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  • 特許-動作検出センサ及び動作検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】動作検出センサ及び動作検出方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
G06F3/01 514
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020500287
(86)(22)【出願日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2018044050
(87)【国際公開番号】W WO2019159493
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】P 2018027162
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】芹沢 達也
(72)【発明者】
【氏名】川副 智行
【審査官】円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-003782(JP,A)
【文献】特開2003-315089(JP,A)
【文献】特開2006-285451(JP,A)
【文献】川副 智行,メイクにおける化粧スキルを可視化する指装着型センサ,フレグランス ジャーナル,Vol.40, No.5,フレグランス ジャーナル社,2012年05月15日,pp.55-60
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指に装着され、該指の動作を検出する動作検出センサであって、
前記指に固定される支持部材と、
前記支持部材に支持され、前記指から作用する3軸方向の応力を検出する3軸応力センサと、
前記支持部材に支持され、前記指が動作した時の該指の加速度を検出する加速度センサと、
前記3軸応力センサを覆い、装着状態で前記指に接し、前記指が動作した時の該指の変形量に応じた応力を前記3軸応力センサに印加する緩衝材と、
を有し、
前記緩衝材は、装着状態で前記3軸応力センサ上において前記指に向けて膨張した膨張部を有することを特徴とする動作検出センサ。
【請求項11】
前記支持部材は、
前記3軸応力センサを収容する筐体と、
前記筐体内で前記挟持部に設けられた土台と、
を有し、
前記3軸応力センサは、前記土台に固定されることを特徴とする請求項9に記載の動作検出センサ。
【請求項12】
前記支持部材は、前記3軸応力センサよりも前記指の根本側で当該指に接触する接触部を有し、
前記挟持部は、前記接触部から装着状態で爪が視認できるように前記指の側方に延出していることを特徴とする請求項9に記載の動作検出センサ。
【請求項13】
3軸応力センサ及び加速度センサを備えた動作検出センサを指に装着し、物体の表面に前記指を接触させながら前記指を動かす工程と、
前記指を動かしている間の前記動作検出センサにより検出された3軸方向の応力及び前記加速度センサにより検出された加速度を集計する工程と、
を有し、
前記動作検出センサは、前記3軸応力センサを覆い、装着状態で前記指に接し、前記指が動作した時の該指の変形量に応じた応力を前記3軸応力センサに印加する緩衝材を有し、
前記緩衝材は、装着状態で前記3軸応力センサ上において前記指に向けて膨張した膨張部を有することを特徴とする動作検出方法。
【請求項18】
前記3軸方向の応力及び前記加速度の集計結果を複数収得し、複数の集計結果同士を比較する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の動作検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作検出センサ及び動作検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧を行う場合には種々の化粧品や化粧道具を用いる。化粧品の中には、化粧を行う施術者が化粧品を直接把持して化粧を行うものがある(例えば、マスカラ,アイライナー等)。また化粧を行うに際し、施術者が化粧道具(リップブラシやチークブラシ等の各種ブラシ、メーキャップパフ、ファンデーションスポンジ、コットン等)を用いる場合もある。
【0003】
このように化粧を行う場合、施術者は化粧品や化粧道具(以下、総称して化粧道具等という)を手にとって使用することになる。従って化粧道具等は、施術者が直接把持した際の使用感を向上させることが重要となる。また、使用性の向上を客観的に判断できるように、化粧道具等の使用感は定量的に検出できることが望ましい。
【0004】
この化粧道具等の使用感を定量的に検出するには、化粧を行う際の指先の動作と、その動作を行った時に指先に感じる感触を検出することが必要となる。指先に感じる感触は、被験者(化粧道具等を使用する者)に対して官能検査を行うことにより得ることができる。これに対して指先の動作は、特許文献1に開示されているような動作検出センサを用いて検出することが可能である。特許文献1に開示されたセンサでは、指をアームで挟持し、このアームに取り付けられた歪ゲージで指の変形を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-3782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、官能検査により得られる感触には被験者の主観が大きく影響するため、官能検査は客観的な判断を行うために十分とはいえない。特許文献1に開示された発明によれば、所期の目的を達成できるものの、指先に感じる感触を正確に評価するには十分ではなかった。
【0007】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、被験者が指先に感じる感触の客観的な判断に好適な検出を行うことができる動作検出センサ及び動作検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
動作検出センサの一態様は、指に装着され、該指の動作を検出する動作検出センサであって、前記指に固定される支持部材と、前記支持部材に支持され、前記指から作用する3軸方向の応力を検出する3軸応力センサと、前記支持部材に支持され、前記指が動作した時の該指の加速度を検出する加速度センサと、を有することを特徴とする。
【0009】
動作検出方法の一態様は、3軸応力センサ及び加速度センサを備えた動作検出センサを指に装着し、物体の表面に前記指を接触させながら前記指を動かす工程と、前記指を動かしている間の前記動作検出センサにより検出された3軸方向の応力及び前記加速度センサにより検出された加速度を集計する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
開示の技術によれば、電源スイッチ回路を含む半導体チップ内での配線の配置の自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施形態に係る動作検出センサを示す上面図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る動作検出センサを示す上面からの透視図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る動作検出センサを示す上面からの下面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る動作検出センサが指に装着された状態を示す正面図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る動作検出センサが指に装着された状態を示す斜視図である。
図6図6は、基板及び3軸応力センサを示す斜視図である。
図7図7は、3軸応力センサを示す平面図である。
図8A図8Aは、3軸応力センサに含まれるせん断応力用の応力検出部の構成を示す模式図である。
図8B図8Bは、3軸応力センサに含まれるせん断応力用の応力検出部の動作を示す模式図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る動作検出センサの変形例が指に装着された状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
化粧品は、保湿及び紫外線防御等の機能的な価値と共に、「すべすべ」及び「さらさら」等の仕上がり感や高級感等の感性的な価値が重要な商材である。工業製品の価値としての感性価値は、ヒトの五感を通じて入手された情報をもとに実感される。化粧品は微妙なテクスチャの違いで嗜好が左右されることも多いことから、触覚を通じて実感される触感が重要な位置づけとなる。特に肌に塗擦して使用するスキンケア化粧品では、「しっとり」及び「なめらか」等の触感に関連した数多くの感性ワードが製品評価の表現として多用される。
【0013】
しかしながら、これら感性ワードには工学的な定義がなく、個人の価値観や経験によって定義や程度が異なっている。環境や状況に応じて感性は揺らぎ、変動するものであるため、客観的に把握することが困難である。また、一般的に、「ざらざら」及び「つるつる」等の指先での触感の認識には、触圧や指の動きなどの触動作が影響を及ぼす。すなわち、「強く押す」及び「軽く押す」等の触圧の違い、「素早く触る」及び「ゆっくり触る」の触動作の速度の違いによって、実感される感性ワードの種類や度合いが異なってしまう。
【0014】
触動作とそれに関連したスキルを把握し、共有化することは重要である。しかしながら、個人の触動作や指先のニュアンスの伝達を「もう少しギュッと」及び「そっと触れて」等の曖昧な程度を示す言葉を介して正確に把握することは難しい。このように、触動作における触圧を他人と共有化することが難しく、また、自身の触動作の状況を客観的に確認することも容易ではない。従って、触動作における触圧は、「ざらざら」及び「つるつる」等の個人の触感を示す感性ワードと同様に、暗黙知といえる。
【0015】
スキンケア化粧品のレオロジカルな性質は、肌の上での基剤の水分揮発によって連続的に変化する。この変化をヒトは指と肌のシェア動作によって知覚する。触覚は、肌や指に存在するパッチニ小体やマイスナー小体等の感覚受容器で知覚される。これらの感覚受容器は、触動作に伴い生じる振動の特定周波数に対して発火する。例えば、パッチニ小体は200Hz~500Hzの中周波数帯域の振動に対して発火し、マイスナー小体は低周波帯域の振動に対して発火する。
【0016】
また、指の感覚受容体は、振動のみならず摩擦による指の変形状態も知覚している。従って、被験者が指先に感じる感触をより客観的に評価するためには、振動及び摩擦の計測が極めて重要である。しかしながら、従来の動作検出センサによれば、触圧を検出することはできるものの、どのような摩擦が生じているかを高精度に検出することができない。本発明者らは、このような新たな着想に基づいて、下記の発明の実施形態に想到した。
【0017】
以下、実施形態について添付の図面を参照しながら具体的に説明する。図1乃至図5は、本発明の実施形態に係る動作検出センサを示す図である。図1は上面図であり、図2は上面からの透視図であり、図3は下面図である。図4は指に装着された状態での正面図であり、図5は指に装着された状態での斜視図である。
【0018】
本実施形態に係る動作検出センサ1は被験者の指31を被検査体とし、この指31の動作を検出する機能を奏する。動作検出センサ1は、筐体11、3軸応力センサ13、加速度センサ14及び緩衝材15を含み、指31に装着され、指31の動作を検出する。
【0019】
筐体11は緩衝材15を収容する。但し、筐体11には緩衝材15を露出する部分が含まれており、緩衝材15は装着状態で指31の側部に接することができる。3軸応力センサ13は、その検出面を指31に向けるようにして、基板12と共に緩衝材15に埋め込まれている。3軸応力センサ13には、基板12を通じてフレキシブルフラットケーブル(flexible flat cable:FFC)16が接続されており、FFC16の他端は、緩衝材15内の制御基板20に接続されている。加速度センサ14は、例えば制御基板20に実装されている。また、制御基板20には、3軸応力センサ13の検出結果及び加速度センサ14の検出結果を集計する制御回路23が含まれている。
【0020】
緩衝材15は、例えば、シリコーンゴム材等のゴム材から構成され、装着状態で指31に接し、指31が動作した時の指31の変形量に応じた応力を3軸応力センサ13に印加する。一方、筐体11は、硬質プラスチック等の高剛性の材料から構成され、緩衝材15が3軸応力センサ13に印加する程度の応力によっては実質的に変形しない。基板12も高剛性の材料から構成され、緩衝材15が3軸応力センサ13に印加する程度の応力によっては実質的に変形しない。すなわち、緩衝材15は筐体11及び基板12よりも弾性変形しやすい。本実施形態では、筐体11、基板12及び緩衝材15が支持部材に含まれ、基板12が土台に相当する。支持部材は、装着状態で指31を挟持する挟持部21を有し、また、挟持部21よりも指31の根本側で指31に接触する接触部22を有する。挟持部21は接触部22から装着状態で爪32が視認できるように指31の両側方に延出している。また、指31の動作中に筐体11は一定形状を保つため、この支持部材は、指31の動作中に一定の外形を保つ。
【0021】
ここで、3軸応力センサ13について説明する。図6は、基板12及び3軸応力センサ13を示す斜視図である。図7は、3軸応力センサ13を示す平面図である。
【0022】
図6に示すように、3軸応力センサ13は基板12上に設けられており、基板12には、3軸応力センサ13に電気的に接続されるFFC16が取り付けられている。本実施形態では、基板12に2本のFFC16が取り付けられているが、FFC16の数は限定されない。3軸応力センサ13は、図7に示すように、x軸方向の応力を検出する応力検出部13x、y軸方向の応力を検出する応力検出部13y及びz軸方向の応力を検出する応力検出部13zを含む。応力検出部13x及び応力検出部13yは、検出面13sに平行で、互いに直交する2方向の応力を検出する。応力検出部13zは検出面13sに垂直な方向の応力を検出する。すなわち、応力検出部13x及び応力検出部13yは3軸応力センサ13に作用するせん断応力を検出し、応力検出部13zは3軸応力センサ13に作用する垂直応力を検出する。
【0023】
ここで、せん断応力部の一つである応力検出部13xについて説明する。図8Aは、応力検出部13xの構成を示す模式図である。図8Bは、応力検出部13xの動作を示す模式図である。
【0024】
応力検出部13xは、図8Aに示すように、基板上に設けられた導電膜30、40及び50を含む。導電膜30と導電膜40との間に梁43が設けられ、導電膜30と導電膜50との間に梁53が設けられている。梁43は、不純物が導入されていないi型のSi膜41及び不純物が導入され導電性を帯びた不純物Si膜42を有する。梁53は、不純物が導入されていないi型のSi膜51及び不純物が導入され導電性を帯びた不純物Si膜52を有する。Si膜41及び不純物Si膜42はx軸方向で接触し、Si膜51及び不純物Si膜52はx軸方向で接触している。梁43及び53は、互いに平行に延びており、不純物Si膜42と不純物Si膜52とが互いに対向している。そして、不純物Si膜42及び52並びに抵抗R1及びR2からホイートストンブリッジ回路が構成されている。抵抗R1と抵抗R2との接続点と導電膜30との間に電圧Eが供給され、導電膜40と導電膜50との間の電位差eが測定される。
【0025】
不純物Si膜42及び52の抵抗は、ピエゾ抵抗効果により、それ自身に作用する応力の大きさに応じて変化する。すなわち、図8Bに示すように、梁43及び53にせん断応力35が作用すると、その大きさに応じて不純物Si膜42及び52の抵抗が変化する。従って、電位差eはせん断応力35の大きさ反映し、電位差eを測定することでせん断応力のx軸方向成分の大きさを検出することができる。なお、梁43と梁53との間では、Si膜を基準としたx軸方向における不純物Si膜の位置が相違するため、抵抗値の変化は逆向きとなる。すなわち、不純物Si膜42の抵抗値が上がれば不純物Si膜52の抵抗値が下がり、不純物Si膜42の抵抗値が下がれば不純物Si膜52の抵抗値が上がる。
【0026】
応力検出部13yは、応力検出部13xと同様の機構により、せん断応力のy軸方向成分の大きさを検出することができる。応力検出部13zについては、梁が検出面に垂直な方向に変形することで、検出面に作用する垂直応力を検出することができる。
【0027】
このように、本実施形態では、指31から作用する直交3軸方向の応力を3軸応力センサ13が検出することができる。
【0028】
加速度センサ14は、例えば3軸加速度センサである。加速度センサ14としては、例えば、加速度感度が0.061mg,0.122mg,0.244mg,0.488mg、加速度レンジが±2g,±4g,±8g,±16gのものを用いることができる。また、加速度センサ14として、3軸方向の加速度に加えて角加速度も併せて検出できる6軸加速度センサを用いることもできる。このような6軸加速度センサとしては、加速度感度に併せて、例えば検出可能な角加速度感度が4.375mdps,8.75mdps,17.50mdps,35,70mdps、角加速度レンジが±125dps,±250dps,±500dps,±1000dps,±2000dpsのものを用いることができる。角加速度のみを検出する角加速度センサが用いられてもよい。
【0029】
次に、動作検出センサ1の動作について説明する。
【0030】
動作検出センサ1は、図5に示すように、挟持部21で指31の爪32の両側部を挟持し、接触部22が指31に接触するようにして、指31に装着される。このとき、指31が若干変形し、この変形が緩衝材15に伝播し、緩衝材15が弾性変形し、この変形量に応じた応力が3軸応力センサ13に作用する。また、動作検出センサ1は少なくとも3か所で指31に接触するため、動作検出センサ1の指31に対する相対位置が固定される。
【0031】
動作検出センサ1を装着した被験者が肌に化粧品を塗擦すると、肌と指31の腹の部分との間に複雑な応力が作用すると共に、指31の両側部も複雑に変形する。指31の両側部の変形は緩衝材15に伝播し、緩衝材15が複雑に弾性変形し、この変形量に応じた応力が3軸応力センサ13に作用する。そして、3軸応力センサ13は、応力検出部13x、13y及び13zにより、それ自身に作用するせん断応力及び垂直応力を検出する。また、3軸応力センサ13による3軸応力の検出と並行して、加速度センサ14が、塗擦の際の指31の加速度を検出する。これらの検出結果はFFC16等を経由して制御基板20に実装された制御回路23に入力され、制御回路23が集計する。この集計結果は、外部のコンピュータ等の電子機器に送信される。この送信は、有線通信で行われてもよく、無線通信で行われてもよい。そして、電子機器にて、塗擦中に指31にどのような方向からどのような強さの応力が作用しているかを解析する。
【0032】
動作検出センサ1によれば、指31の側部の変形を3次元で検出することができる。指31の側部の変形は指31それ自体の変形を反映するため、指31の側部の変形を3次元で検出し、この検出結果及び加速度センサ14による検出結果を解析することで、塗擦中に指31にどのような方向からどのような強さの応力が作用しているか推定することができる。そして、この推定結果は被験者の主観を伴わず、客観的に数値化できる。従って、動作検出センサ1によれば、被験者が指先に感じる感触の客観的な判断に好適な検出を行うことができる。
【0033】
このようにして得られた動作検出の結果は、次のように活用することができる。
【0034】
例えば、化粧の熟練者及び初心者が化粧品の塗擦中の動作検出を行い、これらの結果を数値化して比較する。この比較の後、初心者は熟練者と同様の検出結果が得られるようにトレーニングすることで、自身の技術を向上させることができる。この方法によれば、化粧の技術を客観的に比較できるため、初心者は、塗擦中のどのタイミングでどのような修正を加えればよいか、容易に理解できるようになる。
【0035】
例えば、熟練者であっても、一定期間ごとに自身の動作検出の結果を比較し、改良点を見出し、より高い技術で塗擦できるようにトレーニングすることができる。
【0036】
指31に作用する応力は、被験者の動作のみならず、塗擦される化粧品の状態の影響も受ける。従って、例えば、動作検出の結果から、化粧品の状態を数値化することができる。このため、化粧品の開発に際して、指31と肌との間で生じる化粧品の変化とそれに伴い知覚される触感を数値化し、化粧品のテクスチャの設計に有効に活用することができる。
【0037】
例えば、指31に作用する応力だけでなく、肌に作用する応力を数値化することもできる。指31における触感だけでなく、肌における触感も重要視される場合等、肌に作用する応力を数値化することで、より客観的な評価が可能となる。
【0038】
図9に示すように、緩衝材15が、装着状態で3軸応力センサ13上において指31に向けて膨張した膨張部19を含むことが好ましい。緩衝材15が膨張部19を含むことで緩衝材15の変形が3軸応力センサ13上に集中し、より精度の高い検出を行うことが可能となる。
【0039】
なお、指31の形状及び変形しやすさ等には個人差があり、また、同一の被験者であっても指31の形状及び変形しやすさ等が変化することがある。このため、より高精度の検出を行うためには、動作検出センサ1を用いた指31の動作検出処理に先立ち、指31の側部の変形量と指接触力の値とを相関させる校正処理(キャリブレーション)を行っておくことが好ましい。
【0040】
本実施形態では、動作検出センサ1から集計結果が外部に送信され、外部で解析が行われるが、動作検出センサ1に解析回路を設け、この解析回路が応力の解析を行い、この解析結果が外部に送信されてもよい。
【0041】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形及び変更が可能なものである。
【0042】
例えば、化粧道具等を使用せず、素肌と指を直接接触させることにより、肌状態の評価に用いることが可能である。
【0043】
本出願は、2018年2月19日に日本国特許庁に出願された特許出願第2018-027162号に基づく優先権を主張するものであり、これらの全内容を含むものである。
【符号の説明】
【0044】
1 動作検出センサ
11 筐体
12 基板
13 3軸応力センサ
14 加速度センサ
15 緩衝材
16 フレキシブルフラットケーブル
19 膨張部
20 制御基板
21 挟持部
22 接触部
23 制御回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9