(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】貸与元サーバ及び貸与システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220906BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
(21)【出願番号】P 2020191427
(22)【出願日】2020-11-18
(62)【分割の表示】P 2019524627の分割
【原出願日】2017-06-14
【審査請求日】2020-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩城 範明
【審査官】加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-028070(JP,A)
【文献】特開2003-023300(JP,A)
【文献】特開2007-043085(JP,A)
【文献】特開2005-108255(JP,A)
【文献】登録実用新案第3099438(JP,U)
【文献】国際公開第01/073695(WO,A1)
【文献】特開2006-276709(JP,A)
【文献】特開2002-230096(JP,A)
【文献】特開2005-058438(JP,A)
【文献】特開2005-063062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸与先の対基板作業機に着脱可能に使用される貸与ユニットの稼動情報を含むログ情報を、該貸与ユニットの個体識別情報と関連付けてネットワークを介して受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記ログ情報から課金に必要な前記稼動情報を抽出し、該稼動情報および前記個体識別情報に基づいて前記貸与ユニットの課金額を演算する課金演算部と、
を備え
、
前記通信部は、前記貸与ユニットと前記貸与ユニット以外のユニットとを区別する貸与有無情報を保有する前記貸与先から前記貸与ユニットに関する前記ログ情報のみを受信する貸与元サーバ。
【請求項2】
貸与先の対基板作業機に着脱可能に使用される貸与ユニットの稼動情報を含むログ情報を、該貸与ユニットの個体識別情報と関連付けてネットワークを介して受信する通信部と、
前記通信部により受信された前記ログ情報から課金に必要な前記稼動情報を抽出し、該稼動情報および前記個体識別情報に基づいて前記貸与ユニットの課金額を演算する課金演算部と、
を備え
、
前記貸与ユニットの稼動スピードに応じて一稼動量当たりの課金単価を決める貸与元サーバ。
【請求項3】
前記貸与ユニットごとに前記貸与ユニットの前記個体識別情報と貸与期間と課金単価と前記貸与先とを関連付けた貸し出しリストを保有する請求項1
又は2に記載の貸与元サーバ。
【請求項4】
前記通信部は、前記貸与先から、所定期間毎に纏めて前記ログ情報を受信する請求項1乃至3の何れか一項に記載の貸与元サーバ。
【請求項5】
前記貸与ユニットの稼動回数又は稼動時間に応じた課金を行う請求項1乃至4の何れか一項に記載の貸与元サーバ。
【請求項6】
対基板作業機に
着脱可能に使用される複数の貸与ユニットそれぞれに割り当てられる個体識別情報を認識する認識部と、
前記対基板作業機に装着された前記貸与ユニットの稼動情報を取得する稼動情報取得部と、
前記貸与ユニットの前記稼動情報と前記個体識別情報とを貸与元のサーバへ送信する通信部と、
前記貸与ユニットと前記貸与ユニット以外のユニットとを区別する貸与有無情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記通信部は、前記貸与有無情報に基づき、前記対基板作業機に装着されているユニットの前記稼動情報のうちから抽出された前記貸与ユニットの前記稼動情報を前記貸与元のサーバへ送信する貸与システム。
【請求項7】
対基板作業機に
着脱可能に使用される複数の貸与ユニットそれぞれに割り当てられる個体識別情報を認識する認識部と、
前記対基板作業機に装着された前記貸与ユニットの稼動情報を取得する稼動情報取得部と、
前記貸与ユニットの前記稼動情報と前記個体識別情報とを貸与元のサーバへ送信する通信部と、
前記貸与ユニットを貸与した前記貸与元の情報を記憶する記憶部と、
を備え、
前記通信部は、前記記憶部に記憶された前記貸与元の情報に基づき、前記貸与元のサーバへの送信を行う貸与システム。
【請求項8】
前記稼動情報には、前記貸与ユニットの稼動負荷、稼動時間、稼動回数、稼動ミス回数の内の少なくとも一つが含まれる請求項
6又は7に記載の貸与システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貸与元サーバ及び貸与システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、基板への電子部品などの部品の装着(実装や装入を含む。)について多品種少量生産或いは受託生産を行うときは、生産基板種によって必要な装置性能や装置数が異なることが多い。このような場合、基板生産者は、一通りの仕様を取り揃えて自社設備として保有することも考えられるが、これでは、設備投資の負担が大きくなってしまう。そこで、基板生産者は、投資負担の軽減のため、必要な設備全体をリース会社から予め定めた貸与期間だけ貸与してもらうことが考えられる。しかしながら、リース品が対基板作業機として必要な設備全体であると、多品種少量生産や受託生産では、生産品種の変動などによって使用頻度が少なくほとんど使用されない設備ユニットをもリース対象となるので、基板生産者にとってはリース料金の点で合理的でないことがあった。
【0003】
そこで、基板生産者における投資負担の更なる軽減を図るため、リースに対する課金を、リース品が貸与されている期間に基づくことなく、そのリース品が実際に稼動している稼動時間に基づいて行うことが考えられる(例えば特許文献1参照)。この課金手法によれば、必要な設備全体がリース品であっても、生産品種の変動などによってリース品の使用頻度が少ないときは多いときに比べて課金額が少額となるので、実際の使用頻度に合致した適切な課金を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、対基板作業機は、部品吸着用のヘッドや部品供給用のパーツフィーダ,基板搬送用ユニットなどの各ユニットを柔軟に交換して装置仕様を変更できる装置構成である。従って、基板生産者は、装置本体や必要なユニットを保有したうえで、使用頻度の少ないユニットのみをリース会社から貸与してもらうことができれば、基板生産者にとっては投資負担の点で便宜である。しかしながら、対基板作業機のユニット単位で貸与可能としつつその貸与ユニットに対して課金を行う仕組みは構築されていない。
【0006】
本明細書は、対基板作業機の貸与ユニットの稼動に合わせた課金を行う仕組みを構築することができる貸与元サーバ及び貸与システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、貸与先の対基板作業機に着脱可能に使用される貸与ユニットの稼動情報を含むログ情報を、該貸与ユニットの個体識別情報と関連付けてネットワークを介して受信する通信部と、前記通信部により受信された前記ログ情報から課金に必要な前記稼動情報を抽出し、該稼動情報および前記個体識別情報に基づいて前記貸与ユニットの課金額を演算する課金演算部と、を備える貸与元サーバを開示する。
【0008】
また、本明細書は、対基板作業機に着脱可能に使用される複数の貸与ユニットそれぞれに割り当てられる個体識別情報を認識する認識部と、前記対基板作業機に装着された前記貸与ユニットの稼動情報を取得する稼動情報取得部と、前記貸与ユニットの前記稼動情報と前記個体識別情報とを貸与元のサーバへ送信する通信部と、を備える貸与システムを開示する。
【0009】
本開示によれば、対基板作業機に装着されるすべてのユニットのうち少なくとも一つを貸与ユニットとした場合にその貸与ユニットの稼動に合わせた課金を行う仕組みを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る貸与元サーバ及び貸与システムを含む対基板作業機用貸与ユニットの課金システムの構成図である。
【
図2】実施形態に用いられる対基板作業機の上面図である。
【
図3】対基板作業機の電源オン時にその対基板作業機から管理サーバへアップされる一例のログ情報を表した図である。
【
図4】対基板作業機の稼動中にユニットが自動交換された時にその対基板作業機から管理サーバへアップされる一例のログ情報を表した図である。
【
図5】対基板作業機が基板を一枚生産完了した時にその対基板作業機から管理サーバへアップされる一例のログ情報を表した図である。
【
図6】実施形態の課金システムにおいて実行される一例の動作フローチャートである。
【
図7】一変形形態に係る対基板作業機における貸与ユニットの貸与条件外の使用制御を説明するための図である。
【
図8】一変形形態に係る貸与元サーバ及び貸与システムを含む対基板作業機用貸与ユニットの課金システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.貸与元サーバ及び貸与システムを含む対基板作業機用貸与ユニットの課金システムの構成
一実施形態に係る対基板作業機用貸与ユニットの課金システム1の構成について、
図1~
図6を参照して説明する。課金システム1は、対基板作業機10において本体11に着脱可能に装着されるユニットの少なくとも一つが貸与された貸与ユニットである場合のリース課金を行うシステムである。
【0012】
対基板作業機10は、回路基板などの基板2に対して部品を装着する作業を行う装置である。対基板作業機10は、取り外し不可の本体11を備えていると共に、
図2に示す如く、基板搬送装置20と、部品供給装置30と、部品移載装置40と、を備えている。基板搬送装置20、部品供給装置30、及び部品移載装置40はそれぞれ、本体11に取り付けられて装着される。
【0013】
基板搬送装置20は、基板2を搬送する装置である。基板搬送装置20は、
図2に示す如く、一対のガイドレール21,22と、コンベアベルト23と、クランプ装置(図示せず)と、を有している。一対のガイドレール21,22は、間隔を空けて互いに平行に配置されている。ガイドレール21,22は、搬送方向Xに向けて基板2を案内する。コンベアベルト23は、基板2を載置可能なベルト部材であって、電動モータなどによって輪転可能に設けられている。基板2は、一対のガイドレール21,22により案内されつつコンベアベルト23により搬送方向Xに向けて搬送される。クランプ装置は、コンベアベルト23上に配設されている。クランプ装置は、搬送方向Xの所定の部品装着位置において基板2をクランプすることが可能である。基板2は、コンベアベルト23により所定の部品装着位置まで搬送されると、クランプ装置によって位置決めされる。基板搬送装置20のコンベアベルト23やガイドレール21,22,クランプ装置は、基板2の種類やサイズ,形状等に応じて適宜交換可能である。
【0014】
部品供給装置30は、基板2に装着する部品3を所定の供給位置Lまで供給する装置である。本体11は、パーツフィーダ31を保持するための保持部12を有している。保持部12は、搬送方向Xに並んで設けられた複数のスロット13を有している。各スロット13には、相互に異なるスロット番号が付されており、パーツフィーダ31が一つずつ着脱可能かつ交換可能に保持される。複数のスロット13は、互いに種類の異なるパーツフィーダ31を保持することが可能である。尚、本体11は、パーツフィーダ31が保持する部品よりも大型の部品を載置するトレイを保持可能であってもよく、パーツフィーダ31とそのトレイとを交換して使用できるものであってもよい。
【0015】
パーツフィーダ31は、リール32を着脱可能かつ回転可能に保持するリール保持軸33を有している。リール32は、部品3を複数個収容したキャリアテープが巻回される回転体である。リール32は、部品3の種類ごとに設けられている。各リール32は、その収容部品の種類に応じた数の部品3を収容することが可能である。
【0016】
パーツフィーダ31は、リール保持軸33に保持されているリール32に巻回されているキャリアテープを走行させる装置である。このパーツフィーダ31による走行は、キャリアテープを所定の供給方向(具体的には、後述のテープ挿入口側から所定の供給位置L側への方向)へ送ることにより実現される。パーツフィーダ31は、キャリアテープに設けられたスプロケット孔に係合する歯を有するスプロケットと、そのスプロケットを回転させる電動モータと、を有している。パーツフィーダ31において、電動モータが作動すると、スプロケットが回転してキャリアテープが所定の供給方向へ走行することで、部品3が所定の供給位置Lまで供給される。
【0017】
部品移載装置40は、所定の供給位置Lまで供給された部品3を、所定の部品装着位置に位置決めされている基板2に向けて移載する装置である。部品移載装置40は、Y軸スライダ41と、X軸スライダ42と、装着ヘッド43と、を有している。
【0018】
Y軸スライダ41は、ガイドレール44により支持されている。ガイドレール44は、基板搬送装置20による基板2の搬送方向Xに直交する方向(以下、直交方向Yと称す。)に延びており、基板搬送装置20の鉛直上方に配設されている。Y軸スライダ41は、ガイドレール44に沿って直交方向Yに向けて移動可能である。Y軸スライダ41には、Y軸サーボモータ(図示せず)が機械的に連結されている。Y軸スライダ41は、Y軸サーボモータによりガイドレール44に沿って直交方向Yへ位置移動される。
【0019】
X軸スライダ42は、Y軸スライダ41に搬送方向Xに向けて移動可能に取り付けられている。X軸スライダ42には、Y軸スライダ41に固定されたX軸サーボモータ(図示せず)が機械的に連結されている。X軸スライダ42は、X軸サーボモータにより搬送方向Xへ位置移動される。
【0020】
X軸スライダ42には、装着ヘッド43が取り付けられている。装着ヘッド43は、部品3を吸着可能な吸着ノズルを保持している。尚、装着ヘッド43は、複数の吸着ノズルを同時に保持可能であってもよい。装着ヘッド43又は吸着ノズルは、X軸スライダ42に対して或いは装着ヘッド43に対して着脱可能かつ交換可能である。装着ヘッド43又はその装着ヘッド43に保持される吸着ノズルは、部品3の種類やサイズ,形状等に応じて適宜変更可能である。装着ヘッド43は、X軸スライダ42に対して、搬送方向X及び直交方向Yの双方に直交する上下方向Zに位置移動可能である。装着ヘッド43の吸着ノズルは、部品供給装置30の所定の供給位置Lに到達した部品3を負圧などを用いて吸着すると共に、その吸着した部品3をその吸着解除により所定の部品装着位置に位置決めされた基板2上に載置する。
【0021】
X軸スライダ42には、基板カメラ46が取り付けられている。基板カメラ46は、所定の部品装着位置に位置決めされている基板2の基準マークを上方から撮像して、基板位置基準情報を取得し、又は、所定の供給位置Lに到着した部品3を上方から撮像して、部品位置情報を取得する。部品位置情報は、装着ヘッド43の吸着ノズルへの部品3の吸着時にその吸着ノズルの位置制御や姿勢制御に用いられる。また、基板位置基準情報は、装着ヘッド43の吸着ノズルに吸着した部品3の基板2への装着時にその吸着ノズルの位置制御や姿勢制御に用いられる。
【0022】
また、部品移載装置40の基台には、部品カメラ47が取り付けられている。部品カメラ47は、装着ヘッド43の吸着ノズルにより吸着されている部品3を下方から撮像して、その部品3の姿勢情報などを取得する。この姿勢情報は、装着ヘッド43の吸着ノズルに吸着した部品3の基板2への装着時にその吸着ノズルの位置制御や姿勢制御に用いられる。
【0023】
更に、対基板作業機10は、本体11に取り付けられた制御装置50を備えている。制御装置50は、CPUやROM,RAMなどが設けられたコンピュータを主体に構成されたマシンコントローラ51を有している。マシンコントローラ51には、基板カメラ46及び部品カメラ47によって得られた画像データを処理する画像処理装置などが接続されている。マシンコントローラ51は、入力された情報に基づいて、対基板作業機10の各装置20,30,40の作動を制御することが可能である。
【0024】
また、マシンコントローラ51は、認識部51aを有している。認識部51aは、対応の対基板作業機10の本体11に装着されている各種のユニットに割り当てられているユニット個体識別情報を認識する。このユニット個体識別情報は、対基板作業機10に装着され得るユニットそれぞれに割り当てられる識別コードであって、自ユニットを他ユニットと区別するための識別情報である。ユニット個体識別情報が割り当てられるユニットは、装置20,30,40に交換可能に取り付けられるパーツフィーダ31や装着ヘッド43,装着ヘッド43に保持される吸着ノズル,把持チャック、或いは、部品供給装置30のパーツフィーダ31に替えて搭載される各種の処理装置(例えば、部品へ転写するフラックスを供給する供給装置や廃棄部品を回収する回収装置,装着ヘッド43のノズルを清掃する清掃装置)などである。
【0025】
尚、上記した認識部51aでのユニット個体識別情報の認識は、以下の手法で行われるものとすればよい。例えば、一つの認識手法は、対基板作業機10に装着された各装置20,30,40に搭載されているコンピュータなどがそれぞれ当該装置20,30,40の有するユニットのユニット個体識別情報を検出したうえでマシンコントローラ51に向けて送信し、そのマシンコントローラ51が各装置20,30,40から送信されるユニット個体識別情報を受信して認識することである。また、他の認識手法は、装置20,30,40の有するユニットの外面の所定箇所にユニット個体識別情報を付すと共に、そのユニット個体識別情報を撮像するカメラや読み込むリーダなどを設けたうえで、マシンコントローラ51がそのカメラやリーダなどからの情報に基づいて装置20,30,40に装着されたユニットのユニット個体識別情報を認識することである。
【0026】
マシンコントローラ51は、上記の如く認識部51aにて認識した対基板作業機10の本体11に装着されるユニットのユニット個体識別情報を、そのユニットが装着された本体11の装着位置(例えば、パーツフィーダ31では装着されたスロット番号など)と関連付けて記憶部52に記憶させる。記憶部52は、自対基板作業機10に搭載されるユニットが装着された本体11の装着位置とそのユニットのユニット個体識別情報との関係を記憶する。
【0027】
各対基板作業機10のマシンコントローラ51は、対基板作業機10が設置される工場内などに設けられた管理サーバ60に接続されている。管理サーバ60は、対基板作業機10(尚、その工場内に複数あってよい。)を用いた生産計画や対基板作業機10の稼動状況,基板2の生産,部品3の供給を管理するホストコンピュータである。生産計画には、今後所定期間(例えば、一週間や一ヶ月)に亘る複数種類の基板2の生産計画が含まれると共に、その基板2の生産計画に合わせて使用する部品3の種類や数を示した使用計画が含まれる。尚、これらの生産計画は、逐次更新されるものであってよい。管理サーバ60は、基板2の生産計画及び部品3の使用計画を格納している。
【0028】
管理サーバ60は、管理対象の対基板作業機10ごとに、装着されているユニット(例えば、基板搬送装置20のガイドレール21,22やコンベアベルト23、部品供給装置30のパーツフィーダ31やそのパーツフィーダ31に保持されているリール32、部品移載装置40の装着ヘッド43その装着ヘッド43に保持されている吸着ノズルなど)のユニット個体識別情報を関連付けて記憶している。管理サーバ60は、生産計画などに従って対基板作業機10のマシンコントローラ51に対して生産指令を行う。
【0029】
マシンコントローラ51は、生産指令と使用装置や使用部品との関係を記憶している。マシンコントローラ51は、管理サーバ60からの生産指令を受けると、以下の手順で基板2の生産を行う。すなわち、マシンコントローラ51は、管理サーバ60からの生産指令に従って使用すべきすなわち稼動すべき装置20,30,40のユニット(例えば、複数のスロット13に保持されたパーツフィーダ31のうちから使用すべきパーツフィーダ31)を選択し、そのユニットが装着された本体11の装着位置を特定し、そのユニットに対して稼動指令を行う。
【0030】
また、マシンコントローラ51は、基板2の生産を行っている稼動中や各種の処理を行っている際、所定のタイミングで、対基板作業機10に搭載されているユニットのログ情報を生成し、その生成したログ情報を管理サーバ60へアップする。このログ情報のアップタイミングは、対基板作業機10の電源オン等でユニットが認識された時、対基板作業機10の稼動中に装置20,30,40の有するユニットが自動交換された時、対基板作業機10が自動運転を開始した時、対基板作業機10が自動運転を終了した時、対基板作業機10が基板2を一枚生産完了した時などである。
【0031】
上記のログ情報とは、取得時刻又はアップ時刻に関連付けられて、対基板作業機10の機種名、作業機個体識別情報、及びその状態、並びに、対基板作業機10に装着された装置20,30,40などの有するユニットのユニット種類、ユニット個体識別情報、及びユニット稼動情報などを纏めたものである。マシンコントローラ51から管理サーバ60へアップされるログ情報は、生成タイミングに応じて異なるものであってよい。
【0032】
ログ情報は、例えばユニット認識時は、
図3に示す如く、時刻と対基板作業機10の機種名と作業機個体識別情報とその状態とユニット種類とユニット個体識別情報とである。ユニット自動交換時は、
図4に示す如く、時刻と対基板作業機10の機種名と作業機個体識別情報とその状態とユニット種類と交換前のユニット個体識別情報と交換後のユニット個体識別情報とである。一枚の基板2の生産完了時は、
図5に示す如く、時刻と対基板作業機10の機種名と作業機個体識別情報とその状態とユニット種類とユニット個体識別情報と稼動スピードと稼動回数と稼動ミス回数とである。
【0033】
上記の如く、マシンコントローラ51は、各装置20,30,40の有するユニットのユニット稼動情報を含むログ情報を生成するとき(具体的には、一枚の基板2の生産完了時)がある。マシンコントローラ51は、ユニット稼動情報を取得する取得部51bを有している。このユニット稼動情報とは、各ユニットの稼動に関する情報のことであり、その稼動を量的に表した稼動量を含む概念のことである。稼動量とは、稼動負荷、稼動時間、稼動回数、稼動ミス回数などである。稼動負荷とは、対基板作業機10の本体11に搭載されたユニットの稼動に伴う装置自体の疲弊度合いを示すものであって、例えば稼動スピード(%)である。稼動時間とは、電源オンからの稼動が継続する時間であってよく、或いは、電源オンから電源オフまでの稼動時間を加算した稼動総時間であってよい。また、稼動回数は、例えば、基板搬送装置20のときはコンベアベルト23による基板2などの搬送回数であり、部品供給装置30のときはパーツフィーダ31によるフィード回数であり、部品移載装置40のときは装着ヘッド43による実装点数やピックアップ回数などである。
【0034】
管理サーバ60は、対基板作業機10のマシンコントローラ51からアップされるログ情報を取得することが可能である。管理サーバ60は、第1記憶部61を有している。管理サーバ60のコンピュータは、対基板作業機10ごとに取得したログ情報を第1記憶部61に記憶させる。
【0035】
管理サーバ60は、また、第2記憶部62を有している。第2記憶部62は、対基板作業機10ごとに搭載されているユニットのユニット個体識別情報に関連付けて、その搭載ユニットが貸与元から貸与されたユニット(以下、貸与ユニット4と称す。)であるか否かを示す貸与有無情報を記憶していると共に、更に、貸与ユニット4に対してその貸与条件を含む情報を記憶している。この貸与条件は、例えば、貸与開始時を示す情報、貸与終了時を示す情報、貸与期間を示す情報、作動スピードとして許容する範囲の上限や下限を示す情報、課金単価を示す情報、課金単価を変更する条件を示す情報、対象とする装着可能な対基板作業機10の種類などを含んでいる。尚、
図2には、9つのスロット13に装着された部品供給装置30のパーツフィーダ31のうち2つのパーツフィーダ31が貸与ユニット4であることを示している。
【0036】
管理サーバ60は、課金システム1の一部をなす。管理サーバ60は、第1記憶部61内の対基板作業機10のログ情報と第2記憶部62内の対基板作業機10での貸与有無情報とを参照して、搭載ユニットが貸与ユニット4であるか否かを判別すると共に、貸与ユニット4のユニット個体識別情報ごとのログ情報を抽出することが可能である。管理サーバ60は、第3記憶部63を有している。第3記憶部63は、貸与ユニット4のユニット個体識別情報ごとにログ情報を記憶する。
【0037】
管理サーバ60は、貸与ユニット4を貸与した貸与元の情報(例えば、名称や電話番号,データ送信先など)を記憶している。管理サーバ60は、ネットワーク70に通信接続可能な通信部65を有している。管理サーバ60は、通信部65からネットワーク70を介して貸与元側のサーバ80(以下、貸与元サーバ80と称す。)へ情報送信することが可能である。尚、ネットワーク70は、既存の回線を利用したものであってもよいし、また、専用回線を利用したものであってもよい。
【0038】
管理サーバ60から貸与元サーバ80へ送信される情報は、貸与ユニット4の貸与に対して課金を行ううえで必要なデータであって、第3記憶部63に記憶されているその貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けられたログ情報である。尚、この送信情報は、そのログ情報のうち課金に必要な稼動情報を少なくとも含むものであればよい。また、管理サーバ60から貸与元サーバ80への情報送信のタイミングは、定期的すなわち一日や一週間などの予め定められた期間ごとである。尚、この情報送信のタイミングは、定期的に代えて、上記したログ情報内の稼動情報としての稼動量が予め定めた量に達するごとであってもよい。
【0039】
上記の情報送信が定期的に行われる場合、送信される稼動情報は、前回送信から今回送信までに取得したものを纏めたものである。例えば、ログ情報が複数回取得されても、その取得毎に情報送信が行われることはなく、複数回の稼動情報が纏められて一回で送信される。尚、複数回の稼動情報の纏めは、複数回の稼動情報をそのまま束として纏めたものであってもよいし、或いは、複数回の稼動情報を全体として一つに纏めて一つの稼動情報としたものであってもよい。
【0040】
貸与元サーバ80は、課金システム1の一部である。貸与元サーバ80は、自己の貸与元から貸与先へ貸し出した貸与ユニット4の管理を行うホストコンピュータである。貸与元サーバ80は、貸し出しリスト81を保有している。この貸し出しリスト81は、貸与ユニット4をリスト化したものであって、貸与ユニット4ごとに、貸与ユニット4の管理番号(すなわち、ユニット個体識別情報)と、貸与期間や課金単価などを含む貸与条件と、貸与先の請求先や担当部署等を示す情報と、などを関連付けたものである。
【0041】
貸与元サーバ80は、ネットワーク70に通信接続可能な通信部82を有している。貸与元サーバ80は、貸与先側の管理サーバ60からネットワーク70を介して送信される、ユニット個体識別情報に関連付けられた課金に必要な稼動情報を含むログ情報を通信部82にて受信することが可能である。貸与元サーバ80は、課金部83を有している。課金部83は、通信部82にて受信した貸与先側の管理サーバ60からのログ情報から課金に必要な稼動情報を抽出し、その稼動情報に基づいてその貸与先への課金額(すなわち、課金総額)を演算する。そして、その演算した課金額に基づいて、貸与元から貸与先への課金請求が行われる。
【0042】
上記した貸与先への課金総額は、稼動情報の内容に応じて変動され、稼動量が多いほど高額となる。例えば、一稼動回数当たりの課金額(すなわち、課金単価)が予め貸与元と貸与先との契約により定められていれば、その課金総額は、稼動回数と課金単価との乗算により決まる。また、課金総額は、予め貸与元と貸与先との契約により定めた貸与基本料に上記の稼動量に応じた金額が加算されるものであってもよい。尚、上記の貸与基本料は、貸与期間に応じて増減されるものであってもよい。
【0043】
2.貸与ユニットの貸与から課金までの動作
ユニットオーナーである貸与元は、対基板作業機10に搭載可能な基板搬送装置20、部品供給装置30、及び部品移載装置40などを構成する搭載ユニットの一以上を貸与ユニット4として、顧客であり対基板作業機10の使用者である貸与先に個別に貸与することができる。貸与先は、生産可能性のあるすべての基板2の種類を考慮して対基板作業機10の装置仕様を設定すると共に、生産対象の基板2の生産予定個数やその生産期間,基板2が使用される製品のサイクル期間,ユニットのメンテナンス性などを考慮して、その装置仕様内で貸与元から貸与を受ける一以上の貸与ユニット4を決定する。尚、貸与先は、その貸与ユニット4以外のユニットや対基板作業機10の本体11を購入する。貸与先は、貸与元との間で貸与ユニットの貸与に関する契約を締結してその貸与ユニット4の貸与を受ける。貸与元と貸与先とが貸与ユニット4の貸与に関する契約を締結すると、貸与元サーバ80及び貸与先の管理サーバ60に、その貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けられて貸与条件を含む情報が格納される。
【0044】
貸与先において、貸与ユニット4が対基板作業機10に装着されると、その対基板作業機10のマシンコントローラ51の認識部51aは、その対基板作業機10の本体11に装着された貸与ユニット4を含むすべてのユニットのユニット個体識別情報を認識する(
図6に示すルーチン中のステップS100)。そして、マシンコントローラ51は、記憶部52に、貸与ユニット4を含むユニットが装着された本体11の装着位置とそのユニットのユニット個体識別情報との関係を記憶させる(ステップS110)。また、管理サーバ60は、第2記憶部62に、対基板作業機10ごとのユニットのユニット個体識別情報と貸与有無情報と貸与条件情報とを記憶させる。
【0045】
上記した貸与ユニット4の装着、ユニット個体識別情報の認識、及び上記関係の記憶がなされた後、その対基板作業機10を用いて基板2の生産が開始される。貸与先の管理サーバ60は、基板2の生産計画などに従って対基板作業機10のマシンコントローラ51に対して生産指令を行う。対基板作業機10のマシンコントローラ51は、管理サーバ60からの生産指令に従って適切な装置20,30,40のユニットを稼動させて基板生産を行う。
【0046】
マシンコントローラ51の取得部51bは、基板生産を行っている稼動中などにおいて、貸与ユニットを含むユニットについてユニットごとの稼動情報を取得し(ステップS120)、その稼動情報を含むログ情報を管理サーバ60へアップする。尚、このマシンコントローラ51から管理サーバ60へのログ情報のアップは、ユニットが貸与ユニット4であるか否かを区別することなくすべてのユニットについて行われるものであってよい。また、このログ情報のアップは、対基板作業機10の電源オン時、対基板作業機10の稼動中に装置20,30,40のユニットが自動交換された時、対基板作業機10が自動運転を開始した時、対基板作業機10が自動運転を終了した時、対基板作業機10が基板2を一枚生産完了した時などに行われる。
【0047】
管理サーバ60は、対基板作業機10ごとに送られるログ情報を第1記憶部61に記憶させる。管理サーバ60は、第1記憶部61に記憶されたログ情報から、第2記憶部62に記憶されている貸与有無情報として貸与有りを示すユニット個体識別情報のユニットのログ情報を抽出し、その貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けたログ情報を第3記憶部63に記憶させる(ステップS130)。
【0048】
管理サーバ60は、所定のタイミングで、第3記憶部63に記憶されている貸与ユニット4のログ情報を貸与元サーバ80へ送信する。貸与元サーバ80は、貸与先の管理サーバ60からの貸与ユニット4のログ情報をネットワーク70を介して通信部82にて受信すると、そのログ情報から課金に必要な稼動情報を抽出すると共に、貸し出しリスト81を参照して、その貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けられている貸与条件を読み出す。課金部83は、抽出した稼動情報の稼動量と読み出した貸与条件から抽出した課金単価とを乗算して課金総額を演算する(ステップS140)。例えば、単位稼動時間当たりの課金単価が定められていれば、稼動時間とその課金単価との乗算値が課金総額として演算される。また、一稼動回数当たりの課金単価が定められていれば、稼動回数とその課金単価との乗算値が課金総額として演算される。貸与元は、その演算した課金総額を貸与先へ請求する。
【0049】
3.効果
このように、本実施形態においては、対基板作業機10の本体11に装着されるすべてのユニットのうち少なくとも一つを貸与ユニット4として、ユニットオーナーである貸与元から使用者である貸与先へ貸与することができる。そして、その貸与ユニット4の貸与に対して貸与元から貸与先へ課金を行うことができる。
【0050】
より具体的には、貸与元側の貸与元サーバ80及び貸与先側の管理サーバ60それぞれにおいて貸与ユニット4の貸与に対する貸与条件などが記憶されると共に、貸与先側の管理サーバ60が管理する対基板作業機10に装着されているユニットのユニット個体識別情報に関連付けて、貸与ユニット4と貸与ユニット4以外のユニットとを区別する貸与有無情報が付される。そのうえで、貸与先側の対基板作業機10は、装着されているユニットのユニット個体識別情報を認識すると共に、各ユニットの稼動情報を取得する。そして、管理サーバ60は、所定タイミングで取得する対基板作業機10に装着されているすべてのユニットのログ情報のうち貸与ユニット4のログ情報を抽出して、その貸与ユニット4のログ情報をユニット個体識別情報に関連付けてその貸与ユニット4を貸与した貸与元側の貸与元サーバ80へ送信する。そして、貸与元サーバ80は、管理サーバ60からのログ情報に含まれる課金に必要な稼動情報に基づいて課金額を演算して課金を行う。
【0051】
この課金システム1によれば、対基板作業機10に装着されるすべてのユニットのうち少なくとも一つを貸与ユニット4とした場合にその貸与ユニット4の稼動に合わせた課金を行う仕組みを構築することができる。このため、対基板作業機10に装着されるすべてのユニットのうち例えば使用頻度の少ないユニットを貸与ユニット4とすることで、対基板作業機10に装着されるすべてのユニットを購入する場合と比較して、対基板作業機10の使用者の投資負担を軽減することができる。
【0052】
また、この課金システム1において、貸与先の管理サーバ60から貸与元の貸与元サーバ80へ送信される情報は、管理サーバ60が対基板作業機10から取得したすべてのユニットのログ情報ではなく、そのすべてのユニットのログ情報のうちから抽出された貸与対象の貸与ユニット4のログ情報のみである。この場合、貸与元のオーナーは、貸与先である使用者の対基板作業機10に装着されるすべてのユニットのログ情報を取得することはなく、貸与対象の貸与ユニット4のログ情報のみを取得する。従って、使用者側の対基板作業機10による基板生産の全体についてオーナー側に知られることはなく、オーナー側に知らせる情報を貸与ユニット4に関する情報に限定することができるので、使用者側の対基板作業機10による基板生産の秘匿性を確保することができる。
【0053】
以上、説明したことから明らかなように、本実施形態の課金システム1は、本体11に複数のユニットが着脱可能に装着される対基板作業機10において本体11に装着されるユニットの少なくとも一つが貸与された貸与ユニット4である場合の課金システムである。この課金システム1は、本体11に取り付けられた制御装置50に設けられ、本体11に装着された貸与ユニット4のユニット個体識別情報を認識するマシンコントローラ51の認識部51aと、貸与ユニット4が装着された本体11の装着位置と本体11に装着された貸与ユニット4のユニット個体識別情報との関係を記憶する記憶部52と、制御装置50に設けられ、本体11に装着された貸与ユニット4の稼動情報を取得するマシンコントローラ51の取得部51bと、貸与ユニット4の稼動情報をユニット個体識別情報毎に記憶する第3記憶部63と、第3記憶部63に記憶された稼動情報に基づいて課金額を演算する貸与元サーバ80の課金部83と、を備える。
【0054】
課金システム1による課金方法は、本体11に複数のユニットが着脱可能に装着される対基板作業機10において本体11に装着されるユニットの少なくとも一つが貸与された貸与ユニット4である場合の課金方法である。この課金方法は、本体11に装着された貸与ユニット4のユニット個体識別情報をマシンコントローラ51の認識部51aが認識する第1ステップと、貸与ユニット4が装着された本体11の装着位置と本体11に装着された貸与ユニット4のユニット個体識別情報との関係を、記憶部52が記憶する第2ステップと、本体11に装着された貸与ユニット4の稼動情報をマシンコントローラ51の取得部51bが取得する第3ステップと、貸与ユニット4の稼動情報をユニット個体識別情報毎に第3記憶部63が記憶する第4ステップと、第3記憶部63に記憶された稼動情報に基づいて課金額を貸与元サーバ80の課金部83が演算する第5ステップと、を備える。
【0055】
この構成によれば、対基板作業機10に装着されるすべてのユニットのうち少なくとも一つを貸与ユニット4とした場合にその貸与ユニット4の稼動に合わせた課金を行う仕組みを構築することができる。
【0056】
また、課金システム1において、課金部83は、貸与ユニット4を貸与先に貸与する貸与元の貸与元サーバ80に設けられ、取得部51bにより取得された稼動情報は、本体11に装着された貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けられて、ネットワーク70を介して貸与元サーバ80へ送信される。この構成によれば、貸与元の貸与元サーバ80で課金演算を行うことができる。
【0057】
また、課金システム1において、第3記憶部63に記憶された稼動情報は、所定期間毎に纏めてネットワーク70を介して貸与元サーバ80へ送信される。この構成によれば、貸与先側と貸与元側との間の通信が頻繁に行われるのを防止することができ、その通信負荷を軽減することができる。
【0058】
また、課金システム1において、貸与ユニット4の稼動情報は、貸与ユニット4の稼動回数又は稼動時間を含む。この構成によれば、対基板作業機10の本体11に装着されている貸与ユニット4の稼動回数又は稼動時間に応じた課金を行うことができる。
【0059】
4.変形形態
ところで、上記の実施形態においては、管理サーバ60が、対基板作業機10の本体11に装着される装置20,30,40などを構成するユニットが貸与ユニット4であるか否かを示す貸与有無情報を記憶している。また、対基板作業機10に搭載された制御装置50のマシンコントローラ51が、ユニットが貸与ユニット4であるか否かの区別なく貸与ユニット4を含むすべてのユニットのユニット稼動情報を取得部51bにて取得すると共に、貸与ユニット4を含むすべてのユニットのユニット個体識別情報とそのユニットが装着された本体11の装着位置との関係を記憶部52にて記憶している。そして、管理サーバ60が、すべてのユニットのユニット稼動情報のうち貸与ユニット4のユニット稼動情報を抽出することとしている。
【0060】
しかし、本発明はこれに限定されるものではない。上記の貸与有無情報を対基板作業機10側のマシンコントローラ51が記憶するものとし、マシンコントローラ51がその貸与有無情報に従ってユニットが貸与ユニット4であるか否かを判定して、その貸与ユニット4のユニット個体識別情報のみを取得部51bにて取得するものとし、その貸与ユニット4のユニット個体識別情報とその貸与ユニット4が装着された本体11の装着位置との関係を記憶部52にて記憶するものとしてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態においては、貸与ユニット4の課金額の演算を、その貸与ユニット4の稼動量が多いほど高額となるように行うものとし、稼動量に課金単価を乗算することとしている。しかし、貸与ユニット4の稼動負荷によっては疲弊度や過酷度が異なるので、一稼動量当たりの課金単価を変えることが適切な場合がある。例えば、疲弊度が高い稼動負荷では課金単価を高くし、疲弊度が低い稼動負荷では課金単価を低くすることが、貸与ユニット4のメンテナンス性などを考慮すると適切である。
【0062】
そこで、貸与先側の管理サーバ60から貸与元側の貸与元サーバ80へ貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けられて送られる情報にその貸与ユニット4の稼動量と共に貸与ユニット4の稼動負荷を示す情報をも含めるものとし、貸与ユニット4の課金額の演算を、その貸与ユニット4の稼動負荷すなわち稼動スピードに応じて一稼動量当たりの課金単価を変更しつつ行うものとしてもよい。例えば、貸与先側の管理サーバ60は、
図5に示す如き稼動スピードごとに算出された稼動時間及び稼動回数を含む情報を貸与元サーバ80へ送信する。貸与元サーバ80は、貸与元と貸与先との間で定めた稼動スピードごとの課金単価を予め記憶している。課金部83は、単価変更部を有しており、その単価変更部にて、貸与先側の管理サーバ60から送られた情報内の稼動スピードごとに課金単価を変更する。そして、課金部83は、その稼動スピードごとの稼動時間や稼動回数に基づいて課金額を演算する。
【0063】
例えば、全稼動回数Nが(N1+N2+N3)である場合において、稼動スピードが100%であったときの課金単価をA1としかつ稼動回数をN1とし、稼動スピードが70%であるときの課金単価をA2としかつ稼動回数をN2とし、稼動スピードが50%であるときの課金単価をA3としかつ稼動回数をN3とすると、課金額Bは、次式(1)に従って演算される。
【0064】
B=A1×N1+A2×N2+A3×N3 ・・・(1)
尚、課金単価は、稼動負荷が大きくなるに従ってリニアに高くなるものであってもよいし、二次関数的に高くなるものであってもよいし、対数関数や指数関数的に高くなるものであってもよい。また、課金単価は、稼動スピードを複数の範囲に区切ってその範囲ごとに定められていてもよい。
【0065】
この変形形態の構成によれば、課金部83が貸与ユニット4の課金演算を行ううえでその貸与ユニット4の稼動負荷に応じて一稼動量当たりの課金単価を変更するので、貸与ユニット4の疲弊度に応じた課金を行うことができる。
【0066】
また、上記の実施形態においては、貸与先側の管理サーバ60に貸与ユニット4の貸与条件を示す情報を含めて記憶させることとしている。そこで、貸与ユニット4が対基板作業機10の本体11に装着されて使用される場合、その貸与条件外の使用を制限し或いは警告を行うようにしてもよい。尚、貸与条件は、上記の如く、貸与期間や対象とする対基板作業機10の種類,機能などを含んでいる。
【0067】
この変形形態において、管理サーバ60は、
図7に示す如く、条件外使用制御部66と、警告部67と、を備えている。条件外使用制御部66は、第2記憶部62に記憶されている貸与ユニット4の貸与条件に従ってその貸与ユニット4がその貸与条件外で使用されていないか否かを判定する。そして、貸与ユニット4が貸与条件外で使用されていないと判定したときは、通常どおりその貸与ユニット4の使用を許可してその貸与ユニット4を稼動させる。一方、貸与ユニット4が貸与条件外で使用されていると判定したときは、
図7に示す如く、その貸与ユニット4の上記通常使用を制限してその貸与ユニット4の稼動を中止する。或いは、その貸与ユニット4の上記通常使用を制限することなく、警告部67を用いてその貸与ユニット4の使用を警告する。警告部67は、貸与ユニット4の貸与条件外の使用を中止するように促す警告を行うものであって、例えば、管理サーバ60に設けられた警告表示や警告ブザーなどである。
【0068】
この変形形態の構成によれば、貸与ユニット4に予め定められた貸与条件に合致しない使用に対して制限や警告を与えるので、貸与ユニット4の貸与条件内での使用を促すことができる。
【0069】
また、上記の実施形態においては、貸与ユニット4を貸与する貸与元側の貸与元サーバ80と、その貸与ユニット4を貸与される貸与先側の管理サーバ60との間で直接に情報の授受が行われる。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。貸与ユニット4を貸与する貸与元側と、その貸与ユニット4を供給(製造)する供給元側と、が互いに異なる場合は、貸与元側と貸与先側との間で行われる情報の授受を、供給元側を介して行うものとしてもよい。また、この変形形態において、貸与先側は、貸与ユニット4とそれ以外のユニットとを区別することなくすべてのユニットのログ情報をユニット個体識別情報に関連付けて供給元側へ送信することとすればよい。
【0070】
この変形形態において、課金システム1は、
図8に示す如く、貸与先側の管理サーバ60と、貸与元側の貸与元サーバ80と、供給元側の供給元サーバ90と、を備えている。供給元サーバ90は、自己の供給したユニット(但し、少なくとも、自己の供給したユニットのうち貸与元から貸与先へ貸し出されている貸与ユニット4を含めばよい。)の管理を行うホストコンピュータである。供給元サーバ90は、供給リスト91を保有している。この供給リスト91は、供給したユニットをリスト化したものであって、ユニットごとに、ユニットの管理番号(すなわち、ユニット個体識別情報)及び供給先や貸与元の担当部署等を示す情報などを関連付けたものである。供給元サーバ90は、ネットワーク70に通信接続可能な通信部92を有している。供給元サーバ90は、通信部92にて、貸与先側の管理サーバ60からのすべてのユニットのユニット個体識別情報に関連付けられた稼動情報を含むログ情報を受信すると共に、すべてのユニットのログ情報のうち貸与ユニット4のユニット個体識別情報に関連付けられた稼動情報を含むログ情報のみをその貸与ユニット4を貸与した貸与元サーバ80へ送信することが可能である。
【0071】
この変形形態において、供給元の供給元サーバ90は、情報収集部93にて、対基板作業機10に装着された貸与元側から貸与先側へ貸し出された貸与ユニット4を含むすべてのユニットのログ情報を収集する。そして、貸与ユニット4のログ情報を抽出して、その貸与ユニット4のログ情報のみを通信部92からその貸与ユニットを貸与した貸与元サーバ80へ送信する。貸与元サーバ80の課金部83は、供給元サーバ90からの稼動情報を含むログ情報に基づいて貸与ユニット4の貸与に対する課金額演算を行う。
【0072】
この変形形態の構成によれば、上記した実施形態と同様に、対基板作業機10に装着されるすべてのユニットのうち少なくとも一つを貸与ユニット4とした場合にその貸与ユニット4の稼動に合わせた課金を行う仕組みを構築することができる。更に、この構成によれば、供給元側に対基板作業機10に装着されるすべてのユニットの稼動情報を含むログ情報が集まるので、その収集したログ情報を統計的に分析して、更なる商品開発や使用に関する客先提案などを行うことが可能となる。
【0073】
上記例では、貸与ユニット4として、パーツフィーダ31、装着ヘッド43、装着ヘッド43に保持される吸着ノズルや把持チャック等を示したが、これらに限定されるものではなく、例えば、本体11に取り付けられる基板搬送装置20、部品供給装置30、及び部品移載装置40自体であってもよい。
【0074】
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0075】
1:課金システム、2:基板、3:部品、4:貸与ユニット、10:対基板作業機、11:本体、20:基板搬送装置、30:部品供給装置、40:部品移載装置、50:制御装置、51:マシンコントローラ、51a:認識部、51b:取得部、52:記憶部、60:管理サーバ、61:第1記憶部、62:第2記憶部、63:第3記憶部、70:ネットワーク、80:貸与元サーバ、81:貸し出しリスト、83:課金部、90:供給元サーバ。