(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】電子装置並びに電子装置を動作させる方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/53 20200101AFI20220906BHJP
A24F 40/46 20200101ALI20220906BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/46
(21)【出願番号】P 2020552472
(86)(22)【出願日】2018-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2018039854
(87)【国際公開番号】W WO2020084757
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-01-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】竹内 学
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-534458(JP,A)
【文献】国際公開第2018/001910(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/138749(WO,A1)
【文献】特表2015-506170(JP,A)
【文献】国際公開第2015/166952(WO,A1)
【文献】特表2017-514463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/53
A24F 40/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と、
電源からの給電によりエアロゾル生成基材を加熱する加熱部と、
を備え、
前記制御部は、前記電源の電圧が、未使用の1つのエアロゾル生成基材を使い切るのに十分な容量が前記電源に残っていることを示す閾値電圧よりも小さい場合、前記電源から前記加熱部への給電を行わないように構成され
、前記閾値電圧は、前記電源の残容量に応じて異なるように設定されることを特徴とする、電子装置。
【請求項2】
前記電源と前記加熱部との間に設けられたスイッチング素子を更に備え、
前記制御部は、
前記スイッチング素子をオン/オフすることにより、前記電源から前記加熱部への給電のための一連の電圧パルスを生成し、
前記スイッチング素子をオン/オフすることにより、前記一連の電圧パルスとは別の1つの電圧パルスを生成し、
前記
別の1つの電圧パルスの持続期間中に、前記電源の電圧を測定するように構成される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記電源と前記加熱部との間に設けられたスイッチング素子を更に備え、
前記制御部は、
前記スイッチング素子をオン/オフすることにより、前記電源から前記加熱部への給電のための一連の電圧パルスを生成し、
前記
一連の電圧パルスのうちの最初の1つの電圧パルスの持続期間中に、前記電源の電圧を測定するように構成される、請求項1に記載の電子装置。
【請求項4】
前記1つの電圧パルスの幅は100ms以下である、請求項2又は3に記載の電子装置。
【請求項5】
前記1つの電圧パルスは、前記電源から前記加熱部への給電に用いられる経路と同じ経路を通過することを特徴とする、請求項2に記載の電子装置。
【請求項6】
前記加熱部は、前記エアロゾル生成基材を周囲から加熱する形状を有することを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記エアロゾル生成基材を受け入れ可能な凹部を更に有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記電源から前記加熱部への給電を停止する際に、前記スイッチング素子をオフ状態に切り替えるように構成されることを特徴とする、請求項
2から
5のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記電源の電圧が前記閾値電圧よりも小さい場合、ユーザに通知するための信号を生成するように構成されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項10】
前記電源の残容量が所定の値以上である場合、前記閾値電圧は第1の値であり、前記電源の残容量が前記所定の値未満である場合、前記閾値電圧は前記第1の値より大きい第2の値である、請求項1から
9のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項11】
前記電源と前記加熱部との間に設けられ、前記電源の電圧を変換するように構成された、昇圧DC/DCコンバータを更に備え、
前記第1の値は
前記昇圧DC/DCコンバータの安定動作電圧である、請求項
10に記載の電子装置。
【請求項12】
前記電源をさらに備える、請求項1から
11のいずれか1項に記載の電子装置。
【請求項13】
電子装置を動作させる方法であって、
電源からの給電によりエアロゾル生成基材を加熱するステップ
を含み、
前記電源の電圧が、未使用の1つのエアロゾル生成基材を使い切るのに十分な容量が前記電源に残っていることを示す閾値電圧よりも小さい場合、前記加熱のための前記電源からの給電が行われ
ず、前記閾値電圧は、前記電源の残容量に応じて異なるように設定されることを特徴とする、方法。
【請求項14】
プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、請求項
13に記載の方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子装置、並びに当該電子装置を動作させる方法及びプログラムに関する。より具体的には、本開示は、エアロゾル生成基材を加熱することによってエアロゾルを生成するための電子装置、当該電子装置を動作させる方法、及び当該方法をプロセッサに実行させるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、一次電源と、喫煙物品を受け入れ、加熱し、エアロゾルを生成する二次ユニットとを備える電気加熱式喫煙システムにおいて、二次ユニットが一次電源に接続されているときに、1つの喫煙物品を喫煙するのに十分な容量を二次ユニットの電源が有するよう、一次電源から二次ユニットの電源に対して充電を行う技術が開示されている。
【0003】
しかし、特許文献1には、十分に充電されていない二次ユニットを使用した喫煙中に生じ得るユーザエクスペリエンスの低下の問題や、その問題を解決し得る技術について開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、エアロゾル生成装置などの電子装置の電源が十分に充電されていないときに生じ得るユーザエクスペリエンスの低下を改善するための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態によれば、制御部と、電源からの給電によりエアロゾル生成基材を加熱する加熱部とを備え、前記制御部は、前記電源の電圧が、未使用の1つのエアロゾル生成基材を使い切るのに十分な容量が前記電源に残っていることを示す閾値電圧よりも小さい場合、前記電源から前記加熱部への給電を行わないように構成される、電子装置が提供される。
【0007】
一実施形態において、前記制御部は、前記電源から前記加熱部への給電のための電圧パルスとは別に生成される1つの電圧パルスの持続期間中に、前記電源の電圧を測定するように構成される。
【0008】
一実施形態において、前記制御部は、前記電源から前記加熱部への給電のための電圧パルスのうちの最初の1つの電圧パルスの持続期間中に、前記電源の電圧を測定するように構成される。
【0009】
一実施形態において、前記1つの電圧パルスの幅は100ms以下である。
【0010】
一実施形態において、前記1つの電圧パルスは、前記電源から前記加熱部への給電に用いられる経路と同じ経路を通過する。
【0011】
一実施形態において、前記加熱部は、前記エアロゾル生成基材を周囲から加熱する形状を有する。
【0012】
一実施形態において、前記電子装置は、前記エアロゾル生成基材を受け入れ可能な凹部を更に有する。
【0013】
一実施形態において、前記電子装置は、前記電源と前記加熱部との間に設けられたスイッチング素子を更に備える。前記制御部は、前記電源から前記加熱部への給電を停止する際に、前記スイッチング素子をオフ状態に切り替えるように構成される。
【0014】
一実施形態において、前記制御部は、前記電源の電圧が前記閾値電圧よりも小さい場合、ユーザに通知するための信号を生成するように構成される。
【0015】
一実施形態において、前記閾値電圧は、前記電源の残容量に応じて異なるように設定される。
【0016】
一実施形態において、前記電源の残容量が所定の値以上である場合、前記閾値電圧は第1の値であり、前記電源の残容量が前記所定の値未満である場合、前記閾値電圧は前記第1の値より大きい第2の値である。
【0017】
一実施形態において、前記第1の値は昇圧DC/DCコンバータの安定動作電圧である。
【0018】
一実施形態において、前記電子装置は、前記電源をさらに備える。
【0019】
また、本開示の実施形態によれば、電子装置を動作させる方法であって、電源からの給電によりエアロゾル生成基材を加熱するステップを含み、前記電源の電圧が、未使用の1つのエアロゾル生成基材を使い切るのに十分な容量が前記電源に残っていることを示す閾値電圧よりも小さい場合、前記加熱のための前記電源からの給電が行われない、方法が提供される。
【0020】
また、本開示の実施形態によれば、プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに前記方法を実行させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0021】
本開示の実施形態によれば、エアロゾル生成装置などの電子装置の電源が十分に充電されていないときに生じ得るユーザエクスペリエンスの低下を改善するための技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】本開示の一実施形態に係る電子装置の全体斜視図である。
【
図1B】本開示の一実施形態に係る、エアロゾル生成基材を保持した状態の電子装置の全体斜視図である。
【
図3】
図1Aに示した矢視3-3における断面図である。
【
図4A】本開示の一実施形態に係る電子装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4B】
図4Aの実施形態に係る電子装置において電源の電圧を測定するときの様子を示すブロック図である。
【
図4C】
図4Aの実施形態に係る電子装置において電源の電圧を測定するときの様子を示すブロック図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る、電子装置の動作方法のフローチャートである。
【
図6】本開示の一実施形態に係る、電子装置の動作方法のフローチャートである。
【
図7A】本開示の一実施形態に係る、電子装置がとり得る複数の状態間での遷移の様子を概略的に示す状態遷移図である。
【
図7B】ノーマル状態、異常状態、充電状態及び加熱状態の詳細並びに各状態間の遷移の例を概略的に示す状態遷移図である。
【
図7C】ノーマル状態、異常状態、充電状態及び喫煙不可状態の詳細並びに各状態間の遷移の例を概略的に示す状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら本開示の実施形態について詳しく説明する。
【0024】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る電子装置の全体斜視図である。
図1Bは、本開示の一実施形態に係る、エアロゾル生成基材を保持した状態の電子装置の全体斜視図である。本実施形態において、電子装置10は、例えば、エアロゾル源及び香味源を含む充填物などの香味発生基材を有する、喫煙物品などのエアロゾル生成基材を加熱することによって、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。以下、
図1Aから
図3に関連する実施形態においては、喫煙物品110がエアロゾル生成基材として用いられる。
【0025】
当業者に理解されるように、喫煙物品110はエアロゾル生成基材の一例にすぎない。エアロゾル生成基材に含まれるエアロゾル源は固体であってもよいし、液体であってもよい。エアロゾル源は、例えば、グリセリン、プロピレングリコールといった多価アルコールや、水などの液体であってもよい。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。電子装置10がネブライザーなどの医療用吸入器である場合、エアロゾル源は、患者が吸入するための薬剤を含んでもよい。用途によっては、エアロゾル生成基材は香味源を含まなくてもよい。
【0026】
図1A及び
図1Bに示すように、電子装置10は、トップハウジング11Aと、ボトムハウジング11Bと、カバー12と、スイッチ13と、蓋部14とを有する。トップハウジング11A及びボトムハウジング11Bは、互いに接続されることで、電子装置10の最外のハウジング11を構成する。ハウジング11は、使用者の手に収まるようなサイズであってもよい。この場合、使用者が電子装置10を使用するときに、使用者は電子装置10を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。
【0027】
トップハウジング11Aは、開口(図示せず)を有し、カバー12は当該開口を閉じるようにトップハウジング11Aに結合される。
図1Bに示すように、カバー12は、喫煙物品110を挿入可能な開口12aを有する。蓋部14は、カバー12の開口12aを開閉するように構成される。具体的には、蓋部14は、カバー12に取り付けられ、開口12aを閉じる第1位置と開口12aを開放する第2位置との間を、カバー12の表面に沿って移動可能に構成される。
【0028】
スイッチ13は、電子装置10の作動のオンとオフを切り替えるために使用される。例えば、使用者は、
図1Bに示すように喫煙物品110を開口12aに挿入した状態でスイッチ13を操作することにより、バッテリ(図示せず)から加熱部(図示せず)に電力を供給し、喫煙物品110を燃焼させずに加熱することができる。喫煙物品110が加熱されると、喫煙物品110に含まれるエアロゾル源からエアロゾルが発生し、香味源の香味が当該エアロゾルに取り込まれる。使用者は、電子装置10から突出した喫煙物品110の部分(
図1Bにおいて図示された部分)を吸引することにより、香味を含むエアロゾルを吸引することができる。なお、本明細書において、喫煙物品110などのエアロゾル生成基材が開口12aに挿入される方向を、電子装置10の長手方向と呼ぶ。
【0029】
図1A及び
図1Bに示される電子装置10の構成は、本開示に係る電子装置の構成の一例にすぎない。本開示に係る電子装置は、エアロゾル源を含むエアロゾル生成基材を加熱することによってエアロゾルを生成することができ、生成されたエアロゾル源を使用者が吸引することができるような、様々な形態で構成することができる。
【0030】
次に、本実施形態に係る電子装置10に使用されるエアロゾル生成基材の一例として、喫煙物品110の構成について説明する。
図2は、喫煙物品110の断面図である。
図2に示す実施形態において、喫煙物品110は、充填物111(香味発生基材の一例に相当する)と、充填物111を巻装する第1の巻紙112とを含む基材部110Aと、基材部110Aとは反対側の端部を形成する吸口部110Bとを有する。基材部110Aと吸口部110Bは、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって連結されている。ただし、第2の巻紙113を省略し、第1の巻紙112を用いて基材部110Aと吸口部110Bを連結することもできる。
【0031】
図2中の吸口部110Bは、紙管部114と、フィルタ部115と、紙管部114とフィルタ部115との間に配置された中空セグメント部116とを有する。中空セグメント部116は、例えば、1つ又は複数の中空チャネルを有する充填層と、充填層を覆うプラグラッパーとを含む。充填層における繊維の充填密度が高いので、吸引時、空気やエアロゾルは中空チャネルのみを流れることになり、充填層内をほとんど流れない。喫煙物品110において、フィルタ部115でのエアロゾル成分の濾過によるエアロゾルのデリバリ量の減少を少なくしたいときに、フィルタ部115の長さを短くして中空セグメント部116で置き換えることは、エアロゾルのデリバリ量を増大させるために有効である。
【0032】
図2の実施形態において、吸口部110Bは3つのセグメントから構成されている。しかし、別の実施形態において、吸口部110Bは1つ又は2つのセグメントから構成されてもよいし、4つ又はそれ以上のセグメントから構成されてもよい。例えば、中空セグメント部116を省略し、紙管部114とフィルタ部115を互いに隣接するように配置して吸口部110Bを形成することもできる。
【0033】
図2に示す実施形態において、喫煙物品110の長手方向の長さは、40mm~90mmであることが好ましく、50mm~75mmであることがより好ましく、50mm~60mmであることがさらに好ましい。喫煙物品110の円周は15mm~25mmであることが好ましく、17mm~24mm以下であることがより好ましく、20mm~22mmであることがさらに好ましい。また、喫煙物品110における基材部110Aの長さは20mm、第1の巻紙112の長さは20mm、中空セグメント部116の長さは8mm、フィルタ部115の長さは7mmであってもよい。これら個々のセグメントの長さは、製造適性、要求品質等に応じて、適宜変更できる。
【0034】
本実施形態において、喫煙物品110の充填物111は、所定温度で加熱されてエアロゾルを発生するエアロゾル源を含有し得る。エアロゾル源の種類は、特に限定されず、用途に応じて種々の天然物からの抽出物質及び/又はそれらの構成成分を選択することができる。エアロゾル源として、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、トリアセチン、1,3-ブタンジオール、及びこれらの混合物を挙げることができる。充填物111中のエアロゾル源の含有量は、特に限定されず、十分にエアロゾルを発生するとともに、良好な香喫味の付与の観点から、通常5重量%以上であり、好ましくは10重量%以上であり、また、通常50重量%以下であり、好ましくは20重量%以下である。
【0035】
本実施形態における喫煙物品110の充填物111は、香味源としてたばこ刻みを含有し得る。たばこ刻みの材料は特に限定されず、ラミナや中骨等の公知の材料を用いることができる。喫煙物品110における充填物111の含有量の範囲は、円周22mm、長さ20mmの場合、例えば、200mg~400mgであり、250mg~320mgであることが好ましい。充填物111の水分含有量は、例えば、8~18重量%であり、10~16重量%であることが好ましい。このような水分含有量であると、巻染みの発生を抑制し、基材部110Aの製造時の巻上適性を良好にする。充填物111として用いるたばこ刻みの大きさやその調製法については特に制限はない。例えば、乾燥したたばこ葉を、幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。また、乾燥したたばこ葉を平均粒径が20μm~200μm程度になるように粉砕して均一化したものをシート加工し、それを幅0.8mm~1.2mmに刻んだものを用いてもよい。さらに、上記のシート加工したものについて刻まずにギャザー加工したものを充填物111として用いてもよい。また、充填物111は、1種又は2種以上の香料を含んでいてもよい。当該香料の種類は特に限定されないが、良好な喫味の付与の観点から、好ましくはメンソールである。
【0036】
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112及び第2の巻紙113は、坪量が例えば20gsm~65gsmであり、好ましくは25gsm~45gsmである原紙から作られることができる。第1の巻紙112及び第2の巻紙113の厚みは、特に限定されないが、剛性、通気性、及び製紙時の調整の容易性の観点から、10μm~100μmであり、好ましくは20μm~75μmであり、より好ましくは30μm~50μmである。
【0037】
本実施形態において、喫煙物品110の第1の巻紙112及び第2の巻紙113には填料が含まれ得る。填料の含有量は、第1の巻紙112及び第2の巻紙113の全重量に対して10重量%以上60重量%未満を挙げることができ、15重量%~45重量%であることが好ましい。本実施形態において、好ましい坪量の範囲(25gsm~45gsm)に対して、填料が15重量%~45重量%であることが好ましい。填料としては、例えば、炭酸カルシウム、二酸化チタン、カオリン等を使用することができる。このような填料を含む紙は、喫煙物品110の巻紙として利用する外観上の観点から好ましい白色系の明るい色を呈し、恒久的に白さを保つことができる。そのような填料を多く含有させることで、例えば、巻紙のISO白色度を83%以上にすることができる。また、喫煙物品110の巻紙として利用する実用上の観点から、第1の巻紙112及び第2の巻紙113は8N/15mm以上の引張強度を有することが好ましい。この引張強度は、填料の含有量を少なくすることで高めることができる。具体的には、上記で例示した各坪量の範囲において示した填料の含有量の上限よりも填料の含有量を少なくすることで、高めることができる。
【0038】
次に、
図1A及び
図1Bに示した電子装置10の内部構造について説明する。
図3は、
図1Aに示した矢視3-3における断面図である。
図3に示すように、電子装置10は、ハウジング11の内部空間に、電源部20と、回路部30と、加熱部40とを有する。回路部30は、第1回路基板31と、第1回路基板31と電気的に接続された第2回路基板32とを有してもよい。第1回路基板31は、例えば、図示のように長手方向に延びて配置されてもよい。これにより、電源部20と加熱部40は、第1回路基板31によって区画される。その結果、加熱部40において発生する熱が電源部20に伝達することが抑制される。
【0039】
第2回路基板32は、トップハウジング11Aと電源部20との間に配置されてもよく、第1回路基板31の延在方向と直交する方向に延びてもよい。スイッチ13は、第2回路基板32と隣接して配置されてもよい。使用者がスイッチ13を押下したとき、スイッチ13の一部が、第2回路基板32と接触し得る。
【0040】
第1回路基板31及び第2回路基板32は、例えばマイクロプロセッサ等を含み、電源部20から加熱部40への電力の供給を制御することができる。これにより、第1回路基板31及び第2回路基板32は、加熱部40による喫煙物品110の加熱を制御することができる。
【0041】
電源部20は、第1回路基板31及び第2回路基板32に電気的に接続される電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、第1回路基板31及び第2回路基板32の少なくとも一方を介して、加熱部40と電気的に接続される。これにより、電源21は、喫煙物品110を適切に加熱するように、加熱部40に電力を供給することができる。また、図示のように、電源21は、加熱部40の長手方向に直交する方向に隣接して配置されてもよい。これにより、電源21の大きさを大きくしても、電子装置10の長手方向の長さが長くなることを抑制することができる。
【0042】
また、電子装置10は、外部電源と接続可能な端子22を有してもよい。端子22は、例えばマイクロUSB等のケーブルと接続することができる。電源21が充電式バッテリである場合、端子22に外部電源を接続することにより、外部電源から電源21に電流を流し、電源21を充電することができる。また、端子22にマイクロUSB等のデータ送信ケーブルを接続することにより、電子装置10の作動に関連するデータを外部装置に送信できるようにしてもよい。
【0043】
加熱部40は、図示のように、長手方向に延びる加熱アセンブリ41を有する。加熱アセンブリ41は、複数の筒状の部材から構成され、全体として筒状体をなしている。加熱アセンブリ41は、その内部に喫煙物品110の一部を収納可能に構成され、喫煙物品110へ供給する空気の流路を画定する機能、及び喫煙物品110を外周から加熱する機能を有する。
【0044】
ボトムハウジング11Bには、加熱アセンブリ41の内部に空気を流入するための通気口15が形成される。具体的には、通気口15は、加熱アセンブリ41の一端部(
図2における左側の端部)と流体連通する。また、電子装置10は、通気口15に着脱自在のキャップ16を有する。キャップ16は、通気口15に取り付けられた状態でも通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入できるように構成され、例えば図示しない貫通孔又は切欠き等を有し得る。キャップ16を通気口15に取り付けることで、加熱アセンブリ41内に挿入された喫煙物品11から発生する物質が、通気口15からハウジング11の外部に落下することを抑制することができる。また、キャップ16を取り外すことで、加熱アセンブリ41の内部又はキャップ16の内側をクリーニングすることもできる。
【0045】
加熱アセンブリ41の他の一端部(
図2における右側の端部)は、
図1Bに示した開口12aと流体連通する。開口12aを有する蓋部14と加熱アセンブリ41の他の一端部との間には、略筒状のアウターフィン17が設けられる。喫煙物品110は、
図1Bに示すように蓋部14の開口12aから電子装置10の内部に挿入されると、アウターフィン17を通過し、喫煙物品110の一部が加熱アセンブリ41の内部に配置される。このため、アウターフィン17は、加熱アセンブリ41の他の一端部側の開口の大きさより、蓋部14側の開口の方が大きくなるように形成されることが好ましい。これにより、喫煙物品110を開口12aからアウターフィン17の内部に挿入し易くなる。
【0046】
図1Bに示すように喫煙物品110が開口12aから電子装置10内に挿入された状態で、使用者が、喫煙物品110の電子装置10から突出した部分、即ち
図2に示したフィルタ部115から吸引すると、通気口15から加熱アセンブリ41の内部に空気が流入する。流入した空気は、加熱アセンブリ41の内部を通過して、喫煙物品110から生じるエアロゾルと共に、使用者の口内に到達する。したがって、加熱アセンブリ41の通気口15に近い側は上流側であり、加熱アセンブリ41の開口12aに近い側(アウターフィン17に近い側)は下流側である。
【0047】
図4Aは、本開示の一実施形態に係る電子装置の構成を概略的に示すブロック図である。この例における電子装置10は、制御部402と、加熱アセンブリ41などの要素を含む加熱部40とを備える。電子装置10は、電源21をさらに備えてもよい。あるいは、電子装置10は電源21を備えず、電源21を含む別の装置と接続されるように構成されてもよい。電子装置10は、さらに、スイッチング素子406、記憶部408、通知部410、電圧センサ412、残容量センサ414などの他の構成要素を備えてもよい。スイッチング素子406は、電源21と加熱部40との間に設けられる。残容量センサ414は、電子装置10内に配置された集積回路(IC)として実装されてもよい。あるいは、電子装置10が電源21を備えず、電源21を含む別の装置と接続される場合、残容量センサ414は、当該別の装置内に配置されたICとして実装されてもよい。電子装置10は、さらに、電源21と加熱部40との間に設けられた電圧変換回路418を備えてもよい。電圧変換回路418は、電源とスイッチング素子406との間に配置されてもよい。あるいは、電圧変換回路418は、スイッチング素子406と加熱部40との間に配置されてもよい。
図4Aにおいて点線矢印で示されるように、制御部402は、電源21、スイッチング素子406、通知部410、電圧変換回路418などを制御するように構成される。制御部402はまた、記憶部408、電圧センサ412、残容量センサ414などを制御したり、これらの構成要素との間で情報をやり取りしたりするように構成される。
【0048】
電子装置10はまた、喫煙物品などのエアロゾル生成基材110を受け入れ可能な凹部416を備え得る。加熱部40は、エアロゾル生成基材110を周囲から加熱する形状を有してもよい。加熱部40は、電源21からの給電により、凹部416に受け入れられたエアロゾル生成基材110の部分を加熱する。
【0049】
制御部402は、スイッチング素子406をオン/オフすることにより、電源21から加熱部40への給電のオン/オフを切り替えるように構成されてもよい。一例において、制御部402は、電源21から加熱部40への給電を停止する際に、スイッチング素子406をオフ状態に切り替えるように構成されてもよい。
【0050】
電圧センサ412は、電源21の電圧を測定するために使用される。例えば、電圧センサ412は、電源21の出力端子間に接続された抵抗と、当該抵抗の両端に印加される電圧を検出するセンサとを含んでもよい。制御部402は、電圧センサ412から、電源21の電圧に関する情報を得ることができる。これは電圧センサ412の一例にすぎない。電圧センサ412が様々な構成をとり得ることが当業者に理解されよう。
【0051】
残容量センサ414は、電源21の残容量を測定するために使用される。例えば、残容量センサ414は、電源21から流れた電流の積算値を記憶し、当該積算値に基づいて電源21の満充電時の容量に対する現在の容量の割合を計算するように構成された、回路等を含んでもよい。制御部402は、残容量センサ414から、電源21に残っている容量に関する情報を得ることができる。これは残容量センサ414の一例にすぎない。残容量センサ414が様々な構成をとり得ることが当業者に理解されよう。
【0052】
電圧変換回路418は、電源21の電圧を変換するように構成される。変換された電圧は加熱部40への給電に用いられる。電圧変換回路418は、昇圧DC/DCコンバータであってもよい。あるいは、電子装置10は、電圧変換回路418を有しないように構成されてもよい。
【0053】
電子装置10が電圧変換回路418を備える場合、スイッチング素子406は、電圧変換回路418と別個に設けられるのではなく、電圧変換回路418に含まれてもよい。
【0054】
通知部410は、ユーザに対して通知を行うように動作する。一例において、通知部410は、1つ又は複数のLEDを含んでもよく、1つ又は複数の色で発光するように構成されてもよい。通知部410はまた、スピーカを含んでもよく、音による通知を行うように構成されてもよい。通知部410はまた、ディスプレイを含んでもよく、ディスプレイ上の表示を用いて通知を行ってもよい。
【0055】
記憶部408は、電子装置10の動作に関連する様々なデータを記憶することができる。例えば、記憶部408は、電圧センサ412及び残容量センサ414から得られた情報を記憶してもよい。記憶部408はまた、電子装置10に適した加熱部40の加熱手順に関する情報を記憶してもよい。
【0056】
一例において、制御部402、スイッチング素子406、記憶部408、通知部410、電圧センサ412及び残容量センサ414の各々は、
図3に示す第1回路基板31及び第2回路基板32のうちのいずれかに含まれてもよい。
【0057】
図4Bは、
図4Aの実施形態に係る電子装置において電源21の電圧を測定するときの様子を示すブロック図である。制御部402は、エアロゾル生成基材110を加熱するために加熱部40への給電に用いられる電圧パルス(又は、電流パルス)とは別の電圧パルス(又は、電流パルス)を生成し、当該電圧パルスの持続期間中に電源21の電圧を測定してもよい。一例において、制御部402は、所定時間Δt
1(例えば、60ms)だけ、スイッチング素子406をオン状態にし、Δt
1が経過した後、スイッチング素子406をオフ状態にする。Δt
1の値は、予め記憶部408に記憶されていてもよい。これにより、図示されるように、持続期間Δt
1の電圧パルスが生成され、電源21から加熱部40への経路を通る。制御部402は、電圧パルスの持続期間Δt
1の間、電圧センサ412を使用して、電源21の電圧を測定する。この例において、生成される電圧パルスの数及び持続期間は、加熱部40における温度上昇がほとんど生じないように設定される。例えば、電圧パルスの数は、好ましくは1つであり、電圧パルスの持続期間は、好ましくは100ms以下である。本開示の実施形態において、上記の生成される電圧パルスの数及び持続期間を適宜設定できることが当業者に理解されよう。
【0058】
図4Cは、
図4Aの実施形態に係る電子装置において電源21の電圧を測定するときの様子を示すブロック図である。制御部402は、エアロゾル生成基材110を加熱するために加熱部40への給電に用いられる電圧パルス(又は、電流パルス)のうちの最初の1つの電圧パルスの持続期間中に、電源21の電圧を測定してもよい。一例において、制御部402は、スイッチング素子406をオン/オフすることにより、加熱部40を加熱するために用いられる一連の電圧パルスを生成することができる。制御部402は、所定時間Δt
2(例えば、60ms)だけ、スイッチング素子406をオン状態にし、Δt
2が経過した後、スイッチング素子406をオフ状態にする、という制御を繰り返してもよい。Δt
2の値は、予め記憶部408に記憶されていてもよい。あるいは、制御部402は、加熱部40の温度が所望の値となるよう、Δt
2の値を調整してもよい。このような制御により、図示されるように、持続期間Δt
2の一連の電圧パルスが、電源21から加熱部40への経路を通る。制御部402は、一連の電圧パルスのうちの最初の電圧パルス(
図4Cにおいて太線で示されるパルス)の持続期間Δt
2の間、電圧センサ412を使用して、電源21の電圧を測定してもよい。電圧パルスの持続期間は、好ましくは100ms以下である。別の例において、制御部402は、一連の電圧パルスのうちの最初の複数(例えば、2つ、3つなど)の電圧パルスの持続期間の間、電源21の電圧を測定してもよい。
【0059】
以下、本開示の実施形態に係る電子装置10の動作の詳細についてさらに説明する。
【0060】
図5は、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。
図5の処理は
図4Bの例に対応する。ここでは、電子装置10の制御部402がすべてのステップを実行するものとして説明を行う。しかし、少なくとも一部のステップが電子装置10の別の構成要素によって実行されてもよいことに留意されたい。また、本実施形態が、制御部402などのプロセッサにより実行されると当該プロセッサに方法を実行させるプログラム、又は当該プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として実施され得ることが理解されよう。後述の
図6に関して説明される例についても同様のことがいえる。
【0061】
処理はステップ502において開始する。制御部402は、エアロゾル生成要求を検知したか否かを判断する。一例において、制御部402は、スイッチ13が押されたときに、エアロゾル生成要求が検知されたと判断してもよい。別の例において、電子装置10は、ユーザによる吸引を検知したことに基づいて、エアロゾル生成要求が検知されたと判断するように構成されてもよい。例えば、電子装置10は圧力センサを有してもよく、制御部402は、圧力センサにより検出される圧力の変化等に基づいて、ユーザによる吸引を検知してもよい。
【0062】
エアロゾル生成要求が検知されない場合(ステップ502の「N」)、処理はステップ502の前に戻る。エアロゾル生成要求が検知された場合(ステップ502の「Y」)、処理はステップ504に進む。
【0063】
ステップ504において、制御部402は、加熱部40への給電のための電圧パルスとは別の電圧パルスを生成する。一例において、制御部402は、スイッチング素子406を所定の期間だけオン状態にしてもよい。これにより、当該所定の期間に等しい持続期間を有する電圧パルスが生成される。当該所定の期間は、好ましくは100ms以下であり、例えば60msである。当該所定の期間に関する情報は、記憶部408に記憶されていてもよい。制御部402は、記憶部408から所定の期間に関する情報を取得し、当該情報に基づいて上記の電圧パルスを生成してもよい。
図4Bの例から理解されるように、生成された電圧パルスは、電源21から加熱部40への給電に用いられる経路と同じ経路を通過する。
【0064】
処理はステップ506に進み、制御部402は、上記の電圧パルスの持続期間中に、電源21の電圧を測定する。一例において、電圧センサ412は、電源21の出力端子間に接続された抵抗を含んでもよい。制御部402は、当該抵抗の両端の電圧を、電源21の電圧として取得する。制御部402は、持続期間中、電源21の電圧を、1回又は複数回測定してもよい。電圧パルスの持続期間中に測定を行うことにより、電源21と加熱部40とが実際に通電しているときの電源21の電圧を求めることができる。したがって、電圧パルスを生成することなく単純に電源21の電圧を測定する場合と比較して、電源21から加熱部40に対して電力が供給されて加熱部40によってエアロゾル生成基材110が加熱されているときと同じ状況における電源21の電圧をより正確に測定することができる。
【0065】
処理はステップ508に進み、制御部402は、ステップ506において測定された電源21の電圧が、未使用の1つのエアロゾル生成基材110を使い切るのに十分な容量が電源21に残っていることを示す閾値電圧よりも小さいかどうかを判定する。
【0066】
一例において、上記閾値電圧は、記憶部408に記憶されている固定値であってもよい。周囲温度が低温(例えば、0℃)から高温(例えば、40℃)の値をとる様々な環境下で、電子装置10によるエアロゾル生成基材110の加熱及びユーザによる吸引の試験が予め行われてもよい。当該試験の結果、あらゆる環境の下で、未使用の1つのエアロゾル生成基材110を使い切るのに十分な容量が電源21に残っているときの電源21の電圧が、上記固定値として設定されてもよい。
【0067】
上記閾値電圧は、電源21の残容量に応じて異なる値となるように設定されてもよい。既に述べたように、電源21の残容量は、残容量センサ414を用いて測定されてもよい。電源21の残容量が所定の値以上である場合、閾値電圧は第1の値であってもよい。電源21の残容量が当該所定の値未満である場合、閾値電圧は第1の値より大きい第2の値であってもよい。
【0068】
一例において、制御部402は、電源21の残容量が25%以上である場合、閾値電圧を第1の値(例えば、2282mV)に設定してもよい。電子装置10が電圧変換回路418を備えており、電圧変換回路418が昇圧DC/DCコンバータである場合、上記第1の値は、当該昇圧DC/DCコンバータの安定動作電圧であってもよい。これにより、電源21の残容量が未使用の1つのエアロゾル生成基材110を使い切るのに十分であるときに、昇圧DC/DCコンバータを備える電子装置10の動作が不安定になるのを防ぐことができる。
【0069】
制御部402はまた、電源21の残容量が25%未満である場合、閾値電圧を第2の値(例えば、2408mV)に設定してもよい。当該第2の値は、高温の環境下でも未使用の1つのエアロゾル生成基材110を使い切ることができるような値であってもよい。
【0070】
電源21の電圧が閾値電圧より小さい場合(ステップ508の「Y」)、処理はステップ510に進む。ステップ510において、制御部402は、電源21から加熱部40への給電を行わないように動作する。例えば、制御部402は、スイッチング素子406がオン状態にならないように(スイッチング素子406をオフ状態に保つように)制御を行ってもよい。このとき、制御部402は、ユーザに通知するための信号を生成してもよい。一例において、制御部402は、1つのエアロゾル生成基材110を使い切るのに十分な容量が電源21に残っていないことをユーザに通知するよう、通知部410を制御してもよい。当該通知は、LEDなどからの発光、スピーカなどから出力される音声、バイブレータによる振動、ディスプレイ上の表示などを使用して、様々な態様で行われてもよい。
【0071】
電源21の電圧が閾値電圧以上である場合(ステップ508の「N」)、処理はステップ512に進む。ステップ512において、制御部402は、電源21から加熱部40への給電を行い、エアロゾル生成基材110を加熱してエアロゾルを生成するように動作する。
【0072】
図5の実施形態によれば、ユーザは、未使用の1つのエアロゾル生成基材110(例えば、1本の喫煙物品)を使い切るのに十分な容量が電源21に残っていないとき、事前にそれを知ることができる。したがって、ユーザは、エアロゾル生成基材110を使い切る前にエアロゾルが生成されなくなるという不快な体験をしなくて済む。このように、本実施形態によれば、エアロゾル生成装置などの電子装置10の電源21が十分に充電されていないときに生じ得るユーザエクスペリエンスの低下を防止又は改善することができる。
【0073】
図6は、本開示の一実施形態に係る、電子装置10の動作方法のフローチャートである。
図6の処理は
図4Cの例に対応する。ステップ602の処理は
図5のステップ502の処理と同様である。
【0074】
ステップ604において、制御部402は、加熱部40への給電のための電圧パルスを生成する。制御部402は、スイッチング素子406をある期間だけオン状態にし、ある期間だけオフ状態にすることを繰り返してもよい。これにより、
図4Cに示すような一連の電圧パルスが生成され、エアロゾル生成のために加熱部40に供給される。この場合、1つの電圧パルスの持続期間は上記期間に等しくなる。電圧パルスの持続期間は、電子装置10の動作状況によって変化し得る。例えば、制御部402は、加熱部40の温度が所望の温度になるよう、電圧パルスのデューティ比を調整してもよい。電圧パルスのデューティ比が調整されると、電圧パルスの持続期間も変化する。当該持続期間に関する情報は、記憶部408に記憶されてもよい。持続期間が変化するたびに、記憶部408に記憶されている持続期間に関する情報は更新されてもよい。別の例において、ステップ604において最初に生成される電圧パルスの持続期間は、固定値であってもよい。当該固定値は、好ましくは100ms以下であり、例えば60msである。当該固定値に関する情報は、記憶部408に記憶されていてもよい。この場合、制御部402は、記憶部408から当該固定値に関する情報を取得し、この情報に基づいて上記の最初の電圧パルスを生成してもよい。
【0075】
ステップ606において、制御部402は、加熱部40への給電のために生成された一連の電圧パルスのうちの最初の電圧パルスの持続期間中に、電源21の電圧を測定する。電源21の電圧の測定方法は既に述べたとおりである。別の例において、制御部402は、一連の電圧パルスのうちの最初の複数(例えば、2つ、3つなど)の電圧パルスの持続期間の間、電源21の電圧を測定してもよい。
【0076】
ステップ608から612の処理は、
図5のステップ508から512の処理と同様である。
【0077】
図5の実施形態と同様に、
図6の実施形態によれば、エアロゾル生成装置などの電子装置10の電源21が十分に充電されていないときに生じ得るユーザエクスペリエンスの低下を防止又は改善することができる。
【0078】
図7Aは、本開示の一実施形態に係る、電子装置10(又は、電子装置10の制御部402)がとり得る複数の状態間での遷移の様子を概略的に示す状態遷移図である。
【0079】
図示されるように、電子装置10の状態は、ノーマル状態702、異常状態704、充電状態706、加熱状態708及び喫煙不可状態710を含み得る。ノーマル状態702は、通常の待機状態である。異常状態704は、何らかのエラー等が発生しており、電子装置10が正常に動作できない状態である。充電状態706は、電子装置10の電源21が充電されている状態である。加熱状態708は、電源21から加熱部40に対する給電によって加熱部40が加熱されている状態である。喫煙不可状態710は、1つのエアロゾル生成基材(例えば、1本の喫煙物品)を使い切ることができない状態である。
【0080】
図示される様々な矢印は、ある状態から別の状態へ遷移するためのトリガーの例を示す。これらは単なる例にすぎず、状態遷移のために他の様々なトリガーを用いることができることが当業者に理解されよう。
【0081】
電子装置10がノーマル状態702にあるとき、加熱部40の温度が高くなり過ぎるなど、温度の異常が検知されると、電子装置10は異常状態704に遷移する(矢印A1)。温度の正常化が確認されると、電子装置10は、異常状態704からノーマル状態702に遷移する(矢印A2)。別のトリガーとして、何らかのシステムエラーが検知されると、電子装置10は、ノーマル状態702から異常状態704に遷移する(矢印A3)。システムの状態がリセットされると、電子装置10は、異常状態704からノーマル状態702に遷移する(矢印A4)。一例において、状態のリセットは、スイッチ13などのアクションボタンを通常の長押しよりもさらに長い時間押すことによって行われてもよい。
【0082】
電子装置10がノーマル状態702にあるとき、マイクロUSBケーブルなどの、電子装置10の電源21の充電に用いられる要素の接続が検出されると、電子装置10は、充電状態706に遷移する(矢印A5)。マイクロUSBケーブルなどの取り外しが検出されたり、リセットが検出されたりすると、電子装置10は、充電状態706からノーマル状態702に遷移する(矢印A6)。
【0083】
電子装置10がノーマル状態702にあるとき、カバー12などのスライドカバーが開かれ、アクションボタンが長押しされると、電子装置10は、加熱状態708に遷移する(矢印A7)。喫煙(エアロゾル吸引)の完了、キャンセル操作、アクションボタンの長押し、状態のリセット、マイクロUSBケーブルの接続などが検出されると、電子装置10は、加熱状態708からノーマル状態702に遷移する(矢印A8)。一例において、キャンセル操作は、スライドカバー開閉すること、マイクロUSBケーブルを接続することなどによって行われてもよい。
【0084】
電子装置10がノーマル状態702にあるとき、電源21の残量が不足していることが検知されると、電子装置10は喫煙不可状態710に遷移する(矢印A9)。矢印A9で示す遷移は、
図5の実施形態におけるステップ510の処理に関連する。リセットが検知されると、電子装置10は、喫煙不可状態710からノーマル状態702に遷移する(矢印A10)。
【0085】
電子装置10が加熱状態708にあるとき、電源21の残量が不足していることが検知されると、電子装置10は喫煙不可状態710に遷移する(矢印A11)。矢印A11で示す遷移は、
図6の実施形態におけるステップ610の処理に関連する。システムエラーが検知されると、電子装置10は、加熱状態708から異常状態704に遷移する(矢印A12)。
【0086】
電子装置10が喫煙不可状態710にあるとき、マイクロUSBケーブルの接続が検出されると、電子装置10は充電状態706に遷移する(矢印A13)。システムエラー、温度の異常などが検知されると、電子装置10は、喫煙不可状態710から異常状態704に遷移する(矢印A14)。
【0087】
電子装置10が充電状態706にあるとき、システムエラー、温度の異常などが検知されると、電子装置10は異常状態704に遷移する(矢印A15)。
【0088】
図7Bは、ノーマル状態702、異常状態704、充電状態706及び加熱状態708の詳細並びに各状態間の遷移の例を概略的に示す状態遷移図である。
【0089】
ノーマル状態702は、スリープ702A、スタンバイ(IDLE)702B、セット状態表示モード702C、予備加熱待機状態702Dなどの状態をとり得る。異常状態704は、一時的利用不可状態704A、自動復帰不可能な状態704Bなどの状態をとり得る。充電状態706は、バッテリー(電源)充電状態706Aなどの状態をとり得る。バッテリー充電状態706Aにおいて、電子装置10は、充電状態に関する表示を行ってもよい。加熱状態708は、予備加熱708A、喫煙モード708Bなどの状態をとり得る。予備加熱708Aにおいて、電子装置10は、予備加熱時間に関する表示を行ってもよい。喫煙モード708Bにおいて、電子装置10は、喫煙時間に関する表示を行ってもよい。
【0090】
電子装置10がノーマル状態702にあるとき、温度の異常などが検知されると、電子装置10は、一時的利用不可状態704Aに遷移する(矢印B1)。温度の正常化が確認されると、電子装置10は、一時的利用不可状態704Aからノーマル状態702に遷移する(矢印B2)。電子装置10がノーマル状態702にあるとき、システムエラーが検知されると、電子装置10は、自動復帰不可能な状態704Bに遷移する(矢印B3)。リセットが検知されると、電子装置10は、ノーマル状態702に遷移する(矢印B4)。
【0091】
電子装置10がノーマル状態702にあるとき、マイクロUSBケーブルの接続が検出されると、電子装置10は充電状態706に遷移する(矢印B5)。マイクロUSBケーブルの取り外しが検出されると、電子装置10はノーマル状態702に遷移する(矢印B6)。
【0092】
電子装置10が充電状態706にあるとき、リセットが検知されると、電子装置10はノーマル状態に遷移する(矢印B7)。
【0093】
電子装置10が予備加熱待機状態702Dにあるとき、アクションボタンの長押しなどによって予備加熱開始が指示されると、電子装置10は予備加熱708Aに遷移する(矢印B8)。予備加熱708Aの状態においてアクションボタンが長押しされると、電子装置10は予備加熱待機状態702Dに遷移する(矢印B9)。
【0094】
電子装置10がスリープ702Aであるとき、スライドカバーの開閉、アクションボタンの押下、マイクロUSBケーブルの接続などが検出されると、電子装置10はスタンバイ702Bに遷移する(矢印B10)。所定時間(例えば、15秒)が経過すると、電子装置10は、スタンバイ702Bからスリープ702Aに遷移する(矢印B11)。
【0095】
電子装置10がスリープ702A又はスタンバイ702Bであるとき、スライドカバーが開かれると、電子装置10は予備加熱待機状態702Dに遷移する(矢印B12)。キャンセル操作がなされると、電子装置10は、予備加熱待機状態702Dからスリープ702A又はスタンバイ702Bに遷移する(矢印B13)。あるいは、所定時間(例えば、5分)が経過すると、電子装置10は、予備加熱待機状態702Dからスリープ702Aに遷移する(矢印B14)。
【0096】
電子装置10がスリープ702A又はスタンバイ702Bであるとき、アクションボタンの短押しが検知されると、電子装置10は、セット状態表示モード702Cに遷移する(矢印B15)。キャンセル操作が検知されると、電子装置10は、セット状態表示モード702Cからスリープ702A又はスタンバイ702Bに遷移する(矢印B16)。あるいは、セット状態の表示が完了したり、アクションボタンの短押し又は長押しが検知されたりすると、電子装置10は、セット状態表示モード702Cからスリープ702A又はスタンバイ702Bに遷移する(矢印B17)。
【0097】
電子装置10が予備加熱708Aにあるとき、予備加熱が終了すると、電子装置10は喫煙モード708Bに遷移する(矢印B18)。所定回数(例えば、14回)のパフ、所定時間(例えば、210秒)の経過、アクションボタンの長押しなどが検出されると、電子装置10は、喫煙モード708Bから予備加熱待機状態702Dに遷移する(矢印B19)。
【0098】
電子装置10が予備加熱708Aにあるとき、キャンセル操作が検知されると、電子装置10はスリープ702A又はスタンバイ702Bに遷移する(矢印B20)。電子装置10が加熱状態708にあるとき、リセットが検知されると、電子装置10はノーマル状態702に遷移する(矢印B21)。電子装置10が喫煙モード708Bにあるとき、キャンセル操作が検知されると、電子装置10はスリープ702A又はスタンバイ702Bに遷移する(矢印B22)。
【0099】
図7Cは、ノーマル状態702、異常状態704、充電状態706及び喫煙不可状態710の詳細並びに各状態間の遷移の例を概略的に示す状態遷移図である。
【0100】
喫煙不可状態710は、スリープ710A、スタンバイ(IDLE)710B、セット状態表示モード710Cなどの状態をとり得る。
【0101】
電子装置10が喫煙不可状態710にあるとき、温度の異常などが検知されると、電子装置10は一時的利用不可状態704Aに遷移する(矢印C1)。温度の正常化が検知されると、電子装置10は、一時的利用不可状態704Aから喫煙不可状態710に遷移する(矢印C2)。電子装置10が喫煙不可状態710にあるとき、システムエラーが検知されると、電子装置10は自動復帰不可能な状態704Bに遷移する(矢印C3)。マイクロUSBケーブルの接続が検出されると、電子装置10は、喫煙不可状態710から充電状態706に遷移する(矢印C4)。
【0102】
電子装置10が充電状態706にあるとき、マイクロUSBケーブルの取り外しが検出されると、電子装置10はノーマル状態702に遷移する(矢印C5)。電子装置10が充電状態706にあるとき、システムエラーが検知されると、電子装置10は異常状態704に遷移する(矢印C7)。
【0103】
電子装置10が喫煙不可状態710にあるとき、リセットが検知されると、電子装置10はノーマル状態702に遷移する(矢印C6)。電子装置がスリープ710Aにあるとき、スライドカバーの開閉、アクションボタンの押下、マイクロUSBケーブルの接続などが検出されると、電子装置10はスタンバイ710Bに遷移する(矢印C8)。所定時間(例えば、15秒)が経過すると、電子装置10は、スタンバイ710Bからスリープ710Aに遷移する(矢印C9)。
【0104】
電子装置10がスリープ710A又はスタンバイ710Bであるとき、アクションボタンの短押しが検知されると、電子装置10はセット状態表示モード710Cに遷移する(矢印C10)。キャンセル操作が検知されると、電子装置10は、セット状態表示モード710Cからスリープ710A又はスタンバイ710Bに遷移する(矢印C11)。あるいは、セット状態の表示が完了したり、アクションボタンの短押し又は長押しが検知されると、電子装置10は、セット状態表示モード710Cからスリープ710A又はスタンバイ710Bに遷移する(矢印C12)。
【0105】
電子装置10がスリープ702Aであるとき、スライドカバーの開閉、アクションボタンの押下、マイクロUSBケーブルの接続などが検出されると、電子装置10は、スタンバイ702Bに遷移する(矢印C13)。所定時間(例えば、15秒)が経過すると、電子装置10は、スタンバイ702Bからスリープ702Aに遷移する(矢印C14)。
【0106】
以上、本開示の実施形態が説明されたが、これらが例示にすぎず、本開示の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、実施形態の変更、追加、改良などを適宜行うことができることが理解されるべきである。本開示の範囲は、上述した実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、特許請求の範囲及びその均等物によってのみ規定されるべきである。
【符号の説明】
【0107】
10…電子装置、11…ハウジング、11A…トップハウジング、11B…ボトムハウジング、12…カバー、12a…開口、13…スイッチ、14…蓋部、15…通気口、16…キャップ、17…アウターフィン、20…電源部、21…電源、22…端子、30…回路部、31…第1回路基板、32…第2回路基板、40…加熱部、41…加熱アセンブリ、110…エアロゾル生成基材又は喫煙物品、110A…基材部、110B…吸口部、111…充填物、112…第1の巻紙、113…第2の巻紙、114…紙管部、115…フィルタ部、116…中空セグメント部、402…制御部、406…スイッチング素子、408…記憶部、410…通知部、412…電圧センサ、414…残容量センサ、416…凹部、418…電圧変換回路、702…ノーマル状態、704…異常状態、706…充電状態、708…加熱状態、710…喫煙不可状態、702A…スリープ、702B…スタンバイ、702C…セット状態表示モード、702D…予備加熱待機状態、704A…一時的利用不可状態、704B…自動復帰不可能な状態、706A…バッテリー充電状態、708A…予備加熱、708B…喫煙モード、710A…スリープ、710B…スタンバイ、710C…セット状態表示モード