(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】複数のプレート及び介在の流体充填ブラダを備えるソール構造体、並びにこれの製造方法
(51)【国際特許分類】
A43B 13/20 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
A43B13/20 A
(21)【出願番号】P 2020557903
(86)(22)【出願日】2019-04-09
(86)【国際出願番号】 US2019026470
(87)【国際公開番号】W WO2019204077
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2020-12-18
(32)【優先日】2018-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514144250
【氏名又は名称】ナイキ イノベイト シーブイ
(74)【代理人】
【識別番号】100139044
【氏名又は名称】笹野 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド ブライアン ピー.
(72)【発明者】
【氏名】クライン ロス
(72)【発明者】
【氏名】リンドナー トロイ シー.
(72)【発明者】
【氏名】ピッコ ブライアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン ジェフリー ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ヤングス ブライアン ケイ.
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0102859(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257481(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0102857(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00 - 13/20
A43C 1/00 - 19/00
A43D 1/00 - 999/00
B29D 35/00 - 35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物用のソール構造体において、該ソール構造体は、
第1のプレートと、
第1のプレート上に支持された流体充填ブラダと、
第1のプレートと第2のプレートとの間に流体充填ブラダが配置されるように、上記流体充填ブラダ上に支持された第2のプレートと、
を備え、
該ソール構造体の前足領域から踵領域まで至る方向に沿って、第1のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ上昇している一方で、
該ソール構造体の前足領域から踵領域まで至る方向に沿って、第2のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ下降して
いるとともに、上記流体充填ブラダの後方における第1のプレートの後方部が第2のプレートの後方部よりも高い位置にあ
り、
第2のプレートの後方部は、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方を含み、
第1のプレートの後方部は、該ソール構造体の横断方向に関して、上記内側方の後続アーム及び上記外側方の後続アームのうちの一方又は両方に隣接しつつそれよりも内方に配置されており、
上記内側方の後続アーム及び上記外側方の後続アームのうちの一方又は両方と
、第1のプレート
の後方部とが、該ソール構造体の中足領域内で露出していることを特徴とする、ソール構造体。
【請求項2】
第2のプレー
トが上記内側方の後続アーム及び上記外側方の後続アームの両方を含む一方で、上記内側方の後続アームと上記外側方の後続アームと
が第2のプレー
トの後部において収束していることを特徴とする、請求項
1に記載のソール構造体。
【請求項3】
上記内側方の後続アームに固定されこれと連絡している内側方ショルダ、及び上記外側方の後続アームに固定されこれと連絡している外側方ショルダを含む後方ミッドソール・ユニットをさらに備える、請求項
2に記載のソール構造体。
【請求項4】
該ソール構造体の踵領域内に延びているミッドソール・ユニットをさらに備え、
上記ミッドソール・ユニットは上記踵領域内に貫通孔を有し、
第1のプレートの後方部は、上記ミッドソール・ユニットに形成された上記貫通孔を貫通して上記ミッドソール・ユニットの足対向面上に着座していることを特徴とする、請求項1~
3のいずれかに記載のソール構造体。
【請求項5】
第1のプレートの後方部が階段状の後部を含み
、
上記階段状の後部は
、
上記貫通孔を貫通している相対的に厚いレッグ
と、
上記相対的に厚いレッグに対して相対的に薄いレッグであって、上記ミッドソール・ユニットを覆うように
上記相対的に厚いレッグから後方へ延びている相対的に薄いレッグ
と、
を有し、
上記相対的に薄いレッグは、上記ミッドソール・ユニットの上記足対向面上の凹所内に着座していることを特徴とする、請求項
4記載のソール構造体。
【請求項6】
該ソール構造体は第3のプレートをさらに備え、
第3のプレートの前方端縁がノッチを画定しており、第3のプレートが第1のプレートから後方へ延在しているときに第1のプレートの上記後方部が上記ノッチ内にフィットするように構成されていることを特徴とする、請求項1~
5のいずれかに記載のソール構造体。
【請求項7】
第3のプレートは、該ソール構造体の踵領域内に貫通孔を画定しており、
該ソール構造体は、
第3のプレートの遠位側に固定され且つ第3のプレートの近位側において第3のプレートの上記貫通孔の位置で露出している後方ミッドソール・ユニットをさらに備え
、
上記遠位側は、その履物に着用者が足を入れて履いているときにその足に近い側である上記近位側よりもその足から遠い側であって、上記ソール構造体の接地面に対しては上記近位側よりも近い方のことである、請求項
6に記載のソール構造体。
【請求項8】
該ソール構造体の前足領域から該ソール構造体の踵領域まで延びている全長ミッドソール・ユニットをさらに備え、
上記全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの前方の上記前足領域内で第1のプレートの近位側に支持され且つこれと連絡しているとともに、第2のプレートの近位側と連絡しており、さらには、第3のプレートの近位側と連絡して
おり、
上記近位側は、その履物に着用者が足を入れて履いているときにその足から遠い側である遠位側よりもその足に近い側のことである、請求項
6又は請求項
7に記載のソール構造体。
【請求項9】
上記全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの上方に配置された貫通孔を有し、第2のプレートの近位側が、上記全長ミッドソール・ユニットの上記貫通孔の位置で露出していることを特徴とする、請求項
8に記載のソール構造体。
【請求項10】
上記流体充填ブラダは、上記全長ミッドソール・ユニットの上記貫通孔の下方において第2のプレートの遠位側に配置されて
おり、
上記遠位側は、その履物に着用者が足を入れて履いているときにその足に近い側である上記近位側よりもその足から遠い側であって、上記ソール構造体の接地面に対しては上記近位側よりも近い方のことである、請求項
9に記載のソール構造体。
【請求項11】
上記流体充填ブラダは第1の流体充填ブラダであり、
該ソール構造体は、
第1のプレートと第2のプレートとの間において第1の流体充填ブラダに隣接して配置された第2の流体充填ブラダをさらに備える、請求項1~
10のいずれかに記載のソール構造体。
【請求項12】
第1のプレートは二股部を含み、
第1の流体充填ブラダは、上記二股部の内側方の突出部上に配置されており、
第2の流体充填ブラダは、上記二股部の外側方の突出部上に配置されていることを特徴とする、請求項
11に記載のソール構造体。
【請求項13】
上記流体充填ブラダの内側方の面に固定され
た内側方の側壁を有するアウトソール構成要素をさらに備える、請求項1~
12のいずれかに記載のソール構造体。
【請求項14】
履物用のソール構造体において、該ソール構造体は、
第1のプレートと、
第1のプレート上に支持された流体充填ブラダと、
第1のプレートと第2のプレートとの間に流体充填ブラダが配置されるように、上記流体充填ブラダ上に支持された第2のプレートと、
を備え、
第1のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ上昇している一方で、第2のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ下降しているとともに、上記流体充填ブラダの後方における第1のプレートの後方部が第2のプレートの後方部よりも高い位置にあり、
上記ソール構造体の踵領域にミッドソール・ユニットが延びており、
上記ミッドソール・ユニットは、上記踵領域に貫通孔を有し、
第1のプレートの後方部は、上記ミッドソール・ユニットに形成された上記貫通孔を貫通して上記ミッドソール・ユニットの足対向面上に着座していることを特徴とする、ソール構造体。
【請求項15】
第1のプレートの後方部が階段状の後部を含み、
上記階段状の後部は、
上記貫通孔を貫通している相対的に厚いレッグと、
上記相対的に厚いレッグに対して相対的に薄いレッグであって、上記ミッドソール・ユニットを覆うように上記相対的に厚いレッグから後方へ延びている相対的に薄いレッグと、
を有し、
上記相対的に薄いレッグは、上記ミッドソール・ユニットの上記足対向面上の凹所内に着座していることを特徴とする、請求項14に記載のソール構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、履物用のソール構造体、及び該履物用のソール構造体の製造方法に関する。
【0002】
なお、本願は、2018年4月20に出願された米国特許仮出願第62/660,547号明細書の優先権の利益を主張するとともに、2018年8月6日に出願された米国特許仮出願第62/715,056号明細書の優先権の利益を主張するものであり、これら両方の出願が本願の参照となる。
【背景技術】
【0003】
履物は一般に、着用者の足を地面から離すように足の下に配置されたソール構造体を含む。ソール構造体は一般に、クッション性、運動制御性、及び弾力性(反発性)のうちの1つ又は複数の特性をもたらすように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
履物用のソール構造体、及び該履物用のソール構造体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
独特な形状に形成された第1のプレートと第2のプレートであって、これらのプレート間に配置された流体充填ブラダに作用する力と該流体充填ブラダから受ける力を拡散させるプレートを有する履物について開示する。これらのプレートは流体ブラダのところでは流体充填ブラダの後方において互いに逆の位置関係にあり、上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ一方のプレートが上昇している一方で、他方のプレートは下降している。
【0006】
一例においては、履物用のソール構造体が、第1のプレートと、第1のプレートに支持された流体充填ブラダと、流体充填ブラダに支持された第2のプレートとを備え、流体充填ブラダは第1のプレートと第2のプレートとの間に配置されている。第1のプレートが流体充填ブラダの後方へ延びつつ上昇している一方で、第2のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ下降しており、流体充填ブラダの後方において第2のプレートの後方部(臀部)よりも高い位置に第1のプレートの後方部がある。
【0007】
1つ又は複数の実施例において、第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者の後方部が内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方を含む一方で、第1のプレート及び第2のプレートのうちの第2者の後方部が内側方の後続アーム及び外側方後続アームのうちの一方又は両方に隣接して配置され得る。例えば、第2のプレートの後方部が内側方の後続アームと外側方の後続アームの両方を含む。これらの内側方の後続アームと外側方の後続アームとの間において、(先細の又は先細でない)第1のプレートの後方部が上昇しているとよい。これに加え、第2のプレートの内側方の後続アームと外側方の後続アームは、流体充填ブラダの後方へ延びつつ第1のプレートの後方部よりも低い位置まで下降しているとよい。一構成において、第1のプレートの後方部は、第2のプレートの内側方の後続アーム及び外側方の後続アームよりも低い位置から、(流体充填ブラダから第1のプレートの後方部の終端部にかけての)内側方の後続アーム及び外側方の後続アームよりも高い位置まで上昇しているとよい。他の例において、第1のプレートの後方部が、上昇する内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方を含み、これらの内側方の後続アームと外側方の後続アームのうちの一方又は両方に、第2のプレートの下降する先細の又は先細でない後方部が隣接して配置されている。
【0008】
1つ又は複数の実施例において、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方、及び該内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方に隣接して配置された後方部が、ソール構造体の中足領域内に露出している。例えば、これらの構成要素の少なくとも互いに横切っている部分が露出しており、ソール構造体の内側方視、外側方視、及び/又は底面視で視認され得る。
【0009】
内側方の後続アーム及び外側方の後続アームの一方又は両方に隣接して配置された後方部の終端部が、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方の終端部の後方にあり得る。或いは、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方の終端部が、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方に隣接して配置された後方部の終端部の後方へ延びている。
【0010】
1つ又は複数の実施例において、第1のプレートと第2のプレートのうちの第1者が内側方の後続アーム及び外側方の後続アームの両方を含み、内側方の後続アームと外側方の後続アームとが収束している。第2のプレートが内側方の後続アームと外側方の後続アームを含む実施例において、第2のプレートの中央部が、流体充填ブラダに支持されているとともに、この第2のプレートは、流体充填ブラダの後方に開口を画定しており、この開口の縁が、内側方の後続アームと外側方の後続アームによって定められている。そのような実施例において、第2のプレートは、内側方のアーム及び外側方のアームから上方へ延びている一連の壁を含み得る。
【0011】
第1のプレートは、これの柔軟性を特定の位置において増大させる特徴部を有し得る。例えば、第1のプレートは、流体充填ブラダの前方に二股部を有し得る。二股部は、内側方の突出部と外側方の突出部を含み、これらの各々が、第1のプレートの近位端側で上方へ延びている長手方向延在リッジ(頂上部)を有する。
【0012】
1つ又は複数の実施例において、第1のプレートは、該第1のプレートの前方端縁から後方へ延びつつ後方部の後方限界まで二股に別れており、その後方限界において、第1のプレートの内側方レールと外側方レールとが収束している。そのような実施例において、第1の流体充填ブラダが二股部の内側方の突出部上に配置される一方で、第2の流体充填ブラダが二股部の外側方の突出部上に配置され得る。
【0013】
1つ又は複数の実施例において、第1のプレートは、流体充填ブラダの前方で分断されていないものであり得る。換言すれば、第1のプレートは、そのような実施例において二股に分かれていない。
【0014】
第1のプレートは、流体充填ブラダの前方において第1のプレートの近位側に横断リッジを有するとともに、第1のプレートの遠位側に該横断リッジと整列した横断溝を有する。第1のプレートの近位側が凹所を画定し、この凹所内に流体充填ブラダの遠位側が着座し得る。
【0015】
第1のプレートの後方部は、先細に形成されており(テーパを付されており)、該先細の後方部の終端部の前方において収束している内側方レールと外側方レールを含み得る。内側方レールと外側方レールの各々が、第1のプレートの遠位側において下方へ延びている長手方向延在リッジを有し得る。
【0016】
第2のプレートは、流体充填ブラダ及び/又は足に内側方-外側方に沿った支持をもたらす特徴部を有し得る。例えば、第2のプレートの遠位端部が凹所を画定する一方で、流体充填ブラダの近位側が凹所内に収容されている。第2のプレートは、内側方の後続アームと外側方の後続アームの前方の周縁の壁を画定し得る。周縁の壁は、第1のプレートと、ソール構造体の前足領域の前方の周り(先芯の周りなど)から上方へ延びている場合に、足の周辺を支持する。第2のプレートは、流体充填ブラダの前方に貫通孔を画定する。この貫通孔は、本明細書で述べるように足の動きを支援して、つま先が、該貫通孔の位置で第1のプレートと第2のプレートとの間に配置された弾力性の高い前足ミッドソール・ユニットを掴むことを可能にする。第2のプレートに貫通孔が形成されていない実施例において、第2のプレートは、前足ミッドソール・ユニットの後方で終端する。換言すれば、前足ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの最前方端縁よりも前方へ延びている。前足ミッドソール・ユニットの後方限界が、流体充填ブラダから離れる方向に延びつつ第1のプレートから第2のプレートまで上方へ傾斜している。或いは、前足ミッドソール・ユニットの後方限界が流体充填ブラダへ向かって延びつつ第1のプレートから第2のプレートまで上方へ傾斜している。
【0017】
これらの幾何学形状に加えて、第1のプレート及び第2のプレート用に選択される材料は、所望の性能特性を生じさせ得る。例えば、第1のプレートは第2のプレートよりも剛性が高いとよい。一実施例において、第1のプレートは、炭素繊維(カーボンファイバ)、炭素繊維合成物、炭素繊維が充填されたナイロン、繊維ガラス強化ナイロン、繊維ストランドを含む合成物、熱可塑性エラストマ、木、及びスチールのうちの1つ又は複数の組合せからなるが、これらに限定されない。例えば、第1のプレートは、ショアDデュロメータ・スケールで約75の硬度を有する繊維ガラス強化ポリアミド11を含み得る。一実施例において、第2のプレートは、ショアAデュロメータ・スケールで約95の硬度を有する注入型熱可塑性ポリウレタンなどの熱可塑性ポリウレタンを含むが、これに限定されない。
【0018】
いくつかの実施例において、複数のプレート間に単一の流体充填ブラダ(すなわち、第1の流体充填ブラダ)が配置されている。他の実施例において、ソール構造体は、第1のプレートと第2のプレートとの間において第1の流体充填ブラダに隣接して配置された第2の流体充填ブラダをさらに備える。そのような種々の実施例において、流体ブラダの各々が、流体充填ブラダの上側内面と下側内面とを作動可能にしつつこれらの間を繋いでいる複数のテザーを含み得る。流体充填ブラダの上下にこれらのプレートが位置することは、テザーを有するブラダの領域全体に圧力を均等に分散させることに寄与し、これにより、流体充填ブラダが圧力を受けて弾性変形しているときに複数のテザーは緩んでいるが、圧力が除かれて該流体充填ブラダが蓄えていた弾性エネルギを解放すると、複数のテザーはいっせいに引っ張られた状態へ戻る。
【0019】
ソール構造体は、流体充填ブラダの後方へ延びている後方ミッドソール・ユニットをさらに備え得る。後方ミッドソール・ユニットは、内側方の後続アームと結合してこれと連絡している内側方ショルダと、外側方の後続アームと結合してこれと連絡している外側方ショルダと、を有し得る。内側方ショルダが内側方の後続アームと面一であり得る一方で、外側方ショルダは、外側方の後続アームと面一であり得る。後方ミッドソール・ユニットは、流体充填ブラダの前方において第2のプレートから上方へ延びている周縁の壁を画定し得る。このような実施例において、第2のプレートは前足ミッドソール・ユニットの後方で終端しており、つまり該第2のプレートの最前方端縁は、前足ミッドソール・ユニットよりも後方にある。加えて、第2のプレートが貫通孔を画定するのではなく、後方ミッドソール・ユニットが流体充填ブラダの少なくとも一部の上方に延びている貫通孔を画定し得る。内側方の後続アームが、内側方ショルダの凹所内に収容され得る一方で、外側方の後続アームが外側方ショルダの凹所内に収容され得る。
【0020】
後方ミッドソール・ユニットはその遠位端において、内側方ショルダと外側方ショルダとの間に形成された凹所を有し得る。いくつかの実施例において、第2のプレートは、内側方のアーム及び外側方のアームから上方へ向かって凹所内まで延びて該凹所内で後方ミッドソール・ユニットと連絡している壁を含む。この壁は連続的に延びており、該凹所内で後方ミッドソール・ユニットと面一であるとよい。またこの壁は、後方ミッドソール・ユニットに結合するための第2のプレートの表面積を大きくしている。第1のプレートの後方部は、後方ミッドソール・ユニットに押し付けられつつ凹所内に着座し得る。後方ミッドソール・ユニットは、流体充填ブラダを覆っている第2のプレートの近位側の後部に被さるように固定され得る。
【0021】
第1のプレートが第1の曲げ剛性を有する一方で、第2のプレートは、第1の曲げ剛性よりも小さい第2の曲げ剛性を有する場合がある。つまり、第1のプレートは第2のプレートよりも硬い。これは、プレートの材料や形状が異なることに起因する。例えば、1つ又は複数の実施例において、第1のプレートは、炭素繊維充填ナイロン、繊維ガラス強化ナイロンなどの炭素繊維、炭素繊維合成物からなる場合もあれば、注入型繊維強化ナイロン、繊維ストランドを含む合成物、熱可塑性エラストマ、木、スチール、又は他の材料及びこれらの組合せからなる場合もあり、これらの材料に限定されない。第2のプレートは、注入型TPUなどの熱可塑性ポリウレタン(TPU)からなり得る。同様の又は様々な実施例において、前足ミッドソール・ユニット及び後方ミッドソール・ユニットは、ポリマ発泡体などの弾性材料からなり得るが、これに限定されない。
【0022】
流体充填ブラダの遠位側に、アウトソール構成要素が固定され得る。アウトソール構成要素の第1の内側方の側壁が上方へ向かって流体充填ブラダの内側方の面まで延びてこれに固定され得る。第1のプレートと第2のプレートとの間にある流体充填ブラダの前方に、前足ミッドソール・ユニットが配置され得る。アウトソール構成要素は第2の内側方の側壁を含み、この第2の内側方の側壁は、第1の内側方の側壁の前方において前足ミッドソール・ユニットの内側方の面を上方まで覆い且つこれに固定されている。アウトソール構成要素は、第1の内側方の側壁と第2の内側方の側壁との間にノッチ(切込み)を画定し得る。いくつかの実施例において、アウトソール構成要素は、後方ミッドソール構成要素の遠位側に固定されており、アウトソール構成要素の第1の内側方の側壁が上方へ向かって後方ミッドソール構成要素の内側方の面まで延びてこれに固定されている。
【0023】
1つ又は複数の実施例において、ソール構造体は第3のプレートをさらに含み、この第3のプレートの前方端縁がノッチを画定している。第1のプレートの後方部は、先細に形成されており、第2のプレートの内側方の後続アームと外側方の後続アームよりも高い位置において、第1のプレートから後方へ延びている第3のプレートと該ノッチ内でフィットするように構成され得る。
【0024】
第3のプレートは、ソール構造体の踵領域内に貫通孔を画定し得る。ソール構造体は後方ミッドソール・ユニットをさらに含み得るものであり、この後方ミッドソール・ユニットは、第3のプレートの遠位側に固定されているとともに、第3のプレートの近位側において第3のプレートの貫通孔の位置で露出している。
【0025】
第3のプレートは、該第3のプレートの後部から上方前側へ湾曲している長細のテールを含み得る。この長細のテールは例えばレバーとして使用され、アッパーを有する履物にそのソール構造体が含まれている場合に、このレバーをもう片方の足で押すと足から履物が脱げるように構成されている。
【0026】
ソール構造体は、該ソール構造体の前足領域から踵領域まで延在する全長ミッドソール・ユニット(全長のミッドソール・ユニット)をさらに備え得る。全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの前方の前足領域内にある第1のプレートの近位側に支持され且つこれと連絡しているとともに、内側方の後続アームと外側方の後続アームの前方において第2のプレートの近位側と連絡しており、さらには第3のプレートの近位側と連絡している。
【0027】
全長ミッドソール・ユニットは貫通孔を有し、第2のプレートを覆うように配置されており、該第2のプレートの近位側が、該全長ミッドソール・ユニットの貫通孔の位置で露出し得る。このような実施例において、流体充填ブラダは、全長ミッドソール・ユニットの貫通孔の下方において第2のプレートの遠位側に配置されている。
【0028】
1つ又は複数の実施例において、ソール構造体は、踵領域内で第3のプレートを覆うように延在するミッドソール・ユニットを含む。ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの上方に配置された貫通孔に加えて、踵領域内にも貫通孔を有し得る。第1のプレートの後方部は、ミッドソール・ユニット内の貫通孔を貫通してミッドソール・ユニットの足対向面(足と対向する面)に固定され得る。この第1のプレートに曲げる力と圧縮の力が作用するので、第1のプレートをミッドソール・ユニットの地面との対向面にではなく、ミッドソール・ユニットの足との対向面に固定することにより、構成要素間の結合部に作用する応力が低減する。ミッドソール・ユニットは、ソール構造体の前足領域から踵領域まで延びている全長ミッドソール・ユニットであり、この全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの前方の前足領域内で第1のプレートの近位側に支持され且つこれと連絡しているとともに、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームの前方において第2のプレートの近位側と連絡しており、さらには、第3のプレートの近位側と連絡している。
【0029】
1つ又は複数の実施例において、第1のプレートの後方部は、貫通孔を貫通している相対的に厚いレッグ、及びミッドソール・ユニットを覆う相対的に厚いレッグから後方へ延びている相対的に薄いレッグを有する階段状の後部を含むとともに、ミッドソール・ユニットの足対向面の凹所内に着座している。このように後方部の後部に階段状の構成を有することで、第1のプレートは上方かつ後方へ向かって延びつつ、ミッドソール・ユニットを下方から貫通することが可能となる。
【0030】
1つ又は複数の実施例において、第1のプレートの後方部は先細に形成されており、貫通孔の位置で該先細の後方部の足対向面内に複数の凹所を含む。例えば、第1のプレートが射出成形される場合、製造上の寸法公差を有する構成要素がもっと薄い部分に適合することが可能である。先細の後方部が貫通孔の位置において比較的厚い場合には、該先細の後方部が比較的厚くなっている箇所において足対向面の位置に凹所を設けることにより、この足対向面が寸法公差に適合することが可能となる。例えば、足対向面の位置において第1のプレートの先細の後方部がミッドソール・ユニットと面一であり得る。
【0031】
全長ミッドソール・ユニットは、流体充填ブラダの前方において第1のプレートから第2のプレートまで延びている壁を有し、第1のプレートと第2のプレートとの間で前方へ湾曲している。
【0032】
第1のプレートは、該第1のプレートの内側方端縁に内側方フランジを含むとともに、該第1のプレートの外側方端縁に外側方フランジを含み得る。内側方フランジと外側方フランジは、流体充填ブラダの前方の前足領域内で全長ミッドソール・ユニットが下方へ延びている部分の後面に押し付けられるように配置され得る。
【0033】
第3のプレートは、ソール構造体の踵領域内の貫通孔を画定し得る。ソール構造体は、第3のプレートの遠位側に固定され且つ第3のプレートの近位側において第3のプレートの貫通孔の位置で露出している後方ミッドソール・ユニットをさらに備え得る。全長ミッドソール・ユニットは、第3のプレートの貫通孔の上方に延在しつつ、第3のプレートの貫通孔の位置で後方ミッドソール・ユニットと連絡する。
【0034】
第2のプレートの中央部が、流体充填ブラダ上に支持され得る。第2のプレートは、内側方の後続アームと外側方の後続アームとの間にある中央部の後方で貫通孔を画定し得る。第1のプレートの後方部が第2のプレートの貫通孔を通って後方へ上昇しているとよい。第2のプレートは、該第2のプレートの貫通孔の後部を取り囲むように上方へ延びている壁を含み得る。
【0035】
1つ又は複数の流体充填ブラダの膨張圧が履物サイズに関連している場合、ソール構造体の様々な実施例(本明細書において説明したものを含む)が、所望の支持(サポート)とクッション性の組合せを提供する。例えば、履物用のソール構造体を製造する方法が、複数の履物サイズの範囲用のソール構造体を組み立てることを含み得る。ソール構造体の各々が、第1のプレート、第2のプレート、及び該第2のプレートを近位側で支持しつつ第1のプレート上の近位側に支持される流体充填ブラダを含み得る。流体充填ブラダは所定の膨張圧を有し得る。所定の膨張圧は、履物サイズの複数の範囲のうちの少なくとも2つの範囲について異なる。
【0036】
1つ又は複数の実施例において、履物サイズの複数の範囲は、第1の範囲と第2の範囲を含む。第1の範囲に含まれている履物サイズは、第2の範囲に含まれている履物サイズよりも小さい。また、第1の範囲用の所定の膨張圧は、第2の範囲用の所定の膨張圧よりも小さい。
【0037】
1つ又は複数の実施例において、履物サイズの複数の範囲は、第3の範囲をさらに含む。第3の範囲に含まれている履物サイズは、第2の範囲に含まれている履物サイズよりも大きい。また、第3の範囲用の所定の膨張圧は、第2の範囲用の所定の膨張圧よりも大きい。
【0038】
1つ又は複数の実施例において、第1の範囲が男性用米国サイズ6~9(日本サイズ24cm~27cm)を含み、第2の範囲が男性用米国サイズ9.5~12(日本サイズ27.5cm~30cm)を含み、第3の範囲が男性用米国サイズ12.5~15(日本サイズ30.5cm~33cm)を含む。
【0039】
1つ又は複数の実施例において、第3の範囲用の所定の膨張圧が、第1の範囲用の所定の膨張圧よりも10psi(約69kPa)大きい。
【0040】
1つ又は複数の実施例において、第2の範囲用の所定の膨張圧は、第1の範囲用の所定の膨張圧よりも約2psi(約14kPa)~約5psi(約34kPa)大きく、第3の範囲用の所定の膨張圧は、第2の範囲用の所定の膨張圧よりも約2psi(約14kPa)~約5psi(約34kPa)大きい。
【0041】
1つ又は複数の実施例において、第1の範囲用の所定の膨張圧は約15psi(約103kPa)であり、第2の範囲用の所定の膨張圧は約20psi(約138kPa)であり、第3の範囲用の所定の膨張圧は約25psi(約172kPa)である。
【0042】
1つ又は複数の実施例において、方法は、所定の膨張圧まで流体充填ブラダを膨張させることと、該流体充填ブラダを密閉することとをさらに含む。
【0043】
方法の1つ又は複数の実施例において、第1のプレートが流体充填ブラダの後方へ延びつつ上昇している一方で、第2のプレートは、流体充填ブラダの後方へ延びつつ下降している。例えば、第1のプレートが先細の後方部を有する一方で、第2のプレートは、内側方の後続アームと外側方の後続アームを有し、流体充填ブラダは、先細の後方部の前方にある第1のプレートの近位側に支持される。第2のプレートは、内側方の後続アームと外側方の後続アームの前方にある流体充填ブラダの近位側に支持され得る。先細の後方部が、流体充填ブラダの後方において内側方の後続アームと外側方の後続アームとの間で上昇している一方で、内側方の後続アームと外側方の後続アームが流体充填ブラダの後方で下降している。
【0044】
本教示の上述した特徴及び利点並びに他の特徴及び利点については、添付の図面を参照しつつ、本教示を実施するための最良の形態を示した以下の詳細な説明を参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】ソール構造体、及び該ソール構造体に固定されたアッパーを有する履物の内側方を示す図。
【
図3】
図1に示したソール構造体の底面を示す斜視図。
【
図4】
図3に示したソール構造体について、
図3中の線4-4に沿って切り出された断面を概略的に示す図。
【
図5】
図3に示したソール構造体の上面を示す斜視図。
【
図6】
図1に示したソール構造体の第1及び第2のプレート並びに流体充填ブラダの内側方を示す図であり、ミッドソール・ユニットとアウトソール構成要素は図示していない。
【
図7】
図6に示したプレートと流体充填ブラダの上面を示す斜視図。
【
図8】
図6に示したソール構造体の構成要素の前面を示す図。
【
図9】
図6に示したソール構造体の構成要素の背面図。
【
図10A】
図1に示したソール構造体の第1のプレートの上面を示す斜視図。
【
図10B】
図10A中の線10B―10Bに沿って切り出された第1のプレートの断面を示す図。
【
図11B】
図11A中の線11B-11Bに沿って切り出された第1のプレートの断面を示す図。
【
図12】
図1に示したソール構造体の前足ミッドソール・ユニットの底面を示す斜視図。
【
図13】
図10Aに示した第1のプレート上に重ねられた、
図12に示した前足ミッドソールの底面を示す斜視図。
【
図14】
図1に示したソール構造体の第2のプレートの上面を示す斜視図。
【
図16】
図1に示したソール構造体の後方ミッドソール・ユニットの底面を示す斜視図。
【
図17】
図3中の線17-17に沿って切り出された、
図1に示したソール構造体の断面図。
【
図18】
図1に示した履物についての代替的なソール構造体の断面面。
【
図19】代替的な実施例において、ソール構造体、及び該ソール構造体に固定されたアッパーを含む履物の内側方を示す図。
【
図20】
図19に示したソール構造体について、
図19中の線20-20に沿って切り出された断面を示す図。
【
図21】
図19に示した履物についての代替的なソール構造体の断面図。
【
図22】代替的な実施例において、ソール構造体、及び該ソール構造体に固定されたアッパーを含む履物の内側方を示す図。
【
図23】
図22に示したソール構造体の第1のプレートの上面を示す斜視図。
【
図25】代替的な実施例において、第1のプレートの上面を示す斜視図。
【
図27】代替的な実施例において、第2のプレートの上面を示す斜視図。
【
図29】
図23に示した第1のプレート、
図27に示した第2のプレート、及び
図21に示した流体充填ブラダの内側方を示す図であって、ミッドソール・ユニット及びアウトソール・ユニットの構成要素は図示されていない。
【
図30】
図29に示したプレート及び流体充填ブラダを概略的に示す斜視図。
【
図31】
図29に示したプレート及び流体充填ブラダを有するソール構造体を、ミッドソール・ユニット及びアウトソール構成要素とともに示す概略的な斜視図。
【
図33】代替的な実施例において、第1のプレートの上面を示す斜視図。
【
図35】
図21に示した流体充填ブラダとともに
図33に示した第1のプレートの上面を示す図。
【
図36】
図35に示した第1のプレート及び流体充填ブラダ、
図27に示した第2のプレート、及び前方ミッドソール・ユニットを有するソール構造体の概略図であって、後方ミッドソール・ユニットとアウトソール構成要素とは図示していない。
【
図37】
図36に示したソール構造体について、
図36中の線37-37に沿って切り出されたソール構造体の断面を示す図。
【
図38】
図36に示したソール構造体についての後方ミッドソール・ユニットの底面を示す斜視図。
【
図39】
図27に示した第2のプレートとともに
図38に示した後方ミッドソール・ユニットの底面を示す斜視図。
【
図40】代替的な実施例において、ソール構造体と該ソール構造体に固定されたアッパーを含む履物内側方を示す図。
【
図42】
図40に示したソール構造体について、
図40中の線42-42に沿って切り出された断面を示す図。
【
図43】
図40に示したソール構造体の第1、第2、及び第3のプレートの内側方を示す図であって、ミッドソール・ユニット及びアウトソールの構成要素は図示されていない。
【
図44】
図40に示したソール構造体の第1のプレートの上面を示す斜視図。
【
図45】
図40に示したソール構造体の第1のプレートの底面を示す斜視図。
【
図46】
図40に示したソール構造体の第3のプレートの上面を示す斜視図。
【
図47】
図40に示したソール構造体の第3のプレートの底面を示す斜視図。
【
図48】
図40に示したソール構造体の第1のプレートと第3のプレートとが互いに嵌合している様子を示す平面図。
【
図49】
図40に示したソール構造体の第1のプレートと第3のプレートとが互いに嵌合している様子を示す底面図。
【
図50】
図40に示したソール構造体の第2のプレートの上面を示す斜視図。
【
図51】
図40に示したソール構造体の第2のプレートの底面を示す斜視図。
【
図52】アウトソール構成要素を含む、
図40に示したソール構造体の底面を示す斜視図。
【
図53】
図40に示したソール構造体の底面を示す斜視図であり、アウトソール構成要素は図示されていない。
【
図54】
図40に示したソール構造体のミッドソール構成要素の底面を示す斜視図。
【
図55】
図40に示したソール構造体のミッドソール構成要素の上面を示す斜視図。
【
図56】
図40に示したソール構造体の斜視図であり、ミッドソール・ユニットはその全体の長さでは図示されていない。
【
図57】
図40に示したソール構造体について、
図52中の線57-57に沿って切り出された断面を示す図。
【
図58】代替的な実施例において、ソール構造体、及び該ソール構造体に固定されたアッパーを含む履物の内側方を示す図。
【
図60】
図58に示した履物の全長ミッドソール・ユニットを示す上面斜視図。
【
図61】
図59に示したソール構造体について、
図59中の線61-61に沿って切り出された断面を示す図。
【
図62】
図58に示したソール構造体の第1のプレートの上面を示す斜視図。
【
図63】
図58に示したソール構造体の第1のプレートの底面を示す斜視図。
【
図64】
図62における第1のプレートに組み込まれた
図60に示した全長ミッドソール・ユニットを示す上面斜視図。
【
図65】
図58に示したソール構造体の第3のプレートの上面を示す斜視図。
【
図66】
図68に示したソール構造体の第3のプレートの底面を示す斜視図。
【
図67】
図58に示したソール構造体の全長ミッドソール・ユニットを示す底面斜視図であって、該ソール構造体の互いに組み合わされた第1、第2及び第3のプレートが示されている。
【
図68】
図58に示したソール構造体の全長ミッドソール・ユニット、第1、第2及び第3のプレートが互いに組み合わされて、後方ミッドソール・ユニットと流体充填ブラダが含まれているものを示す底面斜視図。
【
図69】3つの互いに異なるサイズ範囲を有する履物を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0046】
各図に亘って、同様の参照符号は同様の構成要素を示す。
図1は、ソール構造体12と、該ソール構造体12に固定されたアッパー14を有する履物10を示す。アッパー14は、足18を受けるように構成された足受けキャビティ16(破線で示されている)を形成している。履物10は、シューズ10ともいい、バスケットボールなどのスポーツ、又はランニング、テニス、フットボール、サッカーなどの様々な他のスポーツ競技用のシューズとして図示されているが、これらの例に限定されない。履物10(ソール構造体12を含む)は、競技用の靴であるが、そのような履物に限定されるのではなく、行楽用の靴、ドレスシューズ、作業靴、サンダル、ブーツ、又は種々の他のカテゴリの履物であり得る。
【0047】
図1に示されるように、履物10は、前足領域20、中足領域22、踵領域24、及び足首領域26に分割され得るものであり、これらはそれぞれ、ソール構造体12及びアッパー14の前足領域、中足領域、踵領域と、アッパー14によって画定される足首領域26でもある。前足領域20は一般に、つま先と、足の中足骨とつま先の基部に近い指骨とを繋いでいる中足指節関節(MPT関節又はMPJ関節ともよばれる)とに対応する履物10の部分を含む。中足領域22は概して、足18の土踏まずの領域と甲に対応する履物10の部分を含み、踵領域24は、踵骨を含む足18の後部に対応している。足首領域26は足首に対応する。前足領域20、中足領域22、踵領域24、及び足首領域26は、履物10の厳密な領域の境界を示すものではなく、以下の説明をし易くするために履物10のだいたいの領域を示すためのものである。
【0048】
履物10は、内側方30(
図1に示される)と外側方32(
図2に示される)を有する。内側方30と外側方32は、前足領域20、中足領域22、踵領域24、及び足首領域26の各々を貫くように延びており、履物10の互いに反対側に位置している。つまり、各々が、
図3に示されている履物10の長手方向に延びる中央線LMに関して対称となる位置にある。従って、内側方30は、外側方32の反対側にあるものとして説明する。
【0049】
アッパー14は、皮革、織物、ポリマ、綿、発泡体、合成物などの様々な材料から形成され得る。例えば、アッパー14は、弾力性を呈するポリマ材料からなる場合もあれば、編組み構成、編物の(例えば、縦編みの)構成、織物の構成からなる場合もある。
図1に示されるように、アッパー14の低位限界がソール構造体12の周縁に固定されている。ソール構造体12の足対向面34(
図5に示されている)は、アッパー14の低位領域に固定されたストローベル(図示せず)によって覆われ得る。或いは、アッパー14は、足の下で足対向面34全体に亘って延在する360度ソックスのようなアッパーであり得る。インソール(図示せず)は、足対向面34上で足受けキャビティ16内に配置され得る。
【0050】
図5~
図11及び
図14~
図15に最もよく示されているように、ソール構造体12は、ソールプレートともいう第1のプレート40及び第2のプレート42を含む。本明細書において説明したように、プレート40,42は、該プレート40,42間に配置された1つ又は複数の流体充填ブラダ44に作用する力と、反作用の力を緩和するものとして独特な構成を有する。本明細書において使用されるプレート40及びプレート42等の「プレート」との語句は、それ自体の厚さよりも大きな幅を有するものであって、ソール構造体が履物に組み込まれて地面と水平に配置されているときに概ね水平に延びている複数のソール構造体のうちの1つのものを指している。それ自体の厚さは概ね垂直(鉛直)方向の長さであり、それ自体の幅は概ね水平方向の長さである。各プレート40,42が単体で単一の構成要素として示されているが、プレートが単体の構成要素である必要はなく、複数の互いに接続された構成要素であってもよい。プレートのいくつかの部分は平坦であり、いくつかの部分は、射出形成又は他の方法で形成されたときに種々の曲率の大きさや様々な厚さを有し得るものであり、これにより例えば、所望の領域を強化するための成形済みの靴の中底及び/又は増大した厚さをもたらす。
【0051】
第1のプレート40と第2のプレート42との間に配置された流体充填ブラダ44(及び
図18内に示した実施例において、複数の流体充填ブラダ44A,44Bの各々)は、流体充填チャンバ、ブラダエレメント、又はエアバッグとも呼ばれる流体充填ブラダ(本明細書中の説明を明確にするためにこう呼ぶ)である。しかし、本開示の範囲内において、流体充填ブラダ44,44A,44Bは流体充填ブラダの代わりに、発泡構造体又は他の弾性材料とされ得る。
【0052】
プレート40,42及び流体充填ブラダ44に加え、ソール構造体12は、流体充填ブラダ44の前方の前足ミッドソール・ユニット46と、流体充填ブラダ44の後方の後方ミッドソール・ユニット48と、ソール構造体の地面接触面Gを確立しているアウトソール構成要素50A,50Bとを含む。ソール構造体12の構成要素の各々については、それが登場するいくつかの図を参照しつつさらに詳細に説明する。
【0053】
図10A及び11Aに、第1のプレート40が単独で示されている。第1のプレートは、概して、比較的硬い材料である。例えば、1つ又は複数の実施例において、第1のプレート40は、炭素繊維、炭素繊維の合成物(炭素繊維充填ナイロンなど)、注入型繊維強化された繊維ガラス強化ナイロン、繊維強化ナイロン、繊維ストランドを含む合成物、熱可塑性エラストマ、木、スチール若しくは他の材料、又はこれらの組合せであり得るが、これらの材料に限定されない。一実施例において、第1のプレート40は、米国ペンシルベニア州キングオブプロシア所在のArkema Inc.社から調達可能なRILSAN(登録商標)BZM70TLなどの注入型繊維ガラス強化ポリアミド11であるが、これに限定されない。そのような実施例において、第1のプレート40は、ISO868試験方法で測定されたショアDデュロメータ・スケールで約75の硬度、ISO178で測定された約1500MPaの弾性係数、及び約1.07g/cm
3の密度を有し得る。
【0054】
第1のプレート40は、中央部49、該中央部49の前方の二股部分52(二股に分かれた前方部52ともいう)、及び中央部49の後方の先細の後方部54を有する。他の実施例において、前方部52が二股に分かれていない場合もあれば、後方部54が先細でない場合もある。
【0055】
第1のプレート40の近位側56は凹所58を画定する。例えば、突出部60は、該突出部60によって取り囲まれた凹所58を画定するように中央部49から上方へ延在する囲いの形状を有する。
図4に最もよく示されているように、第1のプレート40と流体充填ブラダ44がソール構造体12内に組み込まれているときに、流体充填ブラダ44の遠位側61は、凹所58内で第1のプレート40の近位側56に着座している。しかし、
図17に示されるように、流体充填ブラダ44は、第1のプレート40と凹所58よりも広く、アウトソール構成要素50A上まで延在する。
図17に最もよく示されているように、アウトソール構成要素50Aはまた、第1のプレート40を受け或いは支持する凹所63と、流体充填ブラダ44の内側方及び外側方の先端を形成している。
【0056】
図10A及び
図11Aを参照すると、第1のプレート40は、近位側56に横断リッジ62を有するとともに、遠位側66に横断溝64を有する。ソール構造体12に第1のプレート40が組み込まれているときに、その遠位側66は近位側56の反対側にあり、近位側と比べれば足18から遠い位置にあるが、ソール構造体12の接地面Gには比較的近い。横断溝64は横断リッジ62と整列しており、つまり、横断溝64は第1のプレート40の反対側で横断溝64の真下にあるとともに、第1のプレート40の内側方端縁68から第1のプレート40の外側方端縁70まで横断リッジ62に追随するように延びている。このような横断リッジ62及び横断溝64は、第1のプレート40の幅全体に延在する。
図10A及び
図11Aに示されるように、横断リッジ62と横断溝64は、少なくとも第1のプレート40が応力を受けない状態にまで付勢されていて、第1のプレート40が応力を受けない状態にあるとき(圧力であれ曲げる力であれ、加えられる変形(の)力に影響されないとき)に存在する。横断リッジ62と横断溝64は、MTP関節の曲げ軸の概ね下方に配置されており、背屈の際に、第1のプレート40の長手方向の曲げ剛性を弱める。こうして横断溝64は屈曲溝として機能し、背屈などの際にソール構造体12の長手方向の屈曲が横断溝64の位置に生じることを促す。
図1及び
図3に最もよく示されているように、アウトソール構成要素50Aは、横断リッジ62と横断溝64の下方でこれらに追随する横断リッジ51と横断溝53であって、履物10の内側方30から外側方32までアウトソール構成要素50Aの幅全体に延在する横断リッジ51と横断溝53をさらに有する。
【0057】
他の実施例において、第1のプレート40は、横断リッジも横断溝も有しない。例えば、
図22に示される履物610は、第1のプレート40の代わりに、横断リッジ62も横断溝64も含まない第1のプレート640とした以外、すべての点で履物10と同様である(
図23及び
図24に最もよく示されている)。横断リッジも横断溝も見られないことから、前方アウトソール構成要素50Aは、横断リッジ51も横断溝53もないアウトソール構成要素650Aに置き換えられていることがわかる。第1のプレート640は、図示しつつ本明細書において説明する種々のソール構造体に使用され得る。
【0058】
図示しつつ本明細書において説明する種々のソール構造体に使用され得る第1のプレートの他の実施例は、
図25及び
図26、さらには
図33及び
図34に示されている。
図25~
図26において、第1のプレート740は、第1のプレート740の前方部分が分断されていないこと以外、第1のプレート640とすべての点で同様である。換言すれば、第1のプレート740の前方部分は二股に分かれておらず、最前方限界(すなわち、前方の端縁)においてスロット72のない単一の中実な構成を有する。従って、第1のプレート740は、図示しつつ本明細書において説明するソール構造体12又は種々の他のソール構造体に用いられると、流体充填ブラダ44又はブラダ44A,44Bの分断されていない前方となろう。
【0059】
図33及び
図34に示される他の代替的な実施例における第1のプレート840について、スロット72が孔74まで続くように延びてこれと結合するように、第1のプレート640の前方端縁80から第1のプレート840は内側方レール54Aと外側方レール54Bの後方へ二股に分かれていること以外、第1のプレート840は、ほぼすべての点で第1のプレート640と同じである。
【0060】
図10A及び
図11Aを参照すると、第1のプレート40の二股部52は、第1のプレート40の前方端縁から後方の横断リッジ62まで延在するスロット72によって互いに分離された内側方の突出部52Aと外側方の突出部52Bを含む。突出部52A,52Bの各々は、幅がスロットのないプレートの幅よりも狭く、加えられる力に応じて互いに別々に曲がり、屈曲し得るので、二股部52は、同じ厚さと材料を有し且つスロットがなく連続的に延びている前方部分を有するプレートと比較して、ソール構造体12の前足領域20において大きな内側方―外側方の柔軟性をもたらす。
図10Bに最もよく示されているように、内側方の突出部52Aと外側方の突出部52Bの各々が、第1のプレート40の近位側56で上方へ延びている、それぞれの長手方向延在リッジ52Cを有する。
図10Bに示されるように、リッジ52Cと直交する方向に沿って切り出された断面で見ると、それぞれの長手方向延在リッジ52Cについて、突出部52A,52Bがリッジ52Cの位置で最も厚くなるように、突出部52A,52Bを厚くしている。こうして、リッジ52Cは、突出部52A,52Bがリッジ52Cを有しない構成と比較して、突出部52A,52Bを強化し、突出部52A,52Bの長手方向の曲げ剛性を増大させている。
【0061】
第1のプレート40の先細の後方部54は、内側方レール54Aと外側方レール54Bを含み、これらの内側方レール54Aと外側方レール54Bとが中央部49の真後ろから先細の後方部54の終端部76の前まで延びている長細の孔74によって互いに分離され、その内側方レール54Aと外側方レール54Bとが孔74の真後ろの位置で収束している。なお、先細の後方部54は、中央部49から終端部76にかけて次第に幅が狭くなっていることから「先細の」という。換言すると、第1のプレート40の内側方68と外側方70は、先細の後方部54が中央部49から終端部76へと後方へ進むにつれて、互いに接近していく。
図11Bに最もよく示されているように、内側方レール54Aと外側方レール54Bの各々が、第1のプレート40の遠位側66で下方へ延びているそれぞれの長手方向延在リッジ54Cを有する。
図11Bに示されるように、レール54A,54Bと直交する方向に沿って切り出された断面で見ると、レール54A,54Bがリッジ54Cの位置で最も厚くなるように、長手方向延在リッジ54Cは、レール54A,54Bに厚みをもたせている。それぞれの長手方向延在リッジ54Cは、レール54A,54Bがリッジ54Cを有していない構成のものと比較して、レール54A,54Bを強めており、それぞれの長手方向の曲げ剛性を増大させている。
【0062】
図13に最もよく示されているように、前足ミッドソール・ユニット46の遠位側82は、ソール構造体12に組み込まれたときに、内側方の突出部52Aと外側方の突出部52Bの近位側56に着座する。
図12及び
図13に示されているように、前足ミッドソール・ユニット46の後方端縁84は、前方へ膨らむ弧状の形状に形成されていることにより、横断リッジ62における同様の弧状の形状に形成されている前方側に当接する。
【0063】
図6に最もよく示されているように、第1のプレート40は、応力を受けていない状態(第1のプレート40はこの状態となるように付勢されている)で、(長手方向の側面視で)概ねスプーンの形状をしている。例えば、第1のプレート40の近位側56は、前方部52の前方端縁80から長手方向に沿って変曲点I(レール54A,54Bの長さ方向に沿ってほぼ途中の位置にある)まで凹状に形成されている。遠位側66は、前方端縁80から変曲点Iまで長手方向の中央線LMに沿って凸状に形成されている。
図8に最もよく示されているように、前方部52の内側方の突出部52Aと外側方の突出部52Bは、横断リッジ62の直前の位置からこれらの先端まで上方へ傾斜している(例えば、突出部52Aの先端は、突出部52Aの前方端縁80の位置にある)。
図9に最もよく示されているように、レール54A,54Bは、中央部49から孔74の後側端部79まで概ね上方へ傾斜している。
図6及び
図9から明らかなように、第1のプレート40は、応力を受けていない状態において、孔74の後側端部79から終端部76まで水平に延びている。背屈の際に第1のプレート40が長手方向に曲がると、ポテンシャルエネルギを蓄え(このエネルギの少なくともいくらかは着用者が第1のプレート40を曲げることで蓄えられる)、このポテンシャルエネルギはその後、歩行サイクルにおいてつま先が地面から離れる直前の推進フェーズで、ソール構造体12が地面を押して離れるときに放出されるが、つま先が地面から離れると、第1のプレート40は(曲がりが解除されて)伸びて、その少なくとも一部が、前進運動の方向に沿って応力を受けていないスプーン形の形状となる。
【0064】
背屈の際に前足領域20が地面と接したまま、踵領域24が持ち上がると、第1のプレート40は、中足指節関節MPT(
図1において概ね位置77にある)の曲げ軸の概ね下方の位置で屈曲して、前足領域20内で近位側56の凹面が増大する。曲げ軸は、ソール構造体12の概ね横断方向に延びているが、足18の骨と一致させるため外側方32に対して内側方30の側が少しだけ前となるように傾いている場合がある。足18の様々なMTP関節が互いに少し異なる曲げ軸を有し得るため、曲げ軸の配置される位置77は、個別の足に応じて異なることとなる。位置77は、親指のMTP関節の曲げ軸を表している。足18が地面からソール構造体12を持ち上げて、つま先が離れると、第1のプレート40の中立軸よりも上方における第1のプレート40内の(近位側56への)圧縮力と、中立軸よりも下方における(遠位側66への)張力とが解放され、第1のプレート40は、前足の凹面が増大していた背屈状態から、応力を受けない状態(
図10A及び
図11Aに示されている)まで戻される。着用者自身のエネルギ入力の少なくとも一部が返還されるのは、着用者が第1のプレート40を曲げることで圧力と張力が内部エネルギとして第1のプレート40に蓄積されていたものが、第1のプレート40が伸びるとともに解放されるときであり、このエネルギが前進に必要な力の少なくとも一部をつくり出している。第1のプレート40がスプーン形の形状を有することはまた、側面視で平坦な輪郭を有するプレートと比較して、少ない労力で背屈を生じさせて足18を前へ進めることを支援する。
【0065】
図14及び
図15に、第2のプレート42が単独で示されている。一実施例において、第2のプレート42の曲げ剛性と圧縮剛性は、第1のプレート40のそれよりも小さい。一実施例において、第2のプレート42は、米国オハイオ州クリーブランド所在のLubrizol Advanced Material Inc.社から調達可能なESTANE(登録商標)SKYTHANE(商標)S395Aなどの注入型ポリエステルベースのTPUであるが、これに限定されない。一実施例において、第2のプレート42は、ASTM D2240試験方法によるショアAデュロメータ・スケールで約95の硬度、ASTM D792試験方法による約1.22g/cm
3の比重、及びASTM D412試験方法による約140kgf/cm
2の100%伸長当りの張力を有するが、これに限定されない。
【0066】
第2のプレート42は、中央部86、内側方の後続アーム88A,外側方の後続アーム88Bを有する。内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは共に、中央部86よりも後方にある。後続アーム88A,88Bは、中央部86よりも後方に位置することから「後続の」といい、従って、ソール構造体12の長手方向において中央部86に「追随する」位置にある。後続アーム88A,88Bは、中央部86から後方へ延びつつ下方へ傾斜している。後続アーム88A,88Bは、
図14に示されるように第2のプレート42の近位側87において凹状に形成されている一方で、
図15に示されるように第2のプレート42の遠位側90において凸状に形成されている。
【0067】
図6は、組立て完了後のソール構造体12においてそれぞれの位置にある流体充填ブラダ44、第1のプレート40及び第2のプレート42のみを示している。流体充填ブラダ44、第1のプレート40及び第2のプレート42を最もよく見せるために、前足ミッドソール・ユニット46、後方ミッドソール・ユニット48及びアウトソール構成要素50A,50Bは省略されている。流体充填ブラダ44は、第1のプレート40の中央部49の近位側56かつ先細の後方部54の前方において、第1のプレート40によって支持されている。第2のプレート42の中央部86が、流体充填ブラダ44の近位側104かつ内側方の後続アーム88A及び外側方の後続アーム88Bの前方において、流体充填ブラダによって支持されている。先細の後方部54は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム66Bとの間(すなわち、ソール構造体12の横断方向に沿って後続アーム88A,88Bの内方)において、流体充填ブラダ44の後方へ延びつつ上昇している。内側方の後続アーム88A及び外側方の後続アーム88Bは、流体充填ブラダ44の後方へ延びつつ下降している。流体充填ブラダ44と後続アーム88A,88Bの終端部89A,89Bとの間において、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bはそれぞれ、第1のプレート40よりも高い位置にある該後続アーム88A,88Bの前方部から、先細の後方部54(変曲点Iよりも後方、少なくとも孔74より後方の全体を含む先細の後方部54の部分)よりも低い位置(つまり下方)にある該内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bの終端部89A,89Bまで下降している。流体充填ブラダ44と先細の後方部54の終端部76との間において、レール54A,54Bは、該レール54A,54Bの前方の位置で内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも低い位置から、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも高い位置まで上昇している。第1のプレート40の先細の後方部54の終端部76は、後続アーム88A,88Bの終端部89A,89Bよりも後方に位置する。第1のプレート40は、前足領域20から、中足領域22を通り、踵領域22まで延在する一方で、第2のプレート42は、前足領域20と中足領域22内だけに延在する。
【0068】
代替的な実施例においては、先細の後方部の代わりに、第1のプレート40の後方部が、上昇する内側方の後続アームと外側方の後続アームのうちの一方又は両方を含む。内側方の後続アーム及び/又は外側方の後続アームの代わりに、第2のプレートの後方部が先細である場合もあれば先細でない場合もあり、第1のプレート40の内側方の後続アームと外側方の後続アームとの間に配置され且つこれらのうちの一方又は両方に隣接する位置まで下降していることを含む。
【0069】
図5に最もよく示されているように、第2のプレート42は、中央部86において内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bから、該第2のプレート42の前方限界94を取り囲むように延在する周縁の壁92を含む。周縁の壁92は、第2のプレート42の内側方96における内側方の後続アーム88Aの前方部に沿って及び第2のプレート42の外側方98における外側方の後続アーム88Bの前方部に沿って続くように延びている。この周縁の壁92を有することにより、第2のプレート42は、近位側87において概ね凹状に窪んでおり、後方ミッドソール・ユニット48とともに靴の中底を形成している。ソール構造体12がアッパー14に固定されると、中央部86の近位側87において足対向面34(
図4に示されている)上に足18が支持され、このとき足18の底(裏)は、周縁の壁92の上方限界よりも少しだけ低い位置に置かれている(
図1に破線で示される足18を参照)。こうして、周縁の壁92は、前足部の内側方と外側方を支持する。
【0070】
図15に示されるように、第2のプレート42の遠位側90が中央部86に凹所100を画定している。例えば、囲いの形状を有する突出部102が中央部86から下方へ延在することにより、該突出部102によって凹所100が取り囲まれて画定されている。ソール構造体12内に第2のプレート42及び流体充填ブラダ44が組み込まれると、流体充填ブラダ44が凹所100内に収容されるように、該凹所100内の第2のプレート42の遠位側90に流体充填ブラダ44の近位側104が着座する(
図4に最もよく示されている)。第2のプレート42の凹所100と第1のプレート40の凹所58の両方に流体充填ブラダ44が収容されているときに、第1のプレート40と第2のプレート42は、流体充填ブラダ44の所定の位置を維持するように構成されている。
図5、
図7及び
図17に明確に示されているように、流体充填ブラダ44は、第1のプレート40の突出部60よりも幅広に形成されており、突出部60を過ぎた位置まで外方へ延びている。しかし、凹所100は凹所58よりも幅広に形成されており、
図17に最もよく示されているように、プレート40,42間に流体充填ブラダ44が収容されているときに、第2のプレート42は、流体充填ブラダ44の側壁の横断方向の外方へ延びている。
【0071】
図14及び
図15を参照すると、第2のプレート42は、中央部86の前方つまり組立て済みのソール構造体12における流体充填ブラダ44の前方に、貫通孔107を画定している。
図5に最もよく示されているように、貫通孔107は、前足ミッドソール・ユニット46の近位側105の上方に形成されている。前足ミッドソール・ユニット46は、第2のプレート42よりも圧縮剛性の小さいエチレンビニル・アセテート(酢酸エチレンビニル)発泡体又は他の発泡体からなる場合がある。この場合、もっと剛性の高い構成要素からなる場合と比較して、歩行サイクルにおいてつま先が地面から離れる直前の推進フェーズで背屈する際に、足18の指骨が前足ミッドソール・ユニット46を圧縮させて該前足ミッドソール・ユニット46を掴むことが著しく容易となる。
【0072】
図1、
図4及び
図16を参照すると、ソール構造体12は、流体充填ブラダ44の後方に延在する後方ミッドソール・ユニット48を含む。しかし、後方ミッドソール・ユニット48の全体が流体充填ブラダ44よりも後方にあるのではない。
図4に示されるように、後方ミッドソール・ユニット48の前方限界48Aは、流体充填ブラダ44にオーバラップする。
図5に最もよく示されているように、前方限界48Aの前方端縁48Bは、第2のプレート42の中央部86の後方限界59(
図7において符号を付されている)にフィットし、足対向面34と面一となる。第2のプレート42と前足ミッドソール・ユニット48は協働して、ソール構造体12の足対向面34の全体をもたらす。
【0073】
図16を参照すると、後方ミッドソール・ユニット48の遠位側110は、内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bを有し、内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bとの間に凹所112を画定している。内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bはそれぞれ、後方ミッドソール・ユニット48の若干の凹所57A,57B内にそれぞれ形成された凸状の面67A,67Bを有する。内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bは下方後側へ傾斜している。内側方ショルダ55Aが第2のプレート42の近位側87において、下方後側へ傾斜している内側方の後続アーム88Aと面一に固定されている一方で、内側方の後続アーム88Aの近位面91Aは、内側方ショルダ55Aの凸状の面67Aに固定されているとともに凹所57A内に収容されている。また、外側方ショルダ55Bが、下方後側へ傾斜している外側方の後続アーム88Bと面一に固定されている一方で、外側方の後続アーム88Bの近位面91Bは、外側方ショルダ55Bの凸状面67Bに固定されているとともに凹所57B内に収容されている。ソール構造体12の組立て時に、第2のプレート42の突出部85Aが後方ミッドソール・ユニット48内の小さな凹所85B内に着座するが、このことは後方ミッドソール・ユニット48に対して第2のプレート42を位置決めして固定することに寄与する。
【0074】
上昇しているレール54A,54Bが凹所112内において中央部49から終端部76まで上昇するように、後方ミッドソール・ユニット48の凹所112は、第1のプレート40の上昇しているレール54A,54Bを収容している。
図4に最もよく示されているように、第1のプレート40の先細の後方部54の近位面だけが凹所112内で後方ミッドソール・ユニット48の低位面114に押し付けられるように着座し且つこれに固定されている。レール54A,54Bの上昇している部分は後方ミッドソール・ユニット48と接触しておらず、ソール構造体12の背屈の際に後方ミッドソール・ユニット48から干渉されることなく曲がることができ、ついには比較的大きな曲げ角度になると、レール54A,54Bの近位面は、凹所112内で後方ミッドソール・ユニット48の遠位面と接触し得る。
図3に示されるように、凹所112は、後方へ向かって先細となる幅を有し、これにより、終端部76付近の第1のプレート40の後方限界が凹所112内にぴったりフィットして、
図4に示されるように凹所112の後方の壁116に押し付けられる。
【0075】
当業者であれば、足18が背屈されてソール構造体12が曲がっているときに、ソール構造体12に、中立面(必ずしも平面である必要はない)ないし中立軸と呼ばれる位置があり、その中立軸の上方でソール構造体12が圧縮されている一方で、中立軸の下方でソール構造体12が張っていることを理解されよう。(互いに対して滑動することもなければ、独立して曲がることもできない様々な材料からなる複数の層からつくられた)合成物のソール構造体について、中立軸がどこに位置するかは各材料の剛性に左右される部分がある。第2のプレート42の圧縮剛性及び曲げ剛性がミッドソール・ユニット48のそれよりも大きく、第1のプレート40のそれよりも小さくなるように、第1のプレート40、第2のプレート42及び後方ミッドソール・ユニット48が選択される。第1のプレート40は、第2のプレート42よりも硬い(つまり剛性が高い)。第1のプレート40は、第1の曲げ剛性及び第1の圧縮剛性を有し、第2のプレート42は、第1の曲げ剛性よりも小さい第2の曲げ剛性を有するとともに、第1の圧縮剛性よりも小さい第2の圧縮剛性を有する。これは、プレートの様々な材料及び/又は形状に起因し得る。
【0076】
第1及び第2のプレート40,42の中央部49,86において、第2のプレート42が、もっと剛性の高い第1のプレート40よりも高い位置に配置されているので、中立曲げ平面は、流体充填ブラダ44が配置されているソール構造体12の領域内で(第1のプレート40付近の)比較的低い位置にあり得る。
図4に示した長手方向の位置99付近において、第1のプレート40のレール54A,54B、後方ミッドソール・ユニット48、及び後続アーム88A,88Bのみが、ソール構造体12の曲げ剛性に影響する。なぜなら、これらの構成要素のみが、長手方向の位置99でソール構造体12を貫く垂直平面(すなわち、
図3に示した長手方向の中央線LMと直交する内側方-外側方に放射状に広がる面)に横切られて分断されているからである。この領域内でレール54A,54Bは、ソール構造体12の他のどの部分とも接触することなく曲がることができる。ソール構造体12の中立曲げ平面はこの領域内でもっと足の近くにあり、ソール構造体12の長手方向の曲げ剛性はレール54A,54Bの前方においてよりもレール54A,54Bの位置において小さいものとなる。内側方及び外側方の後続アーム88A,88Bは、概して、中立曲げ軸よりも低い位置にあることにより、長手方向に屈曲する際に、比較的大きな張力を受け易い一方で、中央部86は、中立曲げ軸よりも高い位置にあることにより、長手方向に屈曲する際に比較的大きな圧縮力を受け易い。第2のプレート42の後続アーム88A,88Bが張っていることは、背屈によって長手方向に曲がるときに中央部86の後部に下方後側への力をもたらし、中央部86に作用する力を流体充填ブラダ44全体に前方から後方にかけて分散させることを支援する。
【0077】
図1を参照すると、流体充填ブラダ44の後方へ延びつつ上昇しているレール54A,54Bと下降している後続アーム88A,88Bとが同じ高さとなる長手方向の位置99において、上昇しているレール54A,54Bは、後方ミッドソール・ユニット48から離れた位置にあり、比較的薄く形成されている。これらの構造特性を有することに起因して、ソール構造体12がMTP関節の曲げ軸の位置77においてよりも長手方向の位置99において小さい曲げ剛性を有する。従って、履物10が足に着用されていないときに、上方かつ内方へ曲がる力が前足領域20と踵領域24に同時に作用すると、履物10は長手方向の位置99の付近で曲がり易い。しかし、履物10が足18に着用されている場合、長手方向の位置99は、足18の土踏まず又は甲とほぼ整列する。足18は、背屈の際に、長手方向の位置99ではなく(背屈の際に土踏まずは、少なくともMTP関節ほど顕著に曲がりにくいので)、MTP関節の曲げ軸(すなわち、位置77)に沿って屈曲する。履物10はこうして、着用時に、(長手方向の位置99における)比較的小さい剛性を有する領域においてよりも、(MTP関節のほぼ直下にある中央部49,86及び流体充填ブラダ44Aの位置における)比較的大きい剛性を有する領域で屈曲する。
【0078】
非限定的な実施例において、背屈などの際に、曲げ剛性の変化に同様に影響を与えるソール構造体12の他の構造上のファクタとしては、ソール構造体12の様々な部分における厚さ、長手方向の長さ、及び内側方-外側方(すなわち、横断方向)の幅があるが、これに限らない。例えば、第1のプレート40の曲げ剛性が、該第1のプレート40の幅広の中央部49においてよりも、先細の後方部54において小さい。
【0079】
上述したように、第1のプレート40と第2のプレート42が共に後方ミッドソール・ユニット48に固定されている。第1のプレート40が、第2のプレート42よりも高い位置に(もっと近位に)おいて、後方ミッドソール・ユニット48に固定されていること(すなわち、先細の後方部54は、後続アーム88A,88Bが後方ミッドソール・ユニット48と連絡している位置よりも高い位置にある)を少なくとも理由の一部として、ソール構造体12の中立曲げ軸は、先細の後方部54の領域内では足18付近の(より近い)位置となるが、中央部49の領域内では足18から離れた(より遠い)位置となる。
【0080】
内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bの方が、後方ミッドソール・ユニット48よりも大きな圧縮剛性と大きな曲げ剛性を有する材料からなる実施例において、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは、ミッドソール・ユニット48が圧縮荷重を受けてショルダ55A,55Bの位置で変形することを抑えることができる。こうして、第2のプレート42の内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは、横へ動くとき(つまり、足が側方へ動いて履物10が地面と接触するときのことであり、例えばバスケットボールの試合中やこれに類する活動時に横方向へ動くとき)などに、内側方-外側方に沿った支持をもたらす。
【0081】
図17に最もよく示されているように、流体充填ブラダ44は、空気等の流体を保持するための密閉された内方のキャビティ126をつくり出すように、周縁フランジ124の位置で互いに結合された上側のポリマシート120と下側のポリマシート122を含む。流体充填ブラダ44の近位側104は、上側のポリマシート120の上面であり、凹所100内で第2のプレート42の中央部86の遠位側90に結合されている。第2のプレート42に上側のポリマシート120を結合させることは、熱結合や接着剤などによる。流体充填ブラダ44の遠位側61は、下側のポリマシート122の下面であり、凹所58内で第1のプレート40の近位側56に結合されている。流体充填ブラダ44の遠位側61はまた、該流体充填ブラダ44が中央部49の幅よりも幅広に延在している位置においてアウトソール構成要素50Aに結合されている。
【0082】
本明細書において、内方のキャビティ126に充填される「流体」とは、空気、窒素、他のガス、又はこれらの組合せ等の気体のことである。上側のポリマシート120及び下側のポリマシート122は、窒素、空気又は他のガス等の流体を弾力的に保持し得る様々なポリマ材料のことであり得る。上側のポリマシート120及び下側のポリマシート122用のポリマ材料の例としては、熱可塑性ウレタン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルポリウレタン及びポリエーテルポリウレタンがある。さらには、上側のポリマシート120及び下側のポリマシート122の各々が、ポリマ材料を含む様々な材料の層から形成され得る。一実施例において、上側のポリマシート120及び下側のポリマシート122の各々が、エチレンとビニルアルコ-ルのコポリマ(EVOH)からなる1つ又は複数のバリア層を有する1つ又は複数の熱可塑性ポリウレタンの層を有する薄いフィルムから形成されており、EVOHは、これに含まれる圧縮流体に対して不浸透性のものであり、例えば、Bonkらに付与された米国特許第6,082,025号明細書、及び第6,127,026号(これらの全体が本願の参照となる)に開示されている柔軟なマイクロ層の膜であり、この柔軟なマイクロ層の膜は、ガスのバリア層と弾性材料が交互に重ねられてなる層を含む。代替的に使用される複数の層としては、エチレンビニルアルコールのコポリマ、熱可塑性ポリウレタン、エチレンビニルアルコールのコポリマ及び熱可塑性ポリウレタンの粉砕再生材料がある。上側のポリマシート120と下側のポリマシート122の適切な材料としてはさらに、Rudyに付与された米国特許第4,183,156号明細書及び第4,219,945号明細書に開示されており、これらの全体が本願の参照となる。上側のポリマシート120及び下側のポリマシート122用に適切な材料としてはさらに、Rudyに付与された米国特許第4,936,029号明細書及び第5,042,176号明細書に開示された結晶材料を含む熱可塑性フィルム、及びBonkらに付与された米国特許第6,013,340号明細書、第6,203,868号明細書及び第6,321,465号明細書に開示されたポリエステル・ポリオールを含むポリウレタンがあり、これらの明細書の全体が本願の参照となる。流体充填ブラダ44用の材料を選択するのに際して、引張り強さ、伸縮特性、疲労特性、動的係数及び損失正接などの工学的性質が考慮され得る。例えば、流体充填ブラダ44を形成するために使用される上側のポリマシート120及び下側のポリマシート122の厚さは、これらの特性を得るために選択され得る。
【0083】
図17に最もよく示されているように、流体充填ブラダ44は、内方のキャビティ126内に配置された伸張性構成要素130を含む。伸張性構成要素130は、第1の伸張層132、第2の伸張層134、及び第1の伸張層132から第2の伸張層134まで内方のキャビティ126内に広がる複数のテザー136を含む。複数のテザー136は、第1の伸張層132を第2の伸張層134に繋いでいる。
図17において、複数のテザー136のうちのいくつかのみが参照符号を付して示されている。テザー136は、布製の伸張部材ないし伸長糸ともいい、第1の伸張層132と第2の伸張層134とを繋ぐ懸架(懸垂)糸の形態であり得る。伸張構成要素130は、スペーサ・ニット織物(すなわち1枚ものとしての、伸張層132,134及びテザー136のニット物)を有する単一のワンピースの織物要素として形成され得る。第1の伸張層132が上側のポリマシート120の位置で流体充填ブラダ44の上側内面に結合されている一方で、第2の伸張層134は、下側のポリマシート122の位置で流体充填ブラダ44の下側内面に結合されている。
【0084】
テザー136は、内方のキャビティ126内で所与のガスの膨張圧を受けているときに、
図17に示される最大の分離位置まで上側のポリマシート120と下側のポリマシート122とを分離させて保持する。内方のキャビティ126内の圧縮ガスの外方へ作用する力がテザー136を緊張させ、該テザー136は、伸張層132,134及びポリマシート120,122が
図17及び
図18に示される垂直方向に互いに離れる方向へ動くことを防ぐ。しかし、テザー136は、圧縮荷重を受けたときにその圧力に抵抗するものではない。着用者が走ったり他の運動をしたりするときに、又はソール構造体12が長手方向に屈曲する際に動的な衝撃力等に起因して流体充填ブラダ44上に圧力が作用すると、流体充填ブラダ44が圧縮され、特定のテザー136に隣接する上側及び下側のポリマシート120,122に作用する圧力に比例してテザー136が崩れる(つまり、緩くなる)とともに、ポリマシート120,122が互いに接近する。流体充填ブラダ44に固定された第1及び第2のプレート40,42の中央部49,86は、概ね平坦に形成されており、例えば
図1及び
図17に示されるように、ソール構造体12が応力を受けない状態にあるときには、それらの領域でほぼ一定の距離だけ離れている。中央部49,86に局所的な力が作用したときにもプレート40,42によって分散され、流体充填ブラダ44の上方に均等に作用する。例えば、足18の中足骨頭によって生じ得る中央部49上に局所的に作用する力は中央部49の上方において分散され、流体充填ブラダ44の局所的な部分を圧縮するのではなく、流体充填ブラダ44を一体的なものとしてこれの幅方向に圧縮する。これにより、テザー136のすべてがほぼいっせいに緩んだり、緊張状態に戻ったりすることが可能となり、(流体充填ブラダの上下にプレートを有しない場合に、流体充填ブラダが足から荷重を受けて圧縮されるときに生じ得るように)1つ又は複数の局所的なグループに含まれるテザーが、その周りのテザーとは別々に緩んだり緊張したりすることがない。
【0085】
図18に示される他の実施例におけるソール構造体212は、単一の流体充填ブラダ44の代わりに、2つの横に並んだ流体充填ブラダ44A,44Bが使用されるとともに、プレート40,42がそれぞれ、流体充填ブラダ44A,44Bを収容するためのプレート240,242とされている以外、ソール構造体12と同様に機能するように構成されている。ソール構造体12の代わりに、ソール構造体212がアッパー14に固定され得る。流体充填ブラダ44A,44Bの各々が、流体充填ブラダ44に関して説明した通りに構成されている流体充填ブラダである。詳しくは、流体充填ブラダ44Aは内側方の流体充填ブラダであり、流体充填ブラダ44Bは外側方の流体充填ブラダである。内側方の流体充填ブラダ44Aは、外側方の流体充填ブラダ44Bよりも履物10の内側方30付近に配置されている一方で、外側方の流体充填ブラダ44Bは、内側方の流体充填ブラダ44Aから離間しており、内側方の流体充填ブラダよりも履物10の外側方32付近に配置されている。内側方の流体充填ブラダ44Aと外側方の流体充填ブラダ44Bは、長手方向のほぼ同じ位置においてプレート240,242間に配置され、履物10の長手方向の中央線LMに沿っている。換言すれば、長手方向の中央線LMと直交するように延びている横断線が、流体充填ブラダ44A,44Bのいずれとも交差する。プレート240,242はそれぞれプレート40,42と同一である場合もあれば、1つの凹所100の代わりに、各流体充填ブラダ44A,44B用の2つの別個の凹所を提供するように構成されているとともに、第1のプレート240が1つの凹所58を有するのではなく、各流体充填ブラダ44A,44B用の2つの別個の凹所を提供するように構成されている場合もある。プレート240,242を有することにより、流体充填ブラダ44A,44Bの内方へ作用する圧縮力がいずれのプレート240/242上のどこに作用しても、該プレート240及び/又は242によって、該プレート240又は242と接している流体充填ブラダ44A及び44Bの上側と下側の全体に亘って分散されることとなる。ただし、流体充填ブラダ44A,44Bは、内側方と外側方とに異なる圧縮剛性をもたらす互いに異なる膨張圧を有することがあり得る。
【0086】
図1及び
図12に示されるように、前足ミッドソール・ユニット46の後方限界106は、後方端縁84から近位側105まで前方へ傾斜している。
図1に示されるように、組立て完了後のソール構造体12において、後方限界106は、第1のプレート40(破線で示されている)から第2のプレート42まで、流体充填ブラダ44から離れる方向に上方へ傾斜している。このことにより、流体充填ブラダ44と前足ミッドソール・ユニット46との間に、履物10の内側方30から外側方32まで横断方向に延びるギャップ108が生じている。このギャップ108は、圧縮荷重を受けたときに流体充填ブラダ44が前方へ膨らむことを可能にする空所となり、後方限界106は、流体充填ブラダ44の前方の壁に対する応答面として機能してその圧力を緩和させる。
図1はまた、該流体充填ブラダ44の後方に追加のギャップ111を示しており、この追加のギャップ111は、流体充填ブラダ44が荷重を受けて圧縮されたときに後方へ膨張することを可能とする。
【0087】
図1、
図2及び
図17に示される流体充填ブラダ44はまた、圧力を受けたときに横断方向の外方へ膨張できるように、内側方30及び外側方32の位置で露出している。
図1~3に最もよく示されているように、先細の後方部54(例えば、内側方レール54A,外側方レール54B)、内側方の後続アーム88A及び外側方の後続アーム88Bは、ソール構造体12の中足領域22内で露出している。例えば、構成要素どうしの少なくとも互いに交差する部分が露出しており、ソール構造体12の内側方視(
図1を参照)、外側方視(
図2)及び/又は底面視(
図3)で視認され得る。
【0088】
図19~
図21に示される追加的な実施例における履物とソール構造体は、流体充填ブラダ44又は流体充填ブラダ44A,44Bが外側方へ膨張することを抑制するように前方アウトソール構成要素が改良されていること以外、ソール構造体12と同様に機能するように構成されている。例えば、
図19及び
図20において、履物410及びソール構造体412は、
図22~
図24を参照しつつ説明した第1のプレート640が使用されること(つまり、第1のプレート640は、横断リッジ62及び横断溝64を有していない)以外、履物10及びソール構造体12と同様の構成要素を有するものとして示されており、
図1に示した前方アウトソール構成要素50Aは、前方アウトソール構成要素450Aに置き換えられており、該前方アウトソール構成要素450Aの内側方の側壁463Aと外側方の側壁465Aが、流体充填ブラダ44の内側方の面464と外側方の面468まで延びてこれに固定されている。また、前方アウトソール構成要素450Aが横断リッジ51も横断溝53も有していないのは、第1のプレート640が、対応する横断リッジ62及び横断溝64を有していないからである。
【0089】
側壁463A及び465Aは、
図1に示したアウトソール構成要素50Aと比べると、流体充填ブラダ44の側面に沿ってさらに上方へ延びている。非限定的な実施例において、側壁463A,465Aは、流体充填ブラダ44の側面の下半分を覆うように延在する。このことは、流体充填ブラダ44にさらに大きな支持をもたらし、流体充填ブラダ44が圧縮されたときに横断方向(すなわち、横断方向の外方)に膨張しようとする能力を抑える。概して、テザー136を有する流体充填ブラダ内において、伸張層132,134に固定されていないポリマシート120,122の一部は、流体充填ブラダが圧縮状態のときに膨張し易く、これにより、流体充填ブラダ44の外側周縁が外方(すなわち、上下から圧縮されたときに横断方向の外方、前方及び後方)へ膨らむ。加えて、より広い側壁463A,465Aとすることは、流体充填ブラダ44に前方アウトソール構成要素450Aを結合するための広い表面積をもたらすとともに、ソール構造体12が側壁463A,465Aの両側を接地させつつ配置されているときに静止摩擦力をもたらす。
【0090】
図19に示した第1の内側方の側壁463Aの前方に配置された第2の内側方の側壁463Bによって最もよく示されているように、前方アウトソール構成要素450Aは、前足ミッドソール・ユニット46の内側方と外側方の面を上方まで覆い且つこれらに固定され得る。第2の外側方の側壁(図示せず)は、前足ミッドソール・ユニット46の外側方の面に固定され得る。側壁463A,465Aと同様に、第2の内側方の側壁463Bと第2の外側方の側壁は、これらのうちの一方を備えていれば、前足ミッドソール・ユニット46に前方アウトソール構成要素450Aを結合するための広い面積をもたらすとともに、ソール構造体12が複数の第2の側壁のいずれかに配置されたときに静止摩擦力をもたらす。前方アウトソール構成要素450Aは下方へ窪んでおり、第1の内側方の側壁463Aと第2の内側方の側壁463Bとの間にノッチ470を画定して、前方アウトソール構成要素450Aの柔軟性をもたらしている。
【0091】
図21に示される他の実施例におけるソール構造体512は、アウトソール構成要素50Aの代わりに、2つの横に並んだ流体充填ブラダ44A,44Bを収容するアウトソール構成要素550Aとした以外、ソール構造体12と同様に機能するように構成されている。前足ミッドソール・ユニット46の外側方に、ソール構造体412に関して説明したのと同じ側壁463A,465A,463B、及び追加の側壁が使用されている。側壁463A,465Aが協働して、圧縮状態のときの流体充填ブラダ44A,44Bを安定させて横断方向(すなわち、横断方向の外方)に膨張することを抑制する。
【0092】
図27及び
図28を参照すると、代替的な実施例における第2のプレート842が、第2のプレート42の特徴部の多くを含む。第2のプレート842は、
図31に示したソール構造体812内に組み込まれているときに、前足ミッドソール・ユニット846の最前方端縁よりも後方にある前方端縁843の位置で終端している。換言すれば、前足ミッドソール・ユニット846は、第2のプレート842の最前方端縁843よりも前方へ延びている。第2のプレート842は、第2のプレート42と同様に前足ミッドソール・ユニット846の上方に貫通孔を有しているわけではない。加えて、第2のプレート842は、第2のプレート42の壁と同様の上方へ延びる周縁の壁も有していない。第2のプレート842が貫通孔と周縁の壁を備える代わりに、代替的な実施例における後方ミッドソール・ユニット848が周縁の壁892を有するとともに、貫通孔807を画定している。
図31~
図32に示したソール構造体812内に、第2のプレート842、流体充填ブラダ44A,44B、第1のプレート840、前足ミッドソール・ユニット846、及び後方ミッドソール・ユニット848が、前方及び後方のアウトソール構成要素850A,850Bとともに組み込まれているときに、周縁の壁892は、流体充填ブラダ44A,44B(
図31においてブラダ44Aのみ視認可能)の前方において第2のプレート842から離れて上方へ延びている。周縁の壁892は、後方ミッドソール・ユニット848全体を取り囲むように延在する。貫通孔807は、少なくとも一部が流体充填ブラダ44Aの上方に延びているとともに、一部が前足ミッドソール・ユニット846の上方に延びている。
図29に最もよく示されているように、第2のプレート842は、第1のプレート840の先細の後方部54の終端部76よりも後方へ延びている。
図31に示されるように、後方ミッドソール・ユニット848は、流体充填ブラダ44A,44Bを覆う第2のプレート842の近位側の後部に被さるようにこれに固定されている。
【0093】
第2のプレート842は、第2のプレート42と同様に、内側方の後続アーム88A及び外側方の後続アーム88Bと同様の構成の内側方の後続アーム888A及び外側方の後続アーム888Bを有するが、異なる点として、
図27及び
図28に示されるように、内側方の後続アーム888Aと外側方の後続アーム888Bが第2のプレート842の後部888Cの位置で収束している。すなわち、第2のプレート842は、流体充填部ラバ44A,44Bの後方に開口889を画定しており、この開口889の縁が、内側方の後続アーム888Aと外側方の後続アーム888Bによって定められている。
図38に最もよく示されているように、後方ミッドソール・ユニット848は、内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bを有し、これらはそれぞれ、内側方の後続アーム888Aと外側方の後続アーム888Bと面一に固定されている。実際には、内側方ショルダ55Aが凹所57Aを有する一方で、外側方ショルダ55Bが凹所57Bを有し、これらの凹所のそれぞれに、後続アーム888A,888Bが収容される。凹所57Aと凹所57Bは続いて、第2のプレート842の後部888Cが収容されている後部凹所57Cの位置で合流する。
【0094】
図27、
図29及び
図30に最もよく示されているように、第2のプレート842は、内側方の後続アーム888Aと外側方の後続アーム888Bから上方へ向かって後部888Cを取り囲むように延びている一連の壁853を有する。
図38は、後方ミッドソール・ユニット848を示しており、この後方ミッドソール・ユニット848の遠位側110には、後方ミッドソール・ユニット48と同様に、内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bとの間に凹所112が形成されている。一連の壁853は、内側方の後続アーム888Aと外側方の後続アーム888Bから上方へ向かって凹所112内まで延在し、該凹所112内で後方ミッドソール・ユニット848と面一に接続する。これに加え、
図32に最もよく示されているように、第1のプレート840の先細の後方部54は、凹所112内で後方ミッドソール・ユニット848に押し付けられるように着座し且つこれに固定される。
【0095】
図35に示されるように、第1の流体充填ブラダ44Aが第1のプレート840の二股部852の内側方の突出部852A上に配置される一方で、第2の流体充填ブラダ44Bは、二股部の外側方の突出部852B上に配置されており、流体充填ブラダ44A,44B間においてこれらの下方にスロット72が延びている。
【0096】
図31及び
図36に示されるように、前足ミッドソール・ユニット846の後方限界806は、流体充填ブラダ44A,44Bの位置でこれらに向かって第1のプレート840から第2のプレート842まで上方へ傾斜しており、衝撃荷重を受けていないときには、後方限界806とブラダ44A,44Bとの間にギャップ808が生じている。
【0097】
図32は、アウトソール構成要素850A,850Bが後方ミッドソール・ユニット848の遠位側に固定されていることを示す。アウトソール構成要素850Bは第1の内側方の側壁863を有し、この内側方の側壁863は、上方へ向かって後方ミッドソール・ユニット848の内側方の面849まで延びてこれに固定されており、後方ミッドソール・ユニット848に後方アウトソール構成要素850Bを結合するための更に広い面積をつくり出しているとともに、側壁863が地面に押し付けられつつソール構造体812が配置されているときに静止摩擦力をもたらす。アウトソール構成要素850Bは、後方ミッドソール・ユニット848の外側方においても、同様に延在する側壁を有する。
【0098】
図40及び
図41は、本教示の範囲に含まれる他の実施例におけるソール構造体1012を有する履物1010を示す。ソール構造体1012は、ソール構造体12の構成要素と同様の構成要素の多くを有し、それらには同様の参照符号が付されている。ソール構造体1012は、第1のプレート1040、第2のプレート1042、及び第3のプレート1043を有し、これらのプレートの各々の一部が
図40において視認され得る。ソール構造体1012は、第1のプレート1040と第2のプレート1042との間に配置された第1及び第2の流体充填ブラダ44A,44Bをさらに含む。プレート1040,1042,1043及び流体充填ブラダ44A,44Bに加えて、ソール構造体1012は、全長ミッドソール・ユニット1047と、流体充填ブラダ44A,44Bの後方にある後方ミッドソール・ユニット1048と、ソール構造体1012の地面との接触面Gを確立しているアウトソール構成要素1050A、1050Bとを含む。ソール構造体1012の構成要素の各々については、それが登場するいくつかの図を参照しつつ詳細に説明する。
【0099】
図44及び
図45に、第1のプレート1040が単独で示されている。第1のプレート1040は、第1のプレート40と同様に、比較的硬質な材料からつくられている。例えば、1つ又は複数の実施例において、第1のプレート1040は、第1のプレート40に関して説明した炭素繊維、炭素繊維合成物(炭素繊維充填ナイロンなど)、(注入型の)繊維ガラス強化ナイロン、繊維強化ナイロン、繊維ストランド入りの合成物、熱可塑性エラストマ、木、鋼鉄、他の材料、及びこれらの組合せを含む種々の材料からなり得るが、これらに限定されない。一実施例において、第1のプレート1040は、米国ペンシルベニア州キングオブプロシア所在のArkema Inc.社から調達可能なRILSAN(登録商標)BZM70TLなどの注入型繊維ガラス強化ポリアミド11であり得る。そのような実施例において、第1のプレート1040は、ISO868試験方法を用いてショアDデュロメータスケールで約75の硬度、ISO178試験方法を用いて約1500MPaの弾性係数、及び約1.07g/cm
3の密度を有し得る。
【0100】
第1のプレート1040は、第1のプレート40と同様に、中央部49、該中央部49の前方の二股部52(二股に分かれた前方部52ともいう)、及び中央部49の後方の先細の後方部54を有する。第1のプレート1040は、該第1のプレート1040の内側方端縁68に内側方フランジ69を有するとともに、該第1のプレート1040の外側方端縁70に外側方フランジ71を有する。
図43に最もよく示されているように、第1のプレート1040と流体充填ブラダ44A,44Bがソール構造体1012に組み込まれると、流体充填ブラダ44A,44Bの遠位側61が第1のプレート1040の近位側56に着座するとともに、二股部が流体充填ブラダ44A,44Bの前方に位置し、その流体充填ブラダ44A,44Bは、先細の後方部54の前方に位置する。近位側56は、流体充填ブラダ44A,44Bが着座する凹所58と同様の凹所を含み得る。
図42に示されるように、流体充填ブラダ44A,44Bはアウトソール構成要素1050A上まで延在する。アウトソール構成要素1050Aはまた、第1のプレート1040、並びに流体充填ブラダ44A,44Bそれぞれの内側方及び外側方の先端を受けて支持する凹所63を形成している。
【0101】
図44及び
図45を参照すると、第1のプレート1040の二股部52は、スロット72によって互いに分離された内側方の突出部52Aと外側方の突出部52Bを含み、これらの各々が、第1のプレート1040の近位側56で上方へ延びているそれぞれの長手方向延在リッジ52Cを有する。プレート1040に関して説明したように、二股部52は、ソール構造体1012の前足領域20内において、内側方-外側方の柔軟性を高めるが、同様の厚さと材料からなるプレートであってもスロットのない連続的な前方部を有するものではこうはいかない。リッジ52Cについても、これを有しない突出部52A,52Bの構成と比較して、突出部52A,52Bを強化し、突出部52A,52Bの長手方向の曲げ剛性を増大させている。
【0102】
第1のプレート1040の先細の後方部54は、第1のプレート40と同様に、長細の孔74によって互いに分離された内側方レール54Aと外側方レール54Bを含み、内側方レール54Aと外側方レール54Bが孔74の直後で収束するように、当該長細の孔74は、中央部49の直前から延び始めて先細の後方部54の終端部76の前で終端している。
図45に最もよく示されているように、内側方レール54A及び外側方レール54Bの各々が、第1のプレート40の遠位側66で下方へ延びているそれぞれの長手方向延在リッジ54Cを有することで、レール54A,54Bがリッジ54Cを有していない構成と比較して、レール54A,54Bを強化し、長手方向の曲げ剛性を増大させている。
【0103】
図43に最もよく示されているように、第1のプレート1040は、応力を受けていない状態では概ねスプーン形の形状(長手方向の断面で)に形成されており、該第1のプレート1040は、応力を受けていない状態となる方向に付勢されている。しかし、第1のプレート1040の終端部76が、第1のプレート1040の終端部と同程度に後方にあるとは限らない。本明細書において説明される第3のプレート1043は、その終端部76において第1のプレート1040にフィットし、スプーンの形状を維持するように第1のプレート1040から後方へ延在する。第1のプレート40に関して説明したように、背屈の際に第1のプレート1040が長手方向に曲がると、着用者が第1のプレート1040を曲げることで入力されたエネルギのうちの少なくともいくらかがポテンシャル(弾性力による位置)エネルギとして蓄えられる。そして、歩行サイクルにおいてつま先が地面から離れる直前の推進フェーズで、ソール構造体1012が地面を押して離れるときにポテンシャルエネルギが放出されるが、つま先が地面から離れると、第1のプレート1040は伸びて、その少なくとも一部が、前方運動の方向に視て応力を受けていないスプーン形の形状へ戻る。
【0104】
図50及び
図51に、第2のプレート1042が単独で示されている。
図43に最もよく示されているように、第2のプレート1042は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bを有するとともに、流体充填ブラダ44A,44Bの近位側に支持されており、
図43に最もよく示されているように、該流体充填ブラダは、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bの前方に設けられている。
【0105】
第2のプレート1042は、中央部86、内側方の後続アーム88A、及び外側方の後続アーム88Bを有する。第2のプレート42に関して説明したように、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは共に中央部86よりも後方にあり、従って、ソール構造体1012の長手方向に沿って中央部86に「追随する」。後続アーム88A,88Bは、中央部86から離れる方向に後方へ延びつつ下方へ傾斜している。
図43及び
図50に示されるように、後続アーム88A,88Bは、第2のプレート1042の近位側87で凹状に形成されている一方で、
図43及び
図51に示されるように、第2のプレート1042の遠位側90で凸状に形成されている。
【0106】
第2のプレート1042は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bとの間で中央部86の後方に貫通孔1065を画定している。第2のプレート1042はまた、貫通孔1065の後部を取り囲むように上方へ延びている壁1067を有する。
【0107】
図51に示されるように、第2のプレート1042の遠位側90は、中央部86において一対の浅い凹所100を画定し得る。
図42に最もよく示されているように、ソール構造体1012に第2のプレート1042と流体充填ブラダ44A,44Bが組み込まれると、流体充填ブラダ44A,44Bの近位側104が、凹所100内において第2のプレート1042の遠位側90に着座することにより、流体充填ブラダ44A,44Bが凹所100内に収容される。アッパー14にソール構造体1012が固定されているとき、足18は、中央部86の近位側87で足対向面34(
図42及び
図43に示されている)上に支持される。
【0108】
第1のプレート1040は、プレート40に関して説明した種々の材料からなり、第2のプレート1042は、プレート42に関して説明した種々の材料からなり得る。第1のプレート1040は、第2のプレート1042よりも更に硬いとよい。
【0109】
ソール構造体1012は、
図46及び
図47に単独で示されている第3のプレート1043をさらに含む。第3のプレート1043の前方端縁1045が、ノッチ1049を画定している。
図48及び
図49に示されるように、第3のプレート1043は第1のプレート1040から後方へ延びており、第1のプレート1040の先細の後方部54は、ノッチ1049内にフィットするように構成されている。例えば、先細の後方部54は、ノッチ1049内で第3のプレート1043に圧入され、結合され、及び/又は接着されており、先細の後方部54がノッチ1049を完全に埋めるように、終端部76は前方端縁1045に押し付けられている。
図44に示されるように、先細の後方部54は終端部76で厚くなるように形成されており、第3のプレート1043にしっかり固定するための広い面積を有する側面76Aをもたらす。このように、第1のプレート1040と第3のプレート1043をフィットさせることにより、単一の一体的なプレートが使用される場合よりも、さらに複雑な形状が実現され得る。これに加え、第1のプレート1040と第3のプレート1043は、互いに異なる材料から形成され得る。
【0110】
図46~
図49及び
図56に最もよく示されているように、第3のプレート1043は貫通孔1055を有する。
図43及び
図57に示されるように、ソール構造体1012に第3のプレート1043が組み込まれているときに、貫通孔1055はソール構造体1012の踵領域24内にある。第3のプレート1043は、該第3のプレート1043の後部から上方前側へ曲がっている長細のテール1057を含む。例えば、長細のテール1057は、レバーとして使用され、このレバーを反対の足で押すことにより、足18から履物1010を脱がすことができる。
【0111】
図43は、ソール構造体1012が組立て済みであるときに、それぞれの位置にある流体充填ブラダ44A,44B、第1のプレート1040、第2のプレート1042、及び第3のプレート1043のみを示す。流体充填ブラダ44A,44B、第1のプレート1040、第2のプレート1042、及び第3のプレート1043を最もよく見せるために、全長ミッドソール・ユニット1047、後方ミッドソール・ユニット1048、及びアウトソール構成要素1050A,1050Bは、省略されている。
【0112】
図43に示されているように、先細の後方部54は、流体充填ブラダ44A,44Bの後方へ延びつつ内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bとの間で上昇しており、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは、流体充填ブラダ44A,44Bの後方へ延びつつ下降している。内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは、流体充填ブラダ44A,44Bの直後においては第1のプレート1040よりも高い位置に配置されており、流体充填ブラダ44A,44Bのさらに後方において先細の後方部54よりも低い位置まで下降している。先細の後方部54は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも低い位置から、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも高い位置まで、流体充填ブラダ44A,44Bと該先細の後方部54の終端部76との間において上昇している。第2のプレート1042は、第1のプレート1040の先細の後方部54の終端部76よりもさらに後方へ延びている。
図52に最もよく示されているように、第1のプレート1040の先細の後方部54は、後方へ延びつつ第2のプレート1042の貫通孔1065を通って上昇している。第3のプレート1043は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも高い位置にある第1のプレート1040から後方へ延びつつ上昇している。
【0113】
図40及び
図41に最もよく示されているように、ソール構造体1012の中足領域22内に、先細の後方部54、内側方の後続アーム88A、及び外側方の後続アーム88Bが露出している。例えば、構成要素どうしの少なくとも互いに交差する部分が露出しており、ソール構造体1012の内側方視(
図40を参照)、外側方視(
図41を参照)、及び/又は底面視(
図52を参照)で視認され得る。
【0114】
図42及び
図43を参照すると、流体充填ブラダ44A,44Bが第1のプレート1040の中央部49の近位側56かつ先細の後方部54の前方において第1のプレート1040によって支持されている。第2のプレート1042の中央部86は、流体充填ブラダ44A,44Bの近位側104かつ内側方の後続アーム88A及び外側方の後続アーム88Bの前方において、流体充填ブラダ44A,44Bによって支持されている。先細の後方部54は、流体充填ブラダ44A,44Bの後方へ延びつつ、第2のプレート1042の貫通孔1065と、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bとの間(つまり、ソール構造体1012の横方向に並んでいる後続アーム88A,88Bの内方)を通って上昇している。内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bは、流体充填ブラダ44A,44Bの後方へ延びつつ下降している。流体充填ブラダ44A,44Bと後続アーム88A,88Bの終端部89A,89Bとの間において、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bはそれぞれ、第1のプレート1040よりも高い位置にある後続アーム88A,88Bの前方部から、先細の後方部54の少なくとも後部よりも低い位置(つまり下方)にある該内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bの終端部89A,89Bまで下降している。
【0115】
流体充填ブラダ44A,44Bと先細の後方部54の終端部76との間において、レール54A,54Bは、該レール54A,54Bの前部の位置における内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも低い位置から、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bよりも高い位置まで上昇している。第1のプレート1040の先細の後方部54の終端部76は、後続アーム88A,88Bの終端部89A,89Bよりも前方にある。第1のプレート1040は前足領域20から中足領域22まで延在し、踵領域内にはなく、第3のプレートは中足領域22から踵領域24まで延在し、前足領域20内にはなく、第2のプレート1042は前足領域20、中足領域22、及び踵領域24の一部に延在する。
【0116】
全長ミッドソール・ユニット1047と後方ミッドソール・ユニット1048は、概して、プレート1040,1042,1043よりも柔軟な材料からなり、クッション性をもたらして、エネルギを返還することができるものである。例えば、全長ミッドソール・ユニット1047及び後方ミッドソール・ユニット1048は、エチレン-ビニルアセテート(EVA)発泡体、他の発泡体、又はプレート1040,1042,1043よりも圧縮剛性の小さい他の材料からなり得る。これにより、歩行サイクルにおいてつま先が地面から離れる直前の推進フェーズで背屈する際に、全長ミッドソール・ユニット1047の前足部を圧縮させることで足18の指骨が全長ミッドソール・ユニット1047の前足部を掴むことが、もっと剛性の高い構成要素を用いる場合よりも大幅に容易となる。
【0117】
図40及び
図41に最もよく示されているように、後方ミッドソール・ユニット1048は、流体充填ブラダ44A,44Bの後方へ延びている。後方ミッドソール・ユニット1048は、内側方の後続アーム88A(
図53を参照)に固定されこれと連絡している内側方ショルダ55A(
図54を参照)と、外側方の後続アーム(
図53を参照)に固定されこれと連絡している外側方ショルダ55B(
図54を参照)とを有する。内側方ショルダ55Aが内側方の後続アーム88Aと面一となる一方で、外側方ショルダ55Bは外側方の後続アーム88Bと面一となる。内側方の後続アーム88Aが内側方ショルダ55Aの凹所57A内に収容される一方で、外側方の後続アーム88Bは外側方ショルダ55Bの凹所57B内に収容され得る。凹所57A,57Bは連続的に延びており、第2のプレート1042の後部88C(
図55を参照)が収容される後方の凹状のセクション57C(
図54を参照)において結合されている。
【0118】
第2のプレート1042の壁1067は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bとの間において後部88Cを取り囲むように上方へ延在する。
図54に示される後方ミッドソール・ユニット1048の遠位側110において、後方ミッドソール・ユニット48と同様に、内側方ショルダ55Aと外側方ショルダ55Bとの間に凹所112が形成されている。一連の壁1067は凹所112内まで上方へ延びており、
図52に示されるように、該凹所112内でミッドソール・ユニット1048と面一に接続する。加えて、第1のプレート1040の先細の後方部54が、凹所112内の後方ミッドソール・ユニット1048に押し付けられるように着座し且つこれに固定されている。
【0119】
図40及び
図41に示されるように、後方ミッドソール・ユニット1048は、第3のプレート1043の遠位側93に固定されている。加えて、
図56に示されるように、後方ミッドソール・ユニット1048は、第3のプレート1043の近位側95において第3のプレート1043の貫通孔1055の位置で露出している。
【0120】
図40,42及び
図57に最もよく示されているように、全長ミッドソール・ユニット1047は、ソール構造体1012の前足領域20から踵領域24まで延在する。
図57に示されるように、全長ミッドソール・ユニット1047は、流体充填ブラダ44A,44Bの前方かつ第2のプレート1042の前方端縁843の前方における前足領域20内で第1のプレート1040の近位側56に支持され且つこれと連絡している。全長ミッドソール・ユニット1047は、内側方の後続アーム88Aと外側方の後続アーム88Bの前方の第2のプレート1042の近位側87とも連絡している。全長ミッドソール・ユニット1047は、第3のプレート1043の近位側95とも連絡している。
【0121】
図40及び
図57に示されるように、全長ミッドソール・ユニット1047は、第3のプレート1043の貫通孔1055を覆って延在し、第3のプレート1043の位置で後方ミッドソール・ユニット1048の近位側と連絡する。
図54、
図55及び
図57に示されるように、全長ミッドソール・ユニット1047は、貫通孔1097を有する。
図57に明示されているように、第2のプレート1042の近位側が全長ミッドソール・ユニット1047の貫通孔1097の位置で露出するように、貫通孔1097が第2のプレート1042の上方に配置されている。
図57に示されるように、流体充填ブラダ44A,44Bは、貫通孔1097の下方にある第2のプレート1042の遠位側90に配置されている。
【0122】
貫通孔1055,1097は、足がソール構造体1012の構成要素に作用する所望の負荷の大きさに応じて配置されている。例えば、足18の踵は、貫通孔1097の位置に積み重ねられたミッドソール・ユニット1047,1048上に直接支持されることとなる。これにより、硬質の第3のプレート1043が貫通孔1097の領域内に干渉することなく、第3のプレート1043よりも剛性の低いミッドソール・ユニット1047,1048のクッション特性が、踵によって直接体感されることとなる。また、足18の母指球は、第2のプレート1042と足18の母指球との間に剛性の低い全長ミッドソール・ユニット1047が干渉することなく、貫通孔1097の位置で第2のプレート1042上に直接的に支持されることとなる。従って、貫通孔1097の位置で足18の母指球によって伝達される荷重は、第2のプレート1042によって直接、流体充填ブラダ44A,44B全体に亘って分配されることとなり、剛性の低いミッドソール・ユニット1047を介して伝達されることがない。
【0123】
図40及び
図57に最もよく示されているように、全長ミッドソール・ユニット1047は、流体充填ブラダ44A,44Bの前方において、第1のプレート1040から第2のプレート1042まで垂直方向に延びている壁1085を有する。この壁1085の面は、第1のプレート1040と第2のプレート1042との間において前方へ湾曲している。この壁1085は、ソール構造体1012が安定的な荷重を受けているときにブラダ44A,44Bの前面から離れている一方で、ソール構造体1012が動的な荷重を受けているときにはブラダ44A,44Bの前方への変形を制限する応答面として機能し得る。
【0124】
図53に示されるように、内側方フランジ69と外側方フランジ71は、流体充填ブラダ44A,44Bの前方の前足領域20内で全長ミッドソール・ユニット1047の下方延在部分の後面1071に押し付けられるように配置されている。フランジ69,71と後面1071は特徴部を位置決めしており、これらの特徴部が互いに嵌合していることで、全長ミッドソール・ユニット1047と第1のプレート1040とが正しく整列している。
【0125】
図58及び
図59は、本教示の範囲に含まれる他の実施例におけるソール構造体1112を有する履物1110を示す。ソール構造体1112は、ソール構造体1012の構成要素と同様の構成要素の多くを含み、それらには同様の参照符号が付されている。ソール構造体1112は、上述した第1のプレート1140、第2のプレート1042を含み、そして第3のプレートを含む。これらは各々
図58において視認される。ソール構造体1112は、第1のプレート1140と第2のプレート1042との間に配置された第1の流体充填ブラダ44A(
図58を参照)と第2の流体充填ブラダ44B(
図59を参照)をさらに含む。ソール構造体1112は、プレート1140,1042,1143及び流体充填ブラダ44A,44Bに加えて、全長ミッドソール・ユニット1147、流体充填ブラダ44A,44Bの後方の(上述した)後方ミッドソール・ユニット1048、及びソール構造体1112の地面との接触面Gを確立している(上述した)アウトソール構成要素1050A,1050Bを含む。ソール構造体1112の構成要素の各々については、それが登場するいくつかの図を参照しつつ詳細に説明する。
【0126】
図58及び
図59に見られるように、全長ミッドソール・ユニット1147は、全長ミッドソール・ユニット1047とほぼ同様に構成されている。ミッドソール・ユニット1047と同様に、全長ミッドソール・ユニット1147は、ソール構造体1112の前足領域20から踵領域24まで延在するとともに、第2のプレート1042の前方の前足領域20内で第1のプレート1140の近位側を覆うように延在し且つこれに支持され、さらにはこれと連絡しており、内側方の後続アーム88A及び外側方の後続アーム88Bの前方にある第2のプレート1042の近位側、及び踵領域24内にある第3のプレート1143の近位側と連絡している。前方の壁1085Aは、ミッドソール・ユニット1047の前方の壁1085よりもブラダ44A,44Bにもっと近く、もっと曲率が小さい。
図60に最もよく示されているように、貫通孔1097(前方の貫通孔ともいう)の前方端縁の位置にノッチ1187が形成されている。加えて、全長ミッドソール・ユニット1147は、踵領域24付近にも貫通孔1188を有し、この貫通孔1188は、組立て完了後のソール構造体1112において、後方ミッドソール・ユニット1048の上方に配置される。なお、この貫通孔1188のことを後方の貫通孔ともいう。ミッドソール・ユニット1147の足対向面34内に形成された凹所1189が、貫通孔1188の直後にあり且つこれと連通している。貫通孔1188は、第1のプレート1140の先細の後方部1154を収容するために用意されており、
図61に示されるように、先細の後方部1154は、ミッドソール・ユニット1147内で貫通孔1188を貫くように延びて、ミッドソール・ユニット1147の足対向面34に固定されている。なお、
図61は、内側方のレール54Aに沿って切り出された断面図である。
図62及び
図63は、第1のプレート1040と同様の特徴部の多くを有する第1のプレート1140を示す。第1のプレート1140は、第1のプレート1040のフランジ69,71と同じ機能をするフランジ1169,1171を有するが、その前後方向の長さは短くされている。
【0127】
先細の後方部1154は、相対的に厚いレッグ1176A、及び該相対的に厚いレッグ1176Aから後方へ延びている相対的に薄いレッグ1176Bを有する階段状の後部1177を含む。
図61に最もよく示されているように、ソール構造体1112が組立て済みであるとき、相対的に厚いレッグ1176Aが貫通孔1188を貫通しているとともに、相対的に薄いレッグ1176Bがミッドソール・ユニット1147を覆うように延在しかつミッドソール・ユニット1147の足対向面34上に形成された凹所1189内に着座している。
図64は、ミッドソール・ユニット1147に組み込まれた第1のプレート1140を示す(明確に示すためにソール構造体1112の他の構成要素は省略されている)。相対的に薄いレッグ117Bは、接着剤、熱結合その他を使って凹所1189内の足対向面に結合されている。
図61に示されるように、階段状の後部1177の足対向面1191は、ミッドソール・ユニット1147の足対向面34と面一となっている。また、ストローベル(図示せず)が、ミッドソール・ユニット1147の足対向面34(階段状の後部1177の足対向面1191を含む)に結合され得る。
【0128】
相対的に厚いレッグ1176Aの側面1176C(
図62を参照)は、貫通孔1188の境界を画定しているミッドソール・ユニット1147の面に結合され得る。レッグ1176Aが比較的厚いことにより、薄いレッグである場合と比べて、ミッドソール・ユニット1147にしっかり固定するための大きな表面積を有する側面1176Cがもたらされる。このように比較的厚いことにより、先細の後方部54の階段状の後部における足対向面1191は、該先細の後方部の足対向面内に形成された複数の凹所1192を含む。これらの凹所1192が形成されることで、第1のプレート1140の重量が減少する。加えて、これらの凹所1192は、相対的に厚いレッグ1176Aの厚さを足対向面1191の位置において小さくし、該凹所1192を取り囲む格子状の薄い壁を効果的につくり出している。第1のプレート1140が射出成形によりつくられる実施例においては、薄い壁である方が、厚く型形成されるセクションの場合と比較して、良好な材料フローを可能にするとともに、全体的な収縮度を低減することができる。
【0129】
図65及び
図66に示される第3のプレート1143は、第3のプレート1043と同様の特徴部の多くを有する。ただ、開口1155がもっと直線状の前方端縁1156を有する一方で、第3のプレート1143の前方端縁1145は、第3のプレート1043のノッチ1049よりも浅いノッチ1149を有する。
図67(明確に示すために、後方ミッドソール・ユニット・アウトソール構成要素1050A,1050Bは省略されている)に示されるように、相対的に厚いレッグ1176Aの後部1178がノッチ1149内で第3のプレート1143に当接する。再び
図61を参照すると、第1のプレート1140の相対的に薄いレッグ1176Bの下方に第3のプレート1143が延在し、第1のプレート1140と第3のプレート1143との間にミッドソール・ユニット1147の一部が配置されているとともに、第3のプレート1143の下方に後方ミッドソール・ユニット1048が配置されている(例えば、各構成要素について上から下へ順に、第1のプレート1140、ミッドソール・ユニット1147、第3のプレート1143、及び後方ミッドソール・ユニット1048が垂直方向に積み重ねられている。)。
図68に示されるように、後方ミッドソール・ユニット1048は、第2のプレート1042及び第1のプレート1140と相互に嵌合するように構成されており、これは、ソール構造体1012における対応の構成要素に関して上述したのと同様である。
【0130】
1つ又は複数の流体充填ブラダの膨張圧が履物サイズに関連している場合に、ソール構造体の様々な実施例(本明細書において説明したものを含む)が、所望の支持(サポート)とクッション性の組合せを提供する。例えば、
図69は、3つの履物1010A,1010B,1010Cを示しており、これらの各々が本明細書中で説明した履物1010と同じ構成要素を有するが、履物サイズは互いに異なっている。履物1010A,1010B,1010Cの各々が、本明細書中で説明したソール構造体1012と同様に構成された対応のソール構造体1012A,1012B,1012Cを有するとともに、第1のプレート1040、第2のプレート1042、及び第1のプレート1040の近位側に支持されたブラダ44A,44Bのような流体充填ブラダを有する。第2のプレート1042は、流体充填ブラダ44A,44Bの近位側に支持されている。
【0131】
履物1010A,1010B,1010Cの各々が、履物サイズの互いに異なる範囲内に含まれている。例えば、履物サイズの第1の範囲を範囲Aとし、これは男性用米国サイズ6~9(日本サイズ24cm~27cm)を含み得る。履物1010Aは、男性用米国サイズ8と測定される足18Aに対応する男性用米国サイズ8のものであり、従って、範囲Aに含まれる。履物サイズの第2の範囲を範囲Bとし、これは男性用米国サイズ9.5~12(日本サイズ27.cm~30cm)を含み得る。履物1010Bは、男性用米国サイズ11と測定される足18Bに対応する男性用米国サイズ11のものであり、従って、範囲Bに含まれる。履物サイズの第3の範囲を範囲Cとし、これは男性用米国サイズ12.5~15(日本サイズ30.5cm~33cm)を含み得る。履物1010Cは、男性用米国サイズ14と測定される足18Cに対応する男性用米国サイズ14のものであり、従って、範囲Cに含まれる。これらの複数のサイズの範囲、並びに「男性用」履物としての履物の仕様は、例示することのみを目的として示している。本発明の方法は、女性用の履物、男女共用の履物、及び子供用ないし若者用の履物にも等しく適用される。本方法においてサイズの範囲の数は2つ又は3つ以上を含み得るものであり、実施例と同じ3つの範囲に限定されるものではない。
【0132】
履物1010A,1010B,1010Cは互いに異なる履物サイズを有するので、これに対応するプレート1040、プレート1043、及び/又は流体充填ブラダ44A,44Bのような構成要素のいくつか又はすべてが互いに異なる対応のサイズを有し得る。例えば、図示されているプレート1040,1042,1043及び流体充填ブラダ44A,44Bは、履物1010A用のものの方が、履物1010B用のものよりも小さい。
【0133】
履物サイズの第1の範囲(範囲A)に含まれる履物サイズを有する足18Aをもつ着用者は、履物サイズの第2の範囲(範囲B)に含まれる履物サイズを有する足18Bをもつ着用者よりも軽い体重であることが多い。範囲A又はBの履物サイズを有する着用者は共に、履物サイズの第3の範囲(範囲C)に含まれる履物サイズを有する足18Cを有する着用者よりも軽い体重であることが多い。従って、ソール構造体1012Aによって生じる圧縮荷重は、ソール構造体1012Bによって生じる圧縮荷重よりも小さいことが多く、ソール構造体1012Bによって生じる圧縮荷重は、ソール構造体1012Cによって生じる圧縮荷重よりも小さいことが多い。
【0134】
ブラダ44A,44Bのクッション応答のいくらかは、ブラダ44A,44Bの膨張圧の機能である。ブラダ44Aは概して、低圧にまで膨張されているときよりも、高圧にまで膨張されているときに、硬質な応答を示すこととなる。互いに異なる圧縮荷重を有する着用者に対して、どの着用者にもほぼ同じクッション性を感得させるために、ブラダ44A,44Bの膨張圧は、膨張荷重の大きさに概ね応答していることが望ましい。
【0135】
従って、履物用のソール構造体の製造方法が、所定の膨張圧を有する流体充填ブラダ44A,44Bを使用してソール構造体1012A,1012B,1012Cのような履物サイズの複数の範囲用のソール構造体を組み立てるステップを含む。所定の膨張圧は、履物サイズにおいての複数の範囲のうちの少なくとも2つの範囲について異なる。一例において、履物サイズの第1の範囲(範囲A)用の履物1010Aのソール構造体1012Aに組み込まれた流体充填ブラダ44A,44Bの所定の膨張圧は、履物サイズの第2の範囲(範囲B)用の履物1010Bのソール構造体1012Bに組み込まれた流体充填ブラダ44A,44Bの所定の膨張圧よりも小さく、履物サイズの第2の範囲(範囲B)用の履物1010Bのソール構造体1012Bに組み込まれた流体充填ブラダ44A,44Bの所定の膨張圧は、履物サイズの第3の範囲(範囲C)用の履物1010Cのソール構造体1012Cに組み込まれた流体充填ブラダ44A,44Bの所定の膨張圧よりも小さい。例えば、履物サイズの第3の範囲(範囲C)用の所定の膨張圧は、履物サイズの第1の範囲(範囲A)用の所定の膨張圧よりも約10psi(約69kPa)だけ大きい場合がある。一例において、履物サイズの第2の範囲(範囲B)用の所定の膨張圧は、履物サイズの第1の範囲(範囲A)用の所定の膨張圧よりも約2psi(約14kPa)~約5psi(約34kPa)だけ大きく、履物サイズの第3の範囲(範囲C)用の所定の膨張圧は、履物サイズの第2の範囲(範囲B)用の所定の膨張圧よりも約2psi(約14kPa)~約5psi(約34kPa)だけ大きい場合がある。
【0136】
履物サイズの第1の範囲(範囲A)用の所定の膨張圧は、約18psi(約124kPa)を上限とするものであり、履物サイズの第2の範囲(範囲B)用の所定の膨張圧は、約18psi(約124kPa)~約22psi(約152kPa)であり、履物サイズの第3の範囲(範囲C)用の所定の膨張圧は、約22psi(約152kPa)~約25psi(約172kPa)であり得る。例えば、履物サイズの第1の範囲(範囲A)用の所定の膨張圧が15psi(約103kPa)であり、履物サイズの第2の範囲(範囲B)用の所定の膨張圧が20psi(約138kPa)であり、履物サイズの第3の範囲(範囲C)用の所定の膨張圧が25psi(約172kPa)であり得る。
【0137】
本発明の方法は、流体充填ブラダ44A,44Bが組み込まれるべきソール構造体について、履物サイズの範囲に応じた所定の膨張圧にまで該流体充填ブラダ44A,44Bを膨張させるステップと、可能な限界点(ブラダ44A,44Bの材料に部分的に依存する)に所定の膨張圧が保持されるように流体充填ブラダ44A,44Bを密閉するステップと、を含み得る。本発明の方法は、履物1010とソール構造体1012に関して説明したが、本発明の方法は、本明細書において説明した履物とソール構造体のどれを製造することにも使用され得る。
【0138】
以下の項目は、本明細書において開示した履物用のソール構造体の構成例を提示するものである。
【0139】
項目1:履物用のソール構造体において、該ソール構造体は、第1のプレートと、第1のプレート上に支持された流体充填ブラダと、第1のプレートと第2のプレートとの間に流体充填ブラダが配置されるように上記流体充填ブラダ上に支持された第2のプレートと、を備え、第1のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ上昇している一方で、第2のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ下降しており、上記流体充填ブラダの後方において第1のプレートの後方部が第2のプレートの後方部よりも高い位置にあることを特徴とする、履物用のソール構造体。
【0140】
項目2:第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者の後方部が、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方を含み、第1のプレート及び第2のプレートのうちの第2者の後方部が、上記内側方の後続アーム及び上記外側方の後続アームのうちの一方又は両方に隣接して配置されていることを特徴とする、項目1に記載のソール構造体。
【0141】
項目3:内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方と、第1のプレート及び第2のプレートのうちの第2者の後方部とが、該ソール構造体の中足領域内で露出していることを特徴とする、項目2に記載のソール構造体。
【0142】
項目4:第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者が、上記内側方の後続アーム及び上記外側方の後続アームの両方を含む一方で、上記内側方の後続アームと上記外側方の後続アームが第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者の後部において収束していることを特徴とする、項目2又は項目3に記載のソール構造体。
【0143】
項目5:第1のプレートの後方部、上記内側方の後続アーム、及び上記外側方の後続アームは、上記ソール構造体の中足領域内で露出していることを特徴とする、項目4に記載のソール構造体。
【0144】
項目6:第1のプレートの後方部は、該第1のプレートの後方部の終端部よりも前方で収束する内側方レールと外側方レールを含むことを特徴とする、項目2~5のいずれかに記載のソール構造体。
【0145】
項目7:上記内側方レールと外側方レールの各々が、第1のプレートの遠位側で下方へ延びている長手方向延在リッジを有することを特徴とする、項目6に記載のソール構造体。
【0146】
項目8:内側方の後続アームと外側方の後続アームのうちの少なくとも一方に隣接して配置された上記後方部の終端縁が、上記内側方の後続アームと外側方の後続アームの少なくとも一方の終端縁よりも後方にあることを特徴とする。項目2~7のいずれかに記載のソール構造体。
【0147】
項目9:第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者は、該第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者の後部で収束する内側方の後続アームと外側方の後続アームを含むことを特徴とする、項目2~8に記載のソール構造体。
【0148】
項目10:第2のプレートは、上記流体充填ブラダ上に支持された中央部を有し、第2のプレートは、上記流体充填ブラダの後方に開口を画定しており、この開口の縁が、上記内側方の後続アームと外側方の後続アームとによって定められていることを特徴とする、項目9に記載のソール構造体。
【0149】
項目11:第2のプレートは、上記内側方の後続アームと外側方の後続アームから上方へ延びている一連の壁を含むことを特徴とする、項目9又は項目10に記載のソール構造体。
【0150】
項目12:第1のプレートは、該第1のプレートの前方端縁から後方へ向かって、内側方レールと外側方レールとが収束する該第1のプレートの後方部の後方限界まで二股に分かれていることを特徴とする、項目2~11のいずれかに記載のソール構造体。
【0151】
項目13:第2のプレートは、上記内側方の後続アームと外側方の後続アームの前方に周縁の壁を画定しており、該周縁の壁は、第1のプレートから上方へ向かって、上記ソール構造体の前足領域の前部を取り囲むように延びていることを特徴とする、項目2~12のいずれかに記載のソール構造体。
【0152】
項目14:上記流体充填ブラダの後方へ延びている後方ミッドソール・ユニットをさらに備え、該後方ミッドソール・ユニットは、上記内側方の後続アームと面一に固定された内側方ショルダ、及び上記外側方の後続アームと面一に固定された外側方ショルダを有し、上記後方ミッドソール・ユニットは、上記流体充填ブラダの前方において第2のプレートから上方へ方向に延びている周縁の壁を画定し、上記後方ミッドソール・ユニットは貫通孔を画定しており、この貫通孔の少なくとも一部が上記流体充填ブラダの上方に延びていることを特徴とする、項目13に記載のソール構造体。
【0153】
項目15:上記後方ミッドソール・ユニットの遠位端部において、上記内側方ショルダと外側方ショルダとの間に凹所が形成されており、第1のプレートの後方部が、該凹所内で、上記後方ミッドソール・ユニットに押し付けられつつ着座し且つこれに固定されていることを特徴とする、項目14に記載のソール構造体。
【0154】
項目16:上記後方ミッドソール・ユニットの遠位側に湖底されたアウトソール構成要素をさらに備え、上記アウトソール構成要素の第1の内側方の側壁は上方へ向かって、上記後方ミッドソール・ユニットの内側方の面まで延びてこれに固定されていることを特徴とする、項目15に記載のソール構造体。
【0155】
項目17:上記内側方の後続アームと面一になるように固定された内側方ショルダ、及び上記外側方の後続アームと面一に固定された外側方ショルダ、を含む後方ミッドソール・ユニットをさらに備える、項目2~5のいずれかに記載のソール構造体。
【0156】
項目18:上記内側方の後続アームが上記内側方ショルダの凹所内に収容され、上記外側方の後続アームが上記外側方ショルダの凹所内に収容されることを特徴とする、項目17に記載のソール構造体。
【0157】
項目19:上記後方ミッドソール・ユニットは、上記内側方ショルダと上記外側方ショルダとの間に凹所を有し、第2のプレートは該凹所内まで上方へ延びて、該凹所内で上記後方ミッドソール・ユニットと連絡している壁を含むことを特徴とする、項目18に記載のソール構造体。
【0158】
項目20:該ソール構造体の踵領域内に延びているミッドソール・ユニットをさらに備え、該ミッドソール・ユニットは上記踵領域内に貫通孔を有し、第1のプレートの後方部が、上記ミッドソール・ユニットに形成された貫通孔を貫通して上記ミッドソール・ユニットの足対向面上に着座していることを特徴とする、項目2~5のいずれかに記載のソール構造体。
【0159】
項目21:第1のプレートの後方部が階段状の後部を含み、該階段状の後部は、上記貫通孔を貫通している相対的に厚いレッグ、及び上記ミッドソール・ユニットを覆うように該相対的に厚いレッグから後方へ延びている相対的に薄いレッグを有し、上記相対的に薄いレッグは、上記ミッドソール・ユニットの上記足対向面上の凹所内に着座していることを特徴とする、項目20に記載のソール構造体。
【0160】
項目22:第3のプレートをさらに備え、この第3のプレートの前方端縁がノッチを画定しており、上記内側方の後続アームと外側方の後続アームよりも高い位置で第3のプレートが第1のプレートから後方へ延びているときに第1のプレートの上記後方部が上記ノッチ内にフィットするように構成されており、上記ミッドソール・ユニットは、該ソール構造体の前足領域から踵領域まで延びている全長ミッドソール・ユニットであり、該全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの前方の上記前足領域内で第1のプレートの近位側に支持され且つこれと連絡しているとともに、内側方の後続アーム及び外側方の後続アームの前方において第2のプレートの近位側と連絡しており、さらには、第3のプレートの近位側と連絡していることを特徴とする、項目20又は項目21に記載のソール構造体。
【0161】
項目23:第3のプレートをさらに備え、この第3のプレートの前方端縁がノッチを画定しており、該第3のプレートが第1のプレートから後方へ延びているときに第1のプレートの上記後方部が上記ノッチ内にフィットするように構成されていることを特徴とする、項目1~19のいずれかに記載のソール構造体。
【0162】
項目24:第3のプレートは、該ソール構造体の踵領域内に貫通孔を画定しており、該ソール構造体は、第3のプレートの遠位側に固定され且つ第3のプレートの近位側で第3のプレートの貫通孔の位置で露出している後方ミッドソール・ユニットをさらに備えることを特徴とする、項目23に記載のソール構造体。
【0163】
項目25:第3のプレートは、該第3のプレートの後部から上方前側へ湾曲している長細のテールを含むことを特徴とする、項目23又は項目24に記載のソール構造体。
【0164】
項目26:該ソール構造体の前足領域から該ソール構造体の踵領域まで延びている全長ミッドソール・ユニットをさらに備え、上記全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの前方の上記前足領域内で第1のプレートの近位側に支持され且つこれと連絡し、第2のプレートの近位側と連絡し、さらには第3のプレートの近位側と連絡していることを特徴とする、項目23~25のいずれかに記載のソール構造体。
【0165】
項目27:上記全長ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの上方に配置された貫通孔を有し、第2のプレートの近位側が、上記全長ミッドソール・ユニットの上記貫通孔の位置において露出していることを特徴とする、項目26に記載のソール構造体。
【0166】
項目28:上記流体充填ブラダは、上記全長ミッドソール・ユニットの上記貫通孔の下方において第2のプレートの遠位側に配置されていることを特徴とする、項目27に記載のソール構造体。
【0167】
項目29:上記全長ミッドソール・ユニットが壁を有し、この壁は、上記流体充填ブラダの前方において第1のプレートから第2のプレートまで延びているとともに、第1のプレートと第2のプレートとの間において前方へ湾曲していることを特徴とする、項目26~28のいずれかに記載のソール構造体。
【0168】
項目30:第1のプレートは、該第1のプレートの内側方端縁に内側方フランジを含むとともに、該第1のプレートの外側方端縁に外側方フランジを含み、上記内側方フランジ及び外側方フランジは、上記流体充填ブラダの前方の上記前足領域内で上記全長ミッドソール・ユニットの下方延在部分の後面に押し付けられるように配置されていることを特徴とする、項目24~29のいずれかに記載のソール構造体。
【0169】
項目31:第3のプレートは該ソール構造体の踵領域内に貫通孔を画定しており、該ソール構造体は、第3のプレートの遠位側に固定され且つ第3のプレートの近位側において第3のプレートの貫通孔の位置で露出している後方ミッドソール・ユニットをさらに備え、上記全長ミッドソール・ユニットは、第3のプレートの上記貫通孔の上方に延在するとともに、第3のプレートの上記貫通孔の位置で上記後方ミッドソール・ユニットと連絡していることを特徴とする、項目26に記載のソール構造体。
【0170】
項目32:第2のプレートは上記流体充填ブラダ上に支持された中央部を有し、第2のプレートは上記中央部の後方に貫通孔を画定しており、第1のプレートの上記後方部は、第2のプレートの上記貫通孔を貫通して後方へ上昇していることを特徴とする、項目1に記載のソール構造体。
【0171】
項目33:第2のプレートは、該第2のプレートの貫通孔の後部を取り囲むように上方へ延びている壁を含むことを特徴とする、項目32に記載のソール構造体。
【0172】
項目34:第1のプレートは、上記流体充填ブラダの前方に二股部を含むことを特徴とする、項目1~11のいずれかに記載のソール構造体。
【0173】
項目35:上記二股部は、内側方の突出部と外側方の突出部を含み、該内側方の突出部と外側方の突出部の各々が第1のプレートの近位側において上方へ延びている長手方向延在リッジを有することを特徴とする、項目34に記載のソール構造体。
【0174】
項目36:第1のプレートの近位側は凹所を画定しており、上記流体充填ブラダの遠位側が該凹所内に着座していることを特徴とする、項目1~35のいずれかに記載のソール構造体。
【0175】
項目37:第2のプレートの遠位側が凹所を画定しており、上記流体充填ブラダが該凹所内に収容されていることを特徴とする、項目1~36のいずれかに記載のソール構造体。
【0176】
項目38:上記流体充填ブラダは、上記流体充填ブラダの上側内面と下側内面とを作動可能にしつつ繋ぐようにこれらの間に延びている複数のテザーを含むことを特徴とする、項目1~37のいずれかに記載のソール構造体。
【0177】
項目39:上記流体充填ブラダが第1の流体充填ブラダであり、該ソール構造体は、第1のプレートと第2のプレートとの間の第1の流体充填ブラダに隣接して配置された第2の流体充填ブラダをさらい備える、項目1~38のいずれかに記載のソール構造体。
【0178】
項目40:第2の流体充填ブラダは、該第2の流体充填ブラダの上側内面と下側内面とを作動可能にしつつ繋ぐようにこれらの間に延びている複数のテザーを含むことを特徴とする、項目39に記載のソール構造体。
【0179】
項目41:第1のプレートは二股部を含み、第1の流体充填ブラダは、上記二股部の内側方の突出部上に配置されており、第2の流体充填ブラダは、上記二股部の外側方の突出部上に配置されていることを特徴とする、項目39又は項目40に記載のソール構造体。
【0180】
項目42:第1のプレートは第2のプレートよりも硬質であることを特徴とする、項目1~41のいずれかに記載のソール構造体。
【0181】
項目43:第1のプレートは、炭素繊維、炭素繊維合成物、炭素繊維が充填されたナイロン、繊維ガラス強化ナイロン、繊維ストランドを含む合成物、熱可塑性エラストマ、木、及びスチールのうちの1つ又は複数の組合せからなることを特徴とする、項目1~42のいずれかに記載のソール構造体。
【0182】
項目44:第1のプレートは、ショアDデュロメータ・スケールで約75の硬度を有する繊維ガラス強化ポリアミド11を含むことを特徴とする、項目43に記載のソール構造体。
【0183】
項目45:第2のプレートは熱可塑性ポリウレタンを含むことを特徴とする、項目43又は項目44に記載のソール構造体。
【0184】
項目46:第2のプレートは、ショアAデュロメータ・スケールで約95の硬度を有する注入型熱可塑性ポリウレタンを含むことを特徴とする、項目45に記載のソール構造体。
【0185】
項目47:第1のプレートは、上記流体充填ブラダの前方において分断されていないことを特徴とする、項目1~11のいずれかに記載のソール構造体。
【0186】
項目48:第1のプレートは、上記流体充填ブラダの前方において該第1のプレートの近位側に横断リッジを有するとともに、該第1のプレートの遠位側に、該横断リッジと整列した横断溝を有することを特徴とする、項目1~19のいずれかに記載のソール構造体。
【0187】
項目49:第1のプレートと第2のプレートとの間の上記流体充填ブラダの前方に配置された前足ミッドソール・ユニットをさらに備える、項目1~19のいずれかに記載のソール構造体。
【0188】
項目50:第2のプレートは、上記流体充填ブラダの前方に貫通孔を画定しており、上記前足ミッドソール・ユニットが第2のプレートの上記貫通孔の位置に配置されていることを特徴とする、項目49に記載のソール構造体。
【0189】
項目51:上記前方ミッドソール・ユニットの後方限界が上記流体充填ブラダから離れる方向に延びつつ第1のプレートから第2のプレートまで上方へ傾斜していることを特徴とする、項目49又は項目50に記載のソール構造体。
【0190】
項目52:上記前足ミッドソール・ユニットの後方限界が上記流体充填ブラダへ向かって延びつつ第1のプレートから第2のプレートまで上方へ傾斜していることを特徴とする、項目49~51のいずれかに記載のソール構造体。
【0191】
項目53:上記前足ミッドソール・ユニットは、第2のプレートの最前方端縁よりも前方へ延びていることを特徴とする、項目49~52のいずれかに記載のソール構造体。
【0192】
項目54:上記流体充填ブラダの内側方の面に固定された第1の内側方の側壁を有するアウトソール構成要素をさらに含む、項目1~25のいずれかに記載のソール構造体。
【0193】
項目55:第1のプレートと第2のプレートとの間の流体充填ブラダの前方に配置された前足ミッドソール・ユニットをさらに備え、上記アウトソール構成要素は第2の内側方の側壁を含み、第2の内側方の側壁は、第1の内側方の側壁の前方において前足ミッドソール・ユニットの内側方の面を上方まで覆うとともにこれに固定され、上記アウトソール構成要素は、第1の内側方の側壁と第2の内側方の側壁との間にノッチを画定していることを特徴とする、項目54に記載のソール構造体。
【0194】
項目56:履物用のソール構造体を製造する方法において、該方法は、履物サイズの複数の範囲用のソール構造体を組み立てるステップを含み、該ソール構造体の各々が、第1のプレートと、第2のプレートと、第1のプレートの近位側に支持された流体充填ブラダと、を備え、第2のプレートは上記流体充填ブラダの近位側に支持されており、上記流体充填ブラダは所定の膨張圧を有し、上記所定の膨張圧は、上記履物サイズの複数の範囲のうちの少なくとも2つの範囲用の互いに異なる膨張圧であることを特徴とする、方法。
【0195】
項目57:上記履物サイズの複数の範囲は第1の範囲と第2の範囲を含み、上記第1の範囲に含まれている履物サイズは、第2の範囲に含まれている履物サイズよりも小さく、第1の範囲用の上記所定の膨張圧は、第2の範囲用の上記所定の膨張圧よりも小さいことを特徴とする、項目56に記載の方法。
【0196】
項目58:上記履物サイズの複数の範囲は第3の範囲をさらに含み、第3の範囲に含まれている履物サイズは、第2の範囲に含まれている履物サイズよりも大きく、第3の範囲用の上記所定の膨張圧は、第2の範囲用の上記所定の膨張圧よりも大きいことを特徴とする、請求項57に記載の方法。
【0197】
項目59:第3の範囲用の上記所定の膨張圧は、第1の範囲用の上記所定の膨張圧よりも約10psi(約69kPa)大きいことを特徴とする、項目58に記載の方法。
【0198】
項目60:第1の範囲が男性用米国サイズ6~9(24cm~27cm)を含み、第2の範囲が男性用米国サイズ9.5~12(27.5cm~30cm)を含み、第3の範囲が男性用米国サイズ12.5~15(30.5cm~33cm)を含むことを特徴とする、項目58又は項目59に記載の方法。
【0199】
項目61:第2の範囲用の所定の膨張圧は、第1の範囲用の所定の膨張圧よりも約2psi(約14kPa)~約5psi(約34kPa)大きく、第3の範囲用の所定の膨張圧は、第2の範囲用の所定の膨張圧よりも約2psi(約14kPa)~約5psi(約34kPa)大きいことを特徴とする、項目58~60のいずれかに記載のソール構造体。
【0200】
項目62:第1の範囲用の所定の膨張圧は、約18psi(約124kPa)を上限とするものであり、第2の範囲用の所定の膨張圧は、約18psi(約124kPa)~約22psi(約152kPa)であり、第3の範囲用の所定の膨張圧は、約22psi(約152kPa)~約25psi(約172kPa)であることを特徴とする、項目58~61のいずれかに記載の方法。
【0201】
項目63:上記所定の膨張圧となるまで上記流体充填ブラダを膨張させるステップと、上記流体充填ブラダを密閉するステップと、をさらに含む、請求項56~62のいずれかに記載の方法。
【0202】
項目64:第1のプレートが上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ上昇している一方で、第2のプレートは、上記流体充填ブラダの後方へ延びつつ下降しており、上記流体充填ブラダの後方において第1のプレートの後方部が第2のプレートの後方部よりも高い位置にあることを特徴とする、請求項56~63のいずれかに記載の方法。
【0203】
項目65:第1のプレート及び第2のプレートのうちの第1者の後方部が、上記内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方を含み、第1のプレート及び第2のプレートのうちの第2者の後方部が、上記内側方の後続アーム及び外側方の後続アームのうちの一方又は両方に隣接して配置されていることを特徴とする、項目64に記載の方法。
【0204】
項目66:第2のプレートは、上記流体充填ブラダの後方において第1のプレートの後方部よりも下方まで下降している内側方の後続アームと外側方の後続アームを共に含むことを特徴とする、項目65に記載の方法。
【0205】
様々な実施形態の説明を明瞭なものとするために、本明細書において様々な語句が定義されている。別段の記載のない限り、それらの定義は、本明細書(特許請求の範囲を含む)の全体に適用され得る。加えて、言及された参考文献は、その全体が本願の参照となる。
【0206】
「履物」、「製造における履物」、及び「靴」との語句は、機械と製造の両方に関するものとして考慮され得る。本明細書において、組立て済みの完成品の履物(例えば、靴、サンダル、ブーツなど)、並びに、完成品の履物にする最終的な組立て前の履物の別個の構成要素(ミッドソール、アウトソール、アッパー構成要素など)のことを単数又は複数の履物と呼ぶことがあり、単数と複数が互いに入れ替わることもある。
【0207】
「1つ」、「1つの」、「その」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は複数の」との語句は交換可能に用いられ、少なくとも1つの物品が存在することを示している。文章中で別段の断わりのない限り、複数のその物品が存在し得る。文章中(添付の特許請求の範囲を含む)で明確に別段の記載がない限り、この詳細な説明のパラメータ(例えば、量や条件)の数値のいずれもが、その数値の前に実際に「約」の記載がなくとも、すべての事項において「約」との語句によって修飾されるべきものと理解されたい。「約」が意味することは、言及された数値に若干の不正確性(正確な値に達するまでいくらかのアプローチを有する、その値にかなり近いこと)を許容することである。「約」との語句で与えられる不正確性が、当技術分野において別段の理解をされるのではない場合、本明細書において使用される「約」は、そのようなパラメータを使って通常の測定方法から生じ得るバリエーションが少なくともあることを示している。文章中及び添付の特許請求の範囲に使用されるときに、言及された値の5%以上でも5%以下でもない場合に、その値は「近似的に」等しいものと考慮される。加えて、範囲の開示については、その範囲内のすべての値と、その範囲内においてさらに分断された範囲を具体的に開示しているものとして理解されたい。
【0208】
「備える」、「含む」、及び「有する」との語句には、包含している意味合いがあり、従って、言及された特徴部、ステップ、オペレーション、エレメントないし構成要素が存在することを特定しているが、1つ又は複数の他の特徴部、ステップ、オペレーション、エレメントないし構成要素が存在することつまり追加されることを除外するものではない。実施可能な追加的又は代替的なステップが採用され得る場合、ステップ、プロセス、及びオペレーションの順序は変更され得る。本明細書において使用される「又は」との語句は、関連する物品として挙げられたもののうちの1つを含む場合もあれば、すべての組合せを含む場合もある。「どの」との語句は、挙げられた物品の「うちの任意の1つ」を含む、挙げられた物品の種々の可能な組合せを含むことを意味するものと理解されたい。「いずれの」との語句は、引用された請求項の「うちの任意の1つ」を含む、添付の特許請求の範囲に記載の引用された請求項の種々の可能な組合せを含むものと理解されたい。
【0209】
この発明の詳細な説明において、一貫性と利便性を与えるために、図示された実施例に対応するように方向を示す形容詞が使われている。当業者であれば、特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲に限定を加えることなく、図面に関して、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「上面」、「底面」等の語句が説明のために使用され得ることを理解されよう。
【0210】
「長手方向」との語句は、構成要素の長さが延びている方向を示している。例えば、靴の長手方向は、靴の前足領域と踵領域との間に延びている。「前方」ないし「前部」との語句は、概ね踵領域から前足領域へ向かう方向を示すために使用され、「後方」ないし「後部」との語句は、反対の方向すなわち前足領域から踵領域へ向かう方向を示すために使用されている。いくつかの場合、長手方向軸とともに、その軸に沿った前方への長手方向及び後方への長手方向を使って、構成要素が特定され得る。長手方向または軸もまた前後方向ないし軸として示される。
【0211】
「横断方向」との語句は、構成要素の幅方向に延びる方向を示している。例えば、靴の横断方向は、靴の外側方と内側方との間に延びている。横断方向または横断軸のことを、外側方への方向ないし軸、中外側方への方向ないし軸ともいう。
【0212】
「垂直方向」との語句は、外側方への方向と長手方向のいずれともほぼ直交する方向のことを示す。例えば、靴が地面に平らに置かれた場合に、垂直方向は地面から上方へ延び得る。これらの方向を示す形容詞のうちのいくつかは、靴底の構成要素にも使われ得ることが理解されよう。「上方」ないし「上方へ」との語句は、足の甲、アッパーの締結領域及び/又は履き口を含み得る構成要素の天部を指し示す垂直方向のことを示す。「下方」ないし「下方へ」との語句は、垂直方向に沿って上方への方向とは反対の方向すなわち構成要素の底面へ向かう方向のことであり、履物のソール構造体の底面へ向かう方向を概ね指し示している。
【0213】
靴などの履物の「内方」とは、その靴を着用者が履いているときにその着用者によって占有される空間の部分を示す。また、構成要素の「内側」とは、組立て完了後の履物において履物の構成要素の内方を指向している(又は指向する)構成要素の側ないし面のことを示す。構成要素の「外側」ないし「外方」とは、組立て完了後の靴における靴の内方から離れる方向を指向している(又は指向する)構成要素の側ないし面のことを示す。いくつかの場合、他の構成要素が、組立て済みの履物における内方と構成要素の内側との間にあり得る。同様に、他の構成要素が、組立て済みの履物における外方空間と構成要素の外側との間にあり得る。さらに、「内方」及び「内方向」との語句は、靴などの履物の構成要素の内方へ向かう方向のことを示し、「外方」及び「外方向」との語句は、靴などの履物の構成要素の外方へ向かう方向のことを示し得る。加えて、「近位」との語句は、ある履物構成要素の中心部に近づく方向のことを示し、或いは履物の使用者が履物に足を差し入れて履いているときにおいては足に近づく方向のことを示す。同様に、「遠位」との語句は、その履物構成要素の中心から離れる方向のことを示し、或いは履物の使用者が履物に足を差し入れているときにおいて足から離れる方向を示す。つまり、遠位と近位との語句は、相対的な空間上の位置にあることを説明するためにほぼ反対語として用いられる語句である。
【0214】
本発明の様々な実施例について説明したが、この説明は例示することを意図しており、限定することを意図するものではない。当業者であれば、本発明の実施例の範囲内において、さらに多くの実施例及び実施形態が可能であることを理解されよう。特に断りのない限り、様々な実施例において種々の特徴部が組み合わされて使用される場合もあれば、他の特徴部ないしエレメントと交換される場合もある。従って、本発明の実施例は、添付の特許請求の範囲及びこれの均等物に照らすこと以外によって限定されない。また、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更がなされ得る。
【0215】
本教示の多くの態様を実施するための様々な方法について詳細に説明したが、本教示の属する技術の知識を有する者であれば、添付の特許請求の範囲内において本教示を実行するために様々な代替的態様があることを理解されよう。上記の説明に含まれる事項及び添付の図面に示される事項のすべてが代替的実施例の範囲全体(当業者であれば、発明の内容と構造的及び/又は機能的に同等物であるか、そうではなくても発明の内容に基づいて自明であると理解するものを含む)を例示するためのものであり、明確に記載されていることだけや説明された実施例だけに限定されるものではないと理解されたい。