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特許7136891現金自動預払機のための現金捕捉動作阻止アセンブリ、現金自動預払機、現金捕捉装置の挿入を検出するための方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】現金自動預払機のための現金捕捉動作阻止アセンブリ、現金自動預払機、現金捕捉装置の挿入を検出するための方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/14 20190101AFI20220906BHJP
   G07D 11/26 20190101ALI20220906BHJP
   G07D 13/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G07D11/14
G07D11/26
G07D13/00
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020518412
(86)(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 IB2018057489
(87)【国際公開番号】W WO2019069188
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-02-22
(31)【優先権主張番号】15/723,584
(32)【優先日】2017-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521555742
【氏名又は名称】キンドリル・インク
【氏名又は名称原語表記】Kyndryl Inc.
【住所又は居所原語表記】One Vanderbilt Avenue,15th Floor,New York,New York 10017,USA
(74)【代理人】
【識別番号】110000420
【氏名又は名称】弁理士法人MIP
(72)【発明者】
【氏名】ブローアー、デイヴ
(72)【発明者】
【氏名】フォースダイク、サイモン、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】トムス、ルーク
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-530645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金自動預払機のための現金捕捉動作阻止アセンブリであって、
紙幣払出面外かつ通貨払出器シャッタと前記現金自動預払機の差出器領域の差出器ベルトとの間に装着され、かつ一対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着される第1のセンサであり、一対の差出器ベルトの差出器ベルト間に挿入される第1の物体を検出するために動作可能である、前記第1のセンサと、
前記差出器領域に前記紙幣払出面外に装着され、かつ前記一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着されない第2のセンサであり、紙幣が紙幣払出動作を経るにつれて前記紙幣を検出するために動作可能である、前記第2のセンサと、
前記第1および第2のセンサから物体検出信号を受信するための制御回路とを備え、前記アセンブリが、前記第1および第2のセンサが前記現金自動預払機に装着され、そして前記第1のセンサが第1の物体を検出すると、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の所定の時限であり、紙幣払出動作中の前記第2から前記第1のセンサへの紙幣の横動のための時間を包含するように決定される、前記時限内に前記第2のセンサが第2の物体を既に検出していたならば、前記制御回路が、通常の紙幣払出が発生したと、かつ前記第1および第2の物体が各々前記紙幣から成ると判定し、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の前記所定の時限内に前記第2のセンサが前記第2の物体を既に検出していなかったならば、前記制御回路が、前記第1のセンサによって検出される前記第1の物体が現金捕捉装置であると判定し、そして前記制御回路が前記アセンブリの警報状態を開始する、
ように動作可能である、アセンブリ。
【請求項2】
前記第1および第2のセンサが赤外線センサから成る、請求項1に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項3】
前記第1のセンサが、前記差出器領域の中央の一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着される、請求項1に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項4】
追加の第1のセンサが、現金払出器シャッタと差出器の前記差出器ベルトとの間で前記差出器領域の各他の一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着され、かつそれらのそれぞれの一対の差出器ベルト間に挿入される物体を検出するために動作可能である、請求項3に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項5】
前記制御回路が、現金自動預払機に設置されると前記現金自動預払機の部品に制御信号を送信するための出力、およびそこから信号を受信するための入力を備える、請求項1に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項6】
現金自動預払機制御回路が、前記第1および第2のセンサから物体検出信号を受信するための前記制御回路を備える、請求項1に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項7】
現金自動預払機のための現金捕捉動作阻止アセンブリであって、
紙幣払出面外かつ通貨払出器シャッタと前記現金自動預払機の差出器領域の差出器ベルトとの間に装着するための、かつ一対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着するための第1のセンサであり、一対の差出器ベルトの差出器ベルト間に挿入される第1の物体を検出するために動作可能である、前記第1のセンサを備える第1の部品と、
前記差出器領域に前記紙幣払出面外に装着するための、かつ前記一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着しないための第2のセンサであり、紙幣が紙幣払出動作を経るにつれて前記紙幣を検出するために動作可能である、前記第2のセンサを備える第2の部品と、
前記第1および第2のセンサから物体検出信号を受信するための制御回路を備える第3の部品とから成る部品のキットを備え、前記部品のキットが現金自動預払機に設置される場合、前記アセンブリが、前記第1のセンサが第1の物体を検出すると、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の所定の時限であり、紙幣払出動作中の前記第2から前記第1のセンサへの紙幣の横動のための時間を包含するように決定される、前記時限内に前記第2のセンサが第2の物体を既に検出していたならば、前記制御回路が、通常の紙幣払出が発生したと、かつ前記第1および第2の物体が各々前記紙幣から成ると判定し、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の前記所定の時限内に前記第2のセンサが前記第2の物体を既に検出していなかったならば、前記制御回路が、前記第1のセンサによって検出される前記第1の物体が現金捕捉装置であると判定し、そして前記制御回路が前記アセンブリの警報状態を開始する、
ように動作可能である、アセンブリ。
【請求項8】
前記第1および第2のセンサが赤外線センサから成る、請求項7に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のセンサが、前記差出器領域の中央の一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着するためである、請求項7に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項10】
前記キットが、1つまたは複数の追加部品であり、現金払出器シャッタと差出器の前記差出器ベルトとの間で前記差出器領域の他の一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着するための追加の第1のセンサを備える、前記追加部品を備える、請求項9に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項11】
前記制御回路が、現金自動預払機に設置されると前記現金自動預払機の部品に制御信号を送信するための出力、およびそこから信号を受信するための入力を備える、請求項7に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項12】
前記第3の部品が、前記制御回路のためのハウジングを備える、請求項7に記載の現金捕捉動作阻止アセンブリ。
【請求項13】
現金自動預払機であって、現金捕捉動作阻止アセンブリを備え、前記アセンブリが、
紙幣払出面外かつ通貨払出器シャッタと前記現金自動預払機の差出器領域の差出器ベルトとの間に位置付けられ、かつ一対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着される第1のセンサであり、一対の差出器ベルトの差出器ベルト間に挿入される第1の物体を検出するために動作可能である、前記第1のセンサと、
前記差出器領域に前記紙幣払出面外に位置付けられ、かつ前記一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着されない第2のセンサであり、紙幣が紙幣払出動作を経るにつれて前記紙幣を検出するために動作可能である、前記第2のセンサと、
前記第1および第2のセンサから物体検出信号を受信するための制御回路とを備え、前記アセンブリが、前記第1のセンサが第1の物体を検出すると、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の所定の時限であり、紙幣払出動作中の前記第2から前記第1のセンサへの紙幣の横動のための時間を包含するように決定される、前記時限内に前記第2のセンサが第2の物体を既に検出していたならば、前記制御回路が、通常の紙幣払出が発生したと、かつ前記第1および第2の物体が各々前記紙幣から成ると判定し、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の前記所定の時限内に前記第2のセンサが前記第2の物体を既に検出していなかったならば、前記制御回路が、前記第1のセンサによって検出される前記第1の物体が現金捕捉装置であると判定し、そして前記制御回路が前記アセンブリの警報状態を開始する、
ように動作可能である、現金自動預払機。
【請求項14】
前記第1および第2のセンサが赤外線センサから成る、請求項13に記載の現金自動預払機。
【請求項15】
前記第1のセンサが、前記差出器領域の中央の一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に位置付けられる、請求項13に記載の現金自動預払機。
【請求項16】
少なくとも1つの追加の第1のセンサが、現金払出器シャッタと差出器の前記差出器ベルトとの間で前記差出器領域の各他の一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に位置付けられる、請求項15に記載の現金自動預払機。
【請求項17】
前記第1のセンサが、前記現金自動預払機の現金自動預払機構造に取り付けられる第1の装着ビームに装着される、請求項13に記載の現金自動預払機。
【請求項18】
前記第2のセンサが、前記現金自動預払機の現金自動預払機構造に取り付けられる第2の装着ビームに装着される、請求項13に記載の現金自動預払機。
【請求項19】
前記制御回路が、前記現金自動預払機の部品に制御信号を送信するための出力、およびそこから信号を受信するための入力を備える、請求項13に記載の現金自動預払機。
【請求項20】
現金自動預払機制御回路が、前記第1および第2のセンサから物体検出信号を受信するための前記制御回路を備える、請求項13に記載の現金自動預払機。
【請求項21】
現金自動預払機の差出器領域への現金捕捉装置の挿入を検出するための方法であって、
現金捕捉動作阻止アセンブリを設けることを含み、前記アセンブリが、
紙幣払出面外かつ通貨払出器シャッタと前記現金自動預払機の差出器領域の差出器ベルトとの間に装着され、かつ一対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着される第1のセンサであり、一対の差出器ベルトの差出器ベルト間に挿入される第1の物体を検出するために動作可能である、前記第1のセンサと、
前記差出器領域に前記紙幣払出面外に装着され、かつ前記一対の差出器ベルトと同じ前記垂直面に装着されない第2のセンサであり、紙幣が紙幣払出動作を経るにつれて前記紙幣を検出するために動作可能である、前記第2のセンサと、
前記第1および第2のセンサから物体検出信号を受信し、そして結果を決定するための制御回路とを備え、
前記方法が、
前記第1のセンサによって第1の物体を検出することと、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の所定の時限であり、紙幣払出動作中の前記第2から前記第1のセンサへの紙幣の横動のための時間を包含するように決定される、前記時限内に前記第2のセンサが第2の物体を既に検出していたならば、前記制御回路が、通常の紙幣払出が発生したと、かつ前記第1および第2の物体が各々前記紙幣から成ると判定し、
前記第1のセンサによる前記第1の物体の前記検出前の前記所定の時限内に前記第2のセンサが前記第2の物体を既に検出していなかったならば、前記制御回路が、前記第1のセンサによって検出される前記第1の物体が前記現金捕捉装置であると判定し、そして前記制御回路が前記アセンブリの警報状態を開始することと、
を更に含む、方法。
【請求項22】
前記方法が、
前記制御回路に、前記現金自動預払機の部品に制御信号を送信するための出力、およびそこから信号を受信するための入力を設け、したがって前記制御回路によって前記部品を制御すること、
を更に含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
請求項21~22の何れか1項に記載の方法の各ステップをコンピュータに実行させる、コンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機に関し、特に、現金自動預払機の差出器(presenter)領域へ挿入される現金捕捉装置(cash capture device)の検出および動作の無効化のためのセキュリティ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動銀行窓口機が周知である。消費者によって使用される一般的な種類の自動銀行窓口機は現金自動預払機(「ATM」)であり、口語的には「キャッシュ・ディスペンサ」、「キャッシュ・マシン」または「ホール・イン・ザ・ウォール(hole-in-the-wall)」などの用語によって知られている。ATMは、顧客が銀行取引を実施することを可能にする。ATMで実施され得る一般的な銀行取引には、紙幣の形態の現金の払出、預金の受入、口座間の資金移動、請求書の支払い、口座残高照会および移動電話チャージ(top-up)等が含まれる。顧客が実施することができる銀行取引の種類は、特定の銀行窓口機の機能およびサービスを提供する機関によって決定される。
【0003】
英国には約7万台のATMがあり、この数字は増加傾向にある。ATM詐欺も増加傾向にあり、犯行者は、ATM内部から現金を不正に抜き取る新たな方法を常に工夫している。犯行者がATMから現金を抜き取ろうと試みる1つの方法は、現金捕捉装置を使用することによる。現金捕捉装置は、現金がATM内部で現金捕捉装置によって横取りされて、現金を要求したユーザに払い出されないように、現金払出口内に犯行者によって挿入される。犯行者はその後ATMに戻って、ATM内部に保持されている現金を取り出す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ATM詐欺が現金をもたらし、かつ他の犯罪と比較してかなり低リスクであるので、ATM詐欺は増加傾向にあると思われる。ATM詐欺を実装するために使用される機器は安価で、容易に入手可能でかつ使い捨て可能であり、このことによりATM詐欺が組織犯罪網に普及している。したがって、改良された現金捕捉動作阻止アセンブリ、現金自動預払機、方法、およびプログラムを提供することである。
装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態は、現金自動預払機のための現金捕捉動作阻止アセンブリを提供する。第1のセンサが紙幣払出面外かつ通貨払出器シャッタと現金自動預払機の差出器領域の差出器ベルトとの間に装着され、かつ一対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着され、第1のセンサは、一対の差出器ベルトの差出器ベルト間に挿入される第1の物体を検出するために動作可能であり、そして第2のセンサが差出器領域に紙幣払出面外に装着され、かつ一対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着されず、第2のセンサは、紙幣が紙幣払出動作を経るにつれて紙幣を検出するために動作可能である。制御回路が、第1および第2のセンサから物体検出信号を受信するために設けられる。本アセンブリは、第1および第2のセンサが現金自動預払機に装着され、そして第1のセンサが物体を検出すると、第1のセンサによる第1の物体の検出前の所定の時限であって、紙幣払出動作中の第2から第1のセンサへの紙幣の横動のための時間を包含するように決定される、時限内に第2のセンサが第2の物体を既に検出していたならば、制御回路が、通常の紙幣払出が発生したと、かつ第1および第2の物体が各々紙幣から成ると判定し、そして第1のセンサによる第1の物体の検出前の所定の時限内に第2のセンサが第2の物体を既に検出していなかったならば、制御回路が、第1のセンサによって検出される第1の物体が潜在的に現金捕捉装置であると判定し、そして制御回路が本アセンブリの警報状態を開始する、ように動作可能である。
【0006】
本発明の実施形態は、同現金捕捉動作阻止アセンブリを含む部品のキット、および同現金捕捉動作阻止アセンブリを含む現金自動預払機を提供する。更なる実施形態は、現金自動預払機の差出器領域への現金捕捉装置の挿入を検出するための方法、および同方法を行うためのコンピュータ・プログラム製品を含む。
【0007】
本発明の実施形態は、ここで添付図面を参照しつつ、単に例として記載されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】当該技術において知られている現金自動預払機(ATM)の外表面を例示する図である。
図2】当該技術において知られている図1の現金自動預払機の内部部品の一例を例示するブロック図である。
図3】当該技術において知られている現金自動預払機現金払出器の一例の側面横断面を例示する概要図である。
図4】現金自動預払機から紙幣を不正に取得する試みに使用される現金捕捉装置の既知の設計を例示する図である。
図5】現金自動預払機から紙幣を不正に取得する試みに使用される現金捕捉装置の既知の設計を例示する図である。
図6】現金自動預払機から紙幣を不正に取得する試みに使用される現金捕捉装置の既知の設計を例示する図である。
図7】現金自動預払機から紙幣を不正に取得する試みに使用される現金捕捉装置の既知の設計を例示する図である。
図8】差出器ベルト間で紙幣を捕捉する位置に挿入された現金捕捉装置の位置を図示する既知の現金自動預払機の差出器領域の側面図および上面図である。
図9】差出器ベルト間で紙幣を捕捉する位置に挿入された現金捕捉装置の位置を図示する既知の現金自動預払機の差出器領域の上面図である。
図10】差出器ベルト間で紙幣を捕捉する位置に挿入された現金捕捉装置の位置を図示する既知の現金自動預払機の差出器領域の正面図および上面図である。
図11】本発明の実施形態による、現金自動預払機の払出器シャッタに隣接した差出器領域の範囲の正面図および上面図である。
図12】本発明の実施形態による、現金自動預払機の差出器領域の上面図である。
図13】本発明の実施形態の側面の簡略構造図を例示する概要図である。
図14】本発明の実施形態の動作を例示するフロー図である。
図15】本発明の実施形態の動作を例示するフロー図である。
図16】本発明の実施形態による、反現金捕獲キット(anti-cash trapping kit)の概要図である。
図17】本発明の実施形態による、図16の反現金捕獲キットの構成部品の図である。
図18】本発明の実施形態の動作を例示するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面が単に概略であり、一定の比率では描かれていないことが理解されるべきである。同じまたは同様の部品を示すために説明および図面を通して同じ参照数字が使用されることも理解されるべきである。向きに関する記述子に言及がなされる場合、そのような記述子は単に、図面に関する理解の明快さおよび容易さの目的で使用される。それらは、本発明の範囲を限定するとは意図されない。本発明の実施形態は、本発明の範囲から逸脱することなく任意に便宜的に方向付けられてよい。
【0010】
図1は、当該技術において知られている現金自動預払機(ATM)100の外表面の例示であり、そして図2は、当該技術において知られている図1の現金自動預払機100の内部部品の一例を例示するブロック図である。図1および図2は互いと併せて読まれるべきである。
【0011】
ATM100は、非セキュアな部分200およびセキュアな部分205を備えるハウジング150を備える。
【0012】
非セキュアな部分200は、ユーザにユーザ情報を表示するためのディスプレイ105、データを入力するための画面選択キー110およびキーパッド115、DC電源210、カード受入口130を介してユーザ銀行カードまたは他の形態の識別情報を受け入れるためのカード・リーダ225、ATM100の差出器領域において処理および収容された紙幣の形態の現金を払い出すための現金払出口125および関連するシャッタ・アセンブリ245、保管庫230に収容される預金を受け入れる、かつ預金シャッタ・アセンブリ240と通信するための預金口120、預金口120による受入のために現金または小切手預金を保持するための封筒を封筒払出器250から払い出すための封筒払出口145、顧客によってなされる取引を確認する明細書を払い出すための明細書払出口140、金庫ドア・スイッチ260に連結されるインタロックPCB255、ならびに明細書を印刷するためのプリンタ220を備える、表外板155を有する更なるハウジングを備える。
【0013】
非セキュアな部分200は、要求および許可された取引を完了するために、要求された取引を処理するため、かつATM100の機械部品を制御するため、ATM100の部品の各々と通信するためのデータ処理装置215(PCコアを含んでもよい)も収容する。
【0014】
図3は、当該技術において知られている現金自動預払機現金払出器の一例の側面横断面を例示する概要図である。図3は、図2のセキュアな部分205を更に詳細に例示する。セキュアな部分は金庫300を備える。金庫300は、紙幣を収容するための通貨カセット340、345(集合的に、360)を装着するための幾つかの摺動可能に装着可能なラックを備える第1の部分を有するハウジングを備える。紙幣は本明細書において、英国紙幣、米国ドル札等を意味すると意図される。紙幣の実際の材料は紙以外、例えばポリマー材料でもよい。ハウジングの第2の部分が、要求される紙幣額に達するまで1枚または複数枚の紙幣を1枚ずつ拾い上げるためのピックアップ・モジュール265を備える差出器ユニット355を装着するための1つまたは複数の摺動可能に装着可能なラックを備える。差出器ユニット355は、通貨カセット340、345から搬送経路330、335、370に沿って払出器口125に要求された紙幣を搬送するための差出器ベルト365も備える。第2の部分は、データ処理装置215によって検出される不良紙幣を保持するための摺動可能に装着可能な不良トレイ(図示せず)を更に備える。差出器ユニット355は、タイミング・ディスク・センサ・アーム325および駆動ベルト320も備える。
【0015】
払出器領域235は、差出器領域における紙幣の存在を検出および確証するための幾つかの光センサ305、310、315を更に備える。
【0016】
明確にするため、本明細書で言及される払出器領域235は、差出器ユニット355、払出器シャッタ・アセンブリ245および紙幣払出器口125を備える。当業者は、ATM100の内部構成には多くの種類があり、上記説明が限定的でないことを認識するであろう。本発明の範囲から逸脱することなく、多くの他の構成が可能である。
【0017】
使用に際して、ユーザがカード・リーダ225へユーザの銀行カードを挿入し、そしてディスプレイ・ユニット105は、ユーザに自分の個人識別番号を入力するように要求する。データ処理装置215は個人識別番号を確証し、そしてディスプレイ・ユニット105は幾つかの金融取引オプションをユーザに提示する。現金引出の要求がなされて承認されると、データ処理装置215は、ピックアップ・モジュール265に通貨カセット340、345の1つまたは複数から要求された紙幣を取得させる命令をピックアップ・モジュール265に送信する。紙幣の個々の単位が要求されると、紙幣の単位が確証され、それに応じて、差出器ベルト365は、通貨払出器口125を通してユーザに払い出すために、搬送経路330、335に沿って(矢印の方向に従って)セキュアなハウジングを通じて紙幣を搬送する。一実施形態において、紙幣が搬送経路に沿って搬送されるとき、紙幣は様々なセンサ350、315、310および305の下を通過する。センサは以下の機能などの様々な機能を行う:
センサ350-測定プロセス後に紙幣の存在を確認する。
センサ315-払出のための紙幣の適時の到達を確認する。
センサ310-タイミング制約を確認して、払出器シャッタが開く信号を発動する。
センサ305-タイミング・シーケンスを確認して、払出器シャッタが閉じる信号を送る。
【0018】
一旦紙幣がセンサ305から所定の距離搬送されると、シャッタ・アセンブリ245の現金払出器シャッタは、ユーザが現金払出器口125から紙幣を取り出すまで開いたままである。一旦紙幣がユーザによって取り出されると、シャッタ・アセンブリ245の現金払出器シャッタは閉じる。
【0019】
ATM機に関わる不正行為の1つの方法は、現金捕捉装置の使用による。詐欺犯行者がATMの現金払出口内に現金捕捉装置を挿入する。後のユーザによって要求された現金が現金捕捉装置によってATMに保持され、そして犯行者によって後に回収される。
【0020】
最も一般的な種類の現金捕捉装置は、装置の形状のためにキャッシュ・クロー(cash claw)とも称され得る。様々な設計のキャッシュ・クローが知られている。キャッシュ・クローなどの現金捕捉装置の存在を検出するために、ATMに防御対策が適用される。これらの対策を破ろうと試みて、詐欺犯行者は次いで、新たな設計のキャッシュ・クローを工夫する。
【0021】
図4、5、6および7は、現金自動預払機から紙幣を不正に取得する試みに使用される現金捕捉装置の既知の設計を例示する。詳細には、図4~7はキャッシュ・クローの既知の設計を例示する。
【0022】
図4は、金属から作られてもよいが、任意の適切な弾性材料から成ってもよいキャッシュ・クロー400aを例示する。キャッシュ・クロー400aは、1つまたは複数の差出器ベルト365間に挿入するためのアーム405を備える。一実施形態において、キャッシュ・クロー400aは、差出器ベルト365間でのキャッシュ・クロー400aの操作を容易にするための可撓部分410を備えてもよい。可撓部分410はヒンジから成ってもよい。キャッシュ・クロー400aは、1つまたは複数のクロー・フォークから成るクロー420を遠位端に備える。犯行者は最初にこの遠位端をATMの現金口へ挿入する。一実施形態において、キャッシュ・クロー400aのアーム405は、紙幣払出動作中にクロー移動を妨げるための近位端に垂直部分430を、および犯行者によるクロー400aの取外しを簡単にするためのワイヤ435を備えてもよい。キャッシュ・クロー400aは、アーム405の長さに沿った中間点に設けられる1つまたは複数のストッパ415を備える。クロー420の1つまたは複数のクロー・フォークは、クローの近位端に向かう方向に反転される端部分を備える。1つまたは複数のストッパ415およびクロー420の1つまたは複数のクロー・フォークは、1つまたは複数のストッパ415とクロー420の1つまたは複数のクロー・フォークとの間の空間425内に紙幣を捕捉するように配置される。
【0023】
図5は、キャッシュ・クロー400bを例示し、中間のヒンジまたは可撓部分がない以外400aと類似している。キャッシュ・クロー400bは、形状がキャッシュ・クロー400aと類似しており、かつキャッシュ・クロー400aのそれより可撓性のプラスチック材料から成ってもよく、これがヒンジの必要性を不要にする。挿入された金属性の現金捕捉装置の検出に依存するATM保護対策を破ろうと試みて、プラスチック・キャッシュ・クローが使用されてもよい。キャッシュ・クロー400bは、透明または半透明プラスチック材料などの透明または半透明材料から成ってもよい。光検出手段に依存するATM保護対策を破ろうと試みて、透明または半透明キャッシュ・クローが使用されてもよい。
【0024】
図6は、使用に際して差出器ベルトの縁を越えて延びず、それによって物理的阻止予防対策を破るべく、クロー420がクロー・フォークへと横に延びることがない直列設計を有するキャッシュ・クロー400cを例示する。キャッシュ・クロー400cはストッパ415を備える。
【0025】
図7は、中間のストッパがない変形設計400dを例示する。この異型設計は、現金捕捉装置として機能するためには、払出器シャッタが詰まって塞がれることを必要とする。
【0026】
図8、9および10は、差出器ベルト間で紙幣を捕捉する位置に挿入された現金捕捉装置の位置を図示する既知の現金自動預払機の差出器領域の側面、上面および正面図をそれぞれ例示する。詳細には、図8、9および10は、キャッシュ・クローなどの現金捕捉装置を使用する既知の不正な現金捕捉動作の動作例を例示しており、その様々な既知の設計は図4~7を参照しつつ記載される。
【0027】
詐欺犯行者は最初にシャッタ後方のATMの差出器領域にアクセスする。犯行者は、最初に、例えば不正なプリペイド銀行キャッシュ・カードを使用してATMに低額面の現金額を要求することによって、これを行ってもよい。シャッタ・アセンブリ245のATMシャッタが開くと、犯行者は、例えば、払い出された現金を取り出す前に、中央の一対の差出器ベルト460間に現金捕捉装置、例えばキャッシュ・クロー400aを挿入する。シャッタ・アセンブリ245のシャッタが閉じ、キャッシュ・クロー400aが図8に図示される位置となる。別の方法では、犯行者は、シャッタ・アセンブリ245のシャッタをこじ開け、キャッシュ・クロー400aを挿入し、次いでシャッタ・アセンブリ245のシャッタを閉じることによって、アクセスする。キャッシュ・クロー400aと共にクロー420、ストッパ415および垂直部分430が、図8に側面図で、図9に上から、および図10にATMの正面から、詐欺のための位置に図示される。
【0028】
犯行者は、ここで、ATMの後のユーザが通貨払出を要求するのを待つ。紙幣が通貨カセット340、345から移り、そして中央の一対のベルト460および外側の対のベルト465としてここで識別される、シャッタ・アセンブリ245の近くまで延びる差出器ベルト間の地点455に到達する。紙幣は払出のために差出器ベルト間を通過する。しかしながら、紙幣がセンサ315の位置に達すると、ストッパ415が更なる進行を妨げて、紙幣はセンサ310に達しない。データ処理装置215のATM制御回路がセンサ310からの検出信号の欠如に応答して「詰まり」メッセージを発行する。データ処理装置215は差出器ベルト460、465の対を逆転させて、詰まりを解消しようと試みる。クロー420が紙幣を捕らえて図9の位置450に紙幣を保持するので、試みた紙幣の引込みは失敗する。ATMはもはや詰まり状態にあり、そしてシャッタ・アセンブリ245のシャッタは閉じたままである。現金の要求者は、機械が故障を有すると思い、立ち去る。犯行者は戻り、シャッタ・アセンブリ245のシャッタをこじ開けて、保持された紙幣と共にキャッシュ・クロー400aを取り外す。
【0029】
以上の過程の変形が生じてもよい。例えば、犯行者がストッパのない直列キャッシュ・クロー、例えば図7のキャッシュ・クロー400dを使用する場合、一旦キャッシュ・クローが内部に入ると、シャッタは動かなくなる。
【0030】
本発明の実施形態は、現金捕捉動作阻止アセンブリを備える。本アセンブリは、透明または半透明物体、例えば透明または半透明プラスチック現金捕捉装置を検出することができる赤外線センサを備える。本アセンブリは、電子制御回路に具現化され得る関連制御ロジックも備える。本アセンブリは、適切な種類のATMに後付けされ得る部品の現金捕捉阻止キットを備えてもよい。代替的に、ATMが、ATMの設計に組み込まれて構造的にATM制御回路の一部である本アセンブリを備えてもよい。
【0031】
図11は、現金自動預払機の払出器シャッタ・アセンブリ245に隣接した差出器領域の範囲の正面および上面図を例示し、そして図12は、本発明の実施形態による、現金自動預払機の差出器領域の上面図を例示する。現金捕捉動作阻止アセンブリは、差出器領域における物体を検出するように動作可能な複数のセンサ、好ましくは赤外線センサを備える。本アセンブリは、払出器シャッタ・アセンブリ245と払出器シャッタ・アセンブリ245に隣接した差出器ベルト460、465の端との間に装着される少なくとも1つの赤外線センサを備える。センサは、通貨払出を妨げないようにATM動作中の紙幣払出面外に(すなわち、より上または下に)装着される。少なくとも1つの赤外線センサは、一対の差出器ベルトと同じ垂直面にある、すなわち、一対の差出器ベルトと一直線である。一実施形態において、本アセンブリは、各対の差出器ベルトと同じ垂直面に装着されるセンサを備える。例示される配置では、差出器領域は3対の差出器ベルト、中央ベルト460および外側ベルト465を備える。一実施形態において、装着ビーム、ロッドまたは同様の装着部材610がセンサのための装着点を提供し、かつATMのATM構造に適切に取り付けられる。
【0032】
一実施形態において、本アセンブリは、紙幣払出面外に、例えば図11および12に例示されるように紙幣払出面より上に位置付けられ、かつビーム610に取り付けられて各々そのそれぞれのベルト460、465と一直線であるセンサ620a、620bおよび620cを備える。装着部材およびセンサは、本発明の範囲から逸脱することなく紙幣払出面より下に装着されてもよい。赤外線センサ620a、620bおよび620cは、ATMの現金払出口を通してそれらのそれぞれの払出器ベルト間に挿入される物体を検出するために動作可能である。ほとんどの現金捕捉動作が中央の一対の差出器ベルト460間に現金捕捉装置を挿入することを伴うので、単一の位置にセンサ620bだけを備える最小限の配置で、最も可能性がある挿入点でだけ検出を提供するのに十分である。この単一の位置に単一のセンサ620bを備える実施形態が、本発明の範囲から逸脱することなく想定され得る。
【0033】
本アセンブリは、シャッタ・アセンブリ245の近くまで延びる差出器ベルトによって占められる差出器領域内に配置される少なくとも1つの更なる赤外線センサ640を備える。赤外線センサ640は、したがって、センサ620a、620b、620cより更にATMの内部の方に装着される。一実施形態において、装着ビーム、ロッドまたは同様の装着部材630がセンサ640のための装着点を提供し、かつATMのATM構造に適切に取り付けられる。センサ640は、紙幣払出面外に、すなわちこの紙幣払出面より上または下に位置付けられるが、センサ620a、620bおよび620cと異なり、差出器ベルトのいずれとも一直線でない。センサ640は、したがって、差出器領域を介して払い出される通貨を検出するために動作可能である。このように、本アセンブリは、本発明の範囲から逸脱することなく2つ以上のセンサ640を備えてもよい。
【0034】
赤外線センサ620a、620b、620cおよび640は、反射赤外線の受信によって物体を検出するために動作可能な任意の適切な設計を備えてもよい。商業的に容易に入手可能である1つの種類のセンサは赤外線送信器LEDおよび隣接する赤外線受信器を備えており、これは、送信器から赤外線を発して赤外線の経路における物体によって反射されることによって物体を検出するために動作可能であり、反射赤外線は、検出信号を発生する受信器によって検出される。
【0035】
現金捕捉動作阻止アセンブリの動作に際して、センサ620a、620bおよび620cは、シャッタ・アセンブリ245のシャッタが開いているときに現金払出口を介する現金捕捉装置の挿入を検出するのに役立つ。センサ640は、現金払出動作中に紙幣を検出するのに役立つ。センサは、それぞれ装置挿入センサ620a、620b、620cおよび払出現金センサ640と称されてもよい。
【0036】
現金捕捉動作阻止アセンブリは、図11および12を参照しつつ記載されるセンサに加えて、センサ、例えば、センサ620a、620b、620cおよび640に信号経路によって接続される電子制御回路を備える。信号経路は、例えば、導電性もしくは光ファイバ接続、または短距離無線接続から成ってもよい。
【0037】
図13は、本発明の実施形態の側面の簡略構造図を例示する概要図である。図13において、図11および12の装置挿入センサ620a、620bおよび620cは簡略化のために単一のセンサ620a、b、cによって表される。センサ620a、b、cは、シャッタ・アセンブリ245のシャッタの開放によって露出される現金払出開口を介する現金捕捉装置の挿入を検出するのに役立つ。センサ640は、現金払出動作における紙幣の払出を検出するのに役立つ。センサ620a、b、cおよびセンサ640は現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650に接続される。実施形態において、現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650は、次いでATM制御回路660と接続される。現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650はATM制御回路660の一部を備えてもよく、製造のためのATMの設計が本発明の実施形態を組み込む。他の実施形態において、現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650はATM制御回路660から独立しており、そしてシャッタ・アセンブリ245などのATMの関連した動作アセンブリと直接通信する。
【0038】
本アセンブリの動作に際して、装置挿入センサ620a、b、cおよび通貨払出センサ640は協調して動作して、現金捕捉装置の挿入を検出する。センサ640が物体(例えば、紙幣)を検出すると、センサ640は検出信号を発生する。センサ640が物体を検出した後で所定の時限内にセンサ620a、b、cが物体を検出すれば、通常の通貨払出動作が示され、そしてセンサ620a、b、cによって検出された物体はセンサ640によって既に検出された紙幣である。センサ640によるこの先行の物体検出なしにセンサ620a、b、cが物体を検出すれば、センサ620a、b、cによって検出された物体は差出器領域へ不正に挿入されている。
【0039】
図14および15は、本発明の実施形態の動作を例示するフロー図である。本発明の実施形態の動作が、ここで、図13および14を参照しつつ記載されることになる。
【0040】
ATMの通常の現金払出動作中、幾つかの紙幣の札から成る紙幣が図13の矢印Bの方向に進行する。払出現金センサ640が、紙幣から成る物体をステップ705で検出する。センサ640は、現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650に検出信号を通信する。この検出信号はプライミング信号と称されてもよい。阻止アセンブリ回路650は、ステップ710でこのプライミング信号を受信して、所定の時間間隔内にセンサ620a、b、cで紙幣を期待すると知る。所定の時間間隔は、払出シャッタ245への通貨の横動の標準時間を包含する。物体挿入センサ620a、b、cが、この時間間隔内に紙幣から成る物体が矢印Bの方向に進行するのをステップ715で検出し、結果としてステップ720で警報は発されない。現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650がプライミング信号を受信したので、現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650は警報を発しない。ATM制御回路660がシャッタ・アセンブリ245に開くように命令し、そしてシャッタ・アセンブリ245が開いて通常の方法で通貨を払い出す。
【0041】
図15は、物体挿入センサ620a、b、cによる物体検出のための決定フローを例示する。センサ620a、b、cの少なくとも1つのセンサがステップ730で物体を検出する。少なくとも1つのセンサは、現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650に検出信号を通信する。阻止アセンブリ回路650は、払出シャッタへの通貨の横動の標準時間を包含する所定の時間間隔内に現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650がプライミング信号を受信したか否かをステップ735で判定する。現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650が適切なプライミング信号を受信していたならば、フローは「はい」分岐に従って、ステップ740で通常の通貨払出動作が進行する。現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650が適切なプライミング信号を受信していなかったならば、フローは「いいえ」分岐に従う。現金捕捉動作阻止アセンブリ制御回路650は、検出された物体が不正、例えば、挿入された現金捕捉装置であるとステップ745で判定する。こうして、現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650は警報状態に入る。一部の実施形態において、現金捕捉動作阻止アセンブリ回路650は、ATM制御回路660に警報信号を通信してもよい。現金捕捉動作阻止制御回路650、および一部の実施形態においてATM制御回路660も、ステップ750で警報状態措置をとる。
【0042】
現金捕捉動作阻止アセンブリが、既存のATMに適用され得る部品のアセンブリを備える装置挿入検出キットを備える、本発明の例証的な実施形態の要素が、ここで、図16、17および18を参照しつつ記載されることになる。
【0043】
本アセンブリは、既存のATM制御回路の変更を必要とすることなく既存のATMに適用され得る反現金捕獲キットとして示され、かつ本発明を実装する一方法を例示する。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が実装されてもよい。
【0044】
図16は、本発明の実施形態による、反現金捕獲キット810の概要図である。図16に概略的に例示されるように、反現金捕獲キット810は、処理能力を備える制御プリント回路板(PCB)820を備える。オペレータは、プログラミング・ポート822を介して入力を提供することによって制御PCB820をプログラムしてもよい。プログラミング・ポート822を介する情報入力は、キットにいつ、どちらの方向に紙幣を期待するべきかを教示する命令、ならびにタイミング・シーケンスおよび命令を行う方法を含んでもよい。センサ入力がインタフェース入力824を介する。24V給電接続828がキットに電力を提供する。
【0045】
図16の実施形態において、キットは5つの入出力(I/O)ポートを有する。1つのI/Oポートが入力、I/Pポート826として、そして残りのI/Oポートが出力、O/Pポート830として構成される。入力ポート、I/Pポート826は、例えば、ネットワーキング接続によるキットの拡張に備えてもよい。出力、O/Pポート830は1つまたは複数のモジュール・オプション、例えばストローブ、GSMダイアラ、デジタル記録告知機器等に備えてもよい。実施形態において、キットは、シャッタ・モータへの直接接続832を有し、かつシャッタ・モータを駆動するように構成される。キットは、払出器動作を無効にするために動作可能な払出器インタロック回路への直接接続834も有する。キットは、838で調節可能な可聴警報におよび836でLEDアレイから成る視覚警報に接続する。キットは、840でシャッタ動作およびタイミング・シーケンスを駆動するように動作可能である。
【0046】
図17は、本発明の実施形態による、図16の反現金捕獲キット810の構成部品の図である。図17は、一実施形態における反現金捕獲キット810のための構造配置を例示する。プラスチック・ボックス・ハウジング850が制御PCB820を収容する。センサ620a、b、cおよび640は、ハウジング850内の制御PCB820に光ファイバ赤外線インタフェース860を介して接続する。ハウジング850は、電源871、払出動作872、不正操作873および警報874のためのステータス・インジケータを備える。ハウジング850は、リセット・スイッチ855も備える。ATMオペレータ、例えば銀行従業員がハウジングで警報状態を見つければ、ATMオペレータは、オペレータが現金捕捉装置を取り外し得るようにシャッタ・アセンブリ245の払出器シャッタを開かせるリセット・スイッチ855を操作してもよい。シャッタ・アセンブリ245のシャッタは、現金捕捉装置の取外し後に自動的に閉じる。ATMオペレータは次いで、払出器試験動作を行ってATM故障状態を解消してもよい。
【0047】
図18は、本発明の実施形態の動作を例示するフロー図である。図18は、図16および17を参照しつつ記載される実施形態に係る反現金捕獲キット810の動作を例示する。正常動作でATMでは、反現金捕獲キット810は、ステップ910で、監視モードにある。犯行者がステップ920で差出器領域へ現金捕捉装置を挿入する。センサ620a、620b、620cの1つのセンサが現金捕捉装置を検出し、そして上記したように所定の時間遅延が経過した後に、キットはステップ930で警報状態に入る。この警報状態のキットによってとられる措置がステップ940で図示されており、以下の1つ、2つ以上または全てを含んでもよい:シャッタが開いて装置を明らかにする;可聴警報サイレンが鳴る;現金口のLEDアレイが点滅する;出力ポートに取り付けられた任意の追加モジュールが起動されるようにこれらのポートが有効になる;およびインタロック回路が開回路にされて払出器を損傷から保護する。決定ステップ950が、現金捕捉装置が取り外されたかどうかを尋ねる。「はい」であれば、ステップ970で、キットはシャッタ・アセンブリ245のATM現金払出器シャッタを駆動して閉じ、警報状態を終了させ、キットは監視を再開し、そしてATMは稼働して正常動作が可能となる。「いいえ」であれば、現金捕捉装置が払出器に残るので、ステップ960で、警報状態が続く。可聴警報は設定時間後に終了してもよいが、現金捕捉装置が取り外されるまで視覚警報は有効なままであり、出力ポートは有効なままであり、そしてインタロックは開回路のままである。
【0048】
本発明は、いかなる可能な集積化の技術的詳細レベルのシステム、方法もしくはコンピュータ・プログラム製品またはその組合せでもあり得る。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに本発明の態様を実施させるためにコンピュータ可読プログラム命令を有する1つまたは複数のコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。
【0049】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスによる使用のための命令を保持および記憶することができる有形デバイスであることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス、または上記の任意の適切な組合せであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例の非網羅的な列挙としては以下を含む:ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リード・オンリ・メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル・リード・オンリ・メモリ(EPROMまたはフラッシュ・メモリ)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)、ポータブル・コンパクト・ディスク・リード・オンリ・メモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチ・カードまたは命令が記録された溝に隆起された構造などの機械的に符合化されたデバイス、および上記の任意の適切な組合せを含む。コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書で使用される場合、電波もしくは他の自由に伝搬する電磁波、導波管もしくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波、(例えば、光ファイバ・ケーブルを通る光パルス)、または電線を通って伝送される電気信号など、それ自体が一過性信号であると解釈されないものとする。
【0050】
本明細書に記載されるコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体からそれぞれのコンピューティング/処理デバイスに、あるいはネットワーク、例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワークもしくは無線ネットワークまたはその組合せを介して外部コンピュータまたは外部記憶デバイスにダウンロードされることができる。ネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、無線伝送、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータもしくはエッジ・サーバまたはその組合せを備えてもよい。各コンピューティング/処理デバイスにおけるネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インタフェースが、ネットワークからコンピュータ可読プログラム命令を受信し、そしてコンピュータ可読プログラム命令をそれぞれのコンピューティング/処理デバイス内のコンピュータ可読記憶媒体への記憶のために転送する。
【0051】
本発明の動作を実施するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA)命令、機械命令、機械依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、またはSmalltalk(R)、C++等などのオブジェクト指向プログラミング言語および「C」プログラミング言語もしくは同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む、1つもしくは複数のプログラミング言語の任意の組合せで書かれたソース・コードかオブジェクト・コードかであってもよい。コンピュータ可読プログラム命令は、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、スタンド・アロン・ソフトウェア・パッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上でかつ部分的にリモート・コンピュータ上で、または完全にリモート・コンピュータもしくはサーバ上で実行されてもよい。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)もしくはワイド・エリア・ネットワーク(WAN)を含む、任意の種類のネットワークを通じてユーザのコンピュータに接続されてもよく、または外部コンピュータに接続がなされてもよい(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを通じて)。一部の実施形態において、例えば、プログラマブル論理回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはプログラマブル論理アレイ(PLA)を含む電子回路は、本出願の態様を行うために、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を活用して電子回路を個別化することによってコンピュータ可読プログラム命令を実行してもよい。
【0052】
本発明の態様が、本発明の実施形態に係る方法、装置(システム)およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート例もしくはブロック図またはその両方を参照しつつ本明細書に記載される。フローチャート例もしくはブロック図またはその両方の各ブロック、およびフローチャート例もしくはブロック図またはその両方におけるブロックの組合せがコンピュータ可読プログラム命令によって実装されることができることが理解されるであろう。
【0053】
これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/行為を実装するための手段を生じさせるように、汎用コンピュータ、専用コンピュータまたは他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを生成するものであってよい。これらのコンピュータ可読プログラム命令はまた、命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/行為の態様を実装する命令を含む製品を構成するように、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、コンピュータ、プログラマブル・データ処理装置もしくは他のデバイスまたはその組合せに特定の方式で機能するよう指令することができるものであってもよい。
【0054】
コンピュータ可読プログラム命令はまた、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つまたは複数のブロックに指定される機能/行為を実装するように、コンピュータ実装プロセスを生成すべく、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置または他のデバイスへロードされて、コンピュータ、他のプログラマブル装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させるものであってもよい。
【0055】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態に係るシステム、方法およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性および動作を例示する。この点で、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、モジュール、セグメントまたは命令の一部分を表現してもよく、それは指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能命令を備える。一部の代替実装では、ブロックに示される機能は、図に示される順序と異なって起こってもよい。例えば、連続して図示される2つのブロックが、実際には、実質的に並行して実行されてもよく、またはブロックは、時に逆順に実行されてもよく、関与する機能性次第である。ブロック図もしくはフローチャート例またはその両方の各ブロック、およびブロック図もしくはフローチャート例またはその両方におけるブロックの組合せが、指定された機能もしくは行為を行うまたは専用ハードウェアおよびコンピュータ命令の組合せを実施する専用ハードウェア・ベースのシステムによって実装されることができることも留意されるであろう。
【0056】
本発明のコンピュータ・プログラム製品は、コンピュータ可読プログラムコードが記憶された1つまたは複数のコンピュータ可読ハードウェア記憶デバイスを備え、前記プログラムコードが、本発明の方法(例えば、現金自動預払機の差出器領域への現金捕捉装置の挿入を検出するための方法)を実装するように、現金捕捉動作阻止アセンブリの制御回路によって実行可能である。
【0057】
本発明の様々な実施形態の説明が例示の目的で提示されたが、網羅的であるとも、または開示される実施形態に限定されるとも意図されない。記載される実施形態の範囲から逸脱することなく、多くの変更および変形が当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用される技術用語は、実施形態の原理、実際的応用もしくは市場で見つかる技術に対する技術的改良を最もよく説明するように、または当業者が本明細書に開示される実施形態を理解することを可能にするように選ばれた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18