(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】ホーニング工具
(51)【国際特許分類】
B24B 33/02 20060101AFI20220906BHJP
B24B 29/00 20060101ALI20220906BHJP
B24B 49/04 20060101ALI20220906BHJP
B24B 49/08 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B24B33/02
B24B29/00 D
B24B49/04 B
B24B49/08
(21)【出願番号】P 2020503793
(86)(22)【出願日】2018-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2018070371
(87)【国際公開番号】W WO2019020779
(87)【国際公開日】2019-01-31
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】102017117069.3
(32)【優先日】2017-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510054153
【氏名又は名称】ゲーリンク テクノロジーズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】バウムゲルトナー、エルヴィン
(72)【発明者】
【氏名】バウムゲルトナー、ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ネッカー、ゲオルク
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-516595(JP,A)
【文献】実開平04-106159(JP,U)
【文献】国際公開第2016/037143(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 33/00 - 33/10
B24B 29/00
B24B 49/04
B24B 49/08
B23B 39/00
B28D 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物(16)の開口部(14)の内面(12)をホーニング加工するためのホーニング工具(10)であって、軸方向(A)に延びる工具本体(17)と、一群のホーニングストリップ(52)を有するホーニング部(36)とを備え、ホーニング工具(10)は、開口部(14)の大きさおよび/または位置を検査するための工作物検査要素(34)を備え、工作物検査要素(34)は、ホーニング工具を開口部(14)に挿入する際に、工作物(16)の開口部(14)が十分な大きさを有するかどうか、および/または工作物(16)の開口部(14)の位置決めまたは位置合わせ誤差を検査するために、好ましくは軸方向(A)に、工具本体(17)に対して移動可能となるように工具本体(17)上に配置されており、
前記工作物検査要素(34)は、前記工作物検査要素(34)が前記工作物(16)に接触すると初期位置(AS)から移動するように、前記初期位置(AS)に付勢され、且つ前記工具本体(17)に配置され、
前記工作物検査要素(34)は、工具本体に対する工作物検査要素の移動を検出するように構成された検出装置に結合され、前記検出装置は、前記検出装置が工具本体に対する工作物検査要素の移動を検出したときに、制御装置がホーニング工具の開口部への挿入を中断するように、前記制御装置に連結されている
ホーニング工具(10)。
【請求項2】
前記工作物検査要素(34)は、前記工具本体(17)に弾性支持されて配置されていることを特徴とする請求項1に記載のホーニング工具(10)。
【請求項3】
工作物検査要素(34)は、工具本体(17)の工作物側端部(18)から軸方向(A)に沿って見たときに半径方向(R)に拡張する、工作物(16)に接触するための接触部(58)を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のホーニング工具(10)。
【請求項4】
工作物検査要素(34)はリング形状であり、好ましくは工具本体(17)の周囲に伸びることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項5】
前記工作物検査要素(34)は、前記工具本体(17)の工作物側端部(18)と前記ホーニング部(36)との間に軸方向(A)に配置されているか、または前記工具本体(17)の工作物側端部(18)を形成していることを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項6】
ホーニングストリップ(54)の第2のグループを含む第2のホーニング部(38)を備え、第1のホーニング部(36)は、第2のホーニング部(38)から軸方向(A)に離間してツール本体(17)上に配置されることを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項7】
前記工作物検査要素(34)が初期位置(AS)から移動するときに、空気圧または油圧アクチュエータ(64)が空気圧または油圧検査媒体チャネル(66)の流れ断面を変化させるように、前記工作物検査要素(34)は、前記空気圧または油圧アクチュエータ(64)に連結されることを特徴とする、請求項1~6の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項8】
前記ホーニング工具(10)
は、工具本体(17)の工作物側端部(18)から見て、ホーニング部(36、38)のうちの1つの
ホーニングストリップ(52、54)の後方に、少なくとも1つの空気測定ノズル(44、86)が配置され、前記空気測定ノズル(44、86)は、軸方向(A)に見て、ホーニング部(36、38)のホーニングストリップ(52、54)またはホーニング部(36、38)のうちの1つのホーニング部(36、38)に隣接して
配置され、前記ホーニング工具(10)には、各ホーニング部(36,38)を軸方向(A)に見た場合、前記ホーニング部(36,38)のホーニングストリップ(52、54)の近傍に少なくとも1つの前記空気測定ノズル(44、86)が配置されている請求項1~7の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項9】
前記工作物検査要素(34)に結合されたアクチュエータ(64)が空気圧アクチュエータ(64)であり、アクチュエータ(64)によって流れ断面が変化する検査媒体チャネル(66)が、少なくとも1つの空気測定ノズル(44、48、86)に測定空気を供給することができる測定空気チャネル(60)に空気圧的に接続されていることを特徴とする、請求項7または8に記載のホーニング工具(10)。
【請求項10】
2つのホーニング部(36、38)のそれぞれのホーニングストリップ(52、54)を、互いに独立して、または常に同時に、半径方向(R)に送り可能である送り装置(74)を備えることを特徴とする、請求項1~9の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項11】
送り装置(74)が、ホーニング部(36、38)ごとに1つの送りコーン(76、78)を有し、これらの送りコーン(76、78)は、ホーニングストリップ(80、82)のウェッジ表面と相互作用して送り要素(75)の軸方向の動きをホーニングストリップ(52、54)の半径方向の送りに変換し、好ましくは、複数のホーニング部(36、38)の送りコーン(76、78)が、送り要素(75)の動きに応じて両方の送りコーン(76、78)が動くように送り要素(75)上に配置されていることを特徴とする請求項1~10の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項12】
ブラシ部(40)を備えることを特徴とする請求項1~11の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項13】
前記工具本体(17)の工作物側端部(18)の領域において、工具ガイド(50)が配置されていることを特徴とする請求項1~12の何れか1項に記載のホーニング工具(10)。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載のホーニング工具(10)を用いて工作物(16)の開口部(14)の内面(12)をホーニングする方法であって、
a)ホーニング工具(10)を開口部(14)に軸方向に挿入し、工作物検査要素(34)によって工作物(16)の開口部(14)の事前チェック、特に開口部の大きさの事前チェックし、
b)ホーニング部(36)のホーニングストリップ(52)によって開口部(14)をホーニング加工し、好ましくは空気測定ノズル(44)を介して開口部の大きさを測定し、好ましくは、
c)ホーニング工具(10)を軸方向に移動させ、特にホーニング工具(1 0)を開口部(14)内に更に軸方向に挿入し、ステップb)のホーニング部(36)か ら軸方向(A)に離間させた空気測定ノズルを介して開口部の大きさを再測定し、好ましくは、d)ホーニング工具(10)を軸方向にさらに移動させ、特にホーニング工具(10)を開口部(14)内に軸方向に挿入し、続いて第2のホーニング部(38)のホーニングストリップ(54)によって開口部(14)をホーニングし、好ましくは、軸方向(A)から見て第2のホーニング部(38)のホーニングストリップ(54)に隣接して配置された空気測定ノズル(86)を介して開口部の大きさを測定し、好ましくは、
e)軸方向(A)から見て、ステップd)の第2のホーニング部(38)のホーニングストリップ(54)に隣接して配置される空気測定ノズル(48)を介して開口部の大きさを再測定するか、またはホーニング工具(10)を軸方向に移動させ、特にホーニング工具(10)を開口(14)内にさらに軸方向に挿入し、ステップd)の第2のホーニング部(38)から離間している空気測定ノズル(48)を介して開口部の大きさを再測定し、好ましくは、
f)ホーニング工具(10)を軸方向に移動させ、特にホーニング工具(10)を開口部(14)内に更に軸方向に挿入し、続いてホーニング工具(10)のブラシ部(40)によって開口部(14)をブラッシングし、
g)ホーニング工具(10)を開口部(14)から軸方向に後退させる
ステップを有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載の工作物に開口部の内面をホーニング加工するためのホーニング工具、およびこのようなホーニング工具を用いて工作物に開口部の内面をホーニング加工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホーニング中、それぞれのホーニング工具は、機械加工される開口部に挿入される。この目的のために、ホーニング工具を固定開口部内に移動させることができ、または開口部を有する工作物を固定ホーニング工具に対して移動させてホーニング工具を挿入することができる。続いて、ホーニングにおいて典型的な、開口部におけるホーニング工具の上下運動を重ね合わせた回転の運動が行われる。また、この場合、工作物、ホーニング工具またはその両方を移動させて、工作物とホーニング工具との間に対応する相対運動が存在するようにすることができる。
【0003】
開口部、特にボアをホーニング加工する場合、これらの開口部は、通常、先行するステップで機械加工されており、先行するステップでは、開口部の公称寸法が、しばしば、十分な確実性および精度で達成されない。ホーニングされる開口部が公称寸法を有することを確実にするために、通常、ホーニング前にチェック測定が行われる。ホーニング中には、しばしば2回のホーニング作業が必要となる。例えば、第1のホーニング動作は、直径および形状精度の補正を目的とすることができ、第2のホーニング動作は、表面を平滑化するために使用することができる。ホーニング機械は、通常、これらのホーニングステップの各々に対してそれぞれ別個のホーニング工具を有する別個のホーニングステーションを有する。多くの場合、追加の再測定ステーションで各ホーニングプロセスの結果をチェックすることが望ましいか、または必要である。これらの場合によっては非常に多くの作業ステップを実行するには、複雑なホーニング機械と、ホーニング機械内での広範囲な工作物搬送とが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、できるだけ効率的なホーニング機械の操作を可能にするホーニング工具を提供することである。さらに、本発明の目的は、できるだけ効率的にかつ短い加工時間で開口部の加工を可能にする方法を提供することである。
【0005】
これらの目的は、それぞれ、請求項1に記載のホーニング工具または請求項15に記載の方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によるホーニング工具は、軸方向に延びる工具本体と、一群のホーニングストリップを含むホーニング部とを備えて形成され、ホーニング工具は、工具本体に対して好ましくは軸方向に移動可能であるように工具本体上に配置された、開口部の大きさおよび/または位置を検査するための工作物検査要素を備える。工作物検査要素は、工作物の開口部が十分な開口部の大きさを有しているかどうかをチェックするため、および/またはホーニング工具が開口部内に移動するときに工作物の開口部の位置決め誤差または位置合わせ誤差をチェックするために、ツール本体に対して半径方向に移動可能であるように配置されることも考えられる。
【0007】
したがって、本工作物検査要素は、ホーニングプロセスを監視するためには使用されず、加工される工作物が正しく位置決めされているか、または前の加工ステップで正しく加工されているかどうかをチェックするために使用される。このチェックは、挿入作業中に工作物検査要素によって行うことができるので、別途の事前チェックを省略することができる。このようにして、工作物検査要素は、ホーニング工具の挿入動作を監視するように設計され、配置される。したがって、工作物検査要素によって、挿入作業中に、意図した通りに実施できるかどうかをチェックすることができる。言い換えれば、例えばホーニング加工自体をチェックすることができる測定ストリップとは対照的に、本発明によるホーニング工具の工作物検査要素は、ホーニング加工の実際の機械加工プロセスとは無関係である。むしろ、工作物検査要素は、ホーニング工具の挿入作業に、それぞれ、工作物の位置合わせまたはボアサイズの事前検査を統合することを可能にする。従来、工作物またはその穴が十分な幅を有しているか、および/またはホーニング工具を挿入するために正しく位置決めされているかどうかのこのようなチェックは、別々の測定装置を使用して別のステップで行われていた。
【0008】
特に、本発明に係るホーニング工具は、歯車に開口部を加工するためのホーニング工具である。
【0009】
工作物検査要素は、特に、工作物の開口部が十分な開口部の大きさを有すること、例えば、前の機械加工ステップで公称寸法が達成されていることを確実にするために使用することができる。工作物検査要素は、また、工作物の開口部の位置決め誤差または位置合わせ誤差を排除するためにも使用できる。
【0010】
特に、工作物の開口部が十分な大きさを有していない場合、従来のホーニング工具は、挿入時に損傷する可能性がある。このため、開口部の大きさは、通常、先行する作業ステーションで公称寸法に対してチェックされる。工作物検査要素の可動支持体は、ホーニング工具を開口部に挿入することを可能にし、開口部の大きさが指定された寸法よりも小さい場合、工作物検査要素は、開口部の内面に接触し、それによって、挿入動作が中断され得る。工具本体に対する工作物検査要素の可動配置は、ホーニング工具も工作物も損傷しないことを確実にする。言い換えれば、本発明のホーニング工具は、開口部の大きさが小さすぎたり、開口が傾いていたりする場合に、誤って穴壁に当たることによって穴またはホーニングストリップを損傷するリスクがない一方で、挿入中に、工作物検査要素によって、開口の十分な幅および正しい位置合わせをチェックする可能性を提供する。
【0011】
ホーニング工具を開口部に挿入すること、またはホーニング工具をそれぞれ移動または後退させることの概念は、本出願の意味内で限定的な方法で理解してはならない。上記の概念は、ホーニング工具と工作物との間の相対運動を指す。例えば、工作物を静止状態に保持し、ホーニング工具を移動させることができ、またはホーニング工具を静止状態に保持し、工作物を移動させることができる。ホーニング工具と工作物を同時に移動させることも考えられる。
【0012】
本出願の意味の範囲内で、ホーニングは、ホーニング工具および/または工作物を移動させることができる、ホーニング工具と工作物との間の相対移動も意味する。ホーニング工程は、工作物とホーニング工具との間の並進および回転相対運動の重ね合わせを含む。
【0013】
工作物検査要素は、検出装置に結合され、検出装置は、工具本体に対する工作物検査要素の移動を検出するように構成される。検出装置は、検出装置が工具本体に対する工作物検査要素の移動を検出したときに、制御装置がホーニング工具の開口部への挿入を中断するように、制御装置に連結される。
【0014】
さらに、工作物検査要素は、工作物検査要素が工作物と接触すると、特にホーニング工具の工作物の開口部への挿入作業の間に、工作物検査要素が初期位置から移動するように、初期位置に付勢され、工具本体に配置される。工作物検査要素が初期位置から外れると、これを検出し、ホーニング工具の工作物への挿入作業を中止することができる。これにより、工作物やホーニング工具の破損を確実に防止することができる。
【0015】
オプションとして、工作物検査要素は、工具本体に弾性的に支持される。このようにして、工作物検査要素は、常に、指定された位置に付勢され、いかなる運動に対してもいくらかの抵抗を提供する。弾性支持体は、機械的ばね、好ましくは金属ばねによって実現することができる。機械ばねは、コイルばねまたは板ばねとして設計することができる。また、工作物検査要素を、弾性ポリマー材料を介して弾性的に支持することも考えられる。工作物検査要素の空気または油圧サスペンションも考えられる。工作物検査要素の磁気または電磁サスペンションも考えられる。
【0016】
オプションとして、工作物検査要素は、工作物に接触するための接触部を備え、この接触部は、工具本体の工作物側の端部から軸方向に沿って見たときに半径方向に広がる。開口部の大きさが公称寸法より小さい場合には、対応する工作物検査要素は、その「先端」を工作物内に挿入することができ、接触部は、開口の縁部に接触する。
【0017】
オプションとして、工作物検査要素はリング状であり、好ましくは工具本体の周囲に延在する。これにより、ホーニング工具の周囲において工作物の開口部の検査が達成される。好ましくは、上述の接触部はホーニング工具の周囲に延在し、接触部は円周方向に沿ったいくつかの位置に不連続部を有することができる。不連続部は、冷却潤滑剤のための通路を形成する役割を果たすことができ、その結果、ホーニング中に工作物検査要素の上方に冷却潤滑剤が蓄積することがない。
【0018】
工作物検査要素は、円錐状または円錐台のように形成することもできる。工作物検査要素を球形セグメントとして形成することも可能である。好ましくは、工作物検査要素は、工作物から軸方向に見たときに軸方向に広がる半径方向断面を有する。好ましくは、本パラグラフに記載される実施形態による工作物検査要素は、工具本体の工作物側端部に配置されるか、または、それぞれ、軸方向において工作物に最も近いホーニング工具の一部を形成する。
【0019】
オプションとして、工作物検査要素は、工具本体の工作物側端部とホーニング部との間に軸方向に配置されるか、または工作物検査要素は、工具本体の工作物側端部を形成する。このようにして、工作物検査要素が、挿入方向において、ホーニング部の前方に形成され、例えば加工される開口セクションの開口部の大きさが小さすぎることによるホーニングストリップの損傷が確実に防止される。
【0020】
オプションとして、ホーニング工具は、ホーニングストリップの第2のグループを含む第2のホーニング部を備え、第1のホーニング部は、第2のホーニング部から軸方向に離間して工具本体に配置される。このようにして、開口部または他の中間ステップからホーニング工具を後退させる必要なしに、同じホーニング工具を用いて更なるホーニング作業を行うことができる。
【0021】
任意選択的に、ホーニング工具は、ホーニングストリップの第3のグループを含む第3のホーニング部を備え、第1のホーニング部および第2のホーニング部は、第3のホーニング部から軸方向に離間して前記工具本体上に配置される。このようにして、開口部または他の中間ステップからホーニング工具を後退させる必要なしに、同じホーニング工具を用いて更なるホーニング作業を行うことができる。
【0022】
対応して配置された第4、第5、およびさらなるホーニング部が考えられ、ホーニング部は、好ましくは、異なるホーニング操作を行うことができる。
【0023】
好ましくは、第1のホーニング部は、軸方向において、工作物検査要素と第2ホーニング部との間に配置される。第1のホーニング部は、プレホーニング操作を行うように設計され、第2のホーニング部は、最終的なホーニング操作を行うように設計されることが有利である。
【0024】
2つのホーニング部のホーニングストリップは、円周方向に互いにオフセットして配置されてもよく、または両方のホーニング部において円周方向に等しく配置されてもよい。
【0025】
オプションとして、工作物検査要素は、工作物検査要素がその初期位置から移動されるときに、空気圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータが空気または油圧検査媒体チャネルの流れ断面を変化させるように、空気圧アクチュエータまたは油圧アクチュエータに連結される。好ましくは、検査媒体チャネルに圧縮空気を供給することができる。アクチュエータは、好ましくは、棒状であり、工作物検査要素と運動結合される。好ましくは、アクチュエータは、工作物検査要素またはアクチュエータがその初期位置から移動されるときに、前記アクチュエータが検査媒体チャネルの交差部の領域内に延在するように配置される。好ましくは、アクチュエータは、工作物検査要素またはアクチュエータがその初期位置から移動されるときに、チェック媒体チャネルの交差をブロックする。
【0026】
オプションとして、ホーニング工具は、少なくとも1つの空気測定ノズルを備え、該空気測定ノズルは、軸方向から見て、ホーニングストリップに対してオフセットして配置され、特に、工具本体の工作物側端部から見て、ホーニング部のうちの1つ、好ましくはホーニング部のうちの1つのホーニングストリップの後方に配置され、および/または、少なくとも1つの空気測定ノズルを備え、該空気測定ノズルは、軸方向から見て、ホーニング部のホーニングストリップまたはホーニング部のうちの1つにそれぞれ隣接して配置され、好ましくは、ホーニング工具は、ホーニング部ごとに少なくとも1つの空気測定ノズルを備え、この空気測定ノズルは、軸方向から見て、それぞれのホーニング部のホーニングストリップに隣接して配置される。本出願の意味において、空気測定ノズルは、互いに流体的に連通する少なくとも2つのノズルを意味し得、好ましくは、これらのノズルは、円周方向に互いに反対側に配置される。
【0027】
「ホーニングストリップの背後」という用語は、対応する空気測定ノズルが、ホーニング工具の工作物側端部から見てホーニングストリップの背後に配置される配置を指す。このような空気測定ノズルは、ホーニング作業の結果のその後の測定に特に適している。このような空気測定ノズルは、再測定用の空気測定ノズルとも呼ばれる。
【0028】
「軸方向から見てホーニングストリップに隣接する」という用語は、対応する空気測定ノズルの配列を意味し、空気測定ノズルは、軸方向から見て、ホーニングストリップの軸方向延長部内の領域に位置する。このような空気測定ノズルは、周方向から見てホーニングストリップの間に配置されている。このような空気測定ノズルは、ホーニング作業の結果のインプロセス測定に特に適している。このような空気測定ノズルは、インプロセス測定用の空気測定ノズルとも呼ばれ、ホーニング作業の結果のフォローアップチェックにも使用することができる。
【0029】
再測定用の空気測定ノズルは、インプロセス測定用の空気測定ノズルよりも径方向外側に延在することが好ましい。好ましくは、再測定用の空気測定ノズルのノズル断面積は、インプロセス測定用の空気測定ノズルのノズル断面積よりも小さい。これにより、再測定時の精度を高めることができる。
【0030】
好ましくは、アクチュエータは、工作物検査要素またはアクチュエータがその初期位置から移動するときに、空気測定ノズルと測定空気チャネルの一部との間の接続を切り離すように配置される。この場合、測定空気チャネルから切り離された空気測定ノズルは、ホーニングストリップに対して対応する配置で再測定またはインプロセス測定するための空気測定ノズルとすることができる。
【0031】
ロッド状アクチュエータは、検査媒体チャネルの切断後、ホーニング部の挿入が中断される前に、十分な追加の動作変位をカバーできるように、十分に長くすべきである。好ましくは、ホーニング部は、好ましくは、工作物検査要素がその初期位置から偏向されたときにも、その軸方向延長の少なくとも1/6、好ましくは1/4だけ工作物検査要素から離間される。
【0032】
任意選択的に、工作物検査要素に連結されたアクチュエータは空気圧アクチュエータであり、検査媒体チャネルは、その流れ断面がアクチュエータによって変化され、測定空気チャネルに空気圧的に接続され、測定空気チャネルを介して、少なくとも1つの空気測定ノズル、好ましくは複数の空気測定ノズルに、測定空気を供給することができる。このように、ホーニング工具内に数個の圧縮空気チャネルを形成しなければならないのみであるので、本発明によるホーニング工具の構造は特に単純になる。
【0033】
オプションとして、ホーニング工具は、2つのホーニング部のそれぞれのホーニングストリップが、互いに独立して、または常に同時に、半径方向に送り可能である送り装置を備える。個々のホーニング部のホーニングストリップを別々に送ることができる場合、必要に応じて、対応するホーニング部のみを送ることができる。ホーニング部のホーニングストリップが、送り装置によって常に同時に半径方向に送り込まれる場合、ホーニング工具、特に送り装置は、より単純かつより堅牢にすることができる。送り装置は、例えば、ホーニングストリップ用の圧電ベースのアクチュエータとすることができ、このような送り装置は、ホーニングストリップが個別に送り可能である場合に特に適している。
【0034】
任意に、送り装置は、送り要素の軸方向運動をホーニングストリップの半径方向送りに変換するために、ホーニングストリップのウェッジ表面と相互作用するように設計された各ホーニング部用の送りコーンを有し、好ましくは、ホーニング部の送りコーンは、両方の送りコーンが送り要素の運動に応じて移動するように単一の送り要素上に配置される。このようにして、ホーニング工具は、特に容易に構成することができ、従って、製造が安価である。
【0035】
オプションとして、ホーニング工具はブラシ部を備える。ホーニング加工後、ブラシ部によって開口部をさらに平滑化および/またはバリ取りすることができる。好ましくは、ホーニング部および空気測定ノズルは、軸方向から見て、ブラシ部と工具本体の工作物側端部との間に配置される。
【0036】
オプションとして、工具ガイドが、工具本体の工作物側端部の領域においてホーニング工具上に配置される。このような工具ガイドは、ガイドブッシュに対してホーニング工具をしっかりと支持するために設けられている。ホーニング工具のこのような設計は、通常、工作物の浮動支持体またはカルダン支持体と一緒に使用される。したがって、本発明の一部は、上述の工具ガイドで形成されたホーニング工具と、工具ガイドを収容するように設計されたガイドブッシュとを有するホーニング機械でもある。好ましくは、このようなホーニング機械は、工作物の浮動支持体またはカルダン支持体のための装置を含む。
【0037】
本発明の一部はまた、上述の実施形態のうちの1つ以上によるホーニング工具を用いて、工作物、特に歯車の開口部の内面をホーニング加工するための方法であり、この方法は、連続して以下のステップを含む。
【0038】
a)ホーニング工具を開口部に軸方向に挿入し、工作物検査要素によって工作物の開口部の大きさおよび/または位置を事前チェックする。
【0039】
b)ホーニング部のホーニングストリップによる開口部のホーニング加工、好ましくは空気測定ノズルによる開口部の大きさの測定。
【0040】
好ましくは、c)ホーニング工具を軸方向に移動させ、特に、ホーニング工具を開口部にさらに軸方向に挿入し、ステップb)に従ってホーニング部から軸方向に離間された空気測定ノズルを介して開口部の大きさを再測定する。
【0041】
好ましくは、d)ホーニング工具を軸方向に移動させ、特に、ホーニング工具を開口部にさらに軸方向に挿入し、続いて、第2のホーニング部のホーニングストリップによって開口部をホーニングし、好ましくは、軸方向から見て第2のホーニング部のホーニングストリップに隣接して配置された空気測定ノズルを介して開口部の大きさを測定する。
【0042】
好ましくは、e)ステップd)の第2のホーニング部のホーニングストリップに隣接して配置される空気測定ノズルを介して開口部の大きさを再測定し、軸方向から見たとき、またはホーニング工具を軸方向に移動させ、特にホーニング工具を開口部にさらに軸方向に挿入し、ステップd)の第2のホーニング部から離間される空気測定ノズルを介して開口部の大きさを再測定する。
【0043】
好ましくは、f)ホーニング工具を軸方向に移動させ、特に、ホーニング工具を開口部にさらに軸方向に挿入し、続いてホーニング工具のブラシ部によって開口部をブラッシングする。
【0044】
g)ホーニング工具を開口部から軸方向に後退させる。
【0045】
「連続した次のステップ」という用語は、記載されているステップが、記載されている順序で、逐次実行されることを意味するが、記載されているステップの間で、さらなるステップを実行することができる。本発明による方法は、事前チェックおよびホーニング操作、および、必要であれば、複数回のインプロセス測定または再測定、および、必要であれば、さらに1回ホーニング操作を行うことを可能にする。従来、このような一連の機械加工および測定ステップは、個々の加工ステップを必要とし、これは、しばしばさらなる工作物の搬送に関連していた。本発明による方法は、ホーニング工具の1回の挿入および後退操作で、1つの作業ステーションで完全な機械加工を行うことを可能にする。
【0046】
本発明のさらなる特徴、適用可能性、および利点は、図面に基づいて説明される本発明の実施形態の以下の説明から導き出すことができ、ここで、特徴は、たとえこれが再び明示的に指摘されていなくても、単独および異なる組み合わせの両方で、本発明にとって本質的であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明によるホーニング工具の側面図である。
【
図3】別の断面における
図1のホーニング工具の断面図である。
【
図4】別の断面における
図1のホーニング工具の断面図である。
【
図5】別の断面における
図1のホーニング工具の断面図である。
【
図6】本発明による別のホーニング工具の断面図である。
【
図8】本発明による方法の代替シーケンスの略図である。
【
図9】本発明による方法の代替シーケンスの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下の図において、対応する構成要素および要素は、同じ参照符号を有する。より明確にするために、すべての参照符号がすべての図に示されているわけではない。
【0049】
図1は、工作物16の開口部14の内面12をホーニング加工するための本発明によるホーニング工具10を示し、工作物16は
図1には示されていない、ホーニング工具10は、工作物側端部18から工作物遠端側端部20まで軸方向Aに延在する工具本体17を備える。工作物遠端側端部20において、ホーニング工具10は、連結部22と、ホーニング工具から突出する送りピン24とを有している。
【0050】
連結部22に隣接して、ホーニング工具10は接続部25を備える。接続部25の領域において、ホーニング工具10は、測定空気のための第1の接続部26と、測定空気のための第2の接続部28とを備える。冷却潤滑剤のための接続部30は、接続部25の領域にも配置される。
【0051】
接続部25に隣接して、ホーニング工具10は機能部32を備える。本実施形態では、機能部32には、工作物検査要素34と、第1ホーニング部36と、第2ホーニング部38と、ブラシ部40とが配置されている。機能部32はまた、1個または複数の第1の空気測定ノズル44を有するインプロセス測定装置42と、1個または複数の第2の空気測定ノズル48を有する追従測定装置46とを含む。
【0052】
工具ガイド50が、機能部32からホーニング工具10の工作物側端部18まで延びている。工具ガイド50は、対応するガイドブッシュ内に受け入れられると、ガイドブッシュと相互作用し、ホーニング工具10を軸方向に整列させるように設計されている。
【0053】
第1ホーニング部36は、一群の第1ホーニングストリップ52を有する。第2ホーニング部38は、一群の第2ホーニングストリップ54を有する。第1ホーニング部36は、プレホーニングを行うように設計されたホーニングストリップ52を備えてよい。第2のホーニング部38は、仕上げホーニングを行うように設計されたホーニングストリップ54を備えてよい。
【0054】
第1ホーニング部36は、第2ホーニング部38から軸方向Aに離間した工具本体17上に位置している。
【0055】
工作物検査要素34は、工具本体17に対して移動可能に配置される。工作物検査要素34は、弾性支持体を有する工具本体17上に配置される。この目的のために、工作物検査要素34は、複数のコイルばね56を介して工具本体17に接続される。
【0056】
工作物検査要素34は、
図1に示す位置に対応する初期位置ASに予圧(vorgespannt)されており、この例では、予圧はコイルばね56によって実現されている。
【0057】
工作物検査要素34は、工作物検査要素34が工作物16に接触したときに工作物検査要素34が初期位置ASから移動するように工具本体17上に配置される。
【0058】
工作物検査要素34は、工作物16に接触する接触部58を有する。工具本体17の工作物側端部18を軸方向に沿って見ると、接触部58は半径方向Rに広がっている。
【0059】
工作物検査要素34は、リング状であり、工具本体17の周囲に延びている。
【0060】
工作物検査要素34は、軸方向Aにおいて、工具本体17の工作物側端部18と第1ホーニング部36との間に位置している。しかしながら、例えば、工作物検査要素34が工具本体17の工作物側端部18を形成する場合も、本発明の概念の範囲内である。
【0061】
図2は、ホーニング工具10を通る線II-IIに沿った断面図を示す。
図2の断面には、第1の測定空気チャネル60の経路が示されている。測定空気チャネル60は、空気を測定するための第1の接続部26を、再測定装置46の第2の空気測定ノズル48に接続する。
【0062】
図3もまた、ホーニング工具10を通る線II-IIに沿った断面図を示す。しかしながら、
図3の断面は、
図2の断面から円周方向Uにオフセットされている。
図3の断面では、第2の測定空気チャネル62の経路が見える。測定空気チャネル62は、空気を測定するための第2の接続部28を、インプロセス測定装置42の第1の空気測定ノズル44に接続する。
【0063】
図3は、工作物検査要素34が1個または複数の空気圧アクチュエータ64に連結され、工作物検査要素が初期位置ASから移動されるときに、空気圧アクチュエータ64が空気圧検査媒体チャネル66の流れ断面を変化させることを示す。検査媒体チャネル66は、測定空気チャネル62の一部によって形成される。アクチュエータ64は、棒状であり、測定空気チャネル62のT字接合部68の領域内に突出する。工作物検査要素34が工具本体17の工作物遠端側端部20の方向に移動されると、アクチュエータ要素64は、T字接合部68がブロックされるようにT字接合部68の領域内に移動する。このT字接合部68のブロッキングは、圧力センサ(図示せず)によって検出することができる。アクチュエータ64によって阻止され得るT字接合部68の分岐は、検査媒体チャネル66を形成し、その流れ断面は、アクチュエータ64によって変化され得る。
【0064】
図4はまた、ホーニング工具10を通る線II-IIに沿った断面図を示す。しかしながら、
図4の断面は、
図2および
図3の断面から円周方向Uにオフセットされており、
図4の断面は、冷却潤滑剤チャネル70の経路を示す。冷却潤滑剤チャネル70は、冷却潤滑剤のための接続部30を冷却潤滑剤のための出口72に接続し、出口72はホーニング部36および38の領域に配置される。
【0065】
図5はまた、ホーニング工具10を通る線II-IIに沿った断面図を示す。ただし、
図5の断面は、
図2、
図3、
図4の断面から円周方向Uにずれている。
【0066】
図5において、ホーニング工具10は、2つのホーニング部36および38のそれぞれのホーニングストリップ52、54を常に半径方向Rに同時に供給することができる供給装置74を備えていることが分かる。供給装置74は、2つのホーニング部36および38のそれぞれのホーニングストリップ52、54を同時に供給するために使用される。
【0067】
供給装置74は、第1の送りコーン76と第2の送りコーン78とを有する供給要素75を有し、第1の送りコーン76は、第1のホーニング部36のホーニングストリップ52に割り当てられ、第2の送りコーン78は、第2のホーニング部38のホーニングストリップ54に割り当てられる。
【0068】
それぞれの送りコーン76および78は、送り要素75の軸方向運動をそれぞれホーニングストリップ52および54の半径方向送りに変換するために、ホーニングストリップ52および54のウェッジ面80および82と相互作用するように設計されている。ホーニング部36および38の両方の送りコーン76および78は、単一の供給要素75上に配置され、供給要素75が移動するときに送りコーン76および78の両方が移動するようになっている。送り要素75の運動は、送りピン24を作動させることによって制御することができる。送り要素の下端にはガイドピンがあり、これは、送り要素を工具本体内部の安定した同軸位置に案内する。
【0069】
図6は、本発明によるホーニング工具10の代替実施形態を通る線II-IIに沿った断面図を示す。
図6の断面は、
図2の断面に対応する。
【0070】
図6に示される実施形態は、対応する空気測定ノズル86を有するさらなるインプロセス測定装置84が第2のホーニング部38に配置される点で、
図1~
図5の実施形態と異なる。
図6の実施形態では、再測定装置46は設けられていない。しかしながら、更なるインプロセス測定装置84に加えて、再測定装置46を設けることもできる。
【0071】
図7、8および9は、それぞれ、本発明によるホーニング工具10を使用して工作物16内の開口部14の内面12をホーニング加工するための本発明による方法のシーケンスを示しており、このホーニング工具は、例えば、
図1のホーニング工具10(
図7および8による方法で使用)または
図6(
図9による方法で使用)であってもよい。工作物16はギヤホイールである。この方法は、次のステップを順番に含んでいる。
【0072】
ステップa):ホーニング工具10を開口部14内に軸方向に挿入し(対応する矢印で図示)、工作物検査要素34によって工作物16内の開口部14の事前検査、特に開口部の大きさ、を行う。
【0073】
事前チェックの間、開口部14が十分な大きさを有し(すなわち、開口部14が公称寸法を有する)、軸方向の位置合わせを補正する場合、工作物検査要素34は、開口部14内に移動する。
【0074】
開口部14の大きさが小さすぎる場合、または工作物16が正しく位置合わせされていない場合、工作物検査要素34は接触部58において工作物16に接触し、工作物検査要素34は初期位置ASから移動する。工作物検査要素34は、工作物検査要素34が初期位置ASから移動されるときに、アクチュエータ64がT字接合部68(
図3参照)の分岐によって形成される空気圧検査媒体チャネル66の流れ断面を変化させるように、アクチュエータ64に連結されるので、アクチュエータ64は、T字接合部68をブロックし、したがって、検査媒体チャネル66の流れ断面を変化させる。流れ断面を変化させることによって、流れが検査媒体チャネル66を通過する間に圧力の増加を検出することができ、ホーニング工具10の挿入動作を中断することができる。
【0075】
ステップb):ホーニング部36のホーニングストリップ52(両矢印および曲線矢印によって象徴的に表される)によって開口部14をホーニングする。工程b)の間(ホーニングの間または後)、軸方向Aから見て第1のホーニング部36のホーニングストリップ52に隣接して配置されたインプロセス測定装置42の空気測定ノズル44を介して、開口部14の大きさの測定を任意に行うことができる。
【0076】
この方法は、好ましくは、ステップc):ホーニング工具10を軸方向に移動させ、特にホーニング工具10を開口部14内に更に軸方向に挿入し、ステップb)のホーニング部36から軸方向Aに離間している空気測定ノズルを介して開口部の大きさを再測定するステップを含む。このステップは、
図7、
図8および
図9には示されていない。
【0077】
好ましくは、本方法は、ステップd):軸方向にホーニング工具10を移動させ、特に、ホーニング工具10を開口部14内に更に軸方向に挿入し、次いで、第2のホーニング部38のホーニングストリップ54によって開口部14をホーニングするステップを含む。ステップb)の間に、軸方向Aから見て第2のホーニング部38のホーニングストリップ54に隣接して配置されたインプロセス測定装置84の空気測定ノズル86を介して、開口部14の開口部の大きさの測定を任意に行うことができる。
【0078】
好ましくは、この方法は、ステップe):ステップd)の第2のホーニング部38のホーニングストリップ54に隣接して配置された空気測定ノズル86を介して、軸方向A(この方法の代替案は
図7および8に示される)から見たときに開口部の大きさを再測定するステップ、または、ホーニング工具10を軸方向に移動させ、特にホーニング工具10を開口部14内にさらに軸方向に挿入し、ステップd)の第2のホーニング部38から離間している空気測定ノズル48を介して、開口部の大きさを軸方向A(この代替案は
図9に示される)に再測定するステップを含む。
【0079】
好ましくは、本方法は、ステップf):軸方向にホーニング工具10を移動させ、特にホーニング工具10を開口部14内に更に軸方向に挿入し、続いてホーニング工具10のブラシ部40によって開口部14をブラッシングするステップを含む。
【0080】
g)ホーニング工具10を開口部14から軸方向に後退させる(図示せず)。
【0081】
図7の方法例では、工作物16は静止しており、ホーニング工具10は工作物16に対して移動する。
図8および
図9に示す方法例では、ホーニング工具10は静止しており、工作物16はホーニング工具10に対して移動する。ホーニング工具10と工作物16との間に相対運動を発生させる両方の方法が本発明の概念である。