前記操作部を、前記軌跡上で案内可能に支持する支持部材を備える
請求項1又は2に記載のレバー操作ロボット。
【請求項4】
前記産業車両に取付可能に構成されたレールを備え、
前記レールは、前記支持部材の基端部を保持するように構成され、
前記支持部材は、前記レールに沿って位置調整可能である
請求項3に記載のレバー操作ロボット。
【請求項5】
前記レールは、前記レールを前記産業車両に固定するための少なくとも一つのクランプを含み、
前記クランプは、前記産業車両のフロントピラー部を挟持可能に構成された
請求項4に記載のレバー操作ロボット。
【請求項6】
前記操作部の可動範囲は、前記操作レバーの可動範囲の2倍以上である
請求項1乃至5の何れか一項に記載のレバー操作ロボット。
【請求項7】
前記産業車両のステアリングより下方に配置される
請求項1乃至の何れか一項に記載のレバー操作ロボット。
【請求項8】
前記操作レバーの手動操作を検知した場合に、前記操作部による操作を停止させ、前記手動操作を優先させる
請求項1乃至の何れか一項に記載のレバー操作ロボット。
【請求項9】
前記産業車両は荷役部を備えるフォークリフトであり、
前記操作部の操作対象である前記少なくとも一つの操作レバーは、前記荷役部の傾きを調整するためのチルト操作レバーと、前記荷役部を昇降させるためのリフト操作レバーとの少なくとも一つを含む
請求項1乃至の何れか一項に記載のレバー操作ロボット。
【請求項10】
前記少なくとも一つの操作部は、2つの操作部を含み、
前記2つの操作部は、前記駆動部によって、それぞれ独立して移動可能に構成された
請求項1乃至の何れか一項に記載のレバー操作ロボット。
【請求項11】
少なくとも一つの操作レバーと、
請求項1乃至10の何れか一項に記載のレバー操作ロボットと、
を備える産業車両。
【請求項12】
走行制御を行う操作ロボットをさらに備え、無人走行可能に構成される
請求項11に記載の産業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レバー操作ロボット及び産業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
産業車両の操作レバーを自動操作するように構成されたロボットが知られている。このようなロボットには、操作レバーを介さずに電気信号で自動操作するタイプと、操作レバーを動かして自動操作するタイプがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、作業車の運転席(操縦席)に固定される作業ロボットが開示されている。この作業ロボットは、先端に把持部を有する多関節操作アームを備える。この作業ロボットは、各関節をモータによって駆動制御して、把持部に操作レバーを把持させて操作レバーを動かすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-277970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている作業ロボットは、操縦席を専有するように配置されている。また、作業ロボットの把持部は、操作レバーを動かす場合に操作レバーを把持するように構成されている。オペレータが操縦席に座って操作レバーを手動操作する場合に、作業ロボットが把持した状態では、手動操作の障害となる。そのため、作業ロボットが取り付けられたままでは、オペレータが手動操作することが困難である。
【0006】
手動操作と自動操作との調和を図るためには、作業ロボットが取り付けられたままでも、オペレータが手動操作しやすいことが好ましい。この点、特許文献1には、そのような課題を解決するための構成が開示されていない。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本開示は、オペレータによる手動操作とレバー操作ロボットによる自動操作との調和を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係るレバー操作ロボットは、
産業車両の少なくとも一つの操作レバーの可動方向に沿った軌跡上で移動可能に構成された少なくとも一つの操作部と、
前記操作レバーを中立位置で解放するように前記操作レバーと非接触となる前記軌跡上の退避位置と、前記操作レバーを前記中立位置から前記可動方向に押し込むように前記操作レバーに接触する前記軌跡上の操作位置と、の間で前記操作部を移動させるように構成された駆動部と、
を備える。
【0009】
本開示に係る産業車両は、
少なくとも一つの操作レバーと、
上記のレバー操作ロボットと、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、オペレータによる手動操作とレバー操作ロボットによる自動操作との調和を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るレバー操作ロボットの全体構成を概略的に示す斜視図である。
図2】一実施形態に係るレバー操作ロボットの構成を模式的に示す部分側面図である。
図3】一実施形態に係るレバー操作ロボットの構成を模式的に示す部分斜視図である。
図4】一実施形態に係るレバー操作ロボットの構成を模式的に示す部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0013】
(レバー操作ロボットの構成)
以下、実施形態に係るレバー操作ロボット100の構成について説明する。レバー操作ロボット100は、産業車両200に設置され、産業車両200が備える少なくとも一つの操作レバー1を自動操作可能に構成される。産業車両200は、例えば、フォークリフト(荷役車両)、作業車両等の車両である。
【0014】
図1は、一実施形態に係るレバー操作ロボット100の全体構成を概略的に示す斜視図である。図2は、一実施形態に係るレバー操作ロボット100の構成を模式的に示す部分側面図である。図3は、一実施形態に係るレバー操作ロボット100の構成を模式的に示す部分斜視図である。図4は、一実施形態に係るレバー操作ロボット100の構成を模式的に示す部分側面図である。
【0015】
幾つかの実施形態では、例えば、図1図4に示すように、産業車両200は、荷役部(不図示)を備えるフォークリフトである。また、産業車両200は、3つの操作レバー1(1A、1B、1C)と、これらの操作レバー1(1A、1B、1C)を操作するレバー操作ロボット100とを備える。
【0016】
幾つかの実施形態では、例えば、図1に示すように、レバー操作ロボット100は、産業車両200のステアリング2より下方に配置される。これにより、ステアリング2より上方位置におけるオペレータの視界がレバー操作ロボット100によって妨げられる虞を低減することができる。
【0017】
レバー操作ロボット100は、3つの操作部10(10A、10B、10C)と、これらの操作部10(10A、10B、10C)をそれぞれ独立して移動させるように構成された3つの駆動部20(20A、20B、20C)と、を備える。操作部10Aの操作対象である操作レバー1Aは、荷役部の傾きを調整するためのチルト操作レバーである。操作部10Bの操作対象である操作レバー1Bは、荷役部を昇降させるためのリフト操作レバーである。
【0018】
操作部10Cの操作対象である操作レバー1Cは、フォークリフトの進行方向すなわち前進と後進とを切り替えるための切替レバーである。なお、図1において、操作部10Cと駆動部20Cとこれらを支持する支持部材30とは、ステアリング2より左側に位置している。これは、図示の便宜上の配置であり、ステアリング2より右側の領域に配置され、操作部10Cが操作レバー1Cを可能な位置に位置調整されてもよい。
【0019】
操作レバー1及び操作部10の数は、上記の例に限られず、増減可能である。また、操作レバー1の種類も上記の例に限られない。例えば、操作レバー1は、チルト操作レバーやリフト操作レバーに限られず、ウインカーを作動させるためのウインカー操作レバー、フォーク左右移動のためのサイドシフト操作レバー等を含んでいてもよい。
【0020】
操作部10(10A、10B、10C)は、産業車両200の操作レバー1(1A、1B、1C)の可動方向に沿った軌跡上で移動可能に構成される。3つの駆動部20(20A、20B、20C)は、それぞれ、モータ21と、モータ21の回動に応じて操作部10を直進移動させるように構成されたリンク機構22とを含む。
【0021】
チルト操作レバーとリフト操作レバーを操作するための2つの操作部10(10A、10B)は、駆動部20(20A、20B)によって、それぞれ独立して移動可能に構成される。かかる構成によれば、2つの操作部がそれぞれ独立して移動するため、2つの操作レバーの操作の自由度を確保することができる。
【0022】
レバー操作ロボット100は、制御装置(不図示)及び電源装置(不図示)に接続される。制御装置及び電源装置は、オペレータの着座や手動操作の邪魔にならないように配置される。例えば、制御装置及び電源装置は、操縦席から見て操作レバー1(1A、1B)とは反対側すなわち操縦席の裏側や横側等に配置される。
【0023】
制御装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit))等から構成される。制御装置がROM又はRAMに記憶されているプログラムを実行し、制御指令又は駆動電流を3つの駆動部20(20A、20B、20C)のそれぞれに供給することにより、各々の駆動部20(20A、20B、20C)のモータ21が回動する。
【0024】
例えば、図2に示すように、モータ21は、制御装置からの制御指令又は駆動電流に応じて正転と逆転の両方に回動可能に構成される。破線と両矢印で示すように、リンク機構22は、モータ21の回転運動を直進運動に変換し、操作部10を直進移動させる。
【0025】
3つの駆動部20(20A、20B、20C)のうち、2つの駆動部20(20A、20B)は、操作部10の可動範囲内に遊びを有するように構成される。具体的には、操作レバー1(1A、1B)を中立位置で解放するように操作レバー1(1A、1B)と非接触となる軌跡上の退避位置と、操作レバー1(1A、1B)を中立位置から可動方向に押し込むように操作レバー1(1A、1B)に接触する軌跡上の操作位置と、の間で操作部10(10A、10B)を移動させるように構成される。
【0026】
このような構成によれば、操作部10(10A、10B)が退避位置に位置する状態において、操作部10(10A、10B)が操作レバー1(1A、1B)と非接触となっている。この場合、両者の間に隙間が形成されているため、オペレータは、操作レバー1(1A、1B)を動かしやすい。すなわち、オペレータが操作レバー1(1A、1B)を手動操作する場合に、操作部10(10A、10B)と干渉しにくくすることができる。したがって、オペレータによる手動操作とレバー操作ロボット100による自動操作との調和を図ることが可能となる。
【0027】
幾つかの実施形態では、操作レバー1の可動方向は、二方向(操作レバー1を前傾させる方向と後傾させる方向)である。また、幾つかの実施形態では、図1図4に示すように、1つの操作部10に2つの操作片11(11A、11B)が設けられている。
【0028】
しかし、操作レバー1の可動方向は、一方向(例えば、操作レバー1を前傾させる方向又は後傾させる方向)のみであってもよい。また、レバー操作ロボット100は、このような構成に限られず、1つの操作部10に1つの操作片11が設けられ、一方向に操作レバー1を可動させる構成であってもよい。
【0029】
幾つかの実施形態では、レバー操作ロボット100は、例えば、図1及び図3に示すように、軌跡上で移動可能に操作部10(10A、10B)を案内するガイド31をさらに備える。この場合、軌跡上で円滑に操作部10(10A、10B)を移動させることが容易になる。
【0030】
幾つかの実施形態では、レバー操作ロボット100は、例えば、図1図4に示すように、操作レバー1(1A、1B)を挟んで操縦席とは反対側に位置し、操作部10(10A、10B)を、軌跡上で案内可能に支持する支持部材30を備える。かかる構成によれば、操作部10(10A、10B)を軌跡上で案内可能に支持する支持部材30が操作レバー1(1A、1B)を挟んで操縦席とは反対側に位置するため、操縦席に着座するオペレータの邪魔になりにくい。なお、ガイド31は、図1に示すように、支持部材30上に設けられた直線状の溝であってもよい。
【0031】
幾つかの実施形態では、レバー操作ロボット100は、例えば、図1に示すように、産業車両200に取付可能に構成されたレール40を備える。レール40は、支持部材30の基端部を保持するように構成される。また、支持部材30は、レール40に沿って位置調整可能である。このような構成によれば、操作部10及び支持部材30を、産業車両200の車種に適した位置に配置することができる。
【0032】
幾つかの実施形態では、レール40は、例えば、図1に示すように、レール40を産業車両200に固定するための少なくとも一つのクランプ50を含む。クランプ50は、産業車両200のフロントピラー部3(3A、3B)を挟持可能に構成される。かかる構成によれば、クランプ50によって容易にレール40を設置することができる。
【0033】
例えば、図1に示すように、フロントピラー部3(3A、3B)は、ヘッドガード(不図示)から連続的に形成され、フォークリフトのマスト側の左右のピラー部であってもよい。なお、クランプ50は、図1に示す例に限られず、産業車両200の車体フレームに固定可能な構成であれば適宜変形可能である。
【0034】
幾つかの実施形態では、操作レバー1(1A、1B)は、例えば、図1図3及び図4に示すように、オペレータが把持するための把持部4を含み、操作部10(10A、10B)は、その把持部4より下方位置で操作レバー1(1A、1B)と接触可能な位置に配置される。かかる構成によれば、把持部4より下方位置で操作レバー1(1A、1B)と接触可能な位置に操作部10(10A、10B)が配置されているため、オペレータの手動操作の邪魔になりにくい。
【0035】
幾つかの実施形態では、操作部10(10A、10B)は、例えば、図1図4に示すように、操作レバー1(1A、1B)を介して対向する位置に設けられ、操作レバー1(1A、1B)と交差する方向に延在する2つの操作片11(11A、11B)を含む。また、2つの操作片11(11A、11B)は、操作レバー1(1A、1B)の可動範囲を含む間隔を空けて設けられる。
【0036】
かかる構成によれば、2つの操作片11(11A、11B)の間には操作レバー1(1A、1B)の可動範囲を含む間隔があるため、手動操作時の操作レバー1(1A、1B)のストロークも十分に確保することができる。なお、2つの操作片11(11A、11B)の間隔を操作レバー1(1A、1B)の可動範囲と同程度にすれば、手動操作の操作量が制限され、過剰操作による操作レバー1(1A、1B)の損傷リスクを低減できる。
【0037】
操作片11(11A、11B)は、例えば、図1及び図3に示すように、棒状のピン(突出部)である。しかし、操作片11(11A、11B)の形状はこのような棒状に限られない。例えば、操作片11(11A、11B)は、平板形状であってもよいし、湾曲形状であってもよい。
【0038】
操作部10(10A、10B)が2つの操作片11(11A、11B)を含む場合、操作部10(10A、10B)の可動範囲は、操作レバー1(1A、1B)の可動範囲の2倍以上であることが好ましい。このように構成すれば、2つの操作片11(11A、11B)のいずれか一方が操作レバー1(1A、1B)に当接して、操作レバー1(1A、1B)を一方向に動かすことが可能となる。また、2つの操作片11(11A、11B)の他方が1操作レバー(1A、1B)に当接して、操作レバー1(1A、1B)を他方向(例えば、一方向とは反対方向)に動かすことも可能である。
【0039】
レバー操作ロボット100は、操作レバー1(1A、1B、1C)の手動操作を検知した場合に、操作部10(10A、10B、10C)による操作を停止させ、手動操作を優先させるように構成されてもよい。例えば、制御装置が手動操作を検知することによって、このような制御が実現可能である。
【0040】
具体的には、レバー操作ロボット100は、手動操作によって駆動部20の回路に流れる電流値の変化(過電流)に基づいて手動操作を検知するように構成されてもよい。レバー操作ロボット100は、制御装置の制御指令と操作レバー1(1A、1B、1C)の実操作量との偏差が基準値を超えたか否かに基づいて、手動操作を検知するように構成されてもよい。
【0041】
レバー操作ロボット100は、操作部10(10A、10B、10C)による操作と手動操作による操作が反対である場合にのみ、手動操作を検知する構成であってもよい。レバー操作ロボット100は、手動操作が検知された場合に、操作部10(10A、10B、10C)を退避位置に退避させてもよい。
【0042】
このような構成によれば、オペレータは、操作部10(10A、10B、10C)による操作状態を気にせずに手動操作を開始し、操作部10(10A、10B、10C)による操作が停止した状態で手動操作を継続することができる。また、手動操作によってレバー操作ロボット100が損傷する虞を低減できる。
【0043】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。以下、変形例について説明する。
【0044】
(変形例)
レバー操作ロボット100は、レバー操作だけでなく、ステアリング操作、アクセル操作、ブレーキ操作等の走行制御を行うための構成をさらに備えていてもよい。この場合、操作レバーによる荷役操作や進行方向の切替に限られず、走行時の運転操作も含めて自動化することが可能となる。また、産業車両200は、レバー操作ロボット100に加えて、走行制御を行う操作ロボットをさらに備え、無人走行可能に構成されてもよい。なお、無人走行可能とは、有人走行と無人走行の両方が可能であることを意味し、オペレータが乗車して手動操作することを排除するものではない。
【0045】
操作部10や支持部材30には、保護カバーを取り付けたり、角部を丸く削ったりする処理が施されてもよい。この場合、安全性がより向上し、かつオペレータの手動操作をより容易にすることができる。
【0046】
操作レバー1や操作部10は、操作がなければ、原点位置に自動復帰するように構成することも可能である。例えば、制御装置からの制御指令に応じて駆動部20は、操作が無くなってから所定時間経過後に操作部10を原点位置に自動復帰させるように構成されてもよい。操作レバー1の基端部に付勢部材を設けて、その付勢部材によって操作レバー1を原点位置に自動復帰させるように構成されてもよい。
【0047】
駆動部20は、モータ21とリンク機構22を備える構成に限られない。例えば、駆動部20は、ピストンロッドを備え、ピストン運動によって操作部10を直進移動させる構成であってもよい。操作部10は、2つの操作片(11A、11B)を含む構成に限られない。操作部10は、1つの操作片11を含む構成であってもよく、一方向に操作レバー1を動かす構成であってもよい。
【0048】
(まとめ)
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0049】
(1)本開示の一実施形態に係るレバー操作ロボット(100)は、
産業車両(200)の少なくとも一つの操作レバー(1)の可動方向に沿った軌跡上で移動可能に構成された少なくとも一つの操作部(10)と、
前記操作レバー(1)を中立位置で解放するように前記操作レバー(1)と非接触となる前記軌跡上の退避位置と、前記操作レバー(1)を前記中立位置から前記可動方向に押し込むように前記操作レバー(1)に接触する前記軌跡上の操作位置と、の間で前記操作部(10)を移動させるように構成された駆動部(20)と、
を備える。
【0050】
上記(1)に記載の構成によれば、操作部(10)が退避位置に位置する状態において、オペレータが操作レバー(1)を手動操作する場合に、操作部(10)と干渉しにくくすることができる。そのため、オペレータによる手動操作と操作部による自動操作との調和を図ることが可能となる。
【0051】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、レバー操作ロボット(100)は、前記軌跡上で移動可能に前記操作部(10)を案内するガイド(31)をさらに備える。
【0052】
上記(2)に記載の構成によれば、軌跡上で円滑に操作部(10)を移動させることが容易になる。
【0053】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)に記載の構成において、レバー操作ロボット(100)は、操作レバー(1)を挟んで操縦席とは反対側に位置し、前記操作部(10)を、前記軌跡上で案内可能に支持する支持部材(30)を備える。
【0054】
上記(3)に記載の構成によれば、操作部(10)を軌跡上で案内可能に支持する支持部材(30)が操作レバー(1)を挟んで操縦席とは反対側に位置するため、操縦席に着座するオペレータの邪魔になりにくい。
【0055】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)に記載の構成において、レバー操作ロボット(100)は、前記産業車両(200)に取付可能に構成されたレール(40)を備え、
前記レール(40)は、前記支持部材(30)の基端部を保持するように構成され、
前記支持部材(30)は、前記レール(40)に沿って位置調整可能である。
【0056】
上記(4)に記載の構成によれば、操作部(10)及び支持部材(30)を、産業車両(200)の車種に適した位置に配置することができる。
【0057】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)に記載の構成において、前記レール(40)は、前記レール(40)を前記産業車両(200)に固定するための少なくとも一つのクランプ(50)を含み、
前記クランプ(50)は、前記産業車両(200)のフロントピラー部(3)を挟持可能に構成される。
【0058】
上記(5)に記載の構成によれば、容易にレール(40)を設置することができる。
【0059】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れか一つに記載の構成において、
前記操作レバー(1)は、オペレータが把持するための把持部(4)を含み、
前記操作部(10)は、前記把持部(4)より下方位置で前記操作レバー(1)と接触可能な位置に配置される。
【0060】
上記(6)に記載の構成によれば、把持部(4)より下方位置で操作レバー(1)と接触可能な位置に操作部(10)が配置されているため、オペレータの手動操作の邪魔になりにくい。
【0061】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れか一つに記載の構成において、
前記操作部(10)は、前記操作レバー(1)を介して対向する位置に設けられ、前記操作レバー(1)と交差する方向に延在する2つの操作片(11)を含み、
2つの前記操作片(11)は、前記操作レバー(1)の可動範囲を含む間隔を空けて設けられている。
【0062】
上記(7)に記載の構成によれば、2つの操作片(11)の間には操作レバー(1)の可動範囲を含む間隔があるため、手動操作時の操作レバー(1)のストロークも十分に確保することができる。なお、2つの操作片(11)の間隔を操作レバー(1)の可動範囲と同程度にすれば、手動操作の操作量が制限され、過剰操作による操作レバー(1)の損傷リスクを低減できる。
【0063】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)に記載の構成において、前記操作部(10)の可動範囲は、前記操作レバー(1)の可動範囲の2倍以上である。
【0064】
上記(8)に記載の構成によれば、2つの操作片(11)のいずれか一方が操作レバー(1)に当接して、操作レバー(1)を動かすことが可能となる。
【0065】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れか一つに記載の構成において、レバー操作ロボット(100)は、前記産業車両(200)のステアリングより下方に配置される。
【0066】
上記(9)に記載の構成によれば、ステアリング(2)より上方位置におけるオペレータの視界がレバー操作ロボット(100)によって妨げられる虞を低減することができる。
【0067】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れか一つに記載の構成において、レバー操作ロボット(100)は、前記操作レバーの手動操作を検知した場合に、前記操作部(10)による操作を停止させ、前記手動操作を優先させる。
【0068】
上記(10)に記載の構成によれば、オペレータは、操作部(10)による操作状態を気にせずに手動操作を開始し、操作部(10)による操作が停止した状態で手動操作を継続することができる。また、手動操作によってレバー操作ロボット(100)が損傷する虞を低減できる。
【0069】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(10)の何れか一つに記載の構成において、
前記産業車両(200)は荷役部を備えるフォークリフトであり、
前記操作部(10)の操作対象である前記少なくとも一つの操作レバー(1)は、前記荷役部の傾きを調整するためのチルト操作レバー(1A)と、前記荷役部を昇降させるためのリフト操作レバー(1B)との少なくとも一つを含む。
【0070】
上記(11)に記載の構成によれば、フォークリフトに適したレバー操作ロボット(100)を提供することができる。
【0071】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(11)の何れか一つに記載の構成において、
前記少なくとも一つの操作部(10)は、2つの操作部(10)を含み、
前記2つの操作部(10)は、前記駆動部(20)によって、それぞれ独立して移動可能に構成される。
【0072】
上記(12)に記載の構成によれば、2つの操作部(10)がそれぞれ独立して移動するため、2つの操作レバー(1)の操作の自由度を確保することができる。
【0073】
(13)本開示の一実施形態に係る産業車両(200)は、
少なくとも一つの操作レバー(1)と、
上記(1)乃至(12)の何れか一つに記載のレバー操作ロボット(100)と、
を備える。
【0074】
上記(13)に記載の構成によれば、オペレータが操作レバー(1)を手動操作する場合に、レバー操作ロボット(100)による自動操作と干渉しにくくすることができる。その結果、産業車両(200)において、オペレータによる手動操作とレバー操作ロボット(100)による自動操作との調和を図ることが可能となる。
【0075】
(14)幾つかの実施形態では、上記(13)に記載の構成において、前記産業車両(200)は、走行制御を行う操作ロボットをさらに備え、無人走行可能に構成される。
【0076】
上記(14)に記載の構成によれば、オペレータの運転操作の負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 操作レバー
2 ステアリング
3 フロントピラー部
4 把持部
10 操作部
11 操作片
20 駆動部
21 モータ
22 リンク機構
30 支持部材
31 ガイド
40 レール
50 クランプ
100 レバー操作ロボット
200 産業車両
図1
図2
図3
図4