IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アミクロ セミコンダクター カンパニー リミテッドの特許一覧

特許7136898格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ
<>
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図1
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図2
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図3
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図4
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図5
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図6
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図7
  • 特許-格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップ
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20220906BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20220906BHJP
   A01K 11/00 20060101ALI20220906BHJP
   A01K 27/00 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B25J5/00 E
A01K11/00 A
A01K27/00 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020531027
(86)(22)【出願日】2018-07-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 CN2018094744
(87)【国際公開番号】W WO2019109635
(87)【国際公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-06-05
(31)【優先権主張番号】201711281586.3
(32)【優先日】2017-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520347351
【氏名又は名称】珠海一微半導体股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】AMICRO SEMICONDUCTOR CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 2706,3000 Huandao East Road,Hengqin New District,Zhuhai,Guangdong 519000(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】肖 剛 軍
(72)【発明者】
【氏名】黄 泰 明
【審査官】中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-297675(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106982741(CN,A)
【文献】特表2017-509330(JP,A)
【文献】特開平07-193742(JP,A)
【文献】特開2017-114270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D1/00-1/12,
B25J1/00-21/02,
H04N5/222-5/257,7/18,
G08B23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの構築した格子地図に基づいて、ロボットの前記格子地図での現在位置点と対応する格子セルとを特定するステップ1と、
ロボットとペット身体上の無線信号装置との無線通信に基づいて、ペットとロボットとの相互位置関係を特定し、相互位置関係に基づいて、ペットの現在位置点と対応する格子セルとを特定するステップ2と、
ロボットの位置する格子セルとペットの位置する格子セルとの間であって、ロボットがペットを監視するカメラの撮像角度にカバーされる予め設定された範囲内の格子セルに、障害セルが存在するか否かを判断し、
NOであれば、ロボットのカメラの撮像方向をペットに向かうように維持し、ステップ2に戻り、
YESであれば、ステップ4に移行するステップ3と、
ペットの位置する格子セルを中心点とする予め設定された領域を特定し、前記予め設定された領域における走行済セルのロボットからの近い順の距離関係に基づいて、走行済セルを一つずつ監視候補セルとし、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルが存在するか否かを判断し、
NOであれば、前記監視候補セルを監視セルとして特定して、ステップ5に移行し、
YESであれば、次の走行済セルのロボットからの距離が最も遠いか否かを判断し、
NOであれば、ステップ4に戻り、
YESであれば、直接次の走行済セルを監視セルとして特定して、ステップ5に移行するステップ4と、
現在位置点から前記監視セルまで走行してペットを監視するように、ロボットを制御するステップ5と、を含み、
前記障害セルはロボットが障害物を検出した時の対応する格子セルであり、前記走行済セルはロボットが走行済の格子セルであることを特徴とする格子地図に基づくロボットのペット監視方法。
【請求項2】
ステップ1に記載のロボットの構築した格子地図に基づいて、ロボットの前記格子地図での現在位置点と対応する格子セルとを特定することは、
ロボットが走行中に検出したデータに基づいて、(X0,Y0)を原点とするXY軸座標系に基づく格子地図を構築するステップと、
前記格子地図における格子セルの辺長をLとするステップと、
ロボット自体の測位データに基づいて、ロボットの現在位置点の座標を(X1,Y1)とすると、現在位置点に対応する格子セルの格子座標は(S11,S12)で、S11=(X1-X0)/L、S12=(Y1-Y0)/L(S11とS12はいずれも整数部分を取る)であると特定するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ2に記載のロボットとペット身体上の無線信号装置との無線通信に基づいて、ペットとロボットとの相互位置関係を特定し、相互位置関係に基づいて、ペットの現在位置点と対応する格子セルとを特定することは、
ロボット本体上の第1UWB測位基地局と第2UWB測位基地局との間の距離をWとするステップと、
前記第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、前記第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とするステップと、
前記第1UWB測位基地局及び前記第2UWB測位基地局とペット身体上のUWB測位ラベルとの無線通信に基づいて、前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とするステップと、
前記第1UWB測位基地局を角頂点としてそれぞれ前記第2UWB測位基地局と前記UWB測位ラベルに向かう線のなす角度を第1角度とし、且つ第1角度α1が、α1=arccos((W2+R22-R12)/(2*W*R2))であると特定するステップと、
前記第2UWB測位基地局を角頂点としてそれぞれ前記第1UWB測位基地局と前記UWB測位ラベルに向かう線のなす角度を第2角度とし、且つ第2角度α2が、α2=arccos((W2+R12-R22)/(2*W*R1))であると特定するステップと、
前記UWB測位ラベルの現在位置点の座標を(Xc,Yc)とし、且つXc=X12+R2*cos(180°-α1-arccos((X12-X11)/W))、Yc=Y11+R1*cos(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))であると特定するステップと、
前記UWB測位ラベルの現在位置点に対応する格子セルの格子座標を(S21,S22)とし、且つS21=(Xc-X0)/L、S22=(Yc-Y0)/L(S21とS22はいずれも整数部分を取る)であると特定するステップと、を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ロボット本体上の第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とすることは、
ロボット本体の中心点の座標をロボットの現在位置点の座標とし、且つ座標を(X1,Y1)とするステップと、
ロボット本体の中心点が、前記第1UWB測位基地局と前記第2UWB測位基地局との連結線の中点であると特定するステップと、
前記第1UWB測位基地局と前記第2UWB測位基地局との間の距離をWとすると、ロボット本体の中心点から前記第1UWB測位基地局までの距離がW/2であり、ロボット本体の中心点から前記第2UWB測位基地局までの距離がW/2であると特定するステップと、
ロボットのジャイロスコープによって検出されたロボットの現在方向をαとするステップと、
ロボット本体上の第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、且つX11=X1-((W*cosα)/2)、Y11=Y1+((W*sinα)/2)であると特定するステップと、
ロボット本体上の第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とし、且つX12=X1+((W*cosα)/2)、Y12=Y1-((W*sinα)/2)であると特定するステップと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とすることは、
電波の伝播速度をcとするステップと、
前記第1UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルへ距離測定データを送信してから前記UWB測位ラベルの確認信号を受信するまでの時間をT11とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第1UWB測位基地局から送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT12とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第1UWB測位基地局へ距離測定データを送信してから前記第1UWB測位基地局の確認信号を受信するまでの時間をT13とするステップと、
前記第1UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルから送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT14とするステップと、
前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、且つR1=c*(T11-T12+T13-T14)/4であると特定するステップと、
前記第2UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルへ距離測定データを送信してから前記UWB測位ラベルの確認信号を受信するまでの時間をT21とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第2UWB測位基地局から送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT22とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第2UWB測位基地局へ距離測定データを送信してから前記第2UWB測位基地局の確認信号を受信するまでの時間をT23とするステップと、
前記第2UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルから送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT24とするステップと、
前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とし、且つR2=c*(T21-T22+T23-T24)/4であると特定するステップと、を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ステップ3に記載のロボットの位置する格子セルとペットの位置する格子セルとの間であって、ロボットがペットを監視するカメラの撮像角度にカバーされる予め設定された範囲内の格子セルに、障害セルが存在するか否かを判断することは、
ロボットのペットを監視するカメラがペットに向かう方向を、撮像方向と特定するステップと、
前記撮像方向に応じて、カメラの撮像角度が前記格子地図においてカバーする撮像領域を特定するステップと、
カメラを角頂点として外側へ延長する第1辺と第2辺のなす角度範囲の前記格子地図におけるカバー領域に対応する格子セルを特定するステップであって、前記カバー領域は、前記撮像領域未満であるとともに、前記撮像領域内に位置するステップと、
前記カバー領域に対応する格子セルに障害セルが存在するか否かを分析するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ステップ4に記載のペットの位置する格子セルを中心点とする予め設定された領域を特定し、前記予め設定された領域における走行済セルのロボットからの近い順の距離関係に基づいて、走行済セルを一つずつ監視候補セルとすることは、
ペットの位置する格子セルの中心を円心とし、予め設定された長さを半径とする円形領域を特定するステップと、
前記円形領域におけるロボットからの距離が最も短い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、
前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルがあるとともに、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に近い走行済セルは、ロボットからの距離が最も遠いセルではなければ、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、
前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルがあるとともに、前記円形領域におけるロボットからの距離が三番目に近い走行済セルは、ロボットからの距離が最も遠いセルではなければ、前記円形領域におけるロボットからの距離が三番目に近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、
ロボットが、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に遠い走行済セルを監視候補セルと特定するまで、このように類推するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記予め設定された長さは、1メートル乃至2メートルの範囲内のいずれか一つの値であることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ5に記載の現在位置点から前記監視セルまで走行してペットを監視するように、ロボットを制御することは、
ロボットの現在位置点を起点とし、前記監視セルの位置する方向に向かって格子地図の捜索を行うステップと、
ロボットの現在位置点と前記監視セルの中心点との間であって、走行済セルによって直接連通された格子経路のうち、経路長さが最も短い格子経路を案内格子経路と特定するステップと、
案内格子経路における格子セルの中心点を案内位置点とし、前記案内位置点を結んで案内経路を構成するステップと、
現在位置点から前記案内経路に沿って監視位置点まで走行するように、ロボットを制御するステップと、
前記ロボットのカメラの撮像方向をペットの位置する方向に合せるように、ロボットの方向を調節するステップと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~請求項9のうちのいずれか一項に記載の格子地図に基づくロボットのペット監視方法を実行するようにロボットを制御するためのプログラムが格納されることを特徴とするチップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット分野に関し、具体的に、格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のペットロボットは、ペットの身体に着用された測位装置と通信することで、ペットの位置を特定することが可能である。これにより、ペットを追跡し、カメラでペットの状態を監視することができる。しかしながら、既存のロボット監視技術では、監視位置をうまく特定することができず、例えばロボットとペットとの間に障害物がある場合、監視効果に影響を及ぼしてしまう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
上記課題を解決するために、本発明は、ロボットがペットを監視する位置をうまく特定でき、良好な監視効果を実現する格子地図に基づくロボットのペット監視方法及びチップを提供する。本発明の具体的な技術案は以下のとおりである。
【0004】
ロボットの構築した格子地図に基づいて、ロボットの前記格子地図での現在位置点と対応する格子セルとを特定するステップ1と、
ロボットとペット身体上の無線信号装置との無線通信に基づいて、ペットとロボットとの相互位置関係を特定し、相互位置関係に基づいて、ペットの現在位置点と対応する格子セルとを特定するステップ2と、
ロボットの位置する格子セルとペットの位置する格子セルとの間であって、ロボットがペットを監視するカメラの撮像角度にカバーされる予め設定された範囲内の格子セルに、障害セルが存在するか否かを判断し、
NOであれば、ロボットのカメラの撮像方向をペットに向かうように維持し、ステップ2に戻り、
YESであれば、ステップ4に移行するステップ3と、
ペットの位置する格子セルを中心点とする予め設定された領域を特定し、前記予め設定された領域における走行済セルのロボットからの近い順の距離関係に基づいて、走行済セルを一つずつ監視候補セルとし、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルが存在するか否かを判断し、
NOであれば、前記監視候補セルを監視セルとして特定して、ステップ5に移行し、
YESであれば、次の走行済セルのロボットからの距離が最も遠いか否かを判断し、
NOであれば、ステップ4に戻り、
YESであれば、直接次の走行済セルを監視セルとして特定して、ステップ5に移行するステップ4と、
現在位置点から前記監視セルまで走行してペットを監視するように、ロボットを制御するステップ5と、を含み、
前記障害セルはロボットが障害物を検出した時の対応する格子セルであり、前記走行済セルはロボットが走行済の格子セルである格子地図に基づくロボットのペット監視方法。
【0005】
さらに、ステップ1に記載のロボットの構築した格子地図に基づいて、ロボットの前記格子地図での現在位置点と対応する格子セルとを特定することは、
ロボットが走行中に検出したデータに基づいて、(X0,Y0)を原点とするXY軸座標系に基づく格子地図を構築するステップと、
前記格子地図における格子セルの辺長をLとするステップと、
ロボット自体の測位データに基づいて、ロボットの現在位置点の座標を(X1,Y1)とすると、現在位置点に対応する格子セルの格子座標は(S11,S12)で、S11=(X1-X0)/L、S12=(Y1-Y0)/L(S11とS12はいずれも整数部分を取る)であると特定するステップと、を含む。
【0006】
さらに、ステップ2に記載のロボットとペット身体上の無線信号装置との無線通信に基づいて、ペットとロボットとの相互位置関係を特定し、相互位置関係に基づいて、ペットの現在位置点と対応する格子セルとを特定することは、
ロボット本体上の第1UWB測位基地局と第2UWB測位基地局との間の距離をWとするステップと、
前記第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、前記第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とするステップと、
前記第1UWB測位基地局及び前記第2UWB測位基地局とペット身体上のUWB測位ラベルとの無線通信に基づいて、前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とするステップと、
前記第1UWB測位基地局を角頂点としてそれぞれ前記第2UWB測位基地局と前記UWB測位ラベルに向かう線のなす角度を第1角度とし、且つ第1角度α1が、α1=arccos((W+R2-R1)/(2*W*R2))であると特定するステップと、
前記第2UWB測位基地局を角頂点としてそれぞれ前記第1UWB測位基地局と前記UWB測位ラベルに向かう線のなす角度を第2角度とし、且つ第2角度α2が、α2=arccos((W+R1-R2)/(2*W*R1))であると特定するステップと、
前記UWB測位ラベルの現在位置点の座標を(Xc,Yc)とし、且つXc=X12+R2*cos(180°-α1-arccos((X12-X11)/W))、Yc=Y11+R1*cos(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))であると特定するステップと、
前記UWB測位ラベルの現在位置点に対応する格子セルの格子座標を(S21,S22)とし、且つS21=(Xc-X0)/L、S22=(Yc-Y0)/L(S21とS22はいずれも整数部分を取る)であると特定するステップと、を含む。
【0007】
さらに、前記ロボット本体上の第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とすることは、
ロボット本体の中心点の座標をロボットの現在位置点の座標とし、且つ座標を(X1,Y1)とするステップと、
ロボット本体の中心点が、前記第1UWB測位基地局と前記第2UWB測位基地局との連結線の中点であると特定するステップと、
前記第1UWB測位基地局と前記第2UWB測位基地局との間の距離をWとすると、ロボット本体の中心点から前記第1UWB測位基地局までの距離がW/2であり、ロボット本体の中心点から前記第2UWB測位基地局までの距離がW/2であると特定するステップと、
ロボットのジャイロスコープによって検出されたロボットの現在方向をαとするステップと、
ロボット本体上の第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、且つX11=X1-((W*cosα)/2)、Y11=Y1+((W*sinα)/2)であると特定するステップと、
ロボット本体上の第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とし、且つX12=X1+((W*cosα)/2)、Y12=Y1-((W*sinα)/2)であると特定するステップと、を含む。
【0008】
さらに、前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とすることは、
電波の伝播速度をcとするステップと、
前記第1UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルへ距離測定データを送信してから前記UWB測位ラベルの確認信号を受信するまでの時間をT11とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第1UWB測位基地局から送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT12とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第1UWB測位基地局へ距離測定データを送信してから前記第1UWB測位基地局の確認信号を受信するまでの時間をT13とするステップと、
前記第1UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルから送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT14とするステップと、
前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、且つR1=c*(T11-T12+T13-T14)/4であると特定するステップと、
前記第2UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルへ距離測定データを送信してから前記UWB測位ラベルの確認信号を受信するまでの時間をT21とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第2UWB測位基地局から送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT22とするステップと、
前記UWB測位ラベルが前記第2UWB測位基地局へ距離測定データを送信してから前記第2UWB測位基地局の確認信号を受信するまでの時間をT23とするステップと、
前記第2UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルから送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT24とするステップと、
前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とし、且つR2=c*(T21-T22+T23-T24)/4であると特定するステップと、を含む。
【0009】
さらに、ステップ3に記載のロボットの位置する格子セルとペットの位置する格子セルとの間であって、ロボットがペットを監視するカメラの撮像角度にカバーされる予め設定された範囲内の格子セルに、障害セルが存在するか否かを判断することは、
ロボットのペットを監視するカメラがペットに向かう方向を、撮像方向と特定するステップと、
前記撮像方向に応じて、カメラの撮像角度が前記格子地図においてカバーする撮像領域を特定するステップと、
カメラを角頂点として外側へ延長する第1辺と第2辺のなす角度範囲の前記格子地図におけるカバー領域に対応する格子セルを特定するステップであって、前記カバー領域は、前記撮像領域未満であるとともに、前記撮像領域内に位置するステップと、
前記カバー領域に対応する格子セルに障害セルが存在するか否かを分析するステップと、を含む。
【0010】
さらに、ステップ4に記載のペットの位置する格子セルを中心点とする予め設定された領域を特定し、前記予め設定された領域における走行済セルのロボットからの近い順の距離関係に基づいて、走行済セルを一つずつ監視候補セルとすることは、
ペットの位置する格子セルの中心を円心とし、予め設定された長さを半径とする円形領域を特定するステップと、
前記円形領域におけるロボットからの距離が最も短い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、
前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルがあるとともに、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に近い走行済セルは、ロボットからの距離が最も遠いセルではなければ、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、
前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルがあるとともに、前記円形領域におけるロボットからの距離が三番目に近い走行済セルは、ロボットからの距離が最も遠いセルではなければ、前記円形領域におけるロボットからの距離が三番目に近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、
ロボットが、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に遠い走行済セルを監視候補セルと特定するまで、このように類推するステップと、を含む。
【0011】
さらに、前記予め設定された長さは、1メートル乃至2メートルの範囲内のいずれか一つの値である。
【0012】
さらに、ステップ5に記載の現在位置点から前記監視セルまで走行してペットを監視するように、ロボットを制御することは、
ロボットの現在位置点を起点とし、前記監視セルの位置する方向に向かって格子地図の捜索を行うステップと、
ロボットの現在位置点と前記監視セルの中心点との間であって、走行済セルによって直接連通された格子経路のうち、経路長さが最も短い格子経路を案内格子経路と特定するステップと、
案内格子経路における格子セルの中心点を案内位置点とし、前記案内位置点を結んで案内経路を構成するステップと、
現在位置点から前記案内経路に沿って前記監視位置点まで走行するように、ロボットを制御するステップと、
前記ロボットのカメラの撮像方向をペットの位置する方向に合せるように、ロボットの方向を調節するステップと、を含む。
【0013】
上述した格子地図に基づくロボットのペット監視方法を実行するようにロボットを制御するためのプログラムが格納されるチップ。
【0014】
本発明によると、以下の有益な効果を実現できる。すなわち、ペット身体上の無線信号装置とロボットとの無線通信によって、ペットとロボットとの相互位置関係を特定してから、ロボットとペットに対応する格子地図での格子セルの間に障害セルが存在するか否かを判断し、これによって、ロボットとペットとの間が障害物によって遮断されたか否かを判断する。遮断されていなければ、ロボットの現在位置と撮像方向でペットを効果的に撮像できることを示し、ロボットの現在位置と撮像方向を変更する必要がない。遮断されていれば、ロボットが現在位置で撮像するとペットを撮像できず、障害物が撮像されるおそれがあるため、ロボットはペット周囲の格子セルの状態を判断することで監視位置点を再選択しなければならない。ペット周囲の予め設定された領域内においてロボットからの距離が近い順の関係に従って、走行済セルを一つずつ監視候補セルとした後、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルが存在するか否かを判断し、すなわち、監視候補セルの位置からペットを効果的に監視することが可能であるか否かを分析して、障害物によって遮断されていなければ、当該監視候補セルを監視セルとして特定し、遮断されていれば、次の走行済セルを分析する。このようなペット周囲の予め設定された領域内においてロボットからの距離が近い順で走行済セルを一つずつ分析する形態によると、ロボットが最も速く到達でき、且つペットを効果的に監視可能な位置点を探し出して、ロボットがペットを監視する効率を向上させることができる。また、予め設定された領域内におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セル以外の他の走行済セルとペットとの間がいずれも障害物によって遮断されていれば、ロボットからの距離が最も遠い走行済セルとペットとの間に障害物があるか否かに関わらず、それを監視セルとする。これは、通常障害物の分布に特徴があるからであり、すなわち、障害物は通常一つまたは複数の領域に集中して現れ、一つの領域で障害セルが検出されると、当該領域に他の障害セルがさらに存在する可能性があり、ロボットが現在位置で障害物を検出した場合、一定の範囲内において、現在位置から遠い領域ほど障害セルが存在する確率が低くなり、このため、予め設定された領域内におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セルを監視セルとすることで、ロボットを比較的に空いている領域に位置させて、ペットの位置が変化した場合、隣接する障害物の干渉を受けずに監視位置または監視角度をさらに簡単に調節することができ、監視効率を向上させる。
【0015】
上記のように、本発明は、このような格子地図と組合せてペットを監視する方式によって、より良い監視位置を探し出すようにロボットを制御することができ、障害物に遮断されて監視効果に影響を及ぼす問題を回避し、ペットを監視する効果を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係わる格子地図に基づくロボットのペット監視方法を示す概略フローチャートである。
図2】本発明に係わる位置点の座標を格子セルの座標へ変換する概略分析図である。
図3】本発明に係わる二つのUWB測位基地局とUWB測位ラベルとの相互位置の概略分析図である。
図4】本発明に係わるロボットの中心点の座標から二つのUWB測位基地局の座標を算出する概略分析図である。
図5】UWB測位ラベルから第1UWB測位基地局までの距離を測定する概略分析図である。
図6】ロボットが撮像した格子領域を特定する概略分析図である。
図7】監視セルを特定する概略分析図である。
図8】ロボットの現在位置点から監視位置点までの案内経路を特定する概略分析図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態をさらに説明する。
本発明に係わるロボットは、スマート家電の一つとして、ある程度の人工知能に基づいていくつかの場所で自動に走行することが可能である。ロボットの本体上には各種のセンサーが設けられて、走行距離、走行角度、本体状態、及び障害物等を検出することができ、壁または他の障害物に衝突すると、自発的に方向変換し、設定によって異なる路線で走行し、規則的に走行するとともに、走行中に検出された各種のデータに基づいて格子地図を構築する。本発明に係わる移動ロボットの構造は、駆動輪付きの自律走行可能なロボット本体であって、本体上にマンマシンインタフェースが設けられ、本体上に障害検出ユニットが設けられている。本体の中央の上端面にカメラが設けられている。ここで、カメラは、本体の前部の上端面または他の位置に設けられてもよく、本体の前部または他の位置に設けられている場合、関連するパラメータを算出する際、中央に設けられているカメラに対して関連する数値を調節すればよい。本体の内部には、加速度計とジャイロスコープ等を含む慣性センサーが設けられ、駆動輪には駆動輪の走行距離を検出するための走行距離計(通常はコードホイール)が設けられ、さらに、関連するセンサーのパラメータを処理できるとともに実行部品に制御信号を出力することができる制御手段が設けられている。
【0018】
本発明に係わる格子地図に基づくロボットのペット監視方法は、図1に示すように、ロボットの構築した格子地図に基づいて、ロボットの前記格子地図での現在位置点と対応する格子セルとを特定するステップ1と、ロボットとペット身体上の無線信号装置との無線通信に基づいて、ペットとロボットとの相互位置関係を特定し、相互位置関係に基づいて、ペットの現在位置点と対応する格子セルとを特定するステップ2と、ロボットの位置する格子セルとペットの位置する格子セルとの間であって、ロボットがペットを監視するカメラの撮像角度にカバーされる予め設定された範囲内の格子セルに、障害セルが存在するか否かを判断し、NOであれば、ロボットのカメラの撮像方向をペットに向かうように維持し、ステップ2に戻り、YESであれば、ステップ4に移行するステップ3と、ペットの位置する格子セルを中心点とする予め設定された領域を特定し、前記予め設定された領域における走行済セルのロボットからの近い順の距離関係に基づいて、走行済セルを一つずつ監視候補セルとし、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルが存在するか否かを判断し、NOであれば、前記監視候補セルを監視セルとして特定して、ステップ5に移行し、YESであれば、次の走行済セルのロボットからの距離が最も遠いか否かを判断し、NOであれば、ステップ4に戻り、YESであれば、次の走行済セルを直接監視セルとして特定し、ステップ5に移行するステップ4と、現在位置点から前記監視セルまで走行してペットを監視するようにロボットを制御するステップ5と、を含む。ここで、前記格子地図は、ロボットが走行中に自体の各種のセンサーによるデータに基づいて構築された格子セルを基本単位とするマップである。前記格子セルは、設定された長さと幅を有する仮想格子を有し、正方形にすることができれば長方形にすることもできる。好ましくは、本発明に係わる格子セルは、辺長が0.2メートルの正方形格子である。前記無線信号装置として、zigbee通信手段、超音波手段、無線通信手段、UWB(超広帯域)手段またはwifi手段等を用いることができ、具体的には製品の必要に応じて選択することができる。前記予め設定された範囲も製品の必要に応じて設定することができ、好ましくは、カメラの撮像角度にカバーされる全範囲の三分の一に設定する。前記予め設定された領域も製品設計の異なる必要に応じて設定することができ、好ましくは、円形領域、方形領域または規則的な多角形領域等に設けることができ、面積の大きさは通常2~6平方メートルの範囲内に設定される。
【0019】
ロボットは走行中に走行したことのある格子セルを走行済セルと標記し、障害物が検出された時に対応する格子セルを障害セルと標記し、崖が検出された時に対応する格子セルを崖セルと標記することなどをし、標記された情報に基づいて、格子地図を更新する。本発明に係わる方法によると、ペット身体上の無線信号装置とロボットとの無線通信によってペットとロボットとの相互位置関係を特定してから、ロボットとペットとが格子地図で対応して位置する格子セル間に障害セルが存在するか否かを判断することにより、ロボットとペットとの間が障害物によって遮断されたか否かを判断する。遮断されていない場合、ロボットの現在位置と撮像方向でペットを効果的に撮像できることを示し、ロボットの現在位置と撮像方向を変更する必要がなく、ペットが走ると、ロボットは本体を回動させてカメラが常にペットの方向へ向くように維持し、当該過程において、障害物によって遮断されない限り、ロボットは他の位置へ走行する必要がない。遮断されている場合、ロボットが現在位置で撮像するとペットを撮像できず障害物が撮像されるおそれがあるため、ロボットはペット周囲の格子セルの状態を判断することで監視位置点を再選択しなければならない。ペット周囲の予め設定された領域内においてロボットからの距離が近い順の関係に従って、走行済セルを一つずつ監視候補セルとし、その後、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルが存在するか否かを判断し、すなわち、監視候補セルの位置からペットを効果的に監視することが可能であるか否かを分析して、障害物によって遮断されていなければ、当該監視候補セルを監視セルとして特定し、遮断されていれば、次の走行済セルを分析する。このようなペット周囲の予め設定された領域内において、ロボットからの距離が近い順で走行済セルを一つずつ分析する形態によると、ロボットが最も速く到達でき且つペットを効果的に監視可能な位置点を探し出して、ロボットがペットを監視する効率を向上させることができる。また、予め設定された領域内におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セル以外の他の走行済セルとペットとの間がいずれも障害物によって遮断されている場合、ロボットからの距離が最も遠い走行済セルとペットとの間に障害物があるか否かに関わらず、それを監視セルとする。これは通常障害物の分布に特徴があるからであり、すなわち、障害物は通常一つまたは複数の領域に集中して現れ、一つの領域で障害セルが検出されると、当該領域に他の障害セルがさらに存在することになり、ロボットが現在位置で障害物を検出した場合、一定の範囲内において、現在位置から遠い領域ほど障害セルが現れる確率が低くなる。このため、予め設定された領域内におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セルを監視セルとすることで、ロボットを比較的に空いている領域に位置させて、ペットの位置が変化した場合、隣接する障害物の干渉を受けずに監視位置または監視角度をさらに簡単に調節することができ、監視効率を向上させる。上述のように、本発明に係わる方法は、このような格子地図を組合せてペットを監視する方式によって、より良い監視位置を探し出すようにロボットを制御することができ、障害物に遮断されて監視効果に影響を及ぼす問題を回避し、ペットを監視する効果を向上させる。
【0020】
好ましくは、ステップ1に記載のロボットの構築した格子地図に基づいて、ロボットの前記格子地図での現在位置点と対応する格子セルとを特定することは、ロボットが走行中に検出されたデータに基づいて、(X0,Y0)を原点とするXY軸座標系に基づく格子地図を構築するステップと、前記格子地図における格子セルの辺長をLとするステップと、ロボット自体の測位データに基づいて、ロボットの現在位置点の座標を(X1,Y1)とすると、現在位置点に対応する格子セルの格子座標は(S11,S12)であり、S11=(X1-X0)/L、S12=(Y1-Y0)/Lとなるステップと、を含み、ここでS11とS12はいずれも整数部分を取る。ロボットが走行中に自体の走行距離計及びジャイロスコープ等のセンサーにより検出されたデータに基づいて、走行済みの経路を記録し、自体の位置する位置と方向(すなわち、測位データ)をリアルタイムに特定する。また、格子地図は、格子セルを基本単位として構成されたもので、各格子セルのいずれにも複数の位置点が含まれ、ロボットの走行は位置点の形態で行われ、すなわち、現在位置点から隣接する次の位置点へ移動するものである。よって、ロボットが現在位置する格子セルの座標を特定する際、現在位置点の座標を格子セルの座標に変換しなければならなく、図2に示すように、各小さい格子は一つの格子セルを示し、辺長はL=0.2メートルであり、座標原点Pの座標は(X0=0,Y0=0)であり、P点の右上隅の格子セルの格子座標を(0,0)に設定する。ロボットがD位置点に位置する時、座標が(0.5,0.3)であると検出されると、算出されるロボットの位置する格子セルの格子座標は(S11=((0.5-0)/0.2),S12=((0.3-0)/0.2))であり、すなわち(S11=2.5,S12=1.5)であり、整数部分を取ると、(S11=2,S12=1)であるので、ロボットがD位置点に位置する時の対応する格子セルの格子座標は(2,1)である。本実施例に係わる方法によると、同一の座標系において、現在位置点と座標原点との位置関係及び格子セルの辺長に基づいて、現在位置点に対応する格子セルの格子座標を精確に算出して、後続のデータ処理のために信頼性のあるデータを提供し、データ分析の精確性を向上させることができる。
【0021】
好ましくは、ステップ2に記載のロボットとペット身体上の無線信号装置との無線通信装置に基づいて、ペットとロボットとの相互位置関係を特定し、相互位置関係に基づいて、ペットの現在位置点と対応する格子セルとを特定することは、ロボット本体上の第1UWB測位基地局と第2UWB測位基地局との間の距離をWとするステップと、前記第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、前記第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とするステップと、前記第1UWB測位基地局及び前記第2UWB測位基地局とペット身体上のUWB測位ラベルとの無線通信に基づいて、前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とするステップと、前記第1UWB測位基地局を角頂点としてそれぞれ前記第2UWB測位基地局と前記UWB測位ラベルに向かう線のなす角度を第1角度とし、且つ第1角度α1がα1=arccos((W+R2-R1)/(2*W*R2))であるステップと、前記第2UWB測位基地局を角頂点としてそれぞれ前記第1UWB測位基地局と前記UWB測位ラベルに向かう線のなす角度を第2角度とし、且つ第2角度α2がα2=arccos((W+R1-R2)/(2*W*R1))であるステップと、前記UWB測位ラベルの現在位置点の座標を(Xc,Yc)とし、且つXc=X12+R2*cos(180°-α1-arccos((X12-X11)/W))、Yc=Y11+R1*cos(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))であるステップと、前記UWB測位ラベルの現在位置点に対応する格子セルの格子座標を(S21,S22)とし、且つS21=(Xc-X0)/L、S22=(Yc-Y0)/Lであるステップと、を含み、ここで、S21とS22はいずれも整数部分を取る。ここで、UWB(Ultra Wideband)は超広帯域で無キャリアの通信技術であり、UWB測位ラベルとUWB測位基地局はUWB通信技術を用いる通信装置である。図3に示すように、Aが第1UWB測位基地局で、Bが第2UWB測位基地局で、CがUWB測位ラベルである。第1UWB測位基地局と第2UWB測位基地局はいずれもロボットの本体上に配置され、UWB測位ラベルはペット身体上に着用されている。第1UWB測位基地局と第2UWB測位基地局との間の距離はロボットを設計して生産する際にすでに決められたものであるので、両者間の距離は既知であり、すなわち、AB=Wであり、関連するデータはすでにシステムに記録されており、ここで、Wの数値の大きさは具体的な製品デザインに応じて設定することができるが、Wの数値はロボット本体の直径未満であるべきである。また、第1UWB測位基地局とUWB測位ラベルとの距離AC=R1、及び、第2UWB測位基地局とUWB測位ラベルとの距離BC=R2を測定して、三角形の三つの辺の長さから第1角度(∠ABC)の大きさを求めることができ、すなわち、α1=arccos((W+R2-R1)/(2*W*R2))であり、同様に、第2角度(∠CAB)の大きさを求めることができ、すなわち、α2=arccos((W+R1-R2)/(2*W*R1))である。ロボットが走行距離計とジャイロスコープ等のセンサーの検出データによって自体の座標位置(すなわち、ロボットの中心点の座標)を特定することができるので、ロボット本体上の中心点の位置に対して固定された二つのUWB測位基地局の座標値も特定でき、すなわち、第1UWB測位基地局の座標が(X11,Y11)で、第2UWB測位基地局の座標が(X12,Y12)であり、後続の実施例において具体的な算出方式を説明する。図に示すように、C点のX軸座標を特定しようとする場合、c11またはc21の長さを知る必要があるが、c11=R1*sina2で、c21=R2*cosb2で、∠a2=180°-α2-∠a1、∠b2=180°-α1-∠b1、∠a1=arcsin((X12-X11)/W)、∠b1=arccos((X12-X11)/W)であり、また、上述のようにα1とα2の角度を既に求めたので、c11=R1*sin(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))、c21=R2*cos(180°-α1-arcsin((Y11-Y12)/W))を求めると、ペットC点のX軸座標のXc=X12+c21=X12+R2*cos(180°-α1-arccos((X12-X11)/W))、またはXc=X11+c11=X11+R1*sin(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))である。同様に、C点のY軸座標を特定しようとする場合、c12またはc22の長さを知る必要があるが、c12=R1*cosa2で、c22=R2*sinb2であり、∠a2=180°-α2-∠a1、∠b2=180°-α1-∠b1、∠a1=arcsin((X12-X11)/W)、∠b1=arccos((X12-X11)/W)であり、また、上述ようにα1とα2の角度を既に求めたので、c12=R1*cos(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))、c22=R2*sin(180°-α1-arccos((X12-X11)/W))を求める。この場合、ペットC点のY軸座標のYc=Y11+c12=Y11+R1*cos(180°-α2-arcsin((X12-X11)/W))、またはYc=Y12+c22=Y12+R2*sin(180°-α1-arccos((X12-X11)/W))である。UWB測位ラベルの現在位置点の座標を(Xc,Yc)とした後、さらに上記実施例に係わる形態で、UWB測位ラベルの現在位置点に対応する格子セルの格子座標(S21,S22)を算出し、すなわち、S21=(Xc-X0)/L、S22=(Yc-Y0)/Lであり、S21とS22はいずれも整数部分を取る。本実施例に係わる方法は、ペットに着用されたUWB測位ラベルの高さがロボットのUWB測位基地局の高さに一致する(すなわち、三つの通信装置が同一の水平面に位置する)か、または差がわずかである場合に適用する。ロボットとペットの位置が変化すると、検出された変化パラメータを代入すればペットの位置点と対応する格子座標をすぐ得ることができ、データ処理速度が速く、出力結果が精確になる。また、UWB測位ラベルの高さとUWB測位基地局の高さとの差が大きい場合、ロボットの本体に第3UWB測位基地局を設置して、高さパラメータを導入することで、UWB測位ラベルの三次元座標を特定して対応する格子座標を特定する必要があり、その具体的な実施形態が本実施例と同じ原理であるので、ここでは詳細な説明を省略する。このようなUWB通信技術によってペットの測位を行う形態によると、既存の他の測位方式に比べ、測位範囲が広く、精度が高く、安定性が優れる。
【0022】
好ましくは、前記ロボット本体上の第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とすることは、ロボット本体の中心点の座標をロボットの現在位置点の座標とし、且つ座標を(X1,Y1)とするステップと、ロボット本体の中心点が、前記第1UWB測位基地局と前記第2UWB測位基地局との連結線の中点であると特定するステップと、前記第1UWB測位基地局と前記第2UWB測位基地局との間の距離をWとすると、ロボット本体の中心点から前記第1UWB測位基地局までの距離がW/2となり、ロボット本体の中心点から前記第2UWB測位基地局までの距離がW/2となるステップと、ロボットのジャイロスコープによって検出されたロボットの現在方向をαとするステップと、ロボット本体上の第1UWB測位基地局の座標を(X11,Y11)とし、且つX11=X1-((W*cosα)/2)、Y11=Y1+((W*sinα)/2)であるステップと、ロボット本体上の第2UWB測位基地局の座標を(X12,Y12)とし、且つX12=X1+((W*cosα)/2)、Y12=Y1-((W*sinα)/2)であるステップと、を含む。図4に示すように、第1UWB測位基地局Aと第2UWB測位基地局Bはそれぞれロボットの本体の両端に設けられ、ABの間の連結線がちょうどロボットの中心点Gを通過し、且つAG=BG=W/2である。G点の座標が(X1,Y1)であり、ロボットの現在方向の角度がαであり、図において、G点を通過し且つ矢印付きの直線がロボットの現在方向を示し、当該直線がAB線に直交するので、∠a=∠b=∠αであることが分かる。第1UWB測位基地局のX軸座標X11を求めようとする場合、まず、X11とX1との間の距離を求めなければならず、すなわちX1-X11=AG*cosa=(W*cosα)/2であり、X11=X1-((W*cosα)/2)である。第1UWB測位基地局のY軸座標Y11を求めようとする場合、まず、Y11とY1との間の距離を求めなければならず、すなわち、Y11-Y1=AG*sina=(W*sinα)/2であり、Y11=Y1+((W*sinα)/2)である。同様に、第2UWB測位基地局のX軸座標X12を求めようとする場合、まず、X12とX1との間の距離を求めなければならず、すなわち、X12-X1=BG*cosb=W*cosα/2であり、X12=X1+((W*cosα)/2)である。Y1とY12との間の距離がY1-Y12=GB*sinb=W*sinα/2であり、Y12=Y1-((W*sinα)/2)である。本実施例に係わる第1UWB測位基地局と第2UWB測位基地局の座標を特定する方法によると、基地局がロボット本体上の中心点に対して相互対称の位置関係を持つように限定することで、二つの基地局の座標を特定するアルゴリズムを簡略化して、システムのデータ処理速度を高め、二つの基地局の座標値を早く且つ精確に得て、後続する他のデータ処理のためにより速く参照根拠を提供することができる。同様に、三つの基地局が設けられる場合、三番目の基地局をABの垂直二等分線上に設けると、アルゴリズムを簡略化して、システムのデータ処理速度を高めることができ、その具体的な実施形態は本実施例と同じ原理であるので、ここでは詳細な説明を省略する。
【0023】
好ましくは、前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とすることは、電波の伝播速度をcとするステップと、前記第1UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルへ距離測定データを送信してから前記UWB測位ラベルの確認信号を受信するまでの時間をT11とするステップと、前記UWB測位ラベルが前記第1UWB測位基地局から送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT12とするステップと、前記UWB測位ラベルが前記第1UWB測位基地局へ距離測定データを送信してから前記第1UWB測位基地局の確認信号を受信するまでの時間をT13とするステップと、前記第1UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルから送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT14とするステップと、前記UWB測位ラベルから前記第1UWB測位基地局までの第1距離をR1とし、且つR1=c*(T11-T12+T13-T14)/4であるステップと、前記第2UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルへ距離測定データを送信してから前記UWB測位ラベルの確認信号を受信するまでの時間をT21とするステップと、前記UWB測位ラベルが前記第2UWB測位基地局から送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT22とするステップと、前記UWB測位ラベルが前記第2UWB測位基地局へ距離測定データを送信してから前記第2UWB測位基地局の確認信号を受信するまでの時間をT23とするステップと、前記第2UWB測位基地局が前記UWB測位ラベルから送信された距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでの時間をT24とするステップと、前記UWB測位ラベルから前記第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とし、且つR2=c*(T21-T22+T23-T24)/4であるステップと、を含む。図5に示すように、第1UWB測位基地局Aは時刻t1でUWB測位ラベルCへ距離測定データを送信し、UWB測位ラベルCは時刻t2で距離測定データを受信して時刻t3で確認信号を送信し、第1UWB測位基地局Aは時刻t4で当該確認信号を受信する。この際、第1UWB測位基地局Aが距離測定データを送信してから確認信号を受信するまでに必要な時間はT1=t4-t1となり、UWB測位ラベルCが距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでに必要な時間はT2=t3-t2となる。これから、第1UWB測位基地局AとUWB測位ラベルCとの間で1回の往復通信を行う場合、信号伝送の時間がT1-T2=t4-t1-t3+t2であることが分かる。同様に、UWB測位ラベルCは時刻t5で第1UWB測位基地局Aへ距離測定データを送信し、第1UWB測位基地局Aは時刻t6で距離測定データを受信して時刻t7で確認信号を送信し、UWB測位ラベルCは時刻t8で当該確認信号を受信する。この際、UWB測位ラベルCが距離測定データを送信してから確認信号を受信するまでに必要な時間はT3=t8-t5となり、第1UWB測位基地局Aが距離測定データを受信してから確認信号を送信するまでに必要な時間はT4=t7-t6となる。これから、UWB測位ラベルCと第1UWB測位基地局Aとの間で1回の往復通信を行う場合、信号伝送の時間がT3-T4=t8-t5-t7+t6であることが分かる。データの精度を確保するために、信号がUWB測位ラベルCと第1UWB測位基地局Aとの間で1回伝送されるのに使う時間を(T1-T2+T3-T4)の四分の一とする。データ信号の伝送速度が電波の伝送速度cに等しいため、距離=速度*時間によって、UWB測位ラベルから第1UWB測位基地局までの第1距離R1=c*(T11-T12+T13-T14)/4を得ることができる。同様に、UWB測位ラベルから第2UWB測位基地局までの第2距離をR2とし、且つR2=c*(T21-T22+T23-T24)/4であり、その具体的な実施形態は本実施例に類似するため、ここでは詳細な説明を省略する。本実施例に係わる基地局から測位ラベルまでの距離を測定する方法によると、データ信号の伝送時間の平均値を取ることで、より精確な伝送時間を得て、より精確な距離測定結果を得ることができ、後続するペットの位置特定のためにより信頼性のある参照根拠を提供して、より良好なペット監視効果を確保することができる。
【0024】
好ましくは、ステップ3に記載のロボットの位置する格子セルとペットの位置する格子セルとの間であって、ロボットがペットを監視するカメラの撮像角度にカバーされる予め設定された範囲内の格子セルに、障害セルが存在するか否かを判断することは、ロボットのペットを監視するカメラがペットに向かう方向を撮像方向と特定するステップと、前記撮像方向に基づいて、カメラの撮像角度が前記格子地図においてカバーする撮像領域を特定するステップと、カメラを角頂点として外側へ延長する第1辺と第2辺のなす角度範囲の、前記格子地図におけるカバー領域に対応する格子セルを特定し、前記カバー領域に対応する格子セルに障害セルが存在するか否かを分析するステップと、を含む。ここで、前記カバー領域は前記撮像領域未満であり、前記撮像領域内に位置する。図6に示すように、図における一つの小さい格子が一つの格子セルを示し、Xが標記された格子は、当該格子が障害セルであることを示し、標記されていないかまたは他の文字が標記された格子は、当該格子が走行済セルであることを示す。G点はロボットが位置する位置点であり、すなわち、カメラの位置であり、C点はペットが位置する位置点である。GZが撮像方向であり、GB1とGB2の二本の線のなす角度が撮像角度であり、GZが前記撮像角度の角の二等分線である。GU1が第1辺で、GU2が第2辺であり、GU1とGU2の二本の線のなす角度内の格子セルに障害セルが存在するか否かを分析し、すなわち、∠U1GU2範囲内の格子にXが標記された格子があるか否かを判断し、ある場合、障害セルがあることを示し、ない場合、障害セルが存在しないことを示す。図に示す∠U1GU2範囲内には障害セルが存在せず、ロボットはペットを正常に撮像することが可能である。∠U1GU2範囲内にX格子があるとすれば、ロボットのカメラが障害物に遮断されるか、または撮像されるペットが障害物に近すぎて撮像効果に影響を及ぼすおそれがあることを示し、他の角度に変換してペットを撮像しなければならない。本実施例に係わる方法によると、格子地図を組合せて二つの位置点間に障害セルがあるか否かを判断することにより、ロボットとペットとの間が障害物によって遮断されたか否かを特定し、このような方式によると、ロボットの既存のデータを十分に活用し、判断過程が簡単で実用的であり、効果が顕著である。
【0025】
好ましくは、ステップ4に記載のペットの位置する格子セルを中心点とする予め設定された領域を特定し、前記予め設定された領域における走行済セルのロボットからの近い順の距離関係に基づいて、走行済セルを一つずつ監視候補セルとすることは、ペットの位置する格子セルの中心を円心とし、予め設定された長さを半径とする円形領域を特定するステップと、前記円形領域におけるロボットからの距離が最も近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルがあり、且つ前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に近い走行済セルがロボットからの距離が最も遠いセルではなければ、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルがあり、且つ前記円形領域におけるロボットからの距離が三番目に近い走行済セルがロボットからの距離が最も遠いセルではなれば、前記円形領域におけるロボットからの距離が三番目に近い走行済セルを監視候補セルと特定するステップと、ロボットが、前記円形領域におけるロボットからの距離が二番目に遠い走行済セルを監視候補セルと特定するまで、このように類推するステップと、を含む。図7に示すように、図における一つの小さい格子が一つの格子セルを示し、Xが標記された格子は当該格子が障害セルであることを示し、標記されていないかまたは他の文字が標記された格子は当該格子が走行済セルであることを示す。G点はロボットが位置する位置点であり、すなわち、カメラの位置であり、C点はペットが位置する位置点である。GZが撮像方向であり、GU1が第1辺で、GU2が第2辺である。∠U1GU2範囲内に障害セル(すなわち、Xが標記された格子)があるため、ロボットによる撮像が障害物に遮断されるおそれがあり、このため、ロボットは撮像位置を調節しなければならない。まず、C点の位置する格子セルの中心を円心とし、予め設定された長さを半径とする円を描くと、当該円内の範囲が前記予め設定された領域となる。ここで、前記予め設定された長さは、具体的な設計ニーズに応じて設定することができ、好ましくは、1メートル乃至2メートルの範囲内のいずれか一つの値に設定することができ、本実施例においては1.5メートルとした。なお、図7に示す円形領域は模式図に過ぎず、図における格子セルの長さによって円形の半径または直径を測定してはならず、また、円形領域が一つの格子セルの一部のみを囲んでいれば、当該格子セルも円形領域の範囲内に入ることとなる。図において、格子セルS1が円形領域内におけるロボットからの距離が最も近い走行済セルであるため、まずそれを監視候補セルとし、S1とCとの間の直線格子経路(すなわち、S1とCを結ぶ直線が通過する格子セルからなる経路)にXが標記された障害セルがあるため、S1を監視セルとして特定することができない。続いて、ロボットからの距離が二番目に近い走行済セルS2を分析し、S2が円形領域におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セルではないため、ロボットからの距離が二番目に近い走行済セルS2を監視候補セルとし、S2とCとの間の直線格子経路にXが標記された障害セルがないため、すなわち、ロボットによるペットの撮像を遮断する障害物がないため、S2を監視セルと特定し、ロボットを走行済セルS2へ案内してペットの監視を行わせる。S2とCとの直線格子経路にも障害セルがあるとすれば、継続してロボットからの距離が三番目に近い走行済セルS3を分析し、その方法は上記と同じであるため詳細な説明を省略する。円形領域におけるS10以外の全ての走行済セルのロボットとの間の直線格子経路のいずれにも障害セルがあれば、ペットが障害物に囲まれた位置(例えば、ソファー上、センターテーブル上またはベッド上)に位置することを示し、この時、予め設定された領域においては走行済セルとペットとの間の障害セルを考慮する必要がなく、ペットの位置から遠く且つロボットの現在位置から遠く離れた位置点を考慮しなければならないため、直接ロボットからの距離が最も遠い走行済セルS10を監視セルとし、ロボットを当該監視セルに案内してペットの監視を行わせる。このようなペット周囲の予め設定された領域内においてロボットからの距離が近い順で走行済セルを一つずつ分析する形態によると、ロボットが最も速く到達でき且つペットを効果的に監視可能な位置点を探し出して、ロボットがペットを監視する効率を向上させることができる。
【0026】
好ましくは、ステップ5に記載の現在位置点から前記監視セルまで走行してペットを監視するようにロボットを制御することは、ロボットの現在位置点を起点とし、前記監視セルの位置する方向に向かって格子地図の捜索を行うステップと、ロボットの現在位置点と前記監視セルの中心点との間であって、走行済セルによって直接連通された格子経路のうち経路長さが最も短い格子経路を案内格子経路と特定するステップと、案内格子経路における格子セルの中心点を案内位置点とし、前記案内位置点を結んで案内経路を構成するステップと、現在位置点から前記案内経路に沿って前記監視位置点まで走行するようにロボットを制御するステップと、前記ロボットのカメラの撮像方向がペットの位置する方向に合せるようにロボットの方向を調節するステップと、を含む。図8に示すように、ロボットがG点から監視セルS2まで走行しようとする場合、まず、走行経路を捜索しなければならず、図において、Xが標記された格子は当該格子が障害セルであることを示し、標記されていないかまたは他の文字が標記された格子は当該格子が走行済セルであることを示す。まず、ロボットの現在位置点G点を起点として、前記監視セルの位置する方向に向かって格子地図の捜索を行い、ここで、監視セルの位置する方向に向かって捜索を行うことは、監視セルに向かう直線方向での捜索に限定されず、当該方向を全体的な捜索傾向として、G点から、格子セルごとにG点から離れる周囲へ捜索し、また、周囲から監視セルへ収まる方向で格子セルごとに捜索を行う。その後、二本の格子経路が捜索され、1本目は監視セルの左下方から監視セルに連結されたものであり、2本目は監視セルの右上方から監視セルに連結されたものであり、二本の格子経路は障害セルによって区切られている。1本目の格子経路の長さが2本目の格子経路より小さいため、1本目の格子経路を案内格子経路とする。1本目の格子経路における格子セルの中心点を案内位置点とし、前記案内位置点を連結して案内経路を構成し、すなわち、L1で示す点線である(L2で示す点線は2本目の格子経路の路線である)。続いて、G点から、L1路線に沿って監視セルS2の中心点(すなわち、監視位置点)まで走行するようにロボットを制御する。最後に、ロボットのカメラの撮像方向がC点の方向(すなわち、ペットの位置する方向)に向かうように、その場所でロボットの本体を回動させる。本実施例に係わる方法によると、監視セルの位置する方向に向かって格子地図の捜索を行うことで、監視セルに到達可能な格子経路にはどのようなものがあるかを速やかに特定することができる。そして、各経路の長さを分析して、最も短い経路を案内経路とすることで、ロボットが監視セルに到達する時間を短縮し、最後に、格子セルの中心点を案内位置点とし、各案内位置点を連結してなる案内経路が監視位置点に到達する最適な案内経路となり、ロボットが当該案内経路に沿って走行することで、目的地に到達する時間を短縮できるだけではなく、走行中に障害物に当たるリスクを低減し、ロボットが監視位置点に到達する効率を向上させることができる。好ましくは、本実施例における図示する格子セルの辺の長さがロボットの本体の直径に等しい。
【0027】
本発明に係わるチップは、プログラムを記憶するためのチップであり、前記プログラムは、上述した格子地図に基づくロボットのペット監視方法を実行するようにロボットを制御するためのものである。ロボットの本体に前記チップを装着することで、ペット身体上の無線信号装置とロボットとの無線通信によって、ロボットがペットとロボットの相互位置関係を特定できるようにして、さらにロボットとペットが格子地図で位置する格子セル間に障害セルが存在するか否かを判断することにより、ロボットとペットとの間が障害物によって遮断されたか否かを判断する。遮断されていない場合、ロボットの現在位置と撮像方向でペットを効果的に撮像できることを示し、ロボットの現在位置と撮像方向を変更する必要がなく、ペットが走ると、ロボットは本体を回動させてカメラが常にペットの方向へ向くように維持し、当該過程において、障害物によって遮断されない限り、ロボットは他の位置へ走行する必要がない。遮断されている場合、ロボットが現在位置で撮像するとペットを撮像できず障害物が撮像されるおそれがあるため、ロボットはペット周囲の格子セルの状態を判断することで監視位置点を再選択しなければならない。ペット周囲の予め設定された領域内においてロボットからの距離が近い順の関係に従って、走行済セルを一つずつ監視候補セルとした後、前記監視候補セルとペットの位置する格子セルとの間の直線格子経路に障害セルが存在するか否かを判断し、すなわち、監視候補セルの位置からペットを効果的に監視することが可能であるか否かを分析して、障害物によって遮断されていなければ、当該監視候補セルを監視セルとして特定し、遮断されていれば、次の走行済セルを分析する。このようなペット周囲の予め設定された領域内においてロボットからの距離が近い順で走行済セルを一つずつ分析する形態によると、ロボットが最も速く到達でき且つペットを効果的に監視可能な位置点を探し出して、ロボットがペットを監視する効率を向上させることができる。また、予め設定された領域内におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セル以外の他の走行済セルとペットとの間がいずれも障害物によって遮断されていれば、ロボットからの距離が最も遠い走行済セルとペットとの間に障害物があるか否かに関わらず、それを監視セルとする。これは、通常障害物の分布に特徴があるからであり、すなわち、障害物は通常一つまたは複数の領域に集中して現れ、一つの領域で障害セルが検出されると、当該領域に他の障害セルがさらに存在することになり、ロボットが現在位置で障害物を検出した場合、一定の範囲内において、現在位置から遠い領域ほど障害セルが現れる確率が低くなる。このため、予め設定された領域内におけるロボットからの距離が最も遠い走行済セルを監視セルとすることで、ロボットを比較的に空いている領域に位置させて、ペットの位置が変化した場合、隣接する障害物の干渉を受けずに監視位置または監視角度をさらに簡単に調節することができ、監視効率を向上させる。上述のように、本発明に係わるチップは、このような格子地図を組合せてペットを監視する方式によって、より良い監視位置を探し出すようにロボットを制御することができ、障害物に遮断されて監視効果に影響を及ぼす問題を回避し、ペットを監視する効果を向上させる。
【0028】
以上の実施例は本発明を限定するためのものではなく、本発明を充分に開示するためのものであり、本発明の創造趣旨に基づいて創造性のある行為を経ずに得られる等価技術特徴の入れ替えは本願の開示範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8