(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】オートバイ及び可搬型無線装置を備えるシステム
(51)【国際特許分類】
E05B 83/00 20140101AFI20220906BHJP
B62H 5/06 20060101ALI20220906BHJP
B62J 9/30 20200101ALI20220906BHJP
B62J 35/00 20060101ALI20220906BHJP
B62J 45/00 20200101ALI20220906BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20220906BHJP
E05B 83/16 20140101ALI20220906BHJP
E05B 83/34 20140101ALI20220906BHJP
【FI】
E05B83/00 H
B62H5/06
B62J9/30
B62J35/00 D
B62J45/00
E05B49/00 K
E05B83/00 A
E05B83/00 D
E05B83/16 Z
E05B83/34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020194570
(22)【出願日】2020-11-24
【審査請求日】2021-04-09
(31)【優先権主張番号】10 2019 134 001.2
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516256272
【氏名又は名称】ケーティーエム アーゲー
【氏名又は名称原語表記】KTM AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーカス クラウスホーファー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス モラヴィェッツ
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102016112593(DE,A1)
【文献】特開2016-074377(JP,A)
【文献】特開2016-056659(JP,A)
【文献】特開2014-151669(JP,A)
【文献】特開2018-028182(JP,A)
【文献】特開2009-202718(JP,A)
【文献】特開2010-125865(JP,A)
【文献】特開2010-084439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0160786(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 49/00
E05B 77/00-85/28
B60R 25/00-99/00
B62H 1/00- 7/00
B62J 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートバイ(2)及び可搬型無線装置(10)を備えるシステム(1)であって、
前記オートバイ(2)は、ステアリングヘッドベアリングシート(4)を有するオートバイフレーム(3)と、駆動ユニット(5)と、またスイッチユニット(8)と、制御装置(9)とを備え、
前記制御装置(9)は、前記無線装置(10)と無線通信するように、かつ、前記無線装置(10)から前記制御装置(9)に送信された1つの認証情報に応じて前記オートバイ(2)の動作モードを制御するように設定されており、
前記制御装置(9)は、前記無線装置(10)の前記制御装置(9)への通信が停止するスリープモードに前記無線装置(10)をシフトさせる1つの遮断情報を、前記無線装置(10)に無線送信するように設定されており、
前記制御装置(9)は、第1(T1)及び/又は第2(T2)の時間間隔の長さに関連する1つの第1及び/又は第2の時間間隔情報を前記無線装置(10)に無線送信するように設定され、その終了時に前記無線装置(10)が前記スリープモードにな
り、
前記オートバイ(2)は、前記遮断情報及び/又は前記時間間隔情報の無線送信のための前記スイッチユニット(8)の作動の結果として、前記制御装置(9)をトリガーするように設定されていることを特徴とする、
システム(1)。
【請求項2】
前記制御装置(9)は、前記遮断情報と前記第1及び/又は第2の時間間隔情報とを同時に又は連続して前記無線装置(10)に送信するように設定されていることを特徴とする、請求項1に記載のシステム(1)。
【請求項3】
前記制御装置(9)は、前記第1及び/又は第2の時間間隔情報を可変的に設定するように設定されていることを特徴とする、請求項
1又は2に記載のシステム(1)。
【請求項4】
前記制御装置(9)は、前記遮断情報、及び/又は、前記第1及び/又は第2の時間間隔情報を受信した後に前記無線装置(10)により送信された1つの受信確認情報を前記制御装置(9)に無線受信するように設定されていることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項5】
前記無線装置(10)は、前記無線装置(10)のユーザが前記無線装置(10)の作動をトリガーすることによる前記無線装置(10)の作動の結果として、前記スリープモードを終了し、かつ、前記認証情報を無線送信するように設定されていることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項6】
前記制御装置(9)は、1つの動作モード情報を前記無線装置(10)に無線送信するように設定されており、前記無線装置(10)は、前記動作モード情報を受信したときに、前記制御装置(9)との通信を維持する通信モードを継続することを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項7】
前記制御装置(9)は、少なくとも前記第2(T2)の時間間隔の長さに関連する前記第2の時間間隔情報を前記無線装置(10)に無線送信するように設定され、その終了時に前記無線装置(10)が前記スリープモードになり、
前記制御装置(9)は、前記第2の時間間隔(T2)内に1つの動作モード情報を前記無線装置(10)に無線送信するように設定されており、前記無線装置(10)は、前記動作モード情報を受信したときに、前記制御装置(9)との通信を維持する通信モードを継続することを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項8】
前記無線装置(10)は、前記第2の時間間隔(T2)内に前記動作モード情報が出現しない場合には、前記第2の時間間隔(T2)が経過した後に、スリープモードに切り替わるように設定されており、前記スリープモードでは、前記無線装置(10)の前記制御装置(9)への通信が停止することを特徴とする、請求項
6又は7に記載のシステム(1)。
【請求項9】
前記オートバイ(2)は、前記駆動ユニット(5)により供給される駆動エネルギーによる前記オートバイ(2)の連続的な動きが阻止される作動状態に、前記オートバイ(2)の前記駆動ユニット(5)をシフトさせるイモビライザー装置(11)を備え
ており、
前記制御装置(9)は、前記イモビライザー装置(11)の起動又は動作停止の前記動作モードを制御することを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項10】
前記オートバイ(2)は、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルト(22)が設けられたハンドルバーブロック装置(15)を備えており、前記ボルトは、前記ステアリングヘッドベアリングシート(4)又は装置(16)の凹部(21)との解放可能な係合位置に置くことができ、前記制御装置(9)は、前記係合位置を監視するように設定されている
とともに前記ハンドルバーブロック装置(15)の起動又は動作停止の前記動作モードを制御することを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項11】
前記オートバイ(2)は、燃料充填開口部(30)を有するとともに、前記燃料充填開口部(30)を解放可能にシールする燃料キャップ配置(28)を有する燃料タンク(27)を備えており、前記燃料キャップ配置(28)は、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルト(35)が設けられており、前記ボルトは、前記燃料タンク(27)又は前記燃料キャップ配置(28)の凹部との解放可能な係合位置に置くことができ、前記制御装置(9)は、前記係合位置を監視するように設定されている
とともに前記ボルト(35)のロックの起動又は動作解除の前記動作モードを制御することを特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項12】
前記オートバイ(2)は、ロック可能に形成された解放可能なロック装置が設けられた荷物収納装置(37)を備えており、前記ロック装置は、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルト(45、52)が設けられており、前記ボルトは、前記ロック装置の装置(42、49)との解放可能な係合位置に置くことができ、前記制御装置(9)は、前記係合位置を監視するように設定されている
とともに前記ボルト(45、52)のロックの起動又は動作解除の前記動作モードを制御することを特徴とする、請求項1~
11のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項13】
前記オートバイ(2)は、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルト(56)が設けられたシート配置(54)を備えており、前記ボルトは、前記オートバイフレーム(2)に配置された凹部(57)との解放可能な係合位置に置くことができ、前記制御装置(9)は、前記係合位置を監視するように設定されている
とともに前記ボルト(56)のロックの起動又は動作解除の前記動作モードを制御することを特徴とする、請求項1~
12のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項14】
前記オートバイ(2)は、前記オートバイの前記駆動ユニットを起動させるための制御装置(12)が設けられて
おり、
前記制御装置(9)は、前記制御装置(12)の起動又は動作停止の前記動作モードを制御することを特徴とする、請求項1~
13のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【請求項15】
前記動作モードは、以下のいずれかの状態から選択される、オートバイ(2)の少なくとも1つの状態、
- 前記オートバイ(2)の前記駆動ユニット(5)が駆動準備又は駆動準備解除の状態にシフトされる、
- 前記オートバイ(2)のイモビライザー装置(11)が起動される又は動作停止される、
- 前記オートバイ(2)のハンドルバーブロック装置(
15)が起動される又は動作停止される、
- 前記オートバイ(2)の燃料タンク(27)の燃料充填開口部(30)を解放的にシールする燃料キャップ(38)のロックが起動される又は動作解除される、
- 前記オートバイ(2)の荷物収納装置(37)のシールのロックが起動される又は動作解除される、
- 前記オートバイ(2)のシート配置(54)のシールのロックが起動される又は動作解除される、
- 前記オートバイ(2)の前記駆動ユニット(5)を起動する制御装置(12)が起動される又は動作停止される、
を含むことを特徴とする請求項1~
14のいずれか一項に記載のシステム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文によれば、オートバイ及び可搬型無線装置を備えるシステムであって、オートバイは、ステアリングヘッドベアリングシートを有するオートバイフレームと、駆動ユニットと、またスイッチユニットと、制御装置とを備え、制御装置は、無線装置と無線通信するように、かつ、無線装置から制御装置に送信された1つの認証情報に応じてオートバイの動作モードを制御するように設定されており、制御装置は、無線装置の制御装置への通信が停止するスリープモードに無線装置をシフトさせる1つの遮断情報を、無線装置に無線送信するように設定されているシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
オートバイは、ストリートオートバイ、又は起伏の多い地形を走行するために提供されるオートバイ、又はオフロードスポーツオートバイ、あるいは他の目的のために提供されるオートバイであってよい。
【0003】
ここで提供されるオートバイに設けられる駆動ユニットは、燃焼機関又は電動機、あるいは別の駆動ユニットであってよく、この駆動ユニットは、駆動ユニットが駆動電力を供給しない動作モードから駆動ユニットが駆動電力を供給する動作モードへオートバイのユーザによって設定されてよい。
【0004】
その目的のために、燃焼機関では、これが非作動位置から作動位置にシフトされることにより該燃焼機関が始動され、そのためには、燃焼機関のイグニッションシステムに電気エネルギーを事前に供給することが必要であり、さらにそのためには、通常、イグニッションが作動状態におかれる。
【0005】
駆動ユニットとしての電動機では、車載電圧システムやオートバイに設けられた高電圧システムが電動機に電気駆動エネルギーを提供するための動作モードにシフトされるように、車載電圧システムが作動位置にシフトされる。
【0006】
これまでは、この目的のために、オートバイのユーザが、オートバイに設けられたイグニッションスイッチにイグニッションキー、鍵又は同様のものを挿入し、必要に応じて作動させ、これによって駆動ユニットを作動位置にシフトさせる動作モードに誘導することが提供されてきた。
【0007】
キーレス、いわゆる快適なアクセスシステムも既に知られており、このシステムでは、ユーザが、イグニッションスイッチ又は同様のものへのメカニカルキーの挿入及び対応する回転なしに、車両を起動させることができる。
【0008】
このようなシステムにおいては、通常、オートバイに設けられた制御装置に1つの認証情報を送信する無線ユニット又は可搬型無線装置が提供されており、これにより制御装置によって受信された1つの認証情報がこの制御装置によって有効であることが確認された場合にのみ、駆動ユニットが駆動エネルギーを提供することができる動作モードに誘導することができるように、すなわちオートバイのユーザが、例えば燃焼機関を始動することができるようになされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなシステムでは、もはやユーザがイグニッションキーを取り扱う必要性が適用されないので、ユーザにとって快適な特徴を有しており、このことは、ユーザがオートバイライダーである場合に、グローブをはめた状態で小さいことの多いイグニッションキーを扱うのが不便かつ困難であることから、イグニッションキーを扱うのに通常グローブを外さないとならないため、有利である。
【0010】
別の快適さに関する特徴は、例えば、オートバイに設けられたセンサ装置が、ユーザがオートバイに座ったこと、又はハンドルバーに手を置いたことを確証するために使用されてもよいことであり、これにより、ユーザによって始動された燃焼機関の始動プロセス、又は最も一般的な意味での駆動エネルギーを提供する駆動ユニットの動作モードを誘導するプロセスが、この快適なシステムによって有効なものとして認識され、かつシステムによって承認されることである。
【0011】
このような快適なキーレスシステムは、通常、制御装置と、既知のイグニッションキーに代わる可搬型無線装置との間の無線通信で機能する。
【0012】
このような通信では、制御装置から可搬型無線装置に1つの情報が送信され、無線装置が1つの受信情報又は認証情報を制御装置に送る。
【0013】
したがって、このようなシステムは、制御装置と可搬型無線装置の間の通信が、ユーザによって認証されていないシステムによっても記録可能となるリレー攻撃の影響を受けやすくなり、これによりその後に認証されていない可搬型無線装置が対応する不正な認証情報を制御装置に送信可能となり、このためオートバイ及び可搬型無線装置システムの悪用の可能性が生じる。
【0014】
快適なキーレスアクセスシステムを有するオートバイは、国際公開第2019/043021号で公知となっており、このシステムは、オートバイに設けられたセンサを介してオートバイのユーザの個々の行動を認識することができる。
【0015】
車両と可搬型無線装置との間で使用するための無線通信システムは、欧州特許出願公開第3470275で公知となっており、このシステムは、ユーザの快適性を損なうことなく、車両と可搬型無線装置との間のリレー攻撃の危険性を低減するように提供されている。
【0016】
これらに基づいて、本発明の目的は、オートバイ及び可搬型無線装置を備えるシステムであって、このシステムへの不正アクセスに対する安全性を高め、システムのユーザの快適性を損なうことなく、制御装置と無線装置間の通信が傍受される危険性を低減するシステムを作成することである。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するために、請求項1に特定される特徴を有するものである。この請求項1の有利な設計は、更なる請求項にて記載される。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、オートバイ及び可搬型無線装置を備えるシステムであって、オートバイは、ステアリングヘッドベアリングシートを有するオートバイフレームと、駆動ユニットと、またスイッチユニットと、制御装置とを備え、制御装置は、無線装置と無線通信するように、かつ、無線装置から制御装置に送信された1つの認証情報に応じてオートバイの動作モードを制御するように設定されており、制御装置は、無線装置の制御装置への通信が停止するスリープモードに無線装置をシフトさせる1つの遮断情報を、無線装置に無線送信するように設定されており、制御装置は、第1及び/又は第2の時間間隔の長さに関連する1つの第1及び/又は第2の時間間隔情報を無線装置に無線送信するように設定されており、その終了時に無線装置がスリープモードを採用する、すなわち、例えば、スリープモードになるシステムを作成する。
【0019】
このように、本発明に係るシステムに従って提供されるオートバイは、ステアリングヘッドベアリングシートを有するオートバイフレームと、また駆動ユニットと、スイッチユニットと、制御装置とを備える。スイッチユニットは、該スイッチユニットの作動によって、例えば、可搬型無線装置と無線通信するための制御装置をトリガーすることや、オートバイの様々な動作モードを起動させることなどの、オートバイの動作をトリガーするために設けられている。
【0020】
オートバイの動作モードは、例えば、オートバイの駆動ユニットのイグニッションシステムのスイッチを入れること、すなわち、例えば、オートバイの内燃機関の電気始動装置を起動させることができる動作状態、すなわち、車載電圧ネットワークから開始電流を供給することができる動作状態に、あるいは、最も一般的な意味ではイグニッションを有効にすることができるような動作状態に、オートバイをシフトさせることであってよい。
【0021】
制御装置によって制御され得る更なる動作モードは、オートバイのステアリングロック装置の起動及び/又は動作停止、オートバイのイモビライザー装置の起動及び/又は動作停止、オートバイの燃料タンクの燃料フィラー開口部をシール又は解放するフィラーキャップのロック及び/又はロック解除、オートバイの荷物収納装置のファスナーのロックの起動及び/又は動作解除、オートバイのシート配置のファスナーのロックの起動及び/又は動作解除、オートバイの駆動ユニットを始動するための制御装置の起動及び/又は動作停止などであり、これらはこの非網羅的なリストの中のいくつかの例を挙げたものである。
【0022】
このため、オートバイに設けられた、またこの目的のために、例えばハンドルバーの形態でオートバイの制御装置に設けることができるスイッチユニットを用いて、制御コマンド又は制御シーケンスを、オートバイの制御装置に送信することができ、これによりその後オートバイの個々の動作モードをトリガーする、すなわち起動又は動作停止する。
【0023】
したがって、例えば、スイッチユニットの作動により、オートバイのイグニッションシステムの動作が停止され、これにより燃焼機関として提供されたオートバイの駆動ユニットのイグニッションがオフになり、よって燃焼機関がもはや始動できなくなることも提供される。
【0024】
このような駆動ユニットのイグニッションシステムの動作停止により、オートバイの駆動ユニットとして提供されている電気エンジン又はモータがその動作を停止され、すなわち、もはや駆動電力を供給することができなくなり、このような理由で、例えば電気エンジンを動作させるためにオートバイに提供された高電圧システムから分離される。
【0025】
したがって、イグニッションシステムの動作停止は、オートバイのユーザがスイッチユニットを作動させたときに行われ、制御装置もまた、1つの時間情報を可搬型無線装置又は無線装置に送信するという効果のためにスイッチユニットのこの作動によって作動され、この時間情報は、すなわち、第1及び/又は第2の時間間隔の長さを含む第1及び/又は第2の時間間隔に関連する1つの時間情報であり、この終了時に無線装置はスリープモードを採用し、これにより無線装置から制御装置への無線通信がもはや行われなくなり、またさもなければこの無線通信に含まれる認証情報ももはや制御装置に送信されず、このためリレー攻撃に使用され得る認証されていない受信装置によって傍受される可能性ももはやない。
【0026】
このように、スイッチユニットを作動させると、無線装置は、一定又は変更可能な時間間隔情報、又はオートバイ上で設定可能な情報を転送し、その終了時に無線装置が自動的にスリープモードにシフトする。
【0027】
この時間間隔情報は、無線装置が第1の時間間隔の終了時にスリープモードに自動的にシフトするように、すなわち、もはや制御装置との通信を確立しないように、無線装置によって評価され得るデータ情報を含む第1の時間間隔情報であってよい。
【0028】
この第1の時間間隔は、オートバイのユーザが不注意で可搬型無線装置の動作を停止するためのコマンドをトリガーしたことを第1の時間間隔内に確認したときに、第1の時間間隔の終了時に可搬型無線装置の自動的な動作停止を解除するために使用してもよく、このことは、ユーザが不注意でスイッチユニットに触れてしまったときに起こることであり、例えば、オートバイのグローブを装着したユーザによるオートバイの操作中に、実際に発生する可能性がある。
【0029】
リレー攻撃からの保護のために動作が停止された可搬型無線装置の再起動は、オートバイに設けられたスイッチユニットの作動とは別の作動、すなわち、例えば、無線キーとして形成された可搬型無線装置の起動を必要とし、この目的のために、ユーザが可搬型無線装置に設けられたスイッチユニットを作動させることにより、ユーザが別個に処理する必要があるため、可搬型無線装置の動作停止に関する不用意なトリガーを取り消すことができることは、オートバイのユーザにとって有利なことであり、例えば、可搬型無線装置の自動的な動作停止を阻止する、第1の時間間隔内におけるスイッチユニットの別の作動を行うことによって快適性を高めることになる。
【0030】
このために、スイッチユニットの不注意な又はむしろ意図的な作動の後に、オートバイの表示ユニット又は音響ユニットからスイッチユニットの作動に関する1つの視覚的又は音響的情報の形態で1つの情報をオートバイのユーザが取得し、これによりユーザがスイッチユニットの別の作動を介して可搬型無線装置の動作の停止を阻止することが可能であるように可搬型無線装置の動作を自動的に停止させることが提供される。
【0031】
さらに、オートバイのユーザは、この視覚情報及び/又は音響情報を使用して、可搬型無線装置のスリープモードの意図された起動についての決定を取り消すことができるか、又は可搬型無線装置が実際のスリープモードに入る前に意図しないスリープモードの起動を無効にすることができる位置にあるように、オートバイのスイッチユニットの起動の確認又は認識を学習する。
【0032】
スリープモードでは、可搬型無線装置は、もはや無線装置と制御装置との間の通信を不正な方法で記録する可能性もなくなるように、制御装置から無線装置に無線送信された要求にもはや反応しなくなる。
【0033】
前述したように、システムは、追加的又は代替的に、第1の時間間隔情報とともに第2の時間間隔情報を送信することができ、第2の時間間隔情報は、第2の時間間隔に関連する1つの情報を含み、その第2の時間間隔の終了時に無線装置はスリープモードにシフトされる。
【0034】
可搬型無線装置が制御装置との通信モードに戻るようにシフトする場合、無線キーが可搬型無線装置のトランスポンダに対して制御装置の対応する要求に応答するように、ユーザがボタンを押すか又は可搬型無線装置の別の形態の作動によって無線キー又は可搬型無線装置を起動することが提供される。
【0035】
可搬型無線装置と制御装置との間の通信が再び受信されるこの第2の時間間隔は、本発明に係る設定可能な方法で確立してもよく、可搬型無線装置と制御装置との間の通信の点で安全性を高めるのに役立つ。
【0036】
特に、ユーザがオートバイ上で対応する行動を取らずに第2の時間間隔が経過した場合、可搬型無線装置は自動的にスリープモードに戻るようにシフトし、これにより制御装置との通信を遮断する。
【0037】
本発明に従って提供されるシステムによれば、オートバイのユーザは、可搬型無線装置を稼働モードにシフトさせ、これにより稼働化に関する1つ又は複数の信号が制御装置に送信され、本発明に従って提供される制御装置は、オートバイの単一の動作モード、もしくは複数の動作モード又は幾つかの動作モードを起動することができ、例えば、イグニッション信号T15を有効化し、及び/又はオートバイのイモビライザーの動作を停止し、及び/又はオートバイのハンドルバーロック装置を停止し、及び/又はオートバイの燃料タンクのフィラーキャップのロックを解除し、及び/又はオートバイに配置されたトップケースのロック及び/又はオートバイに設けられたサイドケースのロックを解除し、及び/又はメインユニットとしての制御装置がエンジン始動のための解放を発することによって、オートバイを始動準備の状態とする。
【0038】
このように、オートバイの通常の運転のために提供されているオートバイの全ての又は少なくとも本質的な動作モードは、オートバイでのドライバーの更なる関与を必要とせずに、、ドライバーのユーザがボタンを1回押すか、無線キーを1回作動することで起動させることができるため、オートバイのユーザの快適性が大幅に向上する。
【0039】
本発明によれば、オートバイのユーザが、例えば表示ユニットを介してオートバイの個々の動作モードの起動及び/又は動作の停止を構成することができ、これにより、ユーザが無線キーの作動の結果として対応する作動の後に、オートバイがどのように反応するかに影響を及ぼすということが提供される。
【0040】
無線キー又は可搬型無線装置は、オートバイのユーザによって携帯され、すなわち、通常、一般にはユーザのオートバイ用衣服のジャケットのポケット又はズボンポケットに離れて収納されている。
【0041】
このような収納場所では、無線キーの予期しないかつ意図しない誤作動の可能性を排除できず、無線キーが収納されているジャケットのポケットに手を伸ばした際にユーザが意図せずに無線キーを起動させてしまう可能性があり、またユーザがオートバイを見ることができないオートバイから離れた距離において、ユーザが希望していないにもかかわらず、その後に無線キーが制御装置に1つの認証情報を送信できてしまうため、無線装置は、この設定可能な第2の時間間隔の終了時に無線装置の制御装置との通信が阻止されるスリープモードに戻るように自動的にシフトされ、また制御装置は、オートバイの通常の運転に必要な動作モードが再び反転されることを確実とし、すなわち、例えば、イグニッションがオンにされ、及び/又はイモビライザーが起動され、及び/又はステアリングロック装置が起動され、及び/又は燃料キャップロックが起動され、及び/又はトップケース及び一方又は両方のサイドケース上のロック装置が起動され、及び/又は座席配置のロック装置が起動され、及び/又はエンジン始動のためのリリース信号がECU又は制御装置によって反転されることを確実にしている。
【0042】
このように、本発明に係るシステムは、オートバイのユーザに、既知のシステムの場合よりも多くの快適性を提供するだけでなく、むしろ誤操作及び/又はリレー攻撃又は盗難による悪用に対するシステムの安全性を高めるものである。
【0043】
また、本発明の更なる発展によれば、制御装置は、遮断情報と第1及び/又は第2の時間間隔情報とを同時に又は連続して無線装置に送信するように設定されている。
【0044】
このように、第1及び/又は第2の時間間隔情報を有する本発明に係るシステムは、可搬型無線装置に遮断情報を同時に送信することもでき、すなわち、オートバイのユーザによるスイッチユニットの操作の場合、第1及び/又は第2の時間間隔情報のいずれか1つのみを無線装置に送信するか、又は遮断情報及び/又は第1の時間間隔情報及び/又は第2の時間間隔情報の任意の組み合わせをも送信するか、実際には、例えば、3つの情報のうちの2つの情報を同時又は連続して送信し、第1の送信の結果としてその後に第3の情報を送信することもできる.
【0045】
本発明に係るシステムによれば、第1及び/又は第2の時間間隔情報への変更が本発明に係るシステムのユーザによって行われた場合、すなわち、例えば、第1の時間間隔及び/又は第2の時間間隔がシステムのユーザによって修正された場合、第1及び/又は第2の時間間隔情報のみが、遮断情報とともに、又は遮断情報の前に、又は遮断情報の後に送信されることをも提供される。
【0046】
本発明の更なる発展によれば、オートバイは、遮断情報及び/又は時間間隔情報の無線送信のためのスイッチユニットの作動の結果として、制御装置をトリガーするように設定されていることも提供される。よって、本発明に係るシステムのユーザは、オートバイに必須の中央操作ディスプレイ上のボタンの入力を介して、スリープモードの複雑な作動なしにスイッチユニットを作動させることにより、可搬型無線装置のスリープモードを作動させることができる。
【0047】
このようなスイッチユニットの作動の結果、本システムによれば、オートバイのユーザは、運転休止中又は運転経路の終了後にオートバイを駐車する際に、通常手動で行われるオートバイの動作モード、例えばハンドルバーブロックのロック、フィラーキャップのロック、例えばトップケース又はサイドケースなどのオートバイ上の荷物搬送装置のロック、また例えば他の運転モードも作動させることができる。このように、ユーザは、スイッチユニットを作動させた後、オートバイの表示ユニットを介して光フィードバック又は音響フィードバックを体験し、ユーザは、無線装置が第1の時間間隔の終了時に自動的にスリープモードに切り替わり、ユーザによって調整可能に選択されたオートバイの動作モードをオートバイ上の制御装置がトリガーすることを知る。
【0048】
ここで、本発明に係るシステムにおけるユーザの快適性をさらに高めるために、制御装置は、ユーザが、例えばオートバイの表示ユニット上での簡単な操作を介して、例えば、オートバイを始動するとき又はオートバイを使用した後に駐車するときにおいて、オートバイの通常運転でユーザに馴染みのあるルーチンを介して、第1及び/又は第2の時間間隔を変更することができるように、第1及び/又は第2の時間間隔情報を可変的に設定するように設定されることが提供される。
【0049】
本発明のさらなる発展によれば、制御装置が、遮断情報、及び/又は、第1及び/又は第2の時間間隔情報を受信した後に無線装置から制御装置に送信された1つの受信確認情報を無線受信するように設定されていることも提供される。
【0050】
このような本発明に係るシステムのさらなる発展によれば、制御装置は、制御装置から送信された情報の意図された受信に関するフィードバックを無線装置から確実に取得する。本発明に係るシステムによれば、システムのユーザが、オートバイの表示ユニット上で対応する確認を経験することを提供してもよく、また本発明によれば、この受信確認情報が制御装置によって適切に受信されていない場合に、ユーザが表示ユニット上でエラーメッセージを取得することを提供してもよく、ここで、この目的のために、そのようなエラーメッセージは、受信確認情報を意図的に受信することなく制御装置によって実行された、遮断情報、及び/又は、第1及び/又は第2の時間間隔情報の可搬型無線装置へのさらなる送信の後にのみ取得されることも提供される。
【0051】
制御装置によって受信確認情報を取得した後、これによって、例えばハンドルバーブロックがロックされるように、オートバイの上述した動作モードをトリガーすることができ、したがって、このように安全性の保護がなされたオートバイを単純に押すことももはや不可能なため、オートバイは盗難から十分保護される。
【0052】
このことは、制御装置から可搬型無線装置への無線送信が、例えば中断信号によって特別に中断されたことをユーザに知らせる1つの情報を、ユーザがシステムから取得するので、システムの安全性をさらに高めるのに役立つものであり、またこのため、ユーザは、例えば、ハンドルバーブロックをロックすることにより非作動位置にオートバイを移動させるプロセスを手動で実行しなければないないことに気付かされるようになる。
【0053】
本発明のさらなる発展によれば、無線装置のユーザにより無線装置の起動をトリガーして無線装置を作動させる結果として、無線装置がスリープモードを終了し、かつ、認証情報を無線送信するように設定されることも提供される。
【0054】
このように、ユーザは、無線装置上でボタンなどの簡単な作動を行うことにより、無線装置をスリープモードから稼働モードに切り替えることができ、このため、無線装置から制御装置への通信を確実に再び開始し、これによりオートバイに設けられた制御装置がオートバイを「稼働」な動作モードにシフトさせることができ、すなわち、ハンドルバーブロック装置のロックを解除することができ、例えば、イモビライザーの動作を停止することができ、フィラーキャップのロックを解除することができ、オートバイ上の荷物搬送装置のロックを解除することができ、エンジン始動のためのリリースを許可することができる。
【0055】
本発明のさらなる発展によれば、制御装置は、1つの動作モード情報を制御装置に無線送信するように設定されており、無線装置は、この情報を受信したときに制御装置との通信を維持する通信モードを継続することも提供される。
【0056】
このさらなる発展は、例えば、無線装置を上述の認証情報とは異なるデータ情報を含む制御装置との通信モードに切り替えることができ、これによりシステムの通常の動作中に、認証情報を不正な第三者が知ることをより困難にするという利点を有する。
【0057】
本発明のさらなる発展によれば、制御装置は、第2の時間間隔内に1つの動作モード情報を無線装置に無線送信するように設定されており、無線装置は、この情報を受信したときに制御装置との通信を維持する通信モードを継続することも提供される。
【0058】
このような本発明に係るシステムのさらなる発展は、動作モード情報が、時間的に非常に限定された時間間隔内でのみ、すなわち第2の時間間隔内でのみ無線装置へ送信され、これによって動作モード情報の無線装置への連続的な転送が停止し、悪用を可能にする制御装置と可搬型無線装置との間のデータ及び情報の交換が限定されるという利点を有する。
【0059】
本発明に係るシステムのさらなる発展によれば、オートバイは、駆動ユニットにより供給される駆動エネルギーによるオートバイの連続的な動きが阻止される作動状態に、オートバイの駆動ユニットをシフトさせるイモビライザー装置を備えることも提供される。
【0060】
オートバイのイモビライザー装置の起動又は動作停止は、とりわけ可搬型無線装置との通信に応じて制御装置が実行できる動作モードである。
【0061】
本発明に係るシステムのユーザは、遮断情報及び/又は時間間隔情報が可搬型無線装置に送信されるように、オートバイ上のスイッチユニットを作動させることができる。
【0062】
システムのユーザが無線装置のスリープモードの作動を取り消すことができる第1の時間間隔の終了時に、制御装置は、イモビライザー装置によって提供される盗難防止装置が自動的に起動されるように、オートバイのイモビライザー装置を自動的に起動させることができる。この代替として、本発明に係るシステムによれば、ユーザによるスイッチユニットの作動が、既にイモビライザー装置を起動させ、第1の時間間隔内のユーザによるスイッチユニットの可能な反復作動が、再びイモビライザー装置の動作を停止させることも提供される。
【0063】
その後、ユーザが、可搬型無線装置を再起動し、1つの認証情報を制御装置に送信した場合、制御装置は、イモビライザー装置の点でオートバイの運転準備が整うようにイモビライザー装置の動作を停止することができる。
【0064】
本発明に係るシステムのさらなる発展によれば、オートバイは、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルトが設けられたハンドルバーブロック装置を備えており、このボルトは、ステアリングヘッドベアリングシートの凹部との解放可能な係合位置に置くことができ、制御装置は、この係合位置を監視するように設定されることも提供される。
【0065】
オートバイのハンドルバーブロック装置の起動又は動作停止は、とりわけ可搬型無線装置との通信に応じて制御装置が実行できる動作モードである。
【0066】
本発明に係るシステムのユーザは、遮断情報及び/又は時間間隔情報が可搬型無線装置に送信されるように、オートバイ上のスイッチユニットを作動させることができる。
【0067】
システムのユーザが、無線装置のスリープモードの起動を取り消すことができる第1の時間間隔の終了時に、制御装置は、ハンドルバーブロック装置によって提供される盗難防止装置が自動的に起動されるように、オートバイのハンドルバーブロック装置を自動的に起動させることができる。この代替として、本発明に係るシステムによれば、ユーザによるスイッチユニットの作動が、既にハンドルバーブロック装置を起動させ、第1の時間間隔内のユーザによるスイッチユニットの可能な反復作動が、再びハンドルバーブロック装置の動作を停止させることも提供される。
【0068】
その後、ユーザが、可搬型無線装置を再起動し、1つの認証情報を制御装置に送信した場合、制御装置は、ハンドルバーブロック装置の点でオートバイの運転準備が整うようにハンドルバーブロック装置の動作を停止することができる。
【0069】
本発明のさらなる発展によれば、オートバイは、燃料充填開口部を有するとともに、燃料充填開口部を解放可能にシールする燃料キャップ配置を有する燃料タンクを備えており、燃料キャップ配置は、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルトが設けられており、ボルトは、燃料タンクの凹部との解放可能な係合位置に置くことができ、制御装置は、係合位置を監視するように設定されることも提供される。
【0070】
オートバイの燃料キャップ配置の起動又は動作停止は、とりわけ可搬型無線装置との通信に応じて制御装置が実行できる動作モードである。
【0071】
本発明に係るシステムのユーザは、遮断情報及び/又は時間間隔情報が可搬型無線装置に送信されるように、オートバイ上のスイッチユニットを作動させることができる。
【0072】
システムのユーザが、無線装置のスリープモードの作動を取り消すことができる第1の時間間隔の終了時に、制御装置は、ロックされた燃料キャップ配置によって提供される盗難防止装置が自動的に起動されるように、オートバイの燃料キャップ配置を自動的に起動させることができる。この代替として、本発明に係るシステムによれば、ユーザによるスイッチユニットの作動が、燃料キャップ配置のロックを起動し第1の時間間隔内のユーザによるスイッチユニットの可能な反復作動が、再び燃料キャップ配置のロックの動作を停止させることも提供される。
【0073】
その後、ユーザが、可搬型無線装置を再起動し、1つの認証情報を制御装置に送信した場合、制御装置は、燃料キャップ配置の点でオートバイの運転準備が整うように燃料キャップ配置のロックの動作を停止することができる。
【0074】
本発明のさらなる発展によれば、オートバイは、ロック可能に形成された解除可能なロック装置が設けられた荷物収納装置を備えており、このロック装置は、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルトが設けられており、このボルトは、ロック装置の凹部との解放可能な係合位置に置くことができ、制御装置は、この係合位置を監視するように設定されることも提供される。
【0075】
オートバイの荷物収納装置のロックの起動又は動作停止は、とりわけ可搬型無線装置との通信に応じて制御装置が実行できる動作モードである。
【0076】
システムのユーザが、無線装置のスリープモードの作動を取り消すことができる第1の時間間隔の終了時に、制御装置は、ロックされた荷物収納装置によって提供される盗難防止装置が自動的に起動されるように、オートバイの荷物収納装置のロックを自動的に起動させることができる。この代替として、本発明に係るシステムによれば、ユーザによるスイッチユニットの作動が、既に荷物収納装置のロックを起動させ、第1の時間間隔内のユーザによるスイッチユニットの可能な反復作動が、再び荷物収納装置のロックの動作を停止させることも提供される。
【0077】
その後、ユーザが、可搬型無線装置を再起動し、1つの認証情報を制御装置に送信した場合、制御装置は、荷物収納装置の点でオートバイの運転準備が整うように荷物収納装置のロックの動作を停止することができる。
【0078】
本発明のさらなる発展によれば、オートバイは、遠隔制御可能な、特に電気的に作動するロック可能及びロック解除可能なボルトが設けられたシート配置を備えており、このボルトは、オートバイフレームに配置された凹部との解放可能な係合位置に置くことができ、制御装置は、この係合位置を監視するように設定されることも提供される。
【0079】
オートバイのシート配置のロックの起動又は動作解除は、とりわけ可搬型無線装置との通信に応じて制御装置が実行できる動作モードである。
【0080】
本発明に係るシステムのユーザは、遮断情報及び/又は時間間隔情報が可搬型無線装置に送信されるように、オートバイ上のスイッチユニットを作動させることができる。
【0081】
システムのユーザが、無線装置のスリープモードの起動を取り消すことができる第1の時間間隔の終了時に、制御装置は、ロックされたシート配置によって提供される盗難防止装置が自動的に起動されるように、オートバイのシート配置のロックを自動的に起動させることができる。この代替として、本発明に係るシステムによれば、ユーザによるスイッチユニットの作動が、既にシート配置のロックを起動させ、第1の時間間隔内のユーザによるスイッチユニットの可能な反復作動が、再びシート配置のロックの動作を解除させることも提供される。
【0082】
その後、ユーザが、可搬型無線装置を再起動し、1つの認証情報を制御装置に送信した場合、制御装置は、シート配置の点でオートバイの運転準備が整うように、シート配置のロックの動作を解除することができる。
【0083】
本発明のさらなる発展によれば、オートバイの駆動ユニットを起動させるための制御装置がオートバイに設けられていることも提供される。この制御装置は、例えば、オートバイの燃焼機関として形成された駆動ユニットを始動させるための起電型スタータであってよい。加えて、この制御装置は、オートバイの駆動ユニットとしての電気エンジンに、オートバイの車載電圧網又は高圧網からの電気エネルギーの供給を許可又は阻止する装置であってよい。
【0084】
オートバイの駆動ユニットの起動可能性(activation possibility)の起動又は動作停止は、とりわけ可搬型無線装置との通信に応じて制御装置が実行できる動作モードである。
【0085】
システムのユーザが、無線装置のスリープモードの起動を取り消すことができる第1の時間間隔の終了時に、制御装置は、駆動ユニットが動作を停止されることによって提供される盗難防止装置が自動的に起動されるように、オートバイの駆動ユニットの起動可能性につきその動作を自動的に停止させることができる。この代替として、本発明に係るシステムによれば、ユーザによるスイッチユニットの作動が、オートバイの駆動ユニットの起動可能性についてその動作を自動的に停止させ、第1の時間間隔内のユーザによるスイッチユニットの可能な反復作動が、オートバイの駆動ユニットの起動可能性について再起動することも提供される。
【0086】
その後、ユーザが可搬型無線装置を再起動し、1つの認証情報を制御装置に送信した場合、制御装置は、オートバイの運転準備が整うように、オートバイの駆動ユニットの起動可能性の起動を行うことができる。
【0087】
最後に、本発明のさらなる発展によれば、動作モードは、以下のいずれかの状態から選択される、オートバイの少なくとも1つの状態、
-オートバイの駆動ユニットが駆動準備、又は駆動準備解除の状態にシフトされる、
-オートバイのイモビライザー装置が起動される又は動作停止される、
-オートバイのハンドルバーブロック装置が起動される又は動作停止される、
-オートバイの燃料タンクの燃料充填開口部を解放的にシールする燃料キャップのロックが起動される又は動作解除される、
-オートバイの荷物収納装置のシールのロックが起動される又は動作解除される、
-オートバイのシート配置のシールのロックが起動される又は動作解除される、
-オートバイの駆動ユニットを起動する制御装置が起動される又は動作停止されることが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
以下、本発明について図面を用いてさらに詳細に説明する。これらの図面は以下の通りである。
【0089】
【
図1】本発明に係る実施形態によるオートバイ及び可搬型無線装置を備えるシステムの概略図である。
【
図2】オートバイのハンドルバーブロック装置の概略図を上から見た上面図である。
【
図3】オートバイ上の燃料キャップロックの概略図である。
【
図4】それぞれロック装置を有するトップケース及びサイドケースの概略図である。
【
図6】本システムの機能に関連するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0090】
図面中の
図1は、模式的に図示されたオートバイ2及び可搬型無線装置10を備えるシステム1を示している。
【0091】
オートバイ2は、ステアリングヘッドベアリングシート4を有するオートバイフレーム3と、駆動ユニット5とを備え、この駆動ユニット5は、システム1の図示された実施形態では、燃焼機関6である。
【0092】
また、オートバイ2は、スイッチユニット8が上に配置されたハンドルバー7を有しており、このスイッチユニット8は、オートバイ2の図示された実施形態では、ハンドルバー7の右端に配置されている。オートバイ2は、以下でより詳細に説明するように、可搬型無線装置10と無線通信するために形成され、かつさらにオートバイ2の動作モードを制御可能である、模式的に図示された制御装置9をさらに備える。
【0093】
無線装置10は、制御装置9と無線通信するように設定されており、制御装置9から無線装置10に送信された1つの遮断情報を介してスリープモードにシフト可能とされる。ここで、無線装置10は、スリープモードにあるとき、もはや制御装置9への無線通信接続を構築せず、特に、もはや認証情報を制御装置9に送信しないので、これによりこの認証情報も認証されていない受信機を介して受信することがもはや不可能であり、よって、リレー攻撃の危険性をも低減する。
【0094】
また、システム1は、模式的にのみ図示されたイモビライザー装置11も備えており、このイモビライザー装置は、制御装置9の一部であってよいエンジン制御装置12にリリース(解放)を許可することができる装置であってよく、このイモビライザー装置がなければ、燃焼機関6を始動させることができないか、又は駆動ユニット5としての電気エンジンが駆動エネルギーを全く提供することができない。エンジン制御装置12のためのこのリリースは、例えばCANバスの形式でオートバイ2に設けられた車両バスシステムを介して送信してもよく、ここで、エンジン制御装置12のためのリリースは、もはやイモビライザー装置11がこれを阻止したときには生じない。
【0095】
イモビライザー装置11はまた、制御装置9に一体的に形成されてよく、可搬型無線装置10によってコード化可能な、すなわち、ユーザの修正を評価するための暗号化された送信認証情報を使用することができ、またコード化された、すなわち、暗号化された安全な1つの解放通信情報の形態でエンジン制御装置12にリリースを送信することができる。
【0096】
オートバイフレーム3には、図面中の
図2によってより明らかに示されているように、ステアリングヘッドベアリング13を装備したステアリングヘッドベアリングパイプ14の形態のステアリングヘッドベアリングシート4が設けられており、また
図1のみに模式的に図示されたハンドルバーブロック装置15も設けられている。
【0097】
このハンドルバーブロック装置15は、メカニカルロックの形態で形成されており、これについては、図面中の
図2を参照して以下により詳細に説明する。
【0098】
ここで、図面中の
図2は、その下側の図において、ハンドルバー7及び上部フォーククラウン16を模式的に図示しており、このフォーククラウンは、
図1でのみ模式的に図示された伸縮式サスペンションフォーク17を、2本の伸縮式サスペンションフォーク脚18で受けるように機能し、ここで、伸縮式サスペンションフォーク17は、図面中の
図2に従って矢印20によって分かるように、ステアリングヘッドベアリング14によって形成された枢動点19の周りで枢動することができる。
【0099】
ステアリングヘッドベアリングシート4は、オートバイフレーム3に隣接して配置され、かつフォーククラウン16を備えており、このフォーククラウン16は、図面中の
図2の上側の図から分かるように、ボルト22が係合可能な凹部21を有し、図面中の
図2の上側の図の右側から分かるように、ハンドルバーブロック装置15をロックするために、又は図面中の
図2の上側の図の左側から分かるように、ハンドルバーブロック装置15のロック位置を上昇させるために、電気的に作動可能な作動装置23によって二重矢印24の方向にシフトすることができる。
【0100】
制御装置9は、作動装置23の作動を監視することができるので、ハンドルバーブロック装置15がロック位置にあるか、ロック解除位置にあるかを設定することができる。制御装置9はまた、ボルト22を二重矢印24の方向に移動させるために作動装置23をトリガーすることもでき、すなわち、ハンドルバーブロック装置15のロック位置を誘導するとともにロック位置を上昇させることもできる。このように、制御装置9は、オートバイ2のこの運転モードを制御することができる。
【0101】
矢印20に従ったフォーククラウン16の枢動運動もまた、例えば、ボルト22と凹部21との係合位置を誘導するためにボルト22をシフトさせるための作動装置23の起動が、制御装置9の回転角度センサ25によってボルト22と凹部21との重ね合わせが確立されたときにのみ行われるように、回転角度センサ25の形態のセンサによって記録されることが提供される。
【0102】
このように、制御装置9は、システム1のユーザがスイッチユニット8を作動させたときにハンドルバーブロック装置15を起動させるように設定されており、このようにして、制御装置9は、例えば、運転中の一時停止の間に又はオートバイ2の走行終了時に、システム1がスリープモードにシフトすることをシステム1に通信するものであり、言い換えれば、システム1の盗難防止手段は、イモビライザー装置11を起動させることと併せて採用され、またハンドルバーブロック装置15の起動も含むものであり、すなわち、凹部21内のボルト22のロック位置が誘導される。
【0103】
この目的のために、本発明に係るシステムによれば、本発明に係るシステムのユーザが、例えば、表示ユニット26上で、テキストメッセージの形態で1つの情報を取得して、ユーザがハンドルバー7の操舵角を、例えば、左に向かう方向に停止位置まで上昇させることができることによって、ボルト22と凹部21との重ね合わせ位置を誘導することも提供されている。ユーザに対してシステム1のさらなるテキストメッセージがこのテキストメッセージに続くことも可能であり、このさらなるメッセージは、重ね合わせ位置の誘導が成功したことを確認するものである。
【0104】
さらに、図面中の
図1からも明らかなように、駆動ユニット5として燃焼機関6を有する図示された実施形態では、オートバイ2はまた、図面中の
図3から分かるように、燃料キャップ28によって密封可能な燃料タンク27も備えている。ここで、図面中の
図3は、燃料タンク27を矢印29の方向に燃料で充填することができるように、燃料キャップ28の開位置を示している。
【0105】
この目的のために、オートバイ2のユーザは、燃料キャップ28のフラップ32を作動させ、ヒンジ33上で燃料キャップ28を枢動させて開位置を誘導することで、
図3に従った矢印31の方向への燃料キャップ28の枢動運動により、燃料充填開口部30を開放することができる。
【0106】
オートバイ2が非作動位置にあり、盗難防止手段又はいたずら防止手段がオートバイ2に採用されている場合、燃料キャップ28は、作動装置34が模式的に唯一図示されたボルト35を作動させて、燃料キャップ28が開かないように、燃料キャップ28とボルト35のロック位置を誘導することにより、模式的に図示された電気作動装置34を介して固定されている。
【0107】
この目的のために、ユーザによるスイッチユニット8の作動後、制御装置9は、作動装置34をボルト35に対して作動させて、燃料タンク27とボルト35のロック位置を誘導することができる。
【0108】
ユーザがオートバイ2での走行を再開したい場合、ユーザは、可搬型無線装置10のボタン36を作動させ、これによって無線装置10が対応する1つの認証情報を制御装置9に無線送信し、その結果、制御装置9は、ボルト35が燃料キャップ28のロック位置からロック解除位置に移動して、フラップ32を介して燃料キャップ28を再び開くことができるように、作動装置34をトリガーする。これにより作動装置34は、二重矢印36の方向の両方向にボルト35を移動させることができる。
【0109】
制御装置9は、燃料キャップ28の動作モードを制御するように、すなわち、フラップ32を介して燃料キャップ28を開くことができるようにしたり、開くことができないようにしたりするために燃料キャップ28の動作モードを変更するように設定されている。ユーザがスイッチユニット8を作動させてシステム1又はオートバイ2のスリープモードを誘導すると、制御装置9は作動装置34をトリガーして燃料キャップ28とボルト35のロック位置を誘導することができ、システム1又はオートバイ2のユーザがオートバイ2での走行を再開するために可搬型無線装置10上のボタン36を作動させ、無線装置10が送信した1つの認証情報が制御装置9によって有効であると認識されると、制御装置9は、作動装置34をトリガーしてタンクカバー28とボルト35のロック位置を上昇させることができる。
【0110】
このように、制御装置9は、燃料タンク27の燃料充填開口部30をロックするという点で、システム1の動作モードを制御及び監視するように設定されている。
【0111】
図面中の
図4は、オートバイ2のための荷物収納装置37を、実際には
図4に従って図面の左側に図示されたトップケース38の形態を模式的に図示している。トップケース38は、下部シェル39と、トップケース38を開閉するために下部シェル39に対して二重矢印41の方向に枢動することができる上部シェル40とを有する。
【0112】
上部シェル40が下部シェル39に当接するトップケース38の閉位置では、上部シェル40のラグ42が下部シェルの凹部43との係合位置に至り、ボルト45が作動装置44によってシフトして、模式的に唯一図示された電気作動装置44を介してボルト45とラグ42との間の係合位置を誘導することができ、これによりトップケース38を不正な係合に対してラッチすることができる。
【0113】
制御装置9は、電気作動装置44をトリガーして、ユーザによるスイッチユニット8の対応する作動後に、ボルト45とラグ42との間のロック位置を誘導するように設定されている。本発明に係るシステム1又はオートバイ2のユーザが可搬型無線装置10のボタン36を作動させ、かつこれにより、制御装置9によって有効であると評価された1つの認証情報を制御装置9に送信した際に、制御装置9はボルト45とラグ42との間のロック位置を再び上昇させるようにも設定されており、その結果、これにより作動装置44をトリガーして、ボルト45とラグ42との間のロック位置を上昇させる。
【0114】
このように、制御装置9は、荷物収納装置37のシールのロックの動作モードを監視かつ制御するように設定されている。
【0115】
以上、荷物収納装置37について、トップケース38を用いて説明してきた。また、本発明に係るシステム1に従ったオートバイ2は、荷物収納装置としてのトップケース38に代えて又はそれに加えて、図面中の
図4により図面の右側にも図示されたサイドケース46を備えてもよい。
【0116】
ここで、サイドケース46は、下部シェル47と、下部シェル47に枢動可能にヒンジ結合された上部シェル48とを有し、この上部シェルが同時にサイドケース46の蓋を形成している。
【0117】
カバー48は、サイドケース46の閉位置において、サイドケース46の凹部50内に収まるようになるラグ49を有している。同様に、トップケース38について既に上述したように、サイドケース46もまた、電気的に作動可能な作動装置51を備えており、それによって二重矢印53の方向に、実際には、ラグ49とボルト52が、ロック位置になるか又はロック位置から再び解放されることが可能となるように、ボルト52をシフトさせることができる。
【0118】
ロック位置を誘導するために、制御装置9は、作動装置51がボルト52をキャップ48のラグ49とのロック位置にシフトさせるように作動装置51をトリガーすることができる。ラグ49とボルト52との間におけるロック位置を上昇させる場合には、制御装置9は、ラグ49との係合位置から外れるように対応して作動装置51をトリガーすることにより、ボルト52をシフトさせることができる。
【0119】
本発明に係るシステム1のユーザは、オートバイ2を駐車位置又は非作動位置にシフトさせたい場合、スイッチユニット8を作動させてそのようにすることができ、これにより、遮断情報を同時に可搬型無線装置10に送信することができ、この無線装置10が第1の時間間隔の終了時にスリープモードにシフトされる。
【0120】
スイッチユニット8が作動すると、制御装置9は、ボルト52のラグ49とのロック位置にボルト52をシフトするように作動装置51をトリガーする。
【0121】
同様に、スイッチユニット8が作動すると、制御装置9は、イモビライザー装置11を起動させ、ハンドルバーブロック装置15を起動させ、また燃料キャップ28とのロック位置にシフトしているボルト35により、燃料キャップ28のロックを起動させる。
【0122】
またスイッチユニット8が作動すると、テキストメッセージという形態でユーザへの対応する通知が表示ユニット26に出力されるようになり、上記メッセージは、可搬型無線装置10のスリープモードを起動させたこと、さらには、イモビライザー装置を起動させ、及び/又はハンドルバーブロック装置を起動させ、及び/又は燃料キャップをロックし、及び/又はトップケース及び/又はサイドケース又はさらに荷物収納装置をロックし、及び/又はオートバイのシート配置をロックすることにより、盗難防止機構、又はオートバイ2又はシステム1をいたずら又は盗難から保護するための機構を作動させたことを、ユーザに知らせるものである。
【0123】
すなわち、オートバイ2はまた、図面中の
図1に模式的に図示され、かつ図面中の
図5に再び模式的に図示されたシート配置54を有している。オートバイ2はまた、シート配置54と共に、これらのシフト可能なボルト56のうちの1つが設けられた電気的に作動可能な作動装置55を備えており、ボルト56は、図面中の
図5に模式的に図示されたオートバイフレーム3のフレーム部57と解放可能に係合することができる。
【0124】
ユーザがスイッチユニット8を作動させると、オートバイ2へのいたずらやオートバイ2の盗難に対する先に説明した機構とともに、制御装置9は、ボルト56をオートバイフレーム3のフレーム部57とのロック位置にシフトさせるように作動装置55をトリガーする。
【0125】
その後、シート配置54のシート58は、もはや開くことができず、シート58の下に配置された、例えば、ヒューズボックスやトランクなどのオートバイ2の構成部品や装置へのアクセスは、不正な第三者にはもはや不可能となる。
【0126】
本発明に係るシステム1又はオートバイ2のユーザが、車両を稼働位置にシフトさせたいとき、そのために、ユーザが可搬型無線装置10のボタン36を作動させ、その結果、有効であると確認された1つの認証情報を可搬型無線装置10が送信した場合、制御装置9は、シート58の下に配置されたオートバイ2の装置にユーザが再びアクセスできるように、ボルト56をフレーム部57との係合位置からロック解除位置にシフトさせるために、作動装置55をシフトさせることができる。
【0127】
このように、制御装置9は、シート配置のロックのロック位置に関して、システム1又はオートバイ2の動作モードを監視かつ制御するようにも設定されている。
【0128】
本発明に係るシステム1のユーザが、可搬型無線装置10のスリープモードを起動させるためにスイッチユニット8を作動させた場合、これはまた、制御装置9が駆動ユニット5を起動させるために始動リリースをもはや許可しないことになり、このため、駆動ユニットを起動させることができなくなる。しかしながら、ユーザが駆動ユニットの動作を停止させ、すなわち、例えば燃焼機関をオフにしたが、可搬型無線装置10のスリープモードを起動させるためのスイッチユニット8を作動させていなかった場合、ユーザは、未だ本発明に係るシステムの一実施形態に従って燃焼機関を始動して起動させることができ、このことは、例えば、車両のさらなる走行を阻止する信号機でのより長い停車において有利である。
【0129】
図面中の
図6は、本発明に係るシステムをさらに説明するためのフローチャートを示している。
【0130】
本発明によれば、ステップS1において、システム1は、可搬型無線装置10をスリープモードにシフトさせるための要求の起動を監視する。そのようにするために、システム1は、オートバイ2のユーザによるスイッチユニット8の作動を監視することができる。
【0131】
スイッチユニット8の作動により、時間間隔T1が開始され、その終了までの間、ユーザは、スイッチユニット8の任意の偶発的な作動と、これによりスイッチユニット8をさらに作動させることによる可搬型無線装置10のスリープモードの起動とを取り消すことができる。
【0132】
本発明に係るシステムによれば、この第1の時間間隔T1は、システムのユーザによって、例えば、オートバイ2の表示ユニット26の操作による対応する時間間隔の変更を介して変更してもよいことも提供される。
【0133】
本発明に係るシステムによれば、時間間隔T1を制御装置9から可搬型無線装置10に送信してもよい。これは、例えば、オートバイのユーザによるスイッチユニット8の対応する作動によって行うことができる。
【0134】
このように、システム1は、ユーザが、制御装置9の対応する作動を介して第1の時間間隔を可搬型無線装置10に送信することを可能にし、ここで、可搬型無線装置10への第1の時間間隔T1の送信とともに、あるいは無線装置10への第1の時間間隔T1の送信の前又は後に、1つの遮断情報を可搬型無線装置10に送信してもよく、またここで、この遮断情報を送信することで、可搬型無線装置10がもはや制御装置9との通信を確立しようとしない、すなわち、特に、もはや制御装置9にいかなる認証情報をも送信しないスリープモードに可搬型無線装置10をシフトさせることになる。
【0135】
対応する1つの遮断情報が制御装置9から可搬型無線装置10に送信され、かつ第1の時間間隔T1が終了すると、可搬型無線装置10は自動的にスリープモードにシフトし、このスリープモードでは、可搬型無線装置もまた、制御装置9による対応する通信要求に反応しなくなる。このスリープモードでは、可搬型無線装置10はまた、認証情報を制御装置9に送信しないので、これももはや不正な第三者によって受信されることはない。
【0136】
本発明に係るシステムでは、さらなる発展によれば、制御装置9から遮断情報を受信した後、可搬型無線装置10が制御装置に1つの受信確認情報を送信してもよく、この受信確認情報はまた、スリープモードの起動の確認として、例えば、本システムに係るシステムのユーザにとって受信確認情報として、オートバイ2の表示ユニット26に表示することができることも提供される。
【0137】
次のステップS2では、制御装置9は、オートバイ2のイグニッションリリース信号T15を解除し、イモビライザー装置11を起動することができる。
【0138】
また、制御装置9は、既に説明したように、オートバイ2のハンドルバーブロック装置15を起動させることができる。そのために、システム1はまた、例えば、ハンドルバーブロック装置15のボルト22とフォーククラウン16の凹部21との間の重ね合わせ位置が誘導されるように、ハンドルバー7の操舵角を増加させる旨の表示を、オートバイ2の表示ユニット26を介して車両のユーザに発することもでき、これにより重ね合わせ位置を誘導し、かつ車両用イグニッションシステムの動作が停止されたことが確立された後に、システム1が凹部21とボルト22のロック位置を自動的に誘導することができるように、本発明に係るシステム1を、例えば回転角度センサ25を介して監視することができ、このことはまた、例えば、表示ユニット26を介して車両のユーザに対応するメッセージを通して通信することもできる。
【0139】
次のステップS3では、制御装置9は、作動装置34をトリガーさせてタンクキャップ28とボルト35のロック位置にボルト35をシフトさせることにより、燃料キャップ28のロック位置を誘導することができる。
【0140】
本発明に係るシステム1はまた、次のステップS4において、制御装置9が作動装置44及び/又は51をトリガーさせて、それぞれラグ42及び/又は49を伴う各ボルト45及び/又は52がロック位置となるようにボルト45及び/又は52をシフトすることにより、オートバイ2の荷物収納システムを保護することもでき、これによってトップケース38及び/又はサイドケース46への不正アクセスがもはや不可能になる。このステップS4においては、制御装置9は、既に上述したように、シート配置54のロックも生じさせることができる。
【0141】
最後に、本発明に係るシステムは、ステップS5において、リリース信号がエンジン制御装置12へ送信されるのを防止することもでき、ここで、これはまた、ステップS1と共に代替のプロセスに従って既に実施されてもよい。
【0142】
上述したように、ステップS1において、本発明に係るシステムは、第1の時間間隔T1を、可搬型無線装置10に送信することができ、この時間間隔は、本発明によれば、例えば、1秒から10秒までの期間を含んでもよく、ここで、ステップS1においては、第2の時間間隔T2に関連して、1つの時間間隔情報も可搬型無線装置に送信してもよい。
【0143】
この第2の時間間隔T2は、本発明によれば、5秒から60秒までの期間を含んでもよく、ステップS1で制御装置9から可搬型無線装置10に送信してもよい。この第2の時間間隔T2の送信は、例えば、遮断情報の可搬型無線装置10への送信前、送信後、又はその送信とともに行ってよく、また第1の時間間隔T1及び/又は第2の時間間隔T2に関する時間間隔情報が、制御装置9から可搬型無線装置10への遮断情報の送信ごとに、又は所定の回数の送信又は選択した送信ごとに送信されることも、本発明に係るシステム1によれば提供される。
【0144】
本発明に係るシステム1のユーザが、例えばオートバイ2での走行を継続するために、オートバイ2を作動状態に戻したい場合、ユーザは、可搬型無線装置10上のボタン36を作動させ、これにより可搬型無線装置10は、制御装置9から可搬型無線装置10への対応する通信要求に再び応答し、特にまた、1つの認証情報を制御装置9に転送することになる。
【0145】
ステップS6では、認証情報を受信すること、及び制御装置9によりその情報を有効な認証情報として確認することにより、制御装置9は、ユーザが駆動ユニット5を操作することができるように、よって例えば燃焼機関6を始動させることができるように、エンジン制御装置12への1つのリリース情報によって、オートバイ2の駆動ユニット5を駆動準備状態にシフトさせることになる。
【0146】
認証情報を受信しかつその有効性を確認した後、制御装置9は、オートバイのイモビライザー装置11の動作を停止し、オートバイのハンドルバーブロック装置15の動作を停止し、また燃料キャップ28のロックの動作を解除し、さらにオートバイの荷物収納装置のロックの動作を解除し、すなわち、トップケースのロック及び/又はサイドケースのロックの動作を解除することができるとともに、さらに制御装置9はまた、シート配置のシャッターのロックの動作を解除することで、再びオートバイのシート配置を開放させることができる。
【0147】
またユーザは、例えば、オートバイの表示装置の作動を介して、例えば、自らの要求に応じて、時間間隔T2を変更することができる。
【0148】
盗難防止機構が起動している状態で非作動位置の状態のオートバイが第三者によるオートバイへの不正アクセスが起こりにくい環境下にある場合、ユーザは、第三者によるオートバイへの不正アクセスがより起こりやすい環境下にある場合よりも、例えば、より長い期間T2を選ぶことができる。
【0149】
期間T2の終了時には、すなわち、可搬型無線装置は、制御装置9との通信がもはや行われないスリープモードに戻るようにシフトされ、このため、オートバイ2は、制御装置9によって作動位置にシフトされ、すなわち、例えば、イモビライザー装置が再起動され、及び/又はユーザによって選択されてよいオートバイの動作モードが誘導されてよい。オートバイのユーザが、設定可能な期間T2内にオートバイを起動させたとき、すなわち、例えば燃焼機関を始動させたとき、オートバイは意図した運転が可能であり、可搬型無線装置はスリープモードにならない。
【0150】
これに対して、事前に動作が停止されてスリープモードになった後、可搬型無線装置が意図せずに起動された場合には、すなわち、無線装置がユーザのオートバイ用衣服のポケットに入っており、無線装置がユーザの動きによって意図せずに起動されてしまい、このことは無線装置が制御装置と接続する範囲内で生じるので、可搬型無線装置10のボタン36が意図せずに作動されたことになり、第2の期間T2は、第2の期間T2の終了後に可搬型無線装置と制御装置との間の無線通信が再び中断されることを確実にし、したがって、第三者が無線装置から制御装置に無線送信された1つの認証情報を記録し、この後に悪意でそれを使用する可能性はなくなる。
【0151】
本発明に係るシステムによれば、例えばオートバイの表示ユニットを介してシステム1の設定を行うことにより、ユーザは、可搬型無線装置によるスリープモード解除後の認証情報の受信に対するシステム1の反応を変更することができる。
【0152】
この可能性は、認証情報を受信した後にオートバイがどの運転モードになるかをユーザが選択できるため、ユーザの快適性を高めることにも役立つ。このように、ユーザは、認証情報を受信し、制御装置がそれを有効であると確認することで、駆動ユニットを駆動準備状態にシフトさせることになるかどうか、及び/又はオートバイのイモビライザー装置の動作を停止することになるかどうか、及び/又はオートバイのハンドルバーブロック装置の動作を停止することになるかどうか、及び/又は燃料キャップのロックの動作を解除することになるかどうか、及び/又は荷物収納システムのシールのロックの解除を停止することになるかどうか、及び/又はシート配置のロックの動作を解除することになるかどうかを選択することができる。
【0153】
このように、ユーザは、無線装置を起動させて、これによりオートバイの走行を開始したり継続したりするための希望をシステムに伝達した際に、オートバイに期待することについての要求に応じて、オートバイの動作モードを完全に調整することができる。
【0154】
上記でより詳細に説明しなかった本発明の特徴に関しては、特許請求の範囲及び図面が明示的に参照されるものとする。
【符号の説明】
【0155】
1:システム
2:オートバイ
3:オートバイフレーム
4:ステアリングヘッドベアリングシート
5:駆動ユニット
6:燃焼機関
7:ハンドルバー
8:スイッチユニット
9:制御装置
10:無線装置
11:イモビライザー装置
12:エンジン制御装置
13:ステアリングヘッドベアリング
14:ステアリングヘッドパイプ
15:ステアリングヘッドブロック装置
16:フォーククラウン
17:伸縮式サスペンションフォーク
18:伸縮式サスペンションフォーク脚
19:回転点
20:矢印
21:凹部
22:ボルト
23:作動装置
24:二重矢印
25:回転角度センサ
26:表示ユニット
27:燃料タンク
28:燃料キャップ
29:矢印
30:燃料充填開口部
31:矢印
32:フラップ
33:ヒンジ
34:作動装置
35:ボルト
36:ボタン
37:荷物収納装置
38:トップケース
39:シェル
40:シェル
41:二重矢印
42:ラグ
43:凹部
44:作動装置
45:ボルト
46:サイドケース
47:シェル
48:シェル、蓋
49:ラグ
50:凹部
51:作動装置
52:ボルト
53:二重矢印
54:シート配置
55:作動装置
56:ボルト
57:フレーム部
58:シート