(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20220906BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
(21)【出願番号】P 2020528000
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2018082099
(87)【国際公開番号】W WO2019101802
(87)【国際公開日】2019-05-31
【審査請求日】2020-07-20
(32)【優先日】2017-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(31)【優先権主張番号】102018103166.1
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴメス, マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス, フェルナンド
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー, トマス
(72)【発明者】
【氏名】ペレーズ, デビッド
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-061282(JP,A)
【文献】国際公開第2017/159672(WO,A1)
【文献】特開2011-023496(JP,A)
【文献】特開2017-011056(JP,A)
【文献】特開2009-289967(JP,A)
【文献】特開2011-258848(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0149472(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1436787(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第104465082(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42-7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの巻回要素(1)と、第1バスバー(7)と、第2バスバー(8)とを備え、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記巻回要素(1)を互いに並行に並べて接続し、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、それらが互いに重なり合うように配置され、
前記少なくとも2つの巻回要素(1)は1つのスタック(6)に配置され、
第5バスバー(10)及び第6バスバー(11)を備え、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6)の側面(6e)に配置され、前記第5バスバー(10)及び前記第6バスバー(11)は、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)が配置される側面(6e)とは反対の、前記スタック(6)の側面(6f)に配置され、
前記第5バスバー(10)は、前記第1バスバー(7)と同じ極に接続され、前記第6バスバー(11)は、前記第2バスバー(8)と同じ極に接続される、コンデンサ。
【請求項2】
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記第1バスバー(7)の面積の少なくとも50%が前記第2バスバー(8)と重なるように配置される、請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記第1バスバー(7)を流れる電流が第1磁場を生成し、且つ、前記第2バスバー(8)を流れる電流が第2磁場を生成するように配置され、前記第1磁場及び前記第2磁場は互いに補償し合う、請求項1又は2記載のコンデンサ。
【請求項4】
各巻回要素(1)は、正極及び負極を有し、
前記第1バスバー(7)は、各巻回要素(1)の前記正極又は各巻回要素(1)の前記負極のいずれかに接続され、
前記第2バスバー(8)は、各巻回要素(1)の前記正極又は各巻回要素(1)の前記負極のそれぞれに対応する他方に接続される、請求項1から3までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記スタック(6)の積層方向(S)において、前記第1バスバー(7)は、1つの巻回要素(1)の上面(3)及び隣接する巻回要素(1)の底面(2)に交互に接続され、
前記積層方向(S)において、前記第2バスバー(8)は、1つの巻回要素(1)の底面(2)及び隣接する巻回要素(1)の上面(3)に交互に接続される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記第1バスバー(7)は、前記巻回要素(1)の各々の上面(3)に接続され、
前記第2バスバー(8)は、前記巻回要素(1)の各々の底面(2)に接続される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項7】
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6)の側面(6e)に配置される、請求項1から6までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項8】
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6)の積層方向(S)に垂直な面法線を有する前記スタック(6)の側面に配置され、前記第5バスバー(10)及び前記第6バスバー(11)は、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)が配置され、前記積層方向(S)に垂直な面法線も有する前記側面とは反対の側面に配置される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項9】
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6)の少なくとも2つの面(6e,6f;6a,6b)に配置される、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項10】
前記コンデンサは、少なくとも4つの巻回要素(1)を備え、
少なくとも2つの巻回要素(1)は第1スタック(6)に配置され、少なくとも2つの巻回要素(1)は第2スタック(13)に配置される、請求項1から9までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項11】
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記第1スタック(6)と前記第2スタック(13)との間に配置される、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項12】
前記第1バスバー(7)は、前記スタック(6、13)の間の区分において、前記巻回要素(1)の上面(3)又は底面(2)に重なる区分よりも大きな厚さを有し、
及び/又は、
前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6、13)の間の区分において、前記巻回要素(1)の上面(3)又は底面(2)に重なる区分よりも大きな厚さを有する、請求項11に記載のコンデンサ。
【請求項13】
前記第1バスバー(7)は、前記スタック(6、13)の間の区分で折り曲げられ、
及び/又は、
前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6、13)の間の区分で折り曲げられる、請求項12に記載のコンデンサ。
【請求項14】
前記巻回要素(1)は、前記第1スタック(6)の上面(6a)が前記第2スタック(13)の上面(13a)の極性と反対の極性を有するように、前記第1スタック(6)及び前記第2スタック(13)にそれぞれ配置される、請求項10から13までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項15】
前記第1バスバー(7)は、前記第1スタック(6)における前記巻回要素(1)の上面(3)と、前記第2スタック(13)における前記巻回要素(1)の底面(2)とに接続され、
前記第2バスバー(8)は、前記第1スタック(6)における前記巻回要素(1)の底面(2)と、前記第2スタック(13)における前記巻回要素(1)の上面(3)とに接続される、請求項14に記載のコンデンサ。
【請求項16】
前記第1バスバー(7)は、前記第1スタック(6)の上面(6a)及び前記第2スタック(13)の上面(13a)に配置され、且つ、前記第1スタック(6)の前記上面(6a)に電気的に接続され、
前記第2バスバー(8)は、前記第1スタック(6)の前記上面(6a)及び前記第2スタック(13)の前記上面(13a)に配置され、且つ、前記第2スタック(13)の前記上面(13a)に電気的に接続され、
前記コンデンサは、第3バスバー(14)及び第4バスバー(15)を更に備え、
前記第3バスバー(14)は、前記第1スタック(6)の底面(6b)及び前記第2スタック(13)の底面(13b)に配置され、且つ、前記第1スタック(6)の前記底面(6b)に電気的に接続され、
前記第4バスバー(15)は、前記第1スタック(6)の前記底面(6b)及び前記第2スタック(13)の前記底面(13b)に配置され、且つ、前記第2スタック(13)の前記底面(13b)に電気的に接続され、
前記第3バスバー(14)及び前記第4バスバー(15)は互いに重なり合っている、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項17】
第3バスバー(14)及び第4バスバー(15)を更に備え、
前記第1バスバー(7)、前記第2バスバー(8)、前記第3バスバー(14)、及び前記第4バスバー(15)の各々は、前記第1スタック(6)及び前記第2スタック(13)の間に配置され、前記バスバー(7、8、14、15)は、隣接するバスバー(7、8、14、15)において電流が反対方向に流れるように、前記巻回要素(1)に接続されている、請求項10に記載のコンデンサ。
【請求項18】
前記第1バスバー(7)は、第1極性を有する前記第1スタック(6)において、前記巻回要素(1)の前記上面(3)に接続され、
前記第2バスバー(8)は、前記第1極性と反対の第2極性を有する前記第2スタック(13)において、前記巻回要素(1)の前記上面(3)に接続され、
前記第3バスバー(14)は、前記第1極性を有する前記第2スタック(13)において、前記巻回要素(1)の前記底面(2)に接続され、
前記第4バスバー(15)は、前記第2極性を有する前記第1スタック(6)において、前記巻回要素(1)の前記底面(2)に接続される、
請求項5または6を引用する請求項10を引用する請求項17に記載のコンデンサ。
【請求項19】
前記第1バスバー(7)は2つの部分(7a,7b)を含み、及び/又は、前記第2バスバー(8)は2つの部分(8a,8b)を含む、請求項1から18までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項20】
前記部分(7a、7b、8a、8b)の各々はZ字形状の断面を有する、請求項19に記載のコンデンサ。
【請求項21】
前記第1バスバー(7)は、例えば溶接又ははんだ付けによって、前記巻回要素(1)に直接接続され、前記第2バスバー(8)は、例えば溶接又ははんだ付けによって、前記巻回要素(1)に直接接続される、請求項1から20までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項22】
前記第1バスバー(7)は、各巻回要素(1)の上面(3)における2つの接続要素(5)に接触するように形成され、前記第2バスバー(8)は、各巻回要素(1)の底面(2)における2つの接続要素(5)に接触するように形成され、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6)の3つの側面(6c、6d、6e)をそれぞれ覆い、前記第1バスバー(7)は、前記スタック(6)の上面(6a)を部分的に覆い、前記第2バスバー(8)は、前記スタックの底面(6b)を部分的に覆う、請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項23】
前記コンデンサは、少なくとも4つの巻回要素(1)を備え、少なくとも2つの巻回要素(1)は第1スタック(6)に配置され、少なくとも2つの巻回要素(1)は第2スタック(13)に配置され、前記巻回要素(1)は、前記第1スタック(6)の上面(6a)が前記第2スタック(13)の上面(13a)の極性と反対の極性を有するように、前記第1スタック(6)及び前記第2スタック(13)にそれぞれ配置され、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)のそれぞれがZ字形状の断面を有し、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は前記第1スタック(6)と前記第2スタック(13)との間に配置され、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)のそれぞれは、前記第1スタック(6)の上面(6a)を部分的に覆うとともに前記第2スタック(13)の底面(13b)を部分的に覆っている、請求項1記載のコンデンサ。
【請求項24】
前記巻回要素(1)は、非円形の直径を有する、請求項1から23までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項25】
前記コンデンサは、直流リンクコンデンサである、請求項1から24までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項26】
前記少なくとも2つの巻回要素(1)は、1つ又は複数のスタック(6)に配置され、各スタックは、積層方向(S)において互いに積み重ねられた少なくとも2つの巻回要素(1)を備え、
前記積層方向(S)は、前記重なり領域に平行であり、
各巻回要素(1)は、上面(3)に少なくとも1つの接続要素(5)を備え、該接続要素(5)は前記第1バスバー(7)又は前記第2バスバー(8)の一方に接触され、
1つのスタックにおいて互いに隣接する2つの巻回要素(5)における前記接続要素(5)の間の距離は、前記巻回要素(5)の最小寸法における前記巻回要素(5)の長さと等しいか又は該長さより短く、
前記重なり領域から前記接続要素(5)の夫々への最小距離は、前記接続要素(5)の全てに対して等しい、請求項1から25までのいずれか1項に記載のコンデンサ。
【請求項27】
少なくとも2つの巻回要素(1)と、第1バスバー(7)と、第2バスバー(8)とを備え、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記巻回要素(1)を互いに並行に並べて接続し、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、それらが互いに重なり合うように配置され、
コンデンサは、少なくとも4つの巻回要素(1)を備え、
少なくとも2つの巻回要素(1)は第1スタック(6)に配置され、少なくとも2つの巻回要素(1)は第2スタック(13)に配置され、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記第1スタック(6)と前記第2スタック(13)との間に配置され、
前記第1バスバー(7)は、前記スタック(6、13)の間の区分において、前記巻回要素(1)の上面(3)又は底面(2)に重なる区分よりも大きな厚さを有し、
及び/又は、
前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6、13)の間の区分において、前記巻回要素(1)の上面(3)又は底面(2)に重なる区分よりも大きな厚さを有する、コンデンサ。
【請求項28】
少なくとも2つの巻回要素(1)と、第1バスバー(7)と、第2バスバー(8)とを備え、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記巻回要素(1)を互いに並行に並べて接続し、
前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、それらが互いに重なり合うように配置され、
前記少なくとも2つの巻回要素(1)は1つのスタック(6)に配置され、
前記第1バスバー(7)は、各巻回要素(1)の上面(3)における2つの接続要素(5)に接触するように形成され、前記第2バスバー(8)は、各巻回要素(1)の底面(2)における2つの接続要素(5)に接触するように形成され、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記スタック(6)の3つの側面(6c、6d、6e)をそれぞれ覆い、前記第1バスバー(7)は、前記スタック(6)の上面(6a)を部分的に覆い、前記第2バスバー(8)は、前記スタックの底面(6b)を部分的に覆う、コンデンサ。
【請求項29】
少なくとも2つの巻回要素(1)と、第1バスバー(7)と、第2バスバー(8)とを備え、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、前記巻回要素(1)を互いに並行に並べて接続し、前記第1バスバー(7)及び前記第2バスバー(8)は、それらが重なり領域において互いに重なり合うように配置され、
前記少なくとも2つの巻回要素(1)は、1つ又は複数のスタック(6)に配置され、各スタックは、積層方向(S)において互いに積み重ねられた少なくとも2つの巻回要素(1)を備え、
前記積層方向(S)は、前記重なり領域に平行であり、
各巻回要素(1)は、上面(3)に少なくとも1つの接続要素(5)を備え、該接続要素(5)は前記第1バスバー(7)又は前記第2バスバー(8)の一方に接触され、
1つのスタックにおいて互いに隣接する2つの巻回要素(1)における前記接続要素(5)の間の距離は、前記巻回要素(1)の最小寸法における前記巻回要素(1)の長さと等しいか又は該長さより短く、
前記重なり領域から前記接続要素(5)の夫々への最小距離は、前記接続要素(5)の全てに対して等しい、
前記重なり領域から前記接続要素(5)の夫々への最小距離は、前記巻回要素(1)の最小寸法における前記巻回要素(1)の長さの半分より短い、コンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコンデンサに関する。特に、当該コンデンサは、金属化直流リンクフィルムコンデンサであってもよい。
【背景技術】
【0002】
金属化フィルム直流リンクコンデンサは、再生可能エネルギー、電気自動車、交通輸送、モータ駆動、無停電電源装置、エネルギー伝送など、多くのパワーエレクトロニクス用途のための重要なコンポーネントである。
【0003】
直流リンクコンデンサの要件は、当該コンデンサに接続されるコンバータに実装された半導体のパラメータ、及びコンバータの変調方法に強く依存する。
【0004】
より高いオン電圧へのワイドバンドギャップ半導体(WBGS)の進歩は、より高いスイッチング周波数、より高い高調波周波数、より軽量な冷却システム、より高い電力密度、よりコンパクトな設計など、高電力コンバータの特性を変化させた。
【0005】
そのため、このようなアプリケーションで正しく動作させるためには、コンデンサは、寄生インダクタンスや寄生抵抗による損失をあまり多くすることなく、例えば10KHZを超える周波数のような高周波数で作動されるべきである。
【0006】
電力変換において、交流が低電圧直流に変換されるとき、又は、交流がある周波数から別の周波数の交流に変換されるとき、通常、交流は整流され、平滑化される。これが達成されると、次に、電力は、最終出力を得るためにインバータに送られる。当該インバータに供給される直流は、直流リンクと呼ばれる。その名が意味するように、2つの供給源は、直流リンクコンデンサと呼ばれるフィルタコンデンサと共に接続されている。
【0007】
電気自動車の用途において、直流リンクコンデンサは負荷平衡エネルギー蓄積装置として使用される。直流リンクコンデンサは、直流即ちバッテリと、電圧インバータの交流即ち負荷側との間に配置される。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、改良されたコンデンサ、例えば、高スイッチング周波数における寄生インダクタンス及び寄生抵抗による多くの損失を被らないコンデンサを提供することである。
【0009】
この目的は、請求項1に記載のコンデンサによって解決される。
【0010】
少なくとも2つの巻回要素と、第1バスバーと、第2バスバーとを備え、第1バスバー及び第2バスバーが巻回要素を互いに並行に並べて接続し、第1バスバー及び第2バスバーが互いに重なり合うように配置されたコンデンサが提供される。
【0011】
巻回要素は、静電容量ユニットであってよい。コンデンサの各巻回要素は、同じ静電容量を有することができる。各巻回要素は、第1極性、例えば正極性の第1極、及び第2極性、例えば負極性の第2極を有してもよい。第1極と第2極との間に電圧を印加することによって、エネルギーを巻回要素に蓄積することができる。
【0012】
バスバーは、局所的な大電流配電のために構成された金属製の条片体又は金属製の棒状体であってもよい。
【0013】
第1バスバーと第2バスバーとの重なり合いにより、600Vを超える電圧及び10KHZを超えるスイッチング周波数を有する電力用途によく適合した特性を有するコンデンサが提供される。第1バスバーに電流が流れると、当該電流によって磁場が発生する。また、第2バスバーに電流が流れると、当該電流によって別の磁場が発生する。バスバーの重なり合いにより、磁場は反対の向きを有し、したがって、互いに弱め合うか又は互いに打ち消し合うことさえある。したがって、第1バスバー及び第2バスバーに電圧が印加された場合、全体として、非常に弱い磁場のみが生成され得る。これにより、バスバーの接続部、及び、巻回要素の間におけるインダクタンスが小さくなる。したがって、コンデンサのインダクタンスも非常に小さくすることができる。
【0014】
高いインダクタンスは、共振効果をもたらし、且つ寄生インダクタンス及び寄生抵抗による高い損失をもたらすので、巻回要素間の小さなインダクタンスは電力コンデンサにとって重要である。
【0015】
同じ静電容量を有する各巻回要素によって、且つ、端子から同じインダクタンスを有する巻回要素への各接続部によって、全体として、均一なインピーダンスを提供することができる。設計要件のために、各巻回要素に対して同じインダクタンスを提供することが常に可能であるとは限らない。従って、インダクタンスを互いに適合させようとするのではなく、磁場を打ち消し合うことによって又は弱め合うことによって、インダクタンスを最小値まで減少させることが提案される。
【0016】
互いに重なり合う第1バスバー及び第2バスバーを有するコンデンサは、低い等価直列抵抗(ESR)、周波数安定のESR、各巻回要素に対する均一なESR、低い等価直列インダクタンス(ESL)、各巻回要素に対する均一なESL、及び均一な内部電流分布を有し得る。内部共振は回避され得る。
【0017】
第1バスバー及び第2バスバーは、第1バスバーの面積の少なくとも50%が第2バスバーと重なるように配置されてもよい。バスバー間の重なりが大きいほど、磁場の弱化又は相殺がより良好になる。好ましくは、第1バスバー及び第2バスバーは、第1バスバーの面積の少なくとも70%が第2バスバーと重なるように配置される。さらにより好ましくは、第1バスバー及び第2バスバーは、第1バスバーの面積の少なくとも90%が第2バスバーと重なるように配置される。
【0018】
バスバーの重なり領域には、薄い絶縁板がバスバー間に配置され、当該絶縁板はバスバー間の短絡を防止する。薄い絶縁板は、磁場に著しい影響を与えない。
【0019】
第1バスバー及び第2バスバーは、第1バスバーを流れる電流が第1磁場を生成し、第2バスバーを流れる電流が第2磁場を生成するように配置されてもよく、この場合、第1磁場及び第2磁場は互いに補償し合う。磁場を補償し合うことで、全ての巻回要素に対して低いインダクタンス及び均一なインピーダンスがもたらされ得る。したがって、コンデンサは、10KHZを超えるスイッチング周波数で動作させても共振効果を示さないことがある。
【0020】
各巻回要素は、正極及び負極を有することができ、この場合、第1バスバーは、各巻回要素の正極又は各巻回要素の負極のいずれかに接続される。第2バスバーは、各巻回要素の正極又は各巻回要素の負極のそれぞれに対応する他方に接続され得る。バスバーは、バスバー内で反対の極性の電流が流れるように構成することができる。
【0021】
一実施形態では、コンデンサは、第5バスバーと第6バスバーとを含む。第1バスバー及び第2バスバーは、スタックの一方の側に配置され、第5バスバー及び第6バスバーは、第1バスバー及び第2バスバーが配置される側とは反対のスタックの側に配置される。第5バスバーは第1バスバーと同じ極に接続され、第6バスバーは第2バスバーと同じ極に接続される。
【0022】
第1バスバー及び第2バスバーは、スタックの積層方向に垂直な面法線を有する、当該スタックの側面に配置されてもよい。第5バスバー及び第6バスバーは、第1バスバー及び第2バスバーが配置され、且つ積層方向に垂直な面法線を有する側面とは反対側の側面に配置されていてもよい。
【0023】
第1バスバー及び第2バスバーに対向する第5バスバー及び第6バスバーの配置により、巻回要素へ電流を対称的に印加することができる。特に、各巻回要素について、第1バスバー及び第5バスバーは、互いに対して対称である2つの位置で巻回要素の一方の極に接続されてもよく、第2バスバー及び第6バスバーは、互いに対して対称である2つの位置で巻回要素の他方の極に接続されてもよい。
【0024】
さらに、電流は、2つのバスバー、即ち第1バスバー及び第5バスバー、並びに第2バスバー及び第6バスバーによって、それぞれ巻回要素の各極に印加され得るので、コンデンサは、高電流用途に特に適し得る。
【0025】
少なくとも2つの巻回要素は1つのスタックに配置することができ、この場合、第1バスバー及び第2バスバーは、当該スタックの側面に配置される。スタックの側面は、スタックの上面及び底面に垂直な面であってよく、この場合、巻回要素に接触する金属化部及び接続要素は、巻回要素の上面及び底面に配置される。スタックの上面は、複数の巻回要素の上面によって形成することができる。スタックの底面は、複数の巻回要素の底面によって形成することができる。
【0026】
少なくとも2つの巻回要素は1つのスタックに配置することができ、この場合、第1バスバー及び第2バスバーは、スタックの少なくとも2つの面に配置される。特に、第1バスバー及び第2バスバーは、スタックの1つ又は複数の側面、及び/又は上面、及び/又は底面を、完全に又は部分的に覆うことができる。
【0027】
全ての巻回要素は、単一のスタックに配置されてもよい。スタックは、3つ以上の巻回要素を含むことができる。
【0028】
積層方向において、第1バスバーは、1つの巻回要素の上面と、隣接する巻回要素の底面とに交互に接続されてもよい。積層方向において、第2バスバーは、1つの巻回要素の底面と、隣接する巻回要素の上面とに交互に接続されてもよい。したがって、各巻回要素の上面は、第1バスバー又は第2バスバーのいずれかに接続されており、各巻回要素の底面もまた、第1バスバー又は第2バスバーのいずれかに接続されている。
【0029】
スタックにおいて、各巻回要素の上面は、同じ方向を向くことができる。各巻回要素の底面は、巻回要素の上面と反対であってよい。複数の巻回要素の上面は、スタックの上面を形成することができる。複数の巻回要素の底面は、スタックの上面と反対側のスタックの底面を形成することができる。
【0030】
本実施形態では、複数の巻回要素は、交互に両方のバスバーと接続される。これにより、複数の巻回要素の極性は、積層方向に沿って互い違いになる。言い換えれば、積層方向において、各巻回要素は、隣接する巻回要素とは逆の極性を有する。
【0031】
その結果、磁束は、巻回要素間の接続部を含むすべての接続部において補償され得る。これにより、巻回要素間、及び、巻回要素と端子との間において、寄生インダクタンス及び寄生抵抗のみが非常に小さくなり得る。寄生インダクタンス及び寄生抵抗を低減することによって、端子から各巻回要素へのインピーダンスは、コンデンサが動作され得る帯域幅内の各周波数に対して、巻回要素間でより均一となる。従って、全帯域幅におけるコンデンサの性能は、低周波数安定のESR、各端子対からの均一なESR、各端子対からの低く均一なESL、均一な内部電流分布、及び内部共振の回避により良好となる。
【0032】
別の実施形態では、第1バスバーは、各巻回要素の上面に接続されてもよく、第2バスバーは、各巻回要素の底面に接続されてもよい。
【0033】
コンデンサは、少なくとも4つの巻回要素を備えることができ、この場合、少なくとも2つの巻回要素は第1スタックに配置され、少なくとも2つの巻回要素は第2スタックに配置される。複数の巻回要素は、第1スタックの上面が第2スタックの上面の極性と反対の極性を有するように、第1スタック及び第2スタックにそれぞれ配置されてよい。スタックにおける巻回要素のこの配置は、重なり合うバスバー内で電流が反対方向に流れることを確実にし得る。
【0034】
第1バスバー及び第2バスバーは、第1スタックと第2スタックとの間に配置されてもよい。これは、第1バスバー及び第2バスバーを第1スタック及び第2スタックの両方に接触させることを容易にすることができる。
【0035】
第1バスバーは、巻回要素の上面又は底面に重なる部分よりも、スタック間の部分においてより大きな厚さを有してよい。第2バスバーは、巻回要素の上面又は底面に重なる部分よりも、スタック間の部分においてより大きな厚さを有してよい。スタック間の厚さが大きいほど、コンデンサの電流容量が高くなる。上面又は底面に重なる部分の厚さが小さいため、バスバーは、溶接によって巻回要素に容易に固定することができる。
【0036】
第1バスバーは、スタックの間の部分で折り曲げられてもよく、及び/又は第2バスバーは、スタックの間の部分で折り曲げられてもよい。折り曲げ部は、それぞれのバスバーを180°回転させることによって形成することができる。
【0037】
複数の巻回要素は、第1スタックの上面が第2スタックの上面の極性と反対の極性を有するように、第1スタック及び第2スタックにそれぞれ配置されてもよい。
【0038】
第1バスバーは、第1スタックにおける巻回要素の上面と、第2スタックにおける巻回要素の底面とに接続されてもよい。第2バスバーは、第1スタックにおける巻回要素の底面と、第2スタックにおける巻回要素の上面とに接続されてもよい。これにより、第1スタックの各巻回要素が、当該第1スタックの巻回要素に対してその極性が反転した第2スタックの巻回要素に隣接して配置されることを確実にし得る。
【0039】
第1バスバーは、第1スタックの上面及び第2スタックの上面に配置され、且つ第1スタックにおける巻回要素の上面に接続されてもよい。第2バスバーは、第1スタックの上面及び第2スタックの上面に配置され、且つ第2スタックにおける巻回要素の上面に接続されてもよい。したがって、第1バスバー及び第2バスバーの両方を、両方のスタックの上面に配置することができ、その結果、両バスバーの重なりが大きくなる。
【0040】
更に、コンデンサは、第3バスバー及び第4バスバーを備えることができる。第3バスバーは、第1スタックの底面及び第2スタックの底面に配置され、且つ第1スタックにおける巻回要素の底面に接続されてもよい。第4バスバーは、第1スタックの底面及び第2スタックの底面に配置され、且つ第2スタックにおける巻回要素の底面に接続されてもよく、この場合、第3バスバー及び第4バスバーは互いに重なり合う。したがって、第3バスバー及び第4バスバーの両方を、両方のスタックの底面に配置することができ、その結果、両バスバーの重なりが大きくなる。
【0041】
一実施形態では、コンデンサは、4つのバスバーを備えることができ、この場合、バスバーは、第1スタックと第2スタックとの間に配置され、バスバーは、隣接するバスバーに逆方向に電流が流れるように巻回要素に接続される。バスバーのこの配置は、磁場の特に良好な相殺をもたらし得る。4つのバスバーは、第1極性の極に接続された各バスバーが、第2極性の極に接続されたバスバーのみに隣接し、逆に、第2極性の極に接続された各バスバーが、第1極性の極に接続されたバスバーのみに隣接するように配置されてもよい。
【0042】
特に、第1バスバーは、第1極性を有する第1スタックにおける巻回要素の上面に接続されてもよい。第2バスバーは、第1極性と反対の第2極性を有する第2スタックにおける巻回要素の上面に接続されてもよい。第3バスバーは、第1極性を有する第2スタックにおける巻回要素の底面に接続されてもよい。第4バスバーは、第2極性を有する第1スタックにおける巻回要素の底面に接続されてもよい。第1バスバーは、第2バスバーに直接隣接していてもよい。第2バスバーは、第3のバスバーに直接隣接していてもよい。第3バスバーは、第4バスバーに直接隣接していてもよい。
【0043】
第1バスバーは2つの部分を含んでもよく、及び/又は第2バスバーは2つの部分を含んでもよい。当該部分の各々は、Z字形状の断面を有していてもよい。バスバーのこの設計は、特に大きな重なり領域を提供し、従って、電磁束の非常に効果的な相殺を提供し得る。従って、低い寄生インダクタンス及び低い寄生抵抗を提供することができ、負の電磁相互作用を回避することができる。
【0044】
第1バスバーは、例えば溶接又ははんだ付けによって複数の巻回要素に直接接続されてもよく、第2バスバーは、例えば溶接又ははんだ付けによって複数の巻回要素に直接接続されてもよい。直接の接続は、寄生インダクタンス及び寄生抵抗を低減し、接続要素による接続と比較して、負の電磁相互作用を回避する。しかしながら、別の実施形態では、バスバーは、接続要素によって巻回要素に接続されてもよい。
【0045】
第1バスバーは、各巻回要素の上面で2つの接続要素に接触するように形成されてもよく、この場合、第2バスバーは各巻回要素の底面で2つの接続要素に接触するように形成され、第1バスバー及び第2バスバーの各々はスタックの3つの側面を覆い、第1バスバーはスタックの上面を部分的に覆い、第2バスバーはスタックの底面を部分的に覆う。
【0046】
コンデンサは、少なくとも4つの巻回要素を備えることができ、この場合、少なくとも2つの巻回要素は第1スタックに配置され、少なくとも2つの巻回要素は第2スタックに配置され、複数の巻回要素は、第1スタックの上面が第2スタックの上面の極性と反対の極性を有するように、第1スタック及び第2スタックにそれぞれ配置され、第1バスバー及び第2バスバーの各々はZ字形状の断面を有し、第1バスバー及び第2バスバーは、第1スタックと第2スタックとの間に配置され、第1バスバー及び第2バスバーの各々は、第1スタックの上面を部分的に覆うとともに、第2スタックの底面を部分的に覆う。
【0047】
巻回要素は、非円形の直径を有する。特に、巻回要素は平坦であってよい。平坦な巻回要素は、巻回要素間における空間が無駄にならないように積み重ねて配置することができる。
【0048】
コンデンサは、直流リンクコンデンサであってもよい。コンデンサは、任意の種類のコンデンサとすることができる。例えば、コンデンサは、フィルムコンデンサ又は電解コンデンサであってもよい。コンデンサは、電力コンデンサであってもよい。
【0049】
電解コンデンサは、正の端子及び負の端子で分極され、化学的電解質又は固体ポリマー電解質で満たされ、これは、極めて大きな静電容量値を達成する特性を与える。フィルムコンデンサは、金属化フィルムを含んでもよい。
以下、図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図3】
図3は、第2実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図4】
図4は、第2実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図5】
図5は、第3実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図6】
図6は、第3実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図7】
図7は、第3実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図8】
図8は、第3実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図9】
図9は、第3実施形態に係るコンデンサを示す。
【
図43】第7実施形態のコンデンサと参考コンデンサのESRの比較を示す。
【
図49】
図49は、第14実施の形態に係るコンデンサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1及び
図2は、第1実施形態によるコンデンサを示す。
図1は当該コンデンサを底面図で示し、
図2は当該コンデンサを側面図で示す。
【0052】
コンデンサは、600Vより高い電圧、及び10KHZより高いスイッチング周波数に設計されたDCリンクコンデンサである。
【0053】
コンデンサは、複数の巻回要素1を備える。
図1及び
図2に示す実施形態では、コンデンサは、5つの巻回要素1を備える。しかし、コンデンサは、任意の他の数の巻回要素1を備えてもよい。
【0054】
各巻回要素1は、軸線A周りに巻回されている。軸線Aは、巻回要素1の底面2から巻回要素1の上面3まで延びている。各巻回要素1の上面3は、いわゆるスクープ層(Schoop-layer)と呼ばれる金属化部4で覆われている。上面3の金属化部4は、巻回要素の第1電極、又は巻回要素の第1電極セットに接続されている。各巻回要素1の底面2も、いわゆるスクープ層(Schoop-layer)と呼ばれる金属化部4で覆われている。底面2の金属化部4は、巻回要素1の第2電極、又は巻回要素1の第2電極セットに接続されている。第1電極及び上面3における金属化部4、又は第1電極セット及び上面3における金属化部4は、巻回要素1の第1極を形成する。第2電極及び底面2における金属化部4、又は第2電極セット及び底面2における金属化部4は、巻回要素1の第2極を形成する。コンデンサ1の動作中は、第1極と第2極との間に電圧が印加される。
【0055】
視覚化のために、図面において、第1極は「プラス」でマークされ、第2極は「マイナス」でマークされている。交流が印加されると、分極は連続的に変更され得る。
【0056】
各巻回要素1における上面3及び底面2には、接続要素5、例えば接続ストライプ(connection stripe)又はボンディングワイヤが配置されている。
【0057】
巻回要素1は、非円形の断面を有する。特に、巻回要素1は平坦である。
【0058】
巻回要素1は、スタック6に配置されている。巻回要素1は、各巻回要素1の上面3が同じ方向を向くようにスタック6に配置されている。複数の巻回要素1は、それらの軸線Aが平行になるようにスタック6に配置されている。スタック6の上面6aは、複数の巻回要素1の上面3によって形成されている。また、スタック6の底面6bは、複数の巻回要素1の底面2によって形成されている。スタック6の底面6bは、スタック6の上面6aと反対側にある。さらに、スタック6は、4つの側面6c、6d、6e、6fを有する。側面6c,6d,6e,6fの各々は、上面6A及び底面6Bに垂直である。
【0059】
コンデンサは、複数の巻回要素1からなるスタック6と接触し得る第1バスバー7及び第2バスバー8を含む。特に、第1バスバー7は、各巻回要素1の第1電極、又は、各巻回要素1の第1電極セットに電圧を印加するように構成されている。第2バスバー8は、各巻回要素1の第2電極、又は、各巻回要素1の第2電極セットに電圧を印加するように構成されている。
【0060】
第1バスバー7は、各巻回要素1の上面3に接続されている。特に、第1バスバー7は、各巻回要素1の上面3で接続要素5に接続されている。第2バスバー8は、各巻回要素1の底面2に接続されている。特に、第2バスバー8は、各巻回要素1の底面2で接続要素5に接続されている。
【0061】
第1バスバー7は、少なくとも1つの端子9を含む。第1バスバー7は、少なくとも1つの端子9を介して、外部電源、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の電極に接続されるように構成される。第2バスバー8も、少なくとも1つの端子9を含む。第2バスバー8は、少なくとも1つの端子9を介して、外部電源、例えば絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の別の電極に接続されるように構成される。第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、2つ以上の端子9を備えることができる。
【0062】
第1実施形態では、第1バスバー7の端子9はスタック6の上面6aに配置され、第2バスバー8の端子9はスタック6の底面6bに配置される。第1バスバー7及び第2バスバー8は、スタック6の側面6eに配置されている。さらに、第1バスバー7は、スタックの上面6aに部分的に重なる。第2バスバー8は、スタック6の底面6bに部分的に重なる。
【0063】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、互いに重なり合うように配置されている。薄い絶縁板が、第1バスバー7及び第2バスバー8の重なり領域において、第1バスバー7及び第2バスバー8の間に配置されている。薄い絶縁板は、両バスバー間の短絡を防止する。薄い絶縁板は、
図1及び
図2には示されていない。
【0064】
第1バスバー7は、各巻回要素1の第1電極又は第1の電極セットに電圧を印加するように構成されている。第2バスバー8は、各巻回要素1の第2電極又は第2電極セットに電圧を印加するように構成されている。第1電極及び第2電極、又は第1電極セット及び第2電極セットは、それぞれ反対の極性を有するので、第1バスバー7を流れる電流及び第2バスバー8を流れる電流は反対の方向を有する。
【0065】
第1バスバー7を流れる電流は第1磁場を生成する。第2バスバー8を流れる電流は第2磁場を生成する。第1バスバー7及び第2バスバー8が互いに重なり合い、第1バスバー7及び第2バスバー8内の電流が反対方向を有するので、第1バスバー7及び第2バスバー8内に生成された磁場は、互いに打ち消し合うか又は少なくとも互いに弱め合う。
【0066】
従って、互いに重なり合う両バスバー7、8の配置により、両バスバー7、8の磁場が減少する。これにより、両バスバー7、8のインダクタンスが低減される。両バスバー7、8から各巻回要素1へのインダクタンスは非常に低く均一であり、各巻回要素1が同じ静電容量を有するので、各巻回要素1はほぼ同じインピーダンスを有する。巻回要素1が異なるインピーダンスを有していれば、特に10KHZを超える高いスイッチング周波数を印加した場合に、コンデンサにおける共振効果が避けられないことになる。両バスバー7、8が重なり合うため、各巻回要素1のインピーダンスはほぼ同じであり、これにより顕著な共振効果は生じない。従って、コンデンサにおける損失を低減することができる。特に、寄生インダクタンス及び寄生抵抗が大幅に低減される。端子9から各巻回要素1までのインピーダンスは、全ての周波数帯域幅において均一である。これは、低い等価直列抵抗(ESR)、周波数安定のESR、各端子と各接続要素との間の均一なESR、低い等価直列インダクタンス(ESL)、各端子と各接続要素との間の均一なESL、及び内部共振の回避をもたらす。これにより、600Vを越える電圧及び10KHZを越えるスイッチング周波数でのコンデンサの動作が可能になる。
【0067】
図1及び
図2に示すように、各巻回要素1の接続要素5に接続された両バスバー7、8を使用することにより、均一な内部電流分布が得られる。特に、電流が両バスバー7、8を通って両バスバー7、8の端子9から接続要素5まで移動しなければならない長さは、ほぼ同じである。当該コンデンサの設計により、電流がそれに沿って移動しなければならない長さが各巻回要素1に対して同一となるように、両バスバー7、8を設計することは不可能である。しかしながら、磁場の相殺によって両バスバー7、8のインダクタンスが非常に低いので、電流がそれに沿って移動する必要がある長さの差異は、巻回要素1の性能を著しく損なわない。
【0068】
図3及び
図4は、第2実施形態によるコンデンサを示す。
図3は当該コンデンサの底面図を示し、
図4は側面図を示す。
【0069】
第2実施形態によるコンデンサは、第5バスバー10及び第6バスバー11を備える。第5バスバー10及び第6バスバー11は、第1バスバー7及び第2バスバー8に対してスタック6の反対側に配置されている。
【0070】
第2実施形態のコンデンサでは、各巻回要素1は、その上面3に配置された2つの接続要素5と、その底面2に配置された2つの接続要素5とを含む。上面3に配置された接続要素5は、両方とも、上面3を覆う金属化部4に接続されており、それによって、第1電極に又は第1電極セットにそれぞれ接続される。底面2に配置された接続要素5は、両方とも、底面2を覆う金属化部4に接続され、それによって、第2電極に又は第2電極セットにそれぞれ接続される。
【0071】
第5バスバー10は、各巻回要素1の上面3に接続されている。特に、第1バスバー7は、各巻回要素1の上面3における接続要素5の1つに接続され、第5バスバー10は、各巻回要素1の上面3におけるそれぞれの他の接続要素5に接続される。
【0072】
第6バスバー11は、各巻回要素1の底面2に接続されている。特に、第2バスバー8は、各巻回要素1の底面2における接続要素5の1つに接続され、第6バスバー11は、各巻回要素1の底面2におけるそれぞれの他の接続要素5に接続される。
【0073】
したがって、第2実施形態によれば、電流は、第1バスバー7及び第5バスバー10によって第1電極又は第1の電極セットに、且つ、第2バスバー8及び第6バスバー11によって第2電極又は第2電極セットに、各巻回要素1内に印加され得る。電流が2つのバスバーによって2点で巻回要素1の各電極に印加されるので、第2実施形態に係るコンデンサは、第1実施形態に係るコンデンサよりも強い電流によって動作するように構成される。
【0074】
第5バスバー10及び第6バスバー11は互いに重なり合っている。したがって、それらの磁場は、互いに打ち消し合うか、又は少なくとも弱め合う。従って、第5バスバー10及び第6バスバー11も低いインダクタンスを有する。
【0075】
また、第2実施形態のコンデンサは対称的であり、互いに対称な2箇所から各巻回要素1の各極に電流を誘導できる。コンデンサのこの対称的な設計は、共振効果をさらに減少させることができ、それによって、寄生インピーダンス及び寄生抵抗による損失を減少させることができる。
【0076】
図5~
図10は、第3実施形態に係るコンデンサを示す。
図5は当該コンデンサを斜視図で示す。
図6は当該コンデンサを側面図で示す。
図7は当該コンデンサを平面図で示す。
図8は、当該コンデンサを
図6に対して90度回転させた別の側面図で示す。
図9は、当該コンデンサのバスバー7、8及び巻回要素1を斜視図で示す。
図10は、バスバー7、8のみを斜視図で示す。
【0077】
また、第3実施形態に係るコンデンサは、各巻回要素1の第1電極又は第1電極セットに接続された第1バスバー7と、各巻回要素1の第2電極又は第2電極セットに接続された第2バスバー8とを備える。第1バスバー7及び第2バスバー8は、両方ともスタック6の第1側面6eに配置されている。第1バスバー7及び第2バスバー8は、第1側面6eで完全に重なり合っている。さらに、第1バスバー7はスタック6の上面6aを部分的に覆っており、第2バスバー8はスタック6の底面6bを部分的に覆っている。第1バスバー7は、各巻回要素1の上面3において金属化部4に電気的に接続される。第2バスバー8は、各巻回要素1の底面2において金属化部4に電気的に接続される。
図9に示すように、バスバー間の短絡を避けるために、第1バスバー7と第2バスバー8との間に絶縁板12が配置されている。絶縁板12は、磁場に大きく影響しないように薄型である。
【0078】
上記実施形態に関してすでに説明したように、バスバー7、8が重なり合っているため、第1バスバー7を流れる電流によって生成された磁場は、第2バスバー8を流れる電流によって生成された磁場によって弱められるか打ち消され、この場合、第2バスバー7を流れる電流は、第1バスバー7を流れる電流とは反対の方向に流れている。これは、非常に低いインダクタンスをもたらす。
【0079】
図11~
図14は、第4実施形態に係るコンデンサを示す。
図11に当該コンデンサの平面図を示す。
図12に当該コンデンサの斜視図を示す。
図13は側面図を示し、
図14は異なる角度からの別の側面図を示す。第4実施形態のコンデンサは、バスバー7,8の端子9の配置の点で第3実施形態と異なる。第3実施形態によれば、端子9はスタック6の第1側面6eに配置されている。第4実施形態によれば、端子9はスタック6の上面6aに配置されている。
【0080】
さらに、第4実施形態では、第1バスバー7及び第2バスバー8が異なって設計されている。特に、第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、スタック6の第1側面6eを完全に覆い、スタック6の上面6a及び底面6bを部分的に覆うように配置されている。
【0081】
さらに、第4実施形態のコンデンサは、巻回要素1の数の点で上述の実施形態と異なる。第4実施形態のコンデンサは、9つの巻回要素1を備える。コンデンサは、また、任意の他の数の巻回要素1で構成することもできる。
【0082】
第4実施形態では、第1バスバー7及び第2バスバー8は互いに重なり合っており、その結果、バスバー7、8を流れる電流によって生成される磁場の弱化が打ち消される。
【0083】
図15~
図18は、第5実施形態のコンデンサを示す。第5実施形態は、第1バスバー7及び第2バスバー8の設計において上記実施形態とは異なる。
【0084】
バスバー7、8は、第2実施形態と同様に、2点で各巻回要素1に接続される。しかしながら、第2実施形態に示すように各巻回要素1の同じ極に接続される2つの別個のバスバー7、8を設けるのではなく、第1バスバー7は、各巻回要素1の上面3における接続要素5の両方に接触するように形成されている。第2バスバー8は、各巻回要素1の底面2における接続要素5の両方に接触するように形成されている。第1バスバー7及び第2バスバー8は、スタック6の3つの側面6c、6d、6eを完全に覆い、スタック6の上面6a及び底面6bを部分的に覆う。
【0085】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、互いに重なり合っている。特に、第1バスバー7及び第2バスバー8は、ほぼ同じ位置に配置されている。第2バスバー8は、第1バスバー7の面積の90%を超えて重なる。バスバー7、8の重なりは、上述したように、非常に低いインダクタンスをもたらす。
【0086】
第2実施形態に関して説明したように、電流が2つの接続要素5を介して各巻回要素1の各極に印加されるので、第5実施形態のコンデンサは強電流に適している。
【0087】
図19及び
図20は、第6実施形態によるコンデンサを示す。
図19は当該コンデンサの平面図を示し、
図20は当該コンデンサの側面図を示す。
【0088】
コンデンサは、2つのスタック6、13を備え、各スタック6、13は、複数の巻回要素1から構成されている。第1スタック6における巻回要素1は、第2スタック13における隣接する巻回要素1と比較して極性が反転するように配置されている。特に、第1スタック6の巻回要素1の上面3は第1極に対応し、第2スタック13の巻回要素1の上面3は第2極に対応している。
【0089】
第6実施形態に係るコンデンサは、第1バスバー7と第2バスバー8を備える。第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、Z字形状の断面を有する。第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、2つのスタック6、13の間に配置されている。さらに、第1バスバー7は、第1スタック6の上面6aを部分的に覆い、第2スタック13の底面13bを部分的に覆う。第1バスバー7は、第1スタック6の上面6aにおける各巻回要素1の接続要素5、及び、第2スタック13における各巻回要素1の底面13bで各接続要素5に接続される。逆に、第2バスバー8は、第1スタック6の各巻回要素1の底面2における各接続要素5、及び、第2スタック13の各巻回要素1の上面3における接続要素5に接続される。第1バスバー7を通って流れる電流は、第1スタック6の第1極及び第2スタック13の第1極に印加され、第2バスバー8を通って流れる電流は、第1スタック6の第2極及び第2スタック13の第2極に印加される。第1スタック6では、第1極がスタック6の上面6aに配置され、第2スタック13では、第2極が第2スタック13の上面13aに配置される。したがって、バスバー7、8を流れる電流は反対方向に流れ、その結果、互いに打ち消し合う又は弱め合う磁場が生じる。これにより、巻回要素間において非常に低いインダクタンス、及び均一なインピーダンスを有するコンデンサが提供される。
【0090】
図21~
図23は、第7実施形態に係るコンデンサを示す。
図21は、当該コンデンサを斜視図で示す。
図22は当該コンデンサを平面図で示し、
図23は当該コンデンサを側面図で示す。
【0091】
第6実施形態に関して既に説明したように、コンデンサは複数の巻回要素1からなる2つのスタックを含む。第7実施形態では、バスバーの設計が異なる。
【0092】
第7実施形態では、第1バスバー7は、第1スタック6及び第2スタック13の両方の上面6a、13aに配置されている。第1バスバー7は、第1スタック6の巻回要素1の上面3における接続要素5にのみ接続されている。第1バスバー7は、第2スタック13の上面13aに電気的に接続されていない。第2バスバー8は、第2スタック13の巻回要素1の上面3における接続要素5にのみ接続されている。第2バスバー8は、第1スタック6の上面6aに電気的に接続されていない。さらに、両方のバスバー7、8は互いに重なり合っている。
【0093】
更に、コンデンサは、第2スタック13の底面13bにおける接続要素5に接続される第3バスバー14と、第1スタック6の底面6bにおける接続要素5に接続される第4バスバー15とを備える。第3バスバー14及び第4バスバー15はいずれも、両スタック6,13の底面6b,13bに配置されており、互いに重なり合っている。
【0094】
第1バスバー7及び第3バスバー14は、第1極の複数の電極に電流を印加するように構成される。第2バスバー8及び第4バスバー15は、第2極の複数の電極に電流を印加するように構成される。バスバー14、15が互いに重なり合っており、電流がバスバー14、15内で反対方向に流れるため、第3バスバー14及び第4バスバー15の磁場は、互いに打ち消し合うか又は弱め合う。
【0095】
図24及び
図25は、第8実施形態によるコンデンサを示す。第8実施形態のバスバー7、8、14、15も互いに重なり合っている。第8実施形態のコンデンサも、複数の巻回要素1からなる2つのスタック6、13を備える。第6実施形態及び第7実施形態とは対照的に、巻回要素1はスタック内で90°だけ回転されている。
【0096】
図26~
図28は、第9実施形態によるコンデンサを示す。
図26は当該コンデンサの平面図を示し、
図27は当該コンデンサの側面図を示し、
図28は当該コンデンサの斜視図を示す。
【0097】
コンデンサは、4つのバスバー7、8、14、15を備えている。さらに、コンデンサは、複数の巻回要素1からなる2つのスタック6、13を含む。第1バスバー7及び第2バスバー8は、複数の巻回要素1からなる第1スタック6の側面6eに配置されている。また、第1バスバー7及び第2バスバー8は、第1スタック6の上面6a及び底面6bを部分的に覆っている。第1バスバー7は、第1スタック6における複数の巻回要素1の上面3で接続要素5に接続されている。第2バスバー8は、第1スタック6における底面6bで接続要素5に接続されている。
【0098】
また、第3バスバー14及び第4バスバー15は、第2スタック13の側面13eに配置されている。特に、第3バスバー14及び第4バスバー15は、第1バスバー7及び第2バスバー8が配置される第1スタック6の側面6eに直接隣接する側面13eに配置される。第3バスバー14は、第2スタック13の底面13bで接続要素5に接続されている。第4バスバー15は、第2スタック13の上面13aで接続要素5に接続されている。
【0099】
図29は、バスバー7、8、14、15及び巻回要素1の接続を説明する概略図を示す。簡単にするために、
図29では、第1極は再び「プラス」で示され、第2極は再び「マイナス」で示されている。
図29から、反対の極性を有するバスバーが互いに隣接して配置されていることが理解される。特に、各バスバーは、その隣接するバスバーに対して反対の極性を有する。これにより、4つのバスバー7,8,14,15が2つのスタック6,13の間の隙間で重なり合っているので、それらの磁場が非常に効率的に互いに相殺し合うことが確保される。この設計により、複数の巻回要素間のインダクタンスがさらに低くなり、さらに均一なインピーダンスが得られる。
【0100】
図30及び
図31は、第10実施形態によるコンデンサを示す。第10実施形態のコンデンサも、複数の巻回要素1からなる2つの並列なスタック6、13と、複数の巻回要素1の間に配置された4つのバスバー7、8、14、15とを備える。第10実施形態のコンデンサは、第9実施形態のコンデンサとは、バスバーの端子9の配置のみが異なる。
【0101】
図32及び33は、第11実施形態によるコンデンサを示す。第11実施形態に係るコンデンサは、第10実施形態に係るコンデンサに基づくものであり、さらに、第1スタック6の側面6fに配置された第5バスバー10及び第6バスバー11、並びに、第2スタック13の側面13fに配置された第7バスバー16及び第8バスバー17を備える。第11実施形態によるコンデンサは、2つの位置で各スタック6、13の各極に電流を印加するように設計されており、これにより、第2実施形態と同様に、より強い電流の印加が可能になる。このコンデンサは、さらに高い度合での対称性を有し、その結果、さらに少ない共振効果をもたらす。これにより、寄生インダクタンス及び寄生抵抗による損失がさらに低減される。
【0102】
図34~
図37は、第12実施形態に係るコンデンサを示す。
図38は、第12実施形態に係るコンデンサのバスバー7、8、14、15を示す。
図39は、第12実施形態のバスバー7、8、14、15を異なる視点から見た斜視図を示す。バスバー7、8、14、15は、第1極性のバスバーと第2極性のバスバーとが互いに重なり合って交互に配置されるスタックが形成されるように折り曲げられており、
図39で最もよく分かるようになっている。短絡を防止するために、薄い絶縁板12がバスバー7、8、14、15の間に配置されている。上記実施形態に関して説明したように、バスバー7、8、14、15のこの設計も、磁場が互いに打ち消し合い、低インダクタンスとなることを保証する。簡略化のために、絶縁板は
図38には示されていない。
【0103】
第1スタック6と第2スタック13との間のギャップには、重なり合うバスバーの4つの層が配置される。バスバーの4つの層の磁場は互いに打ち消し合う。従って、寄生インダクタンスが回避され、寄生共振が回避され、負の電磁相互作用(negative electromagnetic interactions)も回避される。
【0104】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、例えばはんだ付け又は溶接によって直接、巻回要素1に接続される。バスバー7、8を巻回要素1に接続するために、追加の又は別個の接続要素は必要とされない。そのような追加の又は別個の接続要素は、寄生インダクタンスの増加、寄生共振の増加及び負の電磁相互作用の発生をもたらす。第1バスバー7及び第2バスバー8と複数の巻回要素1との間に追加の又は別個の接続要素がないので、寄生インダクタンスが回避され、寄生共振が回避され、負の電磁相互作用も回避される。
【0105】
バスバー7、8は、当該バスバー7、8が、複数の巻回要素1の上面3の中点と、複数の巻回要素1の底面2の中点とに接続されるように、設計され寸法決めされることができる。バスバー7、8のこの設計は、高い電流容量をもたらし、大きな最大サイズを有する巻回要素1の使用を可能にする。
【0106】
図40~
図42は、第13実施形態によるコンデンサを示す。第13実施形態に係るコンデンサは、第5実施形態に係る2つのコンデンサが並んで配置され、複数の巻回要素1からなる2つのスタック6,13を形成し、この場合、第2スタック13において、複数の巻回要素1はそれらの極性に関して反対に配置される。この場合も、反対の極性を有するバスバー7、8、14、15は互いに重なり合っており、その結果、それぞれの磁場が打ち消されるか又は弱められる。
【0107】
図43は、曲線C1によって表される本発明の第7実施形態によるコンデンサの周波数にわたるESRのプロットを、
図44に示されるような参考コンデンサと比較して示しており、この場合、反対の極性のバスバーは、曲線C2によって表されており、互いに重なり合っていない。
図43から、第7実施形態によるコンデンサのESRよりも参考コンデンサのESRの方が高く、不均一な内部電流分布や内部共振のため、周波数の安定度が低いことが理解される。特に、10KHZより高い周波数では、第7実施形態によるコンデンサにおいて、ESRの著しい低減が観察され得る。
【0108】
図45~
図48は、第14実施形態に係るコンデンサを示す。
図45、
図47及び
図48は、第14実施形態によるコンデンサの斜視図を示す。
図46は、コンデンサの第1バスバー7及び第2バスバー8を示す。更に、
図46は、バスバー7、8の間に配置される絶縁板12を示す。
【0109】
図49は、第1バスバー7及び第2バスバー8を示す。第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、2つの部分を備える。第1バスバー7の第1部分7aは
図50に示されている。第1バスバー7の第2部分7bは
図51に示されている。第2バスバー8の第1部分8aは
図52に示されている。第2バスバー8の第2部分8bは
図53に示されている。コンデンサの複数の巻回要素1は、単一のスタック6に配置される。積層方向Sにおいて、複数の巻回要素1は、それらの極性に関して交互に構成されている。
【0110】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、両方ともスタック6の側面6cに配置される。第1バスバー7と第2バスバー8は、スタックの側面6aで互いに重なり合う。また、第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、スタック6の上面6a及びスタック6の底面6bに重なっている。
【0111】
コンデンサに交流電流が印加されると、第1バスバー7及び第2バスバー8の重なり部分における電流は反対の方向を有する。したがって、寄生インダクタンス、寄生抵抗及び負の電磁相互作用は低くなる。
【0112】
積層方向Sにおいて、第1バスバー7は、1つの巻回要素1の上面3、及び、隣接する巻回要素1の底面2に交互に接続される。第2バスバー8は、それぞれの他方の面、すなわち、1つの巻回要素1の底面3、及び、隣接する巻回要素1の上面2に接続される。このように2つのバスバー7、8を交互に複数の巻回要素1に接続することにより、積層方向Sに沿って交互に極性を有する巻回要素1となる。これにより、隣接する巻回要素1の磁束を互いに補償することができる。磁束の補償は、低い寄生インダクタンス、低い寄生抵抗、及び低い負の電磁相互作用をもたらす。
【0113】
磁束の補償により、複数の巻回要素1の間における、及び、巻回要素1と端子との間における寄生インダクタンス及び寄生抵抗が減少する。これにより、端子9から各巻回要素1までのインピーダンスは、全ての帯域幅において複数の巻回要素1間でより均一となるので、全ての帯域幅におけるコンデンサの性能はより良好となる。特に、コンデンサは、低く周波数安定なESR、各対の端子からの均一なESR、各対の端子からの低均一なESL、均一な内部電流分布を有しており、内部共振が回避される。
【0114】
上述したように、第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、2つの部分から構成されている。第1バスバー7の2つの部分7a,7bは、それぞれZ形状の断面を有する。
【0115】
第1部分7aは、第1区分18と、第2区分19と、第3区分20とを含む。第2区分19は、第1区分18と第3区分20との間に配置されている。第2区分19は、第1区分18及び第3区分20のそれぞれに対して垂直である。第1区分18及び第3区分20は、互いに平行である。第1区分18、第2区分19、及び第3区分20のこのような設計は、第1バスバー7の第1部分7aにおけるZ形状の断面をもたらす。
【0116】
第1部分7aの第1区分18は、第1バスバー7の端子9の一部である。第1部分7aの第2区分19は、スタック6の側面6cに配置される。第1部分7aの第3区分20は、スタック6の底面6bに配置される。第3区分20は、巻回要素1の底面2に電気的及び機械的に接続された一対の2つの突出部21を備える。特に、第3区分20は、積層方向Sにおいて1つおきの巻回要素1の底面2に電気的及び機械的に接続された多対の2つの突出部21を備えている。
【0117】
第1バスバー7の第2部分7bは、第1バスバー7の第1部分7aに類似して設計される。特に、第2部分7bも、第1区分18、第2区分19、及び第3区分20を含む。第2部分7bもZ形状の断面を有する。
【0118】
第1バスバー7の第2部分7bの第1区分18は、第1バスバー7の端子9の一部である。特に、端子9は、第1部分7aの第1区分18及び第2部分7bの第1区分18によって形成される。第2部分7bの第2区分19は、第1区分18に対して垂直であり、スタック6の側面6cに配置されている。第2部分7bの第3区分20は、第2区分19に対して垂直であり、スタック6の上面6aに配置されている。第3区分20は、巻回要素1の上面3に電気的及び機械的に接続された一対の2つの突出部21を備える。特に、第3区分20は、それらの巻回要素1の上面2に電気的及び機械的に接続された多対の2つの突出部21を備え、当該巻回要素1は、第1部分7aに接続されていない底面2を有する。
【0119】
第2バスバー8の第1部分8a及び第2部分8bは、第1バスバー7の第1部分7a及び第2部分7bに類似して形成されており、従って、詳細には記載されていない。
【0120】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、複数の巻回要素1の上面3又は底面2に接続されている突出部21から離れて互いに完全に重なり合っている。したがって、突出部21は、バスバー7、8の唯一の部分であり、2つのバスバー7、8の電磁束は、それぞれの他のバスバーによって補償されない。全体として、これは、バスバー7、8内の電磁束の非常に大きな補償をもたらす。
【0121】
第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、多数の端子9を備える。端子9は、第1バスバー7及び第2バスバー8に沿って、巻回要素1に対して対称に分布されている。端子9の対称配置は、複数の巻回要素1間の電流平衡を最適化する。端子9を非対称に配置すると、複数の巻回要素1間の電流が不平衡になり、したがって、コンデンサの性能が低下する。
【0122】
第1バスバー7及び第2バスバー8の端子9に交流電流が印加されると、交流電流は、第1バスバー7の第1部分7a及び第2部分7bのそれぞれと、第2バスバー8の第1部分8a及び第2部分8bのそれぞれとを流れる。
【0123】
バスバー7、8の部分7a、7b、8a、8bの各々のZ形状の断面は、バスバー7、8における大きな重複領域をもたらす。したがって、大きな重複領域によって、寄生インダクタンスは非常に低く、寄生抵抗は非常に低く、負の電磁相互作用を回避することができる。
【0124】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、巻回要素1の上面3の中点又は底面2の中点に電気的に接続されている。バスバー7、8は、巻回要素1の寸法に適合させることができ、特に、当該バスバー7、8はそれぞれ、巻回要素1の上面3の中点に又は底面2の中点に、巻回要素1の寸法とは無関係に接続されるような寸法にすることができる。これは、電流容量及び許容される最大巻回サイズを増大させる。
【0125】
図54及び
図55は、第15実施形態によるコンデンサを示す。
図56は、第15実施形態に係るコンデンサのバスバー7、8を斜視図で示す。
図57は、第1バスバー7の第1部分7aを示す。第1バスバー7の第2部分7bは、
図58に示されている。第2バスバー8の第1部分8aは、
図59に示されている。第2バスバー8の第2部分8bは、
図60に示されている。
図61は、第1バスバー7及び第2バスバー8を断面図で示す。
【0126】
第15実施形態のコンデンサは、第14実施形態のコンデンサと実質的に同一であり、端子9の形状及び個数のみにおいて第14実施形態のコンデンサと異なる。第15実施形態によれば、第1バスバー7及び第2バスバー8のそれぞれは、1つの端子9のみを有する。端子9は、それぞれのバスバー7、8における、第1部分7a、8aの第1区分18と、第2部分7b、8bの第1区分18とによって形成される。第1区分18は、それぞれ、互いに垂直な小区分を含む。これにより、屈曲端子9が形成される。屈曲端子9は、スタック6の側面6cに垂直な小区分と、当該側面6cに平行な小区分とを有する。
【0127】
第15実施形態のコンデンサは、バスバー7、8の大きな重なり、及び、交互の極性を有する巻回要素1の配置から生じる結果として、第14実施形態のコンデンサと同じ利点を有する。
【0128】
図62及び
図63は、第16実施形態によるコンデンサを示す。
図64は、第16実施形態によるコンデンサのバスバー7、8を斜視図で示す。
図65は、バスバー7、8を断面図で示す。
図66は、
図65の一部の拡大図を示す。
図67は、第1バスバー7の第1部分7aを示す。第1バスバー7の第2部分7bは、
図68に示されている。第2バスバー8の第1部分8aは、
図69に示されている。第2バスバー8の第2部分8bは、
図70に示されている。
【0129】
第16実施形態のコンデンサは、端子9が側面6dに配置されている点で第15実施形態のコンデンサと相違する。側面6dの面法線は、積層方向Sと平行である。これに対して、第15実施形態のコンデンサの端子9は、側面6cに配置されており、この場合、側面6cの面法線は積層方向Sに垂直である。第16実施形態のコンデンサの他の特徴は、第15実施形態のコンデンサと同一である。第16実施形態のコンデンサは、第14実施形態のコンデンサ及び第15実施形態のコンデンサと同様の利点を有し、これは、バスバー7、8の大きな重なり、及び、交互の極性を有する巻回要素1の配置から生じる。
【0130】
図71及び
図72は、第17実施形態によるコンデンサを示す。
図73は、第17実施形態に係るコンデンサのバスバー7、8を斜視図で示す。
図74は、第1バスバー7の第1部分7aを示す。第2バスバー8の第1部分8aは
図75に示される。第2バスバー8の第2部分8bは
図76に示される。第1バスバー7の第2部分7bは
図77に示される。
図78は、バスバー7、8を断面図で示す。
【0131】
第17実施形態のコンデンサは、第12実施形態のコンデンサに類似しており、端子9の設計のみが異なる。第17実施形態によれば、端子9は、例えばネジ止めによってバスバーに固定される別個のフック形状要素を備える。フック形状要素は、バスバー7、8に電気的に接続され、コンデンサを別の回路要素に接続することを可能にする。
【0132】
第17実施形態によるコンデンサは、巻回要素1のスタック6、13の間に互いに4層に重なり合うバスバー7、8を有しており、これにより、寄生インダクタンスが非常に低く、寄生抵抗が非常に低く、負の電磁相互作用が回避され得る。バスバー7、8は、巻回要素1の上面3の中間点に、又は巻回要素1の底面2の中間点にそれぞれ接続され、したがって、コンデンサの高い電流容量及び大きな巻回要素の使用を可能にする。
【0133】
図79は、第18実施形態によるコンデンサを示す。
図80は、第18実施形態によるコンデンサのバスバー7、8を斜視図で示す。
図81は、バスバー7、8を断面図で示す。
図82は、第1バスバー7を示す。
図83は、第2バスバー8を示す。
【0134】
巻回要素1は、単一のスタック6に配置されている。積層方向Sに沿って、複数の巻回要素1は、それらの極性が交互になるように配置されている。したがって、各巻回要素1は、その隣接する巻回要素1と比較して反対の極性を有する。積層方向Sに沿った巻回要素の交互の極性のために、寄生インダクタンス、寄生抵抗、及び負の電磁相互作用は、全ての巻回要素1が同じ極性を有するコンデンサと比較して低減される。
【0135】
コンデンサは、第1バスバー7及び第2バスバー8を備える。各バスバー7、8は、単一の部品又は単一の部分からなる。したがって、第17実施形態とは対照的に、バスバー7、8は複数の部分を含まない。従って、第1バスバー7は、第1極性を有する複数の巻回要素1の各面に接続され、第2バスバー8は、第2極性を有する複数の巻回要素1の各面に接続される。バスバー7、8が単一の部品から成るので、それらの設計は、複数の部分から成るバスバー7、8と比較して、より単純である。
【0136】
端子9に交流電流が印加されると、交流電流はバスバー7、8全体に流れる。
【0137】
第1バスバー7及び第2バスバー8は、それぞれU字状の断面を有する。特に、それらは、巻回要素1のスタック6の同じ面に配置され、互いにほぼ完全に重なり合っている。従って、2つのバスバー7、8の重なり領域は非常に大きい。従って、寄生インダクタンス及び寄生抵抗は低く、負の電磁相互作用は回避される。
【0138】
バスバー7、8は、複数の巻回要素1の上面3の中間点に、又は、複数の巻回要素1の底面2の中間点にそれぞれ接続されている。バスバー7、8のこの設計は、大きな電流容量を有するコンデンサをもたらす。更に、バスバー7、8は、広範囲の巻回要素1に適合させることができ、これにより、巻回要素1の大きな最大サイズを可能にする。
【0139】
第1バスバー7及び第2バスバー8は互いに重なり合い、交流電流が逆方向にバスバー7、8内を流れる。従って、バスバー7、8によって生成される電磁束は互いに打ち消される。これにより、寄生インダクタンス、寄生抵抗、及び負の電磁相互作用が減少する。電磁束の相殺は、巻回要素1への接続部まで保証することができる。
【0140】
図84及び
図85は、第19実施形態によるコンデンサを斜視図で示し、
図87では、可視化の目的で絶縁板は示されていない。第18実施形態と比較して、第19実施形態のコンデンサは、2つの追加端子を備える。第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、2つの端子9を有する。積層方向Sにおいて、第1の一対の端子9がコンデンサの一端に配置され、第2の一対の端子9がコンデンサの反対端に配置されている。端子9のこの配置は、背中合わせのコンバータにおけるコンデンサの使用のために最適化される。同一のコンデンサをインバータ側と整流器側に接続することができる。
【0141】
第19実施形態のコンデンサは、第18実施形態のコンデンサに関して上述したのと同じ利点を有する。
【0142】
図86は、第20実施形態のコンデンサを示し、
図87は、第20実施形態のコンデンサのバスバー7、8を示す。第20実施形態のコンデンサは、端子9の配置の点で第18実施形態のコンデンサと異なる。第20実施形態によれば、第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は1つの端子9を含み、当該端子9はバスバー7、8の中央に配置される。第20実施形態のコンデンサは、第18実施形態のコンデンサに関して上述したのと同じ利点を有する。
【0143】
図88は、第21実施形態に係るコンデンサを斜視図で示す。
図89~
図92は、第21実施形態のコンデンサのバスバー7,8を示す。
【0144】
コンデンサは、複数の巻回要素1からなる第1スタック6と、複数の巻回要素1からなる第2スタック13とを含む。第1スタック6における巻回要素1はすべて同じ極性を有し、第2スタック13における巻回要素1もすべて同じ極性を有する。
【0145】
バスバー7、8はスタック6、13の間に配置されている。スタック6、13の間で、バスバー7、8は互いに重なり合う。第1バスバー7及び第2バスバー8の夫々は、二重L字形状を有しており、その中央部で180°折り曲げられている。折り曲げ部22の位置は、
図92に示されている。第1バスバー7及び第2バスバー8の各々は、スタック6、13の間に配置される区分と、巻回要素1における上面3又は底面2と重なる区分とを備える。バスバー7、8の折り曲げ部22のため、バスバー7、8は、上面2又は底面3と重なる区分よりも、スタック6、13の間の区分の厚さの方が大きい。スタック6、13の間の厚さが増加すると、スタック6、13の間に大きな電流容量が生じる。バスバー7、8は、巻回要素1の上面2又は底面3において薄いので、バスバー7、8を巻回要素1に溶接によって固定することが容易である。
【0146】
巻回要素1とバスバー7、8との間に、追加の又は別個の接続要素は必要とされない。バスバー7、8は、例えば溶接、又ははんだ付けによって巻回要素1に直接固定される。これにより、別個の接続要素を含むコンデンサと比較して、寄生インダクタンス及び寄生抵抗が減少し、負の電磁相互作用が回避される。
【0147】
上記実施形態に関して説明したように、バスバー7、8は、上面3の中間点、又は巻回要素1の底面2の中間点にそれぞれ接続される。
【0148】
両方のスタック6、13の極性は反対ではないので、バスバー7、8と巻回要素1との間の接続部を結び合わせる必要がない。これにより、簡単な解決策を得ることができる。
【0149】
図93は、第22実施形態に係るコンデンサを斜視図で示す。
図94~
図96は、第22実施形態に係るコンデンサのバスバー7,8を示す。
【0150】
第22実施形態のコンデンサは、
図19及び
図20に示された第6実施形態のコンデンサに類似している。コンデンサは、2つのスタック6、13を備え、各スタック6、13は、複数の巻回要素1からなる。第1スタック6における巻回要素1は、第2スタック13における隣接する巻回要素1と比較して極性が反転するように配置される。特に、第1スタック6における巻回要素1の上面3は第1極に対応し、第2スタック13における巻回要素1の上面3は第2極に対応する。
【0151】
第22実施形態のコンデンサのバスバー7,8の設計は、第6実施形態のコンデンサと異なる。バスバー7、8は、スタック6、13の間に配置され、巻回要素1の上面3又は底面2に重なる突出部21を備える。バスバー7、8は、例えばはんだ付け又は溶接によって巻回要素1に直接接続される。当該コンデンサは寄生インダクタンスが低く、寄生抵抗が低く、負の電磁相互作用が回避される。
【0152】
図97は、第23実施形態に係るコンデンサを斜視図で示す。
図98は、第1バスバー及び第2バスバーの一部の拡大図を示す。
【0153】
第23実施形態に係るコンデンサは、第22実施形態に係るコンデンサと類似している。第22実施形態とは対照的に、第1バスバー7及び第2バスバー8は、2つのスタック6、13の間に配置された区分において、巻回要素1の上面3又は底面2と重なる区分よりも大きな厚さを有する。このより大きな厚さは、スタック6、13の間の区分においてバスバー7、8の各々を折り畳むことによって達成される。
【0154】
スタック6、13の間におけるバスバー7、8の厚さが大きいため、電流容量は高い。巻回要素1の上面3又は底面2に重なるバスバー7、8の区分は厚さが薄いので、溶接プロセスは容易である。
【0155】
バスバー7、8は、巻回要素1に直接、すなわち、例えば溶接又ははんだ付けによって、追加の接続要素なしに接続することができる。これにより、寄生インダクタンスが低く、寄生抵抗が低く、負の電磁相互作用が回避されることが確保される。
【0156】
上述した全ての実施形態について、コンデンサ当たりの巻回要素1の数を変えることができる。巻回要素1の形状及び寸法は、上述の実施形態の全てにおいて変更することもできる。端子9のレイアウトは、各実施形態において変更することもできる。
【符号の説明】
【0157】
1 巻回要素
2 巻回要素の底面
3 巻回要素の上面
4 金属化部
5 接続要素
6 (第1)スタック
6a スタックの上面
6b スタックの底面
6c スタックの側面
6d スタックの側面
6e スタックの側面
6f スタックの側面
7 第1バスバー
7a 第1バスバーの第1部分
7b 第1バスバーの第2部分
8 第2バスバー
8a 第2バスバーの第1部分
8b 第2バスバーの第2部分
9 端子
10 第5バスバー
11 第6バスバー
12 絶縁板
13 第2スタック
13a 第2スタックの上面
13b 第2スタックの底面
14 第3バスバー
15 第4バスバー
16 第7バスバー
17 第8バスバー
18 第1区分
19 第2区分
20 第3区分
21 突出部
22 折り曲げ部
A 軸線
S 積層方向